以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態につき説明する。
[1]画像形成装置の概要
図1乃至3により、この発明にかかる電子機器の一例であるタンデム型の電子写真式画像形成装置を説明する。本例の画像形成装置は、複写機であるが、LANケーブルや電話回線で接続することにより、プリンタ、スキャナ、ファクシミリとしても用いることができる。
図1は画像形成装置本体(以下、機械本体ともいう。)の外観を示し、機械上部に取り付けられる圧板33(図2参照)や、自動原稿給紙装置(ADF)40(図3参照)を外した状態で示している。機械本体1の中央部には、画像形成部2が給紙部3上に配置されている。また、画像形成部2の上には、排紙部4を挟んで原稿読取部5が配置され、いわゆる胴内排紙型の排紙部4が設けられている。
原稿読取部5の正面側には、機械本体の複数の機能を操作するための入力手段(スタートキー、テンキー、機能設定キー、リセットキー、クリア/ストップキー等の各種キー)と、各種入力情報や装置の状態を表示する表示手段(液晶表示パネル、入力手段を兼ねた液晶タッチパネル等)とを有する操作部6が設けられている。
図2は図1に示した機械本体1を矢印Aから見た内部機構の全体概略構成を示し、機械本体1の画像形成部2内には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(B)の各色の画像を形成するための4つの作像ステーションが、無端ベルト状の中間転写ベルト17aを有する中間転写ユニット17に沿ってタンデム型に並べて配置されており、4つの作像ステーションの下には光書込装置13が設置されている。
各作像ステーションの構成は同じであり、像担持体としての感光体ドラム11Y、11C、11M、11Bをそれぞれ有し、そのまわりに、それぞれ専用の帯電装置12Y、12C、12M、12B、現像装置14Y、14C、14M、14B、一次転写ローラ15Y、15C、15M、15B、クリーニング装置16Y、16C、16M、16Bが配置されている。
光書込装置13は、4つの作像ステーションに対して配置され、中央に1つの偏向器を有し、4つの光源からの光束を一つの偏向器で4系統に振り分けて偏向走査し、4つの感光体ドラム11Y、11C、11M、11Bにそれぞれ潜像を書込むものであり、各色毎に用意されたレーザダイオード(LD)を使用する4つの光源と、光源から出射されたレーザ光束をコリメートする光学系と、ポリゴンミラー(回転多面鏡)とポリゴンモータから構成される1つの偏向器(ポリゴンスキャナ)と、各光源の光路に配置されたfθレンズ等の走査・結像用のレンズや補正用レンズ、ミラー等からなる光学系とで構成されている。そして、各色の画像情報に応じてレーザダイオードから射出されたレーザ光は、ポリゴンスキャナにより偏向走査され、各色の感光体ドラム11Y、11C、11M、11Bに照射される。
画像形成部2内には、胴内排紙部4の下に、各作像ステーションの現像装置14Y、14C、14M、14Bにトナーを補給するためのトナーボトル32Y、32C、32M、32Bが設けられている。各トナーボトル32Y、32C、32M、32Bには、図中左からイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(B)のトナーが充填されており、ここから図示しない搬送経路によって、所定の補給量だけ各色の現像装置14Y、14C、14M、14Bに各色のトナーが補給される。
中間転写ユニット17の中間転写ベルト17aは、駆動ローラや従動ローラなどにより支持されており、図中の矢印の向きに回動される。この中間転写ベルト17aの右側には、二次転写ローラ22が設けられている。また、中間転写ベルト17aの左側には、中間転写ベルトクリーニング装置18が設けられている。
一方、機械本体1の下部に設ける給紙部3には、記録材としての記録用紙SSが収納された2段の給紙カセット3a、3bが設置されており、いずれか一方の給紙カセットから給紙装置19a、19bにより記録用紙SSが給紙され、搬送ローラ20a、20bを介してレジストローラ21に向けて給紙されるようになっている。レジストローラ21に給紙された記録用紙SSは、所定のタイミングで二次転写ローラ22に向けて送り出される。
二次転写ローラ22の上方には、定着ユニット9が設置されている。この定着ユニット9内には、例えば定着ローラ9aと加熱ローラ9bに支持された定着ベルト9cと、該定着ベルト9cに圧接する加圧ローラ9dが設けられている。
定着ユニット9の上方には、記録用紙SSを搬送し、胴内排紙部に設ける排紙部4に向けて排紙する搬送ローラ23や排紙ローラ24が設けられており、さらにその上には、両面プリント時に搬送路を切換える切換え爪25や、スイッチバック式に記録用紙SSの搬送向きを反転するための反転搬送ローラ26や、反転搬送路27が設けられている。反転搬送路27に一時的にスタックされた記録用紙SSは、反転搬送ローラ26で搬送向きを反転されて、両面用搬送路を通して搬送ローラ28、29により搬送され、レジストローラ21に再給紙される。
機械本体1の上部に配置される原稿読取部5は、原稿が載置される原稿台としてのコンタクトガラス5aと、原稿を照明する照明光源5bと、原稿からの反射光を反射する第1ミラー5c、第2ミラー5d、第3ミラー5eと、原稿からの反射光を結像する結像レンズ5fと、その結像位置に配置されて原稿画像を読み取る読取手段としてのCCD等のイメージセンサ5gとを備えている。
この原稿読取部5の上には、コンタクトガラス5aに載置された原稿を押さえる圧板33、または圧板33に代えて、コンタクトガラス5aに原稿を自動給紙する自動原稿給紙装置(ADF)40が設けられる。
この画像形成装置を用いてコピーを取る場合について説明する。
コピーを取るときは、まず圧板33を開いて原稿読取部5のコンタクトガラス5a上に原稿をセットし、または圧板33に代えてADFを設けるときは、ADFの原稿台上に原稿をセットする。
次いで、操作部6のスタートスイッチを押すと、コンタクトガラス5a上に原稿をセットしたときは、直ちに原稿読取部5を駆動し、またADFの原稿台上に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス5a上へと移動した後に原稿読取部5を駆動する。
そして、光源5bと第1ミラー5cを搭載する第1走行体、及び第2ミラー5dと第3ミラー5eを搭載する第2走行体を各々走行し、光源5bから発した光を原稿面に当て、原稿面からの反射光を第1走行体の第1ミラー5cで反射して第2走行体に向け、第2走行体の第2、第3のミラー5d、5eで反射して結像レンズ5fを通して読取手段であるCCD等のイメージセンサ5gに入れ、イメージセンサ5gで原稿内容を読み取る。その後、操作部6でのモード設定、または操作部6で自動モード選択が設定されている場合には、原稿の読み取り結果に従い、フルカラーモードまたは白黒モードで画像形成動作を開始する。
画像形成部2では、まず、帯電装置12Y、12C、12M、12Bによって各感光体ドラム11Y、11C、11M、11Bが一様に帯電された後、各感光体ドラム11Y、11C、11M、11Bは、それぞれ4つのレーザ光源と共通の偏向器と4系統の走査光学系を有する光書込装置13によりレーザ光にて露光走査され、感光体ドラム11Y、11C、11M、11B上に静電潜像が作られる。
各静電潜像は、4色の現像装置14Y、14C、14M、14Bによりそれぞれ異なる色のトナーが付着されることにより現像され、個々の感光体ドラム11Y、11C、11M、11Bの表面にそれぞれイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのトナー像が形成される。
次に、一次転写ローラ15Y、15C、15M、15Bに一次転写電圧が印加され、感光体ドラム11Y、11C、11M、11B上のトナーが、中間転写ベルト17a上に順次転写されていく。このとき、各色の作像動作は、そのトナー像が中間転写ベルト17aの同じ位置に重ねて転写されるように、上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。
一方、上記の一次転写動作にタイミングを合わせて、給紙部3に備えるいずれかの給紙カセット3a、3bから、記録材としての記録用紙SSが給紙装置19a、19bで給紙され、または手差し用テーブル8に手差し記録用紙SSがセットされた場合には、その手差し記録用紙SSが手差し用テーブル8から給紙ローラ30により給紙され、搬送ローラ31で画像形成装置内に送り込まれる。そして、記録用紙SSの先端がレジストローラ21まで到達したところで、図示しないセンサによって検知されて、この検出信号に基づきタイミングを取られ、レジストローラ21によって記録用紙SSが、二次転写ローラ22と中間転写ベルト17aの間の2次転写ニップ部に向けて送り出される。
