JP5323874B2 - マスクブランク用ガラス基板、マスクブランク、マスクおよび反射型マスク並びにこれらの製造方法 - Google Patents

マスクブランク用ガラス基板、マスクブランク、マスクおよび反射型マスク並びにこれらの製造方法 Download PDF

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本発明は、マスクブランク用ガラス基板、マスクブランク用ガラス基板の製造方法、マスクブランクの製造方法、及びマスクの製造方法に関する。
従来、マスクブランクの製造に用いられるマスクブランク用ガラス基板に関して、識別又は管理用のマーカを形成する構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このマーカは、複数の凹部の配列で表現されたものである。この凹部は、レーザ光の照射により、マスクブランク用ガラス基板の転写パターンを作製する際に影響のない領域の面、例えば、マスクブランク用ガラス基板に転写パターン用薄膜を成膜して形成されたマスクブランクにおいて、転写パターンを形成するエリアの外周領域の主表面や、端面、主表面と端面との間に形成された面取り面、ノッチマーク形成部等に形成される。
特開2006−309143号公報
近年、半導体デバイスの製造時等のフォトリソグラフィプロセスで用いられる露光光源の波長は、200nm以下に短波長化しており、マスクの製造に使用されるマスクブランクや、マスクブランク用ガラス基板に要求される品質は益々厳しくなっている。特に、許容できる欠陥の大きさや個数、レジスト膜の面内膜厚均一性等の、製造されるデバイスのパターン特性に影響のある品質の要求は、厳しくなっている。そして、これらの品質の要求を満たすためには、例えば、マスクブランク用基板からの発塵を十分に抑えることが必要になっている。
しかし、マスクブランク用ガラス基板にマーカを形成する場合、マーカの形状や形成の仕方によっては、例えばマーカの形成途中や後の工程での発塵の原因となるおそれがある。そして、マーカの形成途中や後の工程で発塵が生じてしまうと、マスクブランクや、マスクブランク用ガラス基板に対する要求品質を満たすことが困難になるおそれがある。
そこで、本発明は、上記の課題を解決できるマスクブランク用ガラス基板、マスクブランク用ガラス基板の製造方法、マスクブランクの製造方法、及びマスクの製造方法を提供することを目的とする。
本願の発明者は、マスクブランク用ガラス基板に形成したマーカと発塵の関係について、鋭意研究を行った。そして、先ず、凹部を丸孔にし、丸孔の配列で表現されるマーカを形成することにより、角部のないマーカを形成し、発塵を抑えることを考えた。
しかし、更に鋭意研究を行ったところ、凹部を丸孔にしてマーカを形成した場合にも、丸孔の配置等によっては、マーカの形成途中や後の工程で割れやカケ等が生じやすくなり、発塵を十分に抑えることが困難であることを見出した。そして、この知見に基づき、発塵をより適切に抑え得る本発明の構成に至った。本発明は、以下の構成を有する。
(構成1)マスクブランクの製造に用いられるマスクブランク用ガラス基板であって、前記マスクブランク用ガラス基板の転写パターンを作製する際に影響のない領域の面に、前記マスクブランク用ガラス基板を識別又は管理するための情報を複数の凹部で表現したマーカが形成されており、マーカを構成する凹部は、その縁部が略円形の丸孔であり、隣接する凹部同士の縁部間での距離が50μm以上である。凹部同士の縁部間の距離は、例えば50〜170μm、好ましくは70〜150μmである。
丸孔の配列でマーカを構成する場合に、隣接する複数の凹部間の距離が小さいと、凹部間に挟まれる部分の幅が細くなり、その部分の強度が弱くなるおそれがある。また、その結果、例えばマーカの形成途中や後の工程で受ける衝撃等により、凹部間に挟まれる部分に割れや欠け等が生じ、発塵の原因となるおそれがある。特に、レーザー光等のエネルギー光によって、ガラス基板面を融解または昇華させることでマーカを形成する場合、凹部の縁部の周囲に盛り上がり部が形成されてしまう(図2参照)。この盛り上がり部を研磨によって除去する際、隣接する複数の凹部間の距離が小さく強度が低いと、研磨時に係る力によって割れや欠け等が特に発生しやすい。更には、このような部分に割れや欠けが生じると、研磨等を行っても除去できず、後のマスクブランクやマスクの精度にも影響が生じるおそれが大きくなる。
また、隣接する複数の凹部間の距離を小さく設定した場合、マーカ形成時の工程精度のばらつき等により、隣接する凹部同士がつながるおそれもある。そして、隣接する丸孔の凹部同士がつながると、その凹部は、例えば二つの円が一部で重なる略ヒョウタン型となり、両者の境界部分に凸部を有する形状となる。この場合、この凸部に割れや欠け等が生じやすくなり、発塵の原因となるおそれがある。
これに対し、構成1のように構成した場合、隣接する複数の凹部間の距離を一定以上とすることにより、凹部間に挟まれる部分の強度を確保できる。そのため、このように構成すれば、例えば、マーカの形成途中や後の工程で受ける衝撃等による割れや欠け等を適切の防ぐことができる。また、これにより、マーカを構成する凹部が発塵の原因となることを適切に防ぐことができる。更には、発塵の原因となりにくいマーカを適切に形成できる。
なお、マーカとしては、例えば、データーマトリックス、QRコード、SPコード、ベリコード、マキシコード、CPコード、Code1、AztecCode、インタクタコード、カードe等の二次元コードを好適に用いることができる。マーカは、マスクブランク用ガラス基板から製造されるマスクの使用時におけるパターンの転写に影響のない領域に形成されることが好ましい。マスクブランク用ガラス基板の転写パターンを作製する際に影響のない領域の面とは、マスクブランク用ガラス基板に転写パターン用薄膜を成膜して形成されたマスクブランクにおいて、転写パターンを形成するエリアの外周領域の主表面や、端面、主表面と端面との間に形成された面取り面、ノッチマーク形成部等のことを指す。
