JP2006077673A - ピストン式圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な摩耗防止加工によりピストンとシリンダボアとの摩耗を抑制し、各シリンダボアとピストンとの最適なトップクリアランスボリュームを確保することが可能で、且つピストンを軽量化することでランニングコストを抑制できるピストン式圧縮機を提供する。
【解決手段】ピストン式圧縮機1は、ピン部33を節としたピストン30の弾性変形によって、ピストントップ側円板部34とシリンダボア22の内壁との局所的な高面圧が回避されるので、ピストントップ側円板部34とシリンダボア22との摩耗を抑制できる。また、ピン部33とピストントップ側円板部34との圧入嵌合量を調節することによって、トップクリアランスボリュームを容易に調節できる。さらに、ピストン30は従来のピストンと比較して軽量化されるので、ピストン30が往復直線運動する際の動力が低減され、ランニングコストを抑制できる。
【選択図】図1
【解決手段】ピストン式圧縮機1は、ピン部33を節としたピストン30の弾性変形によって、ピストントップ側円板部34とシリンダボア22の内壁との局所的な高面圧が回避されるので、ピストントップ側円板部34とシリンダボア22との摩耗を抑制できる。また、ピン部33とピストントップ側円板部34との圧入嵌合量を調節することによって、トップクリアランスボリュームを容易に調節できる。さらに、ピストン30は従来のピストンと比較して軽量化されるので、ピストン30が往復直線運動する際の動力が低減され、ランニングコストを抑制できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、冷凍空調に用いられるピストン式圧縮機であって、例えば車両用空気調和装置の冷凍回路に用いられるピストン式圧縮機に関するものである。
一般に、車両用空気調和装置の冷凍回路等に用いられるピストン式圧縮機として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。このピストン式圧縮機を図8を参照して説明する。
このピストン式圧縮機70は、図8に示すように、回転軸Aの周りに回転自在に設けられたシリンダブロック部71と、シリンダブロック部71の内部に回転軸Aと平行に設けられたシリンダボア72と、シリンダボア72へ摺動自在に挿入されたピストン73とを備えている。シリンダブロック部71は、シリンダボア72のクランク室74側開口端部に略円筒状の薄肉部75を形成している。また、ピストン73は、斜板76の回転に伴い往復直線運動するものである。
このようなピストン式圧縮機70は、斜板76の回転に伴い、シリンダボア72内でそれぞれのピストン73が往復直線運動して流体を吸入及び吐出する。そして、往復直線運動するピストン73は、図8に示すように、各シリンダボア72のクランク室74側開口端部の内壁Bに接触し、ピストン73を各シリンダボア72のクランク室74側開口端部の内壁Bに押し付けるサイドフォースが作用してピストン73が撓む。そして、ピストン73が撓むと薄肉部がピストン73の形状に倣って変形する。これにより、シリンダボア72のクランク室74側開口端部の内壁とピストン73との摺接面積Bが大幅に増大するので、各シリンダボア72のクランク室74側開口端部におけるピストン73の局所的な高面圧が回避される。したがって、局所的な面圧の上昇を回避することにより、ピストン式圧縮機70の耐摩耗性、耐焼き付き性を向上させることができる上に、高圧での使用が可能となる。
また、ピストン式圧縮機70の性能は、体積効率が同じ冷媒ならばトップクリアランスボリュームDが大きいほど低下する。そのため、一般的にはピストン式圧縮機70の組立段階でトップクリアランスボリュームDを測定し、部品の選択嵌合によって性能の安定を図っている。このとき、複数のシリンダボア72内の各トップクリアランスボリュームDの差が大きい場合、最もトップクリアランスボリュームDの小さいシリンダボア72に合わせてガスケットが選択される。
特開平7−332224号公報
しかしながら、特許文献1に記載のピストン式圧縮機70は、各シリンダボア72のクランク室74側開口端部に作用したサイドフォースによってピストン73が撓んだ場合に、ピストン73の円筒部とシリンダボア72との嵌め合いに悪影響を与える。このため、高精度にピストン73の円筒部とシリンダボア72を加工する必要があり、ピストン73の剛性を一定量以下にはできない。
また、各シリンダボア72のクランク室74側開口端部に作用したサイドフォースによってピストン73が撓んだ場合に、ピストントップTpとシリンダボア72の内壁とがエッジ接触し、ピストントップTpとシリンダボア72の内壁との摺接面Cが摩耗するおそれがあった。