2次転写ニップ部に向けて送り出された記録用紙SSには、中間転写ベルト17a上に形成された画像が、2次転写ニップ部まで搬送されて、一括して二次転写される。画像が転写された記録用紙SSは、定着ユニット9に搬送されて熱と圧力により画像が定着され、搬送ローラ23で排紙部4に向けて搬送され、排紙ローラ24で胴内排紙部に排紙される。これにより、記録用紙SS上にカラー画像が形成される。
また、操作部6で両面モードが選択され、両面コピーを行うときには、切換え爪25で搬送路を切換え、定着済みの記録用紙SSを反転搬送路27に一時的にスタックした後、反転搬送ローラ26でスイッチバック式に進行方向を反転し、画像形成動作にタイミングを合わせて、両面用搬送路を搬送ローラ28、29により搬送し、レジストローラ21に再給紙する。
そして、レジストローラ21で再び2次転写ニップ部に給紙し、次に中間転写ベルト17a上に形成された画像が記録用紙SSの裏面側にも転写される。裏面側にも画像が転写された記録用紙SSは、定着ユニット9に搬送されて熱と圧力により画像が定着され、搬送ローラ23により、排紙部4に向けて搬送され、排紙ローラ24で矢印Eの向きに排紙される。これにより、記録用紙SSの両面にカラー画像が形成される。
なお、感光体ドラム11Y、11C、11M、11B上の残留トナーは、それぞれのクリーニング装置16Y、16C、16M、16Bでクリーニングされ、その後、直流に交流成分のバイアスが重畳印加された帯電装置12Y、12C、12M、12Bによって除電と同時に帯電され、次の作像に備える。また、中間転写ベルト17a上の残留トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置18によってクリーニングされ、次の作像工程に備える。
[2]電装基板支持構造I
(1)コントローラボード及びコントローラボード用装着部
図3は、図1に示した機械本体1の上部に自動原稿給紙装置(ADF)40を搭載した状態で示している。また、本発明にかかる電装基板支持構造を説明するために、図1において機械本体1を矢印Fの向きから見た状態で示している。矢印Fの向きは排紙方向として前記した矢印Eの向きと逆であり、これらの方向は機械本体1の外側板42の板面と直交する。
図3において、作業者が外側板42に対面している場合を想定し、3次元直交座標系で、X軸で前後方向を、Y軸で左右方向を、Z軸で上下方向を対応させ、さらに、X軸上で+の向きを後、X軸上で−の向きを前、Y軸上で+の向きを右、Y軸上で−の向きを左、Z軸上で+の向きを上、Z軸上で−の向きを下に対応させている。
図4は図3における機械本体1の左側面部を拡大して示したものである。図3、図4において、機械本体1の左方側部かつ後方の部位には交換基板を装着する可動体としてのコントローラボード41を収めるための凹形をした装着部43が形成されている。装着部43はコントローラボード41が収まるように、底板44、天板45、側板46、仕切板47で囲まれた、直方体状の立体的空間として構成されている。
図3、図4では外装カバーを外した状態で示しているので、側板46に対向する左方は空間として開放されている。また、コントローラボード41も機械本体から外した状態で示しているので、仕切板47に対向する後方空間も開放され内部が露出している。
機械本体1において、底板44及び天板45はXY軸を含む平面、側板46はXZ軸を含む平面、仕切板47はYZ軸を含む平面にそれぞれ平行な板で構成され、機械本体1の一部をなす。仕切板47において側板46と交差する部位及びその近傍部は上下方向に切り欠かれて開口47aを形成している。この開口47aを通して該開口内外の基板同士の接続がなされる。開口47aの大きさや形状は画像形成装置の機種に応じて変わる基板の配置や大きさに対応して種々のものがある。
開口47aの内部は、仕様用変更やオプション機能の選択等があっても交換対象とならない前記本体基板に相当する基板P1及びその他の電装部品を配置収容する領域になっている。機械本体1には機種によっては機械本体に別の基板が付加して設けられることもある。図3では、機械本体1に保持された本体基板P1の一部が開口47aより見えるように例示している。必要に応じて付加される基板P5も機械本体1に保持される。
図5はコントローラボード41全体を後上方から見た図、図6はコントローラボード41の上部を前上方から見た図、図7はコントローラボード41の下部を前下方から見た図である。図5乃至図7において、コントローラボード41は、前板52、後板48、右板49、上板50、下板51等で一体に構成された構造体からなる。
コントローラボード41が装着部43に位置している場合、着脱の過程を含めて、前板52、後板48はYZ平面と平行、右板49はXZ平面と平行、上板50、下板51はXY平面と平行である。コントローラボード41は、前記交換基板に相当する基板P2又は基板P3を保持して機械本体1に対して着脱される。例えば、複数のコントローラボード41の一方には、基板2を取付け、他方には基板P3を取付けて準備しておき、必要に応じて、何れかのコントローラボードを機械本体1に対して装着する。或いは、機械本体1に既に装着されているコントローラボード41について、そのコントローラボード41に基板2(又は基板3)が取付けられている場合に、該コントローラボード41を機械本体1から取り外し、基板P3(又は基板P2)に交換して機械本体1に対して装着する場合もある。何れにしてもその着脱方向は矢印B方向(前後方向)である。
図8は機械本体1及びコントローラボード41に配置される基板及びこれら基板におけるコネクタの取付関係を模式的に示している。コントローラボード41の右板49の左面と板面を平行にして基板P2が取付けられている。側板46(機械本体1)の左面には基板P1がその板面を基板P2の板面に対して平行となる向きで取付けられている。基板P2の厚さt2は基板P3の厚さt3よりも厚いものとし、t2−t3≧Δtとする。以下でも同様である。
別のコントローラボード41には基板P3が、基板P2と同じようにして取付けられている。これら基板P2又は基板P3は基板P1とコネクタを介して電気的な接離を可能としている。
コネクタは電気的な接離をなすために凸型の嵌合部を有する凸コネクタと凹型の嵌合部を有する凹コネクタで対をなし、これら凸コネクタと凹コネクタとの機械的な嵌合部同士の嵌合を介して電気的な接点の接離を行う。以下では、凸コネクタ又は凹コネクタのことをコネクタと称し、アルファベットのCと数字を組み合わせた符号で表示する。
基板P1用のコネクタC1は基板P1上に設けられるのが一般的であるが、基板P1用コネクタとして、側板46(機械本体)に直接或いは適宜の支持台に設けられ、導線で基板P1と接続されることある。何れにしても一定の場所に定置される。以下でも同様である。
基板P2用のコネクタC2が基板P2の板面上に、基板P3用のコネクタC3が基板P3の板面上にそれぞれ配置されている。コネクタC2、C3は共にコネクタC1と対をなす。これらコネクタC1、C2、C3はそれぞれ接続方向をコントローラボード41の前記着脱方向に合わせて配置されている。
なお、コントローラボード41には、画像形成装置の仕様によっては、基板P1と接続される基板P4がコントローラボード41に付加して設けられたり、機械本体側に基板P5が付加されこの基板P5と接続される基板P4xがコントローラボード41に付加して設けられたり、機械本体側に基板P5xが付加されたりすることもある。これら付加される基板については、(8)基板の配置態様で述べる。
基板P2と基板P3とは板厚が異なるだけで形状は他の寸法等は共通である。また、コントローラボード41に取付けるための取付基準は共通であり、コントローラボード41側に設けられた共通の取付基準位置に取付けられる。
例えば、本体側の基板P1用のコネクタC1の嵌合部の軸線と、交換基板である基板P2用のコネクタC2の嵌合部の軸線とが合致するように位置設定されている場合において、基板P3を搭載したコントローラボード41を、基板P2を搭載したコントローラボード41と同じ案内基準で案内して機械本体に装着使用とした場合に、基板P2上のコネクタC3の嵌合部の軸線はコネクタC1の嵌合部の軸線に対して、板厚の差だけずれてしまう。以下では、かかる不適合を解消する手段を提供する。
(2)案内手段
図3において、コントローラボード41を図示の位置から機械本体1に装着する際には図示の姿勢のままで1点鎖線で示した経路で、機械本体1の側部に設けられた凹形の装着部43に装着する。また、逆向きの経路で抜脱可能である。装着部43に対するコントローラボード41の着脱方向は矢印Bや矢印Eで示した前後方向である。天板45の後端部には下側に折曲されたストッパ45aが形成されている。
このストッパ45aは装着部43へのコントローラボード41の装着時において、以下に述べる案内手段(機械本体側)により被案内手段(コントローラボード41側)が案内されてコントローラボード41が後方へ進行する際に、その進行を停止させるためのもので、後板48の上端部がこのストッパ45aに当接することにより停止する。この停止位置は、コントローラボード41上の基板用コネクタ(C2又はC3等)と機械本体側に設けたコネクタ(C1等)とが適度の嵌合深さとなるように定めてある。
