JP5311117B2 - 免疫細胞刺激活性を有する機能ペプチド - Google Patents

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Description

本発明は好中球をはじめとした免疫細胞刺激(遊走ならびに活性化)機能を有するペプチドおよびその利用に関する。本発明の機能ペプチドおよびその受容体、ならびにそれらに対する抗体は、免疫細胞が関与する疾患もしくは状態の治療、診断およびに予防に利用することができる。
生体は構成する組織、細胞間で互いに多くの情報をやりとりすることによって、その“いのち”を維持している。これら情報のやりとりは、神経伝達物質、ホルモン、サイトカインなどの化学物質、特に多数のペプチド性因子により媒介されている。このため、多くの内因性調節ペプチドが生体から抽出・構造決定され、その機能が明らかになっている。しかしこれら機能ペプチドは、そのほとんどがタンパク質として遺伝子より翻訳されただけでは作用を持たないため、その探索は生体よりペプチドを精製し機能評価をするしかなく、未だ同定されていない機能ペプチドが多数存在すると考えられている。またひとたび機能が同定されると、そのペプチドが持つかもしれない他の役割を探索しようという試みは行われなくなる(非特許文献1)。
しかし最近、ミトコンドリア電子伝達系に関与するタンパク質として古くから知られているチトクロームcが、ミトコンドリアから細胞質に移行することによって、その細胞のアポトーシス(プログラム化された細胞死)を誘導することが偶然見いだされたことから考えると(非特許文献2)、我々はチトクロームc以外にも多くのタンパク質やペプチドが全く異なる複数の生体機能を持つ可能性があると考えている。さらに多くの生体調節ペプチドは上述したように、遺伝子から転写・翻訳された後、様々な限定分解を受け成熟体に変換されるが、この時同時に多くの断片ペプチドが産生される。これらペプチドは、目的とする生体調節ペプチドを産生するために副次的に生成するもので、それ自体は機能を持たないと広く一般的に考えられている。しかしこの考え方には全く根拠がなく、実際例えばグルカゴンが産生されるときに同時に生成するグルカゴン様ペプチド1のように、偶然その作用が同定されたものが存在する(非特許文献3)。我々はこのようなタンパク質の切断により生成するペプチドの多くが、未だ明らかでない多くの生体の恒常性維持機構や情報伝達に関与しているのではないかと考えている。実際我々は、最近このようにタンパク質切断により生成した多くの内因性機能ペプチドが、生体を防御する機構に関与する可能性を発見している(特許文献1,非特許文献1)。
哺乳類には免疫系と呼ばれる複雑で精妙な生体防御機構が存在し、外部からの細菌やウイルスの侵入を防ぎ、また生体内に取り込まれた異物の処理を行なっている(非特許文献4)。
個体における免疫反応には、即応的であるがその認識があいまいな自然免疫と、特異的な認識による獲得免疫が存在する(非特許文献4)。自然免疫系では、好中球、マクロファージ、あるいは補体系などの関与により、体内に侵入した異物に対し迅速に処理を行なっている。一方、獲得免疫系では、リンパ球が重要な役割を果たしている。すなわち、リンパ球がひとたび異物を認識すると、それは一生涯記憶され続け、長い年月を経た後でも同一の異物に出会うと、自然免疫のみによる排除の場合よりも強力に反応して迅速に処理している。このように免疫系は、特異性の低い認識による自然免疫から始まり、高い特異性を持つ認識による獲得免疫へと移行するような生体防御機構を確立している(非特許文献4)。
自然免疫において、最初に重要な役割を果たす白血球として好中球が存在する(非特許文献4,5)。好中球の主な機能として、まず異物や微生物の侵入に対する防御反応があげられる。すなわち好中球は細菌などが生体内に侵入すると、細菌巣に対して血管壁を通り抜け浸潤し、貪食、殺菌能を示すことでその役割を果たしている(非特許文献5)。このように生体にとって好中球の組織浸潤は、異物の排除や組織修復を目的としているが、これらの反応が過剰になれば異物の排除が組織破壊につながり、心筋梗塞や臓器機能不全を引き起こすという増悪因子としての危険性を含んでいる。こうした意味から好中球の組織浸潤は、二つの側面を持つ「両刃の剣」にたとえられている(非特許文献5)。
このような好中球の浸潤を起こす走化性因子として、fMLP、ロイコトリエンB4、補体成分C5aなどのほかに、ケモカインと呼ばれるタンパク質性の因子の存在が知られている(非特許文献5,6)。ケモカインは、「ケモタキシスサイトカイン」の名に由来し、白血球の遊走や活性化能を有するタンパク質分子群の総称であり、それらは、タンパク質の一次構造上保存されているCys残基の位置関係により、CXC、CC、C、CX3Cの4種のサブファミリーに分類されている(非特許文献6)。これらのうち2つ存在するCys残基の間にアミノ酸一残基が挿入されているケモカインがCXCサブファミリーであり、その代表的なものがインターロイキン8(IL-8)などであるが、それらは好中球を主な標的としている(非特許文献6)。しかし、これらは通常の組織にはほとんど存在しておらず、炎症の発生後に遺伝子の転写・翻訳をともなって合成・産生される因子であることも知られている。しかしながら、好中球の浸潤は組織傷害が発生した数分後には認められることから、このような好中球の迅速な浸潤がケモカインにより惹起されているとは考えにくい。
そこで本発明者らは先行研究において、存在が予測される未だ同定されていない好中球を活性化する因子の同定を、虚血後再環流障害時に大量の好中球が浸潤することが知られている心臓より抽出・精製することで試みた。その結果、現在までにCOSP-1およびfCyt b 2種のペプチド性活性化因子を同定したが、それらはミトコンドリアタンパク質由来のペプチドであった(非特許文献7,特許文献1)。また、同時にCOSP-1やfCytb以外にも多数のミトコンドリアタンパク質由来の好中球活性化因子の存在が明らかとなり、生体にはこれらが関与する新しい生体防御機構が存在すると考えられるようになった(非特許文献7,8,特許文献1)。すなわち、細胞に突発的な障害が起こり死に至った場合、細胞内のミトコンドリアが膨潤しミトコンドリアタンパク質が細胞外へ放出される。そして、細胞外へ放出されたミトコンドリアタンパク質はトリプシンなどのタンパク質分解酵素により特異的に切断され、COSP-1やfCytbのような機能を持つ活性ペプチドとなる。このようにタンパク質分解酵素の切断によって機能を持った多数の活性ペプチドが好中球を誘引、活性化することで有害物質となった異常細胞あるいは死細胞由来の物質を処理させるという新しい生体防御機構が存在することが考えられる(図1)。このように生体には多数の好中球活性化因子が存在していることが明らかとなったが、これらペプチドが関与する生体防御機構を解明し、さらにはその機構が関与する虚血後再環流障害などの疾病の実態を明らかにするためには、まずそれらを同定することが必須である。しかし、従来のように生体から単離・精製することで同定していたのでは、非常に多くの労力と時間が必要となる。
