JP5317588B2 - 圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、ピストンにハウジング壁等の内周面への当接によりピストンの自転を阻止するピストン自転阻止部が設けられている圧縮機の構造の改良に関する。
従来から、例えば図8に示すように、前端部開放型のフロントハウジング101とシリンダブロック102とでクランク室103が形成され、シリンダブロック102に形成されたシリンダボア104に往復動自在に挿入されたピストン105のクランク室103側端部が図示例の如くブリッジ部106に形成され、ブリッジ部106内に保持された一対のシュー107と、駆動軸108とともに回転される斜板109との摺接を介して、斜板109の回転運動がピストン5の往復動に変換される斜板式圧縮機110が知られている。図示例では、斜板109の傾斜角がヒンジ機構111を介して可変可能な可変容量型の斜板式圧縮機に構成されているが、斜板の傾斜角が一定の固定容量型の斜板式圧縮機も知られている。そして、このような圧縮機110においては、ピストン105の自転を阻止するために、ピストン105のクランク室103側端部に、図示例では上記ブリッジ部106の圧縮機径方向外周面側に、フロントハウジング101の内周面に摺動可能に当接することによりピストン105の自転を阻止するピストン自転阻止部112を形成した構造が知られている。この自転阻止部112は、例えば、上記ブリッジ部106を圧縮機の径方向に拡大し、該拡大された部分の外周面がフロントハウジング101の内周面に摺動可能に当接されることにより構成されている。
このようなピストン自転阻止部112を備えた圧縮機においては、下記のような問題が残されている。とくに、被圧縮流体として二酸化炭素冷媒を用いる場合には、従来のR134a冷媒と同等な冷房性能を出すための圧縮機吐出量は小さくなるため、例えば図9に図8の圧縮機110の横断面に相当する図を示すように、シリンダボアのPCD(ピッチ円径)121は比較的小さい径となる。一方、作動圧力はR134a冷媒に比べて二酸化炭素冷媒の方が大きいため、筐体を締結するボルト類はサイズが大きくなる傾向となる。このため、図示例の如く特に締結ボルト122がクランク室103の内部を通る通し構造の圧縮機の場合、ピストン105の自転阻止部112とこれが当接するクランク室内壁面(図示例の場合、フロントハウジング101の内周面)までの距離が大きくなって空間123が形成されやすく、従来構造においては、ピストンブリッジ部106が大型化したり筐体側が必要以上に肉厚になったり、あるいはこの部位の空間123を埋めるために別部材を挿入したりする必要があった。
すなわち、従来構造においては、例えば図10に示すように、自転阻止部外周側空間を解消するために、ピストンブリッジ部131を径方向に拡大し、その外周面側に形成される自転阻止部132をフロントハウジング101の内周面と当接させるようにしている。しかしこのような構造では、ピストン105が重くなり、とくにピストンブリッジ部131の重量が増加するので、ピストン105全体のバランスが取りづらくなる。また、ピストン105の円筒部に対してブリッジ部131の偏肉が大きくなるので、鍛造工法などでは製作しづらくなる。
また、例えば図11に示すように、フロントハウジング141の内壁面のうちボルト122間の範囲の壁面142のみを中心方向に突出させ、その壁面142にピストン自転阻止部143を当接させるようにした構造も知られている(例えば、特許文献1)。しかしこのような構造では、ハウジング141のボルト122を逃げている凹部144に応力が集中しやすく、二酸化炭素冷媒を用いる場合のような高圧に対して、必要な耐圧強度を確保しづらいという問題が残されている。
