JP5327674B2 - ゴム製品補強用スチールコード - Google Patents

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Description

本発明は、車両用タイヤや工業用ベルト等のゴム製品の補強材として使用されるゴム製品補強用スチールコードに関する。
タイヤやベルト等のゴム製品の補強材とするゴム製品補強用スチールコードとして、例えば、複数本の素線からなる芯の周りに複数本の素線が撚り合わされてなる2層構造のスチールコードが使用されている。そして、そうした2層構造のスチールコードの一例として、3本の芯素線を撚らずに並列に引き揃えた芯の周囲に芯素線と同径の5〜10本の側素線を撚り合わせたコード外郭形状が楕円形状のスチールコードが従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平2000−336584号公報
しかし、このように3本の芯素線を撚らずに並列に引き揃えた芯の周囲に芯素線径と同径の5〜10本の側素線を撚り合わせた従来のスチールコードは、側素線が芯に沿って巻き付いたものではなく、しかも外郭形状が楕円形であるため、側素線の自由度が大きくて撚りの形状が安定せず、耐疲労性に問題がある。また、このスチールコードは、外郭形状が楕円形であることから例えば複数本のコードを互いに平行に揃えてゴムシートに埋設しタイヤの補強材とする場合に、楕円形状の短径側を高さ方向に揃えることで、ゴムシートの厚みを小さくし、ゴムの削減を図るようにすることが考えられるが、楕円形状ではあっても、偏平度が小さいため、ゴム削減の効果は小さい。
本発明は、こうした問題を解決するためのもので、車両用タイヤや工業用ベルト等のゴム製品の補強材として使用されるゴム製品補強用スチールコードを超偏平で且つ耐疲労性に優れたものとすることを目的とする。
本発明のゴム製品補強用スチールコードは、3本の素線からなる芯素線群の周りにM本(M=5〜13)の側素線を撚り合わせた3+M構造のスチールコードであって、3本の芯素線は、互いに略平行で且つコード断面において略直線状に一方向に並ぶとともに、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側に位置する側素線が芯素線群の両端側の芯素線との間に隙間を有するとともに、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側から外れて位置する側素線が3本の芯素線のいずれかと接触し、しかも下記式1に示すコード断面において周方向に隣り合う側素線の中心を順次直線で結んだ閉屈曲線の長さAに対する側素線の線径Bと本数Cとの積で定義される側素線充填率が70〜90%であることを特徴とする。
(式1)(B×C/A)×100
このスチールコードは、芯素線群の3本の芯素線が互いに略平行で且つコード断面において略直線状に並んで、その周りにM本(M=5〜13)の側素線が撚り合わされていることにより、隣り合う側素線の間に隙間ができる。そして、このスチールコードは、このように隣り合う側素線の間に隙間ができ、また、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側に位置する側素線が芯素線群の両端側の芯素線との間に隙間を有することにより、コード内部へのゴム侵入性に優れ、耐フレッティング磨耗性に優れる。
また、このスチールコードは、芯素線群の3本の芯素線が互いに略平行で且つコード断面において略直線状に並んで、その周りにM本(M=5〜13)の側素線が撚り合わされ、且つ、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側から外れて位置する側素線が3本の芯素線のいずれかと接触することにより、コード断面の外郭形状がトラック形状で、一方向に超偏平となり、例えば複数本のコードを互いに平行に揃えてゴムシートに埋設しタイヤの補強材とする場合に、トラック形状の短径側を高さ方向に揃えることでゴムシートの厚みを小さくすることが可能となり、ゴム削減効果を高めることができる。
そして、このスチールコードは、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側から外れて位置する側素線が3本の芯素線のいずれかと接触し、芯に沿って巻き付いた形となり側素線の自由度が小さくなって撚り形状が安定する。
また、コード断面において周方向に隣り合う側素線の中心を順次直線で結んだ閉屈曲線の長さに対する側素線の線径と本数との積で定義される側素線充填率が70〜90%であるため、側素線間の隙間から芯素線が飛び出すという撚り不良の発生が防止でき、しかもゴム侵入性に優れているため耐疲労性に優れる。
