JP5312172B2 - 燃料電池スタック - Google Patents

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Description

本発明は、複数の燃料電池が積層されるとともに、積層方向両端には、ターミナルプレート、絶縁プレート及びエンドプレートが配設される燃料電池スタックに関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜の両側に、それぞれアノード側電極及びカソード側電極を配設した電解質膜・電極構造体(MEA)を、セパレータによって挟持した単位セルを備えている。この種の燃料電池は、通常、所定の数の単位セルを積層することにより、燃料電池スタックとして使用されている。
燃料電池スタックでは、通常、発電セルが複数積層された積層体の積層方向両端に、ターミナルプレート、絶縁プレート及びエンドプレートが配設されている。ターミナルプレートは、積層体からの発電電力を外部に取り出すために電力取り出し端子を備えており、この電力取り出し端子は、コンタクタ(又はリレー)に接続されてモータ等の外部負荷に対して電力の供給制御(ON/OFF制御)を行っている。
例えば、特許文献1に開示された燃料電池の端子装置では、図5に示すように、単位セル1とバイポーラプレート2とが交互に積層されるとともに、積層方向両端には、それぞれハーフプレート2a、ターミナルプレート3及び絶縁板4を介装してエンドプレート5が配置されている。
ターミナルプレート3には、極柱(電力取り出し端子)6が電気的に接続され、この極柱6が絶縁板4及びエンドプレート5を貫通して外部に突出している。極柱6は、絶縁スリーブ7に挿入されるとともに、ナット8を介して固定されている。極柱6には、高電圧ケーブル9が接続され、このケーブル9が図示しないコンタクタ等に接続されている。
実開昭61−7868号公報
通常、単位セル1には、積層方向に沿って反応ガスを供給する反応ガス供給部、前記反応ガスを排出する反応ガス排出部、冷媒体を供給する冷媒体供給部及び前記冷媒体を排出する冷媒体排出部が形成される、所謂、内部マニホールド型燃料電池を構成する場合がある。
その際、上記の特許文献1では、エンドプレート5には、反応ガス及び冷媒体をシールするために、例えば、Oリングを配設する溝部が形成されている。しかも、極柱6は、絶縁板4及びエンドプレート5を貫通して外部に突出しており、前記極柱6の周囲にも、Oリング配設用の溝部を設ける必要がある。これにより、エンドプレート5は、形状が複雑化するとともに、肉厚になるという問題がある。
本発明はこの種の問題を解決するものであり、シール構造を不要にし、燃料電池スタック全体をコンパクトに構成することが可能な燃料電池スタックを提供することを目的とする。
本発明は、電解質膜の両側に一対の電極を設けた電解質膜・電極構造体とセパレータとが積層される燃料電池を備え、複数の前記燃料電池が積層されるとともに、積層方向一端には、第1ターミナルプレート、第1絶縁プレート及び第1エンドプレートが積層される一方、積層方向他端には、第2ターミナルプレート、第2絶縁プレート及び第2エンドプレートが積層される燃料電池スタックに関するものである。
第1エンドプレートには、積層方向に沿って反応ガスを供給する反応ガス供給部、前記反応ガスを排ガスする反応ガス排出部、冷媒体を供給する冷媒体供給部及び前記冷媒体を排出する冷媒体排出部と、一方の電力取り出し端子とが設けられ、第2エンドプレートには、他方の電力取り出し端子が設けられている。
そして、第2絶縁プレートには、積層方向に突出して第2エンドプレートに挿入される絶縁性筒状部が設けられ、且つ前記絶縁性筒状部の内壁面には、他方の電力取り出し端子を周回するカバー部材がラジアルシールを介在して嵌合している。
また、第2エンドプレートと第2絶縁プレートとの間には、積層荷重を調整するために複数の平板状スペーサが介装されることが好ましい。
さらに、燃料電池は、重力方向に積層されるとともに、第1エンドプレートは、重力方向下端に配置されることが好ましい。
本発明によれば、第2エンドプレートには、反応ガス供給部、反応ガス排出部、冷媒体供給部及び冷媒体排出部が設けられておらず、例えば、Oリング配設用の溝部が不要になる。しかも、第2絶縁プレートに設けられる絶縁性筒状部の内壁面には、他方の電力取り出し端子を周回するカバー部材がラジアルシールを介在して嵌合しており、第2エンドプレートには、前記他方の電力取り出し端子をシールするための、例えば、Oリング配設用の溝部が不要になる。
これにより、第2エンドプレートには、シール構造を設ける必要がなく、前記第2エンドプレートの構成が一挙に簡素化して経済的であるとともに、肉薄化が容易に図られて、燃料電池スタック全体をコンパクトに構成することが可能になる。
