以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域PE内の構成を省略している。
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に取り付けられた遊技機主部12とを有している。
外枠11は木製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。外枠11を島設備に取り付け固定することにより、パチンコ機10が遊技ホールに設置される。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、遊技場の島設備に外枠11が備え付けられた構成としてもよい。
遊技機主部12は、外枠11によって開閉可能な状態で支持されている。具体的には、図1に示すように、外枠11における上枠部と左枠部との連結部分に上側支持用金具17が固定されており、さらに外枠11における下枠部と左枠部との連結部分に下側支持用金具18が設けられている。これら上側支持用金具17及び下側支持用金具18により支持機構が構成され、当該支持機構により外枠11に対して遊技機主部12がパチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側としてパチンコ機10の前方へ回動可能とされている。
図2に示すように、遊技機主部12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。なお、遊技機主部12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として内枠13が前方へ回動可能とされている。
内枠13には、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている。
次に、前扉枠14について説明する。なお、以下の説明では、図1及び図2を参照するとともに、前扉枠14の背面の構成については図3を参照する。図3は前扉枠14の背面図である。
図2に示すように、前扉枠14は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす合成樹脂製の枠体20を主体に構成されており、内枠13における前面のほぼ全域を覆っている。枠体20の中央部分には後述する遊技領域PEのほぼ全域を前方から視認することができるようにした略楕円状の窓部21が形成されており、その窓部21はガラスユニット22によって同前扉枠14の背面側から塞がれている。
ガラスユニット22は、透明性を有するガラスパネル23,24と、それらガラスパネル23,24を保持するガラスホルダ25とを備えている。ガラスホルダ25には、ガラスパネル23,24の保持領域を前後に仕切る仕切り部が形成されており、両ガラスパネル23,24は仕切り部を挟んで前後に相対向している。つまり、ガラスパネル23,24の間に所定の隙間を確保することにより、両ガラスパネル23,24同士の干渉を回避しつつ、それらガラスパネル23,24によって遊技領域PEをパチンコ機10の正面側から2重に覆った状態となっている。
なお、必ずしもガラスパネル23,24をガラスホルダ25を用いてユニット化する必要は無く、ガラスパネル23,24を枠体20に対して個々に取り付ける構成としてもよい。更には、ガラスパネルの枚数は任意であり、1枚としてもよいし、3枚以上としていもよい。但し、安全性及び防犯性向上の観点から、複数のガラスパネルを採用し、それら各ガラスパネルを所定の隙間を挟んで前後に対向させることが好ましい。因みに、ガラスパネルに代えて透明性を有する合成樹脂性のパネル部材を採用することも可能である。
ガラスユニット22(詳しくは窓部21)の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部26が設けられている。環状電飾部26では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部26の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ部27が設けられ、さらにその左右側方には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部28が設けられている。また、左右の賞球ランプ部28に近接した位置には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部29が設けられている。
前扉枠14(枠体20)における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部31と下側膨出部32とが上下に並設されている。上側膨出部31内側には上方に開口した上皿33が設けられており、下側膨出部32内側には同じく上方に開口した下皿34が設けられている。上皿33は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿34は、上皿33内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
下側膨出部32の右方には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル41が設けられている。遊技球発射ハンドル41が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。
前扉枠14の背面には、図2及び図3に示すように、通路形成ユニット50が取り付けられている。通路形成ユニット50は、合成樹脂により成形されており、上皿33に通じる前扉側上皿通路51と、下皿34に通じる前扉側下皿通路52とが形成されている。通路形成ユニット50において、その上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部53が形成されており、当該受口部53を仕切壁54によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路51の入口部分と前扉側下皿通路52の入口部分とが区画形成されている。前扉側上皿通路51及び前扉側下皿通路52は上流側が後述する遊技球分配部に通じており、前扉側上皿通路51に入った遊技球は上皿33に導かれ、前扉側下皿通路52に入った遊技球は下皿34に導かれる。
前扉枠14の背面における回動基端側(図3の右側)には、その上端部及び下端部に突起軸61,62が設けられている。これら突起軸61,62は内枠13に対する組付機構を構成する。また、前扉枠14の背面における回動先端側(図3の左側)には、図2に示すように、後方に延びる鉤金具63が上下方向に複数並設されている。これら鉤金具63は内枠13に対する施錠機構を構成する。
次に、図4に基づき内枠13について詳細に説明する。図4は内枠13の正面図である。なお、図4においては図2と同様に便宜上パチンコ機10の遊技領域PE内の構成を省略している。
内枠13は、外形が外枠11と同様に略矩形状をなす樹脂ベース70を主体に構成されている。樹脂ベース70の高さ寸法は、外枠11の高さ寸法よりも若干小さく設定されている。また、樹脂ベース70は外枠11の上側枠部に寄せて配置され、外枠11の下側枠部と樹脂ベース70との間には若干の隙間が形成されている。外枠11にはこの隙間を塞ぐようにして幕板が装着されている。幕板は、樹脂ベース70(詳しくはその下端部)の下方に配置されており、内枠13が外枠11に対して閉じられた状態では樹脂ベース70が幕板の上に載ることとなる。なお、幕板と樹脂ベース70との間に若干のクリアランスを設けてもよい。
樹脂ベース70の前面における回動基端側(図4の左側)には、その上端部及び下端部に支持金具71,72が取り付けられている。図示は省略するが、支持金具71,72には軸孔が形成されており、それら軸孔に前扉枠14の突起軸61,62が挿入されることにより、内枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。
樹脂ベース70の前面における回動先端側(図4の右側)には、前扉枠14の背面に設けられた鉤金具63を挿入するための挿入孔73がそれぞれ設けられている。本パチンコ機10では、内枠13や前扉枠14を施錠状態とするための施錠装置75が内枠13の背面側に隠れて配置される構成となっている。したがって、鉤金具63が挿入孔73を介して施錠装置75(詳しくは前扉用鉤受け部材76)に係止されることによって、前扉枠14が内枠13に対して開放不能に施錠される。また、施錠装置75は、内枠13の後方へ延びる内枠用鉤部材77を有している。これら内枠用鉤部材77が外枠11の鉤受け部材19に引っ掛かることにより遊技機主部12が外枠11に対して閉じた状態で施錠される。
樹脂ベース70の右下隅部には、施錠装置75の解錠操作を行うためのシリンダ錠78が設置されている。シリンダ錠78は施錠装置75に一体化されており、シリンダ錠78の鍵穴に差し込んだキーを右に回すと内枠13に対する前扉枠14の施錠が解除され、シリンダ錠78の鍵穴に差し込んだキーを左に回すと外枠11に対する内枠13の施錠が解除されるように施錠装置75が構成されている。
