以下、図面に従って本発明を適用したデジタル一眼レフカメラを用いて好ましい実施形態について説明する。第1実施形態に係わるデジタル一眼レフカメラは、光学ファインダを通して被写体像を観察することができると共に、撮像素子によって取得した静止画の画像データを記録メディアに記録可能である。また、このデジタルカメラのブレ量を検出し、撮影光学系に対して垂直な面内で撮像素子を移動させることにより、ブレの影響を除去する防振動作が可能である。
まず、本発明の第1実施形態に係わるデジタル一眼レフカメラのシステム構成について、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態のカメラの主に電気的なシステム構成を概略的に示すブロック図である。このデジタル一眼レフカメラは、カメラ本体部であるボディユニット100と、アクセサリ装置の一つであり交換レンズであるレンズユニット10、パーソナルコンピュータ、プリンタなどの外部機器56などからシステム構成されている。なお、カメラボディユニット100に装着可能な外部電源や外付けのストロボユニット等ともシステム構成することは可能であるが、ここでは省略してある。
レンズユニット10は、ボディユニット100の前面に設けられた図示しないレンズマウントを介して着脱自在である。レンズユニット10の制御は、レンズユニット10内に設けられたレンズ制御用マイクロコンピュータ(以下、“Lμcom”と称する)5が行う。ボディユニット100の制御は、ボディ制御用マイクロコンピュータ(以下、“Bμcom”と称する)50が行う。
これらLμcom5とBμcom50とは、ボディユニット100にレンズユニット10を装着した状態において通信コネクタ6を介して通信可能に電気的に接続される。そして、カメラシステムとして、Lμcom5がBμcom50に従属的に協働しながら動作するように構成されている。
レンズユニット10は、撮影レンズ1と絞り3を備える。撮影光学系を構成する撮影レンズ1は、レンズ枠1aに保持され、レンズ駆動機構2内に設けられた図示しないDCモータによって駆動される。絞り3は、絞り機構4内に設けられた図示しないステッピングモータによって駆動される。Lμcom5は、Bμcom50の指令に基づいてこれら各モータを制御する。
ボディユニット100内には、一眼レフレックス光学系を構成するクイックリターンミラー11、サブミラー11a、スクリーン12e、ペンタプリズム12、接眼レンズ13等と、撮影光学系の光軸上に配置されたフォーカルプレーン式のシャッタ15と、サブミラー11aからの反射光束を受け、所謂、瞳分割方式によりデフォーカス量を検出するためのAFセンサユニット16が設けられている。
また、ボディユニット100内には、AFセンサユニット16を駆動制御するAFセンサ駆動回路17と、クイックリターンミラー11を駆動制御するミラー駆動回路18と、シャッタ15の先幕と後幕を駆動するバネをチャージするシャッタチャージ機構19と、これらの先幕と後幕の動きを制御するシャッタ制御回路20が設けられている。また、ペンタプリズム12の出射口近傍に配置され被写界輝度検出用の測光センサ21aと、この測光センサ21aの出力に基づき測光処理を行う測光回路21が設けられている。
撮影光学系の光軸上には、撮影光学系によって結像される被写体像を光電変換するための撮像ユニットが設けられている。撮像ユニットは、撮像素子であるCCD(Charge Coupled Devices)31やその前面に配設された光学ローパスフィルタ(LPF)30、および防塵フィルタ71をユニットとして一体化してなるものである。防塵フィルタ71の周縁部には、圧電素子71aが取り付けられている。
圧電素子71aは、2つの電極を有しており、防塵フィルタ制御回路48は圧電素子71aの2つの電極に所定の周波数を印加し振動させることにより、防塵フィルタ71に振動波を生じさせる。フィルタ表面に付着した塵は、振動波によって除去される。CCD31の周辺の温度を測定するために、CCD31の近傍には、温度測定回路22が設けられている。なお、撮像素子としては、CCD31の他、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の二次元撮像素子を用いることもできる。
この撮像ユニットには、手ブレ等による像ブレを補正する防振ユニットが設けられている。この防振ユニットは、撮影光学系の光軸に直交する面内のX軸方向およびY軸方向のブレを検出するブレ検出センサ(ジャイロ)を備え、このブレ検出センサの出力に基づいて、CCD31を保持する基板を移動させ、ブレの影響を打ち消すものである。この防振ユニットは、フレーム510、X枠520、X軸振動子506、Y枠530、Y軸振動子507等から構成されている。この防振ユニットの詳細については、図2乃至図4を用いて後述する。
防振ユニットの駆動制御は、防振制御回路501、X軸ジャイロ502、Y軸ジャイロ503、振動子駆動回路504、位置検出センサ505等によってなされる。X軸ジャイロ502とY軸ジャイロ503は、X軸方向とY軸方向のブレ量に応じた信号を防振制御回路501に出力する。また、位置検出センサ505はX枠520とY枠530の位置信号を、それぞれ防振制御回路501に出力する。この防振制御回路501は、これらの信号に基づいて、ブレを打ち消すための移動量を求め、振動子駆動回路504に制御信号を出力する。振動子駆動回路504は、防振制御回路501からの制御信号に基づいて、X軸振動子506とY軸振動子507に対して駆動制御信号を出力し、X枠520とY枠530をそれぞれ駆動する。この駆動制御の詳細については、図11乃至図16を用いて後述する。
また、本実施形態のデジタル一眼レフシステムは、CCD31に接続したCCDインターフェース回路23と、液晶モニタ24、記憶領域として機能するSDRAM25、フラッシュROM26などを利用して画像処理する画像処理コントローラ28とを備え、電子撮像機能とともに電子記録表示機能を提供できるように構成されている。
ここで、記録メディア27は、各種のメモリカードや外付けのHDD等の外部記録媒体であり、通信コネクタを介してカメラ本体と通信可能かつ交換可能に装着される。そして、この記録メディア27に撮影により得られた画像データが記録される。記録メディア27は、1つのみ装填可能でも良いが、本実施形態においては複数の記録メディア27が装填可能となっている。その他の記憶領域としては、カメラ制御に必要な所定の制御パラメータを記憶する、例えばEEPROMからなる不揮発性メモリ29がBμcom50からアクセス可能に設けられている。なお、後述する駆動動作要求フラグ等のフラグもこの不揮発性メモリ29に記憶される。
