JP5320773B2 - ゴルフボール - Google Patents

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Description

本発明は、コア、中間層及びカバーを具備してなる3層以上のゴルフボールであって、打感、コントロール性能、飛び性能に優れるゴルフボールに関する。
近年ではクラブの性能が向上し、その効果でかなり打撃後のボールは低スピン化されつつある。しかしながら、ゴルファーの大半を占めるアベレージゴルファー(スコアが平均的なゴルファー)の打撃条件は未だスピンが多い傾向にあり、ボールの低スピン化を実現させることで、飛距離を向上させる余地がある。
飛距離を向上させる技術として、コアと最外層カバーとの間に挟まれる中間層の材料を改善した技術がある。例えば、特開2003−175130号公報に開示されているように、アイオノマー樹脂等の中和度が比較的高く設定された高中和型の中間層材料が紹介されている。
しかしながら、上記提案のゴルフボールでは、軟らかいカバーの使用を想定しており、硬いカバーを用いて高反発性の中間層の特性を生かすような構造とはなっていない。
また、特開2006−87948号公報の高中和型の中間層材料を用いたゴルフボールの提案では、反発性は向上されているが、低スピン化構造として未だ改善の余地がある。
その他、特許第3729243号公報,特許第3772252号公報及び特開2002−345999号公報などに高中和型の中間層材料が開示されているが、いずれの提案においても、中間層高反発性能を十分に生かしてボールを低スピン化させる点に未だ改善の余地があった。また、これらの提案のゴルフボールでは、飛距離のほかに、打感や割れ耐久性も十分に優れているものではない。
特開2003−175130号公報 特開2006−87948号公報 特許第3729243号公報 特許第3772252号公報 特開2002−345999号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、アベレージゴルファーのドライバーによる打撃条件においても、ボールの低スピン化を十分に実現させて飛距離を向上させ、打感及び割れ耐久性能にも優れたコア,中間層及びカバーを具備してなる3層以上のゴルフボールを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行ったところ、特定の樹脂混合物からなる高反発性を有する中間層を用い、この中間層と硬いカバーとを最適なゲージで配置するように、中間層及びカバーの厚さ及び硬度を選択すると共に、コアの直径及びたわみ硬度を適正化し、各部位のショアD硬度をコア中心≦コア表面≦中間層≦カバーとなるように硬度設計したところ、アベレージゴルファーのドライバー打撃時において、ボールの低スピン化を十分に実現させて飛距離を向上させることを知見した。また、ボールの打感及び割れ耐久性能にも優れていることを知見した。
即ち、ゴルフボールをドライバーにより打撃した時、ゴルフボールには始めにスピンをかけようとする力が働き、その後、逆にスピンを抑えようとする力も働く。そこで、本発明では、中間層を高反発にすることにより、スピンを抑えようとする力に切り替わるタイミングを早くさせ、その結果、低スピン化を実現させたものである。また、ドライバー打撃時にカバーの剛性を保てないと中間層が潰れすぎてしまい、中間層の高反発性能が生かされず低スピンとはならない。そこで、本発明者は、スピンを抑えようとする力を最大にするには、高反発性能の中間層と硬いカバーとを組み合わせてボール構造を構築することが本発明の目的を達成する上で非常に有効であることを発見した。
更に詳述すると、本発明のゴルフボールは、ドライバーで打撃したボールの飛距離を重視したディスタンス系の中でも最も低スピン化できる構造である。従来から提案されているディスタンス系のボールでは、(i)カバーを硬くして打撃時のボール初速を向上させ、低スピン化を図ること、(ii)中間層を硬くして打撃時のボール初速を向上させ、低スピン化を図ること、の2つがボール基本となっているが、どちらのボールも打感が硬くなってしまうデメリットがあり、このため、良好な打感を付与しつつ飛距離を伸ばすためには、中間層及びカバーの硬さは限界があった。そこで、カバー及び中間層の硬さを打感を損なわない限界まで硬くし、中間層は高反発の材料を配置することにより、ボールスピンを抑制する力のタイミングを早くさせ、その結果、低スピン化を実現し得ることを発明した。
従って、本発明は、下記のゴルフボールを提供する。
〕コアと、該コアに被覆される中間層と、該中間層に被覆されるカバーとを具備してなるゴルフボールにおいて、上記コアは、その直径が36〜40mm、そのたわみ変形量が3.5〜4.2mm、及びコア表面とコア中心との硬度差がショアD硬度で5〜15であり、上記中間層は、そのショアD硬度が45〜55であり、その厚さが0.6〜1.6mmであり、上記カバーは、そのショアD硬度が63〜66、その厚さが0.6〜1.6mm、ボール全体のたわみ変形量が2.6〜3.5mmであり、かつ中間層とカバーとの合計厚さが1.8〜2.8mmであり、各部位のショアD硬度がコア中心≦コア表面≦中間層≦カバーとなるように硬度設計され、且つボール表面に多数のディンプルが形成され、そのディンプルの総数が250〜370個、ディンプルの総容積が400〜700mm 3 、ディンプルの表面占有率79%以上であると共に、上記カバーは熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラスマーを主材として形成され、上記中間層の材料は下記(I)〜(III)から選ばれる加熱混合物を含む樹脂組成物からなり、この樹脂組成物において酸基の100モル%が中和されるものであり、更には、中間層材料のJIS−K 7210に準ずるメルトフローレートが0.5〜1.0g/10min、カバー材料と中間層材料とのメルトフローレートの差が1.0〜1.6g/10minであることを特徴とするゴルフボール。
(I)
