JP5312908B2 - 真贋判定用蛍光体および真贋判定手段 - Google Patents

真贋判定用蛍光体および真贋判定手段 Download PDF

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Description

本発明は、特定の紫外線領域の光に励起波長を有する真贋判定用蛍光体およびこれを用いた真贋判定手段に関する。
近年、有価証券、紙幣、プリペイドカード、IDカード、クレジットカード等の偽造防止や、ブランド品の偽造防止のために、偽造されたものであるか否かを判定する方法が知られている。その一つとして、例えばマーク等を肉眼では観察できない蛍光体含有インクにより印刷して潜像マークを形成し、その潜像マークに紫外線を照射して蛍光体を励起し、蛍光を発光する蛍光体が用いられている。
この方式によれば、真贋判定のための潜像マークは肉眼で見えにくいために、偽造者はこの潜像マークを印刷することが困難であり、偽造あるいは変造されたカードや物品を確実に発見できる。
このとき、紫外線の光源として、広く一般に市販されており、365nm付近の紫外線を発するブラックライトが主に用いられている。しかしながら、ブラックライトは容易に入手可能なため、本来秘匿すべき潜像マークがだれでも確認しやすいという問題があった。
ここで、例えばブラックライトを用いずに、365nm付近とは異なる波長領域に励起波長を有する蛍光体を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、上記特許文献1は、明細書中に開示された蛍光体を実際に用いても、上記課題が解決できないという問題がある。
また、365nm付近とは異なる波長領域の紫外線として、たとえばUV−Cと呼ばれる200nmから280nmの波長領域の紫外線、とくに殺菌ランプ等に用いられている254nm付近の紫外線を用い、この254nm付近の紫外線で励起されるが、ブラックライトのような365nm付近の紫外線では励起されない蛍光体を選択する方法も考えられる。このような蛍光体は、種々広く知られている。
しかしながら、上記UV−Cの波長領域の紫外線は、254nm付近の紫外線が殺菌ランプにも用いられるように、強い殺菌性を有し、生体に対して与えるダメージが強く、真贋判定手段用として用いるには問題がある。
特開2007−63403号公報(第3−5頁)
本発明は、365nm付近の紫外線では実質上励起されず、異なる波長領域の紫外線で発光する真贋判定用蛍光体とこれを用いた真贋判定手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、ブラックライトのような365nm付近の紫外線では実質上励起されず、かつUV−Cの波長領域の紫外線を励起光源として用いない蛍光体を種々探索、検討した。その結果、UV−Bの波長領域、特に少なくとも290nmから310nmの波長領域の紫外線により励起され、かつブラックライトのような365nm付近の紫外線では実質上励起されない蛍光体として、3価のプラセオジム(Pr3+)付活の希土類酸硫化物系蛍光体を見出した。
請求項1記載の真贋判定用蛍光体は、一般式がLuS:Prで表される蛍光体である。
そして、ルテチウム(Lu)を用いた希土類酸硫化物を母体とし、プラセオジム(Pr)で付活することにより、少なくとも290nmから310nmの波長領域の紫外線により励起され、かつブラックライトのような365nm付近の紫外線では実質上励起されない特徴を有する蛍光体となる。
請求項記載の真贋判定用蛍光体は、一般式がMS:Rで表され、Mはイットリウム(Y)とガドリニウム(Gd)またはイットリウム(Y)であり、Rは、プラセオジム(Pr)である蛍光体である。
そして、イットリウム(Y)とガドリニウム(Gd)またはイットリウム(Y)を用いた希土類酸硫化物を母体とし、プラセオジム(Pr)で付活することにより、少なくとも290nmから310nmの波長領域の紫外線により励起され、かつブラックライトのような365nm付近の紫外線では実質上励起されない特徴を有する蛍光体となる。
