以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
パレット6は、裏面にリブ1を有するデッキ部3と、デッキ部3の表面にデッキ部3と一体に形成した滑り止め5とを備えたもので、リブ1を構成する桁部14間がフォーク挿入部13となっている。
パレット6としては4方差しのものと、2方差しのものとがあるが、本発明においてはいずれのタイプのものであってもよい。なお、図1では2方差しの例を示している。
また、パレット6としては、全体を合成樹脂の一体成形により成形する一体成形型のパレットと、上半体と、下半体とを別々に成形して上半体と下半体とを溶着一体化して成形する溶着タイプのパレットとに大別できるが、本発明においてはこれらのいずれかのタイプに限定されるものではない。
また、パレット6としては両面のデッキ部3に載置物を載置することができる両面使用タイプのものと、上面のデッキ部3のみが載置物を載置することができる片面使用タイプのものとがあるが、本発明においては、これらのいずれかのタイプに限定されるものではない。
以下添付図面に示す実施形態では、溶着タイプのパレット6で両面使用タイプの例(つまり上下両面がデッキ部3となっている例)を示して説明する。
図3、図4、図5に示すように、上半体6aは、デッキ部3の裏面(下面)に筒状をした上桁部14aと、補強用リブ部15aとよりなるリブ1を一体に突設したものであって第1の成形材料2により成形してあり、このリブ1を裏面に有するデッキ部3の表面(上面)に第2の成形材料4で形成した滑り止め5が設けてある。上記第1の成形材料2よりなるデッキ部3と、該デッキ部3の表面(上面)に設けられデッキ部3と一体となった第2の成形材料4よりなる滑り止め5は、二色成形で一体に形成してある。また、補強用リブ部15aはデッキ部3の裏面(下面)の筒状をした上桁部14a内に位置する部分と、筒状をした上桁部14aの外に位置する部分に突設してある。
このようにデッキ部3の裏面に補強用リブ部15aを設けることでデッキ部3の厚みを薄くして軽量化を図りながらデッキ部3の補強をしている。ちなみに、実施例ではデッキ部3は上桁部14aの肉厚よりも薄い肉厚としてある。
下半体6bは、デッキ部3の裏面(上面)に筒状をした下桁部14bと、補強用リブ部15bとよりなるリブ1を一体に突設したものであって第1の成形材料2により成形してあり、このリブ1を裏面に有するデッキ部3の表面(下面)に第2の成形材料4で形成した滑り止め5が設けてある。上記第1の成形材料2よりなるデッキ部3と、該デッキ部3の表面(下面)に設けられデッキ部3と一体となった第2の成形材料4よりなる滑り止め5は、二色成形で一体に形成してある。また、補強用リブ部15bはデッキ部3の裏面(上面)の筒状をした下桁部14b内に位置する部分と、筒状をした下桁部14bの外に位置する部分に突設してある。
上記の上半体6aの上桁部14aの下端面部と下半体6bの下桁部14bの上端面部とを熱溶着して上桁部14aと下桁部14bとで桁部14を一体化することでパレット6を構成してある。
上記上半体6aと下半体6bとは同じ形状をしていて同じ成形金型により成形したものであってもよく、あるいは、異なる形状をしていて異なる成形金型により成形したものであってもよい。
上記第1の成形材料2としてはポリプロピレンなどの曲げ強度の強い成形材料(バージン又は再生材であってもよい)が用いられる。また、第2の成形材料4としては第1の成形材料2よりも軟質で摩擦抵抗の大きいオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、エチレン酢ビ共重合体等の成形材料が用いられる。
デッキ部3の表面に第2の成形材料4で形成された滑り止め5は平面視において一部が滑り止め5の他の部位に比べて巾広の巾広部7となっており、この巾広部7の表面に第2の成形材料のバルブゲート跡8(又はホットランナーの切断跡8’)が存在している。
まず、滑り止め5の巾広部7の表面に第2の成形材料のバルブゲート跡8が存在している例につき説明する。