(a)オレフィン−不飽和カルボン酸ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステルランダム共重合体 100質量部、
(b)分子量が280以上の脂肪酸又はその誘導体 5〜80質量部、及び
(c)上記(a)、(b)成分中の酸基を中和することができる塩基性無機金属化合物 0.1〜20質量部
(II)
(d)オレフィン−不飽和カルボン酸ランダム共重合体の金属イオン中和物、及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステルランダム共重合体の金属イオン中和物 100質量部、
(b)分子量が280以上の脂肪酸又はその誘導体 5〜80質量部、及び
(c)上記(d)、(b)成分中の酸基を中和することができる塩基性無機金属化合物 0.1〜20質量部
(III)
(a)オレフィン−不飽和カルボン酸ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステルランダム共重合体と(d)オレフィン−不飽和カルボン酸ランダム共重合体の金属イオン中和物、及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステルランダム共重合体の金属イオン中和物との混合物 100質量部、
(b)分子量が280以上の脂肪酸又はその誘導体 5〜80質量部、及び
(c)上記(a)、(d)、(b)成分中の酸基を中和することができる塩基性無機金属化合物 0.1〜20質量部
上記コアの材料には有機硫黄化合物が含まれない〔1〕記載のゴルフボール。
中間層材料の赤外吸収測定において検出される1530〜1630cm -1 のカルボキシラートアニオン伸縮振動に帰属するピークの吸光度が、カルボニル伸縮振動によるピークの吸光度の少なくとも1.5倍以上である〔1〕又は〔2〕記載のゴルフボール。
中間層材料の熱質量測定において、25℃における質量を基準とした250℃における減量率が2質量%以下である〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載のゴルフボール。
中間層材料の比重が0.9以上1.5以下である〔1〕〜〔4〕のいずれか1項記載のゴルフボール。
本発明のゴルフボールは、コアを被覆するカバー及び中間層の硬さを、打感を損なわない限界まで硬くし、更に高反発の材料として特定の樹脂混合物により中間層を形成することにより、ドライバーによる打撃後のボールスピンを抑制する力のタイミングを早くさせ、その結果、低スピン化を実現し得、飛距離を大きく向上させることができる。また、ボールの打感が良好であり、割れ耐久性能も高いものである。
以下、本発明につき、図面を参照して更に詳しく説明する。
本発明のゴルフボールは、コア1と、該コア1を覆う中間層2と、該中間層2を覆うカバー3とからなる少なくとも3層構造に形成されているものである。カバー3の表面には多数のディンプルDが形成されている。ここで、図1は、コア1、中間層2、カバー3を各一層ずつの構成としているが、2層以上に多層化してもよく、必要に応じてコア1、中間層2、カバー3をそれぞれ複数層構成にすることができる。なお、以下に説明するコア、中間層、カバーについて複数層構成にする場合には、複数層全体として、各要件を全体として満たすように構成されていればよい。
まず、本発明のコアは、公知のコア材を使用でき、例えばゴム組成物等を挙げることができる。特に基材ゴムとしてポリブタジエンを使用したものが好ましく、このポリブタジエンとしては、シス構造を少なくとも40%以上有するシス−1,4ポリブタジエン等を挙げることができる。
上記ゴム組成物には、架橋剤としてメタクリル酸亜鉛、アクリル酸亜鉛等の不飽和脂肪酸の亜鉛塩、マグネシウム塩やトリメチルプロパンメタクリレート等のエステル化合物を配合し得るが、特に反発性の高さからアクリル酸亜鉛を好適に使用し得る。これら架橋剤の配合量は、上記基材ゴム100質量部に対し5質量部以上40質量部以下とすることができる。
また、上記ゴム組成物中には、ジクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドと1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンの混合物等の加硫剤を配合することができ、この加硫剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対し0.1質量部以上5質量部以下とすることができる。なお、ジクミルパーオキサイドとしては、市販品を好適に使用することができ、例えば、パークミルD(日本油脂社製)等を挙げることができる。
更に、必要に応じて、老化防止剤や比重調整の充填剤として酸化亜鉛や硫酸バリウム等を配合することができ、これら充填剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対し0質量部以上130質量部以下とすることができる。
また、本発明では、コアの反発を良くすると高反発を有する中間層の低スピン効果を妨げるため、コア材にペンタクロロチオフェノール等の有機硫黄化合物を使用しないことが好ましい。ただし、季節変動によるボール初速調整を行うことがあり、この点を考慮すると有機硫黄化合物を基材ゴム100質量部に対して0.1質量部以下の範囲で添加することができる。
上記コア用ゴム組成物からコアを得るには、通常の混練機(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー及びロール等)を用いて混練し、得られたコンパウンドをコア用金型を用いて成形するコンプレッション成形等で得ることができる。
本発明のコアは、コアの中心のショアD硬度が後述する中間層、カバーのショアD硬度に対し、下記関係を満たすことを要するが詳しくは後述する。
コア中心の硬度≦中間層の硬度≦カバーの硬度、
好ましくは、
コア中心の硬度≦コア表面の硬度≦中間層の硬度≦カバーの硬度、
更に好ましくは、
コア中心からカバー外側表面に行くに従い漸次高くなる。
