JP5307374B2 - フォーカス調整ユニットおよび光走査型顕微鏡 - Google Patents
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Description
また、有限遠型の対物レンズに、アダプタレンズが着脱可能となっている顕微鏡も開示されている(例えば、特許文献2参照。)。これによれば、細径の有限遠対物とアダプタレンズとを組み合わせ、アダプタレンズを光軸方向に移動させることにより、対物レンズの作動距離を変化させる用になっている。
本発明は、試料からの光を略平行光に変換する対物光学系と、該対物光学系からの略平行光を所定の位置に結像する結像光学系とを備える顕微鏡システムに使用され、前記対物光学系と前記結像光学系との間に配置され、前記対物光学系の作動距離を変化させるためにフォーカス調整ユニットであって、前記対物光学系側を前側、結像光学系を後側として、少なくとも前側から順に配置された、屈折力を有する前群光学系および後群光学系と、前記前群光学系を光軸方向に駆動して、両光学系の光軸方向の距離を相対的に変化させるレンズ駆動手段とを備え、前記前群光学系は、その前側焦点が前記対物光学系の後側焦点の近傍に位置するように配置され、以下の条件式(1)を満たすフォーカス調整ユニットを提供する。
|D1a×Δs|/(Fla)2 ≦0.05 (1)
ここで、Δs:前群光学系の全移動距離、D1a:前群光学系の移動で中間位置に来たときの前記対物光学系の後側焦点と前記前 群光学系の前側焦点との間隔、Fla:前群光学系の焦点距離である。
また、本発明の参考例は、試料からの光を略平行光に変換する対物光学系と、該対物光学系からの略平行光を所定の位置に結像する結像光学系とを備える顕微鏡システムに使用され、前記対物光学系と前記結像光学系との間に配置され、前記対物光学系の作動距離を変化させるためにフォーカス調整ユニットであって、前記対物光学系側を前側、結像光学系を後側として、少なくとも前側から順に配置された、屈折力を有する前群光学系および後群光学系と、該後群光学系を光軸方向に駆動して、両光学系の光軸方向の距離を相対的に変化させるレンズ駆動手段とを備え、前記前群光学系は、その前側焦点が前記対物光学系の後側焦点の近傍に位置するように配置され、以下の条件式(2)を満たすフォーカス調整ユニットを提供する。
|D1×δs|/(Fla)2 ≦0.05 (2)
ここで、δs:後群光学系の全移動距離、D1:前記対物光学系の後側焦点と前記前群光学系の前側焦点との間隔、Fla:前群光学系の焦点距離である。
ここで、略平行光は、厳密な平行光のみならず、緩い角度の発散光および収束光を含む。
このようにすることで、作動距離を変化させたときの倍率の変化を非常に小さくすることができる。
このようにすることで、作動距離を変化させたときの倍率の変化をなくすことができる。
このようにすることで、対物光学系の瞳径を小さくすることができ、その結果、対物光学系の外形寸法を小さくすることができる。
このようにすることで、フォーカス調整ユニットの全長を短くすることができる。
このようにすることで、前群光学系の前側焦点と対物光学系の後側焦点の間隔を小さし、作動距離を変えたときの倍率変化を小さくすることができる。
このようにすることで、対物光学系の後側焦点位置が胴付き位置に対して異なったものでも、調整機構によって、倍率の変化が非常に小さく、線形に近くなるように調整することができる。
また、上記発明においては、前記後群光学系の後側焦点と前記結像光学系の前側焦点の間隔を調整する調整機構を有することとしてもよい。
このようにすることで、像面でテレセントリック光学系(射出瞳が無限大)に近くすることができる。
上記発明においては、前記スキャン光学系を前記瞳投影光学系の光軸方向に移動させて前記横方向走査手段近傍に瞳位置を一致させる瞳位置合わせ手段を備えていてもよい。
本実施形態に係るフォーカス調整ユニット1は、図1に示されるように、レーザ走査型顕微鏡2に備えられている。
顕微鏡本体6は、相互に直交する3軸(XYZ)方向に移動可能に設けられるとともに、各軸回りに回転可能に設けられており、対物光学系12の先端の位置および角度を任意に調節することができるようになっている。
本実施形態に係るフォーカス調整ユニット1は、前群光学系Gaと後群光学系Gbと、前群光学系Gaを駆動するレンズ駆動手段18とを備えている。
