JP5310254B2 - 遊技機の磁石検知装置及び遊技機の磁石検知方法 - Google Patents

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Description

本発明は遊技機の磁石検知装置及び遊技機の磁石検知方法に関し、特にパチンコ遊技機に取付けられる不正磁石検知装置において、複数のセンサではなくて単一の不正磁石検知センサにて遊技機前面にて不正に作用する磁石を検出する遊技機の磁石検知装置及び遊技機の磁石検知方法に関する。
パチンコ遊技機の不正防止方法において、パチンコ玉の動きを操作する不正行為に用いられる磁石を検知して不正行為を報知する先行技術として特許文献1が知られている。この特許文献1においては、不正磁石の操作作用点となる複数の入賞口近傍に配置された複数の磁石検知装置を用いて、磁石を検知した場合に遊技機の外部に発報する技術が開示されている。
特開2003−340074
パチンコ遊技機には、役物可動用モータ、ソレノイド等に使用されている磁石やパチンコ発射部に使用されている磁石などによる既存磁力が存在している。この既存磁力を不正磁石から放出されている磁力として誤検出する事を防止する手段としては、磁石検知装置の検知感度を低くするか又は既存磁力の影響を受けない位置に磁石検知装置を配置することにより、パチンコ遊技機内に存在する既存磁力を誤検出しないようにする必要がある。
パチンコ遊技機内に存在する既存磁力を誤検出しないようにするために、上記特許文献1においては、磁石による不正操作がなされる複数の位置のそれぞれに磁石検知装置を配置している。このため、パチンコ遊技機の1台当たりの価格が単一の磁石検知装置による場合に比較して高価となり、且つ、構成が複雑になるという課題がある。
遊技機1台あたりに単一の磁石検知装置を取り付けることにより不正磁石を検出するようにして、構成が簡単で安価な遊技機を実現するためには、磁石検知感度を高くして広範囲に不正磁石の検出を可能にしなければならない。しかし、このようにして取り付けられた磁石検知装置を用いると、遊技機ガラス扉の開閉や遊技機枠の開閉により磁石検知装置の位置が移動するので検知座標点及び検知方位が変化してしまう。検知される地球磁場の大きさは検知座標点及び検知方位によって異なる。磁石検知装置の検知座標及び検知方位が変化すると、磁石検知装置の出力は地球磁場の影響で変化してしまう。したがって、磁石検知装置の検知感度を高くして地球磁場の大きさの最大値より低い閾値に設定すると、磁石検知装置の検知座標点及び検知方位変化に伴って地球磁場の影響が検出結果に反映されてしまう場合がある。そこで、地球磁場の影響のない状態で磁石検知装置の出力を得る必要がある。
上記課題に鑑みて、本発明の第1の目的は、単一の磁石検知装置にて不正磁石を検出可能で且つパチンコ遊技機内に存在する既存磁力を誤検出しない安価で確実な不正磁石検知機能付き磁石検知装置及び磁石検知方法を提供する事にある。
本発明の第2の目的は、単一の磁石検知装置を用いても遊技機に存在する既存磁力及び地球磁場の影響による誤検出を防止する不正磁石検知機能付き磁石検知装置及び磁石検知方法を提供する事にある。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様により提供されるものは、3次元磁束センサ回転検出処理部がOFF信号を出力しており且つ磁石検知処理部がON信号を出力しているときに不正磁石検知信号を出力するようにした磁石検知装置及び磁石検出方法である。
本発明の第2の態様によれば、第1の態様において、検出信号処理部は、3次元磁束センサの出力信号を取得するセンサ信号取得処理部の出力を移動平均法を用いて平均化処理して遊技機の周辺に存在する既存磁力の影響を除去する。
本発明の第1の態様によれば、単一の磁石検知装置により不正磁石を検出できるので、複数の磁石検知装置により不正磁石を検出する従来の場合に比べて安価で且つ構成が簡単な遊技機の磁石検知装置及び磁石検知方法を提供できる。
また、不正磁石が近づかない状態でガラス扉や遊技機枠の開閉させた場合には検知原点は3次元上にて移動するが、3次元ベクトル量は変化しない性質を利用して原点移動量が閾値を超えた場合でもベクトル量の変化が無い場合には3次元磁束センサのみが移動したと判断して不正磁石検知信号を出力しないのでガラス扉や遊技機枠の開閉でガラス扉枠や遊技機枠に設置されたセンサの移動にて閾値を超えた場合の出力信号を不正磁石検知信号と認識しない事で誤検出を防止する高感度磁力センサを提供する事が出来る。