請求項記載の真贋判定用蛍光体は、請求項1または請求項記載の真贋判定用蛍光体において、プラセオジム(Pr)に加えてセリウム(Ce)を含むことを特徴としている。
そして、付活剤のプラセオジム(Pr)に加えて共付活剤のセリウム(Ce)を含むことにより、より発光輝度が高く、発光ピーク波長がシフトした真贋判定用蛍光体となる。
請求項記載の真贋判定手段は、少なくとも290nmから310nmの波長領域の紫外線に励起波長を有し、かつ365nm付近の紫外線では実質上励起されない請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の蛍光体を用いることを特徴としている。
そして、上記の特性を有する請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載した蛍光体を用いて例えば潜像マークを形成することで、広く一般に市販されている365nm付近の紫外線を発するブラックライトで照射しても実質上発光しないが、290nmから310nmの波長領域の紫外線を発する特殊な紫外線ランプで照射すると発光する潜像マークによる真贋判定手段となる。よりセキュリティ性が高く、254nm付近の生体に対して与えるダメージが強い紫外線を使用しなくともよいため安全性も高い真贋判定手段となる。
請求項1記載の真贋判定用蛍光体によれば、ルテチウム(Lu)を用いた希土類酸硫化物を母体とし、プラセオジム(Pr)で付活することで、少なくとも290nmから310nmの波長領域の紫外線により励起され、かつブラックライトのような365nm付近の紫外線では実質上励起されない特徴を有する蛍光体を得ることができる。
請求項記載の真贋判定用蛍光体によれば、イットリウム(Y)とガドリニウム(Gd)またはイットリウム(Y)を用いた希土類酸硫化物を母体とし、プラセオジム(Pr)で付活することで、少なくとも290nmから310nmの波長領域の紫外線により励起され、かつブラックライトのような365nm付近の紫外線では実質上励起されない特徴を有する蛍光体を得ることができる。
請求項記載の真贋判定用蛍光体によれば、請求項1または請求項記載の真贋判定用蛍光体において、付活剤のプラセオジム(Pr)に加えて共付活剤のセリウム(Ce)を含むことで、より発光輝度が高く、発光ピーク波長がシフトした真贋判定用蛍光体を得ることができる。
請求項記載の真贋判定手段によれば、少なくとも290nmから310nmの波長領域の紫外線に励起波長を有し、かつ365nm付近の紫外線では実質上励起されない請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の蛍光体を用いることで、よりセキュリティ性が高く、安全性も高い真贋判定手段となる。
以下、本発明の一実施の形態における真贋判定用蛍光体を製造する工程を説明する。
まず、希土類元素として例えばルテチウム(Lu)の原料として例えば酸化ルテチウム(Lu)と、プラセオジム(Pr)の原料として例えば酸化プラセオジム(Pr11)と、硫黄(S)の原料として例えば単体の硫黄(S)とを用いて、これらを十分に混合して原料の混合粉末をつくる。なお、このとき金属元素の原料として酸化物を例示したが、この他に焼成時に酸化物に変化する化合物を選択してもよい。
また、上記の原料のうち、希土類元素の原料は所定の量を事前に硝酸等の強酸に溶解した後、シュウ酸またはシュウ酸エチル等を添加し溶解して、シュウ酸化合物とした後に、共沈させて、得られた沈殿物を例えば900℃〜1000℃で焼成することにより、化学的により均一な混合物としたものを用いる方がより好ましい。
フラックスとしては、例えば炭酸ナトリウム(NaCO)のようなアルカリ金属の炭酸塩やリン酸リチウム(LiPO)のようなリン酸塩を好適に用いることができる。
