JP5307308B1 - ブロックポリイソシアネート組成物、プレポリマー組成物及びそれらの製造方法、並びに、ブロックポリイソシアネート組成物の熱解離性ブロック剤 - Google Patents

ブロックポリイソシアネート組成物、プレポリマー組成物及びそれらの製造方法、並びに、ブロックポリイソシアネート組成物の熱解離性ブロック剤 Download PDF

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Abstract

ブロックポリイソシアネート化合物とポリイソシアネート反応性化合物との混合物であるプレポリマーに、フェノール樹脂のプレポリマーを凌駕する低温熱硬化特性を付与するとともに、製造時又は熱硬化時に環境に影響を及ぼす有毒ガスや不快な臭気の発生を抑制し、その熱硬化物である熱硬化性プラスチックをフェノール樹脂に匹敵するコストで提供し、ホルムアルデヒドの発散を抑制する。
ポリイソシアネート化合物と反応し極低温で解離できる熱解離性ブロック剤として、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸水素塩、アルカリ金属の過炭酸塩、アルカリ金属のリン酸塩、アルカリ金属のリン酸水素塩、アルカリ金属のリン酸二水素塩、アンモニウムの炭酸塩、アンモニウムの炭酸水素塩、アンモニウムの過炭酸塩、アンモニウムのリン酸塩、アンモニウムのリン酸水素塩及びアンモニウムのリン酸二水素塩からなる群から選択された少なくとも1種を使用する。

Description

本発明は、ブロックポリイソシアネート組成物、ブロックポリイソシアネート化合物とポリイソシアネート反応性化合物との混合物であるプレポリマー組成物及びそれらの製造方法、並びに、当該ブロックポリイソシアネート組成物の熱解離性ブロック剤に関し、特に、低温解離型のブロックポリイソシアネート組成物、当該ブロックポリイソシアネート組成物を含有する低温熱硬化型のプレポリマー組成物、及びそれらの製造方法、並びに、当該ブロックポリイソシアネート組成物で使用される低温解離型の熱解離性ブロック剤に関する。
従来、強度が要求される断熱材、合板、木質ボード、電気製品あるいは自動車内装部品などにおいて、フェノール樹脂、並びにフェノール樹脂のプレポリマーが多く使用されているが、フェノール樹脂は原料にホルムアルデヒドが含まれるため、フェノール樹脂を使用した製品は、当該製品からのホルムアルデヒドの発散によるシックハウス症候群の発生等が問題となっている。
そこで、近年、フェノール樹脂の代替品として、ポリイソシアネート化合物とポリイソシアネート反応性化合物との混合物であるプレポリマー(以下、説明の便宜上、「イソシアネートプレポリマー」ということがある。)を熱硬化させた熱硬化性プラスチックが、紙製品、木工製品、電気製品及び自動車内装部品などにおいて使用されつつある。なお、本願書類中では、ポリイソシアネート化合物と高い反応性を有する化合物(代表的は、糖類等のポリオール)の意味で、「ポリイソシアネート反応性化合物」との用語を使用しているが、「ポリイソシアネート反応性化合物」との用語は「活性水素化合物」との用語に相当する意味で使用している。
前記熱硬化性プラスチックの未硬化物である前記イソシアネートプレポリマーは、塗布、浸漬あるいは噴霧などの方法によって、紙、木材、ガラス、プラスチック又は金属等に吸着又は含浸等され、これを所定の温度まで加熱し、更には所定の圧力まで加圧することによって、接着、硬化及び成形が進行し、熱硬化性プラスチック及びその成形物が形成される。
また、前記イソシアネートプレポリマーは、種々の触媒が添加されることによって、反応速度が調整される。さらに、発泡剤、フィラー材あるいは生物系以外のポリオールの添加によって、軽量性、断熱性、剛性あるいは柔軟性が付与される。
特開2008−179736号公報 特開昭50−46994号公報 特開昭56−151753号公報 特許第3002768号公報 特許第3199150号公報 特公平2−14948号公報
一方、前記イソシアネートプレポリマーの原料となるポリイソシアネート化合物の末端イソシアネート基は、反応性が高く、活性水酸基と容易に反応するため、イソシアネートプレポリマーは常温においても自己硬化が進行する特性がある。したがって、イソシアネートプレポリマーについては、実用性の点から、ポットライフ(寿命)をいかに確保するかが課題となる。
ここで、特許文献1には、ポリイソシアネート反応性化合物である糖類とポリイソシアネートとを混合した熱硬化性プラスチック組成物(イソシアネートプレポリマーに相当)の熱硬化プロセスに関し、前記糖類として不活性又は低活性の糖類を使用して、イソシアネートプレポリマーの常温での自己硬化の進行を抑制することが開示されている。詳細には、特許文献1には、不活性又は低活性の糖類(単糖類、二糖類、少糖類)は、結晶状態(結晶粉末状)にあるときは、水酸基の活性が低く反応性に乏しいため、このような糖類をポリイソシアネート化合物との混合状態で保存及び保管することができるとの開示がある。また、この熱硬化プロセスでは、加熱によって結晶状態にある前記糖類が融解することにより、当該糖類の水酸基が活性化し、触媒の効果も含めて、ポリイソシアネート化合物の末端イソシアネート基と速やかに反応することになるが、前記糖類が結晶状態に維持されている間においても、当該糖類の表面においては僅かに水酸基の活性が認められ、イソシアネートプレポリマーの自己硬化が進行するために、イソシアネートプレポリマーのポットライフ(寿命)は1週間程度に過ぎないと考えられる。
イソシアネートプレポリマーの自己硬化を抑制するためには、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基を、フェノール、εカプロラクタムあるいは2−ブタノンオキシムなど、ウレタン樹脂のプレポリマーの末端イソシアネート基のブロックに使用されるブロック剤によりブロックすることで、イソシアネート基の反応性を抑制することができる。しかし、これらのブロック剤は、熱解離温度が高いため、イソシアネートプレポリマーを実用的な硬化度に到達させるためには、180℃で3分以上の加熱条件を要する。それに対して、フェノール樹脂のプレポリマーは、160℃で3分未満の加熱条件で、実用的な樹脂の硬化度が得られる。したがって、より低温での加熱条件で実用的な硬化を行えるという点では、フェノール樹脂のプレポリマーは、イソシアネートプレポリマーに対して優位である。
なお、特許文献2、特許文献3、特許文献4及び特許文献5には、ウレタン樹脂のプレポリマーが、低温硬化特性を得るために、60℃以上で熱解離する亜硫酸水素塩や二亜硫酸塩などのブロック剤を使用する例が示されている。しかし、亜硫酸水素塩などのブロック剤は、ブロック剤の熱解離時に有毒な亜硫酸ガスを発生し、環境に重大な影響を及ぼす恐れがある。また、特許文献6では、ポリアミン化合物あるいはチオール化合物のブロック剤が示されているが、この例は、ブロック剤の製造時又は解離時に不快な臭気が発生し、従来のブロック剤に比べ高価であり、実用性に乏しい。
以上のことを鑑み、本発明の課題は、ブロックポリイソシアネート化合物とポリイソシアネート反応性化合物との混合物であるプレポリマーに、フェノール樹脂のプレポリマーを凌駕する低温熱硬化特性を付与するとともに、製造時又は熱硬化時に環境に影響を及ぼす有毒ガスや不快な臭気の発生を抑制し、さらに、その熱硬化物である熱硬化性プラスチックをフェノール樹脂に匹敵するコストで市場提供するとともに、ホルムアルデヒドの発散を抑制することができるブロックポリイソシアネート組成物、プレポリマー組成物及びそれらの製造方法、並びに、当該ブロックポリイソシアネート組成物のブロック剤として特に適した用途を有する低温解離型の熱解離性ブロック剤を提供することにある。
請求項1に係るブロックポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネート化合物と熱解離性ブロック剤とから合成されたブロックポリイソシアネート組成物であって、前記熱解離性ブロック剤が、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸水素塩、アルカリ金属の過炭酸塩、アルカリ金属のリン酸塩、アルカリ金属のリン酸水素塩、アルカリ金属のリン酸二水素塩、アンモニウムの炭酸塩、アンモニウムの炭酸水素塩、アンモニウムの過炭酸塩、アンモニウムのリン酸塩、アンモニウムのリン酸水素塩及びアンモニウムのリン酸二水素塩からなる群から選択された少なくとも1種の熱解離性ブロック剤であることを特徴とする。
請求項2に係るブロックポリイソシアネート組成物は、請求項1の構成において、前記熱解離性ブロック剤が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過炭酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素アンモニウムからなる群から選択された1種の熱解離性ブロック剤、又は、前記群から選択された2種以上の熱解離性ブロック剤群の混合物であることを特徴とする。
請求項3に係るブロックポリイソシアネート組成物は、請求項1又は2の構成において、前記熱解離性ブロック剤の添加量が、NCO基換算で、前記ポリイソシアネート化合物1モルに対し、0.1〜2.0モルであることを特徴とする。
