JP5308390B2 - 被検物質検出方法および被検物質検出装置 - Google Patents
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Description
被検物質を含有する可能性があり細胞性の非被検物質を含有する液体試料を流路に流入させ、
検出部よりも上流側に設けられた超音波照射部によって、流路の長さ方向に垂直な方向から流路内の液体試料に対して、流路内に定在波を生じせしめるように超音波を照射し、
被検物質を、検出部に固定された、被検物質と特異的に結合する固定化結合物質で検出することを特徴とするものである。
流路と、流路に接続された、流路に液体試料を流入させるための流入口と、流路に接続された、流入口から流入した液体試料を流路に流入させるための空気口とを有する流路基材、および、流路の所定領域に形成された検出部を備えた検出チップと、
検出部よりも上流側に設けられた、流路の長さ方向に垂直な方向から流路内の液体試料に対して超音波を照射する超音波照射部と、
流路内に定在波を生じせしめるように超音波照射部を制御する超音波制御部とを備えることを特徴とするものである。
まず、被検物質検出方法の第1の実施形態について説明する。図1Aは、本実施形態の被検物質検出方法に用いる検出装置を示す概略断面図である。また、図1Bおよび図1Cはそれぞれ、本実施形態の被検物質検出方法に用いる検出チップC1を示す概略上面図、本実施形態の被検物質検出方法に用いる検出チップC1を示す概略断面図である。なお、本実施形態においては、特異的に結合する対の物質の具体例として抗原および抗体を用いて、被検物質を抗原、この被検物質と特異的に結合する物質を抗体として、蛍光標識を用いたサンドイッチ法によって分析する場合を例として説明する。
Step1:まず、上記検査チップC1の流入口14aから検査対象である試料Sを流入する。
Step2:試料Sを流入した後、超音波照射部20によって流路11の厚み方向に、周波数を周期的に変調しながら超音波を照射して、流路11内に定在波Uを生じせしめる。
Step3:試料Sが毛細管現象で流路11に染み出す。この際、試料Sは定在波Uが生じている領域(定在波領域)を通過するが、この定在波Uの音響放射圧の力学的作用によって血球成分が破壊される一方で、抗原Aは、血球成分に比して小さいので音響放射圧の影響をそれほど受けず、定在波領域をそのまま通過する。反応を早め、検出時間を短縮するために、空気口14bにポンプを接続し、試料Sをポンプの吸引、押し出し操作によって流下させてもよい。
Step4:定在波領域を通過した試料Sと蛍光標識抗体BF(修飾化抗体B2が付与された蛍光粒子F)とが混ぜ合わされ、試料S中の抗原Aが蛍光標識抗体BFと結合しながら、流路11をさらに流下していく。
Step5:試料Sは流路11に沿って空気口14b側へと徐々に流れ、蛍光標識抗体BFと結合した抗原Aが、検出部15上に固定されている固定化抗体B1と結合し、抗原Aが固定化抗体B1と蛍光標識抗体BFで挟み込まれたいわゆるサンドイッチ構造が形成される。
Step6:検出部15に固定されなかった蛍光標識抗体BFの一部が検出部15上に残っている場合があっても、後続の試料Sが洗浄の役割を担い、流路11中に浮遊或いは検出部15上に非特異吸着している蛍光標識抗体BFを洗い流す。検出部15上を通過した試料Sは廃液溜め11bに溜められる。
前述したように、微小な流路11を備えた検出チップC1を用いて、被検物質および細胞性の非被検物質を含有する液体試料S(例えば全血)の検査を行う被検物質検出方法において、前処理を必要とせず、容易かつ迅速に上記の流路11の目詰まりや免疫反応の阻害を防止できるとともに、検査間で溶血率のばらつきのない検査を可能とするために、本発明では超音波照射部20によって流路11内に定在波を生じせしめることを特徴とする。
式(1):
(第1の実施形態の設計変更)
上記実施形態においては、抗原の標識として蛍光標識を用いたが、標識としてはその他の光応答性標識(例えば、燐光、散乱光などの標識)を用いてもよい。また、放射性同位体を用いた放射免疫測定(RIA)、酵素を用いた酵素免疫測定(EIA)、化学発光酵素免疫測定(CLEIA)などの種々の免疫測定法と組み合わせても良い。