本発明の第2の態様によれば、磁束センサからの検出信号に平均化処理を施す事で遊技機既存磁力の影響を排除可能な高感度磁力センサを提供する事が出来る。
本発明の1実施例による磁石検知センサが搭載されているパチンコ遊技機の外観斜視図である。 図1に示した遊技機の正面図である。 (A)は実施例1においてパチンコ遊技機10の前面のガラス扉16を閉じた状態を示す正面図、(B)実施例1においてはガラス扉16を約45度開いた状態を示す図である。 (A)は実施例2においてパチンコ遊技機10の遊技枠12を閉じた状態を示す図、(B)は図4の(A)の状態からパチンコ遊技機10を45度開いた状態を示す図、(C)は図4の(A)に示したパチンコ遊技機の背面図である。 ガラス扉16の位置と磁石検知センサ24の検出磁束密度との関係を示すグラフ図である。 3次元磁束センサの概観斜視図である。 図6に示した3次元磁束センサ61の検出座標原点(X0、Y0、Z0)、センサ出力X、Y、Z及び検出座標原点からの磁束密度の変化量(ベクトルaの絶対値)を示す図である。 3次元磁束センサ61を用いた従来の不正磁石検知方法を説明するメイン処理のフローチャートである。 図8のステップ84の詳細を説明するフローチャートである。 図8のステップ85の詳細を説明するフローチャートである。 3次元磁束センサの出力データが球面座標上を移動している様子を示す図である。 図11に示したA点からの検出磁束の変化量1とB点からの検出磁束の変化量2と、検知出力との関係をまとめた表図である。 本発明の実施例による磁石検知センサの構成を示すブロック図である。 図13に示した磁石検知センサ131における磁石検知処理部137及び回転検出処理部138の出力と検知出力部139の出力の関係を示す図である。 図13に示した検出信号処理部131のメイン処理を説明するフローチャートである。 図15における原点決定処理155の詳細を説明するフローチャートである。 図16の検出座標原点決定処理161の詳細を説明するフローチャートである。 図16の地球磁場量決定処理のステップ162の詳細を説明するフローチャートである。 図15における回転検出処理ステップ156の詳細を説明するフローチャートである。 図15の磁石検出処理のステップ158の詳細を説明するフローチャートである。 本発明の実施例による磁石検知センサ131の外観斜視図である。 図21に示した磁石検知センサ131の内部を示す斜視図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面より詳述する。全図を通して同一参照番号は同一のものを示す。
図1は本発明の実施例1による磁石検知センサが搭載されているパチンコ遊技機の外観斜視図、図2は図1に示した遊技機の正面図である。図1及び図2において、パチンコ遊技機10は、遊技枠12と、遊技枠12に組み込まれた遊技盤14と、遊技盤14の前面に設けられた遊技枠12にガラス扉16と、遊技盤14上に設けられた複数の役物18と、ガラス扉16の下側で遊技枠12の前面に設けられたパチンコ玉受け皿20と、パチンコ玉受け皿20の右側に設けられたパチンコ玉発射ハンドル22とを備えている。本発明の1実施例により、遊技機10の外部からの不正磁石を検出可能な単一の磁石検知装置24がガラス扉16の枠の端面に取り付けられている。磁石検知装置24の構成には磁束センサとして知られる市販のMIセンサが含まれる。以下、磁石検知装置24を磁石検知センサと称する。
ガラス扉16の枠の端面に磁石検知センサ24を取り付けるメリットは、取り付けのしやすさ、演出の邪魔にならない、大きな磁場を発生する中央の役物ソレノイドの影響を受けにくいなどである。
ガラス扉16の枠を開閉した場合に磁石検知センサ24の向きが変わり、この結果、地球磁場の大きさが磁石検知センサ24の検出出力に与える影響が変化し、磁石検知センサ24の検出出力がガラス扉の位置の変化に応じて変化してしまう。このため検出閾値が低い高感度の磁石検知センサでは地球磁場を不正磁石と誤検知してしまうことがある。一般に磁石検知センサ24の検知軸の方向が地磁気の方向に対して平行な状態では検知出力電圧が最大になり、地磁気に対して垂直な状態では検知出力電圧は最小になる。
