JP5327948B2 - 杭穴充填物の採取方法、採取装置 - Google Patents

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Description

この発明は、杭穴内に既製杭や鉄筋篭などを挿入すると共に、セメントミルク、コンクリートなどの杭穴充填物を充填して、基礎杭を構築する際の杭穴充填物の採取方法、この採取方法に使用する採取装置に関する。
近年、既製杭は様々な高支持力工法が開発され、一本当たりの支持力は非常に大きくなった。この中で、杭穴充填物の強度も重要な位置を占めるようになっている。とりわけ、杭先端支持力係数αが示すように、高支持力の大部分は杭先端部であり、そこで重要となるのは、支持層への根入れ、根固め部の形状及び固化強度である。
一方で、その支持力の重要な要因である根固め部強度を把握するためには、より正確に把握する場合には、杭穴充填物が固化した後に、「コア抜き」と称する円筒状カッターで円柱状にくり抜き、円柱状の固化杭穴充填物を地上に引き上げて確認する方法しかなかった(目的は違うがコア抜きは特許文献2参照)。
また、杭穴充填物が固化する前に、確認する方法では、箱状の採取装置を沈めて、所望深さで開いて、その深さの杭穴充填部を採取する装置が提案されている(特許文献1)。
また、簡易的に確認する方法では、杭穴充填物を杭穴に供給するプラントから供給予定のセメントミルクを採取して、セメントミルクの比重や固化強度を確認して、杭穴充填物の管理をしている場合もあった。実施には多くはこの方法を採用している。
特開2001−73360 特開2005−320689
前記従来の技術のうち、コア抜きによるものでは、施工日数、コストもかかり、また、コア抜きする際に、埋設した既製杭を誤って傷つけるおそれもあった。また、箱状の採取装置を使用する場合では、複数深さでの資料採取が困難であり、また杭穴充填物を乱さないで沈設するためには、熟練技術を要する問題点があった。また、プラントから入手する方法では、杭穴に充填前のセメントミルクで試験をするので、掘削泥土の影響を考慮できす、実際に固化した状態を反映できない問題点があった。
然るにこの発明は、逆止弁を入れて連結したパイプ基材を未だ固まらない杭穴充填物内に実際に埋設して、杭穴充填物を採取できるので、前記問題点を解決した。
以下のようにすることを特徴とする杭穴充填物の採取方法である。
(1) 所定長さのパイプ基材の複数を、逆止弁を有する接続具を介して連結して採取装置を構成する。前記逆止弁は下方から上方に向けての流れを許容し、上方から下方に向けての流れを遮断する。
(2) 杭穴内に杭穴充填物を充填し、該杭穴充填物が流動性を有する間に、前記杭穴上方から前記採取装置を挿入する。
(3) 前記杭穴充填物を前記採取装置の下端から取込み採取して、前記採取装置の先端が所定の深さに至ったならば、前記採取装置を地上に引き上げる。
(4)「前記採取装置内で前記杭穴充填物を固化させ固化した杭穴充填物を前記採取装置から取り出す。」または「前記採取装置から取り出して、前記杭穴充填物を固化させる。
また、前記において、以下のように構成することを特徴とする杭穴充填物の採取方法である。
(1) 杭穴内から採取装置を一旦引き上げ、引き上げた前記採取装置から1回目の杭穴充填物を取り出す。
(2) 前記杭穴内に既製杭を埋設すると共に、前記杭穴内に再度採取装置を挿入して、2回目の杭穴充填物を採取する。
(3) 1回目の杭穴充填物及び2回目の杭穴充填物を固化させる。
また、他の発明は、以下のように構成したことを特徴とする採取装置である。
(1) 使用する杭穴の深さに応じた所定長さのパイプ基材の複数を、逆止弁を有する接続具を介して連結する。
(2) 最下端のパイプ基材の下端に接続具を連結する。
