JP5320877B2 - 有機薄膜トランジスタ及びディスプレイ装置 - Google Patents
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Description
有機半導体材料は、印刷法、スピンコート法等のウェットプロセスによる簡便な方法で容易に薄膜を形成でき、無機半導体材料を利用した薄膜トランジスタと比し、製造プロセスを低温条件下で行うことができるという利点を有している。
これにより、耐熱性の低いプラスチック基板上へ成膜することも可能であり、ディスプレイ等のエレクトロニクスデバイスの軽量化や低コスト化が図られ、材料のフレキシビリティーを活かした用途等、幅広い展開が期待される。
ペンタセンを有機半導体層として利用した有機薄膜トランジスタは、比較的高移動度を実現できるが、アセン系材料は汎用溶媒に対し極めて溶解性が低く、有機半導体層として薄膜化する際には、真空蒸着工程を経る必要がある。
すなわち、塗布法や印刷法等の簡易な工程により薄膜形成できず、今後の有機半導体材料への期待には必ずしも満足に応える材料ではない。
これらの高分子有機半導体材料は、アルキル基を導入したことにより、低いながらも溶剤への溶解性をしているため、真空蒸着工程を経ずに、塗布法や印刷法を適用して薄膜形成を行うことが可能である。
ところで高分子有機半導体材料は、分子間が整列した状態において高い移動度が実現できるものである。しかしながら、成膜の際に、溶媒種、塗工方法等をはじめとする種々の要因により配列状態が劣化すると、最終的に得られるトランジスタ特性にバラツキが生じ、品質安定性が悪化するという問題を有している。
前記有機半導体層が、下記一般式(I)で示される繰り返し単位を有する平均分子量が1000以上1000000以下の化合物を主成分として含有していることを特徴とする有機薄膜トランジスタを提供する。
電圧を印加することにより、前記第1の電極と前記第2の電極との間の有機半導体層内を流れる電流をコントロールする機能を具備する第3の電極を具備していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタを提供する。
また、前記重合体化合物がアモルファス材料であるため、分子配向やグレインサイズ、グレインバウンダリーが存在せず、これらによって移動度が影響されることがないため、極めて再現性良く、高品質の有機半導体層を形成することができ、簡易工程により確実に薄膜形成が可能な有機半導体薄膜層を有する、品質安定性に優れた有機薄膜トランジスタ及び該有機薄膜トランジスタを用いたディスプレイ装置が提供された。
本発明の有機薄膜トランジスタの構造について、図1〜図4に概略構造図を示して説明する。
有機薄膜トランジスタ10、20、30、40を構成する有機半導体層1は、後述する所定の繰り返し単位を有する重合体化合物を主成分としている。
有機薄膜トランジスタは、有機半導体層1を介して分離形成された第1の電極(ソース電極)2、第2の電極(ドレイン電極)3を有しており、これらと対向する第3の電極(ゲート電極)4を有している。
なお、ゲート電極4と有機半導体層1との間には、絶縁膜5(図3、図4)が設けられていてもよい。
有機薄膜トランジスタ10、20、30、40は、ゲート電極4への電圧印加により、ソース電極2とドレイン電極3の間の有機半導体層1内を流れる電流がコントロールされるようになされている。
支持体としては、従来公知の基板材料が適用でき、例えば、ガラス、シリコン、プラスチック等が挙げられる。なお導電性基板を用いることによりゲート電極4を兼用することができる。
また、ゲート電極4と導電性基板とが積層された構成としてもよいが、本発明の有機薄膜トランジスタをデバイスに応用する場合、フレキシビリティー、軽量化、安価、耐衝撃性等の実用面の特性を良好なものとするために、支持体としては、プラスチックシートを用いることが好ましい。
プラスチックシートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等のフィルムが挙げられる。
有機半導体層1は、下記一般式(I)、(II)、(III)あるいは(IV)で示される繰り返し単位を有する重合体化合物を主成分とする。
一般式(I)、(II)、(III)、(IV)で表される繰返し単位をもつ重合体化合物は、アリールアミン重合体である。
一般式(I)のアリールアミン重合体は、ハロゲン化物とボロン酸化合物の鈴木カップリング、カルボニル化合物同士のマクマリーカップリング等の反応により得られるが、下記式に示すように、塩基存在下における、パラジウム触媒を用いてアミン化合物とジハロゲン化合物とのカップリング反応(脱ハロゲン化水素を伴う縮合反応)により、容易に短時間で収率良く重合体を得られるため、本法が好ましい。
なお、ホスフィン配位子も、上記カップリング反応に影響を与えることが確認されているため、例えば、トリ(t−ブチル)ホスフィン、トリ(オルトトリル)ホスフィン、BINAP、ジフェニルホスフィノエタン等も適用することができる。
上述したパラジウム化合物と配位子からなる触媒成分は、各々反応系に加えても良いし、あらかじめパラジウム化合物と配位子成分を調製した後、反応系に添加しても良い。
