以下、本発明の実施形態を、複合機100(画像形成装置に相当)を例に挙げつつ、図1〜図7を用いて説明する。但し、各実施の形態に記載される構成、配置等の各要素は発明の範囲を限定せず、単なる説明例にすぎない。
(画像形成装置の概略構成)
まず、図1、図2を用い、本発明の実施形態に係る複合機100の概略を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る複合機100の概略構成を示す模型的断面図である。図2は、本発明の実施形態に係る1つの画像形成ユニット42の拡大模型的断面図である。
まず、複合機100の最上部には、コピー時に原稿を1枚ずつ自動的、連続的に読み取り位置に搬送する原稿搬送装置101が取り付けられる。原稿搬送装置101の下方に、画像読取部102が設けられる。又、原稿搬送装置101は、図1の紙面奥側を支点として画像読取部102に上下方向に開閉自在に取り付けられる。これにより、コンタクトガラス(送り読取用コンタクトガラス102A及び載置読取用コンタクトガラス102B)を上方から押さえるカバーとして機能する。
画像読取部102は、上面に送り読取用コンタクトガラス102Aと、書籍等の原稿を1枚ずつ読み取る際に原稿を載置する載置読取用コンタクトガラス102Bが配される。画像読取部102内には、ランプ、ミラー、レンズ、イメージセンサ等(不図示)が配される。イメージセンサは、送り読取用コンタクトガラス102Aを通過する原稿、あるいは、載置読取用コンタクトガラス102Bに載置された原稿の反射光を元に、原稿を読み取る。そして、イメージセンサは、反射光を画像濃度に応じたアナログの電気信号に変換し、その後、量子化を行い、画像データを得る。
又、複合機100は、図1に破線で示すように、正面上部に操作パネル1が設けられる。操作パネル1は、各種設定後、コピー等の実行を指示するスタートキー10が設けられる。又、操作パネル1は、印刷部数等の数字入力用のテンキー部11や、複合機100の設定や動作指示を与えるためのメニューやキーを表示する液晶表示部12を有する。液晶表示部12は、タッチパネル式である。使用者は、液晶表示部12に表示されたキーを押下して、複合機100の設定や動作指示を行える。例えば、使用者は、操作パネル1で使用する用紙のサイズ、種類を指定可能である。
又、複合機100は、下方から、給紙部2(2A〜2D)、搬送路3、画像形成部4、中間転写部5、定着装置6等を備える。
複合機100の下方の各給紙部2(尚、図1において、上段からA、B、C、Dの符号を付す)は、印刷に用いる各サイズ(例えば、A4、A5、A6、B4等のA型、B型用紙等)、各種用紙(例えば、コピー用紙等の普通紙、再生紙、薄紙、厚紙、OHPシート等)を複数枚収容する。例えば、最上部の給紙部2Aは、A3横用紙(用紙搬送方向とA3用紙の長辺方向を一致させて載置)を収容する。上から2段目の給紙部2Bは、B4横用紙(用紙搬送方向とB4用紙の長辺方向を一致させて載置)を収容する。上から3段目の給紙部2Cは、A4横用紙(用紙搬送方向とA4用紙の長辺方向を一致させて載置)を収容する。最下段の給紙部2Dは、はがき(ほぼA6サイズ、用紙搬送方向とはがきの長辺方向を一致させて載置)を収容する。尚、各給紙部2の構成は同様であるので、同じものには、同じ符号を付し、特に説明する場合を除き、A、B、C、Dの符号は省略する。
各給紙部2は、給紙用のモータ(不図示)により回転駆動する給紙ローラ21を備え、印刷時、1枚ずつ搬送路3に用紙を送り込む。そして、各給紙部2内には、積載される用紙を、用紙搬送方向と垂直な方向で挟んで規制する上下規制ガイド22と、用紙の後端と接して規制する後端規制ガイド23の2種の規制ガイドが設けられる。上下規制ガイド22は、一対で設けられ(図1では、一方のみ可視)、連動してスライドする。実際に用紙位置を規制する場合、上下規制ガイド22をスライドさせ用紙を挟む。その結果、用紙は搬送路3の幅方向(用紙搬送方向と垂直な方向、図1の紙面垂直な方向)の中央と、用紙の中心軸が一致するように規制される(中央通紙)。後端規制ガイド23もスライドされ、用紙の後端を規制する。
各規制ガイドはスライド可能であるので、各給紙部2A〜2Dに収容される用紙のサイズは、適宜変更可能である。例えば、A3やB4用紙をほとんど用いない使用者は、各給紙部2に4段全てにA4横用紙を収容させるようにしてもよい。このように、使用者は、各給紙部2に各種サイズの用紙を収容させることができる。
又、給紙部2に収容される用紙サイズを検知するための用紙サイズセンサ24が各給紙部2に設けられる。例えば、用紙サイズセンサ24は、後端規制ガイド23とつながり、スライド位置により抵抗値が変化する可変抵抗(不図示)と、上下規制ガイド22とつながり、スライド位置によって抵抗値が変化する可変抵抗(不図示)とを有する。そのため、用紙サイズセンサ24は、各規制ガイドの位置に応じ、異なる電圧を出力する。尚、用紙サイズセンサ24は、複数設けられた光センサによって各規制ガイドの位置を把握するものでもよく、積載された用紙のサイズが把握できればよい。
又、各給紙部2は、引き出し本体から取り外し可能である。用紙切れが生じた場合や用紙の交換を行う場合、使用者は、給紙部2を引き出し、用紙の補給や入替を行う。そして、使用者は、給紙部2を複合機100本体に差し込み、取り付ける。そして、図1に示すように、各給紙部2の取り外し、取り付けを検知するため、挿脱検知スイッチ25が、各給紙部2に対し1つ設けられる。挿脱検知スイッチ25は、対応する給紙部2の挿脱(取り付け、取り外し)によって、ON/OFFが切り替わる(例えば、インターロックスイッチ)。各挿脱検知スイッチ25の出力は、後述の本体制御部7に入力され、本体制御部7は、給紙部2の挿脱を検知できる(図3参照)。
次に、搬送路3は、用紙を搬送し、給紙部2からの用紙を中間転写部5、定着装置6を経て排出トレイ31まで導く。搬送路3には、複数の搬送ローラ対32(32A〜32D、上方からA、B、C、Dと符号を付す)や、ガイドや、搬送されてくる用紙を中間転写部5の手前で待機させ、タイミングをあわせて送り出すレジストローラ対33等が設けられる。又、定着装置6の下流側に、用紙を排出トレイ31に向けて排出する排出ローラ対34も設けられる。尚、排出ローラ対34の近傍には、用紙の排出を検出するための用紙センサ351(例えば、光センサを使用)が設けられる。