請求項4に係るブロックポリイソシアネート組成物は、請求項1乃至3のいずれかの構成において、前記熱解離性ブロック剤の解離温度が、80〜150℃の範囲であることを特徴とする。
請求項5に係るブロックポリイソシアネート組成物の製造方法は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のブロックポリイソシアネート組成物を、水と極性有機溶媒とを合わせた水系混合溶媒中で製造するブロックポリイソシアネート組成物の製造方法であって、前記水系混合溶媒において、水100部に対する前記極性有機溶媒の添加量が1〜500部の範囲であることを特徴とする。
請求項6に係るブロックポリイソシアネート組成物の製造方法は、請求項5の構成において、前記水系混合溶媒の温度が0〜80℃の温度範囲であることを特徴とする。
請求項7に係るプレポリマー組成物は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のブロックポリイソシアネート組成物と、そのブロックイソシアネート組成物と反応するポリイソシアネート反応性化合物との混合物であるプレポリマー組成物であって、加熱することにより熱硬化することを特徴とする。
請求項8に係るプレポリマー組成物は、請求項7の構成において、加熱により熱硬化するときの硬化温度が80〜150℃の温度範囲であることを特徴とする。
請求項9に係るプレポリマー組成物は、請求項7又は8の構成において、加熱により熱硬化する時の硬化時間が20〜180秒の時間範囲であることを特徴とする。
請求項10に係るブロックポリイソシアネート組成物の熱解離性ブロック剤は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基を保護するブロックポリイソシアネート組成物の熱解離性ブロック剤であって、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸水素塩、アルカリ金属の過炭酸塩、アルカリ金属のリン酸塩、アルカリ金属のリン酸水素塩、アルカリ金属のリン酸二水素塩、アンモニウムの炭酸塩、アンモニウムの炭酸水素塩、アンモニウムの過炭酸塩、アンモニウムのリン酸塩、アンモニウムのリン酸水素塩及びアンモニウムのリン酸二水素塩からなる群から選択された少なくとも1種の熱解離性ブロック剤からなることを特徴とする。
本発明によれば、ブロックポリイソシアネート化合物とポリイソシアネート反応性化合物との混合物であるプレポリマーに、フェノール樹脂のプレポリマーを凌駕する低温熱硬化特性を付与するとともに、製造時又は熱硬化時に環境に影響を及ぼす有毒ガスや不快な臭気の発生を抑制し、さらに、その熱硬化物である熱硬化性プラスチックをフェノール樹脂に匹敵するコストで市場提供するとともに、ホルムアルデヒドの発散を抑制することができるブロックポリイソシアネート組成物、プレポリマー組成物及びそれらの製造方法、並びに、当該ブロックポリイソシアネート組成物のブロック剤として特に適した用途を有する低温解離型の熱解離性ブロック剤を提供することができる。
特に、本発明によれば、ポリイソシアネート化合物の熱解離性ブロック剤として使用される炭酸塩、炭酸水素塩、過炭酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩及びリン酸二水素塩は、ウレタン樹脂のプレポリマーのブロック剤として使用される熱解離性ブロック剤と比べると大変安価であり、そのブロックイソシアネートとポリオールからなるプレポリマーは、フェノール樹脂やフェノール樹脂のプレポリマーと比べても安価となる。
また、本発明によれば、熱硬化性プラスチックの製造において、既存のフェノール樹脂の製造プロセス(即ち、主材としてのポリオールやアミン等と硬化剤としてのブロックポリイソシアネート化合物と、必要に応じて、触媒等のその他の材料とを混合する原料混合工程、混合原料を型に充填する型充填工程、型に充填した混合原料を加熱硬化させる加熱硬化工程、及び、硬化した材料を冷却する冷却工程等の諸工程)をそのまま利用することが可能であり、フェノール樹脂の代替品としの普及を図ることができる。また、本発明のブロックポリイソシアネート組成物やプレポリマー組成物は、極低温(100〜150℃)の範囲で、熱硬化が進行するために、熱硬化性プラスチック製造時のエネルギーの大幅な低減と、時間の短縮によるコストの大幅な削減が期待できる。
更に、本発明によれば、プレポリマー組成物の製造時又は熱硬化時に発性するガスは、水蒸気を除けば、ほぼ炭酸ガス(またはリン酸ガス)に限定されるため、他の熱解離性ブロック剤を使用した場合のように、熱解離性ブロック剤の解離にともなう有毒ガスや不快な臭気の発生は見られない。また、フェノール樹脂のプレポリマーの硬化触媒であるヘキサメチレンテトラミンの分解によって生じるアンモニアやホルムアルデヒドの発生もない。
更にまた、本発明によれば、他の金属の塩(酸化物や水酸化物)は水に馴染まず沈殿等を起こすのに対し、熱解離性ブロック剤を構成するアルカリ金属(及びアンモニウム)の塩は水に馴染みが良いため、水系溶媒によるブロックポリイソシアネート組成物の調製において円滑な作業を確保することができる。
図1は本発明の実施例1に係るプレポリマーの昇温硬化特性を示すグラフである。
[概説]
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)を説明するが、本発明の各実施の形態について説明する前に、本発明の熱解離性ブロック剤及び当該熱解離性ブロック剤を使用したブロックポリイソシアネート組成物について(各実施の形態を包括する上位概念的説明として)説明する。まず、本発明者らは、低温で熱解離し、環境に影響を及ぼすガスや、不快な臭気の発生の無い、熱解離性ブロック剤を求めて鋭意検討を重ねた結果、ポリイソシアネート化合物の熱解離性ブロック剤として、従来の亜硫酸水素塩や二亜硫酸塩などのブロック剤と同等の低温解離性を有する一方で製造時又は熱解離時に亜硫酸ガス等の有毒ガスを発生しないブロック剤についての知見を得て、本発明の熱解離性ブロック剤に想到し、当該熱解離性ブロック剤を使用したポリイソシアネート組成物と、当該ポリイソシアネート組成物を使用したプレポリマーの発明に想到した。即ち、本発明は、第1の観点の発明として、ポリイソシアネート化合物、及び、ポリイソシアネート化合物と反応して極低温で解離できる熱解離性ブロック剤からなり、ポリイソシアネート化合物の末端イソシアネート基を熱解離性ブロック剤が保護することによりブロックポリイソシアネート化合物を合成するブロックポリイソシアネート組成物を提供し、第2の観点の発明として、そのブロックポリイソシアネート化合物とポリイソシアネート反応性化合物との混合物であるブロックポリイソシアネートプレポリマーを提供し、第3の観点の発明として、前記ブロックポリイソシアネート化合物を水系溶媒中で製造する方法を提供し、第4の観点の発明として、前記ブロックポリイソシアネートプレポリマーを水系溶媒中で製造する方法を提供し、第5の観点の発明として、前記ブロックポリイソシアネート組成物の熱解離性ブロック剤に適用される熱解離性ブロック剤を提供する。
<熱解離性ブロック剤>
ここで、本発明に係るブロックポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネート化合物と極低温で解離できる熱解離性ブロック剤とからブロックポリイソシアネート化合物を合成するものにおいて、その熱解離性ブロック剤が、アルカリ金属若しくはアンモニウムの炭酸塩、炭酸水素塩、過炭酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩若しくはリン酸二水素塩のいずれか1種、又は、これらの2種以上であることを特徴としている。即ち、本発明に係るブロックポリイソシアネート組成物の熱解離性ブロック剤は、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸水素塩、アルカリ金属の過炭酸塩、アルカリ金属のリン酸塩、アルカリ金属のリン酸水素塩、アルカリ金属のリン酸二水素塩、アンモニウムの炭酸塩、アンモニウムの炭酸水素塩、アンモニウムの過炭酸塩、アンモニウムのリン酸塩、アンモニウムのリン酸水素塩及びアンモニウムのリン酸二水素塩からなる群から選択された少なくとも1種の熱解離性ブロック剤であることを特徴とする。
換言すれば、本発明の熱解離性ブロック剤は、アルカリ金属若しくはアンモニウムの炭酸塩、炭酸水素塩、過炭酸塩のいずれか1種、又は、これらの2種以上からなる(大区分の)第1の種類の熱解離性ブロック剤(本願書類中において、説明の便宜上、「炭酸塩系熱解離性ブロック剤」ということがある。)と、アルカリ金属若しくはアンモニウムのリン酸塩、リン酸水素塩若しくはリン酸二水素塩のいずれか1種、又は、これらの2種以上からなる(大区分の)第2の種類の熱解離性ブロック剤(本願書類中において、説明の便宜上、「リン酸塩系熱解離性ブロック剤」ということがある。)とに区分(大分類的に類別)することもできる。この場合、本発明の熱解離性ブロック剤は、これら(大区分の)第1〜第2の種類の熱解離性ブロック剤の2種以上を混合した(混合型の)熱解離性ブロック剤から構成することもできる。