(3) 前記逆止弁は下方から上方に向けての流れを許容し、上方から下方の流れを遮断する構成とする。
また、前記において、採取装置の上端部に、杭穴の開口部で採取装置を保持するための係止部を形成し、前記採取装置の中間部に、放射状に突設する位置調節具を設け、該位置調節具の先端部を前記杭穴壁に当接する長さで形成したことを特徴とする採取装置である。
前記において、パイプ基材と逆止弁から採取装置を構成する場合には、パイプ基材または逆止弁のいずれか一方に簡易係合手段を設け、他方に被簡易係合手段を設けることが望ましい。簡易係合手段と被簡易係合手段は、水密状態で互いに係合でき、係合及び係合解除が容易にできる手段である。例えば、簡易係合手段又は被簡易係合手段の一方を雌ねじ、他方を雄ねじとする。また、ピンとそのピンの嵌合状態を保持できる嵌合穴等も可能である。
この発明の採取装置は、上方への流れを許容し下方への流れを遮断する逆止弁付きの接続具で、複数のパイプ基材を連結したので、杭穴充填物が流動性を有する段階に、採取装置を入れれば、所定深さに対応したパイプ基材内に、杭穴充填物を採取できる。従って、パイプ基材内で、杭穴充填物を固化させた材料から供試体を造れば、杭穴内で固化した杭穴充填物の圧縮強度などの性能を推定できる。
また、採取装置はパイプ基材を長さ方向に連結してなるので、杭穴充填物内に沈設する際に抵抗が少なく、容易に埋設できると共に、杭穴充填物を乱すことなく埋設できるので、より正確にその深さでの杭穴充填物を採取できる。
(1) 長さL1のパイプ基材2、2の複数を、逆止弁10を有する接続具6を介して連結する。下端側に位置する(杭穴の根固め部に位置する)パイプ基材2aは長さL2(<L1)とする。最下端のパイプ基材2aの下端4にも接続具6を連結する。逆止弁10は下方から上方に向けての流れを許容し、上方から下方の流れを遮断する構成とする。以上のようにして、採取装置1を構成する(図1(a))。
(2) 従来の任意の方法で掘削した杭穴12内に、セメントミルクを充填して、杭穴12内の泥土を撹拌混合して、杭穴充填物(ソイルセメント)16を形成する(図1(b))。続いて、杭穴充填物16が流動性を有する間に、採取装置1を杭穴12内に沈設する(図1(b))。
(3) 採取装置1の下端が所定の深さにまで至ったならば、採取が完了したので、採取装置1を地上21に引き上げる(図示していない)。引き上げた採取装置1内で杭穴充填物16を固化させれば、杭穴12の深さに応じた固化杭穴充填物16aが得られるので、適宜、パイプ基材2、2aを切断すれば圧縮試験などに使用する供試体を形成できる(図1(c)。
(4) また、前記において、拡大根固め部14を形成した杭穴12を掘削し、杭穴充填物16を充填して(図2(a))、杭穴12内に採取装置1を沈設して、杭穴充填物16を採取することもできる(図2(b))。採取装置1を地上21に引き上げた後に、杭穴12内に既製杭17を沈設して、杭穴充填物16が固化後に既製杭17と一体の基礎杭20を構築する(図2(c)。
同様に、地上21に引き上げた採取装置1で、パイプ基材2、2a内で固化した固化杭穴充填物16aを取り出せば、杭穴12の深さ毎の固化杭穴充填物16aの性能を把握できる。
(5) 前記における採取装置1を沈設するタイミングは、
・既製杭17を埋設する前で任意位置に採取装置1を沈設する。
・既製杭17を埋設した後で、既製杭17の中空部内に採取装置1を沈設する。
・既製杭17を埋設した後で、既製杭17の外周側と杭穴壁の間に採取装置1を沈設する。
・既製杭17の中空部又は外周側に、採取装置1を取り付けて、既製杭17の沈設と同意に採取装置1も沈設する。
など、任意であるが、施工の簡易さを考慮すれば、既製杭17の埋設前が望ましい。
