JP5332247B2 - 配線板 - Google Patents

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Description

本発明は、絶縁板の主面または内部に配線パターンを有する配線板に係り、特に、主面または内部に実装された電子部品の接続検査の簡明化に好適な配線板に関する。
近年、絶縁板内部に部品が内蔵されたいわゆる部品内蔵配線板が盛んに研究開発されている。これらの配線板では、製造途上で、部品が備わった状態の配線板として検査を要し、この検査には、部品と配線パターンとの接続における断線や短絡不良の検知が含まれる。
部品と配線パターンとの接続状態を調べる検査は、部品端子が接続、実装されたランドと同じノードであるパターンが、表層パターンとして現れている配線板設計では、その表層パターンを利用して行うことができる。つまり、最終的な形態に仕上がった配線板を対象に接続状態の検査を実施できる。
しかしながら、そのような場合であっても、部品が2端子の例えば抵抗、コンデンサ、インダクタなどの場合に比較すると、端子がそれ以上に相当に多い集積回路素子(IC)の場合は、その実装における断線や短絡不良の検査は簡単ではない。その理由のひとつは、ICによりまた端子間により、その間の特性は様々であり、抵抗、コンデンサ、インダクタのように単にインピーダンスを測定して実装における断線や短絡不良を検知できるわけではないという事情がある。
なお、部品を備えた配線板の電気的接続状態の検査の方法に言及がある公知文献には、例えば、下記特許文献1ないし3のものがある。これらのいずれも本願で着目するような視点については何らの記載もない。
特開2003−197849号公報 特開2005−5692号公報 特開2006−344847号公報
本発明は、絶縁板の主面または内部に配線パターンを有する配線板において、主面または内部に実装された電子部品の接続検査を簡明化することが可能な配線板を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の一態様である配線板は、絶縁板と、前記絶縁板に内蔵して設けられた第1の電子部品と、前記絶縁板にさらに内蔵して設けられた第2の電子部品と、前記第1の電子部品が有する、電源端子を除く端子のいずれかと前記第2の電子部品が有する、電源端子を除く端子のいずれかとを電気的に接続するように前記絶縁板に設けられた配線部と、前記第1の電子部品が有する前記電源端子である第1の電源端子に接続されている、前記絶縁板の内部に設けられた第1のランドパターンと、前記第2の電子部品が有する前記電源端子である第2の電源端子に接続されている、前記絶縁板の内部に設けられた第2のランドパターンと、前記第1のランドパターンに電気的に接続して設けられた、少なくとも一部が第3のランドパターンとして前記絶縁板の主面上に存在する第1の電源リード部と、前記第2のランドパターンに電気的に接続して設けられた、少なくとも一部が第4のランドパターンとして前記絶縁板の主面上に存在し、かつ、前記第1の電源リード部とは電気的に分離して存在する第2の電源リード部とを具備し、前記第3のランドパターンと前記第4のランドパターンとが、近接して設けられており、前記第3のランドパターンと前記第4のランドパターンとを電気的に接続する接続部材をさらに具備することを特徴とする。
すなわち、この配線板に実装され第1、第2の電子部品(例えばIC)の電源端子には、それぞれランドを介して電気的に分離して電源リード部が設けられ、これらの電源リード部それぞれの少なくとも一部が絶縁板の主面上に存在する。このような形態を有することにより、電源端子(それ用のランドパターン)と別の電源端子(それ用のランドパターン)との間の検査、または電源端子(それ用のランドパターン)と一般の入出力端子(それ用のランドパターン)との間の検査が、電子部品個々においてできる。したがって、それぞれの電子部品について断線、短絡不良の検査が可能であり、接続検査を簡明化できる。
本発明によれば、絶縁板の主面または内部に配線パターンを有する配線板において、主面または内部に実装された電子部品の接続検査を簡明化することが可能になる。