また、ガスケットは、複数のピストン73のうちトップクリアランスボリュームDの最も小さいシリンダボア72に合わせて選択されるので、トップクリアランスボリュームDが大きいシリンダボア72に対しては適切な調整が行われない。したがって、トップクリアランスボリュームDが大きいシリンダボア72内では、圧縮された冷媒蒸気が完全に吐出されないので、ピストン式圧縮機70の性能が低下してしまう。また、各シリンダボア72毎で圧縮比が異なるので、ノイズの発生・性能の悪化が避けられなかった。
さらに、図9(a)及び(b)に示すような従来のピストン80において、一対のシュー(図示しない)を介装するブリッジ部81とシリンダブロック部71と摺接する円筒部82とが一体形成されている。この円筒部82は、図9(b)に示すように、その全体が重量のある金属から構成されているので、円筒部82を往復直線運動させるには多くの動力を必要とする。このため、ランニングコストが上昇してしまうという問題点を有する。
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な摩耗防止加工によりピストンとシリンダボアとの摩耗を抑制し、ガスケットが交換できないような構造であっても、各シリンダボア内に最適なトップクリアランスボリュームを確保することが可能で、且つピストンを軽量化することでランニングコストを抑制できるピストン式圧縮機を提供することにある。
本発明は前記目的を達成するために、請求項1では、シリンダブロック部に区画形成されたシリンダボアと、シリンダボア内で往復直線運動できるように収容されたピストンと、ピストンに対向し吸入孔及び吐出孔を有する弁板と、クランク室に設置され駆動源の回転運動をピストンの往復直線運動に変換する運動変換機構とを備えたピストン式圧縮機において、ピストンは、運動変換機構からの往復直線運動が伝達されるピストン基部と、ピストン基部の一部でありシリンダボアの内壁のうちクランク室側の内壁に摺動するピストン円筒部と、シリンダボアの内壁のうち弁板側の内壁に摺動するピストントップ側円板部と、ピストン円筒部とピストントップ側円板部とを連結し、径方向断面積がピストン円筒部及びピストントップ側円板部の径方向断面積よりも小さいピン部と、を有し、ピン部をピストントップ側円板部に圧入して嵌合した構造となっている。
請求項1の発明によれば、斜板の回転によってピストンが往復直線運動する際にピストンに生じた集中押圧力により、ピストン基部をシリンダボアの内壁のうちクランク室側の内壁に押し付けるサイドフォースが生じる。このサイドフォースによってピストン基部がシリンダボアの内壁のうちクランク室側の内壁に押し付けられると、ピストンはピン部を節にして弾性変形する。
また、本発明のピストンは、ピストン基部とピン部とピストントップ側円板部とから構成され、このピン部の径方向断面積はピストン円筒部及びピストントップ側円板部の径方向断面積よりも小さい。これにより、本発明のピストンは、従来のピストンと比較して軽量化され、ピストンが往復直線運動する際の動力が低減される。
さらに、本発明のピストン式圧縮機は、ピン部をピストントップ側円板部に圧入して嵌合した。これにより、ピン部とピストントップ側円板部との圧入嵌合量を調節することによって、トップクリアランスボリュームを調節することができる。
尚、請求項1に記載のピストン式圧縮機において、シリンダボアの周壁のうち少なくともクランク室側を薄肉に形成することが好ましい(請求項2)。ピストン式圧縮機を駆動する際は、前述したように、ピストン基部をシリンダボアの内壁のうちクランク室側の内壁に押し付けるサイドフォースが生じる。このサイドフォースによってピストン基部がシリンダボアの内壁のうちクランク室側の内壁に押し付けられると、薄肉に形成されたシリンダボアの周壁のうち少なくともクランク室側は弾性変形してサイドフォースが緩衝される。これにより、各シリンダボアの内壁のうちクランク室側の内壁とピストンとの摺接面積が大幅に増大する。したがって、ピストン基部とシリンダボアの内壁との局所的な高面圧が回避されるので、ピストン基部とシリンダボアとの摩耗を抑制することができる。
また、請求項1又は請求項2に記載のピストン式圧縮機において、ピストン円筒部の軸方向寸法は、ピストンストローク以上に設定していることが好ましい(請求項3)。これにより、ピストンが往復直線運動した場合であっても、ピストン円筒部がシリンダボアのクランク室側開口端部の内壁で確実に摺動することができる。