あるいは、本発明の熱解離性ブロック剤は、アルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩、過炭酸塩のいずれか1種、又は、これらの2種以上からなる(中区分の)第1の種類の熱解離性ブロック剤(本願書類中において、説明の便宜上、「アルカリ金属炭酸塩系熱解離性ブロック剤」ということがある。)と、アンモニウムの炭酸塩、炭酸水素塩、過炭酸塩のいずれか1種、又は、これらの2種以上からなる(中区分の)第2の種類の熱解離性ブロック剤(本願書類中において、説明の便宜上、「炭酸アンモニウム系熱解離性ブロック剤」ということがある。)と、アルカリ金属のリン酸塩、リン酸水素塩若しくはリン酸二水素塩のいずれか1種、又は、これらの2種以上からなる(中区分の)第3の種類の熱解離性ブロック剤(本願書類中において、説明の便宜上、「アルカリ金属リン酸塩系熱解離性ブロック剤」ということがある。)と、アンモニウムのリン酸塩、リン酸水素塩若しくはリン酸二水素塩のいずれか1種、又は、これらの2種以上からなる(中区分の)第4の種類の熱解離性ブロック剤(本願書類中において、説明の便宜上、「リン酸アンモニウム系熱解離性ブロック剤」ということがある。)とに区分(中分類的に類別)することもできる。この場合、本発明の熱解離性ブロック剤は、これら第1〜第4の種類の熱解離性ブロック剤の2種以上(2種、3種又は4種)を混合した(混合型の)熱解離性ブロック剤から構成することもできる。
前記熱解離性ブロック剤の具体例としては、上記の炭酸塩系熱解離性ブロック剤としては、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸アンモニウム((NHCO)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、炭酸水素カリウム(KHCO)、炭酸水素アンモニウム(NHHCO)、過炭酸ナトリウム(NaCO・1.5H)、過炭酸カリウム(KCO)、過炭酸アンモニウム((NHCO)又はこれらの混合物を挙げることができ、上記のリン酸塩系熱解離性ブロック剤としては、リン酸ナトリウム(NaPO)、リン酸カリウム(KPO)、リン酸アンモニウム((NHPO)、リン酸水素ナトリウム(NaHPO)、リン酸水素カリウム(KHPO)、リン酸水素アンモニウム((NHHPO)、リン酸二水素ナトリウム(NaHPO)、リン酸二水素カリウム(KHPO)、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)又はこれらの混合物を挙げることができる。好ましくは、熱解離性ブロック剤としては、上記のうち、極低温での熱解離性、熱解離時の発生ガスの種類等の観点から、炭酸水素ナトリウムが使用される。
<熱解離性ブロック剤の添加量>
本発明のブロックポリイソシアネート組成物中の熱解離性ブロック剤の添加量は、上記いずれの種類の熱解離性ブロック剤においても、NCO基換算で、ポリイソシアネート化合物1モルに対し、0.1〜2.0モル、好ましくは、0.5〜2.0モル、最も好ましくは、1.0〜1.5モルである。
<ブロックポリイソシアネート化合物の解離温度>
前記ブロックポリイソシアネート化合物の(加熱により熱解離性ブロック剤がポリイソシアネート化合物のイソシアネート基から解離する)解離温度は、前記熱解離性ブロック剤が炭酸系であるかリン酸系であるかにかかわらずほぼ同等であり、80〜150℃の温度範囲である。即ち、ブロックポリイソシアネート化合物の解離温度は、熱解離性ブロック剤が、炭酸塩系熱解離性ブロック剤であっても、リン酸塩系熱解離性ブロック剤であっても、炭酸塩系熱解離性ブロック剤及びリン酸塩系熱解離性ブロック剤という上位概念として判断する限り、有意な差がない(即ち、ほぼ同等である)ことが本発明者らによる実験結果により確認されており、熱解離性ブロック剤の種類による若干の解離温度の差はあったとしても、特性上はほぼ同等のものとして把握することができる。一方、炭酸塩系熱解離性ブロック剤及びリン酸塩系熱解離性ブロック剤の個別・具体的な種類によっては(即ち、上掲列挙した炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の熱解離性ブロック剤の個別・具体的な種類によっては)、組み合わされるポリイソシアネート化合物の種類、ポリイソシアネート化合物に対する熱解離性ブロック剤の配合率、製造条件等に応じて、上記80℃〜150℃の温度範囲内で、解離温度が相違する場合も当然ある。
<ブロックポリイソシアネートプレポリマー組成物の硬化温度>
本発明のブロックポリイソシアネートプレポリマー組成物の硬化温度は、(上記のブロックポリイソシアネート組成物について説明したのと同様の意味で)前記熱解離性ブロック剤が炭酸系であるかリン酸系であるかにかかわらずほぼ同等であり、80〜150℃の温度範囲である。即ち、上記のとおり、ブロックポリイソシアネート組成物に含有される熱解離性ブロック剤が炭酸系であるかリン酸系であるかにかかわらず、ブロックポリイソシアネート組成物の解離温度がほぼ同等であるため、ブロックポリイソシアネートプレポリマー組成物の硬化温度もほぼ同等のものとなる。
<ブロックポリイソシアネートプレポリマー組成物の硬化時間>
本発明のブロックポリイソシアネートプレポリマー組成物の硬化時間は、20〜180秒の時間範囲である。
[実験結果による確認]
本発明の発明者らは、本発明のブロックポリイソシアネート組成物及びブロックポリイソシアネートプレポリマー組成物を完成する過程で、鋭意の実験を実施し、その実験結果より、上記のアルカリ金属炭酸塩等が、本発明の熱解離性ブロック剤として機能し、所定の作用効果(ブロックポリイソシアネート化合物の末端乃至遊離NCO基のブロック乃至保護効果、及び、加熱に所定の低温域でのブロック剤の解離効果)を確実に発揮していることを確認している。以下、その実験結果について説明する。
<ブロックポリイソシアネート組成物におけるNCO基のブロック>
まず、本発明者らは、所定の容器中で、炭酸水素ナトリウムを溶解させたジオキサンを含む水系溶媒を一定温度に維持し、その中にジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を長時間に渡り滴下しながら攪拌したところ、容器底に粘稠な溶液が得られた。この溶液をFT−IR(日本分光株式会社製FT−IR6000)によって分析したところ、MDIのNCO基(イソシアネート基)による2240cm−1付近の赤外吸収スペクトルは消失しており、また、1370cm−1付近と830cm−1付近にはHCO基(炭酸水素基)の顕著な赤外吸収スペクトルが現われていた。一般的に、CO基(炭酸基)は、1430cm−1付近と870cm−1付近に赤外吸収を示すが、炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウム等の(炭酸水素基を有する)重炭酸塩では、(CO基の吸収スペクトルが下方にシフトして)1370cm−1付近と830cm−1に顕著な吸収スペクトルを現わすものと予想される。また、それら重炭酸塩は、その他に975cm−1〜1000cm−1付近にも特徴的な吸収スペクトルを有するが、今回得られた溶液にはその帯域の吸収スペクトルは現れなかったため、この溶液中には重炭酸塩の残渣は残留していないことが確認された。これらのことから、以下の点を確認することができた。まず、この溶液は、上記のような粘稠な溶液であること、及び、上記赤外吸収スペクトルを示すことから、重炭酸塩が関与する溶液であることが確認された。また、この溶液は、975cm−1〜1000cm−1付近の吸収スペクトルを示さないことから、単に炭酸水素ナトリウムが混合している溶液ではない(即ち、単に混合しているのではなく、重炭酸基としてポリイソシアネート化合物のNCO基に付加している)ことが確認された。更に、この溶液は、NCO基に固有の吸収スペクトルを示さない一方、HCO基に固有の吸収スペクトルを示すことから、MDIのNCO基が炭酸基ではなく炭酸水素基によってブロックされたブロックポリイソシアネート化合物の溶液であることが確認された。このことは、一定温度に維持された水系溶媒中において、MDI等のポリイソシアネート化合物が存在する場合、水より炭酸水素基の方が迅速にそのポリイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応することを示している。
<ブロックポリイソシアネートプレポリマー組成物における熱解離>
次に、本発明者らは、粘調な溶液にグルコースを溶解させたものを、レオメーター(エム・エス・ティー・エンジニアリング株式会社製デジタルコーンビスコメーターCV−1S)を用いて粘度測定を行った結果、120〜130℃の温度範囲で急激に硬化が進行し、測定不可能な硬化度(極限粘度)に到達した。この熱硬化プロセス中において、有毒ガスや不快な臭気の発生は無かった。このことから、炭酸水素塩のブロック剤は、亜硫酸水素ナトリウムと同程度の低温解離性があり、グルコースの使用によって、フェノール樹脂のプレポリマーを凌ぐ熱硬化速度が得られることが示された。
本発明者らは、炭酸水素塩の他に、炭酸塩、過炭酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩及びリン酸二水素塩を用いて実験を行ったところ、これらについても、炭酸水素塩と同様の温度で熱解離現象が確認できた。また、本発明のプレポリマー組成物については、ブロックポリイソシアネート組成物と混合するポリイソシアネート反応性化合物の種類によって、80〜150℃の温度範囲で、硬化温度が変動することが確認された。
[実施の形態の説明]
