はじめに、本実施の形態から抽出され得る発明群を手段n(n=0、1、2、3、・・・)として区分して示し、それらを必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
手段0.遊技機本体内でホッパから溢れたコインを前記遊技機本体内に設置された補助タンク内に収容する状態と、前記ホッパから溢れたコインを前記補助タンクを通過させて前記遊技機本体に開口形成されたコイン回収穴から前記遊技機本体外部に排出する状態とに対応可能に構成された遊技機において、前記補助タンクは、上部が開放され、下部に前記コイン回収穴に連通する開口穴が形成されたタンク本体と、前記開口穴を閉塞又は開放し、前記タンク本体に該タンク本体の外側が回動軌跡となるように回動可能に設けられた閉塞部材と、を有し、前記補助タンクは、前記タンク本体が少なくとも前記遊技機本体内で上下に移動することを規制する補助タンク移動規制部によって移動が規制され、かつ前記閉塞部材が前記開口穴を閉塞した状態で設置された場合、前記閉塞部材の回動軌跡上にある前記コイン回収穴の縁部で前記閉塞部材の開動作が規制されるようになされたこと特徴とする遊技機。
手段1:遊技機本体内でホッパから溢れたコインを前記遊技機本体内に設置された補助タンク内に収容し、該収容されたコインを前記遊技機本体に開口形成されたコイン回収穴から外部に排出可能な遊技機において、前記補助タンクは、上部が開放され、下部に前記コイン回収穴に連通する開口穴が形成されたタンク本体と、前記開口穴を閉塞又は開放し、前記タンク本体に該タンク本体の外側が回動軌跡となるように回動可能に設けられた蓋体と、を有し、前記補助タンクの設置は、前記タンク本体が少なくとも前記遊技機本体内で上下に移動することを規制する補助タンク移動規制部によって移動が規制され、かつ前記蓋体が前記開口穴を閉塞した状態で設置された場合、前記蓋体の回動軌跡上に前記コイン回収穴の縁部が存在し、前記蓋体の開動作が規制されるようになされたこと特徴とする遊技機。
手段1に記載の発明によると、蓋体は、タンク本体に形成された開口穴を閉塞又は開放状態とし、タンク本体の外側を回動可能に構成される。補助タンクは遊技機本体に設置された場合には、遊技機本体内で少なくとも上下には移動することが補助タンク移動規制部によって規制されている。ここで、補助タンク移動規制部とは、遊技機本体内で補助タンクの移動を規制するものの総称であり、例えばスピーカ、ホッパ等である。更に、蓋体を閉塞させた状態で設置された場合、蓋体を開放状態へと移行させることは、その回動軌跡上に存するコイン回収穴の縁部が邪魔をしてこれを行うことはできない。
従って、蓋体を閉塞させた状態で設置された場合、補助タンクを装着した遊技機を島設備に設置する前や、中古機として移設するために島設備から取り外した状態において、遊技機本体の外部からコイン回収穴を通して補助タンクの蓋体を開けることを防止することができる。
すなわち、遊技機本体のコイン回収穴から遊技機本体内に針金や特殊工具等の異物が挿入されるのを防止することができ、このような異物を使用した種々の不正行為を未然に防ぐことができることとなる。
手段2に記載の発明は、手段1に記載の遊技機において、
前記蓋体を閉塞した状態での前記補助タンクの設置は、前記蓋体の外側面の少なくとも一部が前記コイン回収穴の縁部に当接した状態となるようになされることを特徴とする。
手段2に記載の構成によれば、蓋体を閉塞した状態で補助タンクが設置された場合、蓋体の外側面の少なくとも一部がコイン回収穴の縁部に当接している。すなわち、蓋体は開放側への動きが規制されている。従って、コイン回収穴を通して補助タンクの蓋体を、閉塞状態から開放状態とする回動動作を完全に防止することができる。
手段3に記載の発明は、手段1又は2の何れか1項に記載の遊技機において、
前記蓋体と前記タンク本体とは薄肉部を介して連続する一体成形とされ、前記蓋体は前記薄肉部を軸として回動することを特徴とする。
手段3に記載の発明によれば、蓋体は、薄肉部を軸部として回転することが可能である。それ故、補助タンクをコインが自動回収されるホールで使用する場合や島設備において蓋体を開放状態で使用する場合に、蓋体の紛失が防止される。また、補助タンクの部品点数を削減することができ、更に補助タンクを製作するための金型のコストを削減することが可能となる。
手段4に記載の発明は、手段1から3の何れか1項に記載の遊技機において、
前記蓋体は、前記回動先端側に設けられ、前記閉塞状態で前記タンク本体に設けられた係止受け部に係合し前記蓋体の閉塞状態を維持する係止部と、前記タンク本体外方へ屈曲可能な屈曲可能部と、を有し、前記係止部は、前記屈曲可能部の前記タンク本体外方への屈曲により、前記係止受け部への係合状態が強固となる形状を有することを特徴とする。
手段4に記載の発明によると、蓋体はタンク本体に設けられた係止受け部と、蓋体に設けられた係止部とにより閉塞状態が維持される。更に、蓋体はタンク本体外方へ屈曲可能な屈曲可能部を有している。従って、補助タンクをコインが自動回収されないホールや島設備において蓋体を閉塞状態で使用すると、補助タンクにコインが貯留され、屈曲可能部がそのコインの重量により屈曲することとなる。ここで、係止部は、屈曲可能部がタンク本体外方へ屈曲すると係止受け部との係合状態が強固となる形状を有するので、補助タンクの開口穴が蓋体によって開放できる構成であっても、貯留されたコインの重みにより蓋体が開放状態となることを防止し、安心して補助タンクを使用することができる。
手段5に記載の発明は、手段4に記載の遊技機において、
前記屈曲可能部は、前記回動動作の軸方向に略平行に設置されたヒンジ部にて前記蓋体片を連結することによって構成され、前記係止受け部は、前記蓋体の回動軸の設けられた側と対向する側の前記タンク本体の側壁に設けられた切り欠き部によって構成され、前記係止部は、前記蓋体の閉塞状態で前記切り欠き部内に外方から進入係止可能な爪部にて構成されたことを特徴とする。
手段5に記載の発明は、屈曲可能部と、係止部及び係止受け部の具体的な構成の一例を示したものである。これによれば、屈曲可能部は回動動作の軸方向に略平行に設置されたヒンジ部にて蓋体片を連結することによって構成される。従って、蓋体に屈曲可能部を構成することが可能であり、貯留されたコインの重量により容易に屈曲可能部が屈曲することとなる。また、係止受け部は蓋体の回動軸の設けられた側と対向する側の前記タンク本体の側壁に設けられた切り欠き部によって構成され、係止部は蓋体の閉塞状態で切り欠き部内に外方から進入係止可能な爪部にて構成される。従って、屈曲可能部がコインの重量により屈曲した場合に、係止部と係止受け部との係合状態が強固となる構成を実現することが可能である。
[第1実施の形態]
以下、本発明の第1実施の形態について、遊技機の一例としてスロットマシン1の場合を例に図面を参照しながら説明する。図1は、スロットマシン1の前面扉3が閉じた状態を示す斜視図、図2は、スロットマシン1の前面扉3が開いた状態を示す斜視図、図3は、スロットマシン1の筐体2を正面から示す図、図4は、図3のI−I線断面矢視図である。
