JP2010090722A - 圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】高圧使用条件に対しても、ピストンブリッジ部を大型化することなく、ピストンのバランスが取りやすい構造を採用でき、かつ、フロントハウジング側についても特に厚肉の形態や応力集中しやすい形態を採ることなく、軽量で耐圧強度の高い構造を採用でき、しかも、容易に高精度の優れた組立性を達成できる圧縮機の構造を提供する。
【解決手段】円筒状のフロントハウジングと複数のシリンダボアが形成された円柱状のシリンダブロックとでクランク室が形成され、各シリンダボアに往復動自在に挿入されたピストンのクランク室側端部に、クランク室内に軸方向と平行に形成されたピストン係合面に当接されるピストン自転阻止部が形成された圧縮機において、ピストン自転阻止部とフロントハウジングの内周面との間に、クランク室を軸方向に貫通して延びる内挿部材を設け、該内挿部材によってピストン係合面を形成したことを特徴とする圧縮機。
【選択図】図4

Description

本発明は、クランク室を貫通する部材により形成されるピストン係合面への当接によりピストンの自転を阻止するピストン自転阻止部が、ピストンに設けられている圧縮機に関する。
従来から、例えば図19に示すように、前端部開放型のフロントハウジング101とシリンダブロック102とでクランク室103が形成され、シリンダブロック102に形成されたシリンダボア104に往復動自在に挿入されたピストン105のクランク室103側端部が図示例の如くブリッジ部106に形成され、ブリッジ部106内に保持された一対のシュー107と、駆動軸108とともに回転される斜板109との摺接を介して、斜板109の回転運動がピストン5の往復動に変換される斜板式圧縮機110が知られている。図示例では、斜板109の傾斜角がヒンジ機構111を介して変角可能な可変容量型の斜板式圧縮機に構成されているが、斜板の傾斜角が一定の固定容量型の斜板式圧縮機も知られている。そして、このような圧縮機110においては、ピストン105の自転を阻止するために、ピストン105のクランク室103側端部に、図示例では上記ブリッジ部106の圧縮機径方向外周面側に、フロントハウジング101の内周面に摺動可能に当接することによりピストン105の自転を阻止するピストン自転阻止部112を形成した構造が知られている。この自転阻止部112は、例えば、上記ブリッジ部106を圧縮機の径方向に拡大し、該拡大された部分の外周面がフロントハウジング101の内周面に摺動可能に当接されることにより構成されている。
このようなピストン自転阻止部112を備えた圧縮機においては、下記のような問題が残されている。とくに、被圧縮流体として二酸化炭素冷媒を用いる場合には、従来のR134a冷媒と同等な冷房性能を出すための圧縮機吐出量は小さくなるため、例えば図20に図19の圧縮機110の横断面に相当する図を示すように、シリンダボアのPCD(ピッチ円径)121は比較的小さい径となる。一方、作動圧力はR134a冷媒に比べて二酸化炭素冷媒の方が大きいため、筐体を締結するボルト類はサイズが大きくなる傾向となる。このため、図示例の如く特に締結ボルト122がクランク室103の内部を通る通し構造の圧縮機の場合、ピストン105の自転阻止部112とこれが当接するクランク室内壁面(図示例の場合、フロントハウジング101の内周面)までの距離が大きくなって空間123が形成されやすく、従来構造においては、ピストンブリッジ部106が大型化したり筐体側に複雑な形状が採用されたりしていた。
すなわち、従来構造においては、例えば図21に示すように、自転阻止部外周側空間を解消するために、ピストンブリッジ部131を径方向に拡大し、その外周面側に形成される自転阻止部132をフロントハウジング101の内周面と当接させるようにしている。しかしこのような構造では、ピストン105が重くなり、とくにピストンブリッジ部131の重量が増加するので、ピストン105全体のバランスが取りづらくなる。また、ピストン105の円筒部に対してブリッジ部131の偏肉が大きくなるので、鍛造工法などでは製作しづらくなる。
