JP5321244B2 - 内燃機関の異常診断装置 - Google Patents

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本発明は、過給機及び排気還流制御弁を備えた内燃機関の異常診断装置に関する。
周知のように、ガソリン内燃機関では、排気通路に排気の実空燃比を検出する空燃比センサを設置し、この実空燃比に基づいて排気の空燃比を目標空燃比(理論空燃比)へ向けてフィードバック制御することで、排気通路中に設置した三元触媒の排気浄化効率を高めるようにしている。
このような空燃比センサの検出値を利用して、排気通路から吸気通路へ還流する排気の還流率を調整する排気還流制御弁(EGR弁)等の異常・故障を診断することが知られている。例えば特許文献1では、内燃機関の始動後、EGR弁を開作動する以前のアイドル運転期間中に、EGR弁を短時間だけ開作動させ、その前後の空燃比センサ(酸素濃度センサ)の検出値の変化量に基づいて、EGR弁の異常の有無を診断している。
特開平10−159634号公報
過給機を備えた内燃機関の場合、過給によりスロットル下流の過給圧が高い過給域で、何らかの不具合によってEGR弁が開いたままとなる、いわゆる開固着状態となると、排気還流通路を通して吸気通路から排気通路へ向けて新気が流れる、いわゆる新気吹き抜け現象を生じ、排気還流通路よりも下流側の排気通路に余剰の新気(酸素)が供給されるために、ここに触媒が設けられている場合、触媒の過度な温度上昇を招くおそれがある。
しかしながら、上記特許文献1のものでは、機関始動直後の非常に限られた運転条件でしかEGR弁の異常診断を行うことができず、例えば機関運転中に何らかの不具合によりEGR弁が開固着したような場合に、この異常を検出できず、上述した過給域における新気吹き抜け現象を防ぐことができない。
また、異常・故障を検出した場合、運転条件を制約した所定の異常フェールモードで内燃機関を運転することになるが、異常要因を特定できないと、運転条件の制約が最も厳しい異常要因に応じて運転条件を制約する必要があることから、異常要因を特定することが望ましい。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、過給域を含めた幅広い運転領域で異常診断を行うことが可能で、かつ、過給圧検出手段により検出される過給圧と空燃比検出手段により検出される実空燃比とに基づいて、排気還流制御弁の開固着などの異常要因を特定することができる内燃機関の異常診断装置を提供することを目的としている。
本発明に係る内燃機関には、内燃機関の吸気を過給する過給機と、内燃機関の吸気通路を開閉するスロットルと、内燃機関の排気通路とスロットル下流の吸気通路とを接続する排気還流通路と、この排気還流通路を開閉することで、上記排気通路から吸気通路へ還流する排気の還流率を調整する排気還流制御弁と、上記スロットル下流の吸気通路の過給圧を検出する過給圧センサ等の過給圧検出手段と、上記排気還流通路との接続部よりも上流側の排気通路に設けられ、内燃機関から排出される排気の実空燃比を検出する空燃比検出手段と、を備える。上記空燃比検出手段は、例えば理論空燃比を検出する酸素センサや、幅広い空燃比を検出可能な広域型空燃比センサなどである。
そして、実空燃比に基づいて目標空燃比へ向けた排気の空燃比制御を行っているときに、内燃機関の吸・排気系や燃料系等の異常が有ると判定された場合、上記過給圧と、上記目標空燃比に対する実空燃比のずれ方向と、に基づいて、異常要因を特定することを特徴としている。
例えば、排気の空燃比制御中に、目標空燃比と実空燃比との偏差・乖離が所定の判定値以上となると、吸・排気系や燃料系等に何らかの異常が有ると判定する。このような異常判定時に、過給圧が所定圧以上の正圧状態・過給域である場合、過給圧が所定圧より低い負圧状態となるように過給圧を速やかに低下させることで、例えば異常要因が排気還流制御弁の開固着である場合に新気吹き抜け現象を速やかに回避することができる。そして、正圧状態での実空燃比のずれ方向と、負圧状態での実空燃比のずれ方向と、の双方に基づいて、異常要因を厳密に特定することが可能となる。つまり、正圧状態・過給域での異常判定時には、機関運転性の悪化を避けるために速やかに負圧状態・非過給状態へと移行するわけであるが、このような過給圧の変化を利用して、異常要因の特定精度を向上することができる。
