以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
図1は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置100を備えた画像形成装置Dを概略的に示す断面図である。
図1に示す画像形成装置Dは、原稿G(後述する図2等参照)の画像を読み取る画像読取装置100と、この画像読取装置100により読み取られた原稿Gの画像又は外部から受信した画像をカラーもしくは単色で普通紙等の記録シートに記録形成する装置本体Ddとを備えている。
[画像形成装置の全体構成について]
画像形成装置Dの装置本体Ddは、露光装置1、現像装置2(2a,2b,2c,2d)、像担持体として作用する感光体ドラム3(3a,3b,3c,3d)、帯電器5(5a,5b,5c,5d)、クリーナ装置4(4a,4b,4c,4d)、転写部として作用する中間転写ローラ6(6a,6b,6c,6d)を含む中間転写ベルト装置8、定着装置12、シート搬送装置50、給紙部として作用する給紙トレイ10、及び排紙部として作用する排紙トレイ15を備えている。
画像形成装置Dの装置本体Ddにおいて扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたもの、又は単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像に応じたものである。従って、現像装置2(2a,2b,2c,2d)、感光体ドラム3(3a,3b,3c,3d)、帯電器5(5a,5b,5c,5d)、クリーナ装置4(4a,4b,4c,4d)、中間転写ローラ6(6a,6b,6c,6d)は各色に応じた4種類の画像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれの末尾符号a〜dのうち、aがブラックに、bがシアンに、cがマゼンタに、dがイエローに対応付けられて、4つの画像ステーションが構成されている。以下、末尾符号a〜dは省略して説明する。
感光体ドラム3は、装置本体Ddの上下方向のほぼ中央に配置されている。帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、接触型であるローラ型やブラシ型の帯電器のほか、チャージャ型の帯電器が用いられる。
露光装置1は、ここでは、レーザダイオード及び反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)であり、帯電された感光体ドラム3表面を画像データに応じて露光して、その表面に画像データに応じた静電潜像を形成する。
現像装置2は、感光体ドラム3上に形成された静電潜像を(K,C,M,Y)のトナーにより現像する。クリーナ装置4は、現像及び画像転写後に感光体ドラム3表面に残留したトナーを除去及び回収する。
感光体ドラム3の上方に配置されている中間転写ベルト装置8は、中間転写ローラ6に加えて、中間転写ベルト7、中間転写ベルト駆動ローラ21、従動ローラ22、テンションローラ23、及び中間転写ベルトクリーニング装置9を備えている。
中間転写ベルト駆動ローラ21、中間転写ローラ6、従動ローラ22、テンションローラ23等のローラ部材は、中間転写ベルト7を張架して支持し、中間転写ベルト7を所定のシート搬送方向(図中矢印方向)に周回移動させる。
中間転写ローラ6は、中間転写ベルト7内側に回転可能に支持され、中間転写ベルト7を介して感光体ドラム3に圧接されている。
中間転写ベルト7は、各感光体ドラム3に接触するように設けられており、各感光体ドラム3表面のトナー像を中間転写ベルト7に順次重ねて転写することによって、カラーのトナー像(各色のトナー像)を形成する。この転写ベルト7は、ここでは、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端ベルト状に形成されている。
感光体ドラム3から中間転写ベルト7へのトナー像の転写は、中間転写ベルト7内側(裏面)に圧接されている中間転写ローラ6によって行われる。中間転写ローラ6には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(例えば、トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加される。中間転写ローラ6は、ここでは、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面は、導電性の弾性材(例えばEPDM、発泡ウレタン等)により覆われたローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト7に対して均一に高電圧を印加することができる。
画像形成装置Dの装置本体Ddは、転写部として作用する転写ローラ11aを含む2次転写装置11をさらに備えている。転写ローラ11aは、中間転写ベルト7の中間転写ベルト駆動ローラ21とは反対側(外側)に接触している。
上述の様に各感光体ドラム3表面のトナー像は、中間転写ベルト7で積層され、画像データによって示されるカラーのトナー像となる。このように積層された各色のトナー像は、中間転写ベルト7と共に搬送され、2次転写装置11によって記録シート上に転写される。
中間転写ベルト7と2次転写装置11の転写ローラ11aとは、相互に圧接されてニップ域を形成する。また、2次転写装置11の転写ローラ11aには、中間転写ベルト7上の各色のトナー像を記録シートに転写させるための電圧(例えば、トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加される。さらに、そのニップ域を定常的に得るために、2次転写装置11の転写ローラ11aもしくは中間転写ベルト駆動ローラ21の何れか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラや発泡性樹脂ローラ等)としている。
また、2次転写装置11によって中間転写ベルト7上のトナー像が記録シート上に完全に転写されず、中間転写ベルト7上にトナーが残留することがあり、この残留トナーが次工程でトナーの混色を発生させる原因となる。このため、中間転写ベルトクリーニング装置9によって残留トナーを除去及び回収する。中間転写ベルトクリーニング装置9には、例えばクリーニング部材として中間転写ベルト7に接触するクリーニングブレードが備えられており、このクリーニングブレードで残留トナーを除去及び回収することができる。従動ローラ22は、中間転写ベルト7を内側(裏側)から支持しており、クリーニングブレードは、外部から従動ローラ22に向けて押圧するように中間転写ベルト7に接触している。
給紙トレイ10は、記録シートを格納しておくためのトレイであり、装置本体Ddの画像形成部の下側に設けられている。また、画像形成部の上側に設けられている排紙トレイ15は、印刷済みの記録シートをフェイスダウンで載置するためのトレイである。
また、装置本体Ddには、給紙トレイ10の記録シートを2次転写装置11や定着装置12を経由させて排紙トレイ15に送るためのシート搬送装置50が設けられている。このシート搬送装置50は、Sの字形状のシート搬送路Sを有し、シート搬送路Sに沿って、ピックアップローラ16、サバキローラ14a、分離ローラ14b、各搬送ローラ13、レジスト前ローラ対19、レジストローラ対106、定着装置12、及び排紙ローラ17等の搬送部材が配置されている。
ピックアップローラ16は、給紙トレイ10のシート搬送方向下流側端部に設けられ、給紙トレイ10から記録シートを1枚ずつシート搬送路Sに供給する呼び込みローラである。サバキローラ14aは、分離ローラ14bとの間に記録シートを通過させて1枚ずつ分離しつつシート搬送路Sへと搬送する。各搬送ローラ13及びレジスト前ローラ対19は、記録シートの搬送を促進補助するための小型のローラである。各搬送ローラ13は、シート搬送路Sに沿って複数箇所に設けられている。レジスト前ローラ対19は、レジストローラ対106のシート搬送方向上流側の直近に設けられており、記録シートをレジストローラ対106へと搬送するようになっている。
レジストローラ106は、レジスト前ローラ19にて搬送されてきた記録シートを一旦停止させて、記録シートの先端を揃え、中間転写ベルト7と2次転写装置11間のニップ域で中間転写ベルト7上のカラートナー像が記録シートに転写されるように、感光体ドラム3及び中間転写ベルト7の回転にあわせて、記録シートをタイミングよく搬送する。