また、例えば図22に示すように、フロントハウジング141の内壁面のうちボルト122間の範囲の壁面142のみを中心方向に突出させ、その壁面142にピストン自転阻止部143を当接させるようにした構造も知られている(例えば、特許文献1)。しかしこのような構造では、ハウジング141のボルト122を逃げている凹部144に応力が集中しやすく、二酸化炭素冷媒を用いる場合のような高圧に対して、必要な耐圧強度を確保しづらいという問題が残されている。また、フロントハウジング141の横断面形状が複雑な形状となり、かつ、突出壁面142部分まで含めると厚肉形態となるので、鍛造工法などによる製造がしづらくなる。
また、例えば図23に示すように、フロントハウジング151の内壁面のうちボルト122間の範囲の壁面にリブ状の突起152を中心方向に突出させ、そのリブ状突起152にピストン自転阻止部153を当接させるようにした構造も知られている。しかしこのような構造では、リブ状突起152の付け根部に応力が集中しやすく、やはり、二酸化炭素冷媒を用いる場合のような高圧に対して、必要な耐圧強度を確保しづらいという問題が残されている。また、この場合にも、フロントハウジング151の横断面形状が複雑な形状となり、かつ、リブ状突起153部分まで含めると厚肉形態となるので、鍛造工法などによる製造がしづらくなる。
特開2001−336476号公報
そこで本発明の課題は、上記のような従来技術における問題点に着目し、二酸化炭素冷媒を用いる場合のような高圧使用条件に対しても、ピストン自転阻止部を形成するピストンブリッジ部を大型化することなく、ピストンのバランスが取りやすい構造を採用でき、かつ、ピストン自転阻止部に当接されるフロントハウジング側についても特に厚肉の形態や応力集中しやすい形態を採ることなく、軽量で耐圧強度が高く、かつ製造しやすい構造を採用でき、しかも、容易に高精度に組立を行うことができる優れた組立性を達成できる圧縮機の構造を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る圧縮機は、円筒状の壁を有するフロントハウジングと複数のシリンダボアが形成された円柱状のシリンダブロックとでクランク室が形成され、各シリンダボアに往復動自在に挿入されたピストンのクランク室側端部に、クランク室内に軸方向と平行に形成されたピストン係合面に当接されることによりピストンの自転を阻止するピストン自転阻止部が形成された圧縮機において、前記ピストン自転阻止部と前記フロントハウジングの内周面との間に、前記クランク室を軸方向に貫通して延びる前記フロントハウジングとは別体の内挿部材を設け、該内挿部材によって前記ピストン自転阻止部が当接される前記ピストン係合面を形成したことを特徴とするものからなる。
この本発明に係る圧縮機においては、内挿部材がピストン自転阻止部とフロントハウジングの内周面の間に設けられ、クランク室内において軸方向に延びるように配置されることにより、ピストン自転阻止部が当接されるピストン係合面が形成される。すなわち、外周面側にピストン自転阻止部が形成されるピストンブリッジ部と、従来構造においてピストン自転阻止部への当接面を形成していたフロントハウジングの内周面との間に内挿部材が位置することになり、その内挿部材の表面の一部がピストン係合面として形成される。したがって、ピストン自転阻止部を形成するピストンブリッジ部を圧縮機径方向に拡大しなくても、ピストン自転阻止部が容易にピストン係合面に当接でき、それによって所望のピストン自転阻止機能が発揮されることになる。ピストンブリッジ部の大型化防止により、ピストン全体として重くならず、バランスが取りやすい構造を採用できる。また、ピストンブリッジ部の偏肉代が小さくなるので、鋳造工法などで製造しやすくなる。また、フロントハウジングとは別体の内挿部材を用いてピストン自転阻止構造が構成されているので、フロントハウジング側を特に厚肉にする必要や応力集中しやすい中心部に向けて突出した構造を採る必要はなくなり、フロントハウジング側についても、薄肉軽量で耐圧強度、耐久性が高く、鍛造工法などを採用して製造しやすい構造を採用できる。また、フロントハウジングにはピストン摺動面を形成する必要がなくなるので、フロントハウジングの材料の選定に自由度が増えることにもなる。さらに、内挿部材はフロントハウジングとは別体の部材であるので、容易に高精度の加工が可能であり、優れた組立性を達成することもできる。