また、原料のモル比としては、硫黄の比率を化学量論比より若干過剰に、約1.06倍から約1.1倍程度とするのが好ましい。
こうして得られた混合粉末を、900℃以上1200℃以下の温度範囲、1時間以上4時間以下、好ましくは2時間以上3時間以下焼成する。この焼成の後に、粉砕工程、洗浄工程、乾燥工程および篩別工程等を経て、所定の粒度の蛍光体を得る。
次に、本発明の一実施の形態における真贋判定手段について説明する。
本発明の真贋判定手段は、少なくとも290nmから310nmの波長領域の紫外線に励起波長を有し、かつ365nm付近の紫外線では実質上励起されない蛍光体を用いることを特徴とする。前記の性質を持つ蛍光体を用いて例えば印刷等の手段により潜在マークを形成する。この潜在マークは、通常の可視光線下およびブラックライトのような365nm付近の紫外線下では発光しないため、その存在がわかりにくい。しかし、少なくとも290nmから310nmの波長領域の紫外線下では励起され発光するため、通常の可視光線下、ブラックライト等と、少なくとも290nmから310nmの波長領域の紫外線を発光する特殊な紫外線ランプとにより交互に照射することで、目視等により潜在マークの存在を確認することができる。さらに、ブラックライト等で発光する従来の紫外線発光蛍光体との区別も可能となるため、従来の紫外線発光蛍光体を用いて潜像マークを偽造されたとしても、適切に真贋判定が可能である。
上記の例は、目視等による手段を説明したが、上記手段を自動化し、例えば単数および複数の励起光源からなる励起光照射部と、CCDカメラ等により発光を検知し信号に変換する発光検知部と、および検知した信号を演算処理する演算処理部とから構成してもよく、この構成によれば、励起光照射部により潜像マークに各種の光を照射し、その発光を発光検知部で検知し、演算処理部により判定するといった手段を自動化できる。
また潜像マーク自体に文字や画像、バーコード等の情報を盛り込み、これらの情報をCCDカメラ等で読み込み、情報処理することで盛り込んだ情報を取り出す手段を設けてもよい。
これらの構成以外であっても、本発明の真贋反転手段は、少なくとも290nmから310nmの波長領域の紫外線に励起波長を有し、かつ365nm付近の紫外線では実質上励起されない蛍光体を用いる真贋判定手段であればよい。
次に、上記一実施の形態の実施例として、まずLuS:Pr蛍光体について説明する。
原料として、397.5gの酸化ルテチウム(Lu)(Luとして1.998モル)、0.34gの酸化プラセオジム(Pr11)(Prとして0.002モル)、34gの単体の硫黄(S)(Sとして1.06モル)、フラックスとして100gの炭酸ナトリウム(NaCO)、および15gのリン酸リチウム(LiPO)とを十分によく混合する。
この混合物をアルミナ容器にいれ、1000℃に保ちながら3時間焼成した後、室温まで冷却し、5%硝酸水溶液を用いた洗浄を3回繰り返した。さらに、蛍光体粒子の凝集を解消するため、直径2mmのアルミナボール500gと脱イオン水500gを添加して、ミリング処理を行い、さらに脱イオン水で5回洗浄をした。その後、濾過工程、乾燥工程、篩別工程を経て、本発明の蛍光体を得た。これを試料1とした。
この試料1は、(Lu0.999Pr0.001Sで表される組成を有している。
同様に、希土類元素をルテチウムの他にランタン(La)、イットリウム(Y)やガドリニウム(Gd)を用い、さらにプラセオジム(Pr)に加えてセリウム(Ce)を用いた試料2ないし試料5を同様に、以下の通り作成した。
原料として、325.5gの酸化ランタン(La)(Laとして1.998モル)、0.34gの酸化プラセオジム(Pr11)(Prとして0.002モル)、34gの単体の硫黄(S)(Sとして1.06モル)、フラックスとして100gの炭酸ナトリウム(NaCO)、および15gのリン酸カリウム(KPO)とを十分によく混合する。