(構成2)マーカは、マスクブランク用ガラス基板の端面に形成される。端面は、マスクブランク用ガラス基板の転写パターンを作製する際に影響のない領域の面のうち、マーカを形成するのに最も適している。基板主表面の転写パターンエリアの外周領域にマーカを形成する場合、凹部形成後に盛り上がり部を研磨除去する際に主表面に影響を与えないような工程で行う必要がある。また、面取り面やノッチマーク形成部の場合、面積が狭く、多くの情報を表現しにくい。
(構成3)マーカは、セルサイズが0.13〜0.3mmのセルを二次元に配置し、所定のセル内に凹部を形成することで情報を示す二次元コードであり、凹部の縁部の径は、80〜250μmである。1つのセルのサイズは、好ましくは0.24〜0.26mm(例えば0.25μm)である。凹部の縁部の径は、好ましくは90〜150μmである。
このように構成すれば、高い精度で読み取り可能な二次元コードのマーカを適切に形成できる。また、これにより、凹部が発塵の原因となることを適切に防ぎつつ、読み取りやすいマーカを適切に形成できる。
(構成4)凹部の深さは、4〜50μmである。凹部の深さは、好ましくは10〜45μm、さらに好ましくは25〜40μmである。凹部の縁部の径をL1、深さをDとした場合、両者の比L1/Dは、例えば2〜5、好ましくは3〜4である。
マーカを高い精度で読み取り可能にするためには、例えばマーカを撮像した画像において、凹部の有無によるコントラスト差を十分に大きくする必要がある。そして、コントラスト差を大きくするためには、例えば丸孔の凹部の径を大きくすることが考えられる。しかし、凹部の径を大きくすると、隣接する丸孔間の距離が小さくなり、割れや欠け等が生じやすくなるおそれがある。
また、凹部の径を変化させずにコントラスト差を大きくするためには、例えば深い丸孔を形成することも考えられる。しかし、凹部が小さく、かつ深い丸孔を形成した場合、様々な工程において、丸孔にパーティクルが捕捉されやすくなる恐れがあり、丸孔形成後の洗浄工程で除去できない恐れがある。そして、丸孔にパーティクルが捕捉されると、そのパーティクルは、後の工程における発塵の原因となるおそれがある。
これに対し、構成4のように構成すれば、適切な形状によりコントラスト差を十分に大きくする丸孔を形成できる。また、これにより、発塵の原因となりにくく、かつ読み取りやすいマーカをより適切に形成できる。
(構成5)凹部は、その縁部から中心近傍の最深部に向かって深さが漸増する孔である。この丸孔は、例えば、深さ方向と平行な平面による断面が略V字形となる孔である。
このように構成すれば、例えば、不要な凸部等がない滑らかな表面を有する丸孔を形成できる。また、これにより、マーカが発塵の原因となることをより適切に防ぐことができる。
(構成6)マスクブランクの製造に用いられるマスクブランク用ガラス基板の製造方法であって、凹部の縁部が略円形の丸孔であり、隣接する複数の丸孔間の距離が50μm以上である窪みの配列で表現される、マスクブランク用ガラス基板を識別又は管理するためのマーカを形成する。このようにすれば、例えば、構成1と同様の効果を得ることができる。
(構成7)マーカは、セルサイズが0.13〜0.3mmのセルを二次元に配置し、所定のセル内に凹部を形成することで情報を示す二次元コードであり、凹部の縁部の径は、80〜250μmであり、レーザ照射工程は、光径が前記凹部の縁部の径以下であるレーザ光を用い、レーザ光を前記凹部の中心を基準とした螺旋軌道あるいは周回軌道で、かつレーザ光で掘られる掘込部の軌道同士が少なくとも一部重なるように移動させることで凹部を形成する。レーザ光のガラス基板を溶融または昇華させるだけのエネルギーを有する有効な領域における光径(以下、単に光径という。)は、例えば0.04より大きく0.25mm以下、好ましくは0.06〜0.2mm(例えば0.08mm)である。ただし、いずれの場合も形成する凹部の縁部の径以下とする。
本願の発明者は、このような方法を用いることにより、好ましい形状の丸孔を形成し得ることを見出した。このようにすれば、発塵に原因となりにくいマーカを、適切に形成できる。
(構成9)フォトリソグラフィ用のマスクの製造に用いられるマスクブランクの製造方法であって、構成6または7のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法で製造されるマスクブランク用ガラス基板を準備し、マスクブランク用ガラス基板上に、マスクパターン用薄膜を形成する。このようにすれば、例えば、構成6または7と同様の効果を得ることができる。また、これにより、短い露光波長の露光光用のマスクを製造する場合に要求される品質を満たすマスクブランクを適切に製造できる。
(構成9)フォトリソグラフィ用のマスクの製造方法であって、構成8に記載のマスクブランクの製造方法で製造されるマスクブランクを準備し、マスクパターン用薄膜をパターニングする。このようにすれば、例えば、構成8と同様の効果を得ることができる。また、これにより、例えば、短い露光波長の露光光での使用に適したマスクを適切に製造できる。
例えば、マスクブランク用ガラス基板に対し、識別または管理用として複数の凹部で表現したマーカを形成する際において、凹部の縁部の平面視形状に頂点があると、その部分の強度が低くなる恐れがあり、また、凹部間に挟まれる部分の幅が細い場合、その部分の強度が低くなるおそれがある。この強度の弱い部分は、例えばマーカの形成途中や後の工程で受ける衝撃等により、割れや欠け等が生じ、発塵の原因となるおそれがある。