例えば、異常要因が排気還流制御弁の開固着である場合、スロットル下流の過給圧が正圧か負圧かによって排気還流通路を流れる吸気・排気の方向が異なることから、正圧状態での実空燃比のずれ方向がリッチ方向であり、負圧状態での実空燃比のずれ方向がリーン方向である場合には、異常要因が排気還流制御弁の開固着であると特定することができる。
また、燃料系の異常つまり燃料過剰や燃料過小である場合には、過給圧に影響を受けることなく実空燃比がリッチ側あるいはリーン側へずれることから、正圧状態での実空燃比のずれ方向と、負圧状態での実空燃比のずれ方向と、が同じである場合、異常要因が燃料系であると特定することができる。
更に、異常要因が過給機上流側の吸気系の配管漏れ等による空気漏れである場合、過給状態では過剰に過給されることから、正圧状態での実空燃比のずれ方向がリーン方向であり、負圧状態での実空燃比のずれ方向がリッチ方向である場合、異常要因が空気漏れであると特定することができる。
本発明によれば、過給機を備えた内燃機関では一般的に用いられる過給圧センサや空燃比センサなどにより検出される過給圧と実空燃比を利用した簡素な構成で、空燃比制御を行う幅広い運転域で内燃機関の異常を判定することができ、かつ、その異常要因を精度よく特定し、異常後の運転条件の制約を緩和することができる。
本発明の一実施例に係る異常診断装置が適用される内燃機関の基本構成を簡略的に示す構成図。 本実施例に係る異常診断制御の流れを示すフローチャート。 上記過給圧と実空燃比のずれ方向に応じた異常要因を示す説明図。
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例に係る異常診断装置が適用されるガソリン内燃機関の基本構成を簡略的に示す構成図である。この内燃機関10は、吸気を過給する過給機11と、吸気通路12を開閉する電子制御式のスロットル13と、排気通路14とスロットル13下流の吸気通路12Aとを接続する排気還流通路15と、この排気還流通路15を開閉することで、排気通路14から吸気通路12へ還流する排気の還流率を調整する排気還流制御弁(以下、「EGR弁」ともいう)16と、スロットル13下流の吸気通路(吸気コレクタ)12Aのコレクタ圧すなわち過給圧を検出する過給圧検出手段としての過給圧センサ17と、排気還流通路15との接続部である排気取出口15Aよりも上流側の排気通路14に設けられ、内燃機関10から排出される排気の実空燃比を検出する空燃比検出手段としての空燃比センサ18と、が設けられている。また、排気通路14には、上流側の排気マニホールドと下流側の床下位置の二箇所に三元触媒19,20が配設されており、両触媒19,20の間に排気還流通路15の排気取出口15Aが配置されている。制御部21は、上記過給圧センサ17や空燃比センサ18の他、図示せぬ回転速度センサやアクセル開度センサ等の各種センサの検出信号に基づいて、スロットル13,EGR弁16,過給機11の他、燃料噴射弁等へ制御信号を出力し、その動作を制御する。
過給機11は、機械式のスーパチャージャ、あるいは排気エネルギーを利用して吸気を過給するターボチャージャであり、ターボチャージャの場合、ウェイストゲートバルブや可変ノズル等の過給圧を調整する手段が設けられる。スロットル13は、過給機11のコンプレッサよりも下流側の吸気通路12に設けられ、主としてアクセル開度に応じて開閉される。EGR弁16は、排気の一部を吸気系へ適宜な量・率だけ制御して還流することで、NOx低減や燃費向上を図るものであり、制御部21からの信号により駆動制御される電動式のものである。空燃比センサ18は、酸素濃度に応じて出力値が変動するもので、広域型空燃比センサ、あるいは理論空燃比を検出する酸素センサを用いることができる。