例えば、レジストローラ106は、中間転写ベルト7と2次転写装置11との間のニップ域で中間転写ベルト7上のカラートナー像の先端が記録シートにおける画像形成範囲の先端に合うように、記録シートを搬送する。
定着装置12は、ヒートローラ31及び加圧ローラ32を備えている。ヒートローラ31及び加圧ローラ32は、記録シートを挟み込んで搬送する。
ヒートローラ31は、所定の定着温度となるように温度制御され、加圧ローラ32と共に記録シートを熱圧着することにより、記録シートに転写されたトナー像を溶融、混合、圧接し、記録シートに対して熱定着させる機能を有している。また、定着装置12には、ヒートローラ31を外部から加熱するための外部加熱ベルト33が設けられている。
各色のトナー像の定着後での記録シートは、排紙ローラ17によって排紙トレイ15上に排出される。
なお、4つの画像形成ステーションのうち少なくとも一つを用いて、モノクロ画像を形成し、モノクロ画像を中間転写ベルト装置8の中間転写ベルト7に転写することも可能である。このモノクロ画像も、カラー画像と同様に、中間転写ベルト7から記録シートに転写され、記録シート上に定着される。
また、記録シートの表(オモテ)面だけではなく、両面の画像形成を行う場合は、記録シートの表面の画像を定着装置12により定着した後に、記録シートをシート搬送路Sの排紙ローラ17により搬送する途中で、排紙ローラ17を停止させてから逆回転させ、記録シートを表裏反転経路Srに通して、記録シートの表裏を反転させてから、記録シートを再びレジストローラ対106へと導き、記録シートの表面と同様に、記録シートの裏面に画像を記録して定着し、記録シートを排紙トレイ15に排出する。
[画像読取装置の全体構成について]
図2は、図1に示す画像読取装置100を背面から視た概略断面図である。図1及び図2に示す画像読取装置100は、縮小光学系タイプの画像読取装置とされており、原稿移動方式により原稿Gを移動させて原稿画像を読み取り、かつ、原稿固定方式により原稿Gを固定して原稿画像を読み取るように構成されている。
すなわち、画像読取装置100は、原稿移動読取モードを実行する原稿移動読取構成(原稿移動読取機能)と原稿固定読取モードを実行する原稿固定読取構成(原稿固定読取機能)とを備えている。
原稿移動読取構成は、原稿Gを自動的に搬送する自動原稿送り装置300で第1の透明板の一例である原稿読取ガラス201a上を通過するように副走査方向(図中矢印Y方向)の一方側に搬送される原稿Gを、原稿読取部200において読取位置Vに位置する光源ユニット210にて原稿読取ガラス201aを介して照明しつつ光源ユニット210により照明された原稿Gからの反射光を主走査方向(後述する図3の矢印X方向)に走査して原稿画像を読み取る。
原稿固定読取構成は、光源ユニット210を副走査方向Yの一方側に移動させつつ第2の透明板の一例であるプラテンガラス(原稿台ガラス)201b上に載置される原稿Gをプラテンガラス201bを介して照明し、光源ユニット210により照明された原稿Gからの反射光を主走査方向Xに走査して原稿画像を読み取る。なお、図2では光源ユニット210が読取位置Vに位置している状態を示している。
詳しくは、原稿読取部200は、プラテンガラス201b、走査体として作用する光源ユニット210、光源ユニット210を移動させる光学系駆動部530(図1及び図2では図示せず、後述する図8参照)、ミラーユニット203、集光レンズ204及び光電変換素子(ここではCCD)205を備えており、これらの部材は金属製の枠体202内に収容されている。光源ユニット210は、原稿Gへ向けて光を照射する光源211と、原稿Gからの反射光をミラーユニット203へ導く第1ミラー230とを有している。なお、光源ユニット210についてはのちほど詳しく説明する。
原稿Gを載置するプラテンガラス201bは、透明なガラス板からなり、主走査方向Xの両端部が枠体202に載置されている。なお、自動原稿送り装置300は、副走査方向Yに沿った軸線回りに(例えばヒンジによって軸支され)原稿読取部200に対して開閉可能となっており、その下面には、原稿読取部200のプラテンガラス201b上に載置された原稿Gを上から押さえる原稿押さえ部材319が設けられている。
ミラーユニット203は、第2ミラー203a、第3ミラー203b及び支持部材(図示せず)を備えている。前記支持部材は、第2ミラー203aを、光源ユニット210における第1ミラー230からの光を反射して第3ミラー203bに導くように支持している。また、前記支持部材は、第3ミラー203bを、第2ミラー203aからの光を反射して集光レンズ204に導くように支持している。集光レンズ204は、第3ミラー203bからの光を光電変換素子205の受光面205dに集光するものである。光電変換素子205は、集光レンズ204からの光(原稿画像光)を繰り返し主走査方向Xに走査し、その度に、1走査ラインのアナログ信号を出力する。
また、光学系駆動部530は、ここでは、図示しないスキャナモータ及び図示しないプーリー及びワイヤー等の移動機構を備えており、これらスキャナモータ及び移動機構によって、光源ユニット210を一定の速度で副走査方向Yに移動させると共に、ミラーユニット203を光源ユニット210の移動速度の1/2の移動速度で同じく副走査方向Yに移動させるように構成されている。
ここでは、原稿読取部200は、原稿固定方式に加えて、原稿移動方式にも対応しており、原稿読取ガラス201aを備えている。従って、光学系駆動部530は、さらに、光源ユニット210を原稿読取ガラス201a下方の所定のホームポジションVに位置させるように構成されている。
自動原稿送り装置300は、原稿Gを搬送するために載置する原稿トレイ301と、この原稿トレイ301の下方に配置される排出トレイ302と、これらの間を接続する第1搬送路303と、上流側搬送ローラ対304及び下流側搬送ローラ対305とからなる2つの搬送ローラ対とを備えている。
上流側搬送ローラ対304は、原稿読取ガラス201aを基準にして原稿Gを原稿Gの搬送方向Y1において上流側で搬送する。下流側搬送ローラ対305は、原稿読取ガラス201aを基準にして原稿Gを原稿Gの搬送方向Y1において下流側で搬送する。すなわち、上流側搬送ローラ対304、原稿読取ガラス201a及び下流側搬送ローラ対305は、搬送方向Y1に沿ってこの順に配設されている。また、原稿読取ガラス201aは、第1搬送路303の搬送壁を画するように略水平に設けられている。
自動原稿送り装置300は、さらに、ピックアップローラ306と、サバキローラ307と、分離パッド等の分離部材308とを備えている。
ピックアップローラ306は、原稿トレイ301上に載置された原稿Gを原稿トレイ301から搬送方向Y1に沿って第1搬送路303内へ送り出すものである。サバキローラ307は、ピックアップローラ306より搬送方向Y1の下流側に配置されており、ピックアップローラ306にて送られてきた原稿Gを分離部材308と共に挟持しつつさらに搬送方向Y1の下流側へ搬送するものである。分離部材308は、サバキローラ307に対峙された状態でサバキローラ307との間に搬送される原稿Gが1枚になるように原稿Gを捌く(分離する)ようになっている。
かかる構成を備えた自動原稿送り装置300は、原稿Gをピックアップローラ306にてサバキローラ307と分離部材308との間に搬送し、ここで原稿Gを捌いて分離すると共にサバキローラ307が回転駆動されることによって1枚ずつ搬送するようになっている。そして、サバキローラ307にて搬送される原稿Gを第1搬送路303にて案内して上流側搬送ローラ対304に向けて1枚ずつ供給するようになっている。
詳しくは、ピックアップローラ306は、原稿トレイ301に積載された原稿Gに対して、図示しないピックアップローラ駆動部にて接離可能とされている。また、ピックアップローラ306は、無端ベルト等を含む駆動伝達手段309を介してサバキローラ307と同方向に回転するようにサバキローラ307に連結されている。ピックアップローラ306及びサバキローラ307は、原稿Gの読み取り要求がなされると、図示しない原稿供給駆動部にて原稿Gを搬送方向Y1に搬送させる方向(図2中矢印W)に回転駆動されるようになっている。