本発明の実施形態に係る燃料電池スタックの概略斜視説明図である。 前記燃料電池スタックを構成する燃料電池の要部分解斜視説明図である。 前記燃料電池スタックの要部分解斜視説明図である。 前記燃料電池スタックの要部断面説明図である。 特許文献1の燃料電池スタックの断面説明図である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る燃料電池スタック10は、複数の燃料電池12が矢印A方向(鉛直方向)に積層される。燃料電池12の積層方向下端(一端)には、第1ターミナルプレート14a、第1絶縁プレート16a及び第1エンドプレート18aが積層される一方、積層方向上端(他端)には、第2ターミナルプレート14b、第2絶縁プレート16b及び第2エンドプレート18bが積層される。
図2に示すように、燃料電池12は、電解質膜・電極構造体20が、第1及び第2セパレータ22、24に挟持される。第1及び第2セパレータ22、24は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、あるいはめっき処理鋼板等の金属セパレータやカーボンセパレータにより構成される。
燃料電池12の矢印B方向(図2中、水平方向)の一端縁部には、積層方向である矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス入口連通孔26a、及び燃料ガス、例えば、水素含有ガスを供給するための燃料ガス入口連通孔28aが、矢印C方向(水平方向)に配列して設けられる。
燃料電池12の矢印B方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを排出するための燃料ガス出口連通孔28b、及び酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口連通孔26bが、矢印C方向に配列して設けられる。
燃料電池12の矢印C方向の両端縁部には、冷却媒体を供給するための冷却媒体入口連通孔30a、及び前記冷却媒体を排出するための冷却媒体出口連通孔30bが設けられる。
第1セパレータ22の電解質膜・電極構造体20に向かう面22aには、酸化剤ガス入口連通孔26aと酸化剤ガス出口連通孔26bとに連通する酸化剤ガス流路32が設けられる。
第2セパレータ24の電解質膜・電極構造体20に向かう面24aには、燃料ガス入口連通孔28aと燃料ガス出口連通孔28bとに連通する燃料ガス流路34が設けられる。
互いに隣接する燃料電池12を構成する第1セパレータ22の面22bと、第2セパレータ24の面24bとの間には、冷却媒体入口連通孔30aと冷却媒体出口連通孔30bとを連通する冷却媒体流路36が設けられる。
第1セパレータ22の面22a、22bには、第1シール部材38が、一体的又は個別に設けられるとともに、第2セパレータ24の面24a、24bには、第2シール部材40が、一体的に又は個別に設けられる。
第1及び第2シール部材38、40は、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコンゴム、フロロシリコンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン、又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材を使用する。
電解質膜・電極構造体20は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜42と、前記固体高分子電解質膜42を挟持するカソード側電極44及びアノード側電極46とを備える。
カソード側電極44及びアノード側電極46は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成される電極触媒層とを有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜42の両面に形成されている。
図1に示すように、例えば、アルミニウム製の第1及び第2エンドプレート18a、18b間には、複数本の連結部材50が架け渡されることにより、前記第1及び第2エンドプレート18a、18b同士が一体に固定される。連結部材50は、例えば、アルミニウム製の長尺な板状を有し、燃料電池スタック10の長辺側に2本ずつで、且つ、前記燃料電池スタック10の短辺側に1本ずつ配設される。連結部材50は、第1及び第2エンドプレート18a、18bの側部にねじ52を介して固定される。