また、請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載のピストン式圧縮機において、ピン部は、ピストン円筒部の一端面に圧入して嵌合しても良い(請求項4)。 また、請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載のピストン式圧縮機において、ピストントップ側円板部とシリンダボアの線膨張率の比が80%〜120%である(請求項5)。これにより、例えば温度条件が著しく異なるピストン式圧縮機の組み立て時と運転時等の場合において、ピストントップ側円板部とシリンダボアとの線膨張率には大きな差がないので、トップクリアランスボリュームを最適値に保つことができる。したがって、トップクリアランスボリュームの変化によるピストン式圧縮機の性能及びピストンの往復直線運動への影響を抑制できる。
また、請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載のピストン式圧縮機において、ピストントップ側円板部の少なくとも流体圧縮側端面は、吸入孔の弁若しくは弁板に比べ、30%以下のヤング率を持つ材質である(請求項6)。これにより、仮にピストントップ側円板部の少なくとも流体圧縮側端面が弁若しくは弁板に接触した場合であっても、振動や騒音の発生を抑制できる。また、ピストントップ側円板部の少なくとも流体圧縮側端面が弁若しくは弁板に接触しても、ピストントップ側円板部の少なくとも流体圧縮側端面は適切な方向に変形する。したがって、ピストントップ側円板部の少なくとも流体圧縮側端面または弁若しくは弁板の破損を防止できるので、耐久性が向上する。
さらに、請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載のピストン式圧縮機において、ピストントップ側円板部は、外周側面にピストンリング溝が設けられ、ピストンリング溝にはピストンリングが嵌め込まれていることが好ましい(請求項7)。これにより、ピストンの往復直線運動によってシリンダボアで冷媒が吸入圧縮される際に、ピストンとシリンダボアとの隙間から冷媒が漏れることを防止できる。
さらにその上、請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載のピストン式圧縮機において、ピストン円筒部の径方向断面積は、ピストントップ側円板部の径方向断面積よりも大きく、ピストン円筒部及びピン部とシリンダボアとの間の空間が非圧縮空間となるように、ピストン円筒部とシリンダボアとの間にはクランク室に通じる連通路が設けられていることが好ましい(請求項8)。これにより、ピストンが往復直線運動する際に、ピストン円筒部及びピン部とシリンダボアとの間の空間に存在する気体の圧縮が防止され、空間内の圧力変化が低減される。したがって、空間内の圧力変化によるピストンの往復直線運動への影響が抑制される。また、ピストン円筒部とシリンダボアとの間にはクランク室に通じる連通路が設けられているので、各シリンダボアの内壁のうちクランク室側の内壁とピストンとの接触が抑制できる。したがって、ピストンとシリンダボアの内壁との接触応力が緩和され、ピストンとシリンダボアとの摩耗を抑制することができる。
請求項1の本発明によれば、ピン部を節としたピストンの弾性変形によってサイドフォースが緩衝される。これにより、ピストントップ側円板部に向かってサイドフォースが伝達され難くなり、ピストントップ側円板部の変形が抑制される。したがって、ピストントップ側円板部とシリンダボアの内壁との局所的な高面圧が回避されるので、ピストントップ側円板部とシリンダボアとの摩耗を抑制することができる。
また、本発明のピストンは従来のピストンと比較して軽量化され、ピストンが往復直線運動する際の動力を低減することが可能なので、ランニングコストを抑制することができる。
さらに、ピン部とピストントップ側円板部との圧入嵌合量を調節することによって、トップクリアランスボリュームを調節可能なので、ピストン式圧縮機の性能向上を図ることができる。特に、ピストンストロークが小さい場合において、不必要なトップクリアランスボリュームが生じないので一層の性能向上を図ることができる。
図1乃至図7は本発明の一実施形態を示すもので、図1はピストン式圧縮機を示す側面断面図、図2はピストンの側面図と断面図、図3はピストンの正面図、図4はピストンの側面図と断面図、図5はピストンの正面図と底面図と断面図、図6はピストンの側面図と断面図、図7はピストンの側面図と断面図である。
まず、このピストン式圧縮機の全体構造を図1を参照して説明する。ピストン式圧縮機1は、リアハウジング10とフロントハウジング20とを有する。