又、ジャム(用紙の詰まり)が発生した場合の用紙除去処理等のため、図1に白抜矢印で示すように、複合機100の左側面部分の側面カバー104と側面カバー105は、開閉可能である。そして、図1に示すように、側面カバー104の開閉を検知するため、開閉検知スイッチ36が設けられる。又、側面カバー105の開閉を検知するため、開閉検知スイッチ37が設けられる。開閉検知スイッチ37は、開閉によって、ON/OFFが切り替わる(例えば、インターロックスイッチ)。開閉検知スイッチ37の出力は、後述の本体制御部7に入力され、本体制御部7は、側面カバー104、105の開閉を検知できる(図3参照)。
図1及び図2に示すように、複合機100は、画像データに基づき、トナー像を形成する部分として、画像形成部4を備える。具体的に、画像形成部4は、露光装置41と、ブラックの画像を形成する画像形成ユニット42aと、イエローの画像を形成する画像形成ユニット42bと、シアンの画像を形成する画像形成ユニット42cと、マゼンタの画像を形成する画像形成ユニット42dの4色分の画像形成ユニット42を備える。
ここで、図1、図2に基づき、画像形成ユニット42a〜42dを詳述する。尚、各画像形成ユニット42a〜42dは、形成するトナー像の色が異なるだけで、いずれも基本的に同様の構成である。そこで、以下の説明では、a、b、c、dの符号は、特に説明する場合を除き、省略して、画像形成ユニット42の構成を説明する
各感光体ドラム43は、回転可能に支持され、モータ(不図示)からの駆動力を受け、回転し、周面にトナー像を担持する。各感光体ドラム43は、所定のスピードで紙面反時計方向に回転駆動される。各帯電装置44は、感光体ドラム43を一定の電位で帯電させる。尚、各帯電装置44は、コロナ放電式や、ブラシ等を用いて各感光体ドラム43を帯電させるものでも良い。
各画像形成ユニット42の下方の露光装置41は、レーザ光を出力するレーザユニットで、カラー色分解された画像信号に基づき、光信号であるレーザ光(破線で図示)を各感光体ドラム43に出力し、帯電後の感光体ドラム43の走査露光を行って、静電潜像を形成する。尚、露光装置41には、アレイ状のLEDからなるもの等が用いられてもよい。各現像装置45は、トナーを含む現像剤を収納する(画像形成ユニット42aのものはブラック、画像形成ユニット42bのものはイエロー、画像形成ユニット42cのものはシアン、画像形成ユニット42dのものはマゼンタの現像剤を収納)。各現像装置45は、感光体ドラム43にトナーを供給する。その結果、感光体ドラム43の静電潜像が現像される。各清掃装置46は、転写後の残留トナー等の汚れを掻き取って除去する。
図1に戻り説明を続ける。中間転写部5は、感光体ドラム43からトナー像の1次転写を受けて、用紙に2次転写を行う。中間転写部5は、各1次転写ローラ51a〜51d、中間転写ベルト52、駆動ローラ53、従動ローラ54〜56、2次転写ローラ57、ベルト清掃装置58等で構成される。各1次転写ローラ51a〜51dは、各感光体ドラム43とで、無端状の中間転写ベルト52を挟む。
中間転写ベルト52は、誘電体樹脂等で構成され、駆動ローラ53、従動ローラ54〜56に張架され、モータ等の駆動機構(不図示)に接続される駆動ローラ53の回転駆動により図1の紙面時計方向に周回する。又、駆動ローラ53と2次転写ローラ57は、中間転写ベルト52を挟み、2次転写ニップを形成する。トナー像の転写では、各1次転写ローラ51a〜51dに所定の電圧が印加される。各画像形成ユニット42で形成されたトナー像(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの各色)は、順次、ずれなく重畳されつつ中間転写ベルト52に1次転写される。そして、各色重ね合わされたトナー像が2次転写ニップに進入した際、用紙もあわせて進入し、所定の電圧を印加された2次転写ローラ57により、トナー像は、用紙に2次転写される。尚、ベルト清掃装置58は、2次転写後に中間転写ベルト52上の残トナー等を除去、回収する。
定着装置6は、中間転写部5よりも用紙搬送方向下流側に配され、2次転写されたトナー像を加熱・加圧して用紙に定着させる。定着後の用紙は、排出トレイ31に排出され画像形成処理が完了する。尚、定着装置6の詳細は後述する。
(複合機100のハードウェア構成)
次に、図3に基づき、本発明の実施形態に係る複合機100のハードウェア構成を説明する。図3は、本発明の実施形態に係る複合機100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、本実施形態に係る複合機100は、内部に本体制御部7(制御部に相当)を有する。本体制御部7は、装置の各部を制御する。例えば、本体制御部7は、CPU71や計時部72や、その他、電子回路や素子を含む。又、本体制御部7は、記憶部73が接続される。CPU71は、中央演算処理装置であり、記憶部73に格納され、展開される制御プログラムに基づき複合機100の各部の制御や演算を行う。計時部72は制御に必要となる各種時間を計時する。記憶部73は、ROM、RAM、フラッシュROM、HDD等の不揮発性と揮発性の記憶装置の組み合わせで構成される。例えば、記憶部73は、複合機100の制御プログラムのほか、制御データ等、各種データを記憶する。
尚、本体制御部7は、全体制御や画像処理を行うメイン制御部と、定着装置6や各種回転体を回転させるモータ等のON/OFF等を制御するエンジン制御部等、機能ごとに分割して複数種設けられる場合があるが、本説明及び各図では、まとめて本体制御部7として説明する。
そして、本体制御部7は、給紙部2、搬送路3、画像形成部4、中間転写部5、定着装置6等と接続され、記憶部73の制御プログラムやデータに基づき適切に画像形成が行われるように各部の動作を制御する。尚、本発明に関しては、本体制御部7は、用紙サイズセンサ24の出力に基づき給紙部2に収容される用紙サイズを把握し、モード切替を制御し、温度センサS(温度検知体)の出力に基づき、加熱部の温度を把握して供給する電力を制御して定着装置6での加熱を制御する。