後板48の上端部がストッパ45aに当接した状態で、後板48に設けられた穴48hとストッパ45aに設けられた穴45hとが合致するので、これらの穴に止めネジを通して両者を固定する。
機械本体1に対するコントローラボード41の着脱が円滑に行われるように、かつ、該着脱に伴い機械本体1及びコントローラボード41のそれぞれに設けた基板のコネクタ同士の電気的な接離が円滑に行われるように、前記着脱方向(前記電気的な接離のための動作方向)である前後方向にコントローラボード41を案内する案内手段が機械本体1に設けられている。同様にコントローラボード41には前記案内手段により案内される被案内手段が備えられている。
図3、図4、図9において、前後(X軸)方向にコントローラボード41を案内する案内手段は、支持案内部(底板44)と、基板P2又は基板P3の板厚方向上で間隔をおいて対向配置された一対の案内部(凸部54と側板46)とを有する。本例では案内部としてもう一対の案内部を、凸部53と側板46の組み合わせで設けている。
支持案内部について説明する。図9は、装着部43において案内手段により案内されている過程にあるコントローラボード41を装着部43から外した状態で示している。図3、図4、図9において、基板P2又は基板P3はその板面が右板49と平行に取付けられている。コントローラボード41は、基板P2又は基板P3の板厚方向である左右方向(Y軸方向)と着脱方向(矢印B方向)である前後方向(X軸)とを含む平面(X・Y平面)と平行な支持面で支持されて着脱方向に案内される。この支持面は底板44の表面であり、底板44はコントローラボード41の荷重を受けて支持する支持案内部を構成している。
天板45も支持案内部となり得るが、対向配置された一方のみに当てた状態で案内する方が容易であるので上板50との間を図10に示すように上下方向で僅かに空けている。例えば、図10においてΔmの間隔で空けている。従って、コントローラボード41を直接には支持していない。よって、かかる場合には支持案内部とはならないが、仮にコントローラボード41を上向きに付勢する手段を用いる構成とし上板50を天板45に接触させるようにすれば、支持案内部となる。その場合には逆に、上下方向で底板44と下板51との間を僅かに空けることになる。
上記案内部について説明する。これら対をなす案内部は、基板P2又は基板P3の板厚方向(Y軸方向)上で間隔をおいて対向配置され、かつ、着脱方向に長さをもつ凸部54と側板46(詳細には側板46の左方表面)で対をなす。なお、安定した案内機能を果たすため、上下方向に位置をずらして凸部53を設け、かつ、側板46を該凸部近傍まで位置させることにより、同様の案内部として、凸部53と側板46(詳細には側板46の左方表面)による案内部を設けている。これら凸部53、54は着脱方向に長さを有する突起形状体を構成している。
(3)被案内手段
前記案内手段により案内されるコントローラボード41の被案内手段は、(I)前記支持案内部(底板44)に当接する被支持案内部(下板51)と、(II)前記対をなす案内部(凸部54と側板46)の対向間隔の間に位置して前記案内部の何れか一方と接して着脱方向に案内される一対の被案内部(下板51の左方端面51aと右板49の右側面)を有する。なお、前記凸部53と側板46に対応する被案内部としてもう一対の被案内部(上板50の左方端面50aと右板49の右側面)を有する。
(4)スキマ量
図9、図10を参照するに、前記支持案内部である底板44上に被支持案内部である下板51をのせ、かつ、前記2つの被案内部の一方である例えば下板51の左方端面51aをこれに対向する凸部54の右側部に当てた状態(この状態で同時に、下板51の左方端面51aをこれに対向する凸部54の右側部に当てた状態)で、前記2つの被案内部の他方である右板49の右面と側板46の左面との間にできる板厚方向のスキマ量sと、前記基板P2と前記基板P3との板厚の差Δtとの関係が式(1)の関係となるように設定する。
s≧Δt・・・(式1)
上記式1に関連して、例えば、スキマ量s<Δtとした場合には、コントローラボード41の左右方向への移動量が必要移動量よりも小さいのであるから、側板46がコントローラボード41の移動を規制してしまい、コネクタ間の接合を阻害してしまう。これに対して、逆にs>Δtとした場合には、側板46がコントローラボード41を移動させたい位置よりも離れた位置にある状態なので、sがΔtより大の量が対をなすコネクタ同士で設定されている嵌合可能な軸心ずれの許容範囲であれば、コントローラボード41の移動に応じて自動的にコネクタ間の接合が実現可能である。
上記式(1)ではsとΔtを等号で結んでいるが、コネクタ同士で設定されている嵌合可能な軸心ずれの許容範囲を含むものとする。
外形が同じで板厚の異なる交換基板が3枚以上あり、その中の最大板厚tmと最小板厚tsとの差がΔtmaxの場合には、前記式1に代えて、s≧Δtmaxとなるよう設定する。中間の板厚の交換基板が使用される場合には、案内用の治具を適宜設定する。例えば、後述の誘導手段を適宜使用する。
(5)比較例
図11は装着部43及び基板P1を保持している機械本体部を上から見た断面図である。図11(a)において、機械本体側には側板46に固定されたブラケット55を介して基板P1が保持されている。基板P1の板面にはコネクタC1が固定されている。
一方、コントローラボード41には板厚t2の厚い基板P2がブラケット56を介して右板49に保持されている。基板P2の板面にはコネクタC1と対をなすコネクタC2が固定されている。
コントローラボード41の下板51を底板44にのせ、かつ、コントローラボード41の右板49を側板46に当てた状態で、コネクタC1とコネクタC2とが嵌合可能なように両コネクタの嵌合部の軸線が合致するように設定されている。従って、このまま、コントローラボード41を前方に押し動かしていけば、図11(b)に示すように、コネクタC1とコネクタC2とを嵌合接続することができる。
次に、コントローラボード41の同じブラケット56に板厚t3の薄い基板P3を装着して上記と同じように、コントローラボード41の下板51を底板44にのせ、かつ、コントローラボード41の右板49を側板46に当てた状態においた場合には、コネクタC1とコネクタC3の軸心間で、左右方向に板厚の差t2−t3≧Δtのずれが生ずる。
このずれを無視してコントローラボード41を前方に押し動かしたとすれば、Δtの大きさにもよるが、コネクタ間の嵌合接続は得られず、図13(a)に示すように、コネクタC3が開口47aの縁部や仕切板47に衝突して基板P3に対する取付けが外れたり、図13(b)に示すように、コネクタC3が基板P1上のコネクタC1に衝突する等の可能性がある。
(6)被案内手段の使い分け
上記の場合、図12において、コントローラボード41をΔtだけ左方に寄せた位置に移動すれば、図14に示すように、コネクタC1に対してコネクタC3の軸心を合致させることができる。
図14において、コントローラボード41に板厚の小さい基板P3を取付けた場合には、案内部である側板46と被案内部であるコントローラボード41の右側面(右板49の右側面)との間隔を、板厚の厚い基板P2との板厚差であるΔtと同じ値のスキマ量sに離せば、この基板P3のコネクタC3の軸心が基板P1のコネクタC1の軸心に合致するし、コントローラボード41に板厚の大きい基板P2を取付けた場合には、案内部である側板46と被案内部であるコントローラボード41の右側面(右板49の右側面)とを密着させれば(スキマ量s≧0)、この基板P2のコネクタC2の軸心が基板P1のコネクタC1の軸心に合致する。
そこで、前記式(1)の関係を満足した上で、コントローラボード41を装着部43及びコネクタC1に着脱する場合に、基板P2と基板P3の板厚の違いに応じて、2つの案内部(凸部54又は側板46)に対する2つの被案内部(下板51の左方端面51aと右板49の右側面)の当接を切換えて行うこととする。なお、2つの案内部(凸部53又は側板46)に対する2つの被案内部(上板50の左方端面50aと右板49の右側面)の当接も同時に切換える。
具体的には、コントローラボード41に薄い基板P3を取付けている場合には、図15(a)に示すように、コントローラボード41を矢印57で示す左方に加圧しつつ、上板50(下板51)の左方側面を凸部53(凸部54)の右方側部に当てて、矢印B方向に移動させることにより、コントローラボード41を装着部43に装着でき、かつ、各基板のコネクタC1、C3の接続も行われる。なお、上板50(下板51)の前方端部に傾斜部SLを形成したのは、機械本体へのコントローラボード41の装着初期の状態で凸部53(凸部54)に対する上板50(下板51)の係合を円滑にするためである。