(6) また、この採取装置1又は採取方法の適用は、既製杭17を使用した基礎杭の構築方法の場合の他、いわゆる現場造成杭で鉄筋篭などを入れる基礎杭の構築方法であっても同様に適用できる(図示していない)。
図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。
[1]採取装置1の構成
φ100mmのガス管(鋼管)5.5mを、パイプ基材2として、6本用意して、各パイプ基材2の上下両端部3、4には雌ねじを切る。6本のパイプ基材2、2を、間に接続具6を挟んで連結する。接続具6は、中央部に逆止弁10を有し、上下7、8に雄ねじを切ってあり、パイプ基材2の雌ねじと接続できるようになっている。また、最下端に位置するパイプ基材2の下端4にも接続具6を取り付ける。
逆止弁10は、採取装置1を沈設する際(押し込む際)は開いている状態で、パイプ基材2の中にソイルセメント16が充填され、引き上げる際には閉じた状態となり、即ち、下方から上方への流体の流れを許容し、上方から下方への流れを遮断できる。
採取装置1の側面には、杭穴12壁との距離を保ち、パイプ基材2、2を杭穴12の中央部に安定的に位置させることができるように、腕状の突起31、31を放射状に突設する(図4)。腕状の突起31、31の放射方向の先端は、杭穴12径に応じて、杭穴12壁に当接できるような長さで形成されている。
また、前記パイプ基材2の上端部には、採取装置1を杭穴12の開口部15の地上21で、採取装置1を保持する際や採取装置1を運搬する際に、ワイヤー25をかけて使用する係止具30が形成されている(図4。ワイヤ25は図9(b)参照)。
[2]既製杭17の施工
実施例の現場のボーリング柱状図を図4 に示す。図4にでは柱状図と並列して、掘削予定の杭穴12と採取装置1を記載してある。
(1) 掘削ロッド23のオーガーヘッド先端から適宜掘削液を注入し、杭穴12内を攪拌、泥土を穴壁に練り付けながら掘削を行う(図3(a))。 所定の深度まで正回転で掘削した後、掘削ロッド23を上下に反復して、よく攪拌・練り付けして杭穴12の軸部13を掘削する。
(2) 続いて、掘削ロッド23を逆回転させ掘削径を拡大する。拡大径を確認しながら所定長さの区間(実施例では約3000mm)を拡大掘削する(図3(b))。
以上のようにして、深さ32mで、軸部13の径φ930mm、拡大根固め部14の径φ1300mm(長さ3000mm)の杭穴12を構築する。
(3) この杭穴12内で、根固め液(水セメント比=60%のセメントミルク、4週圧縮強度=20N/mm、掘削体積の所定量分)を注入し(図3(c))、拡大根固め部14を築造する。
(4) 続いて、杭穴12の軸部13の先端部(拡大根固め部14の上端)から杭周固定液(水セメント比=60%のセメントミルク、4週圧縮強度=20N/mm)を所定量注入、杭穴12内を混合攪拌しながら掘削ロッド23を引き上げる(図3(d))。
(5) 既製杭17を杭穴12内に自重で沈設後、圧入または回転沈設して所定深度に設置して、基礎杭20を構築する(図3(e))。根固め液と杭穴12内の泥水が混ざったソイルセメント及び杭周固定液が杭穴内の泥水と混ざったソイルセメントが、杭穴充填物16を構成する。
[3]試料の採取(採取装置1の沈設)
(1) 前記(4)の工程(図3(d))の後で(即ち、既製杭17を埋設する前に)、杭穴12内に、地上21から採取装置1を下降する。逆止弁10は、採取装置1を下方に押し込む際はソイルセメント16が逆止弁10を下方から上方に向けて通過できるので、パイプ基材2、2内にソイルセメント16が充填され、採取装置1の最下端のパイプ基材2の下端4(接続具6)から入ったソイルセメント16は順次上方に上がられ、最上層のソイルセメント16は、最上に位置するパイプ基材2内に充填される。また、一旦パイプ基材2に充填されたソイルセメント16は、逆止弁10により最上に位置するパイプ基材2から落下するおそれはない。