スロットマシン1は、図1及び図2に示すように、筐体2と前面扉3とからなる正面視略矩形状の本体(遊技機本体)4を有する。
前面扉3は、略平板状のフレーム20に、スタートレバー26やセレクタ9等の種々の装置類が装着されて構成されている。フレーム20は、フレーム20の上端部から高さ方向略中央部まで下方に移行するに従って手前側に突出するように傾斜した傾斜部20Aと、傾斜部20Aの下端から手前側に突出してフレーム20の左右に亘って所定の高さ幅で延在する突出部20Bと、突出部20Bよりも奥側に後退した位置で突出部20Bからフレーム20の下端部まで垂下する垂下部20Cを有する。
フレーム20は、左端部の上下複数カ所がヒンジ5(図2を参照)によって筐体2に連結されて取り付けられ、筐体2の前部を容易に開放及び閉塞できるようになっている。そして、フレーム20の右端部には、筐体2に対して前面扉3を閉塞して施錠状態とする施錠装置6と、その施錠装置6による施錠状態を解除して前面扉3を開放するためのキーシリンダ7が設けられている。
前面扉3の前面には、フレーム20に取り付けられた装置類によって、上方から下方に向かって順番に並ぶように、演出部3A、表示部3B、操作部3C、装飾部3D、払出部3Eが形成されている。
演出部3Aは、遊技者に対して光や音、映像を用いて演出を行う演出装置21を有する。演出装置21は、フレーム20の傾斜部20Aに取り付けられており、遊技の進行に伴って点灯・点滅する上部ランプ21aと、上部ランプ21aの下方位置で左右両側に各々配置されて種々の効果音等を発生させる一対のスピーカ21b−1、21b−2と、これら一対のスピーカ21b−1、21b−2の間に配設されて、画像・映像等の種々の情報を表示する液晶ディスプレイ21cを有する。
表示部3Bは、遊技者に遊技状態を示す表示用パネル22を有する。表示用パネル22は、フレーム20の傾斜部20Aに開口する矩形の開口部に嵌合されて取り付けられている。表示用パネル22の略中央位置には、透明又は半透明な材質によって表示窓22aが一体成形されており、その表示窓22aから筐体2の内方の回転リール11a〜11cを視認できるようになっている。
操作部3Cは、表示用パネル22の下端から手前側に向かって平面状に突出する突出部20Bの上面部20Baに、ベットボタン23とコイン投入口24とが左右に離れて設けられている。そして、上面部20Baの手前側の端部で折曲されて垂下する突出部20Bの前面部20Bbに、精算ボタン25、回転リール11a〜11cの回転開始を指示するためのスタートレバー26、回転リール11a〜11cの回転停止を支持するためのストップボタン27等の各操作手段が横一列に並ぶように配設されている。突出部20Bの前面部20Bbには各操作手段の周りをカバーするカバー部材28が取り付けられている。カバー部材28は、フレーム20の突出部20Bの前方で左右に亘って延在する帯板形状を有している。
装飾部3Dは、機種名や遊技に関わるキャラクタ等を表示する装飾用パネル40を有する。装飾用パネル40は、装飾用パネル40の裏面側に設けられた照明装置の光源Pから照射される光によって照明されて、装飾が際立つようになっている。照明装置は、光源Pとして冷陰極管を備えており、図4に示すように、装飾用パネル40の表示部42とフレーム20の垂下部20Cとの間で前面扉3の左右に延在し、両端がフレーム20に支持されている。光源Pは、電源の供給を受けて放射状に光を照射する。
装飾用パネル40は、保護カバー41と減光手段44を備えている。保護カバー41は、フレーム20の垂下部20Cの前方で上下に延在する表示部42と、表示部42の下端で折曲されて後方に向かって延在し、コイン受け皿33に対向する対向部43とが一体に形成され、透明又は半透明のプラスチックやアクリル等、硬質の合成樹脂製材料等の光透過性部材によって構成されている。
減光手段44は、保護カバー41の対向部43の少なくとも一部を覆い、光源Pからコイン受け皿33に向かって照射される光を減光する構成を有しており、対向部43の上面に取り付けられて光源Pからコイン受け皿33に向かって照射される光を遮光する遮光プレート45と、遮光プレート45に開口して光源Pからコイン受け皿33に向かって照射される光を通過させる開口部46と、開口部46に脱着自在に取り付けられて開口部46を通過する光を透過させて光量や色等を変更する透過光調整部47によって構成されている。
開口部46は、図4に示すように、光源Pから照射された光が通過してコイン受け皿33を照明する位置に設けられている。開口部46の大きさは、光源Pからコイン受け皿33内を照明するのに必要でかつ遊技者が眩しくない程度の光量の光を透過させることができる大きさに設定されている。
従って、光源Pから照射された光を減光手段44で減光して、コイン受け皿33に照射される光の光量を調整することができ、適切な光量の光でコイン受け皿33を照明でき、遊技者にとって眩しすぎず、かつ、コイン受け皿33上のコインの存否確認を容易ならしめ、コイン受け皿33上のコインの取り忘れを防ぐことができる。
特に、コイン受け皿33の底板部33Aの強度を補強するために底板部33Aの底面に金属製の板部材が敷設されて、上方からの光を反射し易い構造となっている場合には、減光手段44によって適切な光量に減光することにより、遊技者が眩しく感じるのを有効に防ぐことができる。
そして、保護カバー41の表示部42と対向部43が一体に形成されているので、光を透過させるための開口部等を保護カバー41に開ける必要がない。従って、針金等の棒状の異物が保護カバー41を貫通して挿入されるおそれがなく、スロットマシン1の設定状態を不正に変更する等の不正行為を有効に防ぐことができる。
払出部3Eは、コイン払出口31や演出用スピーカ32L、32R、コイン受け皿33等を有する。コイン払出口31は、図1に示すように、フレーム20の左右方向略中央位置に開口形成されており、排出用通路8(図2を参照)の下流端が連通して接続されている。演出用スピーカ32L、32Rは、コイン払出口31の左右方向両側に位置するように前面扉3のフレーム20に取り付けられている。
コイン受け皿33は、コイン受け皿取付板30を介してフレーム20に取り付けられている。コイン受け皿取付板30は、一枚の平板状の金属板によって構成されており、フレーム20の垂下部20Cに重ね合わせるように取り付けられて、前面扉3の左右に亘って延在し、左右の演出用スピーカ32L、32Rの前面を覆っている。
コイン受け皿取付板30の略中央には、フレーム20のコイン払出口31の位置に対応してコイン出口30aが開口形成されており、コイン払出口31からコイン受け皿33にコインが排出されるようになっている。また、コイン受け皿取付板30の左右両側には、演出用スピーカ32L、32Rの位置に対応して複数の小孔30bがメッシュ状に形成されて、演出用スピーカ32L、32Rからの音声等が前面扉3の前方である手前側に向かって発せられるようになっている。
