JP4822204B2 - 血糖降下薬作用予測システム - Google Patents

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Description

本発明は、シミュレーションにより、ヒトまたはヒト以外の哺乳動物に対する血糖降下薬の作用を予測するための血糖降下薬作用予測システムに関するものである。
ヒトまたはヒト以外の哺乳動物の生体内では、血糖は厳密に制御されており、その破綻は糖尿病を引き起こす。厚生労働省の糖尿病実態調査によれば、平成14年には、糖尿病患者数は、その予備軍を含めれば1620万人にもなると報告されている。これらの糖尿病患者の多くは抗糖尿病薬を服用しているが、血糖降下薬であるスルホニル尿素薬(以下「SU薬」という)とその関連薬は、糖尿病の薬物治療において最も広く使用されている抗糖尿病薬である。
しかしながら、現在、血糖降下薬の種類および投与量の決定には客観的な選択基準が無く、医師の経験的な判断に大きく依存しているのが現実である。また、血糖降下薬は低血糖や心血管系への副作用を生じさせるとの指摘もある。したがって、インスリン分泌促進薬の作用および副作用を事前に予測することができるシステムを確立することは、医療において極めて重要な課題である。
血糖降下薬は、膵臓のβ細胞を直接刺激してインスリンの分泌を促進し、血糖を低下させるということが知られている。最近のノックアウトマウスを用いた実験によれば、ある種の血糖降下薬は、そのインスリン分泌促進作用に加えて、筋肉や肝臓などといった膵臓以外の組織に作用して血液中の糖の取込みを促進する作用も有すると考えられる。
血糖制御モデルは、1961年にボリー(Bolie)が提唱して以来(非特許文献1参照)、50種類を超えるモデルが報告されている。とくに、1979年に発表されたバーグマン(Bergman)によるミニマルモデル(Minimal Model)は、糖尿病患者固有のインスリン感受性やインスリン非依存性の糖取込みを評価することが可能であり、現在も臨床分野で利用されている(非特許文献2参照)。
Bolie, V.W.: "Coefficient of normal blood glucose regulation(正常な血糖制御の係数)" J. Appl. Physiol.: 783-789 (1961) Bergman, R.N., et al.: "Quantitative estimation of insulin sensitivity(インスリン感受性の定量的な予測)" Am. J. Physiol., 236: E667-E677 (1979)
しかしながら、従来の血統制御モデルは、いずれも血糖反応とインスリン反応との関係をモデル化したものであり、血糖降下薬等の薬物による血糖制御作用を含めたモデルは存在しない。
患者に最適な血糖降下薬の投与法の選択基準を確立するには、薬物、血糖およびインスリンについての3つの反応を同時に検討ないしは考慮し、薬剤と病態との関係を明らかにしなければならない。
本発明は、上記従来の問題を解決するためにされたものであって、血糖降下作用を有する薬物の血糖値および血漿または血清インスリン値に及ぼす作用を定量化し、薬物の差別化および病態に応じた薬物の選択論拠の提示を可能とする手段を提供することを解決すべき課題とする。
上記課題を解決するためになされた本発明に係る血糖降下薬作用予測システムは、データ入力手段と、定数演算手段と、定数出力手段とを備えている。データ入力手段は、ヒトその他の哺乳動物である特定の生体に血糖降下薬を投与して得られた血糖値および血漿または血清インスリン値を含む測定データを入力するためのものである。定数演算手段は、生体内における血糖制御作用および血糖降下薬の作用をあらわすシミュレーションモデルを有している。このシミュレーションモデルは、血糖値に対応する変数と、血漿または血清インスリン値に対応する変数と、末梢組織インスリン量(濃度)に対応する変数と、血糖降下薬濃度に対応する変数と、血糖降下薬および/または生体に固有の定数とを含んでいる。そして、定数演算手段は、データ入力手段から生体測定データを受け取り、該生体測定データとシミュレーションモデルとに基づいて、上記定数を演算ないしは推定する。また、定数出力手段は、定数演算手段によって演算ないしは推定された上記定数を出力する。上記シミュレーションモデルは、生体内におけるインスリン分泌機構を、血糖値に比例して変化する要素と血糖値の微分値に比例して変化する要素とに分割し、各要素に対してそれぞれ血糖降下薬が作用を及ぼすようなシミュレーションを行うようになっている。
