JP2004081178A - 生理活性ペプチドの設計法及びその用途 - Google Patents

生理活性ペプチドの設計法及びその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】標的タンパク質に対する生理活性ペプチドを、経済的で迅速かつ効率的に設計する手段を提供すること。
【解決手段】ある標的タンパク質における、連続するアミノ酸配列又は不連続なアミノ酸配列からなる標的部位に対して結合しうる生理活性ペプチドを設計するために、分子間エネルギー等の計算を行い好ましいアミノ酸配列を抽出する処理を、コンピュータに実行させることを特徴とする生理活性ペプチドの設計方法およびそのための装置、並びに上記方法の処理をコンピュータに実行させるためのプログラムおよびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有益なペプチド性医薬品の開発法に関する。特に、本発明は、あるタンパク質上の任意の連続するアミノ酸配列及び不連続なアミノ酸配列からなる標的部位に対して結合しうる生理活性ペプチドを設計する方法、そのための装置、前記方法を具体的にコンピュータに実行させるためのプログラム、及び該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体内に張り巡らされた細胞外情報伝達系(神経系、内分泌系、免疫系)から発せられる様々な生体シグナル(神経伝達物質、ホルモン、サイトカイン)は、標的細胞において細胞内情報伝達系により受容・伝達され、適正な応答がなされる。ここで生体シグナルの多くは、タンパク質間の相互作用により伝達される。例えば、細胞表面の受容体とその特異的リガンドの結合、さらに細胞内の細胞質から核へのシグナル伝達にも様々なタンパク質間相互作用が関与している。従って、細胞内情報伝達系の変調や異常は、多くの重篤な疾患の発症に密接に関わっている。そこで、タンパク質間相互作用を標的として、そこを制御(促進又は抑制)し得る分子を創製することが急務となっている。現在、リガンド−受容体などのタンパク質間相互作用を解明する手段として、またシグナルカスケードの異常に起因する疾患の治療手段として、標的タンパク質と相互作用し得る生理活性ペプチドの研究開発が盛んに行なわれている。
【0003】
生理活性ペプチドは、生体内の情報伝達物質として様々な生理機能の制御に重要な役割を担っている。しかしながら、天然において、生理活性ペプチドは微量にしか存在せず、精製が非常に困難であるため、これまで100種も見出されていない。一方、ゲノムデータベースの蓄積により、生理活性ペプチド受容体と考えられるオーファン受容体が相当数存在することが推測されており、そのリガンドの探索は、新薬開発の重要な鍵となっている。現在臨床応用されているペプチド性医薬品、及び開発が実施されている医薬品の例としては、1)視床下部ホルモン誘導体、2)下垂体後葉ホルモン誘導体、3)ANP誘導体、4)カルシウム調節ホルモン、5)ペプチド性抗生物質などがある。また最近、新規な生理活性ペプチドがオーファン受容体を発現させた細胞を使用して発見されている。この手法を用いて、武田薬品工業はガン転移を抑制するオーファン受容体のペプチド性リガンド「メタスチン」を発見した[参考文献1]。今後さらに生理活性ペプチドの探索が進められ有益なペプチド性医薬品が開発されるものと期待される。
【0004】
しかしながら、タンパク質の任意のアミノ酸配列と結合して相互作用し得るペプチドのアミノ酸配列を予測する有効な方法論は、現在のところ確立されておらず、通常は生化学的な手法により生理活性ペプチドがスクリーニングされている。例えば、あるタンパク質と結合するとわかっている別のタンパク質から、N末端よりC末端までの10〜20個のアミノ酸からなる連続する複数のペプチドを合成し、その中から生理活性ペプチドを選別することや、またはファージライブラリーを用い、randomized peptide libraryより生理活性ペプチドを選別するといった手法が用いられている。しかし、このような生化学的な方法は、費用および時間がかかるという問題があった。そこで、従来の手法ではなく、理論的かつより経済的で簡便に生理活性ペプチドを設計する手法の開発が待たれていた。
【0005】
一方、標的アミノ酸配列に対する生理活性ペプチド配列を予測する理論が、現在までにいくつか提唱されている。ワトソン−クリックは、DNAラセンモデルを発表するとともに、塩基ペアは存在するが、アミノ酸ペアは存在しないと主張したが、アミノ酸ペアは存在するかもしれないという少数意見は、もともと存在していた(例えば、非特許文献1参照)。
【0006】
Blalockらが提唱したセンス−アンチセンス理論(例えば、非特許文献2参照)も、アミノ酸ペアを前提としたもので、その内容は、相補的な2つのDNAがコードする2つのペプチドは、塩基同様、相互作用するという仮説である。この理論に基づき、いくつかのアンチセンスペプチドがセンスペプチドと相互作用することが実験的に確認されている。
【0007】
一方、センスペプチドとアンチセンスペプチドは<疎水度的相補性>が高いというB1alockらによる指摘を受け、Fassinaらは、あるペプチドの中で連続する5以上の奇数個のアミノ酸の平均疎水度に対して相補的な(絶対値が同じで正負が逆の)疎水度をもつような相補ペプチドがもとのペプチドと結合することをいくつかの実験において示した(例えば、非特許文献3参照)。しかしながら、いずれの理論においても数多くの失敗例が報告されており、一般的な生理活性ペプチドの予測への適用には十分とは云えない。また、いずれの理論においても、標的アミノ酸配列の1つのアミノ酸に対して、複数のアミノ酸の候補が考えられるため、結果的に予測されるペプチドの候補は膨大な数にのぼり、それらの全てについて検討することはやはり膨大な時間、費用、労力を有する。
【0008】
また、標的アミノ酸配列に対して相互作用するアミノ酸配列からなる生理活性ペプチドを得ることに仮に成功したとしても、さらなる問題が存在する。創薬のターゲットとなるタンパク質標的部位としては、リガンド結合部位(例えば、受容体の場合)、基質結合部位(例えば、酵素の場合)、タンパク質間相互作用部位(例えば、転写因子、多量体(例えば、二量体)形成タンパク質の場合)等が挙げられるが、これらの標的部位は、1つの連続したアミノ酸配列から構成される場合よりも、むしろ1次構造上では離れて局在している複数の部分アミノ酸配列から構成される場合が非常に多い。従って、標的アミノ酸配列に対して相互作用するアミノ酸配列からなる生理活性ペプチドが得られたとしても、その標的部位に存在する他のアミノ酸配列にとって、そのアミノ酸配列は好ましいものではないことも多い。
【0009】
また、標的タンパク質の標的部位が、1次構造上では離れて局在している複数の部分アミノ酸配列から構成される場合には、従来、標的タンパク質の標的部位に対して特定のペプチドが相互作用するか否かは、例えば、分子モデリングを用いてドッキングさせ、エネルギー的に評価することによって行なわれていた。このような手法によってより多くのペプチドを評価するためには、現実的には、例えば、数千〜数十万の低分子を含むライブラリを用いたドッキングにおいて、1化合物当たりの評価時間はせいぜい1分程度に抑えなければならない。しかしながら4残基でさえペプチドの可変部位は側鎖のみでも最大20と多いため、例えば、AutoDock(例えば、非特許文献4参照)を利用したFlexible Dockingでは、Compac Alpha DS20E上での評価時間は、1ペプチド当たり約10分必要であった。例えば、3残基ペプチドの場合は20、すなわち8000回、6残基ペプチドの場合においては、64,000,000回のドッキングを実施する必要があり、網羅的スクリーニングは現実的には極めて困難である。
【0010】
以上の理由により、あるタンパク質の標的部位に対して優れた結合能を有し、かつ迅速な生理活性ペプチドの設計手法の開発が切望されていた。
【0011】
【非特許文献1】
「ジャーナル・オブ・セオレティカル・バイオロジー(Journal of theoretical Biology)」,1982年,94巻,p885−894
【非特許文献2】
「バイオケミカル・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーション(Biochemical Biophysical Research Communication)」,1984年,121巻,p203−207
【非特許文献3】
「アーカイブズ・オブ・バイオケミストリ・アンド・バイオフィジクス(Archives of Biochemistry and Biophysics)」,1992年,296巻,p137−143
【非特許文献4】
「ジャーナル・オブ・コンピューテーショナル・ケミストリ(Journal of Computational Chemistry)」,1998年,19巻,p1639−1662
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、標的アミノ酸配列の一次構造から、数学的手法によって従来よりも高い確実性をもって生理活性ペプチドを設計する手段を提供することである。本発明のさらなる目的は、標的アミノ酸配列のみならず、その標的アミノ酸配列を含む標的タンパク質自体をも考慮して好ましい生理活性ペプチドを設計する手段を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を行なった結果、標的アミノ酸配列に任意のアミノ酸指標、例えば、疎水度及び電気的特性に基づく指標等を当てはめて作成したプロファイル波形に対し、以下に詳述する相補性定義を満たす相補アミノ酸配列を順位付けして抽出することができる新規プログラムを独自に開発することに成功した。また、本発明者らは、標的タンパク質の標的部位が、1次構造上で離れて局在している複数の部分アミノ酸配列から構成される場合に、この標的部位に相互作用するアミノ酸配列の設計において特に有用である新規プログラムを独自に開発することにも成功した。
【0014】
本発明者らはさらに、標的アミノ酸配列を含む標的タンパク質自体に対して、上記で抽出した相補アミノ酸配列が好ましい生理活性ペプチドとして作用し得るか否かを予測できる方法、プログラム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体及び装置を独自に開発し、本発明を完成するに至った。
【0015】
即ち、本発明は、以下の特徴を有するものである。
(1)標的アミノ酸配列と相互作用し得る生理活性ペプチドを設計する方法であって、
(a1)標的アミノ酸配列の配列データ入力を受け付けるステップと、
(b1)1以上の所定のアミノ酸指標に従い、該標的アミノ酸配列を1以上の移動平均プロファイル波形に変換するステップと、
(c1)標的アミノ酸配列の相補アミノ酸配列候補を生成して、ステップ(b1)と同一の1以上のアミノ酸指標を使用して1以上の相補移動平均プロファイル波形に変換するステップと、
(d1)同一のアミノ酸指標に由来する相補度パラメータを、該標的アミノ酸配列に対する1以上の移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列候補の1以上の相補移動平均プロファイル波形との間でそれぞれ計算するステップと、
(e1)相補アミノ酸配列候補を、該相補度パラメータととともに記憶手段に記憶するステップと、
(f1)ステップ(e1)によって記憶された情報に基づいて、所定の数の相補アミノ酸配列を抽出するステップと、
(g1)抽出された相補アミノ酸配列を、生理活性ペプチドの候補として表示するステップとを包含する、方法。
【0016】
(2)該相補度パラメータが、該標的アミノ酸配列に対する移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列候補の相補移動平均プロファイル波形との間の相関係数である、上記(1)の方法。
【0017】
(3)該アミノ酸指標が、疎水度に基づく指標、電気的特性に基づく指標、α−ヘリックスおよびβ−シートのとりやすさを表す指標、及び側鎖体積の相対的な大きさを表す指標から選ばれる1以上の指標である、上記(1)または(2)の方法。
【0018】
(4)1以上の所定のアミノ酸指標を使用してステップ(a1)〜(f1)で抽出された所定の数の相補アミノ酸配列に対して、1以上の別のアミノ酸指標を使用してステップ(b1)〜(f1)を行なうということを1回以上繰り返すことにより、生理活性ペプチドとして抽出される相補アミノ酸配列候補をさらに絞り込むことを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
【0019】
(5)標的タンパク質と相互作用し得る生理活性ペプチドを設計する方法であって、
(a1’)標的タンパク質中の標的アミノ酸配列の配列データ入力を受け付けるステップと、
(b1’)1以上の所定のアミノ酸指標に従い、該標的アミノ酸配列を1以上の移動平均プロファイル波形に変換するステップと、
(c1’)標的アミノ酸配列の相補アミノ酸配列候補を生成して、ステップ(b1’)と同一の1以上のアミノ酸指標を使用して1以上の相補移動平均プロファイル波形に変換するステップと、
(d1’)同一のアミノ酸指標に由来する相補度パラメータを、該標的アミノ酸配列に対する1以上の移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列候補の1以上の相補移動平均プロファイル波形との間でそれぞれ計算するステップと、
(e1’)相補アミノ酸配列候補を、該相補度パラメータととともに記憶手段に記憶するステップと、
(f1’)ステップ(e1’)によって記憶された情報に基づいて、所定の数の相補アミノ酸配列候補を抽出するステップと、
(g1’)抽出された相補アミノ酸配列候補について、標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを計算するステップと、
(h1’)相補アミノ酸配列候補を、該分子間エネルギーパラメータとともに記憶手段に記憶するステップと、
(i1’)ステップ(h1’)によって記憶された情報に基づいて、所定の数の相補アミノ酸配列を抽出するステップと、
(j1’)抽出された相補アミノ酸配列を、生理活性ペプチドの候補として表示するステップとを包含する、方法。
【0020】
(6)該相補度パラメータが、該標的アミノ酸配列に対する移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列候補の相補移動平均プロファイル波形との間の相関係数である、上記(5)の方法。
【0021】
(7)該アミノ酸指標が、疎水度に基づく指標、電気的特性に基づく指標、α−ヘリックスおよびβ−シートのとりやすさを表す指標、及び側鎖体積の相対的な大きさを表す指標から選ばれる1以上の指標である、上記(5)または(6)の方法。
【0022】
(8)1以上の所定のアミノ酸指標を使用してステップ(a1’)〜(f1’)で抽出された所定の数の相補アミノ酸配列候補に対して、1以上の別のアミノ酸指標を使用してステップ(b1’)〜(f1’)を行なうということを1回以上繰り返すことによって相補アミノ酸配列候補を絞り込んだ後に、ステップ(g1’)〜(i1’)を行なうことを特徴とする、上記(5)〜(7)のいずれかに記載の方法。
【0023】
(9)標的アミノ酸配列と相互作用し得る生理活性ペプチドを設計するためのプログラムであって、
(a1)標的アミノ酸配列の配列データ入力を受け付けるステップと、
(b1)1以上の所定のアミノ酸指標に従い、該標的アミノ酸配列を1以上の移動平均プロファイル波形に変換するステップと、
(c1)標的アミノ酸配列の相補アミノ酸配列候補を生成して、ステップ(b1)と同一の1以上のアミノ酸指標を使用して1以上の相補移動平均プロファイル波形に変換するステップと、
(d1)同一のアミノ酸指標に由来する相補度パラメータを、該標的アミノ酸配列に対する1以上の移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列候補の1以上の相補移動平均プロファイル波形との間でそれぞれ計算するステップと、
(e1)相補アミノ酸配列候補を、該相補度パラメータととともに記憶手段に記憶するステップと、
(f1)ステップ(e1)によって記憶された情報に基づいて、所定の数の相補アミノ酸配列を抽出するステップと、
(g1)抽出された相補アミノ酸配列を、生理活性ペプチドの候補として表示するステップとを、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【0024】
(10)該相補度パラメータが、該標的アミノ酸配列に対する移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列候補の相補移動平均プロファイル波形との間の相関係数である、上記(9)のプログラム。
【0025】
(11)該アミノ酸指標が、疎水度に基づく指標、電気的特性に基づく指標、α−ヘリックスおよびβ−シートのとりやすさを表す指標、及び側鎖体積の相対的な大きさを表す指標から選ばれる1以上の指標である、上記(9)または(10)のプログラム。
【0026】
(12)1以上の所定のアミノ酸指標を使用してステップ(a1)〜(f1)で抽出された所定の数の相補アミノ酸配列に対して、1以上の別のアミノ酸指標を使用してステップ(b1)〜(f1)を行なうということを1回以上繰り返すことにより、生理活性ペプチドとして抽出される相補アミノ酸配列候補をさらに絞り込むことを特徴とする、上記(9)〜(11)のいずれかに記載のプログラム。
【0027】
(13)標的タンパク質と相互作用し得る生理活性ペプチドを設計するためのプログラムであって、
(a1’)標的タンパク質中の標的アミノ酸配列の配列データ入力を受け付けるステップと、
(b1’)1以上の所定のアミノ酸指標に従い、該標的アミノ酸配列を1以上の移動平均プロファイル波形に変換するステップと、
(c1’)標的アミノ酸配列の相補アミノ酸配列候補を生成して、ステップ(b1’)と同一の1以上のアミノ酸指標を使用して1以上の相補移動平均プロファイル波形に変換するステップと、
(d1’)同一のアミノ酸指標に由来する相補度パラメータを、該標的アミノ酸配列に対する1以上の移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列候補の1以上の相補移動平均プロファイル波形との間でそれぞれ計算するステップと、
(e1’)相補アミノ酸配列候補を、該相補度パラメータととともに記憶手段に記憶するステップと、
(f1’)ステップ(e1’)によって記憶された情報に基づいて、所定の数の相補アミノ酸配列候補を抽出するステップと、
(g1’)抽出された相補アミノ酸配列候補について、標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを計算するステップと、
(h1’)相補アミノ酸配列候補を、該分子間エネルギーパラメータとともに記憶手段に記憶するステップと、
(i1’)ステップ(h1’)によって記憶された情報に基づいて、所定の数の相補アミノ酸配列を抽出するステップと、
(j1’)抽出された相補アミノ酸配列を、生理活性ペプチドの候補として表示するステップとを、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【0028】
(14)該相補度パラメータが、該標的アミノ酸配列に対する移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列候補の相補移動平均プロファイル波形との間の相関係数である、上記(13)のプログラム。
【0029】
