JP5313441B2 - レジスト用重合体溶液の製造方法 - Google Patents
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Description
(i)脂環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル、ラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル等の単量体成分を含む単量体溶液を調製する工程。
(ii)単量体溶液に含まれる単量体成分を溶液重合法にて重合する工程。
(iii)溶液重合法にて得られた重合体溶液を貧溶媒に注いで重合体を析出させ、重合体分散液を得る工程。
(iv)重合体分散液を、フィルターを用いてろ過して重合体湿粉を回収する工程。
(v)回収された重合体湿粉を良溶媒に溶解させて重合体溶液とし、該重合体溶液を貧溶媒に注いで重合体を析出させ、重合体分散液を得る工程。
(vi)重合体分散液を、フィルターを用いてろ過して重合体湿粉を回収する工程。
(vii)必要に応じて(v)〜(vi)工程を繰り返した後、回収された重合体湿粉を乾燥させる工程。
(viii)回収された重合体湿粉を良溶媒に溶解させて、目標の濃度よりも低濃度の重合体溶液とする工程。
(ix)重合体溶液を精密フィルターに通して不純物を除去する工程。
(x)精密フィルターを通過した重合体溶液から残存する貧溶媒を除去し、さらに重合体溶液を目標の濃度まで濃縮する工程。
工程(x)においては、例えば、下記方法によって重合体溶液の濃度が測定される。
重合体溶液の一部をサンプリングしてその質量を測定した後、該重合体溶液を加熱し、溶媒を完全に除去して固形分の質量を測定し、重合体溶液の質量と固形分の質量とから濃度を求める。
本発明の重合体溶液は、目的とする用途において設計通りの性能を発揮できる。
本発明のレジスト組成物は、レジスト膜に設計通りの性能を発揮させることができる。
本発明の溶液の製造方法は、目標の濃度よりも低濃度の溶液を濃縮する工程を経て目標の濃度の溶液を製造する際に、低濃度の溶液を目標の濃度よりも高い濃度まで濃縮して過剰濃縮液とし、過剰濃縮液の濃度を測定し、過剰濃縮液を目標の濃度の溶液とするために必要な希釈溶媒の添加量を求め、該添加量の希釈溶媒を過剰濃縮液に加え、目標の濃度の溶液を得る方法である。溶液の濃度とは、溶液(100質量%)に含まれる溶質の割合(質量%)を意味する。また、過剰濃縮液の濃度とは、過剰濃縮液(100質量%)に含まれる溶質の割合(質量%)を意味する。
重合体としては、アクリル系重合体、スチレン系重合体(ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等。)、塩化ビニル系重合体、ポリエステル系重合体、(シクロ)オレフィン系重合体、ビニルエーテル系重合体、フッ素系重合体、エポキシ系重合体等が挙げられる。
重合体としては、用途別では、レジスト用重合体、反射防止用重合体、塗料用重合体、トナー用重合体、成形用重合体、インク用重合体等が挙げられる。
本発明の溶液の製造方法は、目標の濃度からの濃度のずれが少ないことが要求されるレジスト用重合体溶液の製造に好適である。
良溶媒としては、レジスト用重合体溶液の場合、後述のレジスト組成物用の溶媒が挙げられる。該溶媒としては、電子工業用グレードの溶媒が好ましい。
(α)過剰濃縮液の一部をサンプリングしてその質量を測定した後、該過剰濃縮液を加熱し、溶媒を完全に除去して溶質の質量を測定し、過剰濃縮液の質量と溶質の質量とから濃度を求める方法。
(β)過剰濃縮液の濃度と屈折率との関係を示す検量線をあらかじめ作成しておき、過剰濃縮液の一部をサンプリングしてその屈折率を測定し、検量線から過剰濃縮液の濃度を求める方法。
過剰濃縮液の濃度は、目標の濃度よりも高ければよい。ただし、過剰濃縮液の濃度が高すぎると、濃縮に費やされるエネルギーおよび時間が無駄となるため、過剰濃縮液の濃度は、下記式(I)を満足することが好ましい。
目標の濃度(質量%)<過剰濃縮液の濃度(質量%)≦目標の濃度(質量%)×1.2 ・・・(I)。
希釈溶媒添加量(g)=過剰濃縮液量(g)×{過剰濃縮液の濃度(質量%)−目標の濃度(質量%)}/目標の濃度(質量%) ・・・(II)。
希釈溶媒としては、溶液の溶媒と同じものを用いればよい。
レジスト用重合体は、例えば、下記工程を経て製造される。
(a)単量体成分を重合する工程。
(b)重合体の分散液を得る工程。
(c)重合体分散液を、フィルターを用いてろ過して重合体湿粉を回収する工程。
(d)回収された重合体湿粉を貧溶媒に分散させ、重合体分散液を得る工程。
