以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、図2における図面奥側及び図3における左方を「前方」とし、図2における図面手前側及び図3における右方を「後方」とし、図2における右方及び図3における図面奥側を「車外側」とし、図2における左方及び図3における図面手前側を「車内側」とする。
図1〜3に示すように、ドアラッチ装置1は、自動車のフロントドア(以下、ドアと記す)の後端内側に取り付けられると共に、ドアを閉鎖状態に拘束するための噛合ユニット2と、噛合ユニット2に組み付けられる操作ユニット3とを備える。
さらに図4〜6に示すように、噛合ユニット2は、3本のボルト4によりドア後端内側のパネルに固定される合成樹脂製のボディ5と、ボディ5の後面側(表面側)の開口を閉塞する金属製のカバープレート6と、ボディ5内にあってボディ5とカバープレート6との間に回動可能に支持され、ドアの閉鎖時に車体側に固着されたストライカSと係合可能な金属製のラッチ8と、ボディ5内にあってボディ5とカバープレート6との間に回動可能に支持され、ラッチ8に係脱可能な金属製のラチェット10と、ボディ5の前面(裏面)に設置される金属製のバックプレート11と、ボディ5とバックプレート11との間に配置されてラチェット10と一体的に回動可能な金属製のオープンレバー15とを含む。なお、図5は、ボディ5内の内部構造を明示するため、カバープレート6を省略している。
ボディ5には、各ボルト4がそれぞれ挿入される前後方向へ貫通するボルト挿入孔51が設けられ、同じく後面には、ドアの閉鎖時にストライカSが進入可能なストライカ進入溝52が設けられ、また、同じく前面には、図7に示すように、ラチェット10を枢支するためのラチェット軸9が挿入される軸孔53の周囲にあって、バックプレート11へ向けて突出する円筒支持部54が設けられている。なお、円筒支持部54の突出量は、オープンレバー15の板厚よりも僅かに大きくなるように設定される。
ラッチ8は、前後方向を向くラッチ軸7によりボディ5内に枢支されるとともに、ラッチ軸7の周りに設けられたスプリング16の付勢力により常時図5に2点鎖線で示す待機位置8Aへ付勢されている。
ラチェット10は、前後方向を向くラチェット軸9によりボディ5内に枢支されると共に、ラチェット軸9の斜め下方にあってボディ5に一体的に設けられた突軸部55に支持されたスプリング12の付勢力により常時図5に示す係合位置へ付勢されている。ラチェット10の側面には、オープンレバー15に設けられる折曲係合部151が係合する係合孔101が穿設されている。
図7に明示されるように、ラチェット軸9は、カバープレート6に設けられた軸孔62、ボディ5の軸孔53及びバックプレート11に設けられる軸孔113に挿入されると共に、ラチェット軸9におけるカバープレート6側に露出する一端及びバックプレート11側に露出する他端は、カバープレート6の軸孔62及びバックプレート11の軸孔113の周囲にそれぞれかしめ固定される。
図5に明示されるように、スプリング12は、一端121がボディ5に係止され、他端122がラチェット10の前面における係合孔101の周辺に突設された正面視U字状の突部103に係止されることによって、ラチェット10に対して係合方向(ラッチ8に係合する方向)の付勢力を付与し、当該付勢力は、ラチェット10を介してオープンレバー15に伝達される。
ドアが閉鎖状態にあって、ラッチ8がストライカSと係合した図5に実線で示すフルラッチ位置にあるときには、ラチェット10の先端部に設けられた係合部102がラッチ8の係合爪82に係合してラッチ8をフルラッチ位置に拘束し、また、ドアが開放状態にあって、ラッチ8がストライカSから離脱した待機位置8Aにあるときには、ラチェット10の係合部102は、ラッチ8の係合爪82から外れて外周縁に当接する。なお、ラッチ8が待機位置8Aにあるときのラチェット10の停止位置と、ラッチ8がフルラッチ位置にあるときのラチェット10の停止位置とは、ほぼ同一である。
ドアが閉じられると、図5に示すように、ストライカSは、ボディ5及びカバープレート6のストライカ進入溝52、61内に進入してラッチ8の係合溝81に係合する。これにより、ラッチ8は、スプリング16の付勢力に抗して枢軸7を中心に待機位置8Aからフルラッチ位置へ回動し、ラチェット10は、スプリング12の付勢力によってラッチ8の係合爪82に係合し、ラッチ8の待機位置8Aへ向かう方向の回動を阻止してドアを閉鎖状態に拘束する。
また、ドアが閉鎖状態に拘束されている状態のとき、ドアの車外側に設けられる開操作ハンドルをなすアウトサイドハンドル(図示略)またはドアの車内側に設けられるインサイドハンドル(図示略)が操作されると、後述の第1、2リフトレバー20、21のオープン作動に基づくオープンレバー15の回動によりラチェット10がスプリング12の付勢力に抗してオープン方向(図5に示す位置から時計方向)へ回動することにより、ラチェット10の係合部102がラッチ8の係合爪82から離脱してドアの開放を可能にする。
図6、7に明示されるように、バックプレート11は、ボディ5の前面に固定されると共に、ドアパネル、カバープレート6及びボディ5に挿入される各ボルト4がそれぞれ螺合する雌ねじ孔111と、ボディ5の円筒支持部54の先端部に当接する支持部112と、支持部112にあってラチェット軸9が挿入される軸孔113とを形成している。
オープンレバー15は、ボディ5の前面(裏面)とバックプレート11の支持部112との間に挟持された状態で、ラチェット10と同軸上で回動し得るようにボディ5の円筒支持部54に軸孔154が枢嵌され、オープンレバー15の車外側を向く一端部には、ボディ5へ向けて折曲された折曲係合部151が設けられ、また同じく車内側を向く他端部には、被解除部153が設けられ、被解除部153の先端には、後方へ折曲されたキャンセル部152が設けられる。
オープンレバー15における車外側の一端部側は、ボディ5の前面とバックプレート11の支持部112との間に挟持され、折曲係合部151は、ボディ5に設けられたラチェット軸9を中心とする円弧孔56を通ってボディ5内に進入してラチェット10の係合孔101に係合する。これにより、オープンレバー15とラチェット10とは、常時一体的に回動するように連結される。
オープンレバー15の被解除部153には、アンロック状態のとき操作ユニット3の第2リフトレバー21の解除部211が当接可能であり、また、キャンセル部152には、ロック状態のとき操作ユニット3のキャンセルレバー23が当接可能である。
オープンレバー15の他端部側に設けられるキャンセル部152及び被解除部153は、バックプレート11の支持部112よりも前方(ボディ5の裏面から離間する方向)へ突出するように折曲される。すなわち、操作ユニット3の構成要素に対して当接関係にあるオープンレバー15のキャンセル部152及び被解除部153は、ボディ5とバックプレート11の支持部112との間に挟持されないで、支持部112よりも前方へ延出するように形成される。
上述のように、オープンレバー15をボディ5の円筒支持部54に枢支すると共に、オープンレバー15の軸孔154の周辺を含む一側部側を、ボディ5の前面とバックプレート11の支持部112との間に挟持すると、次のような作用効果を奏する。(1)ワッシャーやスペーサ等をラチェット軸9に一切取り付けない構成としても、オープンレバー15の回転軸線方向(ラチェット軸9の軸線方向)へのガタ付きを確実に抑えることができる。(2)ワッシャーやスペーサ等をラチェット軸9に一切取り付けない構成が可能となるため、部品点数を削減してコストを下げることができる。さらには、ラチェット軸9の軸方向の長さを短縮して、ドアラッチ装置1における前後方向の厚さt(図7参照)を薄くすることができる。(3)ラチェット軸9の一端をカバープレート6の軸孔62、他端をバックプレート11の軸孔113にそれぞれかしめ固定することが可能となり、ラチェット軸9をカバープレート6及びバックプレート11に対して強固に固着し、ラチェット10及びオープンレバー15の支持強度を向上させることができる。