一方、磁石検知センサ24による検知範囲の広範囲化をねらうと地球磁場の大きさよりも小さな磁束密度を閾値とした検知を行う必要があることが実験的に判明した。地球磁場の大きさは、日本国内で約40μT(マイクロテスラ)〜50μTの静磁界である。本実施例では、広範囲に磁石を検知するための磁石検知センサ24の閾値は、地球磁場の大きさより小さい約40μT以下である。
図3の(A)は実施例1においてパチンコ遊技機10の前面のガラス扉16を閉じた状態を示す正面図、図3の(B)は実施例1においてガラス扉16を約45度開いた状態を示す図である。
図4の(A)は実施例2においてパチンコ遊技機10の遊技枠12を閉じた状態を示す図、図4の(B)は図4の(A)の状態からパチンコ遊技機10を45度開いた状態を示す図、図4の(C)は図4の(A)に示したパチンコ遊技機の背面図である。図4の(A)から(C)において、図3の(A)及び(B)における参照番号と同一の番号は同一の物を表している。図4の(B)に示すように、パチンコ遊技機10の背面には主基板を覆う例えば透明なプラスチック製のケースであるバックパック26が設けられている。27は遊技機10を店舗に設置するための遊技機設置空間、28は遊技枠12を閉じる際に遊技枠12が嵌まる溝である遊技機設置枠である。本実施例2により、このバックパック26上に磁石検知センサ24aが設けられている。このように遊技機10の裏面など役物ソレノイトの影響を受けにくい位置に磁石検知センサ24aが取り付けられた場合にも遊技枠12の開閉により、磁石検知センサ24aの検出出力が地球磁場の影響により変化してしまう。
実施例1により磁石検知センサ24の出力がガラス扉16の開閉により受ける地球磁場の影響、または実施例2により磁石検知センサ24aの出力が遊技枠12の開閉により受ける地球磁場の影響を説明する。
図5はガラス扉16又は遊技枠12の位置と磁石検知センサ24又は24aの検出磁束密度との関係を示すグラフ図である。本実施例1及び2では、ガラス扉16又は遊技枠12を閉じた状態で磁石検知センサ24又は24aの出力電圧が最小になるように磁石検知センサ24又は24aをガラス扉16の枠の端面又は遊技枠12の背面に配置しておく。
図5において、ガラス扉16又は遊技枠12が閉じている状態の時刻t1においては地球磁場の影響が最小であり、磁石検知センサ24又は24aの検出磁束密度をそのときの地球磁場の影響で相殺して0とする。ガラス扉16又は遊技枠12を開くにしたがって検出磁束密度に与える地球磁場の影響が大きくなり、時刻t2で検出磁束密度は地球磁場の大きさにほぼ等しくなる。図5に示したグラフは模式的であって、実際には磁石検知センサ24又は24aの検出出力はガラス扉16又は遊技枠12の開閉の状態に応じて0と地球磁場の大きさの間で変動する。本実施例1及び2では不正磁石の検知のために3次元磁束センサ用いる。
図6は3次元磁束センサの概観斜視図である。図6において、3次元磁束センサ61はセンサ検知軸としてX軸、Y軸及びZ軸の3軸を有する。
図7は図6に示した3次元磁束センサ61の検出座標原点(X0、Y0、Z0)、センサ出力X、Y、Z及び検出座標原点からの磁束密度の変化量(ベクトルaの絶対値)を示す図である。
図8〜図10は3次元磁束センサ61を用いた従来の不正磁石検知方法を説明するフローチャートである。図8はメイン処理のフローチャートである。図8において、ステップ81にて検出信号処理部(マイコン)の電源を投入する。電源投入時の3次元磁束センサ出力X、Y、Zを検出座標原点X0、Y0、Z0とする。検出座標原点X0、Y0、Z0は、地球磁場、板金などの周辺環境の影響を受けている。地球磁場、周辺環境の影響は、静磁界であるが外乱ノイズの影響を排除するために平均化をしてもよい。
次いでステップ82にて各軸の感度設定をする。3次元磁束センサ51の検知軸には感度( mV/μT )があり変化分の磁束密度を計算で求めることが出来る。3次元磁束センサ51の感度は、製造工程時にマイコンなどを利用して覚えさせてもよい。感度は、各検知軸毎に持っているため各軸の磁束密度は以下の式で求める。
磁束密度(μT)ΔX=(X−X0)÷X軸感度(mV/μT)
磁束密度(μT)ΔY=(Y−Y0)÷Y軸感度(mV/μT)
磁束密度(μT)ΔZ=(Z−Z0)÷Z軸感度(mV/μT)