又、本体制御部7には、通信部74(インターフェイス部)を介し、印刷を行う画像データの送信元となるコンピュータ200(パーソナルコンピュータ等)等が接続される。例えば、各コンピュータ200には、複合機100を使用するためのドライバソフトウェアがインストールされる。そして、複合機100には、複数のコンピュータ200を、ネットワークを介し通信可能に接続することができる。又、複合機100には、コンピュータ200をケーブル等により通信部74に直接接続することもできる。通信部74は、コンピュータ200から、印刷を行う画像データや使用する用紙のサイズ等の印刷の設定データを含む印刷データを受信する(例えば、PDL言語で記述)。使用者は、コンピュータ200等で、設定として、例えば、使用する用紙サイズ、印刷部数、1枚の用紙に含ませるページ数等、各種の設定を行える。設定内容は、設定データとして印刷データに含まれる。画像形成部4の露光装置41に、コンピュータ200から受信した印刷データ中の画像データに画像処理を施した後の画像データを送信し、露光装置41は、感光体ドラム43に静電潜像を形成する。
又、本体制御部7(例えば、CPU71)には、各給紙部2内の用紙サイズセンサ24が接続される。そして、本体制御部7は、用紙サイズセンサ24の出力電圧に基づき、各給紙部2に収容される用紙のサイズを認識する。又、本体制御部7には操作パネル1が接続され、操作パネル1への使用者による印刷する用紙のサイズを選択する入力が、本体制御部7に伝達される。又、コンピュータ200からの印刷データ内の設定データにより、本体制御部7は、印刷に用いる用紙を把握することもできる。本体制御部7は、各給紙部2に収容される用紙サイズを確認し、印刷時、指示されたサイズが収容された給紙部2から給紙を行う。このように、本実施形態の複合機100では、様々なサイズの用紙に印刷することができる。更に、本体制御部7には、複数の用紙センサ35(351〜357)が接続される。本体制御部7は、用紙センサ351の出力に基づき、排出ローラ対34からの用紙の排出を検知して、1ページ分の印刷完了を認識できる。
(定着装置6の構成)
次に、図4を用いて、本発明の実施形態に係る定着装置6の構成の一例を説明する。図4(a)は本発明の実施形態に係る定着装置6の一例を正面からみた模型的断面図であり、(b)は加熱ローラ61周辺の構成の一例を示す斜視図である。
図4(a)に示すように、本実施形態の定着装置6内には、加熱ローラ61(加熱部に相当)、定着ローラ62(加熱部に相当)、トナー像の定着のため用紙と接する回転体としての加熱ベルト63(加熱部の回転体に相当)等を含む加熱部と、コイル8、コア9、外部コア91、加圧ローラ64等が設けられる。尚、加熱ローラ61、定着ローラ62、加熱ベルト63、コア9、加圧ローラ64は、軸線方向が平行となるように、回転可能に支持される。
加熱ローラ61は、定着のため、コイル8によって誘導加熱により加熱され、例えば、鉄製である。加熱ローラ61は、図4(a)の紙面奥行き方向(用紙搬送方向と垂直な方向、用紙幅方向)を軸線方向とする。そして、加熱ローラ61に対向し、例えば、周面がスポンジ状の材料で形成され弾性を有する定着ローラ62が設けられる。又、加熱ローラ61と定着ローラ62には、加熱ベルト63がかけ回される。加熱ベルト63は、熱を定着ローラ62に伝える機能を有する。加熱ベルト63は、定着のため、コイル8によって誘導加熱により加熱される回転体であり、薄く延ばされた金属(例えばニッケル)で無端状である。
そして、定着ローラ62に対向し、加圧ローラ64が設けられる。加圧ローラ64は、例えば、スポンジ状の材料で形成され、加熱ベルト63を定着ローラ62とで挟みつつ、定着ローラ62方向に付勢部材65(例えば、ばね)で付勢される。その結果、加圧ローラ64は、加熱ベルト63に圧接し、定着ニップNが形成される。
例えば、定着ローラ62に、定着装置6に設けられる定着モータ66(図6参照)の駆動力が伝達され、定着ローラ62が回転する。定着ローラ62が回転すると、加熱ベルト63が回転し、あわせて加熱ローラ61が回転する。又、加圧ローラ64も定着ローラ62の回転にあわせて回転する。そして、定着ローラ62等を回転させつつ、トナー像が転写された用紙を定着ニップNに進入させ用紙を搬送し通過させると、トナー像が、加熱加圧され、用紙に定着する(用紙搬送方向を破線で図示)。
次に、加熱ベルト63や加熱ローラ61を加熱する構成を説明する。図4(a)に示すように、定着ローラ62が設けられる側と反対側の加熱ローラ61の周面に対向して、コイル8とコア9が設けられる。そして、図4(a)、(b)に示すように、コイル8は、加熱部(加熱ベルト63等)に対向し、回転体(加熱ベルト63)の軸線方向に沿ってかけ回され、誘導加熱によって加熱部を暖める。又、コイル8は、加熱ローラ61とコア9の間の隙間Gを避け、加熱ローラ61を周方向から見てハ字状に加熱ローラ61の軸線方向に沿ってかけ回される。コア9は、加熱ローラ61等を含む加熱部に対向し、コイル8と加熱部との磁路を形成し、周面が磁気を遮蔽する磁気遮蔽板92A、92Bに覆われ、加熱部を加熱する加熱幅を異ならせるため、周方向の位置により各磁気遮蔽板92に覆われる軸線方向の長さが複数段階異なる(図5参照)。又、コア9は、軸線方向が加熱ローラ61と平行である。そして、図4(b)に示すように、コイル8は、1本の導線で構成され、導線の両端を端子として、端子に交流電圧が印加される(詳細は後述)。
そして、コイル8に交流電圧を印加すると、コイル8に電流が流れ、例えば、図4(a)、(b)に2点鎖線で示すように、磁界が形成される。外部コア91は、例えば、フェライトで構成され、磁路を形成し、磁束の拡散を防ぐ。そして、磁束が加熱ベルト63や加熱ローラ61を貫き、渦電流が発生する。発生した渦電流によるジュール熱で、加熱ベルト63や加熱ローラ61が暖められる(誘導加熱)。誘導加熱時、定着ローラ62等を回転させることで、加熱ローラ61、加熱ベルト63が暖められ、加熱ベルト63によって熱が定着ローラ62に伝導する。更に、熱は加圧ローラ64にも伝わる。このように定着装置6が暖められる。定着時や通常モードでは、定着ローラ62等は、例えば、170°C程度(定着制御温度)まで暖められる。