制御部21は、触媒19,20による排気浄化効率を高めるように、排気の空燃比を所定の目標空燃比(典型的には、理論空燃比)の近傍に維持するように、排気の空燃比フィードバック制御を行う(空燃比制御手段)。この空燃比フィードバック制御は、周知のように、空燃比センサ18により検出される実空燃比と目標空燃比との偏差に応じて燃料噴射量を増減して実空燃比を目標空燃比の近傍に維持するもので、機関始動時や低水温時等の一部の運転条件を除く幅広い運転領域で実行される。なお、希薄燃焼を実現するリーンバーンエンジンなどでは、機関運転状態に応じて目標空燃比が調整される。
次に、図2及び図3を参照して、本実施例の要部をなす燃料系やEGR弁16を含めた吸・排気系等の異常診断について説明する。
図2を参照して、ステップS11では、空燃比フィードバック制御中における実空燃比(以下、「実A/F」ともいう)と目標空燃比(以下、「目標A/F」ともいう)とに基づいて、後述するEGR弁の開固着や燃料系異常や空気漏れ等を含めた内燃機関の異常の有無を判定する。具体的には、空燃比フィードバック制御中に実A/Fと目標A/Fとの乖離ΔA/F、つまり[目標A/F−実A/F]の絶対値が所定の判定値α以上であるかを判定する。乖離ΔA/Fが判定値α以上であれば、異常があると判定して、ステップS12へ進む。この時点では、異常要因は特定されていない。
ステップS12〜ステップS24では、過給圧と、目標A/Fに対する実A/Fのずれ方向と、に基づいて、異常要因を特定する(異常要因特定手段)。具体的には、先ずステップS12では、過給圧センサ17により検出される過給圧が、所定圧、この実施例では大気圧つまり「0」以上であるか否か、すなわち正圧状態であるか負圧状態であるか、言い換えると過給域であるか非過給域であるかを判定する。
なお、上記大気圧に代えて、排気圧力をセンサにより検出あるいは推定し、この排気圧力と過給圧との比較により正圧状態か負圧状態かを判定するようにしても良い。この場合、ターボ過給機を備えた内燃機関のように、排気圧力が大気圧よりも高くなる場合であっても、排気還流通路の流れ方向をより正確に把握し、特にEGR弁開固着の特定精度を向上することができる。
正圧状態・過給域であると判定されると、ステップS12からステップS13へ進み、この正圧状態での目標A/Fと実A/Fとを制御部21のメモリ内に記憶する。あるいは、より簡易的に、正圧状態での目標A/Fに対する実A/Fのずれ方向をフラグ等を利用して記憶するようにしても良い。
続くステップS14では、現在の正圧状態・過給域から負圧状態・非過給域へ移行する。具体的には、機関要求負荷を低下させつつ、過給機11の作動を停止又は抑制し、かつ、スロットル13を絞り、スロットル下流に負圧を生成させる。例えば異常の要因が、EGR弁16が開いたまま固着される開固着である場合、スロットル下流が正圧状態のまま維持されると、排気還流時とは逆に、排気還流通路15を経由してスロットル下流の吸気通路12Aから排気通路14へ新気が供給され、排気還流通路15の接続部15Aよりも下流側の床下触媒20に新気(酸素)が過剰に供給されて、この触媒20の過度な昇温を招くおそれがある。このステップS14では、このような不具合を招くことのないように、異常判定時に正圧状態である場合には、即座に負圧状態に移行させている。
ステップS15では、上記のステップS13において記憶されている正圧状態での目標A/Fと実A/Fとに基づいて、目標A/Fに対する実A/Fのずれ方向がリッチ方向であるかリーン方向であるかを判定する。具体的には、正圧状態での[目標A/F−実A/F]が0(ゼロ)を超えているかを判定する。目標A/F−実A/Fが0(ゼロ)を超えていれば、ずれ方向がリッチ方向であると判定して、ステップS16へ進み、目標A/F−実A/Fが0(ゼロ)以下であれば、ずれ方向がリーン方向であると判定して、ステップS17へ進む。
ステップS16,S17では、上記ステップS14により移行された負圧状態での目標A/Fに対する実A/Fのずれ方向がリッチ方向であるかリーン方向であるかを判定する。具体的には、ステップS15と同様、負圧状態での[目標A/F−実A/F]が0(ゼロ)を超えているかを判定する。
