JP5331874B2 - 累進屈折力眼鏡レンズの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、注型重合法により、プリズムシニングが施された眼鏡用累進屈折力プラスチックレンズを製造する方法に係わる。
累進屈折力眼鏡レンズ(以下、累進レンズともいう)は、年齢に伴う調節力の低下に対応する眼鏡レンズとして普及している。この累進レンズは、眼鏡装用者の使用環境や目的に応じた様々なタイプの設計を有する上に、個々の装用者の屈折異常や調節異常に応じた光学性能を備える必要があることから、製造にあたって、多くの設計条件(例えば、遠用部屈折力(球面屈折力、乱視屈折力、乱視軸)、加入屈折力、プリズム屈折力、光学設計タイプ、累進帯長、インセット量、中心厚、コバ厚、外径等)を必要とし、その組み合わせは極めて膨大となる。
このため、予め全ての種類のフィニッシュトレンズ(両光学面が光学的に仕上げられているレンズ)を備蓄しておくことは非常に困難であるため、累進レンズの製造は、顧客の注文を受けてから予め製造してあるレンズブランクを個別の設計条件に基づいて加工する受注生産が一般的である。例えば、レンズ前面(凸面)に光学的に仕上げられた累進面が形成され、レンズ後面(凹面)は光学的に仕上げられずに肉厚に形成されたセミフィニッシュトレンズブランクを備蓄しておき、顧客の注文に応じて最適なセミフィニッシュトレンズを選択する。そして、このセミフィニッシュトレンズの後面側を、顧客の注文内容に応じて、切削加工機(カーブジェネレータ)や研磨加工機を用いて切削・研磨加工して光学的に仕上げて、所望の光学性能を備えた累進レンズを製造している(例えば、特許文献1参照)。
さらに、累進レンズでは、レンズをより薄く、また軽くする目的で、基底方向が垂直のプリズムを左右のレンズに同じだけ付加するように、セミフィニッシュトレンズの後面を切削加工するプリズムシニング加工が従来から行なわれている(例えば、特許文献2参照)。
また、セミフィニッシュトレンズブランクを製造する方法の一つとして、レンズの前面および後面を成形する2枚の成形型を所定の間隔で保持し、その周囲に粘着テープを巻きつけてレンズ成形型を形成し、その成形型にプラスチックレンズ原料液を注入し重合硬化させてレンズを成形する、テープモールド法を用いた注型重合法が従来から用いられている(例えば特許文献3参照)。
国際公開WO00/62116号 特開平5−341238号公報 特開昭55−105519号公報
しかしながら、上述のように、レンズブランクを切削・研磨加工して累進屈折力レンズを製造する場合は、少ない種類のレンズブランクで様々な注文内容に対応できるようにする必要から、レンズブランクの非仕上げ面側を厚めに形成しなければならないため、体積の大きいレンズブランクを大量に製造し備蓄することになる。このため、最終的に形成されるレンズに使われる原料液よりも多くの原料液が必要となり、その分製造コストがかかるという問題がある。
そこで、レンズ原料液の利用率を向上させる方法として、注文内容通りの仕様のフィニッシュトレンズ、あるいは、注文内容に基づいて設定された少ない切削しろや研磨しろを備えたレンズブランクを、注型重合法により成形する方法が考えられる。しかしながら、前述した通り、累進レンズは、注文毎に設計条件が多様であるため、様々な注文内容に対応するためには多くの種類の成形型を用意する必要があり、製造コストがかかったり、管理が複雑になったりするという問題がある。しかも、上述のプリズムシニングが施されたフィニッシュトレンズをこの方法により成形しようとすると、さらに多くの種類の成形型が必要となるため、この方法は現実的に難しい。
上述した問題の解決のため、本発明においては、プリズムシニングが施された累進プラスチックレンズを、少ない成形型で多様な設計値に対応させ、かつ、レンズ原料液の利用率を向上させて製造する方法を提供する。
本発明者は、鋭意検討した結果、一方の面を形成する成形型を他方の面を形成する成形型に対して傾斜させて保持してレンズ成形型を形成することに着目した。従来のテープモールド法においては、前面を形成するための成形型と後面を形成するための成形型は同一径であり、それらの外周面が同一円柱面上に位置するように対向配置している。そこで、従来のテープモールド法において、一方の成形型を傾斜させた場合、粘着テープとその傾斜させた成形型のシール性が不十分となり、充填されたレンズ原料液の硬化過程中に、レンズ原料液が漏れたり、レンズ成形型内に空気を引き込んでしまったり、粘着テープの両成形型の間の部分にしわが入り硬化時の収縮が不均一になってレンズに意図しない肉厚の傾きができてしまったりする問題が生じてしまう場合があった。そこで、本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、以下の特徴を有する。
本発明の第1の発明の累進屈折力眼鏡レンズの製造方法は、プリズムシニングが施された累進屈折力眼鏡レンズの製造方法において、前記レンズの累進面からなる一方の光学面を形成するための成形面を備えた第1の成形型と、他方の光学面を形成するための成形面を備えた第2の成形型とがそれぞれの成形面を内側に対向して配置されたレンズ成形型を形成するレンズ成形型形成工程と、形成された前記レンズ成形型内にモノマー組成物を含むレンズ原料液を充填する充填工程と、充填された前記レンズ原料液を重合硬化させて前記レンズを成形する硬化工程とを有し、前記第1成形型の成形面は、この第1成形型の基準軸と交わる点における法線が、前記第1成形型の基準軸に対して垂直方向に傾斜するように形成されており、前記レンズ成形型形成工程は、前記第1成形型の基準軸が、前記第2成形型の基準軸に対して垂直方向に傾斜するように両成形型を保持する成形型保持工程と、前記成形型保持工程により保持されている前記両成形型の外周面に粘着テープを粘着面を内側にして巻き付ける粘着テープ巻付け工程と、を有していることを特徴とする。
第2の発明の累進屈折力眼鏡レンズの製造方法は、前記レンズ成形型形成工程が、玉形加工後のレンズ形状におけるコバ厚を減少させるための両光学面の互いの垂直方向の成形面傾斜角の傾斜角度を算出する成形面傾斜角算出工程と、前記成形面傾斜角算出工程により得られた前記成形面傾斜角と、前記第1成形型に対する第1成形型成形面傾斜角の傾斜角度との差に基づいて、前記成形型保持工程における前記第2成形型に対する前記第1成形型の成形型傾斜角の傾斜角度を算出する成形型傾斜角算出工程とを有し、前記成形型保持工程は、前記成形型傾斜角算出工程により得られた成形型傾斜角に従って、前記第2成形型に対して前記第1成形型を傾斜させて保持することを特徴とする。
第3の発明の累進屈折力眼鏡レンズの製造方法は、第1または2の発明において、前記両成形型の外周面はそれぞれの成形型の基準軸にほぼ平行な円柱面からなり、前記粘着テープ巻付け工程は、前記粘着テープを伸張させてその粘着面を両成形型の外周面に接着させることを特徴とする。
第4の発明の累進屈折力眼鏡レンズの製造方法は、第3の発明において、前記粘着テープ巻付け工程は、前記粘着テープをいずれか一方の成形型の基準軸を回転軸として巻きつけることを特徴とする。請求項3記載の累進屈折力眼鏡レンズの製造方法。
第5の発明の累進屈折力眼鏡レンズの製造方法は、第1〜4のいずれか一つの発明において、前記成形型保持工程において、前記第2の成形型は、その基準軸を中心に回転位置を調節可能に保持され、前記第1の成形型は、垂直方向にその基準軸の傾斜角度を調節可能に保持されていることを特徴とする。
第6の発明の累進屈折力眼鏡レンズの製造方法は、第1〜5のいずれか一つに記載の発明において、前記粘着テープは、前記硬化工程における重合硬化中に前記粘着テープの粘着面が前記両レンズ成形型の少なくとも一方の外周面からはがれるように保持力が設定されていることを特徴とする。
第7の発明の累進屈折力眼鏡レンズの製造方法は、第6の発明において、前記粘着テープの保持力が、5〜30分間であることを特徴とする。
本発明によれば、一方の成形型の他方の成形型に対する傾きを設計値に従って調節することにより、同じ1組の成形型で、異なるプリズムシニングが施された眼鏡用累進屈折力プラスチックレンズを成形することが可能になる。これにより、少ない成形型で多様な設計値の累進屈折力プラスチックレンズを製造することができ、また、レンズ原料液の利用率を向上させることができる。