尚、本実施形態の定着装置6には、複数の温度センサS(温度検知体に相当)が設けられる。各温度センサSは、用紙進入部分近傍の加熱ベルト63に接して設けられる(非接触式のものでも良い)。本実施形態の定着装置6は、加熱ベルト63等を加熱する加熱幅(軸線方向において、加熱ベルト63や加熱ローラ61が加熱される長さ)を変えることができる(詳細は後述)。そこで、各加熱幅の端部の温度を測定するためのものと加熱ベルト63の軸線方向中心部の温度を測定するためのものと言うように、複数設けられる。即ち、各温度センサSは、加熱幅に合わせ加熱部の温度を検知するため複数設けられる。尚、温度センサSは、定着ローラ62の軸線方向に沿って並列して設けられるので、図4では、手前側の1つのみが示されている。各温度センサSは同様の構成で良く、例えば、サーミスタを有し、加熱ベルト63の温度によって、出力電圧が変化する。
(コア9と磁気遮蔽板92A、92B)
次に、図5に基づき本発明の実施形態に係る定着装置6のコア9の一例を説明する。図5は本発明の実施形態に係る定着装置6のコア9の一例を説明するための説明図である。
本実施形態の複合機100では、様々なサイズの用紙を用いて印刷できる。そして、本実施形態の複合機100では、定着装置6等で、用紙搬送方向の用紙の中心軸と、搬送経路の幅方向の中心が一致するように中央通紙がなされる。例えば、最大でA3サイズの用紙が、本実施形態の複合機100で印刷可能であるとすると、加熱ローラ61、定着ローラ62、加圧ローラ64、加熱ベルト63等の軸線方向の長さは、A3の短辺(約30cm)よりも大きいサイズとされる。
そして、用紙の印刷を連続して行う場合、用紙と接する部分では、熱が奪われるので、加熱ローラ61や加熱ベルト63の加熱を行って、加熱ベルト63等の温度が定着制御温度を下回らないようにしなければならない。しかし、例えば、A4横や、A6(ほぼ、はがきサイズと同等)等、A3用紙よりも幅狭の用紙を連続印刷する場合、A3にあわせた加熱幅(加熱幅W4)で加熱ローラ61の加熱を続けると、加熱ローラ61、定着ローラ62、加熱ベルト63、加圧ローラ64の中央部分のみ熱が奪われ、長手方向(軸線方向)端部では、熱が奪われない。
そうすると、加熱ローラ61、定着ローラ62、加熱ベルト63、加圧ローラ64の長手方向端部の温度が上昇し続ける。そして、温度が上がりすぎれば加熱ベルト63や定着ローラ62等の熱破損等の問題が生じうる。そこで、コア9に磁気遮蔽板92A、92Bを設け、加熱ローラ61や加熱ベルト63の加熱幅を複数段階に切り替え可能とする。
そこで、図5に基づき、コア9の構成を説明する。まず、コア9は、例えば、フェライトで形成される円筒状、円柱状の部材である。強磁性体であるフェライトを用いることにより、加熱ローラ61との対向位置に、コイル8の磁束を集中させ、加熱ベルト63や加熱ローラ61に効率よく磁束を鎖交させることができる。又、フェライトは、電気的に抵抗値が大きく、渦電流損が生じ難く、加熱ベルト63や加熱ローラ61を効率的に暖めることができる。
そして、図5の左側の図面に示すように、本実施形態の定着装置6では、コア9の周面の両端にそれぞれ、磁気遮蔽板92A、92Bが設けられる(貼り付けられる)。尚、図5では、便宜上、磁気遮蔽板92A、92Bを網掛とし、コア9の表面と磁気遮蔽板92A、92Bを区別して示している。又、各磁気遮蔽板92A、92Bの機能は、共通するので、以下の説明では、特に説明する場合を除き、A、Bの符号を省略する。
例えば、各各磁気遮蔽板92は、銅板のような、透磁率が小さく、抵抗が小さい導電体で形成される。各各磁気遮蔽板92を磁束が貫くと、レンツの法則により、磁束を打ち消す方向に電流が導体板に流れ、磁束が遮断される。そして、図5に示すように、各各磁気遮蔽板92は、階段状であり、コア9の周面を覆う軸線方向の長さに差をもたせ、加熱ローラ61の加熱幅を切り替え可能とする。
次に、図5の右側の図面に基づき説明する。図5の右側の図面は、コア9の周面を展開した展開図である。例えば、コア9の周面の内、最も各磁気遮蔽板92に覆われる面積が広く、加熱ベルト63や加熱ローラ61の軸線方向において、露出する部分が短い部分を加熱ベルト63に対向させると、加熱幅が最も狭くなる。言い換えると、各磁気遮蔽板92に覆われる軸線方向の長さが長い部分を加熱ベルト63に対向させるほど、加熱幅は狭くなる。
そして、本実施形態のコア9では、各磁気遮蔽板92に覆われる長さは、4段階ある。例えば、最も狭い加熱幅(この加熱幅を加熱幅W1とする)は、はがきやA6用紙の短辺の長さ(例えば、約10cm)に対応する。加熱幅W1の部分を加熱ベルト63と対向させることで、加熱ベルト63のうち、はがきやA6用紙の短辺方向と加熱ベルト63の軸線方向を一致させて用紙の搬送を行う場合に、加熱ベルト63と用紙が接する領域(通紙領域)のみを暖めることができる。加熱幅W1よりも一段階広い加熱幅(この加熱幅を加熱幅W2とする)は、例えば、A4サイズの用紙の短辺の長さと対応する(例えば、約21cm)。加熱幅W2の部分を加熱ベルト63と対向させることで、加熱ベルト63のうち、A4用紙の短辺方向と加熱ベルト63の軸線方向を一致させて用紙の搬送を行う場合(A4横)やA5用紙の長辺方向と加熱ベルト63の軸線方向を一致させて(A5縦)、用紙の搬送を行う場合に、加熱ベルト63と用紙が接する領域(通紙領域)のみを暖めることができる。
加熱幅W2よりも一段階広い加熱幅(この加熱幅を加熱幅W3とする)は、例えば、B4サイズの用紙の短辺の長さと対応する(例えば、約26cm)。加熱幅W3の部分を加熱ベルト63と対向させることで、加熱ベルト63のうち、B4用紙の短辺方向と加熱ベルト63の軸線方向を一致させて用紙の搬送を行う場合(B4横)やB5用紙の長辺方向と加熱ベルト63の軸線方向を一致させて(B5縦)、用紙の搬送を行う場合に、加熱ベルト63と用紙が接する領域(通紙領域)のみを暖めることができる。最も広い加熱幅(この加熱幅を加熱幅W4とする)は、A3サイズの用紙の短辺の長さサイズ(例えば、約30cm)に対応する。加熱幅W4の部分を加熱ベルト63と対向させることで、加熱ベルト63のうち、A3用紙の短辺方向と加熱ベルト63の軸線方向を一致させて用紙の搬送を行う場合(A3横)やA4用紙の長辺方向と加熱ベルト63の軸線方向を一致させて(A4縦)、用紙の搬送を行う場合に、加熱ベルト63と用紙が接する領域(通紙領域)のみを暖めることができる。そして、用紙サイズセンサ24や操作パネル1で選択された用紙サイズに合わせて、後述のコアモータ93(図6参照、可変機構、回転部に相当)によりコア9を回転させて、加熱幅を切り替える。
(定着装置6における加熱制御に関するハードウェア構成)
