JP5331874B2 - 累進屈折力眼鏡レンズの製造方法 - Google Patents
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Description
さらに、累進レンズでは、レンズをより薄く、また軽くする目的で、基底方向が垂直のプリズムを左右のレンズに同じだけ付加するように、セミフィニッシュトレンズの後面を切削加工するプリズムシニング加工が従来から行なわれている(例えば、特許文献2参照)。
前面成形面11Aは、前面成形型11の基準軸A1に対して、その基準軸A1と交わる前面成形面11A上の位置(以下、前面成形面基準点ともいう)の法線が一致するように前面成形型11上に形成されている。
また、後面成形面12Aは、この後面成形型12の基準軸A2と交わる位置(以下、後面成形面基準点ともいう)の法線が基準軸A2に一致するように後面成形型12上に形成されている。
粘着テープ13は帯状の樹脂製フィルムからなり、一方の面に粘着剤層が形成されている。
また、粘着テープ13は、張力をかけながら巻かれるため、図2に示すように、前面成形型11の外周面11Bと密着する部分、及び、後面成形型12の外周面12Bと密着する部分以外では、レンズ成形型10の中心方向へのたわみが若干発生する。
このレンズ原料液が充填されたレンズ成形型10を重合炉に投入し、所定の温度でモノマー組成物を重合、硬化させる。そして、重合終了後、レンズ成形型10を重合炉から取り出して冷却した後、粘着テープ13、前面成形型11、及び、後面成形型12を取り外し、成形されたレンズブランクを取り出す。以上の方法により、セミフィニッシュトレンズブランクが製造される。
まず、図3に、本実施の形態の累進レンズの製造方法に係るレンズ成形型20の斜視図を示し、図4A及び図4Bに、その断面図を示す。図4Aは、レンズ成形型20により成形される累進レンズにおける幾何学中心の位置を通る垂直方向の断面図である。また、図4Bは、レンズ成形型20により製造される累進レンズにおける幾何学中心の位置を通る水平方向の断面図である。
なお、本明細書において、成形型(レンズ成形型10、20、前面成形型11、後面成形型12、第1成形型21、第2成形型22)や成形面(前面成形面11A、後面成形面12A、第1成形面21A、第2成形面22A)の説明で用いる「垂直方向」とは、成形される累進屈折力レンズの垂直方向(上下方向)を意味し、水平方向とは、同レンズの水平方向(左右方向)を意味する。
また、第1成形型21の第1成形面21Aの周縁には、第1基準軸A1に垂直な平面R1からなる基準面25が形成されている。なお、以下の説明においては、外周面21B、22Bが円柱面の場合について説明する。
粘着テープ23は帯状の樹脂製フィルムからなり、一方の面に粘着剤層が形成されている。この粘着テープ23の詳細については後述する。
このように形成されたレンズ成形型20の第1成形面21Aと第2成形面22Aの間隔は、図4Aに示すように、垂直方向において上端が狭く、下端が広くなっている。
図5に示すように、レンズ成形型20では、第1成形型21と第2成形型22は相対的に傾斜させて対向配置させているので、第2成形型22の外周面22Bの延長線上に第1成形型21の外周面21Bが位置していない。すなわち、第1成形型21の外周面21Bと、第2成形型22の外周面22Bとはその断面が同一線上にはなく、第2成形型22の外周面22Bに対して第1成形型21の外周面21Bは傾斜している。
また、粘着テープ23は、張力をかけながら巻かれるため、図5に示すように第1成形型21の外周面21Bと密着する部分、及び、第2成形型22の外周面22Bと密着する部分以外は、レンズ成形型20の中心方向へのたわみが若干発生している。
図9は、本実施の形態にかかる累進屈折力プラスチックレンズ及びそのレンズを用いた眼鏡の製造方法を示すフローチャートである。本実施の形態にかかる製造方法は、後述するレンズ成形型形成工程を有し、この工程はレンズ成形型形成装置を用いて行なう。以下、オンラインで眼鏡レンズの注文を受け付けて、その注文内容に基づいて眼鏡レンズを成形するための成形型を組み立てるレンズ成形型形成システムおよびそこに組み込まれたレンズ成形型形成装置について説明する。図11はレンズ成形型形成システムの概略構成を示す図であり、図12A,B及び図13C,Dはレンズ成形型形成装置を構成する成形型保持装置の動作を説明する図である。
