JP5320626B2 - 化粧料及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、紫外線散乱剤としての酸化チタン粉がオイル中に分散された紫外線防止用の化粧料であって、乳化安定性に優れ、汗をかいても白浮きが少なく、石けん等で容易に落とすことができる化粧料及びその製造方法に関する。
近年、紫外線は肌の老化を促進する因子の一つであることが明らかにされ、紫外線から肌を守るため、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤を配合した化粧料や皮膚用外用剤が多く使用されている。紫外線散乱剤としては酸化チタンの粉が多用されており、目的に応じて、固型粉状、乳液状、オイル状等各種剤型に配合されている。従来、これらの紫外線防止化粧料の殆どは、界面活性剤を使用したW/O型乳化化粧料である。
紫外線防止化粧料の紫外線を防止する効果は、化粧料に含まれる酸化チタン粉が紫外線を反射させることで得られる。したがって,より効率的に紫外線を反射させるためには、酸化チタンを含んだ化粧料が、塗布後に皮膚表面にて均一となり、その状態を保つ必要がある。一般的に乳化型の化粧料は、塗布後に水分が蒸発あるいは皮膚に浸透し、残った油性成分と分散した酸化チタンが、皮膚上に均一に残り、密着する。
しかし、W/O乳化型の化粧料は各成分を乳化させるための界面活性剤が含まれているため、汗をかくと、汗と界面活性剤、さらには油性成分及び酸化チタンが馴染んでしまい、汗とともに皮膚に付着した酸化チタンが流れ去る。このため、皮膚に付着した酸化チタン粉はまだら状態になり、見栄えが悪くなるとともに、紫外線の反射率が著しく低下し、紫外線防止化粧料としての働きをなさなくなる。
こうした問題点を防止するため、上記W/O型乳化化粧料には、界面活性剤と馴染みにくい高粘度シリコーンを配合することが行なわれている。高粘度シリコーンは皮膚に付着した酸化チタン粉、油性成分及び界面活性剤の混合物を包みこむ被膜を形成する。この高粘度シリコーンの被膜によって化粧料成分が保護されて耐水性が向上し、汗をかいても、皮膚における酸化チタンの均一性が保たれ、紫外線防止効果が十分に持続される。
しかし、このように高粘度シリコーンを配合して耐水性を向上させた化粧料では、化粧落としが困難となり、石けんや洗顔フォームをつかった通常の洗顔では、落とすことが困難となる。このため、化粧落としには、専用のオイルで高粘度シリコーンをふき取った後、石けんや洗顔フォームをつかった通常の洗顔を行なうという2工程が必要となり、手間がかかるものとなっていた。また、腕や足に塗布する場合や子供が使用する場合は、面倒なために石けんによる洗浄のみで済ませることも多く、紫外線防止化粧料が毛穴等に多く残ってしまい、肌荒れや吹き出物等の原因となるという問題もあった。
こうした問題を解決するため、発明者らは、界面活性剤の替わりに特殊な多糖類を乳化剤として用いて酸化チタン粉を分散乳化し、汗をかいても皮膚に付着した酸化チタンが流れ落ちにくく、しかも石けんや洗顔フォームによって簡単に洗い落とせる紫外線防止用の化粧料を開発している(特許文献1参照)。
すなわち、この化粧料は、界面活性剤の替わりに特殊な多糖類(すなわち、主鎖を構成する単糖類としてグルコース、グルクロン酸及びラムノースを含み、側鎖を構成する単糖類としてフコース又はマンノースを含む多糖類)によって酸化チタン微粒子や油滴を分散している。この特殊な多糖類は、図1に示すように、水中において親水基である水酸基1を表面側にし、疎水基2を内側にした50nm程度の微粒子3となっており、図2に示すよう、この微粒子3がファンデルワールス力で油滴4の周りに付着した構造を形成している。特に濃い状態では、それら微粒子3同士が水素結合によって数珠繋ぎにつながった三次元網目構造でさらに安定化されている(図3、4参照)。
この多糖類の水溶液に酸化チタンを加えてホモジナイザー等で激しく撹拌し、さらに高級アルコール及びスクワランやオリブ油やシリコーン油等の油性成分を添加してさらに激しい撹拌を続けることにより、多糖類の三次元網目構造を形成している水素結合が切断され、多糖類の微粒子はバラバラの状態となり、酸化チタン粒子や油性成分からなる油滴と接触し、ファンデルワールス力によって付着する。こうしたファンデルワールス力によって多糖類の微粒子に取り囲まれて分散している状態は、界面活性剤を用いて表面エネルギーを低下させる分散方法と異なり、極めて安定である。さらには、こうして分散させた化粧料を皮膚に塗布した場合、水分が蒸発するとともに多糖類からなる微粒子同士の水素結合による連結が生じ、三次元網目構造が形成され、酸化チタンや油滴は三次元網目構造の中に取り込まれ、極めて安定な状態で分散することとなる。このため、汗をかいても、この化粧料は汗とともに流れ落ちることはほとんどなく、しかも、石けんや洗顔フォームで洗い落とすだけで、三次元網目構造を形成している多糖類とともに、容易に洗い流すことができる。このため、化粧落としが極めて容易となる。
また、この化粧料には高級アルコールが添加されており、次のような役割を果たす。すなわち、高級アルコールは化粧料中でラメラ液晶構造をとって集合体を形成し,化粧料に添加されている他の油性成分を取り込むことができるようになる。高級アルコールの水酸基は親水性のため、同じく水酸基のある多糖類微粒子の表面に水素結合を通して複合粒子を形成する。このため、油剤を乳化したとき、高級アルコール液晶と多糖類の複合粒子が油剤表面に付着して乳化状態の安定性に寄与する。また、ラメラ液晶構造は、冷却によりコロイドゲル結晶を形成し、化粧料を皮膚に塗布しても油性成分特有のべたつき感がなく、さらっとした肌触りとなる。
なお、上記従来技術に関係する文献として、下記非特許文献1、2がある。
特開2008−7491号公報
第43回日本油化学年次大会、大阪大学コンベンションセンター 要旨(11/1−11/2,2004) 日本化学会、第57回 コロイドおよび界面化学討論会要旨(9/9−9/11,2004)、
しかし、上記従来の多糖類を乳化剤として利用した酸化チタン配合の化粧料では、紫外線散乱剤となる酸化チタンの種類によっては、長期間の保存中に多糖類が凝集沈殿し、三次元網目構造が破壊され、分散状態が維持できなくなるという問題があった。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、多糖類を乳化剤として利用した酸化チタン配合の化粧料であって、汗による化粧落ちがし難くてべとつき感がなく、長期間経過しても凝集沈殿することがなく、安定な乳化状態を保ち、使用後は石けんで容易に洗い流すことができる乳化状態の化粧料及びその製造方法を提供することを解決すべき課題としている。
発明者らは上記従来の多糖類を乳化剤として利用した酸化チタン配合の化粧料において、酸化チタンの種類によって多糖類が凝集沈殿してしまう原因について、鋭意研究を行なった。その結果、酸化チタンや酸化チタンをコーティングしているコーティング剤に含まれているアルミニウムイオンなどの多価金属イオンの溶出が、その原因となっているのではないかと推定した。なぜならば、上記特殊な多糖類は、主鎖を構成する単糖類としてグルクロン酸を含むため、多価金属イオンによってグルクロン酸塩が形成され凝集すると考えられるからである。そして、さらには、その多価金属イオンの溶出を防止するために、あらかじめ含水ケイ酸及び/又は含水アルミナで被覆された酸化チタンを熱処理すれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の乳化状態の化粧料は、酸化チタン粉と、高級アルコールと、該高級アルコールを除く油性成分と、主鎖を構成する単糖類としてグルコース、グルクロン酸及びラムノースを含み、側鎖を構成する単糖類としてフコース又はマンノースを含む多糖類と、を含有し、
該多糖類の含有量は化粧料の全量に対して0.01重量%〜1重量%とされている乳化状態の化粧料において、
前記酸化チタン粉は表面に含水ケイ酸及び/又は含水アルミナを被覆した後200℃〜900℃で熱処理されていることを特徴とする。
本発明の乳化状態の化粧料では、紫外線を散乱する酸化チタン粉及び油性成分が多糖類によって乳化されている。この多糖類は、主鎖を構成する単糖類としてグルコース、グルクロン酸及びラムノースを含み、側鎖を構成する単糖類としてフコース又はマンノースを含む多糖類を含有するものである。この構造を有する多糖類は、水中において親水基である水酸基を表面側にし、疎水基部分を内側にした50nm程度の微粒子となっており、酸化チタンや油性成分の周りに付着して、それらの成分を極めて安定な状態で化粧料中に分散せしめている。そして、この化粧料を皮膚に塗布した場合、水分が蒸発するとともに多糖類からなる微粒子どうしの水素結合による連結が生じ、三次元網目構造が形成され、酸化チタンや油性成分はこの三次元網目構造の中に取り込まれて、さらに安定な状態で皮膚に付着する。
多糖類の含有量は化粧料の全量に対して0.01重量%〜1重量%とされている。多糖類の含有量は化粧料の全量に対して0.01重量%未満では、多糖類からなる微粒子の量が、油性成分からなる油滴や酸化チタン粉の周りを取り囲むために必要な量に達せず、安定な分散状態とすることが困難となる。また、多糖類の含有量が化粧料の全量に対して1重量%を超えると、粘性が高くなりすぎ、乳化工程や分散工程での作業性に支障を生じるため、好ましくなく、また、製造コストも高騰化する。さらに好ましいのは多糖類の含有量が化粧料の全量に対して0.1重量%〜0.5重量%の範囲である
また、酸化チタン粉は、酸化チタンの光触媒作用によって皮膚がダメージを受けることを防ぐために表面を含水ケイ酸及び/又は含水アルミナで被覆した後、200℃〜900℃で熱処理されている。熱処理を行なうのは次の理由からである。すなわち、酸化チタン粉の表面に含水ケイ酸及び/又は含水アルミナを被覆したまま熱処理をせずに化粧料に用いた場合には、含水アルミナからのアルミニウムイオンの溶出や、酸化チタン粉の不純物としての多価金属イオンの溶出により、多糖類の主鎖を構成する単糖類のグルクロン酸と溶出したイオンが塩を形成し、凝集沈殿を起こす。