上記本発明に係る圧縮機においては、後述の実施態様に具体的に示すように、上記内挿部材が、クランク室内において周方向に配列された複数の棒状部材もしくは板状部材からなる構造、または、クランク室内において周方向に環状に延びる環状部材からなる構造を採用できる。いずれの構造を採用するかは、製造の容易性や、製造コスト、さらには内挿部材による重量増加の許容度合等を考慮して決めればよい。さらに、上記内挿部材によって形成される上記ピストン係合面が、クランク室内における周方向において、各ピストン自転阻止部の位置に対応させて配置されることが好ましい。とくに、内挿部材が複数の部材からなる場合においては、内挿部材を必要最小限の位置にのみ断続的に配置することにより、内挿部材による重量増加を最小限に抑えることが可能である。
また、上記本発明に係る圧縮機においては、上記内挿部材の内周面側と外周面側とに同圧のクランク室内の圧力がかかるように形成されていることが好ましい。つまり、内挿部材がピストン自転阻止部とフロントハウジングの内周面との間に設けられることにより、該内挿部材の内周面側にはクランク室内の圧力がかかることになるが、内挿部材の外周面側にも同圧のクランク室内圧力がかかるように構成されていることが好ましい。このように構成すれば、内挿部材の内外周面側で圧力差がないことから、内挿部材はピストンからの自転阻止力のみを受ければよいことになり、内挿部材を比較的薄い材料(例えば、3〜6mm程度の厚さの材料)で形成できる。その結果、内挿部材を設けることによる圧縮機の大型化や重量増加、および材料コストの増加を小さく抑えることができる。とくに、内挿部材をフロントハウジングとシリンダブロックによって挟持する構成を採用すれば、内挿部材をクランク室内に安定的に保持可能となる。また、ピストン自転阻止部が当接されるピストン係合面を形成する内挿部材において、内周面側と外周面側にかかる圧力の差がなくなるので、クランク室内の圧力が変化することによる当接面の変形がなくなる。その結果、ピストンが円滑に運動できるようになるので、耐久性の向上が助長され、騒音の発生が低減される。
また、上記本発明に係る圧縮機において、上記フロントハウジングが上記シリンダブロックに通しボルトを介して締結されている場合には、上記内挿部材により形成される上記ピストン係合面は、クランク室内の周方向において、前記通しボルトの位置から外れた位置に配置されていればよい。例えば、周方向において互いに隣接するピストン自転阻止部の間に通しボルトが配置されるように、ピストン係合面を配置すればよい。このように構成すれば、ボルトPCD(ピッチ円径)を比較的大きく設定することが可能になり、とくに斜板式圧縮機において、圧縮機全体の大型化を抑えつつ、クランク室内のフロント側に配置されるスラストベアリングや、クランク室内における斜板変角機構を大型化することが可能になって、圧縮機の耐久性や制御性の向上をはかることが可能となる。
このような本発明に係る圧縮機の構造は、基本的にピストン自転阻止部とそれが当接されるピストン係合面が必要とされるあらゆる圧縮機に適用可能であるが、とくに、本発明は、上記圧縮機が、フロントハウジングの前部側からクランク室内へと挿通された駆動軸と、該駆動軸に対し傾斜され該駆動軸とともに回転される斜板と、該斜板に摺接され該斜板の回転運動を前記ピストンの往復動に変換する運動変換機構とを備えた斜板式圧縮機からなる場合に好適なものである。斜板式圧縮機としては、斜板の傾斜角が可変の可変容量型斜板式圧縮機、斜板の傾斜角が固定の固定容量型斜板式圧縮機のいずれにも、本発明は適用可能である。