(15)該アミノ酸指標が、疎水度に基づく指標、電気的特性に基づく指標、α−ヘリックスおよびβ−シートのとりやすさを表す指標、及び側鎖体積の相対的な大きさを表す指標から選ばれる1以上の指標である、上記(13)または(14)のプログラム。
【0030】
(16)1以上の所定のアミノ酸指標を使用してステップ(a1’)〜(f1’)で抽出された所定の数の相補アミノ酸配列候補に対して、1以上の別のアミノ酸指標を使用してステップ(b1’)〜(f1’)を行なうということを1回以上繰り返すことによって相補アミノ酸配列候補を絞り込んだ後に、ステップ(g1’)〜(i1’)を行なうことを特徴とする、上記(13)〜(15)のいずれかに記載のプログラム。
【0031】
(17)上記(9)〜(16)のいずれかに記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0032】
(18)標的アミノ酸配列と相互作用し得る生理活性ペプチドを設計するための装置であって、(イ)データ入力部と、(ロ)データ編集部と、(ハ)相補アミノ酸配列候補生成部と、(ニ)相補度計算部と、(ホ)相補アミノ酸配列候補記憶部と、(ヘ)相補アミノ酸配列探索部と、(ト)相補アミノ酸配列表示部とを備え、
該データ入力部は、(a1)標的アミノ酸配列の配列データ入力を受け付ける手段を含み、
該データ編集部は、(b1)1以上の所定のアミノ酸指標に従い、該標的アミノ酸配列を1以上の移動平均プロファイル波形に変換する手段を含み、
該相補アミノ酸配列候補生成部は、(c1)標的アミノ酸配列の相補アミノ酸配列候補を生成して、ステップ(b1)と同一の1以上のアミノ酸指標を使用して1以上の相補移動平均プロファイル波形に変換する手段を含み、
該相補度計算部は、(d1)同一のアミノ酸指標に由来する相補度パラメータを、該標的アミノ酸配列に対する1以上の移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列候補の1以上の相補移動平均プロファイル波形との間でそれぞれ計算する手段を含み、
該相補アミノ酸配列候補記憶部は、(e1)相補アミノ酸配列候補を、該相補度パラメータととともに記憶する手段を含み、
該相補アミノ酸配列探索部は、(f1)手段(e1)で記憶された情報に基づいて、所定の数の相補アミノ酸配列を抽出する手段を含み、
該相補アミノ酸配列表示部は、(g1)手段(f1)で抽出された相補アミノ酸配列を、生理活性ペプチドの候補として表示する手段を含む、装置。
【0033】
(19)該相補度パラメータが、該標的アミノ酸配列に対する移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列候補の相補移動平均プロファイル波形との間の相関係数である、上記(18)の装置。
【0034】
(20)該アミノ酸指標が、疎水度に基づく指標、電気的特性に基づく指標、α−ヘリックスおよびβ−シートのとりやすさを表す指標、及び側鎖体積の相対的な大きさを表す指標から選ばれる1以上の指標である、上記(18)または(19)の装置。
【0035】
(21)標的タンパク質と相互作用し得る生理活性ペプチドを設計するための装置であって、(イ)データ入力部と、(ロ)データ編集部と、(ハ)相補アミノ酸配列候補生成部と、(ニ)相補度計算部と、(ホ)相補アミノ酸配列候補記憶部と、(ヘ)相補アミノ酸配列探索部と、(ト)相補アミノ酸配列表示部とを備え、
該データ入力部は、(a1’)標的タンパク質中の標的アミノ酸配列の配列データ入力を受け付ける手段を含み、
該データ編集部は、(b1’)1以上の所定のアミノ酸指標に従い、該標的アミノ酸配列を1以上の移動平均プロファイル波形に変換する手段を含み、
該相補アミノ酸配列候補生成部は、(c1’)標的アミノ酸配列の相補アミノ酸配列候補を生成して、手段(b1’)と同一の1以上のアミノ酸指標を使用して1以上の相補移動平均プロファイル波形に変換する手段を含み、
該相補度計算部は、(k1’)同一のアミノ酸指標に由来する相補度パラメータを、該標的アミノ酸配列に対する1以上の移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列候補の1以上の相補移動平均プロファイル波形との間でそれぞれ計算し、さらに標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを計算する手段を含み、
該相補アミノ酸配列候補記憶部は、(l1’)相補アミノ酸配列候補を、該相補度パラメータおよび該分子間エネルギーパラメータとともに記憶する手段を含み、
該相補アミノ酸配列探索部は、(m1’)手段(k1’)によって記憶された情報に基づいて、所定の数の相補アミノ酸配列を抽出する手段を含み、
該相補アミノ酸配列表示部は、(n1’)該相補アミノ酸配列探索部によって抽出された相補アミノ酸配列を、生理活性ペプチドの候補として表示する手段を含む、装置。
【0036】
(22)該相補度パラメータが、該標的アミノ酸配列に対する移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列候補の相補移動平均プロファイル波形との間の相関係数である、上記(21)の装置。
【0037】
(23)該アミノ酸指標が、疎水度に基づく指標、電気的特性に基づく指標、α−ヘリックスおよびβ−シートのとりやすさを表す指標、及び側鎖体積の相対的な大きさを表す指標から選ばれる1以上の指標である、上記(21)または(22)の装置。
【0038】
(24)さらに、ステップ(i1’)とステップ(j1’)との間において、
(I)ステップ(i1’)で抽出されたアミノ酸配列に対しアミノ酸変異を導入したアミノ酸配列を生成するステップと、
(II)ステップ(I)で生成されたアミノ酸配列と標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを計算するステップと、
(III)ステップ(i1’)で抽出されたアミノ酸配列と標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを対照として、ステップ(II)で計算された分子間エネルギーパラメータを比較し、対照の分子間エネルギーパラメータよりも安定な分子間エネルギーパラメータを有するアミノ酸配列を抽出するステップとを含む、上記(13)〜(16)のいずれかのプログラム。
【0039】
(25)標的タンパク質と相互作用し得る生理活性ペプチドを設計するためのプログラムであって、
(a2)標的タンパク質の標的部位と相互作用するタンパク質中の相互作用領域を特定するステップと、
(b2)該相互作用領域から任意の長さのアミノ酸配列を抽出するステップとを、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【0040】
(26)標的タンパク質と相互作用し得る生理活性ペプチドを設計するためのプログラムであって、
(a2’)標的タンパク質の標的部位と相互作用するタンパク質中の相互作用領域を特定するステップと、
(b2’)該相互作用領域から任意の長さのアミノ酸配列を抽出するステップと、
(c2’)抽出されたアミノ酸配列について、標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを計算するステップと、
(d2’)該アミノ酸配列を、該分子間エネルギーパラメータとともに記憶手段に記憶するステップと、
(e2’)ステップ(d2’)によって記憶された情報に基づいて、所定の数のアミノ酸配列を抽出するステップと、
(f2’)抽出されたアミノ酸配列を、生理活性ペプチドの候補として表示するステップとを、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【0041】
(27)さらに、ステップ(e2’)とステップ(f2’)との間において、
(I)ステップ(e2’)で抽出されたアミノ酸配列に対しアミノ酸変異を導入したアミノ酸配列を生成するステップと、
(II)ステップ(I)で生成されたアミノ酸配列と標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを計算するステップと、
(III)ステップ(e2’)で抽出されたアミノ酸配列と標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを対照として、ステップ(II)で計算された分子間エネルギーパラメータを比較し、対照の分子間エネルギーパラメータよりも安定な分子間エネルギーパラメータを有するアミノ酸配列を抽出するステップとを含む、上記(26)のプログラム。
【0042】
(28)標的タンパク質と相互作用し得る生理活性ペプチドを設計するためのプログラムであって、
(a3)一定の長さのアミノ酸配列を網羅的に生成し、その中からランダムにアミノ酸配列を選択して解析用ライブラリとして抽出するステップと、
(b3)解析用ライブラリとして抽出された各アミノ酸配列について分子間エネルギーパラメータを計算するステップと、
(c3)ステップ(b3)で計算された分子間エネルギーパラメータを用いて、アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクスを生成するステップと、
(d3)アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクスを用いて、アミノ酸出現頻度に基づくスコアを計算するステップと、
(e3)ステップ(b3)で計算された分子間エネルギーパラメータと該スコアとの間で相関解析を行い、回帰式を得るステップと、
(f3)該回帰式を用いて、アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクスを、アミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータに基づくマトリクスに変換するステップと、
(g3)アミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータに基づくマトリクスから、アミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータ値を計算するステップと、
(h3)所定のアミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータ値以下のアミノ酸配列を抽出するステップとを、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【0043】
(29)標的タンパク質と相互作用し得る生理活性ペプチドを設計するためのプログラムであって、
(a3’)一定の長さのアミノ酸配列を網羅的に生成し、その中からランダムにアミノ酸配列を選択して解析用ライブラリとして抽出するステップと、
(b3’)解析用ライブラリとして抽出された各アミノ酸配列について分子間エネルギーパラメータを計算するステップと、
(c3’)ステップ(b3’)で計算された分子間エネルギーパラメータを用いて、アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクスを生成するステップと、
(d3’)アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクスを用いて、アミノ酸出現頻度に基づくスコアを計算するステップと、
(e3’)ステップ(b3’)で計算された分子間エネルギーパラメータと該スコアとの間で相関解析を行い、回帰式を得るステップと、
(f3’)該回帰式を用いて、アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクスを、アミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータに基づくマトリクスに変換するステップと、
(g3’)アミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータに基づくマトリクスから、アミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータ値を計算するステップと、
(h3’)所定のアミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータ値以下のアミノ酸配列を抽出するステップと、
(i3’)抽出されたアミノ酸配列について、標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを計算するステップと、
(j3’)該アミノ酸配列を、該分子間エネルギーパラメータとともに記憶手段に記憶するステップと、
(k3’)ステップ(j3’)によって記憶された情報に基づいて、所定の数のアミノ酸配列を抽出するステップと、
(l3’)ステップ(k3’)によって抽出されたアミノ酸配列を、生理活性ペプチドの候補として表示するステップとを、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【0044】
(30)さらに、ステップ(k3’)とステップ(l3’)との間において、
(I)ステップ(k3’)で抽出されたアミノ酸配列に対しアミノ酸変異を導入したアミノ酸配列を生成するステップと、
(II)ステップ(I)で生成されたアミノ酸配列と標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを計算するステップと、
(III)ステップ(k3’)で抽出されたアミノ酸配列と標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを対照として、ステップ(II)で計算された分子間エネルギーパラメータを比較し、対照の分子間エネルギーパラメータよりも安定な分子間エネルギーパラメータを有するアミノ酸配列を抽出するステップとを含む、上記(29)のプログラム。
【0045】
(31)標的タンパク質と相互作用し得る生理活性ペプチドを設計するための装置であって、(イ2)相互作用領域特定部と、(ロ2)アミノ酸配列第1探索部と、(ハ2)分子間エネルギー計算部と、(ニ2)アミノ酸配列記憶部と、(ホ2)アミノ酸配列第2探索部と、(ヘ2)アミノ酸配列表示部とを備え、
該相互作用領域特定部は、(a2’)標的タンパク質の標的部位と相互作用するタンパク質分子中の相互作用領域を特定する手段を含み、
該アミノ酸配列第1探索部は、(b2’)該相互作用領域から任意の長さのアミノ酸配列を抽出する手段を含み、
該分子間エネルギー計算部は、(c2’)抽出されたアミノ酸配列について、標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを計算する手段を含み、
該アミノ酸配列記憶部は、(d2’)該アミノ酸配列を、該分子間エネルギーパラメータとともに記憶手段に記憶する手段を含み、
該アミノ酸配列第2探索部は、(e2’)ステップ(d2’)によって記憶された情報に基づいて、所定の数のアミノ酸配列を抽出する手段を含み、
該アミノ酸配列表示部は、(f2’)抽出されたアミノ酸配列を、生理活性ペプチドの候補として表示する手段を含む、装置。
【0046】
(32)標的タンパク質と相互作用し得る生理活性ペプチドを設計するための装置であって、(イ3)アミノ酸配列第1探索部と、(ロ3)分子間エネルギー第1計算部と、(ハ3)スコアマトリクス生成部と、(ニ3)スコア計算部と、(ホ3)回帰式形成部と、(ヘ3)マトリクス変換部と、(ト3)アミノ酸位置依存的エネルギー計算部と、(チ3)アミノ酸配列第2探索部と、(リ3)分子間エネルギー第2計算部と、(ヌ3)アミノ酸配列記憶部と、(ル3)アミノ酸配列第3探索部と、(オ3)アミノ酸配列表示部とを備え、
該アミノ酸配列第1探索部は、(a3’)一定の長さのアミノ酸配列を網羅的に生成し、その中からランダムにアミノ酸配列を選択して解析用ライブラリとして抽出する手段を含み、
該分子間エネルギー第1計算部は、(b3’)解析用ライブラリとして抽出された各アミノ酸配列について分子間エネルギーパラメータを計算する手段を含み、
該スコアマトリクス生成部は、(c3’)ステップ(b3’)で計算された分子間エネルギーパラメータを用いて、アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクスを生成する手段を含み、
該スコア計算部は、(d3’)アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクスを用いて、アミノ酸出現頻度に基づくスコアを計算する手段を含み、
該回帰式形成部は、(e3’)ステップ(b3’)で計算された分子間エネルギーパラメータと該スコアとの間で相関解析を行い、回帰式を得る手段を含み、該マトリクス変換部は、(f3’)該回帰式を用いて、アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクスを、アミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータに基づくマトリクスに変換する手段を含み、
該アミノ酸位置依存的エネルギー計算部は、(g3’)アミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータに基づくマトリクスから、アミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータ値を計算する手段を含み、
該アミノ酸配列第2探索部は、(h3’)所定のアミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータ値以下のアミノ酸配列を抽出する手段を含み、
該分子間エネルギー第2計算部は、(i3’)抽出されたアミノ酸配列について、標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを計算する手段を含み、
該アミノ酸配列記憶部は、(j3’)該アミノ酸配列を、該分子間エネルギーパラメータとともに記憶手段に記憶する手段を含み、
該アミノ酸配列探索部は、(k3’)ステップ(j3’)によって記憶された情報に基づいて、所定の数のアミノ酸配列を抽出する手段を含み、
該アミノ酸配列表示部は、(l3’)ステップ(k3’)によって抽出されたアミノ酸配列を、生理活性ペプチドの候補として表示する手段を含む、装置。
【0047】
【発明の実施の形態】
先ず、本明細書で用いている語句及び方法について、1次スクリーニング、2次スクリーニング及び3次スクリーニングの順に説明する。なお、1次スクリーニングとしては複数の評価法を用いることができるが、標的タンパク質に応じたより適した評価法を適宜選択することができる。この選択は、標的タンパク質の種類、標的となるタンパク質の標的部位の特徴、既知のリガンド(タンパク質)が存在するか否か、その相互作用領域が特定されているか否かなどの観点から行なわれる。
【0048】
I.1次スクリーニング
1次スクリーニングとしては、アミノ酸相補プロファイル波形評価、アミノ酸相互作用領域評価、及びアミノ酸位置依存的結合有意性評価による方法を用いることができる。アミノ酸相補プロファイル波形評価は、主として、連続するアミノ酸配列からなる標的部位に対して相互作用する生理活性ペプチドを設計するのに有用である。一方、アミノ酸相互作用領域評価及びアミノ酸位置依存的結合有意性評価は、連続するアミノ酸配列からなる標的部位に相互作用する生理活性ペプチドの設計に有用であるばかりでなく、標的タンパク質の標的部位が、1次構造上で離れて局在している複数の部分アミノ酸配列から構成される場合に、この標的部位に相互作用する生理活性ペプチドの設計にも有用である。具体的には、1次スクリーニングにおける設計手法は、標的タンパク質に応じて選択される。設計手法は、リガンド情報の有無、標的部位の連続・不連続、酵素又は表面にポケットを持つかどうかの3つの判断基準により、最も適切なものを選択することができる。それぞれについての概要を以下の表1に示し、さらに、それぞれについて、順番に説明する。