具体的には、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
上述した塩基の使用量は、特に限定されず適宜選定するが、原料のジハロゲン化物に対して2倍モル以上使用することが好ましい。
反応の際の雰囲気は、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合時間は、適用するモノマーの反応性、目的とする重合体化合物の分子量に応じて適宜設定されるが、具体的には0.2時間〜48時間が好適である。
これにより、ポリマー鎖の末端にハロゲンあるいはアミノ基に由来するプロトンが存在することが無くなり、材料特性の経時変化や、ロット毎、あるいは素子毎の特性のばらつきを効果的に抑制できる。
末端封止剤としては、モノハロゲン化物、あるいは、第二アミン等の反応活性基を1個有する化合物が挙げられる。特に、一般式(V)に示される末端基にするには第三アミノ基を有するモノハロゲン化物又は第二アミンが好ましい。重合体の末端は複数存在するが、各々同一でも別異でも良い。
上記一般式(I)中の、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基Ar1は、単環基、多環基(縮合多環基、非縮合多環基)のいずれでもよい。例えばフェニル基、ナフチル基、ピレニル基、フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられ、一般式中、R1およびR2における置換又は無置換の芳香族炭化水素基についても上記と同様に定義される。
置換もしくは無置換の、芳香族炭化水素Ar2、Ar3としては、一例として上記芳香族基の二価基が挙げられる。
上記一般式(I)の好適な第一の態様を下記式に示す。
(1)ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。
(2)炭素数1〜25の直鎖または分岐鎖の、アルキル基、アルコキシ基。但しこれらはさらにハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルチオ基で置換されていてもよい。
(3)アリールオキシ基(アリール基とフェニル基、ナフチル基を有するアリールオキシ基。)。ハロゲン原子を置換基として含有しても良く、炭素数1〜25の直鎖または分岐鎖の、アルキル基またはアルコキシ基あるいはアルキルチオ基を含有していても良い。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。
(4)アルキルチオ基又はアリールチオ基。具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(5)アルキル置換アミノ基。具体的には、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(p−トリル)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ユロリジル基等が挙げられる。
(6)アシル基。具体的にはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、マロニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
更に、Ar4及びAr5についても、上記Ar1の説明と同様であるが、ポリマー鎖には二つの末端基が存在するため、互いの末端基は上記説明の範囲内で異なっていても良い。
好適な置換基としては、具体的に、炭素数が1〜25の、アルキル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基が挙げられる。これら置換基は同一のものを複数導入してもよいし、異なるものを複数導入してもよい。また、これらのアルキル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基はさらにハロゲン原子、シアノ基、アリール基、ヒドロキシル基、カルボキシル基または炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキル基、アルコキシ基あるいはアルキルチオ基で置換されたアリール基を含有していてもよい。
アルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−シアノエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を一例として挙げることができ、アルコキシ基、アルキルチオ基としては上記アルキル基の結合位に酸素原子または硫黄原子を挿入してアルコキシ基、アルキルチオ基としたものが一例として挙げられる。
一般式中、R1およびR2における置換又は無置換のアルキル基についても上記と同様に定義される。
重合体化合物を上記のような構造とすることにより、最終的に目的とする有機薄膜トランジスタを、有機EL素子や有機トランジスタ素子等に利用する場合においても、製造工程における湿式成膜過程の製造許容範囲を大きくできるという利点が得られる。
すなわち、塗工溶媒の選択肢の拡大、溶液調製時の温度範囲の拡大、溶媒の乾燥時の温度及び圧力範囲の拡大という種々の利点が得られ、これらプロセッシビリティーの高さにより、結果的に高純度で均一性の高い高品質な薄膜が得られるという効果が得られる。
