JP6243648B2 - 地盤アンカーの施工方法 - Google Patents
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地盤アンカーの施工方法は、下端側に削孔ビットが取付けられたケーシングを用い、地盤に水を供給しながら削孔ビットで地盤を削孔して地盤に孔を形成し、当該削孔された孔内に設置された地盤アンカーと孔壁との間に注入された注入材と孔壁との摩擦力によって地盤アンカーを地盤に定着させる。
地盤アンカーの施工方法として、例えば、地盤に削孔された孔内にセメントミルクやモルタル等の注入材を注入した後、当該孔内に地盤アンカーを挿入する方法(以下、方法Aと言う)や、地盤に削孔された孔内に地盤アンカーを挿入した後に、当該孔内に注入材を注入する方法(以下、方法Bと言う)等がある。
また、上述した方法Bでは、孔内の水中に地盤アンカーが設置された状態で孔内に注入材を注入するので、方法Aと比べて、地盤アンカーの孔内への挿入抵抗が小さくなり、地盤アンカーの高止まりなどの不具合を生じる虞は少なくなる。しかしながら、方法Bでは、削孔の際に水中に浮遊したスライムが孔底に沈降して、孔内に設置された地盤アンカーの周囲に堆積し、孔内に設置された地盤アンカーの下端側の周囲の任意の箇所から注入管を介して孔底側に注入材を注入した場合、地盤アンカーが障害となって地盤アンカーの下端側の周囲の前記任意の箇所から離れた箇所においてはスライムが注入材と置換されずに残ってしまうことがあり、特に、地盤アンカーの定着長部の回りにスライムが残ってしまう場合、地盤アンカーの引抜き耐力が低下するといった課題があった。
そこで、本発明は、地盤アンカーの孔内への挿入抵抗を小さくできるとともに、地盤アンカーの引抜き耐力低下を防止できる地盤アンカーの施工方法を提供するものである。
地盤アンカー挿入ステップにおいては、第1の注入材注入ステップにおいて孔内に注入材を注入するために用いた注入管を除去した後に、地盤アンカーを孔内に挿入したので、地盤アンカーの挿入作業をスムーズに行える。
即ち、第1の注入材注入ステップBにおいては、ケーシング孔6内の水が全て注入材7に置換されるまでケーシング孔6内に注入材7を注入するのではなく、図1(c)に示すように、地盤アンカー挿入ステップCにおいてケーシング孔6内に地盤アンカー1を挿入して地盤アンカー1の下端1aを孔底5aに接触させた場合に、ケーシング孔6内に注入されて水と置換される注入材7の上端位置Tが地盤アンカー1の定着長部101の上端位置40tよりも若干上方に位置される量だけ注入材7を注入すれば良いので、ケーシング孔6内の水を全て当該水よりも比重の大きい注入材7に置換した後に当該注入材7中に地盤アンカー1を挿入する場合と比べて、地盤アンカー1のケーシング孔6内への挿入抵抗を小さくできる。さらに、ケーシング孔6内の水中で浮遊するスライムは比重が小さく地盤アンカー1の定着長部101の上端位置40tよりも上方に移動するので、地盤アンカー1の定着長部101の回りにスライムが残ってしまうことを防止でき、地盤アンカー1の引抜き耐力の低下を防止できるようになる。
尚、スライムとは、地盤削孔によりケーシング孔6内に残った削孔水に混じった土(堀屑)を言う。
・量Aは、地盤アンカー1の下端1aを孔5の孔底5aに接触させた状態における地盤アンカー1の定着長部101の上端位置40tに相当するケーシング孔内高さ位置と孔底5aとの間のケーシング孔内下側部分の容積。
・量Bは、地盤アンカー1の下端1aと地盤アンカー1の定着長部101の上端位置40tとの間の地盤アンカー下側部分の体積。
従って、実施形態では、ケーシング孔6に挿入されて設置された地盤アンカー1の定着長部101の周囲にスライムを残さないようにすることが可能となり、所望の引抜き耐力が得られるように地盤アンカー1を地盤10に設置することが可能となる。