Bμcom50には、当該カメラの動作状態を表示出力によってユーザへ告知するための動作表示用LCD51および動作表示用LED51aと、カメラ操作SW52とが接続されている。カメラ操作SW52は、例えば、レリーズ釦の半押しに連動する1Rスイッチ、レリーズ釦の全押しに連動する2Rスイッチ、再生表示モードの設定用の再生釦に連動する再生スイッチ、防振モード設定用の防振釦に連動する防振モードスイッチ、複数の記録メディア27の間で画像データのコピーを行うためのメディアコピー釦に連動するメディアコピースイッチ、モノクロ処理やセピア処理等の画像処理を行うための画像編集を指示するための画像編集釦に連動する画像編集スイッチ、ファイル名を変更処理等するためのファイル名編集釦に連動するファイル名編集スイッチ、電源釦に連動するパワースイッチなど、当該カメラを操作するために必要な操作釦を含むスイッチ群である。なお、パワースイッチがオフされると電源オフ状態となるが、この状態であっても、Lμcom5やBμcom50には電源が供給されており、パワースイッチのオンオフを監視しており、パワースイッチがオフからオンとなると、割り込み処理でカメラ処理を開始する。
また、Bμcom50には、USBインターフェース回路55が接続されている。このUSBインターフェース回路55は、パーソナルコンピュータやプリンタ等の外部機器56と、USB規格により接続し通信するためのインターフェース回路である。
さらに、電源としての電池54と、電池54の電圧を本カメラシステムの各回路ユニットが必要とする電圧に変換して供給する電源回路53が設けられ、外部電源からジャックを介して電流が供給されたときの電圧変化を検知する電圧検出回路も設けられている。内蔵ストロボ301は、図示しない閃光発光管、DC/DCコンバータを含み、ストロボ制御回路302に接続され、Bμcom50の制御信号を受け、閃光発光を行う。
上述のように構成されたカメラシステムの各部は、概略、次のように動作する。ミラー駆動機構18は、クイックリターンミラー11をアップ位置とダウン位置へ駆動するための機構であり、このクイックリターンミラー11がダウン位置にある時、撮影レンズ1からの光束はAFセンサユニット16側とペンタプリズム12側へと分割されて導かれる。AFセンサユニット16内のAFセンサからの出力は、AFセンサ駆動回路17を介してBμcom50へ送信されて周知の測距処理が行われる。また、クイックリターンミラー11がアップ位置にある場合には、CCD31の出力に基づいてイメージャーAFを行うと共に、液晶モニタ24にライブビュー表示を行う。クイックリターンミラー11がダウン位置に有る場合には、ペンタプリズム12を通過した光束の一部は測光回路21内の測光センサ21aへ導かれ、ここで検知された光量に基づき周知の測光処理が行われる。
レリーズ釦が全押しされ、カメラ操作SW52内のセカンドレリーズスイッチがオンとなると、撮影動作を開始する。撮影動作にあたっては、クイックリターンミラー11をアップ位置に移動させ、撮影光学系による被写体像をCCD31上に結像可能状態にする。そして、前述の測光処理によって求められた光量に基づいて、シャッタ15や絞り3による露光制御を行なう。
露光動作中は、防振ユニットを動作させ、X軸ジャイロ502およびY軸ジャイロ503の出力に基づいて、防振制御回路501および振動子駆動回路504はX軸振動子506およびY軸振動子507の駆動制御を行い、CCD31を移動させて、手振れ等による像ブレ補正を行う。
露光動作が終了すると、画像処理コントローラ28は、Bμcom50の指令に従ってCCDインターフェース回路23を制御してCCD31から画像データを取り込む。この画像データは画像処理コントローラ28でビデオ信号に変換され、液晶モニタ24に出力表示される。ユーザは、この液晶モニタ24の表示画像から、撮影した画像イメージを確認できる。SDRAM25は、画像データの一時的記憶用メモリであり、画像データが変換される際のワークエリアなどに使用される。また、画像データは、JPEGデータに変換された後、記録メディア27に記録される。
なお、本デジタルカメラのパワースイッチがオンとなった場合やレンズユニットが交換された場合等、所定のタイミングにおいて、防塵フィルタ制御回路48は、圧電素子71aに駆動信号を印加し、防塵フィルタ71を超音波で振動させることにより、振動波によって防塵フィルタ71に付着した塵埃等の除去を行う。
また、パワーオフ時には、防振ユニットをその駆動端まで移動させ、振動波モータの特性を測定し、防振ユニット中の振動波モータ(超音波モータ)の駆動用パラメータの設定を行う。また、このとき、併せて振動波モータの摩擦界面等に付着する磨耗粉等を端に追いやる。
次に、図2乃至図4を用いて、ブレ補正用の防振ユニットの構成について説明する。図2に示すように、防振ユニットは、X軸駆動機構部600とY軸駆動機構部700から構成されており、CCD31等の撮像ユニットは、Y軸駆動機構部700のY枠530に連動して移動するように連結されている。X軸駆動機構部600とY軸駆動機構部700は、撮影光学系の光軸が一致するように、実際には重なり合っているが、図2では、理解を容易にするため、X軸駆動機構部600とY軸駆動機構部700をそれぞれずらして表してある。なお、X軸駆動機構部600の詳細は図3に示し、Y軸駆動機構部700の詳細は図4に示してある。
防振ユニットのフレーム510は、カメラ本体に固着されており、軸受け512はビス512aと512b(図3)によって、フレーム510と一体に固定されている。軸受け512上方には、軸受け522が設けられており、この両軸受け512と522の間には、図3(D)のBB断面図に示すように、ボール513が介挿されている。両軸受け512と522は、図3(D)の紙面垂直方向に、それぞれV字形状の溝が設けられており、ボール513は、このV字形状溝に嵌合し、リテイナーに保持されている。軸受け522は、固定された軸受け512に対して、図3(B)の紙面横方向に摺動自在となっている。
摺動板522aは、軸受け522に一体に固定されており、この摺動板522aの上方には、2つの駆動子506bが接している。駆動子506b、圧電体506aおよびホルダ506cは一体となっており、これらによってX軸振動子506が構成されている。圧電体506aには複数の電極が設けられており、この電極に所定周波数の2相の駆動電圧を印加することにより、駆動子506bの表面は楕円振動する。
押圧板541の一方の片側は、ビス548、シート547およびスペーサ546によってフレーム510に位置決め固定されると共に、押圧板541の他方の片側は、ビス545、シート544、スペーサ543および押圧バネ542によってフレーム510に弾性的に固定されている。押圧バネ542の押圧力により、X軸振動子506は上方から押圧され、駆動子506bは摺動板522aに圧接する。圧接していることから、摺動板522aは、駆動子506bの楕円振動によってX軸方向に摺動可能となっている。なお、このときの摺動方向および摺動速度は、圧電体506aの一対の電極に印加する2相の駆動電圧の位相差等を変化させることによって制御することができるが、詳しくは後述する。
