JP2000107686A - 耐食性と塗膜密着性に優れた低毒性のプレコート金属板 - Google Patents

耐食性と塗膜密着性に優れた低毒性のプレコート金属板

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JP2000107686A
JP2000107686A JP10281199A JP28119998A JP2000107686A JP 2000107686 A JP2000107686 A JP 2000107686A JP 10281199 A JP10281199 A JP 10281199A JP 28119998 A JP28119998 A JP 28119998A JP 2000107686 A JP2000107686 A JP 2000107686A
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JP10281199A
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Hiroyasu Furukawa
博康 古川
Akira Takahashi
高橋  彰
Kohei Ueda
浩平 植田
Hiromasa Nomura
広正 野村
Hiroshi Kanai
洋 金井
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 毒性に問題のあるクロメート処理層やクロム
系防錆顔料を用いることなく、塗膜密着性と耐食性に優
れたプレコート金属板を提供する。 【解決手段】 金属板の少なくとも片面に、(a)水性
樹脂とシランカップリング剤とを含有する下地処理層、
(b)官能基数が少なくとも3のポリエステルポリオー
ルと2級の水酸基を少なくとも1個有するエポキシ樹脂
にラクトン化合物またはアルキレンオキサイドを付加さ
せたものからなるポリオール成分と、有機ポリイソシア
ネートのブロック化物または有機ポリイソシアネートと
活性水素化合物とのブロック化物からなるイソシアネー
ト成分とを含む成膜性樹脂原料から得られた有機樹脂、
水および酸素の存在下でそれぞれリン酸イオンおよびバ
ナジン酸イオンを放出するリン酸イオン源とバナジン酸
イオン源とを含有する下塗り層、(c)その上の着色さ
れた皮膜層、を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家電製品や建材等
に使用される高耐食性のプレコート金属板に関するもの
であり、詳しく言えば有毒とされるクロムを含まない塗
膜を備えた高耐食性のプレコート金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、家電用、建材用、自動車用など
の鋼板材料には、鋼板の成形加工後に塗装されていた従
来のポスト塗装製品に代わって、着色した有機皮膜を予
め被覆したプレコート鋼板が使用されるようになってき
ている。このプレコート鋼板は、防錆処理を施した鋼板
およびめっき鋼板に有機皮膜を被覆したもので、美観を
有しながら、加工性を有し、耐食性が良好であるという
特性を有している。
【0003】例えば、特開平8−168723号公報に
は、皮膜の構造を規定することによって加工性と対汚染
性、硬度に優れたプレコート鋼板を得る技術が開示され
ている。また、特開平3−100180号公報には、特
定のクロメート処理液を用いることで端面耐食性を改善
したプレコート鋼板が開示されている。これらのプレコ
ート鋼板は、めっき皮膜、クロメート処理皮膜、クロム
系防錆顔料を添加したプライマー(下塗り)皮膜の複合
効果によって、耐食性と共に、加工性、塗料密着性を有
し、加工後塗装を省略して、生産性や品質改良を目的と
するものである。
【0004】このように、プレコート鋼板には耐食性が
要求されるため、現在では主にプライマーにクロム系の
防錆顔料を含有させ、またプライマーの下地処理として
クロメート処理を施している。クロメート処理皮膜およ
びクロム系顔料に含まれる6価のクロムは水浴性であ
り、これが溶出することによって、皮膜に発生した塗膜
の傷を補修する性質がある。従って、特に亜鉛系めっき
鋼板の防錆用途では、耐食性付与皮膜としてクロメート
処理皮膜が専ら今日まで使用されてきている。また、ク
ロメート処理には、プライマーの下地鋼板への密着性を
高める効果もある。
【0005】しかしながら、クロメート処理皮膜及びク
ロム系防錆顔料を含む有機皮膜から溶出する可能性のあ
る6価のクロムの毒性問題から、最近ではノンクロム防
錆処理、ノンクロム有機皮膜に対する要望が高まってい
る。
【0006】これに対し従来から、特開昭52−438
30号公報、特開昭52−128979号公報、特開昭
56−80454号公報、特開昭56−113383号
公報等に開示されているように、無公害塗料として、モ
リブデン酸塩、リン酸塩、メタホウ酸バリウム等を含む
プライマーが報告されている。
【0007】また、特開平5−84466号公報等に開
示されているように、原板に鉄系めっきを施してから、
リン酸塩系防錆顔料及びシリカを含有するプライマーを
塗布する方法もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記モリブデ
ン酸塩、リン酸塩、メタホウ酸バリウム等をプライマー
層に含有させても、耐食性はクロム系防錆顔料を含むも
のには匹敵しない。また、原板に鉄系めっきを施してか
らリン酸塩系防錆顔料及びシリカを含有するプライマー
を塗布する方法は、鉄系めっきを施すという煩雑さがあ
る。
【0009】そこで、本発明は、上記課題を解決し、鉄
系めっきを施した原板を使用することなく、クロム系顔
料を使用した場合に匹敵する優れた耐食性を示し、しか
も塗膜密着性にも優れた低毒性のノンクロム系プレコー
ト鋼板を始めとするプレコート金属板を提供することを
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の高耐食性のプレ
コート金属板は、金属板の少なくとも片面に、水性樹脂
とシランカップリング剤とを含有する皮膜層を下地処理
層として有し、この下地処理層の上に、(A)(1)官
能基数が少なくとも3のポリエステルポリオール、
(2)2級の水酸基を少なくとも1個有するエポキシ樹
脂にラクトン化合物またはアルキレンオキサイドを付加
させたものおよび、(3)有機ポリイソシアネートのブ
ロック化物または有機ポリイソシアネートと活性水素化
合物との反応により得られる末端にNCO基を有するプ
レポリマーのブロック化物、を含む成膜性樹脂原料から
得られた有機樹脂、並びに(B)水および酸素の存在す
る環境下でリン酸イオンを放出するリン酸イオン源と、
水および酸素の存在する環境下でバナジン酸イオンを放
出するバナジン酸イオン源、を含有する皮膜層を下塗り
(プライマー)層として有し、さらにその上層として着
色された皮膜層を有することを特徴とする。
【0011】下地処理層の皮膜層においては、固形分と
しての水性樹脂100重量部に対し、シランカップリン
グ剤は0.1〜3000重量部含有される。
【0012】また、下塗り層の皮膜層においては、全固
形分100重量部に対し、リン酸イオン源とバナジン酸
イオン源は両者を合わせて0.1〜50重量部含有され
る。
【0013】下塗り層のリン酸イオン源及びバナジン酸
酸イオン源は防錆顔料であってよい。またこの防錆顔料
として、リン化合物とバナジウム化合物を含有する混合
物を焼成し粉砕したものや、リン化合物とバナジウム化
合物のほかに必要により網目修飾イオン源とガラス状物
質のうちの少なくとも一方を含有する混合物を焼成し粉
砕したものや、リン酸イオンを放出するリン化合物及び
バナジン酸イオンを放出するバナジウム化合物の混合物
を適用することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明のプレコート金属板に用い
る金属板としては、各種金属板(めっき金属板を含む)
を使用することが可能であり、代表的なものとして、熱
延鋼板、冷延鋼板や、電気亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛め
っき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき
鋼板、アルミめっき鋼板、クロムめっき鋼板、ニッケル
めっき鋼板、銅めっき鋼板などのめっき鋼板や、ステン
レス鋼板、アルミ板、銅板、アルミ合金板など、公知の
金属板を適用できる。この金属板には、下地処理前に湯
洗、アルカリ脱脂などの通常の処理を行うことができ
る。
【0015】本発明のプレコート金属板に用いる下地処
理層は、水性樹脂をベースとしてシランカップリング剤
を含むことを特徴としている。水性樹脂としては、水溶
性樹脂のほか、本来水不溶性でありながらエマルジョン
やサスペンジョンのように不溶性樹脂が水中に微分散さ
れた状態になりうるもの(水分散性樹脂)を含めて言
う。このような水性樹脂として使用できる樹脂として
は、例えば、ポリオレフィン系樹脂、アクリルオレフィ
ン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹
脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド系
樹脂、フェノール系樹脂、その他の加熱硬化型の樹脂な
どを例示でき、架橋可能な樹脂であることが望ましい。
これらの水性樹脂の2種類以上を混合、あるいは重合し
て使用してもよい。特に好ましい樹脂は、アクリルオレ
フィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、及び両者の混合樹
脂である。
【0016】シランカップリング剤は、水性樹脂の存在
下で、原板となる金属板表面とその上に形成される皮膜
層とのバインダー効果を示し、塗膜密着性を飛躍的に向
上させ、ひいては耐食性を向上させる。シランカップリ
ング剤としては、例えばγ−(2−アノミエチル)アミ
ノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチ
ル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノシ
ラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビ
ニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメ
トキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノ
プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラ
ン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリ
ル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−クロロプ
ロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、
ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシランなど
を挙げることができる。
【0017】シランカップリング剤の含有量は固形分換
算で、水性樹脂100重量部に対して、0.1〜300
0重量部であることが好ましい。0.1重量部未満で
は、加工時に十分な塗膜密着性が得られず、耐食性も十
分ではない。3000重量部を超えると塗膜密着性が低
下する。
【0018】下地処理層には、さらに微粒シリカを添加
すると、防錆作用(耐食性)が一層促進される。しかも
耐食性に加えて、乾燥性、耐擦傷性、塗膜密着性も向上
される。
【0019】本発明において微粒シリカとは、微細な粒
径をもつために水中に分散させた場合に安定に水分散状
態を維持でき半永久的に沈降が認められないような特色
を有するシリカを総称していうものである。上記微粒シ
リカとしては、ナトリウムなどの不純物が少なく、弱ア
ルカリ系のものであれば、特に限定されない。例えば
「スノーテックスN」(日産化学工業社製)、「アデラ
イトAT−20N」(旭電化工業社製)などの市販のシ
リカを用いることができる。
【0020】微粒シリカの含有量は固形分換算で、水性
樹脂100重量部に対して、1〜2000重量部が好ま
しく、さらに好ましくは10〜400重量部である。1
重量部未満では添加の効果が少なく、2000重量部を
超えると耐食性向上の効果が飽和して不経済である。
【0021】また、下地処理層にエッチング系フッ化物
を添加すると、塗膜密着性が向上される。ここでエッチ
ング性フッ化物としては、フッ化亜鉛四水和物、ヘキサ
フルオロけい酸亜鉛六水和物等を使用することができ
る。エッチング性フッ化物の含有量は固形分換算で、水
性樹脂100重量部に対して、1〜1000重量部であ
ることが好ましい。1重量部未満では添加の効果が少な
く、1000重量部を越えると塗膜密着性向上の効果が
飽和して不経済である。
【0022】微粒シリカとエッチング系フッ化物は、本
発明の下地処理層の皮膜中にどちらか一方だけが存在し
てもよく、あるいは両方が共存してもよい。複数種の微
粒シリカ、あるいは複数種のエッチング系フッ化物を併
用することも可能である。
【0023】下地処理層には、このほかに、必要に応じ
て界面活性剤、防錆抑制剤、発泡剤等も添加してもよ
い。
【0024】下地処理層の乾燥時の付着量は、10mg
/m2 以上が好適である。10mg/m2 未満では、防
錆力が不足する。一方付着量が多すぎると、下地処理層
としては不経済であるばかりでなく、塗膜密着性も低下
する。膜厚の上限としては3000mg/m2 以下がよ
い。
【0025】下地処理層の塗布方法は、特に限定され
ず、一般に公知の塗装方法、例えば、ロールコート、エ
アースプレー、エアーレススプレー、浸漬などが採用で
きる。
【0026】下地処理層の乾燥、焼付けは熱風炉、誘導
加熱炉、近赤外線炉など公知の方法、あるいはこれらを
組み合わせた方法で行えばよい。また、使用する水性樹
脂の種類によっては、紫外線や電子線などのエネルギー
線によって硬化させることもできる。あるいはこれらの
強制乾燥を用いずに、自然乾燥してもよいし、或いは金
属板をあらかじめ予熱しておいて、その金属板に塗布後
自然乾燥してもよい。
【0027】本発明のプレコート金属板に用いる下塗り
層は、プライマー層とも呼ばれるものである。本発明に
おける下塗り層は、有機樹脂をベースとし、非クロム系
防錆剤としてのリン酸イオン源及びバナジン酸イオン源
を含むことを特徴としている低毒性でかつ耐食性に優れ
た下塗り塗料から形成される。RTECS(米国の公的
機関による化学物質の毒性データ集)には、五酸化バナ
ジウムおよびリン酸塩は、急性毒性、慢性毒性共に、ク
ロム酸よりも低いことが記載されている。
【0028】下塗り層の有機樹脂は、金属板に塗布した
塗料の成膜性樹脂原料である、(1)官能基数が少なく
とも3のポリエステルポリオール、(2)2級の水酸基
を少なくとも1個有するエポキシ樹脂にラクトン化合物
またはアルキレンオキサイドを付加させたものおよび、
(3)有機ポリイソシアネートのブロック化物または有
機ポリイソシアネートと活性水素化合物との反応により
得られる末端にNCO基を有するプレポリマーのブロッ
ク化物から得られる。
【0029】プレコート金属板は、塗膜が金属と共に加
工されるため、高加工性が要求される。本発明において
は、官能基数が少なくとも3のポリエステルポリオール
と、2級の水酸基を少なくとも1個有するエポキシ樹脂
にラクトン化合物またはアルキレンオキサイドを付加さ
せたものと、そして有機ポリイソシアネートのブロック
化物または有機ポリイソシアネートと活性水素化合物と
のブロック化物とを組み合わせて用いることで、耐折り
曲げ性が良好で硬度が高く、しかも耐薬品性、耐汚染性
に優れた塗膜が得られる。
【0030】本発明に使用する樹脂に用いられる、
(1)の官能基数が少なくとも3のポリエステルポリオ
ールは、ジカルボン敢、グルコールおよび少なくとも3
個のOH基を有するポリオールをエステル化することに
より得られる。
【0031】ポリエステルポリオールの製造に用いられ
るジカルボン酸としては、例えばコハク酸、無水コハク
酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
2酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタ
コン酸、ダイマー酸、などの脂肪族系、例えばフタール
酸、無水フタール酸、イソフタール酸、イソフタール酸
ジメチルエステル、テレフタール酸、テレフタール酸ジ
メチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘ
キサヒドロ無水フタール酸、テトラヒドロ無水フタール
酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサンジカ
ルボン酸ジメチルエステル、メチルヘキサヒドロ無水フ
タール酸、無水ハイミック酸、無水メチルハイミック酸
などの芳香族および脂環族系のものがあげられる。
【0032】グリコールとしては、例えばエチレングリ
コール、ジエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレング
リコール、ジプロピレングリコール、1,5−ペンタン
ジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグ
リコール、ヒドロキシビバリン酸のネオペンチルグリコ
ールエステル、トリエチレングリコール、1,9−ノナ
ンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエ
チル−1,5−ペンタンジオール、ポリカプロラクトン
ジオール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチ
レンエーテルグリコール、ポリカーボネートジオール、
2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオー
ル、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなど
の脂肪族系のもの、例えばシクロヘキサンジメタノー
ル、シクロヘキサンジオール、2−メチル−1,1−シ
クロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ビ
スヒドロキシエチルテレフタレート、1,4−ビス(2
−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、水添ビスフェノール
A、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、ビ
スフェノールAのプロピレンオキサイド付加体などの脂
肪族系あるいは芳香族系のものがあげられる。
【0033】少なくとも3個のOH基を有するポリオー
ルとしては、例えばグリセリン、トリメチロールプロパ
ン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリ
オール、ペンタエリスリトール、ジグリセリンおよびこ
れらのポリオールを開始剤としたエチレンオキサイド付
加体、プロピオンオキサイド付加体あるいはε−カプロ
ラクトン付加体などがあげられる。
【0034】エステル化反応は、酸成分より過剰のポリ
オール成分を仕込み、通常の方法により縮合物を留去す
ることによっておこなわれるが、生成物が多官能である
ために、反応を進めすぎるとゲル化の恐れがあるので通
常酸価0.1〜50、特に1〜20の範囲で停止するの
が好ましい。具体的な製造法としては、例えばジカルボ
ン酸をグリコールのモル数より過剰に仕込み、180〜
260℃の温度で窒素ガスを吹き込みながら縮合水を留
去してゆき、所定の酸価まで反応させて両末端にCOO
H基を有するポリエステル化物を得、ついでこのポリエ
ステル化物の末端がOH基となるように少なくとも3個
のOH基を有するポリオールを仕込み、同様に宿合水を
留去してゆき、酸価が50以下、好ましくは1〜20の
範囲で停止させる方法があげられる。また、ジカルボン
酸のジメチルエステルを用いる場合は、グリコールのモ
ル数より多く仕込み、上記と同様な条件で縮合物を留去
し、両末端がメチルエステル基を有するポリエステル化
物を得、ついで少なくとも3個のOH基を有するポリオ
ールを仕込み、前述と同様な条件でエステル交換反応を
行い、ポリエステルポリオールを得ることができる。
【0035】無水酸を併用する場合は、まずジカルボン
酸をグリコールのモル数より少なく仕込み、上記と同様
な条件で縮合物を留去し、まず、両末端にOH基を有す
るポリエステル化物を得、ついでジカルボン酸無水物を
添加し、この開環反応により両末端にCOOH基を有す
るポリエステル化物を得て、つぎに少なくとも3個のO
H基を有するポリオールを仕込み、前述と同様な方法で
反応をおこないポリエステルポリオールを得る方法があ
げられる。本発明に用いられるポリエステルポリオール
は官能基数が3〜7、特に4〜6で、数平均分子量が6
00〜3500で、かつ水酸基価が80〜460のもの
が特に好ましい。官能基数が3官能未満になると硬化塗
膜の硬度が低くなり、また耐薬品性が悪くなる。また、