次に、操作ユニット3について説明する。主に図4に示すように、操作ユニット3は、ボディ5の前面に取り付けられる合成樹脂製のケーシング13と、ケーシング13の車内側を向く開口を閉塞する合成樹脂製のカバー14とを備え、ケーシング13には、ロック、アンロック操作用の正逆回転可能なモータ17と、合成樹脂製のウォームホイール(歯車)18と、合成樹脂製のロックレバー19と、合成樹脂製の第1リフトレバー20と、金属製の第2リフトレバー21と、金属製のインサイドレバー22と、金属製のキャンセルレバー23と、合成樹脂製の第1キーレバー24と、合成樹脂製の第2キーレバー25と、合成樹脂製の連係レバー26と、金属製のアウトサイドレバー27と、スイッチターミナル40等が設けられる。モータ17、ウォームホイール18及びロックレバー19は、ドアラッチ装置1を電動でロック状態、アンロック状態に操作可能なアクチュエータを構成する。
ケーシング13は、ボディ4の前面を覆う第1ケーシング部13Aと、車内側を向く第2ケーシング部13Bとを一体的に形成し、第1ケーシング部13Aはボディ5に固定され、第2ケーシング部13Bの車内側を向く開口は、カバー14により閉塞される。
ケーシング13における第2ケーシング部13Bの下部には、ロックレバー19の連結部193及びインサイドレバー22の連結部221、並びに各連結部193、221に連結される操作力伝達部材30、32を隠蔽する合成樹脂製の蓋部材130が開閉可能に連結される。蓋部材130は、ケーシング13に各部品を組み付ける作業中は、図1に示すように開放され、操作力伝達部材30、32をロックレバー19、インサイドレバー22の連結部193、221にそれぞれ連結した後は、図3に示すように閉鎖される。
第1キーレバー24は、第2ケーシング部13B内の最上部に車内外方向を向く軸回りに回動可能に枢支されると共に、ドアの車外側に設けられる手動操作手段をなすキーシリンダ(図示略)のロック操作に基づいて、図8、9に示す中立位置からロック方向(図8、9において反時計方向)へ所定角度回動し、また同じくアンロック操作に基づいて、中立位置からアンロック方向(図8、9において時計方向)へ所定角度回動する。
第2キーレバー25は、第2ケーシング部13Bとカバー14との間に第2ケーシング13Bに一体的に設けられた車内外方向を向く支軸31により枢支されると共に、上部に設けた上下方向の長孔251には、第1キーレバー24の下端部に設けた突部241が係合される。これにより、第2キーレバー25は、第1キーレバー24の動作に同期して、図8、9に示す中立位置からロック方向(図8、9において時計方向)及びアンロック方向(図8、9において反時計方向)へ所定角度回動する。
第2ケーシング部13B内における第2キーレバー25の周辺には、キースイッチ41が設けられる。キースイッチ41は、その検知アーム411が第2キーレバー25に係合することによって、第1、2キーレバー24、25が中立位置からアンロック方向へ回動したこと及びロック方向へ回動したこと、すなわちキーシリンダがアンロック操作されたこと及びロック操作されたことを検出する。
連係レバー26は、第2キーレバー25と同軸上に枢支されて図8に示すロック位置と図9に示すアンロック位置とに回動可能であると共に、第2キーレバー25と重合する面には、第2キーレバー25の回動方向に対して所定の遊びを介して当接可能な被当接部261が設けられている。第2ケーシング部13B内における連係レバー26の近傍には、連係レバー26の各位置、すなわちロック状態及びアンロック状態を検出するための位置検出スイッチ42が設けられる。
連係レバー26の下部には、ロックレバー19に連結される上下方向の長孔262が設けられ、同じく上端部には、被検知部263が設けられる。連係レバー26のロック、アンロック位置は、連係レバー26の回動に伴って被検知部263が位置検出スイッチ42に接触したり離れたりすることで位置検出スイッチ42により検出される。
図8に示すように、連係レバー26がロック位置にある場合、第1、2キーレバー24、25がキーシリンダのアンロック操作に基づいて中立位置からアンロック方向へ回動すると、第2キーレバー25が連係レバー26の被当接部261の一側部に当接することにより、連係レバー26は、反時計方向へ回動して図9に示すアンロック位置に移動する。また、図9に示すように、連係レバー26がアンロック位置にある場合、第1、2キーレバー24、25がキーシリンダのロック操作に基づいて中立位置からロック方向へ回動すると、第2キーレバー25が連係レバー26の被当接部261の他側部(一側部と反対側の部分)に当接することにより、連係レバー26は、時計方向へ回動して図8に示すロック位置に回動する。
ロックレバー19は、第2ケーシング部13Bとカバー14との間に第2ケーシング部13Bに一体的に設けられた車内外方向を向く支軸29により枢支され、キーシリンダ及びドアの車内側に設けられた車内側の手動操作手段をなすロック、アンロック操作用のロックノブ(図示略)の操作、さらにはモータ17の駆動によるウォームホイール18の回動に基づいて、第2ケーシング部13Bに設けられたロック用ストッパ部135に当接する例えば図8に示すロック位置と、ロック位置から時計方向へ所定角度回動して第2ケーシング部13Bに設けられたアンロック用ストッパ部136に当接する例えば図9に示すアンロック位置とに回動可能であり、第2ケーシング13Bに支持されたスプリング43の付勢力によってロック位置及びアンロック位置に弾性保持される。支軸29の先端は、図13に示すように、タッピングスクリュー38によりカバー14の内面に固定される。
主に図14に明示するように、付勢部材を形成するスプリング43は、第2ケーシング部13Bに設けられた突起状の支持部137に回動自在に支持されるコイル部431と、コイル部431から上方(外方)へ延出する2本のアーム部432、432とを有する。両アーム部432、432は、中央付近が互いに接近するように湾曲し、互いの間隔が最も狭まっている部分に狭幅路433を形成する。
ロックレバー19に設けられた円柱状の摺動部198は、図14に明示するように、ロックレバー19の回動に伴って両アーム部432、432間を摺動し、ロックレバー19がロック位置にあるときには狭幅部433よりも上側(外側)(2点鎖線で示す位置)に挟持され、また同じくロック位置からアンロック位置に回動したときには狭幅部433を乗り越えて狭幅部433よりも内側(下側)(実線で示す位置)に挟持される。これにより、ロックレバー19の摺動部198が狭幅部433よりも上側に挟持された状態においては摺動部198に対して矢印A方向(ロック方向)への付勢力を付与し、また、同じく狭幅部433よりも下側に挟持された状態においては付勢方向が転換して摺動部198に対して矢印B方向への付勢力を付与する。すなわち、摺動部198が狭幅部433を通過した時点で、摺動部198に付与される付勢方向が転換する。
図8、9に示すように、ロックレバー19の下端部に設けられた連結部193は、ロックノブの操作を伝達可能なケーブル等により形成される操作力伝達部材30の端部が連結される。これにより、ロックノブがロック、アンロック操作されると、ロックレバー19は、ロック位置、アンロック位置へ回動する。
ロックレバー19には、上方へ延出する作動アーム部194が設けられる。この作動アーム部194の端部の一側面(車外側を向く面)には、車外側へ突出する第1突部195(図12参照)が設けられる。第1突部195は、連係レバー26の長孔262に係合されることにより、ロックレバー19と連係レバー26とは、互いに同期してロック位置及びアンロック位置に移動するように連結される。これにより、ロックレバー19及び連係レバー26がロック位置にある場合、キーシリンダが車外側からアンロック操作されると、このアンロック操作は、第1キーレバー24、第2キーレバー25及び連係レバー26を介してロックレバー19に伝達され、ロックレバー19は、スプリング43の付勢力に抗してロック位置からアンロック位置に回動する。また、ロックレバー19及び連係レバー26がロック位置にある場合には、キーシリンダがロック操作されると、このロック操作は、第1キーレバー24、第2キーレバー25及び連係レバー26を介してロックレバー19に伝達され、ロックレバー19は、スプリング43の付勢力に抗してアンロック位置からロック位置に回動する。
