以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態の映像表示装置の構成を示したブロック図である。
図1において、映像表示装置は、残像補正回路10と、表示部100とを有する。また、残像補正回路10は、入力端子1と、除去部2と、積分部3と、減算部4とを有する。
入力端子1は、映像信号を受け付ける。映像信号には、DC(交流)成分とAC(直流)成分とを有する。なお、DC成分は、画面全体の輝度を調整するための成分であり、残像として認識されない成分である。
除去部2は、入力端子1が受け付けた映像信号からDC成分を除去する。例えば、先ず、除去部2は、1フレーム期間ごとに、映像信号の輝度の平均値を計算する。続いて、除去部2は、その平均値を映像信号から減算することで、映像信号からDC成分を除去する。なお、1フレーム期間は、1画面分の画像を表示する期間に相当する。
積分部3は、除去部2がDC成分を除去した映像信号を積分して積分信号を生成する。例えば、積分部3は、フレーム期間ごとに映像信号を加算していくことで、映像信号を積分する。
減算部4は、積分部3が生成した積分信号を、入力端子1が受け付けた映像信号から減算し、その積分信号を減算した映像信号を出力する。
表示部100は、例えば、液晶パネル、プラズマディスプレイパネルまたはCRTなどである。表示部100は、減算部4から出力された映像信号に応じた画像を表示する。
なお、入力端子1と減算部4との間に、映像信号を、除去部2及び積分部3で係る時間だけ遅延する遅延回路を設けてもよいし、あるフレーム期間で生成された積分信号が次のフレーム期間の映像信号から減算されるような時間だけ遅延する遅延回路を設けてもよい。
次に動作を説明する。図2は、本実施形態の映像表示装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
入力端子1は、映像信号を受け付けると、その映像信号を除去部2と減算部4とに出力する(ステップS1)。
除去部2は、映像信号を受け付けると、その映像信号の輝度の平均値を計算する。除去部2は、その平均値を映像信号から減算することで、映像信号からDC成分を除去し、そのDC成分を除去した映像信号を積分部3に出力する(ステップS2)。
積分部3は、映像信号を受け付けると、その映像信号を積分して積分信号を生成し、その積分信号を減算部4に出力する(ステップS3)。
減算部4は、積分信号と映像信号とを受け付けると、その映像信号から積分信号を減算し、その積分信号を減算した映像信号を出力する(ステップS4)。
表示部100は、映像信号を受け付けると、その映像信号に応じた画像を表示する(ステップS5)。
次に効果を説明する。
本実施形態によれば、除去部2は、入力端子1が受け付けた映像信号からDC成分を除去する。積分部3は、除去部2がDC成分を除去した映像信号を積分して積分信号を生成する。減算部4は、積分部3が生成した積分信号を、入力端子1が受け付けた映像信号から減算する。
この場合、積分信号は、DC成分が除去された映像信号が積分されて生成される。また、その積分信号は、映像信号から減算される。なお、映像信号に含まれるDC成分は、残像と認識されない成分である。
このため、残像と認識されない成分が映像信号から減算されるのを抑制することが可能になる。したがって、過補正の発生を抑制することが可能になるので、画質の低下を抑制することが可能になる。
次に第二の実施形態について説明する。なお、第一の実施形態と同じ機能を有するものには同じ符号を付し、その説明を省略することもある。
図3は、本実施形態の映像表示装置の構成を示した回路図である。図3において、映像表示装置は、残像補正回路10と、表示部100とを有する。
残像補正回路10は、入力端子1と、除去部2と、積分部3と、減算部4と、計測部5と、調節部6とを有する。
積分部3は、フレームメモリ11と、利得調整回路12および13を有する調整部と、加算回路14とを有する。
フレームメモリ11は、保持手段の一例である。フレームメモリ11は、入力信号である映像信号が入力されると、その入力された映像信号を所定の期間だけ保持して出力する。本実施形態では、フレームメモリ11が映像信号を保持する所定の期間は1フレーム期間であるとする。
これにより、積分部3からの出力信号は1フレーム毎に更新される。なお、フレームメモリ11は、表示部100の解像度と同等以上の解像度で映像信号を保持することが望ましい。
利得調整回路12および13のそれぞれには、パラメータが設定されている。本実施形態では、利得調整回路12には、パラメータαが設定されており、利得調整回路13には、パラメータ(1−α)が設定されている。なお、パラメータαは、0<α<1を満たす。
利得調整回路12は、除去部2がDC成分を除去した映像信号に、自己に設定されているパラメータαを利得として乗算する。利得調整回路13は、フレームメモリ11からの出力信号に、自己に設定されているパラメータ(1−α)を利得として乗算する。
ここで、パラメータαの値に応じて、フレームメモリ11からの出力信号に対する、除去部2がDC成分を除去した映像信号の比率が変化する。したがって、利得調整回路12および13を有する調整部は、その出力信号に対する映像信号の比率を調整することになる。