本実施の形態では、自動原稿送り装置300は、原稿Gの一方の面を読み取り可能に搬送した後、原稿Gを表裏が逆転するように反転させて原稿Gの他方の面を読み取り可能に搬送するように構成されている。
詳しくは、自動原稿送り装置300は、前記の構成に加えて、さらに、反転ローラ対310と、第2搬送路311と、切換爪312とを備えている。
第1搬送路303は、原稿Gをサバキローラ307から上流側搬送ローラ対304、原稿読取ガラス201a、下流側搬送ローラ対305及び反転ローラ対310を経て排出トレイ302へ搬送するようにループ状に形成されている。反転ローラ対310は、下流側搬送ローラ対305よりも搬送方向Y1の下流側に配設され、かつ、下流側搬送ローラ対305からの原稿Gを後端(搬送方向Y1の上流側端)が前になるように搬送するためのものである。第2搬送路311は、反転ローラ対310と下流側搬送ローラ対305との間の分岐部Sdから分岐され、かつ、反転ローラ対310にて後端が前になるように搬送された原稿Gを原稿Gの表裏が逆転するように反転させるために第1搬送路303の上流側搬送ローラ対304よりも搬送方向Y1の上流側へ導くものである。第1搬送路303の反転ローラ対310と分岐部Sdとの間には、スイッチバック搬送路313が形成されている。このスイッチバック搬送路313は、反転ローラ対310の順方向(原稿Gの搬送方向Y1)の回転による原稿Gの搬送と、逆方向の回転による原稿Gの逆搬送とが可能な搬送路とされている。
切換爪312は、分岐部Sdに配置され、かつ、原稿Gを反転ローラ対310から第2搬送路311を介して上流側搬送ローラ対304へ導く第1切換姿勢と、原稿Gを下流側搬送ローラ対305からスイッチバック搬送路313を介して反転ローラ対310へ導く第2切換姿勢とをとり得るように構成されている。
ここでは、切換爪312は、通常状態では、スイッチバック搬送路313と第2搬送路311とを直結する形態で配置され(第1切換姿勢、図2中実線参照)、原稿読取部200で原稿画像が読み取られた原稿Gが搬送方向Y1に搬送される際には、原稿Gの先端(搬送方向Y1下流側端)が切換爪312を押し上げて原稿Gをスイッチバック搬送路313へ導くようになっている(第2切換姿勢、図中破線参照)。この分岐爪312は、爪部312aが自重で落下し、下流側搬送ローラ対305と反転ローラ対310との間の第1搬送路303を閉塞して前記第1切換姿勢をとるように反転ローラ対311の軸線方向に沿った揺動軸Qの回りに揺動自在とされている。そして、切換爪312は、原稿Gの後端がスイッチバック搬送路313内に位置し、原稿Gが逆方向に回転する反転ローラ対310にて原稿Gの搬送方向Y1とは反対方向の逆搬送方向(図中矢印Y2方向)に逆搬送される際には、原稿Gを第2搬送路311へ導くようになっている。
なお、原稿トレイ301に載置された原稿Gのサイズは、原稿トレイ301の原稿載置部に配設された原稿サイズセンサ314で検出されるようになっている。原稿トレイ301に載置された原稿Gの有無は、原稿トレイ301の原稿載置部のピックアップローラ306近傍に配設された原稿有無検知センサ315で検出されるようになっている。また、上流側搬送ローラ対304は、停止状態においてサバキローラ307にて搬送された原稿Gの先端を突き合わせて整合し、読み取りタイミングに合わせて回転駆動されるようになっている。こうして搬送される原稿Gは、第1搬送路303の搬送方向Y1において第2搬送路311より下流側、かつ、上流側搬送ローラ対304より下流側に配設された搬送センサ316で検出されるようになっている。また、反転ローラ対310にて排出される原稿Gは、反転ローラ対310より排出側で反転ローラ対310近傍に配設された排出センサ317で検出されるようになっている。なお、搬送ローラ対304,305、反転ローラ対310等の搬送系ローラは、図示しない搬送系の駆動部にて駆動されるようになっている。
また、本実施の形態においては、原稿搬送部200は、読取ガイド部材318をさらに備えている。具体的には、読取ガイド部材(ここでは読取ガイド板)318は、原稿読取ガラス201aと対向する位置に設けられた読取ガイド部材とされている。つまり、読取ガイド部材318は、搬送される原稿Gを原稿読取ガラス201aと共に案内する読取ガイドとして機能するようになっている。ここでは、読取ガイド部材318は、デジタル画像信号の値をフラットにするシェーディング補正時に読み取るための白基準部材を兼用している。
以上説明した画像読取装置100では、原稿固定方式による原稿Gの読み取り指示がなされると、光源ユニット210はプラテンガラス201bに載置される原稿Gに対して光をプラテンガラス201bを介して照射しながら一定の速度で副走査方向Yの一方側に移動して原稿Gの画像を走査し、それと同時にミラーユニット203は光源ユニット210の移動速度の1/2の移動速度で同じく副走査方向Yの一方側に移動する。
光源ユニット210にて照明されて原稿Gから反射された反射光は、光源ユニット210に設けられた第1ミラー230で反射したのち、ミラーユニット203の第2及び第3ミラー203a,203bによって180°光路変換される。第3ミラー203bから反射された光は、集光レンズ204を介して光電変換素子205の受光面205dに結像し、ここで原稿画像光が読み取られてアナログ信号に変換される。
一方、原稿移動方式による原稿Gの読み取り指示がなされると、光源ユニット210が図2に示される位置Vに静止したまま、自動原稿送り装置300によって原稿Gが図2に示される位置Vの上部を通過するように副走査方向Yの一方側に搬送される。すなわち、原稿トレイ301に載置された原稿Gは、ピックアップローラ306によって取り出され、サバキローラ307及び分離部材308によって1枚ずつに分離され、第1搬送路303に搬送される。第1搬送路303に搬送された原稿Gは、搬送センサ316で原稿Gの搬送が確認された後、上流側搬送ローラ対304によって、斜行防止のために先端が揃えられると共に、規定の読み取りタイミングで送り出され、表裏が反転されて原稿読取ガラス201aへと搬送される。
そして、原稿読取ガラス201上を通過した原稿Gの一方の面に、光源ユニット210からの光が原稿読取ガラス201を介して照射されて該一方の面で反射される。この原稿Gの一方の面から反射された光は、上述の原稿固定方式と同様に第1ミラー230によって反射された後、ミラーユニット203の第2及び第3ミラー203a,203bによって180°光路変換され、集光レンズ204を介して光電変換素子205の受光面205dに結像し、ここで原稿画像が読み取られてアナログ信号に変換される。なお、この光電変換素子205による読み取り動作は、後述する両面読み取りの場合も同様であり、以下では説明を省略する。
読み取りが終了した原稿Gは、下流側搬送ローラ対305によって読取ガラス201b上から引き出され、第1搬送路303のスイッチバック搬送路313を介して、可逆回転可能な反転ローラ対310によって排出トレイ302上に排出される。
また、原稿Gの一方の面と他方の面との両面を読み取る場合には、一方の面が読み取られた原稿Gが排出トレイ302に排出されることなく、原稿Gの後端がスイッチバック搬送路313内に位置するように搬送され、逆方向に回転する反転ローラ対310にて逆搬送方向Y2に逆搬送されて第1切換姿勢にある切換爪312にて第2搬送路311へ導かれる。第2搬送路311に導かれた原稿Gは、第2搬送路311を介して、再度、第1搬送路303に戻ることで、表裏が反転されて上流側搬送ローラ対304にて搬送され、原稿読取ガラス201上を通過して他方の面が読み取られる。こうして両面の読み取りが終わった原稿Gは、再度、第1搬送路303に戻ることで、表裏が反転されて搬送ローラ対304,305にて搬送され、その後、第1搬送路303のスイッチバック搬送路313を通過し、順方向に回転する反転ローラ対310を介して排出トレイ302に排出される。
図3は、光源ユニット210の概略構成を示す図である。図3(a)は、その斜視図を示しており、図3(b)は、その分解斜視図を示している。図4は、光源ユニット210における光源211の概略構成を示す図であって、図4(a)は、光源ユニット210の側面図を示しており、図4(b)は、光源211の側面図を示している。なお、図4においては、原稿読取ガラス201a、プラテンガラス201b及び原稿Gも図示している。