また、その算出した成形面傾斜角θ3と前記選定した第1成形型21の第1成形型成形面傾斜角θ1に基づいて、成形型傾斜角θ2を算出し、それに基づいて使用する傾斜角設定具116A,116Bを選定する。また、両成形型21,22の保持間隔が算出し、それに基づいて成形型保持装置110の成形型保持部111A,111Bの回転軸方向の移動を制御するためのデータを作成する(成形型傾斜角及び間隔算出工程(ステップS3))。
次に、吸引管部111A,111Bを、加工データで設定された成形型保持間隔になるように回転軸B内方にそれぞれ前進させる(図11(d))。
なお、上記ステップS2からステップS5までの工程をレンズ成形型形成工程ともいう。このようにして形成されたレンズ成形型20は、次の原料液注入工程に移される。
本発明で用いるモノマー組成物には、通常プラスチックレンズの製造に用いる公知の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
上記添加剤としては、例えば、吸光特性を改良するための、紫外線吸収剤、色素及び顔料等、耐候性を改良するための、酸化防止剤及び着色防止剤等、成形加工性を改良するための離型剤等を挙げることができる。
ここで、紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系及びサリチル酸系等が、色素や顔料としては、例えばアントラキノン系及びアゾ系等が挙げられる。酸化防止剤や着色防止剤としては、例えばモノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノール系、硫黄系及びリン系等が、離型剤としては、例えばフッ素界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、酸性リン酸エステル及び高級脂肪酸等が挙げられる。
上述のように、レンズ成形型20を構成し、このレンズ成形型20を使用してレンズを注型重合法により成形することにより、レンズ前面に累進面を有し、プリズムシニングが施された、アンカットレンズ(玉形加工前のフィニッシュトレンズ)としての累進屈折力プラスチックレンズを製造することができる。
図8に示した累進屈折力プラスチックレンズ30は、累進面を有するレンズ前面30Aと、球面、非球面、トロイダル面、又は非トロイダルレンズを有するレンズ後面30Bとを有し、レンズ前後面30A,30Bの周りには、外周面30Cが形成されている。このレンズ正面視形状は円形であり、プリズム測定位置P1はレンズ前面の中心に位置している。
図7に示すように、粘着テープ23が、レンズ成形型20のキャビティ24の側方において変形している。このような粘着テープ23の変形が、もしもレンズ成形型20の全周囲で均一に生じるのであれば、上述の粘着テープの保持力が好適な範囲である場合と同様に、第1成形型21と第2成形型22とがそれぞれの成形型の向き維持したまま移動するので、問題にはならない可能性があるが、通常は部分的に変化するため、第1成形型21の成形面21Aと第2成形型22の成形面22Aとの相対的な位置及び向きがくずれてしまい、累進屈折力プラスチックレンズの設計値からの誤差が大きくなってしまう。
従って、本実施の形態のレンズ成形型を用いた累進屈折力プラスチックレンズの製造方法では、好適な保持力を有する粘着テープを使用することが必要となる。
レンズ成形型を構成する粘着テープは、基材となるフィルムと粘着剤とから構成される。
基材は特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルを、フィルム状に加工することにより使用される。
粘着剤は、例えば、アクリル系、シリコン系等が好適に使用される。
また、基材及び粘着剤の密着性を改善させる目的で中間層を設けてもよい。
また、粘着剤は、レンズ原料液がレンズ成形型内に注入された際や熱硬化時に、レンズ原料液中に溶解して、レンズに光学的欠損を発生させないように、レンズ原料液に対して耐性を有するものを用いる。
まず、モノマー組成物を含めレンズ原料液が注入された成形用鋳型を比較的低温、例えば20℃以下で保ち、モノマー組成物の粘度をゆっくりと上昇させる。次に、レンズ成形型の温度を除々に上昇させ、モノマーの反応温度、例えば100℃以上まで除々に上昇させることにより、モノマーをゲル化、固化させる。そして、充分な温度まで上げたところで、温度を一定に保持する。この温度において、モノマーの重合反応を充分に進行させ、レンズ原料液を硬化させてレンズを形成する。