本発明の実施態様として、前記第1の電子部品が有する端子であって前記第1の電源端子以外でかつ前記配線部により前記第2の電子部品に電気的に接続されている端子以外の端子に接続されている、前記絶縁板の内部に設けられた第5のランドパターンと、前記第5のランドパターンに電気的に接続して設けられた、少なくとも一部が第6のランドパターンとして前記絶縁板の前記主面上に存在する第2の配線部とをさらに具備し、前記第6のランドパターンと前記第3のランドパターンとが、近接して設けられている、とすることができる。これは、電源リード部とこの電源リード部に接続されるべき配線部とを電気的に分離して設けることで、電気的な検査を簡明なものにし、その後、配線板を使用するときに、これらを電気的により容易に接続することができるように構成した態様である。
こで、前記第6のランドパターンと前記第3のランドパターンとを電気的に接続する第2の接続部材をさらに具備する、とすることができる。これは、電源リード部とこの電源リード部に接続されるべき配線部とを電気的に接続するため、接続部材を具備する態様である。
また、ここで、前記配線部に電気的に接続して設けられた、少なくとも一部が前記絶縁板の前記主面上に存在する配線引き出し部をさらに具備する、とすることができる。これは、第1の電子部品の端子と第2の電子部品の端子とが配線部で電気的に接続されている配線板設計の場合において、電源端子とそれらの端子との間の接続状態を個々に検査できるようにする態様である。
また、ここで、 前記第1の電子部品が有する端子であって前記第1の電源端子以外でかつ前記配線部により前記第2の電子部品に電気的に接続されている端子以外の端子に接続されている、前記絶縁板の内部に設けられた第5のランドパターンと、前記絶縁板中に内蔵して設けられた電気部品と、前記電気部品が有する端子に接続されている、前記絶縁板の内部に設けられた第6のランドパターンと、前記第5のランドパターンと前記第6のランドパターンとを電気的に接続するように前記絶縁板に設けられた第2の配線部と、前記第2の配線部に電気的に接続して設けられ、かつ、少なくとも一部が前記主面上に存在する配線引き出し部とをさらに具備する、とすることができる。これは、第1の電子部品の端子と電気部品の端子とが配線部で電気的に接続されている配線板設計の場合において、電子部品と電気部品とが接続されるノードへの電子部品、電気部品の端子の接続状態を個々に検査できるようにする態様である。
また、ここで、前記第1の電子部品が有する端子のそれぞれであって前記第1の電源端子以外の端子それぞれに接続されている、前記絶縁板の内部に設けられた複数の第のランドパターンと、前記複数の第のランドパターンそれぞれに電気的接続して設けられた、おのおのの少なくとも一部が前記主面上に存在する複数の配線引き出し部とをさらに具備する、とすることができる。このような形態にすることで、電子部品の電源端子以外の端子をプルアップ状態またはプルダウン状態にすることが容易に可能である。この状態で電子部品のスタンバイ電流を測定すれば、例えば、内蔵の電子部品が破壊されているかどうかを検査できる。
以上を踏まえ、以下では本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る配線板の構造例を示す断面図である。実施形態である配線板としてその構造は本例に限られるものではないが、ここでは現在利用可能な具体的な構造の例として説明する。図1(a)、図1(b)の2例を示し、このうち図1(a)は、電子部品が2つ内蔵された配線板、図1(b)は、電子部品と電気部品とが内蔵された配線板である。
まず、図1(a)について説明する。この配線板は、絶縁層11、12、13、14、15(これらで絶縁板を構成)、配線層(配線パターン)21、22、23、24、25、26(=合計6層)、層間接続体31、32、34、35、スルーホール導電体33、電子部品41、42、はんだ51、52、はんだレジスト61、62を有する。
電子部品41、42は、例えばウエハレベル・チップスケールパッケージによる半導体部品(IC)であり、それぞれ、半導体チップと、該半導体チップ上に形成されたグリッド状配列の端子41a、42aとを少なくとも備えている。端子41a、42aは、半導体チップがもともと有する端子パッドから再配線層を介して電気的に導通しつつその位置を再配置して設けられた端子である。電子部品41、42は、それぞれ、チップ部品と同様の表面実装技術により、内層の配線層22によるランドパターン22aにはんだ51、52を介して実装されている。
配線層21、26は、配線板としての両主面上の配線層であり、その上に各種の部品(不図示)が実装され得る。このような実装のため配線層21、26は部品実装用のランドを含み、このほかに、電子部品41、42の接続状態を検査するためのランドパターンも有する。これらのランド部分を除いて配線層21、26の両主面上には、保護層として機能するはんだレジスト61、62が形成されている(厚さはそれぞれ例えば20μm程度)。ランド部分の表層には、耐腐食性の高いNi/Auのめっき層(不図示)を形成するようにしてもよい。