また、図5は、複数の発光素子212,…を列設した基板213の概略平面図を示している。
本発明の実施形態に係る光源ユニット210は、基板(以下、光源基板という)213上に列設された複数の発光素子212,…からの光を原稿Gの光照射面Gdに向けて照射するようになっている。
この光源ユニット210に備えられている光源211は、複数の発光素子212,…と、それを搭載する光源基板213とを備えている。複数の発光素子212,…は、何れも発光ダイオード(LED)素子とされている。各発光素子212,…は、所定の一方向に強い指向特性を有している。各発光素子212,…から射出される光のうち光束が最も強くなる方向が光軸Lとされている。なお、各発光素子は、同じタイプのものとされている。
複数の発光素子212,…は、原稿Gにおける主走査方向Xに延びる一定の光照射領域Ld側に向けて光を照射するものである。この光照射領域Ldが原稿読取位置とされる。
本実施の形態では、複数の発光素子212,…は、光照射領域Ldを基準にして、主走査方向Xに直交する光照射面Gdに沿った副走査方向Yの両側に列設されている。複数の発光素子212,…は、各光軸Lが主走査方向Xに対して直角になるように配置されている。
詳しくは、複数の発光素子212,…は、副走査方向Yの両側のうち、一方側には複数の第1発光素子212a,…が主走査方向Xに列設されており、他方側には複数の第2発光素子212b,…が主走査方向Xに列設されている。すなわち、複数の発光素子212,…は、第1発光素子212a,…で構成される第1発光素子列220aと複数の第2発光素子212b,…で構成される第2発光素子列220bとの2列に配置されている。
光源基板213は、主走査方向Xに延びる互いに平行な第1及び第2光源基板213a,213bからなっている。第1光源基板213aには、複数の第1発光素子212a,…が搭載され、第2光源基板213bには、複数の第2発光素子212b,…が搭載されている。
また、本実施の形態では、複数の第1発光素子212a,…及び複数の第2発光素子212b,…の各発光素子ピッチ(主走査方向Xにおける素子中心間の距離)Pは、何れも同一の距離とされている。さらに、第1発光素子列220a及び第2発光素子列220bにおいて、第1発光素子212a,…及び第2発光素子212b,…は、ピッチ位置が副走査方向Yで揃うように(同一ピッチ位置構成で)配列されている。第1発光素子212a,…及び第2発光素子212b,…は、ここでは、同数とされている。
より具体的には、光源ユニット210は、発光素子アレイユニット215と、発光素子アレイユニット215が設けられたミラーベースユニット216とを備えている。
発光素子アレイユニット215は、第1発光素子212a,…と、第1光源基板213aと、第2発光素子212b,…と、第2光源基板213bと、第1光源基板213a及び第2光源基板213bが設けられた基台214とを備えている。
詳しくは、第1光源基板213a及び第2光源基板213bは、長手方向が主走査方向Xに向くように基台214に配置されている。基台214は、第1及び第2光源基板213a,213bを副走査方向Yに所定の間隔をあけて主走査方向X両端側でビス等の固定部材SCにて固定している。こうして、第1発光素子212a,…と第2発光素子212b,…とが、光照射領域Ldを基準にして、副走査方向Yの両側に主走査方向Xに沿ってそれぞれ列設されている。
基台214には、さらに、第1光源基板213aと第2光源基板213bとの間において、原稿Gからの反射光L1を通過させるための主走査方向Xに沿って延びる開口(ここではスリット)Rが形成されている。このスリットRは、原稿の読み取りの際には、原稿読取位置である光照射領域Ldの下方に配置される。第1発光素子列220a及び第2発光素子列220bは、スリットRの短手方向の両側に配列されている。
ミラーベースユニット216には、第1ミラー230が設けられている。詳しくは、第1ミラー230は、原稿Gの光照射面Gdで反射した光を基台214に設けられたスリットRを介してミラーユニット203の第2ミラー203aに導くようにミラーベースユニット216の主走査方向Xに沿った開口216aに挿通された状態で支持されている。
また、本実施の形態では、図4(b)に示すように、複数の第1発光素子212a,…及び複数の第2発光素子212b,…は、それぞれ、搭載される第1光源基板213a及び第2光源基板213bの発光素子の配置面Fに対して光軸Lが平行になるように光を射出するサイド発光を行う発光面E1を有している。具体的には、第1発光素子212a,…を搭載した第1光源基板213aと、第2発光素子212b,…を搭載した第2光源基板213bとは、側面視において光軸Lの方向が光照射領域Ld側へ向くように原稿G側とは反対側が開いた「ハの字」形に配置されている。なお、光照射領域Ldは、第1光源基板213a及び第2光源基板213bの中間に位置している。
以上説明した光源ユニット210の構成では、複数の発光素子212,…は、光照射領域Ldを基準にして、副走査方向Yの両側に配列されているが、片側のみに配列されていてもよい。
図6は、複数の発光素子212,…が光照射領域Ldを基準にして副走査方向Yの片側のみに配列されている一例を示す概略側面図である。
図6に示す複数の発光素子212,…は、光照射領域Ldを基準に副走査方向Yの片側に配置された光源基板213に搭載されており、配置面Fに対して光軸Lが平行になるように光を射出するサイド発光を行う発光面E1を有している。具体的には、光源基板213は、光軸Lの方向が光照射領域Ld側へ向くように傾斜配置されている。
また、複数の発光素子212,…が両側に配列されているか或いは片側のみに配列されているかに拘わらず、搭載される光源基板213の配置面Fに対して光軸Lが垂直になるように光を射出する頂面発光を行ってもよい。
図7は、頂面発光を行う発光面E2を有する複数の発光素子212,…の一例を示す概略側面図である。図7(a)は、両側に配列された第1発光素子212a,…及び第2発光素子212b,…が頂面発光を行う一例を示しており、図7(b)は、片側のみに配列された発光素子212,…が頂面発光を行う一例を示している。
図7(a)に示すように、第1発光素子212a,…及び第2発光素子212b,…が頂面発光を行う発光面E2を有する場合には、光軸Lの方向が光照射領域Ld側へ向くように原稿G側が開いた逆「ハの字」形に第1光源基板213a及び第2光源基板213bを配置することができる。なお、光照射領域Ldは、第1光源基板213a及び第2光源基板213bの中間に位置している。
また、図7(b)に示すように、発光素子212,…が片側のみに配列されている場合には、光軸Lの方向が光照射領域Ld側へ向くように光源基板213を傾斜配置することができる。
このように発光素子は図4から図7に示す配置構成とすることができるが、発光素子が図5に示すように両側で同一ピッチ位置構成に配列されている場合には、図6及び図7(b)に示すように発光素子が片側のみに配列されている構成に比べて発光素子数を2倍して照度を倍増させることができる。
また、発光素子がサイド発光と頂面発光とのうち何れかの発光を行う場合、光源ユニット210内の構成部品の配置構成に応じて、サイド発光を行う構成と頂面発光を行う構成との使い分けを行うことで、光源ユニット210内の空いたスペースを有効に利用することができる。
図8は、本実施の形態に係る画像読取装置100の制御系の概略構成を示す図であって、画像読取装置100における制御部400を中心に示す制御ブロック図である。
図8に示すように、本実施の形態に係る画像読取装置100は、さらに、画像読取装置100全体の制御を司る制御部400と、信号処理部510と、記憶部520とを備えている。
制御部400は、主制御部410と、原稿読取制御部420と、画像処理部430と、発光素子制御部440とを備えている。
主制御部410は、原稿読取制御部420、画像処理部430、発光素子制御部440、信号処理部510及び光学系駆動部530に接続されている。
詳しくは、主制御部410は、CPU等の処理部410aと、ROM及びRAM等のメモリを含む記憶部410bとを含むマイクロコンピュータからなっている。画像読取装置100は、主制御部410の処理部410aが記憶部410bのROMに予め格納された制御プログラムを記憶部410bのRAM上にロードして実行することにより、各種構成要素を制御するようになっている。なお、主制御部410は、画像形成装置Dに設けられた画像形成動作全体を制御する制御部(図示せず)にて指示されるようになっている。