次に、図6に基づき、本発明の実施形態に係る定着装置6における加熱制御に関するハードウェア構成の一例を説明する。図6は、本発明の実施形態に係る定着装置6における加熱制御に関するハードウェア構成の一例を説明するブロック図である。
図6に示すように、本実施形態の定着装置6は、定着装置6の加熱制御を行う定着制御部60が設けられる。定着制御部60は、本体制御部7の指示を受けて加熱制御を行う。例えば、定着制御部60は、制御素子としてのコントローラ67を有する。コントローラ67は、定着装置6の実際の加熱制御を行う。又、定着制御部60は、印刷時、加熱ベルト63、加熱ローラ61、定着ローラ62等を回転させる定着モータ66を所定の速度で回転させる。
又、定着制御部60には、例えば、複合機100内に設けられる電源装置78から供給される電力に基づき、コイル8に交流を印加するPWM回路69が設けられる。定着制御部60のコントローラ67には、本体制御部7から加熱のON/OFFを指示する加熱ON/OFF指示信号が与えられる。コントローラ67は、加熱ONの指示の際にPWM回路69からコイル8に電力を投入させる。
又、本体制御部7はコントローラ67にコイル8に投入し、消費させる(熱に変換させる)電力指示を与える。一方で、コントローラ67は、PWM回路69からコイル8に供給され、加熱ベルト63や加熱ローラ61を暖めるために消費された電力を検知する。そして、コントローラ67は本体制御部7からの指示と検知される電力が一致するようにPWM回路69を動作させる。例えば、PWM回路69は、コイル8に流す電流の周波数等を変えて、コイル8に流れる電流の量を制御して加熱により消費される電力を制御する。
コア9の回転角度に関し、例えば、本体制御部7がコアモータ93を制御する。コアモータ93は、コア9を回転させる。これにより、コア9が回転し、加熱幅が切り替えられる。即ち、定着装置6は、回転体(加熱ベルト63等)の軸線方向における加熱幅を可変させる可変機構としてのコアモータ93を有する。加熱幅を狭くすることにより、熱に変換されるエネルギーが少なくなるので、コイル8で消費される電力は少なくなる。又、加熱ベルト63の中央部の温度を検知する温度センサS1と、加熱幅W2の端部(加熱ベルト63の軸線方向における端部、以下同様)の温度を検知する温度センサS2と、加熱幅W3の端部の温度を検知する温度センサS3と、加熱幅W4の端部の温度を検知する温度センサS4の出力電圧は、本体制御部7のCPU71に入力される。即ち、温度センサS(温度検知体)は、加熱幅に合わせ加熱部の温度を検知するため、複数設けられる。そして、例えば、記憶部73には、各温度センサSの出力電圧に対する温度やサーミスタの抵抗値を定めたデータテーブルが記憶される。このデータテーブルに基づき、本体制御部7は、加熱ベルト63の各部の温度を検出できる。
(通常モード、低電力モード、スリープモード)
次に、図3に基づき、本発明の実施形態に係る複合機100での通常モード、低電力モード、スリープモードを説明する。
まず、本実施形態の複合機100は、通常モードと、通常モードよりも定着装置6に供給する消費電力を減らす低電力モードと、低電力モードよりも定着装置6に供給する消費電力を減らすスリープモードを有する。例えば、通常モードでは、本体制御部7や記憶部73を始め、給紙部2、搬送路3、画像形成部4、中間転写部5、定着装置6、通信部74等、複合機100内の各構成に電力が供給される。又、例えば、定着装置6では、加熱ベルト63等の温度が定着制御温度(例えば、170°C程度)で維持される。このように、例えば、通常モードでは、複合機100は直ちに印刷可能な状態で維持される。
例えば、低電力モードは、通常モードよりも消費される電力を減らすモードである。低電力モードは、例えば、複合機100が利用されないまま一定時間(例えば、5〜10分程度、操作パネル1で設定可能)が経過したことを本体制御部7が検知した時(例えば、計時部72が計時)、複合機100のモードは、通常モードから低電力モードに移行する。低電力モードでは、本体制御部7や記憶部73を始め、給紙部2、搬送路3、画像形成部4、中間転写部5、定着装置6、通信部74等、複合機100内の各構成に電力が供給される。しかし、定着装置6では、加熱ベルト63等の温度が定着制御温度以下の低電力モード維持温度(例えば、120〜150°C程度)で維持される。このように、例えば、低電力モードでは、加熱ベルト63等の温度が通常モードよりも低温で維持されるので、通常モードよりも消費電力が少なくなる。
又、スリープモードは、通常モードや低電力モードよりも更に消費される電力を減らすモードである。低電力モードは、例えば、複合機100が利用されないまま一定時間(例えば、30〜240分、操作パネル1で設定可能)が経過したことを本体制御部7が検知した時(例えば、計時部72が計時)、複合機100のモードは、通常モード或いは低電力モードからスリープモードに移行する。このとき、電源装置78から本体制御部7、画像形成部4、中間転写部5、定着装置6等に対しての電力供給が停止される。これにより、複合機100の消費電力を減らすことができる。
このように、通常モード、低電力モード、スリープモードでは、電源装置78が生成すべき電圧や供給する電力量が異なる。そのため、電源装置78には、通常モードでの電源装置78の動作を制御する通常モード制御部79Aと、低電力モードでの電源装置78の動作を制御する低電力モード制御部79Bと、スリープモードでの電源装置78の動作を制御するスリープモード制御部79Cが設けられる。例えば、低電力モードに移行する場合、本体制御部7は、電源装置78に向けて低電力モード制御部79Bを用いて電源装置78を駆動させるべき指示を電源装置78に与える。又、例えば、スリープモードに移行する場合、本体制御部7は、電源装置78に向けてスリープモード制御部79Cを用いて電源装置78を駆動させるべき指示を電源装置78に与える。
即ち、本体制御部7は、定着装置6での加熱を制御し、通常モードでは加熱部の温度をトナー像の定着に必要な定着制御温度で維持し、低電力モードでは通常モードよりも加熱部の温度を低い状態で維持させ、スリープモードでは加熱部に対する加熱を停止させる。