配線層22、23、24、25は、それぞれ、内層の配線層であり、順に、配線層21と配線層22の間に絶縁層11が、配線層22と配線層23の間に絶縁層12が、配線層23と配線層24との間に絶縁層13が、配線層24と配線層25との間に絶縁層14が、配線層25と配線層26との間に絶縁層15が、それぞれ位置しこれらの配線層21〜26を隔てている。各配線層21〜26は、例えばそれぞれ厚さ18μmの金属(銅)箔のパターンからなっている。
各絶縁層11〜15は、絶縁層13を除き例えばそれぞれ厚さ100μm、絶縁層13のみ例えば厚さ300μmで、それぞれ例えばガラスエポキシ樹脂からなるリジッドな素材である。特に絶縁層13は、内蔵された電子部品41、42に相当する位置部分が開口部となっており、電子部品41、42を埋設するための空間を提供する。絶縁層12、14は、内蔵された電子部品41、42のための絶縁層13の上記開口部および絶縁層13のスルーホール導電体33内部の空間を埋めるように変形進入しており内部に空隙となる空間は存在しない。
配線層21と配線層22とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層11を貫通する層間接続体31により導通し得る。同様に、配線層22と配線層23とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層12を貫通する層間接続体32により導通し得る。配線層23と配線層24とは、絶縁層13を貫通して設けられたスルーホール導電体33により導通し得る。配線層24と配線層25とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層14を貫通する層間接続体34により導通し得る。配線層25と配線層26とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層15を貫通する層間接続体35により導通し得る。
層間接続体31、32、34、35は、それぞれ、導電性組成物のスクリーン印刷により形成される導電性バンプを由来とするものであり、その製造工程に依拠して軸方向(図1(a)の図示で上下の積層方向)に径が変化している。その直径は、太い側で例えば200μmである。
以上説明した構造により、電子部品41、42の各端子41a、42aへは(各端子41a、42aからは)、配線層21〜26による配線パターンや、層間接続体またはスルーホール導電体31〜35を介して、必要に応じて任意の別の配線層から(配線層へ)電気的接続が可能である。電子部品41、42の端子41a、42a間の電気的接続についても、配線層21〜26による配線パターンや、層間接続体またはスルーホール導電体31〜35を介して必要に応じてなすことができる。
次に、図1(b)に示す配線板について説明する。同図において、図1(a)中に示した構成と同一または同一相当のものには同一符号を付し、その説明は省略する。この配線板は、すでに述べたように、図1(a)に示したものと内蔵されている部品に違いがあり、電子部品42と電気部品43とを内蔵するものである。
電気部品43は、表面実装用のチップ部品(例えばチップ抵抗)であり、その平面的な大きさは例えば0.6mm×0.3mmである。両端に端子43aを有し、その下側が内層の配線層22によるランドパターン22aに対向位置している。電気部品43の端子43aとランドパターン22aとははんだ53により電気的・機械的に接続されている。
この配線板では、電子部品42の端子42aと同様に、電気部品43の端子43aへ(端子43aから)、配線層21〜26による配線パターンや、層間接続体またはスルーホール導電体31〜35を介して、必要に応じて任意の別の配線層から(配線層へ)電気的接続が可能である。また、電子部品42の端子41aと電気部品43の端子43aとの間の電気的接続についても、配線層21〜26による配線パターンや、層間接続体またはスルーホール導電体31〜35を介して必要に応じてなすことができる。
次に、図1(a)に示した配線板において、電子部品41、42の電気的接続状態の検査簡明化に適応した場合の、配線板中の配線部の構成について図2を参照して説明する。図2は、図1(a)に示した配線板における電源リード部、一般配線部、配線引き出し部の接続・配置関係の一例を示す模式図である。図2において、図1(a)中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。