フロントハウジング20のリアハウジング10側にはボルト2によりシリンダブロック部21が連結されている。このシリンダブロック部21には円筒状のシリンダボア22が複数形成され、各シリンダボア22にはそれぞれピストン30が往復直線運動ができるように収容されている。また、シリンダブロック部21は、リアハウジング10側に円板形状の弁板接触部26と、弁板接触部26からクランク室25に向かって伸び、シリンダボア22の周壁のうち少なくともクランク室25側を薄肉に形成したパイプ状の薄肉部27から構成されている。
リアハウジング10は、冷媒の吸入室11及び吐出室12が形成され、各室11,12が弁板13を介してシリンダボア22に連通しており、ピストン30の往復直線運動によりシリンダボア22で冷媒が吸入圧縮される。
弁板13は、シリンダボア22に連通する冷媒吸入孔11a及び冷媒吐出孔12aが設けられ、冷媒吸入孔11aは吸入室11に連通し、冷媒吐出孔12aは吐出室12に連通している。また、弁板13には、冷媒吸入孔11a及び冷媒吐出孔12aをそれぞれ開閉する板状の吸入弁11b及び吐出弁12bが取り付けられ、吸入弁11b及び吐出弁12bの弾性変形によって冷媒吸入孔11a及び冷媒吐出孔12aを開閉するようになっている。
フロントハウジング20には、シリンダブロック部21からフロントハウジング20の外方に突出した回転軸40が貫通している。この回転軸40は、シリンダブロック部21及びフロントハウジング20に介装されたベアリング23,24を介して軸支され、その先端は電磁クラッチ41に連結している。電磁クラッチ41は、そのプーリ42を自動車エンジンのベルト(図示しない)に連結しており、エンジンに出力された回転力が電磁クラッチ41を通じて回転軸40に伝達されるようになっている。
この回転軸40に伝達された回転運動は、フロントハウジング20のクランク室25に設置された運動変換機構50により往復直線運動に変換される。即ち、運動変換機構50は、回転軸40に固着されたロータ51と、ロータ51に連結する連結部52と、連結部52に固定された斜板53と、ピストン30のブリッジ部31に介装された一対のシュー54とからなり、斜板53の周縁部がシュー54に摺動自在に挟み込まれている。ここで、回転軸40が回転運動を行うときはロータ51及び連結部52が回転し、これに伴い斜板53が回転する。この斜板53は回転軸40に対して傾斜した状態で回転するため、その斜板53の傾斜幅の分、ピストン30が直線方向に往復直線運動する。なお、この運動変換機構50は、クランク室25の圧力とシリンダボア22の吸入圧力の差圧に対応して斜板53の傾き角が変化し、ピストン30のピストンストロークの変更が可能となっている。
以上のようなピストン式圧縮機1の構造は周知のものであり、本実施形態の特徴的構成はピストン30の構造にある。この構造を主に図2を参照して説明する。
ピストン30は、図2(a)及び(b)に示すように、ピストン基部32と、ピン部33と、ピストントップ側円板部34とから主に構成されている。
ピストン基部32は、一対のシュー54を介装するブリッジ部31と、シリンダボア22の内壁と摺動する円柱状のピストン円筒部35とを有する。
ブリッジ部31の内側には、図1に示すように、斜板53が一対のシュー54で摺動自在に挟持されており、この斜板53の摺動によりピストン30を上下方向に往復直線運動させるようになっている。そして、ピストン基部32の中でも特にブリッジ部31は、シュー54を保持するために必要な強度や成形性を考慮して、高強度アルミニウム合金から成形されていることが好ましい。
また、ピストン円筒部35の軸方向寸法は、ピストンストローク以上に設定している。これにより、ピストン30が往復直線運動した場合であっても、ピストン円筒部35がシリンダボア22のクランク室25側開口端部の内壁で確実に摺動することができる。
ピン部33は、ピストン円筒部35とピストントップ側円板部34とを連結している。また、ピン部33の径方向断面積は、ピストン円筒部35及びピストントップ側円板部34の径方向断面積よりも小さくなるように形成されている。さらに、ピン部33は、ピストントップ側円板部34に圧入して嵌合している。このピストントップ側円板部34にピン部33を圧入して嵌合する際には、ブリッジ部31からピストントップまでの長さを規定する治具を用いる。
ピストントップ側円板部34は、図2(b)に示すように、外周側面にピストンリング溝36が設けられている。このピストンリング溝36には、図2(a)に示すように、ピストンリング37が嵌め込まれている。
また、ピストントップ側円板部34は、シリンダボア22の内壁と摺動する。このピストントップ側円板部34は、シリンダブロック部21との線膨張率の比が80%〜120%に設定されている。このような線膨張率の比を示すには、例えば、鋳鉄のシリンダブロック部21と鉄系材料のピストントップ側円板部34との組み合わせや、アルミ合金製のシリンダブロック部21とアルミ合金製のピストントップ側円板部34との組み合わせ、または、シリンダブロック部21及びピストントップ側円板部34双方が樹脂等が考えられる。