側素線充填率が70%未満だと、側素線間の隙間が大きくなりすぎて側素線間の隙間から芯素線が飛び出すという撚り不良が発生して耐疲労性が低下し、側素線充填率が90%超えると、側素線間の隙間が小さすぎてゴム材の侵入性が低下し、耐疲労性が低下する。
ここで、3本の芯素線は、コード長手方向に相互に位相が揃った波形を呈するものであってよい。
互いに略平行で且つコード断面において略直線状に一方向に並ぶ3本の芯素線が、コード長手方向に相互に位相が揃った波形を呈することで、コードに引張荷重がかかったときに芯素線に偏る引張荷重が軽減され、破断強度が増して、耐疲労性が向上する。
この場合、その芯素線が呈する波形は、振幅dと素線径Dとが、0.05≦d/D≦0.8を満たすのがよい。d/D<0.05では、芯素線に偏る引張荷重を十分に軽減できず、破断強度を十分に高めることができない。また、d/D>0.8では、引張荷重が側素線に偏り、破断強度が小さくなって、耐疲労性が低下する。
このように、本発明によれば、車両用タイヤや工業用ベルト等のゴム製品の補強材として使用されるゴム製品補強用スチールコードを、超偏平で且つ耐疲労性に優れたものとすることができる。
本発明の実施形態に係る3+7構造のスチールコードの断面図である。 本発明の実施形態に係る3+9構造のスチールコードの断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すスチールコード1は、車両用タイヤや工業用ベルト等の補強材として使用されるゴム製品補強用スチールコードであって、3本の芯素線2a〜2cからなる芯素線群3を芯(コア)とし、その周りに7本の側素線4a〜4gを撚り合わせて側(シース)となる側素線群5を形成した3+7構造のスチールコードである。3本の芯素線2a〜2cは同じ線径で、また7本の側素線4a〜4gは同じ線径であり、3本の芯素線2a〜2cの線径は7本の側素線4a〜4gの線径より小さい。芯素線2a〜2cと側素線4a〜4gの線径は例えば0.20〜0.38mmである。また、コードの撚りピッチは例えば10〜20mmである。
そして、このスチールコード1の7本の側素線4a〜4gは、芯素線群3のコード断面における長手方向の両端側に位置する側素線4a,4d,4gが芯素線群3の両端側の芯素線2a,2cとの間に隙間を有するとともに、芯素線群3のコード断面における長手方向の両端側から外れて位置する側素線4b,4c,4e,4fが3本の芯素線2a〜2cのいずれかと接触(ないし略接触)し、且つ、コード断面において周方向に隣り合う7本の側素線4a〜4gの中心を順次直線で結んだ閉屈曲線Lの長さに対する側素線の線径と本数(7本)との積で定義される側素線充填率が70〜90%である。
また、図2に示すスチールコード1は、車両用タイヤや工業用ベルト等の補強材として使用されるゴム製品補強用スチールコードであって、3本の芯素線2a〜2cからなる芯素線群3を芯(コア)とし、その周りに9本の側素線4a〜4iを撚り合わせて側(シース)となる側素線群5を形成した3+9構造のスチールコードである。3本の芯素線2a〜2cと9本の側素線4a〜4iは、いずれも線径が同じで、例えば線径0.20〜0.38mmである。また、コードの撚りピッチは例えば10〜20mmである。
このスチールコード1は、芯素線2a〜2cが全てコード状態において互いに略平行で、且つ、コード断面において略直線状に一方向(横方向)に並ぶとともに、コード長手方向に位相が揃った波形を呈する。
芯素線2a〜2cの波形は、波形の振幅すなわちコードの状態での芯の見掛けの波高(素線径を含まない)dと素線径Dとが、0.05≦d/D≦0.8の関係を満たす。
そして、このスチールコード1の9本の側素線4a〜4iは、芯素線群3のコード断面における長手方向の両端側に位置する側素線4a,4e,4fが芯素線群3の両端側の芯素線2a,2cとの間に隙間を有するとともに、芯素線群3のコード断面における長手方向の両端側から外れて位置する側素線4b,4c,4d,4g,4h,4iが3本の芯素線2a〜2cのいずれかと接触(ないし略接触)する。また、コード断面において周方向に隣り合う側素線4a〜4iの中心を順次直線で結んだ閉屈曲線Lの長さに対する側素線の線径と本数(9本)との積で定義される側素線充填率が70〜90%である。
なお、図1に示すスチールコード1は3+7構造で、図2に示すスチールコード1は3+9構造であるが、本発明の実施形態は、これに限定されるものではなく、3本の芯素線2a〜2cからなる芯素線群の周りにM本(M=5〜13)の側素線(4a〜4g,4a〜4i等)を撚り合わせた3+M構造のスチールコードに係るものであればよい。