上記換算数平均分子量が1000未満である場合には、クラックが発生したりし、成膜性が悪化し、実用上の特性が悪化する。
また、上記換算数平均分子量が1000000を超えるような場合には、汎用されている有機溶媒に対する溶解性が悪化し、溶液の粘度が高くなりすぎ、塗工が困難になり、実用性上問題になる。
分岐化剤としては、重合反応活性基を3つ以上(同種でも異種でもよい)有する、従来公知の化合物を適用できる。分岐化剤は単独で使用してもよく、また複数併用してもよい。
精製操作は、再沈澱、抽出、ソックスレー抽出、限外濾過、透析等をはじめとする従来公知の方法を使用できる。
先ず、塗布方法としては、例えばジクロロメタン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、トルエン、ジクロロベンゼン及びキシレン等の溶剤に溶解し、所定の支持体上に塗布することによって薄膜を形成することができる。
具体的な成膜方法としては、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、インクジェット法、ディスペンス法等が挙げられ、材料に応じて適した方法と、溶媒を選定する。
有機薄膜トランジスタを得る場合、有機半導体層1の膜厚は、特に制限はないが、均一な薄膜(即ち、有機半導体層のキャリア輸送特性に悪影響を及ぼすギャップやホールがない)が形成されるような膜厚を選択する。一般には1μm以下であり、特に5〜200nmが好ましい。
有機半導体層1は、第1の電極(ソース電極)、第2の電極(ドレイン電極)、及び必要に応じて絶縁膜5に接して形成されている。
有機薄膜トランジスタを構成する絶縁膜は、種々の絶縁膜材料を用いて形成されている。
例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコウム酸化チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム等の無機系絶縁材料が挙げられる。
また、例えば、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、ポリエステル、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、ポリメタクリル酸エステル、無置換またはハロゲン原子置換ポリパラキシリレン、ポリアクリロニトリル、シアノエチルプルラン等の高分子化合物も用いることができる。
更には、上記絶縁材料を2種以上合わせて用いても良い。これらのうち、特に材料は限定されないが、誘電率が高く導電率が低いものが好ましい。
絶縁膜5の形成方法としては、例えば、CVD法、プラズマCVD法、プラズマ重合法、蒸着法のドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ディップコート法、インクジェット法、キャスト法、ブレードコート法、バーコート法等の塗布によるウェットプロセスが挙げられる。
有機薄膜トランジスタにおいて、絶縁膜5と有機半導体層1との接着性を向上させ、かつ駆動電圧の低減、リーク電流の低減等を図ることを目的として、有機半導体層1と絶縁膜5との間には、所定の有機薄膜を設けるようにしてもよい。
この有機薄膜は有機半導体層に対し化学的影響を与えなければ特に限定されるものではないが、例えば、有機分子膜や高分子薄膜が利用できる。
有機分子膜としては、例えばオクタデシルトリクロロシランやヘキサメチルジシラザン等を始めとしたカップリング剤が挙げられる。
高分子薄膜としては、上述の高分子絶縁膜材料を利用することができ、これらが絶縁膜の一種として機能していても良い。
また、この有機薄膜をラビング等により、異方性処理を施していても良い。
本発明の有機薄膜トランジスタは、有機半導体層を介して互いに分離した対の第1の電極(ソース電極)と第2の電極(ドレイン電極)と、電圧を印加することにより、前記第1の電極と前記第2の電極との間の有機半導体層内を流れる電流をコントロールする機能を具備する第3の電極(ゲート電極)を具備している。有機薄膜トランジスタはスイッチング素子であるため、第3の電極(ゲート電極)による電圧の印加状態により、第1の電極(ソース電極)と第2の電極(ドレイン電極)間に流れる電流量が大きく変調できることが重要である。これはトランジスタの駆動状態で大きな電流が流れ、非駆動状態では、電流が流れないことを意味する。
ゲート電極、ソース電極としては、導電性材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン、鉛、タンタル、インジウム、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム等、及びこれらの合金やインジウム・錫酸化物等の導電性金属酸化物、あるいはドーピング等で導電率を向上させた無機及び有機半導体、例えば、シリコン単結晶、ポリシリコン、アモルファスシリコン、ゲルマニウム、グラファイト、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチエニレンビニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等が適用できる。
