JP5322233B2 - 閉鎖された空間内において火災を防止し、消火するための多段階不活性化方法 - Google Patents
閉鎖された空間内において火災を防止し、消火するための多段階不活性化方法 Download PDFInfo
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Description
この不活性化方法は、人間や動物がたまたま入ることのある閉鎖された空間であって、かつ、装置が水の効果に対して感受的に反応する空間においては、火災の危険は、その中の適切な領域の酸素濃度を平均約12容積%に低減すれば対応できる、という知見に基づいている。この酸素濃度においては、たいていの可燃性物質は、もはやそれ以上燃焼しない。適用される主要な領域は、とくにADP領域、電気のスイッチおよび配電設備の空間、容器に入った設備、および価値の高い商業上の商品を貯蔵しておく領域を包含する。この方法から得られる消火の効果は、酸素を置き換えるという原理に基づいている。知られているように、通常の環境における空気は、21容積%の酸素、78容積%の窒素および1容量%のその他のガスから成っている。火災を消火するためには、適切な空間の窒素濃度を、窒素を導入してさらに増大させ、それによって酸素の濃度割合を低減する。消火の効果は、酸素の割合が15容積%以下に低下すると得られ始めることが知られている。保護すべき室内に存在する可燃物質の種類によって異なるが、さらに酸素の割合を、たとえば12容積%に低減することが必要である。
後者の、不活性化方法に関するさらなる改良形態においては、第一の、または第二の、あらかじめ設定された時間の経過につづいて、保護すべき室の内部における酸素濃度を、さらなる、好ましくは手動による開放にもとづいて、基礎的不活性化レベルに増大させることが、もっとも好ましい。この付加的な放出は、とくに、本発明の不活性化方法を実行する不活性化システムとは独立であることができるから、システムの破壊ないし誤作動に関する安全性の増大を、この好ましい実施形態により達成することができる。もちろん、この付加的な開放は、保護すべき室の内部における火災の特徴を示す値を検出する別の装置に基づいて、自動的に実施することもできる。
この場合、ある可燃物質の発火しきい値は、好ましいやり方で、VdS失敗防止試験手続きを利用した試験を通じて、できるだけ実際に近く、また再現性のある方法であらかじめ決定される。その値がその可燃物質ないし対象物について未知であるならば、それを見出すことができる手続きを利用する。この種の試験においては、試験すべき固体は、酸素濃度20.9容積%において、ある発火源を用いて発火される。これに必要な時間間隔が測定される。酸素濃度は、つぎに、所定の周囲条件に従って、2倍の時間間隔をもって発火源を可燃物質に作用させても発火しなくなるまで、複数回の試験を経て低められる。ここで、とりわけ、下記の値が決定され、および(または)確立される:試験期間中の試験雰囲気の酸素濃度、試験期間中の温度、試験する室内の風速、燃焼の継続時間、火炎の温度、および試験室内の空気の湿度。
液体に関して、対応する値を決定するには、空気の圧力、および液体およびそれを取り囲む空気の温度を測定し、考慮に入れることが、とくに重要である。消火のしきい値を決定するには、その可燃物質を、20.9容積%の酸素濃度にある通常の空気中で着火させる。酸素濃度は、ついで、火災が消火されるまで、ゆっくりと減少させる。
電気的な危険に関しては、たとえば、着火のしきい値は、酸素濃度15.9容積%であるが、消火のしきい値は、それに対応して、酸素濃度15.5容積%である。
もちろん、第一の低められたレベルに対応する酸素濃度の確立において、同様に、またはそれに代えて、そのほかのパラメータを考慮に入れることも考えられる。
これをもって、火災が発生した場合、保護すべき室内に付加的に導入し、火災と戦うために使用すべき不活性ガスの量は、火災の程度と性質に応じて、きわめて正確に、適合させることができることが、とりわけ可能である。