コイン受け皿33は、フレーム20の垂下部20Cから手前側に突出して前面扉3の左右に延在するように取り付けられている。コイン受け皿33は、コイン払出口31よりも下方位置で底面が左右に広がる底板部33Aと、底板部33Aの外端縁に沿って設けられて底面から上方に延出する縦壁部33Bを有し、コイン受け皿取付板30に取り付けられた場合に、縦壁部33Bとコイン受け皿取付板30との間に囲まれて上方が開放された所定枚数のコインを貯留可能な貯留空間を形成する構成を有する。
縦壁部33Bは、コイン受け皿取付板30から手前側に向かって延出するように基端がコイン受け皿取付板30に固定される左右一対の側面壁部33Ba、33Bbと、コイン受け皿取付板30に沿って左右に延在するように一対の側面壁部33Ba、33Bbの先端間を連結してコイン払出口31に対向配置される正面壁部33Bcを有する。
左側面壁部33Baは、前面扉3の左端部よりも内方に位置し、前面扉3の左端部と左側面壁部33Baとの間には灰皿33Cが配設されている。右側面壁部33Bbは、前面扉3の右端部に沿って位置し、コイン受け皿取付板30から手前側に向かって移行するに従って右側面壁部33Bbの上端が漸次下方に移行し、正面壁部33Bcの上端に滑らかに連続している。
筐体2は、スロットマシン1の骨格をなす部材であり、天板2A、底板2B、背板2C、左側板2D、右側板2Eからなり、図2に示すように、前部が開放された箱形状を有している。
筐体2の内方の略中央高さ位置には、リールユニット11が配設されている。リールユニット11は、複数個の回転リール11a〜11cを有している。各回転リール11a〜11cは、その回転中心軸線が筐体2の横幅方向に同一軸線上に延びるように配置されており、表示窓22aから回転リール11a〜11cの表面を視認できるようになっている。
回転リール11a〜11cの表面には、周回方向に所定間隔をおいて複数種類の図柄が表示されており、表示窓22aから上下に3つの図柄が視認できるように配置されている。そして、リール11a〜11cの正転により、各表示窓22aには各種図柄が上から下に移動しているように映し出される。
各リール11a〜11cは、個々にステッピングモータ(図示せず)に連結されており、各ステッピングモータにより別個独立して回転駆動され、リール表面の図柄が表示窓22aから視認可能な位置に停止される。
筐体2の内方の上部位置には、主基板ユニット12が配設されている。主基板ユニット12は、スロットマシン1の遊技動作を制御するメイン制御基板が制御基板収納ボックス内に収容された状態で、台座装置によって筐体2の背板2Cに取付支持されている。
筐体2の内方の下部位置には、電源ボックス13とコイン払出手段14と補助タンク50が左右に並んで配置されている。電源ボックス13は、筐体2の左側板2Dに沿って設けられており、開閉扉13aを開くことで露出される正面部には、電源スイッチ、リセットスイッチ、設定キー挿入孔(いずれも図示せず)が設けられている。電源スイッチは、主制御装置等を始めとする各部に電源を供給するための起動スイッチである。
リセットスイッチは、スロットマシンの各種状態をリセットするためのスイッチである。本スロットマシン1は、各種データのバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復旧(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、例えば遊技ホールの営業が終了する場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、リセットスイッチを押しながら電源スイッチをオンすると、バックアップデータがリセットされるようになっている。また、電源スイッチがオンされている状態でリセットスイッチを押した場合には、エラー状態がリセットされる。
設定キー挿入孔は、ホール管理者などがコインの出玉調整を行うためのものである。すなわち、ホール管理者等が設定キーを設定キー挿入孔へ挿入して操作することにより、スロットマシン1の設定状態(当選確率設定処理)を「設定1」から「設定6」まで変更できるようになっている。
コイン払出手段14は、図示していないスライド機構を介して筐体2の底板2Bの上面に取り付けられており、前面扉3を開放した状態で筐体2の内方から前方に向かって引き出すことができるようになっている。
コイン払出手段14は、コインを貯留するホッパ15と、ホッパ15内のコインをコイン受け皿33に払い出す払出装置16と、ホッパ15から溢れたコインをホッパ15の外に排出するコイン排出口18等を備えている。そして、底板2Bの上面に払出装置16がスライド移動可能に支持され、払出装置16の上部にホッパ15が取り付けられ、ホッパ15にコイン排出口18が形成されている。
払出装置16は、モータ等の駆動手段により回転体を回転させて(いずれも図示せず)、ホッパ15内のコインを払出口16aから払い出して排出用通路8に流入させる構成を有する。ホッパ15は、筐体2の上下方向に延在する平面視略矩形の胴部15Aと、胴部15Aの下端部を閉塞する底部15Bとからなる有底筒状をなす。胴部15Aは、左壁部15Acと右壁部15Adとが筐体2の左側板2D、右側板2Eと平行に延在し、後壁部15Abが筐体2の背板2Cに沿って延在し、前壁部15Aaが筐体2の前部で左右に延在するように配置される。
そして、胴部15Aの上端部は、上方に向かって開放されており、ホッパ15内にコインが投入される投入口17が形成されている。底部15Bは、互いに対向して下方に移行するに従って漸次接近するように傾斜した左右一対の傾斜部15Ba、15Bbを有している。これら左右一対の傾斜部15Ba、15Bbのうち、図3で左側に示される傾斜部15Baには、払出装置16にコインを供給する供給口が形成されている。
そして、図3で右側に示される傾斜部15Bbは、払出装置16よりも筐体2の右側板2E側に突出し、底板2Bの上面と対向している。コイン排出口18は、補助タンク50の上方に位置し、ホッパ15から溢れてコイン排出口18から排出されたコインを補助タンク50内に流入させることができるように、胴部15Aの右壁部15Adに形成されている。
補助タンク50は、前面扉3を開放した状態で筐体2の内方から前方に向かって引き出して取り外しできるように、筐体2の底板2Bの上面に載せた状態で収容されて、遊技機本体4内に装着される。筐体2の底板2Bには、補助タンク50に収容したコインを遊技機本体4の下方に位置する自動回収装置に供給するためのコイン回収穴2Fが開口形成されている。
補助タンク50は、上部が開放され開口部54を形成し、コイン回収穴2Fに連通する開口穴74が形成されたタンク本体51と、開口穴74の開放と閉塞が可能であり、開口穴74を構成する側壁104(図6参照)の一辺に回動軸(回動基端)を有してタンク本体51の外側を回動可能な蓋体52とを有する。
補助タンク50は、コイン排出口18から排出されたコインを貯留する手動回収と、コインを通過させて自動回収装置(図示せず)によって回収させる自動回収の両方に対応可能な構造を有する。