また、被圧縮流体としてはとくに限定されないが、本発明は、耐圧性の要求される、冷媒を圧縮する圧縮機に好適である。とくに、前述の如く高圧条件で使用される、二酸化炭素冷媒を圧縮する圧縮機に、本発明は好適である。
このように、本発明に係るピストン自転阻止構造を備えた圧縮機によれば、内挿部材をピストン自転阻止部とフロントハウジングの内周面の間に設け、クランク室内において軸方向に延びるように配置することにより、ピストン自転阻止部が当接されるピストン係合面を形成したので、ピストン自転阻止部を形成するピストンブリッジ部を大型化することなく、ピストン全体についてバランスが取りやすい構造を採用でき、フロントハウジング側についても特に厚肉の形態や応力集中しやすい形態を採ることなく、軽量で耐圧強度の高い構造を採用でき、かつ、組立性に優れた、二酸化炭素冷媒を用いる場合のような高圧使用に最適な圧縮機を実現できる。
以下に、本発明の望ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1〜図4は、本発明の第1実施態様に係る圧縮機、とくに車両用空調装置の冷凍回路に用いて好適な圧縮機を示しており、図1は縦断面図、図2は図1の圧縮機におけるフロントハウジングの内部をシリンダブロック側の開口部から見た図、図3は図1の圧縮機におけるシリンダブロックのクランク室側端面を示す図、図4は図1の圧縮機における内挿部材としての棒状部材がフロントハウジング−ピストン間に収まった状態を示す横断面図、をそれぞれ示している。また、図5は図1の圧縮機に用いられる棒状部材を示している。
本実施態様に係る圧縮機は、図1に示すように、可変容量型の冷媒圧縮用斜板式圧縮機1からなり、フロントハウジング2と、シリンダブロック3と、シリンダヘッド4とが、通しボルト5によって締結された構造を有している。有底円筒状に形成されたフロントハウジング2とシリンダブロック3とでクランク室6が形成され、クランク室6内には、開放型に形成されたフロントハウジング2の前端部側から駆動軸7が挿通されており、駆動軸7には、プーリ8、電磁クラッチ9を介して外部から回転駆動力が伝達されるようになっている。駆動軸7には、クランク室6内において、ヒンジ機構10を介して、斜板11が一体的に回転可能にかつ傾斜角を変角可能に連結されている。円柱状のシリンダブロック3には、複数のシリンダボア12が形成されており、各シリンダボア12には往復動自在にピストン13が挿入されている。各ピストン13のクランク室6側端部には、軸方向にわたって二股形状に形成されたピストンブリッジ部14が形成されており、該ピストンブリッジ部14内には、一対のシュー15が保持されている。この一対のシュー15は、斜板11の外周部の両側面に摺接され、該摺接を介して、斜板11の回転運動がピストン13の往復動に変換されるようになっている。ヒンジ機構10の一端側は駆動軸7に固定されたロータ16に連結されており、ロータ16の背面側とフロントハウジング2の内面との間にはフロントスラストベアリング17が設けられており、ピストン13からの圧縮反力を受けることができるようになっている。シリンダヘッド4内には、吸入室18と吐出室19が形成されており、吸入ポート20から吸入室18内に吸入された冷媒が、弁板21に形成された吸入孔22を通してシリンダボア12に吸入され、ピストン13の圧縮行程動作によって圧縮された後、圧縮冷媒が弁板21に形成された吐出孔23を通して吐出室19内に吐出され、そこから吐出ポート24を通して外部回路に送られるようになっている。