WO01/066734 向井秀仁, 西義介, 宗像栄輔 向井秀仁, ペプチドニュースレター,41, 1-2, 2001 Green, D.R., Cell, 121, 671-674, 2005 Bataille, D., Jarrousse, C., Kervran, A., Depigny, C., and Dubrasquet, M., Peptides, 7, 37-42, 1986 Ivan Roitt, Jonathan Brostoff, David Male, 免疫学イラストレイテッド, 南江堂, 2000 水上茂樹, 白血球と生体防御, 講談社, 1990 松本義弘, 松島綱治, 蛋白質 核酸 酵素, 45, 979-984, 2000 Mukai, H., Hokari, Y., Seki, T., Nakano, H.,Takao, T., Shimonishi, Y., Nishi, Y., and Munekata, E., Peptides: The Wave of the Future, 2001, 1014-1015, 2001 Mukai, H., Matsuo, Y., Kamijo, R., and Wakamatsu, K., Peptide Revolution:Genomics, Proteomics & Therapeutics, 2003, 553-555, 2004 Higashijima, T., Uzu, S., Nakajima, T., and Ross, E. M ., The Journal of Biological Chemistry, 263, 6491-6494, 1988 Higashijima, T., Burnier, J., and Ross. E. M. , The Journal of Biological Chemistry, 265, 14176- 14186, 1990 Grant, G. A., Synthetic peptides-A user's guide, 2nd edition, Oxford University Press, 2002. Nakajima, T., Wakamatsu, K., and Mukai, H., Methods and Tools in Biosciences and Medicine, Animal Toxins, Rochat, H., and Martin-Eauclaire, M.-F., eds. Birkhaeuser Verlag Basel, Switzerland, pp116-125, 2000
一般的に内因性機能ペプチドは、タンパク質として翻訳された後切断されて初めて活性を持つ成熟体となるため、タンパク質の機能発見にしばしば用いられる発現クローニング法を適用できない。したがって、現在でも多数存在することが示されている好中球などの免疫細胞を活性化する内因性ペプチドを同定するには、生体組織よりペプチドを抽出し、化学的に構造を決定するしか方法がないのが現状である。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、1)効率的な機能ペプチド同定手段を提供すること、2)好中球などの免疫細胞を活性化するペプチド、あるいは免疫細胞を強く活性化することでその受容体を脱感作し、結果的にその受容体活性化を阻害するペプチドを提供すること、さらには3)ペプチドがその受容体と結合したときにとる高次構造が相同である機能ペプチドの累積投与法の提供である。
本発明者らは、多数存在する好中球などの免疫細胞活性化因子を効率的に同定するため、鋭意検討を行った。その結果、ゲノム配列やタンパク質データベースから、活性を持ちしかも生体内で機能しているペプチド配列を予測する方法を確立し、活性を持つと予測したペプチドを実際に化学合成し、その生体機能を評価することで、44種の新規好中球活性化ペプチドを同定した。さらに、これらのペプチドの受容体と考えられるタンパク質を同定した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)下記(I)〜(V)の全ての条件を満たす配列を有し、免疫細胞刺激活性を有するペプチド。
(I)構成アミノ酸残基の数が12〜36である、
(II)両親媒性である、
(III)分子全体の荷電が+2以上である、
(IV)α-へリックス構造をとるように構成アミノ酸を配置したときに、親水性アミノ酸残基が配置する側の側面において、少なくとも2つの正電荷アミノ酸の側鎖間に芳香族アミノ酸の側鎖が位置しない、および
(V)ミトコンドリアプロセッシング酵素による切断点のアミノ酸残基を含む。
(2)免疫細胞が好中球である、(1)のペプチド。
(3)以下の(a)および(b)から選択される(1)または(2)のペプチド:
(a)配列番号1、2、3、4、5、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、18、19、22、23、24、25、26、27、28、29、31、32、33、34、35、36、37、39、40、42、43、44、45、46、47、48、49、50または51のアミノ酸配列からなるペプチド;
(b)配列番号1、2、3、4、5、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、18、19、22、23、24、25、26、27、28、29、31、32、33、34、35、36、37、39、40、42、43、44、45、46、47、48、49、50または51のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ免疫細胞刺激活性を有するペプチド。
(4)配列番号52のアミノ酸配列を有するタンパク質を受容体とする(1)〜(3)のいずれかのペプチド。
(5)(1)〜(3)のいずれかのペプチドに対する抗体。
(6)(1)〜(3)のいずれかのペプチドを検出することを特徴とする、免疫細胞が関与する疾患の検査方法。
(7)免疫細胞が好中球である、(6)の方法。
(8)下記(I)〜(V)の全ての条件を満たす配列を検索し、該配列を有するペプチドの免疫細胞刺激活性を測定することを特徴とする、免疫細胞刺激活性ペプチドの探索方法。
(I)構成アミノ酸残基の数が12〜36である、
(II)両親媒性である、
(III)分子全体の荷電が+2以上である、
(IV)α-へリックス構造をとるように構成アミノ酸を配置したときに、親水性アミノ酸残基が配置する側の側面において、少なくとも2つの正電荷アミノ酸の側鎖間に芳香族アミノ酸の側鎖が位置しない、および
(V)ミトコンドリアプロセッシング酵素による切断点のアミノ酸残基を含む。
多数の好中球活性化ペプチドが関与する生体防御機構の概要。 機能ペプチドの予測・同定手順。 予測活性ペプチドによる好中球様分化HL-60細胞におけるβ-ヘキソサミニダーゼ分泌活性ならびに遊走活性(1)。 予測活性ペプチドによる好中球様分化HL-60細胞におけるβ-ヘキソサミニダーゼ分泌活性ならびに遊走活性(2)。 予測活性ペプチドによる好中球様分化HL-60細胞におけるβ-ヘキソサミニダーゼ分泌活性ならびに遊走活性(3)。 予測活性ペプチドによる好中球様分化HL-60細胞におけるβ-ヘキソサミニダーゼ分泌活性ならびに遊走活性(4)。 予測活性ペプチドによる好中球様分化HL-60細胞におけるβ-ヘキソサミニダーゼ分泌活性ならびに遊走活性(5)。 予測活性ペプチドによる好中球様分化HL-60細胞におけるβ-ヘキソサミニダーゼ分泌活性(6)。 予測活性ペプチドによる好中球様分化HL-60細胞膜画分におけるGタンパク質活性化。MCT-3: mitocryptide-3; MCT-5: mitocryptide-5 予測活性ペプチドによるβ-ヘキソサミニダーゼ分泌活性の濃度依存性(A)ならびに混合刺激による協奏効果(B)。 新しい生体内情報伝達機構「accumulative signaling」の概要を示す図:本発明研究でその存在が示された新しい生体調節機構「accumulative signaling」の概要を示す。 新しい生体内情報伝達機構「accumulative signaling」の概要を示す図:従来の内因性機能ペプチドによる情報伝達概念(additive signaling)と本発明研究でその存在が示されたaccumulative signaling概念の相違点を示す。 予測活性ペプチドおよび受容体同定実験に用いたそれらの誘導体ペプチドによる、HL-60細胞におけるβ-ヘキソサミニダーゼ分泌活性、ならびにそれらの刺激活性に対する百日咳毒素(PTX)の阻害効果。PBSは細胞にPBSを添加して16時間前処理した後各ペプチドで刺激した結果、PTXは細胞に50 ng/mlのPTXを添加し16時間前処理した後各ペプチドで刺激した結果を示す。 予測活性ペプチド誘導体の未分化HL-60細胞あるいは好中球様分化HL-60細胞との結合を示す図(写真)。上2段が未分化HL-60細胞、下2段が好中球様分化HL-60細胞における結果を示し、コントロールはペプチドを加えない場合を示す。また、左から、Alexa488の蛍光像、光学像、両者の重ねあわせ像を示す。 予測活性ペプチド誘導体および活性を持たないコントロールペプチドの好中球様分化HL-60細胞との結合を示す図(写真)。左から、Alexa488の蛍光像、光学像、両者の重ねあわせ像を示す。 予測活性ペプチド受容体タンパク質の一次元SDS電気泳動による同定を示す図(写真)(特異的結合タンパク質をa〜eで示した)。 予測活性ペプチド受容体タンパク質の二次元電気泳動による同定を示す図(写真)。図14のバンドbに相当するスポットを矢印で示す。(A)クマシーブリリアントブルー染色 (B)ウエスタンブロット解析