Aは従来のレンズブランクの製造方法で使用する成型用レンズ成形型の斜視図である。Bは同成型用レンズ成形型の断面図である。 図1に示す成型用レンズ成形型の粘着テープ近傍の拡大図である。 本発明の実施の形態の累進屈折力プラスチックレンズの製造方法に係る成型用レンズ成形型の斜視図である。 Aは図3に示す成型用レンズ成形型のプリズム測定位置対応点を通る垂直方向の断面図である。Bは図3に示す成型用レンズ成形型のプリズム測定位置対応点を通る水平方向の断面図である。 図4Aに示す成型用レンズ成形型の断面図の上端側近傍の拡大図である。 成型用レンズ成形型内のモノマーの重合収縮の前後の成形用レンズ成形型の様子を説明するための図である。 粘着テープが不規則に変形した状態の成型用レンズ成形型の粘着テープ近傍の拡大図である。 Aは本発明の製造方法により成形された累進屈折力プラスチックレンズの正面図、Bは同レンズのプリズム測定位置を通る垂直方向の断面図である。 本発明の実施の形態の累進屈折力プラスチックレンズの製造方法のフローチャートである。 モノマー組成物が充填された成型用レンズ成形型の加熱硬化工程における、時間と温度の関係を示す図である。 レンズ成形型形成装置を含むレンズ成形型形成システムの構成図である。 A,Bはレンズ成形型形成装置の成形型保持装置の動作説明図である。 C,Dはレンズ成形型形成装置の成形型保持装置の動作説明図である。
本発明の具体的な実施の形態の説明に先立ち、一方の面が累進面からなり、他方の面が球面からなるプリズムシニングなしのプラスチック製セミフィニッシュトレンズを、テープモールド法により形成されたレンズ成形型を用いて、注型重合法により製造する従来の方法について説明する。
図1Aに、レンズ成形型10の斜視図を示す。また、図1Bにレンズ成形型10の断面図を示す。図1A及び図1Bに示すように、レンズ成形型10は、レンズ前面形成用成形型11(以下、前面成形型ともいう)、レンズの後面形成用成形型12(以下、後面成形型ともいう)、及び、前面成形型11と後面成形型12の外周部分に巻かれた粘着テープ13から構成されている。
前面成形型11と後面成形型12は、ガラス製で、正面視外形状が同一径の円形をしたレンズ状の形状をしている。前面成形型11の一方の面には、レンズ前面を転写形成するための凹面状の成形面11A(以下、前面成形面ともいう)が形成されており、他方の面(非成形面)には、凸の球面が形成されている。また、後面成形型12の一方の面には、レンズ後面を転写形成するための凸面状の成形面12A(以下、後面成形面ともいう)が形成されており、他方の面(非成形面)には、凹の球面が形成されている。前面成形面11Aは累進面からなるレンズ前面を成形する面形状をしており、後面成形面12Aは球面からなるレンズ後面を形成するための面形状をしている。前面成形型11の外周面11B及び後面成形型12の外周面12Bは、円柱面または僅かに傾斜した円錐面で構成されている。ここで、外周面11Bの中心軸を前面成形型11の基準軸Aとし、外周面12Bの中心軸を後面成形型12の基準軸Aとする。なお、以下の説明においては、外周面11B、12Bが円柱面の場合について説明する。
前面成形面11Aは、前面成形型11の基準軸Aに対して、その基準軸Aと交わる前面成形面11A上の位置(以下、前面成形面基準点ともいう)の法線が一致するように前面成形型11上に形成されている。
また、後面成形面12Aは、この後面成形型12の基準軸Aと交わる位置(以下、後面成形面基準点ともいう)の法線が基準軸Aに一致するように後面成形型12上に形成されている。
粘着テープ13は帯状の樹脂製フィルムからなり、一方の面に粘着剤層が形成されている。
レンズ成形型10において、前面成形型11及び後面成形型12は、それぞれの基準軸A,Aを一致させた状態でそれぞれの成形面11A,12Aが所定の間隔で対向するように配置されている。そして、前面成形型11の外周面11B及び後面成形型12の外周面12Bに、粘着テープ13が、その粘着剤層側を内側にして1周より少し多く巻き付けて貼り付けられている。この粘着テープ13により、前面成形型11及び後面成形型12の位置が固定されている。これにより、前面成形型11と後面成形型12との間に、間隙が設けられ、前面成形型11の前面成形面11A、後面成形型12の後面成形面12A、及び、粘着テープ13の内面とで囲まれて閉塞したキャビティ14が形成される。
次に、図1Bに示したレンズ成形型10の断面図の粘着テープ13近傍の拡大図を図2に示す。前面成形型11と後面成形型12とは上述したとおり同一径であり、かつ、それぞれの基準軸A,Aを一致させて配置していることから、前面成形型11の外周面11Bと後面成形型12の外周面12Bとは同一円柱面上に位置し、図2に示すように、外周面11B、12Bの断面は同一線L上に並ぶ。
また、粘着テープ13は、張力をかけながら巻かれるため、図2に示すように、前面成形型11の外周面11Bと密着する部分、及び、後面成形型12の外周面12Bと密着する部分以外では、レンズ成形型10の中心方向へのたわみが若干発生する。
上記のようにして形成されたレンズ成形型10のキャビティ14に熱硬化性の重合成分であるモノマー組成物を含むプラスチックレンズ原料液を注入する。
前記レンズ原料液のレンズ成形型10への注入は、例えば、形成したレンズ成形型10から、粘着テープ13を一部剥がしてキャビティ14へ通じる注入口を形成し、この注入口からキャビティ14へレンズ原料液を注入することにより行なう。原料液がキャビティ14を満たし、注入口まで達したところで注入を停止し、注入口に再び粘着テープ13を貼り直す。
このレンズ原料液が充填されたレンズ成形型10を重合炉に投入し、所定の温度でモノマー組成物を重合、硬化させる。そして、重合終了後、レンズ成形型10を重合炉から取り出して冷却した後、粘着テープ13、前面成形型11、及び、後面成形型12を取り外し、成形されたレンズブランクを取り出す。以上の方法により、セミフィニッシュトレンズブランクが製造される。
このようにして形成された、前面が累進面からなるセミフィニッシュトレンズブランクは、後面が厚めに形成されており、顧客の処方データに従って所望の光学性能(遠用部屈折力(球面屈折力、乱視屈折力、乱視軸)や加入屈折力)が得られるように、後面を切削研磨加工し、個々の注文内容に応じた累進レンズを製造している。また、後面を切削する際に、プリズムシニング加工を施し、レンズを薄軽化することもできる。
次に、本発明の実施の形態であるプリズムシニングが施されたフィニッシュトレンズからなる累進屈折力プラスチックレンズを注型重合法により製造する方法について説明する。なお、本実施の形態は処方プリズムがない場合について説明する。
まず、図3に、本実施の形態の累進レンズの製造方法に係るレンズ成形型20の斜視図を示し、図4A及び図4Bに、その断面図を示す。図4Aは、レンズ成形型20により成形される累進レンズにおける幾何学中心の位置を通る垂直方向の断面図である。また、図4Bは、レンズ成形型20により製造される累進レンズにおける幾何学中心の位置を通る水平方向の断面図である。
なお、本明細書において、成形型(レンズ成形型10、20、前面成形型11、後面成形型12、第1成形型21、第2成形型22)や成形面(前面成形面11A、後面成形面12A、第1成形面21A、第2成形面22A)の説明で用いる「垂直方向」とは、成形される累進屈折力レンズの垂直方向(上下方向)を意味し、水平方向とは、同レンズの水平方向(左右方向)を意味する。
これら図に示すように、累進屈折力プラスチックレンズを製造するためのレンズ成形型20は、累進面からなる一方の光学面を形成するための第1の成形型21、他方の光学面を形成するための第2の成形型22、及び、これら成形型21、22の外周部分に巻かれた粘着テープ23から構成されている。本実施の形態では、前面(凸面)が累進面からなり、後面(凹面)が球面、非球面、トロイダル面、又は、非トロイダル面からなるフィニッシュトレンズ(レンズの両面が光学的に仕上げられたレンズ)を製造する場合について説明する。従って、この実施の形態では、レンズ前面形成用の成形型(前面成形型)が第1成形型21であり、レンズ後面形成用の成形型(後面成形型)が第2成形型22である。
第1成形型21と第2成形型22とは、ガラス製で、正面視外形状が同一径の円形をしたレンズ状の形状をしている。第1成形型21には、レンズ前面を転写形成するための凹面状の成形面21A(以下、第1成形面ともいう)が形成されており、他方の面(非成形面)には、凸の球面が形成されている。第2成形型22には、レンズ後面を転写形成するための凸面状の成形面22A(以下、第2成形面ともいう)が形成されており、他方の面(非成形面)には、凹の球面が形成されている。第1成形面21Aは累進面からなるレンズ前面を成形する面形状をしており、第2成形面22Aは球面、回転対称非球面、トロイダル面、又は、非トロイダル面からなるレンズ後面を形成するための面形状をしている。第1成形型21の外周面21B(以下、第1外周面ともいう)及び第2成形型22の外周面22B(以下、第2外周面ともいう)は、円柱面または僅かに傾斜した円錐面で構成されている。ここで、外周面21Bの中心軸を第1成形型21の基準軸A(以下、第1基準軸ともいう)とし、外周面22Bの中心軸を第2成形型12の基準軸A(以下、第2基準軸ともいう)とする。
また、第1成形型21の第1成形面21Aの周縁には、第1基準軸Aに垂直な平面Rからなる基準面25が形成されている。なお、以下の説明においては、外周面21B、22Bが円柱面の場合について説明する。