原稿読取制御部420は、主制御部410からの指示信号に基づき、光電変換素子205による原稿Gの読み取り動作を制御する。
信号処理部510は、光電変換素子205に接続されており、主制御部410からの指示信号に基づき、光電変換素子205からの信号を処理する。信号処理部510は、ここでは、アナログフロントエンド(AFE)ICとされており、光電変換素子205からの出力信号(撮像信号)に対してOB(Optical Blank)クランプ、CDS(Correlated Double Sampling)、AGC(Auto Gain Control)、ADC(Analog-to-Digital Conversion)などの信号処理を行う。
例えば、信号処理部510は、光電変換素子205からのアナログ信号を増幅し、該増幅されたアナログ信号をデジタル信号(ここでは8ビットデジタル画像信号)に変換する。
画像処理部430は、主制御部410からの指示信号に基づき、A/D変換されたデジタル信号に対して各種の画像処理を行うものであり、ここでは、画像処理用ASIC(Application Specific Integrated Circuit)とされている。
発光素子制御部440は、発光素子212(1),…,212(n)に接続されており、主制御部410からの指示信号に基づき、複数の発光素子212(1),…,212(n)を発光素子毎に個別に駆動可能とされている。なお、nは発光素子の個数であり、2以上の値である。
詳しくは、発光素子212(1),…,212(n)は、直列に接続されており、該直列に接続された発光素子212(1),…,212(n)の両側の端子が発光素子制御部440に接続されている。発光素子制御部440は、主制御部410接続されており、主制御部410からの指示信号によって、個々の発光素子212(1),…,212(n)のオン/オフタイミングを発光素子毎に制御する。
また、光電変換素子205からの読取値(画素データ)PX(1),…,PX(m)と複数の発光素子212(1),…,212(n)とが対応付けられている。なお、mは画素の個数であり、nよりも大きい値である。
図9は、光電変換素子205で読み取った読取値のグラフであって、光電変換素子205からの読取値(画素データ)PX(1),…,PX(m)と複数の発光素子212(1),…,212(n)とが対応付けられた状態を示す図である。
図9に示す読取値は、読取ガイド部材318又は原稿押さえ部材319を光電変換素子205にて読み取って得られた出力値をA/D変換したデジタル信号の値である。ここでは、0が黒色の階調となっており、255が白色の階調となっており、1〜254が中間調の階調となっている。この場合、シェーディング補正時に読み取るための白基準部材として作用する読取ガイド部材318を読み取ったデジタル信号の平均値としては、「250」程度を例示できる。
図9に示すように、個々の発光素子212(1),…,212(n)に対して、光電変換素子205からの画素データPX(1),…,PX(m)が均等に割り当てられている。
図示例では、一つの発光素子212に対して連続した10画素が対応付けられている。すなわち、発光素子212(1),212(2),…,212(n)に対してそれぞれ画素データ(PX(1)〜PX(10)),画素データ(PX(11)〜PX(20)),…,画素データ(PX(m−9)〜PX(m))が対応付けられている。この対応関係を示す設定テーブルTLは、記憶部520に予め記憶されている(図8参照)。
発光素子制御部440は、個々の発光素子212(1),…,212(n)を駆動する発光素子コントロールドライバー441と、個々の発光素子212(1),…,212(n)を調光する調光部(ここでは調光回路)442(1),…,442(n)とを備えている。発光素子コントロールドライバー441及び調光回路442(1),…,442(n)は、主制御部410に接続されている。個々の発光素子212(1),…,212(n)は、一端子が発光素子コントロールドライバー441に接続され、かつ、他端子が調光回路442(1),…,442(n)にそれぞれ接続されている。
ところで、光源211と光電変換素子205との間の光路上における光学的瑕疵(例えば、原稿読取ガラス201aや読取ガイド部材318、或いは、プラテンガラス201bや原稿押さえ部材319に付着しているゴミ、埃、汚れなどの異物や、原稿読取ガラス201aやプラテンガラス201bに付いた傷等)によって瑕疵画像(例えば、斑点等の孤立画像や副走査方向Yに連続したスジ画像等)が発生することがある。
図10は、光源211と光電変換素子205との間の光路上における光学的瑕疵Cによって瑕疵画像が発生する状態を示す図である。図10(a)は、光源211と光電変換素子205との間の光路上に光学的瑕疵Cが存在している状態を示しており、図10(b)は、光電変換素子205で読み取った読取値(画素データ)のグラフを示している。
なお、図10では、原稿読取ガラス201aでの読取状態とプラテンガラス201bでの読取状態とを一つの図で示している。また、図10において、読取ガイド部材318及び原稿押さえ部材319は図示を省略している。このことは、後述する図11、図12及び図14から図16についても同様である。
本実施の形態において、光源211と光電変換素子205との間で原稿読取ガラス201aを経由する光路が第1の光路LP1とされ、光源211と光電変換素子205との間でプラテンガラス201bを経由する光路が第2の光路LP2とされる。
図10に示すように、原稿読取ガラス201aや読取ガイド部材318、或いは、プラテンガラス201bや原稿押さえ部材319には、ゴミ、埃、汚れなどの異物が付着したり、傷が付いたりすることがある。
そこで、本実施の形態においては、制御部400は、複数の発光素子212(1),…,212(n)の発光パターンによって光学的瑕疵Cの主走査方向Xにおける瑕疵位置を報知する瑕疵位置検出モードを実行するようになっている。
すなわち、制御部400は、光源211と光電変換素子205との間の光路LP1,LP2上における光学的瑕疵Cによって発生し得る瑕疵画像の状態(具体的には瑕疵画像の位置)を光電変換素子205からの読取値(画素データ)PX(1),…,PX(m)によって判定し、該瑕疵画像の位置の判定結果に基づき光学的瑕疵Cの主走査方向Xにおける瑕疵位置を特定し、該特定した瑕疵位置を複数の発光素子212(1),…,212(n)の発光パターンによって報知するように構成されている。
詳しくは、制御部400は、前記瑕疵画像の位置を検出するための基準画像に対して発光素子制御部440にて複数の発光素子212(1),…,212(n)から光を照射して該基準画像から反射した反射光を光電変換素子205で読み取る。
基準画像として、ここでは、原稿移動読取構成で基準画像を読み取る場合には、原稿読取ガラス201aに対向して配置された読取ガイド部材318を読み取り、原稿固定読取構成で基準画像を読み取る場合には、プラテンガラス201b上に載置される原稿Gを保持する原稿押さえ部材319を読み取る。
また、制御部400は、光電変換素子205で読み取った読取値(画素データ)PX(1),…,PX(m)と、予め設定しておいた設定範囲PXmin〜PXmax(図10(b)参照)とを判定部として作用する画像処理部430にて比較する。
ここで、設定範囲PXmin〜PXmaxは、光学的瑕疵Cの有無の判定基準となる光電変換素子205の読取値の範囲(例えば244〜250)である。
なお、記憶部520には、設定範囲PXmin〜PXmaxが予め設定(記憶)されている。この設定範囲PXmin〜PXmaxは、後述する制御例のように初期設定モードを実行することによって設定しておくことができる。設定範囲PXmin〜PXmaxは、予め実験等によって設定しておいてもよい。
また、制御部400は、読取値(画素データ)PX(1),…,PX(m)が設定範囲PXmin〜PXmax(例えば244〜250)の範囲外にある場合には、光学的瑕疵Cが存在するとして、該範囲外にある読取値(画素データ)PXi(例えば極値で120)を画像処理部430にて判定する。