これに対し、表面を含水ケイ酸及び/又は含水アルミナで被覆した後、200℃〜900℃で熱処理された酸化チタンは、含水ケイ酸や含水アルミニウムが脱水縮合し、緻密な無機ポリマーとなって酸化チタン表面が覆われる。すなわち、含水ケイ酸は200℃以上の温度で徐々に脱水縮合し、シロキサン結合によって緻密な三次元網目構造を形成する。また、含水アルミナも200℃以上の温度で徐々に脱水縮合し、ベーマイトへの転位(245℃)やギブサイトの脱水(320℃)や、ベーマイトの脱水反応(550℃)が起こり(図5参照)、アルミニウムイオンが溶出し難い形態へと変化する。こうして、含水ケイ酸及び/又は含水アルミナを被覆した酸化チタンからのアルミニウムイオンの溶出や酸化チタン粉の不純物としての多価金属イオンの溶出は、200℃〜900℃の熱処理によって防止することができる。その結果、多糖類の主鎖を構成する単糖類のグルクロン酸と溶出したイオンが塩を形成することを防止でき、多糖類が凝集沈殿することが無くなり、熱処理された酸化チタンを配合した化粧料は長期間乳化状態を安定に保つことができる。また、こうして表面処理された酸化チタンは、化粧料中において多糖類と同じマイナスに帯電するため、クーロン力による多糖類の凝集を回避することができる。
さらに、本発明の乳化状態の化粧料には高級アルコールが含まれている。この高級アルコールの役割は、べとつき感をなくして肌馴染みを良くするとともに、乳化状態をさらに安定化させるものである。すなわち、高級アルコールは化粧料中でラメラ液晶構造をとり、化粧料に添加されている他の油性成分を取り込んで集合体を形成する。高級アルコールの水酸基は親水性のため、同じく水酸基のある多糖類微粒子の表面に水素結合を通して複合粒子を形成する。このため、油剤を乳化したとき、高級アルコール液晶と多糖類の複合粒子が油剤表面に付着して乳化状態の安定性に寄与する。また、ラメラ液晶構造は、冷却によりコロイドゲル結晶を形成し、化粧料を皮膚に塗布しても油性成分特有のべたつき感がなく、さらっとした肌触りとなる。
したがって、本発明の乳化状態の化粧料によれば、汗による化粧落ちがし難くてべとつき感がなく、長期間経過しても凝集沈殿することがなく、安定な乳化状態を保つことができる。
本発明の乳化状態の化粧料では、酸化チタン粉は熱処理後に疎水化処理が施されていることが好ましい。こうであれば、酸化チタン粉が油性成分中に分散されるため、化粧料を皮膚に塗布した後に汗をかいた場合、汗と共に流れ落ちるのをさらに効果的に防ぐことができる。このような疎水化処理の方法としては、例えば、ポリシロキサン処理、ステアリン酸などによる脂肪酸処理、カルボン酸塩処理、ワックス処理などが挙げられる。これらの疎水化処理の中でも、高級脂肪酸又はポリシロキサンによって被覆する疎水化処理が特に効果的で好ましい。またアミノプロピルシランなどのシランカップリング剤による処理を行ってもよい。さらには、上記様々な疎水化処理を組み合わせることも可能である。これら疎水化処理剤の量については、その種類や目的に応じて適宜設定することができるが、通常、酸化チタン量に対して有機物総量で表して0.1〜20重量%の範囲が適当である。また、必要に応じて、粒径による分別、洗浄、乾燥あるいは粉砕などを行ってもよい。
本発明の化粧料に配合する多糖類には、少なくとも下記の一般式(化1)の繰り返し単位で表される多糖類が含まれている。この多糖類は、アルカリゲネス レータスB−16株細菌(FERM BP−2015)の産出する多糖類の主成分であり、発明者らは、この細菌株の培養液から抽出した多糖類を用いて製造された本発明の化粧料が、汗による化粧落ちがし難くてべとつき感がなく、長期間経過しても凝集沈殿することがなく、安定な乳化状態を保つという課題を達成することを確認している。
また、酸化チタン粉の含有量は化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%が好ましく、高級アルコールの含有量は化粧料の全量に対して0.8重量%〜20重量%が好ましく、高級アルコールを除く油性成分の含有量は化粧料の全量に対して0.5重量%〜30重量%が好ましい。酸化チタン粉の含有量が1重量%未満では紫外線の防止効果が充分得られないおそれがあり、30重量%を超えると紫外線防止効果は得られるが、塗布後に白浮きしてしまい、見栄えが悪くなる。また、高級アルコールの含有量が化粧料の全量に対して、0.8%未満であると乳化が不充分となるおそれがあり、20%を超える場合には、安定した乳化は可能であるが、化粧料塗布後の感触が硬くなり使用感が悪くなる。また、高級アルコールを除く油性成分の含有量が化粧料の全量に対して0.5重量%未満では、耐水性が悪くなって汗で化粧料の成分が流れ落ち易くなり、30重量%を超えるとべとつき感が増し、化粧料としての使用感が悪くなる。
さらに、高級アルコールは、融点が45℃以上の高級アルコールを2種以上含有することが好ましい。融点が45℃以上の高級アルコールが2種類以上含まれると、高級アルコールと多糖類の会合体の大きさが不均一となり、結晶化し難くなることで乳化がより安定になるからである。高級アルコールは1種類のみの添加でも乳化させることはできるが、40℃等の高温で静置すると水が分離するおそれがある。この原因としては、高級アルコールが1種類のみの添加の場合、高級アルコールが整列した液晶状態のゲル・液晶転移温度が特定点となり,その温度を境にゲル化すると、水の保持が出来なくなりそれに伴い水の吐き出し現象が起きるからであると考えられる。
2種以上の高級アルコールの混合比は、最大配合量となる高級アルコールと最少配合量となる高級アルコールと混合比が1:1〜5:1の範囲であることが好ましい。こうであれば、2種以上混合された高級アルコールは、1つの高級アルコールが少なくとも他の1つの高級アルコールに対して1/5以上混合されているので、分子量の異なる高級アルコールと多糖類が相当量の異なる大きさの会合体を形成し、均一な粒子構造を形成することを防止して、乳化状態を安定化させることができる。さらに好ましい範囲は最大配合量となる高級アルコールと最少配合量となる高級アルコールと混合比が2:1〜4:1である。
高級アルコールは、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール及びドコサノールから選ばれた2種以上であり、選ばれた2種以上の各々が化粧料の全量に対して0.4重量%以上含まれ、その合計が化粧料の全量に対して0.8重量%〜20重量%含有されていることが好ましい。
それぞれの高級アルコールを0.4重量%以上使用しないと2種類以上の高級アルコールを使用した効果が得られない。また、2種類以上の高級アルコールの混合物の含有量が化粧料の全量に対して0.8重量%未満では、高級アルコールと多糖類の会合体の形成が困難となり、また、20重量%を超えて含有しても、さらなる分散安定化の効果は得られず無駄となり、製造コストの高騰化を引き起こすこととなる。さらに好ましいのは、高級アルコールが、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール及びドコサノールから選ばれた2種以上であり、選ばれた2種以上の各々が化粧料の全量に対して1重量%以上含まれ、その合計が化粧料の全量に対して2重量%〜10重量%含有されていることである。
また、本発明の乳化状態の化粧料に含まれる油性成分は、
油性成分(A)として、シリコーン油、フッ素化炭化水素及びその誘導体、炭化水素、脂肪酸、1価アルコールの脂肪酸エステル、動植物油脂、オキシカルボン酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステルであって融点が40℃未満のもの、及び液体ロウから選ばれた1種以上と、
油性成分(B)として、固体ロウ、2価の高級アルコール、環状アルコール及びその脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステルであって融点が40℃以上のもの、及びリン脂質から選ばれた1種以上を
重量比で上記油性成分(A)と上記油性成分(B)が2:1〜50:1となる範囲で含むことが好ましい(さらに好ましくは4:1〜30:1)。
油性成分(A)と上記油性成分(B)の組み合わせを用いることで、本発明の高級アルコールとのバランスが良くなり、化粧料塗布時の滑らかさや浸透感が良く、塗布後の皮膜感が改善される等の効果が得られる。油性成分を油性成分(A)と油性成分(B)の2組に分け、それぞれの油性成分から1種以上を選択して組み合わせて用いる方法は経験的に見出されたものであり、上記の効果を発揮される理由は十分解明されていない。
さらに油性成分(A)は、ジメチルポリシロキサン、トリメチルポリシロキサン、スクワラン、パラフィン(炭素数16から炭素数50までのn−炭化水素単独あるいはそれらの混合物)、流動パラフィン、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソステアリル、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸・カプリン酸の混合酸)グリセリル、ぶどう種子油、ローズヒップ油、ヒマワリ油、オリブ油、アボカド油、マカデミアナッツ油、メドホーム油、シア油、及びホホバ油等から選ばれた1種以上であり、
油性成分(B)は、ミツロウ(蜜蝋)、水素添加ホホバ油、水添パーム油、キミルアルコール、バチルアルコール、コレステロール、ステアリン酸コレステリル、フィトステロール、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(2−オクチルドデシル・ベヘニル・フィトステリル)、トリミリスチン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、及び(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセルオリゴエステル等から選ばれた1種以上であり、上記油性成分(A)と上記油性成分(B)を組み合わせて用いることができる。
また、本発明の乳化状態の化粧料では、界面活性剤を実質的に含まないことも好ましい。界面活性剤が含まれていると、汗と界面活性剤とが混合して皮膚に付着した酸化チタンが流れ落ち易くなるからである。界面活性剤を実質的に含まないとは、界面活性剤が油性成分の分散に効果を奏する濃度以下とされていることを意味し、具体的には限界ミセル濃度以下であることを意味する。また、界面活性剤とは、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤及び非イオン界面活性剤の全てを含む意である。