補助タンク50は、タンク本体51と、閉塞部材である蓋体52を主として構成されている。タンク本体51は、上部が開放された有底の箱形状を有しており、タンク本体51の底壁部101(図5参照、前底壁部101aと後底壁部101bとからなる)には、開口穴74が形成されている。開口穴74は、補助タンク50が遊技機本体4内に装着された状態で、筐体2の底板2Bに開口するコイン回収穴2Fと略同一の大きさで、コイン回収穴2Fに連通する位置に形成されている。
蓋体52は、前述のように、タンク本体51の側壁104の一辺に回動軸を有して回動自在に構成されており、タンク本体51の周りを外回りに回動することによって、開口穴74を閉塞する閉塞位置と、開口穴74を開放する開放位置のいずれか一方に選択的に配置可能な構成を有する。
ここで、蓋体52が閉塞位置にある場合とは、蓋体52により開口穴74が閉塞され、後述する閉塞状態維持手段(閉塞位置維持手段)86により蓋体52がタンク本体51の閉塞位置に係止された状態であり、蓋体52が開放位置にある場合とは、蓋体52の移動により開口穴74が開放され、蓋体52の底面56がタンク本体51の回動軸の設けられた側壁104(図6参照)の外側面に近接した状態で後述する開放状態維持手段(開放位置維持手段)90により蓋体52がタンク本体51の開放位置に係止された状態である。なお、蓋体52が閉塞位置にある場合には、同時に後述する補助係止部88により蓋体52の回動が更に係止されている。
補助タンク50は、蓋体52を閉塞位置に配置して遊技機本体4内に装着した場合に、ホッパ15から溢れたコインをタンク本体51内に収容して貯留することができ、また、蓋体52を開放位置に配置して遊技機本体4内に装着した場合に、ホッパ15から溢れてタンク本体51内に通過したコインを、タンク本体51の開口穴74及び開口穴74に連通して筐体2の底板2Bに開口するコイン回収穴2Fを通過させて遊技機本体4の外部に排出し、遊技機本体4の下方に位置する自動回収装置に供給し、自動回収装置によって回収させることができるようになっている。
筐体2の内方には、補助タンク50内のコインの貯留状態を検出するコイン貯留状態検出手段のセンサ棒19A、19Bが取り付けられている。センサ棒19A、19Bは、図4に示すように、互いに上下に離間して対をなし、それぞれ筐体2の背板2Cに基端が固定されて、筐体2の前方に向かって平行に延在している。
各センサ棒19A、19Bは、導電性を有する金属材料からなり、補助タンク50を筐体2の内方に装着することによってタンク本体51内に挿入され、タンク本体51の内方の前後方向略中央位置まで延出する。
そして、導電性のコインが補助タンク50に貯留されて一対のセンサ棒19A、19Bの間に介在されると、互いに導通し、図示していないコイン貯留状態検出手段によって補助タンク50内のコインが満杯であるとの判断されるようになっている。
次に、補助タンク50の構成について詳細に説明する。図5は、補助タンク50の開口穴74が閉塞部材である蓋体52によって閉塞され、蓋体52が閉塞位置にある状態を示す補助タンク50の斜視図、図6は、補助タンク50の開口穴74が開放され、蓋体52が開放位置にある状態を示す補助タンク50の斜視図、図7は、蓋体52が閉塞位置にある場合の補助タンク50の平面図、図8は、蓋体52が閉塞位置にある場合の底面図、図9は、図7のII−II線断面矢視図、図10は、図7のIII―III線断面矢視図である。
補助タンク50のタンク本体51は、図5〜図10に示すように、底板部である蓋体底部56と、前底壁部101aと後底壁部101bとからなる底壁部101と、この底壁部101及び蓋体底部56の周りを囲うように底壁部101及び蓋体底部56から起立する前壁部102、後壁部103、左側壁部104、右側壁部105を有する。
前壁部102と後壁部103は、底壁部101の前後でそれぞれ上方に向かって折曲されて互いに対向し、左側壁部104と右側壁部105は、底壁部101の両側端部でそれぞれ上方に向かって折曲されて対向する。
そして、タンク本体51の上部には、上方に向かって開口する開口部54が形成されている。開口部54は、前壁部102の上端部でタンク本体51の左右方向に延在する前端縁部102a、右側壁部105の上端部でタンク本体51の前後方向に延在する右端縁部105a、後壁部103の上端部でタンク本体51の左右方向に延在する後端縁部103a、左側壁部104の上端部でタンク本体51の前後方向に延在する左端縁部104aを有しており、平面視略矩形の開口形状を有する。
タンク本体51の開口部54は、遊技機本体4内に装着された場合に、開口部54の前端縁部102aが筐体2の前部開口部分に沿って筐体2の左右方向に延在し、右端縁部105aが右側板2Eに沿って筐体2の前後方向に延在し、後端縁部103aが背板2Cに沿って筐体2の左右方向に延在し、左端縁部104aがコイン払出手段14に沿って筐体2の前後方向に延在する。
タンク本体51は、図3及び図4に示すように、筐体2の内方に装着した場合に、コイン払出手段14と筐体2の右側板2Eとの間に形成されたスペースに収容されてコイン払出手段14のコイン排出口18の下方に配置される。
そして、タンク本体51の左側壁部104がホッパ15に対向してタンク本体51の上側及び左側への移動が規制され、同時に、タンク本体51の右側壁部105が筐体2の右側板2Eに対向してタンク本体51の左右への移動が規制され、更に、タンク本体51の後壁部103が筐体2の背板2Cに対向してタンク本体51の後方への移動が規制される。そして、前面扉3を閉じた場合に、タンク本体51の前壁部102が前面扉3のスピーカ32Rに対向して、タンク本体51の前方への移動が規制される。
従って、タンク本体51に当接してスロットマシン1の遊技機本体4内における補助タンク50の前後左右及び上下の移動を規制する補助タンク移動規制手段が構成され、遊技機本体4内における補助タンク50の位置が変更されるのを防止できる。従って、例えばコイン回収穴2Fから遊技機本体4内における補助タンク50の位置を移動させて補助タンク50と筐体2の底板2Bとの間に隙間を形成し、その隙間から針金等の異物が挿入されるのを防ぐことができる。
タンク本体51の開口穴74は、蓋体52を閉塞位置から開放位置に回動させた場合に開口される。ここで、蓋体52は開口穴74よりも広い面積で形成され、タンク本体51の外側が回転軌跡となるような構造を有する。また、蓋体52よりもコイン回収穴2Fの面積が狭くなるように形成されているため、後述するようにタンク本体51が遊技機本体4内に配置された場合、タンク本体51の外側に蓋体52を回転させることができないため、遊技機1外からコイン回収穴2Fを通して補助タンク50の蓋体52を開放することができない。なお、コイン回収穴2Fよりも蓋体52の面積が広くなる構成としたが、蓋体52を開放しようとした場合、コイン回収穴2Fの縁部と蓋体52の少なくとも一部が接触して、蓋体52の開放を阻害するように構成しても良い。その場合においても遊技機1外から蓋体52を開放することができない。