第1成形面21Aは、第1成形型21の基準軸Aに対して、その基準軸Aと交わる第1成形面21A上の位置Pm(以下、第1成形面基準点ともいう)の法線N1が垂直方向に傾斜して交わるように第1成形型21上に形成されている。この第1成形型21Aにおける第1成形面21Aの傾斜角度θ1(すなわち法線Nと基準軸Aの角度。以下、第1成形面傾斜角ともいう)は、左右の玉形加工前のレンズ(アンカットレンズ)におけるレンズの厚さを最適化するためのプリズムシニング(以下、アンカットプリズムシニングともいう)が得られる傾斜角度に基づいて設定されている。
また、第2成形面22Aは、第2成形型22の基準軸Aに対して、その基準軸Aと交わる第2成形面22A上の位置(以下、第2成形面基準点ともいう)の法線が一致するように第2成形型22上に形成されている。なお、第2成形面22Aがトロイダル面又は非トロイダル面の場合においてはその二つの主経線の交点は第2基準軸A上に位置し、回転対称非球面の場合においてはその回転対称軸が第2基準軸Aと一致している。
粘着テープ23は帯状の樹脂製フィルムからなり、一方の面に粘着剤層が形成されている。この粘着テープ23の詳細については後述する。
レンズ成形型20において、第1成形型21及び第2成形型22は、第1基準軸Aが第2基準軸Aに対して垂直方向に傾斜して交差した状態で、第1成形面21Aと第2成形面22Aが所定の間隔で対向するように配置されている。この第1成形型21と第2成形型22との相対的な傾斜の角度θ(すなわち基準軸Aと基準軸Aの角度。以下、成形型傾斜角ともいう)は、左右の玉形加工後のレンズ(玉形加工済みレンズ)におけるレンズの厚さを最適化するためのプリズムシニング(以下、玉形プリズムシニングともいう)が得られる両成形面21A,22Bの相対的な傾斜角θ(すなわち法線Nと基準軸A2の角度。以下、成形面傾斜角ともいう)から第1成形面傾斜角θ1を引いた値に基づいて設定されている。なお、第2基準軸Aに垂直な平面Rに対する基準面25の傾斜角度は前記成形型傾斜角θに等しいので、第1成形型21と第2成形型22との相対的傾斜角を設定する際に、この基準面25を基準にしても良い。
第2基準軸Aに垂直な方向における第2成形型22に対する第1成形型21の位置は、第2基準軸Aの方向からみた第1成形型22の外形状における幾何学中心位置(その外形状の垂直中心線と水平中心線との交点位置)が、第2基準軸A上に位置するように設定されている。すなわち、図4に示したように第1成形型21が第2成形型22に対して上側の間隔が狭くなるように垂直方向に傾斜して配置されている場合には、第2基準軸A方向からみた第1成形型21の外形状の垂直中心線上の上端は第1成形型21の非成形面と外周面21Bとの角部分であり、下端は基準面25と外周面21Bとの角部分である。そしてその上下端の垂直中心線上の中心位置が第2基準軸A上に位置している。
なお、プリズムシニング及びその基底方向(垂直)は、左右のレンズで同じにする必要があるが、本実施の形態のように処方プリズムがない場合には、左右のレンズ成形型における成形面傾斜角θは、成形される左右のレンズのプリズム測定基準点におけるプリズム屈折力およびその基底方向(垂直)が同じになるようにそれぞれ設定されている。また、第2基準軸A方向における第1成形型21と第2成形型の間隔は、成形されるレンズの厚さ(プリズム測定基準点の法線方向の厚さ)が所定の値になるように設定されている。
このように第1成形型21と第2成形型22の相対的な位置及び向きを保持した状態で、第1成形型21の外周面21B及び第2成形型22の外周面22Bに、粘着テープ23が、その粘着剤層側を内側にして1周より少し多く巻き付けて貼り付けられている。この粘着テープ23により、第1成形型21及び第2成形型22の位置が固定されている。これにより、第1成形型21と第2成形型22との間に、間隙が設けられ、第1成形型21の成形面21A、第2成形型22の成形面22A、及び、粘着テープ23の内面とで囲まれて閉塞したキャビティ24が形成される。
このように形成されたレンズ成形型20の第1成形面21Aと第2成形面22Aの間隔は、図4Aに示すように、垂直方向において上端が狭く、下端が広くなっている。
また、図4Bに示すように、レンズ成形型20において、水平方向の断面図では、第1成形面21Aと第2成形面22Aの間隔は、左右ほぼ同じである。
本実施の形態では、第1成形型21と第2成形型22とを対向配置させるときの相対的位置及び相対的傾斜角度を制御することにより、レンズ成形型20により成形される累進屈折力プラスチックレンズに、プリズムシニングを形成している。上述のとおり、第1成形型21に対して第1成形面21Aが垂直方向に予め傾斜して形成されているので、第2成形型22に対して第1成形型21を垂直方向に傾斜させることにより、第1成形面傾斜角θ1と成形型傾斜角θが合わさった角度が第2成形面22Aに対する第1成形面21Aの傾斜角度(成形面傾斜角)θとなる。そして、両成形型21、22を成形型傾斜角θで相対的に傾斜させた状態で、両成形型21,22の位置と間隔を粘着テープ23で固定することにより、成形されるレンズにプリズムシニングが設定できる成形型が形成される。
本実施の形態においては、上述の通り、第1成形面傾斜角θ1を、玉形加工前の左右のレンズにおけるレンズの厚さ(特にコバ厚)を最適化すための傾斜角度に基づいて設定しているので、玉形加工後の左右のレンズにおけるレンズの厚さ(特にコバ厚)を最適化するための成形面傾斜角θを設定するのに、成形型傾斜角θを設定することにより行なうことができ、プリズムシニングの制御が容易になる。すなわち、アンカットプリズムシニングを施したレンズを成形する場合は成形型傾斜角θを0度に設定し、玉形プリズムシニングを施したレンズを成形する場合は、成形型傾斜角θを、目標とする成形面傾斜角θから第1成形面傾斜角θを引いた角度に設定する。また、第1成形面傾斜角θ1を設けることにより、成形型傾斜角θの設定範囲を小さくできるので、後述する粘着テープの密着性も制御しやすくなる。
成形型傾斜角θの角度は、製造する累進多焦点プラスチックレンズの設計値により異なるが、0.01度以上3度以下、より好ましくは0.01度以上1度以下の範囲内で設定すると好ましい。0.01度以上では、累進屈折力プラスチックレンズに効果的なプリズムシニングを形成することができ、3度以下であれば、両成形型21,22を粘着テープ23で固定する際に、粘着テープ23の密着性、及び、固定性が良好であるため、キャビティ24内に注入されるレンズ原料の漏れが生じにくい。
次に、図4Aに示したレンズ成形型20の垂直方向の断面図における、上側の粘着テープ23近傍24Aの拡大図を図5に示す。
図5に示すように、レンズ成形型20では、第1成形型21と第2成形型22は相対的に傾斜させて対向配置させているので、第2成形型22の外周面22Bの延長線上に第1成形型21の外周面21Bが位置していない。すなわち、第1成形型21の外周面21Bと、第2成形型22の外周面22Bとはその断面が同一線上にはなく、第2成形型22の外周面22Bに対して第1成形型21の外周面21Bは傾斜している。
また、粘着テープ23は、張力をかけながら巻かれるため、図5に示すように第1成形型21の外周面21Bと密着する部分、及び、第2成形型22の外周面22Bと密着する部分以外は、レンズ成形型20の中心方向へのたわみが若干発生している。
なお、本実施の形態は処方プリズムを有さないレンズの場合であるためプリズム屈折力の基底方向は垂直方向にあることから、第1成形面傾斜角θ1、成形型傾斜角θ、および、成形面傾斜角θは、レンズ成形型20において第2基準軸Aを通る垂直面内の角度で設定されているが、処方プリズムを有する場合は、第2基準軸Aを通る、処方プリズムと玉形プリズムシニングを合成したプリズムの基底方向の平面内の角度で設定するとよい(以下、処方プリズムと玉形プリズムシニングを合成したプリズムを合成玉形プリズムともいう)。この場合は、第1成形面傾斜角度θは第1成形型21に対して第1基準軸Aを通る合成玉形プリズムの基底方向の平面内の角度で設定し、また、成形型傾斜角θは、合成玉形プリズムが得られる両成形面21A,22Bの相対的な傾斜角θから第1成形面傾斜角θ1を引いた角度で、かつ、第2基準軸Aを通る合成玉形プリズムの基底方向平面内の角度で設定するとよい。以下、第1成形面傾斜角θ1、成形型傾斜角θ、および、成形面傾斜角θを設定する方向を単に傾斜方向ともいう。
次に、上述のレンズ成形型20を用いた累進屈折力プラスチックレンズの製造方法、及び、そのレンズを取り付けた眼鏡の製造方法について説明する。
図9は、本実施の形態にかかる累進屈折力プラスチックレンズ及びそのレンズを用いた眼鏡の製造方法を示すフローチャートである。本実施の形態にかかる製造方法は、後述するレンズ成形型形成工程を有し、この工程はレンズ成形型形成装置を用いて行なう。以下、オンラインで眼鏡レンズの注文を受け付けて、その注文内容に基づいて眼鏡レンズを成形するための成形型を組み立てるレンズ成形型形成システムおよびそこに組み込まれたレンズ成形型形成装置について説明する。図11はレンズ成形型形成システムの概略構成を示す図であり、図12A,B及び図13C,Dはレンズ成形型形成装置を構成する成形型保持装置の動作を説明する図である。