本発明のコアの具体的なショアD硬度は、上記関係を満足する値であれば特に制限されるものではなく、中間層及びカバーのショアD硬度に応じて適宜調整されるが、コア中心のショアD硬度は、通常35以下、特に30以下、下限として15以上、特に20以上であることが好ましい。また、コアの表面のショアD硬度は、上記コア中心のショアD硬度に応じて適宜調整することが推奨され、通常50以下、特に45以下、下限として30以上、特に35以上であることが好ましい。
また、コア中心とコア表面との硬度差は、ショアD硬度で5以上、15以下とする。その理由は、コアの硬度傾斜が大きい方が低スピン化されるというのが一般的な考え方ではあるが、本発明では、比較的硬いカバーを配置するため、コアの硬度傾斜が大きい場合には、低スピン効果が生かされない構造となり、むしろ悪影響となる。よって、本発明のようにカバーが硬い場合は、コア硬度の傾斜が少ない方がより低スピンになる。つまり、コア硬度傾斜については、上記の範囲のように小さい方が本発明のコア構造には適切である。
本発明のコアは、直径が通常36mm以上、好ましくは37mm以上であり、上限として40mm以下、好ましくは39mm以下であることが推奨される。コア直径が小さいと、中間層及びカバーが厚くなり、打感が悪くなり、スピン量が増加して飛距離が低下するおそれがある。また、コア直径が大きいと、中間層及びカバーが薄くなり、割れ耐久性や耐擦過傷性が悪くなるおそれがある。
本発明のコアは、初期荷重10kgfを負荷した状態から終荷重130kgfを負荷したときまでの変形量(mm)が、好ましくは3.5mm以上、上限として、好ましくは4.2mm以下である。コアのたわみ量が上記よりも小さくなると、打感が硬くなり好ましくない。また、コアのたわみ量が上記よりも大きくなると、ボール全体が変形しすぎてしまい、中間層の効果が低下してしまう場合がある。
本発明のゴルフボールは、図1に示したように、コア1に対して、少なくとも1層の中間層2と、最外層であるカバー3とを順に被覆形成したものである。そのうち上記中間層は、(a)成分としてオレフィン−不飽和カルボン酸ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステルランダム共重合体、(d)成分としてオレフィン−不飽和カルボン酸ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステルランダム共重合体の金属イオン中和物のいずれかを単独で又は上記(a)成分と(d)成分とを併用配合し、更に(b)成分として分子量が280以上の脂肪酸又はその誘導体、及び(c)成分として、上記各成分中の酸基を中和することができる塩基性無機金属化合物を配合した加熱混合物を含む樹脂組成物からなる。この(a)〜(d)について以下に詳述する。
ここで、上記(a)成分中のオレフィンは、通常炭素数2以上、上限として8以下、特に6以下のものが好ましく、具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等が挙げられ、特にエチレンであることが好ましい。
また、不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等を挙げることができ、特にアクリル酸、メタクリル酸であることが好ましい。
更に、不飽和カルボン酸エステルとしては、上述した不飽和カルボン酸の低級アルキルエステルが好適で、具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等を挙げることができ、特にアクリル酸ブチル(n−アクリル酸ブチル、i−アクリル酸ブチル)であることが好ましい。
上記(a)成分のランダム共重合体は、上記成分を公知の方法に従ってランダム共重合させることにより得ることができる。ここで、ランダム共重合体中に含まれる不飽和カルボン酸の含量(酸含量)は、通常2質量%以上、好ましくは6質量%以上、更に好ましくは8質量%以上、上限としては25質量%以下、好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下であることが推奨される。酸含量が少ないと反発性が低下する可能性があり、多いと加工性が低下する可能性がある。
上記(d)成分のランダム共重合体の中和物は、上記ランダム共重合体中の酸基を部分的に金属イオンで中和することによって得ることができる。ここで、酸基を中和する金属イオンとしては、例えば、Na+、K+、Li+、Zn++、Cu++、Mg++、Ca++、Co++、Ni++、Pb++等が挙げられるが、好ましくはNa+、Li+、Zn++、Mg++等が好適に用いられ、更に好ましくはZn++であることが推奨される。これら金属イオンのランダム共重合体の中和度は特に限定されるものではない。このような中和物は公知の方法で得ることができ、例えば、上記ランダム共重合体に対して、上記金属イオンのギ酸塩、酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、酸化物、水酸化物及びアルコキシド等の化合物を使用して導入することができる。
上記(a)成分のランダム共重合体としては、例えば、ニュクレルAN4311、同AN4318、同1560(いずれも三井・デュポンポリケミカル社製)等が、また(d)成分のランダム共重合体の中和物としては、例えば、ハイミラン1554、同1557、同1601、同1605、同1706、同1855、同1856、同AM7316(いずれも三井・デュポンポリケミカル社製)、サーリン6320、同7930、同8120(いずれもデュポン社製)等が挙げられ、特に、亜鉛中和型アイオノマー樹脂(ハイミランAM7316等)を好適に使用できる。
本発明では、ベース樹脂として上記(a)成分のランダム共重合体及び/又は上記(d)成分の中和物を1種を単独で又は両成分を併用配合して使用することができるが、両成分を併用配合する場合の配合比は特に制限されるものではない。
上記(b)成分は、分子量280以上の脂肪酸又はその脂肪酸誘導体であり、加熱混合物の流動性向上に寄与する成分で、上記(a)成分の熱可塑性樹脂と比較して分子量が極めて小さく、混合物の溶融粘度の著しい増加に寄与するものである。また、本発明の脂肪酸(誘導体)は、分子量が280以上で高含量の酸基(誘導体)を含むため、添加による反発性の損失が少ないものである。
