以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るLEDバックライト(バックライト装置)の構成を示す図である。図1(a)は、LEDバックライトの概略正面図であり、図1(b)は、LEDバックライトの概略側面図である。本実施の形態は、例えば、液晶ディスプレイのバックライトとして用いられ、画面が垂直となるように液晶ディスプレイを設置した状態で、画面上方の輝度を特に高くするようにしたLEDバックライトに関するものである。図1の上下方向は、LEDバックライトが用いられる液晶表示装置を設置した状態における上下方向、つまり、画面の上下方向に対応している。
図1において、LEDバックライト100は、複数のLED110と、複数のLED110が配置された基板120と、LED110の光の出射側に配置された拡散板130とを主として有する。複数のLED110は、例えば、白色LEDである。基板120は、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁性を有する材料を用いた、平板状のプリント基板である。拡散板130は、平板状のアクリル板であり、複数のLED110から出射された光を入射する入射面131と、入射面131に対向配置された出射面132とを有する。拡散板130は、表面拡散、内部拡散、またはこれらの組み合わせにより、入射面131に入射した光を拡散させて、出射面132から出射する。
LED110は、図中で拡散板130の上方に行くほどより密集して配置されている。具体的には、LED110は、拡散板130の上端からの距離に反比例する配置密度で、基板120に取り付けられている。
基板120は、図中で下方に行くほど拡散板130との間隔が広くなるように、拡散板130に対して傾斜した角度で配置されている。これにより、LED110から拡散板130の入射面131までの距離(以下「光源距離」という。)は、図中で下方に行くほど長くなっている。
ここで、配置密度と光源距離の二乗とを掛け合わせた値が一定となるように、光源距離を設定するものとする。これは、LED110をピッチdで正方配列して輝度むらが許容レベルとなる最短光源距離をTとすると、ピッチdと最短光源距離Tは比例関係となることに基づいている。ここで、LEDバックライト100は、ピッチdと最短光源距離Tの比をαとすると以下の式(1)を満たす。
T/d=α ・・・・・・(1)
この場合、配置密度Dは、D=1/d^2となる。したがって、密度Dと最短光源距離Tとの関係は、α^2=kと置くと、以下の式(2)を満足する。
D×T^2=k ・・・・・・(2)
本実施の形態のLEDバックライト100は、配置密度が上方から下方に向けて変化するとともに、傾斜配置され各領域範囲で輝度むらが許容レベルとなる最短光源距離となるよう光源距離が変化している。LEDバックライト100は、最も上方に位置するLED110の光源距離をTh、配置密度をDhと置き、最も下方に位置するLED110の光源距離をTl、配置密度をDlと置いたとき、以下の式(3)を満たす。
k=Dh×Th^2= Dl×Tl^2 ・・・・・・(3)
また、上記式(3)を満たす数値例を、以下に示す。但し、配置密度Dh、Dlは、基板120における一辺50mmの正方領域を基準とし、距離Th、Tlは、正方領域の中心位置から拡散板130の入射面131までの距離である。
k=0.64
Dh=0.0064[個/mm^2]
Dl=0.0016[個/mm^2]
Th=10[mm]
Tl=20[mm]
上記式(3)を満たすようにLEDバックライト100を構成することにより、光源距離を一定とした構成に比べて、また、図中で下方に行くほど光源距離を短くした構成に比べて、出射面132の輝度むらが低減される。
以上説明したように、本実施の形態によれば、配置密度が低い位置ほど、LED110から拡散板130までの距離が長くなり、光源の出射光はより大きく拡散されて拡散板130に入射する。これにより、拡散板130の入射面131における照射領域が拡大するので、拡散板130の出射面132における輝度むらを低減することができる。
また、LED110の配置密度が拡散板130の上端からの距離に反比例しているので、最も上方に位置するLED110の光源距離と最も下方に位置するLED110の光源距離の設定という簡単な設定内容により、上記した輝度むらの低減を実現することができる。
また、拡散板130の上方でLED110の配置密度が高い場合において輝度むらを低減することができるので、拡散板130の上方で高い輝度を確保する場合において、輝度むらを低減することができる。すなわち、出射面132の輝度むらの低減と、出射面132の上方部分の輝度向上とを両立したLEDバックライト100を提供することができる。
