JP2006266140A - 往復動型流体機械のピストン - Google Patents

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Abstract

【課題】 機械的な強度を確保しつつ、軽量化が可能な往復動型流体機械のためのピストンを提供する。
【解決手段】 ピストンはアルミニウム合金又はマグネシウム合金の一体成形品からなり、ピストンヘッド46と、ピストンテール32と、これらピストンヘッド46とピストンテール32とを接続する中間セクション48を含み、中間セクション48は一対の補強リブ50と、これら補強リブ50を部分的に囲む半円筒形状の外周壁56とを有する。
【選択図】 図7

Description

本発明は往復動型流体機械のためのピストンに係わり、特に、往復動型流体機械として、車両用の冷凍回路に組込まれる斜板式又はスワッシュリング式冷媒圧縮機のためのピストンに関する。
この種の冷媒圧縮機のピストンは一般的に複数のパーツからなり、これらパーツは互いに溶接されて1つのピストンを形成する。具体的には、これらパーツはピストンボディと、このピストンボディに後端に溶接されたピストンテールとを含む。斜板式圧縮機の場合、ピストンテールはその内部に一対のシューを保持することができ、これらシューは斜板を摺動自在に挟み付けるために使用される。
上述した分割型のピストンはその重量が重いばかりでなく、製造コストも高いので、車両用の冷媒圧縮機には好適しない。
これに対し、特許文献1に開示されたピストンはアルミニウム合金からなり、鍛造又はや鋳造により成形された一体成形品である。より詳しくは、特許文献1のピストンはピストンボディ及びピストンテールに加えて、ピストンボディはピストンヘッドとピストンテールとの間に中空部を有する。このような中空部はピストン全体の重量、即ち、その慣性質量を小さくするので、特許文献1のピストンは高速な往復運動に好適すると考えられる。
欧州特許第814261号明細書(EP 0814261 B1)
しかしながら、特許文献1のピストンの場合、中空部は斜板の周方向でみてピストンの両サイドにそれぞれ開口しているため、中空部の存在はピストンの機械的な強度を低下させる。このため、ピストンのヘッドに冷媒の圧縮圧力が加わったとき、ピストンは圧縮変形を受け易い。また、斜板とピストンの一対のシューとの間の摩擦により発生する接線力はピストンに曲げ変形を起こす。このようなピストンの圧縮変形及び曲げ変形はシリンダボアに対するピストンの摺動抵抗を増加させることから、ピストン及びシリンダボアの摩耗が不所望に促進され、また、圧縮機の駆動に要求される負荷もまた増加する。
本発明の目的は、機械的な強度を確保しつつ軽量化が可能な往復動型流体機械のピストンを提供することにある。
上記の目的を達成するピストンが適用される往復動型流体機械は、回転可能なスワッシュ部材を収容するためのケーシングと、シリンダブロックであって、前記ピストンが往復動自在に嵌合されるシリンダボアを有する、シリンダブロックと、前記スワッシュ部材の回転軸線及び前記シリンダボアの軸線を含む径方向面とを含んでいる。
前記ピストンは、一体成形品からなり、ピストンヘッド、内部に前記スワッシュ部材と係合するシューのためのソケットを有するピストンテール及びこれらピストンヘッドとピストンテールとの間を繋ぐ中間セクションとを備えており、この中間セクションは、径方向面の近傍にて該径方向面を中心として対称に配置され、且つ、前記径方向面に沿って互いに平行に延びる複数の補強リブを含んでいる(請求項1)。
スワッシュ部材が回転されたとき、スワッシュ部材の回転はシューを介してピストンの直線運動に変換され、ピストンはそのピストンヘッドがシリンダボアの内周面に摺接した状態で往復運動する。流体機械はピストンの往復運動により、作動流体の吸入から吐出までの一連のプロセスを実行し、この際、圧縮された作動流体の圧力はピストンヘッド及び補強リブを介してスワッシュ部材に伝達され、このスワッシュ部材に受け止められる。
