ところで、カラータンデム方式を採用した画像形成装置において、色ズレが発生する要因は機械部品の寸法誤差や取付け誤差だけに限らない。例えば、近年の画像形成装置では、高速化を図るために、各種センサの出力信号を基に所定の演算処理を実行して各種の制御信号を出力する演算回路を複数設置する構成が採用されている。これらの演算回路は、基板規模を小さくするためにそれぞれ個別の基板上に配置され、さらに各基板上には、それぞれの演算回路を動作させるためのクロック信号源である発振回路が個別に設けられていることが一般的である。このように基板毎に(演算回路毎に)発振回路を個別に設ける構成を採用する理由は、仮にある基板上の発振回路で生成したクロック信号を他の基板に供給する構成を採用すると、発振周波数が高いことによりクロック伝送品質上問題が生じたり、不要な電磁輻射が大きくなるためである。
しかしながら、基板毎に発振回路を設ける構成を採用した場合であっても、それぞれの発振回路は理想の発振周波数に対して公差を有するため、全ての発振回路の発振周波数が全く同じ関係を保つことはない。このような発振回路間に存在する発振周波数の公差ズレが上述した色ズレの要因となる可能性がある。ここで、発振周波数の公差ズレに起因する色ズレを具体的に説明するために、例えば、感光体ドラムに対してポリゴンミラーによってレーザを照射することで露光を行うレーザ・スキャニング・ユニット(以下、LSUと称す)を搭載し、各色の感光体ドラムに形成(現像)された各色のトナー像を、中間転写体である転写ベルトに順次転写(1次転写)した後、転写ベルトに形成された画像を2次転写ローラによって用紙に一括転写(2次転写)する構成のカラータンデム方式を採用した画像形成装置を想定する。
このような画像形成装置において、LSUのレーザ走査速度を決定付けるポリゴンモータ(ポリゴンミラーを駆動するモータ)の制御クロック信号を生成する演算回路と、転写ベルトを駆動する転ベルモータの制御クロック信号を生成する演算回路とに対し、クロック信号を供給する発振回路が個別に設けられている場合、発振回路間に発振周波数の公差ズレが存在するため、感光体ドラムへのレーザ走査による露光処理速度と転写ベルトの移動速度との間に速度差が発生し、その結果、転写ベルト上に1次転写された画像の副走査方向に色ズレが発生することになる。
本出願人は、上記のような発振回路毎に存在する発振周波数の公差ズレに起因して発生する色ズレを防止し得る発明を、特願2007−300240として出願している。以下、この特願2007−300240に記載されている発明について、図4に示すように、ポリゴンモータに第1制御クロック信号を供給する第1演算回路33と、転ベルモータに第2制御クロック信号を供給する第2演算回路37とを含むモータ制御回路を例示して説明する。
図4において、基準発振回路30は、周波数foを有する基準クロック信号を生成して第1周波数カウンタ32及び第2周波数カウンタ36に出力する。ここで、基準クロック信号の周波数foは、以下に述べる第1クロック信号の周波数fa及び第2クロック信号の周波数fbと比べて十分低い値(例えば1/1000)に設定されている。第1発振回路31は、周波数faを有する第1クロック信号を生成して第1周波数カウンタ32及び第1演算回路33に出力する。第1周波数カウンタ32は、基準クロック信号を被計測クロック、第1クロック信号を計測クロックとする周波数カウンタであり、基準クロック信号の周期を第1クロック信号で計測した結果を表す第1カウント値Ca(=fa/fo)を第1演算回路33に出力する。第1センサ群34は、ポリゴンモータの駆動開始タイミングや駆動停止タイミング等、第1制御クロック信号の生成に必要な情報を検出するためのセンサであり、この情報を表す出力信号を第1演算回路33に出力する。
第1演算回路33は、第1カウント値Ca及び第1センサ群34から取得した情報に基づいて、第1クロック信号を分周(分周比Na)してポリゴンモータを制御するための第1制御クロック信号を生成する。ここで、第1演算回路33は、第1カウント値Caを基に、基準クロック信号と第1クロック信号との周波数ズレを補正して第1制御クロック信号を生成する機能を有している。具体的には、第1演算回路33は、基準発振回路30と第1発振回路31の発振周波数に公差ズレがない理想的な場合の第1カウント値Caoを予め記憶しており、第1周波数カウンタ32から出力される第1カウント値Caを理想的な第1カウント値Caoで除算することにより、周波数ズレ率Za(=Ca/Cao)を算出する。そして、第1演算回路33は、上記のように算出した周波数ズレ率Zaを用いて分周比Naを補正し(具体的には、分周比Naに周波数ズレ率Zaを乗算する)、補正後の分周比Na’を用いて第1制御クロック信号を生成する。この時、第1制御クロック信号の周波数fa1は、fa1=fa/Na’=fa/(Na・Za)で表される。つまり、基準クロック信号と第1クロック信号との周波数ズレが補正された状態で第1制御クロック信号が生成される。