電子部品41、42は、図2中に示すように、それぞれ、正側電源端子41a、42a、負側電源端子(例えばグラウンド端子)41a、42a、入力端子41a、42a、出力端子41a、42aを有するものとする。入力端子、出力端子は、図示のようなひとつの電子部品あたりそれぞれ1端子でなく複数の場合が一般的であるが、ここでは説明の簡単化のためこのような1入力1出力の端子構成を仮定する。入力端子41a、42aには、これに接続して内部回路41b、42bが設けられ、内部回路41b、42bに接続して出力端子41a、42aが設けられる。入力端子41a、42aからの信号が内部回路41b、42bで処理されてその処理後の信号が出力端子41a、42aへ導かれる構成である。
また、電子部品41、42の内部には、それらの入力端子または出力端子41a、42aと正側電源端子41a、42aとの間に保護または寄生のダイオード41c、42cが備えられている。このダイオード41c、42cは通常の使用状態において逆バイアスが印加される向きの接続である。さらに、電子部品41、42の内部には、それらの入力端子または出力端子41a、42aと負側電源端子41a、42aとの間にも保護または寄生のダイオード41c、42cが備えられている。このダイオード41c、42cも通常の使用状態において逆バイアスが印加される向きの接続である。なお、電子部品41、42の内部のこれらのダイオード41c、42cの存在は、半導体基板上に回路素子が作り込まれた通常のICではごく一般的なものである。
配線部20は、配線層21〜26による配線パターンや、層間接続体またはスルーホール導電体31〜35により形成されている。また、配線部20の所定の位置には検査用ランドパターン20aが設けられている。これらの検査用ランドパターン20aは、配線板としての主面上に(すなわち、配線層21または配線層26による配線パターンの一部として)設けられている。
配線部20のうち、負側電源端子41a、42aに接続されるものは、電子部品41、42ごとにそれぞれ電気的に分離して設けられる。電気的に分離されたそれぞれの配線部20の端部に検査用ランドパターン20aが設けられている。これらの検査用ランドパターン20aは、検査後に単一のノードとすることを容易に行えるように互いに近接して設けられている。
配線部20のうち、正側電源端子41a、42aに接続されるものも、事情は負側電源端子41a、42aに接続されるものと同じである。すなわち、電子部品41、42ごとにそれぞれ電気的に分離して設けられ、電気的に分離されたそれぞれの配線部20の端部に検査用ランドパターン20aが設けられている。これらの検査用ランドパターン20aは、検査後に単一のノードとすることを容易に行えるように互いに近接して設けられている。
配線部20のうち、入力端子41a、42aに接続されるもの、および出力端子41a、42aに接続されるものは、必要に応じて配線板中を巡って形成されている(=一般配線部)。一般配線部は、電子部品41の出力端子41aから電子部品42の入力端子42aへの配線部を含む。これらの一般配線部は、配線板の主面上に設けられた検査用ランドパターン20aへの分岐部がそれぞれあり、これらの分岐部が配線引き出し部である。
図3は、図2に示した模式図を、説明の便宜のため参照符号を付与し直して示す模式図である。以下の説明では、この図3に示す参照符号を用いて説明する。
電源リード部6A、6B、7A、7B、一般配線部5A、5B、5C、配線引き出し部8A、8B、8Cが図示するように設けられることにより、電子部品41、42の各端子2a、2b、2c、2d、4a、4b、4c、4dの接続状態の検査は、以下のように行うことができる。
検査用ランドパターン6aを電流の入力口とし、検査用ランドパターン5aを電流の出力口とすることで、電子部品41の端子2a、2cの接続状態を検査できる。検査用ランドパターン6aを電流の入力口とし、検査用ランドパターン5bを電流の出力口とすることで、電子部品41の端子2a、2dの接続状態を検査できる。また、検査用ランドパターン5aを電流の入力口とし、検査用ランドパターン7aを電流の出力口とすることで、端子2c、2bの接続状態を検査できる。検査用ランドパターン5bを電流の入力口とし、検査用ランドパターン7aを電流の出力口とすることで、端子2d、2bの接続状態を検査できる。以上より、端子2a、2b、2c、2dのいずれの接続状態が異常なのかも検知できる。なお、電流の入力口、出力口は反対にする場合もあり得る。
