JP5310420B2 - 透水マット付き鋼矢板擁壁およびその構築方法 - Google Patents

透水マット付き鋼矢板擁壁およびその構築方法 Download PDF

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Description

本発明は、透水マット付き鋼矢板擁壁およびその構築方法に係り、特に擁壁の背面に透水層を形成するための、鋼矢板擁壁の構築方法、鋼矢板、透水マット用保護具、および透水マットに関する。
擁壁は、土の崩壊を防ぐために構築される。擁壁の背面には、土圧の他に土中水による水圧が作用する。擁壁は、水圧により安定性を損なわれ、倒壊したり滑動したりする場合がある。よって、擁壁の構築に際しては、擁壁に水抜き穴等の排水手段が設けられ、擁壁の背面に透水マット、砂利、砕石等を用いて透水層が形成される。これにより、擁壁の背面に侵入した水が透水層により水抜き穴に誘導されて擁壁の前面に排出され、擁壁の背面に作用する水圧が軽減され、擁壁の安定性が確保される。
図9A,9Bは、従来の擁壁の構築方法を示す図である。擁壁構築に際しては、整地された地盤上にコンクリート製等の擁壁の壁体1が構築され、擁壁の背面に確保された作業空間2を利用して、壁体1の背面に透水マット3が取り付けられ、擁壁の背面が土砂により埋め戻される。
擁壁用透水マット技術マニュアル、社団法人全国宅地擁壁技術協会
しかし、透水マット3は、擁壁の背面に確保された作業空間2を利用して、壁体1に取り付けられる。このため、擁壁の背面に作業空間2を確保できない施工現場では、擁壁を構築することができない。特に、擁壁の前面を切土する切土地盤に擁壁を構築する場合には、擁壁の背面を掘削して透水マット取り付け用の作業空間2を確保するとともに、透水マット3の取付け後に擁壁の背面を埋め戻す必要がある。また、擁壁の背面で掘削および埋め戻しを行うために、擁壁構築に要する工期が長くなり、工費も大きくなる。
また、透水マット3は、比較的脆弱な構造を有するので、擁壁の背面を盛土または埋め戻す場合等に施工機械等との接触により損傷し易い。このため、擁壁の背面を盛土する盛土地盤または切土地盤のいずれに擁壁を構築する場合でも、透水マット3が損傷する虞がある。そして、透水マット3が損傷すると、擁壁の背面に侵入した水が水抜き穴に適切に誘導されず、擁壁の安定性が損なわれてしまう場合がある。
そこで、本発明は、擁壁の背面に透水層を容易かつ確実に形成可能な、鋼矢板擁壁の構築方法、鋼矢板、透水マット用保護具、および透水マットを提供しようとするものである。
本発明の第1の観点によれば、擁壁の背面となる鋼矢板の取付け面に透水マットを取り付け、鋼矢板の取付け面に取り付けられる透水マットの下端および側端を覆うように鋼矢板に保護枠を取り付け、さらに透水マットを覆う透水マット用保護カバーを取り付けた鋼矢板を所定の深度まで打設し透水マットの背面を覆う保護カバーを鋼矢板から取外し、擁壁の背面に透水層を形成することを特徴とする、鋼矢板擁壁の構築方法が提供される。
かかる方法によれば、取付け面に取り付けられた透水マットが保護された状態で鋼矢板が打設され、鋼矢板から保護カバーが取外されて、擁壁の背面に透水層が形成される。このため、透水マット取り付け用の作業空間を確保するために擁壁の背面で掘削および埋め戻しを行わずとも、擁壁の背面に透水層を容易に形成することができる。鋼矢板の打設、擁壁の背面での埋め戻し等に伴う透水マットの損傷を防止して、擁壁の背面に透水層を確実に形成することができる。
ここで、所定の深度まで打設された鋼矢板の前面を所定の計画地盤高まで切土してもよく、または、所定の深度まで打設された鋼矢板の背面を所定の計画地盤高まで盛土してもよい。
また、鋼矢板から取外された保護カバーを他の鋼矢板の打設時に再利用してもよい。
また、本発明の第2の観点によれば、擁壁の背面となる鋼矢板の取付け面に取り付けられる透水マットの下端および側端を覆うように、鋼矢板に取り付けられた保護枠を含むことを特徴とする鋼矢板が提供される。