第2発振回路35は、周波数fbを有する第2クロック信号を生成して第2周波数カウンタ36及び第2演算回路37に出力する。第2周波数カウンタ36は、基準クロック信号を被計測クロック、第2クロック信号を計測クロックとする周波数カウンタであり、基準クロック信号の周期を第2クロック信号で計測した結果を表す第2カウント値Cb(=fb/fo)を第2演算回路37に出力する。第2センサ群38は、転ベルモータの駆動開始タイミングや駆動停止タイミング等、第2制御クロック信号の生成に必要な情報を検出するためのセンサであり、この情報を表す出力信号を第2演算回路37に出力する。
第2演算回路37は、第2カウント値Cb及び第2センサ群38から取得した情報に基づいて、第2クロック信号を分周(分周比Nb)して転ベルモータを制御するための第2制御クロック信号を生成する。ここで、第2演算回路37は、第2カウント値Cbを基に、基準クロック信号と第2クロック信号の周波数ズレを補正して第2制御クロック信号を生成する機能を有している。具体的には、第2演算回路37は、基準発振回路30と第2発振回路35の発振周波数に公差ズレがない理想的な場合の第2カウント値Cboを予め記憶しており、第2周波数カウンタ36から出力される第2カウント値Cbを理想的な第2カウント値Cboで除算することにより、周波数ズレ率Zb(=Cb/Cbo)を算出する。そして、第2演算回路37は、上記のように算出した周波数ズレ率Zbを用いて分周比Nbを補正し(具体的には、分周比Nbに周波数ズレ率Zbを乗算する)、補正後の分周比Nb’を用いて第2制御クロック信号を生成する。この時、第2制御クロック信号の周波数fb1は、fb1=fb/Nb’=fb/(Nb・Zb)で表される。つまり、基準クロック信号と第2クロック信号との周波数ズレが補正された状態で第2制御クロック信号が生成される。
このような構成を採用することにより、第1発振回路31及び第2発振回路35の発振周波数fa、fbに公差ズレが存在する場合であっても、第1演算回路33にて生成される第1制御クロック信号と、第2演算回路37にて生成される第2制御クロック信号とは、基準クロック信号に対して同期関係に維持されるため、レーザ走査速度(露光処理速度)と転写ベルトの移動速度との間に速度差が発生することを防止することができ、その結果、転写ベルト上に1次転写された画像の副走査方向に色ズレが発生することを防止することができる。
上記のように、特願2007−300240の発明では、演算回路にて周波数ズレ率を算出するために除算処理を使用している。通常、除算処理は、加算・減算・乗算処理と比べて演算が複雑となるため、ハードウェアで除算処理回路を構成するのは困難であり、また、ソフトウェアを用いた数値計算によって除算処理を行う場合でも1クロックで処理を終了するのは困難である。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、駆動部を制御するための制御クロック信号を生成する演算回路にクロック信号を供給する発振回路を、演算回路毎に個別に備える画像形成装置において、高速且つ簡単な回路構成で、発振回路に存在する発振周波数の公差ズレに起因して発生する色ズレを防止することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、画像形成装置に係る解決手段として、駆動部を制御するための第1,第2制御クロック信号をそれぞれ生成する第1,第2演算回路と、該第1,第2演算回路に対して第1,第2クロック信号をそれぞれ供給する第1,第2発振回路とを備える画像形成装置であって、前記第1制御クロック信号の周期の正の整数倍の周期を有し、且つ前記第2制御クロック信号の周期の正の整数倍の周期を有する基準クロック信号を生成する基準発振回路と、前記第1,第2演算回路毎にそれぞれ設けられ、前記基準クロック信号を被計測クロックとし、前記第1,第2発振回路からそれぞれ供給される前記第1,第2クロック信号を計測クロックとする第1,第2周波数カウンタと、を備え、前記第1,第2演算回路は、前記第1,第2周波数カウンタのカウント値を基に、前記第1,第2発振回路からそれぞれ供給される前記第1,第2クロック信号の前記基準クロック信号に対する周波数ズレを、除算を行わずに補正して前記第1,第2制御クロック信号をそれぞれ生成することを特徴とする。