本発明に係る血糖降下薬作用予測システムにおいては、データ入力手段に入力される生体測定データは、特定の生体にグルコースおよび血糖降下薬を投与して得られたものであるのが好ましい。また、生体測定データは、血漿または血清中の血糖降下薬濃度値を含んでいるのがより好ましい。
本発明に係る血糖降下薬作用予測システムにおいては、シミュレーションモデルは、生体内における糖代謝機構を、インスリン依存性の糖取込みを行う要素と、インスリン非依存性の糖取込みを行う要素とに分割し、各要素に対してそれぞれ血糖降下薬が作用を及ぼすようなシミュレーションを行うようになっているのがより好ましい。また、シミュレーションモデルは、生体内における血糖降下薬の作用ないしは動態を、膵臓内作用によるコンパートメントと、膵臓外作用によるコンパートメントとに分割し、各コンパートメントがそれぞれ血糖降下作用を発現ないしは発揮するようなシミュレーションを行うようになっているのがさらに好ましい。
本発明によれば、血糖降下作用を持つ薬物の差別化が可能となり、創薬面においては創薬過程の効率がよくなり、新たな血糖降下薬の開発も迅速に行うことができる。さらに、臨床面においては、糖尿病の病態に応じた薬物の選択論拠を提供することができる。
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施の形態を具体的に説明する。
図1に示すように、本発明に係る血糖降下薬作用予測システム1(以下、略して「予測システム1」という)は、コンピュータシステム(例えば、パーソナルコンピュータ)からなり、入力装置2(データ入力手段)と、記憶装置3aおよびCPU3b(中央処理装置)を有するコンピュータ本体部3(定数演算手段)と、出力装置4(定数出力手段)とを備えている。
入力装置2は、オペレータがコンピュータ本体部3に種々の情報ないしはデータを入力するためのものであって、キーボード、マウス等(図示せず)で構成されている。この予測システム1において、入力装置2は、ヒトまたはヒト以外の哺乳動物である特定の生体に血糖降下薬およびグルコースを投与して得られた血糖値および血漿または血清インスリン値を含む測定データ(以下「生体測定データ」という)を入力するためにも用いられる。なお、この生体測定データは、血漿または血清中の血糖降下薬濃度値を含んでいるのが好ましい。
コンピュータ本体部3を構成する記憶装置3aは、詳しくは図示していないが、RAMおよびROMを備えた主記憶装置と、ハードディスク、フロッピーディスク、CD、DVD等の補助記憶装置とで構成されている。この記憶装置3aは、普通のコンピュータ用の記憶装置が一般に記憶している、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションソフトをはじめとする種々の情報ないしはデータのほか、ヒトまたはヒト以外の哺乳動物の生体内における血糖制御作用および血糖降下薬の作用をあらわすシミュレーションモデル(以下「血糖降下薬作用モデル」という)を記憶している。
図2に示すように、この血糖降下薬作用モデルは、血糖値(全血または血漿、血清中グルコース)をあらわす変数G(t)と、血漿または血清中インスリン値をあらわす変数I(t)と、末梢組織インスリン量(濃度)をあらわす変数P(t)と、血漿または血清中ないしは末梢中の血糖降下薬濃度をあらわす変数S(t)、U(t)と、血糖降下薬および/または生体に固有の複数の定数とを含んでいる。なお、図2は、生体の血糖制御系にグルコースおよびSU薬が投与された場合における、血糖制御系の挙動ないしは動作ならびに関連する物質の濃度変化および作用を示している。