タンク本体51の開口穴74は、蓋体底部56を閉塞位置から開放位置に回動させた場合に形成され、その大きさは蓋体底部56と略同一である。そして、コイン回収穴2Fの形状とほぼ一致する平面視で略矩形状をなし、開口穴74の前部に前部底壁部101a、開口穴74の後部に後部底壁部101bが前後方向所定幅で連続している。
前底壁部101aは、閉塞位置にある蓋体52の蓋体底部56を含む平面と同一平面にあり、右側壁部105と左側壁部104との間に延在する第1前底壁部101a1と、この第1前底壁部101a1と滑らかに接続し、蓋体底部56を含む平面と上下方向に角度を有し、前壁部102の下前壁153と接続される第2前底壁部101a2とから構成される。タンク本体51内で前底壁部101aには、補強のための前補強リブ112aが形成されている。具体的には、第1前底壁部101a1と第2前底壁部101a2との接続部分に1本のリブと、これに直交する3本のリブが形成されている。
後底壁部101bは、閉塞位置にある蓋体52の蓋体底部56と同一平面上にあり、右側壁部105と左側壁部104との間に延在し、後壁部103の底部に連続するように構成される。タンク本体51内で後底壁部101bには、補強のための後補強リブ112bが形成されている。具体的には、左側壁部104と右側壁部105の間に等間隔で3本のリブが形成されている。
第1前底壁部101a1の開口穴74側、及び後底壁部101bの開口穴74側には、後述する補助係止部88の係止受け部111a、111bが形成されている。
蓋体52と第2の壁部である左側壁部104との接続部分は、セルフヒンジ構造60によって構成され、蓋体52とタンク本体51とは一体で形成されている。従って、開口穴74を構成する側壁104の一辺が回動軸(回動基端)となり、蓋体52はその回動軸を中心に閉塞位置と開放位置との間を、タンク本体51の外側に回動する。そして、蓋体52は、開放位置と閉塞位置のいずれか一方に選択的に係止手段86、90によりタンク本体51に係止される。
タンク本体51の左側壁部104の左端縁部104aには、タンク本体51の前後方向に所定の幅で延在する突出部180が形成されており、突出部180の下部には補強部104bが設けられている。第1の実施の形態では、補強部104bの数は4である。これにより、コインの重さに対するタンク本体51の強度を向上させると共に、横幅方向内側への反りが防止されている。
タンク本体51の前壁部102は、開口部54の前端縁部102aを上端とし、開口部54の前端縁部102aから下方に延出する上前壁部151と、その上前壁部151の下端で折曲されて引き出し方向後側に水平に延在する中前壁部152と、中前壁部152の後端から下方に延出して前底壁部101aの前端に連結される下前壁部153を備える。
そして、前壁部102には、引掛部55が一体に形成されている。引掛部55は、上前壁部151の下端から下方に突出し、下前壁部153の前方に対向して、下前壁部153との間に指先を下方から挿入可能な間隙を形成する垂下片154と、垂下片154の両側端部で後方に向かって折曲されて下前壁部153の左右の側端部に接続される側壁155を有する。
垂下片154の長さは、下方から挿入した指先が第1関節くらいまで入り込む深さとなるように設定されている。側壁155は、垂下片154の両側端部と下前壁部153の両側端部との間をそれぞれ連結して、引掛部55のタンク本体51への取り付け剛性を向上させている。
引掛部55は、垂下片154と下前壁部153との間に下方から指先を挿入してタンク本体51を筐体2の前方に引き出すことができる。そして、筐体2の内方から取り出した際に、指先が垂下片154と下前壁部153との間に挿入されているので、補助タンク50を安定して持つことができる。従って、補助タンク50を筐体2の内方から前方に引き出して持ち上げるという一連の作業を連続して円滑に行うことができる。
また、前壁部102の中前壁部152と下前壁部153が、開口部54の前端縁部102aよりも引き出し方向後側に後退して開口部54の内方に位置するように設けられているので、開口部54の前端縁部102aをタンク本体51の前側位置に配置することができる。
従って、引掛部55を設けていながらも、開口部54の前端縁部102aを引き出し方向前側に配置でき、筐体2の内方の限られた空間内で開口部54の開口面積をより広く確保することができる。
従って、例えばホール従業員等によってホッパ15から補助タンク50にコインを掻き出す作業が行われた場合に、コイン排出口18から排出されたコインを、筐体2から外部に飛び出させることなく、開口部54から補助タンク50のタンク本体51内にスムーズに回収することができ、ホッパ15から補助タンク50へのコインの移動作業を迅速かつ容易に行わせることができる。
タンク本体51の後壁部103には、センサ挿入部57が設けられている。センサ挿入部57は、補助タンク50を手動回収用として使用する場合に、筐体2に設けられた補助タンク50内のコインの貯留状態を検出するコイン貯留状態検出手段のセンサ棒19A、19Bが挿入される。
センサ挿入部57は、後壁部103の左右方向略中央位置に設けられており、後壁部103の上部位置に開口形成された第1センサ挿入穴161と、後壁部103の中間位置に開口形成された第2センサ挿入穴162と、後壁部103の下部位置に開口形成された第3センサ挿入穴163を有する。ここで、挿入穴が3つあることにより、コイン貯留の状態を種々のバリエーションで検知することが可能である。通常は、第1センサ挿入穴161と第3センサ挿入穴163にセンサ棒19A、19Bを挿入して、貯留したコインの検出を行う。なお、検出は、センサ棒19A、19Bがコインにより導通状態となることによって行われる。
蓋体52は、前述のように閉塞位置と開放位置の何れか1つの位置に選択的に係止手段86、90により係止される。閉塞位置から開放位置へは、開口穴74を構成する側壁104の一辺を回動軸として、蓋体52をタンク本体51の外側を回動させる必要がある。以下、蓋体52を回動させるためのセルフヒンジ構造60、蓋体52を閉塞位置又は開放位置に係止させるための係止手段86、90の係止構造及び方法について詳述する。
図11は、セルフヒンジ構造の説明図、図12は、図10のA部拡大断面図であって、また蓋体が閉塞位置に係止されている様子を説明する説明図、図13は、図10のB部拡大断面図であって、また蓋体が開放位置に係止されている様子を説明する説明図、図14は、図9のC部拡大断面図であって、また蓋体が補助係止部に係止されている様子を説明する説明図である。
図11は、セルフヒンジ構造の説明図であり、同図(a)は蓋体52が閉塞位置にある場合、同図(b)は蓋体52を回動して蓋体52の底部56と側壁104とが一列に並んだ場合、同図(c)は蓋体52が開放位置にある場合の断面図である。