さらに作動アーム部194における第1突部195が設けられた面と反対側の面には、車内側へ突出する円柱状の第2突部196が設けられる。第2突部196は、第1リフトレバー20に設けられる第1長溝201に摺動可能に係合することにより、ロックレバー19と第1リフトレバー20とを連係する。
さらにロックレバー19には、支軸29から遠心方向へ延出する第1、2係合アーム191、192が設けられる。第1係合アーム191と第2係合アーム192は、図11〜13から理解できるように互いにウォームホイール18の両側の回転面を挟むように支軸29の軸線方向へ離間するとともに、主に図8、9に示すように回転方向にも所定角度離間するように形成される。
第1係合アーム191は、回転面がウォームホイール18の一方の回転面(カバー14に対向する面)に近接対向し、ウォームホイール18の一方の回転面に設けられる第1係合突部181、182に対して当接可能である。また、第2係合アーム192は、回転面がウォームホイール18の他方の回転面(第2ケーシング部13Bに対向する面)に近接対向し、ウォームホイール18の他方の回転面に設けられる第2係合突部183、184に対して当接可能である。なお、第1、2係合アーム191、192は、ロックレバー19がロック位置からアンロック位置、及びその逆へ回動する際、ウォームホイール18の回転軸線を横切ることがないような長さに設定される。
上述のように、本実施形態においては、ロックレバー19におけるウォームホイール18の一方の回転面に近接対向する第1係合アーム191と、同じくウォームホイール18の他方の回転面に近接対向する第2係合アーム192とによって、ウォームホイール18の両側の回転面を挟み込む構成としたため、ウォームホイール18の回転を強制的に停止させる際に、ウォーム171とウォームホイール18との噛合部分に作用する力によって発生するウォームホイール18が回転軸線方向に対して傾くような挙動を最小限に抑えることができる作用効果を奏する。この作用効果は、ウォームホイール18の両回転面がロックレバー19の第1係合アーム191及び第2係合アーム192にそれぞれ当接することによって達成される。
さらに、本実施形態においては、上述のように、ロックレバー19がロック位置からアンロック位置、及びその逆へ回動する際、第1、2係合アーム191、192は、ウォームホイール18の回転軸線を横切ることがないような長さに設定されるため、ウォームホイール18をケーシング13に回動可能に支持するための支軸28を、ケーシング13に一体形成し、かつ先端をカバー14に支持することができる。これにより、支軸28の強度を向上させ、ウォームホイール18をケーシング13に確実に回動可能に支持することができる。
なお、以下の説明においては、例えば図16、17に明示するように、ロックレバー19の第1、2係合アーム191、192における外郭の先端を形成する部分を先端外郭部(回動端部)191a、192aとし、同じく外郭の内側部を形成する部分を内側外郭部191b、192bと定義する。
ウォームホイール18は、第2ケーシング部13Bとカバー14との間に第2ケーシング部13Bに一体的に設けられた車内外方向を向く支軸28により枢支されるとともに、モータ17の回転軸に止着されたウォーム171に噛合することにより、モータ17の回転により正逆転する。なお、支軸28は、図13に示すように、先端部がカバー14に設けられる凹部141に嵌合する。
ウォームホイール18の一方の回転面(カバー14に対向する面)には、ロックレバー19の第1係合アーム191に当接可能な第1係合突部181、182が設けられ、また、同じく他方の回転面(第2ケーシング部13Bに対向する面)には、第2係合アーム192に当接可能な第2係合突部183、184が設けられる。第1係合突部181、182及び第2係合突部183、184は、互いに同一形状で、かつウォームホイール18の両側面の対称位置に設けられる。
第1係合突部181、182は、ウォームホイール18の一方の回転面にあってその回転中心に対して対称の位置に設けられる。また、第2係合突部183、184は、ウォームホイール18の他方の回転面にあってその回転中心に対して対称の位置に設けられる。
各係合突部181、182、183、184は、支軸28から遠ざかるに従って回転面の幅が漸減する尖形状をなし、かつ支軸28に近接する部分が括れた形状に形成される。これにより、特に図16、17に明示されるように、各係合突部181、182、183、184には、支軸28寄り、すなわちウォームホイール18の回転中心寄りの括れ部181a、182a、183a、184aと、括れ部181a、182a、183a、184aよりも遠心側の傾斜部181b、182b、183b、184bが形成される。
例えば、図8に示すように、ロックレバー19がロック位置にある場合には、ロックレバー19の第1係合アーム191は、ウォームホイール18の第1係合突部181、182の回動軌跡内に位置し、第2係合アーム192は、ウォームホイール18の第2係合突部183、184の回動軌跡外に位置し、ウォームホイール18の第1係合突部181は、第1係合アーム191の先端外郭部191aに当接または近接し、第1係合突部182は、第1係合アーム191の先端外郭部191aから離れた位置にある。
図8に示すロック状態において、キーシリンダまたはロックノブがアンロック操作されると、ロックレバー19は、ロック位置からアンロック方向(図8において時計方向)へ所定角度回動し、図9に示すアンロック位置へ移動して停止する。この場合、図8に示す第1停止位置に停止しているウォームホイール18の第1、2係合突部181、182、183、184は、ロックレバー19における第1係合アーム191、192の先端外郭部191a、192aの回動軌跡外に位置しているため、ロックレバー19がロック位置からアンロック位置へ回動しても、第1、2係合アーム191、192が第1、2係合突部181、182、183、184に対して摺接することはあっても当接することはないので、ロックレバー19の回動に伴って、ウォームホイール18は逆転することはない。従って、キーシリンダ及びロックノブのアンロック操作は、ウォームホイール18、モータ17を逆転させる抵抗を受けることなく軽力で行うことができる。
図9に示すように、キーシリンダ及びロックノブのアンロック操作に基づいて、ロックレバー19がアンロック位置に移動した場合においては、ロックレバー19の第1係合アーム191がウォームホイール18の第1係合突部181、182の回動軌跡外に移動し、第2係合アーム192がウォームホイール18の第2係合突部183、184の回動軌跡内に移動する。
図9に示すアンロック状態において、キーシリンダまたはロックノブがロック操作されると、ロックレバー19は、アンロック位置からロック方向(反時計方向)へ所定角度回動し、図8に示すロック位置へ移動して停止する。この場合にも、ウォームホイール18の第1、2係合突部181、182、183、184は、ロックレバー19の第1、2係合アーム191、192の回動軌跡外に位置しているため、ロックレバー19がロック位置からアンロック位置へ回動するときと同様に、ウォームホイール18は、図9に示す第2停止位置から殆んど回転することはないので、キーシリンダ及びロックノブのアンロック操作を軽力で行うことができる。
次に、図15に基づいて、ロックレバー19がウォームホイール18の回転によりロック位置及びアンロック位置へ回動する際の動作について説明する。
なお、図15においては、ウォームホイール18、ロックレバー19及びスプリング43のみを明示して、他の要素については省略しているが、ロックレバー19がロック位置、アンロック位置へ移動した場合には、連係レバー26、第1リフトレバー20及び第2リフトレバー21もロックレバー19の移動に同期してロック位置、アンロック位置へ移動する。但し、第2リフトレバー21においては、後述のパニック状態が発生した場合に限って、アンロック位置の手前で一旦停止した後にアンロック位置に移動する。
図15(a)は、ロックレバー19がロック用ストッパ135に当接してロック位置に停止しているロック状態を示す。なお、このロック状態は、図8に示した状態と同一状態である。