(e)重合体分散液を、フィルターを用いてろ過して重合体湿粉を回収する工程。
(f)回収された重合体湿粉を良溶媒に溶解させて、目標の濃度よりも低濃度の重合体溶液とする工程。
(g)重合体溶液を精密フィルターに通して不純物を除去する工程。
(h)精密フィルターを通過した重合体溶液から残存する貧溶媒を除去し、さらに重合体溶液を目標の濃度よりも高い濃度まで濃縮して過剰濃縮液とする工程。
(i)過剰濃縮液の濃度を測定し、過剰濃縮液を目標の濃度の溶液とするために必要な希釈溶媒の添加量を求める工程。
(j)(i)工程で求めた添加量の希釈溶媒を過剰濃縮液に加え、目標の濃度の溶液を得る工程。
重合法としては、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法等の公知の重合方法が挙げられ、光線透過率を低下させないために、重合反応終了後に残存する単量体を除去する必要がある点、重合体の分子量を比較的低くする必要がある点から、溶液重合法が好ましい。溶液重合法のうち、製造ロットの違いによる平均分子量、分子量分布等のばらつきが小さく、再現性のある重合体が簡便に得られる点から、単量体成分を、所定の重合温度に加熱された重合容器中に滴下する滴下重合法と呼ばれる重合方法が好ましい。
有機溶媒(以下、「仕込み溶媒」とも記す。)をあらかじめ重合容器に仕込んでもよく、仕込み溶媒をあらかじめ重合容器に仕込まなくてもよい。この場合、単量体成分または重合開始剤は、仕込み溶媒がない状態で重合容器中に滴下される。
重合開始剤は、単量体成分に溶解させてもよく、滴下溶媒に溶解させてもよい。
単量体成分および重合開始剤は、同じ貯槽内で混合した後、重合容器中に滴下してもよく;それぞれ独立した貯槽から重合容器中に滴下してもよく;それぞれ独立した貯槽から重合容器に供給する直前で混合し、重合容器中に滴下してもよい。
単量体成分および重合開始剤は、一方を先に滴下した後、遅れて他方を滴下してもよく、両方を同じタイミングで滴下してもよい。
滴下速度は、滴下終了まで一定であってもよく、単量体または重合開始剤の消費速度に応じて、多段階に変化させてもよい。
滴下は、連続的に行ってもよく、間欠的に行ってもよい。
図1に示す攪拌機12、ジャケット(図示略)およびコンデンサ14を有する調合槽10に原料(単量体成分、重合開始剤、溶媒等。)を注入し、攪拌機12で撹拌して単量体溶液を調製する。
攪拌機22、ジャケット(図示略)およびコンデンサ24を有する重合槽20に溶媒を注入し、一定温度に保持する。調合槽10の単量体溶液を重合槽20に供給し、一定温度に保持された溶媒中に滴下し、単量体成分を重合させ、重合体溶液を得る。
ラクトン骨格を有する単量体(1)は、環内にカルボニルオキシ基(−C(O)O−)を含む環状の飽和炭化水素基を有する単量体である。
ラクトン骨格を有する単量体としては、単量体(1−1)〜(1−29)が好ましい。ただし、Rは、水素原子またはメチル基を表す。
分岐3級アルキル基、下記式で表されるアルキル置換炭化水素基(式中、R11は、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状アルキル基を表し、R12は、これが結合する炭素原子とともに炭化水素基を形成する基を表す。)、アルコキシアルキル基、−R13−O−R14−R15で表される基(式中、R13は、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状アルキレン基を表し、R14は、単結合、または炭素数1〜6の直鎖状または分岐状アルキレン基を表し、R15は、炭化水素基を表す。)、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等。
アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、1−メトキシエチル基、エトキシメチル基、1−エトキシエチル基、イソプロポキシメチル基、1−イソプロポキシエチル基、シクロヘキソキシメチル基、1−シクロヘキソキシエチル基、シクロペントキシメチル基、1−シクロペントキシエチル基等が挙げられる。
単環性脂環式炭化水素基として、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられ、レジスト用重合体とした際に感度、解像度に優れる点から、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましい。
多環性脂環式炭化水素基としては、例えば、架橋環式炭化水素基、スピラン系炭化水素基、環集合型炭化水素基等が挙げられる。具体例としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5 ]ドデシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基等が挙げられる。