【0049】
【表1】
Figure 2004081178
【0050】
A.アミノ酸相補プロファイル波形評価(相補ペプチドライブラリの生成)
アミノ酸相補プロファイル波形評価とは、標的アミノ酸配列の物理化学的なアミノ酸指標を基に、標的アミノ酸配列と相互作用するアミノ酸配列を有するペプチドを評価する方法である。この評価法は、標的タンパク質の標的部位が1つの連続するアミノ酸配列からなる場合に特に有用である。以下、アミノ酸相補プロファイル波形評価において用いられる用語及びこの評価の概要について述べる。
【0051】
「標的アミノ酸配列」とは、相補アミノ酸配列の設計において標的となるアミノ酸配列をいう。即ち、本発明は、この「標的アミノ酸配列」に相互作用するアミノ酸配列(相補アミノ酸配列)からなる生理活性ペプチドを設計することを目的とする。好ましくは、標的アミノ酸配列は、創薬のターゲットとなる標的タンパク質(例えば、受容体、酵素等)中に見出されるアミノ酸配列である。
【0052】
「相補アミノ酸配列」とは、本発明における相補(性)の定義を満たすアミノ酸配列をいう。
【0053】
「相補(性)」とは、標的アミノ酸配列に任意のアミノ酸指標を当てはめたプロファイル波形に対し、移動平均により低域通過させた移動平均プロファイル波形に負の相関性を持つ相補移動平均プロファイル波形を近似するプロファイル波形をもつアミノ酸配列と標的アミノ酸配列との間の関係のことをいう。したがって、あるアミノ酸配列の移動平均プロファイル波形が、他のアミノ酸配列の移動平均プロファイル波形よりも、標的アミノ酸配列の相補移動平均プロファイル波形との相関係数R(以下に説明)が小さい場合、当該アミノ酸配列は、標的アミノ酸配列に「より相補的」である。
【0054】
「プロファイル波形」とは、アミノ酸配列にアミノ酸指標を当てはめることにより生成される波形のことをいう。
【0055】
「移動平均プロファイル波形」とは、プロファイル波形を所定のウィンドウ幅で移動平均させた波形をいう。標的アミノ酸配列に任意のアミノ酸指標を当てはめたプロファイル波形をTとすると、任意(奇数)のウィンドウ幅wでの移動平均プロファイル波形xは、[式1]によって示される。
【0056】
【数1】
Figure 2004081178
【0057】
また、本明細書中では特に、相補アミノ酸配列の移動平均プロファイル波形を、「相補移動平均プロファイル波形」と呼ぶ。相補アミノ酸配列候補に任意のアミノ酸指標を当てはめたプロファイル波形をCとすると、任意(奇数)のウィンドウ幅wでの相補移動平均プロファイル波形yは、[式2]によって示される。
【0058】
【数2】
Figure 2004081178
【0059】
「ウィンドウ(Window)幅」とは、移動平均プロファイル波形を作成する際、プロファイル波形を足し合わせる範囲の幅をいう。ウィンドウ幅は、任意の奇数に設定可能であるが、通常は1〜13、好ましくは3〜13、より好ましくは5〜11に設定される。
【0060】
「アミノ酸指標」とは、アミノ酸の物理化学的特徴を数値化した指標のことをいう。アミノ酸指標は、現在までに400種類以上蓄積されており、例えば、京都大学化学研究所が提供するデータベースAAindexなどから、これらの指標を検索することができる。これらのアミノ酸の指標は、疎水性、β構造形成のしやすさ、αヘリックス形成及びターン形成のしやすさ、並びに側鎖の物理化学的性質(例えば、側鎖体積の相対的な大きさ)の5つの特徴に大別できる(例えば、Tomii and Kanehisa, Protein Eng., 9, 27−36 (1996)を参照のこと)。本発明において、プロファイル波形を生成する際のアミノ酸指標は、約400種類から選択可能である。また、上記データベースは、当該プログラムに付帯して当該装置(後述)の記憶装置に格納されたものであってもよく、また、インターネットなどの通信によって参照可能な外部の記憶装置に格納されたものであってもよい。
【0061】
本発明において用いられる好ましいアミノ酸指標の例としては、疎水度に基づく指標、電気的特性に基づく指標、α−ヘリックスおよびβ−シートのとりやすさを表す指標、側鎖体積の相対的な大きさを表す指標が挙げられるが、アミノ酸指標は、より好ましくは、疎水度に基づく指標及び電気的特性に基づく指標から選択される。疎水度に基づく指標としては、例えば、Kyte−Doolittleのhydropathy index、Jonesらのhydrophobicity、およびConsensus Normalized Hydrophobicity scale [参考文献3]等が挙げられるが、特に、Consensus Normalized Hydrophobicity scaleが好ましい。また、電気的特性に基づく指標とは、分子の分極度合、静電的な相互作用を表す指標をいい、例えば、FauchereらのLocalized electrical effect、GranthamらのPolarity、およびElectron−ion interaction potential(EIIP)[参考文献4]等が挙げられるが、特に、Electron−ion interaction potential(EIIP)が好ましい [参考文献4]。
【0062】
「相補度パラメータ」とは、標的アミノ酸配列の移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列の相補移動平均プロファイル波形との間の相補性を示す値をいう。相補度パラメータの一例は、以下[式3]に示される相関係数Rである。
【0063】
【数3】
Figure 2004081178
【0064】
ここで、移動平均プロファイル波形の平均値は、[式4]で示される。
【0065】
【数4】
Figure 2004081178
【0066】
また、相補移動平均プロファイル波形の平均値は、[式5]で示される。
【0067】
【数5】
Figure 2004081178
【0068】
当業者は、上記[式3]の相関係数に加え、上記[式3]から誘導される数式より算出される値を相補度パラメータとして使用することができる。
【0069】
「平均値パラメータ(Pave)」とは、(i)以下[式6]に示される、標的アミノ酸配列のプロファイル波形の平均値
【0070】
【数6】
Figure 2004081178
【0071】
または(ii)以下[式7]に示される、使用したアミノ酸指標の平均値
【0072】
【数7】
Figure 2004081178
【0073】
をいう。
【0074】
「フィルター値」とは、相補アミノ酸配列候補数を絞り込むために設定される値をいうが、本発明では、特に、相補度パラメータに関するフィルター値および平均値パラメータに関するフィルター値が利用される。
【0075】
相補度パラメータに関するフィルター値としては、例えば、相関係数フィルター値R(この値Rに基づき、R<Rに該当する相関係数Rを有する相補アミノ酸配列候補のみが選択される)が利用される。好ましくは、標的アミノ酸配列の移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列の相補移動平均プロファイル波形との間には負の相関性が必要とされる。従って、相関係数フィルター値Rは、−1以上の任意の負の数に設定可能であるが、好ましくはR≦−0.9に設定される。なお、相補度パラメータに関するフィルター値は、相補度パラメータの計算前に予め設定されていてもよいし、計算の後に適宜設定してもよい。
【0076】
また、平均値パラメータに関するフィルター値として、Paveフィルター値a,bが設定される。この値a,bに基づき、a<Pave<bに該当するPaveを有する相補アミノ酸配列候補のみが選択される。なお、Paveが疎水度の高い値をとる場合には、得られる生理活性ペプチドが不溶性になり実験が困難になるので、a,bの値は、好ましくは、親水度が高い値に設定される。なお、Paveフィルター値は、Paveの計算前に予め設定されていてもよいし、Pave計算の後に適宜設定してもよい。
【0077】
フィルター値として、相関係数フィルター値Rのみを用いてもよいが、好ましくは、Paveフィルター値a,bがさらに用いられる。この場合には、条件式は以下の通りである。
【0078】
【数8】
Figure 2004081178
【0079】
本評価法によって選択されたアミノ酸配列(相補ペプチドライブラリ)は、好ましくは、後述の2次スクリーニングに供される。
【0080】
B.アミノ酸相互作用領域評価(断片化ペプチドライブラリの生成)
アミノ酸相互作用領域評価とは、標的タンパク質と相互作用するタンパク質の一次構造(アミノ酸配列)情報を利用して、標的タンパク質に結合しうるペプチドを設計する方法をいう。この評価法は、標的タンパク質に相互作用する、若しくは相互作用が予測されるタンパク質の一次構造(アミノ酸配列)が既知である場合に特に有用である。以下、アミノ酸相互作用領域評価において用いられる用語及びこの評価の概要について述べる。
【0081】
標的タンパク質の標的部位と相互作用するタンパク質中の「相互作用領域」については、ある標的タンパク質と相互作用しうる領域が既に特定されているタンパク質が存在する場合には、その領域を選択する。1つのタンパク質内に複数の相互作用領域が存在する場合には、それらの複数の領域を相互作用領域として選択する。ある標的タンパク質と相互作用し得るタンパク質が複数知られている場合には、これらのタンパク質から複数の相互作用領域を取得することもできる。一方、標的タンパク質と相互作用するタンパク質自体は既知であるが、その相互作用する領域が特定されていない場合には、当該分野で周知の方法(例えば、RBD法[参考文献5])によってこの領域を選択することができる。尚、ある標的タンパク質と相互作用するタンパク質自体が未知の場合にも本評価法は適用可能であるが、好ましくは、ある標的タンパク質と相互作用するタンパク質自体が既知の場合に本評価法は適用される。
【0082】
本評価法において抽出されるアミノ酸配列の長さ(即ち、アミノ酸残基の数)としては、上記の相互作用領域の全長以内であれば、任意の長さのアミノ酸配列を抽出することが可能であるが、好ましくは、3〜7個のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列、より好ましくは4個のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を抽出することができる。なお、アミノ酸配列の抽出は網羅的に行なわれる。例えば、X個のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を抽出する場合には、上記の相互作用領域のN末端からC末端にかけて、N−X+1個のアミノ酸配列が抽出され、断片化ペプチドライブラリとして格納される。また、抽出されるアミノ酸配列の長さは統一してもよいが、変動させてもよい。例えば、X個のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を、相互作用領域から網羅的にN−X+1個抽出し、X’個(Xとは異なる数)のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を、同じ相互作用領域から重複して網羅的にN−X’+1個抽出して、長さの異なるアミノ酸配列を断片化ペプチドライブラリに格納してもよい。本評価法によって抽出されたアミノ酸配列(断片化ペプチドライブラリ)は、後述の2次スクリーニングによって選択される。
【0083】
C.アミノ酸位置依存的結合有意性評価(位置スコアペプチドライブラリの生成)
アミノ酸位置依存的結合有意性評価は、千〜数十万にも及ぶアミノ酸配列を含むペプチドライブラリからランダムにわずか数%のアミノ酸配列を取得し、標的タンパク質との相互作用エネルギーを評価することにより、高速なΔG計算を可能とするスコアマトリクスを構築し、ペプチド設計を実施することを特徴とする。なお、この評価法は、基質特異性が似ている複数のタンパク質が存在する場合に、このうちの1つのタンパク質を標的タンパク質として選択し、この標的タンパク質に特異性が高いペプチドを設計することもできる。
【0084】
本評価法は、任意の標的タンパク質に対して適用可能であるが、好ましくは、標的タンパクとして分子表面にポケットを持ち、かつ結合に伴う構造変化が少ないと考えられる酵素など(例えば、ペプチダーゼ)に対して適用される。これはスコアマトリクスの作成の際、位置依存的なアミノ酸出現頻度をその基盤としているところに由来している。すなわち、本評価法は、ペプチドとの結合の際、限定された骨格及び結合様式を必要とするものに対して好ましい。
【0085】
「解析用ライブラリ」は、一定の長さのアミノ酸配列(即ち、特定の数のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列)を網羅的に生成したものからランダムに抽出されたアミノ酸配列の集合からなる。解析用ライブラリに含まれるアミノ酸配列の数は、網羅的に生成された一定の長さのアミノ酸配列の総数に対して数%でよい。例えば、X個のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を設計する場合には、20の組み合わせを網羅的に生成し、生成された20個のアミノ酸配列から数%をランダムに選択して解析用ライブラリとして使用する。また、解析用ライブラリとして選択されるアミノ酸配列の数は、特定の数に限定されるものではなく、適宜設定可能である。なお、本評価で設計可能なアミノ酸配列の長さは特に限定されないが、2〜10個のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列が好ましく、3〜5個のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列がより好ましい。また、「解析用ライブラリ」の妥当性を評価するために、「評価用ライブラリ」の生成も必要に応じて行なわれる。「評価用ライブラリ」としては、網羅的に生成されたアミノ酸配列のうち、「解析用ライブラリ」に用いられたアミノ酸配列を除いたものから選択される。「評価用ライブラリ」として用意されるアミノ酸配列の数は、特に限定されないが、「解析用ライブラリ」として用意されるアミノ酸配列の数よりも少ない数に設定される。
【0086】
「分子間エネルギーパラメータ」については、後述の「II.2次スクリーニング」に記載したものと同義であり、その計算についても後述の方法と同様に行なわれる。
【0087】
「アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクス」とは、アミノ酸出現頻度に基づいて生成されたマトリクスであるならばいかなるものをも意味する。「アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクス」の例は、下記[式9]に従い生成されるPSSマトリクス(Positional Scanning Score−MATRIX)である。なお、aijは、解析用ライブラリに含まれる全ペプチド群中のポジションjにおけるアミノ酸iの出現回数を示し、bijは、解析用ライブラリに含まれる閾値ΔG以下のペプチド群中のポジションjにおけるアミノ酸iの出現回数である。なお、上記では、閾値ΔGは、予め設定されていてもよいが、後述する方法で設定されてもよい。
【0088】
【数9】
Figure 2004081178
【0089】
「アミノ酸出現頻度に基づくスコア」は、上記「アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクス」に従って計算されるものを意味し、その一例は、下記[式10]によって計算されるPSS(Positional Scanning Score)である[参考文献6]。なお、下記[式10]において、nは、決定されるべきアミノ酸の数を示し、Cijは、20×nのマトリクスであり、0若しくは1の値で構成される。また、任意のアミノ酸配列中のポジションjにおけるアミノ酸iと一致する要素は1、不一致の要素は0とする。
【0090】
【数10】
Figure 2004081178
【0091】
「アミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータに基づくマトリクス」とは、解析用ライブラリとして抽出された各アミノ酸配列について計算された「分子間エネルギーパラメータ」と「アミノ酸出現頻度に基づくスコア」との間の相関解析で得られた回帰式を用いて、「アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクス」を変換したものをいう。一例は、PSGマトリクス(Positional Scanning ΔG−MATRIX)である。なお、「アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクス」に変換する際に、好ましくは、定数項は各ポジションに均一に分配される。
【0092】
「アミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータ値」とは、上記「アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクス」によって計算されるものであり、その一例は、下記式[式11]によって計算されるPSG(Positional Scanning ΔG)であるが、自由エネルギーと同義のパラメータをも使用可能である。なお、下記[式11]において、PSGijはPSGマトリクス中のijの要素を示す。
【0093】
【数11】
Figure 2004081178
【0094】
本評価法によって選択されたアミノ酸配列(位置スコアペプチドライブラリ)は、好ましくは、後述の2次スクリーニングに供される。
【0095】
II.2次スクリーニング
「分子間エネルギーパラメータ」とは、相補アミノ酸配列と標的タンパク質の標的部位との間の分子間エネルギーに基づくパラメータをいう。分子間エネルギーパラメータは、当該分野で公知である任意の方法により算出される分子間エネルギーに関するパラメータを意味する。当該分野で公知である任意の方法により算出される分子間エネルギーパラメータとしては、例えば、MM3[参考文献7]、Amber[参考文献9]、Charmm[参考文献10]力場によって算出されるものが挙げられる。好ましくは、分子間エネルギーパラメータとして、Amber力場を用いた分子間エネルギー(Emol)および阻害定数(K)が利用される。
【0096】
「分子間エネルギー(Emol)」は、下記[式12](Amber力場[参考文献9、11]を利用)によって計算される。
【0097】
【数12】
Figure 2004081178
【0098】
ここで、好ましくは、[式12]の各係数は、Amber力場により経験的パラメータとして与えられているものである。
【0099】
「阻害定数(K)」は、下記[式13]によって計算される。
【0100】
【数13】
Figure 2004081178
【0101】
なお、ΔGは、標的タンパク質の標的部位と相補アミノ酸配列からなるペプチド候補との間での複合体生成によるものであり、当該分野で公知の任意のエネルギー関数を用いて計算されるが、好ましくは、AutoDockエネルギー関数[参考文献2]を用いて計算される。
【0102】