ピストンの中間セクションは、少なくとも一部が前記シリンダボアの内周面に摺接する略半円筒形状の外周壁を更に含むことができ、この外周壁は、前記補強リブを前記ピストンの軸線回りに部分的に囲んでいる(請求項2)。この場合、外周壁は一部が切り欠かれた開口域を有しており、この開口域を通じて補強リブが露出する。好ましくは、外周壁は前記径方向面を中心とした対称な横断面形状を有し、且つ、前記径方向面に沿って延びる両側縁を有する(請求項3)。ピストンの往復運動中、ピストンにはスワッシュ部材とシューとの摩擦に起因してサイドフォースが加わるが、このサイドフォースは上述した外周壁を介してシリンダボアの内周面に受け止められる。
更に詳しくは、外周壁はその両側縁間にて規定される周方向長さを有し、この周方向長さは前記ピストンヘッドから前記ピストンテールに向けて減少される(請求項4)。このような外周壁の外形形状は、前述したサイドフォースを考慮したコンピュータ支援工学(CAE: Computer-Aided Engineering)に基づいて決定される。
更に、ピストンの補強リブは少なくとも一部にシリンダボアの内周面に摺接するスライドガイドを有しているのが好ましい(請求項5)。このようなスライドガイドは、シリンダボアの内周面に対するピストンの摺動面を増加させ、ピストンの往復運動を安定させる。
更に、ピストンテールは、ピストンが往復動するとき、ケーシングの内面に摺接して、ピストンの軸線回りの回転を阻止するストッパ面と、このストッパ面に開口し、ストッパ面とソケットとを接続する通路とを含むことができる(請求項6)。流体機械の作動流体にミスト状の潤滑オイルが含まれている場合、ケーシングの内面には潤滑オイルが付着する。それ故、ピストンの往復動中、ケーシンクの内面に付着した潤滑オイルはストッパ面から通路を介してソケットに導かれ、ソケットとシューとの間を潤滑する。
ピストンは、アルミニウム合金又はマグネシウム合金からなることができる(請求項7)。この場合、ピストンは、シリンダボアの内周面及びケーシングの内面に対して摺接する外表面に耐摩耗性のコーティング膜を更に含んでいるのが好ましい(請求項8)。このようなコーティング膜はピストンの摩耗を軽減し、ピストンの円滑な往復動を保証する。また、本発明のピストンはピストンリングを必要としない(請求項9)。
本発明のピストンはその形状に制約されることなく、マグネシウム合金の一体成形品であってもよく(請求項10)、この場合、ピストンは半固体鋳造により成形することができる(請求項11)。
請求項1〜5,7のピストンはその中間セクションの中央にピストンヘッドとピストンテールとを繋ぐ複数の補強リブを含んでいるので、これら補強リブはピストンの圧縮変形や曲げ変形を防止し、ピストンの剛性を高める。また、中間セクションの外周壁は半円筒形状をなしているので、ピストンの軽量化に貢献し、ピストンの慣性質量を減少させる。この結果、ピストンの安定且つ円滑な往復動運動が保証され、流体機械の作動に要する負荷もまた軽減される。
請求項6のピストンは、ピストンテールのソケットとシューとの間の潤滑を良好に行え、ソケットの摩耗が軽減される。また、請求項8のピストンはコーティング膜を備えているので、ピストン全体の摩耗もまた大きく軽減される。請求項9のピストンはピストンリングを備えていないので、その製造コストは更に安価になる。
更に、請求項10,11のピストンは最終製品に近い一体成形品として成形可能であり、ピストンの製造コストを安価にすることができる。
図1は往復動型流体機械としての斜板式圧縮機を示す。この圧縮機は車両の空調システム、即ち、空調システムに組み込まれる冷凍回路の冷媒圧縮機として好適する。
圧縮機は円筒状のハウジング10を備え、このハウジング10は図1でみて左側からフロントケーシング12、シリンダブロック14及びシリンダヘッド16を含む。これらフロントケーシング12、シリンダブロック14及びシリンダヘッド16は複数の連結ボルト18を介して互いに連結されている。図1には1本の連結ボルト18のみが示されている。