酸脱離性基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、単量体(2−1)〜(2−28)が好ましい。ただし、RおよびR’は、水素原子またはメチル基を表す。
親水性基は、−C(CF3)2−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、メトキシ基、カルボキシ基およびアミノ基からなる群から選択される少なくとも1種である。
親水性基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、単量体(3−1)〜(3−15)が好ましい。ただし、Rは、水素原子またはメチル基を表す。
非極性脂環式骨格を有する単量体(4)の量は、特に制限されないが、単量体成分(100モル%)中、20モル%以下が好ましい。非極性脂環式骨格を有する単量体(4)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非極性脂環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタジエニルが挙げられる。該非極性脂環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルは、脂環式骨格上に炭素数1〜6の直鎖または分岐アルキル基を有していてもよい。
非極性脂環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、単量体(4−1)〜(4−5)が好ましい。ただし、Rは、水素原子またはメチル基を表す。
本発明の製造方法で得られた重合体をArFエキシマレーザー(波長:193nm)リソグラフィー用途に用いる場合には、光線透過率(波長193nmの光に対する透過率)をできるだけ低下させない点から、重合開始剤としては、分子構造中に芳香環を有しないものが好ましい。また、重合時の安全性等を考慮すると、重合開始剤としては、10時間半減期温度が60℃以上のものが好ましい。
重合開始剤の量は、特に限定されないが、重合体の収率を高くさせる点から、単量体成分100モル部に対して0.3モル部以上が好ましく、1モル部以上がより好ましい。また、重合体の分子量分布を狭くさせる点から、単量体成分100モル部に対して30モル部以下が好ましい。
溶媒の量は、滴下溶媒および仕込み溶媒の合計量で、単量体成分(100質量部)に対して30〜700質量部が好ましい。
滴下重合法において溶媒を2種以上用いる場合、滴下溶媒および仕込み溶媒における溶媒の混合比は、任意の割合で設定できる。
調合槽10における単量体溶液の単量体濃度は、特に限定されないが、5〜50質量%が好ましい。
仕込み溶媒の量は、特に限定されず、適宜決めればよい。通常は、単量体成分の全量100質量部に対して30〜700質量部である。
連鎖移動剤の量は、単量体成分(100モル部)に対して1〜20モル部が好ましい。
重合時間は、1時間以上が好ましく、24時間以下が好ましい。
重合体分散液を得る方法は、(a)工程の重合法により異なる。
溶液重合法(滴下重合法)の場合、得られた重合体溶液を貧溶媒に注いで重合体を析出させることによって重合体分散液が得られる。
乳化重合法の場合、得られたラテックス中の重合体を酸析または塩析によって凝固させることによって重合体スラリーが得られる。
懸濁重合法の場合、得られた重合体懸濁液をそのまま用いる。
塊状重合法の場合、得られた重合体を粉砕した後、分散媒に分散させることによって重合体分散液が得られる。
図1に示す重合槽20の重合体溶液を、必要に応じて、良溶媒で適当な溶液粘度に希釈する。
攪拌機32、ジャケット(図示略)およびコンデンサ34を有する精製槽30に貧溶媒を注入する。重合槽20の重合体溶液を精製槽30に供給し、攪拌機32で撹拌しながら貧溶媒中に滴下し、重合体を析出させ、重合体の分散液を得る。
貧溶媒とは、重合体を溶解させる能力の小さい溶媒であり、重合体の組成に応じて貧溶媒が異なる。
例えば、「ポリマーハンドブック(Polymer Handbook)」、第4版、VII−497頁〜VII−545頁には、各種の重合体(Polymer)に対応する貧溶媒(Nonsolvents)が記載されている。
また、重合体がレジスト用アクリル系重合体の場合には、溶解度パラメーター(以下、単に「SP値」とも記す。)の値が、7.0(cal/cm3)1/2 〜9.0(cal/cm3)1/2[14.3MPa1/2 〜18.5MPa1/2]、または11.5(cal/cm3)1/2 〜23.4(cal/cm3)1/2[23.5MPa1/2 〜47.9MPa1/2]の範囲である溶媒が、貧溶媒として好ましい。