次に、本発明の実施の形態について説明する。以下の実施の形態の説明では、本発明のブロックポリイソシアネート組成物及びプレポリマー組成物における熱解離性ブロック剤を、上記のように、アルカリ金属炭酸塩系熱解離性ブロック剤、アルカリ金属リン酸塩系熱解離性ブロック剤,炭酸アンモニウム系熱解離性ブロック剤及びリン酸アンモニウム系熱解離性ブロック剤の4種類に分類して、それらの熱解離性ブロック剤を含有するブロックポリイソシアネート組成物及びプレポリマー組成物の発明を、それぞれ、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3及び実施の形態4として説明する。
[実施の形態1]
<ブロックポリイソシアネート組成物>
実施の形態1に係るブロックポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネート化合物と、ポリイソシアネート化合物と反応して極低温で解離できるアルカリ金属炭酸塩系熱解離性ブロック剤とからなり、ポリイソシアネート化合物の末端イソシアネート基をアルカリ金属炭酸塩系熱解離性ブロック剤が保護することによりブロックポリイソシアネート化合物を合成するものである。
<ポリイソシアネート化合物>
本実施の形態において、前記ポリイソシアネート化合物としては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDC)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)のいずれか1種、これらのポリイソシアネートを互いに混合したもの、あるいは、これらのポリイソシアネートをウレタン変性、アロファネート変性、カルボジイミド(CD)変性、イソシアヌレート変性等によって変性した変性ポリイソシアネート、又は、これらの混合物などが使用できる。好ましくは、前記ポリイソシアネート化合物は、MDIである。
<熱解離性ブロック剤>
本実施の形態では、熱解離性ブロック剤としては、前記アルカリ金属炭酸塩系熱解離性ブロック剤が使用される。具体的には、熱解離性ブロック剤は、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸水素塩及びアルカリ金属の過炭酸塩のいずれか1種又はこれらの2種以上の混合物である。より詳細には、本実施の形態の熱解離性ブロック剤は、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、炭酸水素カリウム(KHCO)、過炭酸ナトリウム(NaCO・1.5H)及び過炭酸カリウム(KCO)のいずれか1種又はこれらの2種以上の混合物である。
<ブロックポリイソシアネート組成物(化合物)の一般式>
本実施の形態のブロックポリイソシアネート組成物(及び当該ブロックポリイソシアネート組成物により合成したブロックポリイソシアネート化合物)の一般式は、熱解離性ブロック剤として炭酸水素ナトリウムを使用した場合、式(1)で示される分子式となる。式中の−R−HNCO−は、ポリイソシアネート化合物を示す。なお、式(1)は、各イソシアネートモノマーの末端の(遊離の)イソシアネート基(NCO基)を本発明の熱解離性ブロック剤が反応して保護する場合を示す。
(炭酸水素ナトリウム:NaHCO
−R−NHCO−CO ・Na 一般式(1)
このように、上記式(1)に示すとおり、熱解離性ブロック剤が炭酸水素ナトリウムの場合、その炭酸基が、ポリイソシアネート化合物の末端のイソシアネート基(NCO基)を保護(ブロック)している。
また、本実施の形態のブロックポリイソシアネート組成物(及び化合物)の一般式は、熱解離性ブロック剤として、炭酸水素ナトリウムに代えて、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、過炭酸ナトリウム又は過炭酸カリウムのいずれかを使用した場合、それぞれ、下記の式(2)〜(6)に示される分子式となる。これらの場合も、式(2)〜(6)に示すとおり、各熱解離性ブロック剤の炭酸基が、ポリイソシアネート化合物の末端のイソシアネート基(NCO基)を保護(ブロック)している。
(炭酸ナトリウム:NaCO
−R−NHCO−CO ・Na+Na 一般式(2)
(炭酸カリウム:KCO
−R−NHCO−CO ・K+K 一般式(3)
(炭酸水素カリウム:KHCO
−R−NHCO−CO ・K 一般式(4)
(過炭酸ナトリウム:NaCO・1.5H
−R−NHCO−CO ・Na+Na+1.5H+0.75O
一般式(5)
(過炭酸カリウム:0.5(K))
−R−NHCO−CO ・K 一般式(6)
<熱解離性ブロック剤の添加量>
本実施の形態のブロックポリイソシアネート組成物(及び化合物)中の熱解離性ブロック剤の添加量は、上記いずれの種類の熱解離性ブロック剤においても、NCO基換算で、ポリイソシアネート1モルに対し、0.1〜2.0モル、好ましくは、0.5〜2.0モル、最も好ましくは、1.0〜1.5モルである。
<ブロックポリイソシアネートの解離温度>
本実施の形態のブロックポリイソシアネート化合物は、熱解離性ブロック剤としてアルカリ金属炭酸塩系熱解離性ブロック剤を使用しており、その熱解離温度は、上記のとおり、80〜150℃の温度範囲となる(即ち、下限値が約80℃で、上限値が約150℃となる)。
<ブロックポリイソシアネート組成物の製造方法>
本実施の形態のブロックポリイソシアネート組成物の製造方法は、まず、熱解離性ブロック剤溶液調製工程で、所定の容器中で、所定量の(炭酸水素ナトリウム等の)熱解離性ブロック剤を所定の濃度となるように所定量の(ジオキサン等の)極性有機溶媒を(添加して)含む水系溶媒に溶解させて熱解離性ブロック剤溶液を調製するとともに、この熱解離性ブロック剤溶液を所定の攪拌装置により一定の攪拌速度で攪拌しながら、所定の冷却装置により一定温度に維持する。次に、ブロックポリイソシアネート組成物調製工程で、前記容器中で前記一定温度に維持された前記熱解離性ブロック剤溶液中に、所定量のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等のイソシアネート化合物を、所定の長時間(例えば、30分〜90分の時間範囲、好ましくは、1時間程度)にわたって所定の滴下装置によって滴下しながら、所定の攪拌装置により攪拌することで、粘稠なブロックポリイソシアネート溶液を得る。更に、このブロックポリイソシアネート溶液を(真空乾燥等の)所定の乾燥装置及び/又は所定の乾燥方法により、所定の乾燥温度で所定時間乾燥して、固体状のブロックポリイソシアネート組成物を得る。なお、本実施の形態のブロックイソシアネート組成物は、この固体状のブロックポリイソシアネート組成物として具体化してもよいが、前記ブロックポリイソシアネート溶液として具体化することもできる。
<極性有機溶媒>
前記極性有機溶媒としては、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、グリセリン等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールエチルエーテル(カルビトール)等のエーテル系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチル等のエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン等の硫黄化合物系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル系溶媒、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸系溶媒のような各種有機溶媒、又は、これらを含む混合溶媒等が挙げられる。好ましくは、極性有機溶媒は、アセトンあるいはジオキサンである。なお、使用できる極性有機溶媒は、これらに限らない。
<極性有機溶媒の添加量>
前記ブロックポリイソシアネート組成物の製造方法に用いられる水系溶媒において、水100部に対する極性有機溶媒の添加量は、1〜500部、好ましくは、5〜100部、最も好ましくは、10〜50部である。
<水系溶媒の温度>
前記ブロックポリイソシアネート組成物の製造方法において、水系溶媒の温度(即ち、前記容器中で前記一定温度に維持される前記熱解離性ブロック剤溶液の温度)は、0〜80℃の温度範囲(即ち、少なくとも、その上限値は、前記熱解離性ブロック剤の解離温度の下限値である80℃とすることが必要であり)、好ましくは、5〜60℃の温度範囲、最も好ましくは、5〜20℃の温度範囲である。
<添加剤>
本実施の形態のブロックポリイソシアネート組成物は、更に、必要に応じて、触媒等の添加剤を任意成分として添加してもよい。
<ブロックポリイソシアネートプレポリマー組成物>
本実施の形態のブロックイソシアネートプレポリマー組成物は、前記ブロックポリイソシアネート組成物から合成したブロックポリイソシアネート化合物と、ポリイソシアネート反応性化合物との混合物であり、所定の温度で加熱することにより熱硬化することを特徴としている。
<ポリイソシアネート反応性化合物>