また、例えば図12に示すように、フロントハウジング151の内壁面のうちボルト122間の範囲の壁面にリブ状の突起152を中心方向に突出させ、そのリブ状突起152にピストン自転阻止部153を当接させるようにした構造も知られている。しかしこのような構造では、リブ状突起152の付け根部に応力が集中しやすく、やはり、二酸化炭素冷媒を用いる場合のような高圧に対して、必要な耐圧強度を確保しづらいという問題が残されている。
さらに、図示は省略するが、フロントハウジング内壁面とピストン自転阻止部間に別体の円柱棒や別体の円環状の当接板を配置し、この円柱棒や当接板にピストン自転阻止部を当接させるようにする構造も考えられる。しかしこのような構造では、別体の部材を必要とするため、部品点数が増えるとともに、別体部材に対して高精度の位置決めが要求されるので、組立性が大幅に低下するおそれがある。
特開2001−336476号公報
そこで本発明の課題は、上記のような従来技術における問題点に着目し、二酸化炭素冷媒を用いる場合のような高圧使用条件に対しても、ピストン自転阻止部を形成するピストンブリッジ部を大型化することなく、ピストンのバランスが取りやすい構造を採用でき、かつ、ピストン自転阻止部に当接されるフロントハウジング側についても特に肉厚にしたり応力集中しやすい形態を採ることなく、軽量で耐圧強度の高い構造を採用でき、しかも、基本的に部品点数が増えず、容易に高精度の優れた組立性を達成できる圧縮機の構造を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る圧縮機は、円筒状の壁を有するフロントハウジングと複数のシリンダボアが形成された円柱状のシリンダブロックとでクランク室が形成され、各シリンダボアに往復動自在に挿入されたピストンのクランク室側端部に、クランク室内に面するピストン摺動面に当接されることによりピストンの自転を阻止するピストン自転阻止部が形成された圧縮機において、前記シリンダブロックのクランク室側端部の一部をクランク室内に向けて伸延させることにより、クランク室内において軸方向に延びるとともに全体として円環形状をなす内部壁を形成し、該内部壁の内周面を、前記ピストン自転阻止部が当接される前記ピストン摺動面として形成し、前記フロントハウジングが前記シリンダブロックに通しボルトを介して締結されており、該通しボルトは、前記ピストン自転阻止部の位置から外れた位置に配置されていることを特徴とするものからなる。
この本発明に係る圧縮機においては、シリンダブロック自体の一部がクランク室内に向けて伸延されることにより、クランク室内において軸方向に延びるとともに全体として円環形状をなす内部壁が形成され、このシリンダブロック自体の一部が伸延された内部壁の内周面が、ピストン自転阻止部が当接されるピストン摺動面として形成される。すなわち、外周面側にピストン自転阻止部が形成されるピストンブリッジ部と、従来構造においてピストン自転阻止部への当接面を形成していたフロントハウジングの内周面との間に、シリンダブロックから伸延された内部壁が位置することになり、その内部壁の内周面がピストン摺動面として形成される。したがって、ピストン自転阻止部を形成するピストンブリッジ部を圧縮機径方向に拡大しなくても、ピストン自転阻止部が容易に内部壁の内周面に当接でき、それによって所望のピストン自転阻止機能が発揮されることになる。ピストンブリッジ部の大型化防止により、ピストン全体として重くならず、バランスが取りやすい構造を採用できる。また、肉厚が厚い部分と薄い部分の差が小さくなるので、鋳造工法などで製造しやすくなる。また、シリンダブロックから伸延された内部壁を用いてピストン自転阻止構造を構成できるので、フロントハウジング側についても特に肉厚にしたり応力集中しやすい中心部に向けて突出した構造を採る必要はなくなり、軽量で耐圧強度の高い構造を採用できる。また、フロントハウジングにはピストン摺動面を形成する必要がなくなるので、フロントハウジングの材料選定に自由度が増えることにもなる。さらに、シリンダブロック自体の一部の伸延により上記内部壁を形成するので、つまり、内部壁はシリンダブロックと一体構造に形成されるので、基本的に部品点数の増加は無く、かつ、単にシリンダブロックを所定の形態に組み立てるだけで内部壁を所望の位置に高精度に配置することができるので、優れた組立性を達成することもできる。