本発明のペプチドは、下記(I)〜(V)の条件を満たす配列を有し、免疫細胞刺激活性を有するペプチドである(COSP-1自体は除く)。
(I)構成アミノ酸残基の数が12〜36である、
(II)両親媒性である、
(III)分子全体の荷電が+2以上である、
(IV)α-へリックス構造をとるように構成アミノ酸を配置したときに、親水性アミノ酸残基が配置する側の側面において、少なくとも2つの正電荷アミノ酸の側鎖間に芳香族アミノ酸の側鎖が位置しない、および
(V)ミトコンドリアプロセッシング酵素による切断点のアミノ酸残基を含む。
「両親媒性である」とは、親水性の残基と疎水性の残基の両方を有していればよいが、ペプチドの配列をN末端側からヘリカルホイールにプロット(例えば、市販のGenetyx 等でプロット可能)したときに、片側に疎水性(脂肪族あるいは芳香族)のアミノ酸残基、反対側に親水性のアミノ酸残基が配位する両親媒性へリックス構造をとる部分が存在することが好ましい。
「分子全体の荷電が+2以上である」とは、ペプチド分子内の荷電アミノ酸の荷電の総和が+2以上であることをいい、具体的には、正電荷の側鎖を有するアミノ酸(リジンおよびアルギニン)の総数から負電荷の側鎖を有するアミノ酸(グルタミン酸およびアスパラギン酸)の総和を引いた値が+2以上であることを意味する。なお、分子全体の荷電を計算する際にN末端のアミノ酸のアミノ基の正電荷とC末端のアミノ酸のカルボキシル基の負電荷を考慮してもよいが、それらは相殺される。
「α-へリックス構造をとるように構成アミノ酸を配置したときに、親水性アミノ酸残基が配置する側の側面において、少なくとも2つの正電荷アミノ酸の側鎖間に芳香族アミノ酸の側鎖が位置しない」とは、ペプチドの配列を上記Genetyx 等でヘリカルホイールにプロットしたときに、親水的な側面に分布する正電荷アミノ酸(リジンおよびアルギニン)の側鎖間に芳香族アミノ酸(トリプトファン、チロシンおよびフェニルアラニン)の側鎖が位置しないことをいう。さらに、α-へリックス構造をとるように構成アミノ酸を配置したときに、正電荷アミノ酸の側鎖間にメチオニン、イソロイシン、ロイシンおよびバリンから選ばれる脂肪族アミノ酸の側鎖も位置しないことがより好ましい。
「ミトコンドリアプロセッシング酵素による切断点のアミノ酸残基を含む」とは、例えば、Swiss-Protのデータベースにおいて、「ミトコンドリアプロセッシング酵素による切断モチーフ」として定義されている配列の切断部位の前、または後の残基を含むことをいう。
本発明のペプチドは、さらに、上記(I)〜(V)の条件に加え、正電荷アミノ酸残基(アミノ末端の正電荷を含む)を基準にして、3または4残基目、7または8残基目、10または11残基目、14または15残基目、18残基目、21または22残基目のいずれかに正電荷アミノ酸残基が存在することが好ましい。
本発明のペプチドはミトコンドリアタンパク質由来のペプチドであることが好ましい。
上記(I)〜(V)の性質を有するペプチドとしては、例えば、下記(a)のペプチドが挙げられる。
(a)配列番号1、2、3、4、5、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、18、19、22、23、24、25、26、27、28、29、31、32、33、34、35、36、37、39、40、42、43、44、45、46、47、48、49、50または51からなる群より選ばれるアミノ酸配列からなるペプチド。
また、(a)のペプチドのホモログ、すなわち、(b)免疫細胞刺激活性を有し、配列番号1、2、3、4、5、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、18、19、22、23、24、25、26、27、28、29、31、32、33、34、35、36、37、39、40、42、43、44、45、46、47、48、49、50または51のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列からなるペプチドであってもよい。ここで、「1もしくは数個」とは、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個をいう。
なお、(b)のペプチドのアミノ酸配列は、欠失、置換、挿入もしくは付加が導入される前のアミノ酸配列に対して、80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の同一性(identity)を有することが望ましい。
(b)のペプチドには、ヒト以外の動物由来のホモログペプチドや人工変異ペプチドなどが含まれる。
上記配列の中では、配列番号7,9,11,12,15,18,19,22,23,24,25,28,31,32,33,34,35,37,40,42,43,46,48,および51のペプチドがより好ましく、配列番号19(mitocryptide-3)、配列番号23(mitocryptide-4)、配列番号15(mitocryptide-5)、配列番号37(mitocryptide-14)、配列番号48(mitocryptide-15)、および配列番号51(mitocryptide-16)のペプチドがさらに好ましい。
さらに、上記(a)または(b)のペプチドは、免疫細胞刺激活性が保持される限りにおいて、一または複数のアミノ酸が修飾されたものであってもよい。修飾はペプチドのN末端(アミノ基)、C末端(カルボキシル基)、及びそれ以外のアミノ酸側鎖において起こりうる。例えば、N末端のホルミル化、アセチル化、メチル化、C末端のエステル化、アミド化などを含む。
「免疫細胞」とは、T細胞、B細胞、マクロファージ、NK細胞、好中球、好酸球、好塩基球などが挙げられるが、好中球が好ましく、上記ペプチドは少なくとも好中球刺激活性を有していればよく、その他の免疫細胞をさらに刺激できるものであってもよい。
本明細書でいう「好中球」は、ヒトを含む動物の好中球の他、好中球様細胞を含む。好中球様細胞の具体例としては、ジブチリックサイクリックAMP処理により分化したHL−60細胞を挙げることができる。
「免疫細胞刺激活性」とは、免疫細胞の遊走や活性化を促進させる活性をいい、「好中球刺激活性」とは、ヒトを含む動物の好中球又は好中球様細胞の、遊走(「走化」ということもある)及び/又は活性化を促進する活性をいう。遊走は組織への滲潤、局所への移動を含む。活性化は活性酸素の産生及び分解酵素(例えば、β-ヘキソサミニダーゼ:β−HA)の分泌、各種サイトカイン及び過酸化物質の産生、並びに貧食を含む。好中球刺激活性は、好中球走化活性、活性酸素放出、β−HA分泌量又は細胞内Ca2+濃度の上昇を測定することにより検定することができる。また、本明細書で、あるペプチドが「好中球刺激活性を有する」というときは、好中球刺激活性のうち、好中球の遊走を促進する活性と好中球の活性化を促進する活性とのいずれか一方のみを有している場合と、双方を有している場合とを含む。
好中球刺激活性の具体的な評価方法としては、例えば、好中球様に分化したHL−60細胞、又はヒト白血球細胞の懸濁液にペプチドを加えて細胞を刺激し、細胞又は上清中の好中球が活性化されたときに産生される物質(活性化指標物質、例えばβ−HA)を測定する方法が挙げられる。刺激する際に、cytochalasin B及びDNaseを添加し、上清中のβ−HA活性を測定するのが簡便である。ここで、本発明のペプチドは、好中球様に分化したHL−60細胞に添加したときに刺激前の細胞内の全β−HA量の30%以上のβ−HAを分泌させることができる濃度が、100μM以下であるものが好ましく、10μM以下であるものがより好ましく、1μM以下であるものが特に好ましい。