かかる構成によれば、施工現場で保護枠を製作して鋼矢板に固定する代わりに、工場で組立て済みの鋼矢板組立体(鋼矢板)を施工現場に搬入して利用することで、鋼矢板の準備作業が簡略化され、擁壁構築に要する工期の短縮を図ることができる。
ここで、鋼矢板は、取付け面に取り付けられた透水マットをさらに含んでもよい。また、鋼矢板は、取付け面に取り付けられる透水マットの背面を覆うように、鋼矢板に着脱自在に取り付けられた保護カバーをさらに含んでもよい。
また、本発明の第3の観点によれば、鋼矢板の取付け面の周辺に取り付けられ、取付け面に取り付けられる透水マットの下端および側端を覆う保護枠と、鋼矢板に着脱自在に取り付けられ、取付け面に取り付けられる透水マットの背面を覆う保護カバーと、を含むことを特徴とする透水マット用保護具が提供される。
かかる構成によれば、取付け面に取り付けられた透水マットが透水マット用保護具により保護された状態で鋼矢板が打設され、透水マット用保護具のうち保護カバーが鋼矢板から取外されて、擁壁の背面に透水層を容易かつ確実に形成することができる。
ここで、保護枠は、いずれも取付け面の周辺に突設し、取付け面に取り付けられる透水マットの下端を覆う下枠および側端を覆う側枠を有し、下枠および側枠には、鋼矢板に保護カバーを着脱自在に取り付けるための取り付け部が設けられてもよい。
ここで、下枠および保護カバーの下端には、被係合部材および被係合部材に係合する係合部材が設けられ、係合部材が被係合部材に係合して、鋼矢板に保護カバーが取付けられてもよい。また、下枠および側枠には、鋼矢板から逆L字状に突出した突出部が設けられ、突出部が保護カバーの下端および側端を係止して、鋼矢板に保護カバーが取付けられてもよい。
かかる構成によれば、鋼矢板の取付け面に透水マットを容易かつ確実に取り付けることができる。
本発明によれば、擁壁の背面に透水層を容易かつ確実に形成可能な、鋼矢板擁壁の構築方法、鋼矢板、透水マット用保護具、および透水マットを提供することができる。
水抜き穴が設けられた鋼矢板を示す斜視図である。 鋼矢板への保護枠の取り付け状況を示す斜視図である。 各種の透水マットを示す断面図である。 鋼矢板への透水マットの取り付け状況を示す斜視図である。 鋼矢板への保護カバーの取り付け状況を示す斜視図である。 保護枠および保護カバーの変形例を示す斜視図である。 切土地盤での鋼矢板擁壁の構築方法を示す図(1/4)である。 切土地盤での鋼矢板擁壁の構築方法を示す図(2/4)である。 切土地盤での鋼矢板擁壁の構築方法を示す図(3/4)である。 切土地盤での鋼矢板擁壁の構築方法を示す図(4/4)である。 盛土地盤での鋼矢板擁壁の構築方法を示す図(1/4)である。 盛土地盤での鋼矢板擁壁の構築方法を示す図(2/4)である。 盛土地盤での鋼矢板擁壁の構築方法を示す図(3/4)である。 盛土地盤での鋼矢板擁壁の構築方法を示す図(4/4)である。 従来の擁壁の構築方法を示す図(1/2)である。 従来の擁壁の構築方法を示す図(2/2)である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[1.鋼矢板擁壁用の建設資材]
以下では、図1〜図6を参照しながら、本発明の実施形態に係る鋼矢板擁壁の構築方法に利用される建設資材について説明する。
[1−1.鋼矢板]
図1は、水抜き穴15が設けられた鋼矢板10を示す斜視図である。
図1には、いわゆるハット形の鋼矢板10(以下、単に鋼矢板10とも称する。)が示されている。鋼矢板10は、帽子状の横断面形状を有し、ウェブ11、ウェブ11の左右に所定の角度で延在する左フランジ12l/右フランジ12r、左フランジ12l/右フランジ12rの左右にウェブ11と略平行に延在する左ツバ13l/右ツバ13r、および左ツバ13l/右ツバ13rの左右端の継ぎ手14(14l、14r)からなる。
鋼矢板10は、継ぎ手14を介して他の鋼矢板10と接続され、鋼矢板擁壁を構成する。鋼矢板10は、一面が擁壁の前面側となり、他面が擁壁の背面側となるように配置される。ハット形鋼矢板の場合、隣接する鋼矢板10は、ウェブ11の突出面が一律に擁壁の前面側または背面側となるように配置される。一方、U形鋼矢板の場合、隣接する鋼矢板は、ウェブの突出面が交互に擁壁の前面側および背面側となるように配置される。