特に、レーザー光等のエネルギー光によって、ガラス基板面を融解または昇華させることでマーカを形成する場合、凹部の縁部の周囲に盛り上がり部が形成されてしまうので、この盛り上がり部を研磨によって除去する必要があるが、その際、強度が低い部分が研磨時に係る力によって割れや欠け等が特に発生しやすい。このような部分に割れや欠けが生じると、研磨等を行っても除去できず、後のマスクブランクやマスクの精度にも影響が生じるおそれが大きくなる。
本発明によれば、凹部の縁部を頂点のない略円形の丸孔で形成することで、平面視形状において、強度の低下を抑制でき、隣接する複数の凹部間の距離を所定以上確保することにより、凹部間に挟まれる部分の強度の低下を抑制でき、マーカの形成部分での割れや欠け等に起因する発塵を抑制されたマスクブランク用ガラス基板を提供できる。
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るガラス基板12の構成の一例を示す。図1(a)は、ガラス基板12の側面図である。ガラス基板12は、マスクブランクの製造に用いられるマスクブランク用ガラス基板であり、例えば合成石英ガラスで形成される。なお、このほかにも、SiO−TiO系の低熱膨張ガラス、β石英固溶体を析出した結晶化ガラス、ソーダライムガラス等のガラス基板においても適用可能である。ガラス基板12の主表面及び端面(側面、面取面)は、所定の表面粗さの鏡面に研磨されている。この表面粗さは、例えば、算術平均表面粗さRaで1nm以下の表面粗さである。また、本例において、ガラス基板12の端面の一部には、ガラス基板12を識別又は管理するためのマーカ18が形成されている。マーカ18を用いることにより、ガラス基板12は、枚葉管理される。
なお、ガラス基板12から製造されるマスクブランクは、フォトリソグラフィ用のマスクの製造に用いられる。このマスクは、例えばArFエキシマレーザ(波長193nm)等の波長が200nm以下の光透過型マスクである。また、極端紫外光(Extreme Ultra Violet:以下、EUV光)を光源とする反射系リソグラフィで用いられるEUV露光用反射型マスクにおいても適用可能である。マーカ18は、マスクの使用時に転写に影響のない領域であれば、端面以外の箇所に形成されてもよい。
図1(b)は、マーカ18の詳細な構成の一例を示す。マーカ18は、凹部20の配列で表現される2次元コードである。凹部20は、その縁部が平面視で略円形の丸孔である。また、本例において、この二次元コードは、データマトリックスである。
ここで、マーカ18は、例えば、ガラス基板の製造工程において、ガラス基板12の各種特性と対応付けられる。マーカ18と対応付けられる特性としては、例えばガラス基板12の形状情報、欠陥情報等が考えられる。また、ガラス基板12を用いて製造されるマスクブランクやマスクの製造工程において、マスクブランクやマスクの各種特性と対応付けられる。この各種特性としては、例えば、ガラス基板12上に形成されるマスクパターン用薄膜の種類を示す情報や欠陥情報等が考えられる。マーカ18と対応付けられた各種情報を用いることにより、例えば、ガラス基板12、及びガラス基板12から製造されるマスクブランク及びマスクを枚葉管理しつつ、個別のガラス基板12、マスクブランク、及びマスクに合わせた工程を行うことが可能になる。
図2は、マーカ18が形成されるガラス基板12の製造方法の一例について説明する図である。本例において、ガラス基板12の製造方法は、例えば、基板準備工程、レーザ照射工程、端面研磨工程、及び主表面研磨工程を備える。基板準備工程は、例えば、所定の形状に研削加工されたガラス基板を準備する工程である。レーザ照射工程は、ガラス基板の端面にレーザ光を照射することにより、マーカ18の凹部20になるべき丸孔を形成する工程である。本例において、レーザ照射工程は、後に行われる端面研磨工程の影響を考慮して、ガラス基板において凹部20を形成すべき位置にレーザ光を照射することにより、丸孔を形成する。端面研磨工程は、ガラス基板の端面を所定の表面粗さに研磨する工程である。また、主表面研磨工程は、ガラス基板の主表面を所定の表面粗さに研磨する工程である。
図2(a)は、マーカ18が形成されるガラス基板12の端面22の形状を示す。本例において、ガラス基板12の端面22は、側面24と、面取面26とを有する。側面24は、ガラス基板12の主表面と垂直な面である。面取面26は、ガラス基板12の主表面と側面24を繋ぐ傾斜面である。本例において、マーカ18は、例えば、ガラス基板12の一の端面22における側面24に形成される。
図2(b)は、レーザ照射工程において形成される掘込部27の断面形状の一例を示す。掘込部27の形状は、説明の便宜上、概略のみを示している。本例において、レーザ照射工程は、例えば炭酸ガスレーザ(COレーザ)を照射するレーザマーカ装置により、マーカ18の各凹部20に対応する位置に、掘込部27を形成する。
この場合、ガラス基板においてレーザ光が照射された部分は、溶融又は昇華により、掘込部27となる。そのため、このようにすれば、掘込部27を適切に形成できる。また、掘込部27の形成と同時に、掘込部27の縁部の周囲には、例えば、縁部を囲むように盛り上がった形状となる盛り上がり部28が形成される。尚、レーザ照射工程については、後に更に詳しく説明する。
図2(c)は、端面研磨工程後における凹部20の形状の一例を示す。凹部20の形状は、説明の便宜上、概略のみを示している。本例において、端面研磨工程は、ガラス基板12の端面22を研磨することにより、盛り上がり部28を除去する。また、研磨の取り代分だけ端面22の表面を研磨することにより、凹部20は、掘込部27よりも若干浅くなる。また、その結果、凹部20の径も、掘込部27よりも若干小さくなる。