7官能を超えると塗膜の耐折り曲げ性が悪くなることが
ある。数平均分子量が600未満になると硬化塗膜の光
沢が悪くなり、3500を超えると高粘度となり、塗装
作業性に問題を生じたり、また耐汚染性が悪くなること
がある。水酸基価が80未満の場合は硬化塗膜の耐薬品
性、耐汚染性が悪くなることがある。また、水酸基価が
460を超えると塗膜の耐折り曲げ性が悪くなることが
ある。
【0036】本発明に用いられるポリオール成分のもう
一方の成分である(2)の2級の水酸基を少なくとも1
個有するエポキシ樹脂にラクトン化合物またはアルキレ
ンオキサイドを付加させたものとしては、下記一般式で
表されるエポキシ樹脂にラクトン化合物またはアルキレ
ンオキサイドを自体公知の手段により付加させたものが
あげられる。
【0037】
【化1】
【0038】(式中、Xはハロゲンで置換されていても
よいフェニレン基またはシクロヘキシレン基を表し、n
は0.5〜12.0である。)
【0039】ラクトン化合物またはアルキレンオキサイ
ドの付加量は該エポキシ樹脂約95〜60重量部に対し
て約5〜40重量部程度である。特に、該エポキシ樹脂
約90〜70重量部に対してラクトン化合物またはアル
キレンオキサイドは約10〜30重量部が好ましい。
【0040】上記一般式で表されるエポキシ樹脂のなか
で、Xがp−フェニレン基のもので、nは2〜9のもの
が好ましい。ハロゲンとしては、例えば臭素、塩素など
があげられる。この置換基の数は通常、1〜3個程度
で、その位置はフェニレン基もしくはシクロヘキシレン
基のいずれの位置でもよい。
【0041】ラクトン化合物としては、例えばβ−プロ
ピオラクトン、ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、
γ−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロ
ラクトン、ε−カプロラクトンなどがあげられるが、こ
れらのなかで特にε−カプロラクトンが好ましい。アル
キレンオキサイドとしては、例えばエチレンオキサイ
ド、プロピレンオキサイド、スチレンオキサイド、グリ
シジルメタクリレート、エピクロルヒドリンなどがあげ
られるが、特にエチレンオキサイドが好ましい。
【0042】2級の水酸基を少なくとも1個有するエポ
キシ樹脂にラクトン化合物またはアルキレンオキサイド
を付加させた物の配合割合は、ポリオール成分中、約1
0〜70重量%の割合であるが、特に約10〜60重量
%の範囲で用いるのが好ましい。配合割合が10重量%
未満では耐汚染性のうち、特に耐からし汚染性が悪くな
ることがある。また、70重量%を超えると耐からし汚
染性はよくなるが、硬度が非常に低下してしまうことが
ある。
【0043】本発明に使用する樹脂に用いられる(3)
のブロック化物としては、少なくとも2個のNCO基を
有する化合物、例えば、トリメチレンジイソシアネー
ト、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、
1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレ
ンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネー
ト、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサ
メチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシア
ネート、2,6−ジイソシアナートメチルカプロエート
などの脂肪族ジイソシアネートや、例えば1,3−シク
ロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサン
ジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシア
ネート、3−イソシアナートメチル−3,5,5−トリ
メチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4’−メチ
レンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−
2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−
2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,2−ビ
ス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,4−
ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,3
−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、トラ
ンス−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネートなど
のシクロアルキレン系ジイソシアネートや、例えばm−
フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシ
アネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、
1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフ
ェニルメタンジイソシアネート、2,4−または2,6
−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジ
イソシアネート、ジアニシジンイソシアネート、4,
4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香
族ジイソシアネートや、例えばω,ω’−ジイソシアネ
ート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシ
アネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイ
ソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、α,α,
α’,α’−テトラメチルメタキシリレンジイソシアネ
ート、α,α,α’,α’−テトラメチルパラキシリレ
ンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネート
や、例えばトリフェニルメタン−4,4’,4”−トリ
イソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートベン
ゼン、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、ω−
イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアナートカプ
ロエートなどのトリイソシアネートや、例えば4,4’
−ジフェニルジメチルメタン−2,2’,5,5’−テ
トライソシアネートなどのテトライソシアネートのブロ
ック化物や、ダイマー、トリマー、ビュウレット、アロ
ファネート、カルボジイミド、ポリメチレンポリフェニ
ルポリイソシアネート(クルードMDI、c−MDI、
ポリメリックMDI)、クルードTDI、等のイソシア
ネート化合物からの誘導体のブロック化物や、あるいは
これらと活性水素化合物との反応により得られる末端に
NCO基を有するプレポリマーのブロック化物があげら
れる。
【0044】プレコート金属板として用いる場合、耐候
性が要求されるので、前述のNCO基を有する化合物の
なかでもヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシ
アナートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシ
ルイソシアネート、1,4−ビス(イソシアナートメチ
ル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナートメ
チル)シクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シク
ロヘキシルイソシアネート)、α,α,α’,α’−テ
トラメチルメタキシリレンジイソシアネートなどのイソ
シアネート化合物を用いるのが好ましい。
【0045】これらのイソシアネート化合物と活性水素
化合物との反応により得られる末端にNCO基を有する
プレポリマーは、前記イソシアネート単量体と活性水素
化合物とをイソシアネート基が過剰の状態で反応させる
ことにより得られる。このプレポリマーを製造するのに
用いられる活性水素化合物としては、例えばエチレング
リコール、プロピレングリコール、1,2−ブチレング
リコール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキ
サンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレング
リコール、ネオペンチルグリコール、ネオペンチルグリ
コールヒドロキシビバリン酸エステル、トリエチレング
リコール、水添ビスフェノールA、キシリレングリコー
ル、1,4−ブチレングリコールなどの2価アルコー
ル、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメ
チロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオールな
どの3価アルコール、例えばペンタエリスリトールなど
の4価アルコールなどの低分子量ポリオールや、上記ポ
リオールのプロピレンオキサイドあるいはエチレンオキ
サイド付加物などのポリエーテルポリオールや、前述の
低分子量ポリオールとジカルボン酸とを反応させて得ら
れるポリエステルポリオールやポリエステルポリオール
を製造する際に脂肪酸変性したものなどの高分子量ポリ
オールがあげられる。これらのポリオールは単独あるい
は混合して使用してもよい。
【0046】プレポリマーは、一般にはNCO基/OH
基の当量比が約2.0〜15、好ましくは約4〜8で、
通常40〜140℃、好ましくは70〜100℃で反応
をおこなった後、必要ならば未反応のイソシアネート単
量体を通常おこなわれている薄膜蒸留法または抽出法な
どで取り除くことにより得ることができる。この反応に
は、錫系、鉛系、亜鉛系、鉄系などの有機金属触媒を用
いてもよい。
【0047】前述のイソシアネート単量体またはそれら
のプレポリマーのブロック化物は、イソシアネート単量
体またはそれらのプレポリマーを公知の方法によりブロ