(2) 前記において、パイプ基材2を連結しながら下降させる場合、杭穴12内で最上に位置するパイプ基材2の上端部にワーヤー25を巻いて係止部30にワイヤー25を係止して、開口部15付近の地上21で保持する(ワイヤー25は図9(b)参照)。ワイヤー25に代えて、各種係止治具を使用することもできる。
保持したパイプ基材2の上端に逆止弁10付きのパイプ基材2(または、逆止弁10、パイプ基材2を順に)を連結して、新たに連結したパイプ基材2にワイヤー25を巻いて、地上21での係止部で30の保持を解いて、以下同様に、採取装置1(連結したパイプ基材2、2)を下降する。
(3) 以下、順に各層のソイルセメント16を、対応するパイプ基材2に充填する(図4、図6)。
(4) 採取装置1の下端(下端の接続具6の逆止弁10)が所定の深さ(通常は拡大根固め部14の底付近)に到達したならば、採取装置1を引き上げる。この際、充填したソイルセメント16は、上方から下方に流れようとするので、逆止弁10は閉じた状態となり、各パイプ基材2、2に収容したソイルセメント16は、維持される。
この際、最上段のパイプ基材2が地上21に露出したならば、最上段のパイプ基材2の上端3にキャップを被せて(図示していない)、最上段のパイプ基材2の下端4の接続具6(逆止弁)の下方で切り離す。従って、パイプ基材2は上をキャップ、下を逆止弁10付きの接続具6で塞がれるので、1本のパイプ基材2の中からソイルセメントが漏れるおそれなく、1本のパイプ基材2を単独で取り扱いできる。尚、念のため、パイプ基材2の下端4(接続具6の下端8)に栓をすることもできる(図示していない)。
(5) 以下順次、パイプ基材2を採取装置1から切り離しながら採取装置1を地上に引上げる。切り離してキャップをしたパイプ基材2を、プラントに立てかけて1日間養生する。
[4]圧縮試験
養生期間(4週)終了後、杭穴12の拡大根固め部14から採取した部分から6個、杭穴12の軸部13の杭周固定部から採取した部分から、各パイプ基材2、2より3〜5個、供試体を取り出した。供試体は、長さが径の2倍(≒20cm)になるように切断し、端面を研磨した後、圧縮強度試験を行った。
供試体の切断面は、大きな泥塊の混入もなく、一様なソイルセメント16が充填されていた。
従って、この発明の採取装置1による杭穴充填物16の採取は有効にであったと言える。
また、供試体の外周部には、ソイルセメント16aとは異質の、泥状の薄い層があった。これはパイプ基材2を挿入した際に、杭穴12内上方の泥水が、パイプ基材2の内面に付着したものであり、ソイルセメント16ではないと思われる。圧縮強度試験では、この薄い膜分を差し引いた断面積で算出した。
[5]試験結果及び考察
現場の拡大根固め部14から採取した供試体N1〜N6の圧縮強度の分布を図5に、供試体N1〜N6の採取位置を図6に示す。
拡大根固め部14から採取した供試体N1〜N6の圧縮強度に関しては、平均で約22.0N/mmであり、圧縮強度は深くなるにつれて大きくなる傾向にある(図5、図7)。
また、密度に関しても深度との関係では、圧縮強度と同様な傾向があった(図8)。
図7は杭穴軸部(杭周固定部)も含めた、深度と圧縮強度の関係を表し、図8は同じく深度と密度との関係を表す。これらを見ると、およそGL−26;26.0m付近から応力度(圧縮強度)及び密度ともに急変している。これは、供試体番号の「5−1」(図6。拡大根固め部14の上方2.0m)に相当する。これは、この位置までセメントミルクが泥土と混合された状態で上昇してきていると予測される。
[6]他の実施例