加算回路14は、調整部で比率が調整された出力信号および映像信号を加算してフレームメモリ11に入力する。これにより、フレームメモリ11に入力された映像信号が1フレーム期間後の映像信号に加算され、その加算された映像信号が再びフレームメモリ11に入力される。したがって、加算回路14は、最新の映像信号を1フレーム期間前までの映像信号の和と加算することになるので、その加算結果が積分信号となる。
ここで、調整部が調整する比率を定めるパラメータαを調節することで、残像補正回路10は、表示部100の残像特性に適した映像信号を出力することができる。具体的には、表示部100の種類や装置構成などに応じて、映像が変化してから残像が発生するまでの時間が異なる。この時間が長いほど、積分信号に占める過去の映像信号の割合が大きければ、残像を効率的に抑制することができる。したがって、映像が変化してから残像が発生するまでの時間が長いほど、パラメータαを小さくすることが望ましい。
減算部4は、利得調整回路21と、加算回路22とを有する。
利得調整回路21は、積分部3が生成した積分信号の振幅を調整する。具体的には、利得調整回路21には、パラメータβが設定される。そして、利得調整回路21は、積分信号の振幅に、自己に設定されているパラメータβを利得として乗算するとともに、積分信号の極性を反転させることで、その積分信号の振幅を(−β)倍する。なお、パラメータβは、0以上である。
利得調整回路21の調整量を定めるパラメータβを調節することで、残像補正回路10は、表示部100の残像特性に適した映像信号を出力することができる。具体的には、具体的には、表示部100の種類や装置構成などに応じて、残像の大きさが異なる。残像が大きいほど、調整量が大きければ、残像を効率的に抑制することができる。したがって、残像が大きいほど、パラメータβを小さくすることが望ましい。
加算回路22は、利得調整回路21が振幅を調整した積分信号を、入力端子1が受け付けた映像信号に加算して出力する。なお、積分信号は、利得調整回路21で極性が反転されているので、減算部4は、積分部3が生成した積分信号を映像信号から減算していることになる。
計測部5は、表示部100が通電されていない非通電時間を計測する。
例えば、計測部5は、バックアップ電源と、そのバックアップ電源で駆動する時計(またはタイマー)を有する。計測部5は、その時計を用いて、表示部100への通電が停止されてから再開されるまでの時間を、非通電時間として計測する。また、計測部5は、表示部100への通電が停止されてから再開されるまでの、表示部100または残像補正回路10に含まれるコンデンサの放電量を計測し、その放電量に応じた時間を、非通電時間として計測してもよい。
調節部6は、計測部5が計測した非通電時間に応じて、利得調整回路21の調整量であるパラメータβと、調整部が調整する比率を定めるパラメータαを調整する。
具体的には、調節部6は、その非通電時間が長いほど、パラメータβを小さくして、利得調整回路21の調整量を小さくする。また、調節部6は、その非通電時間が長いほど、パラメータαを小さくすることで、調整部が調整する振幅の比率を小さくする。
これにより、減算部4は、計測部5が計測した非通電時間に応じて、積分信号の振幅を調整することになる。より具体的には、減算部4は、その非通電時間が長いほど、積分信号の振幅を小さくすることになる。
また、調整部は、フレームメモリ11からの出力信号の振幅に対する、除去部2がDC成分を除去した映像信号の振幅の比率を、計測部5が計測した非通電時間に応じて調整することになる。より具体的には、調整部は、その非通電時間が長いほど、その振幅の比率を小さくすることになる。
次に動作を説明する。
図4は、本実施形態の動作例を説明するためのフローチャートである。なお、図4において、図3と同じ処理には同じ符号を付してある。
先ず、ステップS1およびS2が実行される。続いて、積分部3の利得調整回路12は、ステップS2で除去部2が出力した映像信号を受け付けると、その映像信号に、自己に設定されているパラメータαを利得として乗算して加算回路14に出力する(ステップT1)。
加算回路14は、利得調整回路12から映像信号を受け付け、利得調整回路13から、1フレーム前までの映像信号の和である積分信号を受け付ける。加算回路14は、その映像信号および積分信号を加算して最新の積分信号を生成する。加算回路14は、その積分信号をフレームメモリ11に入力するとともに、その積分信号を利得調整回路21に出力する(ステップT2)。
フレームメモリ11は、その入力された積分信号を1フレーム期間だけ保持し、その後、保持している積分信号を利得調整回路13に出力する(ステップT3)。
利得調整回路13は、積分信号を受け付けると、その積分信号に、自己の設定されているパラメータ(1−α)を利得として乗算する。加算回路14は、その利得を乗算した積分信号を加算回路14に出力する(ステップT4)。
また、利得調整回路21は、積分信号を受け付けると、その積分信号に、自己に設定されているパラメータβを利得として乗算し、乗算結果の極性を反転させることで、積分信号の振幅を(−β)倍する。利得調整回路21は、その振幅を(−β)倍した積分信号を加算回路22に出力する(ステップT5)。