低電力モードやスリープモードで、外部のコンピュータ200から印刷データの送信があった場合など、通常モードへの復帰要因が生じた場合、複合機100は低電力モードやスリープモードから通常モードとなる(復帰する)。本実施形態の複合機100では、例えば、以下のような複合機100に対する指示、操作があった場合、低電力モードやスリープモードから通常モードへの復帰要因が生じたとされる。例えば、外部のコンピュータ200からの印刷データの受信、コピーやスキャン等のため、操作パネル1への入力、給紙部2の出し入れ(用紙サイズ等の変更確認のため、挿脱検知スイッチ25で検知)、側面カバー104、105(開閉検知スイッチ37で検知)の開閉等が復帰要因とされる。
ここで、本実施形態の複合機100では、スリープモードで、本体制御部7への電力供給が停止される。そのため、本体制御部7は駆動しておらず、復帰要因の発生を認識し、複合機100の電源装置78等の各部に指示を与えることができない。そこで、本実施形態の複合機100には、図3に示すように、例えば、スリープモードから通常モードへの復帰要因の発生を監視する復帰要因監視部741が通信部74に設けられる。復帰要因監視部741は、操作パネル1、挿脱検知スイッチ25、開閉検知スイッチ37等がと接続される。これらの接続により、復帰要因監視部741は、復帰要因の発生を認識できる。
もし、復帰要因が生じ、低電力モードから通常モードに移行する場合、本体制御部7は、電源装置78に向けて通常モード制御部79Aを用いて電源装置78を駆動させるべき指示を電源装置78に与える。これにより、定着装置6等での加熱ベルト63等を定着制御温度に暖めるウォームアップが開始される。
又、復帰要因が生じ、スリープモードから通常モードに移行する場合、復帰要因監視部741は、電源装置78に向けて通常モード制御部79Aを用いて電源装置78を駆動させるべき指示を電源装置78に与える。これにより、本体制御部7や定着装置6等に電力供給が再開され、複合機100を利用可能な状態とするため、定着装置6等での加熱ベルト63等を定着制御温度に暖めるウォームアップが開始される。
(用紙サイズとスリープモードからの復帰時間の関係)
次に、図7を用い、本発明の実施形態に係る複合機100でのスリープモードから通常モードに復帰する際のウォームアップ完了までの時間を説明する。図7は、本発明の実施形態に係る複合機100でのスリープモードから通常モードに復帰する際、加熱ベルト63等の温度を定着制御温度に到達させるウォームアップ開始から完了までの時間の一例を示すグラフである。
まず、図7に示すグラフにおけるX軸方向は、スリープモードから通常モードへの復帰する際、加熱ベルト63等の温度を定着制御温度に到達させるウォームアップ開始から完了までに要する時間(以下、「復帰時間」という)の長さを示す。そして、図7に示すグラフにおけるY軸方向は、加熱ベルト63等における通紙領域の温度を示す。又、図7に実線で示すグラフ線G1は、加熱幅W4(A3横、A4縦)で加熱ベルト63等を加熱した際の加熱ベルト63の温度上昇例の一例を示す。又、図7に2点鎖線で示すグラフ線G2は、加熱幅W2(A4横、A5縦)で加熱ベルト63等を加熱した際の加熱ベルト63の温度上昇例の一例を示す。
グラフ線G1で示すように、加熱幅W4で加熱ベルト63や加熱ローラ61等の加熱を行った場合、スリープモードから通常モードへの復帰開始から、およそ45秒経過後に、加熱ベルト63等での通紙領域の温度が170°Cに到達する。一方、グラフ線G2で示すように、加熱幅W2で加熱ベルト63や加熱ローラ61等の加熱を行った場合、スリープモードから通常モードへの復帰開始から、およそ30秒経過後に、加熱ベルト63等での通紙領域の温度が170°C(定着制御温度)に到達する。
このように、加熱幅は広い場合よりも狭い場合の方が、加熱ベルト63、加熱ローラ61、定着ローラ62等における温度上昇速度は速い。例えば、定着装置6に投入できる最大電力には上限があり、加熱幅の広狭を問わず一定であるところ、加熱幅が狭い方が広い場合よりも、加熱ベルト63等の単位面積当たりに投入する電力を多くすることができる。このため、加熱幅は広い場合よりも狭い場合の方が、加熱ベルト63等の昇温が速くなると考えられる。
一方で、本実施形態の複合機100では、最大加熱幅(加熱幅W4)で、低電力モードから通常モードに復帰する場合、加熱ベルト63等の温度を定着制御温度にするウォームアップ開始から完了までの時間は、30秒程度要する。そのため、最大加熱幅(加熱幅W4)よりも狭い加熱幅(W2、W1)に対応するサイズの用紙(A4横、A5縦、A6、はがき等)のみが給紙部2に収容されている場合、低電力モードを介さずにスリープモードに直接移行しても、通常モードへの復帰に要する復帰時間は、最大加熱幅における最短の通常モードへの復帰時間(低電力モードから通常モードへの復帰)と同等となる。
尚、本実施形態の複合機100では、B4横用紙用の加熱幅(加熱幅W3)で、スリープモードから通常モードに復帰する場合、加熱ベルト63等の温度を定着制御温度に到達させるウォームアップ開始から完了までの時間は、30秒〜45秒程度の間(例えば、37、38秒程度)要する。そのため、加熱幅W3で加熱しつつ、てスリープモードから通常モードに復帰に要する復帰時間は、最大加熱幅における最短の通常モードへの復帰時間(低電力モードから通常モードへの復帰)よりは長くなる。
そこで、本実施形態の複合機100では、最大加熱幅(加熱幅W4)よりも狭い加熱幅(W2、W1)に対応するサイズの用紙のみが給紙部2に収容されている場合、低電力モードを介さずスリープモードへの移行を認める設定を行うことができる。
(モード遷移設定)
次に、図8を用いて、本発明の実施形態に係る複合機100での各モードの遷移の設定の一例を説明する。図8は、本発明の実施形態に係る複合機100の操作パネル1の液晶表示部12での設定画面の一例を示す説明図である。
図8に示す設定画面は、操作パネル1や液晶表示部12に表示されるキーを押下することにより到達可能である。そして、図8に示す設定画面では、低電力モードとスリープモードへの移行に関する設定を行うことができる。
低電力モードに関する設定を行う低電力モード設定領域F1では、複合機100が最後に使用されてから、使用されないまま何分経過すれば、低電力モードに移行させるかの設定を行うことができる。そして、現在の低電力モード移行までの時間(設定値)を表示する低電力モード移行時間表示欄B1が設けられる。そして、使用者は、プラスキーK1やマイナスキーK2を押下することにより、低電力モードに移行するまでの時間を増減させることができる。