第1エンドプレート18aには、酸化剤ガス入口連通孔(反応ガス供給部)26a、燃料ガス入口連通孔(反応ガス供給部)28a、冷却媒体入口連通孔(冷媒体供給部)30a、酸化剤ガス出口連通孔(反応ガス排出部)26b、燃料ガス出口連通孔(反応ガス排出部)28b及び冷却媒体出口連通孔(冷媒体排出部)30bに連通し、外部に延在するマニホールド(図示せず)が設けられる一方、第2エンドプレート18bは、これらを削除した平板状に構成される。
図3に示すように、第2ターミナルプレート14bには、所望の位置に積層方向(重力方向)上方に突出して棒状の電力取り出し端子(他方の電力取り出し端子)54が設けられる。この電力取り出し端子54の先端には、軸方向にねじ穴55が形成される。
図3及び図4に示すように、第2絶縁プレート16bには、電力取り出し端子54を周回して積層方向上方に突出する絶縁性筒状部56が一体又は別体に設けられる。筒状部56は、第2エンドプレート18bに形成された孔部58に嵌合するとともに、前記第2エンドプレート18bには、前記孔部58の上端側に径方向内部に膨出して凸状部60が設けられる。
電力取り出し端子54には、ねじ62を介して導電板64の一端部が固定されるとともに、前記導電板64の他端は、第2エンドプレート18bの側方に突出し、図示しないケーブルに接続される。
導電板64及び電力取り出し端子54を囲繞してカバー部材66が設けられる。カバー部材66は、第2絶縁プレート16bの筒状部56の内壁面にラジアルシール67を介装して摺動自在に嵌合する筒体部68を有する。ラジアルシール67は、筒状部56の内壁面を径方向にシールする機能を有しており、例えば、Oリングが使用される。なお、ラジアルシール67は、筒体部68の外周面に設けたシール溝に嵌合しているが、これに代えて、筒状部56の内周面に設けられたシール溝(図示せず)に嵌合するようにしてもよい。
筒体部68は、第2エンドプレート18bの凸状部60に圧入され、前記凸状部60に固定されることにより、第2エンドプレート18bの端面とカバー部材66との距離Lが一定に維持される。
カバー部材66は、導電板64を収容するアーム部69を有するとともに、前記アーム部69内には、前記導電板64の両面との間に隙間S1、S2が形成される。
なお、第1ターミナルプレート14a、第1絶縁プレート16a及び第1エンドプレート18aにおいても、上記の構成と同様に構成されており、その詳細な説明は省略する。第1エンドプレート18aには、一方の電力取り出し端子(図示せず)が設けられる。
図3に示すように、第2絶縁プレート16bは、酸化剤ガス入口連通孔26a、燃料ガス入口連通孔28a、冷却媒体入口連通孔30a、酸化剤ガス出口連通孔26b、燃料ガス出口連通孔28b及び冷却媒体出口連通孔30bを削除した平板状に構成されるとともに、電力取り出し端子54を周回する筒状部56のみが設けられている。
第2エンドプレート18bと第2絶縁プレート16bとの間には、積層荷重を調整するための平板状スペーサ70が所定の枚数だけ積層して配置される。平板状スペーサ70は、長方形状の板材で構成され、第2絶縁プレート16bの筒状部56を挿入するための孔部72のみが設けられる。平板状スペーサ70は、樹脂材の他、金属材又はカーボン材で構成される。
このように構成される燃料電池スタック10の動作について、以下に説明する。
先ず、図2に示すように、酸化剤ガス入口連通孔26aに酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス入口連通孔28aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、冷却媒体入口連通孔30aに純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。
このため、酸化剤ガスは、酸化剤ガス入口連通孔26aから第1セパレータ22の酸化剤ガス流路32に導入される。酸化剤ガスは、矢印B方向に移動しながら、電解質膜・電極構造体20を構成するカソード側電極44に供給される。
一方、燃料ガスは、燃料ガス入口連通孔28aから第2セパレータ24の燃料ガス流路34に導入される。この燃料ガスは、矢印B方向に移動しながら、電解質膜・電極構造体20を構成するアノード側電極46に供給される。
従って、電解質膜・電極構造体20では、カソード側電極44に供給される酸化剤ガスと、アノード側電極46に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費され、発電が行われる。
次いで、カソード側電極44に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔26bに沿って矢印A方向に排出される。一方、アノード側電極46に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス出口連通孔28bに沿って矢印A方向に排出される。