さらに、ピストントップ側円板部34の流体圧縮側端面341は、吸入弁11b若しくは弁板13に比べ、30%以下のヤング率を持つ材質で成形している。
以上のように構成されたピストン30が備えられたピストン式圧縮機1の作用について、図3を参照して説明する。
まず、斜板53の回転によってピストン30が往復直線運動して圧縮する際に、図3に示すように、圧縮力とそれに直交する分力が作用する。そして、ピストン30は、従来と同様に角度θ1だけ傾斜状態となる。
このとき、ピストン30には、ピストン基部32をシリンダボア22のクランク室25側開口端部の内壁に押し付けるサイドフォースが生じる。このとき、シリンダボア22のクランク室25側開口端部の内壁に押し付けられたピストン基部32の形状に倣って、薄肉部27が弾性変形する。そしてこのとき、ピン部33を節にしてピストン30も弾性変形してピストントップ側円板部34に向かうサイドフォースが緩衝される。
本実施形態のピストン式圧縮機1によれば、ピン部33を節としたピストン30の弾性変形によってサイドフォースが緩衝されるので、ピストントップ側円板部34にサイドフォースが伝達され難くなり、ピストントップ側円板部34の変形が抑制される。これにより、ピストントップ側円板部34とシリンダボア22の内壁との局所的な高面圧が回避されるので、ピストントップ側円板部34とシリンダボア22との摩耗を抑制することができる。
また、薄肉部27の弾性変形によってもサイドフォースが緩衝されるので、ピストントップ側円板部34にサイドフォースが伝達され難くなり、ピストントップ側円板部34の変形が抑制される。これにより、薄肉部27とピストン基部32との摺接面積が大幅に増大する。したがって、ピストン基部32とシリンダボア22の内壁との局所的な高面圧が回避されるので、ピストン基部32とシリンダボア22との摩耗を抑制することができる。
また、ピン部33とピストントップ側円板部34との圧入嵌合量を調節することによって、トップクリアランスボリュームを容易に調節することができる。これにより、ピストン式圧縮機1の性能向上を図ることができる。特に、ピストンストロークが小さい場合において、不必要なトップクリアランスボリュームが生じないので一層の性能向上を図ることができる。
また、ピストン30は、ピストン基部32とピン部33とピストントップ側円板部34とから構成するので、従来のピストン(例えば図9に示すピストン80)と比較して軽量化される。これにより、ピストン30が往復直線運動する際の動力を低減することが可能なので、ランニングコストを抑制することができる。
また、ピストントップ側円板部34の外周側面に設けられたピストンリング溝36にはピストンリング37が嵌め込まれているので、ピストン30の往復直線運動によってシリンダボア22で冷媒が吸入圧縮される際に、ピストン30とシリンダボア22との隙間から冷媒が漏れることを防止できる。
また、ピストン円筒部35の軸方向寸法をピストンストローク以上に設定しているので、ピストン円筒部35がシリンダボア22のクランク室25側開口端部の内壁で確実に摺動することができる。
また、ピストントップ側円板部34とシリンダボア22の線膨張率の比が80%〜120%なので、ピストントップ側円板部34とシリンダボア22との線膨張率には大きな差がない。これにより、例えば温度条件が著しく異なるピストン式圧縮機1の組み立て時と運転時等の場合においても、ボアクリアランスを最適値に保つことができる。したがって、ピストン式圧縮機1の性能及びピストン30の往復直線運動への影響を抑制できる。
さらに、ピストントップ側円板部34の流体圧縮側端面341は、吸入弁11b若しくは弁板13に比べ、30%以下のヤング率を持つ材質で成形している。これにより、仮に流体圧縮側端面341が吸入弁11b若しくは弁板13に接触した場合であっても、振動や騒音の発生を抑制することができる。また、ピストントップ側円板部34の流体圧縮側端面341が吸入弁11b若しくは弁板13に接触しても、ピストントップ側円板部34の少なくとも流体圧縮側端面341は適切な方向に変形する。したがって、流体圧縮側端面341または吸入弁11b若しくは弁板13の破損を防止できるので、耐久性が向上する。