本発明によれば、第1,第2発振回路間に発振周波数の公差ズレが存在する場合であっても、第1,第2演算回路にて生成される第1,第2制御クロック信号は、基準クロック信号に対して同期関係に維持されることになる。すなわち、このような基準クロック信号に対して同期関係に維持された第1,第2制御クロック信号を駆動部であるポリゴンモータと転ベルモータに供給することにより、レーザ走査速度(露光処理速度)と転写ベルトの移動速度との間に速度差が発生することを防止することができ、その結果、転写ベルト上に1次転写された画像の副走査方向に色ズレが発生することを防止することができる。また、第1,第2制御クロック信号を生成するための演算処理に除算処理を必要としないため、高速且つ簡単な回路構成で、第1,第2発振回路間に存在する発振周波数の公差ズレに起因して発生する色ズレを防止することが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。なお、本実施形態に係る画像形成装置として、カラータンデム方式を採用したレーザカラープリンタを例示して説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置100の概略構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置100は、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bと、転写ベルト20と、搬送ローラ21、22と、1次転写ローラ23Y、23M、23C、23Bと、2次転写ローラ24と、用紙カセット25と、給紙ローラ26と、定着器27と、排紙ローラ28とから構成されている。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の4色の各色に対応して設けられていると共に、図中のY軸方向(副走査方向)に沿って一列に配置されており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各処理によって、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像を転写ベルト20に順次転写(1次転写)する。以下、これら画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bの詳細な構成について説明するが、各ユニットは使用する現像剤(トナー)の色が異なるだけで主要な構成は同一であるため、代表的に画像形成ユニット10Yを用いて説明する。
画像形成ユニット10Yは、感光体ドラム11Y、帯電器12Y、露光器13Y、現像器14Yから構成されている。感光体ドラム11Yは、図中のX軸方向(主走査方向)を回転軸とする円筒形状の静電潜像担持体であり、転写ベルト20を挟持した状態で1次転写ローラ23Yと対向するように、図示の回転方向に回転自在に設置されている。帯電器12Yは、感光体ドラム11Yの回転軸方向(つまりX軸方向)に沿って延在しており、感光体ドラム11Yの表面に向かってマイナスに帯電した電荷を放出することにより、感光体ドラム11Yの表面を一様に帯電させる(帯電処理)。
露光器13Yは、不図示のレーザ光源、ポリゴンモータ等を備えるレーザ・スキャニング・ユニット(LSU)から構成されており、レーザ光源から出射されるレーザ光を、ポリゴンモータを回転駆動することで感光体ドラム11Yの主走査方向に沿って走査することにより、感光体ドラム11Yの表面における所定の位置のマイナス電荷を消去し、イエロー画像に対応する静電潜像を形成する(露光処理)。つまり、レーザ走査速度(露光処理速度)は、ポリゴンモータの回転速度で決定付けられており、このポリゴンモータは後述する第1演算回路33から供給される第1制御クロック信号によって制御されるものである。