標的タンパク質の標的部位に対して好ましい生理活性ペプチドは、任意の分子間エネルギーパラメータに対して設定される閾値条件を満たすことが必要とされる。好ましくは、分子間エネルギーパラメータとして上記Emol又はKが利用される場合、以下の[式14]又は[式15]のいずれかを満たすことが必要とされる。
【0103】
【数14】
Figure 2004081178
【0104】
又は
【0105】
【数15】
Figure 2004081178
【0106】
これまで1次スクリーニング、2次スクリーニングについて述べてきたが、以降は、2次スクリーニングで得られたアミノ酸配列を有するペプチドを、便宜上「リードペプチド」と呼ぶこともある。
【0107】
III.3次スクリーニング
3次スクリーニングとして、「アミノ酸変異ΔE(例えば、ΔG)評価」によってリードペプチドの変異を実施することができる。アミノ酸変異ΔE評価とは、リードペプチドを構成する各アミノ酸を、それ以外のアミノ酸に置換して変異ペプチドを作成し、この変異ペプチドと標的タンパク質とのΔEmutant(例えば、ΔGmutant)を計算して、変異ペプチドを評価する方法をいう。例えば、2次スクリーニングで得られたペプチドが4個のアミノ酸残基から構成され、このうち1個のアミノ酸残基のみを他の天然アミノ酸に置換する場合には、4×19個の変異ペプチドを網羅的に作成し、これらの変異ペプチドと標的タンパク質とのΔEmutant(例えば、ΔGmutant)をそれぞれ計算する。ΔEmutant(例えば、ΔGmutant)の計算は、2次スクリーニングでの計算と同様に、当該分野で公知の任意のエネルギー関数を用いて計算されるが、好ましくは、AutoDockエネルギー関数を用いて計算される。一例では、ΔEとして結合自由エネルギーを用いる場合、各変異ペプチドについて得られたΔGmutantとリードペプチドのΔGleadとの差であるΔΔGを下記[式16]により計算する。
【0108】
【数16】
Figure 2004081178
【0109】
上記式から、ΔΔGが負になる変異ペプチドは、リードペプチドに比べて、標的タンパク質とより安定な複合体を形成すること、並びにΔΔGが正になる変異ペプチドは、リードペプチドと比べて、標的タンパク質とより不安定な複合体を形成することが理解される。従って、3次スクリーニングにおいては、ΔΔGが負となるようなアミノ酸変異の導入が好ましい。尚、上記の例示では、リードペプチドを構成するアミノ酸残基のうち1個のアミノ酸残基のみを置換したが、ΔΔGが負になるアミノ酸変異を組み合わせて、2個又は3個のアミノ酸残基の置換を実施してもよい。上述のごとく3次スクリーニングを行なうことにより、より最適な生理活性ペプチドを設計することができる。
【0110】
アミノ酸の置換では、リードペプチド中の各アミノ酸を、それ以外の19種類の天然アミノ酸に置換することができる。また、天然アミノ酸以外にも、さらに、任意のα−アミノ酸、β−アミノ酸、γ−アミノ酸などの非天然アミノ酸で置換することもできる。但し、α−アミノ酸以外での置換は、主鎖の配置に変化をもたらす可能性が高いため、任意の非天然α−アミノ酸での置換が好ましい。また、L体、D体のいずれのアミノ酸にも置換可能である。
【0111】
また、このアミノ酸の置換は、「アミノ酸の側鎖の最適化」という観点から捉えることもできる。例えば、1次スクリーニング、2次スクリーニングを経て上記「アミノ酸変異ΔE(例えば、ΔG)評価」を行い、ある標的タンパク質の標的部位に対して最も好ましいペプチドAla−Cys−Phe−Valが得られたと仮定する。このような場合、このペプチドAla−Cys−Phe−Valをベースにしてより好ましいペプチドを得るために、このペプチドを構成する各アミノ酸の側鎖について再検証することも可能である。具体的には、Metの側鎖(−CHCHSCH)において水素原子の代わりにハロゲン原子を導入した側鎖やさらなる基を導入した側鎖について、上記「アミノ酸変異ΔE(例えば、ΔG)評価」を行い、より適切な変異ペプチドを得ることも可能である。上記では例としてMetの側鎖の変異について述べたが、もちろん、Met以外の天然アミノ酸の側鎖、及び非天然アミノ酸(好ましくは、非天然α−アミノ酸)の側鎖についても同様に再検証することが可能である。一般論として、ある程度大きなタンパク質の場合には、アミノ酸置換は天然アミノ酸に制限されやすい。なぜならば、実際にそのようなタンパク質を合成する場合、DNAのコード領域を変異し、細胞系や無細胞系による翻訳によって変異(置換)タンパク質を合成するからである。しかし、低分子ペプチドの場合は、そのペプチドを構成するアミノ酸の種類は天然アミノ酸に制限されない。なぜなら、低分子ペプチドは固相合成によって容易に合成可能であり、原料となるアミノ酸の供給さえ可能であれば、天然アミノ酸や非天然アミノ酸に限らず重合反応は容易だからである。従って、「アミノ酸変異ΔE(例えば、ΔG)評価」を行なう3次スクリーニングは、アミノ酸側鎖をより最適化し、さらに特異性の高い生理活性ペプチドの取得を可能にする。
【0112】
なお、「I.1次スクリーニング」、「II.2次スクリーニング」、「III.3次スクリーニング」の中で挙げた特定の式はあくまで例示であり、それと同義の式やそれから誘導される式も全て各計算において本発明で利用されるものとする。
【0113】
以下、本発明を詳述する。
本発明の方法は、上記(1)に示すとおり、上記(a1)〜(g1)のステップを有するものであればよく、また、上記(5)に示すとおり、上記(a1’)〜(i1’)のステップを有するものであればよい。
【0114】
これら本発明による方法を実施するための具体的な手段・形態は限定されないが、処理すべきデータ量が膨大であることを考慮すれば、上記(9)〜(12)、および上記(13)〜(16)に挙げた、本発明によるプログラムによるコンピュータ処理が最も好ましい実施形態である。本発明によるプログラムに含まれる処理ステップは、本発明による方法の発明の各ステップの技術的思想と等しい。よって、以下に、本発明によるプログラムを詳細に説明することによって、本発明による方法をも同時に説明するものとする。
【0115】
本発明のプログラムは、標的アミノ酸配列と相互作用する生理活性ペプチドの設計、および標的タンパク質と相互作用する生理活性ペプチドの設計(即ち、標的アミノ酸配列のみならず、標的タンパク質の標的部位に存在する他のアミノ酸配列との相互作用をも考慮する生理活性ペプチドの設計)という観点から大きく2つに分けることができる。一方は、上記(9)〜(12)に示すプログラムであり、これは、標的アミノ酸配列と相互作用する生理活性ペプチドの設計を行うものである。特に、上記(9)のプログラムに含まれる上記(a1)〜(f1)のステップを「1次スクリーニング」と呼ぶこともできる。
【0116】
また、本発明によるプログラムのうち、他方は、上記(13)〜(16)に示すプログラムであり、これは、標的タンパク質と相互作用する生理活性ペプチドの設計を行うものである。特に、上記(13)に含まれる上記(a1’)〜(f1’)のステップを「1次スクリーニング」と呼び、さらに上記(g1’)〜(i1’)のステップを「2次スクリーニング」と呼ぶこともできる。これら、「1次スクリーニング」と「2次スクリーニング」とを組み合わせることによって、標的タンパク質の標的部位に対してより適切な生理活性ペプチドを取得することが可能になる。
【0117】
さらに、上記(13)〜(16)のプログラムに対し、上記(24)に含まれる上記(I)〜(III)のステップを組み合わせることもできる。この上記(I)〜(III)のステップを「3次スクリーニング」と呼ぶこともできる。「1次スクリーニング」、「2次スクリーニング」にさらに「3次スクリーニング」を組み合わせることによって、より標的タンパク質の標的部位に対して特異性の高い生理活性ペプチドを取得することが可能になる。
【0118】
別の局面では、本発明は、上記(25)及び(26)のプログラムを提供する。なお、上記(25)のプログラムに含まれる上記(a2)〜(b2)のステップを「1次スクリーニング」と呼ぶこともできる。また、上記(26)のプログラムに含まれる上記(a2’)〜(b2’)のステップを「1次スクリーニング」と呼ぶことができ、さらに、上記(c2’)〜(e2’)のステップを「2次スクリーニング」と呼ぶことができる。なお、上記(26)のプログラムに、上記(27)に含まれる上記(I)〜(III)のステップ(「3次スクリーニング」)を組み合わせることもできる。
【0119】
さらに別の局面では、本発明は、上記(28)及び(29)のプログラムを提供する。なお、上記(28)のプログラムに含まれる上記(a3)〜(h3)のステップを「1次スクリーニング」と呼ぶこともできる。また、上記(29)のプログラムに含まれる上記(a3’)〜(h3’)のステップを「1次スクリーニング」と呼ぶことができ、さらに、上記(i2’)〜(k2’)のステップを「2次スクリーニング」と呼ぶことができる。なお、上記(29)のプログラムに、上記(30)に含まれる上記(I)〜(III)のステップ(「3次スクリーニング」)を組み合わせることもできる。
【0120】
本発明における生理活性ペプチド設計の一例を図1に示し、さらに本発明のシステム全体を図2に示す。なお、図1及び図2には2次スクリーニングが記載されているが、この2次スクリーニングは、必要に応じて行なわれるものであり、さらに図2に記載されている3次スクリーニングを併用してもよい。
【0121】
本発明において、1次スクリーニングは、3種類のプログラムから構成されており、標的タンパク質の性質等に応じて使い分けられる。一方、2次スクリーニングは、全て共通したプログラムであり、また、3次スクリーニングも全て共通したプログラムである。先ず、1次スクリーニングの選択について説明する。
【0122】
図3は、1次スクリーニングの選択におけるプログラムフローを示すフローチャートである。1次スクリーニングの種類としては、リガンド情報の有無、標的部位の連続・不連続、酵素又は表面にポケットを持つかどうかの3つの判断基準により、最も適切なものを選択することができる。以下、1次スクリーニングの選択について、図3のステップ501〜506を参照して詳細に説明する。
【0123】
図3のステップ501は、ある標的タンパク質に対してリガンドとなるペプチドが存在するか否かを判断するステップである。即ち、ある標的タンパク質に対するリガンドが未知である場合には、図3のステップ502に進み、リガンドが既知である場合には、図3のステップ504に進む。
【0124】
図3のステップ502は、標的タンパク質の標的部位が、連続するアミノ酸配列から主に構成されているか否かを判断するステップである。標的タンパク質の標的部位が、例えば、結晶構造の解析により解明されている場合は、その情報をもとにして判断する。標的タンパク質の標的部位が未知の場合は、例えば、当該分野で公知の立体構造予測プログラムによって判断する。その結果、標的タンパク質の標的部位が、不連続なアミノ酸配列から構成される場合には、アミノ酸位置依存的結合有意性評価が1次スクリーニングとして行なわれる。一方、標的タンパク質の標的部位が、連続するアミノ酸配列から主に構成される場合には、図3のステップ503へと進む。
【0125】
図3のステップ503は、標的タンパク質が、酵素であるか否か、又は表面にポケットを持つタンパク質であるか否かを判断するステップである。表面にポケットを持つタンパク質としては、例えば、受容体が挙げられる。また、標的タンパク質の種類(例えば、酵素、受容体等)が未知である場合には、例えば、相同性検索によって、その標的タンパク質の種類を予測することができる。図3のステップ503において、標的タンパク質が、酵素でも、表面にポケットを持つタンパク質でもないと判断された場合には、1次スクリーニングとしてアミノ酸相補プロファイル波形評価が用いられる。一方、標的タンパク質が、酵素、又は表面にポケットを持つタンパク質のいずれかであると判断された場合には、1次スクリーニングとして、アミノ酸相補プロファイル波形評価又はアミノ酸位置依存的結合有意性評価が用いられるが、好ましくは、アミノ酸位置依存的結合有意性評価が用いられる。
【0126】
図3のステップ504は、標的タンパク質の標的部位が、連続するアミノ酸配列から主に構成されているか否かを判断するステップである。なお、図3のステップ504では、図3のステップ502と同様にして判断される。その結果、標的タンパク質の標的部位が、不連続なアミノ酸配列から構成されると判断される場合には、図3のステップ505に進む。一方、標的タンパク質の標的部位が、連続するアミノ酸配列から主に構成されると判断される場合には、図3のステップ506へと進む。
【0127】
図3のステップ505は、標的タンパク質が、酵素であるか否か、又は表面にポケットを持つタンパク質であるか否かを判断するステップである。図3のステップ505では、図3のステップ503と同様にして判断される。標的タンパク質が、酵素でも、表面にポケットを持つタンパク質でもないと判断された場合には、1次スクリーニングとしてアミノ酸相互作用領域評価が用いられる。一方、標的タンパク質が、酵素、又は表面にポケットを持つタンパク質のいずれかであると判断された場合には、1次スクリーニングとして、アミノ酸相互作用領域評価又はアミノ酸位置依存的結合有意性評価が用いられるが、好ましくは、アミノ酸相互作用領域評価が用いられる。
【0128】
図3のステップ506は、標的タンパク質が、酵素であるか否か、又は表面にポケットを持つタンパク質であるか否かを判断するステップである。図3のステップ506では、図3のステップ503と同様にして判断される。標的タンパク質が、酵素でも、表面にポケットを持つタンパク質でもないと判断された場合には、1次スクリーニングとして、アミノ酸相補プロファイル波形評価又はアミノ酸相互作用領域評価が用いられるが、好ましくは、アミノ酸相互作用領域評価が用いられる。一方、標的タンパク質が、酵素、又は表面にポケットを持つタンパク質のいずれかであると判断された場合には、1次スクリーニングとして、アミノ酸相補プロファイル波形評価、アミノ酸相互作用領域評価又はアミノ酸位置依存的結合有意性評価のいずれを用いてもよいが、好ましくは、アミノ酸相互作用領域評価又はアミノ酸位置依存的結合有意性評価が用いられ、より好ましくは、アミノ酸相互作用領域評価が用いられる。
【0129】
以下、1次スクリーニングに関しては、図4のステップ101〜111(アミノ酸相補プロファイル波形評価)、図6のステップ301〜302(アミノ酸相互作用領域評価)及び図8のステップ401〜408(アミノ酸位置依存的結合有意性評価)を参照して説明する。2次スクリーニングに関しては、図4のステップ112以降を参照して説明する。また、3次スクリーニングに関しては、図5のステップ201〜204を参照して説明する。
【0130】
図4は、上記(9)および(13)のプログラムフローを示すフローチャートである。先ず、上記(9)のプログラムについて以下に詳述する。
【0131】
上記ステップ(a1)は、図4のフローチャートにおけるステップ101に対応する。データ入力手段としては、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等が挙げられる。他の入力手段として、ペンタブレット、音声入力装置などを用いることもできる。入力される標的アミノ酸配列としては、リガンド結合部位、基質結合部位、タンパク質間相互作用部位等のアミノ酸配列が適宜選択される。当業者は、あるタンパク質に関するX線解析データに基づき、又はあるタンパク質に関する一般的なタンパク質立体構造予測プログラム等の予測に基づき、標的アミノ酸配列を適宜選択し、その配列データを入力することができる。また、上記のような手法によらず仮想的に設定したアミノ酸配列(即ち、任意のアミノ酸配列)を標的アミノ酸配列としてデータ入力してもよい。
【0132】
上記(9)のプログラムは、図4のフローチャートに示すステップ102に対応するステップを含んでいないが、必要に応じて図4のステップ102に対応するステップを含むことができる。図4のステップ102では、1以上のアミノ酸指標、およびウィンドウ幅の入力が可能であり、具体的には記載されてはいないものの、相補度パラメータのフィルター値(例えば、相関係数フィルター値R)、Paveフィルター値a,b、分子間エネルギーパラメータの閾値(例えば、
【0133】
【数17】
Figure 2004081178
【0134】
)等の入力を受け付けることもできる。入力手段としては、図4のステップ101で用いた入力手段と同様のものを使用できる。これらのパラメータは、操作時に逐一ユーザーが選択入力する形式であっても、予め初期値が設定されており、所望によりユーザーが変更し得る形式であってもよい。
【0135】
上記ステップ(b1)は、図4のステップ103に対応する。上記ステップ(b1)では、図4のステップ102で設定されている1以上のアミノ酸指標に従って、図4のステップ101で入力された標的アミノ酸配列の配列データから1以上のプロファイル波形を生成し、次いで1以上の移動平均プロファイル波形に変換する(図4のステップ103)。具体的には、得られた標的アミノ酸配列について上記[式1]で示される演算処理を実行する。標的アミノ酸配列に関する1以上の移動平均プロファイル波形のデータは、図4のステップ107へと送られる。
【0136】
上記ステップ(c1)は、図4のステップ104、ステップ105に対応する。上記ステップ(c1)では、相補アミノ酸配列候補が生成され(図4のステップ104)、生成された相補アミノ酸配列について、図4のステップ102で設定されている1以上のアミノ酸指標に従って1以上のプロファイル波形が生成され、次いで1以上の相補移動平均プロファイル波形に変換される(図4のステップ105)。具体的には、得られた相補アミノ酸配列候補について上記[式2]で示される演算処理を実行する。相補アミノ酸配列候補に関する1以上の相補移動平均プロファイル波形のデータは、相補度パラメータの計算のために、図4のステップ107へと送られる。
【0137】
上記(9)のプログラムは、図4のステップ106に対応するステップを含んでいないが、必要に応じて図4のステップ106に対応するステップを含むことができる。標的アミノ酸配列のアミノ酸残基数がnの場合、20個の相補アミノ酸配列候補が生成され、それらのそれぞれが1以上の相補移動平均プロファイル波形に変換されるまで、図4のステップ106は、図4のステップ104、ステップ105を繰り返すように指令する。20個の相補アミノ酸配列候補が生成され、それらのそれぞれが1以上の相補移動平均プロファイル波形に変換された場合には、相補アミノ酸配列候補の生成(図4のステップ104)およびそれに伴う相補移動平均プロファイル波形の生成(図4のステップ105)が終了する。
【0138】
上記ステップ(d1)は、図4のステップ107に対応する。上記ステップ(d1)では、同一のアミノ酸指標に由来する1以上の相補度パラメータ(例えば、[式3]で示される相関係数)が、標的アミノ酸配列に対する1以上の移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列候補の1以上の相補移動平均プロファイル波形との間でそれぞれ計算される(図4のステップ107)。
【0139】
例えば、標的アミノ酸配列の移動平均プロファイル波形および相補アミノ酸配列の相補移動平均プロファイル波形への変換の際に、1つのアミノ酸指標のみを使用した場合には、1つの相補度パラメータのみが図4のステップ107で算出される。
【0140】
また、標的アミノ酸配列の移動平均プロファイル波形および相補アミノ酸配列の相補移動平均プロファイル波形への変換の際に、2以上のアミノ酸指標を使用した場合には、2以上の相補度パラメータが図4のステップ107で算出される。
【0141】