また、制御部400は、記憶部520に記憶されている設定テーブルTLを用いて、画像処理部430にて特定した読取値(画素データ)PXiに対応する発光素子212(j)を瑕疵位置に対応する発光素子として主制御部410にて特定する。なお、jは範囲外にある読取値(画素データ)PXiに対応する発光素子212の添え字であり、1からnまでの値である。
範囲外にある読取値(画素データ)PXiに対応する発光素子212は、光学的瑕疵Cの状態によっては、1個とは限らず、連続した複数の個数とされる場合もある。すなわち、主走査方向Xにおける瑕疵位置が一箇所或いは複数箇所ある場合において、範囲外にある読取値(画素データ)PXiに対応する発光素子212は、一箇所の瑕疵位置或いは個々の瑕疵位置で、1個又は連続した複数の個数とされる。
ここで、制御部400は、範囲外にある読取値(画素データ)PXiが主走査方向Xで一又は複数連続して一箇所に存在している場合に、主走査方向Xにおける瑕疵位置を一箇所とすることができ、範囲外にある読取値(画素データ)PXiが主走査方向Xで一又は複数連続して複数箇所に存在している場合に、主走査方向Xにおける瑕疵位置を複数箇所とすることができる。
さらに、制御部400は、主制御部410にて特定した発光素子212(j)を発光素子制御部440にて複数の発光素子212(1),…,212(n)の発光パターンによって報知する。
ここでは、制御部400による発光素子212(1),…,212(n)の発光パターンは、設定範囲PXmin〜PXmaxの範囲外にある読取値(画素データ)に対応する発光素子212(j)を点灯又は点滅(消灯と点灯との繰り返し動作)させる一方、それ以外の発光素子を消灯させる発光パターンとされている。
以上説明した画像読取装置100によれば、光源211と光電変換素子205との間の光路LP1,LP2上における光学的瑕疵Cによって発生し得る瑕疵画像の位置の判定結果に基づき光学的瑕疵Cの主走査方向Xにおける瑕疵位置を特定し、該特定した瑕疵位置を複数の発光素子212(1),…,212(n)の発光パターンによって報知するので、埃等の光学的瑕疵Cがどこにあるのかを視覚的に容易に判断でき、これにより、メンテナンス作業性を向上させることができる。
また、本実施の形態では、基準画像(ここでは読取ガイド部材318又は原稿押さえ部材319)を光電変換素子205で読み取った読取値(画素データ)PX(1),…,PX(m)と、予め設定しておいた設定範囲PXmin〜PXmaxとを比較して、前記瑕疵画像の位置を判定するので、該判定を容易に行うことができる。
また、本実施の形態では、制御部400による発光素子212(1),…,212(n)の発光パターンとして設定範囲PXmin〜PXmaxの範囲外にある読取値(画素データ)PXiに対応する発光素子212(j)に対して点灯や点滅させたりすることで、埃等の光学的瑕疵がどこにあるのかを明確にすることが可能となる。
また、制御部400は、原稿移動読取構成で読取ガイド部材318を読み取る場合には、光学系駆動部530にて原稿読取ガラス201aに対応する領域の副走査方向Yにおける何れかの位置(好ましくは読取位置V)で光源ユニット210(すなわち光源211)を停止させた状態で発光素子制御部440にて発光パターンを発光させてもよい。
図11は、原稿読取ガラス201aや読取ガイド部材318上に光学的瑕疵Cが存在している例を示す平面図であって、瑕疵位置検出モードの一例を示している。
図11に示すように、原稿移動読取構成で読取ガイド部材318を読み取る場合には、発光パターンを発光させる際に、原稿読取ガラス201aに対応する領域の副走査方向Yにおける何れかの位置で光源211を停止させることで、光学的瑕疵Cが原稿移動読取構成で発生したことをサービスマン等の操作者に知らせることができる。
また、制御部400は、原稿固定読取構成で原稿押さえ部材319を読み取る場合には、光学系駆動部530にてプラテンガラス201bに対応する領域の副走査方向Yにおける何れかの位置で光源ユニット210(すなわち光源211)を停止させた状態で発光素子制御部440にて発光パターンを発光させてもよい。
図12は、プラテンガラス201bや原稿押さえ部材319上に光学的瑕疵Cが存在している例を示す平面図であって、瑕疵位置検出モードの他の例を示している。
図12に示すように、原稿固定読取構成で原稿押さえ部材319を読み取る場合には、発光パターンを発光させる際に、プラテンガラス201bに対応する領域の副走査方向Yにおける何れかの位置で光源211を停止させることで、光学的瑕疵Cが原稿固定読取構成で発生したことを操作者に知らせることができる。
ところで、原稿固定読取構成で原稿押さえ部材319を読み取る場合には、光学的瑕疵Cがプラテンガラス201bや原稿押さえ部材319にあると、斑点等の孤立画像が生じ、光学的瑕疵Cが光路LP2を経由する部材のうち、プラテンガラス201b及び原稿押さえ部材319以外のスジ画像発生部材にあると、副走査方向Yに連続したスジ画像が生じる。なお、前記スジ画像発生部材としては、光源211及び光源211とプラテンガラス201bとの間の光路LP2を経由する部材を含む光源側部材(例えば光源211やその反射部材)、及び、プラテンガラス201bと光電変換素子205との間における光学系を構成する光学部材(例えばミラー230,203a,203b)を例示できる。
このため、制御部400は、原稿固定読取構成で原稿押さえ部材319を読み取る場合には、瑕疵画像が副走査方向Yに連続したスジ画像であるか、或いは、孤立した孤立画像であるかを画像処理部430にて判定してもよい。
図13は、原稿固定読取構成で原稿押さえ部材319を読み取る場合に瑕疵画像がスジ画像であるか或いは孤立画像であるかの判定動作を説明するための図である。図13(a)から図13(f)は、光電変換素子205で読み取った読取値の時間的に変化を示すグラフである。図13(a)から図13(c)は、瑕疵画像が孤立画像である場合のグラフを示しており、図13(d)から図13(f)は、瑕疵画像がスジ画像である場合のグラフを示している。なお、図13において、左側から右側に向けて連続して時間が経過している状態を示している。
図13(a)及び図13(c)に示すように、第1及び第3期間T1,T3では瑕疵画像が表れておらず、図13(b)に示すように、第2期間T2で瑕疵画像が表れていることから、孤立画像と判定することができる。また、図13(d)から図13(f)に示すように、第1から第3期間T1〜T3の全期間を通じて瑕疵画像が表れていることから、スジ画像と判定することができる。
かかる構成を備えた画像読取装置100では、瑕疵画像が孤立画像であると判定した場合には、光学的瑕疵Cがプラテンガラス201bや原稿押さえ部材319にあるとみなすことができる。一方、瑕疵画像がスジ画像であると判定した場合には、光学的瑕疵Cが前記スジ画像発生部材(例えば、光源211や反射部材、ミラー230,203a,203b)にあるとみなすことができる。
また、この構成において、制御部400は、原稿固定読取構成で原稿押さえ部材319を読み取る場合には、プラテンガラス201bに対応する領域において光学系駆動部530にて光源ユニット210(すなわち光源211)を副走査方向Yに移動させつつ発光素子制御部440にて発光パターンを発光させてもよい。
図14は、プラテンガラス201bや原稿押さえ部材319上に光学的瑕疵Cが存在している例を示す平面図であって、瑕疵位置検出モードのさらに他の例を示している。
図14に示すように、原稿固定読取構成で原稿押さえ部材319を読み取る場合には、発光パターンを発光させる際に、プラテンガラス201bに対応する領域において光源211を副走査方向Yに移動させることで、光学的瑕疵Cが原稿固定読取構成で発生したことを操作者に注意喚起させることができる。
また、この構成において、制御部400は、瑕疵画像が孤立画像である場合には、画像処理部430にて副走査方向Yにおける孤立画像に対応する瑕疵位置を特定し、光学系駆動部530にて副走査方向Yにおける瑕疵位置で光源ユニット210(すなわち光源211)を停止させた状態で発光素子制御部440にて発光パターンを発光させてもよい。
図15は、プラテンガラス201bや原稿押さえ部材319上に光学的瑕疵Cが存在している例を示す平面図であって、瑕疵位置検出モードのさらに他の例を示している。
図15に示すように、原稿固定読取構成で原稿押さえ部材319を読み取る場合には、発光パターンを発光させる際に、副走査方向Yにおける瑕疵位置で光源211を停止させることで、原稿固定読取構成で発生した光学的瑕疵Cの副走査方向Yにおける位置を操作者に知らせることができる。