その場合、3+M構造のスチールコード1は、芯素線2a〜2cが全てコード状態において互いに略平行で、且つ、コード断面において略直線状に一方向(横方向)に並ぶ。また、コード長手方向に位相が揃った波形を呈するものとしてもよい。
芯素線2a〜2cの波形は、波形の振幅すなわちコードの状態での芯の見掛けの波高(素線径を含まない)dと素線径Dとが、0.05≦d/D≦0.8の関係を満たすものとする。
さらに、コード断面において周方向に隣り合う側素線(4a〜4g,4a〜4i等)の中心を順次直線で結んだ閉屈曲線Lの長さに対する側素線の線径と本数(6本,9本等)との積で定義される側素線充填率が70〜90%である。
このように構成した3+M構造のスチールコード1は、芯素線群3の3本の芯素線2a〜2cが互いに略平行で且つコード断面において略直線状に一方向に並んで、その周りにM本(M=5〜13)の側素線(4a〜4g,4a〜4i等)が撚り合わされていることにより、隣り合う側素線の間に隙間ができる。そして、このスチールコード1は、このように隣り合う側素線の間に隙間ができ、また、芯素線群3のコード断面における長手方向の両端側に位置する側素線が芯素線群3の両端側の芯素線2a,2cとの間に隙間を有することにより、コード内部へのゴム侵入性に優れ、耐フレッティング磨耗性に優れる。
そして、このスチールコード1は、互いに略平行で且つコード断面において略直線状に一方向に並ぶ3本の芯素線2a〜2cが、コード長手方向に相互に位相が揃った波形を呈するようにすることで、コードに引張荷重がかかったときに芯素線2a〜2cに偏る引張荷重が軽減され、破断強度が増して、耐疲労性がさらに向上する。
また、このスチールコード1は、芯素線群3の3本芯素線2a〜2cが互いに略平行で且つコード断面において略直線状に一方向に並んで、その周りにM本の側素線(4a〜4g,4a〜4i等)が撚り合わされ、且つ、芯素線群3のコード断面における長手方向の両端側から外れて位置する側素線(4b,4c,4e,4fや、4b,4c,4d、4g,4h,4i等)が芯素線2a〜2cのいずれかと接触(ないし略接触)するので側素線の自由度が小さくなって撚り形状が安定する。
さらに、コード断面において周方向に隣り合う側素線(4a〜4g,4a〜4i等)の中心を順次直線で結んだ閉屈曲線の長さLに対する側素線(4a〜4g,4a〜4i等)の線径と本数(7本又は9本等)との積で定義される側素線充填率を70〜90%とすることで、側素線間の隙間から芯素線が飛び出すという撚り不良の発生が防止でき、しかもゴムの侵入性がさらに向上して耐疲労性に優れる。
側素線充填率が70%未満だと、側素線(4a〜4g,4a〜4i等)間の隙間が大きくなりすぎて、側素線(4a〜4g,4a〜4i等)間の隙間から芯素線2a〜2cの内の1本乃至3本が飛び出すという撚り不良が発生し、これによって耐疲労性が低下し、また、側素線充填率が90%超えると、側素線(4a〜4g,4a〜4i等)間の隙間が小さすぎてゴム材の侵入性が低下し、耐疲労性が低下する。
本発明のスチールコード1は、3本芯素線2a〜2cの周りに、稠密に撚り合わせたときのくせより大きな波高を有する波形くせをそれぞれ施したM本(M=5〜13)の側素線(4a〜4g,4a〜4i等)を撚り合わせたのちに、複数個の自由回転するローラを千鳥状に配置した周知の押圧加工装置で押圧加工することで断面形状が超偏平である構造にすることができる。
また、側素線充填率は、側素線の本数によって芯素線径と側素線径および側素線に施す波形くせの波高を適宜選択することで調整する。
本発明の実施例として3+7構造、3+8構造、3+9構造、3+13構造のスチールコードを作成し、ゴム侵入性、形状安定性および耐疲労性の評価を行った。その結果を従来例と対比して表1に示す。
3+7構造の実施例は、芯素線径が0.25mm、側素線径が0.38mm、撚りピッチ18mmで、芯素線が全てコード状態において互いに略平行で、且つ、コード断面において略直線状に一方向に並ぶとともに、コード長手方向に略真直であり、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側に位置する側素線が芯素線群の両端側の芯素線との間に隙間を有するとともに、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側から外れて位置する側素線が3本の芯素線のいずれかと接触し、しかもコード断面において周方向に隣り合う側素線の中心を順次直線で結んだ閉屈曲線の長さに対する側素線の線径(0.38)と本数(7)との積で定義される側素線充填率が82%である。