一方、コントローラボード41に厚い基板P2を取付けている場合には、図15(b)に示すように、コントローラボード41を矢印58で示す右方に加圧しつつ、右板49の右面(図15ではコントローラボード41の右側面で示す。)を側板46の左面に当てて、矢印B方向に移動させることにより、コントローラボード41が案内されて装着部43に装着されかつ、各基板のコネクタC1、C2の接続も行われる。
その際、上板50(下板51)の左方側面を凸部53(凸部54)の右方側部に当てるための矢印57の向きの力は図3からもわかるように、コントローラボード41を側板46から離す方向であり、作業者が力を加え難い方向となる。特に、機械完成後に交換基板の交換が行われるような場合には、装着部43がカバーで覆われているので、一層困難である。よって、人力を用いて手前側に力を加えることにより行ってもよいが、より好ましい手段として図15に示した例では板ばね59を付勢手段として使用している。付勢手段を使用した方が作業者の負担が軽減され、かつ、着脱動作も安定する。図16に示したように、板ばね59は、取付ネジ穴h3が設けられた取付部59aと山形の屈曲部59bとを有し、加圧されると図15(b)に示したように、平板状に変形する。
板ばね59を図17(a)に示したように、側板46の左面に取付けネジ穴h3を利用して取付けネジH3で取付けられるが、平坦な上記左面に取付けた場合には、変形して平板状になった場合にも該左面上に突出して段差を形成する。かかる場合には、板ばねの板厚が、右板49の右面(図15ではコントローラボード41の右面)と側板46の左面との密着を阻害する。そこで、図17(b)に示したように、側板46の左面に凹部46aを形成して、この凹部46a内で板ばね59の取付部59aを設けた。平板状になる前の状態では屈曲部59bが凹部46aから外方に出るようにしておけば、ばね機能に支障を生じない。
(7)案内部(突起形状体)
例1:突起形状体の構成
前記対をなす案内部の一方を構成する凸部53、54は着脱方向に長さを有する突起形状体からなり、凸部54については図3や図18に示すように底板44から傾斜して立ち上がる傾斜部54aと、底板44の面と平行な平行部54bとを有する切り起こし状に形成する。このように、傾斜部54bを有することにより、下板51の左方端面51aとの係合を円滑行うことができる。凸部53についても同様である。
凸部54について、底板44から切り起こし状に形成せずに、凸部54と同じ機能を果たす部材を底板と別体として構成した場合には、底板44に対する取付部で底板44上に段差を生じる可能性があり、コントローラボード41の底部との干渉を避ける対策が必要となる。この点、本例のように底板44から切り起こしで形成した場合には、別部材で生じる段差の問題は生じない。凸部53についても凸部54と同様、天板45からの切り起こしにより形成する。
交換基板の板厚が変更される等のため、スキマ量sの調整をする必要が生じ、凸部53、54の位置を変更したい場合には、上記のような切り起こしによる構成では容易に対処できない。かかる場合に容易に対処できるようにするには、たとえば、凸部54を構成する突起形状体を図19、図20に示すように機械本体(底板44)に対して移動調節可能な取付手段と共に別部材である折曲片60を以って凸部54を構成する。
折曲片60にはその前後方向の両端部に取付用の座部H4を設け、この座部H4につながる傾斜部H1及び平行部H2を設けている。一方、底板44の表面にスキマ量sの調整のため折曲片60を移動可能する広さの凹部44aを形成し、この凹部61の上面に折曲片60を可動に取付ける。凹部61の上面は底板44の表面と平行とする。
前後に配置された2つの座部H4には左右方向に長い長穴63を平行にそれぞれ形成しておく。これらの長穴63にそれぞれ段付きネジ64を通し、段付きネジ64のネジ部を凹部44aに螺合させることにより折曲片60を凹部61に取付ける。ここで、段付きネジ64の長穴63に対する嵌合径部64aとねじ部との境界に出来る段差部は凹部44aの表面に当接しない構成(嵌合部64aの下面が凹部44aの表面に常に離間する構成)とすることにより、段付きネジの締め付けによって座部H4が凹部44aに強く押圧されるので、折曲片60に位置ずれが生じない。折曲片60の位置をずらす場合には、段付きネジ64を外すことなく緩めた状態にして、嵌合部64aに対して長穴63を摺動させ、所望の位置で段付きネジ64を締め付ける。凸部53についても上記に準ずる。
例2:突起形状体の形状
着脱方向に長さを有する凸部53(54)における、上板50(下板51)と接触して案内する部位はs≧Δtの関係を満たすようにして、着脱方向(前後方向)と平行に設置されるが、コントローラボード41装着時における装着部43への挿入口65に最も近い部位について着脱方向(前後方向)と平行にすると、装着初期状態において上板50(下板51)を側板46と該凸部53、54との間に円滑に導くことが難しい。作業者は、コントローラボード41を装着する際に、上板50、下板51、凸部53、54等を直接視認できない位置関係にあるのでなおさらである。
そこで、本例では、凸部54の後方の底板44に、着脱方向に沿ってもう一つの凸部54xを設けた。同様に、凸部53の後方の天板45に、着脱方向に沿ってもう一つの凸部53xを設けた。
底板44を上から見た図22、図23に示したように、凸部53x(凸部54x)は凸部53(凸部54)よりもコントローラボード41の挿入口65に近い位置に配置し、凸部53x(凸部54x)について、位置Qよりも前方の部位は前記スキマ量sについてs≧Δtの関係を満たし、位置Qよりも後方の部位((挿入口65に最も近い部位))は位置Qでs≧Δtであるとして、位置Qよりも後側に進むほど、側板46から離れる傾向に側板46に対してハの字状に開き、s≧Δtとなるようにしてある。図では前後方向に対する開き角度をαで示している。
かかる構成により、コントローラボード41を装着部43に装着する際には上板50(下板51)の先端部に形成した傾斜部SLが凸部53x(凸部54x)の後方端部を捉え易くなり、傾斜部を経て位置Q以後の正規の案内部分に導くことができる。上板50(下板51)に対する案内はさらに凸部53(凸部54)に引き継がれこうしてコントローラボード41は円滑に案内されて所定のスキマ量sの間隔で装着される。
凸部53x(凸部54x)についても、前記図18で凸部53、54について例示したのと同じように、切り起こしで構成することもできるし、或いは、前記図19乃至図21で示したように長穴と段付きネジを用いて移動調節可能に構成することもできる。
(8)基板の配置態様
機械本体(側板46)に取付けられる基板と、コントローラボード41に取付けられる基板及びコネクタの各種配置例を例示する。
8・1:誘導手段を必要としない例
例1:図24により説明する。本例は、図8で説明した基板、コネクタの配置態様の変形例である。基板P2又は基板P3はその板面が底板44に垂直かつ着脱方向を含む平面と平行(右板49の面と平行)に保持されていて、基板P1の板面が基板P2、P3の板面に対して平行となる向きに配置されている。
基板P1にはコネクタC1の他にコネクタC1−1が設けられ、基板P2の板面にはコネクタC2の他にコネクタC2−1が追加されている。同様に、基板P3の板面にはコネクタC3の他にコネクタC3−1が追加されている。これら追加されたコネクタC2−1、C3−1は共に追加されたコネクタC1−1と対をなす。コネクタC1、C1−1、C2、C2−1、C3、C3−1はそれぞれ接続方向をコントローラボード41の前記着脱方向に合わせて配置されている。
本例は、接続する基板同士にコネクタを複数組、備えているケースである。例えば、コネクタC1とコネクタC2の各嵌合部の軸線同士が合致した状態で、かつ、コネクタC1−1とコネクタC2−1の各嵌合部の軸線同士が合致するように設定されているとすると、基板P2を搭載したコントローラボード41を機械本体1に装着する場合には問題ないが、基板P3を搭載したコントローラボード41を機械本体1に装着する場合には板厚の差だけコネクタC1とコネクタC3の間で嵌合部の軸線にずれが生ずる。コネクタC1−1とコネクタC3−1間でも同様である。
しかし、コネクタC3の嵌合部の軸線をコネクタC1の嵌合部の軸線に合うように板厚の差分、コントローラボード41の位置を修正した場合には、同じ量だけ同じ方向にコネクタC3−1もずれるので、追加されたコネクタC3−1に関し、基板P2、基板P3の板厚差に伴うコネクタC1−1に対する接続不適合の問題は、前記図8で説明したケースに即した前記実施形態例により解消される。
例2:図25により説明する。図24に示した例と比較すると、基板P2、基板P3の配置は図24に示した例と同じである。基板P1との関係については、基板P1の板面が基板P2、P3の板面に対して垂直となる関係に配置されている。
図24に示した例と同様、基板P1にはコネクタC1の他にコネクタC1−1が設けられ、基板P2の板面にはコネクタC2の他にコネクタC2−1が設けられている。同様に、基板P3の板面にはコネクタC3の他にコネクタC3−1が設けられている。これらコネクタC2−1、C3−1は共にコネクタC1−1と対をなす。コネクタC1、C1−1、C2、C2−1、C3、C3−1はそれぞれ接続方向をコントローラボード41の前記着脱方向に合わせて配置されている。