ソース電極、及びドレイン電極は、半導体層との接触面において、電気抵抗が少ないものとすることが望ましい。
また、アルミニウムや銅等の金属箔上に熱転写、インクジェット等によるレジストを用いてエッチングする方法も適用できる。
また、導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、導電性微粒子分散液を直接インクジェットによりパターニングしても良いし、塗工膜からリソグラフィーやレーザーアブレーション等により形成しても良い。
さらには、導電性ポリマーや導電性微粒子を含むインク、導電性ペースト等を凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等の印刷法でパターニングする方法も適用できる。
先ず、有機半導体層を構成する重合体を合成する。
<合成例1(重合体1の合成)>
100mlフラスコにp−n−オクチルアニリン:0.911g(4.44mmol)、4,4’−ジブロモ−トランス−スチルベン:1.500g(4.44mmol)、P(tBu)3:18.0mg、Pd2(dba)3:20.3mg、ナトリウムt−ブトキシド:1.705g、トルエン:27ml入れ、系内をアルゴン置換し、30分還流した。
反応溶液に末端封止剤としてジフェニルアミン37.5mgを加え30分還流した後、ブロモベンゼン69.7mgを加えさらに30分還流した。
室温に放冷し、トルエンを加えて希釈した後、少量の水を加えた。
この溶液を800mlのメタノールに滴下し、析出した固体を濾取した。
得られたポリマーをトルエン/アセトンで再沈精製した後、トルエンに溶解し、溶液をイオン交換水で数回洗浄した。
溶媒を留去して減圧下乾燥し、重合体1(末端はジフェニルアミン構造を有する)を1.22g、収率72%で得た。
得られた重合体1は、THF、トルエン、キシレン、メシチレン、ジクロロメタン、クロロホルム等の溶剤に易溶であった。
キャスト、あるいはスピンコート等による湿式成膜法から得られた重合体1の薄膜は、クラックやピンホールの無い良質なアモルファス膜であり、黄緑色の強い蛍光を示した。 GPCで測定したポリスチレン換算の数平均分子量は43000、重量平均分子量は129000であった。IR分析を行ったところ、下記の結果が得られた。
IR(NaClキャスト膜)ν/cm-1:3026,2925,2853,1601,1506,1466,1319,1283,1178,959(トランス−CH=CH−),829,732,583,539.
p−n−ヘキシルオキシアニリン:0.572g(2.96mmol)、4,4’−ジブロモ−トランス−スチルベン:1.000g(2.96mmol)を用いて、実施例1と同様の方法により、重合体2(末端はジフェニルアミン構造を有する)を0.75g得た。
得られた重合体2は、THF、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム等の溶剤に易溶であった。
キャスト、あるいはスピンコート等による湿式成膜法から得られた重合体2の薄膜は、クラックやピンホールの無い良質なアモルファス膜であり、黄緑色の強い蛍光を示した。
GPCで測定したポリスチレン換算の数平均分子量は27000、重量平均分子量は73000であった。IR分析を行ったところ、下記の結果が得られた。
IR(NaClキャスト膜)ν/cm-1:3027,2929,2858,1599,1505,1471,1316,1283,1240,1178,959(トランス−CH=CH−),827,730,581.
アルゴン置換した100mlフラスコに、P(tBu)3:12mg、脱気した乾燥トルエン:20mlを入れ、さらにPd2(dba)3:13.5mgを加えて15分攪拌した。
この溶液に、9,9−ジヘキシル−2−アミノフルオレン:1.034g(2.96mmol)、4,4’−ジブロモ−トランス−スチルベン:1.049g(3.11mmol)、ナトリウムt−ブトキシド:1.137g(11.83mmol)を入れ、1.5時間還流した後、ジフェニルアミン37.5mgを加えてさらに1.5時間還流した。
室温に戻した後、少量の水を加えた。この溶液を700mlのメタノールに滴下し、析出した固体を濾取した。
得られたポリマーをトルエン/メタノールで数回再沈精製した後、トルエンに溶解し、溶液を脱イオン水でよく洗浄した。溶媒を留去して減圧下乾燥し、重合体3を1.173g、収率75%で得た。
得られた重合体3は、THF、トルエン、キシレン、メシチレン、ジクロロメタン、クロロホルム等の溶剤に易溶であった。キャストあるいはスピンコート等による湿式成膜法から得られた重合体3の薄膜は、クラックやピンホールの無い良質なアモルファス膜であり、黄緑色の強い蛍光を示した。
GPCで測定したポリスチレン換算の数平均分子量は23000、重量平均分子量は53000であった。IR分析を行ったところ、下記の結果が得られた。
IR(NaClキャスト膜)ν/cm−1:3027,2954,2927,2855,1602,1508,1452,1309,1282,1215,1177,959(トランス−CH=CH−),828,757,738,540.