ック剤と反応させることによって得られる。この反応に
用いられるブロック剤としては、イソシアネートのブロ
ック化に使用されうることが知られているブロック剤、
例えばフェノール系、ラクタム系、活性メチレン系、ア
ルコール系、メルカプタン系、酸アミド系、イミド系、
アミン系、イミダゾール系、尿素系、カルバミン酸塩
系、イミン系、オキシム系、あるいは亜硫酸塩系などの
ブロック剤がいずれも使用されうるが、とりわけフェノ
ール系、オキシム系、ラクタム系、イミン系などのブロ
ック剤が有利に使用される。ブロック剤の具体例として
は、次のものがあげられる。
【0048】フェノール系ブロック剤: フェノール、
クレゾール、キシレノール、ニトロフェノール、クロロ
フェノール、エチルフェノール、p−ヒドロキシジフェ
ニル、t−ブチルフェノール、o−イソプロピルフェノ
ール、o−sec−ブチルフェノール、p−ノニルフェ
ノール、p−t−オクチルフェノール、ヒドロキシ安息
香酸、ヒドロキシ安息香酸エステルなど。
【0049】ラクタム系ブロック剤: ε−カプロラク
タム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−
プロスオラクタムなど。
【0050】活性メチレン系ブロック剤: マロン酸ジ
エチル、マロン酸ジメチル、アセト酢酸エチル、アセト
酢酸メチル、アセチルアセトンなど。
【0051】アルコール系ブロック剤: メタノール、
エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルア
ルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコー
ル、t−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、t
−アミルアルコール、ラウリルアルコール、エチレング
リコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノ
エチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジスチ
レングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコ
ールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、メトキ
シメタノール、グリコール酸、グリコール酸メチル、グ
リコール酸エチル、グリコール酸ブチルなどのグリコー
ル酸エステル、乳酸、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブ
チルなどの乳酸エステル、メチロール尿素、メチロール
メラミン、ジアセトンアルコール、エチレンクロルヒド
リン、エチレンブロムヒドリン、1,3−ジクロロ−2
−プロパノール、ω−ハイドロパーフルオロアルコー
ル、アセトシアンヒドリンなど。
【0052】メルカプタン系ブロック剤: ブチルメル
カプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ブチルメルカプ
タン、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベン
ゾチアゾール、チオフェノール、メチルチオフェノー
ル、エチルチオフェノールなど。
【0053】酸アミド系ブロック剤: アセトアニリ
ド、アセトアニシジド、アセトトルイド、アクリルアミ
ド、メタクリルアミド、酢酸アミド、ステアリン酸アミ
ド、ベンズアミドなど。
【0054】イミド系ブロック剤: コハク酸イミド、
フタル酸イミド、マレイン酸イミドなど。
【0055】アミン系ブロック剤: ジフェニルアミ
ン、フェニルナフチルアミン、キシリジン、N−フェニ
ルキシリジン、カルバゾール、アニリン、ナフチルアミ
ン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ブチルフェニルア
ミンなど。
【0056】イミダゾール系ブロック剤: イミダゾー
ル、2−エチルイミダゾールなど。
【0057】尿素系ブロック剤: 尿素、チオ尿素、エ
チレン尿素、エチレンチオ尿素、1,3−ジフェニル尿
素など。
【0058】カルバミン酸塩系ブロック剤: N−フェ
ニルカルバミン酸フェニル、2−オキサゾリドンなど。
【0059】イミン系ブロック剤: エチレンイミン、
プロピレンイミンなど。
【0060】オキシム系ブロック剤: ホルムアミドキ
シム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチ
ルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノ
ンオキシム、シクロヘキサノンオキシムなど。
【0061】亜硫酸塩系ブロック剤: 重亜硫酸ソー
ダ、重亜硫酸カリなど。
【0062】前述のイソシアネート単量体またはそれら
のプレポリマーとブロック剤との反応の具体的な方法と
しては、例えばイソシアネート単量体またはそれらのプ
レポリマーとブロック剤とをNCO基/ブロック剤中の
活性水素基の当量比=約0.9〜1.0、好ましくは約
0.95〜1.0で反応させる方法、イソシアネート単
量体とブロック剤とをNCO基/ブロック剤中の活性水
素基の当量比=約1.1〜3.0、好ましくは約1.2
〜2.0で反応させた後、これに前述のプレポリマーの
製造に用いられるような低分子量ポリオール、高分子量
ポリオール、水あるいは低級アミンとを反応させる方
法、あるいはイソシアネート単量体と低分子量ポリオー
ル、高分子量ポリオール、水あるいは低級アミンをNC
O基/活性水素基の当量比=約1.6〜10.0、好ま
しくは約2.0〜7.0で反応させた後、これにブロッ
ク剤を反応させる方法などがあげられる。上記の各反応
は、活性水素基を持たない溶媒中(例として、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、ソルベッソ
−100、ソルベッソ−200などの石油系溶剤、酢酸
エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、例えばアセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、
シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、例えばテトラヒ
ドロフランなどのエーテル系溶剤など)あるいはこのよ
うな溶媒の不存在下に、公知の方法で行われる。反応に
際しては、例えば3級アミン、有機金属などの公知の触
媒を使用してもよい。
【0063】本発明に用いられる成膜性樹脂原料は、前
述のポリオール(1)および(2)とブロック化物
(3)であり、ポリオールとブロック化物の配合割合は
OH基/再生NCO基の当量比が約1/2〜2/1、特
に1/0.8〜1/1.2が好ましい。
【0064】次に、非クロム系防錆剤について説明す
る。下塗り層を形成する塗料中にリン酸イオン源とバナ
ジン酸イオン源を含有させることにより、リン酸イオン
だけでは不足するオキシダイザー機能をバナジン酸イオ
ンにより補う。すなわち、本発明を構成する非クロム系
防錆剤は、水および酸素の存在する環境下で、リン酸イ
オンを放出するリン酸イオン源と、水および酸素の存在
する環境下でバナジン酸イオンを放出するバナジン酸イ
オン源である。
【0065】下塗り層の防錆力を発現させるには、下塗
り層中にリン酸イオンとバナジン酸イオンが共存すれば
よく、リン酸イオン及びバナジン酸イオンがそのまま存
在しても、水および酸素の存在する環境下でリン酸イオ
ンとバナジン酸イオンを放出する物質を含んでもよい。
リン酸イオンは水溶液中において単独で存在することが
少なく、種々の形態、例えば縮合体として存在するが、
そのような場合でも本明細書中の「リン酸イオン」の概
念に含まれるものと理解される。また、バナジン酸イオ
ンとは縮合バナジン酸イオンも含む概念と理解される。
リン酸イオン源およびバナジン酸イオン源は主として防
錆顔料として提供され、リン化合物、バナジウム化合
物、および必要により網目修飾イオン源とガラス状物質
の一方または両方を含有する混合物を焼成し粉砕するこ
とにより得られる。
【0066】防錆顔料に使用するリン化合物は、オルト
リン酸、縮合リン、種々の金属のオルトリン酸塩または
縮合リン酸塩、五酸化リン、リン酸塩鉱物、市販の複合
リン酸塩顔料、またはこれらの混合物が挙げられる。こ
こで言うオルトリン酸塩の中には、その一水素塩(HP
4 2- の塩)、二水素塩(H2 PO4 - の塩)も含むも
のとする。また縮合リン酸塩の中にも水素塩を含むこと
とする。また縮合リン酸塩にはメタリン酸塩も含み、通
常のポリリン酸塩、ポリメタリン酸塩も含むものとす
る。リン化合物の具体例としてはリン酸塩鉱物、例えば
モネタイト、トルフィル石、ウィトロック石、ゼノタイ
ム、スターコライト、ストルーブ石、ラン鉄鉱等や、市
販の複合リン酸塩顔料、例えばポリリン酸シリカ等や、
複合リン酸、例えばピロリン酸、メタリン酸や、複合リ
ン酸塩、例えばメタリン酸塩、テトラメタリン酸塩、ヘ
キサメタリン酸塩、ピロリン酸塩、酸性ピロリン酸塩、
トリポリリン酸塩や、あるいはこれらの混合物が挙げら
れる。リン酸塩を形成する金属種は特に限定的でなく、
アルカリ金属、アルカリ土類金属、その他の典型元素の
金属種および遷移金属が挙げられる。好ましい金属種の
例としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウ
ム、バリウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、鉄、
コバルト、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、鉛、スズ等
が挙げられる。この他にバナジル、チタニル、ジルコニ
ル等、オキソカチオンも含まれる。特に好ましいのはカ
ルシウム、マグネシウムである。アルカリ金属の多量の
使用は好ましくない。アルカリ金属のリン酸塩を用いた
場合、焼成生成物が水に溶解しすぎる傾向にある。しか
しながら、アルカリ金属のリン酸塩を使用した場合にお
いて、水への溶解性の制御を防錆剤製造時あるいはその
他の時点で実施できれば使用してもよい。そのような制
御は例えば、水への溶解性の防止のためのマトリックス
材(特に、ガラス状物質)の使用、あるいはコーティン
グ等種々の態様が挙げられる。
【0067】防錆顔料に用いるバナジウム化合物は、バ
ナジウムの原子価が0、2、3、4または5のいずれか
または2種以上を有する化合物であり、これらの酸化
物、水酸化物、種々の金属の酸素酸塩、バナジル化合