上記本発明に係る圧縮機においては、後述の実施態様に具体的に示すように、上記内部壁が、上記円環形状の周方向に全周にわたって連続的に延びる壁からなる構造、上記内部壁が、上記円環形状の周方向に断続的に配列された壁からなる構造のいずれをも採用できる。いずれの構造を採用するかは、製造の容易性や、製造コスト、シリンダブロックに使用する材料の種類とそれに適合した加工方法、さらには内部壁による重量増加の許容度合等を考慮して決めればよい。後者の構造の場合、上記断続的に配列された各壁は、各ピストン自転阻止部の位置に対応させて配置されればよい。とくに後者の構造においては、内部壁を、必要最小限の位置にのみ断続的に配置することにより、内部壁による重量増加を最小限に抑えることが可能である。また、前者の構造においては、内部壁が、円環形状の周方向に全周にわたって連続的に繋がっていることにより、内部壁自体の強度を容易に高く維持することが可能である。
また、上記本発明に係る圧縮機においては、上記内部壁が、該内部壁の内周面と外周面とに同圧のクランク室内の圧力がかかるように形成されていることが好ましい。つまり、シリンダブロックのクランク室側端部の一部がクランク室内に向けて伸延されて内部壁が形成されることにより、該内部壁の内周面にはクランク室内の圧力がかかることになるが、内部壁の外周面にも同圧のクランク室内圧力がかかるように構成されていることが好ましい。このように構成すれば、内部壁の内外周面に圧力差がないことにより、内部壁はピストンからの自転阻止力のみを受ければよいことになり、内部壁を比較的薄い壁(例えば、3〜6mm程度の厚さの壁)で形成でき、内部壁を設けることによる圧縮機の大型化を抑えることができるとともに、内部壁形成のための使用材料を少なく抑え、内部壁形成による重量増加、コスト増加を小さく抑えることができる。また、ピストン自転阻止部が当接する内部壁は内外圧力差がなくなることにより、クランク室内の圧力が変化することによる当接面の変形がなくなり、ピストンが円滑に運動できるようになるので、耐久性の向上が可能になり、騒音の発生が低減される。
また、上記本発明に係る圧縮機においては、上記フロントハウジングが上記シリンダブロックに通しボルトを介して締結されており、該通しボルトは、上記ピストン自転阻止部の位置から外れた位置に配置されている。例えば、周方向に複数配列されたピストン自転阻止部の、隣接ピストン自転阻止部間に通しボルトが配置されるようにすればよい。このように構成すれば、ボルトPCD(ピッチ円径)を比較的大きく設定することが可能になり、とくに斜板式圧縮機において、圧縮機全体の大型化を抑えつつ、クランク室内のフロント側に配置されるスラストベアリングや、クランク室内における斜板変角機構を大型化することが可能になって、圧縮機の耐久性や制御性の向上をはかることが可能となる。
さらに、上記本発明に係る圧縮機においては、上記内部壁が、クランク室内において、上記ピストン自転阻止部の上記ピストン摺動面への摺動範囲長分のみ軸方向に延びている構造とすることもできる。このように構成すれば、ピストン自転阻止部が当接する内部壁は自転阻止部が摺動する軸方向、径方向の最低限の範囲だけに設ければよいことになるので、内部壁形成のための使用材料、内部壁形成による重量増加が少なくて済む。