セルフヒンジ構造60は、左側壁部104と、蓋体52の蓋体底部56との間に構成されている。左側壁部104と蓋体底部56との間には、蓋体52を回動して蓋体底部56の底面を左側壁部104の外側面に近接させた場合(図11(c))に、左側壁部104と蓋体底部56との間に中間部120cが設けられている。その中間部120cの両側に屈曲部94a、94bが設けられている。屈曲部94aは、左側壁部104と中間部120cとの間に、屈曲部94bは、中間部120cと蓋体底部56との間に形成されており、屈曲部94aが蓋体52の回動軸となっている。なお、屈曲部94a、94bの厚さを最適にして蓋体52の回動を容易とし、かつ耐久性を確保するために図11(c)に示すように、薄肉部120a、120bが形成されている。ここで、薄肉部が2ヶ所に設けられているので、薄肉部が1ヶ所の構成よりも蓋体52を開閉する際に屈曲部1ヶ所当たりの屈曲量が少なくて済むため、耐久性を向上させることができる。また、蓋体52が閉塞位置に係止されている場合(図11(a))は、中間部120cは蓋体底部56と同一平面にあって補助タンク50の底面を構成している。
上記のセルフヒンジ構造60により、蓋体52は、開口穴74の閉塞位置にある状態(図11(a))から、開放位置にある状態(図11(c))に、容易に回動可能である。なお、実施の形態では、補助タンク50はポリプロピレンにより製作しているので、セルフヒンジ構造60は繰り返しの屈曲に強く、またタンク本体51と蓋体52は一体で成形されているので、自動回収のホールで蓋体52を外して使用する場合と比べて蓋体52を紛失する恐れがない。また、タンク本体51と蓋体52を別体で作る場合と比較して補助タンク50を構成する部品点数の削減と補助タンク50を製作するための金型のコストを削減することができる。
蓋体52を、開口穴74を閉塞する閉塞位置に係止するには、蓋体52により開口穴74を閉塞し蓋体52の蓋体側部(立ち上がり部)58に設けられた第1突起部(第1の係止部)68をタンク本体51の右側壁部(第1の壁部)105に形成された第1係止穴(第1の係止受け孔)66に挿通係合させることによりなされる。立ちあがり部である蓋体側部58は、閉塞部材である蓋体52が閉塞位置にある場合に、底板部である蓋体底部56から直交して上方に向かって折り曲げられ、所定の高さを有するように構成されている。立ち上がり部である蓋体側部58は第1の壁部である右側壁部105の下部と重なり合い、その重なり合った蓋体側部58の先端部分に第1の係止部である第1突起部68が形成され、第1の壁部である右側壁部105の第1の係止部である第1突起部68と対応する位置に、第1の係止受け孔である第1係止穴66が形成されている。
立ち上がり部である蓋体側部58は、前述のように、第1の壁部である右側壁部105の下部と重なり合うように構成されているので、蓋体側部58のタンク本体51の前後方向の両端部は剥き出しとなる。そこで、それらの端部を保護するために、右側壁部105には対応する位置に端部保護突起(保護突起)62a、62bが設けられている。これにより、蓋体側部58のタンク本体51の前後方向の両端部は端部保護突起62a、62bにより保護されるので、他部品との干渉により蓋体側部58のタンク本体51の前後方向の両端部は欠けたり破損したりする心配がない。
第1突起部68は、蓋体側部58から蓋体側部58と直交してタンク本体51内部方向に突出している。第1係止穴66は右側壁部105の第1突起部68と対向する位置に貫通して設けられている。蓋体側部58からの第1突起部68の突起の高さは、右側壁105に形成された第1係止穴66の穴の深さ、すなわち右側壁部105の厚さと略同一に形成されている。第1突起部68の突起側面96bが第1係止穴66内の下側壁面96aに面接触することで第1突起部68が第1係止穴66に係止される。
蓋体側部58の端縁部92bは、タンク本体51の前後方向に連続して形成されており、先端に向かって厚さが薄くなるように、その内側の面がテーパ状に形成されている。従って、端縁部92bと右側壁部105との間には、隙間が生じこの隙間に指の爪先が掛かるようになっている。これにより第1突起部68を第1係止穴66から離脱させるときに、その操作がし易くなっている。なお、第1の実施の形態では、この第1突起部68と第1係止穴66で構成される閉塞状態維持手段86は4組設けられており、蓋体52の閉塞位置での係止を確実にしている。また、第1突起部68は、挿通係止された第1係止穴66から外すことが可能なように、蓋体側部58が変形可能な材料で構成されている。
蓋体52を閉塞位置から開放位置に回動させる場合には、第1突起部68を第1係止穴66から離脱させ、蓋体52をタンク本体51の外側に回動させる必要がある。その場合、第1係止穴66から離脱した第1突起部68が、タンク本体51の右側壁部105の第1係止穴66が形成された領域の下部の壁部に接触し、蓋体52の回動に支障をきたす恐れがある。そのために、第1係止穴66が形成された領域の下部には、後退部である逃げ部72が設けられている。
後退部である逃げ部72は、第1突起部68の先端部の回動軌跡に沿って、右側壁部105をタンク本体51の内方に後退させたものであり、逃げ部72の外側の壁部94aは、蓋体底部56に向かって、右側壁部105からの深さが深くなるように構成されている。内側の壁部94bは、逃げ部72を構成する側壁部の厚さが均一となるように、外側の壁部94aと略平行に形成されている。この逃げ部72により、第1突起部68が第1係止穴66から離脱させられた後、蓋体52をタンク本体51の外側に支障なく回動させることが可能である。また、蓋体52により開口穴74を閉塞する際には、第1突起部68と外側の壁部94aが当接し、蓋体側部58がしなって第1突起部68が第1係止穴66に挿入される。更に、逃げ部72を作りつつも第2係止穴64から針金等が挿入されるのを防ぐように、逃げ部72と第2係止穴64を重ねた構成としている。
次に、蓋体52を開放位置に係止させる場合について説明する。蓋体52は閉塞位置にあるものとする。まず、第1突起部68を第1係止穴66から離脱させ、蓋体底部56が第2の壁部である左側壁部104の外側面に近接するまで、閉塞部材である蓋体52をタンク本体51の外側を回動させる。第2の壁部である左側壁部104には、左側壁部104の高さ方向のほぼ中央部に第2突起部(第2の係止部)76が設けられており、蓋体51が左側壁部104に近接した場合の蓋体底部56の第2突起部76に対応する位置には、第2係止穴(第2の係止受け孔)64が形成されている。
第2突起部76のつめ突起方向は、左側壁部104と垂直な方向であり、タンク本体51の外側である。第2係止穴64は、蓋体底部56に貫通して形成されている。第2突起部76が第2係止穴64に挿通係止されることで、蓋体52は開放位置に係止される。
蓋体52が開放位置にある場合には、第2突起部76の頭部98dは、第2係止穴64から完全に突出しており、頭部98dと左側壁部104との間に形成される基部98aの一部分が第2係止穴64内の下側側壁98cと面接触するように構成されている。従って、第2突起部76が第2係止穴64に挿通係止されると、蓋体底部56がセルフヒンジ構造60の弾性力により戻ろうとするが、第2突起部76の頭部98dが蓋体底部56の第2係止穴64を係止し、蓋体52が開放位置に係止されることとなる。