このように、注入管9Aをケーシング孔6内から撤去し後に地盤アンカー1をケーシング孔6に挿入すれば、ケーシング孔6に地盤アンカー1を挿入する際の障害物が無くなるので、地盤アンカー1の挿入作業をスムーズに行える。
尚、第2の注入材注入ステップDにおける注入材注入作業は、注入材7を注入するための注入ホース等の注入管9Bを地盤アンカー1の側面に取付けて注入管9Bと地盤アンカー1とを一緒にケーシング孔6に挿入した後に注入材7を当該注入管9Bを介してケーシング孔6内に注入したり、あるいは、地盤アンカー1をケーシング孔6に挿入した後に注入管9Bをケーシング孔6に挿入して注入材7を当該注入管9Bを介してケーシング孔6内に注入したり、あるいは、地盤アンカー1の後述する下端(先端)部キャップ61の周面や耐荷体40の周面に地盤アンカー1の内側と外側とに貫通する図外の注入口を備えた地盤アンカー1を用いて地盤アンカー1の内側に注入材7を注入することで当該注入口を介して注入材7をケーシング孔6内に注入すればよい。
また、注入管9Bとしては、ケーシング孔6への地盤アンカー1の挿入作業性や注入管9Bの挿入作業性を良くするために断面扁平形状の注入ホースを用いることが好ましい。
地盤アンカー加圧注入ステップでは、下端1aが孔5の孔底5aに接触するように孔5内に設置されている地盤アンカー1の定着長部101の上端位置40tの位置までケーシング2の下端が位置されるようにケーシング2を引き上げた後に、ケーシング2の上端開口を図外のキャップ(蓋)で塞いで当該キャップに設けられた注入孔に図外の注入管を通し、当該注入管を介して注入材7を加圧注入して注入材7を地盤10に浸透させることで、注入材7と孔5の内壁との接触面の摩擦力、即ち、注入材7と地盤10との接触面の摩擦力を維持させ、さらに、ケーシング2を孔5内から引抜いた後、孔5の上端まで注入材7を追加注入する。
地盤アンカー緊張定着ステップでは、孔5の上端まで注入材7を注入した後、注入材7が所定の強度に達するのを待ってから(例えば、孔5の上端まで注入材7を注入した後、7日〜28日程度経過するのを待ってから)、孔5の上端開口より上方に突出する地盤アンカー1の頭部の周囲に建物の基礎を構築して当該建物の基礎に地盤アンカー1の頭部を固定する。例えば、予め決められた引張力で引張材としてのPC鋼撚り線20を引っ張ってからPC鋼撚り線20の上端部を後述する上端部固定装置33で固定することで、PC鋼撚り線20による引き抜き荷重が、後述する下端側支圧板30A、耐荷体40、注入材7を介して地盤10に伝達され、注入材7と地盤10との摩擦力によって地盤アンカー1が地盤10に定着される。
図2に示す地盤アンカー1は、引張材としての複数のPC鋼撚り線20と、複数のPC鋼撚り線20の下端部に設けられた下端側支圧板30Aと、複数のPC鋼撚り線20の上端部に設けられた上端側支圧板30Bと、下端側支圧板30AのPC鋼撚り線20による引き抜き側(上面31側)と接触する耐荷体40とを備え、耐荷体40の外周面が凹凸面41に形成され、PC鋼撚り線20による引き抜き荷重が耐荷体40の凹凸面41、注入材7、孔5の壁面を介して地盤10に伝達されることによって地盤10に定着される構成のアンカーである。
下端側支圧板30Aの上面31側の外周面である上端部と耐荷体40の円筒の下端部とが連結される。耐荷体40の円筒の上端部と円筒状のシース体50の円筒の下端部とが連結される。シース体50の円筒の上端部と上端側支圧板30Bの下面32とが連結される。上端側支圧板30Bは、地盤表面42上に打設形成された基礎コンクリート19上に設置される。尚、上述した各連結は、円板や円筒の外周面あるいは内周面に円板や円筒の中心軸に沿って螺旋状に形成されたねじ部同士のねじ結合や、円板や円筒の外周面と内周面との嵌合とねじ止め、あるいは、溶接などで実現される。