本例によれば、例えば、端面研磨工程により、掘込部27の周囲の盛り上がり部28を適切に除去できる。また、レーザ照射工程において予め径の大きな掘込部27を形成することにより、端面研磨工程後の凹部20の形状を所望の形状にできる。そのため、本例によれば、好ましい形状の凹部20を適切に形成できる。
図3は、マーカ18における凹部20の形状について更に詳しく説明する図であり、端面研磨工程後のマーカ18を示す。図3(a)は、マーカ18の一部を示す上面図であり、隣接する2個の凹部20の並びを示す。図3(b)は、マーカ18の一部を示す断面図であり、隣接する2個の凹部20の並びを示す。この断面は、凹部20の深さ方向と平行な平面による断面である。
本例において、マーカ18は、セルサイズが1.56〜4mm四方のデータマトリックスである。また、マーカ18において、各凹部20は、破線により仮想的に示したデータマトリックスの各セル30内に形成される。セル30のセルサイズは、例えば0.13〜0.3mm、好ましくは0.24〜0.26mmである。セルサイズとは、セル30を構成する正方形の1辺の長さである。
また、凹部20の縁部の径L1は、例えば80〜250μm、好ましくは90〜150μmである。隣接する複数の凹部20間の距離L2は、50μm以上であり、例えば50〜170μm、好ましくは70〜150μmである。な、隣接する複数の凹部20間の距離L2とは、例えば、隣接するセル30の両方に凹部20が形成されている場合における凹部20同士の縁部間の距離である。
このように構成した場合、例えば、隣接する複数の凹部20間の距離を十分に確保することにより、凹部20間に挟まれる部分の強度を確保できる。そのため、本例によれば、例えば、マーカ18の形成途中に行われる端面研磨工程や後の工程等で受ける衝撃等による割れや欠け等を適切の防ぐことができる。また、これにより、マーカ18を構成する20が発塵の原因となることを適切に防ぐことができる。更には、発塵の原因となりにくいマーカ18を適切に形成できる。
また、本例において、凹部20は、断面が略V字形となる孔であり、開口部の縁部から中心近傍の最深部に向かって深さが漸増する。凹部20の深さDは、例えば4〜50μm、好ましくは10〜45μm、さらに好ましくは25〜40μmである。また、凹部20の縁部の径L1と、深さDとの比L1/Dは、例えば2〜5、好ましくは3〜4である。
このように構成すれば、例えば、凹部20を過剰に深くすることなく、適切な形状により、マーカ18の読み取り時のコントラスト差を十分に確保できる。また、凹部20の表面は、不要な凸部等がない滑らかな形状となる。そのため、本例によれば、発塵の原因となりにくく、かつ読み取りやすいマーカ18をより適切に形成できる。
尚、凹部20は、例えば、開口部が円形又は楕円形の孔であってよい。そして、この円形又は楕円形は、必ずしも厳密に円形又は楕円形でなくとも、必要な精度に応じて、実質的に円形又は楕円形であればよい。また、凹部20の縁部の径とは、例えば、縁部の外接円の直径である。縁部が円形である場合、凹部20の縁部の径は、例えば、縁部の円形の直径である。縁部が楕円形である場合、凹部20の縁部の径は、例えば楕円形の長軸の長さである。
また、凹部20の縁部とは、例えば、隣接する2個の凹部20の中間点近傍における凹部20が形成されていない部分と比べて、1μm深くなった地点を結ぶ閉曲線である。この深さは、例えば原子間力顕微鏡(AFM)で測定した深さである。また、凹部20間の距離とは、例えば、隣接する2個の凹部20の縁部間における最短距離である。
また、凹部20の深さDは、例えば、凹部20における最深部の深さである。深さDは、例えば、隣接する2個の凹部20の中間点近傍における凹部20が形成されていない部分を基準にした深さであり、例えば原子間力顕微鏡(AFM)で測定される。
図4は、レーザ照射工程について更に詳しく説明する図である。図4(a)は、レーザ光の照射方法の一例を示す。本例において、レーザ照射工程は、データマトリックスのセルサイズ以下の光径である炭酸ガスレーザのレーザ光を照射する。本例において、セル30のセルサイズと比較して示したレーザの光径(幅)は、例えば矢印102で示した大きさである。レーザ光の光径は、例えば0.04〜0.25mm、好ましくは0.06〜0.2mm(例えば0.08mm)である。ただし、いずれの場合も形成する凹部の縁部の径以下である。
なお、レーザマーカ装置は、例えば、レーザ光を自動補正しつつ照射することにより、設定された光径(幅)のレーザ光を照射する。この場合、レーザマーカ装置は、例えば、幅方向(矢印102の方向)において光軸をずらして複数回レーザ光を照射することにより、レーザ光の光径よりも大きな径(幅)の掘込部27を形成する。また、レーザ光の光径とは、例えば、光軸に対して直交する面で測定されたピーク値の1/e(13.5%)レベルにおけるビーム強度の幅である。
このように設定された光径のレーザ光を用い、レーザ照射工程は、セル30の中心32の周りを周回させるようにレーザ光を照射することにより、掘込部27(図3参照)を形成する。これにより、レーザ照射工程は、形成すべき凹部20よりも若干径が大きな掘込部27を形成する。
なお、セル30の中心32は、形成すべき凹部20の中心となる位置である。また、レーザ照射工程は、レーザ光の光軸が、例えば矢印104a、104b、104c、104dで示した経路に沿って動くように周回軌道で、かつその軌道同士が少なくとも一部が重なるピッチの軌道でレーザ光を照射する。レーザ照射工程は、矢印104a〜104dで示した正方形状の経路に代えて、例えば円形状の経路に沿ってレーザ光の光軸が動くように、レーザ光を照射してもよい。また、レーザ光の照射強度(印字パワー)、及びレーザ光を周回させるスキャンスピード等は、形成すべき凹部20の深さに応じて、適宜調整することが好ましい。