フロントケーシング12はその内部にシリンダブロック14と協働してクランク室20を気密に規定する。このクランク室20の中央には駆動軸22が配置され、この駆動軸22の両端はフロントケーシング12及びシリンダブロック14に軸受を介して回転自在に支持されている。
図1から明らかなように、駆動軸22の一端はフロントケーシング12の外側に突出し、動力伝達経路を介して車両のエンジン(図示しない)に接続されている。駆動軸22がエンジンからの動力を受取ったとき、駆動軸22は一方向に回転される。
クランク室20には円形の斜板24が収容され、この斜板24は駆動軸22に結合され、駆動軸22と一緒に回転される。駆動軸22に対する斜板24の傾斜角は一定に維持されているか、又は、クランク室20内の圧力PCにより可変される。なお、斜板24の傾斜角が可変される場合、斜板24は駆動軸22に角度可変カプラを介して結合される。
一方、シリンダブロック14はその内部に複数のシリンダボア26を規定しており、これらシリンダボア26はシリンダブロック14の周方向に等間隔を存して配置されている。シリンダボア26は駆動軸22の軸線と平行に延び、シリンダブロック14を貫通する。更に、シリンダブロック14の径方向でみて、各シリンダボア26の軸線と駆動軸22の軸線との間の距離は同一である。
各シリンダボア26内にはピストン28が摺動自在に嵌合され、ピストン28はそのシリンダボア26内を往復動自在である。各ピストン28は前述した斜板24の外周縁に対し、半球状をなした一対のシュー30を介して作動的に係合されている。より詳しくは、各ピストン28はピストンテール32を有し、このピストンテール32はシリンダボア26からクランク室20に常時突出し、その内部に一対のシュー30を保持している。
斜板24が回転されたとき、各ピストン28は一対のシュー30を介してシリンダボア26内を往復運動する。このようなピストン28の往復運動は、作動流体、即ち、冷媒の吸入、圧縮及び吐出プロセスを実行する。なお、この種の圧縮機に使用される冷媒はミスト状の潤滑オイルを含んでおり、このオイルミストは圧縮機内における各機構部の潤滑に使用される。
より詳しくは、シリンダブロック14とシリンダヘッド16との間にはバルブプレート34が配置されている。シリンダブロック14とバブルプレート34との間にはシリンダガスケット(図示しない)が挟み込まれており、バルブプレート34とシリンダヘッド16との間にはヘッドガスケット(図示しない)が挟み込まれている。
シリンダヘッド16はその内部に吸入室36及び吐出室38を気密に規定し、これら吸入室36及び吐出室38は互いに分離されている。この実施例の場合、吸入室36はシリンダヘッド16内の中央に位置付けられ、吐出室38は吸入室36を囲む環状をなしている。なお、吸入室36は冷凍回路の蒸発器に接続され、蒸発器から吸入圧PSの冷媒が供給される。一方、吐出室38は冷凍回路の凝縮器に接続され、この凝縮器に吐出圧PDの冷媒を供給する。
前述したバルブプレート34は各シリンダボア26内にそのピストン28と協働して圧縮室40を形成し、この圧縮室40は吸入弁及び吐出弁を介して吸入室36及び吐出室38に連通可能である。より詳しくは、吸入弁及び吐出弁は前述したシリンダガスケット及びヘッドガスケットと一体に形成されたリード弁体を含み、バルブプレート34の吸入孔42及び吐出孔44を開閉する。これら吸入孔42及び吐出孔44は圧縮室40毎に割り当てられ、そして、吐出弁はそのリード弁体の開度を制限するリテーナ(図示しない)を更に含んでいる。
今、ピストン28がクランク室20に向けて移動されるとき、吸入弁が開かれ、吸入室36内の冷媒が吸入孔42を通じて圧縮室40に冷媒が吸入される。この後、ピストン28がバルブプレート34に向けて移動されるとき、圧縮室40内の冷媒は加圧され、そして、冷媒の圧力が吐出弁の締切圧、即ち、吐出圧PDを越えたとき、吐出弁が開かれる。この時点にて、圧縮室40内の高圧の冷媒が吐出孔44を通じて吐出室38に吐出される。