図11に示したレンズ成形型形成システム50は、発注元からのオンラインでの注文に応じて眼鏡レンズを製造する眼鏡レンズ供給システムの一部を構成しており、発注元の例として眼鏡店60を、レンズ製造元の例としてレンズメーカの工場80を示している。眼鏡店60と工場80とは通信媒体51を介して接続されており、通信媒51としては例えば、公衆通信回線、専用回線、インターネット等を利用することができ、途中に中継局を設けるようにしても良い。なお、以下、発注元が眼鏡店60の場合で説明するが、これに限定されず、例えば眼科医院、個人、レンズメーカの営業所等であっても良い。また、図11においては、発注元は一つしか示していないが、通信媒体51を介して多数の発注元が製造元に接続可能になっている。
眼鏡店60には、オンライン注文用端末としてのコンピュータ61と、眼鏡フレームの形状(リム枠の内周形状や玉形となるレンズの外周形状)を測定するフレーム形状測定装置62が設置されている。注文用端末61は、通信媒体51を介して工場80側に接続するための通信手段を有し、レンズを注文するために必要な情報が送受信可能になっている。
工場80には、注文用端末61からの注文を受注する処理と、その受注内容に基づいてレンズの製造に必要なデータを作成する処理とを行うとともに、それらデータを記憶するコンピュータである工場サーバ90と、受注内容や作成されたデータ等に基づいてレンズ成形型を形成するレンズ成形型形成装置100とを有している。
工場サーバ90は処理部91と記憶部92を有している。処理部91は、注文用端末61からの注文を受注し受注データ921として記憶する受注処理機能911と、この受注データ921に基づいて眼鏡レンズの形状を計算し設計データ922として記憶する設計データ作成機能912と、これら受注データ921や設計データ922に基づいて各種製造工程における装置の制御データや加工条件を作成し加工データ923として記憶する加工データ作成機能913とを有する。前記記憶部は、上記した受注データ921、設計データ922、及び、加工データ923の他に、処理部91での処理に必要な、レンズ情報924、フレーム情報925、第1及び第2成形型の情報である成形型情報926、傾斜角設定具情報927等も記憶されている。
前記設計データ作成機能912は、アンカットレンズのレンズ形状とそのレンズ上に想定される玉形加工後のレンズ形状を計算する機能を有する。また、受注したレンズが累進屈折力レンズの場合には、アンカットプリズムシニングを施したレンズ形状を設計する機能と、玉形プリズムシニングを施したレンズ形状を設計する機能とを有している。そして、それぞれのレンズ形状におけるレンズ前面及び後面の形状情報、その前後面の配置に関する情報、レンズ上に想定される玉形形状情報、プリズム測定基準点位置情報、プリズム屈折力等が前記設計データ922に記憶される。なお、受注データに処方プリズムが指定されていない場合、前記プリズム屈折力は、アンカットプリズムシニングおよびその基底方向(垂直)、並びに、玉形プリズムシニングおよびその基底方向(垂直)となる。
前記加工データ作成機能913は、受注したレンズが累進屈折力レンズの場合に、前記設計データ922に記憶されているアンカットプリズムシニングを施した場合のプリズム屈折力(処方プリズムを有さない場合はアンカットプリズムシニング)と玉形プリズムシニングを施した場合のプリズム屈折力(処方プリズムを有さない場合は玉形プリズムシニング)に基づいて、第1成形面傾斜角θ、成形型傾斜角θ、成形面傾斜角θ、および、傾斜方向を算定する機能を有する。また、これら算出された角度θ,θ,θ、傾斜方向を含む設計データ922、成形型情報926、傾斜角設定具情報927に基づいて使用する第1成形型21、第2成形型22、成形型保持装置110で使用する傾斜角設定具116A,116Bが選定される。また、処方プリズムが指定されている場合には傾斜角設定具116A,116Bの取り付け回転角度も決定される。また、成形型の保持間隔が算出される。算出されたこれら角度θ,θ,θ、使用するツール(第1成形型21、第2成形型22、傾斜角設定具116A,116B)、傾斜角設定具の取り付け回転角度、成形型保持間隔等は、前記加工データ923に記憶される。
ここで、受注データとしては、例えば、眼鏡レンズ情報、眼鏡フレーム情報、処方値、レイアウト情報などがある。眼鏡レンズの情報としては、レンズ材質、屈折率、レンズ前後面の光学設計の種類、レンズ外径、レンズ中心厚、コバ厚、偏心、ベースカーブ、累進帯長、インセット量、ヤゲン加工の種類、染色カラー、コーティングの種類、プリズムシニングの種類(アンカットプリズムシニング、玉形プリズムシニング)などがある。眼鏡フレーム情報としては、製品識別名、フレームサイズ、素材、フレームカーブ、玉形形状、フレームトレーサによって測定されたフレーム形状やレンズ形状などがある。処方値としては、球面屈折力、乱視屈折力、乱視軸、処方プリズム、加入屈折力などがある。レイアウト情報としては、瞳孔間距離、近用瞳孔間距離、アイポイント位置などがある。
レンズ成形型形成装置100は、成形型保持装置110、保持位置設定装置120、テープ巻付装置130、これら装置を制御するコンピュータである制御装置140を有している。
成形型保持装置110は、第1成形型21を保持する第1成形型保持部111Aと、この第1成形型保持部111Aによる第1成形型21の保持する傾斜角度を設定するための第1傾斜角度設定部115Aと、第2成形型22を保持する第2成形型保持部111Bと、この第2成形型保持部111Bによる第2成形型22の保持角度を設定するための第2傾斜角度設定部115Bとを有している。
第1成形型保持部111Aは、第1吸引管部112Aと、その先端側に設けられた第1吸着パッド部113Aと、この第1吸引管部112Aと第1吸着パッド部113Aとを通気した状態で連結する第1ジョイント部114Aとを有する。同様に、第2成形型保持部111Bは、第2吸引管部112Bと、その先端側に設けられた第2吸着パッド部113Bと、この第2吸引管部112Bと第2吸着パッド部113Bとを通気した状態で連結する第2ジョイント部114Bとを有する。吸引管部112A,112Bは図示しない真空発生手段(例えば真空うポンプやエジェクタ)に連結されており、図示しない駆動手段により、回転軸Bを中心に回転可能に構成されているとともに、回転軸Bの内方及び外方に移動可能に構成されている。吸着パッド部113A,113Bをゴム製のパッドからなり、成形型の非成形面と密着した状態で吸引管部112A,112Bからの吸引により吸着パッド部113A,113B内が負圧になることにより成形型を保持するものである。ジョイント部114A、114Bは、吸引管部112A,112Bに対して吸着パッド部113A,113Bを全方向に傾斜可能でかつ回転軸Bに垂直な平面内に移動可能に連結する。この吸着パッド113A,113Bの傾斜と垂直面内移動の、可動と固定の切り替えは遠隔操作可能になっている。前記吸引管部112A,112Bは回転軸B上に配置され、前記吸着パット113A,113Bは回転軸Bの内方に対向して配置されている。なお、第2ジョイント部は吸着パッド113Bの傾斜をできないように構成しても良い。この場合は成形型保持工程において、第2成形型22はその基準軸Bを中心に回転位置を調節可能に保持し、前記第1成形型21は、垂直方向にその基準軸Bの傾斜角度を調節可能に保持するようにできるため成形型保持装置110の構造を簡単にすることができる。
第1傾斜角度設定部115Aは、回転軸Bに対する第1成形型21の保持角度を設定するための第1傾斜設定具116Aとこの第1傾斜設定具116Aを固定するための第1固定部117Aとからなる。第1固定部117Aは、円筒状をしており、その中心軸が回転軸Bに一致するように、吸引管部112Aの周りに固定されている。同様に、第2傾斜角度設定部115Bは、回転軸Bに対する第2成形型22の保持角度を設定するための第2傾斜設定具116Bとこの第2傾斜設定具116Bを固定するための第2固定部117Bとからなる。第2固定部117Bは、円筒状をしており、その中心軸が回転軸Bに一致するように、吸引管部112Bの周りに固定されている。固定部117A,117Bの回転軸B内方の端部は傾斜設定具116A,116Bを取り付け可能に構成されている。
第1傾斜設定具116Aは、円筒状をしており、その中心軸が回転軸Bに一致するように、第1固定部117Aの先端に固定されている。同様に第2傾斜設定具116Bは、円筒状をしており、その中心軸が回転軸Bに一致するように、第2固定部117Bの先端に固定されている。傾斜設定具116A,116Bは、回転軸B外方の端部に前記固定部117A,117Bへの接続部が設けられ、回転軸B内方の先端(以下、傾斜設定端ともいう)は同一平面上位置するように形成されている。本実施の形態では、第2成形型22は回転軸Bに垂直に保持し、第1成形型21は回転軸Bに傾斜するように吸引管部112A,112Bに保持するので、第1傾斜設定具117Aの回転軸B内方の先端が位置する平面は回転軸Bに対して傾斜しており、第2傾斜設定具117Bの回転軸B内方の先端が位置する平面は回転軸Bに対して垂直になっている。傾斜設定具116A,116Bは、固定部117A,117Bに対しての回転軸B周りの取り付け方向は任意に設定可能になっている。