樹脂ベース70の中央部には略楕円形状の窓孔74が形成され、樹脂ベース70に装着された遊技盤80によって同窓孔74が後方から塞がれている。遊技盤80は、木製の合板と同合板における前側の板面を覆うシート材とを有してなり、その前面が上記窓孔74を通じて樹脂ベース70の正面側に露出している。この露出している部位、すなわち遊技盤80の前面には、遊技球が流下する遊技領域PEが形成されている。既に説明したように遊技領域PEはガラスユニット22(詳しくはガラスパネル24)によって覆われている。ガラスユニット22は、ガラスパネル24と遊技盤80の前面との隙間が遊技球の直径よりも僅かに大きくなるように、すなわち遊技領域PEを流下する遊技球が同遊技領域PEの同一箇所にて前後に並ばないように配置されている。これにより、遊技領域PEでの球詰まりを抑制している。なお、遊技盤80は木製に限定されるのものではなく、合成樹脂製とすることも可能である。
以下、図5に基づき遊技盤80(特に遊技領域PEに配された各種構成)について説明する。図5は遊技盤80の正面図である。
遊技盤80には、ルータ加工が施されることによって自身の厚さ方向(前後方向)に貫通する大小複数の開口が形成されている。各開口には、一般入賞口81、可変入賞装置82、作動口83,84、スルーゲート85及び可変表示ユニット86等がそれぞれ設けられている。一般入賞口81、可変入賞装置82及び作動口83,84に遊技球が入ると、それら遊技球が後述する検知スイッチにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。その他に、遊技盤80の最下部にはアウト口87が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口87を通って遊技領域PEから排出される。以下の説明では、アウト口87への遊技球の入球と明確に区別するために、一般入賞口81、可変入賞装置82、作動口83,84、スルーゲート85への遊技球の入球を、入賞とも表現する。
また、遊技盤80には、遊技球の流下経路を適宜分散,調整等するために多数の釘88が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。これら釘88や風車等の各種構成によって、遊技球の流下経路が分化され、上述した一般入賞口81等への入賞が適度な確立で発生するように調整されている。
可変表示ユニット86には、作動口83,84への入賞をトリガとして図柄を可変表示する図柄表示装置91が設けられている。また、可変表示ユニット86には、図柄表示装置91を囲むようにしてセンターフレーム92が配設されている。センターフレーム92の上部には、第1特定ランプ部93及び第2特定ランプ部94が設けられている。また、センターフレーム92の上部及び下部にはそれぞれ保留ランプ部95,96が設けられている。下側の保留ランプ部95は、図柄表示装置91及び第1特定ランプ部93に対応しており、遊技球が作動口84を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部95の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。上側の保留ランプ部96は、第2特定ランプ部94に対応しており、遊技球がスルーゲート85を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部96の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
図柄表示装置91は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置91には、例えば左、中及び右に並べて図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示された場合には、特別遊技状態(以下、大当たりという)が発生することとなる。
第1特定ランプ部93では、作動口83,84への入賞をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には大当たりが発生する。
作動口83,84は、可変表示ユニット86寄りとなる位置に配置されている。作動口83,84への入賞をトリガとして、大当たりが発生し得るため、遊技者は作動口83,84に入賞するか否かに注目するとともに、大当たりが発生するか否かを把握するため図柄表示装置91や第1特定ランプ部93に注目するものと考えられる。作動口83,84を可変表示ユニット86寄りに設けたことは、遊技者が注目したい箇所を可変表示ユニット86周辺に集中させるための工夫である。
また、作動口83,84は、可変表示ユニット86の下方に上下に並べて配列されている。以下便宜上、上側の作動口を「上作動口83」、下側の作動口を「下作動口84」と称する。
下作動口(抽選契機入球部)84には、開閉式の入球補助装置(入球補助手段)又は開閉部材(開閉手段)としての電動役物89が設けられている。電動役物89は、下作動口84への入球が可能又は容易となる開放状態(補助状態)と、同入球が不可又は困難となる閉鎖状態(非補助状態)とに切替可能となっている。上述した第2特定ランプ部94においては、遊技球のスルーゲート85の通過をトリガとした発光色の切り替えが所定の順序で行われ、予め定められた色が停止表示された場合には、電動役物89が所定時間だけ開放状態となる。
可変入賞装置(特別入球装置又は特別入球手段)82は、開閉部材(開閉手段)としての開閉扉を有しており、遊技球の入球が可能又は容易となる開放状態(補助状態)と、同入球が不可又は困難となる閉鎖状態(非補助状態)とに切替可能となっている。通常時においては、開閉扉は閉鎖状態のまま維持され、大当たりの際には開放状態への切り換えがなされる。可変入賞装置82の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとし、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限とした可変入賞装置82の開放が繰り返されるものが一般的である。
再び図4を用いて説明すれば、樹脂ベース70における遊技盤80の下方には、上記遊技球発射ハンドル41の操作に基づいて遊技領域PEへ遊技球を発射する遊技球発射機構110が設けられている。図4に示すように、遊技球発射機構110は、所定の発射待機位置に配置された遊技球を打ち出すソレノイド111と、同ソレノイド111によって打ち出された遊技球の発射方向を規定する発射レール112と、上記発射待機位置に遊技球を供給する球送装置113と、それら各種構成111〜113が装着されているベースプレート114とを主要な構成として備えており、同ベースプレート114が樹脂ベース70に固定されることで、樹脂ベース70に対して一体化されている。
発射レール112は、遊技盤80側に向けて上り傾斜となるように、斜めに傾いた状態でベースプレート114に固定されている。発射レール112の下流側の端部(すなわち下端部)寄りとなる位置には、球送装置113から供給された遊技球を上述した発射待機位置に留める球ストッパが配されている。球ストッパよりも更に下流側となる位置に、上記ソレノイド111が配置されている。
ソレノイド111は、後述する電源・発射制御装置に対して電気的に接続されている。その電源・発射制御装置からの電気的な信号の出力に基づいてソレノイド111の出力軸が伸縮方向に往復動することにより、発射待機位置に置かれた遊技球が遊技盤80側、詳しくは遊技盤80に装着された誘導レール100に向けて打ち出される。
誘導レール100は、遊技領域PEを同遊技領域PEの外形が略円形状となるように区画形成している。また、誘導レール100は、遊技球の直径よりも若干大きな隙間を隔てて対峙するように配置された内レール101及び外レール102からなり、それら両レール101,102によって一条の誘導通路103が区画形成されている。誘導通路103は、発射レール112の先端側(斜め下方)に開放された入口部分と、遊技領域PEの上部に位置する出口部分とを有している。ソレノイド111の動作に基づいて発射された遊技球は、発射レール112→誘導レール100(入口部分→出口部分)の順に移動することにより遊技領域PEに導かれる。なお、遊技盤80において出口部分の先側、詳しくは内レール101の先端付近には、遊技領域PEに到達した遊技球の同誘導通路103内への逆戻りを防止する逆戻り防止部材106が取り付けられており、先んじて遊技領域PEに至った遊技球によって後続する遊技球の打ち出しが妨げられることを抑制している。
誘導レール100を構成している各レール101,102は、遊技領域PEの略中央部分を中心とする円弧状をなしている。このため、誘導通路103を通過する遊技球は、自身に発生する遠心力により外レール102に沿って、すなわち外レール102に接触したまま移動(摺動又は転動)しやすくなっている。
同図5に示すように、誘導レール100及び発射レール112は、同誘導レール100の入口部分と発射レール112の先端部分とが遊技盤80の下端縁を挟んで斜めに対峙するように配置されている。つまり、それら両レール100,112は、同誘導レール100の入口部分と発射レール112の先端部分とが遊技盤80の下端縁近傍にて左右にずれるようにして配置されている。これにより両レール100,112を遊技盤80の下端縁に近づけつつ、誘導レール100の入口部分と発射レール112との間には所定間隔の隙間を形成している。