各ピストン13のピストンブリッジ部14の外周面側には、図4に示すように、クランク室6内に面するピストン係合面35aに当接されることによりピストン13の自転を阻止するピストン自転阻止部31が形成されている。図3および図4における32は、シリンダボア12のPCD(ピッチ円径)を示している。上記シリンダブロック3においては、図4にも示すように、ピストン自転阻止部31とフロントハウジング2の間に本発明における内挿部材としての棒状部材33aが配置され、棒状部材33aの内周面側にピストン係合面35aが形成されている。棒状部材33aの軸方向両端は、フロントハウジング2およびシリンダブロック3にそれぞれ設けられた非貫通孔51a、51b(図2、図3に図示)に挿入または圧入されて係合固定され、クランク室6を軸方向に貫通して延びるように配置されている。本実施態様においてピストン係合面35aは、クランク室6内において周方向に配列されており、図4に示すように、上記通しボルト5の位置から外れた位置に形成されている。また、上記棒状部材33aの外周面とフロントハウジング2の内周面との間には、組立時に棒状部材33aがフロントハウジング2の円筒部に円滑に挿入されるように、僅かな隙間が形成されており、棒状部材の内周面と外周面とに同圧のクランク室内圧力がかかるようになっている。フロントハウジング2とシリンダブロック3との間のシールは、突き合わせ部に適当なシール材を介装したシール部36(図1に図示)によって達成されている。
このように構成された第1実施態様に係る圧縮機1においては、ピストン自転阻止部31とフロントハウジング2の間に、クランク室6を軸方向に貫通して延びる棒状部材が、クランク室内において周方向に複数配列されているので、フロントハウジング2の内周面はピストン摺動面に形成される必要がない。また、この棒状部材は、ピストンブリッジ部14とフロントハウジング2の内周面との間に位置されるので、ピストン自転阻止部31を形成するピストンブリッジ部14を圧縮機径方向に拡大する必要はなくなり、かつ、フロントハウジング2側についても特に厚肉にしたり応力集中しやすい中心部に向けて突出した構造を採る必要はなくなる。ピストンブリッジ部14の大型化防止により、ピストン全体として重くならず、かつ、バランスが取りやすい構造を採用でき、しかも、ピストンブリッジ部14による偏肉が小さくなるので、鍛造工法などで製造しやすくなる。また、フロントハウジング2についても、重量増加を抑えた軽量の、かつ、応力集中箇所の生じにくい簡素な横断面形状の、二酸化炭素冷媒使用の場合にも好適な耐圧強度の高い構造を採用できるとともに、フロントハウジング2にピストン摺動面を形成する必要がないことから、フロントハウジング2の材料選定に自由度が増え、シリンダブロック3に比べ、より安価な材料や、より製造し易い材料の選択が可能になる。また、棒状部材はフロントハウジングと別体に形成されるので、高精度の加工が可能であり、優れた組立性を達成できる。
また、棒状部材33aの内周面と外周面とに同圧のクランク室6内の圧力がかかり、棒状部材33aの内外周面側で圧力差がないことから、棒状部材33aは基本的にピストン自転阻止力のみを受ければよいことになり、棒状部材33aを比較的小径の材料(例えば、3〜6mm程度の外径の材料)で形成することができる。その結果、棒状部材33aを設けることによる圧縮機1の大型化や重量増加、および材料コストの増加を小さく抑えることができる。また、ピストン自転阻止部31が当接されるピストン係合面35aを形成する棒状部材33aにおいて、内周面側と外周面側にかかる圧力の差がなくなるので、クランク室内の圧力が変化することによる当接面の変形がなくなる。その結果、ピストンが円滑に運動できるようになるので、耐久性の向上が可能になり、騒音の発生が低減される。
また、上記実施態様では、図3〜図4に示したように、通しボルト5と棒状部材33aとの干渉を回避しつつ、通しボルト5のPCD(ピッチ円径)を最大限大きくするようにした配置、構造が採用されているので、圧縮機1全体の大型化を抑えつつ、クランク室6内のフロントスラストベアリング17やクランク室6内における斜板変角機構の大型化が可能になり、圧縮機1の耐久性や制御性の向上をはかることが可能となる。