粘着テープの粘着性は、温度に依存して大きく変化する。このため、レンズ成形型に使用する粘着テープの粘着性は、粘着テープに加わる温度での粘着性を考慮する必要がある。
この重合収縮時の温度は、レンズの原料となるモノマーの種類や、添加剤により異なるが、原料モノマーに混合する反応開始剤、重合触媒の種類や混合量を調製することで調製することができる。重合収縮時の温度は、製造工程で扱いやすい温度に調整され、40〜80℃であることが好ましい。粘着テープの粘着力は、室温よりも重合収縮時の温度の方が低下するテープを用いると好ましい。
まず、試験片として、25mm幅の粘着テープを準備する。この25mm幅の粘着テープを、試験板に10mmの長さで貼付ける。試験板には鏡面仕上げのSUS304鋼板を使用する。この状態で20分以上保持した後、試験板及び粘着テープが鉛直に垂れ下がるように保持する。そして、粘着テープの端に1kgの重りを取り付ける。試験板から粘着テープが落下するまでの時間を測定し、この時間を粘着テープの保持力とする。
(実験例1)
まず、レンズ成形型を作製した。レンズ成形型を構成する累進面からなる成形面を有する第1成形型(凸面形成用成形型)には、外径76.0mm、コバ厚4mm、遠用部の平均曲率半径122mm、中心肉厚5.0mm、水平方向有効径75.5mmとなる基準面(平面フランジともいう)を有する累進屈折力プラスチックレンズ用の成形型を用いた。また、成形用鋳型を構成する球面からなる成形面を有する第2成形型(凹面形成用成形型)には、外径76.0mm、曲率半径121mm、中心肉厚2.5mmの累進屈折力プラスチックレンズ用の成形型を用いた。そして、Sambo tech社製のAutomatic mold taping machine TPM−2000を用いて、第1成形型の基準軸が、第2成形型の基準軸に対して垂直方向に上方に3度傾斜するとともに、第2成形型の基準軸方向から見た第1成形型の外形状の幾何学中心位置が第2成形型の基準軸上に位置するように位置決めした後、粘着テープ(基材:ポリエステルフィルム、粘着剤:シリコーン系粘着剤、テープ厚:0.068mm、粘着力:5.3N/10mm(23℃))を第1成形型及び第2成形型の周外周面に巻いて貼付けて固定した。なお、第1成形型の外周面と第2成形型の外周面は、ほぼそれぞれの成形型の基準軸に対して平行な同一径の円柱面で構成されているので、第1成形型の外周面は、第2成形型の外周面に対して3度傾斜している。
まず、撹拌装置を備えた5リットル(L)セパラブルフラスコを用意し、水浴で5℃に冷却した。
また、1Lのポリエチレン製ビーカーに、5℃に冷却した1,3−ジイソシアネートメチル−シクロヘキサン1426gを計り取り、これに紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(シプロ化成製シーソーブ709)3.0g、離型剤としてブトキシエチルアシッドフォスフェート(城北化学工業製JP−506H)4.8g、重合触媒としてジメチルチンジクロリド24.0gを加え、20分撹拌した。この撹拌により、紫外線吸収剤、離型剤及び重合触媒は、1,3−ジイソシアネートメチル−シクロヘキサンに溶解し、均一な溶液となった。
次に、1,3−ジイソシアネートメチル−シクロヘキサンの溶液を、セパラブルフラスコに移した。そして、セパラブルフラスコに、5℃に冷却したペンタエリスリトールテトラキス−(2−メルカプトアセテート)794gと、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン780gとを加え、10分間撹拌した。
撹拌を停止し、セパラブルフラスコを真空ポンプに接続し、減圧脱泡を行った。減圧脱泡では、内部のモノマー組成物の発泡状態を確認しながら撹拌を再開し、除々に撹拌速度を上げたところ、減圧度が40Paで安定した。この状態で30分間保持してから、常圧に戻し、モノマー組成物の調製を完了した。
以上により、モノマー組成物が注入されたレンズ成形型を作製した。
製造した累進レンズは、無色透明で、屈折率ne:1.60、アッベ数νe:41、比重:1.32の物性を有しており、脈理、異物、汚れ及び曇り等の異常も見られず、眼鏡用レンズとして好適なものであった。