次に、被検物質検出方法の第2の実施形態について説明する。図4は、本実施形態の被検物質検出方法に用いる検出チップC2を示す概略断面図である。なお、本実施形態においても、特異的に結合する対の物質の具体例として抗原および抗体を用いて、被検物質を抗原、この被検物質と特異的に結合する物質を抗体として、蛍光標識を用いたサンドイッチ法によって分析する場合を例として説明する。
次に、被検物質検出方法の第3の実施形態について説明する。図6は、本実施形態の被検物質検出方法に用いる検出チップC3を示す概略断面図である。なお、本実施形態においても、特異的に結合する対の物質の具体例として抗原および抗体を用いて、被検物質を抗原、この被検物質と特異的に結合する物質を抗体として、蛍光標識を用いたサンドイッチ法によって分析する場合を例として説明する。
上記の第3の実施形態では、異なる周波数の2つ以上の超音波を時間的および/または空間的に分離して照射するように、2つの超音波照射素子を駆動させた場合について説明したが、必ずしもこの実施形態に限られず、本実施形態の検査チップの構成では、常に同一の周波数を照射するようにしてもよい。例えば、音響整合層18aおよび18bの厚みが等しい場合には、定在波U5およびU6は、図8に示すように上下反転した形状となり、同一の周波数を照射しても、1つの超音波に起因して生じせしめられた定在波の腹の位置が、他の超音波に起因して生じせしめられた定在波の節の位置に、流路の長さ方向に沿って対応するためである。
11 流路
12 流路基材
13 流路部材
14 蓋部材
14a 流入口
14b 空気口
15 検出部
16 金属膜
17、17a、17b 反射板
18a、18b 音響整合層
20 超音波照射部
21 超音波制御部
22 光源
23 光検出器
A 被検物質
C1、C2、C3 検査チップ
Le 測定光
Lf 蛍光信号
S 液体試料
U、U1〜6 定在波
Claims (11)
- 流路と、該流路に接続された、前記流路に液体試料を流入させるための流入口と、前記流路に接続された、前記流入口から流入した液体試料を前記流路に流入させるための空気口とを有する流路基材、および、前記流路の所定領域に形成された検出部を備えた検出チップを用い、
被検物質を含有する可能性があり細胞性の非被検物質を含有する液体試料を前記流路に流入させ、
前記検出部よりも上流側に設けられた1つの超音波照射素子のみからなる超音波照射部によって、前記流路の長さ方向に垂直な方向から該流路内の前記液体試料に対して、該流路内に時間的に分離された2つ以上の定在波を生じせしめるように、周波数を時間的に変調することで異なる周波数の2つ以上の超音波を時間的に分離して照射し、
前記被検物質を、前記検出部に固定された、前記被検物質と特異的に結合する固定化結合物質で検出する被検物質検出方法であって、
前記異なる周波数の2つ以上の超音波のうち1つの前記超音波に起因して生じせしめられた定在波の腹の位置が、他の前記超音波に起因して生じせしめられた定在波の節の位置となるように、前記周波数を変調することを特徴とする被検物質検出方法。 - 流路と、該流路に接続された、前記流路に液体試料を流入させるための流入口と、前記流路に接続された、前記流入口から流入した液体試料を前記流路に流入させるための空気口とを有する流路基材、および、前記流路の所定領域に形成された検出部を備えた検出チップを用い、
被検物質を含有する可能性があり細胞性の非被検物質を含有する液体試料を前記流路に流入させ、
前記検出部よりも上流側に前記流路の長さ方向に沿って設けられた2つ以上の超音波照射素子からなる超音波照射部によって、前記流路の長さ方向に垂直な方向から該流路内の前記液体試料に対して、該流路内に空間的に分離された2つ以上の定在波を生じせしめるように、各超音波照射素子からそれぞれ異なる周波数の超音波を照射することで2つ以上の超音波を空間的に分離して照射し、
前記被検物質を、前記検出部に固定された、前記被検物質と特異的に結合する固定化結合物質で検出する被検物質検出方法であって、