物、ハロゲン化物、硫酸塩、金属粉などが挙げられる。
これらは、加熱時または水の存在下で分解して酸素と反
応し高級化する。例えば金属粉または2価の化合物は最
終的に3、4、5価のいずれかの化合物に変化する。5
価のバナジウム化合物を1つの成分として含むものが好
ましい。0価のもの、例えばバナジウム金属粉は、上記
の理由で使用可能であるが、酸化反応が不十分等の問題
があるので実用上好ましくない。5価のバナジウム化合
物はバナジン酸イオンを有し、リン酸イオンと加熱反応
しヘテロポリマーを作りやすい。バナジウム化合物の具
体例としては、バナジウム(II)化合物、例えば酸化バ
ナジウム(II)、水酸化バナジウム(II)、バナジウム
(III)化合物、例えば酸化バナシウム(III)、バナジウ
ム(IV)化合物、例えば酸化バナジウム(IV)、ハロゲ
ン化バナジル等、バナジウム(V)化合物、例えば酸化
バナジウム(V)、バナジン酸塩、例えば種々の金属の
オルトバナジン酸塩、メタバナジン酸塩またはピロバナ
ジン酸塩、ハロゲン化バナジル等、またはこれらの混合
物が挙げられる。バナジン酸塩の金属種はリン酸塩で示
したものと同じものが挙げられる。これはバナジウムの
酸化物と種々の金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩等とを
600℃以上に焼成して作ってもよい。この場合もアル
カリ金属は溶解性の故に余り好ましくないが、リン酸塩
において説明した適当な処理をして溶解性を制御すれ
ば、これらの使用も差し支えない。またハロゲン化物、
硫酸塩も同様である。
【0068】本発明の下塗り層におけるリン酸イオン源
とバナジン酸イオン源の配合量は、下塗り層の塗料全固
形分100重量部に対して、リン酸イオン源とバナジン
酸イオン源の両者を合わせて0.1〜50重量部、好ま
しくは0.5〜20重量部である。0.1重量部未満だ
と、十分な防錆効果が発現されず、50重量部を超える
と、硬化後の塗膜の凝集力が低下し、十分な塗膜強度が
得られない。また、配合するリン酸イオン源とバナジン
酸イオン源との比は、P2 5 とV2 5 のモル比に換
算して1:3〜100:1とするのが好ましい。
【0069】防錆顔料に用いる網目修飾イオンとは、リ
ン化合物とバナジウム化合物との焼成生成物が形成する
網目構造を変性するため添加される金属イオン種を意味
し、具体的には種々の金属イオン種、例えばアルカリ金
属イオン、アルカリ土類金属イオン、その他の典型元素
の金属イオンおよび遷移金属イオンが挙げられる。好ま
しい網目修飾イオンの例としては、リン酸の金属塩が挙
げられる。網目修飾イオン源としては、上記金属種の酸
化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、有機酸塩、ケイ酸
塩、ホウ酸塩、硫酸塩あるいは塩化物等が例示され、最
も好ましくは酸化物、水酸化物、炭酸塩である。上記金
属イオン種の中でアルカリ金属を用いた場合、あるいは
上記イオン源として硫酸鉛または塩化物を用いた場合に
は、これらの化合物が水に溶解しすぎる傾向にある。こ
のような場合でも、前述のごとく適当な措置、例えばマ
トリックス材の使用あるいは粒子のコーティング等を行
って水への溶解性を制御すればよい。網目修飾イオンを
使用する場合、その配合量は、下塗り層に用いる防錆剤
の全ての金属陽イオン(M)の量が、Mがとりうる酸化
物(MO、M2 3 、M3 4 、MO2 またはM2 O)
の形で表して、V2 5 とP2 5 のモル数の和の3倍
以下とするのが好ましい。網目修飾イオン源の添加で防
錆力発現期間の増大が期待できるが、モル比で3倍を超
えると効果が飽和し、不経済である。
【0070】防錆顔料で用いるガラス状物質とは、マト
リックス形成性ガラス、例えばケイ酸塩ガラス、ホウ酸
塩ガラスのみならず、これらに金属元素、例えば、網目
修飾イオンを含むものを含む。これに該当するガラス状
物質は、シリカ(石英)ガラス、ケイ酸塩ガラス、例え
ばソーダ石灰ケイ酸塩ガラス、鉛−ケイ酸塩ガラス、ア
ルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、鉛−ホウ酸
塩ガラス(通称ハンダガラス)、アルミノ−ホウリン酸
塩ガラス、アルミノ−ホウ酸塩ガラス、アルミノ−リン
酸塩ガラス、等が挙げられる。好ましいガラス状物質の
例としては、ソーダ石灰系(Cガラス)、例えば日本ガ
ラス繊維製ガラスフレーク(CCF−150)、アルミ
ノケイ酸塩ガラス(Eガラス)、例えば日本ガラス繊維
製ガラスフレーク(CEF−150)、ホウケイ酸塩ガ
ラス、例えばコーニング社製のパイレックスが挙げられ
る。ガラス状物質の微粉末の1gを水100mlに分散
・懸濁した時の液の導電率が500μS/cm以下のも
のが好適である。500μS/cmを超えると防錆能が
低下する。ガラス状物質を使用する場合、その配合量
は、有機樹脂とリン酸イオン源およびバナジン酸イオン
源の含有量の合計100重量部に対し、500〜500
00重量部とするのが好ましい。500重量部未満で
は、防錆力を発現する期間のさらなる増大が期待でき
ず、50000重量部を超えると、防錆力及び塗装作業
性が低下する。
【0071】リン化合物、バナジウム化合物、および更
に必要に応じガラス状物質、網目修飾イオン源からなる
混合物を焼成して、冷却後粉砕することにより、本発明
に使用する防錆顔料が得られる。混合物中には必要に応
じて他の無機物質、例えばマトリックス材等を混合して
もよい。焼成は上記成分からなる混合物の焼成生成物の
溶融温度(T1)以上の温度、具体的には600℃以
上、好ましくは1000℃以上、さらに好ましくは上記
T1とガラス状物質の溶融温度の高い方の温度以下で行
なわれる。この温度以下であると、反応が不十分とな
り、各成分が単に混合された状態で残る。このような場
合、下塗り層の防錆性能が悪化する。リン化合物とバナ
ジウム化合物の配合量は、P2 5 /V2 5 のモル比
に換算して0.3〜100、好ましくは1〜10であ
る。網目修飾イオン源の添加量は、下塗り層に用いる防
錆剤の全ての金属陽イオン(M)の量が、Mがとりうる
酸化物(M0、M2 3 、M3 4 、M02 またはM2
0)の形で表して、V2 5 とP 2 5 のモル数の和の
3倍以下、好ましくは0〜2.0倍となるように添加す
る。Mがとりうる酸化物の形は、Mが1価金属の場合は
2 0、Mが2価金属の場合はM0、Mが3価金属の場
合はM2 3 、Mが4価の場合はM02 、さらにMが2
価、3価の混合原子価(例えばMnは焼成した条件で2
価、3価をとりやすい)ものはM3 4 で代表して表す
こととする。ガラス状物質はリン化合物、バナジウム化
合物および網目修飾イオン源の合計5〜500倍、好ま
しくは10〜100倍の量で配合する。上記範囲を超え
ると十分な防錆性は得られない。
【0072】本発明のプレコート金属板の下塗り層に使
用する成膜性樹脂原料は、そのままでも、加熱により十
分に成膜されるが、塗料化に際し、上述のポリオールお
よびブロック化物以外に、有機溶媒、例えば酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、2−エトキシエチ
ルアセテートなどのエステル系、キシレン、トルエンな
どの芳香族系、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、ジエチレン
グリコールジメチルエーテルなどのエーテル系、ソルベ
ッソ−100、ソルベッソ−200などの石油系といっ
た有機溶媒、着色顔料や体質顔料、分散剤、例えばシリ
コン系、アミン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、
ヒマシ油系、合成ワックス系、ペントナイト系などの分
散剤、消泡剤、レベリング剤、揺変剤、安定剤、例えば
ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、ヒンダー
ドフェノール系などの安定剤、反応触媒、例えば錫系、
鉛系、亜鉛系、鉄系などの反応触媒、紫外線防止剤など
を、必要に応じて加えてもよい。
【0073】各成分を配合して調製した塗料を、予め下
地処理層を形成した金属板に塗布後、到達板温約150
〜350℃、加熱時間約20〜120秒程度で加熱する
ことにより、ブロック化物中に含まれるブロック剤が解
離してNCO基を再生し、この再生NCO基がポリオー
ル中のOH基と反応して硬化した下塗り層の塗膜が得ら
れる。この塗膜の厚さは30μm以下が好適であり、3
0μm超では塗膜の加工性が劣る。
【0074】本発明の下塗り層は、1つとしてもよい
が、2つ以上とすることで大きな効果を示す。すなわち
下塗り層形成用の塗料は、金属板上に1コートして使用
してもよいが、2コート以上のプライマーとして使用す
る場合にさらに有効である。
【0075】下塗り層形成用塗料の塗布、乾燥、焼付け
は、下地処理層の場合と同様に、任意の公知の方法を利
用して行うことができる。
【0076】本発明のプレコート金属板は、下塗り層を
形成した金属板の上に、着色した皮膜層を有することを
特徴としている。この着色皮膜層は、金属板に意匠性を
付与し、この上にさらに塗装を施さなくても使用できる
被覆金属板を得るために必須の層である。
【0077】この皮膜層は、着色のために必要な顔料や
染料等を含む。顔料としては、有機系、無機系、両者の
複合系にかかわらず公知のものを使用することができ、
チタン白、アルミナ白、亜鉛黄、シアニンブルー、等の
シアニン系顔料、カーボンブラック、鉄黒、べんがら、
黄色酸化鉄、モリブテートオレンジ、ハンサイエロー、
ピラゾロンオレンジ、アゾ系顔料、紺青、縮合多環系顔
料、等が例示できる。この他に、金属片・粉末、パール
顔料、マイカ顔料、樹脂ビーズ等、意匠性や導電性等の
機能性を付与するための添加物を加えてもよい。
【0078】染料としては、アゾ染料、アントラキノン
染料、インジゴイド染料、硫化染料、フタロシアニン染
料、ジフェニルメタンおよびトリフェニルメタン染料、
その他ニトロ染料、アクリジン染料等、公知のものが用
いられる。
【0079】着色皮膜層のバインダーとしては、有機
系、無機系のバインダーが使用できる。有機系のバイン
ダーとしては、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ウ
レタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビ
ニル樹脂、フッ素系樹脂、ブチラール樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂、フェノール樹脂等を使用できる。これらの
混合物や共重合物も使用できる。また、これらに加え