なお、斜板24の傾斜角が制御される場合、前述したクランク室20は吸入室36にオリフィス通路を介して接続される一方、吐出室38に制御弁を備えた圧力制御通路を介して接続されている。従って、クランク室20内の圧力は、吐出室38から供給される冷媒の供給量と、クランク室20から吸入室36に逃げる冷媒の排出量とのバランスにより決定される。この結果、斜板24の傾斜角は制御弁の開度により制御可能となり、これにより、圧縮機の容量は斜板24の傾斜角により可変される。
図2〜図4は前述したピストン28をそれぞれ詳細に示している。
図2から明らかなように、ピストン28はその前端に中実のピストンヘッド46を有し、その後端に前述したピストンテール32を有する。ピストンヘッド46は完全な円筒形状をなし、シリンダボア26における内周面の全周に対して摺接可能である。ピストンヘッド46はピストン28の軸線方向に所定のヘッド長さLHを有し、このヘッド長さLHは、シリンダボア26の内周面とピストンヘッド46との間のギャップを通じて、圧縮室40からクランク室20に流入する冷媒を量的に所定の範囲内に制限する。この結果、ピストンヘッド46はピストンリングを備えることなく、冷媒中に含まれるオイルミストを所望の量だけクランク室20に供給することができる。
更に、ピストン28は、ピストンヘッド46とピストンテール32との間に中間セクション48を含む。この中間セクション48は例えば一対の補強リブ50を有し、これら補強リブ50はピストンヘッド46とピストンテール32とを互いに連結している。
より詳しくは、図3中の1点鎖線は、シリンダボア26にピストン28が嵌合されたとき、ピストン28の軸線とシリンダブロック14の軸線(即ち、駆動軸22の軸線)とを含む径方向面Xを示す。一対の補強リブ50は径方向面Xの近傍にて、この径方向面Xを中心に対称に位置付けられ、そして、径方向面Xに沿って互いに平行に延びている。即ち、一対の補強リブ50は中間セクション48の中央領域に配置されている。
各補強リブ50の厚さTや、一対の補強リブ50間の間隔Sは、ピストン28の往復運動中、前述した一対のシュー30と斜板24との間の摩擦に起因してシュー30からピストン28に働く接線力の大きさに応じて決定される。即ち、一対の補強リブ50はピストン28の全体に要求される剛性を提供する強度部材である。従って、上述した接線力がピストン28に加わっても、ピストン28は曲げ変形を受けることがなく、また、圧縮室40内の高圧がピストン28に加わっても、ピストン28は圧縮変形を受けることがない。この結果、ピストン28はシリンダボア26内を円滑に往復動することができる。
更に、図2に示されるように、各補強リブ50は下縁、即ち、シリンダボア26内にピストン28が嵌合されたとき、シリンダブロック14の径方向内側を向く下縁52を有し、この下縁52は、ピストンヘッド46からピストンテール32に向けてピストン28の軸線に近接するように傾斜している。しかしながら、ピストンヘッド46側に位置した下縁52の部分はスライドガイド54として形成され、このスライドガイド54はピストン28の軸線と平行に延び、前述したピストンヘッド46とともにシリンダボア26の内周面に摺接する。スライドガイド54の長さLSは、ピストンヘッド46の長さLHよりも若干長い方が望ましい。上述したスライドガイド54はピストン28の安定した往復動を保証する。
更に、中間セクション48は半円筒形状の外周壁56を更に含んでいる。この外周壁56の内面は一対の補強リブ50の上縁に連なり、これら補強リブ50をピストン28の軸線回りに部分的に囲んでいる。即ち、外周壁56は完全な円筒形状でなく、その一部が切り欠かれた開口域を有し、この開口域を通じて補強リブ50の下縁52及びスライドガイド54が外周壁56から露出している。
