JP5303860B2 - 熱硬化性ポリイミド樹脂組成物 - Google Patents

熱硬化性ポリイミド樹脂組成物 Download PDF

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本発明は、柔軟性、耐熱性に優れる硬化物が得られ、また、硬化前の保存安定性も優れ、各種耐熱性コーティング材料や電気絶縁材料、例えばプリント配線基板の層間絶縁材料、ビルドアップ材料、半導体の絶縁材料、耐熱性接着剤等の分野に好ましく用いることができる熱硬化性ポリイミド樹脂組成物に関する。
近年、より薄型かつ軽量で実装密度の高い半導体部品への要求が高まり、フレキシブル回路基板を半導体部品に用いるサブストレート基板として利用することが注目されている。フレキシブル回路基板は、リジッド回路基板と比べて薄くかつ軽量にすることができ、更に柔軟で変形可能であるという特徴があるため折り曲げて実装することが可能である。
従って、フレキシブル回路基板は、ICの高密度実装、モジュールのコンパクト化に有利であり、TCP(Tape Carrier Package)やCOF(Chip On FlexibleまたはFilm)等に利用され、各種メディア機器の小型化には必要不可欠なものとなっている。
フレキシブル回路基板は、一般には、ポリイミドフィルム、銅箔及び接着剤よりなる3層フィルム又はポリイミドフィルム及び導体層よりなる2層フィルムを作製し、サブトラクティブ法に従って導体層をエッチングして回路を形成することにより製造されている。
フィルムとしては、比較的安価に作製できる3層フィルムが多く使用されてきたが、接着剤の耐熱性や電気絶縁性の問題により、高密度配線を有する回路基板では2層フィルムが使用されるようになってきている。
前記ポリイミドフィルムの製造に用いる組成物として、例えば、カルボキシル基と数平均分子量300〜6000の線状炭化水素構造とを有するポリイミド樹脂と、エポキシ樹脂とを含有する熱硬化性樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、該組成物を用いて製造されたフィルム等の硬化物は柔軟性が十分ではない。
特開2003−292575号公報
本発明の課題は、柔軟性に加えて耐熱性にも優れる硬化物が得られ、また、硬化前の保存安定性も優れる熱硬化性ポリイミド樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、下記の知見を見出した。
(1)フェノール系化合物の構造残基とフェノール性水酸基とイソシアネート基との反応にて生成されるウレタン結合とを有するポリイミド樹脂とエポキシ樹脂を含有する樹脂組成物を用いて得られる硬化物は、耐熱性に優れる。
(2)上記フェノール系化合物の構造残基とフェノール性水酸基とイソシアネート基との反応にて生成されるウレタン結合とを有するポリイミド樹脂構造中に、更に、少なくとも2個のアルコール性水酸基を有するポリオール化合物をウレタン結合で樹脂中に導入した構造を有するポリイミド樹脂とエポキシ樹脂を含有する樹脂組成物を用いて得られる硬化物は、伸度が大きく、十分な柔軟性が得られる。
(3)ウレタン結合の生成の際に用いるイソシアネート化合物の一部乃至全部としてトリメチルヘキサンジイソシアネートを用いて得られるポリイミド樹脂を用いることにより更に柔軟性に優れる硬化物が得られる樹脂組成物が得られる。
(4)前記(3)の更に柔軟性に優れる硬化物が得られる樹脂組成物は保存安定性にも優れる。
本発明は上記の知見を基に完成したものである。
即ち、本発明は、下記一般式(1)および/または下記一般式(2)で表される構造、ならびに下記一般式(3)で表される構造を有するポリイミド樹脂(A)と、エポキシ樹脂(B)とを含有することを特徴とする熱硬化性ポリイミド樹脂組成物を提供するものである。
Figure 0005303860
Figure 0005303860
Figure 0005303860
(式中、Xは一般式(5)で示される構造であり、Yは1分子中に2個以上のアルコール性水酸基を有するポリオール化合物から2つの水酸基を除いた残基を示す。式中Rx〜Rxは同一でも異なっていても良く、ポリイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた残基であるが、少なくとも1つはトリメチルヘキサンジイソシアネートから2つのイソシアネート基を除いた残基である)
Figure 0005303860
(式中R は、直接結合あるいは2価の連結基であり、R は同一でも異なっていても良く、水素原子または炭素原子数1〜18のアルキル基を示す。aとbとcとの合計は1以上である。)





本発明の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物は、ポリイミド骨格の持つ耐熱性を有しながら、機械物性として特に柔軟性に優れる硬化物を提供できる。従って、本発明で得られる熱硬化性ポリイミド樹脂組成物は耐熱性柔軟コーティング材料やフレキシブル回路基盤等に好適に使用できる。
本発明で用いる熱硬化性樹脂組成物中のポリイミド樹脂(A)は、前記一般式(1)および/または下記一般式(2)で表される構造、ならびに下記一般式(3)で表される構造を有する。ポリイミド樹脂(A)としては、なかでも有機溶剤に溶解するポリイミド樹脂が取り扱い易いことから好ましい。また、ポリイミド樹脂(A)としては前記一般式(3)中のRxおよび/またはRxがトリメチルヘキサンジイソシアネートから2つのイソシアネート基を除いた残基であるポリイミド樹脂が柔軟性と耐熱性を両立する硬化塗膜が得られる熱硬化性ポリイミド樹脂組成物が得られることから好ましい。
前記一般式(1)及び一般式(2)中のXとしては、例えば、下記構造等が挙げられる。
Figure 0005303860
(式中Rは、単結合あるいは2価の連結基であり、Rは同一でも異なっていても良く、水素原子または炭素原子数1〜18のアルキル基を示す。)
Figure 0005303860
(式中Rは、直接結合あるいは2価の連結基であり、Rは同一でも異なっていても良く、水素原子または炭素原子数1〜18のアルキル基を示す。aとbとcとの合計は1以上である。)
Figure 0005303860
(式中Rは、水素原子または炭素原子数1〜18のアルキル基または下記式(7)で示される構造を示す。)
Figure 0005303860
Figure 0005303860
Figure 0005303860
本発明で用いるポリイミド樹脂(A)としては、一般式(1)及び(2)のXとして前記一般式(4)、(5)、(6)、(8)及び(9)からなる群から選ばれる一種以上の構造を有するポリイミド樹脂が耐熱性に優れる硬化物が得られる硬化性ポリイミド樹脂組成物が得られることから好ましく、中でも、一般式(4)および一般式(5)で表される構造がより好ましく、一般式(5)で示される構造が好ましい。
前記一般式(4)や一般式(5)で示される構造中のRとしては、例えば、直接結合;カルボニル基、スルホニル基、メチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、オキソ基、ジメチルシリレン基、フルオレン−9−ジイル基、およびトリシクロ[5.2.1.02,8]デカン−ジイル基等の2価の連結基等が挙げられる。Rとしては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、およびステアリル基等の炭素原子数1〜18のアルキル基等が挙げられる。また、一般式(5)で示される構造中のRとしての炭素原子数1〜18のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、およびステアリル基等が挙げられる。
尚、本発明において、カルボニル基は下記構造式(1a)、スルホニル基は下記構造式(1b)、メチレン基は下記構造式(1c)、イソプロピリデン基は下記構造式(1d)、ヘキサフルオロイソプロピリデン基は下記構造式(1e)、オキソ基は下記構造式(1f)、ジメチルシリレン基は下記構造式(1g)、フルオレン−9−ジイル基は下記構造式(1h)、そしてトリシクロ[5.2.1.02,8]デカン−ジイル基は下記構造式(1i)で表される。これらは、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフタレンジオール、およびジシクロペンタジエン変性ビスフェノール等の残基である。(なお、図中の*は結合部位を表す。)また、ポリフェノール化合物、例えば、フェノールノボラック樹脂やクレゾールノボラック樹脂、ナフトールとアルキルフェノールとホルムアルデヒド縮合物とから合成されるポリフェノール樹脂等から2つの水酸基を除いた構造残基等でもよい。
Figure 0005303860
前記一般式(5)や一般式(6)で表される中のRの中でも、直接結合、前記一般式(1b)、一般式(1c)、および一般式(1d)で示される構造が溶解性、相溶性に優れる熱硬化性ポリイミド樹脂組成物が得られ、また、ポリイミド樹脂(A)を得る際の合成もしやすいことから好ましい。また、前記Rの中でも、水素原子およびメチル基が好ましい。また、前記一般式(6)中のRの中でも前記一般式(1i)で示される構造が耐熱性に優れる熱硬化性ポリイミド樹脂組成物が得られることから好ましい。尚、前記式(1i)で示される構造は以下、下記に示す式(1i)として表す。
Figure 0005303860