このような本発明に係る圧縮機の構造は、基本的にピストン自転阻止部とそれが当接、摺動されるピストン摺動面が必要とされるあらゆる圧縮機に適用可能であるが、とくに、本発明は、上記圧縮機が、フロントハウジングの前部側からクランク室内へと挿通された駆動軸と、該駆動軸に対し傾斜され該駆動軸とともに回転される斜板と、該斜板に摺接され該斜板の回転運動を前記ピストンの往復動に変換する運動変換機構とを備えた斜板式圧縮機からなる場合に好適なものである。斜板式圧縮機としては、斜板の傾斜角が可変の可変容量型斜板式圧縮機、斜板の傾斜角が固定の固定容量型斜板式圧縮機のいずれにも、本発明は適用可能である。
また、被圧縮流体としてはとくに限定されないが、本発明は、耐圧性の要求される、冷媒を圧縮する圧縮機に好適である。とくに、前述の如く、高圧条件での使用が必要となる、二酸化炭素冷媒を圧縮する圧縮機に、本発明は好適である。
このように、本発明に係るピストン自転阻止構造を備えた圧縮機によれば、シリンダブロックの一部をクランク室内に向けて伸延させてシリンダブロックと一体のピストン摺動面構成用内部壁を形成したので、ピストン自転阻止部を形成するピストンブリッジ部を大型化することなく、ピストン全体についてバランスが取りやすい構造を採用でき、フロントハウジング側についても特に肉厚にしたり応力集中しやすい形態を採ることなく、軽量で耐圧強度の高い構造を採用でき、かつ、部品点数の増加がなく組立性に優れた、二酸化炭素冷媒を用いる場合のような高圧使用に最適な圧縮機を実現できる。
以下に、本発明の望ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1〜図4は、本発明の第1実施態様に係る圧縮機、とくに車両用空調装置の冷凍回路に用いて好適な圧縮機を示しており、図1は縦断面図、図2は、図1の圧縮機におけるフロントハウジング、ピストン、通しボルトの位置関係を示す横断面図、図3は、図1の圧縮機におけるシリンダブロックのクランク室側端面を示す横断面図、図4は、図1の圧縮機におけるシリンダブロック側から伸延された内部壁がフロントハウジング−ピストン間に収まった状態(図2と図3を組み合わせた状態)を示す横断面図、をそれぞれ示している。
本実施態様に係る圧縮機は、図1に示すように、可変容量型の冷媒圧縮用斜板式圧縮機1からなり、フロントハウジング2と、シリンダブロック3と、シリンダヘッド4とが、通しボルト5によって締結された構造を有している。有底円筒状に形成されたフロントハウジング2とシリンダブロック3とでクランク室6が形成され、クランク室6内には、開放型に形成されたフロントハウジング2の前端部側から駆動軸7が挿通されており、駆動軸7には、プーリ8、電磁クラッチ9を介して外部から回転駆動力が伝達されるようになっている。駆動軸7には、クランク室6内において、ヒンジ機構10を介して、斜板11が一体的に回転可能にかつ傾斜角を可変可能に連結されている。円柱状のシリンダブロック3には、複数のシリンダボア12が形成されており、各シリンダボア12には往復動自在にピストン13が挿入されている。各ピストン13のクランク室6側端部には、軸方向に二股形状に形成されたピストンブリッジ部14が形成されており、該ピストンブリッジ部14内には、一対のシュー15が保持されている。この一対のシュー15は、斜板11の外周部の両側面に摺接され、該摺接を介して、斜板11の回転運動がピストン13の往復動に変換されるようになっている。ヒンジ機構10の一端側は駆動軸7に固定されたロータ16に連結されており、ロータ16の背面側とフロントハウジング2の内面との間にはフロントスラストベアリング17が設けられており、ピストン13からの圧縮反力を受けることができるようになっている。シリンダヘッド4内には、吸入室18と吐出室19が形成されており、吸入ポート20から吸入室18内に吸入された冷媒が、弁板21に形成された吸入孔22を通してシリンダボア12に吸入され、ピストン13の圧縮行程動作にによって圧縮された後、圧縮冷媒が弁板21に形成された吐出孔23を通して吐出室19内に吐出され、そこから吐出ポート24を通して外部回路に送られるようになっている。