本例は、接続する基板同士にコネクタを複数組、備えているケースである。例えば、コネクタC1とコネクタC2の各嵌合部の軸線同士が合致した状態で、かつ、コネクタC1−1とコネクタC2−1の各嵌合部の軸線同士が合致するように設定されているとすると、基板P2を搭載したコントローラボード41を機械本体1に装着する場合には問題ないが、基板P3を搭載したコントローラボード41を機械本体1に装着する場合には板厚の差だけコネクタC1とコネクタC3の間で嵌合部の軸線にずれが生ずる。コネクタC1−1とコネクタC3−1間でも同様である。
しかし、コネクタC3の嵌合部の軸線をコネクタC1の嵌合部の軸線に合うように板厚の差分、コントローラボード41の位置を修正した場合には、同じ量だけ同じ方向にコネクタC3−1もずれるので、追加されたコネクタC3−1に関し、基板P2、基板P3の板厚差に伴うコネクタC1−1に対するコネクタ接続不適合の問題は、前記図8で説明したケースに即した前記実施形態例により解消される。
例3:図26により説明する。図24に示した例と比較すると、基板P2、基板P3の配置及びこれら基板上のコネクタC2−1、C3−1の配置は図24に示した例と同じである。基板P1についても、該基板P1はその板面が基板P2、P3の板面に対して平行となる向きに配置されている。
異なるのは、基板P1の板面とその板面が平行となるようにして機械本体1(側板46)に対して基板P5xが配置されていることである。
基板P1にはコネクタC1、基板P5xにはコネクタC5xが設けられ、基板P2の板面にはコネクタC2の他にコネクタC2−1が設けられている。同様に、基板P3の板面にはコネクタC3の他にコネクタC3−1が設けられている。コネクタC2、C3はコネクタC1と、コネクタC2−1、C3−はコネクタC5xと対をなす。コネクタC1、C5x、C2、C2−1、C3、C3−1はそれぞれ接続方向をコントローラボード41の前記着脱方向に合わせて配置されている。
例えば、コネクタC1とコネクタC2の各嵌合部の軸線同士が合致した状態で、かつ、コネクタC5xとコネクタC2−1の各嵌合部の軸線同士が合致するように設定されているとすると、基板P2を搭載したコントローラボード41を機械本体1に装着する場合には問題ないが、基板P3を搭載したコントローラボード41を機械本体1に装着する場合には板厚の差だけコネクタC1とコネクタC3の間で嵌合部の軸線にずれが生ずる。コネクタC5xとコネクタC3−1間でも同様である。
しかし、コネクタC3の嵌合部の軸線をコネクタC1の嵌合部の軸線に合うように板厚の差分、コントローラボード41の位置を修正した場合には、同じ量だけ同じ方向にコネクタC3−1もずれるので、追加されたコネクタC3−1に関し、基板P2、基板P3の板厚差に伴うコネクタC5xに対するコネクタ接続不適合の問題は、前記図8で説明したケースに即した前記実施形態例により解消される。
8・2:誘導手段を必要とする例
例1:
(ケース1):図27により説明する。コンロトーラボード側については、基板P2又は基板3はコネクタ取付面と反対側の板面を取付け基準として右板49に取付けられている。また、基板P4が基板P2又は基板P3と板面を平行にして左右方向に並ぶ状態で、基板P4用の支持体66を介して右板49に取付けられている。
これら基板P2又は基板P3や基板P4はその板面が底板44に垂直かつ着脱方向を含む平面と平行(右板49の面と平行)であり、基板P1の板面は基板P2又は基板P3や基板P4の板面に対して垂直となるように配置されている。
基板P1にはコネクタC1、C1−1が設けられ、基板P2の板面にはコネクタC2、基板P3の板面にはコネクタC3、基板P4の板面にはコネクタC4が設けられている。コネクタC2、C3はコネクタC1と、コネクタC4はコネクタC1−1と対をなす。コネクタC1、C1−1、C2、C3、C4はそれぞれ接続方向をコントローラボード41の前記着脱方向に合わせて配置されている。
定位置にあるコネクタC1−1に対して接続されるコントローラボード41上のコネクタC4(基板P4)の位置は、基板P2と組み合わされる場合でも、また、基板P3と組み合わされる場合も定位置にあり、変わらない。
これに対して、コントローラボード41上におけるコネクタC3の位置はコネクタC2の位置に比べて板厚の差Δtだけ右板49に近づく位置にずれている。このことは、基板P1上のコネクタC1とコネクタC1−1との間の距離例えばβに対して、基板P3のコネクタC3と基板P4のコネクタC3との間の距離が板厚の差Δtだけ増してΔβ+Δtになったことを意味する。
従って、コネクタC1とコネクタC2及びコネクタC4とコネクタC1−1の各嵌合部の軸線同士が合致するように設定した場合であって、基板P3及び基板P4を搭載したコントローラボード41を機械本体1に装着する場合において、基板P2、基板P3の板厚差に伴うコネクタC1に対するコネクタC3の接続不適合の問題は、前記図8で説明したケースに即した前記実施形態例により解決されるが、このとき、コネクタC3の位置がコネクタC1の位置と合致するので、前記β+Δtに広がったことによりコネクタC1−1に対してコネクタC4は板厚差Δtだけ左方にずれることになる。よって、このずれを解消するにはコネクタC4を単独で右方へΔtずらさねばならない。
これらコネクタC1−1とC4間の位置調整については、コントローラボード41の移動に応じて、少なくとも一方のコネクタの基板を支持している支持体を変位させて、前記一方のコネクタの嵌合部を他方のコネクタの嵌合部に強制的合わせるように機能する誘導手段(第1誘導手段)を用いて行なうことができる。この第1誘導手段については(9)誘導手段の項で説明する。なお、基板上におけるコネクタのたて、よこの配置方向は一例であり、図示の縦長配置でなく90度回した横長配置とすることもできる。以下の例でも同様である。
(ケース2):図28により説明する。コンロトーラボード側については、基板P2又は基板P3は右板49に取付けられている。また、基板P4yが基板P2又は基板P3と板面を平行にして基板P4y用の支持体67を介して右板49に取付けられている。
これら基板P2又は基板P3や基板P4yはその板面が底板44に垂直かつ着脱方向を含む平面と平行(右板49の面と平行)に保持されていて、基板P1の板面が基板P2又は基板P3や基板P4yの板面に対して平行となる向きに配置されている。
基板P1にはコネクタC1、C1−1が設けられ、基板P2の板面にはコネクタC2、基板P3の板面にはコネクタC3、基板P4yの板面にはコネクタC4yが設けられている。コネクタC2、C3はコネクタC1と、コネクタC4yはコネクタC1−1と対をなす。コネクタC1、C1−1、C2、C3、C4yはそれぞれ接続方向をコントローラボード41の前記着脱方向に合わせて配置されている。
例えば、コネクタC1とコネクタC2及びコネクタC4とコネクタC1−1の各嵌合部の軸線同士が合致するように設定されているとすると、基板P2及び基板P4yを搭載したコントローラボード41を機械本体1に装着する場合にはコネクタの接続に問題ない。
一方、薄い基板P3及び基板P4yを搭載したコントローラボード41については、コネクタC4yに対してコネクタC3が右方に板厚差Δtだけずれてしまう。すなわち、基板P3をそのコネクタ取付け面と反対側の板面(右方の面)を取付け面として右板49に取付けているので、この取り付けの時点でコネクタC3はコネクタC4yに対して板厚の差Δtだけ右方にずれる。従ってコネクタC3に対してはコネクタC4yは左方にΔtずれている。
基板P2、基板P3の板厚差に伴うコネクタC1に対するコネクタC3の接続不適合の問題は、前記図8で説明したケースに即した前記実施形態例により、前記コネクタC3がコネクタC1に合致するがこれに伴い、コネクタC4yはコネクタC1−1に対して板厚の差Δtだけ左方にずれることになる。これを解消するにはコネクタC4yを右方へΔtずらさねばならない。
これらコネクタC4yとC1−1間の位置調整については、コントローラボード41の移動に応じて、少なくとも一方のコネクタの基板を支持している支持体を変位させて、前記一方のコネクタの嵌合部を他方のコネクタの嵌合部に強制的合わせるように機能する誘導手段を用いて行なう。この誘導手段については、(9)で述べる誘導手段を適用することができる。
(ケース3):図29により説明する。コンロトーラボード側については、基板P2又は基板3はコネクタ取付面と反対側の板面を取付け基準として右板49に取付けられている。また、基板P4xが基板P2又は基板P3と板面を平行にして左右方向に並ぶ状態で、基板P4x用の支持体68を介して右板49に取付けられている。又、基板P1の板面とその板面が平行となるようにして機械本体1(側板46)に対して基板P5xが支持体69を介して側板46に取付けられている。