また、冷却媒体入口連通孔30aに供給された冷却媒体は、第1及び第2セパレータ22、24間の冷却媒体流路36に導入された後、矢印C方向に流通する。この冷却媒体は、電解質膜・電極構造体20を冷却した後、冷却媒体出口連通孔30bから排出される。
この場合、本実施形態では、第1エンドプレート18a側に、酸化剤ガス、燃料ガス及び冷却媒体をそれぞれ流通させるためのマニホールドが集中して設けられており、第2エンドプレート18b側、具体的には、第2絶縁プレート16b、平板状スペーサ70及び前記第2エンドプレート18bには、酸化剤ガス、燃料ガス及び冷却媒体を流通させる必要がない。
従って、第2絶縁プレート16b、平板状スペーサ70及び第2エンドプレート18bは、酸化剤ガス、燃料ガス及び冷却媒体をシールするためのシール構造が不要になる。このため、第2絶縁プレート16b、平板状スペーサ70及び第2エンドプレート18bは、構成が一挙に簡素化され、製造コストが大幅に削減されるという効果が得られる。
しかも、筒状部56の内壁面には、電力取り出し端子54を周回するカバー部材66の筒体部68が、ラジアルシール67を介在して嵌合している。従って、第2エンドプレート18bには、電力取り出し端子54をシールするための、例えば、Oリング配設用の溝部が不要になる。
これにより、第2エンドプレート18bには、シール構造を設ける必要がなく、前記第2エンドプレート18bの構成が一挙に簡素化して経済的であるとともに、肉薄化が容易に図られて、燃料電池スタック10全体をコンパクトに構成することが可能になるという効果が得られる。
また、図4に示すように、導電板64を収容するアーム部69内には、前記導電板64の両面との間に隙間S1、S2が形成されている。従って、平板状スペーサ70の枚数又は厚さが変更される際、隙間S1、S2により第2エンドプレート18bの端面に対する電力取り出し端子54の高さ変動を吸収することができる。このため、第2エンドプレート18bの端面とカバー部材66との距離Lは、常時、一定に維持されるという利点がある。
なお、本実施形態では、燃料電池スタック10は、第2エンドプレート18bを上方に配置して複数の燃料電池12を重力方向に積層しているが、前記燃料電池12の上下を反転させて、第1エンドプレート18aを上方に配置してもよい。また、これに代えて、燃料電池12を水平方向に積層して構成してもよい。
10…燃料電池スタック 12…燃料電池
14a、14b…ターミナルプレート 16a、16b…絶縁プレート
18a、18b…エンドプレート 20…電解質膜・電極構造体
22、24…セパレータ 26a…酸化剤ガス入口連通孔
26b…酸化剤ガス出口連通孔 28a…燃料ガス入口連通孔
28b…燃料ガス出口連通孔 30a…冷却媒体入口連通孔
30b…冷却媒体出口連通孔 32…酸化剤ガス流路
34…燃料ガス流路 36…冷却媒体流路
42…固体高分子電解質膜 44…カソード側電極
46…アノード側電極 50…連結部材
54…電力取り出し端子 56…筒状部
58、72…孔部 60…凸状部
64…導電板 66…カバー部材
67…ラジアルシール 68…筒体部
69…アーム部 70…平板状スペーサ

Claims (3)

  1. 電解質膜の両側に一対の電極を設けた電解質膜・電極構造体とセパレータとが積層される燃料電池を備え、複数の前記燃料電池が積層されるとともに、積層方向一端には、第1ターミナルプレート、第1絶縁プレート及び第1エンドプレートが積層される一方、積層方向他端には、第2ターミナルプレート、第2絶縁プレート及び第2エンドプレートが積層される燃料電池スタックであって、
    前記第1エンドプレートには、前記積層方向に沿って反応ガスを供給する反応ガス供給部、前記反応ガスを排ガスする反応ガス排出部、冷媒体を供給する冷媒体供給部及び前記冷媒体を排出する冷媒体排出部と、一方の電力取り出し端子とが設けられ、
    前記第2エンドプレートには、他方の電力取り出し端子が設けられるとともに、
    前記第2絶縁プレートには、積層方向に突出して前記第2エンドプレートに挿入される絶縁性筒状部が設けられ、且つ前記絶縁性筒状部の内壁面には、他方の前記電力取り出し端子を周回するカバー部材がラジアルシールを介在して嵌合することを特徴とする燃料電池スタック。
  2. 請求項1記載の燃料電池スタックにおいて、前記第2エンドプレートと前記第2絶縁プレートとの間には、積層荷重を調整するために複数の平板状スペーサが介装されることを特徴とする燃料電池スタック。
  3. 請求項1又は2記載の燃料電池スタックにおいて、前記燃料電池は、重力方向に積層されるとともに、
    前記第1エンドプレートは、重力方向下端に配置されることを特徴とする燃料電池スタック。
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