JP5303209B2 - 血糖値を降下させる物質の評価方法、スクリーニング方法及び製造方法 - Google Patents
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(a)無脊椎動物に糖(A)を摂取させることによって、該無脊椎動物の脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度を上昇させる工程、
(b)上記工程(a)で得られた、脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度が上昇した無脊椎動物に、上記被検物質を投与する工程、
(c)上記被検物質が投与された無脊椎動物の脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度を測定する工程、
を有することを特徴とする方法(以下、「態様1」とする)を提供するものである。
(a)無脊椎動物に糖(A)を摂取させることによって、該無脊椎動物の脂肪体中又は血液中の糖(B)濃度を上昇させる工程、
(b)上記工程(a)で得られた、脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度が上昇した無脊椎動物に、被検物質を投与する工程、
(c)上記被検物質が投与された無脊椎動物の脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度を測定する工程、
(d)上記被検物質の中から、該無脊椎動物の脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度を低下させる物質を選択する工程。
を有することを特徴とする方法(以下、「態様2」とする)を提供するものである。
(a)無脊椎動物に糖(A)を摂取させることによって、該無脊椎動物の脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度を上昇させる工程、
(b)上記工程(a)で得られた、脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度が上昇した無脊椎動物に、被検物質を投与する工程、
(c)上記被検物質が投与された無脊椎動物の脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度を測定する工程、
(d)上記被検物質の中から、該無脊椎動物の脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度を低下させる物質を選択する工程、
(e)上記工程(d)で選択された物質と製薬上許容される担体を混合する工程、
を有することを特徴とする方法(以下、「態様3」とする)を提供するものである。
本発明の態様1は、被検物質がヒトの血糖値を降下させる物質であるか否かを評価する方法であって、少なくとも、以下の工程(a)、(b)及び(c)を有するものである。
(a)無脊椎動物に糖(A)を摂取させることによって、該無脊椎動物の脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度を上昇させる工程
(b)上記工程(a)で得られた、脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度が上昇した無脊椎動物に、上記被検物質を投与する工程
(c)上記被検物質が投与された無脊椎動物の脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度を測定する工程
工程(a)においては、まず、無脊椎動物に糖(A)を摂取させる。無脊椎動物としては、昆虫綱、甲殻綱、ムカデ綱、クモ綱等の節足動物門に属するものが好ましく、鱗翅目、甲虫目、双翅目、膜翅目、直翅目、網翅目等の昆虫綱に属するものがより好ましい。昆虫綱に属するものとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。取り扱いの便宜性から、昆虫綱に属するものの幼虫であることが特に好ましい。
(1)入手が容易である。
(2)飼育する方法が既に確立されており、更に飼育に利便性がある。
(3)ヒト等の哺乳類の内臓・器官と類似する性質が、これまでの研究である程度分かっている。
(4)遺伝系統が確立されており、遺伝的均一性の維持ができている。
(5)比較的大型で、動きが緩慢であり、実質上無毛なので、定量的に注射できる等、薬物の投与が容易である。