上記(b)成分の脂肪酸又はその脂肪酸誘導体は、アルキル基中に二重結合又は三重結合を含む不飽和脂肪酸(誘導体)であっても、アルキル基中の結合が単結合のみにより構成される飽和脂肪酸(誘導体)であってもよいが、1分子中の炭素数は、通常18以上、上限として80以下、特に40以下であることが推奨される。炭素数が少ないと、本発明の目的である耐熱性の改善が達成できないばかりでなく、酸基の含量が多すぎてベース樹脂に含まれる酸基との相互作用により流動性の改善の効果を少なくする場合がある。一方、炭素数が多い場合には、分子量が大きくなるため流動性改質の効果を少なくする可能性がある。
上記(b)成分の脂肪酸として、具体的には、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、リグノセリン酸などが挙げられ、特に、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸を好適に用いることができる。
また、脂肪酸誘導体としては、脂肪酸の酸基に含まれるプロトンを置換したものが挙げられ、このような脂肪酸誘導体としては、金属イオンにより置換した金属せっけんが例示できる。金属せっけんに用いられる金属イオンとしては、例えば、Li+、Ca++、Mg++、Zn++、Mn++、Al+++、Ni++、Fe++、Fe+++、Cu++、Sn++、Pb++、Co++が挙げられ、特にCa++、Mg++、Zn++が好ましい。
上記(b)成分の脂肪酸誘導体として、具体的には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、アラキジン酸マグネシウム、アラキジン酸カルシウム、アラキジン酸亜鉛、ベヘニン酸マグネシウム、ベヘニン酸カルシウム、ベヘニン酸亜鉛、リグノセリン酸マグネシウム、リグノセリン酸カルシウム、リグノセリン酸亜鉛等が挙げられ、特にステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、アラキジン酸マグネシウム、アラキジン酸カルシウム、アラキジン酸亜鉛、ベヘニン酸マグネシウム、ベヘニン酸カルシウム、ベヘニン酸亜鉛、リグノセリン酸マグネシウム、リグノセリン酸カルシウム、リグノセリン酸亜鉛を好適に使用することができる。
なお、上述した(a)成分及び/又は(d)成分、及び(b)成分の使用に際し、公知の金属せっけん変性アイオノマー(USP5312857,USP5306760,WO98/46671公報等)を使用することもできる。
本発明の中間層材料は、(c)成分として上記(a)成分及び/又は(d)成分、及び(b)成分中の酸基を中和することができる塩基性無機充填剤を配合してなるものであるが、従来例でも挙げたように、(a)成分及び/又は(d)成分、及び(b)成分のみ、特に金属変性アイオノマー樹脂のみ(例えば、上記特許公報に記載された金属せっけん変性アイオノマー樹脂のみ)を加熱混合すると、下記に示すように金属せっけんとアイオノマーに含まれる未中和の酸基との交換反応により脂肪酸が発生する。この発生した脂肪酸は熱的安定性が低く、成形時に容易に気化するため、成形不良の原因となるばかりでなく、発生した脂肪酸が成形物の表面に付着した場合、塗膜密着性が著しく低下する原因になる。
Figure 0005320773
(i) アイオノマー樹脂中に含まれる未中和の酸基
(ii) 金属せっけん
(iii) 脂肪酸
X 金属原子
本発明は、このような問題を解決すべく、(c)成分として、上記(a)成分及び/又は(d)成分と(b)成分中に含まれる酸基を中和する塩基性無機金属化合物を必須成分として配合する。(c)成分の配合で、上記(a)成分及び/又は(d)成分と(b)成分中の酸基が中和され、これら各成分配合による相乗効果により、加熱混合物の熱安定性が高まると同時に、良好な成形性が付与され、ゴルフボール用材料としての反発性が向上するという優れた特性が付与されるものである。
上記(c)成分は、上記(a)成分及び/又は(d)成分、及び(b)成分中の酸基を中和することができる塩基性無機金属化合物であり、好ましくは一酸化物であることが推奨され、アイオノマー樹脂との反応性が高く、反応副生成物に有機物を含まないため、熱安定性を損なうことなく、加熱混合物の中和度を上げることができる。
ここで、塩基性無機金属化合物に使われる金属イオンとしては、例えば、Li+、Na+、K+、Ca++、Mg++、Zn++、Al+++、Ni+、Fe++、Fe+++、Cu++、Mn++、Sn++、Pb++、Co++等が挙げられ、無機金属化合物としては、これら金属イオンを含む塩基性無機充填剤、具体的には、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム等が挙げられるが、上述したように一酸化物が好適であり、特に、アイオノマー樹脂との反応性の高い水酸化カルシウムや酸化マグネシウムを好適に使用できる。
上記中間層材料は、上述したように(a)成分、(d)成分、(b)成分及び(c)成分を配合してなり、熱安定性、成形性、反発性の向上が図れるものであるが、これら成分の配合量は(a)成分及び/又は(d)成分(以下、ベース樹脂という)100質量部に対し、(b)成分の配合量を5質量部以上、上限として80質量部以下、好ましくは40質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、(c)成分の配合量を0.1質量部以上、上限としては、20質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下にする必要がある。(b)成分の配合量が少ない場合、溶融粘度が低くなり加工性が低下し、多いと耐久性が低下する。また、(c)成分の配合量が少ない場合、熱安定性、反発性の向上が見られず、多い場合、過剰の塩基性無機金属化合物により組成物の耐熱性がかえって低下する。