制御部400は、例えば、孤立画像の読取開始からのライン数及び副走査方向Yにおける解像度によって、副走査方向Yにおける瑕疵位置(読取開始位置からの距離)を特定することができる。そして、制御部400は、副走査方向Yにおける瑕疵位置(読取開始位置からの距離)及び光源ユニット210の移動速度(副走査方向Yにおける読取速度)によって、光源ユニット210を読取開始位置から移動させて瑕疵位置で停止させるまでの時間を算定することができる。副走査方向Yにおける解像度及び光源ユニット210の移動速度は、記憶部520に予め記憶しておくことができる。また、図15に示す例では、光源211の位置は平面から視て光学的瑕疵Cの副走査方向Yにおける位置とは少しずれているが、平面から視て光学的瑕疵Cの副走査方向Yにおける位置とオーバーラップした位置に光源211を停止させてもよい。これらのことは、次の孤立画像が副走査方向Yに複数箇所ある場合でも同様である。
制御部400は、原稿固定読取構成で原稿押さえ部材319を読み取る場合であって、孤立画像が副走査方向Yに複数箇所ある場合には、画像処理部430にて副走査方向Yにおける複数箇所の瑕疵位置をそれぞれ特定し、該特定した複数箇所の瑕疵位置に光学系駆動部530にて光源ユニット210(すなわち光源211)光源を移動させてもよい。
ここで、制御部400は、範囲外にある読取値(画素データ)PXiが副走査方向Y(ライン読み取り方向)で一又は複数連続して一箇所に存在している場合に、副走査方向Yにおける瑕疵位置を一箇所とすることができ、範囲外にある読取値(画素データ)PXiが副走査方向Y(ライン読み取り方向)で一又は複数連続して複数箇所に存在している場合に、副走査方向Yにおける瑕疵位置を複数箇所とすることができる。
図16は、プラテンガラス201bや原稿押さえ部材319上に光学的瑕疵Cが複数箇所(この例では2箇所)存在している例を示す平面図であって、瑕疵位置検出モードのさらに他の例を示している。
図16に示すように、原稿固定読取構成で原稿押さえ部材319を読み取る場合には、発光パターンを発光させる際に、副走査方向Yにおける複数箇所の瑕疵位置に光源211を移動させることができる。これにより、原稿固定読取構成の複数箇所で発生した光学的瑕疵C,Cの副走査方向Yにおける位置を操作者に知らせることができる。
また、制御部400は、原稿固定読取構成で原稿押さえ部材319を読み取る場合であって、瑕疵画像がスジ画像である場合には、光学的瑕疵Cが前記スジ画像発生部材(例えば、光源211や反射部材、ミラー230,203a,203b)で発生していることを報知するようにしてもよい。例えば、前記スジ画像発生部材で発生していることを発光パターンで報知してもよいし、画像読取装置100における表示部(図示せず)に警報(例えばメッセージ等の警告表示)を行ってもよい。
こうすることで、光学的瑕疵Cが前記スジ画像発生部材で発生していることを操作者に知らせることができる。
ところで、本実施の形態では、既述したように、原稿移動読取構成で基準画像を読み取る場合には、基準画像として原稿読取ガラス201aに対向して配置された読取ガイド部材318を読み取る。一方、原稿固定読取構成で基準画像を読み取る場合には、基準画像としてプラテンガラス201b上に載置される原稿Gを保持する原稿押さえ部材319を読み取る。
ところが、読取ガイド部材318は、原稿読取ガラス201aより空間を隔てた位置に配置されている状態で読み取られるのに対し、原稿押さえ部材319は、プラテンガラス201bに密着した状態で読み取られる。つまり、読取ガイド部材318と原稿押さえ部材319とでは基準画像として読み取られる際に光源211からの距離が異なる。また、読取ガイド部材318と原稿押さえ部材319とでは濃度(色味)が異なることもある。
すなわち、読取ガイド部材318を読み取る場合と原稿押さえ部材319を読み取る場合とで基準画像が異なる場合があり、そうすると、瑕疵画像の判定精度が低下する。
図17は、光学的瑕疵Cが存在する状態において読取ガイド部材318を読み取る場合と原稿押さえ部材319を読み取る場合とで基準画像が異なる場合での光電変換素子205で読み取った読取値(画素データ)のグラフである。図17(a)は、読取ガイド部材318を読み取った場合を示しており、図17(b)は、原稿押さえ部材319を読み取った場合を示している。
この例では、原稿押さえ部材319(図17(b)参照)の画像濃度(読取値の最大251程度)が読取ガイド部材318(図17(a)参照)の画像濃度(読取値の最大247程度)よりも明るい濃度に(読取値が大きく)なっている。
ここで、設定範囲PXmin〜PXmaxの範囲が244〜250である場合、読取ガイド部材318を読み取る場合では読取値の最大が247程度であるため、光学的瑕疵Cが無いと判定することができる。一方、読取ガイド部材318よりも明るい濃度の(読取値が大きい)原稿押さえ部材319を読み取る場合には、本来、設定範囲PXmin〜PXmaxの範囲内にあるべき読取値PX(例えば最大で251程度)が設定範囲PXmin〜PXmaxの範囲244〜250を超えてしまうため、光学的瑕疵Cの有無を誤判定する恐れがある。
かかる観点から、本実施の形態の画像読取装置100は、次のような構成にすることができる。
すなわち、読取値(画素データ)PX(1),…,PX(m)は、原稿移動読取構成で読取ガイド部材318を読み取る第1の読取値(画素データ)PX1(1),…,PX1(m)と、原稿固定読取構成で原稿押さえ部材319を読み取る第2の読取値(画素データ)PX2(1),…,PX2(m)とを含んでいる。
また、設定範囲PXmin〜PXmaxは、第1の読取値(画素データ)PX1(1),…,PX1(m)と比較する第1の設定範囲PX1min〜PX1maxと、第2の読取値(画素データ)PX2(1),…,PX2(m)と比較する第2の設定範囲PX2min〜PX2maxとを含んでいる。
図18は、図17に示すグラフにおいて、第1の読取値(画素データ)PX1(1),…,PX1(m)と比較する第1の設定範囲PX1min〜PX1maxと、第2の読取値(画素データ)PX2(1),…,PX2(m)と比較する第2の設定範囲PX2min〜PX2maxとを示したグラフである。図17と同様、図18(a)は、読取ガイド部材318を読み取った場合を示しており、図18(b)は、原稿押さえ部材319を読み取った場合を示している。
図18に示すように、第1の設定範囲PX1min〜PX1max(図18(a)参照)と、第2の設定範囲PX2min〜PX2max(図18(b)参照)とが互いに異なっている。図示例では、第1の設定範囲PX1min〜PX1maxが244〜250とされ、第2の設定範囲PX2min〜PX2maxが247〜253とされている。
こうすることで、読取ガイド部材318よりも明るい濃度の(読取値が大きい)原稿押さえ部材319を読み取る場合に、読取値の最大が251程度であっても、第2の設定範囲PX2min〜PX2maxの範囲が247〜253とされているので、光学的瑕疵Cの有無を確実に判定することができる。
このように、読取ガイド部材318を読み取る場合と原稿押さえ部材319を読み取る場合とで基準画像が異なっている場合でも、瑕疵画像を良好に判定することができる。
次に、設定範囲PXmin〜PXmaxを設定する初期設定モードと、光学的瑕疵Cの主走査方向Xにおける瑕疵位置を発光素子212(1),…,212(n)の発光パターンによって報知する瑕疵位置検出モードとの制御例について説明する。
なお、以下の制御例では、読取値(画素データ)PX(1),…,PX(m)が第1の読取値(画素データ)PX1(1),…,PX1(m)と、第2の読取値(画素データ)PX2(1),…,PX2(m)とを含み、設定範囲PXmin〜PXmaxが第1の設定範囲PX1min〜PX1maxと、第2の設定範囲PX2min〜PX2maxとを含んでいる場合について説明する。
[初期設定モード]
図19は、瑕疵位置検出モードを実行する前に予め設定しておく初期設定の一例を示すフローチャートである。
初期設定モードの実行は、例えば、画像読取装置100における表示部(図示せず)に表示されるサービスシミュレーション画面等の設定画面や、画像読取装置100における操作部(図示せず)に設けられたモードキーへの選択操作によって開始される。