すなわち、第1の成形材料2よりなるデッキ部3の表面に第2の成形材料4よりなる滑り止め5を二色成形により形成すると、デッキ部3の表面に形成される滑り止め5の表面にゲート跡が存在することになり、ゲート跡がデッキ部3の表面に露出する。このため、二色成形の金型装置において、第2の成形材料4を射出して供給するためのゲートとしてバルブのないゲートを用いた場合、ゲート跡はゲート部分の樹脂が切断された跡が尖った状態となり、最も目立つ表面の外観が悪くなり、また、尖った状態のゲート跡に載置物が当ったり、引っ掛かったりする。
そこで、本発明においては、ゲート跡が目立たないようにするには第2の成形材料4を射出して供給するためのゲートとしてバルブゲートを用いている。このため、本発明においてはデッキ部3の表面に形成される滑り止め5の表面にゲート跡としてバルブゲート跡8が存在することになる。
なお、このように本発明の滑り止め5の表面に存在するバルブゲート跡8は目立たないものであるが、説明の都合上、図1、図2、図8、図9においては、滑り止め5の上面にバルブゲート跡8を「○の中に×を記載したマーク」で表示し、図4においては「○を破線で記載したマーク」で表示することで位置が判るように強調しているが、実際はこのようなマーク、あるいは明確なゲート跡とはならない。
ところで、バルブゲートはバルブがないゲートに比べてゲート内に開閉自在にバルブを備えたものであるため、バルブがないゲートよりもゲート径が大きくなる。
このため、本発明においては、二色成形の金型装置において、滑り止め5を形成するための滑り止め形成用キャビティ部の一部を滑り止め形成用キャビティ部の他の部分よりも巾広とし、この巾広となった部分にバルブゲートを配置させて、第2の成形材料4を滑り止め形成用キャビティ部内に射出することで、第1の成形材料2よりなるデッキ部3の表面に第2の成形材料4よりなる滑り止め5を一体に成形することができる。
このようにして成形された第2の成形材料4よりなる滑り止め5は、平面視で一部だけ滑り止め5の他の部分よりも巾が広い巾広部7が形成され、この巾広部7の表面にバルブゲート跡8が存在することになる。
このように、ゲート跡がバルブゲート跡8とすることで、表面のゲート跡が目立たないようにでき、しかも、滑り止め5は平面視で、第2の成形材料4で形成された滑り止め5のバルブゲート跡8を設ける部分のみを巾広としてあるため、他の部分は巾が狭くて高価な第2の成形材料の使用量を少なくすることができる。
また、上記デッキ部3の表面に形成される巾広部7の表面に存在するバルブゲート跡8の位置と、デッキ部3の裏面に設けられるリブ1の位置との相互の関係は、図3に示すようにリブ1を設ける位置がバルブゲート跡8と上下に対向する位置を避けて設けてある。
つまり、二色成形においては、まず、二色成形用の金型装置を型締めして裏面にリブを有するデッキ部形成用のキャビティ部を形成して、二色成形用の金型装置に設けた第1の成形材料射出用のゲートから第1の成形材料2を射出して裏面にリブ1を有するデッキ部3を成形し、次に、二色成形用の金型装置の一部を駆動して滑り止め形成用キャビティ部を形成して第2の成形材料射出用の上記バルブゲートから第2の成形材料4を射出するのであるが、この段階で裏面に第1の成形材料2により成形したリブ1を有するデッキ部3は半硬化状態であるため、バルブゲートとリブ1とが、バルブゲートから第2の成形材料4が射出される方向に対向していると、バルブゲートと対向する半硬化状態の第1の成形材料2の部分の厚みが厚く(つまり、リブ1の分だけ厚くなる)、このため、バルブゲートから滑り止め形成用キャビティ部に射出された第2の成形材料4が半硬化状態の第1の成形材料2内に潜り込み、滑り止め形成用キャビティ部内への第2の成形材料4の充填が安定せず、ショート・ショットと呼ばれる現象が生じ、第2の成形材料4の充填不良が発生するため、滑り止め5の表面に第2の成形材料4の充填不良箇所が現出するおそれがある。
しかしながら、本発明においては、上記のように、デッキ部3の裏面に設けたリブ1がバルブゲート跡8と上下に対向する位置を避けて設けてあるので、上記のような第2の成形材料4の充填不良が発生するおそれがなく、滑り止め5の表面に第2の成形材料4の充填不良箇所が現出したりしない。