更に、低電力モード設定領域F1では、給紙部2に収容される用紙が最大加熱幅W4に対応するサイズよりも小さい場合、低電力モードを介さずにスリープモードを移行させるか否かを設定することができる。そのため、YesキーK3とNoキーK4が配される。尚、図8では、YesキーK3が選択され(白黒反転状態)、低電力モードを介さず、スリープモードに移行することを認める設定とされている。
更に、低電力モード設定領域F1では、最大加熱幅(A3用紙に対応)で加熱を行って、低電力モードから通常モードに復帰する場合の通紙領域を定着制御温度にするために要する時間を基準時間とし、スリープモードから通常モードへ復帰した際、通紙領域を定着制御温度にするための復帰時間が基準時間よりも短くなるサイズの用紙のみが給紙部2に収容されるときのみ、低電力モードを介さずにスリープモードを移行させるか否かを設定することができる。
即ち、複合機100は、低電力モードを介さずにスリープモードに移行させるか、低電力モードを介してスリープモードに移行させるかの設定入力を受け付ける設定入力部(操作パネル1)を有する。そのため、YesキーK5とNoキーK6が配される。尚、図8では、YesキーK5が選択され(白黒反転状態)、基準時間よりもスリープモードから通常モードへの復帰時間が短くなる用紙が各給紙部2に収容される場合にのみ、低電力モードを介さず、スリープモードに移行することを認める設定とされている。
例えば、本実施形態の複合機100では、上述したように、加熱幅W3(B4横等に対応)で加熱してスリープモードから通常モードに復帰する際、復帰時間は、30秒以上(例えば、37秒程度)となる。一方、加熱幅W4(A3横等に対応)で加熱して低電力モードから通常モードに復帰する際、加熱ベルト63等の温度を定着制御温度に到らせるために必要な時間を基準時間とすれば、加熱幅W3でのスリープモードから通常モードへの復帰時間は、基準時間を超える。従って、加熱幅W3で加熱してスリープモードから通常モードに復帰する際、使用者は、基準から見て長い。
そこで、基準時間よりもスリープモードから通常モードへの復帰時間が短くなる用紙が給紙部2に収容される場合にのみ(A4横以下のサイズ)、低電力モードを介さず、スリープモードに移行することを認める設定を可能とする。これにより、スリープモードから通常モードへの復帰時間が、一定の基準以下とならないサイズの用紙が給紙部2に収容されている場合にのみ、低電力モードをとばしてスリープモードへの移行がなされる。このように、スリープモードから通常モードへの復帰時間が、基準よりも長くなる用紙が給紙部2に収容されている場合は、通常モードから低電力モードをとばしてスリープモードに移行させず、使用者の利便性を優先する。
即ち、本体制御部7は、最大の加熱幅で加熱を行いつつ低電力モードから通常モードに復帰する場合に定着制御温度に到るまでの時間を基準時間として、スリープモードから復帰した際、基準時間よりも加熱部をトナー像の定着に必要な定着制御温度に到らせるまでの時間の方が短いサイズ以下の用紙のみが給紙部2に収容されているとき、低電力モードを介さずにスリープモードに移行させる。
更に、スリープモードに関する設定を行うスリープモード設定領域F2では、複合機100が最後に使用されてから、使用されないまま何分経過すれば、スリープモードに移行させるかの設定を行うことができる。そして、現在のスリープモード移行までの時間(設定値)を表示するスリープモード移行時間表示欄B2が設けられる。そして、使用者は、プラスキーK7やマイナスキーK8を押下することにより、スリープモードに移行するまでの時間を増減させることができる。
(モード遷移と加熱制御)
次に、図9を用いて、本発明の実施形態に係る複合機100でのモード遷移と定着装置6での加熱制御の一例を説明する。図9は、本発明の実施形態に係る複合機100でのモード遷移と定着装置6での加熱制御の一例を示すフローチャートである。
まず、図9のスタートは、複合機100の主電源投入後の時点である。複合機100の主電源投入により、本体制御部7は駆動を開始する。この時、複合機100のモードは、通常モードとなる(ステップ♯1)。次に、本体制御部7は、各用紙サイズセンサ24の出力を確認し、給紙部2に収容される用紙サイズを確認する(ステップ♯2)。そして、本体制御部7は、各サイズの用紙について、加熱ベルト63等における通紙領域を暖める上で必要な加熱幅を確認する(ステップ♯3)。そして、本体制御部7は、必要に応じ、コアモータ93を制御してコア9を回転させ、必要な加熱幅のうち、最も広い加熱幅で加熱を開始させる(ステップ♯4)。
即ち、定着装置6は、加熱部(加熱ベルト63、加熱ローラ61、定着ローラ62等)に対向し、回転体の軸線方向に沿ってかけ回され、誘導加熱によって加熱部を暖めるコイル8と、加熱部に対向し、コイル8と加熱部との磁路を形成し、周面が磁気遮蔽板92に覆われ、加熱部を加熱する加熱幅を異ならせるため、周方向の位置により磁気遮蔽板92に覆われる軸線方向の長さが複数段階異なるコア9と、を含み、可変機構(コアモータ93)としてコア9を回転させる回転部を有し、本体制御部7は、回転部を制御してコア9の回転角度を制御することにより加熱部での加熱幅を制御する。
例えば、給紙部2にA3横用紙が収容されていれば、加熱幅W4が選択され、加熱幅W4で加熱ベルト63等の加熱がなされる。又、例えば、給紙部2に収容される用紙のうち最も大きなサイズの用紙がA4横サイズならば、加熱幅W2が選択され、加熱幅W2で加熱ベルト63等の加熱がなされる。更に、例えば、給紙部2に収容される用紙がはがきのみならば、加熱幅W1が選択され、加熱幅W1で加熱ベルト63等の加熱がなされる。
そして、本体制御部7は、各温度センサSの出力を確認して、加熱している部分の温度が定着制御温度に到達したかを確認する(ステップ♯5)。もし、定着制御温度に到っていなければ(ステップ♯5のNo)、ステップ♯4に戻る。一方、定着制御温度に到っていれば、本体制御部7は、温度センサSの出力を確認し、定着制御部60にコイル8に断続的に電力を投入させ、加熱ベルト63等の加熱している部分(通紙領域)を定着制御温度で維持させる(ステップ♯6)。