ロック状態において、車内に設けられた操作スイッチまたは携帯用の操作スイッチがアンロック操作されると、モータ17がアンロック方向へ回転し、ウォームホイール18は、図15(a)に示す位置からアンロック方向(矢印A方向)へほぼ80度回動し、図15(b)に示すように、先ず第2係合突部182の括れ部182aが第1係合アーム191における先端寄りの内側外郭部191bに当接する。これにより、ロックレバー19は、ロック位置からアンロック方向へ若干回動する。さらに、ウォームホイール18がアンロック方向へ回動すると、図15(c)に示すように、今度は、第1係合部182の傾斜部182bが第1係合部191の内側外郭部191bに当接し、ロックレバー19をアンロック方向へ大きく回動させてアンロック用ストッパ部136に当接するアンロック位置へ向けて回動させる。そして、最後に、図15(d)に示すように、ウォームホイール18の第1係合部182がロックレバー19の第1係合アーム191から外れて、第2係合突部183が第2係合アーム192の先端外郭部192aに当接して、ウォームホイール18は第1停止位置に停止すると共に、ロックレバー19はアンロック用ストッパ136に当接してアンロック位置に停止する。
図15(d)に示すように、ウォームホイール18の第2係合突部183がロックレバー19の第2係合アーム192の先端外郭部192aに当接してウォームホイール18の回動が強制的に停止されたとき、ウォーム171とウォームホイール18との噛合部分に、ウォームホイール18を回転軸線方向に対して傾けさせようとする力が作用するが、この力によるウォームホイール18の傾きは、ウォームホイール18の両側の回転面を挟み込んでいるロックレバー18の第1、2係合アーム191、192がウォームホイール18の回転面にそれぞれ当接することにより抑えられる。
また、図15(d)に示すアンロック状態において、操作スイッチがロック操作された場合には、モータ17がロック方向へ回転してウォームホイール18がアンロック方向と反対方向のロック方向(矢印B方向)へ回動すると、ウォームホイール18の第2係合突部184の括れ部184aに続いて傾斜部184bがロックレバー19の第2係合アーム192の内側外郭部192bに当接し、図15(a)に示すように、第1係合アーム181の傾斜部181bが、ロックレバー19の第1係合アーム191の先端外郭部191aに当接することにより、ウォームホイール18は第2停止位置に停止すると共に、ロックレバー19はロック用ストッパ135に当接してロック位置に停止する。
図15(a)に示すように、ウォームホイール18の第1係合突部181がロックレバー19の第1係合アーム191の先端外郭部191aに当接してウォームホイール18の回動が強制的に停止されたとき、ウォーム171とウォームホイール18との噛合部分に、ウォームホイール18を回転軸線方向に対して傾けさせようとする力が作用するが、この力によるウォームホイール18の傾きもロックレバー18の第1、2係合アーム191、192がウォームホイール18の回転面にそれぞれ当接することにより抑えられる。
本実施形態においては、モータ17の駆動によるウォームホイール18の回動によって、ロックレバー19をアンロック位置及びロック位置へ回動させる際、ロックレバー19をアンロック位置及びロック位置に確実に回動させることができる構成を備える。
上記構成は、ウォームホイール18の第1係合突部181または182がロックレバー19の第1係合アーム191の先端外郭部191aに当接した際に、第1係合突部181または182からロックレバー19への力の作用線が、ロックレバー19がロック方向へ回動したときにはロック位置へ回動する方向となるように、第1係合アーム191の先端外郭部191aの形状は定められる。さらに、第2係合突部183または184が第2係合アーム192の外郭先端部192aに当接した際に、第2係合突部183または184からロックレバー19への力の作用線が、ロックレバーがアンロック方向へ回動したときにはアンロック位置へ回動する方向となるように、第2係合アーム192の先端外郭部192aの形状を定めることによって達成される。
上記構成を図16に基づいて具体的に説明すると、ロックレバー19の第1係合アーム191の先端外郭部191aを、時計回りに行くに従ってロックレバー19の回転中心Oからの距離Rが漸減するような形状とし、また、第2係合アーム192の先端外郭部192aを、反時計回りに行くに従ってロックレバー19の回転中心Oからの距離Rが漸減するような形状とする。
上記構成により、例えば図15(d)に示すアンロック状態から図15(a)に示すロック状態に作動した場合には、ウォームホイール18の第1係合突部181がロックレバー19の第1係合アーム191の先端外郭部191aに当接すると、図15(a)に示すように、第1係合突部181からロックレバー19への力の作用線F1が、ロックレバー19を反時計方向(ロック方向)へ回動させる方向となり、ロックレバー19をロック用ストッパ部135に当接するロック位置まで確実に回動させることができる。なお、図示は省略するが、ウォームホイール18の第1係合突部182がロックレバー19の第1係合アーム191の先端外郭部191aに当接した場合には、ロックレバー19を反時計方向(ロック方向)へ回動させる力の作用線F1は、第1係合突部182からロックレバー19へ作用する。
また、図15(a)に示すロック状態から図15(d)に示すアンロック状態に作動した場合には、ウォームホイール18の第2係合突部183がロックレバー19の第2係合アーム192の先端外郭部192aに当接すると、第2係合突部183からロックレバー19への力の作用線F2が、ロックレバー19を時計方向(アンロック方向)へ回動させる方向となり、ロックレバー19をアンロック用ストッパ部136に当接するアンロック位置まで確実に回動させることができる。なお、図示は省略するが、ウォームホイール18の第2係合突部184がロックレバー19の第2係合アーム192の先端外郭部191aに当接した場合には、ロックレバー19を時計方向(アンロック方向)へ回動させる力の作用線F2は、第2係合突部184からロックレバー19へ作用する。
さらに、本実施形態においては、キーシリンダまたはロックノブのアンロック、ロック操作による操作ストロークが不十分であったり、他の原因によって、図17に示すように、ロックレバー19がロック位置とアンロック位置との間の中間位置に停止するような状態が発生しても、モータ17によるウォームホイール18の回動をもって、ロックレバー19をロック位置またはアンロック位置へ回動させることができる構成を有している。
上記構成は、前述したように、ウォームホイール18の各係合突部181、182を尖形状としたことによって達成される。すなわち、ロックレバー19がロック位置及びアンロック位置にある場合は勿論のこと、ロック位置とアンロック位置との間の中間位置に停止した場合であっても、ウォームホイール18の第1係合突部181、182または第2係合突部183、184のいずれかが、第1係合アーム191の内側外郭部191bまたは第2係合アーム192の内側外郭部192bに当接することができる。このことは図17から十分に理解できるように、ロックレバー19がロック位置とアンロック位置との間の中間位置に停止している状態において、ウォームホイール18を矢印方向(反時計方向)へ回動させると、ウォームホイール18の第2係合突部184の傾斜部184bが、ロックレバー19における第1係合アーム191の内側外郭部191bに当接することによって、ロックレバー19を中間位置からアンロック位置に回動させることができる。
アウトサイドレバー27は、第1ケーシング部13Aの下部に一体的に設けられた後方へ突出する円筒状の支軸133に枢支されると共に、図18に明示されるように、支軸133の周囲に設けられた環状部134の先端とバックプレート11との間に軸方向へがた付かないように挟持される。支軸133は、ケーシング13の外側から挿入されるタッピングスクリュー34によりバックプレート11に締結される。これにより、支軸133の剛性を向上させ、アウトサイドレバー27を第1ケーシング部13Aに確実に枢支することができる。