より詳しくは、外周壁56は、前述した径方向面Xを中心として対称な横断面形状を有し、この対称性はピストン28の軸線方向に沿う外周壁56の全長に亘って維持されている。外周壁56はピストンヘッド46から延びる大径部分58と、ピストンテール32から延びる小径部分60と、小径部分60と大径部分58とを繋ぐテーパ部分62とを含んでいる。
図4に示されるように大径部分58の外周面は、ピストンヘッド46における外周面の直径D1と同一の直径を有した円筒面の一部から形成され、一方、小径部分60の外周面は、直径D1よりも小さい直径D2を有した円筒面の一部から形成されている。そして、テーパ部分62は大径部分58と小径部分60とを滑らかに接続している。それ故、外周壁56はその大径部分58のみにてシリンダボア26の内周面に摺接する。
更に、外周壁56は一対の補強リブ50の側方に位置付けられた両側縁、即ち、両開口縁64を有しており、これら開口縁64の形状及び外周壁56の厚さは、ピストン28の往復運動中、ピストン28に加わるサイドフォースを考慮して、CAEに基づいて決定されている。この場合、外周壁56の厚さは可能な限り薄い方が望ましい。なお、サイドフォースは前述した接線力により発生され、ピストン28に対して斜板24の回転方向に加わる。
具体的には、図2でみて、各開口縁64は、大径部分58での下向きに凸状の円弧と、テーパ部分62での上向きに凸状の円弧と、そして、小径部分60でのピストン28の軸線と平行な直線とを順次繋げた形状を有する。
それ故、外周壁56は、両方の開口縁64間にて規定される外周壁56の周方向長さに着目したとき、この周方向長さはピストンヘッド46からピストンテール34に向けて減少し、小径部分60にて一定である。
外周壁56の大径部分58はピストンヘッド46と同様にシリンダボア26の内周面に摺接するので、ピストンヘッド46と協働して圧縮室40からクランク室20内に流入する冷媒の量を調整し、ピストンリングの省略に役立つ。
また、上述した外周壁56は一対の補強リブ50を完全に覆っておらず、また、その厚さも薄いので、ピストン28の全体の重量、即ち、その慣性質量は小さい。更に、外周壁56の外形形状、即ち、開口縁64の形状がCAEにより決定されているので、外周壁56は前述したサイドフォースに対する耐性もまた十分に発揮する。
次に、図5を追加し、前述したピストンテール32について詳述する。
ピストンテール32は前述した径方向面Xを中心として対称な形状を有し、且つ、径方向面Xに沿う断面でみて略U字形状をなしている。このU字形状のピストンテール32は、ピストン28がシリンダボア26に嵌合されたとき、シリンダブロック14の径方向内側に開いた姿勢をとる。
具体的には、ピストンテール32は、ピストン28の軸線方向に離間した一対のシューホルダ66と、これらシューホルダ66を繋ぐブリッジ68とを含む。前述した補強リブ50及び外周壁56はピストン28の軸線方向でみてフロント側のシューホルダ66に連結されている。
図5から明らかなように、一対のシューホルダ66は互いに対向する内面70を有し、これら内面70にはシューソケット72がそれぞれ形成されている。これらシューソケット72は半球状の凹面形状を有し、ピストン28の軸線上にそれぞれ位置付けられている。各シューソケット72は前述したシュー30を受け入れることができ、一対のシュー30はそのシューソケット72に回転且つ揺動自在に支持された状態で、斜板24の外周縁を挟み込むことができる。
更に、図5に示されるようにピストン28がシリンダボア26に嵌合されたとき、ブリッジ68はフロントケーシング12の内周面74に対向する外面76を有する。この外面76にはスライダ78が形成され、このスライダ78は外面76から僅かに突出し、フロントケーシング12の内周面74に摺接する。即ち、スライダ78の摺接面は、ピストン28の往復運動中、ピストン28の軸線回りの回転を阻止するストッパ面80を形成し、このストッパ面80はピストン28の横断面でみて、フロントケーシング12の内周面74に合致するような円弧形状をなしている。