上記加熱混合物は、上述した材料をそのまま使用しても、該混合物に他の材料を適宜配合してもよいが、いずれにしても、加熱混合物としてのJIS−K 7210に準ずるメルトフローレート)を0.5g/10min以上、1.0g/10min以下にすることが好ましい。中間層材料の流動性は比較的低い方が所望の反発性を得ることができるので、加熱混合物の流動性も低いことが望まれる。ただし、加熱混合物のメルトフローレートが少ないと加工性が著しく低下してしまう。
上記加熱混合物は、赤外吸収測定において通常検出される1690〜1710cm-1のカルボニル伸縮振動に帰属する吸収ピークの吸光度に対する、1530〜1630cm-1のカルボキシラートアニオン伸縮振動に帰属する吸収ピークにおける相対吸光度(カルボキシラートアニオン伸縮振動に帰属する吸収ピークの吸光度/カルボニル伸縮振動に帰属する吸収ピークの吸光度)として特定されたものであることが好ましい。
ここで、カルボキシラートアニオン伸縮振動はプロトンを解離したカルボキシル基(金属イオンにより中和されたカルボキシル基)を、カルボニル伸縮振動は未解離のカルボキシル基の振動をそれぞれ示すが、それぞれのピークの強度比は中和度に依存する。一般的に用いられる中和度が約50モル%のアイオノマー樹脂の場合、それぞれのピークの吸光度比は約1:1である。
上記加熱混合物は、中間層材料としての熱安定性、成形性、反発性を改良するために、カルボキシラートアニオン伸縮振動に帰属するピークの吸光度が、カルボニル伸縮振動によるピークの吸光度の少なくとも1.5倍以上であることが推奨され、好ましくは2倍以上であり、更に好ましくはカルボニル伸縮振動に帰属するピークが存在しないものであることが推奨される。
また、上記加熱混合物は、熱安定性を熱質量測定により測定することができるが、加熱混合物は、熱質量測定において、25℃における質量を基準とした250℃における減量率が、通常2質量%以下、好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下であることが推奨される。
なお、加熱混合物自体の比重は、特に制限されるものではないが、通常0.9以上、上限として1.5以下、好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下であることが推奨される。
上記加熱混合物は、上述した(a)成分及び/又は(d)成分、(b)成分及び(c)成分が加熱混合され、メルトフローレートが適正化されるものであるが、加熱混合物中の酸基の100モル%が中和されていることである。このような高中和化により上述したベース樹脂と脂肪酸(誘導体)のみを使用した場合に問題となる交換反応をより確実に抑制し、脂肪酸の発生を防ぐことができ、熱的な安定性が著しく増大し、成形性が良好で、従来のアイオノマー樹脂と比較して反発性の著しく増大した材料になり得る。
ここで、上記加熱混合物の中和化は、高中和度と流動性をより確実に両立するために、上記加熱混合物の酸基が遷移金属イオンと、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属イオンとで中和されていることが推奨され、遷移金属イオンがアルカリ(土類)金属イオンと比較してイオン凝集力が弱いため、加熱混合物中の酸基の一部を中和し、流動性の著しい改良を図ることができる。
この場合、遷移金属イオンと、アルカリ(土類)金属イオンのモル比は適宜調整されるが、通常10:90〜90:10、特に20:80〜80:20であることが好ましい。遷移金属イオンのモル比が少ないと、流動性を改善する効果が十分に得られない可能性があり、モル比が高いと、反発性が低下する可能性がある。
ここで、上記金属イオンとして、具体的には、遷移金属イオンとしては、亜鉛イオン等、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンとしては、ナトリウムイオン、リチウムイオン及びマグネシウムイオンから選ばれる少なくとも1種のイオン等が挙げられる。
なお、酸基が遷移金属イオンとアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンとで中和された加熱混合物を得る方法は、特に制限されるものではなく、例えば、遷移金属イオン(亜鉛イオン)により中和する方法の具体的な例として、脂肪酸誘導体に亜鉛せっけんを用いる方法、(d)成分として亜鉛中和物をベース樹脂(例えば、亜鉛中和型アイオノマー樹脂)に含める方法、(c)成分の塩基性無機金属化合物に亜鉛酸化物を用いる方法などが挙げられる。
上記中間層材料を得るには、上記加熱混合物を必須成分とすればよいが、その割合は、中間層材料全量(樹脂組成物全量)中に50質量%以上であることが好適であり、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上となるように加熱混合物を含有することが本発明の効果を有効に発揮させることができる。また、上記加熱混合物を必須とする樹脂組成物中には、顔料、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤などの各種添加剤を加えることができる。また、打撃時のフィーリングを改善するために上記必須成分に加え、種々の非アイオノマー熱可塑性エラストマーを配合することができる。このような非アイオノマー熱可塑性エラストマーとして、例えば、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー等が挙げられ、特にオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーの使用が好ましい。オレフィン系エラストマーとしては、例えば、JSR社製の水添ポリマー「ダイナロン」等の市販品を使用することができる。
また、上記樹脂組成物の製法に制限はなく、例えば、加熱温度150〜250℃の条件下、混練型二軸押出機、バンバリー、ニーダー等のインターナルミキサー等を用いて混練することができる。この場合、上記樹脂組成物に必須成分以外の各種添加剤を配合する方法についても特に制限はなく、上記必須成分と共に配合して同時に加熱混合する方法、上記必須成分を予め加熱混合をした後、任意の添加剤を加えて更に加熱混合する方法等を挙げることができる。