そして、加算回路22は、利得調整回路21から積分信号を受け付け、ステップS1で入力端子1から減算部4に出力された映像信号を受け付ける。加算回路22は、その映像信号および積分信号を加算して、残像を除去した映像信号を生成し、その生成した映像信号を表示部100に出力する(ステップT6)。
表示部100は、映像信号を受け付けると、その映像信号に応じた映像を表示する(ステップT7)。
次に表示部100への通電が停止された際の動作について説明する。図5は、この動作例を説明するためのフローチャートである。
先ず、計測部5は、表示部100への通電の停止を検知すると(ステップU1)、自己が有する時計を用いて、時間の計測を開始する(ステップU2)。
計測部5は、表示部100への通電が再開されたか否かを確認する(ステップU3)。
計測部5は、表示部100への通電が再開されていないと(ステップU3でNo)、ステップU3に戻る。一方、計測部5は、表示部100への通電が再開されると(ステップU3でYes)、時間の計測を停止して、その計測した時間を非通電時間として示す信号を調節部6に出力する(ステップU4)。
調節部6は、その信号を受け付けると、その信号が示す非通電時間に応じてパラメータαおよびβを算出する。具体的には、調節部6は、その非通電時間が長いほどパラメータαを小さくし、パラメータβを小さい値とする。例えば、調節部6は、パラメータαおよびβのそれぞれの初期値を保持し、その非通電時間が長いほど小さい値をその初期値に乗算してパラメータαおよびβを算出する。
なお、パラメータαの初期値は、表示部100において映像が変化してから残像が発生するまでの時間が長いほど、小さい値となるように予め設定されていることが望ましい。また、パラメータβの初期値は、表示部100において残像の振幅が大きいほど、小さい値となるように予め設定されていることが望ましい。
調節部6は、その利得αを示すα信号を利得調整回路12に出力し、利得(1−α)を示す(1−α)信号を利得調整回路13に出力し、その利得βを示すβ信号を利得調整回路21に出力する(ステップU5)。
利得調整回路12は、α信号を受け付けると、そのα信号が示す利得αを自己に設定する。利得調整回路13は、(1−α)信号を受け付けると、その(1−α)信号が示す利得(1−α)を自己に設定する。利得調整回路21は、α信号を受け付けると、そのβ信号が示す利得βを自己に設定する(ステップU6)。
次に効果を説明する。
本実施形態では、計測部5は、表示部100が通電されていない非通電時間を計測する。また、減算部4は、その非通電時間に応じて積分信号の振幅を調整し、その調整した積分信号を映像信号から減算する。なお、表示部100の生じる残像は、表示部100が通電されていないときに改善されることがある。
この場合、改善された残像分の積分信号が映像信号から減算されることを抑制することが可能になる。したがって、過補正の発生をより抑制することが可能になるので、画質の低下をより抑制することが可能になる。
また、本実施形態では、減算部4は、非通電時間が長いほど、積分信号の振幅を小さくする。なお、非通電時間が長いほど、残像の改善は促進される。
この場合、残像の改善の度合が高いほど、積分信号の振幅が小さくなるので、より正確に過補正の発生を抑制することが可能になる。
また、本実施形態では、フレームメモリ11は、入力信号を1フレーム期間保持して出力する。調整部は、フレームメモリ11からの出力信号の振幅の、除去部2がDC成分を除去した映像信号の振幅に対する比率を、非通電時間に応じて調整する。加算回路14は、調整部が調整した出力信号および映像信号を加算してフレームメモリ11に入力することで、映像信号を積分する。
この場合、最新の積分信号に含まれる過去の積分信号の割合を、非通電時間に応じて変更することが可能になる。過去の積分信号が表わす残像は、非通電時間に応じて改善されるので、残像の改善の度合に応じて積分信号に含まれる過去の積分信号の割合を変更することが可能になる。したがって、過補正の発生をより抑制することが可能になるので、画質の低下をより抑制することが可能になる。
また、本実施形態では、調整部は、非通電時間が長いほど、フレームメモリ11からの出力信号の振幅の、除去部2がDC成分を除去した映像信号の振幅に対する比率を小さくする。
この場合、残像の改善の度合が高いほど、最新の積分信号に含まれる過去の積分信号の割合を小さくすることが可能になるので、より正確に過補正の発生を抑制することが可能になる。
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上記実施形態に限定されたものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更を行うことができる。
例えば、パラメータαおよびβは予め定められた値でもよい。
また、積分部3は、利得調整回路12および13の一方だけを有してもよい。
また、保持手段として、映像信号を1フィールド期間保持するフィールドメモリが用いられてもよい。なお、表示部100は通常映像信号に応じた映像を表示する際にある方向に対して2回走査して1画面分の画像を表示する。1フィールド期間は、この方向に対して1回走査するのにかかる期間である。1フレーム期間は、この方向に対して2回走査するのにかかる期間に相当する。