ここで、前記成形用鋳型で使用した粘着テープの保持力について説明する。先ず、上記した重合工程におけるモノマー組成物の重合収縮時の温度を測定するため、メスシリンダーに30mlの前記モノマー組成物を取り、レンズ成形型と同じ熱風循環式重合炉に入れて、液面の変化を重合完了まで観察した。この結果、モノマー組成物の重合収縮時の温度は70℃であった。
粘着テープを変更(基材:ポリエステルフィルム、粘着剤:シリコーン系粘着剤、テープ厚:0.069mm、粘着力:5.8N/10mm(23℃))した以外は、実験例1と同様の方法で累進屈折力プラスチックレンズを製造した。
この実験例2で使用した粘着テープの保持力は、重合収縮時の温度70℃において11分間であった。
粘着テープを変更(基材:ポリエステルフィルム、粘着剤:シリコーン系粘着剤、テープ厚:0.068mm、粘着力:4.8N/10mm(23℃))した以外は、実験例1と同様の方法で累進屈折力プラスチックレンズを製造した。
この実験例3で使用した粘着テープの保持力は、重合収縮時の温度70℃において32分間であった。
成形用鋳型の製造において、第1成形型の基準軸と第2成形型基準軸とを同じ軸線上に位置するように位置決めした以外は、実験例1と同様の方法で累進屈折力プラスチックレンズを製造した。この実験例4のレンズは、プリズムシニングが施されていない累進屈折力プラスチックレンズであり、上記実験例1〜3のレンズの光学性能を評価する基準レンズとして使用した。
上述の実験例1〜4の方法で、30組の第1成形型と第2成形型を用いて、累進レンズをそれぞれ30枚製造し、その製造したそれぞれの各累進レンズについて、プリズム測定位置における垂直方向のプリズム屈折力をレンズメータで測定した。また、同じ第1成形型と第2成形型の組を用いて作製した実験例1〜3のレンズ毎について、垂直方向プリズム屈折力の実験例4との差を求めた。そして、垂直方向プリズムの最大値と最小値、垂直方向プリズム屈折力の実験例4との差の最大値と最小値、それら最大値と最小値との差(交差)、垂直方向プリズムの平均値、垂直方向プリズム屈折力の実験例4との差の平均値を求めた。その測定結果を表1に示す。
従って、上述のJIS Z0237に準拠した粘着テープの保持力が、5分間以上30分間以下であることにより、熱硬化時に粘着テープの粘着性が充分低下し、重合収縮による第1成形型及び第2成形型の移動が安定しておこなわれ、精度よく累進屈折力プラスチックレンズを製造することができ、好ましい。
なお、粘着テープの保持力が5間分以上30分間以下に含まれない場合にも再現性には劣るものの、粘着テープに変形が起きなかった場合には、累進レンズとして問題ない精度で製造することができた。このため、粘着テープの保持力が5分間未満又は30分間を超える場合にも、累進屈折力プラスチックレンズを製造することが可能である。
また、上述の実施の形態では、成形型保持装置110の傾斜角度設定部115A,115Bは、両成形型21,22の回転軸B方向外方にそれぞれ設置し、成形型21,22の非成形面と傾斜設定具116A,116B傾斜設定端を接触させて成形型21,22の傾斜角度を設定したが、両端に傾斜設定端が設けられた円筒形状に傾斜設定部を形成してもよい。そして、成形型保持工程において、この傾斜設定部をその中心軸と回転軸Bを一致させた状態で、両成形型21、22の間に設置して、傾斜設定端を成形型21、22の成形面21A、22Aと接触させて成形型の傾斜角度を設定しても良い。この場合、傾斜設定部は、一方の傾斜設定端を備えた部分と、他方の傾斜設定端を備えた部分を分離可能に構成し、それらの組み合わせ及び回転位置を変更可能に接続できるように構成するとより好ましい。
11,21 レンズ前面(凸面)形成用成形型(第1成形型)
11A,21A レンズ前面(凸面)形成用成形型の成形面(第1成形面)
11B,21B 第1成形面の周縁に形成される外周面(第1外周面)
12,22 レンズの後面(凹面)形成用成形型(第2成形型)
12A,22A レンズの後面(凹面)形成用成形型の成形面(第1成形面)
12B,22B 第2成形面の周縁に形成される外周面(第2外周面)
13,23 粘着テープ
14,24 キャビティ
25 基準面
30 累進屈折力プラスチックレンズ
30A レンズ前面
30B レンズ後面
30C 外周面
31 点線
50 レンズ成形型形成システム
51 通信媒体
60 メガネ店
61 注文用端末
62 フレーム形状測定装置
80 工場
90 工場サーバ
91 処理部
92 記憶部