前群光学系Gaと後群光学系Gbは、ともに正の屈折力を有するレンズ群であり、前群光学系Gaと後群光学系Gbとの間に中間結像点を有している。
|D1a×Δs|/(Fla)2≦0.05 (1)
ここで、Δs:前群光学系Gaの全移動距離、D1a:前群光学系Gaの移動で中間位置に来たときの対物光学系12の後側焦点と前群光学系Gaの前側焦点との間隔、Fla:前群光学系Gaの焦点距離である。
本実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡2を使用して試料Aの観察を行うには、対物光学系12の先端を試料Aに密着させた状態で、レーザ光源3から光ファイバ5を介して顕微鏡本体6に導かれたレーザ光をダイクロイックミラー8により偏向し、近接ガルバノミラー9によって2次元的に走査し、瞳投影光学系10、結像光学系11、フォーカス調整ユニット1および対物光学系12を介して試料Aに集光する。
したがって、対物光学系12を動かすことなく、試料A内の任意の深さの画像を観察することができる。さらに、前群光学系Gaを動かしながら複数の画像を取得すれば、試料Aの3次元画像を取得することができる。
図4において、
Δ:フォーカス調整ユニット1の前群光学系Gaの位置
δ:フォーカス調整ユニット1の後群光学系Gbの位置
Fla:フォーカス調整ユニット1の前群光学系Gaの焦点距離
Flb:フォーカス調整ユニット1の後群光学系Gbの焦点距離
n:試料Aの屈折率
Fob:対物光学系12の焦点距離
Ftl:結像光学系11の焦点距離
D1:対物光学系12の後側焦点を基準としたときのフォーカス調整ユニット1の前群光学系Gaの前側焦点のZ座標
D2:フォーカス調整ユニット1の後群光学系Gbの後側焦点を基準としたときの結像光学系11の前側焦点のZ座標である。
なお、対物光学系12側が前、結像光学系11側が後とし、後側を正として光軸をZ軸をとっている。各光学系の焦点の座標およびΔ,δ,D1,D2はフォーカス調整ユニット1がアフォーカル光学系として成立しているときの位置を基準としている。
Zwd=n(Δ−δ)x(Fob/Fla)2/(1+A) (3)
横倍率Mは、
M=(Ftl/Fob)(Fla/Flb)(1+A) (4)
ただし、
A=(D1+Δ)(Δ−δ)/Fla2 (5)
である。
なお、これらの式(3)〜(5)は、各光学系が負の屈折率を有しても成り立つ式である。
ここで、前群光学系Gaは、Δ=0(後群光学系Gbと前群光学系Gaがアフォーカルになる位置)の近傍で動かし、かつ、対物光学系12の後側焦点を前群光学系Gaの前側焦点近傍にする、すなわちD1を小さくするように各光学系を配置する。
こうすると、式(5)より、Δ=0近傍でのΔに対するAの変化量が小さくなるので、前群光学系Gaを動かしても(Δを変えても)横倍率Mの変化を小さくすることができる。
具体的には、D1aは、前記式(1)を満足するように設定することが望ましく、この条件により式(5)のAおよび横倍率Mの変化をほぼ5%以下に抑えることができる。
次に、本実施形態に係るフォーカス調整ユニット1の実施例について、具体的に数値を挙げて説明する。図2において、対物光学系12の焦点距離Fob=9mm、前群光学系Gaの焦点距離Fla=22.5mm、後群光学系Gbの焦点距離Flb=22.5mm、結像光学系11の焦点距離Ftl=60mmとする。
D1a×Δs/(Fla)2=10×2/22.52≒0.0395<0.05
となり、式(1)が満たされていることがわかる。
一方、この式(1)の条件からから外れる場合には、対物光学系12の作動距離を変化させると倍率Mの変化が大きくなるという不都合がある。
D1=D1a=0mm
に設定すると、Δ=0近傍でのΔに対する式(5)のAの変化量が0になるので、さらに倍率Mの変化を小さくすることができる。
前群光学系Gaの変位Δ(横軸)に対する対物光学系12の作動量の変化量Zwd、および横倍率Mの変化を図5および図6に実線で示す。これによれば、倍率Mの変化を非常に小さくすることができる。
また、この光学系の射出瞳位置をZpimとすると、1/Zpim=0に近い値をとることが望ましく、このためには、D2はできるだけ小さな値にすることが望ましい。
なお、実施例1においては、レンズ駆動手段18が前群光学系Gaを光軸方向に移動させる場合について説明したが、これに代えて、図7〜図9に示されるように、前群光学系Gaを固定(すなわちΔ=0)し、後群光学系Gbを光軸方向に移動させることにしてもよい。