また、LEDバックライト100装置の外形を上方が薄い楔形状とすることができるので、LEDバックライト100を用いた液晶表示装置は、デザイン性及び設置安定性において有利である。
なお、本実施の形態では、LED110の配置密度の高低の変化の向きは、上記内容に限定されるものではない。例えば、拡散板130の下方で高い輝度を確保する場合にも、配置密度が低い位置ほど光源距離が長くなるように基板120を傾けることにより、同様に輝度むらを低減させることができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2として、LEDの配置密度が、拡散板の垂直中央部分からの距離に反比例している場合について説明する。
図2は、本発明の実施の形態2に係るLEDバックライトの構成を示す図であり、実施の形態1の図1に対応するものである。図1と同一部分には同一符号を付し、これについての説明を省略する。図2(a)は、LEDバックライトの概略正面図であり、図2(b)は、LEDバックライトの概略側面図である。
図2に示すように、LEDバックライト200において、複数のLED110は、図中で拡散板130の垂直中央部分により近いほどより密集して配置されている。具体的には、LED110は、拡散板130の垂直方向中心からの距離に反比例する配置密度で、後述の基板220に取り付けられている。
基板220は、図中で垂直中央部分から離れるほど拡散板130との間隔が広くなるような、拡散板130側に凸面を有する円筒面形状となっている。このような基板220の形状により、個々のLED110の照射範囲の面積は、拡散板130の垂直中央部分から離れるほど、つまり、LED110の配置密度が低い位置ほど大きくなる。
ここで、実施の形態1と同様に、光源距離と配置密度の二乗とを掛け合わせた値が一定となるように、光源距離を設定するものとする。すなわち、LEDバックライト200は拡散板130の垂直中央部分に位置するLED110の光源距離をTc、配置密度をDcと置き、最も上方に位置するLED110及び最も下方に位置するLED110の光源距離をTe、配置密度をDeと置いたとき、以下の式(4)を満たす。
k=Dc×Tc^2= De×Te^2 ・・・・・・(4)
また、上記式(4)を満たす数値例を、以下に示す。
k=0.64
Dc=0.0064[個/mm^2]
De=0.0025[個/mm^2]
Tc=10[mm]
Te=16[mm]
このように、本実施の形態によれば、配置密度に応じた光源距離としているので、出射面132の垂直中央部分の輝度向上と輝度ムラ低減を両立したLEDバックライト200を提供することができる。
なお、本実施の形態では、LED110の配置密度の高低の変化の向きは、上記内容に限定されるものではない。例えば、拡散板130の水平中央部分で高い輝度を確保する場合にも、配置密度が低い位置ほど光源距離が長くなるように基板の形状を設定することにより、同様に輝度むらを低減させることができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3として、LEDの配置密度が、拡散板の垂直中央部分からの距離に比例している場合について説明する。
図3は、本発明の実施の形態3に係るLEDバックライトの構成を示す図であり、実施の形態1の図1及び実施の形態2の図2に対応するものである。図1及び図2と同一部分には同一符号を付し、これについての説明を省略する。図3(a)は、LEDバックライトの概略正面図であり、図3(b)は、LEDバックライトの概略側面図である。
図3に示すように、LEDバックライト300において、複数のLED110は、図中で拡散板130の垂直中央部分からより遠いほどより密集して配置されている。具体的には、LED110は、拡散板130の垂直方向中心からの距離に比例する配置密度で、後述の基板320に取り付けられている。
基板320は、図中で垂直中央部分に近いほど拡散板130との間隔が広くなるような、拡散板130側に凹面を有する円筒面形状となっている。このような基板320の形状により、個々のLED110の照射範囲の面積は、拡散板130の垂直中央部分に近いほど、つまり、LED110の配置密度が低い位置ほど大きくなる。