第2突起部76を第2係止穴64から外す場合には、第2突起部76の頭部98dを上方へ持ち上げ、蓋体底部56を左側壁部104から離す方向へ移動させれば良い。第2突起部76を第2係止穴64から外すことが可能なように、第2突起部76の基部98aは変形可能な材料で形成されている。開放状態維持手段90は、この第2突起部76と第2係止穴64とから構成されている。
従って、第2係止穴64の開放位置における高さ方向の穴径は、第2突起部76の頭部98dの高さ方向の幅よりも大きく、蓋体52が回動する場合に、頭部98dが引っ掛からないような径となっている。第1の実施の形態では、開放状態維持手段90が4組設けられ、蓋体52の開放位置での係止を確実なものにしている。
ここで、第2突起部76を保護する蓋体保護壁(閉塞部材保護壁)80が左側壁部104に設けられている。閉塞部材保護壁である蓋体保護壁80は、蓋体52が開放位置にある場合に、蓋体52をタンク本体51の上方及び前後方向から囲む、タンク本体51の側壁部104から突出して設けられた平板状部材80a、80b、80cで構成されている。手動回収のホールでは蓋体52が閉塞状態で使用され、頻繁に補助タンク50が遊技機本体4から出し入れされるが、この蓋体保護壁80により、他部材との干渉により第2突起部76が破損することが防止される。なお、第1の実施の形態では、平板状部材80a、80b、80cの左側壁部104からの突出量は第2突起部76の左側壁部104からの突出量と略同一にして保護するようにした。
次に、蓋体52には、蓋体52が閉塞位置に係止されている場合に、蓋体52のタンク本体51との係止をより確実にするために、補助係止部88が形成されている。補助係止部88は、第3突起部70a、70bと、タンク本体51の前底壁部101a及び後底壁部101bに形成された係止受け部111a、111bとから構成される。
第3突起部70a、70bは、蓋体底部56の前部及び後部にタンク本体51内部に向かって突出して形成されており、第2突起部76と同様に、基部73aと頭部73bからなっている。係止受け部111a、111bは、前底壁部101a及び後底壁部101bの開口穴74側に形成され、第3突起部70a、70bがそれぞれ係止受け部111a、111bに係合するように構成されている。
第3突起部70bと係止受け部111bの係合状態を、図10及び図14を参照しながら詳述する。第3突起部70bは、蓋体底部56の端部にタンク本体内部に向かって突出して形成されており、基部73aとその先端に頭部73bを有する。係止受け部111bは、後底壁部101bの開口穴74側端部から水平方向であって開口穴74の中心方向へ突出する平板状の第1突出部113aと、その第1突出部113aの先端部から垂直に上方向に突出する平板状の第2突出部113bとから構成されている。第1突出部113aと第2突出部113bの厚さは後壁部101bの厚さと略同一である。また、蓋体52と第1突出部113a及び第2突出部113bの合わせ面はクランク状となっているので針金等が挿入し難い構造となっている。
第3突起部70bは、前述のように蓋体底部56から垂直に上方へ突出する基部73aと基部73aの先端部に設けられた頭部73bとからなり、図14の断面図において、基部73aが形成されている蓋体底部56の端部からの位置は、第1突出部113aの後底壁部101bの端部からの突出量に略等しく、基部73aの頭部73bまでの高さは、第2突出部113bの高さに略等しい。従って、第3突起部70bの頭部73bと蓋体底部56との間に第2突出部113bが係合して、蓋体底部56が後底壁部101bに係止されることとなる。なお、第3突起部70aと係止受け部111aについての説明は、上記の第3突起部70bと係止受け部111bに対して行った説明と同様であるので省略する。この第3突起部70a、70bと係止受け部111a、111bにより補助係止部88が構成される。なお、第3突起部70a、70bのタンク本体51の左右方向の長さは、補充タンク50の大きさ等を考慮して適宜決めることができる。補助係止部88により蓋体52がタンク本体51の底部に確実に係止されることとなる。なお、補助係止部88による蓋体底部56の底壁部101への係止を解除する場合には、補助係止部88の基部73aが弾性変形可能な材料で構成されているので、頭部73bを開口穴74の内側へ移動させて解除することができる。
図15は、蓋体52を、閉塞位置に係止されている状態から開放位置に回動させ、開放位置に係止するまでの様子を説明する説明図である。同図(a)は蓋体52が閉塞位置に係止されている状態、同図(b)は第1突起部68を第1係止穴66から離脱させた状態、同図(c)、(d)は蓋体52をタンク本体51の外側に回動させている途中の状態、同図(e)は蓋体52の第2突起部76を第2係止穴64に挿通係止させる直前の状態、同図(f)は蓋体52が開放位置に係止されている状態を示す。
蓋体52を閉塞位置から開放位置まで回動させるには、蓋体52をタンク本体51の外側に回動させねばならない。補助タンク50を遊技機本体4に設置した状態では、タンク本体51の右側壁部105が筐体2の右側板2Eに対向してタンク本体51の左右への移動が規制され、更に、タンク本体51の後壁部103が筐体2の背板2Cに対向してタンク本体51の後方への移動が規制され、前面扉3を閉じた場合に、タンク本体51の前壁部102が前面扉3のスピーカ32Rに対向して、タンク本体51の前方への移動が規制され、更にタンク本体51の左側壁部104がホッパ15の右壁部15Adと対向して上方への移動が規制されるので、補助タンク50を遊技機本体4に設置した状態では蓋体52をタンク本体51の外側を回動させることは不可能である。なお、本実施の形態では、補助タンク50の前後、左右及び上下の全方向の動きを規制しているが、蓋体52の回動を防止するには少なくとも上下方向の移動を規制すれば良い。
従って、遊技機本体4のコイン回収穴2Fから遊技機本体4内に針金や特殊工具等の異物が挿入されるのを防止し、このような異物を使用した種々の不正行為を未然に防ぐことができる。
また、上述のように従来から遊技機本体4内に存在する既存部材を利用して補助タンク50の移動を規制することができ、部品点数を増加させることなく、補助タンク移動規制手段を構成することができる。
従って、コイン回収穴2Fから手や器具等が挿入されて補助タンク50の位置が変更されるのを防ぐことができ、コイン回収穴2Fから筐体2の内部に連通する隙間が形成されるのを防ぐことができる。
なお、本実施の形態では、補助タンク50の筐体2の内方における位置決めを、ホッパ15、スピーカ32R、右側板2E、背板2C等によって行う構成を例に説明したが、レール部材等を設けて補助タンク50を筐体2の内方で前後方向に案内可能に支持し、前後左右、及び上下方向の移動を規制してもよい。