CPU3bは、詳しくは図示していないが、演算装置および制御装置を備えていて、種々の演算を行うとともに、該コンピュータシステムを構成する各要素を制御する。このCPU3bは、コンピュータシステムの中央処理装置としての一般的な演算および制御を行うほか、入力装置2から生体測定データを受け取り、この生体測定データと血糖降下薬作用モデルとに基づいて、特定の生体および/または血糖降下薬に固有の定数を演算ないしは推定する。
出力装置4は、ディスプレイ、プリンタ等(図示せず)で構成され、種々の情報(例えば、各種演算結果等)ないしはデータを出力ないしは表示する。この予測システム1において、出力装置4は、コンピュータ本体部3(CPU3b)によって演算された特定の生体および/または血糖降下薬に固有の定数も出力ないしは表示する。
この予測システム1で用いる生体測定データの採取は、例えば、ヒトまたはヒト以外の哺乳動物である生体に、所定量のグルコースと血糖降下薬とを所定の時間間隔をあけてパルス的に注入する一方、グルコースを注入する時点のやや前から所定期間、間欠的に採血を行い、血糖値および血漿または血清インスリン値(必要かつ可能であれば、血糖降下薬濃度も)を測定するといった手順で行われる。
この予測システム1において、血糖降下薬作用モデルは、次の式1〜式5(連立常微分方程式)であらわされる。なお、式1〜式5において、D1〜D7およびQ1〜Q2は生体に固有の定数であり、R1〜R5は血糖降下薬に固有の定数である。
[数1]
dG/dt=Aδ(t)-[Q1+R3・U(t)]・G(t)-D4・P(t)・Q2・G(t)………………式1

dG/dt:血糖値変化量
G,G(t):血糖値(血糖濃度)
t:時間
Aδ(t):グルコース注入量
δ(t):パルス関数(デルタ関数)
Q1:インスリン非依存糖取込量
R3・U(t):末梢降下薬膵外作用
U(t):末梢中血糖降下薬濃度
D4・P(t)・Q2・G(t):インスリン依存糖取込量
P(t):末梢組織インスリン量
[数2]
dI/dt=[D1+R2・U(t)]・dG/dt+[D2+R2・U(t)]・G(t)-D6・I(t)……式2

dI/dt:インスリン値変化量
I,I(t):血漿または血清インスリン値(血漿または血清インスリン濃度)
t:時間
D1:グルコース初期分泌量
R2・U(t):血糖降下薬初期分泌量
U(t):末梢中血糖降下薬濃度
dG/dt:血糖値変化量
G,G(t):血糖値(血糖濃度)
D2:グルコース後期分泌量
R2・U(t):血糖降下薬後期分泌量
D6・I(t):インスリン代謝・分解量
[数3]
dP/dt=D7・I(t)-D5・P(t)………………………………………………式3

dP/dt:末梢組織インスリン変化量
X,X(t):末梢組織インスリン量
t:時間
D7・I(t):血中から末梢へのインスリンの移行量
I(t):血漿または血清インスリン値(血漿インスリン濃度)
D5・P(t):末梢インスリン代謝・分解量

[数4]
dS/dt=Bδ(t)-R1・S(t)…………………………………………………式4

dS/dt:血中血糖降下薬SU薬変化量
S,S(t):血中血糖降下薬濃度
t:時間
Bδ(t):血糖降下薬投薬量
δ(t):パルス関数(デルタ関数)
R1・S(t):血中血糖降下薬の代謝量
[数5]
dU/dt=R5・S(t)-R4・U(t)………………………………………………式5

dU/dt:末梢中血糖降下薬変化量
U,U(t):末梢中血糖降下薬濃度
t:時間
R5・S(t):血中から末梢への血糖降下薬の移行量
R4・U(t):末梢から血中への血糖降下薬の移行量