この混合物をアルミナ容器にいれ、1100℃に保ちながら3時間焼成した後、室温まで冷却し、0.3%酢酸水溶液を用いた洗浄を2回繰り返した。さらに、蛍光体粒子の凝集を解消するため、直径2mmのアルミナボール500gと脱イオン水500gを添加して、ミリング処理を行い、さらに脱イオン水で5回洗浄をした。その後、濾過工程、乾燥工程、篩別工程を経て、本発明の蛍光体を得た。これを試料2とした。
この試料2は、(La0.999Pr0.001Sで表される組成を有している。
原料として、225.6gの酸化イットリウム(Y)(Yとして1.998モル)、0.34gの酸化プラセオジム(Pr11)(Prとして0.002モル)、34gの単体の硫黄(S)(Sとして1.06モル)、フラックスとして100gの炭酸ナトリウム(NaCO)、および15gのリン酸カリウム(KPO)とを十分によく混合する。
この混合物をアルミナ容器にいれ、1100℃に保ちながら3時間焼成した後、室温まで冷却し、5%硝酸水溶液を用いた洗浄を3回繰り返した。さらに、蛍光体粒子の凝集を解消するため、直径2mmのアルミナボール500gと脱イオン水500gを添加して、ミリング処理を行い、さらに脱イオン水で5回洗浄をした。その後、濾過工程、乾燥工程、篩別工程を経て、本発明の蛍光体を得た。これを試料3とした。
この試料3は、(Y0.999Pr0.001Sで表される組成を有している。
原料として、362.1gの酸化ガドリニウム(Gd)(Gdとして1.9978モル)、0.34gの酸化プラセオジム(Pr11)(Prとして0.002モル)、0.034gの酸化セリウム(CeO)(Ceとして0.0002モル)、34gの単体の硫黄(S)(Sとして1.06モル)、フラックスとして100gの炭酸ナトリウム(NaCO)、および15gのリン酸ナトリウム(NaPO)とを十分によく混合する。
この混合物をアルミナ容器にいれ、1150℃に保ちながら3時間焼成した後、室温まで冷却し、5%硝酸水溶液を用いた洗浄を3回繰り返した。さらに、蛍光体粒子の凝集を解消するため、直径2mmのアルミナボール500gと脱イオン水500gを添加して、ミリング処理を行い、さらに脱イオン水で5回洗浄をした。その後、濾過工程、乾燥工程、篩別工程を経て、本発明の蛍光体を得た。これを試料4とした。
この試料4は、(Gd0.9989Pr0.001Ce0.0001Sで表される組成を有している。
原料として、112.9gの酸化イットリウム(Y)(Yとして1モル)、180.9gの酸化ガドリニウム(Gd)(Gdとして0.998モル)、0.34gの酸化プラセオジム(Pr11)(Prとして0.002モル)、34gの単体の硫黄(S)(Sとして1.06モル)、フラックスとして100gの炭酸ナトリウム(NaCO)、および15gのリン酸カリウム(KPO)とを十分によく混合する。
この混合物をアルミナ容器にいれ、1100℃に保ちながら3時間焼成した後、室温まで冷却し、5%硝酸水溶液を用いた洗浄を3回繰り返した。さらに、蛍光体粒子の凝集を解消するため、直径2mmのアルミナボール500gと脱イオン水500gを添加して、ミリング処理を行い、さらに脱イオン水で5回洗浄をした。その後、濾過工程、乾燥工程、篩別工程を経て、本発明の蛍光体を得た。これを試料5とした。
この試料5は、(Y0.5Gd0.499Pr0.001Sで表される組成を有している。
以上、作成した試料1ないし試料5の一般式および希土類元素の組成比の一覧を表1に表す。
Figure 0005312908
この試料1ないし試料5に対して、分光蛍光光度計(型式:F−4500 日立製作所製)を用いて、305nmの励起波長を照射したときの発光スペクトルを測定した。このとき、緑色の蛍光を確認した。発光スペクトルの例として試料1および試料4の発光スペクトルを、図1に示す。
さらに、同分光蛍光光度計を用い、試料1ないし試料5の発光波長513nm付近における励起スペクトルを測定した。