溶媒のSP値は、例えば、「ポリマーハンドブック(Polymer Handbook)」、第4版、VII−675頁〜VII−711頁に記載の方法により求めることができ、具体的には、表1(VII−683頁)、表7〜8(VII−688頁〜VII−711頁)に記載されている。
貧溶媒が複数の溶媒の混合溶媒である場合のSP値は、公知の方法により求めることができる。例えば、混合溶媒のSP値は、加成性が成立するとして、各溶媒のSP値と体積分率との積の総和として求めることができる。
前記レジスト用アクリル系重合体の貧溶媒としては、例えば、メタノール、イソプロパノール、メチル−t−ブチルエーテル、水、n−ヘキサン、n−ヘプタン等が挙げられる。貧溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
貧溶媒の量は、重合体溶液100質量部に対して300〜3000質量部が好ましい。
図1に示す精製槽30の重合体分散液を、フィルター42を有する真空式ろ過器40に供給し、重合体分散液を、フィルター42を用いてろ過して重合体湿粉を回収する。
フィルター42は、前ロットで用いたフィルターを洗浄したものであってもよく、一度もろ過に用いられていない新品のフィルターであってもよい。
図1に示す精製槽30に貧溶媒を注入する。真空式ろ過器40にて回収された重合体湿粉を精製槽30に投入し、攪拌機32で撹拌して貧溶媒に分散させ、重合体分散液を得る。
貧溶媒としては、(b)工程にて用いた貧溶媒が挙げられる。
貧溶媒の量は、重合体湿粉100質量部に対して300〜3000質量部が好ましい。
(c)工程と同様にして、重合体分散液をフィルター42を用いてろ過して重合体の湿粉を回収する。
フィルター42としては、(c)工程で用いたフィルターをそのまま用いてもよく、(c)工程で用いたフィルターに代えて、別のフィルターを新たに用意し、これを用いてもよい。
図1に示す攪拌機52、ジャケット(図示略)およびコンデンサ54を有する溶解槽50に良溶媒を注入する。
(e)工程にて回収された重合体湿粉を溶解槽50に投入し、攪拌機52で撹拌して良溶媒に溶解させ、目標の濃度よりも低濃度の重合体溶液を得る。
良溶媒としては、後述のレジスト組成物用の溶媒が挙げられる。
良溶媒の量は、重合体湿粉100質量部に対して100〜5000質量部が好ましい。
図1に示す溶解槽50の重合体溶液を精密フィルターを有する精密ろ過器60に供給し、重合体溶液を精密フィルターに通して不純物を除去する。
精密フィルターとしては、メンブランフィルター、カートリッジフィルター等が挙げられる。
図1に示す攪拌機72、ジャケット(図示略)およびコンデンサ74を有する濃縮槽70に、精密フィルターを通過した重合体溶液を注入する。濃縮槽70の重合体溶液を攪拌機72にて撹拌しながらジャケットにて加熱し、重合体溶液から残存する貧溶媒を必要に応じて減圧下で除去し、さらに重合体溶液を目標の濃度よりも高い濃度まで濃縮して過剰濃縮液を得る。
該工程においては、除去した貧溶媒および良溶媒の質量または体積を測定する、濃縮槽60内の重合体溶液の質量または体積を測定する、あるいは重合体溶液の濃度を測定する等の手段により、該濃度が前記式(I)を満足するまで濃縮を行うことができる。重合体溶液の濃度の測定方法としては、短時間で過剰濃縮液の濃度を求めることができる点から、前記(β)の方法が好ましい。
濃縮槽70から排出される貧溶媒および良溶媒の蒸気は、コンデンサ74にて液体に凝集され、回収タンク80に送られる。
過剰濃縮液の濃度を測定し、過剰濃縮液を目標の濃度の溶液とするために必要な希釈溶媒の添加量を前記式(II)から求める。
過剰濃縮液の濃度の測定方法としては、短時間で過剰濃縮液の濃度を求めることができる点から、前記(β)の方法が好ましい。
(i)工程で求めた添加量の希釈溶媒を濃縮槽70の過剰濃縮液に加え、攪拌機72にて充分に撹拌し、目標の濃度の重合体溶液を得る。
希釈溶媒としては、前記良溶媒と同じものを用いればよい。
本発明の製造方法で得られた重合体溶液に含まれる重合体の質量平均分子量は、レジスト用重合体の場合、1000以上が好ましく、また、1000000以下が好ましい。レジスト用重合体をポジ型レジスト組成物に用いる場合には、レジスト用重合体の質量平均分子量は、エッチング耐性およびレジストパターン形状の点から、1000以上が好ましく、2000以上であることがより好ましく、5000以上であることが特に好ましい。また、レジスト用重合体をポジ型レジスト組成物として用いる場合には、レジスト用重合体の質量平均分子量は、溶媒に対する溶解性および解像度の点から、100000以下であることが好ましく、50000以下であることがより好ましく、20000以下であることが特に好ましい。