これら基板P2又は基板P3や基板P4xはその板面が底板44に垂直かつ着脱方向を含む平面と平行(右板49の面と平行)であり、基板P1、P5の板面は基板P2又は基板P3や基板P4xの板面に対して平行となるように配置されている。
基板P1には基板P2又は基板P3が対応し、基板P5には基板P4xが対応する。基板P1にはコネクタC1、基板P5にはコネクタC5がそれぞれ設けられ、基板P2の板面にはコネクタC2、基板P3の板面にはコネクタC3、基板P4xの板面にはコネクタC4xが設けられている。
コネクタC2、C3はコネクタC1と、コネクタC4xはコネクタC5と対をなす。コネクタC1、C5、C2、C4x、C3はそれぞれ接続方向をコントローラボード41の前記着脱方向に合わせて配置されている。
例えば、コネクタC1とコネクタC2及びコネクタC4xとコネクタC5の各嵌合部の軸線同士が合致するように設定されているとすると、基板P2及び基板P4xを搭載したコントローラボード41を機械本体1に装着する場合にはコネクタの接続に問題ない。
一方、基板P3及び基板P4xを搭載したコントローラボード41については、コネクタC3が基板P3の板面であって取付け面の反対側に設けられているため、コネクタC4xに対してコネクタC3は右方に板厚差Δt(≧t2−t3)だけずれてコネクタC4xとの間隔が、コネクタC1とC5との間隔よりも板厚差Δtだけ広がってしまう。
基板P2、基板P3の板厚差に伴うコネクタC1に対するコネクタC3の接続不適合の問題は、前記図8で説明したケースに即した前記実施形態例によりコネクタC3をコネクタC1に合致させるようにコントローラボード41を機械本体に対して左方にずらずことにより解決されるが、これに伴い、コネクタC4xがコネクタC5に対して左方にΔtだけずれてしまう。これを解消するにはコネクタC4xを単独で右方へΔtずらさねばならない。
これらコネクタC5とコネクタC4x間の位置調整については、コントローラボード41の移動に応じて、少なくとも一方のコネクタの基板を支持している支持体を変位させて、前記一方のコネクタの嵌合部を他方のコネクタの嵌合部に強制的合わせるように機能する誘導手段を用いて行なう。この誘導手段(第2誘導手段)を用いて行なうことができる。この第2誘導手段については「(9)誘導手段」の項で説明する。
(9)誘導手段の例
ここでは、前記「8・2:例1(ケース1:図27)、(ケース2:図28)、(ケース3:図29)」の各項で説明した例に使用可能な誘導手段を例示する。上記(ケース1)で用いる第1誘導手段、上記(ケース3)で用いる第2誘導手段は、その取付け対象が異なるだけで部材の構成は共通であり、実質的に同じであるので以下では両方を同じ図で説明する。
9・1:誘導手段例1
(イ): 上記(ケース1:図27)に対応した第1誘導手段の例として図30により説明する。なお、基板やコネクタの配置については図35を併せて参照されたい。但し、図30は図27との関係では基板上でのコネクタのたて、よこの配置方向が図30では90度回転した状態となっている。
上記(ケース1:図27)で説明したとおり、基板P3及び基板P4を搭載したコントローラボード41を機械本体1に装着する場合において、コネクタC1−1に対してコネクタC4は板厚差Δtだけ左方にずれ、このずれを解消するにはコネクタC4を単独で右方へΔtずらす必要があった。ここで説明する第1誘導手段は、コントローラボード41を矢印Bの着脱方向上、前方へ移動させて基板P4上のコネクタC4が基板P1上のコネクタC1−1に接近するのに伴い、コネクタC1−1に対してコネクタC4を単独で右方へΔtずらすことができる。
図30(a)において、基板P4はブラケット80を介して支持体66に設けられている。コネクタC4を間にして上下方向で挟むようにして、2つの係合部材J1を支持体66に設けた。係合部材J1は先端部がテーパ形状の軸体であり、その軸心がコントローラボード41の着脱方向に揃えてあり、かつ、係合対象であるもう一方の係合部材J2に形成された係合穴81に向けて支持体66に固定されている。係合部材J2はコネクタC1−1を間にして上下方向で挟むようにして、機械本体1に取付けられた支持体70に固定されている。第1誘導手段は係合部材J1と係合部材J2及びこれらの保持手段等で構成される。
図30(b)に示すように係合部材J2に形成された係合穴81における係合部材J1導入部は係合を容易にするため丸みをつけた所謂r状に形成されている。コントローラボード41を機械本体1に装着するに際して、該装着動作が進むにつれて係合部材J2に対して係合部材J1は接近していき、コネクタC1−1とコネクタC4の嵌合部が接触する前に係合部材J1のテーパ部の先端部が係合穴81の縁に接触し、係合部材J1と係合部材J2の両者に軸心のずれがあっても、一方が他方に倣うように変位して最終的には係合部材J1のテーパのない軸部87と係合穴81とが嵌合状態になり、コネクタC1−1とコネクタC4とが嵌合される。
軸部87の前後方向の長さは軸部87と係合穴81との軸心が揃った状態での案内長さとなる。この案内長さは少なくともコネクタC1−1とコネクタC4との嵌合長さよりも長くなっていないと、両コネクタの嵌合が完了する前に強制的な案内がなくなるので、コネクタ間での電気的な接続が不安定になることがある。
本例ではかかるテーパ嵌合の特徴を利用するもので、係合部材J2の係合穴81の軸心と係合部材J1の軸体の軸心とを予め、コネクタC4に対しての必要調整量を見込んでずらしておく。ずらしの方向はコネクタC1−1に対してコネクタC4が右方へ移動するように、支持体66を変位させる方向であり、ずらしの量は支持体66の変位によりコネクタC1−1に対してコネクタC4が右方へΔt変位できる量であり、実際に即して定める。係合部材J1と係合部材J2の配置は入れ換えてもよい。
かかる構成により、コントローラボード41の機械本体への装着動作にともない、第1誘導手段により、コネクタC1−1に対してコネクタC4を単独で右方へΔtずらすことができる。
(ロ): 上記(ケース3:図29)に対応した第2誘導手段の例として図30により説明する。なお、基板やコネクタの配置については図40を併せて参照されたい。
上記(ケース3:図29)で説明したとおり、基板P3及び基板P4xを搭載したコントローラボード41を機械本体1に装着する場合において、コネクタC4xに対してコネクタC3が板厚差Δtだけ右方にずれ、これに起因してコネクタC4xがコネクタC5に対して左方にΔtだけずれ、このずれを解消するには、コネクタC5に対してコネクタC4xを単独で右方へΔtずらす必要があった。ここで説明する第2誘導手段は、コントローラボード41を矢印Bの着脱方向上、前方へ移動させて基板P4x上のコネクタC4xが基板P5上のコネクタC5に接近するのに伴い、コネクタC5に対してコネクタC5を単独で右方へΔtずらすことができる。
図30(a)において、基板P4xはブラケット80を介して支持体68に設けられている。コネクタC4xを間にして上下方向で挟むようにして、2つの係合部材J1を支持体68に設けた。係合部材J1は先端部がテーパ形状の軸体であり、その軸心がコントローラボード41の着脱方向に揃えてあり、かつ、係合対象であるもう一方の係合部材J2に形成された係合穴81に向けて支持体68に固定されている。係合部材J2はコネクタC5を間にして上下方向で挟むようにして、機械本体1に取付けられた支持体69に固定されている。第2誘導手段は係合部材J1と係合部材J2及びこれらの保持手段等で構成される。第2誘導手段の動作態様は前記(イ)で説明した第1誘導手段の動作と同じであるので説明は略す。
係合部材J2の係合穴81の軸心と係合部材J1の軸体の軸心とを予め、ずらしてある。ずれの方向はコネクタC5に対してコネクタC4xが右方へ移動するように、支持体68を変位させる方向であり、ズレの量は支持体68の変位によりコネクタC5に対してコネクタC4xが右方へΔt変位できる量であり、実際に即して定める。係合部材J1と係合部材J2の配置は入れ換えてもよい。
かかる構成により、コントローラボード41の機械本体への装着動作にともない、第2誘導手段により、コネクタC5に対してコネクタC4xを単独で右方へΔtずらすことができる。
9・2:誘導手段例2
(イ): 上記(ケース1:図27)に対応した第1誘導手段の例として図31により説明する。なお、基板やコネクタの配置については図35を併せて参照されたい。但し、図31は図27との関係では基板上でのコネクタのたて、よこの配置方向が図30では90度回転した状態となっている。
ここで説明する第1誘導手段は、前記「9・1:誘導手段例1」で述べたように、コントローラボード41を矢印Bの着脱方向上、前方へ移動させて基板P4上のコネクタC4が基板P1上のコネクタC1−1に接近するのに伴い、コネクタC1−1に対してコネクタC4を単独で右方へΔtずらすことができる。