前記一般式(3)中のYで示される1分子中に2個以上のアルコール性水酸基を有するポリオール化合物から2つの水酸基を除いた残基(残基構造)としては、例えば、1分子中に2個以上のアルコール性水酸基を有するポリオレフィンポリオールから2つの水酸基を除いた残基、1分子中に2個以上のアルコール性水酸基を有するポリエーテルポリオールから2つの水酸基を除いた残基、1分子中に2個以上のアルコール性水酸基を有するポリカーボネートポリオールから2つの水酸基を除いた残基、1分子中に2個以上のアルコール性水酸基を有するポリエステルポリオールから2つの水酸基を除いた残基および1分子中に2個以上のアルコール性水酸基を有するポリシロキサンポリオールから2つの水酸基を除いた残基等を好ましく挙げることができる。さらにこれらの残基構造から選ばれる1種以上の残基構造及び/又は共重縮合体としてもよい。
塗膜の柔軟性に加えて特に誘電特性等を向上させたい場合は、前記一般式(3)中のYは1分子中に2個以上のアルコール性水酸基を有するポリオレフィンポリオールから2つの水酸基を除いた残基であることが好ましい。破断伸度等の機械物性と耐加水分解性とを向上させたい場合は、1分子中に2個以上のアルコール性水酸基を有するポリカーボネートポリオールから2つの水酸基を除いた残基が好ましい。
前記一般式(3)中のYとしては、硬化物の伸度が大きく、且つ、柔軟性を保有させることができることから、その数平均分子量は300〜5,000が好ましく、500〜3,000がより好ましい。また、一般式(13)中のYのガラス転移温度(Tg)としては0℃以下が好ましく、0〜−150℃がより好ましい。
本発明で用いるポリイミド樹脂(A)としては、前記一般式(1)で表される構造および/または一般式(2)で表される構造ならびに一般式(3)で表される構造を有すれば良いが、中でも前記一般式(1)で表される構造、一般式(2)で表される構造及び一般式(3)で表される構造を有するポリイミド樹脂が柔軟性と耐熱性に優れる硬化物となるとともに、硬化性も良好な熱硬化性樹脂組成物が得られることから好ましい。ここで、前記一般式(1)で示される構造及び前記一般式(2)で示される構造中のXは同一でも良いし異なっていても良い。
ポリイミド樹脂(A)の中でも、前記一般式(2)で表される構造を有するポリイミド樹脂は末端にフェノール性水酸基を有しており、後述するエポキシ樹脂(B)と反応し硬化することが可能である。一般のフェノール化合物とエポキシ樹脂との硬化物では、ガラス転移温度(Tg)や耐熱性、誘電特性、機械物性、および線膨張等の面で限界があるが、前記一般式(2)で表される構造を有するポリイミド樹脂は樹脂骨格にイミド構造を有しているために従来の技術では得られない高い性能を有する硬化物を得ることが可能である。
更に、ポリイミド樹脂(A)は一般式(1)および/または一般式(2)で示される様にフェノール性水酸基とイソシアネート基とからなるウレタン結合の構造を有する。一般に、フェノール性水酸基とイソシアネート基とによるウレタン結合は解離温度が低い為、フェノールやクレゾール等の低分子モノフェノール化合物などが、イソシアネート基のブロック剤として使用されることがある。しかしながらこうしたブロック剤は、塗膜や成型物の硬化反応において解離して揮発成分となり、気泡やボイドを発生させるため好ましいものではない。本発明では、2価以上のポリフェノール化合物を用いてフェノール性水酸基の導入を行うので、硬化時の高温状況下で樹脂から解離しても揮発せず系内に残存する為、ポリイミド樹脂(A)は積極的にエポキシ樹脂との架橋反応してより硬化する。さらにイソシアネート基は、このフェノール−エポキシ間の反応により生成する水酸基とさらにウレタン化反応を行い、分子の新たな架橋構造の構築を行う。これにより、誘電特性に不利な水酸基をブロックすると考えられる。つまり、生成するウレタン結合により、樹脂骨格である剛直なイミド構造を結びつけるネットワークが形成され良好な耐熱性あるいは機械物性を発現すると本発明者らは考えている。
前記一般式(1)および/または一般式(2)、ならびに一般式(3)で表される構造を有するポリイミド樹脂としては、例えば、下記一般式(10)で表される構造を有するポリイミド樹脂等が挙げられる。
Figure 0005303860
一般式(10)においてRxはポリイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた残基であるが、少なくとも1つはトリメチルヘキサンジイソシアネートから2つのイソシアネート基を除いた残基である。Bは一般式(1)、(3)、(12)、(13)、(14)で示される構造からなる群から選ばれる構造であるが、必ず一般式(3)で示される構造と、一般式(12)、(13)及び(14)からなる群から選ばれる一種以上の構造を有する。また、mは1〜100である。
本発明で用いるポリイミド樹脂(A)としては、下記一般式(11)で示される構造にて分岐しているポリイミド樹脂が、他の樹脂成分との相溶性、溶剤溶解性の向上や得られる硬化塗膜の耐熱性が良好なことから好ましい。
Figure 0005303860
(式中Rはジイソシアネート化合物からイソシアネート基を除いた残基構造を示す。)
ここで、前記一般式(1)においてRxおよび/またはRxが前記一般式(11)のRに該当すると、一般式(11)に一般式(1)が結合した構造を有した分岐状ポリイミド樹脂となる。上記一般式(3)においてRxおよび/またはRxが前記一般式(11)のRに該当すると、一般式(11)に一般式(3)が結合した構造を有した分岐状ポリイミド樹脂となる。
前記一般式(15)中のRとしては、例えば、芳香族系の残基構造、脂肪属系の残基構造、および脂環族系等の残基構造等が挙げられる。中でも、炭素原子数が4から13のものを好ましく使用することができる。Rの構造は、結晶化の防止や溶解性向上の面から2種以上の構造を併用したほうが好ましい。特に芳香族系の残基構造と脂肪族あるいは脂環族の残基構造との併用が好ましい。
前記一般式(11)で示される構造にて分岐しているポリイミド樹脂は、例えば、原料としてイソシアヌレート型ポリイソシアネート化合物を用いて合成することにより得られる。
また、本発明で用いるポリイミド樹脂(A)は下記一般式(12)、下記一般式(13)または下記一般式(14)で示されるイミド結合を有するポリイミド樹脂が好ましい。
Figure 0005303860
Figure 0005303860
一般式(12)中のRはテトラカルボン酸無水物から酸無水物基を除いた残基構造を示す。一般式(13)および(14)中のRはトリカルボン酸無水物から酸無水物基とカルボキシル基とを除いた残基構造を示す。
上述したとおり、前記Rは、テトラカルボン酸無水物の酸無水物基を除いた残基である。こうした構造としては、例えば以下の構造が例示される。
Figure 0005303860
上述したとおり、前記Rは、トリカルボン酸無水物から酸無水物基とカルボキシル基を除いた残基構造である。こうした構造としては、例えば以下の構造が例示される。
Figure 0005303860
本発明で用いるポリイミド樹脂(A)は、例えば、2個以上のフェノール性水酸基を有するポリフェノール化合物(a1)とトリメチルヘキサンジイソシアネートと酸無水物(a3)とポリオール化合物(a4)とを反応させる本発明のポリイミド樹脂の製造方法により容易に得ることができる。
前記2個以上のフェノール性水酸基を有するポリフェノール化合物(a1)としては、例えば、ハイドロキノン、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、エチリデンビスフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、シクロヘキシリデンビスフェノール(ビスフェノールZ)、ジメチルブチリデンビスフェノール、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス〔2,6−ジメチルフェノール〕、4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール、5,5’−(1−メチルエチリデン)ビス〔1,1’−ビフェニル−2−オール〕、ナフタレンジオール、ジシクロペンタジエン変性ビスフェノール、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイドとハイドロキノンとの反応生成物等が挙げられる。
ポリフェノール化合物(a1)として、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂及びノニルフェノールノボラック樹脂等のアルキルフェノールのノボラック樹脂等の3官能以上のフェノール化合物も使用可能である。
ポリフェノール化合物(a1)としては2個のフェノール性水酸基を含有するポリフェノール化合物、つまり2官能のポリフェノール化合物を使用することが好ましい。中でも、ビスフェノールA、ビスフェノールF、およびビスフェノールS等のビスフェノール系化合物がより好ましい。
また、難燃性や耐熱性に優れる硬化物が得られることから、ポリイミド樹脂(A)を得る際に、ナフタレンジオールや9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイドとハイドロキノンとの反応生成物を使用することが好ましい。
尚、本発明の効果を損なわない範囲で一部、フェノールやクレゾール等の一官能性のフェノール化合物を併用しても良い。
また、2個のフェノール性水酸基を含有するポリフェノール化合物以外のポリフェノール化合物として3官能以上のポリフェノール化合物、例えば、フェノールノボラックやクレゾールノボラック、ノニルフェノールノボラック等のアルキルフェノールノボラックやザイロック型ポリフェノール樹脂等も使用できる。更に、フェノールやクレゾール等の一官能性のフェノール化合物も本発明の効果を損なわない範囲で使用できる。