(1) 前記実施例において、パイプ基材2からの供試体(杭穴充填物の固化物)の取り出しは、丸鋸などにより、パイプ基材2を軸方向に切断して取り出すが、予めパイプ基材2が縦方向に分解できる構造とすることもできる(図示していない)。分解可能とすれば、供試体の取り出しが容易であり、一度使ったパイプ基材を再度使用することでもできる。
(2) また、前記実施例において、パイプ基材2は、ガス管としたが、パイプ状の材料であれば、アルミやステンレス等他の金属材料の他、各種樹脂材料のパイプを使用することもできる(図示していない)。
(3) また、前記実施例において、パイプ基材2を、逆止弁10付きの接続具6で接続して採取装置1を構成したが、パイプ基材2内で、所定長さ毎に、予め逆止弁10、10を取りつけたパイプ基材2を使用することもできる(図示していない)。
(4) また、前記実施例において、採取装置のパイプ基材2、2内で杭穴充填物16を固化させたが、未だ流動性を有する状態で、パイプ基材2から杭穴充填物16を取り出して、パイプ基材2外で固化させ、固化杭穴充填物16aを形成することもできる(図示していない)。例えば、パイプ基材2毎に、流動性を有する状態の杭穴充填物16を一旦バケツなどに取り出し、バケツから強度試験用の供試体作成用の型枠内に杭穴充填部16を流し混み、供試体作成用の型枠内で固化させて固化杭穴充填物16aを形成する。この場合、バケツを使用せずに、パイプ基材2から直接に供試体作成用の型枠内に杭穴充填物16を流し込むこともできる。
また、前記において、パイプ基材2の大きさ(特に口径)は強度試験用の供試体の大きさに対応させて構成したが、このようにパイプ基材2の外で杭穴充填物16を固化させる場合には、供試体を作成できる体積分の杭穴充填物を収容できる大きさであれば、パイプ基材2の大きさには任意である(図示していない)。
(5) また、前記実施例において、総てのパイプ基材2の下端に、逆止弁10を設けたが、逆止弁10は少なくとも1つあれば、杭穴充填物16を採取できる(図示していない)。この場合、逆止弁10は、例えば、採取が必要な深さの付近に設ける。
また、前記実施例において、複数のパイプ基材2、2から採取装置1を構成したが、所定長さの長いパイプ基材2の1本から採取装置を構成することでもきる(図示していない)。この場合には、パイプ基材2内の所望の位置に、必要数の逆止弁を嵌挿装着することもできる(図示していない)。
(6)また、前記実施例において、1つの杭穴に対して、既製杭17の埋設前後に杭穴充填物を採取することもできる(図9)。
前記実施例と同様に、従来の方法により、軸部13に続き拡大根固め部14を有する杭穴12を掘削し、杭穴12内セメントミルクを充填して、杭穴充填物16を形成する(図9(a)。続いて、杭穴12内に、パイプ基材2、2を逆止弁10を介して連結した採取装置1を埋設して、パイプ基材2、2内に杭穴充填物16を採取する(図9(b))。採取後、採取装置1を地上21に引き上げる(図9(c))。引き上げた採取装置1の各パイプ基材2、2から杭穴充填物12を別々のバケツに取り出し、パイプ基材2、2内の杭穴充填物16を空にする(図示していない)。この杭穴充填物16は、前記同様に固化させて、固化杭穴充填物16a(1回目)を形成する(図示していない)。
杭穴充填物16の抜き取りと前後して、または同時に、杭穴21内に、前記同様の従来の方法により、既製杭17を埋設する(図9(d))。続いて、前記採取装置1を、既製杭17の中空部に(または既製杭17の外側と杭穴12の間に)、挿入して、再度、杭穴充填物16を採取する(図9(e))。杭穴12から採取装置1を引き上げれば、基礎杭20を構築できる(図9(f))。再度採取した杭穴充填物16を、前記実施例同様に、杭穴基材2、2内または杭穴基材2、2外で固化させて、2回目の固化杭穴充填物16aを形成する。