(6)脂肪体を有しており、脂肪体を取り出して、含有する物質の定量が可能である。
(7)マウス、ラット等に比べると安価で、狭いスペースで多数の個体を飼育でき、倫理的な問題も少ない為、スクリーニング的な評価を行うことが容易である。
(8)被検物質が少量しかない場合でも評価を行うことができる。
(9)齢を揃える等、同じ状態の個体を揃えることが容易である。
(10)体液を採取して、糖、脂質、酵素等の成分を解析することが可能である。
工程(b)では、上記工程(a)で得られた「脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度が上昇した無脊椎動物」に対して被検物質を投与する。
工程(c)では、上記工程(b)で、被検物質が投与された無脊椎動物の脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度を測定する。測定試料の採取方法は脂肪体に関しては、解剖して採取することが好ましく、血液に関しては、切り傷を付けてそこから採取する方法が好ましい。
本発明の態様2は、ヒトの血糖値を降下させる物質をスクリーニングする方法であって、以下の工程(a)、(b)、(c)及び(d)を有するものである。
(a)無脊椎動物に糖(A)を摂取させることによって、該無脊椎動物の脂肪体中又は血液中の糖(B)濃度を上昇させる工程
(b)上記工程(a)で得られた、脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度が上昇した無脊椎動物に、被検物質を投与する工程
(c)上記被検物質が投与された無脊椎動物の脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度を測定する工程
(d)上記被検物質の中から、該無脊椎動物の脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度を低下させる物質を選択する工程
工程(d)において、上記工程(a)、(b)及び(c)によって使用された被検物質の中から、該無脊椎動物の脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度を低下させる物質を選択する。対照に比較して、被検物質を投与したもので、糖(B)の濃度がどれくらいまでに減少した場合に有意差と判定してその被検物質を選択するかについては、用いた無脊椎動物の数にも依存し特に限定はないが、通常、対照の糖(B)の濃度の95%以下〜80%以下である。カイコを用いた場合、インスリンで60%にまで減少(実施例4)、メトホルミンで70%にまで減少(実施例5)した。
本発明の態様3は、ヒトの血糖値を降下させる薬剤を製造する方法であって、以下の工程(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)を有するものである。
(a)無脊椎動物に糖(A)を摂取させることによって、該無脊椎動物の脂肪体中又は血液中の糖(B)濃度を上昇させる工程
(b)上記工程(a)で得られた、脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度が上昇した無脊椎動物に、被検物質を投与する工程
(c)上記被検物質が投与された無脊椎動物の脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度を測定する工程
(d)上記被検物質の中から、該無脊椎動物の脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度を低下させる物質を選択する工程
(e)上記工程(d)で選択された物質と製薬上許容される担体を混合する工程
工程(e)は、上記工程(d)で選択された物質と製薬上許容される担体とを混合する工程である。
本発明において、例えば、カイコの脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度を上昇させることができ、更に、糖(B)の濃度を低下させる物質が、ヒト等の哺乳類と共通していることによって、ヒトの血糖値を降下させる物質が、評価、スクリーニングできた作用・原理は明らかではなく、また、本発明は、かかる作用・原理の範囲に限定されるわけではないが、以下のことが考えられる。すなわち、カイコは血糖値の恒常性を維持する機構を有しており、筋肉及び人の肝臓に相当する脂肪体に糖を貯蔵でき、また、インスリン様ペプチドホルモンであるボンビキシンを有しており、ボンビキシンの下流には、ヒトの場合と同様なMAPKシグナル伝達経路を含むインスリンシグナル伝達経路が存在する。また、組み換え型ヒトインスリンがPI3キナーゼの活性化を介して、カイコの脂肪体の糖の取り込みを亢進させる作用を有する。更に、インスリンシグナル伝達経路以外の経路であるAMPキナーゼの活性化により、カイコの血糖値は低下する。すなわち、カイコにはヒトの血糖調節機構と同様な機構があるために、本発明の前記効果が表れたと考えられる。