このようにして形成された隙間よりも下側にはファール球通路55が配設されている。ファール球通路55は前扉枠14の通路形成ユニット50に一体成形されている。仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域PEまで至らずファール球として誘導通路103内を逆戻りする場合には、それらファール球が上記隙間を介してファール球通路55内に入ることとなる。ファール球通路55は前扉側下皿通路52に通じており、ファール球通路55に入った遊技球は図1に示した下皿34に排出される。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
樹脂ベース70において発射レール112の左方(詳しくは前扉枠14を支持している側)には樹脂ベース70を前後方向に貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔に通路形成部材121が配設されている。通路形成部材121は、樹脂ベース70に対してネジ止めされており、本体側上皿通路122と本体側下皿通路123とを有している。それら本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123の上流側は、後述する遊技球分配部に通じている。また、通路形成部材121の下方には前扉枠14に取り付けられた通路形成ユニット50の受口部53が入り込んでおり、本体側上皿通路122の下方には前扉側上皿通路51が配置され、本体側下皿通路123の下方には前扉側上皿通路51が配置されている(図2参照)。
樹脂ベース70において通路形成部材121の下方には、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を開閉する開閉部材124が取り付けられている。開閉部材124はその下端に設けられた支軸により前後方向に回動可能に支持されており、さらに本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を閉鎖する前方位置に付勢する付勢部材が設けられている。従って、前扉枠14を内枠13に対して開いた状態では開閉部材124が図示の如く起き上がり、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を閉鎖する。これにより、本体側上皿通路122又は本体側下皿通路123に遊技球が貯留されている状態で前扉枠14を開放した場合、その貯留球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できる。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニット50に設けられた受口部53により付勢力に抗して開閉部材124が押し開けられる。この状態では、本体側上皿通路122と前扉側上皿通路51とが連通し、さらに本体側下皿通路123と前扉側下皿通路52とが連通している。
次に、図6に基づき内枠13(樹脂ベース70及び遊技盤80)の背面構成について説明する。図6はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。
樹脂ベース70の背面における回動基端側(図8の右側)には、軸受け金具132が上下に並設されている。軸受け金具132には、上下に離間させて軸受け部が形成されており、これら軸受け部により内枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。
樹脂ベース70の背面には、係止金具135が複数設けられており、これら係止金具135によって上述したように樹脂ベース70に対して遊技盤80が取り付けられている。ここで、遊技盤80の背面の構成を説明する。図7は遊技盤80から主制御装置ユニット160を取り外した状態を示す背面図である。
遊技盤80の中央に配置される可変表示ユニット86には、センターフレーム92を背後から覆う合成樹脂製のフレームカバー141が後方に突出させて設けられており、フレームカバー141に対して後側から上述した図柄表示装置91が取り付けられるとともに、その図柄表示装置91を駆動するための表示制御装置が取り付けられている(図示は省略)。これら図柄表示装置91及び表示制御装置は前後方向に重ねて配置され(図柄表示装置が前、表示制御装置が後)、さらにその後方に音声ランプ制御装置ユニット142が搭載されている。音声ランプ制御装置ユニット142は、音声ランプ制御装置143と、取付台144とを具備する構成となっており、取付台144上に音声ランプ制御装置143が装着されている。
音声ランプ制御装置143は、後述する主制御装置からの指示に従い音声やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス145に収容されて構成されている。
遊技盤80の背面には、図7に示すように、可変表示ユニット86の下方に集合板150が設けられている。集合板150には、各種入賞口に入賞した遊技球を回収する遊技球回収機構や、各種入賞口等への遊技球の入球を検知する検知機構などが設けられている。
遊技球回収機構について説明すると、集合板150には、一般入賞口81、可変入賞装置82、作動口83,84等の各種入球口に対して個々に対応する回収通路151が設けられている。これら回収通路151は、それら入球口から遊技盤80の背面に沿って下っており、遊技球の落下経路を規定している。各回収通路151は、同遊技盤80の下端付近にて合流しており、一般入賞口81等の入球口を通過した遊技球は何れも回収通路151を介して遊技盤80の下部に集合することとなる。各回収通路151の出口部分は、下方に開放されており、その先側(詳しくは遊技盤80の下方)には後述する排出通路が設けられている。回収通路151により遊技盤80の下方に集合した遊技球は、排出通路へと導出される。なお、アウト口87も同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球もアウト口87を介して排出通路へ導出される。
検知機構について説明すると、集合板150には、一般入賞口81、可変入賞装置82、作動口83,84に対して個々に対応する検知センサが設けられている。これら各種検知センサは、上記一般入賞口81等の入球口に連なる各回収通路151の途中位置に配置されており、同回収通路151にて遊技球の落下経路が規定された状態にて遊技球の通過を検知する。より詳しくは、各検知センサは、各回収通路151の途中位置に設けられた検知領域を遊技球が通過することで、一般入賞口81等の入球口への入球を検知するものであり、具体的には上記検知領域を遊技球が通過した場合に生じる磁場の変化を把握する磁気センサが採用されている。
これら各種検知センサは、遊技盤80の背面側に設けられた主制御装置ユニット160(詳しくは主制御装置)に電気的に接続されており、それら検知センサにおける検知信号が同主制御装置に対して出力される構成となっている。以下、主制御装置ユニット160及びそれに付随する構成について図11に基づき説明する。図11は主制御装置ユニット160の構成を示す斜視図である。
主制御装置ユニット160は、集合板150を後側から覆うようにして遊技盤80に搭載されており、合成樹脂製の取付台161と、同取付台161に搭載された主制御装置162とによって構成されている。主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス163に収容されて構成されている。
基板ボックス163は、略直方体形状のボックスベース(表ケース体)とこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(裏ケース体)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印部164によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス163が封印されている。封印部164は、基板ボックス163の長辺部に5つ設けられ、そのうち少なくとも一つが用いられて封印処理が行われる。
封印部164はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、封印部164を構成する長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に結合されるようになっている。封印部164による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、5つの封印部164のうち、少なくとも一つの長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス163を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部と他の封印部との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス163のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度封印処理する場合は他の封印部の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス163の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス163に残しておけば、基板ボックス163を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