図31(a)において、基板P4はブラケット80を介して支持体66に設けられている。コネクタC4を間にして上下方向で挟むようにして、2つの係合部J1−1を板状をなす支持体66に設けた。係合部J1−1は板の端部に形成されたY字形の輪郭を有する切り欠きからなる。図31(b)を参照するに、係合部J1−1は該切り欠き形状の最も幅の広い部位が支持体66の前方端部に開口し、前後方向の軸心O―Oを軸とする対称な傾斜面からなるテーパ形状により次第に開口幅が狭くなり、やがて一定幅の小幅開口部82に連通している。
軸心O―Oはコントローラボード41の着脱方向に揃えてあり、かつ、係合対象であるもう一方の係合部J2−1に向けて設定されている。係合部J2−1は係合部J1−1と全く同じ形状であり、コネクタC1−1を間にして上下方向で挟むようにして折曲形成され支持体70に取付けられた係合部形成部材83上であって係合部J1−1と対向する部位に形成されている。
係合部J2−1が形成された係合部形成部材83の部位は、係合部J1−1が形成された板状の支持体66と直交する板状部であり、両係合部は互いの開口部を対向させた配置となっている。また、互いの小幅開口部82は互いの板厚部と嵌合可能な開口幅を有する。
コントローラボード41を機械本体1に装着する該装着動作が進むにつれて係合部J2−1に対して係合部J1−1は接近していき、やがて開口部同士が十字状に対向するほどに接近した状態となり、さらにコネクタC1−1とコネクタC4の嵌合部が接触する前に係合部J2−1と係合部J1−1とが接触し、ここで両者に軸心のずれがあっても、一方が他方に倣うように変位して最終的には両方の小幅開口部82同士が噛み合い状態で嵌合状態に至る。小幅開口部82の前後方向の長さは係合部J2−1と係合部J1−1との軸心が揃った状態での案内長さとなる。この案内長さは少なくともコネクタC1−1とコネクタC4との嵌合長さよりも長くなっていないと、両コネクタの嵌合が完了する前に強制的な案内がなくなるので、コネクタ間での電気的な接続が不安定になる。
本例ではかかるテーパ嵌合の特徴を利用するもので、係合部J2−1の軸心と係合部J1−1の軸体の軸心とを予め、コネクタC4に対しての必要調整量を見込んでずらしておく。このずらしの方向はコネクタC1−1に対してコネクタC4が右方へ移動するように、支持体66を変位させる方向であり、ずらしの量は支持体66の変位によりコネクタC1−1に対してコネクタC4が右方へΔt変位できる量であり、実際に即して定める。
かかる構成により、コントローラボード41の機械本体への装着動作にともない、第1誘導手段により、コネクタC1−1に対してコネクタC4を単独で右方へΔtずらすことができる。
(ロ): 上記(ケース3:図29)に対応した第2誘導手段の例として図31により説明する。なお、基板やコネクタの配置については図40を併せて参照されたい。
ここで説明する第2誘導手段は、コントローラボード41を矢印Bの着脱方向上、前方へ移動させて基板P4x上のコネクタC4xが基板P5上のコネクタC5に接近するのに伴い、コネクタC5に対してコネクタC5を単独で右方へΔtずらすことができる。
図31(a)において、基板P4xはブラケット80を介して支持体66に設けられている。コネクタC4xを間にして上下方向で挟むようにして、2つの係合部J1−1を板状をなす支持体68に設けた。係合部J1−1は板の端部に形成されたY字形の輪郭を有する切り欠きからなる。そして、この係合部J1−1と係合する同一形状の係合部J1−2を支持体69に取付けた係合部形成部材83に形成している。係合部形成部材83は機械本体1に取付けられた支持体69に固定されている。
係合部J1−1、J1−2の形状については、前記(イ)で説明した第1誘導手段におけると同じであるので説明は略す。
コントローラボード41を機械本体1に装着するに際して、該装着動作が進むにつれて係合部J2−1に対して係合部J1−1は接近していき、やがて開口部同士が十字状に対向接近し、両者に軸心のずれがあっても、一方が他方に倣うように変位して最終的には両方の開口部82同士が噛み合い状態で嵌合状態に至る。
本例ではかかるテーパ嵌合の特徴を利用するもので、係合部J2−1の軸心と係合部J1−1の軸体の軸心とを予め、コネクタC4xに対しての必要調整量を見込んでずらしておく。このずらしの方向はコネクタC5に対してコネクタC4xが右方へ移動するように、支持体68を変位させる方向であり、ずらしの量は支持体68の変位によりコネクタC5に対してコネクタC4xが右方へΔt変位できる量であり、実際に即して定める。
かかる構成により、コントローラボード41の機械本体への装着動作にともない、第2誘導手段により、コネクタ5に対してコネクタC4xを単独で右方へΔtずらすことができる。
9・3:誘導手段例3
本例は、前記「9・3:誘導手段例2:図31」の変形例であり、基板P4又は基板P4xそのものを第1誘導手段や第2誘導手段を構成する係合部材として使用して係合部J2−1への係合をなすようにしている。基板P4又は基板P4xが係合部J2−1と直交する関係にあれば、かかる態様が可能である。小幅開口部82の幅は基板P4又は基板P4xの厚さに合わせて嵌合可能な大きさとしておく。
本例も前記例に準じ、コネクタC1−1、コネクタC4を用いる場合には第1誘導手段を構成し、コネクタC5、コネクタC4xを用いる場合には第2誘導手段を構成する。
動作態様は前記図31の例に準ずるので詳細は略す。
9・4:他の係合部材例
前記した第1誘導手段や第2誘導手段を構成する一対の係合部材J1、J2や係合部J1−1、J2−1を有する部材は、これら対をなす部材間で一方を軸心方向に移動させて他方に接近させ行なう係合或いは嵌合の初期には両部材間に軸心のずれがあっても、前記係合或いは嵌合の終期には初期の係合状態に比べて両部材の軸心が合う方向に両部材の少なくとも一方が軸直角方向にずれるという特性を有し、前記例では、かかる性質を利用して基板、ひいては該基板上のコネクタを所望の方向へずらしている。このような係合特性を有する部材例を図33に示した。
図33において、一方の係合部J1−2は部材86に設けた角柱部84とこの角柱部84の先端部に一体化している截頭錐体部85とからなる。図の例は4角であるが他の角でもよい。他方の係合部J2−2は部材87に設けた、係合部J1−2の角柱部84と嵌合可能な穴からなる。
このような部材86を前記例における支持体69又は支持体70に、また、部材87を前記例における支持体66又は支持体68に取付ける等することにより、同様の機能を得ることができる。
9・5:誘導手段による案内長さ
図34は、対をなすコネクタの一例としてピンコネクタを例示したものである。一方のコネクタC88は凸型の嵌合部88を有し、他方のコネクタC89は凹形の嵌合部89を有する。凸型の嵌合部88は直方体状の凸部であり、表面部に多数の電気的な接点を構成するピン穴hを有する。
凹形の嵌合部89は嵌合部88の外形部に嵌合する内周面を有する箱型をしていて、内部には上記ピン穴hに嵌合して電気的に接続される多数のピンpが配列されている。かかる嵌合部89と嵌合部88との機械的な嵌合により、ピンpとピン穴hの嵌合による電気的な接続がなされる。
コネクタC88について座面88aからの高さhは対をなすコネクタ間の嵌合長さである。前記図30における軸部87の長さや、前記図31、図32における小幅開口部82の長さ、図33における係合部J1−1、J2−1、図33における角柱部84の長さ等は、第1誘導手段や第2誘導手段における案内長さである。この案内長さは、高さh(嵌合長さ)よりも長くする。嵌合が終わるまで案内することにより、電気的な接続が安定して行われる。このように、いずれの例でもコネクタ同士が接触し始める前に案内部が接触する寸法設定としている。
(10)誘導手段を用いる電装基板支持構造の具体例
10・1:前記「8・2:例1:(ケース1)」で図27と共に述べた基板配置の具体例である。
図35はコントローラボード41を上から見た場合の断面図である。各基板の配置構成及びコネクタの配置構成については、図27に即して説明したとおりである。補足すれば、基板P4はブラケット80を介して支持体66に取付けられている。支持体66は板状体であり、後方端部がL字状に折曲して後板48に固定されている。
前記したように、基板P3及び基板P4を搭載したコントローラボード41を機械本体1に装着する場合、或いは、基板2に代えて基板3装着された場合、基板P2、基板P3の板厚差に伴うコネクタC1に対するコネクタC3の接続不適合の問題は、前記図8で説明したケースに即した前記実施形態例(図示のようにコントローラボード41が側板46から板厚差Δtだけ左方にずれること)により解決したが、コネクタC1−1に対してコネクタC4は図示されるように板厚差Δtだけ左方にずれてしまう。
その対策として、「(9)誘導手段の項」で図30乃至図34と共に説明したように、第1誘導手段をコントローラボード41側の支持体66と機械本体1側の支持体70との間に設けて、或いは基板P4自体を第1誘導手段として利用することにより、支持体66や基板P4等、関連部材を強制的に変形させてコネクタC4をコネクタC1−1に嵌合させることができた。