ここで、光源距離と配置密度の二乗とを掛け合わせた値が一定となるように、光源距離を設定するものとする。すなわち、LEDバックライト300は、拡散板130の垂直中央部分に位置するLED110の光源距離をTc、配置密度をDcと置き、最も上方に位置するLED110及び最も下方に位置するLED110の光源距離をTe、配置密度をDeと置いたとき、以下の式(5)を満たす。
k=Dc×Tc^2= De×Te^2 ・・・・・・(5)
また、上記式(5)を満たす数値例を、以下に示す。
k=0.64
Dc=0.0025[個/mm^2]
De=0.0064[個/mm^2]
Tc=16[mm]
Te=10[mm]
このように、本実施の形態によれば、拡散板130の垂直方向における周辺部分でLED110の配置密度が高い場合において輝度むらを低減することができるので、拡散板130の垂直方向における周辺部分で高い輝度を確保する場合において、輝度むらを低減することができる。すなわち、出射面132の輝度むらの低減と、出射面132の垂直方向における周辺部分の輝度向上とを両立したLEDバックライト300を提供することができる。
なお、本実施の形態では、LED110の配置密度の高低の変化の向きは、上記内容に限定されるものではない。例えば、拡散板130の水平方向における周辺部分で高い輝度を確保する場合にも、配置密度が低い位置ほど光源距離が長くなるように基板の形状を設定することにより、同様に輝度むらを低減させることができる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4として、LEDの発光量を制御するようにしたLEDバックライトについて説明する。
図4は、本発明の実施の形態4に係るLEDバックライトの構成を示す概略構成図である。
図4において、LEDバックライト400は、複数のLED110を、水平方向において均一な配置密度で、かつ、垂直方向において不均一な配置密度で、配置している。すなわち、実施の形態1と同様のLED110の配置密度分布となっている。また、LEDバックライト100は、複数のLED110の発光量を制御するLED駆動部440を有する。
LED駆動部440は、水平方向に並んだ複数のLED110を1ブロックとして、入力された制御信号に応じて、ブロックごとに、各LED110の発光量を制御する。
このような構成により、LED110の配置密度分布に適合させて、LED110の発光量制御を行うことができ、所望の輝度分布を効率良く得ることができる。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5として、実施の形態4に係るLEDバックライトを用いた液晶表示装置について説明する。
図5は、本発明の実施の形態5に係る液晶表示装置の構成を示す概略構成図である。
図5において、液晶表示装置500は、実施の形態4に係るLEDバックライト400と、液晶ユニット550とを有する。図4と同一部分には同一符号を付し、これについての説明を省略する。
液晶ユニット550は、LEDバックライト400によって照明され、LEDバックライト400からの出射光の観察者側への到達状態を制御する。液晶ユニット550は、液晶パネル551と、液晶ドライバ552とを有する。
液晶パネル551は、透過型又は半透過型の液晶パネルである。液晶パネル551は、LEDバックライト400から発せられた光を透過し、この透過光を、表示画面たる前面から出射する。
液晶ドライバ552は、液晶パネル551を駆動する駆動電圧を、液晶パネル551の表示画面に表示されるべき映像を示すディジタル信号である映像信号に基づいて制御し、これにより液晶パネル551の透過率を制御する。この制御の結果として、液晶パネル551は映像を表示する。
LEDバックライト400は、実施の形態4で説明した通り、ブロックごとにLED110の発光量を制御する。一方で、液晶パネル551は、光の透過率をゼロにすることはできない。したがって、ブロックごとにLED110の発光量を最小限に抑えることにより、画面の黒表示の部分の輝度である黒輝度を低減することができ、画面のコントラストの向上を図ることができる。
このように、本実施の形態によれば、輝度むらのない所望の輝度分布の映像を高いコントラストで表示することができ、消費電力を低減することができる。また、上述のように上方が薄い楔形状のLEDバックライト400を採用した場合には、液晶表示装置500の外形も同様の楔形状とすることができ、デザイン性及び設置安定性において有利である。
なお、以上説明した各実施の形態では、光源がLEDである場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、光源が、半導体レーザ、ガスレーザ、固体レーザ、ファイバレーザ及びランプ等の各種点光源や、冷陰極管等の各種線光源を不均一な分布で配置する場合にも、本発明を適用することができる。