各ピストン13のピストンブリッジ部14の外周面側には、図2にも示すように、クランク室6内に面する後述のピストン摺動面に当接されることによりピストン13の自転を阻止するピストン自転阻止部31が形成されている。図2〜図4における32は、シリンダボア12のPCD(ピッチ円径)を示している。上記シリンダブロック3においては、図3にも示すように、そのクランク室6側端部(端面)の一部がクランク室6内に向けて伸延されており、該伸延により、クランク室6内において軸方向(圧縮機軸方向)に延びるとともに全体として円環形状をなす内部壁33が形成されている。本実施態様では、内部壁33は、円環形状の周方向に全周にわたって連続的に延びており、図3に示すように、上記通しボルト5を挿通するためのボルト孔34の部位で内部壁33が部分的に円弧状に切り欠かれている。図2に示した構造と図3に示した構造の組み合わせ状態を図4に示すように、上記内部壁33の内周面は、ピストンブリッジ部14の外周面側に形成されたピストン自転阻止部31が当接されるピストン摺動面35として形成されている。また、上記内部壁33の外周面とフロントハウジング2の内周面との間には、組立時に内部壁33がフロントハウジング2の円筒部に円滑に挿入されるように、僅かな隙間が形成されており、内部壁33の内周面と外周面とに同圧のクランク室内圧力がかかるようになっている。フロントハウジング2とシリンダブロック3との間のシールは、突き合わせ部に適当なシール材を介装したシール部36(図1に図示)によって達成されている。
このように構成された第1実施態様に係る圧縮機1においては、シリンダブロック3自体と一体に形成された内部壁33がクランク室6内に伸延され、その内部壁33の内周面がピストン自転阻止部31が当接されるピストン摺動面35として形成されるので、フロントハウジング2の内周面はピストン摺動面に形成されなくてもよくなる。また、この内部壁33は、ピストンブリッジ部14とフロントハウジング2の内周面との間に位置されるので、ピストン自転阻止部31を形成するピストンブリッジ部14を圧縮機径方向に拡大しなくてもよくなり、かつ、フロントハウジング2側についても特に肉厚にしたり応力集中しやすい中心部に向けて突出した構造を採る必要はなくなる。ピストンブリッジ部14の大型化防止により、ピストン全体として重くならず、かつ、バランスが取りやすい構造を採用でき、しかも、肉厚が厚い部分と薄い部分の差が小さくなるので、鋳造工法などで製造しやすくなる。また、フロントハウジング2についても、重量増加を抑えた軽量の、かつ、二酸化炭素冷媒使用の場合にも好適な耐圧強度の高い構造を採用できるとともに、フロントハウジング2にはピストン摺動面を形成する必要がないことから、フロントハウジング2の材料選定に自由度が増え、シリンダブロック3に比べ、より安価な材料や、より製造し易い材料の選択が可能になる。また、内部壁33はシリンダブロック3と一体構造に形成されるので、基本的に部品点数の増加は無く、かつ、単にシリンダブロックを所定の形態に組み立てるだけで内部壁33をクランク室6内の所望の位置に高精度に配置することができ、全体として優れた組立性を達成できる。
また、内部壁33の内周面と外周面とに同圧のクランク室6内の圧力がかかり、内部壁33の内外周面に圧力差がないことから、内部壁33は基本的にピストン自転阻止力のみを受ければよいことになり、内部壁33を比較的薄い壁(例えば、前述の如く3〜6mm程度の厚さの壁)で形成でき、内部壁33を設けても圧縮機1の大型化を抑えることができる。また、内部壁33形成のための使用材料を少なく抑えることができ、内部壁33形成による重量増加やコスト増加を低く抑えることができる。さらに、内部壁33の内外周面に圧力差がないことにより、クランク室6内の圧力が変化することによるピストン摺動面35の変形は発生せず、常時安定したピストン摺動面35の形態が維持されて、ピストン13の円滑な運動が確保され、耐久性の向上や騒音発生の低減をはかることが可能になる。