ここで、X0、Y0、Z0は、電源投入時の磁束センサ出力であり、
X、Y、Zは、磁束センサ出力であり、
ΔX、ΔY、ΔZは、磁束密度変化量である。
磁束密度のベクトルの大きさは以下の式で求める。(単位はμT)
Figure 0005310254
ステップ83にて、検知閾値を、地球磁場の大きさ>検知閾値となるように設定する。次いでステップ84にて、原点決定処理を行う。この処理の詳細は図9に示すフローチャートに示されている。
ステップ84に次いでステップ85にて磁石検知処理を行う。この処理の詳細は図9のフローチャートに示されている。簡単に説明すると、(1)磁石が3次元磁束センサ51に近づくと、磁石の磁界によって3次元磁束センサX、Y、Z各軸出力が変化する。(2)検出座標原点からの磁束密度の変化量を磁束密度のベクトルとして計算して、変化分の磁束密度の大きさを求める。(3)磁石を近づけて、(3)によって求めた磁束密度の大きさが磁石を検知するための閾値を超えた場合は、検知出力とする。また、近づけた磁石を遠ざけて磁石を検知するための閾値を下回った場合は、非検知出力とする。
ステップ85は無限ループであって、検出信号処理部(マイコン)の電源がオフになり、メイン処理が終了するまで継続して行う。
図9は図8のステップ84の詳細を説明するフローチャートである。図9において、ステップ91にてサンプリング点数をN(Nは自然数)点とする。ステップ92にてデータ取得数Cntを0にリセットする。ステップ93にて3次元磁石検知センサ51の検出出力のX軸値Xad、Y軸値Yad及びZadをAD変換をする。ステップ94にてAD変換結果を前回のAD変換結果に加算して記憶する。また、データ取得数Cntをインクリメントする。ステップ95にてデータ取得数Cntが所定数Nになるまで、ステップ93〜95を繰り返す。ステップ95にてデータ取得数Cntが所定数N以上になると、ステップ96にてAD変換結果の合計をNで割って原点とする。即ち、X軸の原点X0はX0=Xsum/N、Y軸の原点Y0はY0=Ysum/N、Z軸の原点Z0はZ0=Zsum/Nとなる。
図10は図8のステップ85の詳細を説明するフローチャートである。図10において、ステップ101にて磁石検知センサ24の検出出力をAD変換してXad、Yad及びZadとし、ステップ102にて原点からの変化量ΔX、ΔY及びΔZを計算し、ステップ103にてベクトル量ΔA=(ΔX+ΔY+ΔZ)1/2を計算し、ステップ104でベクトル量ΔAが検知閾値を超えるとステップ105にて磁石検知出力をONとし、それ以外はステップ106にて磁石検知出力をOFFとする。
以上図8〜図10により説明した方法では、図9のフローチャートに示した方法で求めた検出座標原点は、地球磁場や周辺環境の影響を受けた状態である。このため、3次元磁束センサ51の向きが変われば各センサ検知軸に入射される磁束の大きさが変わるため、磁石を検知するための閾値が地球磁場の大きさより小さいと、3次元磁束センサの回転で磁石を検知するための閾値を超えてしまう。
また、センサ出力がある一定時間安定していた場合を常に新しい原点とする原点補正方法を用いてもドア又は遊技枠の開閉方法に比例した磁束密度の変化量を原点として扱うためには、安定時間を短くするか安定量を緩和するといった手段を使う必要があるが、磁石を低速で近づけた場合の磁束密度の変化もキャンセルしてしまうことになるので事実上困難である。
ところで、地球磁場の大きさは日本国内で40μT〜50μTの静磁界である。ゼロ磁場での3次元磁束センサ出力データをゼロ磁場原点とすると地球磁場の大きさは、パチンコ台の設置場所により決まる。また、3次元磁束センサを動かしたときのゼロ磁場原点からのベクトルの大きさは地球磁場の大きさを半径とした球面上に分布することになる。
そこで本発明の実施例では、3次元磁束センサの出力データが球面座標上を移動しているときはガラス枠又は遊技枠の開閉でセンサが回転しているとみなして検出出力をキャンセルすることにより3次元磁束センサの回転による誤検知を防止する。
図11は3次元磁束センサの出力データが球面座標上を移動している様子を示す図である。図11において、B点を検出座標原点(電源投入時の3次元磁束センサ出力)として次の2つのケースについて説明する。
ケース1:ガラス枠又は遊技枠を開閉して磁石検知センサを回転させた場合、3次元磁束センサの出力データB点からC点へ移動する。