鋼矢板10には、擁壁の背面となる取付け面16に透水マット30が取付けられる。取付け面16または取付け面16の下方には、鋼矢板10を削孔して水抜き穴15が設けられる。削孔部には、必要に応じて腐食防止処理が施され、必要に応じて土砂の流出を防止するフィルター(不図示)が装着される。水抜き穴15は、擁壁の設計条件に従って設けられるものであり、必ずしも鋼矢板10毎に設けられる必要はない。
なお、以下では、本発明法をハット形鋼矢板に適用する場合について説明する。しかし、本発明は、U形鋼矢板、組合せ鋼矢板、直線形鋼矢板、Z形鋼矢板等にも同様に適用できる。ただし、U形鋼矢板の場合、鋼矢板のいずれの面が擁壁の背面側となるかに応じて、後述する下枠21、上枠23、保護カバー40等の形状が異なるものとなる。
[1−2.保護枠]
図2は、鋼矢板10への保護枠20の取り付け状況を示す斜視図である。
保護枠20は、取付け面16に取り付けられる透水マット30の下端および側端を覆うように、鋼矢板10に固定される。保護枠20は、例えば平鋼、形鋼等により構成され、溶接手段、締結手段等を用いて鋼矢板10に固定される。なお、図2では、保護枠20が平鋼により構成され、溶接手段を用いて鋼矢板10に固定される場合が示されている。
保護枠20は、透水マット30の下端および側端を各々に覆う下枠21および側枠22により構成される。下枠21および側枠22は、透水マット30の厚さに相当する高さで突出するように、鋼矢板10に固定される。
下枠21は、透水マット30の幅(鋼矢板10の短手方向に対応する。)に相当する長さを有し、鋼矢板10の横断面形状に則して屈曲した横断面形状を有し、ウェブ11、左フランジ12l/右フランジ12r、および左ツバ13l/右ツバ13rに固定される。下枠21は、鋼矢板10の横断面形状に則するように、一部材を折り曲げて形成されてもよく、2以上の部材を溶接して形成されてもよい。
側枠22は、左側枠22lおよび右側枠22rからなり、透水マット30の長さ(鋼矢板10の長手方向に対応する。)に相当する長さを各々に有し、左ツバ13lおよび右ツバ13rに各々に固定される。左側枠22lおよび右側枠22rの下端は、下枠21の左端および右端に各々に接続される。
左側枠22lおよび右側枠22rの上端には、保護カバー40を取付けるためのボルト44が挿通されるボルト孔24が設けられる。下枠21の所定箇所には、保護カバー40を取付けるための棒状部材(係合部材)43が挿通される環状部材(被係合部材)25が設けられる。環状部材25は、例えば環状に形成されたワイヤ鋼等により構成され、溶接手段、締結手段等を用いて下枠21に固定される。なお、環状部材25および棒状部材43の配置は、下枠21と保護カバー40の間で逆にされてもよい。また、係合部材および被係合部材は、棒状部材43および環状部材25に拘らず、他の形状の部材として設けられてもよい。
なお、以下では、下枠21が透水マット30の幅に相当する長さを有し、ウェブ11、左フランジ12l/右フランジ12r、および左ツバ13l/右ツバ13rに対応する一部材により構成される場合について説明する。しかし、下枠21は、例えばウェブ11、左フランジ12l/右フランジ12r、および左ツバ13l/右ツバ13rに対応する2以上の部材により構成されてもよい。
また、以下では、側枠22が透水マット30の長さに相当する長さを有する一部材により構成される場合について説明する。しかし、側枠22は、2以上の部材により構成されてもよい。
また、打設現場の地盤条件に応じては、下枠21に地盤からの大きな抵抗力が作用する。このため、地盤条件に応じては、下枠21自体の剛性を高めたり、鋼矢板10に対する下枠21の固定強度を高めたり、下枠21の横断面形状を錘状にしたりすることが望ましい。
[1−3.透水マット30]
図3は、各種の透水マット30を示す断面図である(出典:擁壁用透水マット技術マニュアル)。図4は、鋼矢板10への透水マット30の取り付け状況を示す斜視図である。