更に、滑り止め5の金型の動きは、滑り止め5の表面側に第2の成形材料4のゲート跡8が形成されているので、滑り止め5の表面の金型は固定されていてその他の金型が上下することによって、滑り止め5を形成するための第2の成形材料4が注入される空間である滑り止め形成用キャビティ部が形成される。金型が上下しない滑り止め5の表面側にバルブゲートやホットランナーを形成しなくていけないので、一定巾の金型が必要となる。
このように、本発明においては、デッキ部3の表面に二色成形により滑り止め5を設けるものにおいて、第2の成形材料4の使用量を少なくすると共に、滑り止め5の表面のゲート跡が目立たず、また、表面に充填不良箇所が現出したりしない外観の良いパレット6を提供できる。
また、第2の成形材料4で形成する滑り止め5は樹脂量の多い巾の広い部位と樹脂量の少ない狭い部位というように樹脂量の異なる部位を有しているので、バルブゲートの方が充填時間等の制御をすることが簡単である。
また、バルブゲートで樹脂量が異なる複数種類の滑り止め5(内外方向滑り止め部や接続滑り止め部)を形成すると、各種類の滑り止め部の樹脂(第2の成形材料4)量に合わせて充填時間を制御することが可能となり、各種類の滑り止め5に必要な樹脂量を充填することができる。
バルブゲートを用いないと、同じ充填時間で成形することになり、樹脂量が少ない滑り止め5に合わせると樹脂量が多い滑り止め5がショート・ショットになり、樹脂量が多い滑り止め5に合わせると樹脂量が少ない滑り止め5が樹脂漏れの原因になる。
図1乃至図8にはデッキ部3の表面に一体に設けた滑り止め5の一実施形態が示してある。
本実施形態においては、図2に示すように、載置物を載置するためのデッキ部3の表面部を平面視で前後方向、左右方向に仮想線16、17でそれぞれ2等分することで4つの区画9に区画し、更に、各区画9略中心Oを中心としドラム缶18の半径(例えば、ドラム缶18の半径は585mm以下である)と同じ半径の仮想円10を描き(上記仮想線16,17、仮想円10を図2では便宜上一点鎖線で示している)、該仮想円10を跨いで仮想円10の内側と外側とに延びる複数の内外方向滑り止め部11と、複数の内外方向滑り止め部11の一端部同士を接続する上記仮想円10に沿った円弧状をした接続用滑り止め部12とで滑り止め5を形成した例が示してある。
上記図2に示す例ではさらに内外方向滑り止め部11と接続用滑り止め部12とで構成する滑り止め5としては2種類の滑り止め5が示してある。
一つは、隣接する2つの仮想円10を跨いで2つの仮想円10の内側と外側とに延びる中間の内外方向滑り止め部11aの両端と、一方の仮想円10を跨いで該仮想円10の内側と外側とに延びる内外方向滑り止め部11bの内側の端部と、隣接する他の仮想円10を跨いで該仮想円10の内側と外側とに延びる内外方向滑り止め部11bの内側の端部とをそれぞれ接続用滑り止め部12で接続した第1の滑り止め5aである。
この第1の滑り止め5aの中間の内外方向滑り止め部11aは隣接する区画9の内側の辺の1/2を通り、且つ、該辺に対して直角となっている。また、一方の仮想円10を跨いで該仮想円10の内側と外側とに延びる内外方向滑り止め部11b、他方の仮想円10を跨いで該仮想円10の内側と外側とに延びる内外方向滑り止め部11bはそれぞれ外側端が各区画9の隅部を向き、且つ、区画9の当該隅部に隣接する辺に対して45°に傾いている。
また、他の一つは、一つの区画9内において、仮想円10を跨いで仮想円10の内側と外側とに延びる2つの内外方向滑り止め部11の内側の端部同士を接続滑り止め部12で接続して構成した第2の滑り止め5bであり、2つの内外方向滑り止め部11のうち、一つの内外方向滑り止め部11は、区画9の外側の辺に対して直角となり、且つ、上記仮想円10を跨いで外側端が区画9の外側の辺の1/2を向く第1の内外方向滑り止め部11cであり、他の内外方向滑り止め部11の一つは、上記仮想円10を跨いで外側端が区画9の隅部を向き、且つ、区画9の当該隅部に隣接する辺に対して45°に傾いた第2の内外方向滑り止め部11dである。