また、本発明の乳化状態の化粧料では、クエン酸及び/又はクエン酸塩を化粧料の全量に対して0.01重量%〜1重量%含有することも好ましい。これは、次のような理由による。すなわち、本発明の化粧料に含まれる多糖類はマイナスの表面電荷を有しており、何らかの理由で化粧料に表面電荷がプラスの物質が混入した場合、多糖類との間でクーロン力による引力が働き、凝集するおそれがある。これに対して、クエン酸やクエン酸塩を添加しておけば、クエン酸イオンがプラスのチャージを中和し、見かけのチャージをマイナスにして、凝集作用を阻止することができるからである。クエン酸及び/又はクエン酸塩添加量が0.01重量%未満では、表面電荷をプラスからマイナスに変える効果が不充分となるおそれがある。また、クエン酸及び/又はクエン酸塩添加量は1重量%を超えて添加しても、表面電荷をプラスからマイナスに変える効果はそれほど変わらない。さらに好ましいのはクエン酸及び/又はクエン酸塩を化粧料の全量に対して0.1重量%〜0.5重量%含有すること
本発明の乳化状態の化粧料は、多糖類がランダムな粒径の微粒子に細分化されている。さらに詳しく説明すれば、多糖類は水中において親水基である水酸基を表面側にし、疎水基部分を内側にした50nm程度の微粒子となっており、特に濃い状態では、それら微粒子同士が水素結合によって数珠繋ぎにつながった三次元網目構造で安定化されている。
本発明の乳化状態の化粧料では、次のようにして製造することができる。
すなわち、本発明の乳化状態の化粧料の製造方法は、
酸化チタン粉と、高級アルコールと、該高級アルコールを除く油性成分と、多糖類とを含有する乳化状態の化粧料の製造方法において、
酸化チタン粉の表面に含水ケイ酸及び/又は含水アルミナを被覆する酸化チタン被覆工程と、該表面被覆した酸化チタン粉を200℃〜900℃で熱処理する熱処理工程と、主鎖を構成する単糖類としてグルコース、グルクロン酸及びラムノースを含み、側鎖を構成する単糖類としてフコース又はマンノースを含む多糖類について、化粧料の全量に対して0.01重量%〜1重量%に相当する量を水及び/又は親水性溶媒に溶解させて多糖類溶液とする多糖類溶液調製工程と、該多糖類溶液と、該高級アルコールを化粧料の全量に対して0.8重量%〜20重量%に相当する量と、該油性成分を化粧料の全量に対して0.5重量%〜30重量%に相当する量と、前記の熱処理された酸化チタン粉を化粧料の1重量%〜20重量%の相当する量とを混合して60℃以上に加温しながら撹拌して乳化液とする乳化工程と、該乳化液を攪拌したまま40℃以下まで冷却する冷却工程とを有することを特徴とする。
酸化チタン被覆工程では、酸化チタン粉の表面に含水ケイ酸及び/又は含水アルミナを被覆し、さらに熱処理工程では、該表面被覆した酸化チタン粉を200℃〜900℃で熱処理する。この熱処理工程によって、酸化チタン粉の表面に被覆された含水ケイ酸や含水アルミニウムが脱水縮合し、緻密な無機ポリマーとなって酸化チタンが覆われる。すなわち、含水ケイ酸は200℃以上の温度で徐々に脱水縮合し、シロキサン結合によって緻密な三次元網目構造を形成する。また、含水アルミナも200℃以上の温度で徐々に脱水縮合し、ベーマイトへの転位(245℃)やギブサイトの脱水(320℃)や、ベーマイトの脱水反応(550℃)が起こり(図5参照)、アルミニウムイオンが溶出し難い形態へと変化する。こうして、含水ケイ酸及び/又は含水アルミナを被覆した酸化チタンは、200℃〜900℃の熱処理によって、アルミニウムイオンの溶出や酸化チタン粉の不純物としての多価金属イオンの溶出が防止される。
さらに、多糖類溶液調製工程として、主鎖を構成する単糖類としてグルコース、グルクロン酸及びラムノースを含み、側鎖を構成する単糖類としてフコース又はマンノースを含む多糖類について、化粧料の全量に対して0.01重量%〜1重量%に相当する量を水及び/又は親水性溶媒に溶解させて多糖類溶液とする。
そして、該多糖類溶液と、該高級アルコールを化粧料の全量に対して0.8重量%〜20重量%に相当する量と、該油性成分を化粧料の全量に対して0.5重量%〜30重量%に相当する量と、前記の熱処理された酸化チタン粉を化粧料の1重量%〜20重量%の相当する量とを混合して60℃以上に加温しながら撹拌して乳化液とする(乳化工程)。この乳化工程では、化粧料に含まれている高級アルコールがラメラ液晶となり、他の油性成分を取り込み、高級アルコールの水酸基は水相側に向くため親水性となる。そして、さらに同じく外側が親水性とされている多糖類の微粒子が付着して、安定な乳化状態となる。
最後に乳化液を攪拌したまま40℃以下まで冷却する(冷却工程)。この冷却工程では、多糖類の微粒子が付着して安定な乳化状態となった高級アルコールと油性成分との集合体が、その乳化状態を保ったまま、冷却によりコロイドゲル結晶を形成する。このため、安定な乳化状態を保ったまま、化粧料を皮膚に塗布しても油性成分特有のべたつき感がなく、さらっとした肌触りとなる。
化粧料に、疎水化処理がなされていない酸化チタン粉を配合する場合には、前記乳化工程は、疎水化処理がなされていない酸化チタン粉を多価アルコールに分散させる第1乳化工程と、該第1乳化工程で得られた分散液に多糖類溶液を加えて混合する第2乳化工程と、該第2乳化工程で得られた分散液に高級アルコールと、高級アルコールを除く油性成分とを加えて混合する第3乳化工程とからなることが好ましい。
化粧料に、疎水化処理がなされていない酸化チタン粉を配合する場合には、このような乳化工程を行えば、乳化を迅速かつ確実に行うことができる。また、この工程で用いる多価アルコールは、皮膚への保湿成分としての役割を果たすこともできる。
これに対して、化粧料に、疎水化処理がなされている酸化チタン粉を配合する場合には、前記乳化工程は、多価アルコールに多糖類溶液を加えて溶解する溶解工程と、該溶解工程で得られた溶液に、疎水化処理された酸化チタン粉と、高級アルコールと、高級アルコールを除く油性成分とを加えて混合する分散工程とからなることが好ましい。
化粧料に、疎水化処理がなされている酸化チタン粉を配合する場合には、このような乳化工程を行えば、乳化を迅速かつ確実に行うことができる。
本発明を実施することにより、乳化分散の経時安定性に優れ、汗による酸化チタンの流れ落ち・化粧落ちが少なく、使用時のべとつき感が無く、使用後も石けんで容易に洗い流すことができる紫外線防止用の化粧料が得られる。
多糖類からなる微粒子の模式断面図である。 多糖類の微粒子が油滴の周りに付着した状態を示す模式断面図である。 油滴の周りに付着した多糖類の微粒子が水素結合によって繋がった三次元網目構造を示す模式図である。 多糖類の微粒子が水素結合によって繋がった三次元網目構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。 含水アルミナの熱分析結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の乳化状態の化粧料において、乳化分散剤として加えられる多糖類は、主鎖を構成する単糖類としてグルコース、グルクロン酸及びラムノースを含み、側鎖を構成する単糖類としてフコース又はマンノースを含む。このような多糖類の例として、下記式(化2)に示される多糖類が挙げられる。
上記式(化2)に示される多糖類は、アルカリゲネス レータスB−16株細菌(FERM BP−2015)の産生物として得ることができる。アルカリゲネス レータスB−16株細菌は、通常の微生物培養方法で培養され、培養後、該培養液にアセトン、エタノール、イソプロピルアルコールなどの有機溶媒を添加すると産出多糖類が不溶解物として析出する。微生物は一般に2種以上の多糖類を産生することが多いが、本発明の効果を妨げるものでなければ、本発明で用いる多糖類に上記式(化2)に示される多糖類以外の多糖類が含まれていても差し支えない。例えば、アルカリゲネス レータスB−16株細菌の産出多糖類には少なくとも2種の多糖類が含まれていることが確かめられており、培養液から分離した多糖類の構成単糖類比率はモル比でフコース:グルコース:グルクロン酸:ラムノース=1:(0.5〜4):(0.5〜2):(0.5〜2)であるが、この粗製多糖類は2種の多糖類から構成されており、一方は、上記一般式(化2)に示すグルコース、グルクロン酸、ラムノースからなる繰返し構造の主鎖中にある1つのグルコースに1つのフコースが分岐した構造を有する多糖類であり、他方はフコースとマンノースを繰り返し単位とする多糖類である。前者は、本発明の多糖類であり、フコース:グルコース:グルクロン酸:ラムノースの単糖構成比は1:2:1:1であり、分子量は10〜10程度の高分子成分である〔1998年度日本農芸化学会大会要旨集、371頁参照〕。後者は、フコースとマンノースが1:1の繰り返し構造の多糖類であり、分子量が10〜10の低分子成分である〔Y.Nohata,J.Azuma,R.Kurane,Carbohydrate Research 293,(1996)213〜222参照〕。この低分子成分は、前記高分子成分と共存していても本発明の効果を妨げるものでない。アルカリゲネス レータスB−16株細菌から得られる多糖類は、「アルカシーラン」(商品名);伯東(株)製、〔INCIname:Alcaligenes Polysacchaides、伯東(株)製〕として市販されている。
また、アルカリゲネス レータスB−16株細菌(FERM BP−2015)の代わりに、スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−011株細菌(FERM BP−08582)又はスフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−012株細菌(FERM BP−08579)を使用しても、上記化学式(化2)で示された多糖類を得ることができる。
さらには、多糖類としてウエランガム(CPケルコ社製)やダイユータンガム(CPケルコ社製)等を用いることもできる。これらの多糖類は、主鎖がグルクロン酸、グルコース及びラムノースからなり、側鎖はラムノースとされている。
また、本発明の乳化状態の化粧料の製造方法では、酸化チタン被覆工程において、酸化チタン微粒子の表面に含水ケイ酸及び/又は含水アルミナを被覆する。含水ケイ酸及び/又は含水アルミナの量は、酸化チタンに対して、酸化物に換算した総量で表して0.1重量%〜100重量%の範囲であり、好ましくは5重量%〜20重量%の範囲である。
本発明で用いる酸化チタン粉は以下のようにして製造することができる。まず、150〜220g/lの硫酸チタン水溶液又は四塩化チタン水溶液を5〜30℃に保持しながら水酸化ナトリウムなどのアルカリ溶液で中和してコロイド状の非晶質水酸化チタンを析出させる。必要に応じてこのコロイド状水酸化チタンを60〜80℃で1〜10時間熟成させてもよい。こうして得られた含水酸化チタンを水などの溶媒に懸濁してスラリーとし、さらには、水などの溶媒に分散してゾルとする。