電子部品42についても同様である。すなわち、検査用ランドパターン6bを電流の入力口とし、検査用ランドパターン5bを電流の出力口とすることで、電子部品42の端子4a、4cの接続状態を検査できる。検査用ランドパターン6bを電流の入力口とし、検査用ランドパターン5cを電流の出力口とすることで、電子部品42の端子4a、4dの接続状態を検査できる。検査用ランドパターン5bを電流の入力口とし、検査用ランドパターン7bを電流の出力口とすることで、端子4c、4bの接続状態を検査できる。検査用ランドパターン5cを電流の入力口とし、検査用ランドパターン7bを電流の出力口とすることで、端子4d、4bの接続状態を検査できる。以上より、端子4a、4b、4c、4dのいずれの接続状態が異常なのかも検知できる。なお、電流の入力口、出力口は反対にする場合もあり得る。
以上のそれぞれの検査では、電流の入出力間でダイオードが1つのみになっていることが重要である。以下、これについて説明する。
図4は、図1、図2、図3中に示した電子部品41、42の各端子に内部接続された保護または寄生のダイオードにおける電流電圧の特性を示す図である。ダイオード(図4(a))の電流電圧特性は、よく知られているように、順方向の印加電流に対して発生電圧がほぼ0.6ないし0.7Vで飽和する特性であり、逆方向の印加電流に対しては大きな電圧降下が発生し電流はほぼ流れない(図4(b))。言い換えると、順方向の印加電圧が0.6ないし0.7Vになると急激に電流が増加し、逆方向の印加電圧に対して電流はほぼ流れない(図4(b))。
図5は、図1、図2、図3中に示した電子部品41、42の端子に接続不良がある場合の検査用ランドパターン間の特性を示す図である。このような場合は、ダイオードに直列にある程度の大きさの(わずか以上の)抵抗があるのと同等である(図5(a))。これにより、電流電圧特性は、図5(b)に示すように変化する。したがって、例えば、印加電流をある程度の大きさで与え発生電圧を検出すれば、断線のような典型的な場合のほかある程度小さな抵抗が発生するような接続不良を検知できる。
図6は、図1、図2、図3中に示した電子部品41、42の端子に短絡不良がある場合の検査用ランドパターン間の特性を示す図である。このような場合は、ダイオードに並列にある程度大きな有限値の抵抗があるのと同等である(図6(a))。これにより、電流電圧特性は、図6(b)に示すように変化する。したがって、例えば、印加電流を逆方向にある程度の大きさで与え発生電圧を検出すれば短絡不良を検知できる。
以上のような接続不良、短絡不良の検知が可能である点は、検査用ランドパターン間に2つの(2つ以上の)ダイオードが並列に接続されるような場合は事情が異なる。以下説明する。
図7は、電子部品の端子に接続不良がある場合の検査用ランドパターン間の電流電圧特性を示す図(比較例でありダイオードが2つ並列の場合)である。このような場合、典型的には、一方のダイオードに直列にある程度の大きさの(わずか以上の)抵抗があるのと同等である(図7(a))。このとき、検査用ランドパターン間の電流電圧特性は、図7(b)に示すように、抵抗がない場合からの変化がない。これは、全体の特性として、接続に不良がない側のダイオードの特性に従うためである。したがって、断線等の接続不良を検知できない。
図8は、電子部品の端子に短絡不良がある場合の検査用ランドパターン間の電流電圧特性を示す図(比較例でありダイオードが2つ並列の場合)である。このような場合、ダイオードに並列にある程度大きな有限値の抵抗があるのと同等である(図8(a))。これにより、電流電圧特性は、図8(b)に示すように変化する。しかしながら、この特性は、図6(b)に示すものとほとんど同一であり、どちらのダイオードに関して短絡不良があるのか検知できない。
なお、図7、図8は、検査用ランドパターン間に2つの(2つ以上の)ダイオードが並列に接続される場合の不都合を説明したものであり、もし、検査用ランドパターン間に2つのダイオードが直列に接続されるような場合であれば、検査として利用できる可能性がある。例えば電子部品41では、検査用ランドパターン6aを電流の入出力口の一端とし、検査用ランドパターン7aをその他端とすれば、電子部品42の接続状態には影響されない、電子部品41の接続状態の検査として成立している。この検査は両電源端子2a、2bに関する接続状態の検査になる。