上記中間層を形成する方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、公知の射出成形やコンプレッション成形等により上記樹脂組成物を使用して中間層を形成することができる。射出成形法を採用する場合には、射出成形用金型の所定位置に予め作製したコアを配備した後、上記材料を該金型内に導入する方法が採用できる。また、コンプレッション成形法を採用する場合には、上記材料で一対のハーフカップを作り、このカップでコアをくるみ、金型内で加圧加熱する方法を採用できる。なお、加圧加熱成形する場合、成形条件としては、120〜170℃、1〜5分間の条件を採用することができる。
上記中間層は、上記加熱混合物を主体とした樹脂組成物にて形成されるものであるが、中間層は単層に限られない。中間層を二層以上の場合には、これらのうち少なくとも一層が上記加熱混合物にて形成され、それ以外は、公知の各種の樹脂材料を用いることができる。
具体的には、上記コア材として挙げたゴム組成物や熱可塑性樹脂等を使用することができる。
他の中間層材として使用できる熱可塑性樹脂としては、例えば、アイオノマー樹脂や熱可塑性エラストマーが好適で、より具体的には、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマーなどを挙げることができる。このようなエラストマーの市販品としては、ハイトレル(東レ・デュポン社製)、ペルプレン(東洋紡社製)、ペバックス(アトケム社製)、パンデックス(大日本インキ化学工業社製)、サントプレーン(モンサント社製)、タフテック(旭化成工業社製)等を挙げることができる。アイオノマー樹脂の市販品としては、例えば、ハイミラン(三井・デュポンポリケミカル社製)、サーリン(デュポン社製)、アイオテック(エクソン社製)等を挙げることができる。
なお、上記熱可塑性樹脂中には、無機充填剤等の各種添加剤を適宜量配合することができ、無機充填剤としては、例えば、硫酸バリウム、二酸化チタンなどが挙げられる。これら無機充填剤は、材料中で分散しやすいように表面処理されたものであってもよい。
上記中間層は、他の材料を使用する場合にも公知の方法にて形成することができ、成形方法は、上述した加熱混合物を使用した中間層形成方法と同様の方法を採用し得る。
ここで、中間層の厚さは、0.6mm以上、好ましくは0.9mm以上であり、上限として1.6mm以下、好ましくは1.4mm以下になるように形成される。中間層が上記範囲より薄すぎると、割れ耐久性が悪くなり、また材料の高反発効果が低下する。逆に、中間層が上記範囲より厚いと、スピン量が増えすぎてしまい、打感が硬くなる。
中間層のショアD硬度は、45以上55以下に設定されるものである。中間層が上記範囲よりも軟らかすぎると、スピンが増加してしまい、飛距離が低下し、更に反発も低下する。また、中間層か上記範囲より硬いと、打感が硬くなる。
また、本発明におけるカバー(最外層)は、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーを主材として形成することができる。例えば、アイオノマー樹脂等の熱可塑性樹脂や各種の熱可塑性エラストマーを挙げることができ、具体的にはポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー等を使用できるが、アイオノマー樹脂、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーを好適に用いることができる。アイオノマー樹脂等の市販品としては、例えば、ハイミラン(三井・デュポンポリケミカル社製)、サーリン(デュポン社製)、アイオテック(エクソン社製)、T−8190(大日本インキ化学工業社製)などを使用することができる。
上記カバー材に対しては、無機充填剤等の各種添加剤を適宜量配合することができ、無機充填剤としては、上述した中間層に使用できるものを好適に使用できる。
また、上述した材料でカバーを形成するには、上記中間層と同様にして射出成形方法、コンプレッション成形方法等にて形成することができる。
カバー材料は、中間層材料とのメルトフローレートよりも高く設定されるものであり、両差が1.0〜1.6g/10minの範囲内である。カバーは後述する1.6mm以下と薄く形成されるものであり、ある程度十分な流動性がないと成形不良となり、カバーの品質が悪くなるおそれがある。
上記カバーの厚さは、0.6mm以上、好ましくは0.8mm以上であり、上限として1.6mm以下、好ましくは1.4mm以下にすることが推奨される。カバーが上記範囲よりも薄くなると、割れ耐久性や耐擦過傷が悪くなる。また、カバーが上記範囲よりも薄くなると、カバーの剛性が低くなり中間層が潰れすぎてしまい、中間層材料の高反発効果が低下する。逆に、カバーが上記範囲よりも厚いと、打感が硬くなる。
本発明においては、上記中間層及びカバーの厚さを合わせた全体厚さが、1.8mm以上、2.8mm以下であることが必要である。中間層とカバーを合わせた厚さが上記範囲よりも薄いと、割れ耐久性や耐擦過傷性が悪くなる。また、中間層の高反発効果の低下やカバー剛性の低下となり、低スピン化されなくなる。逆に、上記合計厚さが上記範囲を超えると、打感が硬くなり、スピンが増加して飛距離が低下する。
また、上記カバーは、ショアD硬度が63以上、66以下であることが必要とされる。ショアD硬度が上記より軟らかすぎると、スピンが増加してしまい、飛距離が低下する。更に、ボールの反発も低下してしまう。また、この場合、カバーの剛性が低くなり、中間層が潰れすぎてしまい中間層材料の高反発効果が低下する。逆に、カバーが上記より硬いと、打感が硬くなる。
本発明のゴルフボールの初期荷重10kgfを負荷した状態から終荷重130kgfを負荷したときまでの変形量(mm)は、特に制限はないが、本発明の効果を有効に発揮させる点から、好ましくは2.6mm以上、より好ましくは2.8mm以上、上限として、好ましくは3.5mm以下、より好ましくは3.3mm以下である。ボールのたわみ量が上記よりも小さくなると、打感が硬くなり好ましくない。また、ボールのたわみ量が上記よりも大きくなると、ボール全体が変形しすぎてしまい、中間層の効果が低下してしまう場合がある。