図6〜図10は、本発明の第2実施態様に係る圧縮機を示しており、図6は縦断面図、図7は図6の圧縮機におけるフロントハウジングの内部をシリンダブロック側の開口部から見た図、図8は図6の圧縮機におけるシリンダブロックのクランク室側端面を示す図、図9は図6の圧縮機における環状部材がフロントハウジング−ピストン間に収まった状態を示す横断面図、をそれぞれ示している。また、図10は図6の圧縮機に用いられる環状部材を示している。図6〜図9に示した第2実施態様に係る圧縮機41においては、内挿部材が薄肉の環状部材からなる点が、前述の第1実施態様において内挿部材が棒状部材であった点と異なっており、その他の部分の構造は前述の第1実施態様と実質的に同等であるので、図1〜図4に示したのと同一の符号を付すことにより説明を省略する。
この第2実施態様に係る圧縮機41においては、図9に示すように、ピストン自転阻止部31とフロントハウジング2の間に、クランク室内において周方向に環状に延びる環状部材33bが内挿され、環状部材33bの内周面側にピストン係合面35bが形成されている。環状部材33bの軸方向両端は、フロントハウジング2およびシリンダブロック3にそれぞれ設けられた非貫通溝52a、52bおよび座繰り部53a、53b(図7、図8に図示)に挿入または圧入されて係合固定され、クランク室6を軸方向に貫通して延びるように配置されている。環状部材33bには、非貫通溝52a、52bにガイドされてピストン自転阻止部31と当接する部位が形成されるとともに、座繰り部53a、53bにガイドされて通しボルト5の外周側に、通しボルト5から逃げて部分的に張り出す部位が形成されている。すなわち、環状部材33bの内周面側に形成されているピストン係合面35bは、クランク室6内における周方向において、ピストン自転阻止部31の位置に対応させて配置され、かつ、通しボルト5の位置から外れた位置に配置されている。
このような第2実施態様に係る圧縮機41において、環状部材33bは薄肉に構成されていることから曲げ加工が容易である。従って、ピストン係合面35bの位置のいかんによらず、通しボルト5のPCDが比較的大きくなるような形状を形成することが可能である。とくに斜板式圧縮機においては、圧縮機全体の大型化を抑えつつ、クランク室内のフロント側に配置されるスラストベアリングや、クランク室内における斜板変角機構を大型化することが可能になって、圧縮機の耐久性や制御性の一層の向上をはかることが可能となる。その他の構成、作用効果は、前述の第1実施態様に準じる。
図11〜図15は、本発明の第3実施態様に係る圧縮機を示しており、図11は縦断面図、図12は図11の圧縮機におけるフロントハウジングの内部をシリンダブロック側の開口部から見た図、図13は図11の圧縮機におけるシリンダブロックのクランク室側端面を示す図、図14は図11の圧縮機における環状部材がフロントハウジング−ピストン間に収まった状態を示す横断面図、をそれぞれ示している。また、図15は図11の圧縮機に用いられる環状部材を示している。図11〜図14に示した第3実施態様に係る圧縮機42においては、内挿部材としての環状部材が比較的厚肉に構成されている点が、前述の第2実施態様において環状部材が比較的薄肉に構成されていた点で異なっており、その他の部分の構造は前述の第1実施態様と実質的に同等であるので、その他の部分については図6〜図9に示したのと同一の符号を付すことにより説明を省略する。
この第3実施態様に係る圧縮機42においては、図14に示すように、ピストン自転阻止部31とフロントハウジング2の間に、クランク室内において周方向に環状に延びる環状部材33cが内挿され、環状部材33cの内周面側にピストン係合面35cが形成されている。環状部材33cの軸方向両端は、フロントハウジング2およびシリンダブロック3にそれぞれ設けられた非貫通溝52a、52b(図12、図13に図示)に挿入または圧入されて係合固定され、クランク室6を軸方向に貫通して延びるように配置されている。環状部材33cには、非貫通溝52a、52bにガイドされてピストン自転阻止部31と当接する部位が形成されるとともに、通しボルト5の外周側に沿って部分的に薄肉の部位が形成されている。すなわち、環状部材33cの内周面側に形成されているピストン係合面35cは、クランク室6内における周方向において、ピストン自転阻止部31の位置に対応させて配置され、かつ、通しボルト5の位置から外れた位置に配置されている。