(1)電源投入時の3次元磁束センサ出力(Xb,Yb,Zb)により検出座標原点B点が決まる。ゼロ磁場でのセンサ出力(Xa,Ya,Za)をゼロ磁場原点A点とするとABベクトルの大きさが地球磁場の大きさとなる。
(2)磁石検知センサに磁石を近づけたときのセンサ出力(Xc,Yc,Zc)をC点とすると検出座標原点B点からの磁束密度の変化量はBCベクトルの大きさとなる。このときベクトルACの大きさはベクトルABの大きさ(地球磁場の大きさ)と同じなので地球磁場の磁束しか存在していないとみなせるため、BCベクトルの大きさに関わらず検知出力をOFFとする。
ケース2:磁石検知センサに磁石を近づけた場合 B点からD点へ移動する。
(1)電源投入時の3次元磁束センサ出力(Xb,Yb,Zb)により検出座標原点B点が決まる。ゼロ磁場でのセンサ出力(Xa,Ya,Za)をゼロ磁場原点A点とするとABベクトルの大きさが地球磁場の大きさとなる。
(2)磁石検知センサに磁石を近づけたときのセンサ出力(Xd,Yd,Zd)をD点とすると検出座標原点B点からの磁束密度の変化量はBDベクトルの大きさとなる。このときベクトルADの大きさはベクトルABの大きさ(地球磁場の大きさ)と異なる場合は、地球磁場以外の磁束が存在するとみなせるため、ベクトルBDの大きさと磁石を検知するための閾値と比較して、閾値を超えていれば検知出力ON、閾値を超えていない場合は、検知出力OFFとする。
図12は、図11に示したA点からの検出磁束の変化量1とB点からの検出磁束の変化量2と、検知出力との関係をまとめた表図である。図12において、変化量1がベクトルABの大きさと同じ場合は、変化量2の評価をせずに検知出力をOFFにし、変化量1がベクトルABの大きさと異なる場合は、変化量2が磁石検知閾値より大きい場合にのみ検知出力をONにし、変化量2が磁石検知閾値以下の場合は検知出力はOFFにすることが分かる。
図13は本発明の実施例による磁石検知センサの構成を示すブロック図である。図13において、磁石検知センサ131(図1における磁石検知センサ51と同じもの)は、磁束センサ132と、3次元磁束センサ132の出力を処理する検出信号処理部133とを備えている。
検出信号処理部133は、本実施例ではマイコンにより実現されている。検出信号処理部133は、3次元磁束センサ132の出力に接続されたセンサ信号取得処理部134と、センサ信号取得処理部134の出力に接続された平均化フィルタ部135及び原点決定処理部136と、平均化フィルタ部135及び原点決定処理部136の出力に接続された磁石検知処理部137及び回転検出処理部138と、磁石検知処理部137及び回転検出処理部138の出力に接続された検知出力部139を備えている。検知出力部139はANDゲートである。
図14は図13に示した磁石検知センサ131における磁石検知処理部137及び回転検出処理部138の出力と検知出力部139の出力の関係を示す図である。図14において、回転検出処理部137の出力がOFFで且つ磁石検知処理部138の出力がONのときのみ、検知出力部139の出力である検知出力がONになり、それ以外はOFFになることが分かる。
図15は図13に示した検出信号処理部131のメイン処理を説明するフローチャートである。図15において、図8に示したフローチャートとの相違点は、図8では各軸の感度設定ステップ82の次に検知閾値設定ステップ83が行われるのに対し、図15では各軸の感度設定のステップ152と検知閾値設定ステップ154の間に、各軸のゼロ磁場原点設定ステップ153が行われること、及び、図8では磁石検知処理のステップ85が無限ループで行われるのに対し、図15では回転検出処理のステップ156、回転検出がOFFかの判定ステップ157、回転検出がOFFの場合に磁石検出処理のステップ158を実行し、回転検出がONの場合には検知出力をOFFにするステップ159を実行するという処理が無限ループで行われる点である。
図15において、ステップ151にて電源投入し、ステップ152にてセンサ信号取得処理部134により各軸の感度設定をする。感度は、各検知軸毎に持っているため各軸の磁束密度は以下の式で求める。
磁束密度(μT)ΔX=(X−X0)÷X軸感度(mV/μT)
磁束密度(μT)ΔY=(Y−Y0)÷Y軸感度(mV/μT)
磁束密度(μT)ΔZ=(Z−Z0)÷Z軸感度(mV/μT)