図19に示す初期設定モードでは、先ず、記憶部520に記憶されている設定テーブルTLを読み出し、設定テーブルTLによって読取値(画素データ)PX(1),…,PX(m)と発光素子212(1),…,212(n)と対応関係を設定する(ステップS1)。
(第1の設定範囲の設定)
第1の設定範囲PX1min〜PX1maxを設定するにあたり、光学系駆動部530にて光源ユニット210を原稿読取ガラス201aの下方の読取位置(すなわち読取ガイド部材318の位置)Vに位置させ、原稿Gがない状態で発光素子212(1),…,212(n)を点灯させて読取ガイド部材318の読取値(画素データ)PX1(1),…,PX1(m)を数ライン分読み取る(ステップS2a)。そして、読取値の平均値(例えば247)を算出して(ステップS3a)、この平均値(例えば247)に対して予め規定している規定値(光学的瑕疵Cが無いとみなせる値、例えば±3)を加算して、第1の設定範囲PX1min〜PX1max(例えば244〜250)を算定し(ステップS4a)、得られた第1の設定範囲PX1min〜PX1maxを記憶部520に記憶(設定)する(ステップS5a)。
(第2の設定範囲の設定)
第2の設定範囲PX2min〜PX2maxを設定するにあたり、光学系駆動部530にて光源ユニット210を原稿Gがない状態で原稿押さえ部材319に密着されたプラテンガラス201bの下方の位置(すなわち原稿押さえ部材319の位置)に位置させ、発光素子212(1),…,212(n)を点灯させて原稿押さえ部材319の読取値(画素データ)PX2(1),…,PX2(m)を数ライン分読み取り(ステップS2b)。そして、読取値の平均値(例えば250)を算出して(ステップS3b)、この平均値(例えば250)に対して予め規定している規定値(光学的瑕疵Cが無いとみなせる値、例えば±3)を加算して、第2の設定範囲PX2min〜PX2max(例えば247〜253)を算定し(ステップS4b)、得られた第2の設定範囲PX2min〜PX2maxを記憶部520に記憶(設定)する(ステップS5b)。
この初期設定モードは、瑕疵位置検出モードを実行する前にその都度実行してもよいし、工場出荷時や、光学系を構成する光学部材のサービスマンによる清掃や交換等のメンテナンス終了後等の原稿読取ガラス201a、読取ガイド部材318やプラテンガラス201b、原稿押さえ部材319等の部材がきれいな状態のときに実行してもよい。
なお、この例では、第1及び第2の設定範囲をこの順で設定するが、第2の設定範囲を先に設定してもかまわない。また、第1の設定範囲及び第2の設定範囲を個別に設定するようにしてもよい。
[瑕疵位置検出モード]
次に、瑕疵位置検出モードの制御例について基準画像として原稿移動読取構成で読取ガイド部材318を読み取る場合と、原稿固定読取構成で原稿押さえ部材319を読み取る場合とに分けて説明する。
なお、以下の制御例では、発光素子212(1),…,212(n)の発光パターンは、設定範囲PXmin〜PXmaxの範囲外にある読取値(画素データ)に対応する発光素子212(j)を点灯させる一方、それ以外の発光素子を消灯させる発光パターンとして説明する。
瑕疵位置検出モードの実行は、例えば、画像読取装置100における表示部(図示せず)に表示されるサービスシミュレーション画面等の設定画面や、画像読取装置100における操作部(図示せず)に設けられたモードキーへの選択操作によって開始される。なお、ユーザーがモードキーを選択操作して瑕疵位置検出モードを実行し、原稿読取ガラス201aやプラテンガラス201b等の部材の清掃といった簡単なメンテナンス作業を行ってもよい。
(原稿移動読取構成での読み取りの場合)
図20は、瑕疵位置検出モードの制御の一例を示すフローチャートであって、基準画像として読取ガイド部材318を読み取る場合を示している。
図20に示す瑕疵位置検出モードでは、先ず、記憶部520に記憶されている第1の設定範囲PX1min〜PX1max及び設定テーブルTLを読み出し、設定テーブルTLによって読取値(画素データ)PX1(1),…,PX1(m)と発光素子212(1),…,212(n)と対応関係を設定する(ステップS6a)。
次に、光源ユニット210が読取位置Vにいないときは、光学系駆動部530にて光源ユニット210を原稿読取ガラス201aの下方の読取位置(すなわち読取ガイド部材318の位置)Vに位置させ、原稿Gがない状態で発光素子212(1),…,212(n)を点灯させて読取ガイド部材318の読取値(画素データ)PX1(1),…,PX1(m)を読み取る(ステップS7a)。
初期設定モードで設定した第1の設定範囲PX1min〜PX1max(例えば244〜250)と、ステップS7aで読み取った読取値PX1(1),…,PX1(m)とを比較して設定範囲外の読取値(画素データ)PXiの有無によって光学的瑕疵Cの有無を判定する(ステップS8a)。
ステップS8aで光学的瑕疵Cが存在すると判定した場合には(ステップS8a:有り)、設定範囲外の読取値(画素データ)PXiに対応する発光素子212(j)を瑕疵位置における発光素子として特定し(ステップS9)、ステップS9で特定した発光素子212(j)を点灯させ、それ以外の発光素子を消灯させ(ステップS10)、処理を終了する。このとき、光学的瑕疵Cが存在する旨のメッセージを画像読取装置100における表示部(図示せず)に表示してもよい。なお、検出する光学的瑕疵Cの主走査方向Xにおける箇所が一箇所であっても複数箇所あっても光学的瑕疵Cを検出することができる。
一方、ステップS8aで光学的瑕疵Cが存在しないと判定した場合には(ステップS8a:無し)、全ての発光素子212(1),…,212(n)を消灯させ(ステップS11)、処理を終了する。このとき、光学的瑕疵Cが存在しない旨のメッセージを画像読取装置100における表示部(図示せず)に表示してもよい。
(原稿固定読取構成での読み取りの場合)
図21は、瑕疵位置検出モードの制御の一例を示すフローチャートであって、基準画像として原稿押さえ部材319を読み取る場合を示している。
図21に示す制御例において、ステップS6a〜S8aに代えて、ステップS6b〜S8bが設けられている以外の処理は、図20に示すフローチャートと同様であるため、同一符号を付し、その説明を省略する。
ステップS6bでは、記憶部520に記憶されている第2の設定範囲PX2min〜PX2max及び設定テーブルTLを読み出し、設定テーブルTLによって読取値(画素データ)PX2(1),…,PX2(m)と発光素子212(1),…,212(n)と対応関係を設定する。
ステップS7bでは、光学系駆動部530にて光源ユニット210を原稿Gがない状態で原稿押さえ部材319に密着されたプラテンガラス201aに対応する領域において副走査方向Yに移動させつつ発光素子212(1),…,212(n)を点灯させて原稿押さえ部材319の読取値(画素データ)PX2(1),…,PX2(m)を読み取り、ステップS8bに移行する。
ステップS8bでは、初期設定モードで設定した第2の設定範囲PX2min〜PX2max(例えば247〜253)と、ステップS7bで読み取った読取値PX2(1),…,PX2(m)とを比較して設定範囲外の読取値(画素データ)PXiの有無によって光学的瑕疵Cの有無を判定し、ステップS9に移行する。
このように、基準画像として読取ガイド部材318を読み取る場合及び原稿押さえ部材319を読み取る場合の何れにおいても、光学的瑕疵Cが存在するときには、操作者は、点灯した発光素子212(j)の位置において光学的瑕疵Cを確認し、対応する光学的瑕疵を有する瑕疵部材の清掃又は必要に応じて交換することができる。なお、瑕疵部材は、例えば、読取ガイド部材318を読み取る場合に光学的瑕疵Cが存在している原稿読取ガラス201aや読取ガイド部材318等の部材であり、原稿押さえ部材319を読み取る場合に光学的瑕疵Cが存在しているプラテンガラス201aや原稿押さえ部材319等の部材である。
そして、操作者は、瑕疵位置に対応する発光素子212(j)が点灯しなくなるまで、瑕疵位置検出モードを行うことができる。
この例では、原稿移動読取構成での読み取り及び原稿移動読取構成での読み取りをこの順で行ってもよいし、原稿移動読取構成での読み取りを先に行ってかまわない。また、原稿移動読取構成での読み取り及び原稿移動読取構成での読み取りを個別に行ってもよい。
なお、本実施の形態に係る画像読取装置100は等倍光学系タイプの画像読取装置であってもよい。