保持位置設定装置120は、成形型保持部111A,111Bに対する成形型21,22の垂直方向の保持位置を所定の位置に設定するための装置であり、保持軸B方向からみた成形型21,22の幾何学中心を保持軸B上に位置させる機能を有する。保持位置設定装置120は保持軸Bに平行な面を備えた複数の当接面部と、これら当接面部を回転軸Bの垂直方向に回転軸Bに向かって同時に接近後退可能に移動させる駆動手段とを有する。この当接面部は、略等間隔で3方向以上から成形型21,22にそれぞれ当接するようになっていると好ましい。
テープ巻付装置130は、粘着テープのロールを回転軸Bと平行な軸で回転可能に保持するテープ保持部と、粘着テープロールから粘着テープを引き出し、その引き出された先端の粘着面を成形型21,22の外周に貼り付けるテープ貼付機構部と、粘着テープを巻き付けた後にテープを切るテープカット機構部とを有している。
制御装置140は、工場サーバ90にネットワークを介して接続されており、工場サーバ90の記憶部92に記憶された受注データ、設計データ、加工データ等をデータ受信可能になっている。そして、前記成形型保持装置110の吸引管部112A,112Bの回転駆動手段及び移動駆動手段、真空発生手段、ジョイント部の可動固定切替手段、テープ貼付機構部駆動手段、テープカット機構部駆動手段、保持位置設定装置120の当接部駆動手段等を制御する制御部を備えている。この制御装置は、コンピュータ、プログラマブルコントローラ、それらの組み合わせなどを用いることができる。
次に、レンズ成形型形成装置100の動作について、図9、図11、図12、図13を用いて説明する。なお、図12及び図13において、図12Aは成形型保持装置の側面図、図12B及び図13C,Dは断面図(ただし、第1成形型保持部111Aと第2成形型保持部111Bは側面図)で示している。なお、成形する累進レンズに処方プリズムがない場合について以下説明する。
初めに、工場サーバ90は、眼鏡店60からの累進屈折力レンズの注文を受け付けると、受注処理部911、設計データ処理部912により、受注データ及び設計データを作成する。そして、加工データ作成処理部は、受注データ及び設計データを取得し(受注データ及び設計データ取得工程(ステップS1))、これを基に加工データを作成する。この時、加工データ処理部913は、第1成形面傾斜角θ1、成形面傾斜角θを算出する(成形面傾斜角算出工程(ステップS2))。そして、これら算出された角度および設計データ922に基づいてレンズ成形型20に用いる第1成形型21及び第2成形型22を選定する。
また、その算出した成形面傾斜角θと前記選定した第1成形型21の第1成形型成形面傾斜角θ1に基づいて、成形型傾斜角θを算出し、それに基づいて使用する傾斜角設定具116A,116Bを選定する。また、両成形型21,22の保持間隔が算出し、それに基づいて成形型保持装置110の成形型保持部111A,111Bの回転軸方向の移動を制御するためのデータを作成する(成形型傾斜角及び間隔算出工程(ステップS3))。
次に、ステップS2で選定された第1成形型21及び第2成形型22を、前記成形型保持装置110の成形型保持部111A,111Bにそれぞれに取り付けて、ステップS2で算出された成形面傾斜角θおよびステップS3で算出された成形型保持間隔になるように第1成形型21及び第2成形型22の相対位置及び相対傾斜角を設定し、その状態で保持する(成形型保持工程(ステップS4))。この成形型保持工程については、以下、図12及び図13を用いてさらに詳細に説明する。
初めに加工データ923で選定されている第1傾斜設定具116Aを第1固定部117Aに取り付けるとともに、第2傾斜設定具116Bを第2固定部117Bに取り付ける。次に、加工データ923で選定されている第1成形型21及び第2成形型22をその幾何学中心位置が保持軸Bに略一致するように第1吸着パッドと第2吸着パッドの間に配置する(図11(a))。この時、第2成形型22の成形面22Aがトロイダル面又は非トロイダル面からなる場合には、第1成形型21と第2成形型22の相対的回転位置は受注データの乱視軸の角度に基づいて設定する。なお、成形型21,22に取り付けた後に吸引管部112A,112Bを回転させて両成形型の相対的回転位置を設定しても良い。
次に、第1吸引管部112Aと第2吸引管部112Bを回転軸Bの内方にそれぞれ前進させ、第1成形型21の非成形面と第1吸着パッド113A、並びに、第2成形型22の非成形面と第2吸着パッド113Bを密着させる。そして、真空発生手段により吸引管部112A,112B及び吸着パッド113A,113B内を負圧にして成形型21,22を吸着パッド113A,113Bに取り付ける。この時、吸着パッド113A,113Bの中心が保持軸B上に位置するとともに、吸着パッド113A,113Bの向きが保持軸に対して傾斜しない状態に保持されるようにジョイント部114A,114Bは固定しておく(図11(b))。
続いて、吸着パッド113A,113Bの保持軸に対する垂直方向及び傾斜方向が可動するようにジョイント部114A,114Bを可動状態に切り替え、吸引管部112A,112Bを回転軸B外方に移動させ、第1成形型21の非成形面と第1傾斜設定具116Aの先端部並びに第2成形型22の非成形面と第2傾斜設定具116Bの先端部を密着させる。そして保持位置設定装置120の当接面部を4方向(上側2方向、下側2方向)から同時に回転軸Bの垂直方向で回転軸に向かって移動させて、第1成形型21の外周部に全ての当接面部を回転軸Bから等距離の位置で当接させた後、第1ジョイント部114Aを固定状態に戻す。同様に第2成形型22の外周部にも全ての当接面部を回転軸Bから等距離の位置で当接させた後、第2ジョイント部114Bを固定状態に戻す。これにより、第1成形型21は所定の傾斜角度で保持されるとともに、第2成形型22は垂直に保持される。また、両成形型21,22の回転軸B方向から見た外形状における幾何学中心がそれぞれ回転軸B上に位置する(図11(c))。
次に、吸引管部111A,111Bを、加工データで設定された成形型保持間隔になるように回転軸B内方にそれぞれ前進させる(図11(d))。
次に、粘着テープ巻付装置130のテープ貼付機構部は、回転軸と平行な軸で回転可能に保持された粘着テープロールから粘着テープを引き出して成形型の外周面に貼り付けるとともに、吸引管部112A,112Bを回転軸を中心に同時に一周以上回転させることにより、粘着テープ23の両成形型の周囲に巻きつける。その後テープカット機構部を駆動して余ったテープを切断する(粘着テープ巻付け工程(ステップS5))。この粘着テープの巻きつけは、両成形型21、22の外周面21B、22Bが粘着テープの粘着面に接触するように張力をかけて巻きつける。なお、巻きつける際の回転軸は、例えば一方の成形型の基準軸A,Aと同じにしてもよいし、それぞれの基準軸A,Aの中間の角度の回転軸にしても良い。
なお、上記ステップS2からステップS5までの工程をレンズ成形型形成工程ともいう。このようにして形成されたレンズ成形型20は、次の原料液注入工程に移される。
次に、前記ステップS5で作製したレンズ成形型20の粘着テープ23を一部剥がしてキャビティ24と外部とをつなぐ注入口を形成する。そして、この注入口から、プラスチックレンズの原料液をキャビティ24へ注入する。レンズ原料液がキャビティ24を満たし、注入口まで達したところで注入を停止し、注入口に再び粘着テープ23を貼り直す(レンズ原料液注入工程(ステップS6))。
本発明で用いるレンズ原料液を構成するモノマー組成物は特に限定されないが、特に本発明の製造方法の効果が得られるモノマー組成物として、ポリチオウレタン樹脂を含む組成物が挙げられる。ポリチオウレタン樹脂としては、ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物との組み合わせ、あるいはビス(β−エピチオプロピル)スルフィド及びビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィドなどのエピチオ基含有化合物などが挙げられる。上記ポリイソシアネート化合物としては、1,3-ジイソシアナトメチル−シクロヘキサン及びキシレンジイソシアネートなどが挙げられる。上記ポリチオール化合物としては、ペンタエリスリトールテトラキス−(2−メルカプトアセテート)、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、メルカプトメチル−ジチア−オクタンジチオール及びビス(メルカプトメチル)−トリチアウンデカン−ジチオールなどが挙げられる。
本発明で用いるモノマー組成物には、通常プラスチックレンズの製造に用いる公知の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