透水マット30は、石油系素材等からなる厚さ1〜2cm程度のマット材である。透水マット30には、空隙の大きい芯材の外周に透水フィルターを巻いたもの、または二層構造で片面が透水可能な有孔シート状のもの等がある。図3に示すように、透水マット30は、立体網状構造、不織布嵩上げ構造、リブ型立体構造、ネット積層構造、板状ネット構造、板状エンボス構造等に分類される。
透水マット30は、下枠21の長さに相当する幅、側枠22の長さに相当する長さ、および下枠21および側枠22の高さに相当する厚さを有し、鋼矢板10の横断面形状に則した横断面形状を有する。透水マット30は、下端および側端が下枠21および側枠22により各々に覆われるように、例えば粘着手段、接着手段等を用いて鋼矢板10に取付けられる。透水マット30は、鋼矢板10の横断面形状に即するように、1のマットを折り曲げて形成されてもよく、2以上のマットを接続して形成されてもよい。
なお、以下では、透水マット30がウェブ11、左フランジ12l/右フランジ12r、および左ツバ13l/右ツバ13rに対応する1のマットにより構成される場合について説明する。しかし、透水マット30は、例えばウェブ11、左フランジ12l/右フランジ12r、および左ツバ13l/右ツバ13rに対応する2以上のマットにより構成されてもよい。
[1−4.保護カバー40]
図5は、鋼矢板10への保護カバー40の取り付け状況を示す斜視図である。
保護カバー40は、取付け面16に取り付けられる透水マット30の背面を覆うように、鋼矢板10に着脱自在に固定される。保護カバー40は、鋼板等により構成され、保護枠20を介して鋼矢板10に固定される。
保護カバー40は、透水マット30の幅に相当する幅、および透水マット30の長さに相当する長さを有し、鋼矢板10の横断面形状に則した横断面形状を有する。保護カバー40は、鋼矢板10の横断面形状に則するように、一部材を折り曲げて形成されてもよく、2以上の部材を溶接して形成されてもよい。
保護カバー40の左右上端には、保護カバー40を側枠22に固定するためのボルト44が挿通されるボルト孔42が設けられた固定用部材が設けられる。保護カバー40の下端の所定箇所には、保護カバー40を下枠21に固定するための棒状部材43が設けられる。棒状部材43は、丸鋼、鉄筋等により構成され、溶接手段、締結手段等を用いて保護カバー40に固定される。
保護カバー40は、下枠21の環状部材25に保護カバー40の棒状部材43を挿通し、側枠22および保護カバー40のボルト孔24、42にボルト44を挿通して締結して、鋼矢板10に着脱自在な状態で固定される。ここで、保護カバー40は、環状部材25と棒状部材43の係合により、保護枠20との間に隙間が生じないように鋼矢板10に固定される。
また、透水マット30の上端には、透水マット30の上端を覆うように、下枠21と同様の形状を有する樹脂性等の上枠23が配置される。これにより、透水マット30は、下端および側端が保護枠20により覆われ、背面が保護カバー40により覆われ、上端が上枠23により覆われて保護される。なお、上枠23の脱落を防止するために、鋼製の上枠23を用いて、上枠23の端部を鋼矢板10に溶接手段により固定してもよい。
なお、以下では、保護カバー40が透水マット30の幅に相当する幅を有し、ウェブ11、左フランジ12l/右フランジ12r、および左ツバ13l/右ツバ13rに対応する一部材により構成される場合について説明する。しかし、保護カバー40は、例えばウェブ11、左フランジ12l/右フランジ12r、および左ツバ13l/右ツバ13rに対応する2以上の部材により構成されてもよい。
[1−5.保護枠20および保護カバー40の変形例]
図6は、保護枠20および保護カバー40の変形例120、140を示す斜視図である。
変形例の保護枠120は、取付け面16に取り付けられる透水マット30の下端および側端を覆うように、鋼矢板10に固定される。保護枠120は、山形鋼、溝形鋼等により構成され、溶接手段、締結手段等を用いて鋼矢板10に固定される。なお、図6では、保護枠120が山形鋼により構成され、溶接手段を用いて鋼矢板10に固定される場合が示されている。