このようにして掘込部27を形成した場合、その後に端面研磨工程を行うことにより、例えば図3を用いて説明したような、断面が略V字形となり、かつ、望ましい径及び深さを有する凹部20を適切に形成できる。そのため、本例によれば、発塵に原因となりにくいマーカ18(図3参照)を、適切に形成できる。
なお、レーザ光の光径(幅)を上記のように設定する理由は以下の通りである。例えば、レーザ光の光径が凹部20の形成すべき縁部の径よりも大きい場合、凹部20の縁部の径が形成すべき径よりも大きくなってしまい、隣接する凹部20同士の縁部間での距離が50μm未満になってしまい、凹部20の間に挟まれる部分の幅が細くなり強度が低下してしまう恐れがある。また、前記の通り、レーザ光で掘込部27を形成する際、その縁部の周囲には盛り上がり部28が形成されてしまうが、隣接する凹部20同士の盛り上がり部28が重なりあう可能性があり、その部分の強度が低下する恐れがある。さらに、凹部20の形状の制御が困難になる恐れもある。
また、レーザ光の光径(幅)が凹部20の形成すべき径に対して大幅に小さい場合(例えば、1/2以下)、断面が略V字形の凹部20を適切に形成できなくなるおそれがある。図4(b)は、レーザ光の光径が大幅に小さい場合に形成される凹部20の断面形状の一例を示す。マーカ18として、本例のような大きさのデータマトリックスを形成しようとする場合、レーザ光の幅が、例えば0.10mm又は0.15mm程度であると、端面研磨後の凹部20の断面形状は、例えば図4(b)に示すように、略V字形ではなく、略W字形となる。この場合、丸孔20の底面に突起ができることとなるため、この突起が、発塵の原因となるおそれもある。また、この突起の影響により、マーカ18の読み取り時に誤差が生じるおそれもある。このような場合においては、レーザ光の軌道同士の少なくとも一部が重なるような螺旋軌道でレーザ光を照射する。
なお、レーザ光の照射により掘込部27を形成するためには、例えば光軸をセル30の中心32に合わせて、周回させることなく、ワンショットでレーザ光を照射することも可能である。ただし、掘込部27をワンショットで形成する場合、周回軌道や螺旋軌道で掘込部27を形成する場合に比べて、掘込部27の最も深い部分が広くなり、U字状に近い形状となる。
ここで、ガラス基板12を用いて製造されるマスクブランク10及びマスク50の構成について説明する。図5は、マスクブランク10及びマスク50の構成の一例を示す。図5(a)は、ガラス基板12を用いて製造されるマスクブランク10の構成の一例を示す。本例において、マスクブランク10は、ガラス基板12、マスクパターン用薄膜14、及びレジスト膜16を有する。マスクパターン用薄膜14は、マスクの製造工程においてパターニングされる薄膜であり、ガラス基板12上に形成される。また、レジスト膜16は、マスクパターン用薄膜14のパターニングに使用されるレジスト膜であり、マスクパターン用薄膜14上に形成される。本例によれば、例えば、短い露光波長の露光光用のマスク50を製造する場合に要求される品質を満たすマスクブランク10を適切に製造できる。
図5(b)は、マスクブランク10を用いて製造されるマスク50の構成の一例を示す。マスク50において、マスクパターン用薄膜14は、フォトリソグラフィプロセスによりパターニングされている。また、マスクブランク10におけるレジスト膜16は、パターニング後、除去されている。本例によれば、例えば、200nm以下の短い露光波長の露光光での使用に適したマスク50を適切に製造できる。また、また、極端紫外光(Extreme Ultra Violet:以下、EUV光)を光源とする反射系リソグラフィで用いられるEUV露光用反射型マスクを適切に製造できる。
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳しく説明する。
(実施例1)
マーカ18を形成するためにレーザ照射工程を行う以外は公知のマスクブランク用基板の製造方法と同一又は同様にして、実施例1に係るガラス基板12を製造した。尚、本実施例においては、例えば公知の端面研磨工程と同一又は同様にして、ガラス基板12の端面を所定の表面粗さに研磨する端面研磨工程を行った。また、レーザ照射工程は、端面研磨工程よりも先に行った。これにより、端面研磨工程では、レーザ光の照射により凹部20が形成された端面を所定の表面粗さに研磨した。
また、本実施例において、レーザ照射工程は、図4を用いて説明した方法と同一又は同様にしてレーザマーカ装置の照射強度等を調整し、ガラス基板を溶融または昇華させるだけのエネルギーを有する有効な領域における光径が0.08mmである炭酸ガスレーザを照射するようにして行った。マーカ18としては、ブロックサイズが3mm×3mmのデータマトリックスを形成した。データマトリックスにおいて、シンボルサイズは、12×12(固定:10桁)とした。この場合、セルサイズは、0.25mmとなる。
また、レーザマーカ装置のレーザーパワー、スキャン速度等の各種設定は、マーカ18における凹部20の形状が図2及び図3を用いて説明した好ましい形状となるように、適宜調整した(掘込部27の軌道同士が一部重なるように調整)。
その結果、実施例1において、凹部20は、図3(b)に示したような、平面視で略円形であり、断面が略V字形となる孔となった。また、マーカ18を構成する各凹部20の縁部の径L1は、90〜120μm(平均で105μm)の範囲の値となった。この場合、凹部20の縁部同士における平均の間隔は、145μmである。また、凹部20の深さDは、25〜40μm(平均で31μm)となった。