次に、本体制御部7は、例えば、計時部72を用いて、複合機100が利用されないまま、低電力モードに移行する低電力モード移行時間が経過したかを確認する(ステップ♯7)。もし、複合機100が利用されないまま、低電力モード移行時間が経過していなければ(ステップ♯7のNo)、ステップ♯6に戻る。
一方、複合機100が利用されないまま、低電力モード移行時間が経過していれば(ステップ♯7のYes)、本体制御部7は、低電力モードを介さずスリープモードに移行して良いか(低電力モードをスキップしてよいか)を確認する(ステップ♯8)。この時、本体制御部7は、図8に例示した操作パネル1に対する低電力モードやスリープモードに関してなされた設定のデータ(例えば、記憶部73に記憶)を確認する。又、本体制御部7は、給紙部2の収容用紙に、最大加熱幅(加熱幅W4)に対応する用紙よりも小さい用紙のみが収容されているかを確認する。又、本体制御部7はスリープモードから通常モードへの復帰時間が、基準よりも長くなる用紙が給紙部2に収容されているかを確認する。
もし、低電力モードをスキップしなれば(ステップ♯8のNo)、本体制御部7は、複合機100を低電力モードに移行させる(ステップ♯9)。温度センサSの出力を確認し、定着制御部60にコイル8に断続的に電力を投入させ、加熱ベルト63等の加熱している部分(通紙領域)を低電力モードで維持すべき温度で維持させる(ステップ♯10)。
そして、本体制御部7は、印刷データの入力や操作パネル1への入力等、低電力モードから通常モードへの復帰要因が発生したかを確認する(ステップ♯11)。復帰要因が発生していれば(ステップ♯11のYes)、ステップ♯1に戻る。一方、復帰要因が未発生ならば(ステップ♯11のNo)、本体制御部7は、例えば、計時部72等を利用して、複合機100が使用されないまま、スリープモード移行時間が経過したため、スリープモードに移行してよいか確認する(ステップ♯12)。もし、スリープモードに移行すべきで無ければ(ステップ♯12のNo)、ステップ♯10に移行する。
低電力モードを介さず、スリープモードに移行して良い場合(ステップ♯8のYes)及び、スリープモード移行時間が経過したため、スリープモードに移行してよい場合(ステップ♯12のYes)、本体制御部7は、スリープモードに移行する(ステップ♯13)。そして、本体制御部7は、電源装置78に指示を与え、スリープモード制御部79Cを駆動させ、定着装置6等への電力供給が停止される(ステップ♯14)。そして、本体制御部7への電力供給停止により、本体制御部7にかわり、復帰要因監視部741が復帰要因の発生を確認する(ステップ♯15)。
もし、復帰要因が生じていなければ(ステップ♯15のNo)、ステップ♯14に戻る。一方、所定の復帰要因が生ずれば、復帰要因監視部741は、電源装置78に指示を与え、通常モード制御部79Aを駆動させ、本体制御部7や定着装置6等への電力供給を再開させる(ステップ♯16)。その後、ステップ♯1に戻る。
ステップ♯1に戻った際、ステップ♯2、3により、給紙部2に収容される用紙が最大加熱幅に対応するサイズよりも小さいサイズのみであれば(例えば、A4横以下)、最大加熱幅よりも小さい加熱幅で加熱ベルト63等の加熱がなされる。即ち、本体制御部7は、最大の加熱幅よりも小さい加熱幅に対応する用紙のみが給紙部2に収容されている場合、低電力モードを介さずスリープモードに移行させ、スリープモードから通常モードへの復帰のとき、可変機構(コアモータ93)を制御して、給紙部2に収容される用紙のサイズに対応した加熱幅で加熱部をトナー像の定着に必要な定着制御温度にまで加熱させる。
このようにして、最大加熱幅よりも狭い加熱幅に対応する用紙のみが給紙部2に収容されている場合、低電力モードを介さずスリープモードに移行させるので、低電力モードでの電力消費を無くすことができる。しかも、通常モードへの復帰時、用紙サイズに対応して、最大加熱幅よりも狭い加熱幅で、加熱部(加熱ベルト63、加熱ローラ61等)をトナー像の定着に必要な定着制御温度にまで加熱させるので、無駄な電力消費をなくしつつ、迅速に加熱部は定着制御温度まで暖められる。これにより、省電力を達成しつつ、スリープモードから通常モードに復帰する場合のウォームアップが長時間に及ばず、使用者の利便性が損なわれることもない。
又、周方向の位置により磁気遮蔽板92に覆われる軸線方向の長さが複数段階異なるコア9を含み、可変機構としてコア9を回転させる回転部(コアモータ93)を有し、制御部(本体制御部7)は、回転部を制御してコア9の回転角度を制御するので、加熱幅を調整できる。この場合、最大加熱幅で加熱するときよりも加熱幅が狭い方が、加熱する領域が狭く、定着装置6に投入する電力(例えば、許容される最大電力)に対し、暖めるべき部分が少なくて済む。例えば、最大加熱幅の時よりも加熱幅が狭い方が、単位面積当たりに投入できる電力の密度を高めることができる。従って、最大加熱幅で加熱するときよりも加熱幅が狭い方が、定着制御温度への通紙領域での昇温を速くすることができる。
又、低電力モードを介さずにスリープモードに移行させるか、低電力モードを介してスリープモードに移行させるか設定入力部(操作パネル1)で設定可能であるので、使用者の意思を反映させた制御を行うことができる。例えば、省電力効果を重視する使用者は、低電力モードを介さずにスリープモードに移行させる設定を行えばよい。一方、通常モード以外のモードからの復帰のための復帰時間を短くし、利便性を優先したい使用者は、低電力モードを介してスリープモードに移行させる設定を行えばよい。又、通常モード、低電力モード、スリープモードの各モードによって、確実に消費電力の差がある。低電力モードを介さずにスリープモードに移行することにより、確実に消費される電力の無駄を無くすことができる。
又、最大加熱幅で低電力モードから通常モードに復帰する場合の復帰時間を基準時間として、この基準時間よりもスリープモードから通常モードに復帰する場合の復帰時間が短くなる場合のみ低電力モードを介さず、通常モードに移行する。これにより、一定の基準の下、スリープモードから通常モードに復帰する場合の復帰時間が長くなるサイズの用紙に対しては、通常モードから低電力モードを介さずにスリープモードに移行することを避けることができる。使用者の利便性は確保される。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。