本発明で用いるポリイミド(A)の調製にはポリイソシアネート化合物としてトリメチルヘキサンジイソシアネートを用いるが本発明の効果を損なわない範囲でトリメチルヘキサンジイソシアネート以外のポリイソシアネート化合物〔以下、これをポリイソシアネート化合物(a2)と略記する〕を併用しても良い。本発明で用いるポリイミド樹脂(A)を調製する際にはポリイソシアネート化合物として全量トリメチルヘキサンジイソシアネートを用いるのが柔軟性に優れる硬化塗膜が得られる熱硬化性ポリイミド樹脂組成物が得られることから好ましいが、トリメチルヘキサンジイソシアネートとポリイソシアネート化合物(a2)を併用する場合には、ポリイソシアネート化合物(a2)をトリメチルヘキサンジイソシアネートとポリイソシアネート化合物(a2)の合計を基準として10〜90重量%となる範囲で用いるのが好ましく、10〜70重量%となる範囲で用いるのがより好ましい。
前記ポリイソシアネート(a2)としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート化合物、トリメチルヘキサンジイソシアネート以外の脂肪族ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
前記芳香族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジエチルジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアナートメチル)ベンゼン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニレンエーテル−4,4′−ジイソシアネート、およびナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物等が挙げられる。
前記脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、およびノルボヌレンジイソシアネート等が挙げられる。
また前記ポリイソシアネート化合物(a2)として、前記ポリイソシアネート化合物(a2)と各種ポリオール成分とをイソシアネート基過剰で予め反応させたイソシアネートプレポリマーを使用または併用することも可能である。
本発明の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物に用いるポリイミド樹脂(A)は、分岐構造をとることにより、溶剤溶解性や硬化剤等その他の樹脂成分との相溶性が向上するためより好ましい。かかる分岐の手法としては、トリメチルヘキサンジイソシアネートのイソシアヌレート体であるイソシアヌレート環を有する3官能以上のポリイソシアネート化合物の単独、あるいはこうしたポリイソシアネート化合物と前記トリメチルヘキサンジイソシアネート化合物との混合物を使用することが好ましい。
前記酸無水物(a3)としては、例えば、1個の酸無水物基を有する酸無水物や2個の酸無水物基を有する酸無水物等が挙げられる。前記1個の酸無水物基を有する酸無水物としては、例えば、無水トリメリット酸、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸無水物等の芳香族トリカルボン酸無水物等が挙げられる。
前記2個の酸無水物基を有する酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−2,2′,3,3′−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナントレン−1,3,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ベリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、
エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、プロピレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、ブタンジオールビスアンヒドロトリメリテート、ヘキサメチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、ポリエチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、ポリプロピレンレングリコールビスアンヒドロトリメリテートやその他アルキレングリコールビスアンヒドロキシトリメリテートなどが挙げられる。
前記酸無水物(a3)のなかでもピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−2,2′,3,3′−テトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテートが好ましい。
酸無水物(a3)としては、これらの1種又は2種以上を用いることが可能である。また、芳香族テトラカルボン酸二酸無水物に芳香族トリカルボン酸無水物や芳香族テトラカルボン酸一酸無水物を混合して使用してもよい。
前記ポリオール化合物(a4)としては、例えば、ポリオレフィンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリシロキサンポリオール等が挙げられる。ポリオール化合物(a4)は単独あるいは2種以上を併用しても良い。また、ポリオール化合物(a4)としては、前記ポリオレフィンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリシロキサンポリオール等の2種以上の共重縮合構造を有するポリオール類も使用しても良い。
前記ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、ポリオレフィン構造やポリジエン構造を有するポリオール化合物等が挙げられる。具体的には、例えば、ポリエチレン系ポリオール、ポリプロピレン系ポリオール、ポリブタジエンポリオール、水素添加ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水素添加ポリイソプレンポリオール等が挙げられる。ポリオレフィンポリオールとしてはポリブタジエンポリオールおよび/または水素添加ポリブタジエンポリオールが好ましく、なかでも、水素添加ポリブタジエンポリオールがより好ましく、ポリオレフィンジオールが更に好ましい。また、ポリオレフィンポリオールとしては脂肪族構造部分の数平均分子量が300〜6,000のポリオレフィンポリオールが好ましい。
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコール等アルキレンエーテルポリオールやこれらポリアルキレンポリオールの共重合体が挙げられる。また、単独で用いても2種類以上併用しても良い。
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、プロピレンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール等から得られるポリアルキレンカーボネートポリオールやビスフェノールAやビスフェノールF,S等のアルキレンオキサイド付加ジオール等から得られるポリカーボネートポリオールやこれらの共重合体等が挙げられる。
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、アルキレンジオールと多価カルボン酸とのエステル化物、あるいは多価カルボン酸のアルキルエステルとのエステル交換反応物、εカプロラクトン系ポリラクトンポリオール等のポリラクトンポリオール等が挙げられる。
前記ポリシロキサンポリオールとしては、例えば、ジメチルポリシロキサンポリオールやメチルフェニルポリシロキサンポリオール等挙げられる。
本発明で用いるポリオール化合物(a4)としては、特に誘電特性等を向上させたい場合は、ポリオレフィンポリオールやポリシロキサンポリオールが好ましく、物性と耐加水分解性を向上させたい場合は、ポリカーボネートポリオールが好ましい。
本発明で用いるポリオール化合物(a4)としては、水酸基を1.5〜4個有するポリオール化合物が合成しやすいので好ましく、水酸基を2個有するポリオール化合物(ジオール化合物)がより好ましい。
前記ジオール化合物の中でも、ポリオレフィンジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエステルジオール、ポリシロキサンジオールからなる群から選ばれる1種以上のポリオール化合物が種々の物性が良好なポリイミド樹脂が得られることから好ましい。
また、前記ポリオール化合物(a4)としては、十分な伸度が得られ、且つ、強度も強い塗膜が得られることから数平均分子量300〜5,000のポリオール化合物が好ましく、数平均分子量500〜3,000がより好ましい。ポリオール化合物(a4)のTgは0℃以下であることが硬化物の伸度を高く設計できる点で好ましく、0〜−150℃がより好ましい。
本発明で用いるポリイミド樹脂(A)を製造する際にはトリメチルヘキサンジイソシアネートと必要に応じて併用しても良いポリイソシアネート化合物(a2)に対してポリフェノール化合物(a1)と酸無水物(a3)とポリオール化合物(a4)がおのおの反応する。末端をフェノール性水酸基として残存させる為にポリフェノール化合物(a1)中のフェノール性水酸基:m(a1)モルと酸無水物(a3)中の酸無水物基:m(a3)モルとポリオール化合物(a4)中のアルコール性水酸基m(a4)モルとの合計モル量がトリメチルヘキサンジイソシアネート中のイソシアネート基とポリイソシアネート化合物(a2)中のイソシアネート基との合計:m(a2)モルより大きくなる条件で反応させることが好ましい。特に好ましい範囲として合成上の安定性や硬化物の各種性能の面で、〔{m(a1)+m(a3)+m(a4)}/m(a2)〕が1から10の範囲であり、より好ましくは1.1から7の範囲である。またm(a2)とm(a3)とm(a4)の合計のモル数に対してm(a2)、m(a3)、m(a4)はおのおの5%以上存在していることがより好ましく、10%以上存在していることがより好ましい。