開口部520a、520bを有するX枠520は、軸受け522とビスで一体化されている(図2参照)。また、図3(C)のAA断面図に示すように、X枠520とフレーム510の間には、圧縮性のバネ515が設けられ、さらに溝にはボール514が介挿されている。このため、X枠520と軸受け522は、ボール513、514によって3点支持され、軸受け522がX軸振動子506の駆動子506bの駆動によって摺動すると、X枠も一緒に摺動する。
また、X枠520の上には、図2に示すように、ボール524を介してY枠530が設けられている(なお、図4(C)では、作図上、Y枠の方が下になっている)。すなわち、X枠520と一体の軸受け523にはV字状の溝が設けてあり、またY枠530とビスで固着された軸受け532側にもV字状の溝が設けてある。これらの溝の中に、リテイナーで保持された2つのボール524が配置されている。軸受け532とY枠530はビスで固着されており、また摺動板532aとも一体に固着されている。
摺動板532aの上には、X軸振動子506と同様に、Y軸振動子507が配置され、押圧板(不図示、X軸の押圧板341と同様)とバネ(不図示、X軸の押圧バネ542と同様)によって摺動板532aに圧接しているので、Y軸振動子の駆動子によって、摺動板532aがY軸方向に摺動可能となっている。前述したように、摺動板532a、軸受け532およびY枠530は一体化されており、これらとX枠520は、ボール524と軸受け523のV溝と軸受け532のV溝とによってY軸方向に摺動自在となっている。
以上の如く、本実施形態に係わるブレ補正用の防振ユニットは構成されているので、X軸振動子506によってX枠520はX軸方向に移動することが可能であり、またこのX枠520の上に設けられたY枠530は、Y軸振動子507によってY軸方向に移動することが可能である。つまり、Y枠530は、X枠520の動きに、さらにY軸方向の動きが重畳して移動する。この撮像ユニットのCCD31は、Y枠530の移動に連動して移動するように構成されているので、カメラのブレ量を検出し、このブレ量に応じてX軸振動子506とY軸振動子507を駆動し、X枠520およびY枠530を移動させ、ブレ量を打ち消し、ブレ補正を行なう。
本実施形態では、摺動板522a、523aおよび軸受け512、523の剛性を高くすることにより、駆動子506b等と摺動板522a、523aの押圧接触状態が安定し、楕円振動に伴う駆動力が摺動板522a、523aに確実に伝達され、高効率で楕円振動の回転方向に駆動することができる。この際、摺動板522a、532a側はフレーム510およびX枠520に対して面接触ではなく、ボール513、514、524による転動方式で接触しているので、押圧力が強くても摺動板522a等の摺動体はフレーム510に対して摩擦の少ない状態で確実に移動することができる。
次に、図5を用いて、前述の防振制御回路501とその周辺回路の構成について説明する。なお、X軸方向のブレとY軸方向のブレはそれぞれ独立にブレ量を求め、同様の制御を行うが、X軸方向およびY軸方向の回路は略同じであるので、ここでは、X軸方向のブレ補正について説明する。防振制御回路501のX軸方向のブレ補正に関する回路は、増幅回路561と、この増幅回路561の出力を入力しブレ補正制御用のマイクロコンピュータ(以下、「Tμcom」と称す)563と、位置検出センサ505から位置信号を入力する増幅回路568から構成される。
X軸ジャイロセンサ502の出力は、防振制御回路501内の増幅回路561に接続され、この増幅回路561の増幅出力は、Tμcom560内の補正量演算部564に接続される。補正量演算部564の出力は、減算部565に接続され、減算部565の出力はゲイン部566に接続される。補正量演算部564、減算部565およびゲイン部566は、ハードウエアに構成しても良いが、本実施形態においては、Tμcom560によってソフトウエア的に実行される。また、Tμcom560は、Bμcom50からの指示に従って制御を行う。
ゲイン部566の出力は、振動子駆動回路504に接続され、この振動子駆動回路504は電源回路53によって電源供給されるように接続されている。振動子駆動回路504の出力は、超音波モータ(振動波モータ)570内のX軸振動子506に接続され、超音波モータ570によって駆動されたX枠520の位置は、位置検出センサ505によって検出される。この検出出力は、防振制御回路501内の増幅回路568に接続され、増幅回路568の増幅出力は、減算部565の他の入力に接続されている。
本実施形態における超音波モータ(振動波モータ)570は、圧電体506aや駆動子506b等を有するX軸振動子506と、摺動板522aや軸受け522等の被駆動体(移動体)等によって構成されている。そして、超音波モータ570は、振動子に所定の交番する2相の駆動信号を印加することにより、この振動子の出力端に略楕円振動を生じさせて、この振動子とこの振動子に接触する被駆動体とを相対的に移動させることができる。
このように構成されている防振制御回路501において、X軸ジャイロセンサ502は、カメラのX軸方向の手振れ等のブレを検出し、増幅回路561に出力する。増幅回路561は、ブレ信号を増幅しデジタル変換し、Tμcom560の補正量演算部564に出力する。補正量演算部564はブレを打ち消すためのブレ補正量を演算し、これを減算部565に出力する。
減算部565は、ブレ補正量から位置に関する量の差分した量をゲイン部566に出力し、ゲイン部566は、この差分値を所定のゲインで増幅した後、振動子駆動回路504に出力する。振動子駆動回路504は、Tμcom560からの信号に基づいて、電源回路53から供給される電源でもって、超音波モータ570のX軸振動子506の電極に駆動信号を印加する。これによって、X枠520はブレを打ち消すように移動し、このときの移動量は位置検出センサ505によって検出され、Tμcom560にフィードバックされる。超音波モータ570は、ゲイン部566に設定されるゲインや、振動子駆動回路504によって設定される駆動周波数、電源回路53によって供給される供給電圧や供給電流によって制御特性が変更される。また、超音波モータ570を構成するX軸振動子506の一部である圧電体506a(Y軸振動子の圧電体も同様)に印加する2相の駆動信号の位相差によって駆動速度の制御を行うことができる。
次に、図6乃至図16を用いて、本実施形態に係わる一眼レフデジタルカメラの動作について説明する。図6は、Bμcom50による制御を示すフローチャートであり、電源用の電池54が装填され、パワーオンリセットがなされると、初期設定が行われる(S1)。初期設定としては、レジスタやポート等の回路系の初期化や、また防振ユニット等の機械系の初期化が行われる。
続いて、駆動動作要求フラグを‘0’とする(S3)。この駆動動作要求フラグは、パワーオフ時に防振ユニットの駆動端往復動作を実行するか否かを判定する際に使用されるフラグである。このステップでは、パワーオンリセットされ、初期化された後であることから、駆動動作要求フラグを‘0’にリセットしている。なお、この駆動動作要求フラグが‘1’のときは、パワーオフ時に防振ユニットの駆動端往復動作を実行する。