また、上記実施態様では、図2〜図4に示したように、通しボルト5と内部壁33との干渉を回避しつつ、通しボルト5のPCD(ピッチ円径)を最大限大きくするようにした配置、構造が採用されているので、圧縮機1全体の大型化を抑えつつ、クランク室6内のフロントスラストベアリング17やクランク室6内における斜板変角機構の大型化が可能になり、圧縮機1の耐久性や制御性の向上をはかることが可能となる。
図5〜図7は、本発明の第2実施態様に係る圧縮機を示しており、図5は縦断面図、図6は、図5の圧縮機におけるシリンダブロックのクランク室側端面を示す横断面図、図7は、図5の圧縮機におけるシリンダブロック側から伸延された内部壁がフロントハウジング−ピストン間に収まった状態を示す横断面図、をそれぞれ示している。なお、図5の圧縮機におけるフロントハウジング、ピストン、通しボルトの位置関係を示す横断面は、図2に示したものと実質的に同じである。図5〜図7に示した第2実施態様に係る圧縮機41においては、内部壁部分の構造が前述の第1実施態様に比べて異なっており、その他の部分の構造は前述の第1実施態様と実質的に同等であるので、その他の部分については図1〜図4に示したのと同一の符号を付すことにより説明を省略する。
この第2実施態様に係る圧縮機41においては、図6に示すように、クランク室6側に向けて軸方向に延びる内部壁42が、シリンダブロック43のクランク室6側端面において、周方向に断続的に配列されており、図7に示すように、ピストン摺動面44が、ピストンブリッジ部14の外周面に形成されるピストン自転阻止部31に当接され、ピストン13の自転を阻止するのに必要な範囲に形成されるように、ピストン自転阻止部31の位置に対応させて挿通ボルト5の配置部間に内部壁42が断続的に配列されている。また、内部壁42は、図5に示すように、クランク室6内において、ピストン自転阻止部31のピストン摺動面44への摺動範囲長分のみ軸方向に延びており、内部壁42の伸延長が、ピストン自転阻止部31がピストン摺動面44に当接されピストン摺動面44上を摺動するのに必要な最小限の長さとされている。換言すれば、内部壁42のクランク室6側先端部45の位置は、図1に示した位置よりもシリンダブロック43側の位置に設定されており、内部壁42の伸延長は、斜板11の傾斜角が最大の場合にも、ピストン自転阻止部31がピストン摺動面44に当接されるに必要な最小限の長さに設定されている。
このような第2実施態様に係る圧縮機41においては、内部壁42を周方向に断続的に配置することにより、内部壁42を設けたことによる重量増加を最小限に抑えることが可能である。この場合にも、内部壁42の内外周面には同圧のクランク室内圧がかかるので、内部壁42は基本的にピストン自転阻止力のみを受ければよく、比較的薄肉の内部壁42に構成することができる。また、断続的に配置した内部壁42の隣接内部壁42間に通しボルト5を配置できるので、容易に通しボルト5のPCD(ピッチ円径)を比較的大きく設定することが可能になり、とくに斜板式圧縮機において、圧縮機全体の大型化を抑えつつ、クランク室内のフロント側に配置されるスラストベアリングや、クランク室内における斜板変角機構を大型化することが可能になって、圧縮機の耐久性や制御性の一層の向上をはかることが可能となる。さらに、内部壁42が、クランク室内において、必要最小限の長さだけ延びていることにより、内部壁42形成のための使用材料、内部壁形成による重量増加が最小限で済む。その他の、構成、作用効果については、前述の第1実施態様に準じる。
本発明に係るシリンダブロックから伸延された内部壁を有する圧縮機の構造は、とくに小型化、軽量化、高耐圧性が求められる圧縮機に好適なものであり、中でも、二酸化炭素冷媒を使用する圧縮機に好適である。