前記異なる周波数の2つ以上の超音波のうち1つの前記超音波に起因して生じせしめられた定在波の腹の位置が、他の前記超音波に起因して生じせしめられた定在波の節の位置に、前記流路の長さ方向に沿って対応するように、前記周波数を異ならせることを特徴とする被検物質検出方法。 - 前記異なる周波数の2つ以上の超音波のうち少なくとも1つの超音波の周波数を、ある周波数での定在波の腹の位置が他の周波数での定在波の節の位置となるように切り替えることを特徴とする請求項2に記載の被検物質検出方法。
- 前記検出チップとして、前記定在波が生じうる領域の前記流路の壁面であって流路長さ方向に沿って前記検出部に対応する位置に設けられた音響整合層を備えた検出チップを用い、
前記2つ以上の定在波のうち前記音響整合層が設けられた位置で生じた定在波の節が前記音響整合層と前記流路との界面に位置するように超音波を照射することを特徴とする請求項1から3いずれかに記載の被検物質検出方法。 - 流路と、該流路に接続された、前記流路に液体試料を流入させるための流入口と、前記流路に接続された、前記流入口から流入した液体試料を前記流路に流入させるための空気口とを有する流路基材、前記流路の所定領域に形成された検出部、および、前記流路の壁面であって流路長さ方向に沿って前記検出部に対応する位置に設けられた音響整合層を備えた検出チップを用い、
被検物質を含有する可能性があり細胞性の非被検物質を含有する液体試料を前記流路に流入させ、
前記検出部よりも上流側に設けられた超音波照射部によって、前記流路の長さ方向に垂直な方向から該流路内の前記液体試料に対して、前記流路内に時間的および/または空間的に分離された2つ以上の定在波をそれぞれ生じせしめ、かつ、該2つ以上の定在波のうち前記音響整合層が設けられた位置で生じた定在波の節が前記音響整合層と前記流路との界面に位置するように、異なる周波数の2つ以上の超音波を照射し、
前記被検物質を、前記検出部に固定された、前記被検物質と特異的に結合する固定化結合物質で検出することを特徴とする被検物質検出方法。 - 流路と、該流路に接続された、前記流路に液体試料を流入させるための流入口と、前記流路に接続された、前記流入口から流入した液体試料を前記流路に流入させるための空気口とを有する流路基材、前記流路の所定領域に形成された検出部、前記流路の壁面であって流路長さ方向に沿って前記検出部に対応する位置に設けられた第1の音響整合層、および、該第1の音響整合層が設けられた位置に対向する流路反対側の位置から流路長さ方向に沿った位置に設けられた第2の音響整合層であって厚みが前記第1の音響整合層の厚みと等しい第2の音響整合層を備えた検出チップを用い、
被検物質を含有する可能性があり細胞性の非被検物質を含有する液体試料を前記流路に流入させ、
前記検出部よりも上流側に設けられた超音波照射部によって、前記流路の長さ方向に垂直な方向から該流路内の前記液体試料に対して、前記流路内の前記第1の音響整合層または前記第2の音響整合層が設けられた位置に空間的に分離された周波数が同一の2つの定在波をそれぞれ生じせしめ、かつ、前記2つの定在波それぞれの節が前記第1の音響整合層と前記流路との界面または前記第2の音響整合層と前記流路との界面に位置するように、2つ以上の超音波を照射し、
前記被検物質を、前記検出部に固定された、前記被検物質と特異的に結合する固定化結合物質で検出することを特徴とする被検物質検出方法。 - 流路と、該流路に接続された、前記流路に液体試料を流入させるための流入口と、前記流路に接続された、前記流入口から流入した液体試料を前記流路に流入させるための空気口とを有する流路基材、および、前記流路の所定領域に形成された検出部を備えた検出チップと、
前記検出部よりも上流側に設けられた、前記流路の長さ方向に垂直な方向から該流路内の前記液体試料に対して超音波を照射する超音波照射部と、
前記流路内に定在波を生じせしめるように前記超音波照射部を制御する超音波制御部とを備え、
前記超音波照射部が、1つの超音波照射素子のみからなるものであり、