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6として、液晶ドライバの配置及びLED駆動部の動作に特徴を有する液晶表示装置について説明する。
図6は、本発明の実施の形態6に係る液晶表示装置の要部の側面図であり、実施の形態1の図1(b)および実施の形態5の図5に対応するものである。図1(b)および図5と同一部分には同一符号を付し、これについての説明を省略する。
液晶表示装置600は、液晶パネル551、液晶ドライバ552及びLEDバックライト400を主として有する。
本実施の形態では、液晶ドライバ552は、液晶パネル551の上端部の近傍に配置されている。なお、本実施の形態の説明において、「上」とは、表示画面の垂直方向(以下、単に「垂直方向」という。)における上を意味しており、図6においては、図の縦方向における上に相当する。
なお、液晶ドライバ552は、上記以外の場所に配置されてもよい。例えば、液晶ドライバ552は、液晶パネル551の下端部、左側端部又は右側端部の近傍に配置されてもよく、それ以外の場所に配置されてもよい。なお、本実施の形態の説明において、「下」とは、垂直方向における下を意味し、「左」及び「右」とは、表示画面の水平方向(以下、単に「水平方向」という。)における左及び右を意味する。
LEDバックライト400において、基板120は、実施の形態1と同様に、液晶パネル551の背面側に配置された拡散板130に対して傾斜して配置されている。基板120の表面は、液晶パネル551の背面に対向する対向部であり、この表面上には、LED110a、110b、110c、110d、110e、110fが、拡散板130の背面側に向けて略平面状に配列されている。拡散板130は、入射する光に拡散作用を与えて、液晶パネル551の背面に向けて、出射面より光を出射する。すなわち、LEDバックライト400は、直下型のバックライト装置である。
なお、一般に直下型のバックライト装置は、塵及び埃が入り難い密閉構造となっているが、LEDバックライト400は、密閉構造を採るものであってもよいし、そうでなくてもよい。
LEDバックライト400は、LED110a、110b、110c、110d、110e、110fから発せられる光で液晶パネル551を照明する。なお、以下の説明において、LED110a、110b、110c、110d、110e、110fを特に区別せずに説明する場合には、単に「LED110」と記す。
LEDバックライト400は、LED110を駆動するLED駆動部をさらに有するが、LED駆動部については後述する。
ここで、LED110は白色LEDであり、後述するLED駆動部から印加される駆動信号により駆動されて白色光を発光する。例えば、LED110が単色(例えば青色)LEDと蛍光体とを主として有するLED装置である場合は、LED110は、駆動信号が印加されるときに単色のLEDから発せられる光が蛍光体に透過され蛍光体の作用により白色化されるように、構成される。
なお、LED110は、R(赤)、G(緑)及びB(青)の3色のLEDの組合せ等、他の構成を採るものであってもよい。
図7は、LEDバックライト400におけるLED110の配置を示す図である。
LED110は、上方に位置する領域401aに配置されたLED110が最も密に配置され、最も下方に位置する領域401cに配置されたLED110が最も疎に配置され、それらの中間に位置する領域401bに配置されたLED110が中程度の密度で配置される。より具体的には、垂直方向において、LED110aとLED110bとの間のピッチdabは、LED110bとLED110cとの間のピッチdbcより小さく、ピッチdbcは、LED110cとLED110dとの間のピッチdcdより小さく、ピッチdcdは、LED110dとLED110eとの間のピッチddeより小さく、ピッチddeは、LED110eとLED110fとの間のピッチdefより小さい。また、水平方向においては、LED110a同士のピッチは、LED110b同士のピッチよりも小さく、LED110b同士のピッチは、LED110c同士のピッチよりも小さく、LED110c同士のピッチは、LED110d同士のピッチよりも小さく、LED110d同士のピッチは、LED110e同士のピッチよりも小さく、LED110e同士のピッチは、LED110f同士のピッチよりも小さい。