上記(9)のプログラムは、図4のステップ108に対応するステップを含んでいないが、必要に応じて図4のステップ108に対応するステップを含むことができる。図4のステップ108では、使用された1以上のアミノ酸指標に基づいて1以上の平均値パラメータが算出される。
【0142】
上記ステップ(e1)は、図4に具体的には示されていない。しかし、上記ステップ(e1)を、図4のステップ108とステップ109との間に含むことができる。上記ステップ(e1)では、相補アミノ酸配列候補が、図4のステップ107で算出された1以上の該相補度パラメータ(必要に応じて、図4のステップ108で算出された1以上の平均値パラメータ)とともに記憶手段に記憶される。
【0143】
上記ステップ(f1)は、図4のステップ109に対応する。上記ステップ(f1)では、図4のステップ107で算出された1以上の相補度パラメータ(必要に応じて、図4のステップ108で算出された1以上の平均値パラメータ)に基づき相補アミノ酸配列候補を抽出する。抽出は、フィルター値による条件に基づいて行なわれる。フィルター値は、操作時に逐一ユーザーが選択入力する形式であっても、予め初期値が設定されており、所望によりユーザーが変更し得る形式であってもよい。
【0144】
上記ステップ(d1)において標的アミノ酸配列と相補アミノ酸配列との間で1つの相補度パラメータのみが算出される場合には、上記ステップ(f1)において、相補アミノ酸配列候補は、その1つの相補度パラメータに対するフィルター値の条件を満たすように抽出される。なお、この抽出処理において、1つの平均値パラメータのフィルター値を併用することもできる。
【0145】
上記ステップ(d1)において、標的アミノ酸配列と相補アミノ酸配列との間で2以上の相補度パラメータが算出される場合には、上記ステップ(f1)において、2以上の相補度パラメータを総合的に考慮し、相補アミノ酸配列候補を抽出する。なお、この抽出処理において、2以上の平均値パラメータを総合的に考慮して併用することもできる。当業者は、2以上の相補度パラメータ(必要に応じて、2以上の平均値パラメータ)を算出した場合には、重要視するパラメータを優先的に考慮し、所望の相補アミノ酸配列候補を抽出するように条件設定することができる。
【0146】
上記プログラム(9)は、図4のステップ110に対応するステップを含んでいないが、必要に応じて図4のステップ110に対応するステップを含むこともできる。図4のステップ110では、別のアミノ酸指標を用いて相補アミノ酸配列候補をさらに選別するか否かが決定される。具体的には、上記ステップ(f1)で抽出された相補アミノ酸配列候補について、図4のステップ102で設定されているアミノ酸指標(以前のアミノ酸指標とは異なる)に従い、さらに上記ステップ(b1)〜(f1)を1回以上繰り返すか否かが決定される。上記ステップ(b1)〜(f1)を1回以上繰り返すか否か、その繰り返す回数、およびその際に使用する1以上のアミノ酸指標は、操作時に逐一ユーザーが選択入力する形式であっても、予め設定されており、所望によりユーザーが変更し得る形式であってもよい。
【0147】
図4のステップ110において、別のアミノ酸指標を用いて相補アミノ酸配列候補をさらに選別する必要がないと判断される場合には、図4のステップ111へと進み、標的タンパク質との相互作用を考慮するか否かが決定される。なお、上記プログラム(9)は、標的アミノ酸配列との相互作用を考慮するためのものであり、標的タンパク質自体との相互作用を考慮しない実施形態であるため、図4のステップ111では常にNと判断される。
【0148】
上記ステップ(g1)は、図4に示されていないが、図4のステップ111のNの後に含めることもできる。上記ステップ(g1)は、標的アミノ酸配列に対する相補アミノ酸配列候補を、その相補度パラメータ等とともに表示する。表示手段としては、通常のディスプレイ装置やプリンター等が用いられる。好ましくは、抽出された相補アミノ酸配列候補は、各パラメータ毎に順位付けされて上位から、又は各パラメータを総合的に考慮して上位から表示される。
【0149】
次に、上記(13)のプログラムについて以下に詳述する。このプログラムは、標的アミノ酸配列との相互作用に加え、標的タンパク質の標的部位との相互作用をも考慮するものである。
【0150】
上記(13)のプログラムの上記ステップ(a1’)〜(f1’)は、上記(9)のプログラムのステップ(a1)〜(f1)に対応している。従って、上記(13)のプログラムのステップ(a1’)〜(f1’)は、上記(9)のプログラムのステップ(a1)〜(f1)と同様に行なわれる。但し、図4のステップ102では、標的タンパク質に関するデータ(例えば、標的タンパク質のアミノ酸配列データ、標的タンパク質の標的部位についてのデータ等)を入力することが可能である。なお、上記プログラム(13)は、標的タンパク質自体との相互作用を考慮する実施形態であるため、図4のステップ111では常にYと判断される。
【0151】
上記ステップ(g1’)は、図4のステップ112に対応する。ステップ(g1’)では、標的タンパク質の標的部位と相補アミノ酸配列候補との分子間エネルギーパラメータが計算される。この計算は、図4のステップ102に入力されている標的タンパク質に関するデータ(例えば、標的タンパク質のアミノ酸配列データ、標的タンパク質の標的部位についてのデータ等)、相補アミノ酸配列候補の配列データ等を利用して実行される。
【0152】
上記ステップ(h1’)は、図4には示されていないものの、図4のステップ112とステップ113との間に含めることができる。上記ステップ(h1’)では、相補アミノ酸配列候補が、図4のステップ112で算出された分子間エネルギーパラメータとともに記憶手段に記憶される。
【0153】
上記ステップ(i1’)は、図4のステップ113に対応する。上記ステップ(i1’)では、記憶手段に記憶された情報に基づき、分子間エネルギーパラメータの閾値条件を満たす相補アミノ酸配列候補が抽出される。
【0154】
上記ステップ(j1’)は、図4に示されてはいないものの、図4のステップ113のYの後に含めることができる。上記ステップ(j1’)では、標的アミノ酸配列に対する相補アミノ酸配列候補を、その相補度パラメータ等とともに表示する。表示手段としては、通常のディスプレイ装置やプリンター等が用いられる。好ましくは、抽出された相補アミノ酸配列は、良好な分子間エネルギーパラメータに基づいて順位付けして表示される。
【0155】
また、上記ステップ(i1’)とステップ(j1’)の間に、上記ステップ(I)〜(III)を含めることができる。上記ステップ(I)〜(III)は、図5のステップ201〜203にそれぞれ対応する。以下、上記ステップ(I)〜(III)について詳述する。
【0156】
上記ステップ(I)は、図5のステップ201に対応する。上記ステップ(I)では、上記ステップ(i1’)で抽出されたアミノ酸配列に対しアミノ酸変異を導入したアミノ酸配列が生成される。上記ステップ(i1’)で抽出されたアミノ酸配列に対し、1つのアミノ酸を置換する場合には、もとのアミノ酸以外の19種類の天然アミノ酸で置換したアミノ酸配列が網羅的に生成される。また、上記ステップ(i1’)で抽出されたアミノ酸配列に対し、複数(2又は3以上)のアミノ酸を置換して、それらのアミノ酸配列が網羅的に生成される(例えば、2個のアミノ酸を他の天然アミノ酸で置換する場合には19×19個のアミノ酸配列が生成される)。さらに、天然アミノ酸のみならず非天然アミノ酸配列をもアミノ酸置換に利用可能である。これらのアミノ酸のデータは予め記憶されているものを利用する形式であっても、外部のデータベースを参照して必要なデータを取り込む形式であってもよい。
【0157】
上記ステップ(II)は、図5のステップ202に対応する。上記ステップ(II)では、上記ステップ(I)で生成された全てのアミノ酸配列と標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータが計算される。この計算は、上記ステップ(g1’)と同様にして行なわれる。
【0158】
上記ステップ(III)は、図5のステップ203に対応する。上記ステップ(III)では、上記ステップ(i1’)で抽出されたアミノ酸配列と標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを対照として、上記ステップ(II)で計算された分子間エネルギーパラメータを比較し、対照の分子間エネルギーパラメータよりも安定な分子間エネルギーパラメータを有するアミノ酸配列を抽出する。上記ステップ(i1’)で抽出されたアミノ酸配列と標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータとしては、ステップ(g1’)で計算された値を使用することができる。比較の結果、対照の分子間エネルギーパラメータよりも安定な分子間エネルギーパラメータを有するアミノ酸配列が抽出される。
【0159】
なお、上記ステップ(III)の後に、図5のステップ204を含ませることもできる。図5のステップ204では、上記ステップ(III)で抽出されたアミノ酸配列について上記ステップ(I)〜(III)を再度繰り返すかが決定される。図5のステップ204において上記ステップ(I)〜(III)を再度繰り返す必要がないと判断された場合に、アミノ酸配列の抽出が終了し、上記ステップ(j1’)へと進む。但し、図5のステップ204の後に、各アミノ酸側鎖の最適化処理を行なうステップも設けることができる。このような場合には、各アミノ酸側鎖の最適化処理を行なうステップの終了後に、上記ステップ(j1’)へと進む。
【0160】
図6は、上記(25)、及び上記(26)の一部についてのプログラムフローを示すフローチャートである。このプログラムは、標的タンパク質に相互作用する、若しくは相互作用が予測されるタンパク質の一次構造(アミノ酸配列)が既知である場合に特に有用である。先ず、上記(25)のプログラムについて以下に詳述する。
【0161】
上記(25)のプログラムにおける上記ステップ(a2)は、図6のステップ301に対応する。上記ステップ(a2)では、標的タンパク質の標的部位と相互作用するタンパク質中の相互作用領域が特定される。標的タンパク質と相互作用しうる領域が既に特定されているタンパク質が存在する場合には、その領域が選択される。1つのタンパク質内に複数の相互作用領域が存在する場合には、それらの複数の領域を相互作用領域として選択する。標的タンパク質と相互作用し得るタンパク質が複数知られている場合には、これらのタンパク質のそれぞれから複数の相互作用領域を選択することもできる。一方、標的タンパク質と相互作用するタンパク質自体は既知であるが、その相互作用する領域が特定されていない場合には、当該分野で周知の方法(例えば、RBD法[参考文献5])によってこの領域を選択することができる。
【0162】
上記ステップ(b2)は、図6のステップ302に対応する。上記ステップ(b2)では、該相互作用領域から任意の長さのアミノ酸配列を抽出する。上記ステップ(b2)で実行されるアミノ酸配列の抽出についての概要を図7に示す。上記ステップ(b2)で抽出されるアミノ酸配列の長さ(即ち、アミノ酸残基の数)としては、上記の相互作用領域の全長以内であれば、任意の長さのアミノ酸配列を抽出することが可能である。なお、アミノ酸配列の抽出は網羅的に行なわれる。例えば、X個のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を抽出する場合には、上記の相互作用領域のN末端からC末端にかけて、N−X+1個のアミノ酸配列を抽出する。また、抽出されるアミノ酸配列の長さは統一してもよいが、異なる長さのアミノ酸配列についても網羅的に抽出してもよい。
【0163】
次に、上記(26)のプログラムについて以下に詳述する。
【0164】
上記(26)のプログラムの上記ステップ(a2’)〜(b2’)は、上記(25)のプログラムの上記ステップ(a2)〜(b2)に対応している。従って、上記(26)のプログラムの上記ステップ(a2’)〜(b2’)は、上記(25)のプログラムの上記ステップ(a2)〜(b2)と同様に行なわれる。
【0165】
また、上記(26)のプログラムの上記ステップ(c2’)〜(f2’)は、上記(13)のプログラムの上記ステップ(g1’)〜(j1’)に対応している。従って、上記(26)のプログラムの上記ステップ(c2’)〜(f2’)は、上記(13)のプログラムの上記ステップ(g1’)〜(j1’)と同様に行なわれる。
【0166】
また、上記ステップ(e2’)とステップ(f2’)の間に、上記ステップ(I)〜(III)を含めることができる。上記ステップ(I)〜(III)は、上記と同様に行なわれる。
【0167】
図8は、上記(28)、及び上記(29)の一部についてのプログラムフローを示すフローチャートである。このプログラムは、標的タンパク質として分子表面にポケットを持ち、かつ結合に伴う構造変化が少ないと考えられる酵素など(例えば、ペプチダーゼ)に特に有用である。なお、上記(28)で行なわれる処理についての概要を図9に示す。以下、上記(28)のプログラムについて詳述するが、より理解を深めるため、標的タンパク質としてカスパーゼを例に挙げて順次説明する。
【0168】
先ず、カスパーゼの基質となるタンパク質について説明し、そのアミノ酸位置について定義する。カスパーゼの基質となるタンパク質の切断部位のアミノ酸配列はX−X−X−Dモチーフである。モチーフ中のDの位置は、基質切断部位のN末端側であるP1部位を示している。P1位はアスパラギン酸を必須とし、各カスパーゼに認識される阻害ペプチドの違いは、残りのP2〜P4位のアミノ酸配列に依存していると考えられる。よって以降は、X−X−X−Dモチーフ中の各アミノ酸位置を明確に示すため、P4−P3−P2−Dとして表現する。
【0169】
上記(28)のプログラムにおける上記ステップ(a3)は、図8のステップ401に対応する。上記ステップ(a3)では、一定の長さのアミノ酸配列を網羅的に生成し、その中からランダムにアミノ酸配列を選択して解析用ライブラリとして抽出する。なお、上記ステップ(a3)には含めていないが、図8のステップ401においてさらに評価用ライブラリを抽出するステップを含めることもできる。上記ステップ(a3)で網羅的に生成されるアミノ酸配列の「一定の長さ」(即ち、アミノ酸残基の数)は、特に限定されないが、好ましくは、2〜10個のアミノ酸残基程度の長さであり、より好ましくは、3〜5個のアミノ酸残基程度の長さである。
【0170】
例えば、P4−P3−P2−Dモチーフを網羅的に解析するには、4個のアミノ酸残基のアミノ酸配列について20、即ち8000通りの組み合わせを考えなければならない(Dは固定されている)。ここでは、例えば、その5%に当たる400個のアミノ酸配列をランダムに選択し、解析用ライブラリとして360個のアミノ酸配列、評価用ライブラリとして40個のアミノ酸配列を抽出することもできる。また、カスパーゼについてはその阻害ペプチドが既知であるが、カスパーゼ阻害ペプチドの複合体結晶構造中の阻害ペプチドは、どのカスパーゼにおいても、ほぼ同じ主鎖構造を保持している。すなわち、カスパーゼ活性部位の形状及び触媒機構がそれを限定しているものと考えられる。このような知見を、ペプチド配座を発生させる際に役立てることもできる。例えば、ペプチド配座を発生させる際、主鎖の構造は結晶構造中の構造を用い、側鎖を付加することにより任意のペプチドを構築することもできる。また、側鎖のVDW接触を除外するためTINKER[参考文献12]を用いてエネルギー最適化を実施することもできる。このとき主鎖はINACTIVEコマンドを用いて固定されてもよい。
【0171】
上記ステップ(b3)は、図8のステップ402に対応する。上記ステップ(b3)では、解析用ライブラリとして抽出された各アミノ酸配列について分子間エネルギーパラメータを計算する。この計算は、上記プログラム(13)の上記ステップ(g1’)と同様にして行なわれる。例えば、P4−P3−P2−Dモチーフに対して網羅的に生成された8000通りのアミノ酸配列について、AutoDockを用いて下記[式18]で示される計算を行うこともできる。
【0172】
【数18】
Figure 2004081178
【0173】
上記式の各係数は、30個のタンパク質−リガンド複合体構造とその実測されたKi値を用いて回帰分析により経験的に定められた値である。なお、AutoDock3.0より配置探索にはラマルク進化論に基づく遺伝的アルゴリズムを新たに採用している。また、ここでは、4残基ペプチドの主鎖を固定し、側鎖を可変としている。設定されるパラメータ値の例を表2に示す。上記のように、計算条件の詳細については、適宜設定可能である。
【0174】
【表2】
Figure 2004081178
【0175】
また、上記ステップ(b3)には含めていないが、抽出されたアミノ酸配列の配置(例えば、RMS(主鎖)に基づくもの)を、対照(例えば、結晶構造中のペプチド)の配置と比較して、不適切な配置をとるものを以降の計算から除外するステップを上記ステップ(b3)に含めることもできる。例えば、P4−P3−P2−Dモチーフのアミノ酸配列について、結晶構造中の阻害ペプチドとのRMS(主鎖)によりその配置を確認する。そして、RMSが大きいものについては、カスパーゼ活性部位に適切に配置されず基質としては機能しないと考え、以降の計算から除外することもできる。どのような配置であれ強く結合すれば問題ないと思われるかもしれないが、FMK、CHOのような修飾基がカスパーゼ活性中心に配置されるためには、ペプチドの適切な配置が必須因子となるためである。
【0176】
上記ステップ(c3)は、図8のステップ403に対応する。上記ステップ(c3)では、上記ステップ(b3)で計算された分子間エネルギーパラメータを用いて、アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクスが生成される。なお、分子間エネルギーパラメータの閾値(例えば、ΔGの閾値)は、予め設定されていてもよいし、後述するように設定されてもよい。例えば、360個のアミノ酸配列を含む解析用ライブラリを用いて、各ポジションP4、P3、P2における20種類のアミノ酸出現頻度に基づいたPSSマトリクスを生成する。ポジションjにおけるアミノ酸iのPSSijは、上記[式9]により計算される。この場合、ポジションjの範囲は1〜3であり、それぞれP4〜P2に対応し、アミノ酸iの範囲は1〜20であり、それぞれのアミノ酸種に対応する。
【0177】
上記ステップ(d3)は、図8のステップ404に対応する。上記ステップ(d3)では、アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクスを用いて、アミノ酸出現頻度に基づくスコアを計算する。例えば、PSSマトリクスを用いることにより、4個のアミノ酸残基からなる任意のアミノ酸配列(P4−P3−P2−Dモチーフ:P1はD固定なので考慮しない)のカスパーゼに対する結合力の強さを、上記[式10]により、PSSとして計算することができる。この場合、Cijは20×3のマトリクスであり、0若しくは1の値で構成される。任意のアミノ酸配列のポジションjにおけるアミノ酸iと一致する要素は1、不一致の要素は0とする。
【0178】
上記ステップ(e3)は、図8のステップ405に対応する。上記ステップ(e3)では、ステップ(b3)で計算された分子間エネルギーパラメータと該スコアとの間で相関解析を行い、回帰式を得る。解析用ライブラリに含まれる各アミノ酸配列について、PSSと分子間エネルギーパラメータ(例えば、結合自由エネルギー)との間に高い相関性があれば、新たなアミノ酸配列について高速に分子間エネルギーパラメータを予測することが可能となる。もちろんPSSは各ポジション独立にしか評価できないため、ポジション間におけるアミノ酸の組み合わせによる影響は考慮できない。なお、上記ステップ(c3)で述べた分子間エネルギーパラメータの閾値(例えば、ΔGの閾値)は、PSSと分子間エネルギーパラメータの閾値(例えば、ΔGの閾値)との間の相関係数Rを最大にするように設定されてもよい。この場合には、相関係数Rを最大にするように設定された閾値が、再度、上記ステップ(c3)にフィードバックされ、上記ステップ(c3)、上記ステップ(d3)及び上記ステップ(e3)が再度行なわれる。