各PC鋼撚り線20の下端部は、下端側支圧板30Aに形成された貫通孔16を貫通して下端側支圧板30Aよりも下方において圧着グリップ装置のような下端部固定装置60により固定される。下端側支圧板30Aの円筒の下端部には、下端部固定装置60を覆う下端部キャップ61が取付けられる。
上端側支圧板30Bの上面14にはくさび式固定装置のような上端部固定装置33が設けられる。複数の各PC鋼撚り線20;20の上端部は、上端側支圧板30Bの貫通孔17を貫通して、予め決められた引張力で上端側支圧板30Bの上方に引っ張られた後に上端部固定装置33により固定される。これにより、各PC鋼撚り線20にプレストレスが導入されて固定される。
PC鋼撚り線20にプレストレスが導入されて固定されたことで、下端部固定装置60と下端側支圧板30Aとが接触し、PC鋼撚り線20による引き抜き荷重が、下端側支圧板30A、耐荷体40、注入材7、孔5の壁面を介して地盤10に伝達されて、地盤アンカー1が地盤10に定着される。
上端側支圧板30Bの上面14には、PC鋼撚り線20の上端部及び上端部固定装置33を覆う上端部キャップ35が取付けられる。
地盤アンカー1の下端部キャップ61と下端側支圧板30Aの下面15とで区画された先端空間には防錆油45が充填され、下端側支圧板30Aの上面31から上端側支圧板30Bの下面32より若干下の位置までの間において耐荷体40及びシース体50で区画された中央側筒内空間にはグラウトのような防錆材46が充填され、上端側支圧板30Bの下面32より若干下の位置から上端側支圧板30Bの下面32までの間においてシース体50で区画された筒内空間、及び、上端側支圧板30Bの上面14と上端部キャップ35とで囲まれた空間には、防錆油45が充填される。
地盤アンカー1における下端1aから上端部キャップ35の上端までの長さをLとした場合、例えば、下端支圧部100の長さはL/100程度、定着長部101の長さはL/3程度、自由長部102の長さはL/1.7程度、アンカー頭部103の長さはL/15程度である。
6 ケーシング孔(孔)、7 注入材、9A 注入管、10 地盤、
40t 地盤アンカーの定着長部の上端位置。
Claims (2)
- 削孔手段及び液体を用いて地盤に地盤アンカー挿入用の孔を形成する削孔ステップと、
削孔された孔内に注入材を注入する第1の注入材注入ステップと、
第1の注入材注入ステップ終了後に孔内に地盤アンカーを挿入する地盤アンカー挿入ステップと、
孔内に地盤アンカーが挿入された後に当該孔内の液体が全て注入材に置換されるまで孔内に注入材を注入する第2の注入材注入ステップとを備え、
第1の注入材注入ステップにおいては、地盤アンカー挿入ステップにおいて孔内に地盤アンカーを挿入して地盤アンカーの下端を孔底に接触させた場合に孔内の液体中で浮遊するスライムを地盤アンカーの定着長部の上端位置よりも上方に移動させるために必要な量の注入材として、地盤アンカーの下端を孔底に接触させた状態における地盤アンカーの定着長部の上端位置に相当する孔内高さ位置と孔底との間の孔内下端側部分の容積から地盤アンカーの下端と地盤アンカーの定着長部の上端位置との間の地盤アンカー下端側部分の体積を引いた量の1.1倍〜1.2倍の量の注入材を孔内に注入したことを特徴とする地盤アンカーの施工方法。 - 地盤アンカー挿入ステップにおいては、第1の注入材注入ステップにおいて孔内に注入材を注入するために用いた注入管を除去した後に、地盤アンカーを孔内に挿入したことを特徴とする請求項1に記載の地盤アンカーの施工方法。
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