基板ボックス163の一方の短辺部には、その側方に突出するようにして複数の結合片が設けられている。これら結合片は、取付台161に形成された複数の被結合片と1対1で対応しており、結合片と被結合片とにより基板ボックス163と取付台161との間で封印処理が行われる。
次に、図8〜図10に基づき裏パックユニット15について説明する。図8はパチンコ機10の背面図、図9は裏パックユニット15の正面図、図10は裏パックユニット15を主要な構成ごとに分解して示す分解斜視図である。
図8に示すように、内枠13は裏パックユニット15によって後方から覆われている。裏パックユニット15は、裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。
裏パック201は透明性を有する合成樹脂により成形されており、図9に示すように払出機構部202などが取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有する。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット86を囲むのに十分な大きさを有する。
図9に示すように、ベース部211には、その右上部に外部端子板213が設けられている。外部端子板213には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置に対して各種信号が出力される。また、ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン214が設けられており、掛止ピン214を内枠13に設けられた軸受け金具132(詳しくは軸受け部)に挿通させることで、裏パックユニット15が内枠13に対して回動可能に支持されている。また、ベース部211における回動先端部には、内枠13に設けられた被締結孔90に対して締結するための締結具215が設けられており、当該締結具215を被締結孔に嵌め込むことで内枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。払出機構部202には、裏パック201の最上部に配されているとともに上方に開口したタンク221が設けられており、遊技ホールの島設備から供給される遊技球がそのタンク221に逐次補給される。タンク221の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール222が連結され、タンクレール222の下流側には上下方向に延びるケースレール223が連結されている。ケースレール223の最下流部には払出装置224が設けられている。払出装置224より払い出された遊技球は、当該払出装置224の下流側に設けられた図示しない払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に設けられた遊技球分配部225に供給される。
遊技球分配部225は、払出装置224より払い出された遊技球を上皿33、下皿34又は後述する排出通路の何れかに振り分けるための機能を有し、内側の開口部が上述した本体側上皿通路122及び前扉側上皿通路51を介して上皿33に通じ、外側の開口部が本体側下皿通路123及び前扉側下皿通路52を介して下皿34に通じるように形成されている(図3及び図7参照)。
図10に示すように、ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。排出通路盤には、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路が形成されており、当該排出通路の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路等から排出通路に導出された遊技球は当該排出通路を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台241を有し、取付台241に払出制御装置242と電源・発射制御装置243とが搭載されている。これら払出制御装置242と電源・発射制御装置243とは、払出制御装置242がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置242においては基板ボックス244内に払出装置224を制御する払出制御基板が収容されており、当該払出制御基板に設けられた状態復帰スイッチ245が基板ボックス244外に突出している。例えば、払出装置224における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ245が押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
電源・発射制御装置243は、基板ボックス246内に電源・発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源・発射制御装置243にはRAM消去スイッチ247が設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチ247を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
<作動口83,84における入賞検知に関する構成>
既に説明したように、一般入賞口81、可変入賞装置82、作動口83,84等の入球部に流入した遊技球が検知センサによって検知されると、その検知情報に基づいて遊技者に遊技球の払い出し等の特典が付与される。本実施の形態においては特に、入球部に流入した遊技球の検知精度(すなわち入賞の検知精度)を向上するための各種工夫がなされている。そこで以下、その一例として作動口83,84における球検知に関する構成を図5及び図11に基づき補足説明する。図11は、図5のA−A線部分断面図である。
図11に示すように、遊技盤80において可変表示ユニット86の下方には上下に並べて上側開口部98及び下側開口部99が設けられている。両開口部98,99は、遊技盤80の厚さ方向(前後方向)に貫通しているとともに開口断面が略矩形状をなすように形成されており、同開口部98,99には遊技盤80の前面側から作動口形成ユニット250が組み付けられている。
作動口形成ユニット250は、上側開口部98にて上作動口83を形成する上作動口形成部260と、下側開口部99にて下作動口84を形成する下作動口形成部270とが一体化されてなる。なお、上作動口形成部260及び下作動口形成部270を別体で設け、それら各作動口形成部260,270を遊技盤80に対して個別に取り付けることも可能である。
上作動口形成部260は、遊技領域PE内を流下する遊技球を取り込む上側取込部261と、同上側取込部261によって取り込まれた遊技球を遊技盤80の背面側に誘導する上側誘導通路部262とを有している。
上側取込部261は、遊技盤80の前面よりも前方に突出しているとともに、上方に開放されている。これにより、上側取込部261の上方からの遊技球の流入を許容しつつ、他の方向(例えば左右方向)からの遊技球の流入を不可としている。なお、上側取込部261に遊技球が流入する点に着目すれば同上側取込部261を「上側流入部261」と称することも可能である。
上側誘導通路部262は上方に開放されているとともに遊技盤80の厚さ方向に延びる樋状をなしており、上側開口部98に挿入されることで遊技盤80の前面及び背面に跨っている。上側誘導通路部262の底面には、上側取込部261から流入した遊技球を遊技盤80の背面側に導くガイドリブ263が形成されている。ガイドリブ263は、上側誘導通路部262の底面から上方に起立するとともに、上側取込部261から上側誘導通路部262の後端に延びる突条をなしている。
ガイドリブ263の起立先端部分は、遊技盤80の背面側に向けて下り傾斜している。このため、上側取込部261から流入した遊技球は、ガイドリブ263の傾斜に沿って遊技盤80の背面側へ向けて移動する。故に、それら遊技球が上側誘導通路部262内にて滞留することが好適に回避される。
下作動口形成部270は、上作動口形成部260と同様の構成、すなわち遊技領域PE内を流下する遊技球を取り込む下側取込部271と、同下側取込部271によって取り込まれた遊技球を遊技盤80の背面側に誘導する下側誘導通路部272とを有している。
下側取込部271は、遊技盤80の前面よりも前方に突出しているとともに、上方に開放されている。下側取込部271の入口部分の直上には、上作動口形成部260が位置しており、この上作動口形成部260によって直上からの遊技球の流入が妨げられている。また、下作動口形成部270には下側取込部271の入口部分を左右両側から挟むようにして上記電動役物89が配されており、同電動役物89が閉じた状態においては当該電動役物89と上作動口形成部260との隙間寸法が遊技球の直径寸法よりも小さくなっている。このため、電動役物89が開放されない限り下作動口形成部270への遊技球の流入が同電動役物89及び上作動口形成部260によって妨げられることとなる。なお、下側取込部271に遊技球が流入する点に着目すれば同下側取込部271を「下側流入部271」と称することも可能である。