【0179】
上記ステップ(f3)は、図8のステップ406に対応する。上記ステップ(f3)では、該回帰式を用いて、アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクスがアミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータに基づくマトリクスに変換される。この変換では、例えば、上述したPSGマトリクスが作成される。なお、回帰式における定数項は、各ポジションに不均一に分配してもよいが、好ましくは、各ポジションに均一に分配される。
【0180】
上記ステップ(g3)は、図8のステップ407に対応する。上記ステップ(g3)では、アミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータに基づくマトリクスから、アミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータ値が計算される。例えば、PSGマトリクスを用いることにより、任意の4残基ペプチド(P4−P3−P2−Dモチーフ:P1はD固定なので考慮しない)とカスパーゼ間の結合自由エネルギーをPSGとして高速に計算することができる。
【0181】
上記ステップ(h3)は、図8のステップ408に対応する。上記ステップ(h3)では、所定のアミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータ値以下のアミノ酸配列、即ち、閾値以下のアミノ酸配列が抽出される。この値は、予め設定されている値を使用してもよいし、抽出時に設定してもよい。
【0182】
次に、上記(29)のプログラムについて以下に詳述する。
【0183】
上記(29)のプログラムの上記ステップ(a3’)〜(h3’)は、上記(28)のプログラムの上記ステップ(a3)〜(h3)に対応している。従って、上記(29)のプログラムの上記ステップ(a3’)〜(h3’)は、上記(28)のプログラムの上記ステップ(a3)〜(h3)と同様に行なわれる。
【0184】
また、上記(29)のプログラムの上記ステップ(i3’)〜(l3’)は、上記(26)のプログラムの上記ステップ(c2’)〜(f2’)に対応している。従って、上記(29)のプログラムの上記ステップ(i3’)〜(l3’)は、上記(26)のプログラムの上記ステップ(c2’)〜(f2’)と同様に行なわれる。
【0185】
さらに、上記ステップ(k3’)とステップ(l3’)の間に、上記ステップ(I)〜(III)を含めることができる。上記ステップ(I)〜(III)は、上記と同様に行なわれる。
【0186】
また、基質特異性が似ている複数のタンパク質が存在している場合に、これらタンパク質のうちの1つを標的タンパク質として選択し、これに特異的なペプチドを設計する際にも、上記(28)および(29)のプログラムは有用である。例として、上記(28)のプログラムにより説明する。まず、基質特異性が似ている各タンパク質について、上記プログラム(28)の上記ステップ(a3)〜(h3)を行なう。なお、各タンパク質について、上記ステップ(a3)〜(h3)を並行して行ってもよいし、上記ステップ(a3)〜(h3)を順番に行なってもよい。次いで、標的タンパク質とそれ以外のタンパク質について、アミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータ値(例えば、PSG)の差を計算し、その差によってフィルターをかけるステップを設ける。この差は、適宜設定可能である。例えば、標的タンパク質に対するKi値が、他のタンパク質のKi値よりも二桁低いものを希望する場合には、ΔGでは、2.728kcal/molに相当するため、これをフィルターとして用いることができる。もちろん、上記プログラム(29)の上記ステップ(h3’)の後に、同様のステップを設け、次いで上記ステップ(i3’)へと進むこともできる。簡単に説明したが、本発明は、上記(28)および(29)のプログラムに、さらに上述したようなステップを含むこともできる。このようなプログラムも本発明の範囲に含まれる。なお、さらなる具体例については、実施例3に記載されており、このようなプログラムの理解に役立つであろう。
【0187】
本発明の上記(17)の記録媒体は、上記した本発明のプログラム(9)〜(16)が、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたものである。ここで「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、電子データを記録することができ、且つ必要に応じてコンピュータが読み出すことができる任意の記録媒体をいい、例えば、磁気テープ、磁気ディスク、磁気ドラム、ICカード、光読み取り式ディスク(例えば、CD、DVD)等の可搬情報記録媒体が挙げられる。
【0188】
本発明による上記(18)〜(20)の抽出処理装置、上記(21)〜(23)の抽出処理装置、および上記(31)、(32)の装置は、中央処理装置とメモリとを備えたコンピュータを主体として構成され、上記した本発明のプログラムを実行可能なように有する、生理活性ペプチド抽出処理のための専用機である。
【0189】
上記(18)〜(23)の装置は、標的アミノ酸配列と相互作用する生理活性ペプチドの設計、および標的タンパク質と相互作用する生理活性ペプチドの設計という観点から大きく2つに分けることができる。一方は、上記(18)〜(20)に示す装置であり、これは、標的アミノ酸配列と相互作用する生理活性ペプチドの設計を行うものである。他方は、上記(21)〜(23)に示す装置であり、これは、標的アミノ酸配列との相互作用に加え、標的タンパク質自体との相互作用を考慮して生理活性ペプチドの設計を行うものである。
【0190】
上記(18)〜(20)の装置は、図10に示すように、データ入力部イ、データ編集部ロ、相補アミノ酸配列候補生成部ハ、相補度計算部ニ、相補アミノ酸配列候補記憶部ホ、相補アミノ酸配列探索部ヘ、及び相補アミノ酸配列表示部トを含んで構成される。
上記(18)〜(20)の装置において、該データ入力部イは、上記ステップ(a1)を実行する手段を含み、該データ編集部ロは、上記ステップ(b1)を実行する手段を含み、該相補アミノ酸配列候補生成部ハは、上記ステップ(c1)を実行する手段を含み、該相補度計算部ニは、上記ステップ(d1)を実行する手段を含み、該相補アミノ酸配列候補記憶部ホは、上記ステップ(e1)を実行する手段を含み、該相補アミノ酸配列探索部ヘは、上記ステップ(f1)を実行する手段を含み、該相補アミノ酸配列表示部トは、上記ステップ(g1)を実行する手段を含む。
【0191】
上記(21)〜(23)の装置は、上記(18)〜(20)の装置と同様、図10に示すように、データ入力部イ、データ編集部ロ、相補アミノ酸配列候補生成部ハ、相補度計算部ニ、相補アミノ酸配列候補記憶部ホ、相補アミノ酸配列探索部ヘ、及び相補アミノ酸配列表示部トを含んで構成される。
上記(21)〜(23)の装置において、該データ入力部イは、上記ステップ(a1’)を実行する手段を含み、該データ編集部ロは、上記ステップ(b1’)を実行する手段を含み、該相補アミノ酸配列候補生成部ハは、上記ステップ(c1’)を実行する手段を含み、該相補度計算部ニは、ステップ(k1’)同一のアミノ酸指標に由来する相補度パラメータを、該標的アミノ酸配列に対する1以上の移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列候補の1以上の相補移動平均プロファイル波形との間でそれぞれ計算し、さらに標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを計算する手段(上記ステップ(d1’)(g1’)を実行する手段)を含み、該相補アミノ酸配列候補記憶部ホは、ステップ(l1’)相補アミノ酸配列候補を、該相補度パラメータおよび該分子間エネルギーパラメータとともに記憶する手段(上記ステップ(e1’)(h1’)を実行する手段)を含み、該相補アミノ酸配列探索部ヘは、ステップ(m1’)手段(k1’)によって記憶された情報に基づいて、所定の数の相補アミノ酸配列を抽出する手段(上記ステップ(f1’)(i1’)を実行する手段)を含み、該相補アミノ酸配列表示部トは、ステップ(n1’)該相補アミノ酸配列探索部によって抽出された相補アミノ酸配列を、生理活性ペプチドの候補として表示する手段(上記ステップ(i1’)を実行する手段)を含む。
【0192】
上記(31)、(32)の装置についても、上記(18)〜(23)の装置と同様であって、上記(31)の装置に含まれる「(イ2)相互作用領域特定部、(ロ2)アミノ酸配列第1探索部、(ハ2)分子間エネルギー計算部、(ニ2)アミノ酸配列記憶部、(ホ2)アミノ酸配列第2探索部、(ヘ2)アミノ酸配列表示部」、および、上記(32)の装置に含まれる、「(イ3)アミノ酸配列第1探索部、(ロ3)分子間エネルギー第1計算部、(ハ3)スコアマトリクス生成部、(ニ3)スコア計算部、(ホ3)回帰式形成部、(ヘ3)マトリクス変換部、(ト3)アミノ酸位置依存的エネルギー計算部、(チ3)アミノ酸配列第2探索部、(リ3)分子間エネルギー第2計算部、(ヌ3)アミノ酸配列記憶部、(ル3)アミノ酸配列第3探索部、(オ3)アミノ酸配列表示部」は、いずれも、上記(26)、(29)のプログラムと、該プログラムを実行するよう構成されたコンピュータ(中央演算装置(CPU)、記憶装置(メモリー))、その他、必要に応じてさらに加えられる周辺装置(外部記憶装置、入力装置、表示装置など)によって構成され、さらには他のコンピュータとのネットワークを構成に加えてもよい。
上記(31)の装置に含まれる各部(イ2)〜(ヘ2)、上記(32)の装置に含まれる各部(イ3)〜(オ3)については、それぞれ、上記(26)、(29)のプログラムの説明において、詳細に述べたとおりである。
【0193】
本発明装置は、表示されたデータを印刷するプリンター等の出力装置や、データを保存するための外部記憶装置、本発明のプログラムの実行に必要なデータベースが保存された外部記憶装置等、生理活性ペプチドの設計においてユーザーに利便性を与える他の機器を、構成としてさらに包含することができる。
【0194】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明を説明するが、本発明は、以下の特定の実施例に限定されるものではない。
【0195】
実施例1 カスパーゼ−3に対する生理活性ペプチド(阻害ペプチド)の設計カスパーゼ−3の206〜209位のアミノ酸配列WRNS(配列番号109)を標的アミノ酸配列として、それと結合しカスパーゼ−3の活性を阻害するペプチド候補を本発明のプログラムを用いて予測した。アミノ酸指標として疎水度に基づく指標[参考文献3]を用い、ウィンドウ幅は1に設定した。Paveの範囲は−0.39から−0.37、Rは−0.9と設定し1次スクリーニングにより、105個の相補アミノ酸配列を有するペプチド候補を得た(表3)。なお、表3の順位1〜105の配列を、それぞれ順番に、配列番号4〜108とする。
【0196】
【表3】
Figure 2004081178
Figure 2004081178
【0197】
次いで2次スクリーニングにより結合力の強い相補アミノ酸配列DNLD(配列番号97)(K=0.0309nM:1位)、DEVD(配列番号88)(K=0.149nM:2位)を得た(表3)。
【0198】
DEVD(配列番号88)はカスパーゼ−3阻害ペプチドとして既知のアミノ酸配列でありKの実測値および結晶構造が知られている。図11は本発明により予測された相補アミノ酸配列DEVDと結晶構造との比較図を示す。RMS (root mean squar, 原子間の平均的ずれ)(全原子)が2.4Åと結晶構造と非常に近い構造予測に成功している。又、本発明により予測されたK値が0.149nMに対し、実測値[参考文献13]Kは0.23nMであった。
【0199】
また、現在知られていないDNLD(配列番号97)というK値が最も低い0.0309nMの相補アミノ酸配列を得た。DEVDはもともと基質となるタンパク質のアミノ酸配列より得られたものであり、しかもカスパーゼ−3以外にもカスパーゼ−7、カスパーゼ−8に強く結合[参考文献13]し、阻害するという特性があり、特異的阻害剤としての問題点も指摘されている。本システムで提示されるペプチド配列DNLDは全くの新規配列であるため、この特異性の問題を解決できる可能性も与える。
【0200】
以上の結果から、本発明のプログラムは、相補アミノ酸候補の設計において非常に有用であることが確認された。
【0201】
実施例2 Fas(Receptor)に対する生理活性ペプチドの設計
Fas(Receptor)の97〜110位のアミノ酸配列FSSKCRRCRLCDEG(配列番号1)を標的アミノ酸配列として、それと結合して相互作用し得る生理活性ペプチドの候補を、本発明のプログラムを用いて予測した。アミノ酸指標として疎水度に基づく指標[参考文献3]を用い、ウィンドウ幅は5に設定した。Paveの範囲は、−0.15から+0.15、Rは−0.9と設定し、1次スクリーニングにより、相補アミノ酸配列を有するペプチド候補を得た。次いで、2次スクリーニングにおいて分子間エネルギーを計算した。最終的に相補アミノ酸配列EPPMTFISIHTMCH(配列番号2)を得た。
【0202】
試験例1 相補アミノ酸配列(配列番号2)からなるペプチドによるアポトーシスの誘導
上記実施例1で得られた相補アミノ酸配列(配列番号2)からなるペプチド(以下、Fas相補ペプチドと省略する)を化学合成した。次いで、Fasを発現しているヒト卵巣癌培養細胞株NOS4を用いて、Fas相補ペプチドによるアポトーシス誘導能をそのスクランブルペプチドTFIHPSMHTCMPEI(配列番号3)と比較解析した。なお、NOS4は、重症の卵巣癌患者から切除した癌細胞より、本発明者らの研究室で樹立され、維持されている。ヒト卵巣癌培養細胞株NOS4は、10%ウシ胎仔血清含有RPMI培地中、5%CO湿気下、37℃で培養した。5×10個のヒト卵巣癌培養細胞株NOS4を、100μg/mlの相補ペプチドの存在下で37℃、24時間処理し、次いでDNA断片化を測定した。DNA断片化は、細胞核をヨウ化プロピジウムで染色し、FACS装置(FACSCalibur, Jose., CA)を用いたフローサイトメトリーにより測定した。その結果、Fas相補ペプチドは、100μg/mlの濃度において、約40%の細胞でアポトーシスを誘導した。以上の結果により、Fas相補ペプチドがFasに対する生理活性ペプチドとして機能することが確認された。
【0203】
【表4】
Figure 2004081178
【0204】
試験例2 Fas相補ペプチドテトラマーによるアポトーシスの誘導
Fas相補ペプチド(以下、FRP−2と省略する場合がある)をリジンポリマー(MAP)の4ブランチに結合させたFas相補ペプチドのテトラマー[(FRP−2)−MAP]を化学合成した。次いで、(FRP−2)−MAPのアポトーシス誘導能を上記試験例1と同様の方法を用いて調べた。その結果、Fas相補ペプチドのテトラマーは、5mg/mlの濃度において、約50%のヒト卵巣癌培養細胞株NOS4にアポトーシスを誘導した(図12)。以上の結果から、Fas相補ペプチドはMAPを用いてマルティマー(maltimer)にすることによって、モノマーに比べ約30倍強いアポトーシス誘導能を有することが判明した。
【0205】
試験例3 Fas相補ペプチドのテトラマーによるin vivoにおけるアポトーシス誘導
ヒトグリオーマ細胞株(U251−SP)をヌードマウスの脳内に移植した担癌動物実験系を用いて、(FRP−2)−MAPのin vivoにおける抗腫瘍効果を調べた。U251−SPをヌードマウスの脳内に移植して1週間後に、(FRP−2)−MAPを2μg/2μlで脳内の癌組織に局所内注入した。30日後に解剖し、常法によりホルマリン固定による脳組織切断プレパラートを作成し、光学顕微鏡下で観察した。その結果、Fas相補ペプチドのテトラマー処理群では、アポトーシスの誘発による癌細胞死による癌の萎縮が認められた(図13)。以上の一連の結果から、本発明のプログラムは、生理活性ペプチドの設計において非常に有用であることが確認された。
【0206】
実施例3 既存のカスパーゼペプチド阻害剤の評価
まず初めに、カスパーゼ−3,−7,−8,−9を用いて1次スクリーニングを実施した。結果を図14〜17に示す。どのカスパーゼにおいてもPSSとΔGcalcの間に平均−0.71の相関係数R (図14D、15D、16D、17D)を得ることができた。
【0207】
次いで、PSSの予測能力を評価するために、評価用ライブラリに含まれる40ペプチドのPSSを用いΔGcalcとの相関解析(図14E、15E、16E、17E)を実施した。解析ライブラリと同様の値、平均−0.66の相関係数Rを得ることができた。したがって、膨大なペプチドライブラリの1次スクリーニングとして十分に利用可能であると言える。
【0208】
各カスパーゼのPSG評価は、実測Ki値(表5)[参考文献13]が既知の阻害ペプチドAc−WEHD−CHO(配列番号110), Ac−YVAD−CHO(配列番号111), Ac−DEVD−CHO(配列番号112), Boc−IETD−CHO(配列番号113), Boc−AEVD−CHO(配列番号114)を用いて実施した。
【0209】
【表5】
Figure 2004081178
【0210】
Ki値が、10,000nM以上のものは10,000nMとして設定し、Ki値は[式19]によりΔGに変換した(表6)。
【0211】
【数19】
Figure 2004081178
【0212】
【表6】
Figure 2004081178
【0213】
また、5つの阻害ペプチドの予測ΔGは、カスパーゼ−3,−7,−8,−9それぞれのPSGマトリクスを用いて[式4]により計算した。実測値との比較を表6に示す。
【0214】
全体的に予測値は実測値と比較して低い値となっているが、相関係数Rpepを計算すると、その値は平均0.93と高い。これはカスパーゼに対する阻害ペプチドの相対的な親和性予測が可能であることを示す。また相関係数Rcaspを計算すると、その値の平均は0.71であった。これはカスパーゼに対する阻害ペプチドの特異性予測が可能であることを示す。
【0215】
実施例4 カスパーゼ−3特異的阻害ペプチドの設計
PSGマトリクスは高速な親和性及び特異性予測を可能とする。P4−P3−P2−Dで表現可能な8000ペプチドの各カスパーゼに対するΔGは、PSGを用いて高速に計算することができる。カスパーゼ−3特異的阻害ペプチド設計を例として述べる。システム構成は図18に示す。
【0216】
まず、8000ペプチドを含むVirtual Libraryからペプチドを1つ取り出し、カスパーゼ−3,−7,−8,−9それぞれのPSGマトリクスを用いて、PSGcasp−3, PSGcasp−7, PSGcasp−8, PSGcasp−9を計算する。次に下記[式20]を用いてカスパーゼ−7,−8,−9とカスパーゼ−3とのPSGの差を計算する。
【0217】
【数20】
Figure 2004081178
【0218】