ここで、X0、Y0、Z0は、電源投入時の磁束センサ出力であり、
X、Y、Zは、磁束センサ出力であり、
ΔX、ΔY、ΔZは、磁束密度変化量である。
次いでステップ153にて、原点決定処理部136により各軸のゼロ磁場原点設定処理を行う。
次いでステップ154にて閾値決定処理部137により検知閾値設定処理を行う。
次いでステップ155にて、原点決定処理部136により原点決定処理を行う。この処理の詳細は図16、図17及び図18に示したフローチャートにより後に説明する。
次いでステップ156にて回転検出処理部138により磁束密度の回転を検出する。この回転検出処理の詳細は図19のフローチャートに示されている。
次いで、ステップ157の判定で回転検出がOFFであればステップ158に進み磁石検知処理部137により磁石検出処理を行う。この処理の詳細は図20のフローチャートに示されている。
ステップ156乃至159は無限ループで電源がオフになり、メイン処理が終了するまで継続して行う。
図16は図15における原点決定処理155の詳細を説明するフローチャートである。図16において、原点決定処理は検出座標原点決定処理のステップ161と地球磁場量決定処理162とからなる。
図17は図16の検出座標原点決定処理161の詳細を説明するフローチャートである。この処理は図9に示した原点決定処理と同じなので、ここでは説明を省略する。
図18は図16の地球磁場量決定処理のステップ162の詳細を説明するフローチャートである。図18において、ステップ181にてゼロ磁場原点Xzero,Yzero、Zzeroからの検出座標原点X0,Y0,Z0のベクトル量Xvect、Yvect、Zvectを以下の式により求める。
Xvect=(Xzero−X0)÷X軸感度
Yvect=(Yzero−Y0)÷Y軸感度
Zvect=(Zzero−Z0)÷Z軸感度
次いでステップ182にて、ベクトル量ΔAzeroを次の式により計算する。
ΔAzero=(ΔXvect+ΔYvect+ΔZvect)1/2
図19は図15における回転検出処理ステップ156の詳細を説明するフローチャートである。図19において、ステップ191にて特定領域の閾値Sを設定し、ステップ192にてセンサ信号所得部134における3次元磁束センサ132からのアナログ信号をAD変換して、Xad、Yad、Zadを得、ステップ193にて平均化フィルタ135により平均化処理を行ってΔXave、ΔYave、ΔZaveを得、ステップ194にて平均値Xave、Xave、Xaveのゼロ磁場合原点Xzero、Yzero、Zzeroからの変化量を次の式に基づき計算する。
ΔXs=(Xave−Xzero)÷X軸感度
ΔYs=(Yave−Yzero)÷Y軸感度
ΔZs=(Zave−Zzero)÷Z軸感度
次いでステップ195にてベクトル量ΔAsを次の式に基づき計算する。
ΔAs=(ΔXs+ΔYs+ΔZs)1/2
次いでステップ196にてΔAzeroが特定領域内内かを判定する。即ち、ΔAsが地球磁場量±S以内かどうかを判定する。この判定でイエスであればステップ197に進み回転検知をONにし、この判定でノーの場合はステップ198にて回転検知をOFFにする。
図20は図15の磁石検出処理のステップ158の詳細を説明するフローチャートである。図20において、ステップ201にてセンサ信号取得処理部134は3次元磁束センサ132の出力から磁束密度の大きさ(ΔX、ΔY、ΔZ)を計算する。次いでステップ202にて平均化フィルタ部125により平均化処理を行う。この処理は、標本化間隔Δt(秒)、N点移動平均した場合の平均化時間TaveはTave=NΔt(秒)となるので信号X(t)をTave(秒)平均したときの出力は次の式で表わせる。
Figure 0005310254
ΔYave及びΔZaveについても上記式と同様にして求まる。
次いでステップ203にて平均値Xave、Yave、Zaveの検出座標原点X0、Y0、Z0からの変化量ΔX、ΔY、ΔZを次の式により計算する。
ΔX=(Xave−X0)÷X軸感度
ΔY=(Yave−Y0)÷Y軸感度
ΔZ=(Zave−Z0)÷Z軸感度
次いでステップ204にてベクトル量ΔAを次の式に基づき計算する。
ΔA=(ΔX+ΔY+ΔZ)1/2
次いでステップ205にてベクトル量ΔAが検知閾値より大きいかを判定し、イエスであればステップ206にて検知出力をONにし、ノーであればステップ207にて検知出力をOFFにする。