また、未分化又は好中球様に分化したHL−60細胞を用いて、遊走活性を測定することによっても、本発明のペプチドの好中球刺激活性を評価することができる。遊走活性の測定方法もまた、当業者にはよく知られている。本発明のペプチドとしては、好中球に対しては遊走活性を示すが、未分化の細胞においては遊走活性を示さないものが好ましい。例えば、未分化HL−60細胞においては遊走活性を示さないが、分化HL−60細胞においては遊走活性を示すものが好ましい。
本発明のペプチドは化学的に合成することができる。合成は、ペプチド合成のための通常の手段を用いて行うことができる。このような合成手段としては、Boc法、Fmoc法等がある。また、本発明のペプチドは、ヒト培養細胞などの動物組織材料から調製することができる。調製操作は、動物組織材料からペプチド成分を精製するための通常の手段(例えば、アフィニティークロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、ゲルろ過、HPLC)を用いて行うことができる。例えば、HL-60細胞ホモジネートからペプチド性物質を粗抽出し、これを分画し、免疫細胞刺激活性を有する画分を得、そこから精製することができる。さらに、本発明のペプチドは、遺伝子工学的な手法を用いても製造することができる。
本発明のペプチドは、受容体に結合し、その下流のGタンパク質を介して免疫細胞刺激活性を発揮すると考えられる。ここで、受容体に「結合する」とは、本発明のペプチドに対する受容体に高親和性で結合することができることをいい、結合の結果、Gタンパク質の活性化をもたらし、続いて免疫細胞刺激に関する種々の生理作用が引き起こされる。なお、Gタンパク質の活性化は後述の実施例3の(4)に記載されたような方法で評価することができる。本発明のペプチドの受容体としては、例えば、配列番号52のアミノ酸配列を有するタンパク質が挙げられる。このタンパク質はheat shock 70 kDa protein 8 isoform 1としてDatabase: SWISS-PROTにEntry番号 HSP7C#HUMANで登録されているタンパク質である。このタンパク質は膜に存在するタンパク質であり、本発明のペプチドが該タンパク質に結合し、その下流のGタンパク質を介して免疫細胞刺激活性を発揮すると考えられる。本発明のペプチドは、配列番号52のアミノ酸配列を有するタンパク質を受容体とするもの、すなわち、同タンパク質に結合し、免疫細胞刺激活性を発揮するものが好ましい。
本発明のペプチドは好中球の遊走及び活性化を促進させることが見出された(実施例3)。さらに、本発明のペプチドは、好中球の遊走及び活性化のうち、ある場合には(例えば、ある濃度において)遊走のみを促進し、他の場合には(例えば、先の濃度より高い濃度において)活性化のみを促進する可能性があることが見出された(実施例3)。このことより、本発明のペプチドは生体内において、炎症部位より拡散し、好中球を誘引し(この段階では、好中球を活性化しない)、好中球が炎症部位に接近することによって好中球に対する本発明のペプチドの濃度が上昇すると、好中球遊走を停止させ、炎症部位付近で好中球を活性化している可能性が示唆された。
上記のように本発明のペプチドは、好中球をはじめとした免疫細胞を刺激する活性を有するため、免疫細胞の減少もしくは機能低下、または免疫細胞の増加もしくは機能亢進に関連する疾患又は状態の診断、治療、または予防に有用である。
好中球の減少、機能低下に関連する疾患又は状態としては、例えば、好中球減少症が挙げられる。
また、心筋梗塞、及び臓器移植に起因するものを含む虚血後再灌流障害、I型糖尿病、並びにリウマチ、急性腎炎、及び劇症肝炎を含む炎症性疾患を含む、好中球などの免疫細胞の活性化に関連する疾患又は状態の診断、予防又は治療にも有用である。
さらに、本発明のペプチドは、免疫細胞刺激活性の測定、好中球などの免疫細胞に関連する疾患又は状態の臨床検査、治療又は予防に有用な物質のスクリーニング方法、並びに好中球などの免疫細胞に関連する疾患若しくは状態の臨床検査、治療又は予防のためのキットなどにも用いることができる。
具体的には、本発明のペプチド又は該ペプチドに対する抗体等を用いて、上記の好中球減少症、虚血後再灌流障害、I型糖尿病、並びにリウマチ、急性腎炎及び劇症肝炎を含む炎症性疾患等の早期発見、予防、治療等に用いることができる。
また、本発明のペプチドに対する中和抗体等の、本発明のペプチドの活性を抑制する物質を用いて好中球などの免疫細胞の滲潤を抑制することにより、上記の虚血後再灌流障害、I型糖尿病並びにリウマチ、急性腎炎及び劇症肝炎を含む炎症性疾患等の治療にも用いることができる。
また、本発明のペプチドを投与して好中球を刺激することにより、上記の好中球減少症等の治療に用いることができる。
さらに本発明のペプチドを過剰に投与し、好中球の炎症部位への移行を妨げることにより、上記の虚血後再灌流障害、I型糖尿病並びにリウマチ、急性腎炎及び劇症肝炎を含む炎症性疾患等における炎症を抑制することができる可能性もある。
本発明のペプチドを投与する場合、上記(a)および(b)から選ばれる2種類以上のペプチドを投与してもよい。
本発明のペプチドに対する抗体は、上記のような好中球などの免疫細胞の活性化に関連する疾患又は状態の診断・治療に有用である。抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体のいずれも有用であるが、モノクローナル抗体がより好ましい。なお、本発明において、モノクローナル抗体 とは、モノクローナル抗体 、モノクローナル抗体 のフラグメント、F(ab')2化抗体 、F(ab')化抗体 、単鎖抗体 (scFv)、ダイアボディ(Diabodies)およびミニボディ(Minibodies)を含むものとする。抗体の製造には当業者にはよく知られた手段を用いることができる。例えは、モノクローナル抗体を製造するには、本発明のペプチドをキャリアータンパク質に結合させ、必要に応じアジュバンドとともに腹腔内に注射して、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ等の哺乳動物、好ましくはマウスを免疫感作する。必要に応じて感作を繰り返す。適当な抗体力価が得られるときに上記の哺乳動物の脾臓、リンパ節、骨髄又は扁桃等、好ましくは脾臓に含まれる抗体産生細胞を取り出して、ミエローマ細胞、好ましくは上記の哺乳動物と同種のミエローマ細胞と融合させる。そして、選択培地を用いることにより、脾臓細胞同士のハイブリッド細胞、ミエローマ細胞同士のハイブリッド細胞、及び未融合細胞を除去する。得られたハイブリドーマを本発明のペプチドに対する反応性を指標にスクリーニングして、ペプチドに対する所望の抗体を産生する細胞を得る。得られたハイブリドーマから、マウス腹水法、又は適当な培地と培養器を用いた培養法により、所望の抗体を得ることができる。
本発明のペプチド又は抗体を治療のために投与する際は、投与経路は意図した効果を発揮することができ、かつ安全に投与することができれば特に制限されない。また、意図した効果を発揮することができ、かつ安全に投与することができれば剤形は特に制限されず、投与経路等に応じたものとすることができる。例えば、注射剤などが挙げられる。製剤の際には薬剤的に許容できる防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤等の種々の担体を加えることができる。このような種々の製剤は、当業者にはよく知られた工程により製造することができる。投与量も、投与の目的、患者の性別、体重、年齢、剤形、症状、投与経路、投与回数、投与経過等に応じて適宜決定することができる。
本発明の抗体は、本発明のペプチドを抗原として当業者によく知られたELISA法等により、本発明のペプチドとの抗原抗体反応の面から評価することができる。また、上述の好中球刺激に関する評価系を利用して、好中球刺激活性の抑制効果の面から評価することができる。