本システムにおいてカスパーゼ−3特異的阻害ペプチド候補は、カスパーゼ−7,−8,−9全てに対して二桁低いKi値を有するペプチドとして定義した。Ki値二桁の差はΔGでは約2.728kcal/molの差に相当する。よって各カスパーゼのフィルターとして[式21]を用いた。
【0219】
【数21】
Figure 2004081178
【0220】
以上の操作を8000ペプチド全てに実施し、各カスパーゼのフィルターを全て通過できたペプチドのみが2次スクリーニングにより評価されることになる。最終的に2次スクリーニングで選定された阻害ペプチドを設計ペプチドとしてin vitro及びin vivoで評価する。
【0221】
カスパーゼ−7,−8,−9全てにおいて[式20]を満たすペプチド配列を8000ペプチド配列より選択した。結果を表7に示す。
【0222】
【表7】
Figure 2004081178
【0223】
表7では、各カスパーゼに対するPSGと2次スクリーニング結果であるΔGcalcが示されている。PPVD(配列番号115), QPVD(配列番号116), TPVD(配列番号117)の3ペプチドに関してはPSGとΔGcalcの間に0.93以上の高い相関が見られた。一方SPVD(配列番号118)では上記3ペプチドと比較して、0.73という低い相関であった。SPVDのカスパーゼ−8に対する結合自由エネルギーはPSGでは−9.99kcal/molと予測されたのに対しΔGcalcでは−10.92kcal/molであった。カスパーゼ−3に対するΔGcalcが−11.20kcal/molと高く評価されたことも重なって、カスパーゼ−3,−8においてΔGcalcの差が0.28kcal/molしかない。この結果からカスパーゼ−3特異的阻害ペプチドとして機能しないことが示唆される。
【0224】
PPVD,QPVD,TPVDにおいてもカスパーゼ−3に対するΔGcalcがPSGと比較して高く予測されているため、Ki値で二桁差までは期待できないもののカスパーゼ−3阻害ペプチドとして十分に機能するものと考えられる。
【0225】
結果としてカスパーゼ−3特異的阻害ペプチドとして以下の3つの候補ペプチドを提示する。
【0226】
【表8】
Figure 2004081178
【0227】
実施例5 FasL中のFas結合領域を用いたアポトーシス誘導ペプチドの設計
断片化ペプチドライブラリの作成はまずFas Ligandの細胞外領域にあたる144〜281位をRBD法にかけ、Fasとの結合領域を151〜176位と同定した。次に、この限定領域を,N末側から4残基ずつ抽出し、計23個の断片化ペプチドを得た。
【0228】
Fas(Receptor)に対してもFasLとの結合領域をRBD法により99〜102位に同定した。この99〜102位のアミノ酸配列SKCR(配列番号119)を標的領域として、それと結合して相互作用し得るペプチドを、断片化ペプチドライブラリを用いて、2次スクリーニングより選別した。
【0229】
結果として、Fas Ligand上の領域162〜165のアミノ酸配列WEDT(配列番号120)(Ki=0.19μM)がもっとも結合力のある配列であった(図19)。この領域は、Fas−Fas Ligand複合体モデルからもFASとの結合領域であることが確認されている。
【0230】
次に、3次スクリーニングとして、WEDTをリードペプチドとして1残基目から4残基目まで一残基アミノ酸置換を実施し、変異を実施した(表9)。
【0231】
【表9】
Figure 2004081178
【0232】
表9より、WEWT(配列番号121)のKi値は0.083μMであった。WEWTはWEDTよりもΔGが0.52kcal/mol低くなり、より結合力のあるペプチドと予測され、WEWTを生理活性ペプチド候補として設計した。
【0233】
試験例4 FasL様ペプチドテトラマーによるアポトーシス誘導
Fasは3量体となって作用することから、Fas3量体の形成する空間37Å四方にWEWTペプチド(配列番号121)がうまくはまり込むようにするために、本ペプチドをMAP−8の4アミノ基を保護化した残り4つのブランチに結合させMAP化し、候補ペプチドを作成した(以下,(FLLP−1)−MAPと略す。)(図20)。次いで、(FLLP−1)−MAPのアポトーシス誘導能を上記試験例1と同様の方法を用いて調べた。その結果、(FLLP−1)−MAPは、約0.1μg/mlの濃度において、約50%のヒト卵巣癌培養細胞株NOS4にアポトーシスを誘導した(表10)。
【0234】
【表10】
Figure 2004081178
【0235】
以上の結果より、本手法は極めて有用であることが確認された。
【0236】
参考文献
[1] Nature, 411, 613 (2001)
[2] Morris,G.M. et al, J. Comp. Chem.,19, 1639−1662, (1998)
[3] Eisenberg D, et al., J. Ann. Rev. Biochem., 53, 596−623 (1984)
[4] Cosic I, et al., J IEEE Trans. Biomed. Eng., 32, 337−341 (1985)
[5] Gallet X. et al, J. Mol. Biol., 302, 917−926 (2000)
[6] Zhao, Y. et al., J. Immunol. 167, 2130−2141 (2001)
[7] Eisenberg D, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81, 140 (1984)
[8] Allinger NL, et al. J. Am. Chem. Soc., 99, 8127−8134 (1977)
[9] Weiner SJ, et al., J. Am. Chem. Soc., 106, 765−784 (1984)
[10] Brooks BR, et al., J. Comput. Chem., 4, 187 (1983)
[11] Wang J, et al., Proteins, 36, 1−19 (1999)
[12] Pappu,R.V. et al, J. Phys. Chem. B, 102, 9725−9742 (1998)
[13] Garcia−Calvo M, et al., J. Biol. Chem., 273, 32608−32613 (1998)
【0237】
【発明の効果】
本発明によれば、費用及び時間のかかる生化学的手法や、信頼性に乏しく候補の絞り込みが不可能な従来の生理活性ペプチド予測理論を用いることなく、経済的で迅速かつ効率的な生理活性ペプチドの設計が数学的計算によって可能となる。また、本発明によれば、1次スクリーニングとして複数の評価法を、標的タンパク質の性質に応じて適宜選択できる。さらに、本発明によれば、3次スクリーニングにおいてアミノ酸置換を施しそれらを評価することによって、最適化されたアミノ酸配列を有する生理活性ペプチドの取得が可能になる。
【0238】
【配列表フリーテキスト】
配列番号1:Fasの97〜110位のアミノ酸配列。
配列番号2:Fasの97〜110位のアミノ酸配列に相補的なアミノ酸配列。配列番号3:配列番号2のアミノ酸配列をスクランブルしたアミノ酸配列。
配列番号4〜108:カスパーゼ−3の206〜209位のアミノ酸配列に相補的なアミノ酸配列候補。
配列番号109:カスパーゼ−3の206〜209位のアミノ酸配列。
配列番号110:カスパーゼ阻害剤のアミノ酸配列。
配列番号111:カスパーゼ阻害剤のアミノ酸配列。
配列番号112:カスパーゼ阻害剤のアミノ酸配列。
配列番号113:カスパーゼ阻害剤のアミノ酸配列。
配列番号114:カスパーゼ阻害剤のアミノ酸配列。
配列番号115:カスパーゼ−3特異的阻害剤のアミノ酸配列。
配列番号116:カスパーゼ−3特異的阻害剤のアミノ酸配列。
配列番号117:カスパーゼ−3特異的阻害剤のアミノ酸配列。
配列番号118:カスパーゼ−3非特異的阻害剤のアミノ酸配列。
配列番号119:Fasの99〜102位のアミノ酸配列。
配列番号120:Fasリガンドの162〜165位のアミノ酸配列。
配列番号121:アポトーシス誘導ペプチドのアミノ酸配列。
【0239】
【配列表】
Figure 2004081178
Figure 2004081178
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【図面の簡単な説明】
【図1】生理活性ペプチド設計の一例を示す。
【図2】生理活性ペプチド設計における本発明のシステム全体を示す。
【図3】1次スクリーニングの選択に用いられるプログラムのフローチャートを示す。
【図4】生理活性ペプチドの設計に用いられるプログラムのフローチャートを示す。なお、このフローチャートは、1次スクリーニングとしてアミノ酸相補プロファイル波形評価を行い、さらに2次スクリーニングを行なったものに対応する。
【図5】生理活性ペプチド設計における、3次スクリーニングについてのプログラムのフローチャートを示す。
【図6】アミノ酸相互作用領域評価(1次スクリーニング)についてのプログラムのフローチャートを示す。
【図7】リガンド(タンパク質)のアミノ酸配列からの断片化ペプチドの抽出を示す。
【図8】アミノ酸位置依存的結合有意性評価(1次スクリーニング)についてのプログラムのフローチャートを示す。
【図9】アミノ酸位置依存的結合有意性評価(1次スクリーニング)の概要を示す。
【図10】生理活性ペプチドを設計するための装置の構成の例を示す。
【図11】相補アミノ酸配列DEVDと結晶構造の重ね合わせを示す。
【図12】Fas相補ペプチドテトラマーのアポトーシス誘導能を示す。
【図13】Fas相補ペプチドテトラマーで処理したマウス脳組織と腫瘍体積の統計データを示す。
【図14】カスパーゼー3を標的タンパク質として、1次スクリーニング(アミノ酸位置依存的結合有意性評価)を行なった結果について示す。図14Aは、モチーフの各位置でのPSSを示す。図14Bは、モチーフの各位置でのPSSマトリクスを示す。図14Cは、モチーフの各位置でのPSGマトリクスを示す。図14Dは、解析用ライブラリを用いた相関解析を示す。図14Eは、評価用ライブラリを用いた相関解析を示す。
【図15】カスパーゼー7を標的タンパク質として、1次スクリーニング(アミノ酸位置依存的結合有意性評価)を行なった結果について示す。図15Aは、モチーフの各位置でのPSSを示す。図15Bは、モチーフの各位置でのPSSマトリクスを示す。図15Cは、モチーフの各位置でのPSGマトリクスを示す。図15Dは、解析用ライブラリを用いた相関解析を示す。図15Eは、評価用ライブラリを用いた相関解析を示す。
【図16】カスパーゼー8を標的タンパク質として、1次スクリーニング(アミノ酸位置依存的結合有意性評価)を行なった結果について示す。図16Aは、モチーフの各位置でのPSSを示す。図16Bは、モチーフの各位置でのPSSマトリクスを示す。図16Cは、モチーフの各位置でのPSGマトリクスを示す。図16Dは、解析用ライブラリを用いた相関解析を示す。図16Eは、評価用ライブラリを用いた相関解析を示す。
【図17】カスパーゼー9を標的タンパク質として、1次スクリーニング(アミノ酸位置依存的結合有意性評価)を行なった結果について示す。図17Aは、モチーフの各位置でのPSSを示す。図17Bは、モチーフの各位置でのPSSマトリクスを示す。図17Cは、モチーフの各位置でのPSGマトリクスを示す。図17Dは、解析用ライブラリを用いた相関解析を示す。図17Eは、評価用ライブラリを用いた相関解析を示す。
【図18】カスパーゼ−3特異的阻害ペプチドの設計におけるシステム構成を示す。
【図19】Fas(99−102)に対するFas Ligand4残基ペプチドの結合自由エネルギーを示す。
【図20】4つのWEWTペプチドをMAP−8に結合させることによって得られたペプチドを示す。

Claims (32)

  1. 標的アミノ酸配列と相互作用し得る生理活性ペプチドを設計する方法であって、
    (a1)標的アミノ酸配列の配列データ入力を受け付けるステップと、
    (b1)1以上の所定のアミノ酸指標に従い、該標的アミノ酸配列を1以上の移動平均プロファイル波形に変換するステップと、
    (c1)標的アミノ酸配列の相補アミノ酸配列候補を生成して、ステップ(b1)と同一の1以上のアミノ酸指標を使用して1以上の相補移動平均プロファイル波形に変換するステップと、
    (d1)同一のアミノ酸指標に由来する相補度パラメータを、該標的アミノ酸配列に対する1以上の移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列候補の1以上の相補移動平均プロファイル波形との間でそれぞれ計算するステップと、
    (e1)相補アミノ酸配列候補を、該相補度パラメータととともに記憶手段に記憶するステップと、
    (f1)ステップ(e1)によって記憶された情報に基づいて、所定の数の相補アミノ酸配列を抽出するステップと、
    (g1)抽出された相補アミノ酸配列を、生理活性ペプチドの候補として表示するステップとを包含する、方法。
  2. 該相補度パラメータが、該標的アミノ酸配列に対する移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列候補の相補移動平均プロファイル波形との間の相関係数である、請求項1記載の方法。
  3. 該アミノ酸指標が、疎水度に基づく指標、電気的特性に基づく指標、α−ヘリックスおよびβ−シートのとりやすさを表す指標、及び側鎖体積の相対的な大きさを表す指標から選ばれる1以上の指標である、請求項1または2記載の方法。
  4. 1以上の所定のアミノ酸指標を使用してステップ(a1)〜(f1)で抽出された所定の数の相補アミノ酸配列に対して、1以上の別のアミノ酸指標を使用してステップ(b1)〜(f1)を行なうということを1回以上繰り返すことにより、生理活性ペプチドとして抽出される相補アミノ酸配列候補をさらに絞り込むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 標的タンパク質と相互作用し得る生理活性ペプチドを設計する方法であって、
    (a1’)標的タンパク質中の標的アミノ酸配列の配列データ入力を受け付けるステップと、
    (b1’)1以上の所定のアミノ酸指標に従い、該標的アミノ酸配列を1以上の移動平均プロファイル波形に変換するステップと、
    (c1’)標的アミノ酸配列の相補アミノ酸配列候補を生成して、ステップ(b1’)と同一の1以上のアミノ酸指標を使用して1以上の相補移動平均プロファイル波形に変換するステップと、
    (d1’)同一のアミノ酸指標に由来する相補度パラメータを、該標的アミノ酸配列に対する1以上の移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列候補の1以上の相補移動平均プロファイル波形との間でそれぞれ計算するステップと、
    (e1’)相補アミノ酸配列候補を、該相補度パラメータととともに記憶手段に記憶するステップと、
    (f1’)ステップ(e1’)によって記憶された情報に基づいて、所定の数の相補アミノ酸配列候補を抽出するステップと、
    (g1’)抽出された相補アミノ酸配列候補について、標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを計算するステップと、
    (h1’)相補アミノ酸配列候補を、該分子間エネルギーパラメータとともに記憶手段に記憶するステップと、
    (i1’)ステップ(h1’)によって記憶された情報に基づいて、所定の数の相補アミノ酸配列を抽出するステップと、
    (j1’)抽出された相補アミノ酸配列を、生理活性ペプチドの候補として表示するステップとを包含する、方法。
  6. 該相補度パラメータが、該標的アミノ酸配列に対する移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列候補の相補移動平均プロファイル波形との間の相関係数である、請求項5記載の方法。
  7. 該アミノ酸指標が、疎水度に基づく指標、電気的特性に基づく指標、α−ヘリックスおよびβ−シートのとりやすさを表す指標、及び側鎖体積の相対的な大きさを表す指標から選ばれる1以上の指標である、請求項5または6記載の方法。
  8. 1以上の所定のアミノ酸指標を使用してステップ(a1’)〜(f1’)で抽出された所定の数の相補アミノ酸配列候補に対して、1以上の別のアミノ酸指標を使用してステップ(b1’)〜(f1’)を行なうということを1回以上繰り返すことによって相補アミノ酸配列候補を絞り込んだ後に、ステップ(g1’)〜(i1’)を行なうことを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項記載の方法。
  9. 標的アミノ酸配列と相互作用し得る生理活性ペプチドを設計するためのプログラムであって、
    (a1)標的アミノ酸配列の配列データ入力を受け付けるステップと、
    (b1)1以上の所定のアミノ酸指標に従い、該標的アミノ酸配列を1以上の移動平均プロファイル波形に変換するステップと、
    (c1)標的アミノ酸配列の相補アミノ酸配列候補を生成して、ステップ(b1)と同一の1以上のアミノ酸指標を使用して1以上の相補移動平均プロファイル波形に変換するステップと、
    (d1)同一のアミノ酸指標に由来する相補度パラメータを、該標的アミノ酸配列に対する1以上の移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列候補の1以上の相補移動平均プロファイル波形との間でそれぞれ計算するステップと、
    (e1)相補アミノ酸配列候補を、該相補度パラメータととともに記憶手段に記憶するステップと、
    (f1)ステップ(e1)によって記憶された情報に基づいて、所定の数の相補アミノ酸配列を抽出するステップと、
    (g1)抽出された相補アミノ酸配列を、生理活性ペプチドの候補として表示するステップとを、コンピュータに実行させるためのプログラム。
  10. 該相補度パラメータが、該標的アミノ酸配列に対する移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列候補の相補移動平均プロファイル波形との間の相関係数である、請求項9記載のプログラム。
  11. 該アミノ酸指標が、疎水度に基づく指標、電気的特性に基づく指標、α−ヘリックスおよびβ−シートのとりやすさを表す指標、及び側鎖体積の相対的な大きさを表す指標から選ばれる1以上の指標である、請求項9または10記載のプログラム。
  12. 1以上の所定のアミノ酸指標を使用してステップ(a1)〜(f1)で抽出された所定の数の相補アミノ酸配列に対して、1以上の別のアミノ酸指標を使用してステップ(b1)〜(f1)を行なうということを1回以上繰り返すことにより、生理活性ペプチドとして抽出される相補アミノ酸配列候補をさらに絞り込むことを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項記載のプログラム。
  13. 標的タンパク質と相互作用し得る生理活性ペプチドを設計するためのプログラムであって、
    (a1’)標的タンパク質中の標的アミノ酸配列の配列データ入力を受け付けるステップと、
    (b1’)1以上の所定のアミノ酸指標に従い、該標的アミノ酸配列を1以上の移動平均プロファイル波形に変換するステップと、
    (c1’)標的アミノ酸配列の相補アミノ酸配列候補を生成して、ステップ(b1’)と同一の1以上のアミノ酸指標を使用して1以上の相補移動平均プロファイル波形に変換するステップと、