とりわけこの時間t0において、火災の特徴を示す値の検知器により、連続的に、またはあらかじめ設定された時間間隔をもって測定された、煙のレベルおよび(または)定量的に測定された火災の特徴を示す値が、図1Bに見ることができるように、第一のしきい値を超える(警報しきい値1)。この火災警報に対するリアクションとして、保護すべき室の内部における酸素濃度は、基礎的不活性化レベルから、第一の低められたレベルに減少される。ここに示された曲線において、第一の低められたレベル(低められたレベルI)は、15.9容積%の酸素濃度に対応する。図1Aの、時間の経過にともなう変化からわかるように、酸素濃度の第一の低められたレベルへの低下は、可能な限り短い時間において生じる。このことは、あらかじめ決定されていたある量の不活性ガスを、迅速に導入することによって可能になる。このようにして、火災の警報の引金が引かれて間もなく後に、保護すべき室の内部における酸素濃度は、低められたレベルIに向かって低められる。
火災の特徴を示す定量的に測定された値は、この時間△T2の枠内の火災の沈滞を表し、保護すべき室の内部における火災の広がりを、少なくとも成功裏に抑制できたことを意味するものではあるが、ある時間の後、煙のレベルおよび(または)火災の特徴を示す定量的に測定された値はふたたび上昇し、そして警報のしきい値3を超えることすらあり、そこではメインの警報の引き金が引かれる。図1Bに示したシナリオにおいては、警報のしきい値3はすでに、時間t2に至る前に超えている。
Claims (17)
- 保護すべき室内における火災の危険を軽減し、消火するための不活性化方法であって、つぎの諸段階
a)保護すべき室内における酸素の濃度を、特定の基本的不活性化レベルまで低下させること、
b)保護すべき室内における酸素の濃度を、特定の基本的不活性化レベルに連続的に維持すること、および、
c)前記の保護すべき室内において火災が現存するか否かを決定するために、保護すべき室内において、少なくとも一つの火災の特徴を示す定量的に測定される値を、火災特性値として、連続的に測定するか、またはあらかじめ設定された時間ごとに測定するか、またはあらかじめ定められた事象に対応して測定すること、
からなる方法において、下記の追加的な段階を行なうことを特徴とする方法:
d)保護すべき室内において、火災特性値が第一のあらかじめ設定された警報しきい値を超え、火災が生じたと判断された場合、その保護すべき室内における酸素濃度を、特定の基本的不活性化レベルから、保護すべき室内に存在する可燃物の発火しきい値に基づいて決定される、第一の低められたレベルまで低下させること、
e)保護すべき室内における酸素濃度を、第一のあらかじめ設定された時間にわたって、連続的に、第一の低められたレベルに維持すること、および、
f)第一のあらかじめ設定された時間が経過した後、火災特性値が、第一のあらかじめ設定された警報しきい値よりも火災の特徴を示す値が大きい、あらかじめ設定された警報しきい値を超えた場合は、保護すべき室内における酸素濃度を、第一の低められたレベルからさらに低い不活性化レベル、すなわち第二の低められたレベル、またはさらに、完全な不活性化レベルに低下させること。 - 請求項1に従う不活性化方法において、下記の追加的な段階を行なうことを特徴とする方法:
g)保護すべき室内における酸素濃度を、第一の低められたレベルから、完全な不活性化レベルとは異なる第二の低められたレベルに低下させること、
h)第一のあらかじめ設定された時間が経過した後も、火災特性値が、少なくとも第二のあらかじめ設定された警報しきい値を超えている場合は、その第二の低められたレベルを、第二のあらかじめ設定された時間にわたって維持すること、その際、火災が消火されたか否かを決定するために、第二の低められたレベルを少なくとも一つの火災特性値が連続的に測定されている間は維持すること、
および、
i)第二のあらかじめ設定された時間が経過した後もなお、火災特性値が、少なくとも、第二のあらかじめ設定された警報しきい値よりも火災の特徴を示す値が大きい、第三のあらかじめ設定された警報しきい値を超えている場合は、保護すべき室内における酸素濃度を、第二の低められたレベルからさらに完全な不活性化レベルまで低下させること。 - 請求項1または2に従う不活性化方法において、少なくとも火災が保護すべき室内において消火されるまで、不活性化レベルを、保護すべき室内において、連続的に維持することを特徴とする不活性化方法。
- 請求項1ないし3のいずれかに従う不活性化方法において、第一または第二のあらかじめ設定された時間が経過した後に、もし、火災特性値が第一のあらかじめ設定された警報しきい値を下回り、保護すべき室内における火災が消火したと判断されるならば、保護すべき室内における酸素濃度を、再度、基本的な不活性化レベルまで上昇させることを特徴とする不活性化方法。