本発明のボール表面には、図1に示されるように、常法に従って多数のディンプルが形成される。このディンプルDについては、空気力学的性能を向上させる点から表面占有率79%以上とする。ディンプルDの個数は、250〜370個の範囲内に設定されるものであり、特に270〜350個とすることが好適である。また、ディンプルDの総容積とは、特に図示してはいないが、ディンプルDの壁面と、ボール表面上の陸部曲面に囲まれた部分の容積の合計を意味し、その総容積400〜700mm3 であり、特に、450〜650mm3に設定されることが好適である。これらのディンプル個数、表面占有率及び総容積が上記値よりも小さくなると、ボールの揚力が大きくなり、その結果、飛ばなくなるおそれがあり、逆に、多いと揚力が小さくなり、飛ばなくなるおそれがある。
本発明において、ディンプルDの形状については、特に図示してはいないが、通常用いられる平面視円形に限らず、三角形,四角形,五角形,六角形等の各種多角形、デュードロップ形、その他楕円形などの特異なディンプルを単独で、または組み合わせて使用することができる。
また、本発明では、上記の通り、ボール構造を低スピン構造に設計しているので、打撃後のボール弾道において、低スピン領域においても揚力を失い難いという作用効果を奏するようにディンプル設計を行うことが重要である。
本発明のゴルフボールは、競技用としてゴルフ規則に従うものとすることができ、直径42.67mm以上、重さ45.93g以下に形成することができる。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〜4、比較例1〜9〕
表1に示す配合(質量部)にて得たゴム組成物を155℃で15分間加硫することにより、コアを作成した。このコアに、表2に示す配合の中間層材及び表3に示すカバー材を順次、射出成形して、コアの周囲に中間層及びカバーを形成したスリーピースソリッドゴルフボールを作成した。得られたゴルフボールの物性及び評価結果を表4(実施例),表5(比較例)に示す。
Figure 0005320773
なお、表1中に記載した主な材料の商品名は以下の通りである。
ポリブタジエン:商品名「BR730」(JSR社製)
ポリイソプレン:商品名「IR2200」(JSR社製)
過酸化物(1):ジクミルパーオキサイド、商品名「パークミルD」(日本油脂社製)
過酸化物(2):1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンとシリカの混合物
、商品名「パーヘキサC−40」(日本油脂社製)
硫黄 :亜鉛華混合硫黄(鶴見化学工業社製)
老化防止剤 :商品名「ノクラックNS−6」(大内新興化学工業社製)
Figure 0005320773
なお、表2中に記載した主な材料の商品名は以下の通りである。
AM7318 :三井デュポンポリケミカル社製 Naイオン中和エチレン−メタクリ
ル酸共重合体のアイオノマー樹脂
サーリン8150:デュポン社製 Naイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体のア
イオノマー樹脂
サーリン8120:デュポン社製 Naイオン中和エチレン−メタクリル酸−アクリル酸
エステル共重合体のアイオノマー樹脂
サーリン8320:デュポン社製 Naイオン中和エチレン−メタクリル酸−アクリル酸
エステル共重合体のアイオノマー樹脂
ダイナロン6100P:JSR社製 水添ポリマー(オレフィン系熱可塑性エラストマー)
ベヘニン酸 :商品名「NAA−222S(粉末)」日本油脂社製
水酸化カルシウム:商品名「CLS−B」白石工業社製
Figure 0005320773
なお、表3中に記載した主な材料の商品名は以下の通りである。
ハイミラン1605:三井デュポンポリケミカル社製 Naイオン中和エチレン−メタク
リル酸共重合体のアイオノマー樹脂
ハイミラン1706:三井デュポンポリケミカル社製 Znイオン中和エチレン−メタク
リル酸共重合体のアイオノマー樹脂
ハイミラン1601:三井デュポンポリケミカル社製 Naイオン中和エチレン−メタク
リル酸共重合体のアイオノマー樹脂
ハイミラン1557:三井デュポンポリケミカル社製 Znイオン中和エチレン−メタク
リル酸共重合体のアイオノマー樹脂
酸化チタン :商品名「タイペークR550」石原産業社製
青色顔料 :商品名「Ultramarine Blue EP-62」HOLLIDAY PIGMENTS社製
Figure 0005320773
Figure 0005320773
本実施例及び比較例のゴルフボールの物性と飛び,打感及び割れ耐久性の試験評価の詳細については下記のとおりである。
コア及びボールのたわみ量
コアまたはゴルフボールを初期荷重10kgfを負荷した状態から終荷重130kgfを負荷したときまでの変形量(mm)
コア中心硬度、コア表面硬度
ショアD硬度、即ち、ASTM D2240タイプDデュロメータにより測定した硬度であり、コア表面部を計測した硬度と、コアを半分に切断し、その中心部を計測した硬度である。
中間層硬度、カバー硬度
ショアD硬度、即ち、ASTM D2240タイプDデュロメータにより測定した硬度であり、JIS−K6253に基づく。この硬度は、中間層またはカバーを被覆した球体の表面硬度ではなく、樹脂シート表面硬度の測定値を意味する。
飛び性能
ドライバー(ブリヂストンスポーツ社製 TourStage X-Drive Type405 9.5°)をスウィングロボット(ミヤマエ社製)に装着し、ヘッドスピード(HS)45m/sで打撃した時の飛距離を測定した。「初速」及び「スピン」については、打撃直後のボールを高速カメラにて測定した値を示した。
打感
アマチュアゴルファー(ハンディキャップ10未満の上級者)5人が打撃した後、以下の基準で評価した採点結果を平均し、それを3段階で判断したものを示した。
5点:非常に軟らかい
4点:軟らかい