尚、本実施形態では、ピストン30を組み立てる方法として、ブリッジ部31からピストントップまでの長さを規定する治具を用いて、ピン部33をピストントップ側円板部34に圧入して嵌合したが、これに限られない。例えば、図4(a)又は(b)に示すピストン60のように、まず弁板13に接触する長さにピストン60を仮組みした後、ピストン式圧縮機1を組み立てる。そして、図4(c)に示すように、運動変換機構50により斜板53を回転し、弁板13(若しくはその代用治具)に敢えてピストン60のピストントップを押しつけて順次トップクリアランスボリュームをゼロにする方法がある。
ここで、上述したようにトップクリアランスボリュームをゼロにすると、弁板13に設けられた吸入弁11bとピストン30とが干渉し合い、冷媒の吸入圧縮に悪影響を及ぼす可能性がある。そこで、図5に示すピストン61のように、ピストントップ側円板部34の流体圧縮側端面641に吸入弁11bの逃げとなる溝部642を設けることで、弁板13に設けられた吸入弁11bとピストン61との干渉を防止できる。
また、上述したようにトップクリアランスボリュームをゼロとした場合、リアハウジング10とピストン30との熱膨張差により、リアハウジング10とピストン30とが干渉し合うことがある。その対策として、図6に示すピストン62のように、別部材として、低熱膨張材のピン部63を使用するピストン62であることが好ましい。
このピストン62は、図6(a)に示すように、まず、別部材であるピン部63がピストン円筒部35の一端面に圧入して嵌合される。次に、図6(b)及び(c)に示すように、弁板13に接触する長さにピストン62を仮組みした後、ピストン式圧縮機1を組み立てる。そして、図6(d)に示すように、運動変換機構50により斜板53を回転し、弁板13(若しくはその代用治具)に敢えてピストン62のピストントップを押しつけて順次トップクリアランスボリュームをゼロにする。これにより、ピン部63とピストン円筒部35の一端面、及びピン部63とピストントップ側円板部34における各圧入嵌合量を調節することによって、トップクリアランスボリュームを調節することができる。
また、本実施形態では、ピストントップ側円板部34の外周側面にはピストンリング溝36が設けられ、このピストンリング溝36にはピストンリング37が嵌め込まれているが、これに限られない。例えば、図7に示すピストン64のように、ピストンリング溝36とピストンリング37を廃止したピストントップ側円板部65を採用しても良い。このピストン64は、ピストントップ側円板部65とシリンダボア22との間隔を狭くすることによって、ピストン64が往復直線運動し、シリンダボア22内の冷媒を吸入圧縮する際であっても、ピストン64とシリンダボア22との隙間から冷媒が漏れることを防止できる。
さらに、本実施形態のピストン円筒部35の径方向断面積は、ピストントップ側円板部34の径方向断面積と略同一に設定したが、これに限られない。例えば、図8に示すピストン65のように、ピストン円筒部35の径方向断面積がピストントップ側円板部34の径方向断面積よりも大きく設定されていても良い。このとき、ピストン円筒部35及びピン部33とシリンダボア27との間の空間が非圧縮空間67となるように、ピストン円筒部35とシリンダボア22との間にはクランク室25に通じる連通路66が設けられている。
これにより、ピストン65が往復直線運動する際に、ピストン円筒部35及びピン部33とシリンダボア22との間の空間に存在する気体の圧縮が防止され、空間内の圧力変化が低減される。したがって、空間内の圧力変化によるピストン65の往復直線運動への影響が抑制される。また、ピストン円筒部35とシリンダボア22との間にはクランク室25に通じる連通路が設けられているので、各シリンダボア22の内壁のうちクランク室25側の内壁とピストン65との接触が抑制できる。したがって、ピストン65とシリンダボア22の内壁との接触応力が緩和され、ピストン65とシリンダボア22との摩耗を抑制することができる。
このピストン65は、近年問題となっている地球温暖化防止の観点から、フロン系冷媒の代替として二酸化炭素(以下、CO2)を冷媒として用いた場合に有効である。なぜなら、冷媒としてCO2を使用するピストン65がフロン系冷媒のひとつであるHFC134a(ハイドロフルオロカーボン)冷媒を使用した場合と同等の冷媒能力を得ようとしたとき、HFC134a冷媒よりも6分の1〜8分の1の吐出流量となる。これにより、ピストン径が非常に小さくなる上に、高圧で使用するので圧縮反力が大きい。このため、ピストン65に往復動を伝える斜板53の傾角によって生じるサイドフォースが大きくなる。このような場合に、ピストン65のような形状を有することによって、サイドフォースによる影響を緩和することが可能となる。
1…ピストン式圧縮機,10…リアハウジング,20…フロントハウジング,21…シリンダブロック部,22…シリンダボア,30…ピストン,32…ピストン基部,33…ピン部,34…ピストントップ側円板部,35…ピストン円筒部,36…ピストンリング溝,37…ピストンリング,40…回転軸,50…運動変換機構。