カイコの受精卵(交雑種Hu・Yo x Tukuba・Ne)は、愛媛蚕種株式会社から購入した。孵化した幼虫は室温で人工飼料シルクメイト2S(日本農産工業株式会社製)を与えて5齢幼虫まで育てた。飼育容器は卵から2齢幼虫までを角型2号シャーレ(栄研器材製)、それ以降をディスポーザブルのプラスチック製フードパック(フードパックFD 大深、中央化学株式会社製)を用いた。飼育温度は27℃とした。
以下の実施例で用いる「組み換え型インスリン」は、インスリン(Sigma社製)を0.1%の酢酸を含む生理食塩水(0.9%NaCl)に溶解して用いた。メトホルミン(1,1−Dimethylbiguanide Hydrochloride、和光純薬社製)は、生理食塩水に溶解して用いた。ワートマニン(wortmanin)はCALBIOCHEMより購入したものをDMSOに溶解して用いた。
カイコの血液中の糖濃度(以下、「血糖値」と略記する)の測定方法は以下の通りである。カイコの血液は、第一腹肢に切り傷をつけた所から、約100μL採取し、タンパク質を沈殿させるために、9倍量の0.6N過塩素酸と混合した。3000rpmで10分間遠心分離し、体液抽出液(hemolymph extract)(上清)を得た。
カイコの血液中のグルコース濃度は、通常のグルコースオキシダーゼ法に従い定量した。上記の血液中の糖濃度の測定と同様にして、体液抽出液(hemolymph extract)(上清)を得た後、蒸留水で適当な濃度に希釈したもの20μLに、酵素反応液(0.12M Na−phosphate buffer(pH7.4)、4units/mL of glucose oxidase、3units/mL of peroxidase、9mM o−dianisidine)400μLとを混合し、室温で40分放置した。その後、70%濃硫酸100μLを加えて激しく撹拌し、530nmにおける吸光度を測定した。グルコース水溶液を標準糖溶液として、グルコース濃度を算出した。単位「mg/mL」の分母は、カイコの体液抽出液の体積である。
カイコの脂肪体中の糖濃度の測定方法は、以下の通りである。カイコの脂肪体は、ハサミで体腔を開いてピンセットにより取り出し、生理食塩水中で洗った後、終濃度30%(w/v)となるように水酸化カリウム(KOH)を加え、100℃にて5分間熱処理した。更にエチルアルコールを終濃度60%(v/v)となるまで加え、煮沸して糖を沈殿させ、4℃で一晩静置した後、遠心(3000rpm、15分)により集め、定量した。糖濃度の測定方法は、上記血液中の糖濃度の測定方法と同様である。単位「μg/mg」(又は「mg/g」)の分母はカイコの脂肪体の質量である。
絶食させた5齢2日目のカイコを背側から解剖し、脂肪体を摘出した。摘出した脂肪体はInsect saline(130mMNaCl/5mM KCl/1mM CaCl2)で洗浄した後、質量を測定し、ペニシリン、ストレプトマイシン及びグルコースを添加したGrace’s insect medium200μL中で27℃において馴染ませた。ワートマニン(wortmanin)を用いた実験においては、同時に培地中にワートマニンを加えた。30分間の前培養の後、培地にインスリン(3mg/mL)50μLを添加し、27℃で引き続き培養を続けた。培養後、上記方法で脂肪体抽出液を調製し、脂肪体中の糖濃度の測定を行い、脂肪体の質量当たりの糖取り込み量を算出した。単位「μg/mg」の分母はカイコの脂肪体の質量である。
カイコから摘出した脂肪体を、Insect saline(130mMNaCl/5mM KCl/1mM CaCl2)で洗浄した後、ペニシリン、ストレプトマイシンを添加したGrace’s insect medium200μL中で27℃において馴染ませた。ワートマニン(wortmanin)を用いた実験においては、同時に培地中にワートマニンを加えた。30分間の前培養の後、培地にインスリン(3mg/mL)を50μL添加し、27℃で1時間培養した。脂肪体をInsect saline(130mMNaCl/5mMKCl/1mMCaCl2)で洗浄した後、NP−40 lysis buffer(10mMTris/HCl(pH=7.5)、150mMNaCl、0.5mM EDTA、1mM DTT(ジチオスレイトール)、1%NP−40、10mMNaF、1mMNa3VO4)250μLの溶液と混合し、20秒間、超音波処理した。その後、TCA沈殿を行い、タンパク質をSDS電気泳動し、PVDFメンブレンに移行させた。抗Akt抗体及び抗リン酸化Akt抗体を用いてウエスタンブロットを行い、脂肪体のリン酸化Akt量(リン酸化Akt量/全Akt量)を測定した。