図21は本発明の実施例による磁石検知センサ131の外観斜視図である。図21において、磁石検知センサ131は、Vcc電源ピン211と、グランド(GDN)ピン212と、検知出力ピン213とを備えた3ピンコネクタ214を備えている。
図22は図21に示した磁石検知センサ131の内部を示す斜視図である。図22において、磁石検知センサ131は3次元磁束センサ132と検出信号処理部133と3ピンコネクタ214とを含んでいる。検出信号処理部133はマイコンで実現される。
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、様々の変形が可能である。例えば、検出信号処理部133はマイコンに替えて他の信号処理機能を有する電子機器により実現してもよい。
10 パチンコ遊技機
24,24a 磁石検知センサ(磁石検知装置)
131 磁石検知センサ(磁石検知装置)
132 3次元磁束センサ
133 検出信号処理部
134 センサ信号取得処理部
135 平均化フィルタ部
136 原点決定処理部
137 磁石検知処理部
138 回転検出処理部
139 検知出力部

Claims (4)

  1. 一台のパチンコ遊技機に1個だけ取り付けられ、前記パチンコ遊技機の外部からの不正磁石を検出する磁石検知装置であって、
    磁束を検出する3次元磁束センサと、
    前記3次元磁束センサにより検出された磁束信号を処理する検出信号処理部とを備え、
    前記検出信号処理部は、
    前記検出信号処理部の電源投入時の前記3次元磁束センサの出力を原点とする原点決定処理部と、
    前記3次元磁束センサの出力に得られる磁束密度の、ゼロ磁場での前記3次元磁束センサの出力に得られる磁束密度からの変化量が所定の閾値を超えない場合に前記3次元磁束センサが回転していないことを示すOFF信号を出力する回転検出処理部と、
    前記3次元磁束センサの出力に得られる磁束密度の前記原点の磁束密度からの変化量が所定の閾値を超えた場合にON信号を出力する磁石検知処理部と、
    前記回転検出処理部がOFF信号を出力しており且つ前記磁石検知処理部がON信号を出力しているときに不正磁石検知信号を出力する検知出力部と、
    を備えていることを特徴とする磁石検知装置。
  2. 前記検出信号処理部は、
    前記3次元磁束センサの出力信号を取得するセンサ信号取得処理部と、
    前記センサ信号取得処理部の出力を移動平均法を用いて平均化処理して前記遊技機の周辺に存在する既存磁力の影響を除去する平均化フィルタ部と、
    を備えていることを特徴とする請求項1に記載の磁石検知装置。
  3. 一台のパチンコ遊技機に1個だけ取り付けられ、前記パチンコ遊技機の外部からの不正磁石を検出する磁石検知装置であって、
    3次元磁束センサにより磁束を検出し、
    前記3次元磁束センサにより検出された磁束信号を検出信号処理部により処理し、
    前記検出信号処理部は、
    前記検出信号処理部の電源投入時の前記3次元磁束センサの出力を原点決定処理部により原点とし、
    前記3次元磁束センサの出力に得られる磁束密度の、ゼロ磁場での前記3次元磁束センサの出力に得られる磁束密度からの変化量が所定の閾値を超えない場合に前記3次元磁束センサが回転していないことを示すOFF信号を回転検出処理部により出力し、
    前記3次元磁束センサの出力に得られる磁束密度の前記原点の磁束密度からの変化量が所定の閾値を超えた場合にON信号を磁石検知処理部により出力し、
    3次元磁束センサ回転検出処理部がOFF信号を出力しており且つ前記磁石検知処理部がON信号を出力しているときに検知出力部により不正磁石検知信号を出力する、
    というステップを備えていることを特徴とする磁石検知方法。
  4. 前記検出信号処理部は、
    前記3次元磁束センサの出力信号をセンサ信号取得処理部により取得し、
    前記センサ信号取得処理部の出力を平均化フィルタ部により移動平均法を用いて平均化処理して前記遊技機の周辺に存在する既存磁力の影響を除去する、
    というステップを実行することを特徴とする請求項3に記載の磁石検知方法。
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