このような第3実施態様に係る圧縮機42において、環状部材33cは全体的に比較的厚肉に構成されていることから、ピストン係合面35cの強度が確保されている。さらに、環状部材33cの薄肉の部位に通しボルト5が挿通されるようにすれば、通しボルト5のPCDを比較的大きく設定することが可能になる。環状部材33cの製造方法としては、厚さが一様な円環状部材から、通しボルト5と干渉する部分だけを除肉加工して製造する方法のほか、鋳造により成型加工して製造する方法が挙げられる。その他の構成、作用効果は、前述の第2実施態様に準じる。
図16〜図18は、本発明の第4実施態様に係る圧縮機を示しており、図16は縦断面図、図17は図16の圧縮機における環状部材がフロントハウジング−ピストン間に収まった状態を示す横断面図、をそれぞれ示している。また、図18は図16の圧縮機に用いられる板状部材を示している。なお、図16の圧縮機におけるシリンダブロック側の開口部から見たフロントハウジングの内部、およびシリンダブロックのクランク室側端面は、それぞれ図12および図13に示したものと実質的に同じである。図16および図17に示した第4実施態様に係る圧縮機43においては、内挿部材が横断面円弧状の板状部材からなる点が、前述の第3実施態様において内挿部材が比較的厚肉の環状部材であった点で異なっており、その他の部分の構造は前述の第3実施態様と実質的に同等であるので、その他の部分については図11〜図14に示したのと同一の符号を付すことにより説明を省略する。
この第4実施態様に係る圧縮機43においては、図17に示すように、ピストン自転阻止部31とフロントハウジング2の間に、クランク室6を軸方向に貫通して延びる板状部材33dが、クランク室6内において周方向に複数配列されている。またピストン係合面35dは、ピストン13の自転を阻止するのに必要な範囲に形成されるように、クランク室6内における周方向において、ピストン自転阻止部31の位置に対応させて断続的に配置され、かつ、通しボルト5の位置から外れた位置に配置されている。
このような第4実施態様に係る圧縮機43においては、板状部材33dを周方向に断続的に配置することにより、板状部材33dを設けたことによる重量増加を最小限に抑えることが可能である。また、断続的に配置した板状部材33dの隣接部材間に通しボルト5を配置できるので、容易に通しボルト5のPCDを比較的大きく設定することが可能になる。その他の構成、作用効果は、前述の第3実施態様に準じる。
本発明に係るフロントハウジングとは別体の内挿部材を有する圧縮機の構造は、とくに小型化、軽量化、高耐圧性が求められる圧縮機に好適なものであり、中でも、二酸化炭素冷媒を使用する圧縮機に好適である。
本発明の第1実施態様に係る圧縮機の縦断面図である。 図1の圧縮機のフロントハウジング内部をシリンダブロック側の開口部から見た図である。 図1の圧縮機のシリンダブロックのクランク室側端面を示す横断面図である。 図1の圧縮機の内挿部材としての棒状部材がフロントハウジング−ピストン間に収まった状態を示す横断面図である。 図1の圧縮機に用いられる棒状部材を示す斜視図である。 本発明の第2実施態様に係る圧縮機の縦断面図である。 図6の圧縮機のフロントハウジング内部をシリンダブロック側の開口部から見た図である。 図6の圧縮機のシリンダブロックのクランク室側端面を示す横断面図である。 図6の圧縮機の内挿部材としての環状部材がフロントハウジング−ピストン間に収まった状態を示す横断面図である。 図6の圧縮機に用いられる環状部材を示す斜視図である。 本発明の第3実施態様に係る圧縮機の縦断面図である。 図11の圧縮機のフロントハウジング内部をシリンダブロック側の開口部から見た図である。 図11の圧縮機のシリンダブロックのクランク室側端面を示す横断面図である。 図11の圧縮機の内挿部材としての環状部材がフロントハウジング−ピストン間に収まった状態を示す横断面図である。 