JP5305013B2 - 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性、耐摩耗性を発揮する表面被覆切削工具 - Google Patents

硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性、耐摩耗性を発揮する表面被覆切削工具 Download PDF

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この発明は、例えば鋼や鋳鉄などの、高熱発生を伴い、切刃に衝撃的負荷が断続的に作用する高速断続切削加工に用いた場合にも、硬質被覆層がすぐれた密着強度を有するため、切刃にチッピング(微小欠け)の発生なく、長期の使用に亘ってすぐれた切削性能を発揮する表面被覆切削工具(以下、被覆工具という)に関するものである。
従来、炭化タングステン基超硬合金製基体(以下、超硬基体という)あるいはTiCN基サーメット基体(以下、サーメット基体という。また、超硬基体とサーメット基体とを総称して、工具基体という)の表面に、
(a)下部層が、3〜20μmの全体平均層厚を有するTiC層、TiN層、TiCN層、TiCO層およびTiCNO層のうちの1層または2層以上からなるTi化合物層、
(b)上部層が、1〜15μmの平均層厚を有し、化学蒸着形成された状態でα型の結晶構造を有する酸化アルミニウム(以下、Al23 で示す)層、
上記(a)、(b)からなる硬質被覆層を蒸着形成した被覆工具が広く知られており、この被覆工具は、鋼や鋳鉄などの切削加工において、すぐれた耐摩耗性を発揮する。
また、下部層と上部層との間に、TiC/TiCO,TiN/TiNO,TiCN/TiCNO等からなる結合層を設け、下部層に対して上部層をエピタキシャル成長させて硬質被覆層の接合強度を高めた被覆工具(特許文献1)や、下部層と上部層との間に、Ti23からなる中間層を設け、上部層を特定の方位に配向させて硬質被覆層の耐摩耗性を高めた被覆工具(特許文献2)も知られている。
特開平10−156606号公報 特開平11−77405号公報
近年の切削加工の省力化および省エネ化に対する要求は強く、これに伴い、切削加工はますます高速化、高効率化の傾向にあるが、下部層としてTi化合物層、上部層としてAl23 層からなる硬質被覆層を形成した従来被覆工具を用いて、例えば鋼の断続切削を高速条件で行うと、切削時に発生する高熱によって耐摩耗性が低下しやすく、また、前記下部層と上部層間の密着強度が十分でないために、切刃部に加わる断続的・衝撃的負荷により硬質被覆層がチッピング、欠損等を生じやすく、これらを原因として、比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
そこで、本発明者等は、被覆工具の耐チッピング性、耐摩耗性を改善すべく、硬質被覆層の層構造について鋭意研究を行った。
被覆工具の硬質被覆層のうち、TiC層、TiN層、TiCN層、TiCO層およびTiCNO層のうちの1層または2層以上から形成されるTi化合物層からなる下部層は、それ自身の具備するすぐれた高温強度によって硬質被覆層の高温強度向上に寄与し、また、Al23 層からなる上部層は、耐酸化性と熱的安定性にすぐれ、さらに高硬度を有するが、高熱発生を伴い、切刃に衝撃的負荷が作用する高速断続切削では、下部層−上部層間の密着強度が十分でない。
そこで、下部層−上部層間の密着強度を高めるため、両層の界面構造について、数多くの実験を重ねた結果、次のような知見を得たのである。
下部層と上部層との界面に微量かつ微粒のTiO粒を分散して存在させた場合、該TiO粒は、下部層のTi化合物および上部層のAl23 のいずれに対してもすぐれた密着強度を示し、その結果、高速断続切削加工においてもすぐれた耐チッピング性、耐欠損性を示すようになること。
また、微量かつ微粒のTiO粒の上に蒸着形成されるAl23 粒子は、下部層(例えば、TiCN層)に対して非エピタキシャル成長をする一方、該TiO粒が存在しない界面の上に形成されるAl23 粒子は、下部層に対してエピタキシャル成長することから、下部層と上部層との界面には、上部層のエピタキシャル成長によって、結晶成長歪みが発生するようになるが、下部層と上部層との界面に微量かつ微粒のTiO粒が存在することによって、界面に発生する結晶成長歪みが緩和され、その結果、高速断続切削加工においてもすぐれた耐チッピング性、耐欠損性を示すようになること。
この発明は、上記知見に基づいてなされたものであって、
「 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、