そして、3+7構造の比較例1は、構造は実施例と同じで、芯素線径が0.30mm、側素線径が0.38mm、撚りピッチ18mmで、芯素線が全てコード状態において互いに略平行で、且つ、コード断面において略直線状に一方向に並ぶとともに、コード長手方向に略真直であり、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側に位置する側素線が芯素線群の両端側の芯素線との間に隙間を有するとともに、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側から外れて位置する側素線が3本の芯素線のいずれかと接触するが、コード断面において周方向に隣り合う側素線の中心を順次直線で結んだ閉屈曲線の長さに対する側素線の線径(0.38)と本数(7)との積で定義される側素線充填率が68%である。
また、3+7構造の比較例2は、構造は実施例と同じで、芯素線径が0.20mm、側素線径が0.38mm、撚りピッチ18mmで、芯素線が全てコード状態において互いに略平行で、且つ、コード断面において略直線状に一方向に並ぶとともに、コード長手方向に略真直であり、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側に位置する側素線が芯素線群の両端側の芯素線との間に隙間を有するとともに、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側から外れて位置する側素線が3本の芯素線のいずれかと接触するが、コード断面において周方向に隣り合う側素線の中心を順次直線で結んだ閉屈曲線の長さに対する側素線の線径(0.38)と本数(7)との積で定義される側素線充填率が94%である。
3+8構造の実施例は、芯素線径が0.25mm、側素線径が0.25mm、撚りピッチ18mmで、芯素線が全てコード状態において互いに略平行で、且つ、コード断面において略直線状に一方向に並ぶとともに、コード長手方向に略真直であり、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側に位置する側素線が芯素線群の両端側の芯素線との間に隙間を有するとともに、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側から外れて位置する側素線が3本の芯素線のいずれかと接触し、しかもコード断面において周方向に隣り合う側素線の中心を順次直線で結んだ閉屈曲線の長さに対する側素線の線径(0.25)と本数(8)との積で定義される側素線充填率が71%である。
そして、3+8構造の比較例1は、構造は実施例と同じで、芯素線径が0.25mm、側素線径が0.25mm、撚りピッチ18mmで、芯素線が全てコード状態において互いに略平行で、且つ、コード断面において略直線状に一方向に並ぶとともに、コード長手方向に略真直であり、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側に位置する側素線が芯素線群の両端側の芯素線との間に隙間を有するとともに、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側から外れて位置する側素線が3本の芯素線のいずれかと接触するが、コード断面において周方向に隣り合う側素線の中心を順次直線で結んだ閉屈曲線の長さに対する側素線の線径(0.25)と本数(8)との積で定義される側素線充填率が65%である。
また、3+8構造の比較例2は、構造は実施例と同じで、芯素線径が0.25mm、側素線径が0.35mm、撚りピッチ18mmで、芯素線が全てコード状態において互いに略平行で、且つ、コード断面において略直線状に一方向に並ぶとともに、コード長手方向に略真直であり、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側に位置する側素線が芯素線群の両端側の芯素線との間に隙間を有するとともに、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側から外れて位置する側素線が3本の芯素線のいずれかと接触するが、コード断面において周方向に隣り合う側素線の中心を順次直線で結んだ閉屈曲線の長さに対する側素線の線径(0.35)と本数(8)との積で定義される側素線充填率が91%である。