図11の圧縮機に用いられる環状部材を示す斜視図である。 本発明の第4実施態様に係る圧縮機の縦断面図である。 図16の圧縮機の内挿部材としての板状部材がフロントハウジング−ピストン間に収まった状態を示す横断面図である。 図16の圧縮機に用いられる板状部材を示す斜視図である。 従来の圧縮機の縦断面図である。 図19の圧縮機のフロントハウジング、ピストン、通しボルトの位置関係を示す横断面図である。 従来の圧縮機におけるピストン自転阻止構造の一例を示す横断面図である。 従来の圧縮機におけるピストン自転阻止構造の別の例を示す横断面図である。 従来の圧縮機におけるピストン自転阻止構造のさらに別の例を示す横断面図である。
符号の説明
1、41、42、43 圧縮機
2 フロントハウジング
3 シリンダブロック
4 シリンダヘッド
5 通しボルト
6 クランク室
7 駆動軸
10 ヒンジ機構
11 斜板
12 シリンダボア
13 ピストン
14 ピストンブリッジ部
15 シュー
16 ロータ
17 フロントスラストベアリング
18 吸入室
19 吐出室
20 吸入ポート
21 弁板
22 吸入孔
23 吐出孔
24 吐出ポート
31 ピストン自転阻止部
32 PCD(ピッチ円径)
33a 内挿部材としての棒状部材
33b、33c 内挿部材としての環状部材
33d 内挿部材としての板状部材
34 ボルト孔
35a、35b、35c、35d ピストン係合面
36 シール部
45 内部壁先端部
51a、51b 非貫通孔
52a、52b 非貫通溝
53a、53b 座繰り部

Claims (9)

  1. 円筒状の壁を有するフロントハウジングと複数のシリンダボアが形成された円柱状のシリンダブロックとでクランク室が形成され、各シリンダボアに往復動自在に挿入されたピストンのクランク室側端部に、クランク室内に軸方向と平行に形成されたピストン係合面に当接されることによりピストンの自転を阻止するピストン自転阻止部が形成された圧縮機において、前記ピストン自転阻止部と前記フロントハウジングの内周面との間に、前記クランク室を軸方向に貫通して延びる前記フロントハウジングとは別体の内挿部材を設け、該内挿部材によって前記ピストン自転阻止部が当接される前記ピストン係合面を形成したことを特徴とする圧縮機。
  2. 前記内挿部材が、クランク室内において周方向に配列された複数の棒状部材もしくは板状部材、または、クランク室内において周方向に環状に延びる環状部材からなる、請求項1に記載の圧縮機。
  3. 前記内挿部材によって形成される前記ピストン係合面が、クランク室内における周方向において、各ピストン自転阻止部の位置に対応させて配置されている、請求項2に記載の圧縮機。
  4. 前記内挿部材が、該内挿部材の内周面側と外周面側とに同圧のクランク室内の圧力がかかるように形成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の圧縮機。
  5. 前記内挿部材が、前記フロントハウジングと前記シリンダブロックによって挟持されている、請求項1〜4のいずれかに記載の圧縮機。
  6. 前記フロントハウジングが前記シリンダブロックに通しボルトを介して締結されており、前記内挿部材により形成される前記ピストン係合面は、クランク室内の周方向において、前記通しボルトの位置から外れた位置に配置されている、請求項1〜5のいずれかに記載の圧縮機。
  7. 前記圧縮機が、フロントハウジングの前部側からクランク室内へと挿通された駆動軸と、該駆動軸に対し傾斜され該駆動軸とともに回転される斜板と、該斜板に摺接され該斜板の回転運動を前記ピストンの往復動に変換する運動変換機構とを備えた斜板式圧縮機からなる、請求項1〜6のいずれかに記載の圧縮機。
  8. 前記圧縮機が、冷媒を圧縮する圧縮機からなる、請求項1〜7のいずれかに記載の圧縮機。
  9. 前記圧縮機が、二酸化炭素冷媒を圧縮する圧縮機からなる、請求項8に記載の圧縮機。
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