式1〜式5であらわされる血糖降下薬作用モデルにおいては、式1から明らかなとおり、生体内における糖代謝機構を、インスリン依存性の糖取込みを行う要素(D4・P(t)・Q2・G(t))と、インスリン非依存性の糖取込みを行う要素(Q1)とに分割ないしは分離し、各要素に対してそれぞれ血糖降下薬が作用を及ぼすようにしている。また、式2から明らかなとおり、生体内におけるインスリン分泌機構を、血糖値に比例して変化する要素([D2+R2・U(t)]・G(t))と、血糖値の微分値に比例して変化する要素([D1+R2・U(t)]・dG/dt)とに分割し、各要素に対してそれぞれ血糖降下薬が作用を及ぼすようにしている。なお、この血糖降下薬作用モデルでは、図2から明らかなとおり、生体内における血糖降下薬の作用を、膵臓内作用によるコンパートメントと膵臓外作用によるコンパートメントとに分割し、各コンパートメントがそれぞれ血糖降下作用を発現ないしは発揮するようにしている。
従来、血糖降下作用をもつ薬剤(血糖降下薬)は数多く開発されている。
図3に、主作用として血糖降下作用をもつ薬剤の具体例であるトルブタミド、グリクラザイド、グリベンクラミドおよびグリメピリドの化学構造を示す。本発明に係る予測システム1は、インスリン分泌を促進する薬物とインスリンの感受性を改善する薬物(インスリン抵抗性改善薬とも呼ばれる)の両方に適用することができる。さらに、この予測システム1は、主作用ではなく副作用としてこのような作用をもつ薬物にも適用することが可能である。
以下、本発明に係る予測システム1を用いて特定の生体および/または血糖降下薬に固有の定数を演算ないしは推定する方法を説明する。まず、ヒトまたはヒト以外の哺乳動物に、グルコースおよび血糖降下薬を経口または経静脈で負荷する。そして、負荷のやや前から経時的ないしは間欠的(例えば、数分間隔)に採血を行い、血糖値および血漿または血清インスリン値を測定する。可能であれば血中の血糖降下薬濃度も測定する。なお、このようにして得られた生体測定データ、すなわち血糖値および血漿または血清インスリン値には実験誤差が含まれる。このため、必要であれば、最小二乗法によるカーブフィッティングを行い、生体測定データを補正する。
次に、血糖降下薬作用モデル(式1〜式5)を用いて、生体測定データ、すなわち血糖値および血漿または血清インスリン値(場合によっては血糖降下薬濃度も)に基づいて特定の生体および/または血糖降下薬に固有の定数を演算ないしは推定する。具体的には、例えば、生体測定データ(血糖値、血漿または血清インスリン値、場合によっては血糖降下薬濃度)から、複数の時点における生体測定データの値およびその微分値を算出して式1〜式4に代入し、上記定数を未知数とする連立代数方程式をつくり、その解(未知数)を求めるなどといった一般に用いられている数値解析手法により上記定数を決定する。これらの定数は、例えば、特定の生体に固有の評価値および/または血糖降下薬に固有の評価値を算出するために用いられる。図2にその概念を示す本発明に係る血糖降下薬作用モデルは、以下のような特徴をもつ。
すなわち、この血糖降下薬作用モデルでは、血糖制御系を、インスリンを分泌する膵臓とインスリンの標的組織である肝臓、筋肉、脂肪等とが別のコンポーネントとして区別された循環系システムとして計算を行うようにしている。インスリン分泌は血糖上昇によって引き起こされるが、実験により、インスリン分泌には第1相および第2相の2つの分泌メカニズムが存在することが判明している。そこで、この血糖降下薬作用モデルでは、式2からも明らかなとおり、インスリン分泌を、初期分泌コンポーネントと後期分泌コンポーネントとに分割して表現している。ただし、今後の実験ないしは研究の進展によって新たな知見が生じた場合は、コンポーネントを追加してもよい。
血糖降下薬の中でインスリン分泌促進薬は、その標的分子である膵臓のKATPチャネルに直接作用しインスリンの分泌を促進する。そこで、この血糖降下薬作用モデルでは、インスリン分泌促進薬は初期分泌コンポーネントおよび後期分泌コンポーネントの分泌作用を増強するものとしている。