本発明の検査方法は、検体中の本発明のペプチド、例えば、上記(a)および(b)から選ばれるペプチドの量を測定し、該ペプチドの量に基づいて、好中球をはじめとした免疫細胞が関与する上記のような疾患の発症または発症リスクを判定する方法である。ここで、使用する検体の種類は本発明のペプチドを含みうる検体であれば特に制限されないが、血液、尿、唾液などの体液が好ましく、血液が特に好ましい。測定方法は、上記ペプチドに対する抗体を用いる方法が好ましく、ELISA法が特に好ましい。本発明のペプチドを測定する場合、上記(a)および(b)から選ばれる2種類以上のペプチドを測定してもよい。
本発明はまた、上記(I)〜(V)の全ての条件を満たす配列を検索し、該配列を有するペプチドの免疫細胞刺激活性を測定することを特徴とする、免疫細胞刺激活性ペプチドの探索方法に関する。上記(I)〜(V)の全ての条件を満たす配列を検索する際には、候補ペプチドの配列を入力する手段と、上記(I)〜(V)の条件について計算する手段と、上記(I)〜(V)の条件を満たす配列を出力する手段を備えたプログラムを使用してもよい。
以下、本発明の実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
[実施例1] 活性ペプチドの予測ならびに同定法
(1)活性ペプチドの予測法
好中球を活性化するペプチドのアミノ酸配列は、図2に示す手法で予測・同定した。すなわち、まずタンパク質データベースSwiss-Protよりアミノ酸配列を含むヒト・ミトコンドリアタンパク質データを網羅的に収集した。つづいてその中からミトコンドリアプロセッシングペプチターゼ等により特異的に切断されることによって生成すると予想されるペプチド配列をデータベース化した。そして、これらデータベース化したペプチド配列の中から、すでに生体から好中球活性化ペプチドとして同定されており、しかもGタンパク質を活性化することで好中球を刺激することが明らかになっているペプチドであるCOSP-1をモデルに、アミノ酸残基の鎖長、疎水性および親水性残基の配置、分子全体の荷電および電荷を持つアミノ酸残基の配置、電荷を持つアミノ酸残基と脂肪族および芳香族側鎖の配置、さらにそれら物理化学的特徴の相互関係について、設定した条件を満たしているペプチドを予測活性ペプチドとして選択した。
すなわち、1)アミノ酸残基の鎖長が12残基以上36残基以下であること、2)ペプチドの配列を公知のヘリカルホイールにプロット(市販のGenetyx 等でプロット可能)したとき、片側に脂肪族あるいは芳香族のアミノ酸残基、反対側に親水性のアミノ酸残基が配位する、両親媒性構造をとる部分が存在すること、3)ペプチドに正電荷アミノ酸残基(アミノ末端のアミノ酸残基を含む)が3個以上存在し、ペプチドの正味の電荷が+2以上であること(カルボキシル末端は常に負電荷(-1)とする)、4)正電荷アミノ酸残基(アミノ末端の正電荷を含む)を基準にして、3または4残基目、7または8残基目、10または11残基目、14または15残基目、18残基目、21または22残基目のいずれかに正電荷アミノ酸残基が配位すること、5)親水性アミノ酸残基が配位する側面において、少なくとも2個の正電荷アミノ酸残基の間に芳香族アミノ酸残基側鎖が配位しないこと(ただし正電荷アミノ酸間の配列にPro残基が存在するものは除く)、以上の条件を満たす配列を予測活性ペプチドとした。
(2)予測結果
発明者らは、既に生体からミトコンドリア由来の好中球活性化ペプチドfCyt bならびにCOSP-1を単離・精製するとともに、他にも多数のミトコンドリアタンパク質由来の好中球活性化ペプチドが存在することを示している(非特許文献7,8,特許文献1)。これら多数存在する未知の好中球活性化ペプチドを、従来のように単離・同定していたのでは多大な労力と時間が必要となる。そこで本発明では、上記のような方法で活性ペプチドの配列を予測し、それらを化学合成、予測ペプチドの活性を検証することにより好中球活性化ペプチドの同定を試みた。
活性ペプチドの予測は、COSP-1がGタンパク質を直接活性化し、好中球の遊走ならびにβ-ヘキソサミニダーゼ分泌を刺激すること(非特許文献7,8)、またGタンパク質を活性化するペプチドは、その二次構造に類似性を持つことから(非特許文献9,10)、COSP-1と類似した二次構造を持つペプチドを予測活性ペプチドとした(図2)。その結果、表1に示す異なる51種のペプチド配列が得られたが、それらのほとんどは核遺伝子にコードされたミトコンドリアタンパク質由来のペプチドであった。なお配列番号41は正味電荷が-3である、ネガティブコントロールペプチドである。また、配列番号17はキモトリプシンによる切断点の配列を有するもので、それ以外はミトコンドリアプロセッシング酵素による切断点の配列を有する。また、配列番号21と30は正電荷アミノ酸間の配列にPro残基が存在するため、上記5)の親水性アミノ酸残基が配位する側面において、少なくとも2個の正電荷アミノ酸残基の間に芳香族アミノ酸残基側鎖が配位しないという条件を満たしていないが、それ以外は上記5)の条件を満たしている。
[実施例2]ペプチド合成
表1に示した活性を持つと予測したペプチドならびに受容体同定実験で用いたペプチドは全てFmoc法を用いた固相法(非特許文献11)により化学合成した。合成はマルチペプチド合成機(アドバンストケムテク社製)あるいはペプチド合成用手動撹拌装置(ハイペップ社製)を用いて行った。各アミノ酸の側鎖に対する保護基として、AspならびにGluにはt-butyl ester (OBut)基、Ser、ThrならびにTyrの側鎖にはt-butyl (But)基、LysならびにTrpにはt-butyloxycarbonyl (Boc)基、Argには2,2,4,6,7-pentamethyldihydrobenzofuran-5-sulfonyl (Pbf)基、His、Asn、GlnならびにCysにはtriphenylmethyl (Trt)基を用いた。
(1)ペプチド鎖の伸長、脱保護ならびに樹脂からの脱離
ペプチド鎖の伸長は、25%ピペリジンによるFmoc基の切断と、DIC-HOBt法、またはHBTU-DIEA法あるいはHATU-DIEA法によるFmocアミノ酸の縮合を繰り返すことにより行った(非特許文献11)。すなわち、C末端のアミノ酸残基に相当するFmocアミノ酸を導入した樹脂をNMPとDMFで洗浄し、NMP中で30分間膨潤させた後、25%ピペリジン処理によりN末端の保護基であるFmoc基を切断した。次に、C末端から2番目の配列に相当するFmoc-アミノ酸ならびにDIC、HOBtそれぞれ2.5当量を加え、NMP中で2時間反応させることにより縮合した。手動合成においては、反応の終了をニンヒドリンテストにより確認し(非特許文献11)、反応が不十分の場合は、HBTUを2.25等量、HOBtを2.5等量、DIEAを4.5当量を加え、再度縮合反応を2時間行なった。さらに縮合反応を繰り返しても反応が不十分である場合は、樹脂の導入量に対しDIEAを9等量、HOBtを5等量、HBTUを4.5等量加えること、あるいは反応時間を4時間、6時間と延長することによって縮合反応を進行させた。このように、ピペリジンによるFmoc基の切断とFmocアミノ酸の縮合反応を繰り返し、ペプチド鎖の伸長を行なった。
合成ペプチドの脱保護ならびに樹脂からの脱離は、Reagent K(TFA:フェノール:ジメチルスルフィド:水:エタンジオール=82.5 : 5:5:5:2.5)で3時間処理することにより行なった。反応終了後、ジエチルエーテルで5回洗浄し、得られた合成物を0.1 %TFA・H2Oで溶解した。これを15mlのコニカルチューブに移し、遠心して(5000 rpm, 10 min, 4 ℃)上清を採取した後凍結乾燥して粗ペプチドを得た。
(2)合成ペプチドの分析・精製
粗ペプチドの分析は逆相高速液体クロマトグラフィー(reverse-phase high performance liquid chromatography、RP-HPLC)により行なった。分析にはDevelosil ODS-HGカラム (4.6×150 mm)を用い、0.1%TFAの存在下、流速1 ml/minでアセトニトリルの濃度勾配により溶出し、それぞれのピークを214 nmの吸収により分取した。得られたピークに含まれるペプチドの質量はmatrix assisted laser desorption ionization time of flight mass spectrometer (MALDI-TOF-MS)装置(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて測定した。すなわち溶出画分と測定用マトリックスであるα-cyano-4-hydroxycinnamic acid (α-CHCA)飽和溶液を1:1の割合で混ぜ合わせ、そのうち1 μlをサンプルプレートに乗せて乾燥させた。次にMALDI-TOF-MSによってサンプルプレートにレーザー照射し、分子量を測定し目的とするペプチドを同定した。