そして、酸化チタン被覆工程では、該ゾルに、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウムなどの水溶性のアルミニウム塩を水に溶解して加える、あるいはケイ酸ナトリウムなどのケイ素の水溶性塩を水に溶解して加える、さらには、その両方を加えても良い。そして、pHを調節して含水ケイ酸及び/又は含水アルミナを析出させ、含水酸化チタンの表面に含水ケイ酸及び/又は含水アルミナを被覆させる。さらにこの工程を詳述すれば、例えば、必要に応じて酸化チタン(TiO2)濃度を50〜300g/lに調整した含水酸化チタンを含む分散液を40〜90℃、好ましくは60〜80℃の温度範囲に加熱しながら、この中にアルミニウムまたは、ケイ素の水溶性塩を添加し、次に水酸化ナトリウム、アンモニア水等のアルカリ性水溶液を添加して、好ましくはpHを6〜8に調整し中和する。
前記工程におけるアルミニウムまたはケイ素の水溶性塩の含水酸化チタンに対する添加量は適宜調整すればよいが、一般的には、酸化チタンに対して、アルミニウムまたはケイ素の酸化物に換算した総量で表して0.1重量%〜100重量%の範囲、好ましくは5重量%〜20重量%の範囲に調整することができる。
こうして、酸化チタン被覆工程を終えた後、熱処理工程として、表面被覆した酸化チタン粉を200℃〜900℃で熱処理する。熱処理の方法については特に限定はなく、種々の方法によって行うことができる。例えば、電気炉、トンネルキルン、ロータリーキルンなどを用いることができる。この熱処理工程によって、含水ケイ酸や含水アルミナは、脱水して緻密な網目構造を形成する。なお、必要に応じて、焼成して得られた生成物を粉砕してもよく、粉砕はサンドミル、ペブルミル、ディスクミルなどによる湿式粉砕、流体エネルギーミル、ハンマーミル、エッジランナーミルなどによる乾式粉砕により行うことができる。
こうして焼成工程を終えた表面被覆された酸化チタン粉の表面を疎水化処理することも好ましい。疎水化処理を行うことにより、酸化チタン粉の化粧料への分散性および塗膜の耐久性を一層向上させることができる。疎水化処理の方法としては、酸化チタン粉に吸着、結合させる湿式方式や、酸化チタン粉を粉砕する際に親油性の有機物を添加し、酸化チタン粉の表面に付着する乾式方式を用いることができる。疎水化処理を行うための有機物としては、ポリシロキサン、脂肪酸などを用いることができる。有機物の添加量は、疎水化処理の目的に応じて適宜調整すればよいが、通常、酸化チタンに対して、有機物総量で表して0.1〜20重量%の範囲が適当である。湿式方式により得られた生成物は必要に応じて、分別、洗浄、乾燥あるいは粉砕などを行ってもよい。
本発明の乳化状態の化粧料の製造方法における乳化工程では、多糖類溶液と、高級アルコールを化粧料の全量に対して0.8重量%〜20重量%に相当する量と、油性成分を化粧料の全量に対して0.5重量%〜30重量%に相当する量と、前記の熱処理された酸化チタン粉を化粧料の1重量%〜20重量%の相当する量とを混合して60℃以上に加温しながら撹拌して乳化液とすることが好ましい。乳化に際しては、強いシェアーをかけることが好ましく、ホモジナイザー(例えば、撹拌部がTKホモミキサーMARKII2.5型であるTKロボミックス、特殊機化工業株式会社製)やディスパーザー(例えば、撹拌部がTKホモディスパーザー2.5型であるTKロボミックス、特殊機化工業株式会社製)を用いることが好ましい。乳化工程における撹拌時間は撹拌装置や液量によって異なり、適宜調整すればよいが、通常10分〜60分程度である。攪拌をそのまま続けた状態で、冷却を開始する。冷却時間は装置、液量により異なるが、10分〜60分かけ常温にする。こうして本発明の乳化状態の化粧料を得ることができる。
酸化チタン粉の配合量としては、化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%が好ましく、望ましくは3重量%〜15重量%、更に望ましくは5重量%〜12重量%である。1重量%未満では十分な紫外線防止効果が得られない。また20重量%を超える場合には、紫外線防止効果は得られるが、塗布後に白浮きしてしまい、化粧品としての美観を損なう。油性成分の配合量は0.5重量%〜30重量%であり、望ましくは3重量%〜25重量%、更に望ましくは5重量%〜20重量%である。0.5重量%以下では、十分な耐水性が得られない。また30重量%以上では、耐水性は得られるものの塗布後のべたつきが生じてしまい、化粧品としての使用感が悪くなる。
また、本発明の化粧料では、保湿剤や防腐剤や酸化防止剤や色素等の各種成分を配合させることができる。それらの各種成分の種類及び量によっては、本発明の多糖類と高級アルコールを2種類以上配合した場合だけでは安定性が不十分な場合がある。特に表面活性を持つ粉体であるセラミド粉や酸化亜鉛粉やマイカ粉等を添加する場合や、析出しやすいアスコルビン酸リン酸マグネシウム塩やアスコルビン酸グルコシド等を配合した場合はその影響が大きい。その場合は、本発明の多糖類と高級アルコールを2種以上配合するとともに、安定した乳化状態を得るために、クエン酸及び/又はクエン酸塩の1種以上を化粧料の全量に対して0.01重量%〜1重量%配合させることが好ましい。クエン酸やクエン酸塩の配合方法としては、多糖類の水溶液にあらかじめクエン酸やクエン酸塩を溶解させておくことが好ましい。こうであれば、後から添加する成分に、プラスにチャージする成分が存在する場合でも、先に添加されたクエン酸及び/又はクエン酸塩がプラスのチャージをマイナスのチャージにするため、マイナスのチャージを有する多糖類と反発し、分散状態が安定化することとなる。
また乳化状態をさらに安定化させるために、親水性成分を添加しても良い。このような親水性成分としては、アミノ酸、糖およびその誘導体、親水性ポリマー、低分子1価アルコール、低分子多価アルコール等が挙げられる。
アミノ酸としては、例えばアスパラギン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、イソロイシン、オルチニン、グルタミン、グリシン、グルタミン酸及びその誘導体並びにそれらの塩、システイン、シスチン、シトルリン、スレオニン、セリン、チロシン、トリプトファン、テアニン、バリン、ヒスチジン、ヒドロキシリジン、ヒドロキシプロリン、ピロリドンカルボン酸及びその塩等が挙げられる。
糖およびその誘導体としては、ハチミツ、エリスリトール、マルトース、マルチトール、キシリトール、キシロース、ペンタエリスリトール、フルクトース、デキストリン及びその誘導体、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、トレハロース、ブドウ糖、POEメチルグルコシド、加水分解水添デンプン、グルコシドトレハロース等が挙げられる。
また、親水性ポリマーとしては、例えばキサンタンガム、アラビアゴム、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、フコイダン、クインシードガム、トラントガム、ローカストビーンガム、ガラクトマンナン、カードラン、ジェランガム、フコゲル、カゼイン、ゼラチン、デンプン、コラーゲンなどの天然高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、セルロース結晶体、デンプン・アクリル酸ナトリウムグラフト重合体、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの半合成高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキシドなどの合成高分子などが挙げられる。
このほか、ベントナイト、ラポナイト、ヘクトライトなどの無機鉱物などを併用することもできる。
また、低分子1価アルコールとしてはエタノール等、低分子多価アルコールとしては、、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ブタノール、プロパノール、ペンタンジオール、オクタンジオール、1−(2−エチルヘキシル)グリコールエーテル等が挙げられる。
本発明の化粧料は、その使用目的により種々のものがあり、従って必要によりさらに、薬品類、医薬部外品類、化粧品類などに配合される成分である精製水、温泉水、深層水、増粘剤、色素、保湿剤、収れん剤、美白剤、紫外線防止剤、抗炎症(消炎)剤、皮膚(細胞)賦活化剤、抗菌剤、経皮吸収促進剤、清涼剤、酸化防止剤、防腐剤、キレート剤、褪色防止剤、緩衝剤などが任意に加えられる。本発明は、その目的とする効果を妨げない範囲でこれら各種添加剤の配合することを制限するものではない。
また、本発明の化粧料は、本発明の効果を損なわない範囲内で、外用剤の他、内服剤、注射剤等、種々の形態の製剤とすることができるが、通常は、医薬品、医薬部外品、化粧品等の外用剤として用いることが好ましい。また、化粧料として用いる場合の製剤の形態(剤型)については特に制限されず、溶液状、ペースト状、ゲル状、固体状、粉状等任意の剤型をとることができる。
また、本発明の化粧料を日焼け止め化粧料として用いる場合には、オイル、ローション、クリーム、乳液、ゲル、シャンプー、ヘアリンス等を添加しても良い。さらに、ヘアコンディショナー、エナメル、ファンデーション、リップスティック、おしろい、パック、軟膏、錠剤、注射液、顆粒、カプセル、パウダー、歯磨、石けん、エアゾル、クレンジングフォーム等に用いることができる。
以下、本発明を具体化した実施例を比較例と比較しつつ詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1の化粧料は、表1に示す組成の化粧料である。この表においてa区分は多価アルコール及び含水ケイ酸・含水アルミナ被覆熱処理酸化チタンであり、b区分は高級アルコール及び高級アルコール以外の油性成分であり、c区分は多糖類水溶液である。
上記成分中、多糖類(A−1)は、アルカリゲネス レータスB−16株細菌(FERM BP−2015)の産出する多糖類の粗製品であり、以下のようにして調製した。