て、イソシアネート樹脂、アミノ樹脂、シランあるいは
チタンカップリング剤等を架橋剤や補助成分として併用
することができる。
【0080】本発明によるプレコート金属板は、成形加
工された後、そのまま使用されることを前提としている
ので、この着色層は、折り曲げやプレス成形に際して割
れや剥離が無いことを求められる。このような観点から
は、ポリエステル樹脂をメラミン樹脂で架橋する樹脂
系、ポリエステル樹脂をウレタン樹脂(イソシアネー
ト、イソシアネート樹脂)で架橋する樹脂系、塩化ビニ
ル樹脂系、フッ素樹脂系(溶剤可溶型、アクリル樹脂と
の分散混合型)が望ましい。樹脂は水系、溶剤系、粉体
系、無溶剤系のどのような形態でもよい。
【0081】また、着色層には、着色に直接関わらない
顔料や添加物成分、例えば硫酸バリウム、炭化カルシウ
ム、カオリンクレー等の顔料や、消泡剤、レベリング
剤、分散補助剤等の添加剤や、ポリエチレン系、ポリプ
ロピレン系、エステル系、パラフィン系、フッ素系など
の有機ワックス成分、二硫化モリブデン等の無機ワック
ス成分等や、塗料粘度を下げるための希釈剤、溶剤、水
等を加えることができる。
【0082】樹脂中の着色成分の量は特に限定されず、
必要な色や隠蔽力によって決定すればよい。例えば、黒
に着色するためにカーボンブラックを配合する場合に
は、固形分換算の顔料重量濃度で1〜5%入れれば十分
であり、例えば白に着色するためにチタン白を配合する
場合には、固形分換算の顔料重量濃度で30〜55%程
度が必要である。
【0083】着色皮膜層は、ロールコーター、カーテン
コーター、静電塗装、スプレー塗装、浸漬塗装等の公知
の方法で下塗り層の上に塗装され、その後、熱風、誘導
加熱、近赤外線、遠赤外線等の加熱によって乾燥、硬化
される。着色皮膜層の樹脂が電子線や紫外線などの放射
線によって硬化するタイプのものであれば、電子線照
射、紫外線照射によって硬化される。これらの併用であ
ってもよい。着色皮膜層の種類に応じた乾燥、硬化方式
を選択することができる。乾燥、焼き付け板温も、皮膜
層の種類に応じて決定される。一般的なプレコート金属
板(塗装金属板)の連続生産ラインにおいては、この板
温は150〜250℃である。
【0084】着色皮膜層の膜厚は特に限定されないが、
均一な着色外観を得るためには、5μm以上の乾燥膜厚
があることが望ましい。さらに望ましくは8μm以上が
よい。膜厚の特別な上限はないが、塗装金属板の製造ラ
インで連続的にコイルで塗装する場合には、1回の塗装
で乾燥膜厚が50μm程度であることが多い。この上限
は、主に「ワキ」と呼ばれる塗装中の揮発分が塗膜中か
ら系外に揮発する際に塗膜の粘度が上がりすぎている場
合に起こる欠陥の発生によって支配されることが多い。
切り板に断続的に塗装しながら製造する場合には、焼き
付けを緩やかな条件で行うことが可能であり、この上限
乾燥膜厚は200μm程度まで上がる。また、スプレー
塗装などで1枚ごとに処理する場合には、さらにこの上
限膜厚は上がる。
【0085】本発明のプレコート金属板は、その両面ま
たは片面に、上述の下地処理層及び下塗り層と、その上
の着色皮膜層を有するものである。着色皮膜層は、プレ
コート金属板を加工して得られる最終製品において表面
に現れない裏側の面には施されないことが多く、その場
合、その裏側の面には下地処理層に続いてサービスコー
トが施される。本発明のプレコート金属板におけるサー
ビスコートには、公知のいずれのものを採用しても差し
支えない。
【0086】
【実施例】以下本発明を実施例により詳細に説明する。
ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。なお、断り無く示した部あるいは%はそれぞれ重
量部もしくは重量%を示す。
【0087】ここではまず、以下の参考例1〜17にお
いて、下記の実施例で使用した下塗り層のための成膜性
樹脂原料用ポリオール(参考例1〜7)とブロック化物
(参考例8〜13)、および防錆剤(参考例14〜1
7)の調製を説明し、次に本発明の実施例と比較例を説
明する。
【0088】〔参考例1〕水添ビスフェノールA 36
4.9部(1.52モル)、アジピン酸441.6部
(3.02モル)を反応容器に仕込み、220℃に加熱
して窒素ガスを吹き込み、生成する縮合水を留去しなが
ら反応させ、酸価250.0となったところでトリメチ
ロールプロパン(以下、TMPという)304.1部
(2.27モル)を仕込み、同様に縮合水を留去しなが
ら反応させ酸価2.6、水酸基価187.2、官能基数
5、数平均分子量1478のポリエステルポリオールを
得た。このポリエステルポリオール600部と下記式の
エポキシ樹脂80重量部に対してε−カプロラクトン2
0重量部を付加させたもの(プラクセルG−402(ダ
イセル化学工業(株)製)、水酸基価119、エポキシ
当量1250)400部とをシクロヘキサノン1500
部に溶解し、固形分40%の溶液とした。この溶液の性
状を表1に示した。
【0089】
【化2】
【0090】〔参考例2〕参考例1で得られたポリエス
テルポリオール800部と下記式のエポキシ樹脂80重
量部に対してε−カプロラクトン20重量部を付加させ
た物(プラクセルG−702(ダイセル化学工業(株)
製)、水酸基価140、エポキシ当量2710)の20
0部をシクロヘキサノン1500部に溶解し、固形分4
0%の溶液とした。この溶液の性状を表1に示した。
【0091】
【化3】
【0092】〔参考例3〕1,6−ヘキサンジオール2
05.8部(1.74モル)、ジメチルイソフタレート
670.1部(3.45モル)と酢酸亜鉛0.1gを反
応容器に仕込み、220℃に加熱して窒素ガスを吹き込
み、生成するメタノールを留去しながら反応させ、メタ
ノールが121ml留出したところでTMP347.2部
(2.59モル)を仕込み、同様にメタノールを留去し
ながら反応させ、酸価1.4、水酸基価193.6、官
能基数5、数平均分子量1438のポリエステルポリオ
ールを得た。このポリエステルポリオール600部と参
考例1のプラクセルG−402 400部をシクロヘキ
サノン1500部に溶解し、固形分40%の溶液とし
た。この溶液の性状を表1に示した。
【0093】〔参考例4〕3−メチル−1,5−ペンタ
ンジオール245.3部(2.08モル)、アジピン酸
541.6部(3.71モル)を反応容器に仕込み、2
20℃に加熱して窒素ガスを吹き込み、生成する縮合水
を留去しながら反応させ、酸価280.0となったとこ
ろでTMP372.9部(2.78モル)とジブチルチ
ンジラウレート0.1部を仕込み、同様に縮合水を留去
しながら反応させ酸価1.6、水酸基価216.0、官
能基数5、数平均分子量1289のポリエステルポリオ
ールを得た。このポリエステルポリオール800部と参
考例1のプラクセルG−402 200部をシクロヘキ
サノン1500部に溶解し、固形分40%の溶液とし
た。この溶液の性状を表1に示した。
【0094】〔参考例5〕エチレングリコール151.
8部(2.45モル)、コハク酸550.0部(4.6
6モル)を仕込み、参考例1と同様な条件で反応し酸価
が420.0となったところでペンタエリスリトール1
59.3部(1.17モル)を仕込み、エステル化反応
を続け、酸価が165.0となったところで、さらにペ
ンタエリスリトール159.3部(1.17モル)とT
MP157.0部(1.17モル)を仕込み、縮合水を
留去し、酸価3.8、水酸基価447.8、官能基数
7、数平均分子量870のポリエステルポリオールを得
た。このポリエステルポリオール800部と参考例1の
プラクセルG−402 200部をシクロヘキサノン1
500部に溶解し、固形分40%の溶液とした。この溶
液の性状を表1に示した。
【0095】〔参考例6〕ビスヒドロキシエチルテレフ
タレート325.9部(1.28モル)、セバシン酸5
13.8部(2.54モル)を仕込み、参考例1と同様
な条件で反応し、酸価が184.4となったところでT
MP256.7部(1.91モル)を仕込み、縮合水を
留去してゆき、酸価8.0、水酸基価168.3、官能
基数5、数平均分子量1591のポリエステルポリオー
ルを得た。このポリエステルポリオール800部と参考
例1のプラクセルG−402 200部をシクロヘキサ
ノン1500部に溶解し、固形分40%の溶液とした。
この溶液の性状を表1に示した。
【0096】〔参考例7〕エチレングリコール183.
4部(2.95モル)、コハク酸664.7部(5.6
3モル)を仕込み、参考例1と同様な条件で反応し酸価
が420.0となったところでTMP189.4部
(1.41モル)を仕込み、エステル化反応を続け、酸
価170.0となったところで更にエチレングリコール
183.4部(2.95モル)を仕込み縮合水を留去
し、酸価1.5、水酸基価215.5、官能基数3、数
平均分子量776のポリエステルポリオールを得た。こ
のポリエステルポリオール800部と参考例2のプラク
セルG−702 200部をシクロヘキサノン1500
部に溶解し、固形分40%の溶液とした。この溶液の性
状を表1に示した。
【0097】〔参考例8〕1,3−ビス(イソシアナー
トメチル)シクロヘキサン241.6部をソルベッソ−
100 400.0部に溶解し、メチルエチルケトキシ
ム180.6部を1時間で滴下する。滴下終了後さらに
1時間75〜80℃に加熱する。次にジブチル錫ジラウ
レート0.6部とポリエステルポリオール(アジピン酸
876.6部、エチレングリコール186.3部、TM
P 201.2部、ジプロピレングリコール402.3
部を常法により縮合させて得られる酸価3.5、水酸基
価172.0、固形分100%)177.0部を加え7
5〜80℃で6時間反応させる。かくして再生イソシア
ネート基含量8.5%、固形分60%のブロック化物溶
液を得た。この溶液の性状を表2に示した。
【0098】〔参考例9〕2リットルの4つ口フラスコ
にTMP−3−イソシアナートメチル−3,5,5−ト
リメチルシクロヘキシルイソシアネート付加体の溶液
(タケネートD−140N(武田薬品工業(株)製)、
固形分75%、イソシアネート含量10.78%、酢酸
エチル溶液)を801.2部およびセロソルブアセテー
ト316.1部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で、内温が
60〜70℃を保つようにメチルエチルケトキシムの1
82.7部を徐々に滴下し、添加完了後、約4時間上記
温度に保つと、固形分60%、再生イソシアネート基含
量6.64%のブロック化物溶液を得た。この溶液の性
状を表2に示した。
【0099】〔参考例10〕ω,ω′−ジイソシアネー
ト−1,3−ジメチルベンゼン307.5部をソルベッ
ソ−100 519.1部およびメチルエチルケトン1
29.7部に溶解し、メチルエチルケトキシム237.