質量分析により同定した目的とするペプチドの精製は、Develocil ODS-HGカラム(20×250 mm)を用いて0.1% TFAの存在下、流速5 ml/minでアセトニトリルの濃度勾配により溶出し、目的とするピークを214 nmの吸収により検出し分取することにより行った。この後得られたペプチド溶液を凍結乾燥し、さらにHPLCを用いて純度を検定した。純度が確認されたペプチドについては、再びMALDI-TOF-MSにより質量分析を行い、その分子量が正しいことを確認した後、酸加水分解後、アミノ酸組成分析を行い、目的物であることを確認した。すなわち、精製したペプチドを1%フェノール存在下、6 N-HClの気相中で、110 ℃、22時間処理することにより加水分解し、加水分解後サンプルを減圧乾燥し、0.01 N-HClに溶解 (1〜2 nmol/10 μl)、アミノ酸組成分析装置(日立製)により分析した。その後、酸加水分解にも安定なアミノ酸であるグリシンやアラニンなどを基準としてアミノ酸の回収モル数を算出、その定量値に基づいて分注し-80℃で保存した。
[実施例3] 機能ペプチドの同定
(1)細胞培養ならびに好中球様細胞への分化
HL-60細胞の培養は、RPMI-1640培地に熱非働化したウシ胎児血清(FBS)を終濃度10%となるように加えたもの(10% FBS-RPMI1640培地)を用い、75 cm2の培養フラスコ(イワキガラス製;Non-treated Flask)中で5% CO2存在下インキュベーター中に静置させて行った。このとき細胞密度が1.0×105 cells/ml〜1.5×106 cells/mlの範囲で継代を行い、顕微鏡を用いて細胞数を計測するとともに、細胞の状態の確認も行なった。
HL-60細胞の好中球様細胞への分化は、フラスコ内の細胞密度を約1.0×106 cells/mlにし、dibutylyl-cAMP (db-cAMP)を分化誘導剤として最終濃度が500 μMとなるように添加し、CO2存在下、37℃で3日間インキュベートすることにより行った。
(2)細胞刺激およびβ-ヘキソサミニダーゼ分泌活性測定
分化したHL-60細胞懸濁液を遠心(1000 rpm, 5 min, 4 ℃)して細胞を採取した後、氷冷した0.1% BSAを含むHepes緩衝Hank's平衡塩溶液(Hepes buffered Hank's solution(HBHS);1.2 mM CaCl2・2H2O、5.4 mM KCl、0.44 mM KH2PO4、0.49 mM MgCl2・6H2O 、0.41 mM MgSO47H2O、136.9 mM NaCl、0.34 mM Na2HPO4、10 mM Hepes、4.2 mM NaHCO3、5.5 mM D-glucose, pH 7.4)を加えて転倒懸濁し、再び遠心(1000 rpm, 5 min, 4 ℃)する作業を3回繰り返し細胞を洗浄した。続いて、細胞密度が5.6×106 cells/mlになるようにHBHSを加えて懸濁し、終濃度5 μg/mlとなるようにそれぞれDNase I、cytochalasin Bを加え、細胞懸濁液を氷上で90 μl (5×105 cells)ずつ分注した。ペプチドによる細胞の刺激は、まず分注したチューブを37℃で10分間プレインキュべートした後、各チューブに最終濃度の10倍に調製した10 μlのペプチド溶液を加えて、37℃で10分間行った。また10種類の混合ペプチドによるβ-ヘキソサミニダーゼ分泌活性測定の場合は、最終濃度の100倍に調製したそれぞれのペプチド溶液を等量ずつ混合し、このペプチド溶液10 μl で細胞を刺激した。10分間の細胞刺激後、氷冷しておいた反応停止溶液(25 mM Tris、123 mM NaCl、2.7 mM KCl , pH 7.4) 100 μlを加えてただちに遠心(5000 rpm, 1 min, 4 ℃)し、上清200 μlを新しいチューブに移した。
反応上清中に放出されたβ-ヘキソサミニダーゼの量は、p-nitrophenyl-N-acetyl-β-D-glucosaminide を基質とした酵素反応により測定した(非特許文献12)。すなわち、96ウェルプレートに反応上清を90 μlずつ分注し、各ウェルに60 μlずつ基質溶液(10 mM p-nitrophenyl-N-acetyl-β-D-glucosaminide, 40 mM citrate, 70 mM Na2HPO4, pH 4.5)を入れ、37℃で1時間インキュべートした。反応後、反応停止溶液(0.4 M glycine, pH 10.7)を100 μlずつ加えて遊離したp-nitrophenolを発色させ、プレートリーダーで405 nmの吸収( reference: 492 nm)を測定した。細胞に含まれる全β-ヘキソサミニダーゼ量は、細胞を終濃度0.05 % のTriton X-100によって処理することにより定量した。また、10 (MのfMLPの刺激により分泌されたβ-ヘキソサミニダーゼの測定も行い、この分泌量に対する各ペプチド刺激による分泌量の比を計算した。
(3)遊走活性測定
分化HL-60細胞を遠心(1000 rpm, 5 min, 4 ℃)して細胞を採取した後、10% FBS-RPMI1640を加えて転倒懸濁し、再び遠心(1000 rpm, 5 min, 4 ℃)する操作を3回繰り返し、細胞を洗浄した後、細胞密度が4×106 cells/mlとなるように培地(10% FBS-RPMI1640)を加えて細胞懸濁液を調製した。つづいて24ウェルプレートの各ウェルにペプチド溶液(10% FBS-RPMI 1640に溶解)を1 mlずつ移し、37 ℃で20分間インキュベートした後、ケモタキセル(クラボウ、3μm)に、500 μlの細胞懸濁液(2×106 cells)を入れ、これをプレートに静置して、5% CO2存在下、37 ℃で1時間インキュベートした。その後ケモタキセルを取り外し、プレートの各ウェルをピペッティングしてプレート側に遊走した細胞をよく懸濁し細胞数を計測した。なおペプチドによる遊走活性は無刺激時にケモタキセルを通過した細胞数に対する比(Chemotaxis Index,CI)で表した。
(4)Gタンパク質活性化能測定
分化したHL-60細胞懸濁液を遠心(1000 rpm, 5 min, 4 ℃)して細胞を採取した後、氷冷したPBSを加えて転倒懸濁し、遠心(1000 rpm, 5 min, 4 ℃)することを3回繰り返し細胞を洗浄した。そして沈殿した細胞を細胞膜画分調製用緩衝液(20 mM Tris-HCl, 250 mM sucrose, 1.5 mM MgCl2, 3 mM benzamidine hydrochloride monohydrate, 1 μM leupeptin, 1 μM PMSF, 2 μg/ml trypsin inhibitor, pH 7.5)に懸濁し、窒素加圧-減圧式細胞破砕装置(窒素圧:350 psi)を用いて細胞ホモジェネートを調製した。その後これを超遠心(20,000 g, 4℃, 30分)し上清を除去、沈殿を膜画分緩衝液(20 mM Tris-HCl, 1 mM EDTA, 1 mM DTT, 77.5 mTIU/ml aprotinin, pH 7.5)に懸濁、細胞膜画分とし、分注後-80 ℃で保存した。Gタンパク質の活性は、GTPをGDP加水分解する活性を指標に定量した。すなわち、まず氷冷下反応チューブに5 μlのペプチド水溶液を入れた後、Gタンパク質活性測定用緩衝液(Hepes 50 mM, 1 mM EDTA, 1 mM DTT, 10 nM [γ-32P]GTP, 50 nM GDP, 1.1 mM MgSO4, 0.1 mg/ml BSA, pH 8.0)20 μlを加えた。この後各反応チューブに分化HL-60細胞膜画分(25 ng protein/ 5 μl)あるいは大腸菌で発現・精製したウシGi1-Gタンパク質(6 pmol/ 5 μl)それぞれ5 μl加えて反応を開始し、30 ℃で10分間インキュベートした後、氷冷した反応停止液(5 % charcoal, 50 mM NaHPO4)を加え遠心(15,000 rpm, 1 min, 4 ℃)し、上清の放射活性を測定した。