上記構成を有する補助タンク50によれば、蓋体52をタンク本体51の外側を回動させて閉塞位置と開放位置のいずれか一方に選択的に配置できるので、開口穴74を開放状態から閉塞状態に切り替えて手動回収に対応させ、また、閉塞状態から開放状態に切り替えて自動回収に対応させることができる。
従って、例えば遊技媒体であるコインが自動回収される遊技ホールや島設備に配設されていたスロットマシン1を、コインが手動回収される遊技ホールや島設備に移動させた場合に、補助タンク50の蓋体52を開放位置から閉塞位置に回動させて、補助タンク50の開口穴74を閉塞し、補助タンク50を自動回収に対応するものから手動回収に対応するものに変更することができる。
従って、補助タンク50を新たに購入する必要がなく、スロットマシン1の移設に伴うコストを低減することができる。また、蓋体52がタンク本体51に回動自在に支持されているので、例えば補助タンク50の開口穴74を開放させた状態で使用していた場合に、蓋体52の紛失を防ぐことができる。
また、例えばコインが自動回収される遊技ホールや島設備に配設されていたスロットマシン1をコインが手動回収される遊技ホールや島設備に移動させる場合等、コイン回収穴2Fが露出される状況において、補助タンク50の蓋体52を閉塞位置に保持させて、筐体2の底板2Bに開口しているコイン回収穴2Fを補助タンク50によって閉塞し、筐体2の内部と外部との間を隔絶することができる。従って、コイン回収穴2Fから筐体2の内部にゴミなどの異物が侵入するのを防ぐことができる。
また、補助タンク50に閉塞状態維持手段86、開放状態維持手段90、補助係止部88を設けて、蓋体52をタンク本体51に強固に係止している。然も、閉塞状態維持手段86及び開放状態維持手段90は遊技機本体4外部からは操作不可能に構成されている。
従って、例えばスロットマシン1を島設備に設置する前や、中古機として移設するために島設備から取り外された状態等、スロットマシン1単体の状態とされて筐体2の底板2Bのコイン回収穴2Fが露出する状況において、コイン回収穴2Fから手や器具等が挿入されてタンク本体51の下方から蓋体52を引き出して蓋体52を閉塞位置から開放位置に回動させようとした場合に、閉塞状態維持手段86が蓋体52の回動を規制して、補助タンク50の開口穴74が不正に開放されるのを防ぐことができる。
[第2実施の形態]
図16に本発明の遊技機の第2実施の形態に係る補助タンク50の概略断面図を示す。第1実施の形態と異なる点は、蓋体200の構成にある。第2実施の形態では、第1実施の形態で示した開放状態維持手段90と補助係止部88が形成されていない。第1実施の形態の閉塞状態維持手段としての作用を有する係合強化部300のみが形成されている。
第2実施の形態での係合強化部300は、係合部210と係止受け部212とから構成される。係止受け部212は、タンク本体51の右側壁部105に貫通して形成された切り欠き部によって構成されている。係合部210は、蓋体200の底部220から上方に折り曲げられた蓋体側部216の先端部に設けられており、蓋体200の閉塞状態で上記の切り欠き部内に外方から進入係止可能な爪部にて構成されている。蓋体側部216は、蓋体200の底部220から上方に折り曲げられて右側壁部105と重なり合う構成になっている。係止部210は、蓋体側部216から突出した基部214aとその先端部に頭部214bを有する。
蓋体側部216の端部に形成された係止部210の頭部214bの蓋体側部216からの高さは、右側壁部105の厚さと略同一である。蓋体200が閉塞位置にある場合には、頭部214bは係止受け部212からタンク本体51内方にあり、頭部214bの下部にある基部214aが係止受け部212を構成する下部の内壁面212aと面接触する構成になっている。
蓋体200の蓋体底部220は、蓋体片である第1蓋体底部202と第2蓋体底部204とで構成される。第1蓋体底部202と第2蓋体底部204とはヒンジ部206によりつなぎ合わされており、ヒンジ部206を中心に互いに回動可能である。そして、屈曲可能部はこのヒンジ部206にて蓋体片を連結することによって構成され、蓋体底部220にコインが貯留されるに従い、このヒンジ部206が屈曲して下方に動く構成になっている。また、第1蓋体底部202は、左側壁部104とヒンジ部208を用いてつなぎ合わされており、第2蓋体底部202はヒンジ部208を中心に回動可能に構成されている。
従って、第2実施の形態においては、蓋体200は閉塞位置においてのみ係止される構造であり、蓋体200を開放した場合にはタンク本体51には蓋体200を係止する手段が設けられていない。蓋体200を閉塞位置に係止するには、係止部210を係止受け部212に挿通係止させることにより行われ、この構成によれば、コインが貯留されて蓋体底部220にコインが溜まった場合に、蓋体底部220にコインの重量が印加され、ヒンジ部206が屈曲して下方に動こうとするが、係止部210が係止受け部に係合しており、右側壁部105の内側と頭部214bの接触面により強い力がかかるため、係止部210と係止受け部212との係合が更に強くなり、蓋体200が開き難くなるという利点がある。すなわち、係止部210と係止受け部212により係合が強化される構成になっている。
また、係止部210と係止受け部212で構成される係合強化部300は、遊技機本体4の外部からは操作不可能な位置にあるので、例えばスロットマシン1を島設備に設置する前や、中古機として移設するために島設備から取り外された状態等、スロットマシン1単体の状態とされて筐体2の底板2Bのコイン回収穴2Fが露出する状況において、コイン回収穴2Fから手や器具等が挿入されてタンク本体51の下方から蓋体52を引き出して蓋体52を閉塞位置から開放位置に回動させようとした場合に、係合強化部300が蓋体200の回動を規制して、補助タンク50の開口穴74が不正に開放されるのを防ぐことができる。
更に、第2実施の形態のタンク本体においても、蓋体200を開放するにはタンク本体51の外側に回動しなければならない。従って、第1実施の形態と同様に、補助タンク50を遊技機本体4に設置した状態では、タンク本体51の右側壁部105が筐体2の右側板2Eに対向してタンク本体51の左右への移動が規制され、更に、タンク本体51の後壁部103が筐体2の背板2Cに対向してタンク本体51の後方への移動が規制され、前面扉3を閉じた場合に、タンク本体51の前壁部102が前面扉3のスピーカ32Rに対向して、タンク本体51の前方への移動が規制されるので、補助タンク50を遊技機本体4に設置した状態では蓋体200をタンク本体51の外側を回動させることは不可能である。なお、本実施の形態においても、蓋体200の回動を規制するためには、タンク本体51の少なくとも上下方向の動きを規制すれば良い。
従って、遊技機本体4のコイン回収穴2Fから遊技機本体4内に針金や特殊工具等の異物が挿入されるのを防止し、このような異物を使用した種々の不正行為を未然に防ぐことができる。