上記添加剤としては、例えば、吸光特性を改良するための、紫外線吸収剤、色素及び顔料等、耐候性を改良するための、酸化防止剤及び着色防止剤等、成形加工性を改良するための離型剤等を挙げることができる。
ここで、紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系及びサリチル酸系等が、色素や顔料としては、例えばアントラキノン系及びアゾ系等が挙げられる。酸化防止剤や着色防止剤としては、例えばモノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノール系、硫黄系及びリン系等が、離型剤としては、例えばフッ素界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、酸性リン酸エステル及び高級脂肪酸等が挙げられる。
次に、モノマー組成物を充填したレンズ成形型20を重合炉に投入し、所定の温度に加熱して原料のモノマーを重合させる(硬化工程(ステップS7))。重合終了後、レンズ成形型20を重合炉から取り出し、室温まで冷却した後、粘着テープ23、第1成形型21、第2成形型22を取り外し、成形された累進屈折力プラスチックレンズを取り出す(レンズ成形型除去工程(ステップS8))。
上述のように、レンズ成形型20を構成し、このレンズ成形型20を使用してレンズを注型重合法により成形することにより、レンズ前面に累進面を有し、プリズムシニングが施された、アンカットレンズ(玉形加工前のフィニッシュトレンズ)としての累進屈折力プラスチックレンズを製造することができる。
このように形成されて累進レンズは、受注内容に応じてレンズの表裏面に各種表面処理が施され(各種コーティング工程(ステップS9))、その後、所望の玉形に玉形加工(縁摺り加工)され(玉形加工工程(ステップS10))、眼鏡フレームに取り付けられて眼鏡となる(眼鏡フレーム取り付け工程(ステップS11))。上記ステップS9〜S11については公知の従来技術が利用できるので詳細な説明は省略する。
上述した製造方法により製造された玉形加工前の累進屈折力プラスチックレンズ30の例を図8に示す。図8Aは累進屈折力レンズの正面図であり、図8Bは同レンズのプリズム測定基準点位置P1を通る垂直面Vによる断面図である。
図8に示した累進屈折力プラスチックレンズ30は、累進面を有するレンズ前面30Aと、球面、非球面、トロイダル面、又は非トロイダルレンズを有するレンズ後面30Bとを有し、レンズ前後面30A,30Bの周りには、外周面30Cが形成されている。このレンズ正面視形状は円形であり、プリズム測定位置P1はレンズ前面の中心に位置している。
この図8に示したレンズ30は、玉形プリズムシニングが施されている。これにより、プリズム測定位置における法線NLが、このプリズム測定位置P1を通るレンズ後面の法線に対して、垂直方向に傾斜しており、このレンズ30上端と下端でコバ厚が異なっている(この例では、上端のコバ厚が下端のコバ厚より薄くなっている)。そして、このレンズ30上に玉形形状Sを想定した場合、プリズム測定位置P1を通る水平面Hに平行な玉形形状Sの最上端の接線Ttの位置及び最下端の接線Tbの位置での前記垂直面Vの断面における上下のコバ厚Dte、Dbeは、プリズムシニングを施さない場合や、アンカットプリズムシニングを施す場合のコバ厚よりも小さくなっている。なお、プリズムシニングを施さない場合のレンズ前面の例を点線31に示し、その場合の上端のコバ厚をDt1、下端のコバ厚をDbで示している。また、アンカットプリズムシニングを施した場合のレンズ前面の例を点線32に示し、その場合の上端のコバ厚をDt2、下端のコバ厚をDbで示している。このようなプラスチックレンズ30は、両面が光学的仕上げられているので、従来のような切削・研磨工程は必要ない。
上述の製造方法において、前記硬化工程(ステップS7)について、さらに詳しく説明する。レンズ原料液を充填したレンズ成形型20を重合炉に投入し、所定の温度で原料のモノマーを重合させる際、モノマーが重合することにより、キャビティ24を充填している組成物が重合収縮する。この重合による重合収縮の様子を図6に示す。図6において、図面左側に重合収縮前のレンズ成形型20の様子を示し、図面右側にキャビティ24に充填された組成物が重合収縮した状態のレンズ成形型20の様子を示す。
図6に示すように、モノマーの重合収縮に伴って第1成形型21と第2成形型22の一方あるいは両方が、粘着テープ23の内面(粘着面)に沿って、成形面21A、22Aの向きを維持しながら他方の成形型に接近するように滑り動いている。このとき、第1成形型21と第2成形型22とが粘着テープ23の内面(粘着面)に沿って前周囲均一に滑り動くためには、粘着テープ23の保持力が好適な範囲である必要がある。
粘着テープ23の保持力が好適な範囲である場合には、モノマーの重合中に粘着テープ23の粘着性が適度に低下し、第1成形型21と第2成形型22少なくとも一方が重合収縮の応力により容易に移動する。つまり、第1成形型21及び第2成形型22の移動が、外周面21B,22Bにおいて粘着テープ23の内面に沿って内側に移動する。このため、第1成形型21及び第2成形型22全体が、全周囲均一に他方の成形型に近づく方向に移動する。
このように、第1成形型21及び第2成形型22の均一な移動により、重合収縮による成形型の挙動が想定どおりに行なわれ、重合収縮分を考慮して形成されたレンズ成形型20で製造される累進屈折力プラスチックレンズの形状は、設計値との誤差をなくすことができ、高い精度で製造することができる。
しかし、粘着テープの保持力が好適範囲より強すぎると、重合収縮時に、第1成形型21や第2成形型22が粘着テープから剥がれずに粘着テープが不規則に変形する。この粘着テープ23が変形した状態のレンズ成形型20の、粘着テープ23近傍の拡大図を図7に示す。
図7に示すように、粘着テープ23が、レンズ成形型20のキャビティ24の側方において変形している。このような粘着テープ23の変形が、もしもレンズ成形型20の全周囲で均一に生じるのであれば、上述の粘着テープの保持力が好適な範囲である場合と同様に、第1成形型21と第2成形型22とがそれぞれの成形型の向き維持したまま移動するので、問題にはならない可能性があるが、通常は部分的に変化するため、第1成形型21の成形面21Aと第2成形型22の成形面22Aとの相対的な位置及び向きがくずれてしまい、累進屈折力プラスチックレンズの設計値からの誤差が大きくなってしまう。
従来のレンズブランクを用いた累進レンズの製造方法では、レンズブランクの光学的に仕上げられていない面を切削・研磨する工程があるため、成形されたレンズブランクの厚さや、切削する側の成形面の形状が厳密でなくてもよい。しかし、本実施の形態の製造方法では、累進屈折力プラスチックレンズの設計値に基づき重合収縮分を考慮してレンズ成形型を構成し、このレンズ成形型による成形で累進屈折力プラスチックレンズのプリズムシニングを形成する。このため、重合収縮後のレンズ成形型のキャビティの形状、すなわち第1成形型と第2成形型との間隔や傾きが、累進屈折力プラスチックレンズの精度に直接影響を与える。
従って、本実施の形態のレンズ成形型を用いた累進屈折力プラスチックレンズの製造方法では、好適な保持力を有する粘着テープを使用することが必要となる。
以下、粘着テープ及びその保持力について説明する。
レンズ成形型を構成する粘着テープは、基材となるフィルムと粘着剤とから構成される。
基材は特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルを、フィルム状に加工することにより使用される。
粘着剤は、例えば、アクリル系、シリコン系等が好適に使用される。
また、基材及び粘着剤の密着性を改善させる目的で中間層を設けてもよい。
粘着テープは、第1成形型及び第2成形型の外周面を固着し、レンズ原料液の注入から重合反応までの間、両成形型を所定の位置に固定するための保持力が維持できるとともに、両成形型に巻き付ける操作が容易となるようにする必要があることから、前記基材は、適度な保持力と柔軟性を有するように厚さが設定されている。また、レンズ原料液に対する耐性と、重合反応時の加熱や反応熱により変形しない耐熱性が得られるように設定する必要がある。
また、粘着剤は、レンズ原料液がレンズ成形型内に注入された際や熱硬化時に、レンズ原料液中に溶解して、レンズに光学的欠損を発生させないように、レンズ原料液に対して耐性を有するものを用いる。
モノマー組成物の重合反応は、重合触媒や重合開始剤を含んだモノマー組成物への加熱や、紫外線照射等により行う。このモノマー組成物の重合反応の一例として、一般的な加熱重合の場合を説明する。また、図10に、重合反応における、時間と温度の関係を示す。
まず、モノマー組成物を含めレンズ原料液が注入された成形用鋳型を比較的低温、例えば20℃以下で保ち、モノマー組成物の粘度をゆっくりと上昇させる。次に、レンズ成形型の温度を除々に上昇させ、モノマーの反応温度、例えば100℃以上まで除々に上昇させることにより、モノマーをゲル化、固化させる。そして、充分な温度まで上げたところで、温度を一定に保持する。この温度において、モノマーの重合反応を充分に進行させ、レンズ原料液を硬化させてレンズを形成する。