現像器14Yは、感光体ドラム11Yの回転軸方向に沿って延在しており、不図示のイエロー用のトナーカートリッジからトナーの供給を受け、このトナーを感光体ドラム11Yの表面に向かって放出することにより、感光体ドラム11Yの表面に露光処理により形成された静電潜像に応じたトナー像を形成する(現像処理)。このように感光体ドラム11Yの表面に形成されたトナー像は、感光体ドラム11Yと1次転写ローラ23Yとの間をY軸方向に移動する転写ベルト20上に転写される(1次転写処理)。具体的には、1次転写ローラ23Yに所定の転写電圧が印加され、転写ベルト20をプラスに帯電させることにより、感光体ドラム11Yの表面に形成されたトナー像を転写ベルト20上に転写させる。
画像形成ユニット10M、10C、10Bも上述した画像形成ユニット10Yと同様の構成となっている。つまり、画像形成ユニット10Mは、感光体ドラム11M、帯電器12M、露光器13M、現像器14Mから構成されており、感光体ドラム11Mの表面に形成されたマゼンタ画像に対応するトナー像は、感光体ドラム11Mと1次転写ローラ23Mとの間をY軸方向に移動する転写ベルト20上に転写される。また、画像形成ユニット10Cは、感光体ドラム11C、帯電器12C、露光器13C、現像器14Cから構成されており、感光体ドラム11Cの表面に形成されたシアン画像に対応するトナー像は、感光体ドラム11Cと1次転写ローラ23Cとの間をY軸方向に移動する転写ベルト20上に転写される。また、画像形成ユニット10Bは、感光体ドラム11B、帯電器12B、露光器13B、現像器14Bから構成されており、感光体ドラム11Bの表面に形成されたブラック画像に対応するトナー像は、感光体ドラム11Bと1次転写ローラ23Bとの間をY軸方向に移動する転写ベルト20上に転写される。
以上のように画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bによって、中間転写体である転写ベルト20上に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各画像に対応するトナー像が順次転写されて1つのトナー像に重ね合わされる。この転写ベルト20は、搬送ローラ21、22の回転によってY軸方向(副走査方向)を往復移動するものであり、その移動速度と画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bによる画像形成速度(現像処理が完了するまでの速度)とは、転写ベルト20上にトナー像が順次転写されて重ね合わされる際に色ズレが発生しないように同期制御されている。転写ベルト20の移動速度は、搬送ローラ21、22を回転駆動するための不図示の転ベルモータによって決定付けられており、この転ベルモータは後述する第2演算回路37から供給される第2制御クロック信号によって制御されるものである。
2次転写ローラ24は、転写ベルト20を狭持した状態で搬送ローラ21と対向するように設置されており、用紙カセット25から給紙ローラ26によって用紙Pが2次転写ローラ24と転写ベルト20との間に搬送されることにより、転写ベルト20上に形成されたトナー像が用紙P上に一括転写される(2次転写処理)。このような2次転写処理によってトナー像が形成された用紙Pは定着器27に搬送される。
定着器27は、互いに対向配置された加熱ローラ27aと加圧ローラ27bとから構成されており、これら加熱ローラ27aと加圧ローラ27bとの間に搬送された用紙Pを加熱及び加圧することによりトナー像を用紙Pに定着させる(定着処理)。これにより、用紙P上には所望のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された用紙Pは、 排紙ローラ28によって装置本体外部に排紙される。
一方、図2は、上述した画像形成装置100の要部ブロック構成図である。図2では、説明の便宜上、上記のポリゴンモータに第1制御クロック信号を供給する第1演算回路33’と、転ベルモータに第2制御クロック信号を供給する第2演算回路37’とを含むモータ制御回路のみを図示している。なお、図2において、図4と同様の構成要素には同一符号を付している。
図2において、基準発振回路30’は、周波数foを有する基準クロック信号を生成して第1周波数カウンタ32及び第2周波数カウンタ36に出力する。ここで、基準クロック信号の周波数foは、以下に述べる第1クロック信号の周波数fa及び第2クロック信号の周波数fbと比べて十分低い値(例えば1/1000)に設定されている。さらに、本実施形態における特徴として、基準クロック信号の周期To(=1/fo)は、後述する第1演算回路33’にて生成される第1制御クロック信号の周期のn倍(nは1以上の整数)となるように設定されている。