保護枠120は、透水マット30の下端および側端を各々に覆う下枠121および側枠122(122l、122r)により構成される。下枠121および側枠122は、透水マット30の厚さと保護カバー140の厚さの合計に相当する高さで、取付け面16の周辺から逆L字状に突出するように、鋼矢板10に固定される。
変形例の保護カバー140は、保護枠120の逆L字状の突出部126により取付けをガイドされ、側枠122および保護カバー140のボルト孔124、142にボルト144を挿通して締結して、鋼矢板10に着脱自在な状態で固定される。
変形例では、保護カバー140の下端および側端が下枠121および側枠122の逆L字状の突出部126により係止されるので、環状部材25および棒状部材43を設ける必要がない。このため、変形例では、鋼矢板10への保護枠120の取付け作業、および鋼矢板10に対する保護カバー140の着脱作業が容易となる。
[2.鋼矢板擁壁の構築方法]
以下では、図7および図8を参照しながら、本発明の実施形態に係る鋼矢板擁壁の構築方法について説明する。
[2−1.切土地盤での擁壁構築方法]
図7A〜7Dは、切土地盤での鋼矢板擁壁の構築方法を示す図である。
まず、鋼矢板10、保護枠20、透水マット30、保護カバー40等が施工現場に搬入されて、鋼矢板10の準備作業が行われる。鋼矢板10には、擁壁の設計条件に従って所定の水抜き穴15が設置される。鋼矢板10には、取付け面16の周辺に保護枠20が固定され、取付け面16に透水マット30が取り付けられる。鋼矢板10には、保護枠20を介して保護カバー40が着脱自在に固定され、さらに透水マット30の上端に上枠23が取り付けられる。ここで、保護カバー40は、下枠21の環状部材25に保護カバー40の棒状部材43を挿通し、側枠22および保護カバー40のボルト孔24、42に挿通されたボルト44を締結して、鋼矢板10に固定される。
鋼矢板10の準備作業は、施工現場で行われる代わりに、工場等で行われてもよい。例えば、鋼矢板10は、保護枠20の固定が工場で行われた状態で、施工現場に搬入されてもよい。鋼矢板10は、さらに透水マット30の取付けが行われた状態で搬入されてもよく、さらに保護カバー40の固定が行われた状態で搬入されてもよい。また、鋼矢板10は、水抜き穴15が削孔された状態で搬入されてもよい。なお、透水マット30の取付けが行われ、保護カバー40の固定が行われていない状態で搬入される場合、透水マット30を仮保護用のカバー等により保護することが望ましい。
これにより、施工現場での鋼矢板10の準備作業が簡略化され、擁壁構築に要する工期の短縮を図ることができる。また、透水マット30の取り付けを工場で行う場合には、透水マット30の取付けを正確に行うことができる。
次に、保護枠20、透水マット30、および保護カバー40が取り付けられた鋼矢板10が打設現場に搬入されて、クレーンHE1等の施工機械を用いて、鋼矢板10の打設作業が行われる(図7A、7B参照)。切土地盤での擁壁構築に際しては、鋼矢板10が所定の深度まで打設される。鋼矢板10の打設深度は、通常、擁壁の背面の計画地盤高DLrと打設後の鋼矢板10の上端の高さが略一致するように設計される。なお、鋼矢板10の打設には、一般に、静的貫入方法である圧入工法、動的貫入方法であるバイブロハンマ工法等が利用される。
鋼矢板10は、保護枠20、透水マット30、および保護カバー40が取り付けられた状態で打設される。ここで、透水マット30は、下端および側端が保護枠20により覆われ、背面が保護カバー40により覆われ、上端が上枠23により覆われて保護されている。このため、鋼矢板10の打設作業に際して、透水マット30は、地中部で土砂等との接触により損傷したり、目詰まりを生じたり、地上部で施工機械等との接触により損傷したりすることを防止される。
次に、鋼矢板10の打設作業が完了すると、バックホウHE2等の施工機械を用いて、擁壁の前面の切土作業が行われる。ここで、擁壁の前面の地盤は、所定の計画地盤高DLfまで切土(掘削)される(図7C参照)。透水マット30は、通常、下端の高さが擁壁の前面の計画地盤高DLfと略一致するように設計される(水抜き穴15は、計画地盤高DLf以上となる。)。切土作業は、擁壁の背面および/または前面に配置された施工機械を用いて行われる。