本発明の製造方法で得られた重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、特に限定されないが、レジスト用重合体として用いる場合には、レジスト溶液に対する溶解性および解像度の点から、2.5以下が好ましく、2.3以下がより好ましく、2.0以下が特に好ましい。
溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン等の直鎖または分岐鎖ケトン類;シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の環状ケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のジエチレングリコールアルキルエーテル類;酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル類;n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、シクロヘキサノール、1−オクタノール等のアルコール類;1,4−ジオキサン、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン;ペンタン、2−メチルブタン、n−ヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジブチルブタン、2,3−ジブチルブタン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、n−ノナン、2,2,5−トリメチルヘキサン、n−デカン、n−ドデカン等の炭素数5〜11の脂肪族炭化水素系溶媒等が挙げられる。溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
溶媒としては、安全性が高く、汎用的に用いられている点から、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトンが好ましい。
光酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物の酸発生剤として用いることができるものの中から任意に選択することができる。光酸発生剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第2級低級脂肪族アミン、第3級低級脂肪族アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。これらのうち、含窒素化合物としては、トリエタノールアミン等の第3級アルカノールアミンがより好ましい。
含窒素化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸等が好ましい。
リンのオキソ酸、または、その誘導体としては、例えば、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸およびそれらのエステルのような誘導体;ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸およびそれらのエステルのような誘導体;ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸およびそれらのエステルのような誘導体等が挙げられる。これらのうち、ホスホン酸が好ましい。
これらの化合物(有機カルボン酸、リンのオキソ酸、または、その誘導体)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
さらに、レジスト組成物には、必要に応じて、界面活性剤、前記含窒素化合物以外のクエンチャー、増感剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤等の各種添加剤を配合してもよい。これらの添加剤は、当該分野で公知のものであればいずれも用いることができる。また、これらの添加剤の添加量は、特に限定されず、適宜決めればよい。
まず、パターンを形成するシリコンウエハー等の被加工基板の表面に、レジスト組成物をスピンコート等により塗布する。そして、このレジスト組成物が塗布された被加工基板をベーキング処理(プリベーク)等で乾燥し、基板上にレジスト膜を形成する。
また、本発明のレジスト組成物は、本発明の製造方法によって得られた重合体溶液を含有するため、レジスト膜に設計通りの性能を発揮させることができる。