アウトサイドレバー27の車内側を向く端部に設けられた作動端部271には、第1、2リフトレバー20、21の下部が所定角度前後方向へ揺動可能に連結され、また、同じく車外側の端部に設けられた車外連結部272には、上下方向を向く操作力伝達部材(図示略)を介してドアの車外側に設けられるドア開扉用の操作ハンドルをなすアウトサイドハンドルに連結される。これにより、アウトサイドハンドルが開操作されると、アウトサイドレバー27は、支軸133の周りに設けられたスプリング35の付勢力に抗して、待機位置(例えば図2参照)からオープン方向(図2において時計方向)へ所定角度回動する。
さらに、アウトサイドレバー27における作動端部271の下方には、インサイドレバー22に設けられるオープン作用部223が当接可能な被オープン作用部273が設けられている。
インサイドレバー22は、第2ケーシング部13Bに一体的に設けられた車内外方向を向く円筒状の支軸131に枢支される。この枢支構造について、図19に基づいてさらに説明すると、インサイドレバー22は、支軸131に枢支されると共に、第2ケーシング部13Bにおける支軸131の周囲に設けられた環状部132の先端とカバー14の間に軸方向へがた付かないように挟持される。
支軸131は、ケーシング13の外側から挿入されるタッピングスクリュー33によりカバー14に締結される。これにより、支軸132の剛性を向上させて、インサイドレバー22を第2ケーシング部13Bに確実に枢支することができる。
インサイドレバー22の下端部に設けられた連結部221には、ドアの車内側に設けられたドア開扉用の操作ハンドルをなすインサイドハンドル(図示略)の操作力を伝達可能なケーブル等の操作力伝達部材32が連結される。これにより、インサイドハンドルが開操作されると、インサイドレバー22は、例えば図8、9に示す待機位置からオープン方向(時計方向)へ所定角度回動する。
インサイドレバー22には、アウトサイドレバー27の被オープン作用部273に当接可能なオープン作用部223が設けられる。これにより、インサイドハンドルの開操作に基づいてインサイドレバー22が待機位置からオープン方向へ回動すると、オープン作用部223が被オープン作用部273に下側から当接することによって、アウトサイドレバー27も待機位置からオープン方向へ回動させることができる。
さらにインサイドレバー22には、ロックレバー19がロック位置にあるとき、ロックレバー19の下端に設けられた被ワンモーション作用部197に対向するワンモーション作用部222が設けられる。これにより、図8に示す状態において、インサイドハンドルが開操作されてインサイドレバー22が待機位置からオープン方向へ回動すると、図20に示すように、ワンモーション作用部222がロックレバー19の被ワンモーション作用部197に直接当接し、これにより、図21に示すように、ロックレバー19をロック位置からアンロック位置へ強制的に回動させた直後、インサイドレバー22のオープン作用部223がアウトサイドレバー27の被オープン作用部273に当接して、アウトサイドレバー27を待機位置からオープン方向へ回動させることができる。この結果、ロックレバー19がロック位置、すなわちドアラッチ装置1がロック状態にあっても、インサイドハンドルの開操作をもって、ドアラッチ装置1をアンロック状態に切り替えてドアを開けることができる。
第1リフトレバー20は、リフト部材の一部を形成して全体が合成樹脂材で形成され、下部に設けた鼓状の軸受孔202にアウトサイドレバー27の作動端部271が挿入されることによって作動端部271を中心に前後方向へ所定角度回動可能に枢支される。
第1リフトレバー20の車外側を向く側面には、車内側を向く面(カバー14に対向する面)が閉塞された上下方向の第1長溝201が設けられる。第1長溝201には、ロックレバー19の第2突部196が上下方向へ摺動可能に係合される。このように、第1リフトレバー20のロックレバー19の第2突部196が摺動可能に連結される部分(第1長溝201)を、車内側を向く一側面を閉塞した長溝とすると、第1リフトレバー20を合成樹脂製としても、第1リフトレバー20の剛性を確保することができる。よって、第1リフトレバー20は、後述のようにロックレバー19と共にロック位置、アンロック位置及びオープン方向へ確実に移動することができる。
ロックレバー19がロック位置からアンロック位置、またはその逆へ回動すると、第1リフトレバー20は、ロックレバー19と共に図8に示すロック位置から図9に示すアンロック位置、またはその逆へ揺動する。また、アウトサイドレバー27が待機位置からオープン方向へ回動すると、第1リフトレバー20は、ロックレバー19がロック位置にあるときにはロック位置からオープン方向(上方)へ移動し、また、ロックレバー19がアンロック位置にあるときにはアンロック位置からオープン方向(上方)へ移動する。
第1長溝201における底壁201aには、車内外方向へ貫通する上下2個の確認孔203、204が設けられている。確認窓203、204は、組み立て工程中、ロックレバー19の第2突部196が第1リフトレバー20の第1長溝201内に確実に係合しているか否かを、第1リフトレバー20における底壁201の側から作業者が確認できるようにするものである。
上側の確認窓203の位置は、ロックレバー19及び第1リフトレバー20がロック位置にあるときの第2突部196の位置と合致し、下側の確認窓204の位置は、ロックレバー19及び第1リフトレバー20がアンロック位置にあるときの第2突部196の位置と合致する。これにより、ロックレバー19及び第1リフトレバー20が第2ケーシング部13Bに組む組み付けられた状態にあっても、カバー14により第2ケーシング部14Bを閉塞する前作業工程において、ロックレバー19の第2突部196が第1リフトレバー20の第1長溝201に確実に係合していること、及びロックレバー19及び第1リフトレバー20が共にロック位置、アンロック位置に移動することを確認することができる。すなわち、ロックレバー19及び第1リフトレバー20が共にロック位置にあるときには、上側の確認窓203からロックレバー19の第2突部196を視認することができ、また、ロックレバー19及び第1リフトレバー20が共にアンロック位置にあるときには、下側の確認窓204から第2突部196を視認することができる。
さらに第1リフトレバー20の車内側を向く側面にあって、かつ第1長溝201よりも下方には、側面視ほぼL字状の第2長溝205が設けられる。第2長溝205には、キャンセルレバー23に設けられる係合部231が上下、前後方向へ摺動可能に係合される。第2長溝205を第1長溝201と重合しない下方に設けることにより、第1リフトレバー20の車内外方向の厚みを薄くすることができる利点を有する。
第2リフトレバー21は、リフト部材の他の一部を形成して全体が金属製で形成され、アウトサイドレバー27の作動端部271、すなわち第1リフトレバー20と同軸上に、第1リフトレバー20と第2リフトレバー21との間に作用するスプリング37の付勢力の範囲内で第1リフトレバー20と一体的に図8に示すロック位置及び図9に示すアンロック位置に移動可能に支持される。また、アウトサイドレバー27が待機位置からオープン方向へ回動したときには、第1リフトレバー20と共に第2リフトレバー21もオープン方向(上方)へ移動する。
スプリング37は、一端が第1リフトレバー20に係止され、他端が第2リフトレバー21に係止されることにより、第2リフトレバー21を第1リフトレバー20に対して例えば図8、9において時計方向への付勢力を付与する。なお、第2リフトレバー21は、通常は第1リフトレバー20に設けられる規制部200に当接することで例えば図8、9に示す通常位置に保持される。なお、スプリング37の付勢力は、ロックレバー19をロック位置及びアンロック位置に弾性保持するためのスプリング43の付勢力よりも小となるように設定される。
第2リフトレバー21には、オープンレバー15の被解除部153に当接可能な解除部211が設けられる。これにより、第2リフトレバー21が第1リフトレバー20と共にアンロック位置から上方へ移動すると、金属製の解除部211が金属製の被解除部153に当接することによりオープンレバー15を待機位置からオープン方向へ確実に回動させて、ラチェット10をラッチ8から離脱させてドアを開けることができる。しかし、第2リフトレバー21が第1リフトレバー20と共にロック位置から上方へ移動させられた場合には、解除部211が被解除部153に対して空振りしてオープンレバー15をオープン方向へ回動させることはできず、ドアを開けることはできない。