実施例4、実施例5及び実施例9において、5齢1日目のカイコの第5体節の模様部に、被検物質をそれぞれ所定量含む0.05mLの生理食塩水を注射した。また、対照としては、それぞれ同量である0.05mLの生理食塩水のみを注射した。注射筒(1mL)と注射針(27Gx3/4)はテルモ株式会社製を使用した。
カイコに糖を含む餌を摂取させることにより、カイコの血糖値が上昇するか否かを検討した。5齢1日目のカイコを、「絶食群」、「通常飼料給餌群」、「15%(w/w)グルコース添加飼料給餌群」に分け、それぞれ10匹に対し、27℃で、15%(w/w)のグルコースを含む餌を1日間及び3日間与えた。その後、血糖値(hemolymph sugar)(mg/mL)及び脂肪体中の糖濃度(μg/mg)を測定した。その結果を、それぞれ図1(A)及び図1(B)に示す。
5齢1日目のカイコに対し、それぞれ、3匹ずつに、グルコース33%(w/w)を含む餌(33%Glucose Diet)を摂取させたときの血糖値の経時的推移を調べた。すなわち、給餌開始前、給餌開始30分後、60分後、180分後のカイコの血糖値をそれぞれ同様にして測定した。結果を図2に示す。
餌に含まれる糖の含有割合を変化させて、カイコの血糖値の変動を調べた。すなわち、5齢1日目のカイコを、「通常飼料給餌群」、「8%(w/w)グルコース添加飼料給餌群」、「16%(w/w)グルコース添加飼料給餌群」、「33%(w/w)グルコース添加飼料給餌群」に分けて、それぞれ3匹ずつを27℃で飼育し、給餌開始後60分後に血糖値を測定した。結果を図3に示す。同様にして給餌開始後180分後の血糖値を測定した。結果を図9に示す。
実施例1〜3及び実施例7〜9で、カイコを高血糖状態にする条件が見出された。次に、臨床において用いられる血糖降下薬が、高血糖状態のカイコの血糖値を低下させるか否かを検討した。5齢1日目のカイコ(体重1±0.1g)に、16%(w/w)グルコース添加飼料を与え、27℃で60分間飼育後、それぞれ3匹ずつ、血液中に「生理食塩水0.05mLを投与」及び「組み換え型ヒトインスリン0.36mgを含有する0.05mLの生理食塩水溶液を投与」し、投与から6時間後に血液を採取し、糖濃度の定量を行った。結果を図4に示す。
臨床において用いられる、ヒトの血糖降下薬であるメトホルミンが、高血糖状態のカイコの血糖値を低下させるか否かを検討した。メトホルミンは、解糖の促進を作用機序とするビグアナイド系の血糖降下薬として知られているものである。すなわち、実施例4において、「組み換え型ヒトインスリン0.36mg/生理食塩水0.05mL」の代わりに、「メトホルミン0.1mg/生理食塩水0.05mL」を投与した以外は、実施例4と同様の操作をし、その後、糖濃度の定量を行った。結果を図5に示す。
次に、インスリンのカイコの血糖値降下作用のED50値の算出を試みた。5齢1日目のカイコに9%(w/w)グルコース添加飼料を与え、27℃で60分間飼育後、生理食塩水、及び組み換え型ヒトインスリン(0.005mg〜0.5mg)を投与し、6時間後に血液を採取し、血中の糖濃度を定量した。3%(w/w)グルコース添加飼料群の血糖値まで低下したときを100%とした相対的な血糖値降下率のグラフを図6に示す。
5齢1日目のカイコに対し、それぞれ、3匹ずつに、グルコース15%(w/w)を含む餌を摂取させたときの血糖値及びカイコの血液中のグルコース濃度の経時的推移を調べた。すなわち、給餌開始前、給餌開始30分後、60分後、180分後のカイコの血糖値及びカイコの血液中のグルコース濃度をそれぞれ同様にして測定した。結果を図7に示す。次に、カイコに27℃で60分間グルコース12%(w/w)を含む餌を摂取させた後、絶食させたときのカイコの血糖値の経時的推移を調べた。すなわち、給餌前、給餌開始1時間後(絶食開始0時間後)、絶食開始2時間後、5時間後、8時間後のカイコの血糖値をそれぞれ同様にして測定した。結果を図8に示す。
5齢1日目のカイコ、それぞれ3匹ずつに、通常飼料又は5%、10%、15%、30%(w/w)グルコース添加飼料をそれぞれ与え、27℃で3日間飼育後のカイコの体長、体重、血糖値を測定した。また、5齢1日目のカイコに同条件下、何も飼料を与えないで飼育後、同様にして体長、体重、血糖値を測定した。結果を図10に示す。