このように、既製杭17を埋設する前後で、2回杭穴充填物を採取して比較すれば、より正確に杭穴充填物の状況を把握できる。即ち、既製杭17を挿入する際に、杭穴充填物が移動することもあり、既製杭17を下降した状態で採取した方がより正確となる。また、既製杭17を埋設する際には杭穴充填物の固化が始まっている場合もあり、この場合には、採取し難い時もあるので、既製杭17を下降させる前に、杭穴充填物を採取しておくことが望ましい。
この発明の実施例で、(a)は採取装置、(b)は採取装置を沈設した状態、(d)は採取装置を地上に上げ、試料を取り出した状態を表す。 同じく(a)は掘削した杭穴内にソイルセメントを充填した状態、(b)は杭穴内に採取装置を沈設した状態、(c)は杭穴内に既製杭を埋設し、対応する深さに試料を表示した状態を表す。 この発明の実施例で、(a)〜(e)は、杭穴内に既製杭を埋設する工程を表す。 実施例で現地ボーリング柱状図に採取装置を並記した図である。 試験結果で、根固め部圧縮強度の分布グラフである。 試験結果で、杭穴内の採取装置(供試体)の深さ位置を表す図である。 試験結果で、杭穴内の深度と供試体の応力度との関係を表すグラフである。 試験結果で、杭穴内の深度と供試体の密度との関係を表すグラフである。 (a)〜(f)はこの発明の他の実施例を説明する概略した縦断面図である。
符号の説明
1 採取装置
2、2a パイプ基材
3 パイプ基材の上端部
4 パイプ基材の下端部
6 接続具6
7 接続具6の上端部
8 接続具6の下端部
10 逆止弁
12 杭穴
13 杭穴軸部
14 杭穴の拡大根固め部
15 開口部
16 杭穴充填物(未固化)
16a 杭穴充填物(固化)
17 既製杭
20 基礎杭
21 地上
23 掘削ロッド
25 ワイヤ
30 パイプ基材の係止部
31 パイプ基材の腕状突起

Claims (4)

  1. 以下のようにすることを特徴とする杭穴充填物の採取方法。
    (1) 所定長さのパイプ基材の複数を、逆止弁を有する接続具を介して連結して採取装置を構成する。前記逆止弁は下方から上方に向けての流れを許容し、上方から下方に向けての流れを遮断する。
    (2) 杭穴内に杭穴充填物を充填し、該杭穴充填物が流動性を有する間に、前記杭穴上方から前記採取装置を挿入する。
    (3) 前記杭穴充填物を前記採取装置の下端から取込み採取して、前記採取装置の先端が所定の深さに至ったならば、前記採取装置を地上に引き上げる。
    (4)「前記採取装置内で前記杭穴充填物を固化させ固化した杭穴充填物を前記採取装置から取り出す。」または「前記採取装置から取り出して、前記杭穴充填物を固化させる。」
  2. 以下のように構成することを特徴とする請求項1記載の杭穴充填物の採取方法。
    (1) 杭穴内から採取装置を一旦引き上げ、引き上げた前記採取装置から1回目の杭穴充填物を取り出す。
    (2) 前記杭穴内に既製杭を埋設すると共に、前記杭穴内に再度採取装置を挿入して、2回目の杭穴充填物を採取する。
    (3) 1回目の杭穴充填物及び2回目の杭穴充填物を固化させる。
  3. 以下のように構成したことを特徴とする採取装置。
    (1) 使用する杭穴の深さに応じた所定長さのパイプ基材の複数を、逆止弁を有する接続具を介して連結する。
    (2) 最下端のパイプ基材の下端に接続具を連結する。
    (3) 前記逆止弁は下方から上方に向けての流れを許容し、上方から下方の流れを遮断する構成とする。
  4. 採取装置の上端部に、杭穴の開口部で採取装置を保持するための係止部を形成し、前記採取装置の中間部に、放射状に突設する位置調節具を設け、該位置調節具の先端部を前記杭穴壁に当接する長さで形成したことを特徴とする請求項記載の採取装置。
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