(実施例2)
レーザ光の光径を0.06mmとする以外は実施例1と同様にして、実施例2に係るガラス基板12を製造した。実施例2においても、実施例1と同様に、凹部20は、平面視で略円形であり、断面が略V字形となる孔となった。また、凹部20の縁部の径L1、深さDも、実施例1とほぼ同様の範囲内のものとなった。
(実施例3)
凹部20の縁部同士における平均の間隔が100μmとなるように他の諸条件を調整(レーザマーカ装置を、レーザ光の光径を0.1mmに調整し、レーザーパワー、スキャン速度等の各種設定も凹部20が、図3(b)に示したような好ましい形状となるように調整など。)した以外は実施例1と同様にして、実施例3に係るガラス基板12を製造した。
その結果、実施例3において、凹部20は、図3(b)に示したような、平面視で略円形であり、断面が略V字形となる孔となった。また、マーカ18を構成する各凹部20の縁部の径L1は、145〜155μm(平均で150μm)の範囲の値となった。この場合、凹部20の縁部同士における平均の間隔は、100μmである。また、凹部20の深さDは、25〜40μm(平均で29μm)となった。
(実施例4)
凹部20の縁部同士における間隔が約50μmであり、かつこれを下回らないように他の諸条件(レーザマーカ装置を、レーザ光の光径を0.15mmに調整し、レーザーパワー、スキャン速度等の各種設定も凹部20が、図3(b)に示したような好ましい形状となるいように調整など。)を調整した以外は実施例1と同様にして、実施例4に係るガラス基板12を製造した。
その結果、実施例4において、凹部20は、図3(b)に示したような、平面視で略円形であり、断面が略V字形となる孔となった。また、マーカ18を構成する各凹部20の縁部の径L1は、188〜200μm(平均で195μm)の範囲の値となった。この場合、凹部20の縁部同士における平均の間隔は、52μmである。また、凹部20の深さDは、25〜40μm(平均で31μm)となった。
(比較例1)
凹部20間の間隔が約40μmとなるように他の諸条件を調整した以外は実施例1と同様にして、比較例1に係るガラス基板12を製造した。比較例1において、それぞれの凹部20の形状自体は、実施例1と同様になった。
その結果、比較例1において、凹部20は、図3(b)に示したような、断面が略V字形となる略円形の孔となった。また、マーカ18を構成する各凹部20の縁部の径L1は、200〜215μm(平均で210μm)の範囲の値となった。この場合、凹部20間の平均の間隔は、43μmである。また、凹部20の深さDは、25〜40μm(平均で31μm)となった。
(実施例5)
レーザ照射工程において、図4を用いて説明した方法と同一又は同様にしてレーザマーカ装置の照射強度等を調整し、光径が0.05mmである炭酸ガスレーザを照射するようにし、凹部20を形成した。このとき、凹部20を縁部の径L1が約80μmであり、かつこれを下回らないように形成した。マーカ18としては、ブロックサイズが1.68mm×1.68mmのデータマトリックスを形成した。データマトリックスにおいて、シンボルサイズは、12×12(固定:10桁)とした。この場合、セルサイズは、0.14mmとなる。
また、レーザマーカ装置のレーザーパワー、スキャン速度等の各種設定は、マーカ18における凹部20の形状が図2及び図3を用いて説明した好ましい形状となるように、適宜調整した。
その結果、実施例5において、凹部20は、図3(b)に示したような、平面視で略円形であり、断面が略V字形となる孔となった。また、マーカ18を構成する各凹部20の縁部の径L1は、80〜85μm(平均で81μm)の範囲の値となった。この場合、凹部20の縁部同士における平均の間隔は、60μmである。また、凹部20の深さDは、25〜40μm(平均で29μm)となった。
(比較例2)
凹部20の縁部の径L1を約70μmとなるように他の諸条件を調整した以外は、実施例5と同様にして、比較例2に係るガラス基板を製造した。比較例2において、それぞれの凹部20の形状自体は、実施例5と同様になった。
その結果、比較例2において、凹部20は、図3(b)に示したような、断面が略V字形となる略円形の孔となった。また、マーカ18を構成する各凹部20の縁部の径L1は、70〜75μm(平均で72μm)の範囲の値となった。この場合、凹部20間の平均の間隔は、70μmである。また、凹部20の深さDは、25〜40μm(平均で31μm)となった。
(実施例6)
レーザ照射工程において、図4を用いて説明した方法と同一又は同様にしてレーザマーカ装置の照射強度等を調整し、光径が0.2mmである炭酸ガスレーザを照射するようにし、凹部20を形成した。このとき、凹部20を縁部の径L1が約250μmであり、かつこれを上回らないように形成した。マーカ18としては、ブロックサイズが3.6mm×3.6mmのデータマトリックスを形成した。データマトリックスにおいて、シンボルサイズは、12×12(固定:10桁)とした。この場合、セルサイズは、0.3mmとなる。
また、レーザマーカ装置のレーザーパワー、スキャン速度等の各種設定は、マーカ18における凹部20の形状が図2及び図3を用いて説明した好ましい形状となるように、適宜調整した。
その結果、実施例6において、凹部20は、図3(b)に示したような、平面視で略円形であり、断面が略V字形となる孔となった。また、マーカ18を構成する各凹部20の縁部の径L1は、240〜250μm(平均で248μm)の範囲の値となった。この場合、凹部20の縁部同士における平均の間隔は、52μmである。また、凹部20の深さDは、25〜40μm(平均で32μm)となった。