以上のように、本実施形態では、本来は同一のノードであるべき電源リード部6A、6Bを、さらに電源リード部7A、7Bをそれぞれ電気的に分離して設けていることにより、電子部品41、42間が配線部5Bにより接続されている場合であっても、電子部品41、42の各端子についてそれらの接続状態の検査が可能になっている。すなわち、電子部品41、42それぞれについて断線(接続不良)、短絡不良の検査が可能であり、接続検査を簡明化できる。この効果は、電子部品41、42が配線板中への内蔵で設けられている場合に限らず、配線板の主面上に実装して設けられている場合も変わらない。
次に、本実施形態のように本来は同一のノードであるべき電源リード部を分離して設けることに対する配線板としての対処について述べる。図9は、図3中に示した検査用ランドパターン6a、6b(または同7a、7b)に適用可能な電気的接続の態様を示す模式図である。
検査用ランドパターン6a、6bは配線板の主面上に近接して設けられているので、これらを電気的に同一のノードとするには、図9に示すように、例えばボンディングワイヤ91によりこれらを接続して実現できる。ほかにも、例えば導電性組成物(熱硬化型導電性樹脂や紫外線硬化型導電性樹脂)をこれらのランドパターン6a、6b上に適用することによってもよい。さらには、はんだでブリッジして接続することも可能である。
また、ほかの考え方として、この配線板自体での電気的接続ではなく、この配線板を子基板としてこれをコネクタで受け入れるマザーボード側での電気的接続を用いるようにしてもよい。または、コネクタでの接続を利用して、コネクタとの接続の電極として兼用するように検査用ランドパターンを設けるようにしてもコネクタ上でこれらの電気的接続を実現できる。
次に、図10は、図1(a)に示した配線板における電源リード部、一般配線部、配線引き出し部の接続・配置関係の別の例を示す模式図である。図10において、すでに説明した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付し、その説明は省略する。
この実施形態は、電子部品41の入力端子2cがたまたま正側電源端子2bの電圧にプルアップされる使われ方になっている場合への対処を示している。すなわち、このようなプルアップのため端子2cと端子2bとが配線部5AAによりつながっている場合を仮定すると、端子2cを電流の入出力口の一端、端子2bを電流の入出力口の他端とする接続状態の検査が行えなくなる。
そこで、入力端子2cに接続の配線部5AAも電源リード部7A、7Bと同様に互いに電気的に分離して設ける。そしてその端部に検査用ランドパターン5aaを設け、さらにこの検査用ランドパターン5aaを、電源リード部7A、7Bに接続の検査用ランドパターン7a、7bに近接して設ける。配線部5AAを電気的に独立して設けることで、端子2cを電流の入出力口の一端、端子2bを電流の入出力口の他端とする接続状態の検査を、検査用ランドパターン5aa、同7aを用いて行うことができる。また、検査後に端子2cをプルアップするには、検査用ランドパターン5aaと同7aとについて、すでに説明した同7aと同7bとの接続手法を用いることができる。
なお、図10では、端子2cをプルアップする使い方の場合を説明しているが、端子2cを負側電源端子の電圧にプルダウンする使い方の場合も考え方は同様である。この場合には、入力端子2cに接続の配線部5AAを電源リード部6A、6Bと同様に互いに電気的に分離して設ける。そしてその端部に検査用ランドパターン5aaを設け、さらにこの検査用ランドパターン5aaを、電源リード部6A、6Bに接続の検査用ランドパターン6a、6bに近接して設ける。
次に、図11は、図1(b)に示した配線板における電源リード部、一般配線部、配線引き出し部の接続・配置関係の一例を示す模式図である。図11において、すでに説明した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付し、その説明は省略する。
この実施形態は、電子部品42の出力端子4dに電気部品43が接続されるような場合において電子部品42の各端子での接続状態の検査の簡明化を意図している。特徴として、電子部品42の出力端子4dと電気部品43とをつなげる配線部5Bに分岐を設けて配線引き出し部8Bとしその端部に検査用ランドパターン5bを設けている。検査用ランドパターン5bは配線板の主面上に設けられたパターンである。