2部を約2時間で滴下する。滴下終了後さらに1時間7
5〜80℃に加熱する。次にジブチル錫ジラウレート
0.3部と参考例8に用いたポリエステルポリオールの
232.4部を加えて75〜80℃で6時間反応させ
る。かくして再生イソシアネート基含量8.02%、固
形分55%のブロック化物溶液を得た。この溶液の性状
を表2に示した。
【0100】〔参考例11〕2リットルの4つ口フラス
コにTMP−ヘキサメチレンジイソシアネート付加体
(タケネートD−160N(武田薬品工業(株)製)、
固形分75%、イソシアネート含量13.2%)を76
0.7部およびセロソルブアセテート325.6部を仕
込み、窒素ガス雰囲気下で、内温が60〜70℃を保つ
ようにメチルエチルケトキシムの213.7部を徐々に
滴下し、添加完了後、約2時間上記温度に保つと、固形
分60%、再生イソシアネート基含量7.77%、のブ
ロック化物溶液を得た。この溶液の性状を表2に示し
た。
【0101】〔参考例12〕4,4′−メチレンビス
(シクロヘキシルイソシアネート)228.6部をトル
エン160.0部およびシクロヘキサノン160.0部
に溶解し、メチルエチルケトキシム126.5部を約1
時間で滴下する。滴下終了後さらに1時間75〜80℃
に加熱する。次に1,1,3,3−テトラn−ブチル−
1,3−ジアセトキシジスタノキサン0.48部とポリ
エステルポリオール(参考例8に用いたポリエステルポ
リオールと同じ)123.92部を加え75〜80℃で
8時間反応させる。かくして再生イソシアネート基含量
7.6%、固形分60%のブロック化物溶液を得た。こ
の溶液の性状を表2に示した。
【0102】〔参考例13〕2リットルの4つ口フラス
コに撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却用コン
デンサーを取り付け、TMPとα,α,α′,α′−テ
トラメチルメタキシリレンジイソシアネートとの付加体
(室温で固形状物、イソシアネート含量13.3%)を
500部、酢酸エチル427.1部および1,1,3,
3−テトラn−ブチル−1,3−ジアセトキシジスタノ
キサン0.19部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で、内温
60〜70℃を保つようにメチルエチルケトキシムの1
40.5部を徐々に滴下してゆき、添加完了後、約4時
間上記温度に保つと、固形分60%、再生イソシアネー
ト基含量6.20%のブロック化物溶液を得た。この溶
液の性状を表2に示した。
【0103】〔参考例14〕表3に示す成分を混合する
ことにより防錆剤を得た。
【0104】〔参考例15〕表4に示す成分を、併せて
表4に示す条件で焼成、冷却、粉砕することにより防錆
剤を得た。
【0105】〔参考例16〕表5に示す成分を、併せて
表5に示す条件で焼成、冷却、粉砕することにより防錆
剤を得た。
【0106】〔参考例17〕表6に示す成分を混合した
あと、140℃で溶融し、冷却、粉砕することにより防
錆剤を得た。
【0107】〔実施例1〜68、比較例1〜37〕亜鉛
めっき付着量が片面当たり20g/m2 で両面がめっき
された厚み0.6mmの電気亜鉛めっき鋼板(下記の表
中では「EG」と表記)と、亜鉛めっき付着量が片面当
たり60g/m2 で両面がめっきされた厚み0.6mmの
溶融亜鉛めっき鋼板(下記の表中では「GI」と表記)
とを、FC−364S(日本パーカライジング社製)の
2重量%濃度の60℃の水溶液中に10秒間浸漬するこ
とで脱脂を行い、水洗後、乾燥した。次いで、表7〜9
に示す組成(各成分の含有量は重量部数で表される)の
下地処理剤をロールコーターにて塗布し、熱風乾燥炉で
乾燥し、そして板を水冷して、表7〜9に示した付着量
の下地処理層を形成した。乾燥時の到達板温は150℃
とした。なお、乾燥時の到達板温を70℃、220℃と
して同様の評価をしたが、いずれも到達板温が150℃
の場合と同じ塗膜(下地処理層)が得られた。
【0108】下地処理層に用いた水性樹脂のアクリルオ
レフィンは、東亜合成社製AP−1058(12)およ
び東邦化学社製ハイテックS−7024の混合物、ウレ
タンは旭電化社製ボンタイターHUX−320、エポキ
シは昭和高分子社製ポリゾール8500であった。シラ
ンカップリング剤としては、γ−(2−アミノエチル)
アミノプロピルトリメトキシシラン(下記の表中では
「A」と表記)、γ−メルカプトプロピルトリメトキシ
シラン(下記の表中では「B」と表記)、メチルクロロ
シラン(下記の表中では「C」と表記)を使用した。微
粒シリカとしては、日産化学工業社製のスノーテックス
N(下記の表中では「ST−N」と表記)とろノーテッ
クスNS(下記の表中では「ST−NS」と表記)を使
用した。また、エッチング性フッ化物としては、ヘキサ
フルオロケイ酸亜鉛六水和物(下記の表中では「D」と
表記)とフッ化亜鉛四水和物((下記の表中では「E」
と表記)を使用した。
【0109】下地処理層用塗料の塗布には、水を溶媒と
する固形分20%の溶液を使用した。
【0110】下塗り層については、第10〜12に示す
ポリオールおよびブロック化物(表中の「ポリオール」
と「ブロック化物」の欄中の各数字は、各ポリオールお
よびブロック化物を調製した参考例の番号を示してい
る)をNCO/OH当量比が1.0となるように仕込
み、次いで表10〜12に示す防錆剤のリン化合物とバ
ナジウム化合物との混合物(表中の「防錆剤」の欄中の
各符号は、表3〜6にまとめて掲げられた防錆剤の符号
を示している)を12.0部仕込み、さらに触媒として
1,1,3,3−テトラn−ブチル−1,3−ジアセト
キシジスタノキサン0.03部を添加してペイントコン
ディショナーにより十分混練し、プレコート金属板プラ
イマー用エナメル溶液を得た。このように、この溶液
(下塗り層形成用溶液)は、成膜性樹脂としてポリオー
ルとブロック化物とによって形成される樹脂を含むとと
もに、非クロム系防錆剤を含む。
【0111】こうして調製した溶液を、下地処理層を形
成した鋼板の両面に、乾燥膜厚にして5μmとなるよう
にバーコーターで塗布し、熱風オーブンで到達板温21
0℃、到達時間45秒間の条件で焼き付け、そして水冷
して下塗り層を形成した。
【0112】なお、比較例の一部においては、表12か
ら明らかなように、ポリオールとブロック化物とから形
成される樹脂以外のもの、あるいは表3〜6に示した以
外の各種防錆剤を使用した。すなわち、下塗り層の比較
樹脂としては、メラミンアルキド樹脂(日本ペイント社
製オルガセレクト100)、およびエポキシナイロン樹
脂(東亜合成社製FS75SZ改)を使用した。また、
下塗り層の比較防錆剤として、ストロンチウムクロメー
ト、第2リン酸マグネシウム、2CaO・V25 焼成
物、Mn2 3 ・V2 5 焼成物を使用した。
【0113】続いて、形成した下塗り層の上に、日本ペ
イント社製FL100HQ(ポリエステル樹脂系、色は
白)を塗布し、熱風を吹き込んだ誘導加熱炉で到達板温
が220℃となるように硬化乾燥させ、そして板を水冷
して、上層皮膜層を形成した。反対面(裏面)はすべ
て、メラミンアルキド系塗料を、乾燥膜厚にして7μm
となるようバーコーターにて塗布し、到達板温230
℃、到達時間45秒間の条件で焼き付けた。
【0114】下塗り層と上層皮膜層で用いた塗料と形成
した塗膜の膜厚は、表10〜12に要約して示される。
【0115】このようにして作製したプレコート鋼板に
ついて以下の評価を行った。なお、各評価は表側(着色
皮膜層を形成した側)で行った。 1.塗膜密着性 塗装後の板を、塗装面に1mm角の碁盤目をカッターナ
イフで入れ、塗装面が凸となるようにエリクセン試験機
で7mm押し出した後に、テープ剥離試験を行った。碁
盤目の入れ方、エリクセンの押し出し方法、テープ剥離
の方法についてはJIS−K5400.8.2、および
JIS−K5400.8.5記載の方法に準じて実施し
た。また、テープ剥離後の評価はJIS−K5400.