次に、パワースイッチの状態を判定する(S5)。このステップでは、パワースイッチがオフのままであるか、オンのままであるか、それともオンとオフの間で状態に変化があったかの3つの状態について判定する。このステップS5における判定の結果、オフのままであった場合には、ステップS5における判定を繰り返し行う待機状態となる。また、オンのままであった場合には、ステップS23にジャンプする。
ステップS5における判定の結果、パワースイッチの状態に変化があった場合には、次に、その変化がオフからオンか、オンからオフへのいずれの変化であるかを判定する(S7)。この判定の結果、オフからオンへの変化であった場合には、ステップS21にジャンプする。一方、判定の結果、オンからオフへの変化であった場合には、駆動動作要求フラグの判定を行う(S9)。この判定の結果、駆動動作要求フラグが0であった場合には、ステップS15にジャンプする。
ステップS9における判定の結果、駆動動作要求フラグが1であった場合には、Tμcom560に対して、駆動端往復動作の指示を行う(S11)。この駆動端往復動作では、摺動板522a等の移動体を駆動端(−)581から駆動端(+)583まで往復駆動させ、振動子と移動体の間に溜まっている磨耗粉を隅に追いやる。駆動端往復動作の詳細な動作は、図15を用いて後述する。
Tμcom560に対して駆動端往復動作の指示を行うと、次に、駆動動作要求フラグを‘0’にする(S13)。すなわち、このステップでは、駆動端往復動作を実行したので、駆動動作要求フラグを‘0’にリセットする。
続いて、防振制御回路501に電力供給の停止を行い(S15)、システムダウン処理を行う(S17)。システムダウン処理は、電源オフのための処理であり、以後、Bμcom50等のマイクロコンピュータは、スリープ状態となり、パワースイッチの変化のみを受け付け、電源消耗を防止する。
ステップS7における判定の結果、パワースイッチがオフからオンに変化したことを検出すると、防振制御回路501等に電力の供給を開始する(S21)。本実施形態においては、ライブビュー表示が行われている際(図9のS95参照)と、撮影を行う際(図10のS123)に、防振動作を行うが、このステップでは、防振動作に先立って防振制御回路501等に電力供給を開始しておく。
防振制御回路501等に電力の供給を開始すると、次に、キー入力処理を行う(S23)。このステップでは、カメラ操作スイッチ52において、入力したカメラ操作部材の操作状態を入力する。続いて、ステップS23で入力したカメラ操作部材としてのレリーズ釦に連動する1Rスイッチがオンした否かの判定を行う(S25)。
ステップS25における判定の結果、レリーズ釦の半押しがなされていなかった場合、すなわち、1Rスイッチがオンとなっていなかった場合には、次に再生釦に連動する再生スイッチがオンとなったか否かを判定する(S27)。この判定の結果、再生スイッチがオンであった場合には、記録メディア27に記録されている画像データの再生表示を行う再生モードを実行する。
再生表示にあたっては、記録メディア27から画像データの読出しを行い(S29)、この読み出された画像データに基づいて液晶モニタ24に画像を表示する(S31)。続いて、記録画像の送りや戻し操作等を行うための特定キーが操作されたか否かの判定を行う(S33)この判定の結果、特定キー操作がなされた場合には、ステップS29に戻り、特定キー操作に従って画像の読出しを行い、表示する。
ステップS33における判定の結果、特定キー操作がなかった場合には、再生スイッチが操作されたか否かを判定する(S35)。この判定の結果、操作されていなかった場合には、ステップS33に戻る。一方、再生スイッチが押されていた場合には、ステップS5に戻る。本実施形態においては、最初に、再生スイッチが操作されると、再生表示モードとなり、次に、再生スイッチが操作されると、再生表示モードが解除される。以後、交互に再生表示モードの設定と解除が行われる。
ステップS27における判定の結果、再生スイッチが押されていなかった場合には、USB接続がされているか否かの判定を行う(図7のS41)。このステップは、外部機器56がUSBインターフェース回路55を介して接続されているか否かの判定である。この判定の結果、USB接続されていた場合には、外部機器56としてパーソナルコンピュータ(PC)が接続されているか否かの判定を行う(S43)。
ステップS43における判定の結果、PCが接続されていた場合には、ファームアップを行うか否かの判定を行う(S45)。このステップでは、PCとの通信の結果、カメラ内のBμcom50等のコンピュータ制御用のプログラム(ファームウェア)をアップデートする旨の情報を受信したか否かを判定する。ステップS45における判定の結果、ファームアップを行う場合には、ファームアップ用のデータを受信し(S47)、このデータに基づいて、Bμcom50等のコンピュータ制御用プログラムの書き換えを行う(S49)。書き換えを行うと、ステップ5に戻る。
ステップS45における判定の結果、ファームアップでなかった場合には、PCへの画像送信を行い(S51)、この画像送信が完了したか否かの判定を行う(S53)。この判定の結果、完了していなかった場合には、ステップS51に戻り、画像データの送信を続行する。要求された画像データの全てを送信すると、ステップS5に戻る。
ステップS43における判定の結果、PC接続でなかった場合には、外部機器56がプリンタであるか否かの判定を行う(S55)。この判定の結果、プリンタでなかった場合には、何もせずに、ステップS5に戻る。一方、プリンタが接続されていた場合には、プリンタに対してプリント指示を行う(S57)。
このプリント指示は、選択されている画像データについて、プリンタに対して画像のプリントを指示するものである。続いて、プリント指示が完了したか否かの判定を行う(S59)。この判定の結果、完了していなかった場合には、ステップS57に戻り、プリント指示を続行する。要求された画像データの全てについてプリント指示が完了すると、ステップS5に戻る。
ステップS41における判定の結果、USB接続されていなかった場合には、防振モードスイッチが押されたか否かの判定を行う(図8のS61)。この判定の結果、防振モードスイッチがおされていた場合には、現在設定されている防振モードフラグが‘0’か‘1’かを判定する(S63)。防振モードフラグはステップS3において‘0’にリセットされている。この判定の結果、防振モードフラグが‘0’であった場合には、防振モードフラグに‘1’をセットし(S65)、防振モードフラグが‘1’であった場合には、防振モードフラグを‘0’にリセットする。本実施形態においては、防振モード釦が操作されるたびに、防振モードの設定と解除を交互に行っている。防振モードフラグに‘0’または‘1’を設定すると、ステップS5に戻る。