粘着テープの粘着剤は、低温状態でレンズ成形型の形状を保つために充分な保持力が必要となる。また、レンズ成形型を昇温した際の、モノマーの重合収縮時には、第1成形型及び第2成形型が収縮に伴って容易に移動できるように、粘着テープの粘着性が低下する必要がある。
熱硬化時に粘着テープの粘着性の低下が不充分であると、第1成形型及び第2成形型の移動が難しくなる。この結果、前記図7を用いて説明したとおり、重合収縮により生じる応力が、粘着テープのキャビティ側方に集中し、粘着テープが変形してしまう。
また、低温時の粘着テープの粘着性が不充分であると、粘着テープと、第1成形型外周面及び第2成形型外周面との密着性が低くなる。このため、モノマー組成物の漏れや、キャビティへの空気の流入が発生する。
このため本発明においては、粘着テープの保持力を好適な範囲に設定する。この粘着テープの保持力(粘着性)の好適な範囲について説明する。
粘着テープの粘着性は、温度に依存して大きく変化する。このため、レンズ成形型に使用する粘着テープの粘着性は、粘着テープに加わる温度での粘着性を考慮する必要がある。
モノマー重合時の昇温工程において重合収縮による体積挙動を観察すると、モノマーの重合反応中に体積が急激に小さくなる温度帯が存在する。この温度帯は、温度を除々に上昇し、モノマーをゲル化、固化させるときに発生する。例えば、硬化工程において図10に示すグラフのように昇温した場合に、昇温中のTで示す温度帯において、体積が急激に小さくなるとき、この温度帯Tの中心値を重合収縮時の温度と定義する。
この重合収縮時の温度は、レンズの原料となるモノマーの種類や、添加剤により異なるが、原料モノマーに混合する反応開始剤、重合触媒の種類や混合量を調製することで調製することができる。重合収縮時の温度は、製造工程で扱いやすい温度に調整され、40〜80℃であることが好ましい。粘着テープの粘着力は、室温よりも重合収縮時の温度の方が低下するテープを用いると好ましい。
粘着テープの粘着性は、上述の重合収縮時の温度において、後述するJIS Z0237に準拠した方法により測定し、保持力が5分間以上30分間以下であることが好ましい。さらに好ましくは、10分間以上20分間以下であることが好ましい。粘着テープの保持力が5分間以上であると、第1成形型及び第2成形型の固定が充分でき、モノマー組成物の注入から重合収縮前に、第1成形型及び第2成形型が動いたり、粘着テープの剥離による、モノマー組成物の漏れや、空気の流入が起きたりする虞がない。保持力が30分間以下であると、重合収縮時に粘着テープの粘着性の低下が充分となり、重合収縮による第1成形型及び第2成形型の移動が容易になり、粘着テープが変形してしまう虞がない。
上述のJIS Z0237に準拠した粘着テープの粘着性の測定方法について説明する。
まず、試験片として、25mm幅の粘着テープを準備する。この25mm幅の粘着テープを、試験板に10mmの長さで貼付ける。試験板には鏡面仕上げのSUS304鋼板を使用する。この状態で20分以上保持した後、試験板及び粘着テープが鉛直に垂れ下がるように保持する。そして、粘着テープの端に1kgの重りを取り付ける。試験板から粘着テープが落下するまでの時間を測定し、この時間を粘着テープの保持力とする。
次に本発明の製造方法により製造したプリズムシニングを施した累進屈折力プラスチックレンズの実験例について説明する。
(実験例1)
まず、レンズ成形型を作製した。レンズ成形型を構成する累進面からなる成形面を有する第1成形型(凸面形成用成形型)には、外径76.0mm、コバ厚4mm、遠用部の平均曲率半径122mm、中心肉厚5.0mm、水平方向有効径75.5mmとなる基準面(平面フランジともいう)を有する累進屈折力プラスチックレンズ用の成形型を用いた。また、成形用鋳型を構成する球面からなる成形面を有する第2成形型(凹面形成用成形型)には、外径76.0mm、曲率半径121mm、中心肉厚2.5mmの累進屈折力プラスチックレンズ用の成形型を用いた。そして、Sambo tech社製のAutomatic mold taping machine TPM−2000を用いて、第1成形型の基準軸が、第2成形型の基準軸に対して垂直方向に上方に3度傾斜するとともに、第2成形型の基準軸方向から見た第1成形型の外形状の幾何学中心位置が第2成形型の基準軸上に位置するように位置決めした後、粘着テープ(基材:ポリエステルフィルム、粘着剤:シリコーン系粘着剤、テープ厚:0.068mm、粘着力:5.3N/10mm(23℃))を第1成形型及び第2成形型の周外周面に巻いて貼付けて固定した。なお、第1成形型の外周面と第2成形型の外周面は、ほぼそれぞれの成形型の基準軸に対して平行な同一径の円柱面で構成されているので、第1成形型の外周面は、第2成形型の外周面に対して3度傾斜している。
次に、レンズの原料となるモノマー組成物を調製した。
まず、撹拌装置を備えた5リットル(L)セパラブルフラスコを用意し、水浴で5℃に冷却した。
また、1Lのポリエチレン製ビーカーに、5℃に冷却した1,3−ジイソシアネートメチル−シクロヘキサン1426gを計り取り、これに紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(シプロ化成製シーソーブ709)3.0g、離型剤としてブトキシエチルアシッドフォスフェート(城北化学工業製JP−506H)4.8g、重合触媒としてジメチルチンジクロリド24.0gを加え、20分撹拌した。この撹拌により、紫外線吸収剤、離型剤及び重合触媒は、1,3−ジイソシアネートメチル−シクロヘキサンに溶解し、均一な溶液となった。
次に、1,3−ジイソシアネートメチル−シクロヘキサンの溶液を、セパラブルフラスコに移した。そして、セパラブルフラスコに、5℃に冷却したペンタエリスリトールテトラキス−(2−メルカプトアセテート)794gと、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン780gとを加え、10分間撹拌した。
撹拌を停止し、セパラブルフラスコを真空ポンプに接続し、減圧脱泡を行った。減圧脱泡では、内部のモノマー組成物の発泡状態を確認しながら撹拌を再開し、除々に撹拌速度を上げたところ、減圧度が40Paで安定した。この状態で30分間保持してから、常圧に戻し、モノマー組成物の調製を完了した。
次に、モノマー組成物の調製後直ちにセパラブルフラスコを、ノズル直前に5ミクロンのテフロン(登録商標)メディアディスクフィルタを取り付けたシリコンチューブからなる注入ラインに接続した。そして、レンズ成形型の粘着テープを一部剥離して注入口を形成し、この注入口に、乾燥窒素0.3kgfで加圧しながらローラポンプを用いて、注入口からレンズ成形型に調製したモノマー組成物を注入した。注入したモノマー組成物が、レンズ成形型のキャビティ部内を満たし、注入口まで達したところで注入を停止し、粘着テープを貼り直してレンズ成形型を密閉した。
以上により、モノマー組成物が注入されたレンズ成形型を作製した。
次に、レンズ成形型を熱風循環式重合炉に入れ、16℃で5時間保持した後、125℃まで3時間かけて昇温し、さらに、125℃で1.5時間保持した。その後、レンズ成形型を70℃まで冷やして重合炉から取り出し、粘着テープ、第1成形型及び第2成形型を外し、プリズムシニングが施されていない、フィニッシュトレンズである累進レンズを得た。
製造した累進レンズは、無色透明で、屈折率ne:1.60、アッベ数νe:41、比重:1.32の物性を有しており、脈理、異物、汚れ及び曇り等の異常も見られず、眼鏡用レンズとして好適なものであった。
ここで、前記成形用鋳型で使用した粘着テープの保持力について説明する。先ず、上記した重合工程におけるモノマー組成物の重合収縮時の温度を測定するため、メスシリンダーに30mlの前記モノマー組成物を取り、レンズ成形型と同じ熱風循環式重合炉に入れて、液面の変化を重合完了まで観察した。この結果、モノマー組成物の重合収縮時の温度は70℃であった。
次に、重合収縮時の温度70℃における粘着テープの保持力を、上述のJIS Z0237に準拠した粘着性の測定方法により測定した。測定の結果、この重合収縮時の温度70℃における、この実験例1で使用した粘着テープの保持力は14分間であった。
(実験例2)
粘着テープを変更(基材:ポリエステルフィルム、粘着剤:シリコーン系粘着剤、テープ厚:0.069mm、粘着力:5.8N/10mm(23℃))した以外は、実験例1と同様の方法で累進屈折力プラスチックレンズを製造した。
この実験例2で使用した粘着テープの保持力は、重合収縮時の温度70℃において11分間であった。
(実験例3)
粘着テープを変更(基材:ポリエステルフィルム、粘着剤:シリコーン系粘着剤、テープ厚:0.068mm、粘着力:4.8N/10mm(23℃))した以外は、実験例1と同様の方法で累進屈折力プラスチックレンズを製造した。
この実験例3で使用した粘着テープの保持力は、重合収縮時の温度70℃において32分間であった。
(実験例4(比較例1))