Claims (8)
- シリンダブロック部に区画形成されたシリンダボアと、該シリンダボア内で往復直線運動できるように収容されたピストンと、該ピストンに対向し吸入孔及び吐出孔を有する弁板と、クランク室に設置され駆動源の回転運動を該ピストンの往復直線運動に変換する運動変換機構とを備えたピストン式圧縮機において、
前記ピストンは、前記運動変換機構からの往復直線運動が伝達されるピストン基部と、
前記ピストン基部の一部であり前記シリンダボアの内壁のうち前記クランク室側の内壁に摺動するピストン円筒部と、
前記シリンダボアの内壁のうち前記弁板側の内壁に摺動するピストントップ側円板部と、
前記ピストン円筒部と前記ピストントップ側円板部とを連結し、径方向断面積が該ピストン円筒部及び該ピストントップ側円板部の径方向断面積よりも小さいピン部と、を有し、
前記ピン部を前記ピストントップ側円板部に圧入して嵌合した
ことを特徴とするピストン式圧縮機。 - 前記シリンダボアの周壁のうち少なくとも前記クランク室側を薄肉に形成した
ことを特徴とする請求項1記載のピストン式圧縮機。 - 前記ピストン円筒部の軸方向寸法は、ピストンストローク以上に設定した
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のピストン式圧縮機。 - 前記ピン部は、前記ピストン円筒部の一端面に圧入して嵌合した
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3記載のピストン式圧縮機。 - 前記ピストントップ側円板部と前記シリンダボアの線膨張率の比が80%〜120%である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4記載のピストン式圧縮機。 - 前記ピストントップ側円板部の少なくとも流体圧縮側端面は、前記吸入孔の弁若しくは前記弁板に比べ、30%以下のヤング率を持つ材質である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5記載のピストン式圧縮機。 - 前記ピストントップ側円板部は、外周側面にピストンリング溝が設けられ、該ピストンリング溝にはピストンリングが嵌め込まれた
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6記載のピストン式圧縮機。 - 前記ピストン円筒部の径方向断面積は、前記ピストントップ側円板部の径方向断面積よりも大きく、
前記ピストン円筒部及び前記ピン部と前記シリンダボアとの間の空間が非圧縮空間となるように、前記ピストン円筒部と前記シリンダボアとの間にはクランク室に通じる連通路が設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7記載の記載のピストン式圧縮機。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2004262373A JP2006077673A (ja) | 2004-09-09 | 2004-09-09 | ピストン式圧縮機 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2004262373A JP2006077673A (ja) | 2004-09-09 | 2004-09-09 | ピストン式圧縮機 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2006077673A true JP2006077673A (ja) | 2006-03-23 |
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ID=36157332
Family Applications (1)
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JP2004262373A Pending JP2006077673A (ja) | 2004-09-09 | 2004-09-09 | ピストン式圧縮機 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2006077673A (ja) |
-
2004
- 2004-09-09 JP JP2004262373A patent/JP2006077673A/ja active Pending
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