上記第1の滑り止め5aは、中間の内外方向滑り止め部11の長手方向の1/2の位置を中心に対象(添付図面の実施形態では点対称)となっており、この中間の内外方向滑り止め部11の長手方向の1/2の位置が第1の滑り止め5aの中間位置である。そして、平面視において第1の滑り止め5aの中間位置の巾が第1の滑り止め5aの他の部位の巾よりも巾が広い巾広部7となっており、この巾広部7の表面にバルブゲート跡8が存在している。添付図面に示す実施形態では中間部に設けた巾広部7は平面視円形をしている。該巾広部7の表面のバルブゲート跡8は図3(a)、図4に示すように、デッキ部3の裏面に形成されるリブ1と対向する位置を避けた位置に存在している。
このように、平面視で滑り止め5の中間部分を滑り止め5の他の部位よりも巾広の巾広部7として該巾広部7の表面にバルブゲート跡8が存在する構成とすることで、中間の巾広部7以外の部分の巾を狭くして高価な第2の成形材料4の使用量を少なくするものにおいて、二色成形により成形する際に第2の成形材料4をバルブゲートから滑り止め形成用キャビティ部に射出する際、滑り止め形成用キャビティ部の長手方向の中間に位置するバルブゲートから両側にバランスよく逃がして滑り止め形成用キャビティ部に第2の成形材料4を充填して充填不良箇所が生じることがないようにできる。つまり、充填不良箇所のない第1の滑り止め5aを形成できることになる。
また、第2の滑り止め5bは、第2の内外方向滑り止め部11dの外端とデッキ部3の外周との間の間隔が、第1の内外方向滑り止め部11cの外端とデッキ部3の外周との間の間隔よりも長くなっており、また、第2の内外方向滑り止め部11dの巾を第1の内外方向滑り止め部11cの巾及び接続滑り止め部12の巾よりも広くなっており、この巾の広い巾広部7となった第2の内外方向滑り止め部11dの表面にバルブゲート跡8が存在している。つまり、この第2の滑り止め5bは一端部が第1の内外方向滑り止め部11c、他端部が第2の内外方向滑り止め部11dとなっていて、第1の内外方向滑り止め部11cの外端が他端部である第2の内外方向滑り止め部11dの外端よりもデッキ部3の外周近い位置となっており、滑り止め5の両端部のうちデッキ部3の外周に対して遠い方の端部である第2の内外方向滑り止め部11dがバルブゲート跡8が存在する巾広部7となっている。該巾広部7の表面のバルブゲート跡8は図3(b)、図4に示すように、デッキ部3の裏面に形成されるリブ1と対向する位置を避けた位置に存在している。
ここで、第2の滑り止め5bの両端部のうち外端がデッキ部3の外周に近い方の端部である第1の内外方向滑り止め部11cをバルブゲート跡8が存在する巾広部7とすると、以下のような問題点が生じて好ましくないので、上記のように、滑り止め5の両端部のうちデッキ部3の外周に対して遠い方の他端部をバルブゲート跡8が存在する巾広部7としてある。
つまり、二色成形において、滑り止め形成用キャビティ部の一端部にバルブゲートを位置させて第2の成形材料4を射出する場合、滑り止め形成用キャビティ部の他端側まで注入するまで圧をかけ続ける必要があり、また、バルブゲートが存在する一端部側に最も大きい圧力が作用し続けることになり、バルブゲートが存在する一端部側には第2の成形材料4の射出の間中、最も大きな圧力が終始かかり続ける。したがって、バルブゲートが存在する滑り止め形成用キャビティ部の一端部側と成形金型内の第1の成形材料2により形成された半硬化状態のパレット(実施形態ではパレット半体)の外周である側面との間の寸法が短いと、滑り止め形成用キャビティ部の一端部側に設けたバルブケートから射出される第2の成形材料4が成形金型内の第1の成形材料2により形成された半硬化状態のパレット(実施形態ではパレット半体)の外周である側面部分に潜り込んだり、あるいは、第2の成形材料4が第1の成形材料2により形成された半硬化状態のパレット6の外周である側面と成形金型の内側面との間に圧入されたりし易い。特に、第1の成形材料2により成形した半硬化状態のパレット(実施形態ではパレット半体)が収縮するので、第1の成形材料2により形成された半硬化状態のパレット6の外周である側面と成形金型の内側面との間に第2の成形材料4がより侵入しやすい。