そして、擁壁の前面の切土作業が完了すると、クレーンHE1等の施工機械を用いて、保護カバー40の取外作業が行われる(図7D参照)。ここで、保護カバー40は、側枠22および保護カバー40のボルト孔24、42に締結されたボルト44を取外し、保護カバー40の両端のボルト孔42にワイヤ掛けした上で、地中から引き抜かれる。そして、取外された保護カバー40は、清掃および必要に応じて補修され、他の鋼矢板10の打設作業に際して再利用されうる。なお、保護枠20および上枠23は、地中に埋設された状態となる。保護カバー40の取外しにより、透水マット30の背面が擁壁の背面の土砂と接触する。これにより、擁壁の背面となる鋼矢板10の取付け面16側には、透水マット30からなる透水層が形成される。
なお、保護カバー40の取外し作業は、擁壁の前面の切土作業が完了した後に行われる代わりに、擁壁の前面の切土作業を開始する前に行われてもよい。
以上説明したように、切土地盤での鋼矢板擁壁の構築では、擁壁の背面に透水マット取り付け用の作業空間を確保する必要がないので、擁壁の背面に作業空間を確保できない施工現場でも、擁壁を構築することができる。また、透水マット取り付け用の作業空間を確保するために擁壁の背面で掘削および埋め戻しを行う必要がないので、擁壁構築に要する工期の短縮および工費の削減を図ることができる。また、施工機械等との接触による透水マット30の損傷を防止することができる。
[2−2.盛土地盤での擁壁構築方法]
図8ADは、盛土地盤での鋼矢板擁壁の構築方法を示す図である。
鋼矢板10の準備作業については、切土地盤の場合と同様であるので、説明を省略する。盛土地盤での擁壁構築に際しては、鋼矢板10が所定の深度まで打設される(図8A、8B参照)。鋼矢板10の打設深度は、通常、擁壁の背面の計画地盤高DLrと打設後の鋼矢板10の上端の高さが略一致するように設計される。
鋼矢板10は、保護枠20、透水マット30、および保護カバー40が取り付けられた状態で打設される。ここで、透水マット30は、下端および側端が保護枠20により覆われ、背面が保護カバー40により覆われ、上端が上枠23により覆われて保護されている。このため、鋼矢板10の打設作業に際して、透水マット30は、地中部で土砂等との接触により損傷したり、目詰まりを生じたり、地上部で施工機械等との接触により損傷したりすることを防止される。
次に、鋼矢板10の打設作業が完了すると、ブルドーザーHE3等の施工機械を用いて、擁壁の背面の盛土作業が行われる。ここで、鋼矢板10の背面の地盤は、所定の計画地盤高DLrまで盛土される(図8C参照)。盛土作業に際しては、土砂の敷均し、締固め、転圧が行われる。透水マット30は、通常、下端の高さが擁壁の前面の計画地盤高DLfと略一致するように設計される(水抜き穴15は、計画地盤高DLf以上となる。)。盛土作業は、擁壁の背面および/または前面に配置された施工機械を用いて行われる。
そして、擁壁の背面の盛土作業が完了すると、クレーンHE1等の施工機械を用いて、保護カバー40の取外作業が行われる(図8D参照)。ここで、保護カバー40は、側枠22および保護カバー40のボルト孔42に締結されたボルト44を取外し、保護カバー40の両端のボルト孔42にワイヤ掛けした上で、地中から引き抜かれる。そして、取外された保護カバー40は、清掃および必要に応じて補修され、他の鋼矢板10の打設作業に際して再利用されうる。保護カバー40の取外しにより、透水マット30の背面が擁壁の背面の土砂と接触する。これにより、擁壁の背面となる鋼矢板10の取付け面16側には、透水マット30からなる透水層が形成される。
なお、保護カバー40の取外し作業は、擁壁の背面の盛土作業が完了した後に行われる代わりに、擁壁の背面の盛土作業を開始する前に行われてもよい。但し、この場合には、盛土作業に際して施工機械等との接触により透水マット30が損傷しないような防護対策を施すことが望ましい。