更に、スライダ78には、例えば3つの溝、即ち、オイル窓82が形成され、これらオイル窓82は図3及び図4から明らかなように前述した径方向面Xを中心として対称に配置され、外周壁56側のスライダ78の縁を越えて延びている。また、図5から明らかなようにオイル窓82は、ピストン28の径方向でみてブリッジ68を貫通し、前述したストッパ面80とブリッジブリッジ68の内面、即ち、シューソケット72との間を接続する通路を形成する。
ピストン28の往復運動中、前述したようにピストンテール32のスライダ78はフロントケーシング12の内周面74に対して摺動し、内周面74に付着している潤滑オイルを掻取る。図5中の矢印で示されるように、掻き取られた潤滑オイルはオイル窓82を通じてピストンテール32内に導かれ、そして、シューソケット72に供給される。それ故、シューソケット72及びシュー30は潤滑オイルにより良好に潤滑され、これらシューソケット72及びシュー30の摩耗が低減される。なお、フロントケーシング12の内周面74への潤滑オイルの付着はクランク室20内に供給された冷媒中のオイルミストにより発生する。
上述したピストン28は、アルミニウム合金又はマグネシウム合金からなる一体成形品である。例えば、ピストン28がアルミニウム合金からなる場合、ピストン28の成形には鍛造プロセス又は鋳造プロセスを利用可能である。これに対し、ピストン28がマグネシウム合金からなる場合、ピストン28の成形には半固体鋳造プロセス(Thixomag(登録商標))を利用することができる。
好ましくは、ピストン28の種々の摺動面、即ち、ピストンヘッド46の外周面や外周壁56(大径部分58)の外周面、補強リブ50のスライドガイド54、ブリッジ68におけるスライダ78の外面、そして、シューソケット72には耐摩耗性のコーティング膜が形成されている。例えば、図5中、1点鎖線のサークルYの拡大図であるZには、外周壁56のコーティング膜が参照符号84により示されている。
ピストン28がアルミニウム合金からなる場合、コーティング膜84はテフロン(登録商標)から形成される。これに対し、ピストン28がマグネシウム合金からなる場合、コーティング膜84は酸化セラミックベースの内層と、テフロン(登録商標)からなる外層との二層構造であるのが好ましい。
上述したピストン28が鍛造、鋳造プロセス又は半固体鋳造プロセスにより成形される場合、この成形には一組のダイ又は型が使用される。図6中に1点鎖線で示されているように、これらダイ又は型の分離ラインPLはピストン28を径方向面X内に含まれるものではなく、径方向面Xと直交する面内に含まれている。
より詳しくは、図3及び図7は、ピストン28がシリンダボア26に嵌合されていると仮定したとき、シリンダブロック14の軸線側から見たピストン28の底面図及び斜視図をそれぞれ示す。図3及び図7から明らかなように、ピストン28の外形形状は、シューソケット72を除き、径方向面Xと平行な面内に凹み又は溝を有していない。それ故、ピストン28は前述したオイル窓82をも含め、ダイ又は型を使用した上述のプロセスにより、ほぼ最終製品に近い一体成形品として成形可能である。なお、シューソケット72は一体成形品を機械加工することにより形成される。
本発明は、上述した一実施例のピストン28に制約されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、図8は変形例のピストン86を示す。変形例のピストン86について説明するに際し、前述したピストン28と同一の機能を発揮する部位には同一の参照符号を付して、その説明を省略し、ピストン86とピストン28との間の相違点のみを以下に説明する。
ピストン86のピストンテール32は、一対の補強リブ50及び外周壁56に対し、ピストン86の直径方向に関して逆向きである。この場合、補強リブ50はその一部又はその全長に亘ってスライドガイド54を有することができる。ピストン86もまた前述したピストン28と同様な利点を有することは言うまでもない。