ステップS61における判定の結果、防振モードスイッチが押されていなかった場合には、メディアコピースイッチが押されたか否かの判定を行う(S69)。この判定の結果、メディアコピースイッチが押されていた場合には、操作に従って複数の記録メディア27の間で、画像データ等のコピーを行う。コピーを行うと、ステップS5に戻る。
ステップS69における判定の結果、メディアコピースイッチが押されていなかった場合には、画像編集スイッチが押されたか否かの判定を行う(S73)。この判定の結果、画像編集スイッチが押されていた場合には、画像編集スイッチの指示内容に従って、画処理、モノクロ処理、セピア処理等を行う(S75)。この画像編集処理を行うと、ステップS5に戻る。
ステップS73における判定の結果、画像編集スイッチが押されていなかった場合には、ファイル名編集スイッチが押されたか否かを判定する(S77)。この判定の結果、ファイル名編集スイッチが押されていた場合には、ファイル名を変更処理するコマを選択し(S79)、この選択されたコマについてファイル名の変更処理を行う(S81)。ステップS77における判定の結果、ファイル名編集スイッチが押されていなかった場合、またはステップS81のファイル名変更処理を行うと、ステップS5に戻る。
ステップS25(図6)における判定の結果、1Rスイッチが押された場合には、レリーズ釦の半押し操作が行われたことから、撮影準備動作を開始し、まず、測光・露出演算を行う(図9のS91)。このステップでは、測光回路21によって取得された被写体輝度に基づいて、Bμcom50は適正露光となるシャッタ速度値や絞り値等の露出制御値を演算する。
次に、ファインダモードが光学ファインダモードかライブビュー表示モードのいずれであるかの判定を行う(S93)。光学ファインダモードの場合には、クイックリターンミラー11がダウン位置にあり、サブミラー11aは撮影レンズ1からの被写体光束をAFセンサユニット16に導くことができるので、TTL位相差AFによる焦点調節を行う。一方、ライブビュー表示モードの場合には、クイックリターンミラー11はアップ位置にあり、撮影レンズ1からの被写体光束をCCD31に導くことができるので、イメージャーAF(コントラストAF)による焦点調節を行う。
ステップS93における判定の結果、ライブビュー表示モードであった場合には、まず、Tμcom560に防振動作の開始を指示する(S95)。本実施形態においては、ライブビュー表示モード中に、被写体像がブレると撮像素子でAFを行うコントラストAFの制御の精度が低下することから、防振動作を行うようにしている。続いて、駆動動作要求フラグに‘1’を設定する(S97)。パワーオフ時に駆動端の往復動作を行う様に、防振動作を行ったことを記憶するためである。
続いて、イメージャーAFレンズ駆動を行う(S99)。このステップでは、CCD31からの画像データに基づいて、コントラスト情報がピークとなるように撮影レンズ1を駆動する。合焦に達したか否かを判定し(S101)、合焦に達していない場合にはステップS99に戻り、一方、合焦に達していた場合には、Tμcom560に防振動作の停止を指示する(S103)。Tμcom560は、防振動作の停止指示を受けると、防振動作を停止する。
次に、Tμcom560にセンタリング指示を行う(S105)。センタリングは、CCD31を移動範囲の中心位置に移動させる動作である。イメージャーAFを行っている間、防振動作を行っており、CCD31を保持する防振ユニットの摺動板522a、532a等の移動機構が片側によってしまう場合があり、防振動作の停止後にセンタリングを行うようにしている。Tμcom560はセンタリング指示を受けると、超音波モータ570を駆動し、摺動板522a等を中心位置に移動させる。
ステップS93における判定の結果、光学ファインダモードであった場合には、位相差AFレンズ駆動を行う(S111)。位相差AFレンズ駆動では、AFセンサユニット16からの出力に基づいて、位相差AFによって撮影レンズ1のデフォーカス量を求め、この求めたデフォーカス量に応じて撮影レンズを駆動する。続いて、ステップS111において求めたデフォーカス量に基づいて合焦か否かを判定し(S113)、判定の結果、合焦でなかった場合には、ステップS111に戻り、一方、合焦状態に達した場合には、ステップS107に進む。
続いて、1Rスイッチが押されているか否かの判定を行う(S107)。判定の結果、レリーズ釦から手が離れていた場合、すなわち、1Rスイッチが押されていなかった場合には、ステップS5に戻る。一方、判定の結果、1Rスイッチが押されたままであった場合には、レリーズ釦の全押し、すなわち、2Rスイッチが押されたか否かの判定を行う(S109)。
ステップS109における判定の結果、2Rスイッチが押されていなかった場合には、ステップS107に戻り、1Rスイッチと2Rスイッチが押されているか否かを判定する待機状態となる。ステップS109における判定の結果、2Rスイッチが押された場合には、防振モードフラグの判定を行う(図10のS121)。前述したように、防振モード釦の操作に応じて防振モードフラグは‘0’と‘1’に交互に変化し、防振モードが設定されると、防振モードフラグは‘1’となる。
ステップS121における判定の結果、防振モードフラグが‘0’であった場合には、防振モードが解除されているので、ステップS127にジャンプする。一方、判定の結果、防振モードフラグ‘1’であった場合には、防振モードが設定されているので、Tμcom560に防振動作の開始を指示する(S123)。Tμcom560はこの指示を受けると防振動作を開始する。続いて、防振動作を実行したことから、駆動動作要求フラグに‘1’をセットする(S125)。
続いて、露光動作を開始する(S127)。露光動作は、ライブビュー表示モードの場合には、クイックリターンミラー11はアップ位置に退避したままであるが、ファインダモードの場合には、クイックリターンミラー11はダウン位置にあることから、これを退避させる。続いて、シャッタ15の先幕を走行させ、シャッタ15を開放させる。これによってCCD31上に被写体像が結像するので、この被写体像を光電変換し、画像データを得る。露光時間が経過すると、シャッタ15の後幕を走行させ、シャッタ15を閉じる。また、画像データの読出しを行う。
露光動作が終わると、続いて、防振モードフラグの判定を行う(S129)。判定の結果、防振モードフラグが‘0’であった場合には、防振モードが設定されていないことから、ステップS135にジャンプする。一方、判定の結果、防振モードフラグが‘1’であった場合には、ステップS123において開始した防振動作を停止すべく、ステップS103と同様に、Tμcom560に防振動作の停止を指示する(S131)。