このように、正圧状態の場合、負圧状態となるように過給圧を低下させた上で(ステップS14)、ステップS15〜ステップS17において、正圧状態での実空燃比のずれ方向と、負圧状態での実空燃比のずれ方向と、に基づいて、ステップS18〜21に示すように異常要因を特定する。
ステップS18〜21では、特定された異常要因を警告灯や音声により運転者に知らせるとともに、個々の異常要因に応じて予め設定された所定の異常フェールモードにて内燃機関を運転し、運転条件を制限する。個々の異常フェールモードの詳細については、本件の要部ではないので、ここでは説明を省略する。
正圧状態でのずれ方向がリッチ方向であり、かつ、負圧状態でのずれ方向がリッチ状態である場合、ステップS18へ進み、スロットル下流の過給圧にかかわらず、実空燃比がリッチ方向に大きくずれていることから、異常要因が燃料系統であり、燃料が過剰に供給されていると判定し、燃料系異常フェールモードへ移行する。
正圧状態での実空燃比のずれ方向がリッチ方向であり、負圧状態での実空燃比のずれ方向がリーン方向である場合、ステップS19へ進み、異常要因がEGR弁16の開固着であると特定し、EGR弁開固着の異常フェールモードへと移行する。このEGR弁開固着の異常フェールモードでは、上述した正圧状態での新気吹き抜け現象を防止するように、正圧状態・過給域での運転を禁止し、負圧状態・非過給域での運転を維持する。
ここで、このようにEGR弁の開固着と特定する理由について考察する。正圧状態でEGR弁16が開固着していると、スロットル下流の過給圧が高く、過給圧が排気圧力よりも高くなって、排気還流通路15を通して新気がスロットル下流の吸気通路12Aから排気通路14へと流れる上述した新気吹き抜け現象を生じる。ここで、空燃比センサ18は新気が流れ込む排気還流通路15との接続部15Aよりも上流側の排気通路14に配設されているため、この新気吹き抜けによる新気の影響を受けることがない。このため、空燃比センサ18の出力により検出される実空燃比に、新気吹き抜け分の吸気量低下分が反映されず、この結果、正圧状態でEGR弁が開固着している場合には、実空燃比がリッチ方向に大きくずれることとなる。
一方、このEGR弁開固着での正圧状態から負圧状態へ移行すると、スロットル下流の過給圧つまりコレクタ圧が排気圧力よりも低くなることから、正圧状態の場合とは逆に、排気還流通路15を通して排気の一部がスロットル下流の吸気通路12Aへ還流し、予期せず排気還流量が増加し、これによる吸気量増加分の影響により、実空燃比がリーン方向にずれることとなる。従って、正圧状態では実空燃比がリッチ方向へずれる一方、負圧状態では実空燃比がリーン方向へずれる場合、EGR弁16の開固着である可能性が高い。このように、過給圧制御等に用いられる過給圧センサ17や空燃比フィードバック制御で用いられる空燃比センサ18等の一般的に用いられるセンサを利用した簡素な構成で、EGR弁16の開固着を精度良く検出・特定することができる。
正圧状態での実空燃比のずれ方向がリーン方向であり、負圧状態での実空燃比のずれ方向がリッチ方向である場合には、ステップS20へ進み、異常要因が吸気系であり、具体的には過給機11よりも上流側の吸気系の配管漏れ等による空気漏れであると特定し、空気漏れ異常フェールモードへと移行する。すなわち、正圧状態・過給域で過給機上流側の空気漏れがあると、過給により新気が過剰に供給されることから、実空燃比がリーン方向へ大きくずれることとなる。一方、このような正圧状態・過給域から負圧状態・非過給域へ移行した場合(ステップS14)、空気漏れによる新気の過剰な供給が急激に解消されるため、実空燃比が一時的にリッチ方向へずれることとなる。従って、正圧状態での実空燃比がリーン方向にずれる一方、負圧状態での実空燃比がリッチ方向にずれる場合には、過給機上流側の空気漏れであると特定することができる。
正圧状態での実空燃比のずれ方向がリーン方向であり、かつ、負圧状態での実空燃比のずれ方向も同様にリーン方向である場合には、ステップS21へ進み、スロットル下流の過給圧にかかわらず、実空燃比がリーン方向に大きくずれることから、異常要因が燃料系であり、特に燃料供給量が過小であると特定し、燃料系異常フェールモードへ移行する。