下側誘導通路部272の底面には、上側誘導通路部262と同様に、下側取込部271から流入した遊技球を遊技盤80の背面側に導くガイドリブ273が形成されている。ガイドリブ273は、下側誘導通路部272の底面から上方に起立するとともに、下側取込部271から下側誘導通路部272の後端に延びる突条をなしている。ガイドリブ273の起立先端部分は、遊技盤80の背面側に向けて下り傾斜している。このため、下側取込部271から流入した遊技球は、ガイドリブ273の傾斜に沿って遊技盤80の背面側へ向けて移動する。故に、それら遊技球が下側誘導通路部272内にて滞留することが好適に回避される。
これら各誘導通路部262,272を通じて遊技盤80の後方へ誘導された遊技球は、上記集合板150へ到達する。集合板150には、上側誘導通路部262から流出した遊技球を回収する上側回収通路部311と、下側誘導通路部272から流出した遊技球を回収する下側回収通路部321とが設けられており、これら回収通路部311,321により個々に区画形成された通路によって上記回収通路151の一部が構成されている。
上側回収通路部311及び下側回収通路部321については、通路の取り回し等の構成が若干相違している。以下便宜上、図11及び図12に基づき下側回収通路部321及びそれに付随する構成について説明し、その後、同下側回収通路部321との相違点を踏まえて、上側回収通路部311及びそれに付随する構成について説明する。図12は、図11のB矢視図である。なお、図12においては便宜上、集合板150の一部を破断させることにより回収通路151の一部を視認可能としている。
下側回収通路部321は、下側誘導通路部272によって区画形成された誘導通路275の通路方向と交差する方向、具体的には鉛直方向に延びる縦通路322を有しており、その縦通路322が同誘導通路275に連通している。
下側取込部271から流入した遊技球は、誘導通路275を通じて縦通路322に流入し、当該縦通路322に沿って落下することとなる。
図12に示すように、縦通路322の途中位置には、複数の検知センサ350が配設されている。具体的には、縦通路322に沿うようにして2つの検知センサ350が並べて配置されている。それら各検知センサ350は、集合板150に形成されたセンサ収容部326に収容された状態で固定されることにより同集合板150に対して一体化されている(図7参照)。これら検知センサ350によって遊技球の通過が検知されることとなる。このように、下側回収通路部321にて遊技球の検知が行われる点に着目すれば、同下側回収通路部321を「球検知通路部321」と称することも可能である。
ここで、図11及び図13に基づき検知センサ350について説明する。図13(a)は検知センサ350の斜視図、図13(b)は検知センサ350を主要部品ごとに分解して示す分解斜視図である。
図13に示すように、検知センサ350は、遊技球を検知するセンサ主部360を有している。センサ主部360には、コンデンサ等の電子部品が実装されることで各種回路が形成されたセンサ基板361と、同センサ基板361の一側部に固定された電磁式の球検知部362と、センサ基板361において球検知部362とは反対側の端部に固定されたコネクタベース363とが設けられている。
図11に示すように、球検知部362は縦通路322の通路方向と同一方向に延びる筒状部362aを有しており、検知センサ350が集合板150に組み付けられた状態、すなわちセンサ収容部326に収容された状態では同筒状部362aによって縦通路322の一部が構成されている。より詳しくは、上記センサ収容部326は縦通路322の一部を当該縦通路322の通路方向と交差する方向へ凹ませることで形成されており、検知センサ350が同センサ収容部326に収容された状態では、筒状部362aによってその凹み部分が通路内側から塞がれている。筒状部362aの内周面は縦通路322の通路壁面と略面一となるように形成されており、同筒状部362aの内周面によって通路領域の一部が区画形成されている。
筒状部362aの外周面にはコイル364が巻きつけられており、同コイル364の両端(電気導線の両端)はセンサ基板361に接続されている(13(b)参照)。このコイル364が通電されることで、少なくとも筒状部362aによって囲まれた領域(以下便宜上、検知領域DEと称する)に磁界が発生することとなる。
再び図13を参照して説明すれば、検知センサ350は、センサ主部360を収容するケース体370を備えている。ケース体370は、センサ主部360を挟んで対峙する一対のケース構成体を有してなり、それら各ケース構成体が組み合わせられることで、検知センサ350の内部領域と外部領域とを区画している。ケース体370には電波や静電気等の通過を抑制するシールド機能が付与されており、当該ケース体370によってそれら電波等の影響がセンサ基板361に及ぶことを抑制している。
ケース体370には、コネクタベース363を検知センサ350の外部に露出させる切欠き部372が形成されており、同コネクタベース363に対してハーネスHが接続されている(図13(b)参照)。これにより、検知センサ350と主制御装置162とが電気的に接続され、検知センサ350から出力された検知信号を主制御装置162に伝達することが可能となっている。
また、それらケース体370には、上記球検知部362の筒状部362aに連通する開口部371が形成され、縦通路322を落下する遊技球の検知領域DEの通過が許容されている。遊技球が検知領域DEを通過した際には、同検知領域DEに形成された磁界が変化し、コイル364におけるインダクタンスが変化する。これにより、遊技球の通過が、信号の変化、詳しくは電圧の変化として現れることとなる。なお、本実施の形態におけるセンサ基板361には、コンデンサとコイルとを有してなる発振回路が形成されている。以下便宜上、発振回路におけるコイルとコイル364とを区別するため、後者を「検知コイル364」と称する。
因みに、図11に示すように筒状部362aにおける中心軸線方向(縦通路322の通路方向)の長さ寸法L1は、遊技球の直径寸法D1よりも小さく設定されている。このため、同筒状部362aを通過する遊技球は筒状部362a内に埋没することはなく、通過タイミングにおいては同遊技球の少なくとも一部が筒状部362aから突出することとなる。これにより、例えば遊技球が複数連なった状態で検知領域DEを通過した場合での個々の遊技球の識別能力を向上させている。
本実施の形態においては特に、複数の遊技球が連なった状態で検知領域DEを通過することを事前に回避するための工夫が施されており、これにより誤検知の発生を抑制している。
具体的には、ガイドリブ273の上面において上記下側誘導通路部272の途中位置となる部分には、上方へ緩やかに凸となる突部274が形成されている。突部274は上流側部位が上り傾斜しており、下流側部位が下り傾斜している。このため、同突部274を通過する遊技球は、上流側部位分を通過することにより減速した後、下流側部位を通過することにより再び加速することとなる。
仮に複数の遊技球が連なった状態にて、突部274を通過すると、先行する遊技球と後続する遊技球とが接触した状態で上り傾斜部分を通過するため、各遊技球の移動速度は同一となる。一方、先遊技球が下り傾斜部分に達すると、同先行球の移動速度が、未だ上り傾斜部分に存在している後続球の移動速度よりも速くなる。このため、それら両遊技球には速度差が生じ、両者の間に隙間を発生することとなる。このようにして、遊技球同士が接触した状態で流下することを抑えることにより、上述した誤検知の発生を好適に抑制することができる。
ここで、図11に基づき、各検知センサ350と縦通路322との関係について補足説明する。なお、以下の説明においては便宜上、両検知センサ350のうち上流側に配された検知センサ350を「第1検知センサ350A」、下流側に配された検知センサ350を「第2検知センサ350B」として区別する。
既に説明したように第1検知センサ350Aと第2検知センサ350Bとは、縦通路322に沿って並べて配置されている。特に、両検知センサ350A,350Bにおいては、共に磁界の変化を利用して遊技球を検知する構成が採用されているため、各検知センサ350A,350Bに生じる磁界の相互干渉を回避すべく若干の隙間を隔てて配設されている。このため、第1検知センサ350Aによって検知された遊技球が第2検知センサ350Bによって検知されるまでにはタイムラグが生じ得る。
第1検知センサ350A(詳しくはその検知領域DE1)と第2検知センサ350B(詳しくは検知領域DE2)との隙間寸法L2は、上記タイムラグによって生じる検知数の差が最大で2つまでとなるように設定されている。検知数の差をどのように設定するかは任意であるが、後述するノイズ検知の応答性を向上を考慮すれば、なるべく小さく設定することが好ましい。この設定数についての詳細は後述する。
次に、再び図11及び図12を参照して上側回収通路部311及びそれに付随する構成について説明する。
上側回収通路部311は、下側回収通路部321との干渉を回避するようにして配設されている。具体的には、上側回収通路部311は、上側誘導通路部262によって区画形成された誘導通路265から流出した遊技球を下側回収通路部321から遠ざかる側へ誘導する横通路312と、同横通路312の下流側の端部に連通し、当該横通路312に交差する方向(詳しくは鉛直方向)に延びる縦通路315とを有しており、この縦通路315に検知センサ350が配されている。