反応は、イソシアネート基がほぼ全て反応するまで行った方が得られるポリイミド樹脂の安定性が良好となることから好ましい。また、若干残存するイソシアネート基に対して、アルコールや、フェノール化合物、オキシム化合物等を添加し反応させても良い。
本発明のポリイミド樹脂の製造方法は1段反応で製造を行っても、2段以上の反応工程を有する反応で製造を行っても良い。1段反応で製造を行う場合は、例えば、反応容器にポリフェノール化合物(a1)とポリイソシアネート化合物(a2)と酸無水物(a3)とポリオール化合物(a4)等の原料を仕込み、攪拌を行いながら昇温することでイミド化反応とウレタン化反応とを行うことにより製造することができる。2段以上の反応工程を有する反応で製造する場合には例えば、以下の方法等が挙げられる。
1.トリメチルヘキサンジイソシアネートと必要に応じて使用しても良いポリイソシアネート化合物(a2)の存在下に酸無水物(a3)を仕込んで(混合して)イミド化反応中あるいはイミド化反応後に、残存するイソシアネート基とポリフェノール化合物(a1)のフェノール性水酸基とポリオール化合物(a4)のアルコール性水酸基とを反応させて、ウレタン化反応を行う方法
2.ポリフェノール化合物(a1)とポリオール化合物(a4)とトリメチルヘキサンジイソシアネートと必要に応じて使用しても良いポリイソシアネート化合物(a2)とを仕込んでウレタン化反応中あるいはウレタン化反応後、残存するイソシアネート基と酸無水物(a3)の酸無水物基とを反応させてイミド化反応を行う方法
3.ポリフェノール化合物(a1)および/またはポリオール化合物(a4)存在下に酸無水物(a3)を仕込んで(混合して)、反応中あるいは反応後にトリメチルヘキサンジイソシアネートと必要に応じて使用しても良いポリイソシアネート化合物(a2)を添加してウレタン化反応とイミド化反応を行う方法。
4.トリメチルヘキサンジイソシアネートと必要に応じて使用しても良いポリイソシアネート化合物(a2)とポリオール化合物(a4)とを仕込んで(混合して)ウレタン化反応を行って、ポリフェノール化合物(a1)を添加し更にウレタン化反応させた後、更に酸無水物(a3)を添加し残存するイソシアネート基と酸無水物基とのイミド化反応を行う方法。
5.トリメチルヘキサンジイソシアネートと必要に応じて使用しても良いポリイソシアネート化合物(a2)とポリオール化合物(a4)とを仕込んで(混合して)ウレタン化反応を行った後、ポリフェノール化合物(a1)と酸無水物(a3)を添加し残存するイソシアネート基と酸無水物基とのイミド化反応及びトリメチルヘキサンジイソシアネートと必要に応じて使用しても良いポリイソシアネート化合物(a2)とポリフェノール化合物(a1)とのウレタン化反応を行う方法。
6.トリメチルヘキサンジイソシアネートと必要に応じて使用しても良いポリイソシアネート化合物(a2)とポリオール化合物(a4)とを仕込んで(混合して)ウレタン化反応を行った後、酸無水物(a3)を添加し、イソシアネート基と酸無水物基とのイミド化反応を行い、更にポリフェノール化合物(a1)を添加し反応させる方法。
前記製造方法の中でも6.の方法が末端にポリフェノール化合物が存在する可能性が高く、エポキシ樹脂との硬化性を向上させることができることから好ましい。
2個以上のフェノール性水酸基を有するポリフェノール化合物(a1)とトリメチルヘキサンジイソシアネートと必要に応じて使用しても良いポリイソシアネート化合物(a2)と酸無水物(a3)とポリオール化合物(a4)とを反応させる際の反応温度は50℃から250℃の範囲で行うことが可能であり、反応速度と副反応防止の面から70℃から180℃の温度で行うことが好ましい。
本発明で用いるポリイミド樹脂(A)を製造する際に2個以上のフェノール性水酸基を有するポリフェノール化合物(a1)と、トリメチルヘキサンジイソシアネートと必要に応じて使用しても良いポリイソシアネート化合物(a2)と、酸無水物(a3)と、ポリオール化合物(a4)を、(a1)、(a2)〔トリメチルヘキサンジイソシアネートとポリイソシアネート化合物(a2)の合計重量〕、(a3)、(a4)の合計重量に対してそれぞれ5〜50重量%、10〜70重量%、10〜70重量%、10〜70重量%となるように用いて反応させるのが好ましい。
本発明で用いるポリイミド樹脂(A)を製造するに際して、有機溶剤を使用することと均一な反応を進行できるため好ましい。ここで有機溶剤は、系中にあらかじめ存在させてから反応を行っても、途中で導入してもよい。また、この反応に際して適切な反応速度を維持するために系中の有機溶剤の割合は、反応系の80重量%以下であるが好ましく、10〜70重量%であることがより好ましい。かかる有機溶剤としては、原料成分としてイソシアネート基を含有する化合物を使用するため、水酸基やアミノ基等の活性プロトンを有しない非プロトン性極性有機溶剤が好ましい。
前記非プロトン性極性有機溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルフォキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトンなどの極性有機溶媒を使用することができる。また、溶解可能であれば、その他エーテル系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、石油系溶剤等を使用しても良い。また、各種溶剤を混合して使用しても良い。
かかるエーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等のエチレングリコールジアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル等のポリエチレングリコールジアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、等のポリエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル等のポリプロピレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;低分子のエチレン−プロピレン共重合体等の共重合ポリエーテルグリコールのジアルキルエーテル類;共重合ポリエーテルグリコールのモノアセテートモノアルキルエーテル類;共重合ポリエーテルグリコールのアルキルエステル類;共重合ポリエーテルグリコールのモノアルキルエステルモノアルキルエーテル類等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。また、石油系溶剤として、トルエン、キシレンやその他高沸点の芳香族溶剤等や、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族、脂環族溶剤を使用することも可能である。
本発明で用いるポリイミド樹脂(A)の重量平均分子量は溶剤溶解性が良好な熱硬化性ポリイミド樹脂組成物が得られ、且つ、種々の物性に優れる硬化塗膜が得られることから800〜50,000が好ましく、1,000〜20,000がより好ましい。
本発明で用いるポリイミド樹脂(A)のフェノール性水酸基当量は、400〜10000が好ましい。
尚、本発明で用いるポリイミド樹脂(A)等の樹脂の重量平均分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフを用い、下記の条件でポリスチレン換算により求めた。
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC−8220GPC
カラム ; 東ソー株式会社製ガードカラムSUPER HZ−H
+東ソー株式会社製 TSKgel SUPER HZm−mを4本
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 GPC−8020
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 0.35ml/min
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.2重量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100ml)
本発明で用いるエポキシ樹脂(B)は分子内に2個以上のエポキシ基を有していることが好ましい。こうしたエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型ノボラック等のノボラック型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンと各種フェノール類と反応させて得られる各種ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化物;2,2′,6,6′−テトラメチルビフェノールのエポキシ化物等のビフェニル型エポキシ樹脂;ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂;フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂等の芳香族系エポキシ樹脂やこれら芳香族系エポキシ樹脂の水素添加物;ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ樹脂;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキヒシクロヘキシル)アジペート等の脂環式エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等のごときヘテロ環含有エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、芳香族系エポキシ樹脂が、硬化塗膜の機会物性に優れる熱硬化性ポリイミド樹脂組成物が得られることから好ましく、中でもノボラック型エポキシ樹脂がより好ましい。