前記ポリイソシアネート反応性化合物は、単糖、二糖類、少糖類、オリゴ糖、多糖類、及び多糖類の水性化されたもの、多価アルコール、芳香族系ポリオール、一級アミン化合物、二級アミン化合物、カルボン酸化合物、水、又はこれらの混合物である。単糖としては、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、リボース等がある。二糖類としては、マルトース、スクロース、トレハロース、ラクトース、セロビオース、イルマルトース、ゲンチオビース等がある。少糖類としては、ゲンチアノース、ラフィノース、パノース、メレジトース(以上三糖類)、スタキオース(四糖類)等があり、オリゴ糖としては、フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ダイズオリゴ糖等がある。多糖類としては、澱粉、セルロース等があり、澱粉としては、タピオカ、馬鈴薯、コーン(とうもろこし)、小麦、甘藷、米、サゴ等がある。多糖類の水性化されたものとしては、デキストリン、アルファー澱粉等がある。好ましくは、本実施の形態のポリイソシアネート反応性化合物は、グルコースあるいはマルトースからなる。
<ブロックポリイソシアネートプレポリマー組成物の製造方法>
本実施の形態のブロックイソシアネートプレポリマー組成物は、まず、原料混合工程で、所定量の前記ブロックポリイソシアネート化合物と、所定量のポリイソシアネート反応性化合物とを、(所定の配合比率となるよう)所定の容器中で混合して、混合原料を得る。次に、この混合原料を所定の粉砕装置により所定の粒度分布(及び所定値以下の最大粒度)となるよう粉砕して、本実施の形態のブロックイソシアネートプレポリマー組成物を得る。なお、このように製造する本実施の形態のブロックイソシアネートプレポリマー組成物は、以下のように、レジンタイプ、水性スラリータイプ及び水性ディスパージョンタイプのいずれかとして具体化することができる。
<ブロックイソシアネートプレポリマー組成物のレジンタイプ>
前記ブロックイソシアネートプレポリマー組成物のレジンタイプは、前記ブロックポリイソシアネート化合物とポリイソシアネート反応性化合物との混合物の乾燥品を、最大粒度が20マイクロメーター以下になるように所定の乾式粉砕装置により乾式粉砕したものである。乾式粉砕装置としては、ハンマーミル、ローラーミル、ボールミル、ターボミルなどが使用可能である。レジンタイプのブロックイソシアネートプレポリマー組成物は、好ましくは、10〜20マイクロメーターの粒度範囲に調整されたものとする。
<ブロックイソシアネートプレポリマー組成物の水性スラリータイプ>
ブロックイソシアネートプレポリマー組成物の水性スラリータイプは、前記ブロックポリイソシアネート化合物とポリイソシアネート反応性化合物との混合物の乾燥品を、最大粒度が20マイクロメーター以下になるように所定の湿式粉砕装置により湿式粉砕したものである。湿式粉砕装置としては、ホモジナイザー、ボールミルなどが使用可能である。ブロックイソシアネートプレポリマー組成物の水性スラリータイプは、必要に応じて、分散剤や界面活性剤等を加えることができる。水性スラリータイプのブロックイソシアネートプレポリマー組成物は、好ましくは、1〜10マイクロメーターの粒度範囲に調整されたものとする。
<ブロックイソシアネートプレポリマー組成物の水性ディスパーションタイプ>
ブロックイソシアネートプレポリマー組成物の水性ディスパーションタイプは、前記ブロックポリイソシアネート化合物とポリイソシアネート反応性化合物との混合物を、最大粒度が10マイクロメーター以下になるように所定の粉砕装置により調整して水中に分散したものである。粉砕装置としては、ビーズミル、ホモジナイザー、ボールミル等が使用できる。ブロックイソシアネートプレポリマー組成物の水性ディスパーションタイプは、必要に応じて、分散剤や界面活性剤等を加えることができる。水性ディスパーションタイプのブロックイソシアネートプレポリマー組成物は、好ましくは、1マイクロメーター以下の粒度範囲に調整されたものとする。
<ブロックイソシアネートプレポリマー組成物の硬化温度>
本実施の形態のブロックイソシアネートプレポリマー組成物の硬化温度は、含有するブロックポリイソシアネート化合物の(使用する熱解離性ブロック剤に応じた)解離温度と同等であり(即ち、本実施の形態で使用する熱解離性ブロック剤としてのアルカリ金属炭酸塩系熱解離性ブロック剤(炭酸系)の解離温度と同等であり)、80〜150℃の温度範囲となる。
<ブロックイソシアネートプレポリマー組成物の硬化時間>
本実施の形態のブロックイソシアネートプレポリマー組成物は、含有するブロックポリイソシアネート化合物中の熱解離性ブロック剤がアルカリ金属炭酸塩系熱解離性ブロック剤(炭酸系)であり、その硬化時間は、20〜180秒の時間範囲である。
[実施の形態2]
<ブロックポリイソシアネート組成物>
実施の形態2に係るブロックポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネート化合物と、ポリイソシアネート化合物と反応して極低温で解離できるアルカリ金属リン酸塩系熱解離性ブロック剤とからなり、ポリイソシアネート化合物の末端イソシアネート基をアルカリ金属リン酸塩系熱解離性ブロック剤が保護することによりブロックポリイソシアネート化合物を合成するものである。
<ポリイソシアネート化合物>
本実施の形態において、前記ポリイソシアネート化合物としては、実施の形態1と同様のものを使用することができる。
<熱解離性ブロック剤>
本実施の形態では、熱解離性ブロック剤としては、前記アルカリ金属リン酸塩系熱解離性ブロック剤が使用される。具体的には、熱解離性ブロック剤は、リン酸ナトリウム(NaPO)、リン酸カリウム(KPO)、リン酸水素ナトリウム(NaHPO)、リン酸水素カリウム(KHPO)、リン酸二水素ナトリウム(NaHPO)、リン酸二水素カリウム(KHPO)のいずれか1種又はこれらの2種以上の混合物である。
<ブロックポリイソシアネート組成物(化合物)の一般式>
本実施の形態のブロックポリイソシアネート組成物(化合物)の一般式は、上記アルカリ金属リン酸塩系熱解離性ブロック剤の種類ごとに、それぞれ、下記の式(7)〜(12)に示される分子式となる。(各熱解離性ブロック剤について、上記式(1)に相当する場合のみ例示。)これらの場合も、式(7)〜(12)に示すとおり、各熱解離性ブロック剤のリン酸基が、ポリイソシアネート化合物の末端のイソシアネート基(NCO基)を保護(ブロック)している。
(リン酸ナトリウム:NaPO)(リン酸三ナトリウムの場合の例示)
−R−NHCO−PO 2−・2Na+Na 一般式(7)
(リン酸カリウム:KPO)(リン酸三カリウムの場合の例示)
−R−NHCO−PO 2−・2K+K 一般式(8)
(リン酸水素ナトリウム:NaHPO
−R−NHCO−PO 2−・2Na 一般式(9)
(リン酸水素カリウム:KHPO
−R−NHCO−PO 2−・K+K 一般式(10)
(リン酸二水素ナトリウム:NaHPO
−R−NHCO−PO 2−・Na 一般式(11)
(リン酸二水素カリウム:KHPO
−R−NHCO−PO 2−・K+H 一般式(12)
<熱解離性ブロック剤の添加量>
本実施の形態のブロックポリイソシアネート組成物(及び化合物)中の熱解離性ブロック剤の添加量は、実施の形態1のブロックポリイソシアネート組成物と同様である。
<ブロックポリイソシアネートの解離温度>
本実施の形態のブロックポリイソシアネート化合物は、熱解離性ブロック剤としてアルカリ金属リン酸塩系熱解離性ブロック剤(リン酸系)を使用しており、その熱解離温度は、上記のとおり、80〜150℃の温度範囲となる。
<ブロックポリイソシアネート組成物の製造方法>
本実施の形態のブロックポリイソシアネート組成物の製造方法は、実施の形態1のブロックポリイソシアネート組成物の製造方法と同様であり、使用する極性有機溶媒の種類、極性有機溶媒の添加量、水系溶媒の温度等の条件も、実施の形態1のブロックポリイソシアネート組成物の条件と同様である。
<ブロックイソシアネートプレポリマー組成物>
本実施の形態のブロックイソシアネートプレポリマー組成物は、実施の形態1の場合と同様、前記ブロックポリイソシアネート組成物から合成したブロックポリイソシアネート化合物と、ポリイソシアネート反応性化合物との混合物であり、所定の温度で加熱することにより熱硬化することを特徴としている。なお、ポリイソシアネート反応性化合物は、実施の形態1のポリイソシアネート反応性化合物と同様とすることができる。
<ブロックポリイソシアネートプレポリマー組成物の製造方法>
本実施の形態のブロックポリイソシアネートプレポリマー組成物の製造方法は、実施の形態1のブロックポリイソシアネートプレポリマー組成物の製造方法と同様であり、実施の形態1の場合と同様、レジンタイプ、水性スラリータイプ及び水性ディスパージョンタイプのいずれかとして具体化することができる。
<ブロックイソシアネートプレポリマー組成物の硬化温度>
本実施の形態のブロックイソシアネートプレポリマー組成物の硬化温度は、含有するブロックポリイソシアネート化合物の(使用する熱解離性ブロック剤に応じた)解離温度と同等であり(即ち、本実施の形態で使用する熱解離性ブロック剤としてのアルカリ金属リン酸塩系熱解離性ブロック剤(リン酸系)の解離温度と同等であり)、80〜150℃の温度範囲となる。
<ブロックイソシアネートプレポリマー組成物の硬化時間>
本実施の形態のブロックイソシアネートプレポリマー組成物は、含有するブロックポリイソシアネート化合物中の熱解離性ブロック剤がアルカリ金属リン酸塩系熱解離性ブロック剤(リン酸系)であり、その硬化時間は、20〜180秒の時間範囲である。
[実施の形態3]
<ブロックポリイソシアネート組成物>