ここで、対物光学系12の後側焦点を前群光学系Gaの前側焦点近傍にする、すなわちD1を小さくするように各光学系を配置することが望ましい。
こうすると、式(5)より、δに対するAの変化量が小さくなるので、後群光学系Gbを動かしても(δを変えても)横倍率Mの変化を小さくすることができる。
具体的には、D1aは、以下の式(2)を満足するように設定することが望ましい。
この条件により式(5)のAの変化をほぼ5%以下に抑えることができる。
ここで、δs:後群光学系Gbの全移動距離、D1:結像光学系11の後側焦点と前群光学系Gaの前側焦点との間隔、Fla:前群光学系Gaの焦点距離である。
したがって、図8に示されるように、図7の状態からさらに、D1=0mmに設定すると、図9および図10にそれぞれ実線で示されるようにさらに倍率Mの変化を全くなくすことができる。
また、上記実施例1,2においては光学系Ga,Gbとして焦点距離の同じものを用いたが、これに代えて前群光学系Gaと後群光学系Gbとして焦点距離が互いに異なるものを用いてもよい。
従来の顕微鏡システムでは、結像光学系11および対物光学系12の瞳径は一般的には数mm〜十数mmである。
これにより、システムとして従来の顕微鏡対物レンズと小動物用の小型の対物光学系12の互換性を保つシステムが実現できる。
これによれば、図13に示されるように、後側光学系Gbを光軸方向に変位させて対物光学系の作動距離を変化させても、図14に破線で示されるように、倍率を変化させずに済むことになる。
対物光学系12は上記と同様の理由により、焦点距離が負の値である。結像光学系11に対する対物光学系12の瞳径は1/4となっている。
また、前群光学系Gaの焦点距離を負にすると、前群光学系Gaの前側焦点を対物光学系12の胴付位置より前側に持ってくることが難しくなる。この構成をとる場合には、対物光学系12の後側焦点を対物光学系12の胴付位置より後側になるようすることが望ましく、本実施例でもこのように構成している。
これにより、図12に示されるように、後側光学系Gbを光軸方向に変位させて対物光学系12の作動距離を変化させても、図13に実線で示されるように、倍率Mを変化させずに済むことになる。
本実施例は、使用する対物光学系12が複数ある場合であって、使用する対物光学系12によって、対物光学系12の胴付位置(取り付け位置)を基準としたときに、対物光学系12の後側焦点の位置Dobが異なる場合があることを想定したものである。
この場合には、フォーカス調整ユニット1全体を動かす機構を設けて、対物光学系12の後側焦点位置Dobを調整し、式(2)に合うようにする。
通常のレーザ走査型光学系では、横方向走査手段の近傍(近接ガルバノミラー9では、2つのミラーの中間近傍)に射出瞳位置が来るようにしている。
しかし、フォーカス調整ユニット1が後群光学系Gb(または前群光学系Ga)を動かして、対物光学系12の作動距離を変化させると、瞳投影光学系10の射出瞳位置が変化してしまう。通常は対物光学系12で光線のケラレ具合が決まっているので、瞳位置が多少変化しても、あまり問題にならない。
本実施例では、図18に示されるように、近接ガルバノミラー9と、ダイクロイックミラー8、コリメ−ト光学系7、カップリング光学系4、光ファイバ5,14先端部で構成されるスキャン光学系26を一体的に瞳位置合わせ手段27で瞳投影光学系10の光軸方向に動かして瞳位置を合わせる構成にして、上記不都合を解決している。
Zp=−(Fpl/Ftl)2・{(D2−δ)+(D1+Δ)・(Flb/Fla)2/(1+A)}
ただし、
A=(D1+Δ)(Δ−δ)/Fla2
Fpl:瞳投影光学系10の焦点距離である。
D1=0,D2=0の場合、Zp=δ・(Fpl/Ftl)2
すなわち、後群光学系Gbの動き量に対して(Fpl/Ftl)2倍した値だけスキャン光学系26を動かせばよい。
すなわち、はじめに、−D2・(Fpl/Ftl)2だけずらしておき、その位置を基準に後群光学系Gbの動き量に対して(Fpl/Ftl)2倍した値だけスキャン光学系26を動かせばよい。
Zp=−(Fpl/Ftl)2・{(D2−δ)+D1・(Flb/Fla)2}
=δ・(Fpl/Ftl)2−D2・(Fpl/Ftl)2−D1・(Fpl/Ftl)2・(Flb/Fla)2