肝臓や筋肉における糖の取込み機構としては、インスリン依存性の糖取込み機構と、インスリン非依存性の糖取込み機構とが存在する。そこで、この血糖降下薬作用モデルでは、両方の糖取込み機構を組みこんでいる。また、この血糖降下薬作用モデルでは、血糖降下薬の中でインスリン抵抗性改善薬は、インスリン依存性糖取り込みおよびインスリン非依存性の糖取り込みの両方を促進しているものと考えてモデル化を行っている。ただし、今後の実験ないしは研究の進展によって新たな知見が生じた場合は、コンポーネントを追加してもよい。
また、ある種のインスリン分泌促進薬は、インスリン分泌を促進するだけでなく、末梢組織における糖取り込み(すなわち、膵外作用)も促進する。そこで、この血糖降下薬作用モデルでは、インスリン分泌促進薬がインスリン非依存的糖取り込みこみおよびインスリン依存的糖取込を促進するものとしてモデルを構築している。このようにして得られた評価値に基づいて、抗糖尿病薬の作用、糖尿病などの代謝性疾患の病態を判断することが可能となる。
図4に、インスリン分泌促進作用および膵外作用についての、トルブタミド、SU薬A、SU薬BおよびSU薬Cに対する評価値の一例を示す。なお、図4において、「+」は作用があることを示し(「+」の数が多いほど作用が強い)、「−」は作用がないことを示している。例えば、トルブタミドおよびSU薬Aでは膵外作用は認められないが、SU薬BおよびSU薬Cでは膵外作用が認められる。図4から明らかなとおり、この血糖降下薬作用モデルによれば、SU薬の作用の差別化が可能となる。
図5(a)、(b)は、それぞれ、血糖降下薬としてトルブタミドを用いた場合における、血糖反応およびインスリン反応についての、血糖降下薬作用モデル(式1〜式5)によるシミュレーション結果と実験値とを示したグラフである。図5(a)、(b)から明らかなとおり、シミュレーション結果は実験値とほぼ一致している。したがって、血糖降下薬としてトルブタミドを用いる場合は、本発明に係る血糖降下薬作用モデル(式1〜式5)は、血糖降下薬の作用を考慮した生体の血糖制御系の動態を正確にあらわしているといえる。
図6(a)、(b)は、それぞれ、血糖降下薬としてSU薬Aを用いた場合における、血糖反応およびインスリン反応についての、血糖降下薬作用モデル(式1〜式5)によるシミュレーション結果と実験値とを示したグラフである。なお、図6(a)、(b)には、膵外作用がある場合および膵外作用がない場合のシミュレーション結果を示している。図6(a)、(b)から明らかなとおり、膵外作用がない場合のシミュレーション結果は実験値とほぼ一致している。したがって、血糖降下薬としてSU薬Aを用いる場合、膵外作用を考慮しない血糖降下薬作用モデル(式1〜式5)は、血糖降下薬の作用を考慮した生体の血糖制御系の動態を正確にあらわすといえる。
図7(a)、(b)は、それぞれ、血糖降下薬としてSU薬Bを用いた場合における、血糖反応およびインスリン反応についての、血糖降下薬作用モデル(式1〜式5)によるシミュレーション結果と実験値とを示したグラフである。なお、図7(a)、(b)には、膵外作用がある場合および膵外作用がない場合のシミュレーションを示している。図7(a)、(b)から明らかなとおり、膵外作用がある場合のシミュレーション結果は実験値とほぼ一致している。したがって、血糖降下薬としてSU薬Bを用いる場合、膵外作用を考慮している血糖降下薬作用モデル(式1〜式5)は、血糖降下薬の作用を考慮した生体の血糖制御系の動態を正確にあらわすといえる。
以上、本発明に係る予測システム1によれば、血糖降下薬作用モデルを用いて、ヒトまたはヒト以外の哺乳動物である特定の生体についての生体測定データ(血糖値、血漿または血清インスリン値、場合によっては血糖降下薬濃度)から、該生体に固有の定数と、用いるべき血糖降下薬に固有の定数とを容易に演算ないしは推定することができる。そして、生体に固有の定数に基づいて、この特定の生体の血糖制御系の状態ないしは態様、例えば糖尿病の有無ないしは態様等を評価することができる。また、血糖降下薬に固有の定数に基づいて、用いるべき血糖降下薬の該生体に対する作用、効果等を評価することができる。