前記ポリイミド樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)との配合量は、樹脂分の重量比として(A)/(B)が1/100から50/1の割合で使用することができ、さらに好ましくは、1/10から20/1である。
本発明の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物には、更に、前記ポリイミド樹脂(A)が有するフェノール性水酸基と反応する化合物を添加することができる。具体的には、例えば、前記エポキシ樹脂(B)以外のエポキシ化合物、イソシアネート化合物、シリケート、およびアルコキシシラン化合物等が挙げられる。
前記イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族系のイソシアネート化合物、脂肪族系のイソシアネート化合物および脂環族系のイソシアネート化合物等が使用できる。好ましくは、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物が好ましい。また、ブロックイソシアネート化合物も使用可能である。
更に本発明の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物にはポリエステル、フェノキシ樹脂、PPS樹脂、PPE樹脂、ポリアリレーン樹脂等のバインダー樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アルコキシシラン系硬化剤、多塩基酸無水物、シアネート化合物等の硬化剤あるいは反応性化合物やメラミン、ジシアンジアミド、グアナミンやその誘導体、イミダゾール類、アミン類、水酸基を1個有するフェノール類、有機フォスフィン類、ホスホニュウム塩類、4級アンモニュウム塩類、光カチオン触媒等の硬化触媒や硬化促進剤、さらにフィラー、その他添加剤等添加することも可能である。
また、上記硬化促進剤として、ウレタン化触媒の併用が好ましい。かかるウレタン化触媒としては、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン‐7(以下DBU)やその有機塩化合物、トリエチレンジアミン、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート等のジアルキル錫のアルキルエステル類、ビスマスのカルボキシレート等挙げられる。
本発明の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物の調製法には、特に限定はないが各種成分を機械的に混合しても、熱溶融により混合しても、溶剤に希釈してから混合しても良い。
また、本発明の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物は、更に必要に応じて、種々の充填材、有機顔料、無機顔料、体質顔料、防錆剤等を添加することができる。これらは単独でも2種以上を併用してもよい。
前記充填材としては、例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化けい素酸粉、微粒状酸化けい素、シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルムニウム、雲母等が挙げられる。
前記有機顔料としては、アゾ顔料;フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーンの如き銅フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料等が挙げられる。
前記無機顔料としては、例えば、黄鉛、ジンククロメート、モリブデート・オレンジの如きクロム酸塩;紺青の如きフェロシアン化物、酸化チタン、亜鉛華、ベンガラ、酸化鉄;炭化クロムグリーンの如き金属酸化物、カドミウムイエロー、カドミウムレッド;硫化水銀の如き金属硫化物、セレン化物;硫酸鉛の如き硫酸塩;群青の如き珪酸塩;炭酸塩、コバルト・バイオレッド;マンガン紫の如き燐酸塩;アルミニウム粉、亜鉛末、真鍮粉、マグネシウム粉、鉄粉、銅粉、ニッケル粉の如き金属粉;カーボンブラック等が挙げられる。
また、その他の着色、防錆、体質顔料のいずれも使用することができる。これらは単独でも2種以上を併用してもよい。
本発明の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物は、フレキシブル回路基板の製造用として好適な形態である、熱硬化性ポリイミド樹脂組成物層(A層)及び支持体フィルム(B層)からなる接着フィルムの形態で使用することができる。
接着フィルムは、種々の方法に従って、例えば、本発明の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物を有機溶剤に溶解した樹脂ワニスを調製し、支持体フィルムにこの樹脂ワニスを塗布し、加熱又は熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて熱硬化性ポリイミド樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
支持体フィルム(B層)は、接着フィルムを製造する際の支持体となるものであり、フレキシブル回路基板の製造において、最終的には剥離または除去されるものである。支持体フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、更には離型紙や銅箔等の金属箔などを挙げることができる。なお、銅箔を支持体フィルムとして使用する場合は、塩化第二鉄、塩化第二銅等のエッチング液でエッチングすることにより除去することができる。支持フィルムはマット(mat)処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよいが、剥離性を考慮すると離型処理が施されている方がより好ましい。支持フィルムの厚さは特に限定されないが、通常10〜150μmであり、好ましくは25〜50μmの範囲で用いられる。
ワニスを調製するための有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。有機溶剤は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
乾燥条件は特に限定されないが、接着フィルムの接着能力を保持するため、乾燥時に熱硬化性ポリイミド樹脂組成物の硬化をできる限り進行させないことが重要となる。また、接着フィルム内に有機溶剤が多く残留すると、硬化後に膨れが発生する原因となるため、熱硬化性ポリイミド樹脂組成物中への有機溶剤の含有割合が通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下となるように乾燥させる。具体的な乾燥条件は、熱硬化性樹脂組成物の硬化性やワニス中の有機溶媒量によっても異なるが、例えば30〜60質量%の有機溶剤を含むワニスにおいては、通常80〜120℃で3〜13分程度乾燥させることができる。当業者は、簡単な実験により適宜、好適な乾燥条件を設定することができる。
熱硬化性樹脂組成物層(A層)の厚さは通常5〜500μmの範囲とすることができる。A層の厚さの好ましい範囲は接着フィルムの用途により異なり、ビルドアップ工法により多層フレキシブル回路基板の製造に用いる場合は、回路を形成する導体層の厚みが通常5〜70μmであるので、層間絶縁層に相当するA層の厚さは10〜100μmの範囲であるのが好ましい。
A層は保護フィルムで保護されていてもよい。保護フィルムで保護することにより、樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。保護フィルムはラミネートの際に剥離される。保護フィルムとしては支持フィルムと同様の材料を用いることができる。保護フィルムの厚さは特に限定されないが、好ましくは1〜40μmの範囲である。
本発明の接着フィルムは特に多層フレキシブル回路基板の製造に好適に使用することができる。以下に、多層フレキシブル回路基板を製造する方法について説明する。本発明の接着フィルムは真空ラミネーターにより好適にフレキシブル回路基板にラミネートすることができる。ここで使用するフレキシブル回路基板は、主として、ポリエステル基板、ポリイミド基板、ポリアミドイミド基板、液晶ポリマー基板等の基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)はもちろん、回路と絶縁層が交互に層形成され、片面又は両面が回路形成されている多層フレキシブル回路基板を更に多層化するために使用することもできる。なお回路表面は過酸化水素/硫酸、メックエッチボンド(メック(株)社製)等の表面処理剤により予め粗化処理が施されていた方が絶縁層の回路基板への密着性の観点から好ましい。
市販されている真空ラミネーターとしては、例えば、ニチゴー・モートン(株)製 バキュームアップリケーター、(株)名機製作所製 真空加圧式ラミネーター、日立テクノエンジニアリング(株)製 ロール式ドライコータ、日立エーアイーシー(株)製真空ラミネーター等を挙げることができる。
ラミネートにおいて、接着フィルムが保護フィルムを有している場合には該保護フィルムを除去した後、接着フィルムを加圧及び加熱しながら回路基板に圧着する。ラミネートの条件は、接着フィルム及び回路基板を必要によりプレヒートし、圧着温度を好ましくは70〜140℃、圧着圧力を好ましくは1〜11kgf/cmとし、空気圧20mmHg以下の減圧下でラミネートするのが好ましい。また、ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。