- 請求項4に従う不活性化方法において、第一の、または第二の、あらかじめ設定された時間が経過した後に、保護すべき室内における酸素濃度を手動開放により増加させることを特徴とする不活性化方法。
- 請求項1ないし5のいずれかに従う不活性化方法において、
・基本的な不活性化レベルが、周囲の空気中の酸素濃度と比較して低減された酸素濃度に対応するものであり、
・第一の低められたレベルが、基本的不活性化レベルの酸素濃度と比較して、さらに低下したものである酸素濃度に対応するものであり、
・第二の低められたレベルが、第一の低められたレベルの酸素濃度と比較して、さらに低減されたものである酸素濃度に対応するものであり、かつ、
・完全な不活性化レベルが、第二の低められたレベルの酸素濃度と比較して、さらに低下したものである酸素濃度に対応するものである、
ことを特徴とする不活性化方法。 - 請求項1ないし6のいずれかに従う不活性化方法において、第一の低められたレベルが、保護すべき室内に存在する可燃性物質の発火しきい値に対応する酸素濃度にもとづいて決定されることを特徴とする不活性化方法。
- 請求項7に従う不活性化方法において、第一の低められたレベルが、保護すべき室内に存在する可燃性物質の発火しきい値に対応する酸素濃度と同一であることを特徴とする不活性化方法。
- 請求項1ないし8のいずれかに従う不活性化方法において、第二の低められたレベルが、保護すべき室内に存在する可燃性物質の消火しきい値に対応する酸素濃度に基づいて決定されることを特徴とする不活性化方法。
- 請求項9に従う不活性化方法において、第二の低められたレベルが、保護すべき室内に存在する可燃性物質の消火しきい値に対応する酸素濃度よりも低い値であることを特徴とする不活性化方法。
- 請求項1ないし10のいずれかに従う不活性化方法において、保護すべき室内において火災が燃焼中であるか否かを決定するため、少なくとも一つの火災特性値を、保護すべき室内において連続的に、または所定の時間に、または所定の事象の発生に対応して測定することを特徴とする不活性化方法。
- 請求項1ないし11のいずれかに従う不活性化方法において、どのような可燃性物質が保護すべき室内において燃焼中であるかを決定するために、多数の火災特性値を、保護すべき室内において連続的に、または所定の時間に、または所定の事象の発生に対応して測定することを特徴とする不活性化方法。
- 請求項12に従う不活性化方法において、第一の、および(または)第二の低められたレベルが、どのようなものか決定された可燃性物質の発火および(または)消火のしきい値にもとづいて選択されることを特徴とする不活性化方法。
- 請求項12または13に従う不活性化方法において、保護すべき室内において火災が燃焼中であるか否かの決定を、火災特性値の多数の測定レベルの測定にもとづいて、および(または)保護すべき室内において測定されたさまざまなしきい値の多数にもとづいて行なうことを特徴とする不活性化方法。
- 請求項12ないし14のいずれかに従う不活性化方法において、少なくとも一つの火災特性値を定量的に測定すること、および、その定量的に測定された火災特性値に基づいて、保護すべき室内における酸素濃度を、第一の低められたレベルに、第二の低められたレベルに、および(または)完全不活性化レベルに低下させることを特徴とする不活性化方法。
- 請求項12ないし15のいずれかに従う不活性化方法において、少なくとも一つの火災特性値を定量的に測定すること、および、酸素濃度を、第一の、または第二の低められたレベルに、その定量的に測定された火災特性値にもとづいて定めた時間にわたって維持することを特徴とする不活性化方法。
- 請求項1ないし16のいずれかに従う不活性化方法において、保護すべき室内における酸素濃度を連続的に、または所定の時間に、または所定の事象の発生に対応して測定すること、および、酸素濃度を、不活性ガスおよび(または)酸素の、たとえば新鮮な空気の形での制御された供給により、基本的不活性化レベル、第一の低められたレベル、第二の低められたレベルまたは完全な不活性化レベルに維持することを特徴とする不活性化方法。
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