本実施形態においては、第1リフトレバー20に対する第2リフトレバー21及びスプリング37の組付性の向上及び作動を確実にするための構成を備える。当該構成は、図23〜27に明示されるように、第1リフトレバー20にあっては、第1リフトレバー20の一方の面(車内側を向く面)における軸受孔202の周辺に設けられてスプリング37のコイル部371を収容するための環状溝206と、環状溝206の一部分に設けられてスプリング37のコイル部371が環状溝206から簡単に外れないようにするための脱落防止爪207と、第1リフトレバー20の他方の面(車外側を向く面)にあって軸受孔202の周囲に設けられて第2リフトレバー21に設けられた円形の軸孔212が回動可能に枢嵌する車外側へ所定量突出する円筒軸部208と、円筒軸部208の一部分に設けられて円筒軸部208に枢支された第2リフトレバー21が円筒軸部208から外れないようにするための外方へ突出する係止部209、209と、第1リフトレバー20の他方の面にあって第2リフトレバー21に設けられた係合片214が当接及び係合可能な規制部200とを有する。さらに第2リフトレバー21にあっては、軸孔212の縁に設けられて第1リフトレバー20の円筒軸部208を軸孔212に挿入組付けする際、第1リフトレバー20の係止部209が通過可能な切欠部213を有する。
上述の構成とすることにより、図25に明示されるように、スプリング37のコイル部371を第1リフトレバー20の環状溝206に収容すると共に、脱落防止爪207をコイル部371に係合させることによって、スプリング37を第1リフトレバー20に対して仮組付け可能となり、スプリング37の組付性向上を図ることができる。
さらに図23、26、27に明示されるように、第1リフトレバー20の円筒軸部208を第2リフトレバー21の軸孔212に挿入した状態において、係止部209、209が第2リフトレバー21における軸孔212の周辺に軸方向へ係合することにより、第2リフトレバー21は円筒軸部208から容易に脱落することはない。これにより、第1リフトレバー20と第2リフトレバー21とを予め仮組付け可能となり、第1リフトレバー20と第2リフトレバー21とをアウトサイドレバー27に連結する際の組付け作業を効率的に行うことができる。
さらに図23、26に明示されるように、スプリング37の付勢力が第2リフトレバー21に作用している状態においては、第2リフトレバー21の係合片214は、第2リフトレバー21が通常位置に停止するように第1リフトレバー20の規制部200に当接すると共に、第2リフトレバー21の軸方向へのガタ付きを抑えるように規制部200に係合する。これにより、第2リフトレバー21は、通常位置に確実に保持されて、スプリング37の付勢力の範囲内で第1リフトレバー20と一体的に移動して確実にロック、アンロック位置等へ移動することができる。
上述のように、第1リフトレバー20を合成樹脂製として、第1リフトレバー20の軸受孔202に、金属製のアウトサイドレバー27の作動端部271を枢嵌すると、ガタ付きによる金属音の発生を抑えて、第1リフトレバー20をアウトサイドレバー27の作動端部271に円滑かつ確実に揺動可能に連結することができる。さらに、第2リフトレバー21を金属製とし、合成樹脂製の第1リフトレバー20に円筒軸部208を設け、この円筒軸部208を第2リフトレバー21の軸孔212に枢嵌すると、ガタ付きによる金属音の発生を抑えて、第2リフトレバー21を第1リフトレバー20に円滑かつ確実に揺動可能に連結することができると共に、金属製のオープンレバー15の被解除部153に当接可能な解除部211を、金属製の第2リフトレバー21に設けることが可能となり、レバーの大型化を招くことなく、解除部211の早期の変形及び磨耗を抑止することができ、長期に亘って確実な作動を可能にする。さらに、合成樹脂製の第1リフトレバー20に、アウトサイドレバー27の作動端部271が枢嵌される軸受孔202を設けたことにより、軸受やワッシャを別に用意する必要が無くなるため、部品点数を削減してコストの低減を可能にする。さらには、合成樹脂製の第1リフトレバー20の第1長溝201にロックレバー19の第2突部196が摺動可能に係合するため、第1リフトレバー20はロックレバー19に対して円滑に摺動することができる。
キャンセルレバー23は、第2ケーシング部13Bとカバー14との間にあって、カバー14に支持された車内外方向を向く支軸36により枢支される。キャンセルレバー23の下端部には、第1リフトレバー20の第2長溝205に摺動可能に係合する係合部231が設けられ、また同じく上部には、オープンレバー15のキャンセル部152に当接可能な被キャンセル部232が設けられる。
キャンセルレバー23の被キャンセル部232は、図8に示すように、第1リフトレバー20がロック位置にあるときには、オープンレバー15のキャンセル部152に近接対向して当接可能な位置にあり、また、図9に示すように、第1リフトレバー20がアンロック位置にあるときには、キャンセル部152から離れてキャンセル部152に当接不能な位置にある。
上述の構成により、ドアを開けた状態でロックノブをロック操作してロック状態にし、そのままの状態でドアを閉じると、ドアを閉じた時点でロック状態はキャンセルされてアンロック状態に切り替えられる。すなわち、ドアが閉じられるときのラッチ8の回動に伴って、ラチェット10及びオープンレバー15が待機位置からオープン方向へ回動すると、オープンレバー15のキャンセル部152がキャンセルレバー23の被キャンセル部232に下方から当接する。これにより、キャンセルレバー23は、図8に示す位置から反時計方向へ回動し、係合部231が第1リフトレバー20における第2長溝205の直線部分に係合することにより、第1リフトレバー20をロック位置からアンロック位置へ移動させることができる。これに連動して、第2リフトレバー21、ロックレバー19、連係レバー26もアンロック位置へ移動する。
また、ドアを開けた状態でロックノブをロック操作してロック状態として、アウトサイドハンドルを開操作しながらドアを閉じた場合には、ロック状態はキャンセルされない。すなわち、アウトサイドハンドルの開操作に基づいてアウトサイドレバー27がオープン方向へ回動して、第1リフトレバー20がロック位置から上方へ移動すると、キャンセルレバー23の係合部231は、第1リフトレバー20における第2長溝205の拡幅部分に移動する。そのため、ドアが閉じられて、上述のようにキャンセルレバー23が図8に示す位置から反時計方向へ回動しても、キャンセルレバー23の係合部231は、第2長溝205の拡幅部分を空動するだけであるので、係合部231の移動は、第1リフトレバー20には伝達されない。よって、第1リフトレバー20は、ロック位置に保持されたままとなる。
次に、本発明に係わる一実施形態の動作について説明する。
(アンロック状態のときアウターハンドル及びインサイドハンドルが開操作された場合)
ドアラッチ装置1がアンロック状態にある場合には、図9に示すように、ロックレバー19、第1、2リフトレバー20、21及び連係レバー26は、それぞれアンロック位置に保持されている。この状態において、アウトサイドハンドルが開操作されると、アウトサイドレバー27は、スプリング35の付勢力に抗して、待機位置からオープン方向へ回動して作動端部271が上方へ移動し、第1、2リフトレバー20、21は、アンロック位置からオープン方向(上方)へ移動する。これにより、第2リフトレバー21の解除部211がオープンレバー15の被解除部153に下方から当接することでラチェット10及びオープンレバー15がオープン方向へ回動して、ラチェット10がラッチ8から離脱して、ドアを開けることができる。
また、ドアラッチ装置1がアンロック状態にある場合、インサイドハンドルが開操作されると、インサイドレバー22が待機位置からオープン方向へ回動して、インサイドレバー22のオープン作用部223がアウトサイドレバー27の被オープン作用部273に当接し、アウトサイドレバー27は、スプリング35の付勢力に抗して待機位置からオープン方向へ回動する。これにより、アウトサイドハンドルが開操作された場合と同様にしてドアを開けることができる。