先ず、有機薄膜トランジスタ評価用基板を作製した。
30mm×30mmのp−ドープされたシリコン基板表面を熱酸化して、SiO2の絶縁膜を200nm形成した後、片面だけレジスト膜(東京応化製:TSMR8800)で覆い、もう片面をフッ酸により酸化膜を除去した。
次いで、この熱酸化膜を除去した面にアルミニウムを300nm蒸着した。
レジスト膜をアセトンで除去した後、基板を140℃で15分間加熱処理した。
上記方法により作製した有機薄膜トランジスタ評価用基板上に、上述した合成例1により作製した重合体1を用いて、有機薄膜トランジスタを作製した。
合成例1で合成した重合体1の1.0wt%のテトラヒドロフラン溶液を、基板のSiO2面にスピンコートして乾燥することにより、膜厚およそ30nmの有機半導体層を作成した。
次に、チャネル長50μm、チャネル幅10mmとなるように、金を蒸着することにより、膜厚100nmのソース電極、およびドレイン電極を有機半導体層上に形成した。
作製した有機薄膜トランジスタは、図4の構造であるものとし、支持体として用いたp−ドープされたシリコン基板は下部に設けたアルミニウム薄膜とともにゲート電極として作用する。
上記のようにして作製した有機薄膜トランジスタの特性である電界効果移動度を測定した。
なお、有機薄膜トランジスタの電界効果移動度の算出には、以下の式を用いた。
Ids=μCinW(Vg−Vth)2/2L
(ただし、Cinはゲート絶縁膜の単位面積あたりのキャパシタンス、Wはチャネル幅、Lはチャネル長、Vgはゲート電圧、Idsはソースドレイン電流、μは移動度、Vthはチャネルが形成し始めるゲートの閾値電圧である。)
図5に作製したトランジスタのVds=−20Vの際の伝達特性を示した。
この有機薄膜トランジスタの特性の再現性を確認するため、同様に10個の有機薄膜トランジスタを作製し評価したところ、移動度は8.7×10-4〜8.9×10-4cm2/Vsの範囲にあり、再現性の良いトランジスタ特性が得られたことが確認された。
上記方法により作製した有機薄膜トランジスタ評価用基板を、フェニルトリクロロシランのトルエン溶液に浸漬することにより、SiO2表面にシランカップリング処理を施した。
この基板を用いた以外は、上記実施例1と同様の方法により、有機薄膜トランジスタを作製した。
作製した有機薄膜トランジスタの特性を評価したところ、電界効果移動度2.4×10-3cm2/Vs、閾値電圧−2.8V、オンオフ比1×105の非常に優れた特性を示した。
図6に、実施例2における有機薄膜トランジスタのVds=−20Vの際の伝達特性を示した。
この有機薄膜トランジスタの特性の再現性を確認するため、同様に10個の有機薄膜トランジスタを作製し評価したところ、移動度は2.1×10-3〜2.4×10-3cm2/Vsの範囲にあり、再現性の良いトランジスタ特性が得られたことが確認された。
上述した実施例1と同様の方法により、上記合成例2により合成した重合体2を用いて有機薄膜トランジスタを作製した。
作製した有機薄膜トランジスタの特性を評価したところ、電界効果移動度7.0×10−4cm2/Vs、閾値電圧−2.9V、オンオフ比1.4×105の非常に優れた特性を示した。図7に作製したトランジスタのVds=−20Vの際の伝達特性を示した。
この有機薄膜トランジスタの特性の再現性を確認するため、同様に10個の有機薄膜トランジスタを作製し評価したところ、移動度は6.8×10-4〜7.0×10-4cm2/Vsの範囲にあり、再現性の良いトランジスタ特性が得られた。
上述した実施例1と同様の方法により、上記合成例3で合成した重合体3を用いて有機薄膜トランジスタを作製した。
作製した有機薄膜トランジスタの特性を評価したところ、電界効果移動度3.5×10-3cm2/Vs、オンオフ比2×105の非常に優れた特性を示した。
この有機薄膜トランジスタの特性の再現性を確認するため、同様に10個の有機薄膜トランジスタを作製し評価したところ、移動度は3.3×10-3〜3.7×10-3cm2/Vsの範囲にあり、再現性の良いトランジスタ特性が得られた。
前記方法により作製した有機薄膜トランジスタ評価用基板を、4−フェニルブチルトリクロロシランのトルエン溶液に浸漬することにより、SiO2表面にシランカップリング処理を施した。