8.5記載の評価の例の図によって行い、評点10点の
ときに○、9点のときに○−、6点以上9点未満のとき
に△、6点未満の時に×と評価した。さらに、JIS−
K5400.8.20記載に従い、プレコート鋼板を沸
騰水に浸漬した後、取り出して24時間放置後に前述の
方法で碁盤目エリクセン、テープ剥離を実施し、同様に
評価した。
【0116】2.折り曲げ加工性試験 塗装後の板を180°折り曲げ加工後に、加工部の塗膜
を10倍ルーペで観察し、塗膜の割れの有無を調べた。
また、加工部に粘着テープを貼り付け、これを勢い良く
剥離したときの塗膜の残存状態を目視にて観察した。折
り曲げ加工は20℃雰囲気中で、0.6mmのスペーサ
ーを間に挟んで実施した。塗膜割れの評価は、塗膜割れ
のない時を○、塗膜に若干の割れがある時を△、塗膜に
目視でも明確な割れのある時を×として評価した(塗膜
割れ試験)。また、テープで剥離後の塗膜残存状態の評
価は、全く剥離せずにめっき鋼板上に残存している場合
を○、塗膜が一部剥離している場合を△、折り曲げ加工
部のほぼ全面にわたって剥離が認められる場合を×と評
価した。さらに、JIS−K5400.8.20記載に
従い、塗装鋼板を沸騰水に浸漬した後、取り出して24
時間放置後に前述の折り曲げ加工を実施し、同様に塗膜
の剥離と加工部のテープ剥離試験後の塗膜残存状態を評
価した(テープ剥離試験)。
【0117】3.耐食性 塗装後の板に対しJIS−K5400.9.1記載の方
法で塩水噴霧試験を実施した。試験時間は電気亜鉛めっ
き鋼板の場合には120時間、溶融亜鉛めっき鋼板の場
合には240時間とした。クロスカット部の塗膜の評価
方法は、クロスカット片側の最大膨れ幅が1mm未満の
場合に○、1mm以上2mm未満の場合に○−、2mm
以上3mm未満の場合に△、3mm以上の場合に×と評
価した。また、切断時の返り(バリ)が塗装鋼板の評価
面側にくるように(上バリとなるように)作製した平板
についても、前述の塩水噴霧試験を実施し、端面からの
塗膜の膨れ幅を観察した。端面部の評価方法は端面から
の膨れ幅が3mm以内の場合には○、3mm以上4mm
未満の場合には○−、4mm以上5mm未満の場合には
△、5mm以上の場合には×と評価した。
【0118】4.毒性 毒性については、クロムを含有しているものを「有
毒」、クロム未使用のものを「低毒性」(下記の表では
「−」で表示される)とした。
【0119】評価結果を表13〜15に示す。本発明に
よるプレコート金属板(実施例1〜68)の塗膜密着
性、折り曲げ加工性(塗膜割れ試験)、折り曲げ加工密
着性(テープ剥離試験)、耐食性は、比較例の下地処理
も下塗り層もクロメート系のプレコート鋼板(比較例3
5〜37)と比べてほぼ同等以上の性能を有している。
【0120】これに対し、下地処理層のシランカップリ
ング剤含有量が少なすぎる場合(比較例24、25)及
び、下地処理層の付着量が少なすぎる場合(比較例2
6、27)は、耐食性に大きく劣り、不適である。逆
に、下地処理層の付着量が多すぎる場合(比較例28、
29)は塗膜の密着性が低下し、ひいては耐食性が低下
して、やはり不適である。また、下塗り層の膜厚が厚す
ぎる場合(比較例30、31)は、折り曲げ加工性が大
きく劣り、不適である。なお、比較例32〜37につい
ては環境上有毒であるクロムを使用しているため、これ
も不適である。
【0121】一方、比較例1〜16では、下塗り層の樹
脂としては本発明のものを使用しているが、防錆剤とし
て適切なものを使用していないため、何らかの問題が生
じている。すなわち、比較例1〜9および13はバナジ
ン酸イオン源のみ含有し、比較例10、14はリン酸イ
オン源のみ含有するために、十分な耐食性が得られてい
ない。比較例11、15は、ストロンチウムクロメート
を使用しているために、耐食性には優れるが、毒性があ
る。比較例12、16は、防錆剤を添加していないの
で、耐食性が得られていない。
【0122】さらに、比較例17と18は、下塗り層の
防錆剤としては本発明のものを使用しているが、樹脂と
して適切なものを使用していないため、耐食性に劣る。
比較例19〜23は、下塗り層の樹脂、防錆剤ともに適
当でなく、耐食性あるいは毒性に問題が生じている。
【0123】
【表1】
【0124】
【表2】
【0125】
【表3】
【0126】
【表4】
【0127】
【表5】
【0128】
【表6】
【0129】
【表7】
【0130】
【表8】
【0131】
【表9】
【0132】
【表10】
【0133】
【表11】
【0134】
【表12】
【0135】
【表13】
【0136】
【表14】
【0137】
【表15】
【0138】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のプレコート金属板は、環境上有毒であるクロムを使用
せずに、塗膜の密着性、耐食性に優れ、また塗膜の加工
性にも優れたものである。従って、本発明によって、人
の手に触れたり、食品が接触する可能性のある家電製品
などに有利に用いることができる工業的価値の極めて高
いプレコート金属板の提供が可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 植田 浩平 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 野村 広正 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 金井 洋 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 Fターム(参考) 4D075 CA33 DA06 DB02 DC10 EA06 EB35 EC03 EC15 EC45 EC54 4J034 BA07 CA03 CA04 CA05 CB03 CB04 CB05 CB07 CC02 CC03 CC08 CC09 CC12 CC23 CC26 CC45 CC52 CC61 CC62 CC65 CC67 CD04 CD06 DA01 DA05 DB03 DB07 DB08 DF02 DF12 DF16 DF17 DF20 DF21 DF22 DF27 DF28 DF29 DG03 DG04 DG08 DG14 DH02 DH06 DH10 DK02 DK03 DK09 GA55 HA01 HA06 HA07 HA08 HA09 HB06 HB07 HB08 HB12 HC03 HC09 HC12 HC13 HC17 HC22 HC25 HC26 HC34 HC35 HC44 HC45 HC46 HC52 HC61 HC63 HC64 HC65 HC67 HC70 HC71 HC73 HD03 HD04 HD05 HD06 HD07 HD08 HD09 HD12 HD13 HD15 JA42 MA01 MA04 RA07 4K062 AA01 BA08 BA09 BA10 BA14 BB30 BC07 BC09 BC10 BC13 BC15 CA04 FA12 GA03 GA08 GA10

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板の少なくとも片面に、水性樹脂と
    シランカップリング剤とを含有する皮膜層を下地処理層
    として有し、この下地処理層の上に、 (A)(1)官能基数が少なくとも3のポリエステルポ
    リオール、(2)2級の水酸基を少なくとも1個有する
    エポキシ樹脂にラクトン化合物またはアルキレンオキサ
    イドを付加させたものおよび、(3)有機ポリイソシア
    ネートのブロック化物または有機ポリイソシアネートと
    活性水素化合物との反応により得られる末端にNCO基
    を有するプレポリマーのブロック化物、を含む成膜性樹
    脂原料から得られた有機樹脂、並びに(B)水および酸
    素の存在する環境下でリン酸イオンを放出するリン酸イ
    オン源と、水および酸素の存在する環境下でバナジン酸
    イオンを放出するバナジン酸イオン源、を含有する皮膜
    層を下塗り層として有し、さらにその上層として着色さ
    れた皮膜層を有することを特徴とするプレコート金属
    板。
  2. 【請求項2】 前記下地処理層が、固形分としての水性
    樹脂100重量部に対し、シランカップリング剤を0.
    1〜3000重量部含有することを特徴とする、請求項
    1記載のプレコート金属板。
  3. 【請求項3】 前記下塗り層が、全固形分100重量部
    に対し、リン酸イオン源とバナジン酸イオン源の両者を
    合わせて0.1〜50重量部含有することを特徴とす
    る、請求項1または2記載のプレコート金属板。
  4. 【請求項4】 前記下地処理層が、固形分換算で、水性
    樹脂100重量部に対して1〜2000重量部の微粒シ
    リカと0.1〜1000重量部のエッチング性フッ化物
    のうちのいずれか1種以上をさらに含有することを特徴
    とする、請求項1から3までのいずれか1つに記載のプ
    レコート金属板。
  5. 【請求項5】 前記リン酸イオン源及びバナジン酸酸イ
    オン源が防錆顔料であることを特徴とする、請求項1か
    ら4までのいずれか1つに記載のプレコート金属板。
  6. 【請求項6】 前記防錆顔料が、リン化合物とバナジウ
    ム化合物を含有する混合物を焼成し粉砕したものである
    ことを特徴とする、請求項5記載のプレコート金属板。
  7. 【請求項7】 前記防錆顔料が、前記リン化合物とバナ
    ジウム化合物に加えてさらに網目修飾イオン源とガラス
    状物質のうちの少なくとも一方を含有する混合物を焼成
    し粉砕したものであることを特徴とする、請求項6記載
    のプレコート金属板。
  8. 【請求項8】 前記防錆顔料が、リン酸イオンを放出す
    るリン化合物及びバナジン酸イオンを放出するバナジウ
    ム化合物の混合物であることを特徴とする、請求項5記
    載のプレコート金属板用塗料。
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