また、添付図面に示す実施形態のように、パレット(実施形態ではパレット半体)の外周部はフォークの先端などが衝突するので、パレットの他の部位よりも厚みを厚くする場合があるが、このように第1の成形材料2により形成するパレット(実施形態ではパレット半体)の外周部の肉厚を厚くすると、肉厚が厚い半硬化状態のパレット(実施形態ではパレット半体)の外周部に第2の成形材料4が潜り込みやすくなる。
したがって、本実施形態では、表面にバルブゲート跡8が存在する巾広部7を滑り止め5におけるデッキ部3の外周に対して遠い方の他端部に設けることで、第2の成形材料4がパレット6の外周部分の第1の成形材料2内に潜り込んだり、あるいは、パレット6の外周側面に第2の成形材料4が露出したりしない滑り止め5を有するパレット6を提供できることになる。
本発明における滑り止め5は、デッキ部3の表面より少し上方に突出するように設けたり、あるいはデッキ部3の表面と面一となるように設けたりする。
バルブゲート跡8が存在する巾広部7から徐々に巾狭に形成してもよいし、屈曲部を形成した滑り止め5に至っては、各片ごとに巾広部、巾狭部を形成してもよい。
また、第1の成形材料2で形成されるデッキ部3の肉厚が薄いと、パレット6の軽量化が図れると共に、第2の成形材料射出用の上記バルブゲートから滑り止め形成用キャビティ部に第2の成形材料4を射出する際、半硬化状態の第1の成形材料で形成したデッキ部3部分に第2の成形材料4が潜り込み難くなる。したがって、強度上問題がない範囲でデッキ部3の肉厚を薄くすることが好ましい。ちなみに、実施形態においてはデッキ部3の肉厚は上桁部14a(下桁部14b)の肉厚よりも薄く設定してある。また、複数の補強用リブ部15a(15b)は肉厚の違うものが複数種類あるが、このうちもっとも肉厚の薄い補強用リブ部15a(15b)とデッキ部3の肉厚を等しくしてある。
更に、上桁部14a(下桁部14b)は肉厚でリブが長いため、第1の成形材料2を充填後、他の部分と同じように冷却させるために、上桁部14a(下桁部14b)の金型装置に冷却タンクを入れて、第1の成形材料2が早く硬化するように形成されている。そのため、デッキ部3は上桁部14a(下桁部14b)に対応する箇所が他の箇所より早く冷却されて硬化されるので、上桁部14a(下桁部14b)の桁部内にバルブゲートを形成するほうが、樹脂が潜り込み難い。よって、桁部内の方に多くの数又は面積の滑り止め5を形成するとよい。
上記のような構成のパレット6は、表面の一部に滑り止め5を設けたデッキ部3上に様々な載置物を載置し、滑り止め5により載置物が滑るのを防止する。
特に、上記の構成のパレット6は、図6のようにデッキ部3の表面部にドラム缶18を載置するのに適している。すなわち、デッキ部3の表面部を平面視で前後方向、左右方向にそれぞれ2等分することで4つに区画される各区画9にそれぞれ1つずつ合計4個ドラム缶18を載置する。
各区画9にドラム缶18を載置するには、各区画9に設けた複数の滑り止め5を目印にして、該滑り止め5上にドラム缶18の下端の環状リブ18aが載るように載置する。つまり、滑り止め5は既に述べたように各区画9の略中心を中心としドラム缶18の半径と同じ半径の仮想円10上に位置しているので、各区画9に設けた複数の滑り止め5を目印としてこの上に環状リブ18aが載るように載置すると、当該区画9のドラム缶18を載置すべき所定の位置にドラム缶18を載置することが可能となる。しかも、このように所定の位置にドラム缶18を載置するとドラム缶18の環状リブ18aが必ず滑り止め5上に載置されて確実に滑り止めがなされる。また、滑り止め5は仮想円10を跨いで仮想円10の内側と外側とに延びているので、載置作業時に多少の載置位置の誤差があってもドラム缶18の環状リブ18aが滑り止め材上に載置されて滑り止めがなされる。