このような構成では、板厚差が小さい場合には、関連部材に作用する力は無視できるが、板厚差Δtが大きくなると関連部材に負担がかかるため好ましくない。そこで、本例では、前記第1誘導手段の適用はそのままで、後板48に対する支持体66の後板48に対する固定を解除して可動に取付けた。
図36は、支持体66の後板48に対する取付け部を、長穴を用いた可動式の取付け構造としている。なお、図36では煩雑を避けるため第1誘導手段の図示を省略している。第1誘導手段を用いることにより支持体66が受ける力の向きはコネクタC1−1とコネクタC4のずれの方向(板厚差Δtの方向)である左右方向であるので、図36乃至図38に示すように、後板48に左右方向に長い長穴92をあけ、これに段付きネジ91を通して、支持体66に螺入し、締め付け固定する。
ここで、段付きネジ91の長穴92に対する嵌合径部91aとねじ部との境界の段差部が支持体66の表面(後板48に対する直接の対向面)に当接する構成とすることにより、段付きネジ91を締めきった状態のもとで、支持体66の表面と後板48との間に摺動可能な隙間ができるようにする。
このように構成することにより、第1誘導手段を使用したもとにおいて、基板P1や支持体66に無理な力をかけることなく、コネクタC1−1に対してコネクタC4を支持体66と一体的に板厚差Δtだけ右方にずらすことができ、これらコネクタC1−1とコネクタC4の各嵌合部の軸心を合わせ、図39に示すように、コネクタ同士の接続を行うことができる。
なお、第1誘導手段における係合部同士の係合を円滑に行うため、長穴92の長手方向(左右方向)の中央位置に支持体66を保持する必要がある場合には、例えば、図38に示したように、同じ強さの付勢手段93で支持体66を左右方向に引くようにする。
10・2:前記「8・2:例1:(ケース3)」で図29と共に述べた基板配置の具体例である。
図40はコントローラボード41を上から見た場合の断面図である。各基板の配置構成及びコネクタの配置構成については、図29に即して説明したとおりである。基板P4xはブラケット80を介して支持体66に取付けられている。支持体66は板状体であり、後方端部がL字状に折曲して後板48に固定されている。
前記したように、基板P3及び基板P4を搭載したコントローラボード41を機械本体1に装着する場合、或いは、基板2に代えて基板3装着された場合、基板P2、基板P3の板厚差に伴うコネクタC1に対するコネクタC3の接続不適合の問題は、前記図8で説明したケースに即した前記実施形態例(図示のようにコントローラボード41が側板46から板厚差Δtだけ左方にずれること)により解決したが、コネクタC5に対してコネクタC4xは図示されるように板厚差Δtだけ左方にずれてしまう。
その対策として、「(9)誘導手段の項」で図30乃至図34と共に説明したように、第2誘導手段をコントローラボード41側の支持体68と機械本体1側の支持体69との間に設けて、或いは基板P4x自体を第2誘導手段として利用することにより、支持体68や基板P4x等、関連部材を強制的に変形させてコネクタC4xをコネクタC5に嵌合させることができる。
このような構成では、板厚差が小さい場合には、関連部材に作用する力は無視できるが、板厚差Δtが大きくなると関連部材に負担がかかるため好ましくない。そこで、本例では、前記第2誘導手段の適用はそのままで、支持体68の後板48に対する固定を解除して可動に取付けた。
図41は、支持体68の後板48に対する取付け部を、長穴を用いた可動式の取付け構造としている。なお、図41では煩雑を避けるため第2誘導手段の図示を省略している。第2誘導手段を用いることにより支持体68が受ける力の向きはコネクタC4xとコネクタC5のずれの方向(板厚差Δtの方向)である左右方向であるので、図41、42(b)、図43、図44に示すように、後板48に左右方向に長い長穴94をあけ、これに段付きネジ95を通して、支持体68に螺入し、締め付け固定する。
ここで、段付きネジ95は長穴93に対する嵌合部95aとねじ部との境界に出来る段差部が支持体68の表面(後板48に対する直接の対向面)に当接する構成とすることにより、段付きネジ95を締めきった状態のもとで、支持体68の表面と後板48との間に摺動可能な隙間ができるようにする。
このように構成することにより、第1誘導手段を使用したもとにおいて、基板P4xや支持体68に無理な力をかけることなく、コネクタC5に対してコネクタC4xを支持体68と一体的に板厚差Δtだけ右方にずらすことができ、これらコネクタC5とコネクタC4xの各嵌合部の軸心を合わせ、図41に示すように、コネクタ同士の接続を行うことができる。
なお、第2誘導手段を用い、複数のコネクタを同時に接続する本例において、さらに、支持体69に対する負担を軽減するために、支持体69の仕切板47に対する取付け部を長穴を用いた可動式の取付け構造としている。第2誘導手段を用いることにより支持体69が受ける力は長穴94により解消されるが応力の作用する方向は一つの方向に限らないので、図41、42(a)、図43、図44に示すように、仕切板47に上下方向に長い長穴96をあけ、これに段付きネジ97を通して、支持体69に螺入し、締め付け固定する。
ここで、段付きネジ97は段付きネジ95と同様、締めきった状態のもとで、支持体69の表面と仕切板47との間に摺動可能な隙間ができるようにする。
このように構成することにより、第2誘導手段を使用したもとにおいて、基板P4xや基板5、支持体68に無理な力をかけることなく、コネクタC5とコネクタC4xの各嵌合部の軸心を合わせ、図41に示すように、コネクタ同士の接続を行うことができる。
なお、基板4や基板P4x等を基板2あるいは3に接続するものにできれば、本例のような構成は不要となるが、基板P4や基板P4xはファクシミリ用のオプション基板であり、基板P1とデータのやり取りを行う。そのため基板P2あるいはP3と接続するよりも基板P1に接続する方が望ましい。本例では基板P1が基板P2あるいはP3と平行な状態となっており、基板P4xが直接基板P1に接続することが物理的に困難なため基板P4xから基板P5を中継して基板P1と接続する形となっている。
また、基板P4xをコンロトーラボード41に取付けず別部品に取付けて単独で抜き差しできるようにすることもできるが、本例の構成のように周囲に基板Px4のみを案内するガイドレールなどの部品を取付けるものが無い場合や、ガイドレールを置くスペースが無い場合に基板P4xのみの単独での抜き差しは困難であるので本例のような構成が必要となる。
以上において、厚さの異なる基板が取付け互換を保ちながら、取付け時の組み付け性を良くすることことができた。
[3]電装基板支持構造II
以上に述べた電装基板支持構造Iの実施例において、図3、図4、図9等と共に説明したとおり、コントローラボード41は、交換基板である基板P2又は基板P3を保持してこれら基板の板厚方向である左右方向(Y軸方向)と着脱方向(矢印B方向)である前後方向(X軸)とを含む平面(X・Y平面)と平行な支持面で支持されて着脱方向に案内され、この支持面は底板44の表面であり、底板44はコントローラボード41の荷重を受けて支持する支持案内部を構成している。
すなわち、支持案内部はコントローラボード41が保持する交換基板の板厚方向及びコントローラボード41の着脱方向を含む平面と平行な面でコントローラボード41を支える。
上記のことをより一般化した表現におきかえると、「支持案内部はコントローラボード41の着脱方向から見た場合に、コントローラボード41が保持する交換基板の板厚方向と角度θをなして交差する方向及びコントローラボード41の着脱方向を含む平面と平行な面でコントローラボード41を支える」とすることができる。かかる場合には、基板P2又は基板P3はその板面が支持案内部の面すなわち底板44の表面に対して角度θで傾くことになる。
そして、これまで述べた実施形態例における事例は、上記一般化した表現のもとでは、角度θが0度若しくは180度のもとで、基板P2又は基板P3はその板面を支持案内部の面に対して角度θ(≧0度又は180度)で傾いた場合に相当するので、板厚の差Δtは「Δt・cosθ≧Δt」となり、前記実施形態例における、2つの被案内部の他方である右板49の右面と側板46の左面との間にできる板厚方向のスキマ量sと、基板P2と基板P3との板厚の差Δtとの関係を示した前記式(1)であるs≧Δtがそのまま成立する。
従って、これまで述べた実施形態例における事例は、コントローラボード41の着脱方向から見た場合に、支持案内部は、コントローラボード41が保持する交換基板の板厚方向と角度θ(但しθ≧0度又は180度)をなして交差する方向(つまり、板厚方向)及びコントローラボード41の着脱方向を含む平面と平行な面でコントローラボード41を支えることになる。
本発明は、θ≧0度又は180度という限定のない場合においても勿論実施可能であり、その場合には、前記式(1)に代えて、s≧Δt・cosθ・・・(式2)が適用される。