本発明の第1実施態様に係る圧縮機の縦断面図である。 図1の圧縮機のフロントハウジング、ピストン、通しボルトの位置関係を示す横断面図である。 図1の圧縮機のシリンダブロックのクランク室側端面を示す横断面図である。 図1の圧縮機のシリンダブロック側から伸延された内部壁がフロントハウジング−ピストン間に収まった状態を示す横断面図である。 本発明の第2実施態様に係る圧縮機の縦断面図である。 図5の圧縮機のシリンダブロックのクランク室側端面を示す横断面図である。 図5の圧縮機のシリンダブロック側から伸延された内部壁がフロントハウジング−ピストン間に収まった状態を示す横断面図である。 従来の圧縮機の縦断面図である。 図8の圧縮機のフロントハウジング、ピストン、通しボルトの位置関係を示す横断面図である。 従来の圧縮機におけるピストン自転阻止構造の一例を示す横断面図である。 従来の圧縮機におけるピストン自転阻止構造の別の例を示す横断面図である。 従来の圧縮機におけるピストン自転阻止構造のさらに別の例を示す横断面図である。
符号の説明
1、41 圧縮機
2 フロントハウジング
3、43 シリンダブロック
4 シリンダヘッド
5 通しボルト
6 クランク室
7 駆動軸
10 ヒンジ機構
11 斜板
12 シリンダボア
13 ピストン
14 ピストンブリッジ部
15 シュー
16 ロータ
17 フロントスラストベアリング
18 吸入室
19 吐出室
20 吸入ポート
21 弁板
22 吸入孔
23 吐出孔
24 吐出ポート
31 ピストン自転阻止部
32 PCD(ピッチ円径)
33、42 内部壁
34 ボルト孔
35、44 ピストン摺動面
36 シール部
45 内部壁先端部

Claims (9)

  1. 円筒状の壁を有するフロントハウジングと複数のシリンダボアが形成された円柱状のシリンダブロックとでクランク室が形成され、各シリンダボアに往復動自在に挿入されたピストンのクランク室側端部に、クランク室内に面するピストン摺動面に当接されることによりピストンの自転を阻止するピストン自転阻止部が形成された圧縮機において、前記シリンダブロックのクランク室側端部の一部をクランク室内に向けて伸延させることにより、クランク室内において軸方向に延びるとともに全体として円環形状をなす内部壁を形成し、該内部壁の内周面を、前記ピストン自転阻止部が当接される前記ピストン摺動面として形成し、前記フロントハウジングが前記シリンダブロックに通しボルトを介して締結されており、該通しボルトは、前記ピストン自転阻止部の位置から外れた位置に配置されていることを特徴とする圧縮機。
  2. 前記内部壁が、前記円環形状の周方向に全周にわたって連続的に延びる壁からなる、請求項1に記載の圧縮機。
  3. 前記内部壁が、前記円環形状の周方向に断続的に配列された壁からなる、請求項1に記載の圧縮機。
  4. 前記断続的に配列された各壁が、各ピストン自転阻止部の位置に対応させて配置されている、請求項3に記載の圧縮機。
  5. 前記内部壁が、該内部壁の内周面と外周面とに同圧のクランク室内の圧力がかかるように形成されている、請求項1〜4のいずれかに記載の圧縮機。
  6. 前記内部壁が、クランク室内において、前記ピストン自転阻止部の前記ピストン摺動面への摺動範囲長分のみ軸方向に延びている、請求項1〜のいずれかに記載の圧縮機。
  7. 前記圧縮機が、フロントハウジングの前部側からクランク室内へと挿通された駆動軸と、該駆動軸に対し傾斜され該駆動軸とともに回転される斜板と、該斜板に摺接され該斜板の回転運動を前記ピストンの往復動に変換する運動変換機構とを備えた斜板式圧縮機からなる、請求項1〜のいずれかに記載の圧縮機。
  8. 前記圧縮機が、冷媒を圧縮する圧縮機からなる、請求項1〜のいずれかに記載の圧縮機。
  9. 前記圧縮機が、二酸化炭素冷媒を圧縮する圧縮機からなる、請求項に記載の圧縮機。
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