Tμcom560に防振動作の停止を指示すると、次に、ステップS105と同様に、Tμcom560にセンタリング指示を行う(S133)。このように、本実施形態においては、ステップS109においてレリーズ釦の全押しを検出すると、防振モードに設定されている場合には、露光動作中は防振動作を実行するようにしている。また、防振動作を実行する場合には、ステップS125において、駆動動作要求フラグに‘1’をセットしている。
ステップS133においてセンタリングの指示を行うと、次に、画像データをメディアに記録する(S135)。このステップでは、CCD31から読み出した画像データを圧縮処理等の画像処理を施した後、記録メディア27に記録する。画像データのメディア記録が終わると、ステップS5に戻る。
上述したように本実施形態においては、パワーオンしてからパワーオフまでの間に防振動作した際には必ず防振動作する際に、駆動動作要求フラグに‘1’をセットするため(S97、S125)、パワーオフする際に駆動動作要求フラグが‘1’にセットされている場合には、駆動端往復動作を実行している(S11)。このため、防振ユニットが動作した場合のみ、駆動端往復動作を実行し、振動波モータの特性を測定することができる。また、駆動端往復動作を実行する際に併せて、磨耗粉を端に追いやるので、振動子と移動体の間に磨耗粉が蓄積し、摩擦係数が変化することを防止することができる。
次に、パワーオフ時になされる駆動端往復動作について説明する。この駆動端往復動作において、振動波モータの特性を測定し、振動波モータを最適に設定する。まず、X軸振動子506とY軸振動子507における振動子の特性について、図11および図12を用いて説明する。圧電体506a上の駆動子506bに対応する位置に設けられている2つの電極に、位相が90度ずれた所定の周波電圧を印加したときの周波数と速度の関係を、図11に示す。この図から分かるように、周波数が振動子の共振周波数に小さいほうから近づくにつれて、駆動速度は急速に速くなり、共振周波数から高周波数にずれていくにつれて、駆動速度はなだらかに遅くなる特性を有している。また、周波数を固定し、2つの電極に印加する周波数電圧の位相を、−90度から+90度に変化させたときの速度特性を、図12に示す。位相が0度のとき、速度が0であり、−90度から+90度に近づくにつれ、ほぼリニアに速度が増加していく。
このように超音波モータは、所望の速度が出力される周波数で振動子を振動させた状態で、2電極間に印加する周波数電圧の位相を変化させると、図12に示すように駆動速度が変化する。つまり、ブレ補正の演算を行なう補正量演算部564の演算結果に基づいて振動子駆動回路504を介して圧電体506aの2つの電極に印加する駆動信号の位相差をリアルタイムに変更することによって、X枠520およびY枠530の移動速度の制御を行うことができる。
次に、圧電体506aの2つの電極に与える駆動信号の位相差の決定方法について説明する。本実施形態においては、いわゆるフィードバック制御により、駆動制御を行う。まず、図5に示す回路において、Tμcom560は、X軸ジャイロセンサ502の出力に基づくブレ補正量と、位置検出センサ505によって検出された位置検出値の差分を演算する(以下、この差分演算値を「偏差」と称す)。この偏差に所定の係数(この係数のことをゲインという)を乗算することにより導き出される値、すなわち、偏差×ゲインを、圧電体506aの2つの電極に印加する駆動信号の位相差として、Tμcom560から振動子駆動回路504に出力する。この結果、偏差が大きければ大きいほど、より大きい位相差信号が振動子駆動回路504に出力され、より速く、移動体、すなわちX枠520およびY枠530を駆動することになる。
このような、いわゆるフィードバック制御を行うと、下記の問題が発生するおそれがある。すなわち、摺動板522aは剛性の高い材料で構成され、摺動板522aは駆動子506bと圧接し、摺動板522aは摩擦力によって駆動子506bによって移動される。このとき駆動子506bが駆動中に磨耗し、駆動子506bと摺動板522aの間に磨耗粉が蓄積し、摩擦係数が変化してしまう。あるいは、振動面に外部からホコリが侵入し付着して摩擦係数が変化してしまう。摩擦係数が変化すると、圧電体506aの2つの電極に同じ値の位相差信号を印加しても、駆動速度が変化してしまい、フィードバック制御による追随性が悪くなり、防振制御の制御特性が低下してしまうという問題が発生するおそれがある。
また、超音波モータ570は、振動子の共振を利用したモータであるが、周囲の環境温度が変化すると、図14に示すように、共振周波数が変化し、これによって図13に示すように、位相差が同じでも駆動速度が変化してしまい、防振制御の制御特性が変化してしまうというおそれもある。
そこで、本実施形態においては、Tμcom560へ振動子駆動回路504の設定動作を行い、摩擦係数や環境温度の変化に合わせて、超音波モータ570の駆動特性の設定を行なうようにしている。この駆動特性の設定を行う駆動端往復動作について、図15に示すフローチャートを用いて説明する。
ステップS11において、Bμcom50からTμcom560に駆動端往復動作の指令が出力されると、Tμcom560は図15に示すフローチャートに基づいて動作を開始する。まず、不揮発性メモリ29から超音波モータ270の駆動のためのパラメータを読み出し、振動子駆動回路504の初期値として設定する(S200)。ここで、パラメータとしては、圧電体506a(Y軸振動子507の圧電体も同様)の2電極間に印加する駆動信号の周波数、駆動信号の位相差、ゲイン部566でのゲイン、電源電圧・電流等である。なお、パラメータとしては、振動子駆動回路504に限らず、ゲイン部566や電源回路53にも設定され、これらを総称して振動子駆動回路504への設定と称する。
振動子駆動回路504のための初期値の設定が終わると、続いて、移動体を駆動端(−)まで駆動する(S202)。摺動板522aのような移動体は、図16に示すように、フレーム510内において、駆動端(−)581から駆動端(+)583の間で、摺動自在である。ステップS202において、移動体を超音波モータ570によって駆動端(−)581に向けて駆動し、位置検出センサ505によって駆動端(−)581に達したことを検出すると、駆動を停止する。
駆動端(−)まで移動体を駆動すると、次に、移動体の計時用のカウンタを初期化する(S204)。続いて、圧電体506aの2つの電極に印加する駆動信号の位相差を90度に設定する(S206)。そして、超音波モータ270の駆動を開始する(S208)。超音波モータ270の駆動は、前述したように、圧電体506aの2つの電極に駆動信号を印加することにより開始する。
この後、位置検出センサ505の位置信号を検出し、駆動端(+)583に達したか否かの判定を行なう(S210)。判定の結果、駆動端(+)583に達していない場合には、計時用のカウンタに1を加算し(S212)、所定時間T[ms]が経過するのを待つ(S214)。所定時間Tが経過すると、ステップS210に戻り、前述のステップを繰り返す。