すなわち、グルコース〔和光純薬工業(株)製、試薬〕40.0g、リン酸水素二カリウム〔和光純薬工業(株)製、試薬〕4.0g、リン酸二水素カリウム〔和光純薬工業(株)製、試薬〕2.0g、塩化ナトリウム〔和光純薬工業(株)製、試薬〕0.1g、硫酸マグネシウム〔和光純薬工業(株)製、試薬〕0.2g、硝酸カリウム〔和光純薬工業(株)製、試薬〕1.0g、イーストエキストラクト〔オキソイド(OXOID)社製〕1.5gをイオン交換水に溶解し、水酸化ナトリウムあるいは硫酸を用いpH6.5に調整し、全量を1000mLとした。この水溶液150mLを500mLの三角フラスコに取り、オートクレーブにより加熱滅菌(121℃、15分間)した後、室温まで戻し、アルカリゲネス レータスB−16株細菌(FERM BP−2015)を1白金耳接種し、30℃にて6日間振とう培養(180rpm)した。培養終了後、培養物に約3倍容量のイソプロピルアルコールを加えて攪拌混合し、析出した凝集物を濾過、回収、減圧下にて乾燥してアルカリゲネス レータスB−16株細菌の産出多糖類(A−1)を得た。この多糖類は、HNMR及び13CNMRによる分析から、下記化学式(化3)に示す2種類の多糖類を含んでいることが分かっており、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースをモル比1:2:1:1で構成される多糖類を主成分とし、この他フコースとマンノースをモル比1:1で構成される多糖類を含み、その存在比は7:1(重量比)である。尚、構成単糖類は、多糖類を硫酸で加水分解した後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。
また、上記表中の含水ケイ酸・含水アルミナ被覆熱処理酸化チタン(B−1)は、以下のように酸化チタン被覆工程及び熱処理工程を経て調製したものである。
<酸化チタン被覆工程>
四塩化チタン300gを1Lの純水に室温で溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより、コロド状の非晶質水酸化チタンを析出させ、さらに室温で1時間放置させることにより、ルチル型の微小酸化チタンゾルを得た。この微小酸化チタンゾルを攪拌しながら温度を80℃まで上げ、この温度を維持しながらケイ酸ナトリウムの50重量%水溶液を8g添加した。次いでアルミン酸ナトリウム30重量%水溶液を0.5g添加した後、硫酸(1規定)にて、60分間かけてpHが7.5前後になるまでゆっくりと添加した。そして、室温で1時間撹拌することにより、微小酸化チタンゾルが含水シリカ及び含水アルミナで表面被覆された酸化チタンの微粒子を得た。
<熱処理工程>
熱処理工程として、上記酸化チタン被覆工程で得られた含水シリカ及び含水アルミナで表面被覆された酸化チタン微粒子からなる洗浄ケーキを450℃で3時間焼成した後、ハンマータイプミルで粉砕して、親水性の含水ケイ酸・含水アルミナ被覆熱処理酸化チタン粉を得た。粒径は0.05から1μmの間に分布し、平均粒径は0.2μmであった。
<多糖類溶液調製工程>
上記多糖類(A−1)を精製水に加えて80℃に加温し、ディスパーザーによって撹拌混合して、c区分の多糖類(A−1)溶液とする。
<第1乳化工程>
そして、第1乳化工程として、上記a区分の成分(すなわち多価アルコールと含水ケイ酸・含水アルミナ被覆熱処理酸化チタン(B−1))を計量し、80℃に加温して撹拌し、酸化チタン分散液とした。
<第2乳化工程>
次に第2乳化工程として、多糖類溶液調製工程で得られた多糖類(A−1)溶液と、第1乳化工程で得られた酸化チタン分散液とをホモジナイザー又はホモミキサーを用いて8000rpmで混合撹拌を行い、第2乳化工程の乳化液を得た。
<第3乳化工程>
そして、さらに第3乳化工程として上記b区分の成分(すなわち高級アルコールとしてヘキサデカノール及びオクタデカノールの混合物及びその他の油性成分)を第2乳化工程の乳化液に徐々に添加し、10分間攪拌を継続して第3乳化工程の乳化液を得た。
<冷却工程>
最後に、冷却工程として、第3乳化工程で得られた乳化液を室温まで冷却して、実施例1の化粧料を得た。
(実施例2)
実施例2では、実施例1において使用した多糖類(A−1)に替えて、多糖類(A−2)を用いた。この多糖類(A−2)は、多糖類(A−1)を以下に示す方法で精製したものである。
すなわち、多糖類(A−1)の0.5重量%水溶液を準備し、水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを12に調整する。そして、この溶液をイオン交換樹脂「ダイヤイオンHPA−75(OH−)」(商品名)(日本錬水(株)製)のカラムを用いて8Ru以下で処理し、さらに濾過助剤「ラジオライトRL700」及び5μmメンブランフイルターで濾過を行い、タンパク質、核酸、微生物類等を除去した。こうして得られた濾液に希塩酸を添加してpHを7としてから減圧濃縮し、濃縮液にアセトンを加えることによって多糖類を沈澱させ、ろ別する。こうして得た多糖類を10倍量のアセトンで洗浄し、精製された多糖類(A−2)を得た。この多糖類(A−2)は、HNMR及び13CNMR等による分析から、フコース:グルコース:グルクロン酸:ラムノース=1:2:1:1で構成されていることが分かった。また、GPCによる分子量測定の結果、分子量は約5,000万であった。
多糖類(A−2)を用いたこと以外は実施例1の化粧料と同様であり、説明を省略する。
(実施例3)
実施例3では、実施例1において使用した多糖類(A−1)に替えて、多糖類(A−3)を用いた。この多糖類(A−3)は、市販の多糖類(「アルカシーラン」(商品名);伯東(株)製)〔INCIname:Alcaligenes Polysacchaides、伯東(株)製〕をそのまま用いた。
この多糖類(A−3)は、フコース:グルコース:グルクロン酸:ラムノースの単糖構成比が1:2:1:1であり、分子量は10〜10程度の多糖類と、フコースとマンノースが1:1の繰り返し構造であって、分子量が10〜10の多糖類との混合物である。
多糖類(A−3)を用いたこと以外は実施例1の化粧料と同様であり、説明を省略する。
(実施例4)
実施例4では、実施例1において使用した多糖類(A−1)に替えて、多糖類(A−4)を用いた。この多糖類(A−4)は、スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−011株細菌(FERM BP−08582)の産出する多糖類の粗製品であり、以下のようにして調製した。
すなわち、下記組成の培地50Lを、マルビシエンジニアリング社製の90Lの発酵槽に入れ、滅菌後、スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−011株細菌(FERM BP−08582)を接種し、培養を行った。
<培地の組成>(1リットル当たり)
グルコース 〔和光純薬工業(株)製〕 4.00g
リン酸水素二カリウム〔和光純薬工業(株)製〕 0.40g
リン酸二水素カリウム〔和光純薬工業(株)製〕 0.20g
塩化ナトリウム 〔和光純薬工業(株)製〕 0.01g
硫酸マグネシウム 〔和光純薬工業(株)製〕 0.02g
硝酸カリウム 〔和光純薬工業(株)製〕 0.10g
イーストエキストラクト
[「Hy−Yeast 142」(商品名);シグマ社製]
0.15g
発酵槽の攪拌羽にはタービン攪拌羽根を用いて、700rpm〜800rpmの範囲で撹拌し、通気量は1vvm〜2vvmの範囲とした。pHは6.5±0.4の範囲となるようにNaOHの1N水溶液を使用してコントロールした。また、培養温度は、30±0.2℃でコントロールを行った。培養は6日間行った。培養終了後、培養物に約3倍容量のイソプロピルアルコールを加えて攪拌混合し、析出した凝集物を濾過、回収、減圧下にて乾燥してスフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−011株細菌の産出多糖類(A−4)を得た。このようにして得られた多糖類(A−4)は、HNMR及び13CNMRの測定、及び多糖類を硫酸で加水分解した後の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析結果から、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースをモル比1:2:1:1で構成される多糖類を主成分とし、この他ラムノースとマンノースをモル比2:1で構成される多糖類を含むことが分かった。
多糖類(A−4)を用いたこと以外は実施例1の化粧料と同様であり、説明を省略する。
(実施例5)
実施例5では、実施例1において使用した多糖類(A−1)に替えて、多糖類(A−5)を用いた。この多糖類(A−5)は、スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−011株細菌に替えて、スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−012株細菌(FERM BP−08579)を用いたこと以外は、多糖類(A−4)と同様の方法で調製しており、詳細な説明を省略する。多糖類(A−5)について、HNMR及び13CNMRの測定、及び多糖類を硫酸で加水分解した後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析を行なった結果、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースをモル比1:2:1:1で構成される多糖類を主成分とし、この他フコースとマンノースをモル比1:1で構成される多糖類を含むことが分かった。
多糖類(A−5)を用いたこと以外は実施例1の化粧料と同様であり、説明を省略する。
(実施例6)
実施例6では、実施例1において使用した多糖類(A−1)に替えて、多糖類(A−6)を用いた。この多糖類(A−6)は、実施例4で用いた多糖類(A−4)を以下のようにして精製したものである。
すなわち、多糖類(A−4)の0.5重量%水溶液に、水酸化ナトリウムを0.02重量%濃度となるように添加し、一晩撹拌を行い、多糖類を分散させた。そして、121℃、10分間の条件で加熱して溶解させた。次に、遠心分離(40,000G、40分)を行うことによって菌体を除去した。菌体除去の確認は、上清の透明度で判断した。そして、濾過助剤「ラジオライトRL700」及び5μmメンブランフイルターで濾過を行ない、ろ過残渣を得た。こうして得られたろ過残渣に再度、体積として約100倍量の純水を足し、撹拌した後、再濾過をおこなう。この操作を5回繰り返し水不溶成分の脱塩を行なった。メンブレンフィルターシステムによりある程度脱水したゲル状の水不溶成分をそのまま常温減圧乾燥し、多糖類(A−6)(精製品)を得た。
多糖類(A−6)を用いたこと以外は実施例1の化粧料と同様であり、説明を省略する。
(実施例7)