実施の形態3に係るブロックポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネート化合物と、ポリイソシアネート化合物と反応して極低温で解離できる炭酸アンモニウム系熱解離性ブロック剤とからなり、ポリイソシアネート化合物の末端イソシアネート基を炭酸アンモニウム系熱解離性ブロック剤が保護することによりブロックポリイソシアネート化合物を合成するものである。
<ポリイソシアネート化合物>
本実施の形態において、前記ポリイソシアネート化合物としては、実施の形態1と同様のものを使用することができる。
<熱解離性ブロック剤>
本実施の形態では、熱解離性ブロック剤としては、炭酸アンモニウム系熱解離性ブロック剤が使用される。具体的には、熱解離性ブロック剤は、炭酸アンモニウム((NHCO)、炭酸水素アンモニウム(NHHCO)、過炭酸アンモニウム((NHCO)のいずれか1種又はこれらの2種以上の混合物である。
<ブロックポリイソシアネート組成物(化合物)の一般式>
本実施の形態のブロックポリイソシアネート組成物(化合物)の一般式は、上記炭酸アンモニウム系熱解離性ブロック剤の種類ごとに、それぞれ、下記の式(13)〜(14)に示される分子式となる。(各熱解離性ブロック剤について、上記式(1)に相当する場合のみ例示。)これらの場合も、式(13)〜(14)に示すとおり、各熱解離性ブロック剤の炭酸基が、ポリイソシアネート化合物の末端のイソシアネート基(NCO基)を保護(ブロック)している。
(炭酸アンモニウム:(NHCO
−R−NHCO−CO ・NH +NH 一般式(13)
(炭酸水素アンモニウム:NHHCO
−R−NHCO−CO ・NH 一般式(14)
<熱解離性ブロック剤の添加量>
本実施の形態のブロックポリイソシアネート組成物(及び化合物)中の熱解離性ブロック剤の添加量は、実施の形態1のブロックポリイソシアネート組成物と同様である。
<ブロックポリイソシアネートの解離温度>
本実施の形態のブロックポリイソシアネート化合物は、熱解離性ブロック剤として炭酸アンモニウム系熱解離性ブロック剤(炭酸系)を使用しており、その熱解離温度は、上記のとおり、80〜150℃の温度範囲となる。
<ブロックポリイソシアネート組成物の製造方法>
本実施の形態のブロックポリイソシアネート組成物の製造方法は、実施の形態1のブロックポリイソシアネート組成物の製造方法と同様であり、使用する極性有機溶媒の種類、極性有機溶媒の添加量、水系溶媒の温度等の条件も、実施の形態1のブロックポリイソシアネート組成物の条件と同様である。
<ブロックイソシアネートプレポリマー組成物>
本実施の形態のブロックイソシアネートプレポリマー組成物は、実施の形態1の場合と同様、前記ブロックポリイソシアネート組成物から合成したブロックポリイソシアネート化合物と、ポリイソシアネート反応性化合物との混合物であり、所定の温度で加熱することにより熱硬化することを特徴としている。なお、ポリイソシアネート反応性化合物は、実施の形態1のポリイソシアネート反応性化合物と同様とすることができる。
<ブロックポリイソシアネートプレポリマー組成物の製造方法>
本実施の形態のブロックポリイソシアネートプレポリマー組成物の製造方法は、実施の形態1のブロックポリイソシアネートプレポリマー組成物の製造方法と同様であり、実施の形態1の場合と同様、レジンタイプ、水性スラリータイプ及び水性ディスパージョンタイプのいずれかとして具体化することができる。
<ブロックイソシアネートプレポリマー組成物の硬化温度>
本実施の形態のブロックイソシアネートプレポリマー組成物の硬化温度は、含有するブロックポリイソシアネート化合物の(使用する熱解離性ブロック剤に応じた)解離温度と同等であり(即ち、本実施の形態で使用する熱解離性ブロック剤としての炭酸アンモニウム系熱解離性ブロック剤(炭酸系)の解離温度と同等であり)、80〜150℃の温度範囲となる。
<ブロックイソシアネートプレポリマー組成物の硬化時間>
本実施の形態のブロックイソシアネートプレポリマー組成物は、含有するブロックポリイソシアネート化合物中の熱解離性ブロック剤が炭酸アンモニウム系熱解離性ブロック剤(炭酸系)であり、その硬化時間は、20〜180秒の時間範囲である。
[実施の形態4]
<ブロックポリイソシアネート組成物>
実施の形態4に係るブロックポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネート化合物と、ポリイソシアネート化合物と反応して極低温で解離できるリン酸アンモニウム系熱解離性ブロック剤とからなり、ポリイソシアネート化合物の末端イソシアネート基をリン酸アンモニウム系熱解離性ブロック剤が保護することによりブロックポリイソシアネート化合物を合成するものである。
<ポリイソシアネート化合物>
本実施の形態において、前記ポリイソシアネート化合物としては、実施の形態1と同様のものを使用することができる。
<熱解離性ブロック剤>
本実施の形態では、熱解離性ブロック剤としては、リン酸アンモニウム系熱解離性ブロック剤が使用される。具体的には、熱解離性ブロック剤は、リン酸アンモニウム((NHPO)、リン酸水素アンモニウム((NHHPO)、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)のいずれか1種又はこれらの2種以上の混合物である。
<ブロックポリイソシアネート組成物(化合物)の一般式>
本実施の形態のブロックポリイソシアネート組成物(化合物)の一般式は、上記リン酸アンモニウム系熱解離性ブロック剤の種類ごとに、それぞれ、下記の式(15)〜(17)に示される分子式となる。(各熱解離性ブロック剤について、上記式(1)に相当する場合のみ例示。)これらの場合も、式(15)〜(17)に示すとおり、各熱解離性ブロック剤のリン酸基が、ポリイソシアネート化合物の末端のイソシアネート基(NCO基)を保護(ブロック)している。
(リン酸アンモニウム:(NHPO
−R−NHCO−PO 2−・2NH +NH 一般式(15)
(リン酸水素アンモニウム:(NHHPO
−R−NHCO−PO 2−・2NH 一般式(16)
(リン酸二水素アンモニウム:NHPO
−R−NHCO−PO 2−・NH+H 一般式(17)
<熱解離性ブロック剤の添加量>
本実施の形態のブロックポリイソシアネート組成物(及び化合物)中の熱解離性ブロック剤の添加量は、実施の形態1のブロックポリイソシアネート組成物と同様である。
<ブロックポリイソシアネートの解離温度>
本実施の形態のブロックポリイソシアネート化合物は、熱解離性ブロック剤としてリン酸アンモニウム系熱解離性ブロック剤(リン酸系)を使用しており、その熱解離温度は、上記のとおり、80〜150℃の温度範囲となる。
<ブロックポリイソシアネート組成物の製造方法>
本実施の形態のブロックポリイソシアネート組成物の製造方法は、実施の形態1のブロックポリイソシアネート組成物の製造方法と同様であり、使用する極性有機溶媒の種類、極性有機溶媒の添加量、水系溶媒の温度等の条件も、実施の形態1のブロックポリイソシアネート組成物の条件と同様である。
<ブロックイソシアネートプレポリマー組成物>
本実施の形態のブロックイソシアネートプレポリマー組成物は、実施の形態1の場合と同様、前記ブロックポリイソシアネート組成物から合成したブロックポリイソシアネート化合物と、ポリイソシアネート反応性化合物との混合物であり、所定の温度で加熱することにより熱硬化することを特徴としている。なお、ポリイソシアネート反応性化合物は、実施の形態1のポリイソシアネート反応性化合物と同様とすることができる。
<ブロックポリイソシアネートプレポリマー組成物の製造方法>
本実施の形態のブロックポリイソシアネートプレポリマー組成物の製造方法は、実施の形態1のブロックポリイソシアネートプレポリマー組成物の製造方法と同様であり、実施の形態1の場合と同様、レジンタイプ、水性スラリータイプ及び水性ディスパージョンタイプのいずれかとして具体化することができる。
<ブロックイソシアネートプレポリマー組成物の硬化温度>
本実施の形態のブロックイソシアネートプレポリマー組成物の硬化温度は、含有するブロックポリイソシアネート化合物の(使用する熱解離性ブロック剤に応じた)解離温度と同等であり(即ち、本実施の形態で使用する熱解離性ブロック剤としてのリン酸アンモニウム系熱解離性ブロック剤(リン酸系)の解離温度と同等であり)、80〜150℃の温度範囲となる。
<ブロックイソシアネートプレポリマー組成物の硬化時間>
本実施の形態のブロックイソシアネートプレポリマー組成物は、含有するブロックポリイソシアネート化合物中の熱解離性ブロック剤がリン酸アンモニウム系熱解離性ブロック剤(リン酸系)であり、その硬化時間は、20〜180秒の時間範囲である。
以下、本発明の実施例に係るブロックポリイソシアネート組成物の製造方法(製造例)及びブロックポリイソシアネートプレポリマー組成物の製造方法(製造例)、並びに、比較例に係るブロックポリイソシアネート組成物の製造方法(製造例)及びブロックポリイソシアネートプレポリマー組成物の製造方法(製造例)をそれぞれ示し、本発明の実施例に係るブロックポリイソシアネート組成物及びブロックポリイソシアネートプレポリマー組成物を、比較例に係るブロックポリイソシアネート組成物及びブロックポリイソシアネートプレポリマー組成物と対比して、その特有の作用効果と共に具体的に説明する。なお、以下において、「部」及び「%」は、特記しない限り、「重量部」及び「重量%」である。
[比較例1]
a) 第1の工程