基板120は、図中で下方に行くほど拡散板130との間隔が広くなるように、拡散板130に対して傾斜した角度で配置されている。これにより、LED110から拡散板130の入射面までの距離(光源距離)は、図中で下方に行くほど長くなっている。
図8は、LEDバックライト400におけるLED駆動部を説明するための図である。図8(a)はその構成の一例を示す回路図であり、図8(b)はLED駆動部により生成されLED110に供給される駆動信号の一例を示す波形図である。
LED駆動部640は、LED駆動回路641a、641b、641c、641d、641e、641fを有する。なお、以下の説明において、LED駆動回路641a、641b、641c、641d、641e、641fを特に区別せずに説明する場合には、単に「LED駆動回路641」と記す。
LED駆動回路641aは電流供給部として、LED110aの1つに、予め設定された電流値Iaを有する駆動信号651aを供給する。LED駆動回路641bは電流供給部として、LED110bの1つに、電流値Ibを有する駆動信号651bを供給する。LED駆動回路641cは電流供給部として、LED110cの1つに、電流値Icを有する駆動信号651cを供給する。LED駆動回路641dは電流供給部として、LED110dの1つに、電流値Idを有する駆動信号651dを供給する。LED駆動回路641eは電流供給部として、LED110eの1つに、電流値Ieを有する駆動信号651eを供給する。LED駆動回路641fは電流供給部として、LED110fの1つに、電流値Ifを有する駆動信号651fを供給する。
なお、図8(a)には示されていないが、LED駆動部640はLED110と同数のLED駆動回路641を電流供給部として有する。各LED駆動回路641はLED110の1つに駆動信号を供給する。この構成により、各LED110aは電流値Iaを有する駆動信号651aを供給され、各LED110bは電流値Ibを有する駆動信号651bを供給され、各LED110cは電流値Icを有する駆動信号651cを供給され、各LED110dは電流値Idを有する駆動信号651dを供給され、各LED110eは電流値Ieを有する駆動信号651eを供給され、各LED110fは電流値Ifを有する駆動信号651fを供給される。
ここで、電流値Iaは電流値Ibよりも小さく、電流値Ibは電流値Icよりも小さく、電流値Icは電流値Idよりも小さく、電流値Idは電流値Ieよりも小さく、電流値Ieは電流値Ifよりも小さい。各駆動信号651a、651b、651c、651d、651e、651fのデューティ比は同一である。
すなわち、LED110のうち、より上方に配置され、液晶ドライバ552からより近くに位置するものには、より低い電流が供給される。
各LED110の電流値は、LEDバックライト400の表面領域401における温度分布に基づいて最適に設定される。例えば、比較的上方に位置している、或いは液晶ドライバ552から比較的近くに位置している等の理由により、温度分布において高温領域として示される領域(例えば領域401a)においては、LED110の電流値が比較的低く設定される。また、比較的下方に位置している、或いは液晶ドライバ552から比較的遠くに位置している等の理由により、温度分布において低温領域として示される領域(401c)においては、LED110の電流値が比較的高く設定される。ここで、これらの設定は、全てのLED110におけるジャンクション温度が等しくなるように行われる。
これにより、LED110のうち、より上方に配置され、液晶ドライバ552からより近くに位置するものは、より低い輝度で発光する。なお、このような駆動制御を行うと個々のLED110間で輝度に差が生じる場合がある。しかし、全てのLED110のジャンクション温度が等しいため、個々のLED110間で経時劣化の進行には差が生じない。したがって、LED110間で輝度に差が生じたとしても、その輝度のバランスは長期間にわたって変わらず維持される。
また、LED110のうち、より上方に配置され、液晶ドライバ552からより近くに位置し、より低い電流を供給されるものは、より高密度に、他のLED110に隣接して配置される。
また、LEDバックライト400は、配置密度が低い位置ほど、LED110から拡散板130までの距離が長くなり、光源の出射光はより大きく拡散されて拡散板130に入射する。これにより、拡散板130の入射面における照射領域が拡大するので、拡散板130の出射面における輝度むらを低減することができる。
これにより、表示画面全域において輝度の均一化が実現され、且つそれが長期間にわたって変わらず維持される。