チタンの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上からなり、かつ、3〜20μmの合計平均層厚を有するTi化合物層からなる下部層、及び、1〜15μmの平均層厚を有する酸化アルミニウム層からなる上部層、
上記の下部層と上部層からなる硬質被覆層が蒸着形成された表面被覆切削工具において、
上記Ti化合物層からなる下部層と上記酸化アルミニウム層からなる上部層との界面において、粒径10〜100nmの粒状TiO粒が界面長さ10μm当りに占める線分割合が37〜50%であり、かつ、界面に存在する該TiO粒上の酸化アルミニウム結晶粒は、下部層に対して非エピタキシャル成長しており、一方、TiO粒の存在しない界面においては、酸化アルミニウム結晶粒は、下部層に対してエピタキシャル成長していることを特徴とする表面被覆切削工具。」
に特徴を有するものである。
以下に、この発明の被覆工具の硬質被覆層について、より詳細に説明する。
(a)下部層(Ti化合物層)
Tiの炭化物(TiC)層、窒化物(TiN)層、炭窒化物(TiCN)層、炭酸化物(TiCO)層および炭窒酸化物(TiCNO)層のうちの1層または2層以上からなるTi化合物層は、硬質被覆層の下部層として存在し、自身の具備するすぐれた高温強度によって硬質被覆層の高温強度向上に寄与するほか、工具基体と中間層のいずれにも強固に密着し、よって硬質被覆層の工具基体に対する接合強度を向上させる作用を有するが、その平均層厚が3μm未満では、前記作用を十分に発揮させることができず、一方その平均層厚が20μmを越えると、特に高熱発生を伴う高速断続切削では熱塑性変形を起し易くなり、これが偏摩耗の原因となることから、その平均層厚を3〜20μmと定めた。
(b)下部層と上部層の界面に存在する粒状TiO
Ti化合物層からなる下部層と酸化アルミニウム層からなる上部層との界面には、粒径10〜100nmの粒状TiO粒が界面長さ10μm当りに占める線分割合が37〜50%であることが必要である。
粒状TiO粒を下部層と上部層との界面に形成するための処理は、例えば、以下のように行うことができる。
すなわち、Ti化合物層からなる下部層を工具基体に蒸着形成した後、
まず、第1段階として、0.01〜0.1容量%TiCl,1〜5容量%CO,残部はHからなる雰囲気ガス中で1〜5min処理し(工具基体温度は、800〜1100℃)、
ついで、第2段階として、H雰囲気ガス中(100%H)で1〜5min処理し(工具基体温度は、950〜1100℃)、
ついで、第3段階として、1〜5容量%CO,残部はHからなる雰囲気ガス中で1〜5min処理する(工具基体温度は、950〜1100℃)、
ことによって、粒径10〜100nmの粒状TiO粒が界面長さ10μm当りに占める線分割合を37〜50%とすることができる。
粒状TiO粒の粒径を10〜100nmとしたのは、粒径が10nm未満では、TiO粒が安定でなく、上部層を蒸着する前に熱変態を起こすためであり、一方、粒径が100nmを超えると、下部層と上部層の界面における粗度が高くなり、界面に空隙が発生し、密着強度を低下せしめることから、粒状TiO粒の粒径を10〜100nmと定めた。
また、粒状TiO粒が界面長さ10μm当りに占める線分割合を37〜50%としたのは、10%未満では上部層と下部層の界面に発生する結晶成長歪みを十分に緩和できず、一方、50%を超えるとエピタキシャル成長が十分でなく、界面密着強度を十分に発揮し得ないことから、この発明では、37〜50%と定めた。
(c)上部層(Al23 層)
上部層を構成するAl23 層は、高温硬さおよび耐熱性にすぐれ、高熱発生を伴う高速断続切削加工において、基本的な役割として耐摩耗性を維持する。
この発明では、下部層と上部層との間の界面に、所定の粒径の粒状TiO粒を所定割合で形成存在せしめているため、上部層を蒸着形成する際に、粒状TiO粒の上に形成されたAl23 層であるか、粒状TiO粒の存在しない下部層(Ti化合物層)の上に形成されたAl23 層であるかによって、Al23 結晶粒の成長形態が異なるものとなっている。
図1に本発明被覆工具1の下部層−上部層界面の顕微鏡写真より作成した模式図を示し、また、図2には、そのエピタキシャル状態を示す模式図を示すが、粒状TiO粒の存在しない下部層−上部層界面から成長するAl23 結晶粒は、下部層に対してエピタキシャル成長し、これを高分解能透過型電子顕微鏡で観察すると、下部層と上部層との界面では、格子縞が連続して形成されているのが観察されている。
一方、下部層と上部層の界面に粒状TiO粒が形成され、この上にAl23 結晶粒が成長する箇所では、Al23 結晶粒は下部層に対してエピタキシャル成長はしないものの、結晶成長に伴って下部層と上部層の界面に発生する結晶成長歪みを粒状TiO粒が緩和する作用を発揮することになる。
例えば、図2において、下部層と上部層との界面に連続した格子縞の形成は観察されないが、その代りに、Al23 粒の格子面間隔の緩和が観察される。