100 レンズ成形型形成装置
110 成形型保持装置
111A 第1成形型保持部
111B 第2成形型保持部
112A 第1吸引管部
112B 第2吸引管部
113A 第1吸着パッド部
113B 第2吸着パッド部
114A 第1ジョイント部
114B 第2ジョイント部
115A 第1傾斜角度設定部
115B 第2傾斜角度設定部
116A 第1傾斜設定具
116B 第2傾斜設定具
117A 第1固定部
117B 第2固定部
120 保持位置設定装置
130 粘着テープ巻付装置
140 制御装置
911 受注処理
912 設計データ作成
913 加工データ作成
921 受注データ
922 設計データ
923 加工データ
924 レンズ情報
925 フレーム情報
926 成形型情報
927 傾斜設定具情報
A1,A2 基準軸
B 回転軸
Dte、Dbe コバ厚
Dt1,Dt2上端のコバ厚
Db 下端のコバ厚
H 水平面
NL 法線
Pl プリズム測定位置
Pm 第1成形面基準点
R1,R2 基準面
S 玉形形状
Tt 最上端の接線
Tb 最下端の接線
V 垂直面
Claims (7)
- プリズムシニングが施された累進屈折力眼鏡レンズの製造方法において、
前記レンズの累進面からなる一方の光学面を形成するための成形面を備えた第1の成形型と、他方の光学面を形成するための成形面を備えた第2の成形型とがそれぞれの成形面を内側に対向して配置されたレンズ成形型を形成するレンズ成形型形成工程と
形成された前記レンズ成形型内にモノマー組成物を含むレンズ原料液を充填する充填工程と、
充填された前記レンズ原料液を重合硬化させて前記レンズを成形する硬化工程と、を有し、
前記第1成形型の成形面は、前記第1成形型の基準軸と交わる点における法線が、前記第1成形型の基準軸に対して垂直方向に傾斜するように形成されており、
前記レンズ成形型形成工程は、
前記第1成形型の基準軸が、前記第2成形型の基準軸に対して垂直方向に傾斜するように両成形型を保持する成形型保持工程と、
前記成形型保持工程により保持されている前記両成形型の外周面に粘着テープを粘着面を内側にして巻き付ける粘着テープ巻付け工程と、を有している
ことを特徴とする累進屈折力眼鏡レンズの製造方法。 - 前記レンズ成形型形成工程が、玉形加工後のレンズ形状におけるコバ厚を減少させるための両光学面の互いの垂直方向の成形面傾斜角の傾斜角度を算出する成形面傾斜角算出工程と、前記成形面傾斜角算出工程により得られた前記成形面傾斜角と、前記第1成形型に対する第1成形型成形面傾斜角の傾斜角度との差に基づいて、前記成形型保持工程における前記第2成形型に対する前記第1成形型の成形型傾斜角の傾斜角度を算出する成形型傾斜角算出工程とを有し、前記成形型保持工程は、前記成形型傾斜角算出工程により得られた成形型傾斜角に従って、前記第2成形型に対して前記第1成形型を傾斜させて保持することを特徴とする請求項1記載の累進屈折力眼鏡レンズの製造方法。
- 前記両成形型の外周面はそれぞれの成形型の基準軸にほぼ平行な円柱面からなり、前記粘着テープ巻付け工程は、前記粘着テープを伸張させてその粘着面を両成形型の外周面に接着させることを特徴とする請求項1または2に記載の累進屈折力眼鏡レンズの製造方法。
- 前記粘着テープ巻付け工程は、前記粘着テープをいずれか一方の成形型の基準軸を回転軸として巻きつけることを特徴とする請求項3記載の累進屈折力眼鏡レンズの製造方法。
- 前記成形型保持工程において、前記第2の成形型は、その基準軸を中心に回転位置を調節可能に保持されているとともにその基準軸方向の位置を調節可能に保持され、前記第1の成形型は、垂直方向にその基準軸の傾斜角度を調節可能に保持されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の累進屈折力眼鏡レンズの製造方法。
- 前記粘着テープは、前記硬化工程における重合硬化中に前記粘着テープの粘着面が前記両成型用レンズ成形型の少なくとも一方の外周面からはがれるように保持力が設定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の累進屈折力眼鏡レンズの製造方法。
- 前記粘着テープの保持力が、5〜30分間であることを特徴とする請求項6に記載の累進屈折力眼鏡レンズの製造方法。
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