(実施例7)
凹部20の深さDの平均が20μmとなるように他の諸条件を調整した以外は実施例1と同様にして、実施例7に係るガラス基板12を製造した。
その結果、実施例7において、凹部20は、図3(b)に示したような、平面視で略円形であり、断面が略V字形となる孔となった。また、マーカ18を構成する各凹部20の縁部の径L1は、90〜110μm(平均で100μm)の範囲の値となった。この場合、凹部20の縁部同士における平均の間隔は、145μmである。また、凹部20の深さDは、17〜23μm(平均で21μm)となった。
(実施例8)
凹部20の深さDの平均が10μmとなるように他の諸条件を調整した以外は実施例1と同様にして、実施例8に係るガラス基板12を製造した。
その結果、実施例8において、凹部20は、図3(b)に示したような、平面視で略円形であり、断面が略V字形となる孔となった。また、マーカ18を構成する各凹部20の縁部の径L1は、90〜110μm(平均で100μm)の範囲の値となった。この場合、凹部20の縁部同士における平均の間隔は、145μmである。また、凹部20の深さDは、8〜12μm(平均で10μm)となった。
(実施例9)
凹部20の深さDが約4μmであり、かつこれを下回らないように他の諸条件を調整した以外は実施例1と同様にして、実施例9に係るガラス基板12を製造した。
その結果、実施例9において、凹部20は、図3(b)に示したような、平面視で略円形であり、断面が略V字形となる孔となった。また、マーカ18を構成する各凹部20の縁部の径L1は、90〜110μm(平均で100μm)の範囲の値となった。この場合、凹部20の縁部同士における平均の間隔は、145μmである。また、凹部20の深さDは、4〜6μm(平均で4.3μm)となった。
(比較例3)
凹部20の深さDの平均が3μmとなるように他の諸条件を調整した以外は実施例1と同様にして、比較例3に係るガラス基板12を製造した。
その結果、比較例3において、凹部20は、図3(b)に示したような、平面視で略円形であり、断面が略V字形となる孔となった。また、マーカ18を構成する各凹部20の縁部の径L1は、90〜110μm(平均で100μm)の範囲の値となった。この場合、凹部20の縁部同士における平均の間隔は、145μmである。また、凹部20の深さDは、3〜4μm(平均で3.1μm)となった。
(実施例10)
凹部20の深さDが約50μmであり、かつこれを上回らないように他の諸条件を調整した以外は実施例1と同様にして、実施例10に係るガラス基板12を製造した。
その結果、実施例10において、凹部20は、図3(b)に示したような、平面視で略円形であり、断面が略V字形となる孔となった。また、マーカ18を構成する各凹部20の縁部の径L1は、90〜110μm(平均で100μm)の範囲の値となった。この場合、凹部20の縁部同士における平均の間隔は、145μmである。また、凹部20の深さDは、45〜50μm(平均で49μm)となった。
(比較例4)
凹部20の深さDの平均が55μmとなるように他の諸条件を調整した以外は実施例1と同様にして、比較例4に係るガラス基板12を製造した。
その結果、比較例4において、凹部20は、図3(b)に示したような、平面視で略円形であり、断面が略V字形となる孔となった。また、マーカ18を構成する各凹部20の縁部の径L1は、90〜110μm(平均で100μm)の範囲の値となった。この場合、凹部20の縁部同士における平均の間隔は、145μmである。また、凹部20の深さDは、53〜58μm(平均で56μm)となった。
(評価)
実施例1〜10、及び比較例1〜4について、それぞれのガラス基板12を100枚製造し、ArFエキシマレーザ(波長193nm)露光用のマスクの製造に用いる場合に必要とされる基準で、マーカ18内における割れや欠け等の欠陥の有無を含んだ基板検査を行った。また、マーカ読取機によるマーカ読取検査も実施した。実施例1〜10において、検査結果は、全数合格であった。しかし、比較例1においては、一部(15枚)のガラス基板12が不合格となった。これは、比較例1においては、凹部20の縁部間の間隔が40μmと狭いため、例えば端面研磨工程での衝撃等により割れや欠けが生じたためであると考えられる。
また、比較例2においては、一部(30枚)のガラス基板12がマーカ読取検査で不合格となった。これは、凹部20の縁部の径L1が平均で72μmと小さく、マーカ18の凹部20とそれ以外の部分との間のコントラストが不十分となり、マーカ読取機で凹部20を認識できなかった部分が発生したためと考えられる。
比較例3においては、半数程度のガラス基板12がマーカ読取検査で不合格となった。これは、凹部20の深さDの平均が3.1μmと浅く、マーカ18の凹部20とそれ以外の部分との間のコントラストが不十分となり、マーカ読取機で凹部20を認識できなかった部分が多発したためと考えられる。
比較例4においては、一部(8枚)のガラス基板12が基板検査で不合格となった。これは、凹部20の深さDの平均が56μmと深く、凹部20の形成時(レーザ照射工程やその後の端面研磨工程等)等での発塵が凹部20内に付着し、洗浄工程で除去しきれなかったものに起因するものと考えられる。
(参考例1、2)
レーザ光の光径を0.04mmとする以外は実施例1と同様に、形成する凹部20の縁部の径を100μmとし、その形成する凹部20の中心を軸にレーザ光を1周だけ周回軌道で移動させ、参考例1に係るガラス基板12を製造した。また、同じくレーザ光の印字線幅を0.04mmとし、レーザ光の軌道同士が一部重なるように螺旋軌道で移動させること以外は、実施例1と同様の条件で、参考例2に係るガラス基板12を製造した。