このような構成によれば、電子部品42の端子4dについては、検査用ランドパターン6aと同5b間、さらに同5bと同7a間の検査により接続状態を検知することができる。また、電気部品43については、検査用ランドパターン5bと電気部品43の他方の端子につながる配線部との間の検査によりその接続状態を検知することができる。この検査では抵抗値を測定する。なお、電気部品43がコンデンサであれば容量を測定する。電気部品43がインダクタであれば、インダクタンスを測定する。
以上のように、この実施形態では、電子部品42の端子4dと電気部品43の端子とが配線部5Bで電気的に接続されている配線板設計の場合において、電子部品42と電気部品43とが接続されるノードへの電子部品42、電気部品43の端子の接続状態を個々に検査できる。同様の考え方として、部品がネットワーク状に接続された回路となって配線板中に内蔵されている場合には、ネットワークを構成する各ノードについて配線引き出し部およびその端部に検査用ランドパターンを設ければ、これらを利用してネットワークを構成する各部品についてそれらの接続状態の検査を個々に行うことができる。
次に、図12は、図1(b)に示した配線板における電源リード部、一般配線部、配線引き出し部の接続・配置関係の別の例を示す模式図である。図12において、すでに説明した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付し、その説明は省略する。
この実施形態は、電子部品42についてそのスタンバイ電流を測定することができるようにすることを意図している。スタンバイ電流とは、ICとしての電子部品42が動作しておらず待機状態にあるときに消費する電流である。この電流が異常に大きい場合には電子部品42内部で破壊が生じている。これにより電子部品42の不良を検知できる。
配線板としての特徴として、電子部品42のすべての入出力端子4c、4dにつながる各配線部5A、5Bに分岐を設けて配線引き出し部8A、8Bとし、その端部に検査用ランドパターン5a、5bを設けている。検査用ランドパターン5a、5bは配線板の主面上に設けられたパターンである。このような構成により、電源端子4a、4b以外の各端子について、これらをプルアップまたはプルダウン状態して電子部品42を容易に待機状態にすることを可能としている。なお、配線引き出し部は、端子同士でもともと電気的につながっている設計の場合には、そのノードについてひとつ設ければ足りる。
本発明の実施形態に係る配線板の構造例を示す断面図。 図1(a)に示した配線板における電源リード部、一般配線部、配線引き出し部の接続・配置関係の一例を示す模式図。 図2に示した模式図を、説明の便宜のため参照符号を付与し直して示す模式図。 図1、図2、図3中に示した電子部品41、42の各端子に内部接続された保護または寄生のダイオードにおける電流電圧の特性を示す図。 図1、図2、図3中に示した電子部品41、42の端子に接続不良がある場合の検査用ランドパターン間の特性を示す図。 図1、図2、図3中に示した電子部品41、42の端子に短絡不良がある場合の検査用ランドパターン間の特性を示す図。 電子部品の端子に接続不良がある場合の検査用ランドパターン間の電流電圧特性を示す図(比較例)。 電子部品の端子に短絡不良がある場合の検査用ランドパターン間の電流電圧特性を示す図(比較例)。 図3中に示した検査用ランドパターン6a、6bまたは同7a、7bに適用可能な電気的接続の態様を示す模式図。 図1(a)に示した配線板における電源リード部、一般配線部、配線引き出し部の接続・配置関係の別の例を示す模式図。 図1(b)に示した配線板における電源リード部、一般配線部、配線引き出し部の接続・配置関係の一例を示す模式図。 図1(b)に示した配線板における電源リード部、一般配線部、配線引き出し部の接続・配置関係の別の例を示す模式図。
符号の説明
1a,1b,1c,1d…電子部品内部の保護または寄生のダイオード、2a,2b…電源端子、2c,2d…入出力端子、3a,3b,3c,3d…電子部品内部の保護または寄生のダイオード、4a,4b…電源端子、4c,4d…入出力端子、5a,5b,5c…検査用ランドパターン(入出力端子関係)、5aa…検査用ランドパターン(プルアップ端子関係)、5A,5B,5C…配線部(入出力端子関係)、5AA…配線部(プルアップ端子関係)、6a,6b,7a,7b…検査用ランドパターン(電源端子関係)、6A,6B,7A,7B…電源リード部、8A,8B,8C…配線引き出し部、11,12,13,14,15…絶縁層(まとめて絶縁板)、20…配線部(電源リード部、一般配線部、配線引き出し部)、20a…検査用ランドパターン、21…配線層(配線パターン)、22…配線層(配線パターン)、22a…ランドパターン、23…配線層(配線パターン)、24…配線層(配線パターン)、25…配線層(配線パターン)、26…配線層(配線パターン)、31,32,34,35…層間接続体(導電性組成物印刷による導電性バンプ)、33…スルーホール導電体、41,42…電子部品、41a,42a…端子、41b,42b…内部回路、41c,42c…電子部品内部の保護または寄生のダイオード、43…電気部品、43a…端子、51,52,53…はんだ、61,62…はんだレジスト、91…ボンディングワイヤ。