前記超音波制御部が、周波数を時間的に変調することにより、前記異なる周波数の2つ以上の超音波が時間的に分離して照射され、かつある周波数での定在波の腹の位置が他の周波数での定在波の節の位置となるように、前記超音波照射素子を制御するものであることを特徴とする被検物質検出装置。 - 流路と、該流路に接続された、前記流路に液体試料を流入させるための流入口と、前記流路に接続された、前記流入口から流入した液体試料を前記流路に流入させるための空気口とを有する流路基材、および、前記流路の所定領域に形成された検出部を備えた検出チップと、
前記検出部よりも上流側に設けられた、前記流路の長さ方向に垂直な方向から該流路内の前記液体試料に対して超音波を照射する超音波照射部と、
前記流路内に定在波を生じせしめるように前記超音波照射部を制御する超音波制御部とを備え、
前記超音波照射部が、前記流路の長さ方向に沿って設けられた2つ以上の超音波照射素子からなるものであり、
前記超音波制御部が、各超音波照射素子がそれぞれ異なる周波数の超音波を照射することにより、前記異なる周波数の2つ以上の超音波が空間的に分離して照射され、かつある周波数での定在波の腹の位置が前記流路の長さ方向に沿って他の周波数での定在波の節の位置に対応するように、前記超音波照射素子を制御するものであることを特徴とする被検物質検出装置。 - 前記検出チップが、前記定在波が生じうる領域の前記流路の壁面であって流路長さ方向に沿って前記検出部に対応する位置に設けられた音響整合層を有し、
前記超音波制御部が、前記2つ以上の定在波のうち前記音響整合層が設けられた位置で生じた定在波の節が前記音響整合層と前記流路との界面に位置するように、前記超音波照射素子を制御するものであることを特徴とする請求項7または8に記載の被検物質検出装置。 - 流路と、該流路に接続された、前記流路に液体試料を流入させるための流入口と、前記流路に接続された、前記流入口から流入した液体試料を前記流路に流入させるための空気口とを有する流路基材、前記流路の所定領域に形成された検出部、および、前記流路の壁面であって流路長さ方向に沿って前記検出部に対応する位置に設けられた音響整合層を備えた検出チップと、
前記検出部よりも上流側に設けられた、前記流路の長さ方向に垂直な方向から該流路内の前記液体試料に対して超音波を照射する超音波照射部と、
前記流路内に定在波を生じせしめるように前記超音波照射部を制御する超音波制御部とを備え、
前記超音波制御部が、前記流路の長さ方向に垂直な方向から該流路内の前記液体試料に対して異なる周波数の2つ以上の超音波が照射されることで、前記流路内に時間的および/または空間的に分離された2つ以上の定在波がそれぞれ生じ、かつ、該2つ以上の定在波のうち前記音響整合層が設けられた位置で生じた定在波の節が前記音響整合層と前記流路との界面に位置するように、前記超音波照射部を制御するものであることを特徴とする被検物質検出装置。 - 流路と、該流路に接続された、前記流路に液体試料を流入させるための流入口と、前記流路に接続された、前記流入口から流入した液体試料を前記流路に流入させるための空気口とを有する流路基材、前記流路の所定領域に形成された検出部、前記流路の壁面であって流路長さ方向に沿って前記検出部に対応する位置に設けられた第1の音響整合層、および、該第1の音響整合層が設けられた位置に対向する流路反対側の位置から流路長さ方向に沿った位置に設けられた第2の音響整合層であって厚みが前記第1の音響整合層の厚みと等しい第2の音響整合層を備えた検出チップと、
前記検出部よりも上流側に設けられた、前記流路の長さ方向に垂直な方向から該流路内の前記液体試料に対して超音波を照射する超音波照射部と、
前記流路内に定在波を生じせしめるように前記超音波照射部を制御する超音波制御部とを備え、
前記超音波制御部が、前記流路の長さ方向に垂直な方向から該流路内の前記液体試料に対して周波数が同一の2つの超音波が照射されることで、前記流路内の前記第1の音響整合層または前記第2の音響整合層が設けられた位置に空間的に分離された周波数が同一の2つの定在波がそれぞれ生じ、かつ、前記2つの定在波それぞれの節が前記第1の音響整合層と前記流路との界面または前記第2の音響整合層と前記流路との界面に位置するように、前記超音波照射部を制御するものであることを特徴とする被検物質検出装置。
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