次に、励起用の紫外線光源として、まず広く一般に市販されている365nm付近の紫外線を発するブラックライト蛍光ランプ(ブラックライトブルーランプ、型式:FL10BLB 三共電気株式会社製)(以下、「BLBランプ」と略称する。)と、特殊用途に用いられる少なくとも290nmから310nmの波長領域を含む紫外線を発する蛍光ランプ(UV−Bランプ、型式:GL4E 三共電気株式会社製)(以下、「UV−Bランプ」と略称する。)を用意し、各ランプの発光スペクトルを確認した。
上記の試料1ないし試料4の励起スペクトルと、上記の各ランプの発光スペクトルとを、比較できるように上下にプロットした図を作成し、これを図2および図3に表す。
この図2および図3から、本発明の蛍光体である試料1ないし試料4はいずれも、BLBランプの発光波長範囲では実質上励起されないが、UV−Bランプの発光波長範囲では効果的に励起されることがわかる。また、試料1ないし試料2は約280nmから約310nmの波長範囲において特に効率よく励起されることがわかる。
比較のため、特許文献1中の段落番号0018に例示されていた「Euなどの希土類元素を付活剤として含む無機蛍光体」を準備し、これらを比較例1−(1)ないし比較例1−(5)として表2に示した。なお、この際の付活剤濃度などの組成は当該蛍光体の標準的な濃度を採用した。
さらに比較のため、本発明の蛍光体と同じように緑色の発光色を有する別の蛍光体を準備し、これらを比較例2−(1)ないし比較例2−(3)として同じく表2に示した。
Figure 0005312908
これら比較例1−(1)ないし比較例1−(5)および比較例2−(1)ないし比較例2−(3)についても、上記試料1ないし試料5と同様に励起スペクトルを測定し、これを同様にBLBランプとUV−Bランプの発光スペクトルと比較できるように上下にプロットした図を作成し、これらを図4ないし図5に表す。
まず、示した図4から、比較例1−(1)、比較例1−(4)および比較例1−(5)の蛍光体は、UV−Bランプで励起され発光するものの、BLBランプでも励起され発光してしまうため、本発明が解決しようとする課題を解決できていない、ということがわかる。逆に、比較例1−(2)および比較例1−(3)の蛍光体は、BLBランプでは励起されないものの、UV−Bランプでも殆ど励起されず、むしろ254nm付近に発光波長を有する殺菌ランプ等で効率よく励起され発光することがわかり、このためやはり、これら特許文献1に記載された蛍光体では、本発明が解決すべき技術課題を解決できないだけではなく、特許文献1が掲げる解決しようとする課題ですら解決していないことがわかる。
続いて、示した図5から、比較例2−(1)、比較例2−(3)の蛍光体は、UV−Bランプで励起され発光するものの、BLBランプでも励起され発光してしまうため、本発明が解決しようとする課題を解決できていない、ということがわかる。逆に、比較例2−(2)の蛍光体は、BLBランプでは励起されないものの、UV−Bランプでも殆ど励起されず、むしろ254nm付近に発光波長を有する殺菌ランプ等で効率よく励起され発光することがわかり、このため、これらの緑色発光蛍光体では、本発明が解決すべき技術課題を解決できないことがわかる。
次に、励起用の紫外線光源として、さらに254nm付近に発光波長を有する殺菌ランプ(紫外線殺菌ランプ、型式:GL10 三共電気株式会社製)(以下「殺菌ランプ」と略称する。)を加え、殺菌ランプ、UV−BランプおよびBLBランプで励起したときの、試料1ないし試料5、比較例1−(1)ないし比較例1−(5)、比較例2−(1)ないし比較例2−(3)の蛍光体の発光状態を一覧表として表2に表した。なおここで記号の意味は、上記ランプで励起した上で目視により観察した結果として、×は実質上発光しない、△は若干発光する、○は発光する、と表した。
Figure 0005312908
この表3からも、本発明の蛍光体である試料1ないし試料5は、BLBランプによる励起では実質上発光せず、かつUV−Bランプでは励起され発光するという、優れた特徴を有していることがわかる。