(検量線の作成)
単量体(1−1)(ただし、Rはメチル基。)23.1質量部、単量体(2−10)(ただし、Rはメチル基。)26.7質量部、単量体(3−4)(ただし、Rはメチル基。)16.1質量部を重合して得られた重合体を用意した。該重合体をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させ、濃度が異なる5種類の重合体溶液を調製した。これら重合体溶液の屈折率を、屈折率計(株式会社アタゴ製、RX−5000α)を用いて25℃で測定し、重合体溶液の濃度に対する屈折率の検量線を作成した。該検量線によれば、濃度が25.0質量%の重合体溶液の屈折率は1.42744であった。
攪拌機、ジャケットおよびコンデンサを有する調合槽に、単量体(1−1)(ただし、Rはメチル基。)23.1質量部、単量体(2−10)(ただし、Rはメチル基。)26.7質量部、単量体(3−4)(ただし、Rはメチル基。)16.1質量部、乳酸エチル98.7質量部、および重合開始剤であるジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(和光純薬工業(株)製、V601(商品名))1.96質量部を注入し、撹拌して単量体溶液を調製した。
攪拌機、ジャケットおよびコンデンサを有する精製槽にメタノール1078質量部および水340質量部を注入した。重合槽の重合体溶液220質量部を精製槽に供給し、メタノールおよび水の混合溶媒中に撹拌しながら滴下し、重合体を析出させ、重合体の分散液を得た。
精製槽の重合体分散液を、フィルターを有する真空式ろ過器に供給し、重合体の分散液を該フィルターを用いてろ過して重合体の湿粉を回収した。
精製槽にメタノール1445質量部および水255質量部を注入した。真空式ろ過器にて回収された重合体の湿粉140質量部を精製槽に投入し、攪拌機で撹拌してメタノールおよび水の混合溶媒に分散させ、重合体の分散液を得た。
精製槽の重合体分散液を、フィルターを有する真空式ろ過器に供給し、重合体分散液を該フィルターを用いてろ過して重合体湿粉を回収した。フィルターとしては、(c)工程で用いたフィルターを洗浄することなくそのまま用いた。
攪拌機、ジャケットおよびコンデンサを有する溶解槽にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート490質量部を注入した。(e)工程にて回収された重合体湿粉140質量部を溶解槽に投入し、攪拌機で撹拌してプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させ、重合体溶液を得た。
溶解槽の重合体溶液を精密フィルター(日本ポール(株)製、P−NYLON N66FILTER0.04M(商品名))を有する精密ろ過器に供給し、重合体溶液を精密フィルターに通して不純物を除去した。
攪拌機、ジャケットおよびコンデンサを有する濃縮槽に、精密フィルターを通過した重合体溶液を注入した。濃縮槽の重合体溶液を攪拌機にて撹拌しながらジャケットにて加熱し、重合体溶液から残存するメタノールおよび水を減圧下で除去し、さらに重合体溶液を濃縮した。重合体溶液の濃縮中、10分おきに重合体溶液の一部をサンプリングし、屈折率計(株式会社アタゴ製、RX−5000α)を用いて25℃における重合体溶液の屈折率を測定した。重合体溶液の屈折率が1.42919(目標の濃度25.0質量%における重合体溶液の屈折率の+0.13%)となったところで、加熱を止めて重合体溶液を冷却し、206.0質量部の過剰濃縮液を得た。
過剰濃縮液の一部をサンプリングし、屈折率計を用いて25℃における過剰濃縮液の屈折率を測定した。屈折率は1.42942であり、検量線から求めた濃度は26.7質量%(目標の濃度25.0質量%の1.07倍)であった。
過剰濃縮液を目標の濃度(25.0質量%)の溶液とするために必要なプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの添加量を前記式(II)から求めたところ、14.0質量部であった。
(i)工程で求めた添加量のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを濃縮槽の過剰濃縮液に加え、攪拌機にて充分に撹拌し、25.0質量%の重合体溶液を得た。