Claims (6)

  1. 絶縁板と、
    前記絶縁板に内蔵して設けられた第1の電子部品と、
    前記絶縁板にさらに内蔵して設けられた第2の電子部品と、
    前記第1の電子部品が有する、電源端子を除く端子のいずれかと前記第2の電子部品が有する、電源端子を除く端子のいずれかとを電気的に接続するように前記絶縁板に設けられた配線部と、
    前記第1の電子部品が有する前記電源端子である第1の電源端子に接続されている、前記絶縁板の内部に設けられた第1のランドパターンと、
    前記第2の電子部品が有する前記電源端子である第2の電源端子に接続されている、前記絶縁板の内部に設けられた第2のランドパターンと、
    前記第1のランドパターンに電気的に接続して設けられた、少なくとも一部が第3のランドパターンとして前記絶縁板の主面上に存在する第1の電源リード部と、
    前記第2のランドパターンに電気的に接続して設けられた、少なくとも一部が第4のランドパターンとして前記絶縁板の主面上に存在し、かつ、前記第1の電源リード部とは電気的に分離して存在する第2の電源リード部と、を具備し、
    前記第3のランドパターンと前記第4のランドパターンとが、近接して設けられており、
    前記第3のランドパターンと前記第4のランドパターンとを電気的に接続する接続部材をさらに具備すること
    を特徴とする配線板。
  2. 前記第1の電子部品が有する端子であって前記第1の電源端子以外でかつ前記配線部により前記第2の電子部品に電気的に接続されている端子以外の端子に接続されている、前記絶縁板の内部に設けられた第5のランドパターンと、
    前記第5のランドパターンに電気的に接続して設けられた、少なくとも一部が第6のランドパターンとして前記絶縁板の前記主面上に存在する第2の配線部と、をさらに具備し、
    前記第6のランドパターンと前記第3のランドパターンとが、近接して設けられていること
    を特徴とする請求項1記載の配線板。
  3. 前記第6のランドパターンと前記第3のランドパターンとを電気的に接続する第2の接続部材をさらに具備することを特徴とする請求項2記載の配線板。
  4. 前記配線部に電気的に接続して設けられた、少なくとも一部が前記絶縁板の前記主面上に存在する配線引き出し部をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の配線板。
  5. 前記第1の電子部品が有する端子であって前記第1の電源端子以外でかつ前記配線部により前記第2の電子部品に電気的に接続されている端子以外の端子に接続されている、前記絶縁板の内部に設けられた第5のランドパターンと、
    前記絶縁板中に内蔵して設けられた電気部品と、
    前記電気部品が有する端子に接続されている、前記絶縁板の内部に設けられた第6のランドパターンと、
    前記第5のランドパターンと前記第6のランドパターンとを電気的に接続するように前記絶縁板に設けられた第2の配線部と、
    前記第2の配線部に電気的に接続して設けられ、かつ、少なくとも一部が前記主面上に存在する配線引き出し部と、
    をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の配線板。
  6. 前記第1の電子部品が有する端子のそれぞれであって前記第1の電源端子以外の端子それぞれに接続されている、前記絶縁板の内部に設けられた複数の第5のランドパターンと、
    前記複数の第5のランドパターンそれぞれに電気的接続して設けられた、おのおのの少なくとも一部が前記主面上に存在する複数の配線引き出し部と、
    をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の配線板。
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