(5)活性評価による機能ペプチドの同定
活性を持つと予測したペプチドが実際に活性を持つかどうかを明らかにするため、好中球様に分化したHL-60細胞を刺激してβ-ヘキソサミニダーゼ分泌活性を示すかどうか検討した。その結果、予測した51配列のうち44配列が活性を持つこと、そのうち、25配列は10-6 M以下の濃度で作用することが示された(表1)。このため好中球活性化能を持つこれらペプチドをmitocryptideと総称することとした。次にβ-ヘキソサミニダーゼ分泌活性を持つ44種のペプチドについては遊走活性も測定し、β-ヘキソサミニダーゼ分泌活性とその濃度依存性を比較した。その結果、44種のペプチドすべてが遊走活性も持つことが示された(これらペプチドのβ-ヘキソサミニダーゼ分泌刺激ならびに遊走刺激における濃度依存性を図3〜8に示した)。すなわちmitocryptide-3、-4、-5、-14、-15、および-16は100 nM以下の濃度でも有意なβ-ヘキソサミニダーゼ分泌活性を示し(EC50's : mitocryptide-3, 200 nM ; mitocryptide-4, 300 nM ; mitocryptide-5, 380 nM ; mitocryptide-14, 110 nM ; mitocryptide-15, 100 nM ; mitocryptide-16, 120 nM)(図3,6)、mitocryptide-3、-5および-10のC末端を延長した-3-2、-5-2および-10-2は、いずれも延長する前のペプチドに比較して活性が高くなることが示された。(EC50's : mitocryptide-3-2, 150 nM ;mitocryptide-5-2, 200 nM ;mitocryptide-10, 8 μM;mitocryptide-10-2, 6 μM)(図3〜5)。さらにこれら高い活性を示したペプチドのうち、mitocryptide-3および-3-2はβ-ヘキソサミニダーゼ分泌活性が認められる濃度以下で遊走活性が確認されたのに対し、mitocryptide-4、-5、-5-2、-14、および-15ではほぼ同じ濃度でβ-ヘキソサミニダーゼ分泌活性と遊走活性が認められた(図3,6)。このように本研究で同定した活性ペプチドは、遊走活性がβ-ヘキソサミニダーゼ分泌活性よりも低濃度で認められるものと同程度の濃度で認められるものに大別されることが示された(図3〜7)。加えてこれらペプチドによる遊走活性は、濃度が上昇するに伴い脱感作されたが、特にmitocryptide-3、-4、-5、および-14では、遊走活性が完全に脱感作することも示された(図3〜7)。
このように本発明において同定した活性ペプチドはβ-ヘキソサミニダーゼ分泌活性のみならず遊走活性も持つこと、その濃度依存性はβ-ヘキソサミニダーゼ分泌が認められるより低濃度で遊走活性を示すものと、ほぼ同じ濃度で活性を示すものに大別されること、またいずれの活性ペプチドの場合も、遊走活性は濃度上昇により脱感作されることが示された(図3〜8)。これらの結果は、好中球が同定した活性ペプチドの濃度を厳密に認識、遊走し活性化されることを示していると考えられる。さらに好中球においては、mitocryptide-3などβ-ヘキソサミニダーゼ分泌が認められるより低濃度で遊走活性を示すペプチドを認識する場合、遊走している間には活性化されず、炎症部位に到達してはじめて活性化されるのに対し、mitocryptide-5など、β-ヘキソサミニダーゼ分泌と遊走が同程度の濃度で起こるペプチドの場合は、遊走と同時に好中球が活性化されるという異なる作用機構が存在している可能性が示された。
同定したペプチドは、Gタンパク質を活性化することで好中球を活性化すると予測されるペプチドであることから、その受容体としては、Gタンパク質と共役した受容体である可能性が考えられる。Gタンパク質は両親媒性のペプチドにより活性化されること、またそれらペプチドには二次構造に共通点があることが報告されている(非特許文献9,10)。そこで同定したペプチドがGタンパク質を活性化するかどうか検討した(図9)。その結果、mitocryptide-3や-5をはじめとして好中球様分化HL-60細胞に対し高い刺激活性を示すペプチドは、分化HL-60細胞膜画分においてGタンパク質を活性化すること、またそれらは精製Gi1タンパク質を活性化することが示され、これら活性ペプチドの受容体の少なくとも一つはGタンパク質と共役した受容体であることが示唆された。なお、図9において、fMLPとmas7はGタンパク質を活性化する合成ペプチドであり、陽性コントロールとして用いた。
表1に示すように、同定した活性ペプチドはそのアミノ酸配列にほとんど類似性がないものの、二次構造上の共通性によりGタンパク質と共役した同一の受容体に結合し作用するとすると、複数のペプチドで同時に刺激した場合協奏効果が起こるものと考えられる。そこでβ-ヘキソサミニダーゼ分泌を刺激するより低い濃度のペプチドを10種類混合することにより、好中球様に分化したHL-60細胞を刺激し、β-ヘキソサミニダーゼ分泌を惹起するかどうか検討した。すなわち、図10-Aに濃度依存性を示した高い活性を持つmitocryptide-3、-4、-5、-6、-7、-8、-9、-10、-11、および-12を、それぞれ単独ではβ-ヘキソサミニダーゼ分泌を刺激しない濃度(mitocryptide-3, 50 nM ; mitocryptide-4, 50 nM ; mitocryptide-5, 10 nM ; mitocryptide-6, 30 nM ; mitocryptide-7, 50 nM ; mitocryptide-8, 50 nM ; mitocryptide-9, 100 nM ; mitocryptide-10, 100 nM ; mitocryptide-11, 200 nMおよびmitocryptide-12, 100 nM)で混合し、それら混合ペプチド刺激によるβ-ヘキソサミニダーゼ分泌刺激活性を検討した。その結果、10種の異なるペプチド混合物は、10 μM fMLP刺激によるβ-ヘキソサミニダーゼ分泌に対して53.7%の分泌活性を示した(図10-B)。このように、これらのペプチドは協奏的に作用し、分化HL-60細胞を刺激することが示された(図10)。
従来の考え方では、一次配列の異なる内因性機能ペプチドの場合それぞれのペプチドに対して特異的な受容体が存在し、ペプチドはそれに作用して機能を発揮している(図11(A)のa〜dおよび図11(B)のAdditive Signaling)と考えられているため、細胞の活性化を起こさない濃度のペプチドをどれだけ混合しても活性は認められないはずである。しかし、単独のペプチドでは全く細胞の活性化を起こさない濃度のペプチドを複数混合することで活性が認められたことから、複数のペプチドをあたかも一つのリガンドとして認識する新しい受容体が存在し、これが好中球の応答を起こしている(図11(A)のe〜mおよび図11(B)のAccumulative Signaling)と考えられ、発明者らはこの情報伝達系を「accumulative signaling」と命名した(図11)。上述したように同定した活性ペプチドには、一次構造において相同性を持たないが、二次構造上で相同性を持つことから、この新しい受容体は、一次構造よりも二次構造を認識すると考えられる。
表1 好中球を活性化するペプチドとして予測したペプチドの配列ならびにそのβ-ヘキソサミニダーゼ分泌活性