なお、電流値Iを同一にし、駆動信号651aのデューティ比を駆動信号651bよりも小さく、駆動信号651bのデューティ比を駆動信号651cよりも小さく、駆動信号651cのデューティ比を駆動信号651dよりも小さく、駆動信号651dのデューティ比を駆動信号651eよりも小さく、駆動信号651eのデューティ比を駆動信号651fよりも小さくすることで、同様の効果を得ることが可能である。
次いで、液晶表示装置600における輝度補正方法について説明する。
図9は、液晶表示装置600における輝度補正方法を説明するための図である。ここでは、LED110の点灯中、より上方に位置する領域の周囲温度がより高くなる場合を例にとって説明する。
LED110は、配置位置がより上方であるほど、より高密度に配置される。このようなLED配置を採用するだけでも、周囲温度の差に起因するLED110の輝度低下の差を補正することができ、表示画面全域において輝度を均一化することができる。これは、仮に全てのLED110に同一電流値の駆動信号を供給したとしても可能である。
しかし、本実施の形態では、仮に全てのLED110に同一電流値の駆動信号を供給したとすると、表示画面においてより上方の領域における輝度がより高いものとなるように、LED配置が決定される。そして、このようなLED配置を採用したうえで、LED110は、配置位置がより上方であるほど、より低い電流を供給される。これにより、LED110aの照明領域(つまり全LED110aから発せられた光により照明される表示画面の領域)における輝度と、LED110bの照明領域における輝度と、LED110cの照明領域における輝度と、LED110dの照明領域における輝度と、LED110eの照明領域における輝度と、LED110fの照明領域における輝度とが、均一となる。
図9に示された輝度補正方法の効果について、図10を参照しながらより詳しく説明する。図10(a)は、初期状態のLEDバックライト400についての周囲温度と相対輝度との関係の一例を示し、図10(b)は、所定時間(例えば10000時間)使用後のLEDバックライト400についての周囲温度と相対輝度との関係の一例を示す。なお、説明を簡略化するために、LED110a、110fのみについて対比する。
上方の領域に配置されたLED110aの周囲には、下方の領域から暖かい空気が集まり、温度が上昇する。一般に、液晶表示装置600は立てて使用されるからである。また、動作中に発熱する液晶ドライバ552の近くに配置されていることも、LED110aの周囲温度がLED110fに比べて上昇する要因である。よって、LED110a自体の輝度は、LED110fに比べて低くなる。
さらに、LED110aはLED110fよりも低い電流(図9の例では、LED110aは8.5mA、LED110fは11mA)を供給される。これも、LED110a自体の輝度がLED110fに比べて低くなる要因である。
しかし、LED110aはLED110bと高密度(図9の例では、LED110a、110bの垂直間隔(ピッチ)は8mm)に配置されているのに対し、LED110fはLED110eと低密度(図9の例では、LED110e、110fの垂直間隔(ピッチ)は12mm)に配置されている。
そのため、初期状態の場合では、LED110aの照明領域における輝度は、LED110aの周囲温度が上昇すると相対的に緩やかに低下し(曲線Ca1)、LED110fの照明領域における輝度は、LED110fの周囲温度が上昇すると相対的に顕著に低下する(曲線Cf1)、という特性が得られる。
この場合、LEDバックライト400を点灯させると、LED110aの周囲温度は50℃となり、LED110aの照明領域における相対輝度はB1%となる(点Pa1)。また、LED110fの周囲温度は40℃となり、LED110fの照明領域における相対輝度もB1%となる(点Pf1)。よって、表示画面全域において輝度が均一となる。
LEDバックライト400の累積使用時間が所定時間に達した場合には、LED110aの照明領域における輝度は、LED110aの周囲温度が上昇すると相対的に緩やかに低下し(曲線Ca2)、LED110fの照明領域における輝度は、LED110fの周囲温度が上昇すると相対的に顕著に低下する(曲線Cf2)、という特性が得られる。ここで、図10(a)における曲線Ca1、曲線Cf1と図10(b)における曲線Ca2、曲線Cf2とを比較すると、LED110a、110fはいずれも輝度に経時劣化を生じていることが分かる。