本発明における滑り止め5によるドラム缶18の滑り止め効果は、パレット6を移動していない場合にドラム缶18に外力が作用した際の滑り止め効果、パレット6をフォークリフトで移動している場合や自動倉庫の搬送路で移動している場合におけるドラム缶18の滑り止め効果があるが、特に、ドラム缶18を載せたパレットが、フォークリフトの停止や自動倉庫のストッパーにより移動を停止した際、ドラム缶18が慣性により進行方向に前傾姿勢となって滑るのを抑制する効果が優れている。
すなわち、ドラム缶18を載せたパレット6が、フォークリフトの停止や自動倉庫のストッパーにより移動を停止した際、ドラム缶18には進行方向に慣性力が作用する。慣性力が作用するとドラム缶18は重量が重く、背が高くて重心が高い位置にあるので、図7のAのように垂直に起立していたドラム缶18に進行方向の慣性力が作用すると進行方向に対して反対側が浮き、ドラム缶18の下面の環状リブ18aの進行方向の前端部のみが接地したのみの前傾姿勢で図7のBのように進行方向である矢印イ方向に滑ろうとする。
この場合、本発明においては、仮想円10の、デッキ部3の隅部を介して隣り合う区画9の二辺のそれぞれの略1/2の位置と対応する位置にそれぞれ仮想円10を跨いで仮想円10の内側と外側とに延びるように2つの第1の内外方向滑り止め部11aが設けてあるので、パレット6の進行方向の前側に位置する区画9に載置したドラム缶18は、進行方向に対して前傾姿勢となって環状リブ18aの進行方向の前端部の接地する部分が必ず上記2つの第1の内外方向滑り止め部11aのいずれか一方(つまり進行方向に位置する第1の内外方向滑り止め部11a)上に載置され且つ環状リブ18aの進行方向と反対側が浮いて傾いた前傾姿勢で滑ろうとする。
このため、ドラム缶18が進行方向に前傾した姿勢で第1の内外方向滑り止め部11a上を第1の内外方向滑り止め部11aによりブレーキをかけられながら図7のCのように少し進んで停止し、このようにブレーキをかけられながら少し進んで停止すると、前傾姿勢で停止したドラム缶18は停止位置で重力の作用により進行方向に対して反対側の浮いた部分が設置して図7のDのように垂直姿勢に戻る。
このようにして前傾姿勢のドラム缶18が環状リブ18aの進行方向の前端部のみを第1の内外方向滑り止め部11a上に載置した状態で、第1の内外方向滑り止め部11aによりブレーキをかけられながら少し進んで停止するので、前傾姿勢のドラム缶18の慣性力を効果的に吸収して、デッキ部3からドラム缶18が滑り落ちるのを防止すると共にドラム缶18が転倒するのを防止することができる。
また、パレット6の進行方向が90°変更されて上記のように移動を停止した場合は、上記2つの第1の内外方向滑り止め部11aのうちの他方の第1の内外方向滑り止め部11aが上記と同様の滑り止め作用を行う。
滑り止め5の上記バルブゲート跡8が存在する部位を滑り止め5の他の部位に比べて巾広とし、デッキ部3の裏面に設けられるリブ1と上記バルブゲート跡8が対向する位置を避けて設けるという構成を有するものであれば、デッキ部3の表面の一部に設ける滑り止め5としては前述の実施形態にのみ限定されないが、上記本発明は、特に、屈曲部又は/及び曲線部を備えている形状の滑り止め5に対して効果的である。
上記実施形態においては、第2の成形材料4よりなる滑り止め5をバルブゲートで成形し、このバルブゲートで成形された滑り止め5の表面にバルブゲート跡8が存在ししている例を示したが、第2の成形材料4よりなる滑り止め5をホットランナーで成形し、このホットランナーで成形された滑り止め5の表面にホットランナーの切断跡8’が存在するものであってもよい。
本実施形態におけるパレット6の図面は前述の実施形態におけるパレット6の図面と同じであるので、上記図面上バルブゲート跡8と同じ所にホットランナーの切断跡8’を記載して図面を共用している。
また、本実施形態においては、第2の成形材料4よりなる滑り止め5をホットランナーで成形し、成形後にホットランナーを切断することで、このホットランナーで成形された滑り止め5の表面にホットランナーの切断跡8’が存在することが前述の実施形態と異なり、他の作用、効果は基本的に前述の実施形態と同様であり、説明が重複するので省略する。