斜板式圧縮機を示した断面図である。 一実施例のピストンを示した側面図である。 図1のピストンの底面図である。 図1のピストンの平面図である。 図1のピストンの縦断面図である。 図3中、VI-VI線に沿う断面図である。 図1のピストンの斜視図である。 変形例のピストンを示した斜視図である。
符号の説明
12 フロントケーシング
14 シリンダブロック
24 斜板(スワッシュ部材)
26 シリンダボア
28,86 ピストン
30 シュー
32 ピストンテール
46 ピストンヘッド
48 中間セクション
50 補強リブ
54 スライドガイド
56 外周壁
62 開口縁
80 ストッパ面
82 オイル窓(通路)
84 コーティング膜

Claims (11)

  1. 往復動型流体機械のピストンであって、前記流体機械は、回転可能なスワッシュ部材を収容するためのケーシングと、シリンダブロックであって、前記ピストンが往復動自在に嵌合されるシリンダボアを有する、シリンダブロックと、前記スワッシュ部材の回転軸線及び前記シリンダボアの軸線を含む径方向面とを含み、
    前記ピストンは、一体成形品からなり、
    ピストンヘッド、内部に前記スワッシュ部材と係合するシューのためのソケットを有するピストンテール及びこれらピストンヘッドとピストンテールとの間を繋ぐ中間セクションとを備え、
    前記中間セクションは、前記径方向面の近傍にて前記径方向面を中心として対称に配置され、且つ、前記径方向面に沿って互いに平行に延びる複数の補強リブを含む。
  2. 請求項1のピストンにおいて、
    前記中間セクションは、少なくとも一部が前記シリンダボアの内周面に摺接する略半円筒形状の外周壁を更に含み、この外周壁は、前記補強リブを前記ピストンの軸線回りに部分的に囲んでいる。
  3. 請求項2のピストンにおいて、
    前記外周壁は前記径方向面を中心とした対称な横断面形状を有し、且つ、前記径方向面に沿って延びる両側縁を有する。
  4. 請求項3のピストンにおいて、
    前記外周壁はその両側縁間にて規定される周方向長さを有し、この周方向長さは前記ピストンヘッドから前記ピストンテールに向けて減少される。
  5. 請求項3のピストンにおいて、
    前記各補強リブは少なくとも一部に前記シリンダボアの内周面に摺接するスライドガイドを有する。
  6. 請求項1のピストンにおいて、
    前記ピストンテールは、
    前記ピストンが往復動するとき、前記ケーシングの内面に摺接して、前記ピストンの軸線回りの回転を阻止するストッパ面と、
    前記ストッパ面に開口し、前記ストッパ面と前記ソケットとの間を接続する通路と
    を含む。
  7. 請求項1のピストンにおいて、
    前記ピストンは、アルミニウム合金又はマグネシウム合金からなる。
  8. 請求項7のピストンにおいて、
    前記ピストンは、前記シリンダボアの内周面及び前記ケーシングの内面に対して摺接する外表面に耐摩耗性のコーティング膜を更に含む。
  9. 請求項2のピストンにおいて、
    前記ピストンはピストンリングレスのピストンヘッドを含む。
  10. 往復動型流体機械のピストンであって、前記流体機械は、回転可能なスワッシュ部材を収容するためのケーシングと、シリンダブロックであって、前記ピストンが往復動自在に嵌合されるシリンダボアを有する、シリンダブロックと、前記スワッシュ部材の回転軸線及び前記シリンダボアの軸線を含む径方向面とを含み、
    前記ピストンは、マグネシウム合金の一体成形品からなる。
  11. 請求項10のピストンにおいて、
    前記ピストンは半固体鋳造により成形されている。
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