(ロック状態のときアウトサイドハンドルが操作された場合)
図8に示すように、ドアラッチ装置1がロック状態にある場合には、ロックレバー19、第1、2リフトレバー20、21及び連係レバー26はそれぞれロック位置にあって、第2リフトレバー21の解除部211は、オープンレバー15の被解除部153に当接不能な位置にある。従って、アウトサイドハンドルの開操作に基づいて、アウトサイドレバー27がオープン方向へ回動し、第1、2リフトレバー20、21がロック位置からオープン方向へ移動しても、第2リフトレバー21の解除部211はオープンレバー15の被解除部153に対して空振りし、オープンレバー15及びラチェット10はオープン方向へ回動することはない。よって、ロック状態にあっては、アウトサイドハンドルを開操作してもドアを開けることはできない。
(ロック状態のときインサイドハンドルが操作(ワンモーション操作)された場合)
ドアラッチ装置1がロック状態にある場合、車内からインサイドハンドルが開操作されると、インサイドハンドルの開操作は、操作力伝達部材32を介してインサイドレバー22に伝達され、インサイドレバー22は、図8に示す待機位置から支軸131を中心にオープン方向へ回動する。
そして、先ず図20に示すように、インサイドレバー22のワンモーション作用部222がロック位置にあるロックレバー19の被ワンモーション作用部197に直接当接する。これにより、ロックレバー19に対してロック位置からアンロック位置へ向けて回動させ得る力が作用し、ロックレバー19はアンロック位置へ向けて回動する。
なお、インサイドレバー22及びアウトサイドレバー27が共に待機位置にある場合には、インサイドレバー22のオープン作用部223とアウトサイドレバー27の被オープン作用部273との間には所定の遊びが設けられているため、ワンモーション作用部222がロックレバー19の被ワンモーション作用部197に当接し、ロックレバー19がアンロック方向へ移動する初期段階においては、オープン作用部223は被オープン作用部273に当接しない。
次いで、図22(a)に示すように、インサイドレバー22のオープン方向への回動に伴って、ロックレバー19がアンロック方向へ所定角度回動すると、オープン作用部223が被オープン作用部273に当接する。そして、図22(b)に示すように、インサイドレバー22が図22(a)の位置からオープン方向へ僅かに回動すると、ロックレバー19の摺動部198は、スプリング43の狭幅路433、すなわちデッドポイントに移動する。なお、この状態においては、図22(b)に示すように、第2リフトレバー21の解除部211とオープンレバー15の被解除部153との間には、所定の遊びが設けられているため、解除部211は被解除部153に当接していない。
次いで、図22(c)に示すように、インサイドレバー22がオープン方向、またロックレバー19がアンロック方向へそれぞれ僅かに回動すると、摺動部198はスプリング43の狭幅路433を通過し、摺動部198に作用するスプリング43の付勢方向はロック方向からアンロック方向へ転換する。従って、ロックレバー19は、スプリング43の付勢力により、アンロック方向へ急激に回動し、ワンモーション作用部222が被ワンモーション作用部197から外れる。これと略同時に、アウトサイドレバー27は、スプリング35の付勢力に抗して待機位置からオープン方向へ回動し、これに伴って第1、2リフトレバー20、21はオープン方向へ移動し、解除部211がオープンレバー15の被解除部153に当接する。
次いで、図22(d)に示すように、ワンモーション作用部222が被ワンモーション作用部197から外れた状態で、インサイドレバー22がさらにオープン方向へ回動すると、アウトサイドレバー27、第1、2リフトレバー20、21はオープン方向へ移動し、第2リフトレバー21の解除部211がオープンレバー15の被解除部153に下方から当接してラチェット10及びオープンレバー15はオープン方向へ回動する。そして、最後に、図21に示すように、インサイドレバー22がオープン方向へフルストローク作動すると、ロックレバー19がロック位置からアンロック位置へ完全に移行すると共に、ラチェット10がラッチ8から離脱してドアを開けることができる。従って、ロック状態のとき車内からインサイドハンドルを開操作した場合には、インサイドハンドルのワンモーション操作をもって、ロック状態をアンロック状態に切り換えてドアを開けることができる。
上述により、インサイドレバー22は、待機位置からオープン位置へ向けて回動する期間内、ロックレバー19の被ワンモーション作用部197に直接当接しロックレバー19をロック位置からアンロック位置へ移動させるワンモーション作用部222と、第2リフトレバー21に間接的に当接し第2リフトレバー21をオープン方向へ移動させるオープン作用部223とを一体的に形成することにより、ワンモーション操作におけるロック状態からアンロック状態への切り替え作動を、従来の技術のように他の要素を介さないで、インサイドレバー22がロックレバー19に直接当接して行うため、部品点数の増加を抑えてコストの低減を図ることができる。
さらに、インサイドレバー22のオープン作用部223は、ロックレバー19がアンロック位置へ完全に変位する前に、第2リフトレバー21に間接的に当接するため、第1、2リフトレバー20、21を早期にオープン方向へ作動させて、インサイドレバー22の作動ストロークを短縮することができる。これにより、ドアラッチ装置1の小型化を図ることができる。
さらに、インサイドレバー22のワンモーション作用部222は、ロックレバー19がロック位置からアンロック位置に達する前に、ロックレバー19の被ワンモーション作用部197から外れるため、ワンモーション作用部222が被ワンモーション作用部197から外れた後、第1、2リフトレバー20、21を軽力でオープン方向へ移動させることができる。
さらに、インサイドレバー22のワンモーション作用部222がロックレバー19の被ワンモーション作用部197から外れた直後、第2リフトレバー21の解除部211がオープンレバー15に当接しオープンレバー15をオープン方向へ回動させるため、ドアを軽力で開けることができる。
さらに、スプリング43は、インサイドレバー22のオープン作用部223が第2リフトレバー21に間接的に当接した直後、ロックレバー19に付与する付勢方向をロック方向からアンロック方向へ転換するため、ワンモーションの操作を軽力で行うことができる。
(ロック状態のときキーシリンダがアンロック操作された場合)
キーシリンダのアンロック操作は、第1キーレバー24に伝達されることにより、第1キーレバー24は、図8に示す中立位置から時計方向へ回動し、当該回動は、第1キーレバー24の突部241及び第2キーレバー25の長孔251を介して第2キーレバー25に伝達され、第2キーレバー25は、支軸31を中心に図8に示す中立位置から反時計方向へ回動し、当該回動は、被当接部261を介して連係レバー26に伝達される。
連係レバー26は、支軸31を中心にロック位置からアンロック位置へ回動し、当該回動は、連係レバー26の長孔262及びロックレバー19の突部195を介してロックレバー19に伝達される。ロックレバー19は、支軸29を中心にロック位置からアンロック位置へ回動し、当該回動は、ロックレバー19の突部196及び第1リフトレバー20の第1長溝201を介して第1リフトレバー20に伝達される。
第1、2リフトレバー20、21は、アウトサイドレバー27の作動端部271を中心にロック位置からアンロック位置へ回動する。そして、各レバーをアンロック位置に移動させた後、第1、2キーレバー24、25を中立位置に戻して、キーをキーシリンダから抜くことにより、図9に示すアンロック状態となる。
この場合においては、第1停止位置に停止しているウォームホイール18の第1、2係合突部181、182、183、184は、第1ロックレバー19の第1、2係合アーム191、192の回動軌跡外に位置しているため、ロックレバー19の第1、2係合アーム191、192がウォームホイール18の回転面に沿って移動するだけで、ロックレバー19の回動はウォームホイール18へ伝達されない。よって、ロックノブのアンロック操作は、ウォームホイール18及びモータ17を逆転させないで軽力で行われる。