接着フィルムを回路基板にラミネートした後、室温付近に冷却し支持体フィルムを剥離する。次いで、回路基板にラミネートされた熱硬化性ポリイミド樹脂組成物を加熱硬化させる。加熱硬化の条件は通常150℃〜220℃で20分〜180分の範囲で選択され、より好ましくは160℃〜200℃で30〜120分の範囲で選択される。なお支持体フィルムが離型処理やシリコン等の剥離層を有する場合は、熱硬化性ポリイミド樹脂組成物の加熱硬化後あるいは加熱硬化及び穴開け後に支持体フィルムを剥離することもできる。
熱硬化性ポリイミド樹脂組成物の硬化物である絶縁層が形成された後、必要に応じて回路基板にドリル、レーザー、プラズマ、又はこれらの組み合わせ等の方法により穴開けを行いビアホールやスルーホールを形成してもよい。特に炭酸ガスレーザーやYAGレーザー等のレーザーによる穴開けが一般的に用いられる。
次いで絶縁層(熱硬化性ポリイミド樹脂組成物の硬化物)の表面処理を行う。表面処理はデスミアプロセスで用いられる方法を採用することができ、デスミアプロセスを兼ねた形で行うことができる。デスミアプロセスに用いられる薬品としては酸化剤が一般的である。酸化剤としては、例えば、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等)、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等が挙げられる。好ましくはビルドアップ工法による多層プリント配線板の製造における絶縁層の粗化に汎用されている酸化剤である、アルカリ性過マンガン酸溶液(例えば過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウムの水酸化ナトリウム水溶液)を用いて処理を行うのが好ましい。酸化剤で処理する前に、膨潤剤による処理を行うこともできる。また酸化剤による処理の後は、通常、還元剤による中和処理が行われる。
表面処理を行った後、絶縁層表面にメッキにより導体層を形成する。導体層形成は無電解メッキと電解メッキを組み合わせた方法で実施することができる。また導体層とは逆パターンのメッキレジストを形成し、無電解メッキのみで導体層を形成することもできる。導体層形成後、150〜200℃で20〜90分アニール(anneal)処理することにより、導体層のピール強度をさらに向上、安定化させることができる。
導体層をパターン加工し回路形成する方法としては、例えば当業者に公知のサブトラクティブ法、セミアディディブ法などを用いることができる。サブトラクティブ法の場合、無電解銅メッキ層の厚みは0.1乃至3μm、好ましくは0.3乃至2μmである。その上に電気メッキ層(パネルメッキ層)を3乃至35μm、好ましくは5乃至20μmの厚みで形成した後、エッチングレジストを形成し、塩化第二鉄、塩化第二銅等のエッチング液でエッチングすることにより導体パターンを形成した後、エッチングレジストを剥離することにより、回路基板を得ることが出来る。また、セミアディティブ法の場合には、無電解銅メッキ層の厚みを0.1乃至3μm、好ましくは0.3乃至2μmで無電解銅メッキ層を形成後、パターンレジストを形成し、次いで電気銅メッキ後に剥離することにより、回路基板を得ることができる。
支持体フィルムを耐熱樹脂層(耐熱樹脂フィルム)で置き換えた形態のフィルム、すなわち、熱硬化性ポリイミド樹脂組成物層(A層)及び耐熱樹脂層(C層)からなるフィルムは、フレキシブル回路基板用のベースフィルムとして使用できる。また熱硬化性ポリイミド樹脂組成物層(A層)、耐熱樹脂層(C層)及び銅箔(D層)からなるフィルムも同様にフレキシブル回路基板のベースフィルムとして使用できる。この場合ベースフィルムはA層、C層、D層の順の層構成を有する。以上のようなベースフィルムでは、耐熱樹脂層は剥離されずに、フレキシブル回路基板の一部を構成することとなる。
本発明の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層(A'層)が耐熱樹脂層(C層)上に形成されたフィルムは片面フレキシブル回路基板用のベースフィルムとして使用できる。また、A'層、C層及びA'層の順の層構成を有するフィルム、及びA'層、C層及び銅箔(D層)からなり、A'層、C層及びD層の順の層構成を有するフィルムも同様に両面フレキシブル回路基板用のベースフィルムとして使用できる。
耐熱樹脂層に用いられる耐熱樹脂は、ポリイミド樹脂、アラミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、液晶ポリマーなどを挙げることができる。特に、ポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂が好ましい。またフレキシブル回路基板に用いる特性上、破断強度が100MPa以上、破断伸度が5%以上、20〜150℃間の熱膨張係数が40ppm以下、およびガラス転移温度が200℃以上又は分解温度が300℃以上である耐熱樹脂を用いるのが好ましい。
このような特性を満たす耐熱樹脂としては、フィルム状で市販されている耐熱樹脂を好適に用いることができ、例えば、宇部興産(株)製ポリイミドフィルム「ユーピ レックス−S」、東レ・デュポン(株)製ポリイミドフィルム「カプトン」、鐘淵化学工業(株)製ポリイミドフィルム「アピカル」、帝人アドバンストフィルム(株)製「アラミカ」、(株)クラレ製液晶ポリマーフィルム「ベクスター」、住友ベークライト(株)製ポリエーテルエーテルケトンフィルム「スミライトFS−1100C」等が知られている。
耐熱樹脂層の厚さは、通常2〜150μmであり、好ましくは10〜50μmの範囲とするのがよい。耐熱樹脂層(C層)は表面処理を施したものを用いてもよい。表面処理としては、マット(mat)処理、コロナ放電処理、プラズマ処理等の乾式処理、溶剤処理、酸処理、アルカリ処理等の化学処理、サンドブラスト処理、機械研磨処理などが挙げられる。特にA層との密着性の観点から、プラズマ処理が施されているのが好ましい。
絶縁層(A')と耐熱樹脂層(C)からなる片面フレキシブル回路基板用のベースフィルムは以下のようにして製造することができる。まず、前述した接着フィルムと同様に、本発明の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物を有機溶剤に溶解した樹脂ワニスを調製し、耐熱樹脂フィルム上にこの樹脂ワニスを塗布し、加熱又は熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて熱硬化性ポリイミド樹脂組成物層を形成させる。有機溶剤、乾燥条件等の条件は前記接着フィルムの場合と同様である。熱硬化性ポリイミド樹脂組成物層の厚さは5〜15μmの範囲とするのが好ましい 。
次に熱硬化性ポリイミド樹脂組成物層を加熱硬化させ、熱硬化性ポリイミド樹脂組成物の硬化物である絶縁層を形成させる。加熱硬化の条件は通常150℃〜220℃で20分〜180分の範囲で選択され、より好ましくは160℃〜200℃で30〜120分の範囲で選択される。
絶縁層(A'層)、耐熱樹脂層(C)層及び銅箔(D層)の3層からなる両面フレキシブル回路基板用フィルムのベースフィルムの製造は、耐熱樹脂層(C層)と銅箔(D層)よりなる銅張積層フィルム上に熱硬化性樹脂組成物を層形成し、上記と同様にして製造すればよい。銅張積層フィルムとしては、キャスト法2層CCL(Copper-clad laminate)、スパッタ法2層CCL、ラミネート法2層CCL、3層CCLなどが挙げられる。銅箔の厚さは12μm、18μmのものが好適に使用される。
市販されている2層CCLとしては、エスパネックスSC(新日鐵化学社製)、ネオフレックスI<CM>、ネオフレックスI<LM>(三井化学社製)、S'PERFLEX(住友金属鉱山社製)等が挙げられ、また市販されている3層CCLとしては、ニカフレックスF−50VC1(ニッカン工業社製)等が挙げられる。
絶縁層(A'層)、耐熱樹脂層(C層)及び絶縁層(A'層)の3層からなる両面フレキシブル回路基板用フィルムのベースフィルムの製造は以下のようにして行うことができる。まず前述した接着フィルムと同様に、本発明の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物を有機溶剤に溶解した樹脂ワニスを調製し、支持体フィルム上にこの樹脂ワニスを塗布し、加熱又は熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて熱硬化性ポリイミド樹脂組成物層を形成させる。有機溶剤、乾燥条件等の条件は前記接着フィルムの場合と同様である。熱硬化性ポリイミド樹脂組成物層の厚さは5〜15μmの範囲とするのが好ましい。
次に、この接着フィルムを耐熱樹脂フィルムの両面にラミネートする。ラミネートの条件は前記と同様である。また耐熱フィルムの片面に予め熱硬化性ポリイミド樹脂組成物層が設けられていれば、ラミネートは片面のみでよい。次に熱硬化性ポリイミド樹脂組成物層を加熱硬化させ、熱硬化性ポリイミド樹脂組成物の硬化物である絶縁層を形成させる。加熱硬化の条件は通常150℃〜220℃で20分〜180分の範囲で選択され、より好ましくは160℃〜200℃で30〜120分の範囲で選択される。
フレキシブル回路基板用のベースフィルムからフレキシブル回路基板を製造する方法について説明する。A'層、C層及びA'層からなるベースフィルムの場合は、まず加熱硬化後、回路基板にドリル、レーザー、プラズマ等の方法により穴開けし、両面の導通のためのスルーホールを形成する。A'層、C層及びD層からなるベースフィルムの場合は、同様の方法により穴開けし、ビアホールを形成する。特に炭酸ガスレーザーやYAGレーザー等のレーザーによる穴開けが一般的に用いられる。