なお、表中◎:300 nM以下の濃度でβ-ヘキソサミニダーゼ分泌活性が確認されたペプチド、○:1 μM以下の濃度でβ-ヘキソサミニダーゼ分泌活性が確認されたペプチド、●:10 μM以下の濃度でβ-ヘキソサミニダーゼ分泌活性が確認されたペプチド、▲:100 μM以下の濃度でβ-ヘキソサミニダーゼ分泌活性が確認されたペプチド、×:β-ヘキソサミニダーゼ分泌活性が認められなかったペプチド、を表す。また複数の記号を示したペプチドの活性は、行った実験の中で複数のカテゴリーに属する結果が得られたことを示す。
[実施例4] 機能ペプチド受容体および細胞内情報伝達系の同定
実施例3に記載の実験により好中球を活性化する機能ペプチドが同定されたので、次に化学的架橋法を用いてこれら機能ペプチドによる受容体を同定した。
まず同定した機能ペプチドのうち最も高い活性を示したmitocryptide-3および-5について、そのN末端にCys残基を延長したペプチド([Cys0]mitocryptide-3および[Cys0]mitocryptide-5)、またmitocryptide-3のC末端にCys残基を延長したペプチド([Cys24]mitocryptide-3)、さらにはそれらおよびmitocryptide-3ならびに-5のN末端にbiotinを導入したペプチド(N-biotinyl-mitocryptide-3、N-biotinyl-mitocryptide-5、N-biotinyl-[Cys0]mitocryptide-3、N-biotinyl-[Cys0]mitocryptide-5およびN-biotinyl-[Cys24]mitocryptide-3)を実施例2に記述したように化学合成した。
合成した上記機能ペプチド誘導体が活性を持つことを確認するため、実施例3-(2)で記述した方法にもとづいて、好中球様分化HL-60細胞をこれら機能ペプチド誘導体で刺激(終濃度10 μM)したところ、図12に示すように、すべての誘導体が細胞を刺激しβ-ヘキソサミニダーゼ分泌を促進すること、それら刺激がGiタンパク質を特異的に阻害する百日咳毒素(pertussis toxin, PTX)終濃度50 ng/mlで16時間前処理された細胞では阻害されることから、それらの細胞内情報伝達にGiタンパク質が関与していることが示された。
このように合成した機能ペプチド誘導体が活性を持つことが確認されたので、細胞におけるそれら機能ペプチドの結合部位を同定するため、つづいてこれらペプチド(終濃度10 μM)を実施例3-(3)で調製した好中球様分化HL-60細胞あるいは未分化HL-60細胞と37 ℃で30分間インキュベートした。その後細胞懸濁液を遠心(1000 rpm, 5 min, 4 ℃)し上清を除去、さらにHBHSを加えて遠心し細胞を洗浄した後、HBHS中に細胞を再懸濁、これにAlexa488で蛍光ラベルしたstreptavidin(モレキュラープローブ-インビトロジェン社)-HBHSを加えて遠心し上清を除去、さらにHBHSを加えて遠心する作業を3回繰り返し細胞を洗浄し、これらの細胞を蛍光顕微鏡を用いて観察した。その結果、図13に示すように、N-biotinyl-[Cys0]mitocryptide-3は好中球様分化HL-60細胞表面に特異的に結合するものの、未分化HL-60細胞表面にはほとんど結合しないこと(図13-A)、好中球を活性化しないコントロールのペプチド(N-biotinyl-Cys-Gln-Leu-Trp-Ala-Val-Gly-Ser-Phe-Met-NH2)では全く結合が認められないこと(図13-B)、さらにN-biotinyl-[Cys0]mitocryptide-5についてもN-biotinyl-[Cys0]mitocryptide-3同様、細胞表面に特異的に結合する結果が得られたことから、これら機能ペプチドの結合部位が細胞膜に存在することが示された。
そこでこれら機能ペプチドが結合する受容体分子を直接同定するため、以下の化学的架橋実験を行った。すなわち、好中球様に分化したHL-60細胞をHBHS(0.1%BSA不含)中に懸濁し、これを遠心(1000 rpm, 5 min, 4 ℃)し上清を除去、再びBSAを含まないHBHS中に細胞密度が5.6 ×106 細胞/mlとなるように懸濁した。この細胞懸濁液をまず37 ℃で10分間プレインキュベートし、1/10容量のmitocryptide-3および-5、 [Cys0]mitocryptide-3、 [Cys0]mitocryptide-5、[Cys24]mitocryptide-3、あるいはそれらのN末端にbiotinを導入したペプチド(N-biotinyl-mitocryptide-3、N-biotinyl-mitocryptide-5、N-biotinyl-[Cys0]mitocryptide-3、N-biotinyl-[Cys0]mitocryptide-5およびN-biotinyl-[Cys24]mitocryptide-3)を終濃度10 μMとなるように加え、さらに37 ℃で30分間インキュベートした。その後、この細胞懸濁液を遠心(5,000 rpm, 4 ℃, 1分)した後、上清を除去しさらにBSAを含まないHBHS中に懸濁し再び同様に遠心して細胞を洗浄し、その細胞沈殿物に細胞溶解緩衝液(100 mM NaCl、20 mM Tris-HCl、1 mM EDTA、77.5 mTIU/ml aprotinin、1 μM leupeptin、1 μg/ml pepstatin A、1 μg/ml phosphoramidone、1 % CHAPS、 pH 7.5)をもとの細胞懸濁液1 mlに対して1 ml加え、4 ℃で30分インキュベートすることで溶解し細胞ライセートを調製した。この細胞ラーセートを遠心し(15,000 rpm, 4 ℃, 15分)その上清を再び同じ条件で遠心し、上清を4 ℃で30分streptavidin ビーズとインキュベートした後、このビーズを上記細胞溶解緩衝液で3回遠心洗浄し、さらに細胞溶解緩衝液中で100 ℃で10分間加熱処理し遠心、上清をSDSゲル電気泳動して含まれているタンパク質を分離し、銀染色することにより分析した。その結果、図14に示すようにN-biotinyl-[Cys0]mitocryptide-3およびN-biotinyl-[Cys24]mitocryptide-3に特異的に結合する5種のバンドが検出された。さらにこの標品を図15に示した二次元電気泳動により分析した結果、2個の特異的スポットを検出したため(図15-A)、このタンパク質を抽出しトリプシン分解した後、質量分析によって解析した結果、そのうちの一つ(図14バンドbに相当)はheat shock 70 kDa protein 8 isoform 1 (配列番号52)であることが示唆された。そこでさらに、このタンパク質に対する市販の抗体(アフィニティバイオリエージェンツ社、MA3-007)でウエスタンブロット解析を行った結果、図15-Bに示すように示唆されたタンパク質heat shock 70 kDa proteinに対する抗体により認識された。さらにこのタンパク質はN-biotinyl-[Cys0]mitocryptide-5とも結合すること、その結合においてmitocryptide-3をはじめとしたその他の同定機能ペプチドと競合することが示されたため、これが今回同定した機能ペプチドの共通の受容体、あるいはそのうちの一つであることが示唆された。
本発明のペプチドまたはそれに対する抗体は、免疫細胞、特に好中球が関与する疾患の診断、予防、治療などに好適に使用することができる。

Claims (4)

  1. 以下の(a)および(b)から選択されるペプチド:
    (a)配列番号19、15、23、37、48または51のアミノ酸配列からなるペプチド;
    (b)配列番号19、15、23、37、48または51のアミノ酸配列において、1〜2個のアミノ酸が付加されたアミノ酸配列からなり、かつ好中球刺激活性を有するペプチド。
  2. 配列番号52のアミノ酸配列を有するタンパク質を受容体とする、請求項1に記載のペプチド。
  3. 請求項1に記載のペプチドに対する抗体。
  4. 請求項1に記載のペプチドを検出することを特徴とする、好中球が関与する疾患の検査方法。
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