第1発振回路31は、周波数fa(周期Ta=1/fa)を有する第1クロック信号を生成して第1周波数カウンタ32及び第1演算回路33’に出力する。第1周波数カウンタ32は、基準クロック信号を被計測クロック、第1クロック信号を計測クロックとする周波数カウンタであり、基準クロック信号の周期を第1クロック信号で計測した結果を表す第1カウント値Caを第1演算回路33’に出力する。第1センサ群34は、ポリゴンモータの駆動開始タイミングや駆動停止タイミング等、第1制御クロック信号の生成に必要な情報を検出するためのセンサであり、この情報を表す出力信号を第1演算回路33’に出力する。
第1演算回路33’は、第1カウント値Ca及び第1センサ群34から取得した情報に基づいて、第1クロック信号を分周(分周比Na)してポリゴンモータを制御するための第1制御クロック信号を生成する。ここで、第1演算回路33’は、第1カウント値Caを基に、基準クロック信号と第1クロック信号との周波数ズレを補正して第1制御クロック信号を生成する機能を有している。
一方、第2発振回路35は、周波数fb(周期Tb=1/fb)を有する第2クロック信号を生成して第2周波数カウンタ36及び第2演算回路37’に出力する。第2周波数カウンタ36は、基準クロック信号を被計測クロック、第2クロック信号を計測クロックとする周波数カウンタであり、基準クロック信号の周期を第2クロック信号で計測した結果を表す第2カウント値Cbを第2演算回路37’に出力する。第2センサ群38は、転ベルモータの駆動開始タイミングや駆動停止タイミング等、第2制御クロック信号の生成に必要な情報を検出するためのセンサであり、この情報を表す出力信号を第2演算回路37’に出力する。
第2演算回路37’は、第2カウント値Cb及び第2センサ群38から取得した情報に基づいて、第2クロック信号を分周(分周比Nb)して転ベルモータを制御するための第2制御クロック信号を生成する。ここで、第2演算回路37’は、第2カウント値Cbを基に、基準クロック信号と第2クロック信号との周波数ズレを補正して第2制御クロック信号を生成する機能を有している。
以上のように、本実施形態によれば、第1発振回路31及び第2発振回路35の発振周波数fa、fbに公差ズレが存在する場合であっても、第1演算回路33’にて生成される第1制御クロック信号と、第2演算回路37’にて生成される第2制御クロック信号とは、基準クロック信号に対して同期関係に維持されるため、レーザ走査速度(露光処理速度)と転写ベルトの移動速度との間に速度差が発生することを防止することができ、その結果、転写ベルト上に1次転写された画像の副走査方向に色ズレが発生することを防止することができる。また、第1演算回路33’及び第2演算回路37’において、第1制御クロック信号、第2制御クロック信号を生成するための演算処理に除算処理を必要としないため、高速且つ簡単な回路構成で、発振回路に存在する発振周波数の公差ズレに起因して発生する色ズレを防止することが可能となる。
なお、周波数ズレを高精度に補正するためには、被計測クロックである基準クロック信号の周波数foを可能な限り低くすることが望ましいが、計測時間が長くなったり、基準発振回路30’の回路規模が巨大化するため、無制限に低くすることは実用上困難である。例えば、第1クロック信号及び第2クロック信号の周波数fa、fbが10MHz程度であり、100ppmの精度で周波数ズレを補正する場合、本実施形態のように、基準クロック信号の周波数foをfa、fbの1/1000(10kHz)に設定すれば良い。勿論、基準クロック信号の周期Toは、第1制御クロック信号の周期Ta及び第2制御クロック信号の周期Tbの整数倍とする必要がある。
なお、上記実施形態では、ポリゴンモータを制御する第1演算回路33’と、転ベルモータを制御する第2演算回路37’との2つの演算回路が設けられ、それぞれの演算回路に発振回路が個別に設けられている場合を例示して説明したが、演算回路とそのペアとなる発振回路がさらに複数設けられているような構成であっても本発明を適用することができる。例えば、複数の演算回路の各々に周波数カウンタを個別に設け、基準発振回路30’から全ての周波数カウンタに基準クロック信号を供給すれば良い。
図3は、演算回路とそのペアとなる発振回路を3組設けた場合の構成例である。この図3では、Videoクロック(Dotの大きさを決めるDotクロック)と、ポリゴンクロック(ポリゴンモータ駆動用の第1制御クロック信号)と、搬送クロック(転ベルモータ用の第2制御クロック信号)と、ドラム駆動クロック(感光体ドラムモータ用の第3制御クロック信号)との同期関係を維持して色ズレ発生を防止するためのブロック構成例を示している。なお、図3において、図2と同様の構成要素には同一符号を付し、以下での説明を省略する。