(アンロック状態のときキーシリンダがロック操作された場合)
キーシリンダのロック操作は、第1キーレバー24に伝達される。これにより、第1キーレバー24は、図9に示す中立位置から反時計方向へ回動し、この回動は、第1キーレバー24の突部241及び第2キーレバー25の長孔251を介して第2キーレバー25に伝達される。
第2キーレバー25は、支軸31を中心に図9に示す中立位置から時計方向へ回動し、当該回動は、被当接部261を介して連係レバー26に伝達される。これにより、連係レバー26は、支軸31を中心にアンロック位置からロック位置へ回動する。当該回動は、連係レバー26の長孔262及びロックレバー19の第1突部195を介してロックレバー19に伝達され、ロックレバー19は、支軸29を中心にアンロック位置からロック位置へ回動する。当該回動は、ロックレバー19の第2突部196及び第1リフトレバー20の第1長溝201を介して第1リフトレバー20に伝達され、第1、2リフトレバー20、21は、アウトサイドレバー27の作動端部271を中心にアンロック位置からロック位置へ回動する。そして、各レバーをロック位置に移動させた後、第1、2キーレバー24、25を中立位置に戻して、キーをキーシリンダから抜くことにより、図8に示すロック状態となる。
この場合においても第2停止位置に停止しているウォームホイール18の第1、2係合突部181、182、183、183がロックレバー19の第1、2係合アーム191、192の回動軌跡外に位置しているため、ロックレバー19の第1、2係合アーム191、192は、ウォームホイール18の回転面に沿って移動するだけで、ロックレバー19の回動はウォームホイール18へ伝達されない。よって、ロックノブのロック操作をウォームホイール18及びモータ17を逆転させないで軽力で行うことができる。
(アンロック状態のときロックノブがロック操作された場合)
ロックノブのロック操作は、操作力伝達部材30を介してロックレバー19に伝達される。ロックレバー19は、図9に示すアンロック位置から図8に示すロック位置へ回動し、連係レバー26、第1、2リフトレバー20、21もアンロック位置からロック位置へ移動する。
この場合は、第2停止位置に停止しているウォームホイール18の第1、2係合突部181、182、183、183がロックレバー19の第1、2係合アーム191、192の回動軌跡外にあるため、ロックレバー19の第1、2係合アーム191、192は、ウォームホイール18の回転面に沿って移動するだけで、ロックレバー19の回動はウォームホイール18へ伝達されない。よって、ロックノブのロック操作をウォームホイール18及びモータ17を逆転させないで軽力で行うことができる。
(ロック状態のときロックノブがアンロック操作された場合)
ロックノブのアンロック操作は、操作力伝達部材30を介してロックレバー19に伝達されて、ロックレバー19は、図8に示すロック位置から図9に示すアンロック位置へ回動し、当該回動に連動して、連係レバー26、第1、2リフトレバー20、21もロック位置からアンロック位置へ移動する。
この場合においては、第1停止位置に停止しているウォームホイール18の第1、2係合突部181、182、183、184は、第1ロックレバー19の第1、2係合アーム191、192の回動軌跡外に位置しているため、ロックレバー19の第1、2係合アーム191、192がウォームホイール18の回転面に沿って移動するだけで、ロックレバー19の回動はウォームホイール18へ伝達されない。よって、ロックノブのアンロック操作は、ウォームホイール18及びモータ17を逆転させないで軽力で行われる。
(アンロック状態のとき操作スイッチがロック操作された場合)
操作スイッチがロック操作されてモータ17がロック方向へ回転すると、ウォームホイール18は、図9に示す位置から支軸28を中心に時計方向へ回動する。そして、ウォームホイール18が時計方向へほぼ45度回転すると、ウォームホイール18の第2係合突部183がロックレバー19の第2係合アーム192の内側外郭部192bに当接し、ロックレバー19は、アンロック位置から反時計方向へ回動する。
ロックレバー19がロック位置に回動すると、ウォームホイール18の第1係合突部182がロックレバー19における第1係合アーム191の先端外郭部191aに当接し、ウォームホイール18の回転は停止する。そして、ロックレバー19のアンロック位置からロック位置への回動に従動し、第1、2リフトレバー20、21、連係レバー26もアンロック位置からロック位置へ移動してロック状態となる。
(ロック状態のとき操作スイッチがアンロック操作された場合)
操作スイッチがアンロック操作されてモータ17がアンロック方向へ回転すると、ウォームホイール18は、図8に示す位置から支軸28を中心に反時計方向へ回動する。そして、ウォームホイール18が反時計方向へほぼ90度回転すると、図15(b)に示すように、ウォームホイール18の第1係合突部182がロックレバー19の第1係合アーム191の内側外郭部191bに当接し、ロックレバー19は、ロック位置から時計方向へ回動する。
そして、ロックレバー19が図15(c)を状態を経て図9、図15(d)に示すアンロック位置に回動すると、ウォームホイール18の第2係合突部183がロックレバー19における第2係合アーム192の先端外郭部192aに当接して、ウォームホイール18の回転は停止する。そして、ロックレバー19がアンロック位置からロック位置へ回動すると、上述のように第1、2リフトレバー20、21、連係レバー26もロック位置からアンロック位置へ移動する。
(ロック状態のとき、アウトサイドハンドルまたはインサイドハンドルの開操作の直後に操作スイッチがアンロック操作された場合、所謂パニック状態が発生した場合)
ドアラッチ装置1がロック状態にある状態で、アウトサイドハンドル(またはインサイドハンドル)が開操作され、アウトサイドレバー27が解除方向へ回動すると、図28に示すように、第1、2リフトレバー20、21は、ロック位置から第2リフトレバー21の解除部211がオープンレバー15の被解除部211に空振りしてオープン方向へ移動した状態となる。その直後に、操作スイッチ(またはロックノブ)がアンロック操作されてモータ17、ウォームホイール18の回転によって、ロックレバー19がロック位置からアンロック方向へ回動すると、図29に示すように、第2リフトレバー21がオープンレバー15にその回動方向に対して直交する方向から当接し、第2リフトレバー21がアンロック位置手前に停止したまま、ロックレバー19の回動に伴って、第1リフトレバー20はスプリング37の付勢力に抗して、アンロック位置に回動する。
そして、アウトサイドハンドル(またはインサイドハンドル)の開操作を中断して、アウトサイドレバー27が待機位置に戻ると、図30に示すように、第2リフトレバー21が、オープンレバー15から外れてスプリング37の付勢力によりアンロック位置に回動することで、パニック状態を回避することができる。そして、再び、アウトサイドハンドルまたはインサイドハンドルが開操作されることによってドアを開けることができる。この場合、第2リフトレバー21が、アンロック位置へ移動した第1リフトレバー20の円筒軸部208に揺動可能に支持されているため、第2リフトレバー21は、スプリング37の付勢力によりアンロック位置へ円滑かつ確実に移動することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、本実施形態に対して、次のような種々の変形や変更を施すことが可能である。
(i)ロックレバー19をロック位置、アンロック位置に弾性保持するための付勢部材を、本実施形態のスプリング43に代えて、周知の技術であるターンオーバースプリングまたはその他のスプリングとする。または、ケーシング13に弾性変形可能な舌片部を設け、この舌片部を付勢部材とする。
(ii)リフト部材を、第1リフトレバー20と第2リフトレバー21とを一体的に形成したものとする。
(iii)インサイドレバー22のオープン方向への作動を、アウトサイドレバー27を介してリフト部材に伝達する構成、換言するとインサイドレバー22の解除部当接部223がリフト部材に間接的に当接する構成に代えて、インサイドレバー22のオープン作用部223がリフト部材に直接当接する構成とする。