3+9構造の実施例は、芯素線径が0.30mm、側素線径が0.30mm、撚りピッチ18mmで、芯素線が全てコード状態において互いに略平行で、且つ、コード断面において略直線状に一方向に並ぶとともに、コード長手方向に相互に位相が揃った波形を呈し、芯素線の波形は、振幅すなわちコード状態での芯の見掛けの波高(素線径を含まない)dと素線径Dとが、0.05≦d/D≦0.8の関係を満たし、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側に位置する側素線が芯素線群の両端側の芯素線との間に隙間を有するとともに、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側から外れて位置する側素線が3本の芯素線のいずれかと接触し、しかもコード断面において周方向に隣り合う側素線の中心を順次直線で結んだ閉屈曲線の長さに対する側素線の線径(0.30)と本数(9)との積で定義される側素線充填率が80%である。
そして、3+9構造の比較例1は、構造は実施例と同じで、芯素線径が0.35mm、側素線径が0.30mm、撚りピッチ18mmで、芯素線が全てコード状態において互いに略平行で、且つ、コード断面において略直線状に一方向に並ぶとともに、コード長手方向に相互に位相が揃った波形を呈し、芯素線の波形は、振幅すなわちコード状態での芯の見掛けの波高(素線径を含まない)dと素線径Dとが、0.05≦d/D≦0.8の関係を満たし、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側に位置する側素線が芯素線群の両端側の芯素線との間に隙間を有するとともに、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側から外れて位置する側素線が3本の芯素線のいずれかと接触するが、コード断面において周方向に隣り合う側素線の中心を順次直線で結んだ閉屈曲線の長さに対する側素線の線径(0.30)と本数(9)との積で定義される側素線充填率が68%である。
また、3+9構造の比較例2は、構造は実施例と同じで、芯素線径が0.25mm、側素線径が0.30mm、撚りピッチ18mmで、芯素線が全てコード状態において互いに略平行で、且つ、コード断面において略直線状に一方向に並ぶとともに、コード長手方向に相互に位相が揃った波形を呈し、芯素線の波形は、振幅すなわちコード状態での芯の見掛けの波高(素線径を含まない)dと素線径Dとが、0.05≦d/D≦0.8の関係を満たし、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側に位置する側素線が芯素線群の両端側の芯素線との間に隙間を有するとともに、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側から外れて位置する側素線が3本の芯素線のいずれかと接触するが、コード断面において周方向に隣り合う側素線の中心を順次直線で結んだ閉屈曲線の長さに対する側素線の線径(0.30)と本数(9)との積で定義される側素線充填率が91%である。
3+13構造の実施例は、芯素線径が0.38mm、側素線径が0.23mm、撚りピッチ18mmで、芯素線が全てコード状態において互いに略平行で、且つ、コード断面において略直線状に一方向に並ぶとともに、コード長手方向に相互に位相が揃った波形を呈し、芯素線の波形は、振幅すなわちコード状態での芯の見掛けの波高(素線径を含まない)dと素線径Dとが、0.05≦d/D≦0.8の関係を満たし、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側に位置する側素線が芯素線群の両端側の芯素線との間に隙間を有するとともに、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側から外れて位置する側素線が3本の芯素線のいずれかと接触し、コード断面において周方向に隣り合う側素線の中心を順次直線で結んだ閉屈曲線の長さに対する側素線の線径(0.23)と本数(13)との積で定義される側素線充填率が78%である。