上記ステップS12において、過給圧センサ17により検出される過給圧が大気圧相当の0(ゼロ)より低い負圧状態・非過給域であると判定されると、ステップS22へ進む。このように異常判定時に負圧状態にある場合、異常状態であるにもかかわらず要求負荷を増加して過給を行い正圧状態へと移行することは運転性の過度な悪化を招くおそれがあり不可能であるために、この負圧状態のみの実空燃比のずれ方向に応じて、異常要因を特定することとなる。
具体的には、ステップS22において、上記のステップS16,S17と同様、負圧状態での目標A/Fと実A/Fとに基づいて、目標A/Fに対する実A/Fのずれ方向がリッチ方向であるかリーン方向であるかを判定する。具体的には、負圧状態での目標A/F−実A/Fが0(ゼロ)を超えているかを判定する。目標A/F−実A/Fが0(ゼロ)を超えていれば、ずれ方向がリッチ方向であると判定して、ステップS23へ進み、目標A/F−実A/Fが0(ゼロ)以下であれば、ずれ方向がリーン方向であると判定して、ステップS24へ進む。
負圧状態でのずれ方向がリッチ方向である場合、ステップS23へ進み、異常要因が燃料系つまり燃料の過剰な供給か、あるいは吸気系つまり過給機上流の空気漏れのいずれかであると特定する(図3参照)。このように、異常要因を一つに特定できない場合には、予め設定された優先順位に従い、所定のフェールモードへ移行する。例えば、異常要因に応じた運転制限の高いものから、燃料系異常,吸気系異常,及びEGR弁開固着の順に優先順位が設定されている場合、燃料系異常フェールモードへ移行することになる。
負圧状態でのずれ方向がリーン方向である場合、ステップS24へ進み、異常要因が燃料系つまり燃料の過小供給か、あるいはEGR弁の開固着であると特定する(図3参照)。このように異常要因を一つに特定できない場合、上記のステップS23の場合と同様、予め設定された所定の優先順位に従い、例えば燃料系異常フェールモードへ移行する。
なお、これらのステップS24,S25では、上記のステップS18〜21と同様、特定された異常要因を警告灯や音声により運転者に知らせるとともに、この異常要因に対応した異常フェールモードにて内燃機関を運転し、運転条件を制限することとなる。
図3は、このような過給圧と実圧縮比のずれ方向に応じた異常要因の特定を表にまとめたものであり、図中左側の縦軸部が最初の異常判定時での過給圧と実圧縮比のずれ方向を表し、図中上側の横軸部が負圧状態へ移行した場合(ステップS14)での過給圧と実圧縮比のずれ方向を表している。同図にも示すように、正圧状態あるいは負圧状態の一方の実空燃比のずれ方向のみでは、図の右下部分や左上部分に示すように、異常部位を厳密に特定することができないものの、正圧状態の実空燃比のずれ方向と負圧状態の実空燃比のずれ方向とを併用することで、図の左下部分に示すように、異常要因をより厳密に特定することが可能となる。
このように本実施例では、空燃比フィードバック制御中の目標空燃比と実空燃比との乖離ΔA/Fに基づいて、過給域を含めた幅広い運転状態でEGR弁の開固着等を含めた機関の異常を判定することができ、かつ、この異常判定時に、過給圧と目標空燃比に対する実空燃比のずれ方向とに応じて、異常要因を特定することができる。つまり、過給機を備えた既存の内燃機関では一般的に用いられている過給圧センサや空燃比センサを利用した簡素な構成で、幅広い機関運転域で異常を判定し、かつ、その異常要因を特定することができる。このように異常要因を特定することで、異常判定後の異常フェールモードにおける運転条件の制約を異常要因に応じて適宜に緩和することができる。
また、正圧状態・過給域での異常判定時には、負圧状態となるように過給圧を速やかに低下させることで、例えば異常要因がEGR弁の開固着である場合に新気吹き抜け現象を速やかに回避することができ、かつ、正圧状態での実空燃比のずれ方向と、負圧状態での実空燃比のずれ方向と、に基づいて、異常要因をより厳密に特定することができる。つまり、正圧状態・過給域での異常判定時には、機関運転性の悪化を避けるために速やかに負圧状態・非過給状態へと移行するわけであるが、このようなスロットル下流の過給圧の変化を利用して、異常要因の特定精度を向上することができる。