つまり、下作動口84においては、下側誘導通路部272を通過した遊技球が検知センサ350が配設された縦通路322にそのまま流入する構成であったのに対して、上作動口83においては、上側誘導通路部262を通過した遊技球を横通路312を経由させて縦通路315へ流入させる構成が採用されている。
横通路312は、上側誘導通路部262の誘導通路265に連通しており、その連通部分から遠ざかる側へ下り傾斜している。下側回収通路部321において横通路312を形成している底面には、詳しくは同底面において横通路312の途中位置となる部位には、上方に凸となる突部314が形成されている。この突部314には、下側誘導通路部272の突部274と同様の機能が付与されている。つまり、横通路312に複数の遊技球が流入した場合に、それら遊技球が連なって移動することを抑制し、各遊技球を引き離すことが可能となっている。
上述の如く上側回収通路部311を下側回収通路部321との干渉を回避するようにして取り回した場合、上作動口83における入口から検知センサ350までの通路距離が、下作動口84における下側取込部271から検知センサ350までの通路距離よりも長くなることで、上作動口83の入賞時における球検知の応答性が低下すると懸念される。すなわち、上側誘導通路部262へ遊技球が流入してから、検知センサ350によって同遊技球が検知されるまでの期間が長くなると想定される。このような応答性の低下は、円滑な遊技進行の妨げとなり得るため好ましくない。
この点、本実施の形態においては、上側誘導通路部262のガイドリブ263の傾斜度合いを、上側取込部261の入口寄りとなる部位、すなわち同入口の直下に位置する部位にて大きくする構成とした。つまり、上側取込部261は上方からの遊技球の流入を想定しているため、遊技球の落下の勢いを、上側回収通路部311へ向けての移動に転用することで、上側取込部261から上側回収通路部311への到達期間を短縮させている。このようにして、遊技球を勢いよく上側回収通路部311に到達させたとしても、当該上側回収通路部311の横通路312を経由することによりその勢いが弱められることとなる。これにより、遊技球が横通路312と縦通路315との境界部位にて暴れることを抑制し、縦通路315における遊技球の落下速度のばらつきを抑制している。
なお、下側誘導通路部272においては、同下側誘導通路部272から直接縦通路322へ遊技球が流入する。下側誘導通路部272に突部274を配設しているため、遊技球に過度な勢いを与えると、突部274を通過することで、遊技球が浮き上がり、上下位置が安定しないまま、縦通路322へ流入し得る。これでは、遊技球の落下速度を調整することが難しくなると想定される。故に、上述したようにガイドリブの傾斜度合いを受入口周辺で大きくすることで落下の勢いを後方への移動に利用するといった試みは、上側誘導通路部262に留め、下側誘導通路部272への適用は控えたほうがよい。
因みに、上側回収通路部311に配設されている検知センサは、下側回収通路部321に配設されている検知センサと同様の構成を有している。つまり、上側回収通路部311のセンサ収容部318は、複数の検知センサ350が収容されており、筒状部362aによって区画されている検知領域DEを遊技球が通過することにより、当該検知センサ350から出力される信号が変化する構成となっている(図12参照)。より詳しくは、縦通路315に沿って第1検知センサ350A及び第2検知センサ350Bが、前者が後者よりも上流側に位置するように並べて配置されているが、これら各検知センサ350A,350Bに関する詳細な説明は省略する。
ここで、遊技進行に伴う遊技球検知の流れについて説明する。
遊技球発射機構110から発射された遊技球は誘導レール100を経由して遊技領域PEに到達する。これら複数の遊技球のうち1の遊技球が上作動口83に流入すると、同遊技球は上側誘導通路部262のガイドリブ263に衝突することで落下の勢いを利用してパチンコ機10の後方、すなわち上側回収通路部311に向けて移動する。
上側回収通路部311に到達した遊技球は、横通路312の後側壁面に衝突することで、その勢いが弱められ、横通路312の傾斜に沿って縦通路315側へ移動する。横通路312の底面に沿って移動した遊技球は、縦通路315の通路壁面に衝突することにより、再びその勢いが弱められた後、自重により縦通路315に沿って落下する。
このようにして縦通路315を落下する遊技球は、先ず第1検知センサ350Aの検知領域DE1を通過する。遊技球が検知領域DE1を通過することによって得られた信号は、センサ基板361→コネクタベース363→ハーネスH(図13参照)を経由して主制御装置162へ出力される。
検知領域DE1を通過した遊技球は、第2検知センサ350Bの検知領域DE2を通過する。遊技球が検知領域DE2を通過することによって得られた信号は、センサ基板361→コネクタベース363→ハーネスH(図13参照)を経由して主制御装置162へ出力される。
また、遊技領域PEに到達した遊技球の一部がスルーゲート85を通過すると内部抽選が実行され、その結果抽選に当選すると、電動役物89が所定期間開放される。こようにして電動役物89が開放されたタイミングにおいて下作動口84へ流入した遊技球は、左右方向への移動成分及び上下方向への移動成分を有しているが、下側取込部271へ流入した際に、同遊技球の左右方向への移動成分が下側誘導通路部272の側壁に衝突することで吸収され、下方への移動成分が同下側誘導通路部272のガイドリブ273に衝突することで吸収される。このようにして勢いが弱められた遊技球は、下側誘導通路部272のガイドリブ273に沿って緩やかに後方へと移動する。下側回収通路部321に到達した遊技球は、縦通路322の通路壁面に衝突することによりその勢いが弱められた後、自重により縦通路322に沿って落下する。
このようにして縦通路322を落下する遊技球は、先ず第1検知センサ350Aの検知領域DE1を通過する。遊技球が検知領域DE1を通過することによって得られた信号は、センサ基板361→コネクタベース363→ハーネスH(図13参照)を経由して主制御装置162へ出力される。
検知領域DE1を通過した遊技球は、第2検知センサ350Bの検知領域DE2を通過する。遊技球が検知領域DE2を通過することによって得られた信号は、センサ基板361→コネクタベース363→ハーネスH(図13参照)を経由して主制御装置162へ出力される。
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図14のブロック図に基づき説明する。図14では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
主制御装置162に設けられた主制御基板601には、主制御回路602と停電監視回路603とが内蔵されている。主制御回路602には、MPU611が搭載されている。MPU611には、当該MPU611により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM612と、そのROM612内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM613と、割込回路やタイマ回路、データ入出力回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM613は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源・発射制御装置243に設けられた電源・発射制御基板621からデータ記憶保持用電力が供給されてデータが保持される構成となっている。
MPU611には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。主制御回路602の入力側には、主制御基板601に設けられた停電監視回路603、払出制御装置242に設けられた払出制御基板622及び各種センサ群などが接続されている。この場合に、停電監視回路603には電源・発射制御基板621が接続されており、主制御回路602には停電監視回路603を介して電力が供給される。
センサ群の一部として、作動口83,84用の検知センサ350や、可変入賞装置82等の他の入球部に設けられた複数の検知センサが接続されており、MPU611において入球部の入賞判定が行われる。
ここで、検知センサ350A,350Bからの検知情報に基づいた入賞判定を行う上での電気的な構成を図15のブロック図を用いて説明する。
図15に示すように、第1検知センサ350Aのセンサ基板361Aには、主回路650A及び出力回路690Aからなる集積回路が設けられている。
主回路650Aは、高周波を発振する発振回路660Aを有している。発振回路660Aは、コイル及びコンデンサを有してなり、一定の電圧が印加されることにより一定の周波数(本実施の形態においては1MHz)で発振する。また、主回路650Aは、発振回路660Aにて生成された高周波が入力される検知回路670Aを有している。