この図3に示すように、基準発振回路30’に替えてVideoクロック生成回路30A及び分周回路30Bが設けられており、さらに、感光体ドラムモータ用の第3制御クロック信号を生成するための、第3発振回路60、第3カウンタ回路61、第3演算回路62及び第3センサ群63が設けられている。
Videoクロック生成回路30Aは、Videoクロック信号を生成して分周回路30Bに出力する。分周回路30Bは、Videoクロック信号を所定の分周比で分周することで基準クロック信号を生成し、該基準クロック信号を第1カウンタ回路32、第2カウンタ回路35及び第3カウンタ回路61に出力する。なお、基準クロック信号の周期は、第1制御クロック信号、第2制御クロック信号及び第3制御クロック信号の周期のn倍となるように設定されている。
第3発振回路60は、第3クロック信号を生成して第3カウンタ回路61及び第3演算回路62に出力する。第3カウンタ回路61は、基準クロック信号を被計測クロック、第3クロック信号を計測クロックとする周波数カウンタであり、基準クロック信号の周期を第3クロック信号で計測した結果を表す第3カウント値を第3演算回路62に出力する。
第3演算回路62は、第1演算回路33’及び第2演算回路37’と同様に、第3クロック信号、第3カウント値、第3センサ群63の出力信号に基づいて、感光体ドラムモータを駆動するための第3制御クロック信号を生成し、当該第3制御クロック信号を感光体ドラムモータに供給する。第3センサ群63は、感光体ドラムモータの駆動開始タイミングや駆動停止タイミング等、第3制御クロック信号の生成に必要な情報を検出するためのセンサであり、この情報を表す出力信号を第3演算回路62に出力する。
このような構成を採用することにより、第1発振回路31と、第2発振回路35と、第3発振回路60との間に発振周波数の公差ずれが存在している場合であっても、Videoクロック(Dotクロック)と、ポリゴンクロック(第1制御クロック信号)と、搬送クロック(第2制御クロック信号)と、ドラム駆動クロック(第3制御クロック信号)との同期関係が維持され、高精度に副走査方向の色ズレ及び主走査方向の等倍度ズレを防止することが可能となる。
なお、図1では、露光器13Y、13M、13C、13Kとして、レーザ光源、ポリゴンモータ等からなるレーザ・スキャニング・ユニット(LSU)を使用した画像形成装置100を例示したが、LEDプリントヘッドを露光器として使用する場合もあり得る。この場合、水平同期信号(1ライン周期を決めるLineクロック)と、搬送クロック(転ベルモータ用の第2制御クロック信号)と、ドラム駆動クロック(感光体ドラムモータ用の第3制御クロック信号)との同期関係を維持すれば、副走査方向の色ズレを防止することができる。
このように、水平同期信号と、搬送クロック(第2制御クロック信号)と、ドラム駆動クロック(第3制御クロック信号)との同期関係を維持するためには、図3において、Videoクロック生成回路30Aを水平同期信号生成回路に替えると共に、ポリゴンモータを使用する必要がないため、第1発振回路31、第1カウンタ回路32、第1演算回路33’及び第1センサ群34を削除すれば良い。
また、上記実施形態では、駆動部としてポリゴンモータや転ベルモータを挙げて説明したが、この他の駆動部として、演算回路から制御クロック信号の供給を受けると共に、発振回路間に存在する周波数公差ズレの影響を受けるような駆動部であれば、本発明を適用することができる。また、画像形成装置100としてレーザカラープリンタを例示して説明したが、本発明はこれに限定されず、複写機(コピー機)や、複合機(プリンタやコピー機、FAX機等の複数機器の機能を備えるもの)等にも適用することができる。
100…画像形成装置、10Y、10M、10C、10B…画像形成ユニット、20…転写ベルト、21、22…搬送ローラ、23Y、23M、23C、23B…1次転写ローラ、24…2次転写ローラ、25…用紙カセット、26…給紙ローラ、27…定着器、28…排紙ローラ、30’…基準発振回路、31…第1発振回路、32…第1周波数カウンタ、33’…第1演算回路、34…第1センサ群、35…第2発振回路、36…第2周波数カウンタ、37’…第2演算回路、38…第2センサ群