実施例7では、実施例1において使用した多糖類(A−1)に替えて、多糖類(A−7)を用いた。この多糖類(A−7)は、実施例5で用いた多糖類(A−5)を実施例6と同様の方法で精製したものである。
多糖類(A−7)を用いたこと以外は実施例1の化粧料と同様であり、説明を省略する。
(比較例1)
比較例1では、実施例1において使用した含水ケイ酸・含水アルミナ被覆熱処理酸化チタン(B−1)に替えて、熱処理前の含水ケイ酸・含水アルミナ被覆非熱処理酸化チタンを用いた。この含水ケイ酸・含水アルミナ被覆非熱処理酸化チタンの製造方法は、以下の通りである。すなわち、四塩化チタン300gを1Lの純水に室温で溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液で中和することで、コロド状の非晶質水酸化チタンを析出させた。そのまま室温で1時間放置することによりルチル型の微小酸化チタンゾルを得た。この微小酸化チタンゾルを攪拌しながら80℃に昇温し、この温度を維持しながら、ケイ酸ナトリウム50重量%水溶液を8g添加した。次いでアルミン酸ナトリウム30重量%水溶液を0.5g添加した後、硫酸(1規定)にて、60分間かけてpHが7.5前後になるまでゆっくりと中和した。そのまま室温にて、1時間撹拌することで、含水シリカ及び含水アルミナで表面被覆された親水性の酸化チタンを得た。これを200メッシュのナイロンにて濾過し、純水にて3回洗浄を行い、乾燥したのち、ハンマータイプミルで粉砕して含水ケイ酸・含水アルミナ被覆非熱処理酸化チタン微粒子を得た。このものの粒径は0.05から1μmの間に分布し、平均粒径は0.2μmであった。
その他については実施例1の化粧料と同様であり、説明を省略する。
(比較例2)
比較例2では、実施例1において使用した含水ケイ酸・含水アルミナ被覆熱処理酸化チタンに替えて、熱処理がなされていない含水ケイ酸・含水アルミナ被覆非熱処理酸化チタン(「MT−100SA」(商品名);テイカ(株)製)を用いた。
その他については実施例1の化粧料と同様であり、説明を省略する。
(比較例3)
比較例3では、実施例1に用いたc区分の多糖類(A−1)を除き、替わりにa成分として界面活性剤であるショ糖ミリスチン酸ナトリウム(「M−160」(商品名);第一工業製薬(株)製)を1重量%加えた。
この場合、実施例1の<多糖類溶液調製工程>は無くなり、<第2乳化工程>は次のようになる。
<第2乳化工程>
次に第2乳化工程として、第1乳化工程で得られた酸化チタン分散液とc区分の精製水をホモジナイザー又はホモミキサーを用いて8000rpmで混合撹拌を行い、第2乳化工程の乳化液を得た。
その他については実施例1の化粧料と同様であり、説明を省略する。
(実施例8)
実施例8の化粧料は、表2に示す組成の化粧料である。この表においてa区分は多価アルコールであり、b区分はステアリン酸によって疎水化処理されたステアリン酸被覆熱処理酸化チタン(B−2)と、高級アルコールと、高級アルコール以外の油性成分であり、c区分は多糖類(A−3)(「アルカシーラン」(商品名);伯東(株)製)〔INCIname:Alcaligenes Polysacchaides、伯東(株)製〕水溶液である。
上記表2中、ステアリン酸被覆熱処理酸化チタンB−2は、以下のように酸化チタン被覆工程、熱処理工程及び疎水化処理工程を経て調製したものである。
<酸化チタン被覆工程>
四塩化チタン300gを1Lの純水に室温で溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより、コロド状の非晶質水酸化チタンを析出させ、さらに室温で1時間放置させることにより、ルチル型の微小酸化チタンゾルを得た。
次に微小酸化チタンゾルのスラリーを加熱し70℃とし、撹拌しながら硫酸アルミニウムの40重量%水溶液26gを30分間かけて少しずつ添加した。さらに水酸化ナトリウム20重量%溶液をpH7になるまで添加することで、含水アルミナを微小酸化チタンの表面に被覆させた。室温にて1時間放置後、200メッシュのナイロンにて濾過し、純水にて3回洗浄を行った。
<熱処理工程>
こうして得られた洗浄ケーキを450℃で3時間焼成した。さらに焼成した酸化チタンを500mlの純水中に分散させた後、サンドミルで湿式粉砕して、酸化チタン微粒子のスラリーとした。
<疎水化処理工程>
このスラリーを70℃に加熱攪拌し、そこに70℃に加熱したステアリン酸ナトリウム3gを投入し溶解させた。30分間攪拌をした後、30℃まで冷却してステアリン酸を該酸化チタン粒子上に被覆させた。これを200メッシュのナイロンにて濾過し、純水にて3回洗浄を行い、乾燥したのち、ハンマータイプミルで粉砕して親油性(疎水性)のステアリン酸被覆熱処理酸化チタンの微粒子を得た。粉砕後の被覆粉体粒径は0.05から1μmの間に分布し、平均粒径は0.2μmであった。
<多糖類溶液調製工程>
上記多糖類(A−3)を精製水に加えて溶解し80℃に加温後、ディスパーザーによって撹拌混合して、c区分の多糖類(A−3)溶液とする。
<溶解工程>
そして溶解工程として、上記区分aの成分(すなわち多価アルコール)を計量して80℃に加温し、さらに80℃に加温しておいた多糖類(A−3)溶液を加え、ホモジナイザー又はホモミキサーを用いて8000rpmで混合撹拌を行う。
<分散工程>
次に分散工程として、上記b区分の成分(すなわちステアリン酸被覆熱処理酸化チタン、高級アルコールとしてエイコサノール及びドコサノールの混合物、及びその他の油性成分)を80℃に加温して分散させた液を上記溶解工程で得られた液に徐々に添加し、10分間攪拌を継続して乳化液とする。
<冷却工程>
最後に、冷却工程として、分散工程で得られた乳化液を室温まで冷却して、実施例8の化粧料を得た。
(比較例4)
比較例4では、実施例8において使用したステアリン酸被覆熱処理酸化チタンに替えて、熱処理がなされておらず、ステアリン酸によって疎水化処理のみがなされたステアリン酸被覆非熱処理酸化チタン(B−5)を用いた。以下にステアリン酸被覆非熱処理酸化チタン(B−5)の製造方法を以下に示す。
すなわち、四塩化チタン300gを1Lの純水に室温で溶解し、さらに水酸化ナトリウム水溶液で中和して、コロド状の非晶質水酸化チタンを析出させる。そして、さらに室温で1時間放置させることにより、ルチル型の微小酸化チタンゾルを得た。この微小酸化チタンゾルのスラリーを70℃に加熱し、硫酸アルミニウムの40重量%水溶液26gをよく攪拌しながら、30分間かけて添加した。さらに水酸化ナトリウム20重量%溶液をpH7になるまで添加することで、含水アルミナを微小酸化チタン表面に被覆させた。次に、このスラリーを70℃に加熱し、ステアリン酸ナトリウム3gを70℃に保ちながらよく攪拌しながら投入し溶解させた。そして、30分間攪拌をした後、30℃まで冷却してステアリン酸を該酸化チタン粒子上に被覆させた。この分散液を濾過し、洗浄し、乾燥したのち、ハンマータイプミルで粉砕して親油性(疎水性)のステアリン酸被覆非熱処理酸化チタンの微粒子を得た。粉砕後の被覆粉体粒径は0.05から1μmの間に分布し、平均粒径は0.2μmであった。
その他の化粧料の製造方法については、実施例8の化粧料と同様であり、説明を省略する。
(比較例5)
比較例5では、実施例8において使用したステアリン酸被覆熱処理酸化チタンに替えて、含水アルミナで被覆後、熱処理することなくステアリン酸被覆して疎水化処理がなされ非熱処理酸化チタン(B−6)(「MT−01」(商品名);テイカ(株)製)を用いた。
その他の化粧料の製造方法については、その他については実施例8の化粧料と同様であり、説明を省略する。
(実施例9)
実施例9の化粧料は、表3に示す組成の化粧料である。この表においてa区分は多価アルコールであり、b区分はポリシロキサンによって疎水化処理されたポリシロキサン被覆熱処理酸化チタン(B−3)と、高級アルコールと、高級アルコール以外の油性成分とからなり、c区分は多糖類(A−3)(「アルカシーラン」(商品名);伯東(株)製)〔INCIname:Alcaligenes Polysacchaides、伯東(株)製〕水溶液である。
上記表3中、ポリシロキサン被覆熱処理酸化チタン(B−3)は、実施例8におけるステアリン酸被覆熱処理酸化チタン(B−2)と同様の方法で酸化チタン被覆工程及び熱処理工程を行って含水アルミナ被覆熱処理酸化チタンを得た後、この含水アルミナ被覆熱処理酸化チタンに対して、以下に示す疎水化処理工程を行って調製した。
<疎水化処理工程>
上記、含水アルミナ被覆熱処理酸化チタンを500mlの純水中に分散させた後、サンドミルで湿式粉砕して、酸化チタン微粒子のスラリーとした。この酸化チタン微粒子のスラリーをヘンシェルミキサーで攪拌しながら、メチル水素ポリシロキサンを6g添加した後、150℃で加熱処理をすることで、酸化チタン粒子上にポリシロキサンを被覆させた。加熱処理後の酸化チタン粒子をハンマータイプミルで粉砕して親油性(疎水性)のポリシロキサン被覆熱処理酸化チタン(B−3)を得た。粉砕後の被覆粉体粒径は0.05から1μmの間に分布し、平均粒径は0.2μmであった。
<多糖類溶液調製工程>
上記多糖類(A−3)を精製水に加えて溶解し80℃に加温後、ディスパーザーによって撹拌混合して、c区分の多糖類(A−3)溶液とする。
<溶解工程>
そして溶解工程として、上記区分aの成分(すなわち多価アルコール)を計量して80℃に加温し、さらに80℃に加温しておいた多糖類(A−3)溶液を加え、ホモジナイザー又はホモミキサーを用いて8000rpmで混合撹拌を行う。
<分散工程>
次に分散工程として、上記b区分の成分(すなわちポリシロキサン被覆熱処理酸化チタン(B−3)、高級アルコールとしてオクタデカノール及びドコサノールの混合物、及びその他の油性成分)を80℃に加温して分散させた液を上記溶解工程で得られた液に徐々に添加し、10分間攪拌を継続して乳化液とする。
<冷却工程>
最後に、冷却工程として、分散工程で得られた乳化液を室温まで冷却して、実施例9の化粧料を得た。
(比較例6)
比較例6の化粧料は、表4に示す組成の化粧料である。この表においてa区分は多価アルコール、界面活性剤としてのショ糖ミリスチン酸エステル、及び精製水からなり、b区分はジメチルポリシロキサン−メチルポリシロキサン共重合体で疎水化処理されたジメチコン/メチコン コポリマー被覆酸化チタン(B−8)と各種ポリシロキサンからなり、c区分は油性成分からなっている。
上記比較例6の化粧料は以下のようにして製造した。
(1)b区分のジメチルポリシロキサン−メチルポリシロキサン共重合体で疎水化処理されたジメチコン/メチコン コポリマー被覆酸化チタン(B−8)及び各種ポリシロキサンを80℃で混合する。