このような粒状TiO粒が下部層と上部層との界面に微量存在した場合には、粒状TiO粒が、下部層と上部層の双方に対してすぐれた密着強度を有すると共に、粒状TiO粒によって下部層と上部層との界面に発生する結晶成長歪みを緩和することができる。
その結果、高熱発生を伴うとともに、切刃に衝撃的負荷が断続的に作用する高速断続切削加工においても、耐チッピング性、耐欠損性が向上し、長期の使用に亘って、すぐれた耐摩耗性を発揮することができる。
ただ、上部層の平均層厚が1μm未満では、長期使用における工具寿命の長寿命化を期待することができず、また、上部層の平均層厚が15μmを超えるようになると、切刃部にチッピング、欠損、剥離等が発生し易くなることから、上部層の平均層厚は、1〜15μmと定めた。
この発明の被覆工具は、Ti化合物層からなる下部層とAl23 層からなる上部層との界面に、微量の粒状TiO粒を存在させることによって、下部層−上部層間の密着強度が向上するとともに、下部層−上部層間の結晶成長に伴う歪みも緩和され、その結果として、例えば鋼や鋳鉄などの、高熱発生を伴い、切刃に衝撃的負荷が作用する高速断続切削加工に用いた場合にも、硬質被覆層がすぐれた密着強度を有するため、切刃にチッピング(微小欠け)の発生はなく、かつ、耐摩耗性もすぐれるため、長期の使用に亘ってすぐれた切削性能を発揮することができる
本発明被覆工具1について、下部層−上部層界面における高分解能透過型電子顕微鏡写真(倍率:20000倍)より作成した模式図を示す。 本発明被覆工具の下部層と上部層との界面における粒状TiO粒の形成とAl23 結晶粒の成長の形態を示す模式図である。
つぎに、この発明の被覆工具を実施例により具体的に説明する。
原料粉末として、いずれも2〜4μmの平均粒径を有するWC粉末、TiC粉末VC粉末NbC粉末、Cr32粉末およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、さらにワックスを加えてアセトン中で24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、98MPaの圧力で所定形状の圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を5Paの真空中、1370〜1470℃の範囲内の所定の温度に1時間保持の条件で真空焼結し、焼結後、切刃部にR:0.07mmのホーニング加工を施すことによりISO・CNMG160412に規定するスローアウエイチップ形状をもったWC基超硬合金製の工具基体A〜をそれぞれ製造した。
また、原料粉末として、いずれも0.5〜2μmの平均粒径を有するTiCN(質量比でTiC/TiN=50/50)粉末、Mo2C粉末、ZrC粉末、NbC粉末、TaC粉末、WC粉末、Co粉末、およびNi粉末を用意し、これら原料粉末を、表2に示される配合組成に配合し、ボールミルで24時間湿式混合し、乾燥した後、98MPaの圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を1.3kPaの窒素雰囲気中、温度:1540℃に1時間保持の条件で焼結し、焼結後、切刃部分にR:0.07mmのホーニング加工を施すことによりISO規格・CNMG160412のチップ形状をもったTiCN基サーメット製の工具基体a,bを形成した。
ついで、これらの工具基体A〜および工具基体a,bのそれぞれを、通常の化学蒸着装置に装入し、まず、表3(表3中のl−TiCNは特開平6−8010号公報に記載される縦長成長結晶組織をもつTiCN層の形成条件を示すものであり、これ以外は通常の粒状結晶組織の形成条件を示すものである)に示される条件にて、表6に示される組み合わせおよび目標層厚でTi化合物層を硬質被覆層の下部層として蒸着形成し、
ついで、表4に示される条件にて、下部層表面に微量の粒状TiO粒を形成し、
ついで、表3に示される条件にて、表5に示される組み合わせおよび目標層厚で、Al23 層を上部層として蒸着形成する、
ことにより本発明被覆工具1〜をそれぞれ製造した。
また、比較の目的で、下部層の最表面に、表4に示される条件にて、本発明で規定する範囲外の粒状TiO粒を形成したものを比較被覆工具1〜としてそれぞれ製造した。
比較被覆工具1〜の下部層(Ti化合物層)、上部層(Al23 層)および粒状TiO粒については、表6に示す。
次に、上記の本発明被覆工具1〜の硬質被覆層の下部層と上部層との界面について、透過型電子顕微鏡とエネルギー分散形X線分析装置(Noran社製VoyagerIV)を用いてプローブ径5nmで解析したところ、下部層と上部層との界面の一部に、TiOの存在を検出することができた。