そして、3+13構造の比較例1は、構造は実施例と同じで、芯素線径が0.38mm、側素線径が0.20mm、撚りピッチ18mmで、芯素線が全てコード状態において互いに略平行で、且つ、コード断面において略直線状に一方向に並ぶとともに、コード長手方向に相互に位相が揃った波形を呈し、芯素線の波形は、振幅すなわちコード状態での芯の見掛けの波高(素線径を含まない)dと素線径Dとが、0.05≦d/D≦0.8の関係を満たし、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側に位置する側素線が芯素線群の両端側の芯素線との間に隙間を有するとともに、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側から外れて位置する側素線が3本の芯素線のいずれかと接触するが、コード断面において周方向に隣り合う側素線の中心を順次直線で結んだ閉屈曲線の長さに対する側素線の線径(0.20)と本数(13)との積で定義される側素線充填率が66%である。
また、3+13構造の比較例2は、構造は実施例と同じで、芯素線径が0.38mm、側素線径が0.30mm、撚りピッチ18mmで、芯素線が全てコード状態において互いに略平行で、且つ、コード断面において略直線状に一方向に並ぶとともに、コード長手方向に相互に位相が揃った波形を呈し、芯素線の波形は、振幅すなわちコード状態での芯の見掛けの波高(素線径を含まない)dと素線径Dとが、0.05≦d/D≦0.8の関係を満たし、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側に位置する側素線が芯素線群の両端側の芯素線との間に隙間を有するとともに、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側から外れて位置する側素線が3本の芯素線のいずれかと接触するが、コード断面において周方向に隣り合う側素線の中心を順次直線で結んだ閉屈曲線の長さに対する側素線の線径(0.30)と本数(13)との積で定義される側素線充填率が93%である。
従来例は、上記各構造の実施例の芯素線径、側素線径および撚りピッチと同じで、芯素線が全てコード状態において互いに略平行で、且つ、コード断面において略直線状に一方向に並ぶとともに、コード長手方向に略真直であり、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側に位置する側素線が芯素線群の両端側の芯素線との間に隙間を有するが、芯素線群のコード断面における長手方向の両端側から外れて位置する側素線も3本の芯素線との間に隙間を有し、外郭形状が楕円形である。
ゴム侵入性は、各コードに49Nの引張荷重をかけた状態でゴム中に埋め込み、加硫をした後コードを取り出し、そのコードを分解して一定長さを観察し、観察した長さに対してゴム材と接触した形跡のある長さの比をパーセント表示した。
耐疲労性は、複数本のコードをゴム材中に埋め込んで複合体シートを作成し、このシートを用いて2層ベルト疲労試験機により、フレッティング摩耗、座屈等を経てコードが破断するまでの繰り返し回数を求め、3+7構造、3+8構造、3+9構造、3+13構造それぞれについて各従来例を100として指数表示した。
形状安定性(均一性)は、撚り加工後のスチールコードにおいて、撚り乱れ(側素線のみだれ)や芯素線の側素線間からの飛び出し有無を観察した。撚り乱れや芯素線の飛び出しが無いものを○、撚り乱れや芯素線の飛び出しがあったものを×とした。
この評価結果から、本発明の各実施例のスチールコードは、耐疲労性並びに形状安定性に優れていることがわかる。
自動車用タイヤ、コンベアベルト等のゴム製品補強材に適用できる。
1 スチールコード
2a〜2c 芯素線
3 芯素線群
4a〜4i 側素線
5 側素線群
L 側素線の中心を順次直線で結んだ閉屈曲線

Claims (3)

  1. 3本の素線からなる芯素線群の周りにM本(M=5〜13)の側素線を撚り合わせた3+M構造のスチールコードであって、
    前記3本の芯素線は、互いに略平行で且つコード断面において略直線状に一方向に並ぶとともに、
    前記M本の側素線は、前記芯素線群のコード断面における長手方向の両端側に位置する側素線が該芯素線群の両端側の芯素線との間に隙間を有するとともに、前記芯素線群のコード断面における長手方向の両端側から外れて位置する側素線が前記3本の芯素線のいずれかと接触し、
    コード断面において周方向に隣り合う側素線の中心を順次直線で結んだ閉屈曲線の長さに対する前記側素線の線径と本数との積で定義される側素線充填率が70〜90%であることを特徴とするゴム製品補強用スチールコード。
  2. 前記3本の素線は、コード長手方向に相互に位相が揃った波形を呈することを特徴とする請求項1記載のゴム製品補強用スチールコード。
  3. 前記波型の振幅dと素線径Dとが、0.05≦d/D≦0.8を満たすことを特徴とする請求項2記載のゴム製品補強用スチールコード。
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