すなわち、はじめに、−D2・(Fpl/Ftl)2−D1・(Fpl/Ftl)2・(Flb/Fla)2だけずらしておき、その位置を基準に後群光学系Gbの動き量に対して、(Fpl/Ftl)2倍した値だけスキャン光学系26を動かせばよい。
この場合、式(1)または式(2)より、(1+A)=1、Zp=−(Fpl/Ftl)2・{(D2−δ)+(D1+δ)・(Flb/Fla)2}である。
また、D1=0の場合、Zp=−(Fpl/Ftl)2・{D2+Δ・(Flb/Fla)2}なので、はじめに、−D2・(Fpl/Ftl)2だけずらしておき、前群光学系Gaの動き量に対して−(Fpl/Ftl)2・(Flb/Fla)2倍した値だけスキャン光学系26を動かせばよい。
Ga 前群光学系
Gb 後群光学系
1 フォーカス調整ユニット
2 レーザ走査型顕微鏡(顕微鏡システム)
5 光ファイバ(光射出部)
6 コリメート光学系(第1のコリメート光学系)
8 ダイクロイックミラー(検出光分離手段)
9 近接ガルバノミラー(横方向走査手段)
10 瞳投影光学系
11 結像光学系
12 対物光学系
13 カップリング光学系(第2のコリメート光学系)
14 光ファイバ(光受光部)
18 レンズ駆動手段
26 スキャン光学系
27 瞳位置合わせ手段
Claims (11)
- 試料からの光を略平行光に変換する対物光学系と、該対物光学系からの略平行光を所定の位置に結像する結像光学系とを備える顕微鏡システムに使用され、前記対物光学系と前記結像光学系との間に配置され、前記対物光学系の作動距離を変化させるためにフォーカス調整ユニットであって、
前記対物光学系側を前側、結像光学系を後側として、
少なくとも前側から順に配置された、屈折力を有する前群光学系および後群光学系と、
前記前群光学系を光軸方向に駆動して、両光学系の光軸方向の距離を相対的に変化させるレンズ駆動手段とを備え、
前記前群光学系は、その前側焦点が前記対物光学系の後側焦点の近傍に位置するように配置され、
以下の条件式(1)を満たすフォーカス調整ユニット。
|D1a×Δs|/(Fla)2 ≦0.05 (1)
ここで、
Δs:前群光学系の全移動距離、
D1a:前群光学系の移動で中間位置に来たときの前記対物光学系の後側焦点と前記前群光学系の前側焦点との間隔、
Fla:前群光学系の焦点距離
である。 - D1a=0
である請求項1に記載のフォーカス調整ユニット。 - 前記前群光学系および前記後群光学系が、互いにアフォーカル光学系として成立する位置を中心として移動させられる請求項1または請求項2に記載のフォーカス調整ユニット。
- |Fla|>|Flb|
である請求項1から請求項3のいずれかに記載のフォーカス調整ユニット。 - 前記前群光学系の焦点距離が負の値である請求項4に記載のフォーカス調整ユニット。
- 前記対物光学系の後側焦点が前記対物光学系の胴付位置より後側にある請求項5に記載のフォーカス調整ユニット。
- 前記対物光学系の後側焦点と前記前群光学系の前側焦点の間隔を調整する調整機構を有する請求項1から請求項6のいずれかに記載のフォーカス調整ユニット。
- 前記後群光学系の後側焦点が、前記結像光学系の前側焦点の近傍に配置されている請求項1から請求項7のいずれかに記載のフォーカス調整ユニット。
- 前記後群光学系の後側焦点と前記結像光学系の前側焦点の間隔を調整する調整機構を有する請求項1から請求項8のいずれかに記載のフォーカス調整ユニット。
- 試料からの光を集光する対物光学系と、
該対物光学系により集光された光を所定の位置に結像する結像光学系と、
請求項1から請求項9のいずれかのフォーカス調整ユニットと、
前記結像レンズの後側に配置され該結像レンズで所定の位置に結像された試料の像を平行光束にする瞳投影光学系と、
該瞳投影光学系により略平行光束にされた光を横方向に走査する横方向走査手段と、試料を照明または励起する光を射出する光射出部と、試料からの光を受光する光受光部と、前記光射出部からの光を略平行光にする第1のコリメート光学系と、前記試料からの光を前記光受光部に集光する第2のコリメート光学系と、前記光射出部からの光と試料からの光とを分離する検出光分離手段とを備えるスキャン光学系とを備える光走査型顕微鏡。 - 前記スキャン光学系を前記瞳投影光学系の光軸方向に移動させて前記横方向走査手段近傍に瞳位置を一致させる瞳位置合わせ手段を備える請求項10に記載の光走査型顕微鏡。
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