TiOの粒径およびその存在割合については、高分解能透過型電子顕微鏡において、加速電圧200kV、倍率20000倍、プローブ径5nmの条件にて界面長さ10μmについてエネルギー分散型X線分析装置測定を行い、TiOの粒径を測定するとともに、測定界面長さに存在するTiO粒の占める線分長さをカウントすることにより、TiOの粒径およびその線分割合を求めた。
なお、TiOの粒径およびその線分割合ともに、10点測定を行った平均値である。
表5に、上記測定で求めたTiOの粒径およびその線分割合を示す。
また、本発明被覆工具1〜および比較被覆工具1〜の硬質被覆層の各構成層の厚さを、走査型電子顕微鏡を用いて測定(縦断面測定)したところ、いずれも目標層厚と実質的に同じ平均層厚(5点測定の平均値)を示した。
つぎに、上記の本発明被覆工具1〜および比較被覆工具1〜の各種の被覆工具について、いずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、
[切削条件A]
被削材:JIS・SNCM420の長さ方向等間隔4本縦溝入の丸棒、
切削速度: 380 m/min、
切り込み: 2.3 mm、
送り: 0.24 mm/rev、
切削時間: 5 分、
の条件でのニッケルクロムモリブデン鋼の乾式高速断続切削試験(通常の切削速度は、200m/min)、
[切削条件B]
被削材:JIS・FCD500の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 360 m/min、
切り込み: 2.6 mm、
送り: 0.37 mm/rev、
切削時間: 5 分、
の条件での鋳鉄の乾式高速断続切削試験(通常の切削速度は、180m/min)、
[切削条件C]
被削材:JIS・S30Cの長さ方向等間隔4本縦溝入の丸棒、
切削速度: 375 m/min、
切り込み: 1.45 mm、
送り: 0.45 mm/rev、
切削時間: 5 分、
の条件での炭素鋼の乾式高速断続切削試験(通常の切削速度は、250m/min)
を行い、いずれの切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。
この測定結果を表7に示した。







表5〜7に示される結果から、本発明被覆工具1〜は、硬質被覆層の下部層と上部層との界面に微量の所定粒径の粒状TiO粒が所定割合で存在し、下部層と上部層間の密着強度を高めるとともに、下部層と上部層間の界面歪みを緩和していることから、高い発熱を伴い、かつ、切刃に対して衝撃的な負荷が作用する各種の鋼や鋳鉄の高速断続切削でも、硬質被覆層の耐チッピング性が著しく改善されるとともに、長期にわたってすぐれた耐摩耗性を示す。
しかるに、硬質被覆層の下部層と上部層との界面に、粒状TiO粒が存在しない比較被覆工具、あるいは、TiO粒が存在しても本発明で規定する範囲外のTiO粒であるような比較被覆工具においては、高速断続切削という厳しい切削条件下では、硬質被覆層の層間密着強度が不十分であるために、硬質被覆層にチッピングが発生したり、あるいは、耐摩耗性が劣る等の理由から、比較的短時間で使用寿命に至ることが明らかである。
上述のように、この発明の被覆工具は、特に高い発熱を伴い断続的かつ衝撃的な負荷がかかる高速断続切削加工においてすぐれた耐チッピング性、耐摩耗性を示すものであるが、各種の鋼や鋳鉄などの通常の条件での切削加工にも使用できることは勿論であって、この場合にも、長期の使用に亘ってすぐれた切削性能を発揮するものであるから、切削装置の高性能化並びに切削加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化が十分期待できるものである。

Claims (1)

  1. 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、
    チタンの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上からなり、かつ、3〜20μmの合計平均層厚を有するTi化合物層からなる下部層、及び、1〜15μmの平均層厚を有する酸化アルミニウム層からなる上部層、
    上記の下部層と上部層からなる硬質被覆層が蒸着形成された表面被覆切削工具において、
    上記Ti化合物層からなる下部層と上記酸化アルミニウム層からなる上部層との界面において、粒径10〜100nmの粒状TiO粒が界面長さ10μm当りに占める線分割合が37〜50%であり、かつ、界面に存在する該TiO粒上の酸化アルミニウム結晶粒は、下部層に対して非エピタキシャル成長しており、一方、TiO粒の存在しない界面においては、酸化アルミニウム結晶粒は、下部層に対してエピタキシャル成長していることを特徴とする表面被覆切削工具。
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