    (d1’)同一のアミノ酸指標に由来する相補度パラメータを、該標的アミノ酸配列に対する1以上の移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列候補の1以上の相補移動平均プロファイル波形との間でそれぞれ計算するステップと、
    (e1’)相補アミノ酸配列候補を、該相補度パラメータととともに記憶手段に記憶するステップと、
    (f1’)ステップ(e1’)によって記憶された情報に基づいて、所定の数の相補アミノ酸配列候補を抽出するステップと、
    (g1’)抽出された相補アミノ酸配列候補について、標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを計算するステップと、
    (h1’)相補アミノ酸配列候補を、該分子間エネルギーパラメータとともに記憶手段に記憶するステップと、
    (i1’)ステップ(h1’)によって記憶された情報に基づいて、所定の数の相補アミノ酸配列を抽出するステップと、
    (j1’)抽出された相補アミノ酸配列を、生理活性ペプチドの候補として表示するステップとを、コンピュータに実行させるためのプログラム。
  14. 該相補度パラメータが、該標的アミノ酸配列に対する移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列候補の相補移動平均プロファイル波形との間の相関係数である、請求項13記載のプログラム。
  15. 該アミノ酸指標が、疎水度に基づく指標、電気的特性に基づく指標、α−ヘリックスおよびβ−シートのとりやすさを表す指標、及び側鎖体積の相対的な大きさを表す指標から選ばれる1以上の指標である、請求項13または14記載のプログラム。
  16. 1以上の所定のアミノ酸指標を使用してステップ(a1’)〜(f1’)で抽出された所定の数の相補アミノ酸配列候補に対して、1以上の別のアミノ酸指標を使用してステップ(b1’)〜(f1’)を行なうということを1回以上繰り返すことによって相補アミノ酸配列候補を絞り込んだ後に、ステップ(g1’)〜(i1’)を行なうことを特徴とする、請求項13〜15のいずれか1項記載のプログラム。
  17. 請求項9〜16のいずれか1項記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  18. 標的アミノ酸配列と相互作用し得る生理活性ペプチドを設計するための装置であって、(イ)データ入力部と、(ロ)データ編集部と、(ハ)相補アミノ酸配列候補生成部と、(ニ)相補度計算部と、(ホ)相補アミノ酸配列候補記憶部と、(ヘ)相補アミノ酸配列探索部と、(ト)相補アミノ酸配列表示部とを備え、
    該データ入力部は、(a1)標的アミノ酸配列の配列データ入力を受け付ける手段を含み、
    該データ編集部は、(b1)1以上の所定のアミノ酸指標に従い、該標的アミノ酸配列を1以上の移動平均プロファイル波形に変換する手段を含み、
    該相補アミノ酸配列候補生成部は、(c1)標的アミノ酸配列の相補アミノ酸配列候補を生成して、ステップ(b1)と同一の1以上のアミノ酸指標を使用して1以上の相補移動平均プロファイル波形に変換する手段を含み、
    該相補度計算部は、(d1)同一のアミノ酸指標に由来する相補度パラメータを、該標的アミノ酸配列に対する1以上の移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列候補の1以上の相補移動平均プロファイル波形との間でそれぞれ計算する手段を含み、
    該相補アミノ酸配列候補記憶部は、(e1)相補アミノ酸配列候補を、該相補度パラメータととともに記憶する手段を含み、
    該相補アミノ酸配列探索部は、(f1)手段(e1)で記憶された情報に基づいて、所定の数の相補アミノ酸配列を抽出する手段を含み、
    該相補アミノ酸配列表示部は、(g1)手段(f1)で抽出された相補アミノ酸配列を、生理活性ペプチドの候補として表示する手段を含む、装置。
  19. 該相補度パラメータが、該標的アミノ酸配列に対する移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列候補の相補移動平均プロファイル波形との間の相関係数である、請求項18記載の装置。
  20. 該アミノ酸指標が、疎水度に基づく指標、電気的特性に基づく指標、α−ヘリックスおよびβ−シートのとりやすさを表す指標、及び側鎖体積の相対的な大きさを表す指標から選ばれる1以上の指標である、請求項18または19記載の装置。
  21. 標的タンパク質と相互作用し得る生理活性ペプチドを設計するための装置であって、(イ)データ入力部と、(ロ)データ編集部と、(ハ)相補アミノ酸配列候補生成部と、(ニ)相補度計算部と、(ホ)相補アミノ酸配列候補記憶部と、(ヘ)相補アミノ酸配列探索部と、(ト)相補アミノ酸配列表示部とを備え、
    該データ入力部は、(a1’)標的タンパク質中の標的アミノ酸配列の配列データ入力を受け付ける手段を含み、
    該データ編集部は、(b1’)1以上の所定のアミノ酸指標に従い、該標的アミノ酸配列を1以上の移動平均プロファイル波形に変換する手段を含み、
    該相補アミノ酸配列候補生成部は、(c1’)標的アミノ酸配列の相補アミノ酸配列候補を生成して、手段(b1’)と同一の1以上のアミノ酸指標を使用して1以上の相補移動平均プロファイル波形に変換する手段を含み、
    該相補度計算部は、(k1’)同一のアミノ酸指標に由来する相補度パラメータを、該標的アミノ酸配列に対する1以上の移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列候補の1以上の相補移動平均プロファイル波形との間でそれぞれ計算し、さらに標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを計算する手段を含み、
    該相補アミノ酸配列候補記憶部は、(l1’)相補アミノ酸配列候補を、該相補度パラメータおよび該分子間エネルギーパラメータとともに記憶する手段を含み、
    該相補アミノ酸配列探索部は、(m1’)手段(k1’)によって記憶された情報に基づいて、所定の数の相補アミノ酸配列を抽出する手段を含み、
    該相補アミノ酸配列表示部は、(n1’)該相補アミノ酸配列探索部によって抽出された相補アミノ酸配列を、生理活性ペプチドの候補として表示する手段を含む、装置。
  22. 該相補度パラメータが、該標的アミノ酸配列に対する移動平均プロファイル波形と相補アミノ酸配列候補の相補移動平均プロファイル波形との間の相関係数である、請求項21記載の装置。
  23. 該アミノ酸指標が、疎水度に基づく指標、電気的特性に基づく指標、α−ヘリックスおよびβ−シートのとりやすさを表す指標、及び側鎖体積の相対的な大きさを表す指標から選ばれる1以上の指標である、請求項21または22記載の装置。
  24. さらに、ステップ(i1’)とステップ(j1’)との間において、
    (I)ステップ(i1’)で抽出されたアミノ酸配列に対しアミノ酸変異を導入したアミノ酸配列を生成するステップと、
    (II)ステップ(I)で生成されたアミノ酸配列と標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを計算するステップと、
    (III)ステップ(i1’)で抽出されたアミノ酸配列と標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを対照として、ステップ(II)で計算された分子間エネルギーパラメータを比較し、対照の分子間エネルギーパラメータよりも安定な分子間エネルギーパラメータを有するアミノ酸配列を抽出するステップとを含む、請求項13〜16のいずれか1項記載のプログラム。
  25. 標的タンパク質と相互作用し得る生理活性ペプチドを設計するためのプログラムであって、
    (a2)標的タンパク質の標的部位と相互作用するタンパク質中の相互作用領域を特定するステップと、
    (b2)該相互作用領域から任意の長さのアミノ酸配列を抽出するステップとを、コンピュータに実行させるためのプログラム。
  26. 標的タンパク質と相互作用し得る生理活性ペプチドを設計するためのプログラムであって、
    (a2’)標的タンパク質の標的部位と相互作用するタンパク質中の相互作用領域を特定するステップと、
    (b2’)該相互作用領域から任意の長さのアミノ酸配列を抽出するステップと、
    (c2’)抽出されたアミノ酸配列について、標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを計算するステップと、
    (d2’)該アミノ酸配列を、該分子間エネルギーパラメータとともに記憶手段に記憶するステップと、
    (e2’)ステップ(d2’)によって記憶された情報に基づいて、所定の数のアミノ酸配列を抽出するステップと、
    (f2’)抽出されたアミノ酸配列を、生理活性ペプチドの候補として表示するステップとを、コンピュータに実行させるためのプログラム。
  27. さらに、ステップ(e2’)とステップ(f2’)との間において、
    (I)ステップ(e2’)で抽出されたアミノ酸配列に対しアミノ酸変異を導入したアミノ酸配列を生成するステップと、
    (II)ステップ(I)で生成されたアミノ酸配列と標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを計算するステップと、
    (III)ステップ(e2’)で抽出されたアミノ酸配列と標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを対照として、ステップ(II)で計算された分子間エネルギーパラメータを比較し、対照の分子間エネルギーパラメータよりも安定な分子間エネルギーパラメータを有するアミノ酸配列を抽出するステップとを含む、請求項26記載のプログラム。
  28. 標的タンパク質と相互作用し得る生理活性ペプチドを設計するためのプログラムであって、
    (a3)一定の長さのアミノ酸配列を網羅的に生成し、その中からランダムにアミノ酸配列を選択して解析用ライブラリとして抽出するステップと、
    (b3)解析用ライブラリとして抽出された各アミノ酸配列について分子間エネルギーパラメータを計算するステップと、
    (c3)ステップ(b3)で計算された分子間エネルギーパラメータを用いて、アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクスを生成するステップと、
    (d3)アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクスを用いて、アミノ酸出現頻度に基づくスコアを計算するステップと、
    (e3)ステップ(b3)で計算された分子間エネルギーパラメータと該スコアとの間で相関解析を行い、回帰式を得るステップと、
    (f3)該回帰式を用いて、アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクスを、アミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータに基づくマトリクスに変換するステップと、
    (g3)アミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータに基づくマトリクスから、アミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータ値を計算するステップと、
    (h3)所定のアミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータ値以下のアミノ酸配列を抽出するステップとを、コンピュータに実行させるためのプログラム。
  29. 標的タンパク質と相互作用し得る生理活性ペプチドを設計するためのプログラムであって、
    (a3’)一定の長さのアミノ酸配列を網羅的に生成し、その中からランダムにアミノ酸配列を選択して解析用ライブラリとして抽出するステップと、
    (b3’)解析用ライブラリとして抽出された各アミノ酸配列について分子間エネルギーパラメータを計算するステップと、
    (c3’)ステップ(b3’)で計算された分子間エネルギーパラメータを用いて、アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクスを生成するステップと、
    (d3’)アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクスを用いて、アミノ酸出現頻度に基づくスコアを計算するステップと、
    (e3’)ステップ(b3’)で計算された分子間エネルギーパラメータと該スコアとの間で相関解析を行い、回帰式を得るステップと、
    (f3’)該回帰式を用いて、アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクスを、アミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータに基づくマトリクスに変換するステップと、
    (g3’)アミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータに基づくマトリクスから、アミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータ値を計算するステップと、
    (h3’)所定のアミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータ値以下のアミノ酸配列を抽出するステップと、
    (i3’)抽出されたアミノ酸配列について、標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを計算するステップと、
    (j3’)該アミノ酸配列を、該分子間エネルギーパラメータとともに記憶手段に記憶するステップと、
    (k3’)ステップ(j3’)によって記憶された情報に基づいて、所定の数のアミノ酸配列を抽出するステップと、
    (l3’)ステップ(k3’)によって抽出されたアミノ酸配列を、生理活性ペプチドの候補として表示するステップとを、コンピュータに実行させるためのプログラム。
  30. さらに、ステップ(k3’)とステップ(l3’)との間において、
    (I)ステップ(k3’)で抽出されたアミノ酸配列に対しアミノ酸変異を導入したアミノ酸配列を生成するステップと、
    (II)ステップ(I)で生成されたアミノ酸配列と標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを計算するステップと、
    (III)ステップ(k3’)で抽出されたアミノ酸配列と標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを対照として、ステップ(II)で計算された分子間エネルギーパラメータを比較し、対照の分子間エネルギーパラメータよりも安定な分子間エネルギーパラメータを有するアミノ酸配列を抽出するステップとを含む、請求項29記載のプログラム。
  31. 標的タンパク質と相互作用し得る生理活性ペプチドを設計するための装置であって、(イ2)相互作用領域特定部と、(ロ2)アミノ酸配列第1探索部と、(ハ2)分子間エネルギー計算部と、(ニ2)アミノ酸配列記憶部と、(ホ2)アミノ酸配列第2探索部と、(ヘ2)アミノ酸配列表示部とを備え、
    該相互作用領域特定部は、(a2’)標的タンパク質の標的部位と相互作用するタンパク質分子中の相互作用領域を特定する手段を含み、
    該アミノ酸配列第1探索部は、(b2’)該相互作用領域から任意の長さのアミノ酸配列を抽出する手段を含み、
    該分子間エネルギー計算部は、(c2’)抽出されたアミノ酸配列について、標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを計算する手段を含み、
    該アミノ酸配列記憶部は、(d2’)該アミノ酸配列を、該分子間エネルギーパラメータとともに記憶手段に記憶する手段を含み、
    該アミノ酸配列第2探索部は、(e2’)ステップ(d2’)によって記憶された情報に基づいて、所定の数のアミノ酸配列を抽出する手段を含み、
    該アミノ酸配列表示部は、(f2’)抽出されたアミノ酸配列を、生理活性ペプチドの候補として表示する手段を含む、装置。
  32. 標的タンパク質と相互作用し得る生理活性ペプチドを設計するための装置であって、(イ3)アミノ酸配列第1探索部と、(ロ3)分子間エネルギー第1計算部と、(ハ3)スコアマトリクス生成部と、(ニ3)スコア計算部と、(ホ3)回帰式形成部と、(ヘ3)マトリクス変換部と、(ト3)アミノ酸位置依存的エネルギー計算部と、(チ3)アミノ酸配列第2探索部と、(リ3)分子間エネルギー第2計算部と、(ヌ3)アミノ酸配列記憶部と、(ル3)アミノ酸配列第3探索部と、(オ3)アミノ酸配列表示部とを備え、
    該アミノ酸配列第1探索部は、(a3’)一定の長さのアミノ酸配列を網羅的に生成し、その中からランダムにアミノ酸配列を選択して解析用ライブラリとして抽出する手段を含み、
    該分子間エネルギー第1計算部は、(b3’)解析用ライブラリとして抽出された各アミノ酸配列について分子間エネルギーパラメータを計算する手段を含み、
    該スコアマトリクス生成部は、(c3’)ステップ(b3’)で計算された分子間エネルギーパラメータを用いて、アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクスを生成する手段を含み、
    該スコア計算部は、(d3’)アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクスを用いて、アミノ酸出現頻度に基づくスコアを計算する手段を含み、
    該回帰式形成部は、(e3’)ステップ(b3’)で計算された分子間エネルギーパラメータと該スコアとの間で相関解析を行い、回帰式を得る手段を含み、該マトリクス変換部は、(f3’)該回帰式を用いて、アミノ酸出現頻度に基づくスコアマトリクスを、アミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータに基づくマトリクスに変換する手段を含み、
    該アミノ酸位置依存的エネルギー計算部は、(g3’)アミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータに基づくマトリクスから、アミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータ値を計算する手段を含み、
    該アミノ酸配列第2探索部は、(h3’)所定のアミノ酸位置依存的な分子間エネルギーパラメータ値以下のアミノ酸配列を抽出する手段を含み、
    該分子間エネルギー第2計算部は、(i3’)抽出されたアミノ酸配列について、標的タンパク質の標的部位との分子間エネルギーパラメータを計算する手段を含み、
    該アミノ酸配列記憶部は、(j3’)該アミノ酸配列を、該分子間エネルギーパラメータとともに記憶手段に記憶する手段を含み、
    該アミノ酸配列第3探索部は、(k3’)ステップ(j3’)によって記憶された情報に基づいて、所定の数のアミノ酸配列を抽出する手段を含み、
    該アミノ酸配列表示部は、(l3’)ステップ(k3’)によって抽出されたアミノ酸配列を、生理活性ペプチドの候補として表示する手段を含む、装置。
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