検知回路670Aは、球通過に伴う同検知回路670Aのインピーダンスの変化により高周波出力をON/OFFし、それにより球通過を検知するものであり、具体的には、検知コイル364A及びコンデンサ671Aを並列接続したLC回路となっている。この検知回路670Aを経由した信号(アナログ信号)は、発振回路660Aや検知回路670Aと共に主回路650Aを構成している処理回路680Aに入力される。処理回路680Aは、検知回路670Aから入力された信号をHIレベル及びLOWレベルのいずれかに変換する(2値化する)機能を有しており、上記周波数で発振された信号の振幅が所定の閾値を超えている場合(球非通過時)にはHIレベル信号を出力する。このようにして処理回路680Aを経由することで2値化された信号は、出力回路690Aを通じて主制御基板601へ出力される。
また、第2検知センサ350Bのセンサ基板361Bには、第1検知センサ350Aと同様に、主回路650B及び出力回路690Bからなる集積回路が設けられている。
主回路650Bは、高周波を発振する発振回路660Bを有している。発振回路660Bは、コイル及びコンデンサを有してなり、一定の電圧が印加されることにより一定の周波数(本実施の形態においては1MHz)で発振する。また、主回路650Bは、発振回路660Bにて生成された高周波が入力される検知回路670Bを有している。
検知回路670Bは球通過に伴う同検知回路670Bのインピーダンスの変化により高周波出力をON/OFFし、それにより球通過を検知するものであり、具体的には、検知コイル364B及びコンデンサ671Bを並列接続したLC回路となっている。この検知回路670Bを経由した信号(アナログ信号)は、発振回路660Bや検知回路670Bと共に主回路650Bを構成している処理回路680Bに入力される。処理回路680Bは、検知回路670Bから入力された信号をHIレベル及びLOWレベルのいずれかに変換する(2値化する)機能を有しており、上記周波数で発振された信号の振幅が所定の閾値を超えている場合(球通過時)にはHIレベル信号を出力する。このようにして処理回路680Bを経由することで2値化された信号は、出力回路690Bを通じて主制御基板601へ出力される。
これら第1検知センサ350Aと第2検知センサ350Bとは検知回路670に設けられた各種構成が相違している。そして、これら相違する構成を併用することによって、遊技球の検知精度の向上を図っている。ここで、図15及び図16に基づき、第1検知センサ350A及び第2検知センサ350Bの特徴的な構成(両者の相違点)について説明する。図16(a)群は第1検知センサ350Aにおける検知態様を示す概略図、図16(b)群は第2検知センサ350Bにおける検知態様を示す概略図、図16(1)群は検知回路670における周波数とインピーダンスとの関係を示す概略図、図16(2)群は処理回路680に入力される高周波を示す概略図である。
先ず、第1検知センサ350Aについて説明する。図16(a1)に示すように、発振回路660Aでは、予め定められた所定周波数F1(1MHz)の高周波信号が出力されており、検知回路670Aの検知コイル364A及びコンデンサ671Aによって定まる共振周波数f1は、上記所定周波数F1と同等になっている。このため、検知領域DE1を遊技球が通過していない場合(以下便宜上、「通常時」と称する)には、検知回路670AのインピーダンスZの値が最大となり、検知回路670Aから出力される高周波の振幅(電圧)についても最大となる。
検知領域DE1を遊技球が通過する場合には、同遊技球が検知コイル364Aによって形成された磁界を通過することになる。このようにして遊技球が磁界を通過すると、検知コイル364Aにおけるインダクタンスが増大し、検知回路670Aにおける共振周波数f1が低下する。具体的には、図16(a1)に示すように、検知回路670Aにおける周波数fに対するインピーダンスZの特性波形が低周波数側にシフトする(同図の2点鎖線参照)。この場合、1MHzの高周波に対するインピーダンス(抵抗)が小さくなるとともに、高周波の振幅が小さくなる。より詳しくは、図16(a2)におけるt1のタイミング〜t2のタイミングに示すように、高周波の振幅がほぼ0となってあたかも発振が一時的に停止したかのように変化する。
このように高周波の振幅が小さくなって予め定められた閾値を下回ると、その変化が処理回路680Aによって2値信号に反映される。つまり、第1検知センサ350Aの検知コイル364A及びコンデンサ671Aは、検知領域DE1を遊技球が通過した場合の共振周波数の変化が、処理回路680Aから出力される信号に反映されるように設定されている。言い換えれば、上述した処理回路680Aの上記閾値は、遊技球の通過に伴って高周波の振幅が小さくなった場合に同振幅が当該閾値を下回るように設定されており、このようにして振幅が閾値を下回った場合(すなわち検知時)には、処理回路680Aから出力回路690AへLOWレベル信号が入力される。
その後、遊技球が検知領域DE1を通過したt2のタイミングでは、検知回路670Aにおける共振周波数が元の値に復帰することにより、再び検知回路670Aのインピーダンスが最大となり、検知回路670Aから出力される高周波の振幅(電圧)は最大となる。これにより、一時的に抑えられていた高周波の発振が再開され、振幅が閾値を再び上回ることで処理回路680から出力回路690へHIレベル信号が入力されることとなる。
なお、第1検知センサ350Aの出力回路690Aを経由した2値信号は、HI/LOWが反転された後、主制御装置162へ出力される。
一方、第2検知センサ350Bについては、上記第1検知センサ350Aとは逆の構成となっている。具体的には、図16(b1)に示すように、第2検知センサ350Bの検知回路670Bを構成している検知コイル364B及びコンデンサ671Bは、当該検知回路670Bにおける共振周波数f2が発振回路660Aから入力される高周波の周波数F2よりも大きく(例えば1.2MHz)設定されている。このため、検知領域DE2を遊技球が通過していない場合(以下便宜上、「通常時」と称する)には、インピーダンスZの値が小さく抑えられ、検知回路670Aから出力される高周波の振幅(電圧)がほぼ0となる。
検知領域DE2を遊技球が通過する場合には、同遊技球が検知コイル364Bによって形成された磁界を通過することになる。このようにして遊技球が磁界を通過すると、検知コイル364Bにおけるインダクタンスが増大し、検知回路670Bにおける共振周波数f2が低下する。そして、同共振周波数f2が周波数F2と同等となる。より具体的には、
図16(b1)に示すように、検知回路670Bにおける周波数fに対するインピーダンスZの特性波形が低周波数側にシフトする(同図の2点鎖線参照)。この場合、1MHzの高周波に対するインピーダンス(抵抗)が大きく(最大に)なるとともに、高周波の振幅が大きく(最大に)なる。
結果として、図16(b2)におけるt3のタイミング〜t4のタイミングに示すように、遊技球の通過に合わせて高周波(振幅が上記閾値よりも大きな高周波)が発振される。このように高周波の振幅が大きくなり、予め定められた閾値を上回ると、その変化が処理回路680Bによって2値信号に反映される。つまり、第2検知センサ350Bの検知コイル364B及びコンデンサ671Bは、検知領域DE2を遊技球が通過した場合の共振周波数の変化が、処理回路680Bから出力される信号に反映されるように設定されている。言い換えれば、上述した処理回路680Bの閾値は、遊技球の通過に伴って振幅が大きくなった場合に同振幅が当該閾値を上回るように設定されており、このようにして振幅が閾値を上回った場合(すなわち検知時)には、処理回路680Bから出力回路690BへHIレベル信号が入力される。
その後、遊技球が検知領域DE2を通過したt4のタイミングでは、共振周波数が元の値に復帰することにより、再び検知回路670Bのインピーダンスが小さくなり、検知回路670Bから出力される高周波の振幅(電圧)は小さくなる。これにより、高周波の発振が抑えられた状態となり、振幅が閾値を再び下回ることで処理回路680Bから出力回路690BへLOWレベル信号が入力されることとなる。
なお、第2検知センサ350Bの出力回路690Bを経由した2値信号は、HI/LOWが維持されたまま主制御装置162へ出力される。
このようにして各検知センサ350A,350Bから入力された信号を主制御基板601のMPU611にて分析することにより、後述する入賞判定が実行される。主制御基板601(詳しくは主制御回路602)の出力側には、中継端子板623を介して音声ランプ制御装置143(詳しくは音声ランプ制御基板624)が接続されているとともに、外部端子板213を通じてホールコンピュータが接続されている。仮に、入賞判定にてノイズ等の影響によるエラーが確認された場合には、当該エラーが発生している旨を報知するべく報知コマンドが音声ランプ制御装置143に出力されるとともに、エラー情報がホールコンピュータに伝達されることとなる。
ここで、主制御装置162のMPU611にて入賞判定を行う上での電気的な構成にていて補足説明する。
MPU611のRAM613には、遊技球の入賞を判定する際に用いられる第1検知カウンタエリア613a及び第2検知カウンタエリア613bが設けられている。より詳しくは、第1検知センサ350Aからの検知信号判定用として第1検知カウンタエリア613aが設けられ、第2検知センサ350Bからの検知信号判定用として第2検知カウンタエリア613bが設けられている。