合成例3で合成した重合体3の0.5wt%のクロロホルム溶液を、基板のシランカップリング処理したSiO2面にスピンコートして乾燥することにより、膜厚およそ30nmの有機半導体層を作成した。
次に、チャネル長40μm、チャネル幅10mmとなるように、金を蒸着することにより、膜厚100nmのソース電極、およびドレイン電極を有機半導体層上に形成した。
作製した有機薄膜トランジスタは、図4の構造であるものとし、支持体として用いたp−ドープされたシリコン基板は下部に設けたアルミニウム薄膜とともにゲート電極として作用する。
作製した有機薄膜トランジスタの特性を評価したところ、電界効果移動度1.0×10−2cm2/Vs、オンオフ比1×105の非常に優れた特性を示した。
この有機薄膜トランジスタの特性の再現性を確認するため、同様に10個の有機薄膜トランジスタを作製し評価したところ、移動度は9.0×10-3〜1.1×10-2cm2/Vsの範囲にあり、再現性の良いトランジスタ特性が得られたことが確認された。
下に示す9,9−ジオクチルフルオレンとビチオフェンとの共重合体を用いた以外は実施例1と同様に有機薄膜トランジスタを作製した。
下記に示す、ポリ−3−ヘキシルチオフェンの0.01wt%キシレン溶液を用いた以外は実施例1と同様の方法より有機薄膜トランジスタを作製した。
実施例によれば、適用した一般式(I)の重合体化合物は、湿式プロセスにより成膜が可能であり、また、この化合物の形成膜がアモルファス材料であるため、分子配向やグレインサイズ、グレインバウンダリーが存在せず、これにより移動度に悪影響が及ぼされることが無いため、品質安定性に優れたものとなることが確認できた。
2 第1の電極(ソース電極)
3 第2の電極(ドレイン電極)
4 第3の電極(ゲート電極)
5 絶縁膜
10,20,30,40 有機薄膜トランジスタ
Claims (9)
- 有機半導体層を具備する有機薄膜トランジスタであって、
前記有機半導体層が、下記一般式(I)で示される繰り返し単位を有する平均分子量が1000以上1000000以下の化合物を主成分として含有していることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
- 前記有機半導体層は、下記一般式(II)で示される繰り返し単位を有する化合物を、主成分として含有していることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 前記有機半導体層が、下記一般式(III)で示される繰り返し単位を有する化合物を主成分として含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 前記有機半導体層が、下記一般式(IV)で示される繰り返し単位を有する化合物を主成分として含有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 前記一般式(I)〜(IV)で示される繰り返し単位を有する化合物が、下記一般式(V)で表される置換基により末端封止されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 有機半導体層を介して互いに分離した対の第1の電極と第2の電極と、
電圧を印加することにより、前記第1の電極と前記第2の電極との間の有機半導体層内を流れる電流をコントロールする機能を具備する第3の電極を具備していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。 - 前記第3の電極と、前記有機半導体層との間に、絶縁膜が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタにより表示画素が駆動されることを特徴とするディスプレイ装置。
- 前記表示画素は、液晶素子、エレクトロルミネッセンス素子、エレクトロクロミック素子、及び電気泳動素子の中から選ばれたものであることを特徴とする請求項8に記載のディスプレイ装置。
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