まず、開放の反応容器中で、εカプロラクタム100部を90℃に加熱し、溶融した中に、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)100部を1時間掛けて徐々に添加し、常温で固体のブロックポリイソシアネートを得た。ブロックポリイソシアネートの回収率は90%であった。
b) 第2の工程
次に、前記ブロックポリイソシアネート100部と、グルコース70部とを混合し、オクチル酸スズ1部を添加したものを、ボールミルにおいて1時間粉砕し、淡褐色のプレポリマーのレジンを得た。レジンの回収率は95%あった。また、粒度分布を光学顕微鏡下で観察した結果、最大粒度は20マイクロメーターを下回った。
[比較例2]
a) 第1の工程
まず、還流冷却器を付けたセパラブルフラスコに、飽和亜硫酸水素ナトリウム溶液(43%)100部、及びジオキサン20部を入れ、1000rpmで攪拌しながら、還流冷却器で温度を20℃に維持した。
b) 第2の工程
次に、セパラブルフラスコ内に、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)100部を1時間掛けて徐々に添加し、常温で液体のブロックポリイソシアネート溶液を得た。ブロックポリイソシアネート溶液は50℃で真空乾燥され、固体のブロックポリイソシアネートを得た。ブロックポリイソシアネートの回収率は90%であった。
c) 第3の工程
次に、ブロックポリイソシアネート100部と、グルコース70部とを混合したものを、ボールミルにおいて1時間粉砕し、淡黄白色のプレポリマーのレジンを得た。また、粒度分布を光学顕微鏡下で観察した結果、最大粒度は20マイクロメーターを下回った。
[比較例3]
a) 第1の工程
まず、還流冷却器を付けたセパラブルフラスコに、飽和亜硫酸水素ナトリウム溶液(43%)100部、及びアセトン20部を入れ、1000rpmで攪拌しながら、還流冷却器で温度を20℃に維持した。
b) 第2の工程
次に、セパラブルフラスコ内に、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)100部を1時間掛けて徐々に添加し、常温で液体のブロックポリイソシアネート溶液を得た。ブロックポリイソシアネート溶液は50℃で真空乾燥され、固体のブロックポリイソシアネートを得た。ブロックポリイソシアネートの回収率は93%であった。
c) 第3の工程
次に、ブロックポリイソシアネート100部と、グルコース70部とを混合したものを、ボールミルにおいて1時間粉砕し、淡黄白色のプレポリマーのレジンを得た。また、粒度分布を光学顕微鏡下で観察した結果、最大粒度は20マイクロメーターを下回った。
[実施例1]
a) 第1の工程
まず、還流冷却器を付けたセパラブルフラスコに、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(57%)100部、及び(非プロトン性極性有機溶媒としての)ジオキサン20部を入れ、1000rpmで攪拌しながら、還流冷却器で温度を20℃に維持した。
b) 第2の工程
次に、セパラブルフラスコ内に、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)100部を1時間掛けて徐々に添加し、常温で液体のブロックポリイソシアネート溶液を得た。ブロックポリイソシアネート溶液は60℃で真空乾燥され、固体のブロックポリイソシアネートを得た。ブロックポリイソシアネートの回収率は92%であった。
c) 第3の工程
次に、ブロックポリイソシアネート100部と、グルコース70部とを混合したものを、ボールミルにおいて1時間粉砕し、淡黄白色のプレポリマーのレジンを得た。また、粒度分布を光学顕微鏡下で観察した結果、最大粒度は20マイクロメーターを下回った。
[実施例2]
a) 第1の工程
まず、還流冷却器を付けたセパラブルフラスコに、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(57%)100部、および(非プロトン性極性有機溶媒としての)(両親媒性の)アセトン20部を入れ、1000rpmで攪拌しながら、還流冷却器で温度を20℃に維持した。
b) 第2の工程
次に、セパラブルフラスコ内に、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)100部を1時間掛けて徐々に添加し、常温で液体のブロックポリイソシアネート溶液を得た。ブロックポリイソシアネート溶液は60℃で真空乾燥され、固体のブロックポリイソシアネートを得た。ブロックポリイソシアネートの回収率は95%であった。
c) 第3の工程
次に、ブロックポリイソシアネート100部と、グルコース70部とを混合したものを、ボールミルにおいて1時間粉砕し、淡黄白色のプレポリマーのレジンを得た。また、粒度分布を光学顕微鏡下で観察した結果、最大粒度は20マイクロメーターを下回った。
[実施例3]
a) 第1の工程
まず、還流冷却器を付けたセパラブルフラスコに、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(57%)100部、及びアセトン20部を入れ、1000rpmで攪拌しながら、還流冷却器で温度を5℃に維持した。
b) 第2の工程
次に、セパラブルフラスコ内に、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)100部を1時間掛けて徐々に添加し、常温で液体のブロックポリイソシアネート溶液を得た。ブロックポリイソシアネート溶液は60℃で真空乾燥され、固体のブロックポリイソシアネートを得た。ブロックポリイソシアネートの回収率は97%であった。

c) 第3の工程
次に、ブロックポリイソシアネート100部と、グルコース70部とを混合したものを、ボールミルにおいて1時間粉砕し、淡黄白色のプレポリマーのレジンを得た。また、粒度分布を光学顕微鏡下で観察した結果、最大粒度は20マイクロメーターを下回った。
[実施例4]
a) 第1の工程
まず、還流冷却器を付けたセパラブルフラスコに、飽和リン酸水素二ナトリウム溶液(96%)100部、及び(非プロトン性極性有機溶媒としての)ジオキサン20部を入れ、1000rpmで攪拌しながら、還流冷却器で温度を20℃に維持した。
b) 第2の工程
次に、セパラブルフラスコ内に、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)100部を1時間掛けて徐々に添加し、常温で液体のブロックポリイソシアネート溶液を得た。ブロックポリイソシアネート溶液は60℃で真空乾燥され、固体のブロックポリイソシアネートを得た。ブロックポリイソシアネートの回収率は90%であった。
c) 第3の工程
次に、ブロックポリイソシアネート100部と、グルコース70部とを混合したものを、ボールミルにおいて1時間粉砕し、淡黄白色のプレポリマーのレジンを得た。また、粒度分布を光学顕微鏡下で観察した結果、最大粒度は20マイクロメーターを下回った。
[実施例5]
a) 第1の工程
まず、還流冷却器を付けたセパラブルフラスコに、飽和炭酸水素アンモニウム溶液(54%)100部、及び(非プロトン性極性有機溶媒としての)ジオキサン20部を入れ、1000rpmで攪拌しながら、還流冷却器で温度を20℃に維持した。
b) 第2の工程
次に、セパラブルフラスコ内に、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)100部を1時間掛けて徐々に添加し、常温で液体のブロックポリイソシアネート溶液を得た。ブロックポリイソシアネート溶液は60℃で真空乾燥され、固体のブロックポリイソシアネートを得た。ブロックポリイソシアネートの回収率は95%であった。
c) 第3の工程
次に、ブロックポリイソシアネート100部と、グルコース70部とを混合したものを、ボールミルにおいて1時間粉砕し、淡黄白色のプレポリマーのレジンを得た。また、粒度分布を光学顕微鏡下で観察した結果、最大粒度は20マイクロメーターを下回った。
[比較例1〜3及び実施例1〜5の対比]
比較例1〜3及び実施例1〜5について、表1に、(上記第1の工程から第2の工程までの工程で調製される)ブロックポリイソシアネート組成物の製造のための、使用原料、混合比(重量部)、反応温度(第1の工程から第2の工程においてブロックポリイソシアネート溶液を得るまでの間における水系溶媒の維持温度(即ち、ブロックポリイソシアネート溶液を得るための反応温度))、及びその回収率を示す。
Figure 0005307308
比較例1〜3及び実施例1〜5について、表2に、(上記第3の工程で調製される)ブロックイソシアネートプレポリマー組成物のレジンタイプの製造のための、使用原料、混合比(重量部)、最大粒度、硬化温度、硬化時間、製造時又は熱硬化時の発生ガス及び臭気の発生状況の結果を示す。硬化温度は、レオメーターにおいて、昇温毎分10℃で、極限粘度に到達したときの温度とした。また、硬化時間は、粘度上昇開始から極限粘度に到達するまでの時間とした。また、図1に実施例1のブロックイソシアネートプレポリマー組成物のレジンタイプのレオメーターによる昇温硬化特性を示した(縦軸は粘度(mPa・s)、横軸は温度(℃))。
Figure 0005307308