成形用鋳型の製造において、第1成形型の基準軸と第2成形型基準軸とを同じ軸線上に位置するように位置決めした以外は、実験例1と同様の方法で累進屈折力プラスチックレンズを製造した。この実験例4のレンズは、プリズムシニングが施されていない累進屈折力プラスチックレンズであり、上記実験例1〜3のレンズの光学性能を評価する基準レンズとして使用した。
(評価)
上述の実験例1〜4の方法で、30組の第1成形型と第2成形型を用いて、累進レンズをそれぞれ30枚製造し、その製造したそれぞれの各累進レンズについて、プリズム測定位置における垂直方向のプリズム屈折力をレンズメータで測定した。また、同じ第1成形型と第2成形型の組を用いて作製した実験例1〜3のレンズ毎について、垂直方向プリズム屈折力の実験例4との差を求めた。そして、垂直方向プリズムの最大値と最小値、垂直方向プリズム屈折力の実験例4との差の最大値と最小値、それら最大値と最小値との差(交差)、垂直方向プリズムの平均値、垂直方向プリズム屈折力の実験例4との差の平均値を求めた。その測定結果を表1に示す。
Figure 0005331874
表1に示したとおり、粘着テープの保持力が、5分間以上30分間以内であった実験例1及び実験例2は、重合工程において第1成形型及び第2成形型の移動が安定して行われたため、レンズ成形型を構成した際に施したプリズムシニングが累進屈折力プラスチックレンズに再現性よく転写され、公差も小さい。これに対し、粘着テープの保持力が、32分間であった実験例3では、実験例1、2に比べて再現性が低く、公差が大きくなる結果となった。
従って、上述のJIS Z0237に準拠した粘着テープの保持力が、5分間以上30分間以下であることにより、熱硬化時に粘着テープの粘着性が充分低下し、重合収縮による第1成形型及び第2成形型の移動が安定しておこなわれ、精度よく累進屈折力プラスチックレンズを製造することができ、好ましい。
なお、粘着テープの保持力が5間分以上30分間以下に含まれない場合にも再現性には劣るものの、粘着テープに変形が起きなかった場合には、累進レンズとして問題ない精度で製造することができた。このため、粘着テープの保持力が5分間未満又は30分間を超える場合にも、累進屈折力プラスチックレンズを製造することが可能である。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。例えば、本実施の形態では、フィニッシュットレンズを成形する場合について説明したが、玉形形状に基づいて最小限の研磨しろ、切削しろをもうけたレンズブランクを形成する場合にも適用できる。また、本実施の形態では、レンズ前面が累進面の片面面累進屈折力レンズの場合で説明したが、レンズ後面が累進面からなる片面累進屈折力レンズにも適用できる。この場合は、第1成形型をレンズ後面形成用成形型とし、第2成形型をレンズ前面形成用成形型とすればよい。
また、上述の実施の形態では、成形型保持装置110の傾斜角度設定部115A,115Bは、両成形型21,22の回転軸B方向外方にそれぞれ設置し、成形型21,22の非成形面と傾斜設定具116A,116B傾斜設定端を接触させて成形型21,22の傾斜角度を設定したが、両端に傾斜設定端が設けられた円筒形状に傾斜設定部を形成してもよい。そして、成形型保持工程において、この傾斜設定部をその中心軸と回転軸Bを一致させた状態で、両成形型21、22の間に設置して、傾斜設定端を成形型21、22の成形面21A、22Aと接触させて成形型の傾斜角度を設定しても良い。この場合、傾斜設定部は、一方の傾斜設定端を備えた部分と、他方の傾斜設定端を備えた部分を分離可能に構成し、それらの組み合わせ及び回転位置を変更可能に接続できるように構成するとより好ましい。
10,20 成型用レンズ成形型
11,21 レンズ前面(凸面)形成用成形型(第1成形型)
11A,21A レンズ前面(凸面)形成用成形型の成形面(第1成形面)
11B,21B 第1成形面の周縁に形成される外周面(第1外周面)
12,22 レンズの後面(凹面)形成用成形型(第2成形型)
12A,22A レンズの後面(凹面)形成用成形型の成形面(第1成形面)
12B,22B 第2成形面の周縁に形成される外周面(第2外周面)
13,23 粘着テープ
14,24 キャビティ
25 基準面
30 累進屈折力プラスチックレンズ
30A レンズ前面
30B レンズ後面
30C 外周面
31 点線
50 レンズ成形型形成システム
51 通信媒体
60 メガネ店
61 注文用端末
62 フレーム形状測定装置
80 工場
90 工場サーバ
91 処理部
92 記憶部
100 レンズ成形型形成装置
110 成形型保持装置
111A 第1成形型保持部
111B 第2成形型保持部
112A 第1吸引管部
112B 第2吸引管部
113A 第1吸着パッド部
113B 第2吸着パッド部
114A 第1ジョイント部
114B 第2ジョイント部
115A 第1傾斜角度設定部
115B 第2傾斜角度設定部
116A 第1傾斜設定具
116B 第2傾斜設定具
117A 第1固定部
117B 第2固定部
120 保持位置設定装置
130 粘着テープ巻付装置
140 制御装置
911 受注処理
912 設計データ作成
913 加工データ作成
921 受注データ
922 設計データ
923 加工データ
924 レンズ情報
925 フレーム情報
926 成形型情報
927 傾斜設定具情報
,A 基準軸
B 回転軸
te、Dbe コバ厚
t1,Dt2上端のコバ厚
下端のコバ厚
H 水平面
法線
プリズム測定位置
第1成形面基準点
,R 基準面
S 玉形形状
最上端の接線
最下端の接線
V 垂直面

Claims (7)

  1. プリズムシニングが施された累進屈折力眼鏡レンズの製造方法において、
    前記レンズの累進面からなる一方の光学面を形成するための成形面を備えた第1の成形型と、他方の光学面を形成するための成形面を備えた第2の成形型とがそれぞれの成形面を内側に対向して配置されたレンズ成形型を形成するレンズ成形型形成工程と
    形成された前記レンズ成形型内にモノマー組成物を含むレンズ原料液を充填する充填工程と、
    充填された前記レンズ原料液を重合硬化させて前記レンズを成形する硬化工程と、を有し、
    前記第1成形型の成形面は、前記第1成形型の基準軸と交わる点における法線が、前記第1成形型の基準軸に対して垂直方向に傾斜するように形成されており、
    前記レンズ成形型形成工程は、
    前記第1成形型の基準軸が、前記第2成形型の基準軸に対して垂直方向に傾斜するように両成形型を保持する成形型保持工程と、
    前記成形型保持工程により保持されている前記両成形型の外周面に粘着テープを粘着面を内側にして巻き付ける粘着テープ巻付け工程と、を有している
    ことを特徴とする累進屈折力眼鏡レンズの製造方法。
  2. 前記レンズ成形型形成工程が、玉形加工後のレンズ形状におけるコバ厚を減少させるための両光学面の互いの垂直方向の成形面傾斜角の傾斜角度を算出する成形面傾斜角算出工程と、前記成形面傾斜角算出工程により得られた前記成形面傾斜角と、前記第1成形型に対する第1成形型成形面傾斜角の傾斜角度との差に基づいて、前記成形型保持工程における前記第2成形型に対する前記第1成形型の成形型傾斜角の傾斜角度を算出する成形型傾斜角算出工程とを有し、前記成形型保持工程は、前記成形型傾斜角算出工程により得られた成形型傾斜角に従って、前記第2成形型に対して前記第1成形型を傾斜させて保持することを特徴とする請求項1記載の累進屈折力眼鏡レンズの製造方法。
  3. 前記両成形型の外周面はそれぞれの成形型の基準軸にほぼ平行な円柱面からなり、前記粘着テープ巻付け工程は、前記粘着テープを伸張させてその粘着面を両成形型の外周面に接着させることを特徴とする請求項1または2に記載の累進屈折力眼鏡レンズの製造方法。
  4. 前記粘着テープ巻付け工程は、前記粘着テープをいずれか一方の成形型の基準軸を回転軸として巻きつけることを特徴とする請求項3記載の累進屈折力眼鏡レンズの製造方法。
  5. 前記成形型保持工程において、前記第2の成形型は、その基準軸を中心に回転位置を調節可能に保持されているとともにその基準軸方向の位置を調節可能に保持され、前記第1の成形型は、垂直方向にその基準軸の傾斜角度を調節可能に保持されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の累進屈折力眼鏡レンズの製造方法。
  6. 前記粘着テープは、前記硬化工程における重合硬化中に前記粘着テープの粘着面が前記両成型用レンズ成形型の少なくとも一方の外周面からはがれるように保持力が設定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の累進屈折力眼鏡レンズの製造方法。
  7. 前記粘着テープの保持力が、5〜30分間であることを特徴とする請求項6に記載の累進屈折力眼鏡レンズの製造方法。
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