5齢1日目のカイコ(体重1±0.1g)に、12%(w/w)グルコース添加飼料を与え、27℃で60分間飼育後、それぞれ3匹ずつ、血液中に「生理食塩水0.05mLを投与」又は「組み換え型ヒトインスリン0.36mgを含有する0.05mLの生理食塩水溶液を投与」し、投与から1時間後、3時間後、6時間後に血液を採取し、血糖値を測定した。更に、5齢1日目のカイコに、12%(w/w)グルコース添加飼料を与え、27℃で60分間飼育後、それぞれ3匹ずつ、血液中に「組み換え型ヒトインスリン(0.005mg〜0.5mg)を含有する0.05mLの生理食塩水溶液を投与」し、6時間後に血液を採取し、血糖値を測定した。図11(b)における単位「μg/g」の分母はカイコの体重である。結果を図11に示す。
5齢1日目のカイコ、それぞれ3匹ずつに、12%(w/w)グルコース添加飼料を与え、27℃60分間飼育後、「生理食塩水1mLのみ」又は「AICAR4mg/生理食塩水1mL」を投与し、6時間後に血液を採取し、血糖値を測定した。また、5齢1日目のカイコの脂肪体を摘出し、500μMのAICARを50μL加え、6時間処理後、脂肪体中のAMPK活性を、AMPKの人工基質であるSAMSペプチドにγ32P−ATPのリン酸を付加する反応を用いて測定した。結果を図12に示す。
5齢1日目のカイコ、それぞれ3匹ずつに、通常飼料(Normal Diet;ND)、12%(w/w)グルコース添加飼料(Glucose Diet;GD)及び12%(w/w)グルコース添加飼料(Glucose Diet;GD)と、組み換え型ヒトインスリン3.5mg/mLを50μL、12時間ごとに5回注射し、27℃4日間飼育後、カイコの体長、体重を測定した。結果を図13に示す。
Claims (4)
- 被検物質がヒトの血糖値を降下させる物質であるか否かを評価する方法であって、
(a)カイコに糖(A)を摂取させることによって、該カイコの脂肪体中又は血液中の糖(B)濃度を上昇させる工程、
(b)上記工程(a)で得られた、脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度が上昇したカイコに、上記被検物質を投与する工程、
(c)上記被検物質が投与されたカイコの脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度を測定する工程、
を有することを特徴とする方法。 - ヒトの血糖値を降下させる物質をスクリーニングする方法であって、
(a)カイコに糖(A)を摂取させることによって、該カイコの脂肪体中又は血液中の糖(B)濃度を上昇させる工程、
(b)上記工程(a)で得られた、脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度が上昇したカイコに、被検物質を投与する工程、
(c)上記被検物質が投与されたカイコの脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度を測定する工程、
(d)上記被検物質の中から、該カイコの脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度を低下させる物質を選択する工程、
を有することを特徴とする方法。 - ヒトの血糖値を降下させる薬剤を製造する方法であって、
(a)カイコに糖(A)を摂取させることによって、該カイコの脂肪体中又は血液中の糖(B)濃度を上昇させる工程、
(b)上記工程(a)で得られた、脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度が上昇したカイコに、被検物質を投与する工程、
(c)上記被検物質が投与されたカイコの脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度を測定する工程、
(d)上記被検物質の中から、該カイコの脂肪体中又は血液中の糖(B)の濃度を低下させる物質を選択する工程、
(e)上記工程(d)で選択された物質と製薬上許容される担体を混合する工程、
を有することを特徴とする方法。 - カイコに摂取させる糖(A)が、グルコース、スクロース、オリゴ糖、グリコーゲン又はでんぷんである請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の方法。
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