3点:普通
2点:やや硬い
1点:非常に硬い

○(軟らかい):5人の平均点が4点以上
△(普通) :5人の平均点が2〜4点
×(硬い) :5人の平均点が2点以下
割れ耐久性
実施例2のボールの初速が初期10回平均の初速対比で97%以下になった時の回数を100として下記の指標により判断した。各ボールN=3としてその平均値でみた。
○:指数110以上
△:指数90以上110未満
×:指数90未満
上記の表5の結果から、比較例のゴルフボールは、下記のボール構造を有するためにボール評価のうち少なくとも1項目につき本実施例(表4)に比べて劣るものである。具体的には以下のとおりである。
比較例1では、コアの硬度分布が大きいために#1のスピンが多い。
比較例2では、中間層+カバーが厚いためにスピンが多く飛ばない。また、打感も硬くなる。
比較例3では、中間層とカバーとの合計厚さが薄いためにスピンが多く飛ばない。また、割れ耐久性も悪くなる。
比較例4では、中間層が軟らかすぎるためにスピンが多く飛ばない。
比較例5では、中間層が硬すぎるため#1に打感が硬い。また、割れ耐久性も悪くなる。
比較例6では、カバーが軟らかすぎるためにスピンが多く飛ばない。
比較例7では、ボール製品が軟らかすぎるため初速が低下してしまい、その結果、飛ばない。また、割れ耐久性も悪くなる。
比較例8では、ボール製品が硬すぎるためスピンが多く飛ばない。また、打感も硬くなる。
比較例9では、中間層の中和度が低いために、ボール反発が低くなりスピンを抑えようとする力のタイミングが遅くなる。その結果、スピンが多くなってしまい、飛ばない。
上記実施例のゴルフボールは、コア材の配合においてペンタクロロチオフェノールを0質量部とする一方、カバーの中和度を比較的低く設定している。つまり、コア及びカバーについては低反発にするとともに、中間層の中和度を更に高くして反発性を向上させるようにし、高反発中間層の低スピン効果がより発揮されるようにボール構造の設計を行うものである。
本発明の一実施例にかかるゴルフボール(3層構造)の概略断面図である。
符号の説明
1 コア
2 中間層
3 カバー
D ディンプル
G ゴルフボール

Claims (5)

  1. コアと、該コアに被覆される中間層と、該中間層に被覆されるカバーとを具備してなるゴルフボールにおいて、上記コアは、その直径が36〜40mm、そのたわみ変形量が3.5〜4.2mm、及びコア表面とコア中心との硬度差がショアD硬度で5〜15であり、上記中間層は、そのショアD硬度が45〜55であり、その厚さが0.6〜1.6mmであり、上記カバーは、そのショアD硬度が63〜66、その厚さが0.6〜1.6mm、ボール全体のたわみ変形量が2.6〜3.5mmであり、かつ中間層とカバーとの合計厚さが1.8〜2.8mmであり、各部位のショアD硬度がコア中心≦コア表面≦中間層≦カバーとなるように硬度設計され、且つボール表面に多数のディンプルが形成され、そのディンプルの総数が250〜370個、ディンプルの総容積が400〜700mm 3 、ディンプルの表面占有率79%以上であると共に、上記カバーは熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラスマーを主材として形成され、上記中間層の材料は下記(I)〜(III)から選ばれる加熱混合物を含む樹脂組成物からなり、この樹脂組成物において酸基の100モル%が中和されるものであり、更には、中間層材料のJIS−K 7210に準ずるメルトフローレートが0.5〜1.0g/10min、カバー材料と中間層材料とのメルトフローレートの差が1.0〜1.6g/10minであることを特徴とするゴルフボール。
    (I)
    (a)オレフィン−不飽和カルボン酸ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステルランダム共重合体 100質量部、
    (b)分子量が280以上の脂肪酸又はその誘導体 5〜80質量部、及び
    (c)上記(a)、(b)成分中の酸基を中和することができる塩基性無機金属化合物 0.1〜20質量部
    (II)
    (d)オレフィン−不飽和カルボン酸ランダム共重合体の金属イオン中和物、及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステルランダム共重合体の金属イオン中和物 100質量部、
    (b)分子量が280以上の脂肪酸又はその誘導体 5〜80質量部、及び
    (c)上記(d)、(b)成分中の酸基を中和することができる塩基性無機金属化合物 0.1〜20質量部
    (III)
    (a)オレフィン−不飽和カルボン酸ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステルランダム共重合体と(d)オレフィン−不飽和カルボン酸ランダム共重合体の金属イオン中和物、及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステルランダム共重合体の金属イオン中和物との混合物 100質量部、
    (b)分子量が280以上の脂肪酸又はその誘導体 5〜80質量部、及び
    (c)上記(a)、(d)、(b)成分中の酸基を中和することができる塩基性無機金属化合物 0.1〜20質量部
  2. 上記コアの材料には有機硫黄化合物が含まれない請求項1記載のゴルフボール。
  3. 中間層材料の赤外吸収測定において検出される1530〜1630cm -1 のカルボキシラートアニオン伸縮振動に帰属するピークの吸光度が、カルボニル伸縮振動によるピークの吸光度の少なくとも1.5倍以上である請求項1又は2記載のゴルフボール。
  4. 中間層材料の熱質量測定において、25℃における質量を基準とした250℃における減量率が2質量%以下である請求項1、2又は3記載のゴルフボール。
  5. 中間層材料の比重が0.9以上1.5以下である請求項1〜4のいずれか1項記載のゴルフボール。
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