次いで絶縁層(熱硬化性ポリイミド樹脂組成物の硬化物)の表面処理を行う。表面処理については、前述した接着フィルムの場合と同様である。表面処理を行った後、絶縁層表面にメッキにより導体層を形成する。メッキによる導体層形成については、前述した接着フィルムの場合と同様である。導体層形成後、150〜200℃で20〜90分アニール処理することにより、導体層のピール強度をさらに向上、安定化させることができる。
次に、導体層をパターン加工し回路形成しフレキシブル回路基板とする。A層、C層及びD層からなるベースフィルムを使用した場合は、D層である銅箔にも回路形成を行う。回路形成の方法としては、例えば当業者に公知のサブトラクティブ法、セミアディディブ法などを用いることができる。詳細は前述の接着フィルムの場合と同様である。
このようにして得られた片面又は両面フレキシブル回路基板は、例えば、前述したように、本発明の接着フィルムを用いて多層化することで、多層フレキシブル回路基板を製造することができる。
また、本発明の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物は半導体とサブストレート基板間の応力緩和層を形成するための材料としても有用である。例えば、前記と同様にして、本発明の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物を用いて得られた接着フィルムによりサブストレート基板の最も上部の絶縁層の全部または一部を形成し、半導体を接続することにより、該熱硬化性ポリイミド樹脂組成物の硬化物を介して半導体とサブストレート基板が接着された半導体装置を製造することができる。この場合、接着フィルムの熱硬化性ポリイミド樹脂組成物層の厚みは10〜1000μmの範囲で適宜選択される。本発明の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物はメッキにより導体層の形成が可能であり、サブストレート基板上に設けた応力緩和用の絶縁層上にも簡便にメッキにより導体層を形成し回路パターンを作製することも可能である。
次に、本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明する。以下において、部および「%」は特に断りのない限り、すべて「重量%」である。
合成例1〔ポリイミド樹脂(A)の製造〕
攪拌装置、温度計、コンデンサーを付けたフラスコに、TMDI(トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート)21g(0.1モル)とEDGA(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)86gと、ポリブタジエンジオール(分子量3573)179g(0.05モル)とS−150(芳香族石油系溶剤;ソルベッソ150、エキソン化学株式会社製)72.3gとを仕込み、攪拌をおこないながら50℃まで昇温した。この温度で3時間ウレタン化反応を行い、NPN(ノニルフェノールノボラック樹脂溶液、固形分換算水酸基当量299g/eq、不揮発分78.7%のミネラルスピリッツ溶液、4.25官能)61.8gとTMEG(エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート)10.3g(0.025モル)を仕込んで110℃まで昇温し5時間反応させて粘度40Pa.sの茶黄色のポリイミド樹脂(A−1)の溶液を得た。ポリイミド樹脂(A−1)の溶液の樹脂固形分濃度は60%であった。
得られたポリイミド樹脂(A−1)の溶液をKBr板に塗装し、溶剤成分を揮発させた試料の赤外吸収スペクトルを測定した結果、イソシアネート基の特性吸収である2270cm−1が完全に消滅していた。また酸無水物基の吸収である1850cm−1が消滅し、1780cm−1のイミド結合の吸収が存在していた。脱炭酸量はフラスコ中の重量変化から2.2gであり、理論値と一致した。これによりイソシアネート基は、ノニルフェノールノボラック樹脂中のフェノール性水酸基と共にウレタン結合を形成し骨格中にノニルフェノールノボラック樹脂のフェノール性水酸基を有し、一部のフェノール性水酸基がウレタン結合で変性されたポリイミド樹脂が得られたと結論される。
合成例2(同上)
攪拌装置、温度計、コンデンサーを付けたフラスコに、TMDI 10.5g(0.05モル)と、TDI(トリレンジイソシアネート)8.7g(0.05モル)と、EDGA 86gと、ポリブタジエンジオール(分子量3573)179g(0.05モル)と、S−150 72.3gとを仕込み、攪拌をおこないながら50℃まで昇温した。この温度で3時間ウレタン化反応を行い、NPN 61.8gとTMEG 10.3g(0.025モル)を仕込んで110℃まで昇温し5時間反応させて粘度27Pa.sの茶黄色のポリイミド樹脂(A−2)の溶液を得た。ポリイミド樹脂(A−2)の溶液の樹脂固形分濃度は59.8%であった。
得られたポリイミド樹脂(A−2)の溶液をKBr板に塗装し、溶剤成分を揮発させた試料の赤外吸収スペクトルを測定した結果、イソシアネート基の特性吸収である2270cm−1が完全に消滅していた。また酸無水物基の吸収である1850cm−1が消滅し、1780cm−1のイミド結合の吸収が存在していた。脱炭酸量はフラスコ中の重量変化から2.2gであり、理論値と一致した。これによりイソシアネート基は、ノニルフェノールノボラック樹脂中のフェノール性水酸基と共にウレタン結合を形成し骨格中にノニルフェノールノボラック樹脂のフェノール性水酸基を有し、一部のフェノール性水酸基がウレタン結合で変性されたポリイミド樹脂が得られたと結論される。
合成例3(同上)
攪拌装置、温度計、コンデンサーを付けたフラスコに、TMDI 10.5g(0.05モル)と、IPDI 11.1g(0.05モル)と、EDGA 52.7gと、水添ポリブタジエンジオール(分子量: 2428)121.4g(0.05モル)と、S−150 52.7gとを仕込み、攪拌をおこないながら50℃まで昇温した。この温度で3時間ウレタン化反応を行い、BPS(ビスフェノールS)12.5gと、TMAN(無水トリメリット酸)4.8g(0.025モル)とを仕込んで120℃まで昇温し5時間反応させて粘度34Pa.sの茶黄色のポリイミド(A−3)の樹脂溶液を得た。ポリイミド樹脂(A−3)の溶液の樹脂固形分濃度は60%であった。
得られたポリイミド樹脂(A−3)の溶液をKBr板に塗装し、溶剤成分を揮発させた試料の赤外吸収スペクトルを測定した結果、イソシアネート基の特性吸収である2270cm−1が完全に消滅していた。また酸無水物基の吸収である1850cm−1が消滅し、1780cm−1のイミド結合の吸収が存在していた。脱炭酸量はフラスコ中の重量変化から2.2gであり、理論値と一致した。これによりイソシアネート基は、BPSのフェノール性水酸基と共にウレタン結合を形成し骨格中にBPSのフェノール性水酸基を有し、一部のフェノール性水酸基がウレタン結合で変性されたポリイミド樹脂が得られたと結論される。
合成例4(同上)
攪拌装置、温度計、コンデンサーを付けたフラスコに、TMDI 25.2g(0.12モル)とEDGA 54.1gと、ポリカーボネートジオール(1,6ヘキサンジオールと1,5ペンタンジオールのポリカーボネートジオール 分子量:1934)116g(0.06モル)と、S−150 54.1gとを仕込み、攪拌をおこないながら50℃まで昇温した。この温度で3時間ウレタン化反応を行い、BPF(ビスフェノールF)8.1g(0.04モル)とTMEG 16.5g(0.04モル)とを仕込んで130℃まで昇温し4時間反応させて粘度46Pa.sの茶黄色のポリイミド樹脂(A−4)の溶液を得た。ポリイミド樹脂(A−4)の溶液の樹脂固形分濃度は60%であった。
得られたポリイミド樹脂(A−4)の溶液をKBr板に塗装し、溶剤成分を揮発させた試料の赤外吸収スペクトルを測定した結果、イソシアネート基の特性吸収である2270cm−1が完全に消滅していた。また酸無水物基の吸収である1850cm−1が消滅し、1780cm−1のイミド結合の吸収が存在していた。脱炭酸量はフラスコ中の重量変化から2.2gであり、理論値と一致した。これによりイソシアネート基は、ノニルフェノールノボラック樹脂中のフェノール性水酸基と共にウレタン結合を形成し骨格中にノニルフェノールノボラック樹脂のフェノール性水酸基を有し、一部のフェノール性水酸基がウレタン結合で変性されたポリイミド樹脂が得られたと結論される。
合成例5〔比較対照用ポリイミド樹脂(a)の調製〕
攪拌装置、温度計、コンデンサーを付けたフラスコに、EDGA 4951gと、イソホロンジイソシアネートから誘導されるイソシアヌレート環を有するポリイソシアネート(イソシアネート基含有率18.2%、イソシアヌレート環含有トリイソシアネート含有率85%)2760g(イソシアネート基として12モル)と、ポリテールHA〔三菱化学(株)製の両末端に水酸基を有する水素添加液状ポリブタジエン、数平均分子量2,100、水酸基価51.2mgKOH/g〕2191g(水酸基として2モル)とを仕込み、攪拌を行いながら発熱に注意して80℃に昇温した。この温度で3時間ウレタン化反応を行った。次いで、さらにEDGA1536gとTMA(無水トリメリット酸)1536g(8モル)を仕込み、160℃まで昇温し4時間反応させて薄茶色の比較対照用ポリイミド樹脂(a−1)の溶液を得た。比較対照用ポリイミド樹脂(a−1)の溶液の樹脂固形分濃度は55%であった。
得られた比較対照用ポリイミド樹脂(a−1)の溶液をKBr板に塗装し、溶剤を揮発させた試料の赤外線吸収スペクトルを測定した結果、イソシアネート基の特性吸収である2270cm−1が完全に消滅し、725cm−1と1780cm−1と1720cm−1にイミド環の吸収、1690cm−1と1460cm−1にイソシアヌレート環の特性吸収、1550cm−1にウレタン結合の特性吸収が確認された。また、ポリイミド樹脂の酸価は固形分換算で79mgKOH/g、イソシアヌレート環の濃度は0.66mmol/g(樹脂固形分換算)、数平均分子量(以下、Mnと略記する。)は5,900、重量平均分子量(以下、Mwと略記する。)は24,000であった。