本発明の実施例1〜5のブロックポリイソシアネート組成物についての実験結果によれば、上記極性有機溶媒を添加され、反応温度が5℃〜20℃の温度範囲に調整された水径溶媒中で、ポリイソシアネート化合物(実施例1〜5のMDI)に対して、熱解離性ブロック剤として、アルカリ金属炭酸塩系熱解離性ブロック剤(実施例1〜3の炭酸水素ナトリウム)、アルカリ金属リン酸塩系熱解離性ブロック剤(実施例4のリン酸水素二ナトリウム)、炭酸アンモニウム系熱解離性ブロック剤(実施例5の炭酸水素アンモニウム)を反応させることで、上記熱硬化温度と同等の温度範囲である低温域(即ち、上記硬化温度の125℃〜136℃の温度域であるが、試験条件や計測等における誤差等を勘案すれば約120℃〜約140℃程度の温度範囲と考えられる低温域)で熱解離が可能な熱解離性ブロックポリイソシアネート組成物を、90%〜97%(即ち、90%以上)という高い回収効率で製造できることが確認された。なお、ブロックポリイソシアネート化合物と熱解離性ブロック剤との組合せとして、実施例1〜3では、MDIとアルカリ金属炭酸塩系熱解離性ブロック剤としての炭酸水素ナトリウムとの組合せを使用し、実施例4では、MDIとアルカリ金属リン酸塩系熱解離性ブロック剤としてのリン酸水素二ナトリウムとの組合せを使用し、実施例5では、MDIと炭酸アンモニウム系熱解離性ブロック剤としての炭酸水素アンモニウムとの組合せを使用しているが、他の組合せにおいても(即ち、ブロックポリイソシアネート化合物としてMDI以外のものを使用し、熱解離性ブロック剤として炭酸水素ナトリウム又はリン酸水素二ナトリウム又は炭酸水素アンモニウム以外のものを使用した場合でも)、同等の効果が期待できる。また、実施例1〜5では、熱解離性ブロック剤としてリン酸アンモニウム系熱解離性ブロック剤を使用した例はないが、この場合も、やはり、同等の効果が期待できる。
特に、実施例1〜5中、実施例3のように、極性有機溶媒としてアセトンを添加され、5℃に調整された水系溶媒中で、MDIと炭酸水素ナトリウムを反応させることで、(硬化温度が130℃となるような)低温での解離の可能な熱解離性ブロックイソシアネート組成物を、97%という(比較例1〜3及び実施例1〜5の中で)最も高い回収効率で製造できることが確認された。
また、得られた(固体の)ブロックイソシアネート100部とグルコース70部を20マイクロメーター以下に粉砕したレジンタイプのブロックポリイソシアネートプレポリマー組成物(即ち、実施例1〜5のブロックポリイソシアネートプレポリマー組成物)は、125℃〜135℃という極低温の温度範囲(試験条件や計測等における誤差等を勘案すれば約120℃〜約140℃程度の温度範囲と考えられる)で、32秒〜35秒という驚異的な短さの硬化時間(試験条件や計測等における誤差等を勘案すれば最短で約30秒の時間範囲であって、平均しても約30秒〜約40秒程度の範囲の硬化時間と考えられる)で硬化が完了することが確認された。
特に、実施例3において、得られた(固体の)ブロックイソシアネート100部とグルコース70部を20マイクロメーター以下に粉砕したレジンタイプのブロックポリイソシアネートプレポリマー組成物は、130℃という極低温で、32秒という驚異的な速さで硬化が完了することが確認された。また、実施例5において、得られた(固体の)ブロックイソシアネート100部とグルコース70部を20マイクロメーター以下に粉砕したレジンタイプのブロックポリイソシアネートプレポリマー組成物は、125℃という更に低い極低温で、32秒という驚異的な速さで硬化が完了することが確認された。
[発生ガス及び臭気]
実施例1〜5のブロックポリイソシアネートプレリマー組成物についての発生ガス及び臭気に関する実験結果によれば、製造時の発生ガスは、実施例1〜5のいずれも無害な炭酸ガスのみであることが確認された。また、熱硬化時の臭気の発生状況は、実施例1〜5のいずれも、無臭であることが確認された。
[ホルムアルデヒドの発散量]
本発明者らは、成形1日後のフェノール樹脂と、実施例3の方法で製造された熱硬化性プラスチックについて、JIS_A1901に準じてホルムアルデヒドの発散量を測定した。その結果、検出されたアルデヒド濃度は、フェノール樹脂で0.035(mg/m・65℃・2h)であるのに対し、熱硬化性プラスチックの値は、0.000(mg/m・65℃・2h)となり検出できなかった。この値は、最も厳しい自動車内装部品における業界基準である0.005(mg/m・65℃・2h)を下回っており、規制のあるすべての用途で使用可能であった。
[耐変色性]
本発明者らは、成形1日後のフェノール樹脂と、実施例3の方法で製造された熱硬化性プラスチックを、常温において苛性ソーダ(50%溶液)に24時間浸漬し変化(強アルカリ性である水酸化ナトリウム水溶液に対する耐変色性)を観察した。その結果、フェノール樹脂において著しい変色が見られたが、本発明の熱硬化性プラスチックにおいては、まったく変色が見られなかった。
[耐候性(耐溶剤性)]
本発明者は、成形1日後のフェノール樹脂と、実施例3の方法で製造された熱硬化性プラスチックを、常温においてアセトンに24時間浸漬し変化を観察したが、両者共変化は見られなかった。このように、本発明の熱硬化性プラスチックがフェノール樹脂と同等以上の耐候性(耐溶剤性)を持つことが確認された。
本発明のブロックポリイソシアネート組成物及びプレポリマー組成物は、強度が要求される断熱材、合板、木質ボード、電気製品あるいは自動車内装部品などに適用することができる。

Claims (10)

  1. ポリイソシアネート化合物と熱解離性ブロック剤とから合成されたブロックポリイソシアネート組成物であって、
    前記熱解離性ブロック剤が、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸水素塩、アルカリ金属の過炭酸塩、アルカリ金属のリン酸塩、アルカリ金属のリン酸水素塩、アルカリ金属のリン酸二水素塩、アンモニウムの炭酸塩、アンモニウムの炭酸水素塩、アンモニウムの過炭酸塩、アンモニウムのリン酸塩、アンモニウムのリン酸水素塩及びアンモニウムのリン酸二水素塩からなる群から選択された少なくとも1種の熱解離性ブロック剤であることを特徴とするブロックポリイソシアネート組成物。
  2. 前記熱解離性ブロック剤が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過炭酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素アンモニウムからなる群から選択された1種の熱解離性ブロック剤、または、前記群から選択された2種以上の熱解離性ブロック剤群の混合物であることを特徴とする請求項1に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
  3. 前記熱解離性ブロック剤の添加量が、NCO基換算で、前記ポリイソシアネート化合物1モルに対し、0.1〜2.0モルであることを特徴とする請求項1又は2に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
  4. 前記熱解離性ブロック剤の解離温度が、80〜150℃の範囲であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のブロックポリイソシアネート組成物。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のブロックポリイソシアネート組成物を、水と極性有機溶媒とを合わせた水系混合溶媒中で製造するブロックポリイソシアネート組成物の製造方法であって、
    前記水系混合溶媒において、水100部に対する前記極性有機溶媒の添加量が1〜500部の範囲であることを特徴とするブロックポリイソシアネート組成物の製造方法。
  6. 前記水系混合溶媒の温度が0〜80℃の温度範囲であることを特徴とする請求項5に記載のブロックポリイソシアネート組成物の製造方法。
  7. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のブロックポリイソシアネート組成物と、そのブロックイソシアネート組成物と反応するポリイソシアネート反応性化合物との混合物であるプレポリマー組成物であって、加熱することにより熱硬化することを特徴とするプレポリマー組成物。
  8. 加熱により熱硬化するときの硬化温度が80〜150℃の温度範囲であることを特徴とする請求項7に記載のプレポリマー組成物。
  9. 加熱により熱硬化する時の硬化時間が20〜180秒の時間範囲であることを特徴とする請求項7または8に記載のプレポリマー組成物。
  10. ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基を保護するブロックポリイソシアネート組成物の熱解離性ブロック剤であって、
    アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸水素塩、アルカリ金属の過炭酸塩、アルカリ金属のリン酸塩、アルカリ金属のリン酸水素塩、アルカリ金属のリン酸二水素塩、アンモニウムの炭酸塩、アンモニウムの炭酸水素塩、アンモニウムの過炭酸塩、アンモニウムのリン酸塩、アンモニウムのリン酸水素塩及びアンモニウムのリン酸二水素塩からなる群から選択された少なくとも1種の熱解離性ブロック剤からなることを特徴とするブロックポリイソシアネート組成物の熱解離性ブロック剤。
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