(2)c区分の油性成分を計量し、80℃にて混合して均一溶液とする。
(3)a区分の多価アルコール、界面活性剤としてのショ糖ミリスチン酸エステル、及び精製水を計量し、80℃にて混合して均一溶液とする。
(4)b区分のジメチコン/メチコン コポリマー被覆酸化チタン(B−8)分散液にa区分の多価アルコール及びショ糖ミリスチン酸エステル水溶液を少しずつ加えて分散液を得る。
(5)手順(4)で得た分散液を撹拌しつつ、c区分の油性成分溶液を徐々に添加し、添加終了後さらに10分間攪拌を継続した後、室温まで冷却して比較例6の化粧料を得た。
(実施例10)
実施例10の化粧料は、表5に示す組成の化粧料である。この表においてa区分は多価アルコール及び親水性の含水ケイ酸・含水アルミナ被覆熱処理酸化チタン(B−1)であり、b区分は高級アルコール及び油性成分からなり、c区分は多糖類(A−3)(「アルカシーラン」(商品名);伯東(株)製)〔INCIname:Alcaligenes Polysacchaides、伯東(株)製〕)水溶液にクエン酸ナトリウムが添加されており、d区分はL−アスコルビン酸グルコシド及びL−アルギニンの水溶液である。
実施例10の化粧料は以下のようにして製造した。
<多糖類溶液調製工程>
上記多糖類(A−3)とクエン酸ナトリウムを精製水に加えて80℃に加温後、ディスパーザーによって撹拌混合して、c区分の多糖類(A−3)溶液とする。
<第1乳化工程>
そして、第1乳化工程として、上記区分aの成分(すなわち多価アルコールと含水ケイ酸・含水アルミナ被覆熱処理酸化チタン(B−1))を計量し、80℃に加温して撹拌し、酸化チタン分散液とする。
<第2乳化工程>
次に第2乳化工程として、多糖類溶液調製工程で得られた多糖類(A−3)溶液と、第1乳化工程で得られた酸化チタン分散液とをホモジナイザー又はホモミキサーで、8000rpmで混合撹拌を行う。
<第3乳化工程>
そして、さらに第3乳化工程として上記b区分の成分(上記各種高級アルコールの混合物及びその他の油性成分)を第2乳化工程の乳化液に徐々に添加し、10分間攪拌を継続して第3乳化工程の乳化液を得た。
<冷却工程>
最後に、冷却工程として、第3乳化工程で得られた乳化液を室温まで冷却し、さらにd区分の溶液を加えて撹拌混合し、実施例10の化粧料を得た。
(実施例11)
実施例11では、実施例10において使用したc区分のクエン酸ナトリウムの替わりに、クエン酸カリウムを同量用いた。それ以外は実施例10の化粧料と同様であり、説明を省略する。
(実施例12)
実施例12では、実施例10において使用したc区分のクエン酸ナトリウムの替わりに、クエン酸を同量用いた。それ以外は実施例10の化粧料と同様であり、説明を省略する。
(実施例13)
実施例13では、実施例10において使用したc区分のクエン酸ナトリウムを添加しなかった。それ以外は実施例10の化粧料と同様であり、説明を省略する。
(実施例14)
実施例14の化粧料は、表6に示す組成の化粧料である。この表においてa区分は多価アルコール及び防腐剤としてのメチルパラベンであり、b区分はステアリン酸によって疎水化処理されたステアリン酸被覆熱処理酸化チタン(B−2)と、高級アルコールと、高級アルコール以外の油性成分であり、c区分は多糖類(A−3)(「アルカシーラン」(商品名);伯東(株)製)〔INCIname:Alcaligenes Polysacchaides、伯東(株)製〕)及びクエン酸ナトリウムを含有する水溶液であり、d区分はL−アスコルビン酸グルコシド及びL−アルギニン水溶液である。
実施例14の化粧料は以下のようにして製造した。
<多糖類溶液調製工程>
上記多糖類(A−3)とクエン酸ナトリウムを精製水に加えて80℃に加温後、ディスパーザーによって撹拌混合して、c区分の多糖類(A−3)溶液とする。
<溶解工程>
そして溶解工程として、上記区分aの成分(すなわち多価アルコール及びメチルパラベン)を計量して80℃に加温し、さらに80℃に加温しておいた多糖類(A−3)溶液を加え、ホモジナイザー又はホモミキサーで、8000rpmで混合撹拌を行う。
<分散工程>
次に分散工程として、上記b区分の成分(すなわちステアリン酸被覆熱処理酸化チタン(B−2)、高級アルコール及びその他の油性成分)を80℃に加温して分散させた液を上記溶解工程で得られた液に徐々に添加し、10分間攪拌を継続して乳化液とする。
<冷却工程>
最後に、冷却工程として、分散工程で得られた乳化液を室温まで冷却し、さらにd区分の溶液を加えて撹拌混合し、実施例14の化粧料を得た。
(実施例15)
実施例15では、実施例14において使用したc区分のクエン酸ナトリウムを加えなかった。それ以外は実施例14の化粧料と同様であり、説明を省略する。
(実施例16)
実施例16の化粧料は、表7に示す組成の化粧料である。この表においてa区分は多価アルコールであり、b区分はポリシロキサンによって疎水化処理されたポリシロキサン被覆熱処理酸化チタン(B−3)と、高級アルコールと、高級アルコール以外の油性成分であり、c区分は多糖類(A−3)(「アルカシーラン」(商品名);伯東(株)製)〔INCIname:Alcaligenes Polysacchaides、伯東(株)製〕及びクエン酸ナトリウムを含有する水溶液であり、d区分はL−アスコルビン酸グルコシド及びL−アルギニン水溶液である。
実施例16の化粧料は以下のようにして製造した。
<多糖類溶液調製工程>
上記多糖類(A−3)とクエン酸ナトリウムを精製水に加えて80℃に加温後、ディスパーザーによって撹拌混合して、c区分の多糖類(A−3)溶液とする。
<溶解工程>
そして溶解工程として、上記区分aの成分(すなわち多価アルコール)を計量して80℃に加温し、さらに80℃に加温しておいた多糖類(A−3)溶液を加え、ホモジナイザー又はホモミキサーで、8000rpmで混合撹拌を行う。
<分散工程>
次に分散工程として、上記b区分の成分(すなわちポリシロキサン被覆熱処理酸化チタン(B−3)、高級アルコール及びその他の油性成分)を80℃に加温して分散させた液を上記溶解工程で得られた液に徐々に添加し、10分間攪拌を継続して乳化液とする。
<冷却工程>
最後に、冷却工程として、分散工程で得られた乳化液を室温まで冷却し、さらにd区分の溶液を加えて撹拌混合し、実施例16の化粧料を得た。
−評 価−
以上のようにして製造した実施例1〜9及び比較例1〜5の化粧料について、安定性試験及び耐水性試験を行なった。
(安定性試験)
調製直後の化粧料を200mlの試料瓶に取り、栓をして5℃、50℃及びサイクル試験(−10℃で1日間と50℃で1日間とを繰り返す試験)の条件で恒温器内に静置し、1週間後及び3カ月後に目視観察した。目視観察による安定性の評価は、次のように行なった。
安定:目視により、分離・沈澱が認められない。
離水分離:目視により、水相の分離及び/又は沈澱物の生成が認められる。
(耐水性試験)
一辺が30mmのNo.2ろ紙(アドバンティック社製)の裏面に、調製した直後の化粧料0.5gを均一に塗布し、105℃で1時間の乾燥を行なった後、重量を測定する(浸漬前重量)。そして100mlの精製水を入れた200mlのビーカーの中に、化粧料を塗布した面を下にして乾燥させたろ紙を30分浸漬する。そして、ろ紙を水中から引き上げ、再び105℃で1時間の乾燥を行ない、再び重量を測定する(浸漬後の重量)。そして下記の式に従い、流出比を求め、耐水性を評価した。
・流出割合(%)=(浸漬前重量―浸漬後の重量)/浸漬前重量×100
・水溶性成分配合割合(%)
=水溶性成分配合量(%)/{100−精製水配合量(%)}×100
・流出比=流出割合(%)/水溶性成分配合割合(%)
上記試験にて、供試化粧料に配合された水溶性成分のみが流出した場合は、流出比は1.00になる。供試化粧料に配合された水溶性成分以外の成分が水中に流出する場合には流出比は1.00以上になるが、水溶性成分以外の成分の流出が少ないほど、流出比は1.00に近く耐水性が高い。
ここで、供試化粧料に配合された水溶性成分は、表1〜表3のa区分の各種多価アルコールとc区分の多糖類である。
(結果)
結果を表8に示す。
安定性試験については、実施例1〜9及び比較例3の化粧料は、全ての貯蔵条件において3カ月間安定な分散状態を保ったのに対し、比較例1、2、4、5では、乳化状態の安定性は1週間以下であった。
これは、実施例1〜9及び比較例3の化粧料において用いられた酸化チタン粉が熱処理を行っているのに対し、比較例1、2、4、5において用いられた酸化チタン粉が含水ケイ酸・含水アルミナ、あるいはステアリン酸で被覆されているものの、熱処理されていないため、アルミニウムイオンなどの多価金属イオンが溶出し易く、これによって多糖類が凝集し、離水分離を起こしたことによるものと推測される。
また、耐水性試験については、実施例1〜9及び比較例1、2、4、5の化粧料の流出比に比べて、比較例3の化粧料の流出比の値は大きいことから、比較例3の化粧料では水溶性成分以外の酸化チタン等の流出が多く、耐水性が劣ることを示している。
これは、実施例1〜9及び比較例1、2、4、5の化粧料では、特定の多糖類を用いているため、試験に用いた精製水と、ろ紙に塗布された化粧料に配合された酸化チタン・油性成分は乳化せず、ろ紙から精製水側に流出しにくい(耐水性が高い)のに対し、特定の多糖類の替わりに界面活性剤(ショ糖ミリスチン酸ナトリウム)を用いた比較例3の化粧料では、該界面活性剤の乳化力により、精製水と、化粧料に配合された酸化チタン・油性成分が乳化し、ろ紙から精製水側に流出してしまう(耐水性が低い)ためである。
以上の結果から、化粧料に配合する酸化チタンを熱処理することにより、化粧料の乳化分散安定性が改善されることが判った。また、乳化剤として界面活性剤に替えて特定の多糖類を配合することにより、耐水性が向上することが判った。耐水性は化粧料の使用場面では汗による化粧料の流れ落ちの指標であり、耐水性が高いほど、汗による化粧料の流れ落ちが少ないことから、界面活性剤に替えて特定の多糖類を配合することにより、汗による化粧料の流れ落ちを抑えることができることが判った。
また、前述のように化粧料の乳化安定性を不安定にし、析出しやすいL−アスコルビン酸グルコシドを配合した実施例10〜16の化粧料について同様の安定性試験を行なった。結果を表9に示す。
実施例10〜12、14、16の化粧料は、全ての貯蔵条件において3カ月間安定な分散状態を保ったのに対し、実施例13、15では、サイクル試験において3ヶ月以内に離水分離が認められた。