特に、異常要因がEGR弁の開固着である場合、上述したように、スロットル下流の過給圧が正圧か負圧かによって排気還流通路を流れる吸気・排気の流れ方向が異なることから、正圧状態での実空燃比のずれ方向がリッチ方向であり、負圧状態での実空燃比のずれ方向がリーン方向である場合に、異常要因が排気還流制御弁の開固着であることを精度良く特定することができる。また、燃料系の異常つまり燃料過剰や燃料過小である場合には、過給圧に影響を受けることなく実空燃比がリッチ側あるいはリーン側へずれることから、正圧状態での実空燃比のずれ方向と、上記負圧状態での実空燃比のずれ方向と、が同じである場合、異常要因が燃料系であると特定することができる。更に、異常要因が吸気系の、例えば過給機11よりも上流側の吸気系の配管漏れ等による空気漏れである場合、過給状態では過剰に過給されることから、正圧状態での実空燃比のずれ方向がリーン方向であり、上記負圧状態での実空燃比のずれ方向がリッチ方向である場合、異常要因が吸気系の空気漏れであると特定することができる。
以上のように本発明を具体的な実施例に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変形・変更を含むものである。例えば、上述した実施例で例示した異常要因は一例であり、スロットル固着等の他の異常要因についても同様に特定することが可能である。あるいは、センサ故障等の他の異常要因については別の診断処理により異常を判別・特定するようにしても良い。
10…内燃機関
11…過給機
12…吸気通路
13…スロットル
14…排気通路
15…排気還流通路
16…排気還流制御弁(EGR弁)
17…過給圧センサ(過給圧検出手段)
18…空燃比センサ(空燃比検出手段)
19,20…触媒
21…制御部

Claims (4)

  1. 内燃機関の吸気を過給する過給機と、
    この過給機のコンプレッサよりも下流側の内燃機関の吸気通路に設けられ、この吸気通路を開閉するスロットルと、
    内燃機関の排気通路とスロットル下流の吸気通路とを接続する排気還流通路と、
    この排気還流通路を開閉することで、上記排気通路から吸気通路へ還流する排気の還流率を調整する排気還流制御弁と、
    上記スロットル下流の吸気通路の過給圧を検出する過給圧検出手段と、
    上記排気還流通路との接続部よりも上流側の排気通路に設けられ、内燃機関から排出される排気の実空燃比を検出する空燃比検出手段と、
    上記実空燃比に基づいて、目標空燃比へ向けた空燃比制御を行う空燃比制御手段と、
    上記空燃比制御中に、上記目標空燃比と実空燃比との乖離が所定の判定値以上である場合に、内燃機関に異常が有ると判定する異常判定手段と、
    上記異常判定手段により異常と判定され、かつ、上記過給圧が所定圧以上の正圧状態の場合、上記過給圧が所定圧より低い負圧状態となるように過給圧を低下させ、上記正圧状態での実空燃比のずれ方向と、上記負圧状態での実空燃比のずれ方向と、に基づいて、内燃機関の異常要因を特定する異常要因特定手段と、
    を有することを特徴とする内燃機関の異常診断装置。
  2. 上記異常要因特定手段は、上記正圧状態での実空燃比のずれ方向がリッチ方向であり、上記負圧状態での実空燃比のずれ方向がリーン方向である場合に、上記異常要因が排気還流制御弁の開固着であると特定することを特徴とする請求項に記載の内燃機関の異常診断装置。
  3. 上記異常要因特定手段は、上記正圧状態での実空燃比のずれ方向と、上記負圧状態での実空燃比のずれ方向と、が同じ方向である場合に、上記異常要因が燃料系であると特定することを特徴とする請求項又はに記載の内燃機関の異常診断装置。
  4. 上記異常要因特定手段は、上記正圧状態での実空燃比のずれ方向がリーン方向であり、上記負圧状態での実空燃比のずれ方向がリッチ方向である場合に、上記異常要因が吸気系の空気漏れであると特定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の異常診断装置。
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