ステップS210における判定の結果、駆動端(+)583に達すると、ステップS210に進む。このとき、移動体は駆動端(−)581から駆動端(+)583に移動し、カウンタは、この移動にかかった時間に相当するカウント値となっている。ステップS216において、圧電体506aの2つの電極に印加する駆動信号の位相差を−90度に設定する。位相差を−90度に設定することによって、移動体は、今までと逆の方向、すなわち、駆動端(+)583から駆動端(−)581に向けて移動を開始する。
続いて、位置検出センサ505の位置信号を検出し、駆動端(−)581に達したか否かの判定を行なう(S218)。判定の結果、駆動端(−)581に達していない場合には、計時用のカウンタに1を加算し(S210)、所定時間T[ms]が経過するのを待つ(S222)。所定時間Tが経過すると、ステップS218に戻り、前述のステップを繰り返す。
ステップS218における判定の結果、駆動端(−)581に達すると、ステップS224に進む。このとき、移動体は駆動端(+)583から駆動端(−)581に移動し、カウンタは、この駆動端(−)581と駆動端(+)583の間を往復移動するにかかった時間に相当するカウント値となっている。ステップS224においては、Tμcom560から振動子駆動回路504に印加する駆動信号を停止し、超音波モータ270による移動体の駆動を停止する(S224)。
超音波モータ270の駆動が停止すると、続いて、駆動速度の計算を行なう(S226)。駆動速度は、駆動端(−)581と駆動端(+)583の間の往復距離を、カウンタ値に基づく時間で除算することにより求められる。次に、求めた駆動速度が許容範囲以内か否かの判定を行なう(S228)。判定の結果、許容範囲以外であった場合には、超音波モータ270の環境温度の変化によって駆動特性が変化したり、また駆動子506bと摺動板522aの間に磨耗粉が蓄積し、摩擦係数が変化し、駆動特性が変化している可能性がある。
そこで、振動子駆動回路504の制御パラメータの変更を行ない、防振制御の制御特性の低下を防止する。制御パラメータとしては、前述したように、圧電体506a(Y軸振動子507の圧電体も同様)の2電極間に印加する駆動信号の周波数、位相差、電源電圧、ゲイン等の少なくとも1つである。なお、このステップ内においては、駆動速度が許容範囲内に収まるまで、パラメータの変更を行なう。
まず、パラメータとしてゲインの変更がある。前述したフィードバック制御にあたってゲイン部566におけるゲインを変更する。振動子にあたえる駆動信号は、偏差×ゲインで算出されるため、ステップS228において、駆動速度下限値よりも遅くなった場合には、ゲインの値を大きくすることによって、駆動信号の値も大きくすることができ、遅くなった駆動速度を補正し、追従性能の低下を防止することができる。また、逆に、駆動速度の上限値よりも速くなった場合には、ゲインの値を小さくすることによって、駆動速度を補正し、追従性能の低下を防止することができる。
また、パラメータの変更として振動子の発振周波数(駆動周波数)の変更がある。図11に示したように、駆動速度は発振周波数を共振周波数に近づけるほど速くなっていく。よって、ステップS228において求められた駆動速度が、駆動速度下限値よりも遅い場合には、発振周波数を振動子の共振周波数に近づけることにより、追従性能の低下を防止することができる。逆に、駆動速度が駆動速度上限値よりも速い場合には、発振周波数を振動子の共振周波数から遠ざけることにより、追従性能の低下を防止することができる。
さらに、パラメータの変更として電源回路53の特性変更がある。振動子に駆動エネルギ供給を行なう電源回路53内に電源電圧の値を変更する公知の電圧制御回路や、供給電流を変更する電流制御回路を有している場合には、ステップS228において求められた駆動速度が、駆動速度下限値よりも遅くなった場合には、供給電圧もしくは供給電流を上げることにより、駆動速度を速くし、追従性能の低下を防止することができる。逆に、駆動速度が駆動速度上限値よりも速い場合には、供給電圧若しくは供給電流を下げることにより、追従性能の低下を防止することができる。
以上のような種々の制御方法の変更があるが、これらを単独もしくは複数組み合わせて制御するようにしても良い。ステップS230において、駆動制御方法の変更が終ると、または、ステップS228において、駆動速度が許容範囲内であった場合には、元のステップに戻る。
このように、図15に示す、駆動端往復動作のフローにおいては、超音波モータ270の移動体、例えば摺動板522a、X枠520等の駆動速度を検出し、この速度が許容範囲内にない場合には、ゲイン、駆動信号の発信周波数、位相差、または電源電圧・電流等の駆動制御方法を変更している。このため、環境温度が変化した場合や摩擦係数が変化する等により、超音波モータ270の駆動特性が変化した場合であっても、適切な駆動特性をえることができ、ブレ補正を確実に行なうことができる。
また、本実施形態においては、摺動板522a、532a等が摺動することにより、駆動子506bと摺動板522a等の間に蓄積した磨耗粉を防振動作時のアクチュエータの通常駆動範囲よりも広い範囲の端に追いやることができ、摩擦係数等の改善に役立てることができる。
なお、本実施形態においては、駆動速度を求めるにあたって、駆動端(−)581と駆動端(+)583の間で往復駆動したが、片道駆動でもよい。ただ、往復駆動で行なうと、重力方向による駆動速度の相違を除去することができ、精度を向上させることが可能となる。
次に、本発明の第2実施形態について、図17を用いて説明する。本発明の第1実施形態においては、駆動端往復動作の指示は、パワーオフ時に行っていたが(S11)、第2実施形態においては、パワーオン時に行うようにしている。この第2実施形態の構成は、図6に示したフローチャートを図17に示すフローに変更する以外は、第1実施形態と同様であるので、相違点を中心に説明する。なお、図6のフローチャートと同一の処理を実行するステップは同一のステップ番号を付し、詳しい説明は省略する。
電源用の電池54が装填され、パワーオンリセットがなされると、初期設定(S1)、駆動動作要求フラグ‘0’のセット(S3)、パワースイッチの状態判定(S5)を行い、変化があった場合には、その変化を判定する(S7)。この判定の結果、パワースイッチがオンからオフに変化した場合には、防振制御回路501に電力供給を停止し(S15)、システムダウン処理を行い(S17)、ステップS5に戻る。
ステップS7において、パワースイッチがオフからオンに変化したと判定された場合には、防振制御回路501に電力供給を開始する(S21)。続いて、駆動動作要求フラグを判定する(S309)。この判定の結果、フラグが‘0’であった場合には、防振動作を実行することがなかったことから、駆動端往復動作は不要であり、ステップS23にジャンプする。一方、判定の結果、フラグが‘1’であった場合には、S11と同様に、Tμcom560に駆動端往復動作の指示を行う(S311)。