このうち特に、一般式がLuS:Prで表される試料1および一般式がLaS:Prで表される試料2は、殺菌ランプによる励起では若干しか発光しないため、より選択性の高いセキュリティ用途に好適に用いることができる特徴を有しており、より好ましい。
一方で、残りの比較例はすべて、UV−Bランプで励起されて発光する場合、BLBランプでも励起されて発光してしまうか、もしくは殺菌ランプでしか励起されないことから、これらの蛍光体では本発明の課題を解決できないことがわかる。
このように、本発明の真贋判定用蛍光体は、殺菌ランプのような生体に対して強いダメージを与える紫外線を用いることなく、290nmないし310nmの波長範囲において励起され、かつBLBランプのような一般的に広く市販されている紫外線ランプでは実質上励起されず発光しない蛍光体を実現しており、セキュリティ性を向上させることができる。
なお、上記の実施例において、試料1ないし試料5の作成にあたっては、プラセオジム(Pr)の組成比は0.001としたが、実際には0.0005から0.05の範囲で実用的に用いることができる。発光効率等から考えると、より好適な組成比の範囲は、0.005から0.01である。
また、試料4に示したように、プラセオジムの他に、共付活剤としてセリウム(Ce)を添加してもよい。セリウムを微量添加することにより発光輝度が向上し、発光スペクトルを若干短波長側にシフトすることを実験により確認した。このときのセリウムの組成比の範囲は、0.0002以下であることが好ましいことも実験により確認した。
本発明の真贋判定用蛍光体は、偽造防止のための潜在マークの形成に好適に用いることができる。特に従来よく用いられていた365nm付近に発光波長を有するBLBランプでは励起されず発光しないため、従来のBLBランプ用の紫外線励起蛍光体と区別して用いることができる。また、例えば上記従来の紫外線発光蛍光体との組合せにより、より類推されにくい、安全性の高い潜在マークを形成することが可能である。
また、殺菌ランプのような254nm付近の紫外線を用いないため、目視による真贋判定も可能である。
また、繊維等に具備することで、偽造防止用織ラベルとしても好適に利用できる。
また、樹脂等に練り込む等の手段で具備しても好適に利用できる。
本発明の真贋判定手段は、上述の性質をもつ真贋判定用蛍光体を用いるため、例えばBLBランプとUV−Bランプとを切り替えて照射することにより、発光の有無を確認することで、他の紫外線発光蛍光体と容易に区別することができるといった、優れた効果を有するため、真贋判定手段として従来の紫外線発光蛍光体に比べて、よりセキュリティ性の高い用途に好適に利用できる。
本発明の一実施の形態の蛍光体の305nm励起時の発光スペクトルを表すグラフである。 本発明の一実施の形態の蛍光体の513nm発光時の励起スペクトルを表すグラフである。 本発明の別の実施の形態の蛍光体の513nm発光時の励起スペクトルを表すグラフである。 比較例1−(1)ないし比較例1−(5)の励起スペクトルを表すグラフである。 比較例2−(1)ないし比較例2−(3)の励起スペクトルを表すグラフである。

Claims (4)

  1. 一般式がLuS:Prで表される真贋判定用蛍光体。
  2. 一般式がMS:Rで表され、Mはイットリウム(Y)とガドリニウム(Gd)またはイットリウム(Y)であり、Rは、プラセオジム(Pr)であることを特徴とした真贋判定用蛍光体。
  3. プラセオジム(Pr)に加えてセリウム(Ce)を含むことを特徴とする請求項1または請求項に記載の真贋判定用蛍光体。
  4. 少なくとも290nmから310nmの波長領域の紫外線に励起波長を有し、かつ365nm付近の紫外線では実質上励起されない請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の蛍光体を用いることを特徴とする真贋判定手段。
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