参考例1においては、レーザ光の光径が形成する凹部20の幅の半分以下であったため、1周だけの周回軌道の移動では、軌道同士が重ならず、凹部20の中心部分が十分に掘り込まれず、凹部20は、断面が略V字形となる孔にならず、断面が略W字形の孔となった。そのため、図2及び図3を用いて説明した好ましい形状の凹部20を適切に形成することはできなかった。
これに対して、参考例2においては、レーザ光の光径が形成する凹部20の幅の半分以下であっても、レーザ光の軌道同士が一部重なるように螺旋軌道で移動させるようにしたため、凹部20の中心部分が十分に掘り込まれ、凹部20は、断面が略V字形となる孔になった。そのため、図2及び図3を用いて説明した好ましい形状の凹部20を適切に形成することができた。
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
本発明は、例えばマスクブランク用ガラス基板に好適に利用できる。
本発明の一実施形態に係るガラス基板12の構成の一例を示す図である。図1(a)は、ガラス基板12の側面図である。図1(b)は、マーカ18の詳細な構成の一例を示す。 マーカ18が形成されるガラス基板12の製造方法の一例について説明する図である。図2(a)は、マーカ18が形成されるガラス基板12の端面22の形状を示す。図2(b)は、レーザ照射工程において形成される掘込部27の形状の一例を示す。図2(c)は、端面研磨工程後における凹部20の形状の一例を示す。 マーカ18における凹部20の形状について更に詳しく説明する図である。図3(a)は、マーカ18の一部を示す上面図であり、隣接する2個の凹部20の並びを示す。図3(b)は、マーカ18の一部を示す断面図であり、隣接する2個の凹部20の並びを示す。 レーザ照射工程について更に詳しく説明する図である。図4(a)は、レーザ光の照射方法の一例を示す。図4(b)は、印字線幅が小さな場合に形成される凹部20の断面形状の一例を示す。 マスクブランク10及びマスク50の構成の一例を示す図である。図5(a)は、ガラス基板12を用いて製造されるマスクブランク10の構成の一例を示す。図5(b)は、マスクブランク10を用いて製造されるマスク50の構成の一例を示す。
10・・・マスクブランク、12・・・ガラス基板、14・・・マスクパターン用薄膜、16・・・レジスト膜、18・・・マーカ、20・・・凹部、22・・・端面、24・・・側面、26・・・面取面、27・・・掘込部、28・・・盛り上がり部、30・・・セル、32・・・中心、50・・・マスク、102・・・矢印、104・・・矢印

Claims (6)

  1. マスクブランクの製造に用いられるマスクブランク用ガラス基板を製造するための製造方法であって、
    前記マスクブランク用ガラス基板は、合成石英ガラスまたは低熱膨張ガラスからなり、
    前記マスクブランク用ガラス基板の端面に、前記マスクブランク用ガラス基板を識別又は管理するための情報を複数の凹部で表現したマーカが形成され、
    前記マーカは、複数のセルを二次元に配置し、所定のセル内に凹部を形成することで情報を示す二次元コードであり、
    前記マーカは、1つのセルのサイズが0.13〜0.3mmであり、
    前記マーカを構成する凹部は、その縁部が略円形の丸孔であり、その縁部の周囲に盛り上がり部がなく、その縁部から中心近傍の最深部に向かって深さが漸増する断面形状を有し、
    前記凹部の深さは、25〜40μmであり、
    前記凹部の縁部の径は、80〜250μmであり、
    隣接する凹部同士の縁部間での距離が50μm以上であり、
    前記凹部の縁部の径と凹部の深さとの比が2〜5であり、
    前記マスクブランク用ガラス基板を製造するための製造方法は、
    レーザ光を照射して掘込部を形成するレーザ照射工程と、
    前記掘込部の縁部の周囲に形成された盛り上がり部を含む端面を研磨し、前記凹部を形成する研磨工程を備えることを特徴とするマスクブランク用ガラス基板の製造方法。
  2. 前記レーザ照射工程で使用されるレーザ光は、炭酸ガスレーザーであることを特徴とする請求項に記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法。
  3. フォトリソグラフィ用のマスクの製造に用いられるマスクブランクの製造方法であって、請求項1または2に記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法で製造されたマスクブランク用ガラス基板の主表面上に、転写パターン用薄膜を形成することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
  4. 反射系リソグラフィ用の反射型マスクの製造に用いられるマスクブランクの製造方法であって、請求項1または2に記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法で製造されたマスクブランク用ガラス基板の主表面上に、転写パターン用薄膜を形成することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
  5. 請求項に記載のマスクブランクの製造方法で製造されたマスクブランクの転写パターン用薄膜をパターニングすることを特徴とするフォトリソグラフィ用のマスクの製造方法。
  6. 請求項に記載のマスクブランクの製造方法で製造されたマスクブランクの転写パターン用薄膜をパターニングすることを特徴とする反射型マスクの製造方法。
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