重合体溶液の一部をサンプリングし、該溶液から溶媒を除去し、固形の重合体を得た。約20mgの重合体を5mLのテトラヒドロフランに溶解し、孔径0.5μmメンブランフィルターでろ過して試料溶液を調製した。この試料溶液を、東ソー(株)製ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)に導入し、質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を測定した。また、質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)から分子量分布(Mw/Mn)を求めた。結果を表1に示す。
分離カラムとしては、昭和電工(株)製、Shodex GPC K−805L(商品名)を3本直列にしたものを用い、溶媒としては、テトラヒドロフラン(流量1.0mL/min)を用い、検出器としては示差屈折計を用いた。測定条件は、測定温度40℃、注入量0.1mLであった。標準ポリマーとして東ソー社製標準ポリスチレンF−80(Mw=706000)、F−20(Mw=190000)、F−4(Mw=37900)、F−1(Mw=10200)、A−2500(Mw=2630)、A−500(Mw=682、578、474、370、260の混合物)(商品名)を用いた。
重合体溶液400質量部(固形分100質量部)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート400質量部および光酸発生剤であるトリフェニルスルホニウムトリフレート2質量部を混合して均一溶液とした後、孔径0.1μmのメンブランフィルターでろ過し、レジスト組成物を調製した。
レジスト組成物をシリコンウエハー上にスピンコートし、ホットプレートを用いて120℃、60秒間プリベークを行い、膜厚0.4μmのレジスト膜を形成した。ついで、ArFエキシマレーザー露光機(波長:193nm)を用いて露光した後、ホットプレートを用いて120℃、60秒間露光後ベークを行った。ついで、2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて室温で現像し、純水で洗浄し、乾燥してレジストパターンを形成した。
ライン・アンド・スペース(L/S=1/1)を1/1の線幅に形成する露光量(mJ/cm2 )を測定し、これを感度とした。結果を表1に示す。
前記露光量で露光したときに解像されるレジストパターンの最小寸法(μm)を解像度とした。結果を表1に示す。
日本電子製、JSM−6340F型電界放射形走査型電子顕微鏡(商品名)によりレジストパターンを観察し、ディフェクトが発生していないものを良好、ディフェクトが発生しているものを不良として評価した。結果を表1に示す。
(a)〜(g)工程を実施例1と同様に行った後、攪拌機、ジャケットおよびコンデンサを有する濃縮槽に、精密フィルターを通過した重合体溶液を注入した。濃縮槽の重合体溶液を攪拌機にて撹拌しながらジャケットにて加熱し、重合体溶液から残存するメタノールを除去し、さらに重合体溶液を濃縮した。重合体溶液の濃縮中、10分おきに重合体溶液の一部をサンプリングし、以下のようにして濃度を測定した。
サンプリングされた重合体溶液の質量を正確に測定した後、該重合体溶液を25分間加熱し、溶媒を完全に除去して固形分の質量を測定し、重合体溶液の質量と固形分の質量とから濃度を求めた。
重合体溶液400質量部(固形分116質量部)を用い、実施例1と同様にしてレジスト組成物を調製し、実施例1と同じ条件でレジスト膜を形成した。レジスト膜厚は0.5μmであった。このレジスト膜の評価を実施例1と同様にして行った。評価結果を表1に示す。
実施例1において検量線の作成に用いた重合体をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させ、濃度25.0質量%の重合体溶液を調製した。
重合体溶液400質量部(固形分100質量部)を用い、実施例1と同様にしてレジスト組成物を調製し、実施例1と同じ条件でレジスト膜を形成した。レジスト膜厚は0.4μmであった。このレジスト膜の評価を実施例1と同様にして行った。評価結果を表1に示す。
一方、比較例1のレジスト組成物は、レジスト膜の性能が参考例1から大きくはずれ、設計通りの性能を発揮できなかった。
Claims (1)
- 目標の濃度よりも低濃度のレジスト用重合体溶液を濃縮する工程を経て目標の濃度のレジスト用重合体溶液を製造する方法において、
目標の濃度よりも低濃度のレジスト用重合体溶液を目標の濃度よりも高い濃度まで濃縮して過剰濃縮液とし、
過剰濃縮液の濃度を、屈折率計を用いて測定し、過剰濃縮液を目標の濃度のレジスト用重合体溶液とするために必要な希釈溶媒の添加量を求め、
該添加量の希釈溶媒を過剰濃縮液に加え、目標の濃度のレジスト用重合体溶液を得ることを特徴とするレジスト用重合体溶液の製造方法。
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