これは、実施例10〜12、14、16の化粧料では、L−アスコルビン酸グルコシドが配合されていても、表面電位を負にする作用のあるクエン酸やクエン酸塩が更に配合されているため、安定な乳化分散状態を保つことができたのに対し、実施例13、15では、クエン酸やクエン酸塩が配合されていないため、L−アスコルビン酸グルコシドの配合による乳化分散の不安定化を防止できなかったことによる。以上の結果から、クエン酸やクエン酸塩の化粧料への配合は、L−アスコルビン酸グルコシド等による化粧料の乳化分散の不安定化を防止することが判った。
(石けん洗浄試験及び拭き取り試験)
化粧料の化粧落としの容易さについて評価するため、実施例1、8、9及び比較例6の化粧料について、せっけん洗浄試験及び拭き取り試験を行なった。すなわち、10人の試験者に対して、調製した直後の実施例1、8、9及び比較例6の化粧料各2gを、白浮きが消えるまで顔に延ばし、馴染ませた。そして1時間が経過して十分に水分が蒸発した後、石けんで顔を洗浄し、供試化粧料の除去度合いの評価を行った。評価方法は被験者の官能評価とし、洗顔後、べたつきがなく、さっぱりとした良好な感触が得られたか否かで評価した。また洗顔後、シクロペンタシロキサン(「KF−995」(商品名);信越化学工業(株)製)を1g湿潤させたコットンで、顔についた化粧料のふき取りを行り、拭き取ったコットンに酸化チタンが付着したかどうかを目視で評価した。コットンに酸化チタンが付着すると、コットンは白くなる。結果を表10に示した。
その結果、表10に示すように、本発明の実施例1、8,9の化粧料は、石けんによる洗顔後に「さっぱりと良好」という官能評価を多く得たことから、石けんで洗顔しただけで容易に洗い流すことができることが判った。これに対して、従来技術の界面活性剤による乳化化粧料であり、また、汗による酸化チタンの流出を防止するため高粘度シリコーンを配合した比較例6の化粧料は、石けんによる洗顔後に「べたつく」という官能評価を多く得ており、石けんで洗い流すことはできず、洗顔後も皮膚上に残ることが判った。このことは、コットンによる拭き取り試験の結果、比較例6では被験者全員(10名)の拭き取り後のコットンに酸化チタンの付着が認められたことからも明らかである。
以上の結果により、特定の多糖類を乳化剤として使用し熱処理を行った酸化チタンを配合した本発明の化粧料は、乳化分散の経時安定性に優れ、汗による酸化チタンの流れ落ち・化粧落ちが少なく、使用時のべとつき感が無く、使用後も石けんで容易に洗い流すことができることが示された。
この発明は、上記発明の実施形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
本発明の化粧料は、紫外線防止用の化粧料に利用することができる。

Claims (16)

  1. 酸化チタン粉と、高級アルコールと、該高級アルコールを除く油性成分と、主鎖を構成する単糖類としてグルコース、グルクロン酸及びラムノースを含み側鎖を構成する単糖類としてフコース又はマンノースを含む多糖類と、を含有し、
    該多糖類の含有量は化粧料の全量に対して0.01重量%〜1重量%とされている乳化状態の化粧料において、
    前記酸化チタン粉は表面に含水ケイ酸及び/又は含水アルミナを被覆した後200℃〜900℃で熱処理されていることを特徴とする乳化状態の化粧料。
  2. 前記酸化チタン粉は熱処理後に疎水化処理が施されていることを特徴とする請求項1記載の乳化状態の化粧料。
  3. 疎水化処理は酸化チタン粉の粒子表面を高級脂肪酸又はポリシロキサンによって被覆することによりなされていることを特徴とする請求項1又は2記載の乳化状態の化粧料。
  4. 前記多糖類には少なくとも下記の一般式(化1)の繰り返し単位で表される多糖類が含まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の乳化状態の化粧料。
  5. 前記酸化チタン粉は化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%含有されており、前記高級アルコールは化粧料の全量に対して0.8重量%〜20重量%含有されており、前記高級アルコールを除く油性成分は化粧料の全量に対して0.5重量%〜30重量%含有されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の乳化状態の化粧料。
  6. 前記高級アルコールは、融点が45℃以上の高級アルコールを2種以上含有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の乳化状態の化粧料。
  7. 前記2種以上の高級アルコールの混合比は、最大配合量となる高級アルコールと最少配合量となる高級アルコールと混合比が1:1〜5:1の範囲であることを特徴とする請求項6記載の乳化状態の化粧料。
  8. 前記高級アルコールは、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール及びドコサノールから選ばれた2種以上であり、選ばれた2種以上の各々が化粧料の全量に対して0.4重量%以上含まれ、その合計が化粧料の全量に対して0.8重量%〜20重量%含有されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の乳化状態の化粧料。
  9. 前記油性成分が、少なくとも
    油性成分(A)として、シリコーン油、フッ素化炭化水素及びその誘導体、炭化水素、脂肪酸、1価アルコールの脂肪酸エステル、動植物油脂、オキシカルボン酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステルであって融点が40℃未満のもの、及び液体ロウから選ばれた1種以上と、油性成分(B)として、固体ロウ、2価の高級アルコール、環状アルコール及びその脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステルであって融点が40℃以上のもの、及びリン脂質から選ばれた1種以上を、重量比で上記油性成分(A)と上記油性成分(B)が2:1〜50:1となる範囲で含むことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の乳化状態の化粧料。
  10. 前記油性成分(A)は、ジメチルポリシロキサン、トリメチルポリシロキサン、スクワラン、パラフィン(炭素数16から炭素数50までのn−炭化水素単独あるいはそれらの混合物)、流動パラフィン、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソステアリル、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸・カプリン酸の混合酸)グリセリル、ぶどう種子油、ローズヒップ油、ヒマワリ油、オリブ油、アボカド油、マカデミアナッツ油、メドホーム油、シア油、及びホホバ油から選ばれた1種以上であり、前記油性成分(B)は、ミツロウ(蜜蝋)、水素添加ホホバ油、水添パーム油、キミルアルコール、バチルアルコール、コレステロール、ステアリン酸コレステリル、フィトステロール、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(2−オクチルドデシル・ベヘニル・フィトステリル)、トリミリスチン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、及びヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルから選ばれた1種以上であり、前記油性成分(A)と上記油性成分(B)とを組み合わせて用いることを特徴とする請求項9記載の乳化状態の化粧料。
  11. 前記化粧料は、界面活性剤を実質的に含まない請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の乳化状態の化粧料。
  12. クエン酸及び/又はクエン酸塩を化粧料の全量に対して0.01重量%〜1重量%含有することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の乳化状態の化粧料。
  13. 多糖類がランダムな粒径の微粒子に細分化されていることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の乳化状態の化粧料。
  14. 酸化チタン粉と、高級アルコールと、該高級アルコールを除く油性成分と、多糖類とを含有する乳化状態の化粧料の製造方法において、
    該酸化チタン粉の表面に含水ケイ酸及び/又は含水アルミナを被覆する酸化チタン被覆工程と、該含水ケイ酸及び/又は含水アルミナで被覆した酸化チタン粉を200℃〜900℃で熱処理する熱処理工程と、
    主鎖を構成する単糖類としてグルコース、グルクロン酸及びラムノースを含み、側鎖を構成する単糖類としてフコース又はマンノースを含む多糖類について、化粧料の全量に対して0.01重量%〜1重量%に相当する量を水及び/又は親水性溶媒に溶解させて多糖類溶液とする多糖類溶液調製工程と、
    該多糖類溶液と、該高級アルコールを化粧料の全量に対して0.8重量%〜20重量%に相当する量と、該油性成分を化粧料の全量に対して0.5重量%〜30重量%に相当する量と、前記の熱処理された酸化チタン粉を化粧料の1重量%〜20重量%の相当する量とを混合して60℃以上に加温しながら撹拌して乳化液とする乳化工程と、
    該乳化液を攪拌したまま40℃以下まで冷却する冷却工程とを有することを特徴とする乳化状態の化粧料の製造方法。
  15. 前記乳化工程は、前記熱処理後に疎水化処理がなされていない酸化チタン粉を多価アルコールに分散させる第1乳化工程と、該第1乳化工程で得られた分散液に多糖類溶液を加えて混合する第2乳化工程と、該第2乳化工程で得られた分散液に高級アルコールと、高級アルコールを除く油性成分とを加えて混合する第3乳化工程とからなることを特徴とする請求項14記載の乳化状態の化粧料の製造方法。
  16. 前記乳化工程は、多価アルコールに多糖類溶液を加えて溶解する溶解工程と、該溶解工程で得られた溶液に、前記熱処理後に疎水化処理された酸化チタン粉と、高級アルコールと、高級アルコールを除く油性成分とを加えて混合する分散工程とからなることを特徴とする請求項14記載の乳化状態の化粧料の製造方法。
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