実施例1
第1表に示す配合にて本発明の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物1を調製した。得られた熱硬化性ポリイミド樹脂組成物1を用いて相溶性、塗膜造膜性、耐熱性、機械物性、電気特性、寸法安定性及び保存安定性を下記方法に従って評価した。その結果を第3表に示す。尚、表中の配合量(重量部)は全て固形文換算重量である。
(1)相溶性の評価
熱硬化性ポリイミド樹脂組成物1を調製した際の相溶状態と、調製後の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物1をガラス板に塗装し、120℃で乾燥した後の塗膜の状態を、下記の評価基準で評価した。
評価基準
◎:熱硬化性ポリイミド樹脂組成物1の調製において攪拌により容易に均一となり、塗膜面にも異物等が見られない。
○:熱硬化性ポリイミド樹脂組成物1の調製において攪拌により均一となり、塗膜面にも異物等が見られない。
△:熱硬化性ポリイミド樹脂組成物1の調製において攪拌により均一になりにくく、塗膜面にもやや異物等が見られる。
×:熱硬化性ポリイミド樹脂組成物1の調製において均一に溶解せず、塗膜面は、はじき、異物、不溶解物が確認できる。
(2)塗膜造膜性の評価
熱硬化性ポリイミド樹脂組成物1を乾燥後の膜厚が30μmになるようにブリキ板にアプリケーターにて塗布後、110℃で30分間乾燥させて得た試験片を、室温にて24時間放置し、塗膜外観を以下の評価基準で評価した。
評価基準
○:塗膜にクラック等の異常は見られない。
△:塗膜に若干クラックが見られる。
×:塗膜全面にクラックが発生した。
(3)耐熱性の評価
<試験片の作製>
熱硬化性ポリイミド樹脂組成物1を硬化後の膜厚が50μmになるように銅泊がラミネートされたガラスエポキシ基板上に塗装し、70℃の乾燥機で30分間乾燥した後、170℃でそれぞれ1時間硬化させた後、室温まで冷却し硬化塗膜を作成した。
<耐熱性試験方法>
硬化塗膜を260℃の溶融ハンダ浴に30秒浸漬し、室温に冷却した。このハンダ浴の浸漬操作を合計3回行い、硬化塗膜の外観について以下の評価基準で評価した。
○:塗膜に外観異常は見られない。
△:塗膜にフクレ、はがれ等異常が若干見られる。
×:塗膜全面にフクレ、はがれ等異常が見られる。
(4)機械物性の評価
機械物性は塗膜の引張試験を行い、弾性率と破断伸度を求めることにより評価した。
<試験片の作製>
熱硬化性ポリイミド樹脂組成物1を硬化後の膜厚が50μmになるようにブリキ基板上に塗装した。次いで、この塗装板を70℃の乾燥機で20分間乾燥した後、170℃で1時間硬化させて硬化塗膜を作成した。室温まで冷却した後、硬化塗膜を所定の大きさに切り出し、基板から単離して測定用試料とした。
<引張試験測定方法>
測定用試料を5枚作成し、下記の条件で引張試験を行い、破断伸度を求めた。破断伸度の値が高いほど柔軟性に優れる塗膜であることを表す。また、弾性率の値が低いほど柔軟性に優れる塗膜であることを表す。
測定機器:東洋ボールドウィン社製テンシロン
サンプル形状:10mm×70mm
チャック間:20mm
引張速度:10mm/min
測定雰囲気:22℃、45%RH
(5)保存安定性(熱硬化性ポリイミド樹脂組成物1の保存安定性)
熱硬化性ポリイミド樹脂組成物1を25mlのガラス容器に20ml入れて密封した。この状態で室温にて1週間放置した後の状態を観察した。
実施例2〜8及び比較例1〜2
第1表及び第2表に示す配合で配合した以外は実施例1と同様にして熱硬化性ポリイミド樹脂組成物2〜8及び比較対照用熱硬化性ポリイミド樹脂組成物1´〜2´を調製した。これを用いて実施例1と同様に各種評価を行い、その結果を第3表に示す。
Figure 0005303860
Figure 0005303860
Figure 0005303860
Figure 0005303860
Figure 0005303860
表の脚注
N680:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量214 軟化点81℃
EP2050:固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量640
DBTL:ジブチルチンジラウレート
2E4MZ:2−エチル−4−メチル−イミダゾール
DBTA:ジブチルチンアセテート
CNR:オルソクレゾールノボラック型樹脂 融点 90℃ 水酸基当量=105
BPF:ビスフェノールF

Claims (12)

  1. 下記一般式(1)および/または下記一般式(2)で表される構造、ならびに下記一般式(3)で表される構造を有するポリイミド樹脂(A)と、エポキシ樹脂(B)とを含有することを特徴とする熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
    Figure 0005303860
    Figure 0005303860
    Figure 0005303860
    (式中、Xは一般式(5)で示される構造であり、Yは1分子中に2個以上のアルコール性水酸基を有するポリオール化合物から2つの水酸基を除いた残基を示す。式中Rx〜Rxは同一でも異なっていても良く、ポリイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた残基であるが、少なくとも1つはトリメチルヘキサンジイソシアネートから2つのイソシアネート基を除いた残基である)
    Figure 0005303860
    (式中R は、直接結合あるいは2価の連結基であり、R は同一でも異なっていても良く、水素原子または炭素原子数1〜18のアルキル基を示す。aとbとcとの合計は1以上である。)
  2. 前記一般式(3)中のRxおよび/またはRxがトリメチルヘキサンジイソシアネートから2つのイソシアネート基を除いた残基である請求項1記載の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
  3. 前記ポリイミド樹脂(A)が、下記一般式(12)で表される構造単位および/または一般式(13)で表される構造を含有するポリイミド樹脂である請求項1記載の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
    Figure 0005303860
    Figure 0005303860
    (式中R5はテトラカルボン酸無水物から酸無水物基を除いた残基構造を示し、R6はトリカルボン酸無水物から酸無水物基とカルボキシル基とを除いた残基構造を示す。)
  4. 前記一般式(5)中のRがメチレン基および/または下記式(1i)で示される構造である請求項記載の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
    Figure 0005303860
  5. 前記ポリイミド樹脂(A)が下記一般式(11)で示される構造にて分岐しているポリイミド樹脂である請求項1記載の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
    Figure 0005303860
    (式中Rはジイソシアネート化合物からイソシアネート基を除いた残基構造を示す。)
  6. 前記一般式(3)で表される構造が、該構造中のYとして数平均分子量が300〜5,000であるポリオール化合物から2つの水酸基を除いた残基を有する構造である請求項記載の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
  7. 前記一般式(3)で表される構造が、該構造中のYとしてガラス転移温度が−150〜0℃である残基を有する構造である請求項記載の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
  8. 前記一般式(3)中のYが1分子中に少なくとも2個のアルコール性水酸基を有するポリオレフィンポリオールから2つの水酸基を除いた残基、1分子中に少なくとも2個のアルコール性水酸基を有するポリエーテルポリオールから2つの水酸基を除いた残基、1分子中に少なくとも2個のアルコール性水酸基を有するポリカーボネートポリオールから2つの水酸基を除いた残基、1分子中に少なくとも2個のアルコール性水酸基を有するポリエステルポリオールから2つの水酸基を除いた残基および1分子中に少なくとも2個のアルコール性水酸基を有するポリシロキサンポリオールから2つの水酸基を除いた残基からなる群から選ばれる1種以上の残基である請求項記載の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
  9. 前記エポキシ樹脂(B)が芳香族系エポキシ樹脂である請求項1〜のいずれか1項記載の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
  10. 前記芳香族系エポキシ樹脂がノボラック型エポキシ樹脂である請求項記載の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
  11. 硬化触媒を含有する請求項1〜10のいずれか1項記載の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
  12. 更に、ウレタン化触媒を含有する請求項1〜10のいずれか1項記載の熱硬化性ポリイミド樹脂組成物。
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