かくして、この予測システム1によれば、血糖降下作用を持つ薬物の差別化が可能となり、創薬面においては創薬過程の効率がよくなり、新たな血糖降下薬の開発も迅速に行うことができる。さらに、臨床面においては、糖尿病の病態に応じた薬物の選択論拠を提供することができる。
本発明に係る血糖降下薬作用予測システムの構成を示すブロック図である。 図1に示す血糖降下薬作用予測システムで用いられる血糖降下薬作用モデルの概要を示すブロック図である。 血糖降下薬であるトルブタミド、グリクラザイド、グリベンクラミドおよびグリメピリドの化学構造を示す図である。 トルブタミド、SU薬A、SU薬BおよびSU薬Cに対する評価値の一例を示す図である。 (a)および(b)は、それぞれ、血糖降下薬としてトルブタミドを用いた場合における、血糖反応およびインスリン反応についての、シミュレーション結果と実験値とを示したグラフである。 (a)および(b)は、それぞれ、血糖降下薬としてSU薬Aを用いた場合における、血糖反応およびインスリン反応についての、シミュレーション結果と実験値とを示したグラフである。 (a)および(b)は、それぞれ、血糖降下薬としてSU薬Bを用いた場合における、血糖反応およびインスリン反応についての、シミュレーション結果と実験値とを示したグラフである。
符号の説明
1 血糖降下薬作用予測システム、2 入力装置、3 コンピュータ本体部、3a 記憶装置、3b CPU、4 出力装置。

Claims (5)

  1. ヒトまたはヒト以外の哺乳動物である特定の生体に血糖降下薬を投与して得られた血糖値および血漿または血清インスリン値を含む生体測定データを入力するためのデータ入力手段と、
    血糖値に対応する変数と、血漿または血清インスリン値に対応する変数と、末梢組織インスリン量に対応する変数と、血糖降下薬濃度に対応する変数と、血糖降下薬および/または生体に固有の定数とを含み、生体内における血糖制御作用および血糖降下薬の作用をあらわすシミュレーションモデルを有していて、上記データ入力手段から上記生体測定データを受け取り、該生体測定データと上記シミュレーションモデルとに基づいて、上記定数を演算する定数演算手段と、
    上記定数演算手段によって演算された上記定数を出力する定数出力手段とを備えていて、
    上記シミュレーションモデルが、生体内におけるインスリン分泌機構を、血糖値に比例して変化する要素と血糖値の微分値に比例して変化する要素とに分割し、各要素に対してそれぞれ血糖降下薬が作用を及ぼすようなシミュレーションを行うようになっていることを特徴とする血糖降下薬作用予測システム。
  2. 上記データ入力手段に入力される上記生体測定データが、上記特定の生体にグルコースおよび血糖降下薬を投与して得られたものであることを特徴とする、請求項1に記載の血糖降下薬作用予測システム。
  3. 上記生体測定データが血漿または血清中の血糖降下薬濃度値を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の血糖降下薬作用予測システム。
  4. 上記シミュレーションモデルが、生体内における糖代謝機構を、インスリン依存性の糖取込みを行う要素と、インスリン非依存性の糖取込みを行う要素とに分割し、各要素に対してそれぞれ血糖降下薬が作用を及ぼすようなシミュレーションを行うようになっていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1つに記載の血糖降下薬作用予測システム。
  5. 上記シミュレーションモデルが、生体内における血糖降下薬の作用を、膵臓内作用によるコンパートメントと、膵臓外作用によるコンパートメントとに分割し、各コンパートメントがそれぞれ血糖降下作用を発現するようなシミュレーションを行うようになっていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1つに記載の血糖降下薬作用予測システム。
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