続いて、駆動端往復動作を実行したことから、ステップS13と同様に、駆動動作要求フラグを‘0’にリセットする(S313)。これ以後の処理は、第1実施形態と同様であるので、詳細は省略する。
このように、本発明の第2実施形態においては、露光動作等、防振動作を実行した際には、駆動動作要求フラグに‘1’をセットし、防振動作を実行していない場合には、駆動動作要求フラグは‘0’のままである。パワーオン時に駆動動作要求フラグが‘1’にセットされていた場合には、駆動端往復動作を実行するが、このフラグが‘0’の場合には駆動端往復動作は実行しない。このため、振動波モータを一度も動かすことなくパワーオフした場合には、振動波モータの特性の測定を行うことがなく、ユーザに不快感を与えることがない。逆に、振動波モータを駆動した場合には、パワーオン時に駆動端往復動作のサブルーチンを実行し、振動波モータの特性を測定していることから、振動波モータを最適な状態で駆動することができる。
以上、説明したように本発明の各実施形態においては、露光動作時やイメージャーAF時等、防振動作を実行した場合には、パワーオフ時やパワーオン時に振動波モータの特性の測定を行っている。このため、振動波モータの摩擦界面の変化による特性変化や、温度等の環境変化による振動波モータの特性が変化しても駆動特性に変化が生じない。また、振動波モータを用いてブレ補正を行なう場合において、駆動特性に変化が生じない。
また、本発明の各実施形態においては、防振動作を不実行の場合には振動波モータの特性の測定を禁止している。このため、撮影装置を操作するユーザに違和感を持たせるような動作をすることがない。
さらに、本発明の各実施形態においては、駆動端往復動作を行うことにより、駆動子506bと摺動板522a等の間に蓄積した磨耗粉を防振動作時のアクチュエータの通常駆動範囲よりも広い範囲の端に追いやるクリーニング動作を実行することから、摩擦係数等の改善に役立てることができる。
さらに、本実施形態においては、パワーオン時またはパワーオフ時に、パラメータ(例えば、駆動周波数、駆動電圧、駆動電流、フィードバックゲイン、駆動周波数の位相差等の少なくとも一つ)に基づき振動子駆動回路504を設定して超音波モータ(振動波モータ)570を駆動し、このときの駆動特性、例えば、駆動速度や応答遅れを検出し、この検出結果に応じて振動子駆動回路504に設定されたパラメータの変更動作を行うようにしている。このため、振動波モータの摩擦界面の変化による特性変化や、温度等の環境変化による振動波モータの特性が変化しても駆動特性の低下を生じないという効果を奏する。
さらに、本発明の各実施形態においては、ブレ検出手段としてX軸ジャイロ502およびY軸ジャイロ503を備え、また撮像素子としてのCCD31の撮像面に沿って変位可能に保持するX枠520およびY枠530等の保持機構を備え、撮像素子の撮像動作中にブレ検出手段の出力に応じて振動波モータ570を駆動する振動子駆動回路504を制御するようにしたので、手振れ等の像ブレを除去することができる。
なお、本発明の各実施形態において、振動波モータは手振れ等のブレ補正装置の駆動源として設けられていたが、振動波モータの用途はこれに限らず、例えば、撮影レンズの合焦駆動源等に用いても良い。
また、本発明の各実施形態において、防振動作を実行するのは、露光動作時とイメージャーAF時のみであったが、いずれか一方でも良く、また、これ以外にも、例えば、ファイブビュー表示中は防振動作を実行する等しても良い。
さらに、本発明の各実施形態における駆動端往復において、移動体の駆動速度を検出し、追従性能の低下を検出していたが、これに限らず、移動体を正弦波で駆動し、この時の移動体の追従誤差を検出することにより、追従性能の低下を検出するようにしても良い。
さらに、本発明の各実施形態における振動波モータ(超音波モータ)は、撮像素子(CCD31)の防振動作用であったが、これに限らず、レンズ駆動等、他の用途に使用される振動波モータであっても良い。
本発明の各実施形態の説明にあたっては、デジタル一眼レフカメラに本発明を適用した例について行なったが、これに限らず、コンパクトタイプのデジタルカメラでも良く、またスチルカメラに限らず動画用のビデオカメラにも本発明を採用することができる。さらに携帯電話やPDA等に組み込まれるような撮像装置にも本発明を適用できることは勿論である。
以上、本発明の各実施形態を用いて説明したが、本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。
1・・・撮影レンズ、1a・・・レンズ枠、2・・・レンズ駆動機構、3・・・絞り、4・・・レンズ駆動機構、5・・・レンズ制御用マイクロコンピュータ(Lμcom)、6・・・通信コネクタ、10・・・レンズユニット、11・・・クイックリターンミラー、11a・・・サブミラー、12・・・ペンタプリズム、12e・・・スクリーン、13・・・接眼レンズ、15・・・シャッタ、16・・・AFセンサユニット、17・・・AFセンサ駆動回路、18・・・ミラー駆動回路、19・・・シャッタチャージ機構、20・・・シャッタ制御回路、21・・・測光回路、21a・・・測光センサ、22・・・温度測定回路、23・・・CCDインターフェース回路、24・・・液晶モニタ、25・・・SDRAM、26・・・フラッシュROM、27・・・記録メディア、28・・・画像処理コントローラ、29・・・不揮発性メモリ、30・・・光学ローパスフィルタ(LPF)、31・・・CCD、50・・・ボディ制御用マイクロコンピュータ(Bμcom)、51・・・動作表示用LCD、51a・・・動作表示用LED、52・・・カメラ操作SW、53・・・電源回路、54・・・電池、71・・・防塵フィルタ、71a・・・圧電素子、100・・・ボディユニット、301・・・内蔵ストロボ、302・・・ストロボ制御回路、501・・・防振制御回路、502・・・X軸ジャイロ、503・・・Y軸ジャイロ、504・・・振動子駆動回路、505・・・位置検出センサ、506・・・X軸振動子、506a・・・圧電体、506b・・・駆動子、506c・・・ホルダ、507・・・Y軸振動子、510・・・フレーム、512・・・軸受け、512a・・・ビス、512b・・・ビス、513・・・ボール、514・・・ボール、515・・・バネ、520・・・X枠、522・・・軸受け、522a・・・摺動板、523・・・軸受け、524・・・ボール、525・・・バネ、530・・・Y枠、532・・・軸受け、532a・・・摺動板、541・・・押圧板、542・・・押圧バネ、543・・・スペーサ、544・・・シート、545・・・ビス、546・・・スペーサ、547・・・シート、548・・・ビス、560・・・Tμcom、561・・・増幅回路、564・・・補正量演算部、565・・・減算部、566・・・ゲイン部、568・・・増幅回路、570・・・超音波モータ、581・・・駆動端(−)、583・・・駆動端(+)、600・・・X軸駆動機構部、700・・・Y軸駆動機構部