以上説明したように、盛土地盤での鋼矢板擁壁の構築では、擁壁の背面に透水マット取り付け用の作業空間を確保する必要がないので、擁壁の背面に作業空間を確保できない施工現場でも、擁壁を構築することができる。また、施工機械等との接触による透水マット30の損傷を防止することができる。
[3.まとめ]
以上説明したように、本発明の実施形態に係る鋼矢板擁壁の構築方法によれば、取付け面16に取り付けられた透水マット30が保護された状態で鋼矢板10が打設され、鋼矢板10から保護カバー40が取外されて、擁壁の背面に透水層が形成される。このため、透水マット取り付け用の作業空間を確保するために擁壁の背面で掘削および埋め戻しを行わずとも、擁壁の背面に透水層を容易に形成することができる。鋼矢板10の打設、擁壁の背面での埋め戻し等に伴う透水マット30の損傷を防止して、擁壁の背面に透水層を確実に形成することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10 鋼矢板
15 水抜き穴
20、120 保護枠
21、121 下枠
22、122 側枠
23、123 上枠
30 透水マット
40、140 保護カバー

Claims (11)

  1. 擁壁の背面となる鋼矢板の取付け面に透水マットを取り付け、前記鋼矢板の取付け面に取り付けられる透水マットの下端および側端を覆うように前記鋼矢板に保護枠を取り付け、さらに前記透水マットを覆う透水マット用保護カバーを取り付けた前記鋼矢板を所定の深度まで打設し前記透水マットの背面を覆う保護カバーを前記鋼矢板から取外し、前記擁壁の背面に透水層を形成する、鋼矢板擁壁の構築方法。
  2. 前記所定の深度まで打設された鋼矢板の前面を所定の計画地盤高まで切土することを特徴とする、請求項1に記載の鋼矢板擁壁の構築方法。
  3. 前記所定の深度まで打設された鋼矢板の背面を所定の計画地盤高まで盛土することを特徴とする、請求項1に記載の鋼矢板擁壁の構築方法。
  4. 前記鋼矢板から取外された保護カバーを他の鋼矢板の打設時に再利用することを特徴とする、請求項1に記載の鋼矢板擁壁の構築方法。
  5. 請求項1に記載の鋼矢板擁壁の構築方法に利用される鋼矢板であって、
    前記鋼矢板に取り付けられた前記保護枠を含むことを特徴とする、鋼矢板。
  6. 前記取付け面に取り付けられた透水マットをさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載の鋼矢板。
  7. 前記取付け面に取り付けられる透水マットの背面を覆うように、前記鋼矢板に着脱自在に取り付けられた保護カバーをさらに含むことを特徴とする、請求項5または6に記載の鋼矢板。
  8. 請求項1に記載の鋼矢板擁壁の構築方法に利用される透水マット用保護具であって、
    前記鋼矢板の取付け面の周辺に取り付けられる前記保護枠と、
    前記鋼矢板に着脱自在に取り付けられる前記保護カバーと、
    を含むことを特徴とする、透水マット用保護具。
  9. 前記保護枠は、いずれも前記取付け面の周辺に突設し、前記取付け面に取り付けられる透水マットの下端を覆う下枠および側端を覆う側枠を有し、
    前記下枠および前記側枠には、前記鋼矢板に前記保護カバーを着脱自在に取り付けるための取り付け部が設けられることを特徴とする、請求項8に記載の透水マット用保護具。
  10. 前記下枠および前記保護カバーの下端には、被係合部材および前記被係合部材に係合する係合部材が設けられ、
    前記係合部材が前記被係合部材に係合して、前記鋼矢板に前記保護カバーが取付けられることを特徴とする、請求項9に記載の透水マット用保護具。
  11. 前記下枠および前記側枠には、前記鋼矢板から逆L字状に突出した突出部が設けられ、
    前記突出部が前記保護カバーの下端および側端を係止して、前記鋼矢板に前記保護カバーが取付けられることを特徴とする、請求項9に記載の透水マット用保護具。
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