この場合、LEDバックライト400を点灯させると、LED110aの周囲温度は50℃となり、LED110aの配置領域における相対輝度はB2%となる(点Pa2)。また、LED110fの周囲温度は40℃となり、LED110fの配置領域における相対輝度もB2%となる(点Pf2)。つまり、いずれの領域も輝度の経時劣化を生じているものの、その進行度合いが等しいため、表示画面全域において輝度の均一性が維持される。これは、周囲温度が相対的に高いことにより経時劣化が相対的に早くなるはずのLED110(この例ではLED110a)に対して、相対的に低い電流を供給することにより、そのLED110の経時劣化の進行を遅らせたからである。
以上のように、本実施の形態によれば、LEDバックライト400の基板120の表面領域401内で周囲温度がより高い領域に配置されたLED110に、より低い電流を供給する。これにより、LEDバックライト400に設けられた全てのLED110の経時劣化の進行を一致させる。したがって、表示画面全域において輝度のバランスを長期間にわたって保つことができる。また、本実施の形態によれば、LED110のうち、周囲温度が相対的に高いことにより経時劣化が相対的に早くなるはずのものに対して、経時劣化を遅らせる制御(つまり相対的に低い電流を供給)を行う。したがって、LEDバックライト400を長寿命化することができる。
また、本実施の形態によれば、配置密度が低い位置ほど、LED110から拡散板130までの距離が長くなっている。これにより、上述のように配置密度を変えてLEDバックライト400の長寿命化を図る構成を採ったとしても、拡散板130の出射面での輝度むらを低減することができる。
なお、本実施の形態では、より上方の領域の周囲温度がより高くなる場合を例にとり、より上方の領域に配置されたLED110を、より高密度に配置し、より低い電流で駆動する、という構成について説明した。ただし、他の構成も可能である。
例えば、液晶ドライバ552が液晶パネル551の下端部の近傍に配置され、これにより、下方の領域の周囲温度がその上方の領域よりも高くなる場合には、その下方の領域に配置されたLED110を、より高密度に配置し、より低い電流で駆動する構成を採ることができる。本構成においては、上方の領域ほどLED110から拡散板130までの距離が長くなるようにすればよい。
また、液晶ドライバ552が液晶パネル551の左側端部の近傍に配置され、これにより、左側の領域の周囲温度がその右側の領域よりも高くなる場合には、左側の領域に配置されたLED110を、より高密度に配置し、より低い電流で駆動する構成を採ることができる。本構成においては、右側の領域ほどLED110から拡散板130までの距離が長くなるようにすればよい。
また、液晶ドライバ552が液晶パネル551の右側端部の近傍に配置され、これにより、右側の領域の周囲温度がその左側の領域よりも高くなる場合には、右側の領域に配置されたLED110を、より高密度に配置し、より低い電流で駆動する構成を採ることができる。本構成においては、左側の領域ほどLED110から拡散板130までの距離が長くなるようにすればよい。
要するに、液晶ドライバ552から近くの領域の周囲温度がそこよりも遠くの領域の周囲温度に比べて高くなる場合には、前者の領域に配置されたLED110を、より高密度に配置し、より低い電流で駆動する構成を採ることができる。
また、液晶ドライバ552と全く同様のことが、電源部、つまり液晶ドライバ552及びLED駆動回路641等に電源を供給する電源回路にも、他の発熱部材にも、当てはまる。電源部等も熱を発するからである。よって、電源部等の配置位置に応じて、LED110の配置、駆動電流値及び光源距離を決定することができる。
また、液晶表示装置600の内部構造上、より上方の領域の周囲温度がより高くならないような温度分布が存在する場合であっても、その温度分布に基づいて、LED110の配置、駆動電流値及び光源距離を決定することができる。
また、本実施の形態では、LED110は白色LEDであるが、LED110がR(赤)、G(緑)及びB(青)の3色のLEDの組合せである場合にも、上記と同様の作用効果を実現することができる。この場合、高温領域においては、温度に起因する輝度低下が大きい赤色のLEDを緑色のLED及び青色のLEDよりも多く配置する構成を採る。これにより、色温度のバランスをも長期間にわたって保つことができる。
また、LEDバックライト400の点灯を液晶パネル551の画像表示の走査と連動し液晶動画性能向上を図るバックライトスキャンを行う場合、LEDの垂直方向におけるピッチが異なることを考慮し、スキャンと連動してLEDバックライト400の点灯開始時間を制御する必要がある。