第1検知カウンタエリア613aは、最大値を「2」とするカウンタ(以下便宜上、第1検知カウンタDC1と称する)となっており、所定の条件に応じてその値が「0」,「1」,「2」で変化する構成となっている。具体的には、任意の1回の処理にて遊技球を検知していないことに対応した信号(すなわちLOWレベル信号)の入力を確認することにより「0」にリセットされ、その後、遊技球を検知していることに対応した信号(すなわちHIレベル信号)の入力を2回の処理にて連続して確認した場合に、「0」→「1」又は「1」→「2」となるようにカウントアップされる。このようにして同第1検知カウンタDC1の値が「2」となった場合に、1の遊技球の入賞が発生したと判定される。
第2検知カウンタエリア613bは、最大値を「2」とするカウンタ(以下便宜上、第2検知カウンタDC2と称する)となっており、所定の条件に応じてその値が「0」,「1」,「2」で変化する構成となっている。具体的には、任意の1回の処理にて遊技球を検知していないことに対応した信号(詳しくはLOWレベル信号)の入力を確認することにより「0」にリセットされ、その後、遊技球を検知していることに対応した信号(詳しくはHIレベル信号)の入力を2回の処理にて連続して確認した場合に、「1」→「2」となるようにカウントアップされる。このようにして同第2検知カウンタDC2が「2」となることに基づいて、1の遊技球が入賞したと判定される。
なお、第1検知カウンタDC1及び第2検知カウンタDC2のカウント数は任意であり、例えば検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベル→HIレベルの順に変化することで遊技球の入賞が発生したと判定する構成においては最大値を「3」に変更するとよい。
チェックカウンタエリア613cは、最大値を「200」且つ初期値を「100」とするカウンタ(以下便宜上、チェックカウンタCCと称する)となっており、所定の条件に応じてその値が加算又は減算される構成となっている。具体的には、第1検知カウンタDC1によって遊技球が入賞したと判定された場合に「1」ずつ加算され、第2検知カウンタDC2によって遊技球が入賞したと判定された場合に「1」ずつ減算される。つまり、遊技球が正常に入賞している場合には、一時的な変動を経てチェックカウンタCCの値が初期値に落ち着くこととなる。一方、チェックカウンタCCの値が初期値から外れたままとなった場合には、検知信号が正常でない旨が把握される。つまり、意図的又は偶発的要因により、いずれかの検知センサ350A,350Bから出力される検知信号にノイズ等が混入している可能性があることが把握される。
次に、MPU611にて大当たり発生判定を行う上での電気的な構成について図15及び図17を用いて説明する。
MPU611は遊技に際し各種カウンタ情報(詳しくは図15に示すRAM613の各種カウンタエリア613dの情報)を用いて、大当たり抽選、第1特定ランプ部93の発光色の設定や、図柄表示装置91の図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図17に示すように、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、確変大当たりや通常大当たり等の大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置91が外れ変動する際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、第1特定ランプ部93に表示される色の切り替えを行う期間及び図柄表示装置91における図柄の変動表示時間を決定する変動種別カウンタCSとを用いることとしている。さらに、下作動口84の電動役物89を電役開放状態とするか否かの抽選に使用する電動役物開放カウンタC4を用いることとしている。なお、上記各カウンタC1〜C4,CINI,CSは、RAM613の各種カウンタエリア613dに設けられている。
カウンタC1〜C4,CINI,CSは、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM613の抽選カウンタ用バッファ613eに適宜格納される。RAM613には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア613f及び電役保留エリアが設けられており、このうち保留球格納エリア613fには、作動口83,84への遊技球の入球履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値が時系列的に格納されるようになっている。
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜676の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり676)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0〜676)。大当たり乱数カウンタC1は定期的に更新され、遊技球が作動口83,84に入球したタイミングでRAM613の保留球格納エリア613fに格納される。
大当たり種別カウンタC2は、0〜49の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり49)に達した後0に戻る構成となっている。そして、本実施の形態では、大当たり種別カウンタC2によって、大当たりが終了した後に、確変状態とするか通常状態とするかを決定することとしている。大当たり種別カウンタC2は定期的に更新され、作動口83,84への入賞が発生したと判定されたタイミングでRAM613の保留球格納エリア613fに格納される。
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。リーチ乱数カウンタC3は定期的に更新され、作動口83,84への入賞が発生したと判定されたタイミングでRAM613の保留球格納エリア613fに格納される。
変動種別カウンタCSは、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCSによって、第1特定ランプ部93に表示される色の切り替えを行う期間としての切替表示時間が決定される。この切替表示時間は、図柄表示装置91の図柄の変動表示時間に相当する。変動種別カウンタCSは、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、第1特定ランプ部93に表示される色の切り替え開始時及び図柄表示装置91による図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCSのバッファ値が取得される。
なお、1遊技回の開始に際しては、主制御基板601のMPU611にて、保留球格納エリア613fに格納されている各カウンタC1〜C3,CSの値を用いて大当たり抽選や第1特定ランプ部93に表示される色の切り替え時間が決定されるが、ここで決定された抽選結果の情報や切り替え時間の情報は遊技回用コマンドとして音声ランプ制御装置143に送信される。音声ランプ制御装置143では、当該遊技回用コマンドに基づいて、図柄表示装置91における変動パターンやリーチ発生の有無といった該当する遊技回の演出内容を決定する。
また、スルーゲート85への入賞が発生したタイミングでその時点での電役開放カウンタC4の値が取得され、その取得した値に基づいて電動役物を開放状態とするか否かの抽選が実行される。
図10の説明に戻り、主制御回路602の出力側には、停電監視回路603、払出制御基板622及び中継端子板623が接続されている。払出制御基板622には、賞球コマンドなどといった各種コマンドが出力される。中継端子板623を介して主制御回路602から音声ランプ制御装置143に設けられた音声ランプ制御基板624に対して上記報知コマンドを含む各種コマンドが出力される。
停電監視回路603は、主制御回路602と電源・発射制御基板621とを中継し、また電源・発射制御基板621から出力される最大電源である直流安定24ボルトの電源を監視する。
払出制御基板622は、払出装置224により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU631は、そのMPU631により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM632と、ワークメモリ等として使用されるRAM633とを備えている。
払出制御基板622のRAM633は、主制御回路602のRAM613と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源・発射制御基板621からデータ記憶保持用電力が供給されてデータが保持される構成となっている。
払出制御基板622のMPU631には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。払出制御基板622の入力側には、主制御回路602、電源・発射制御基板621、及び裏パック基板629が接続されている。また、払出制御基板622の出力側には、主制御回路602及び裏パック基板629が接続されている。
電源・発射制御基板621は、電源部と発射制御部とを備えている。電源部は、二重線矢印で示す経路を通じて、主制御回路602や払出制御基板622等に対して各々に必要な動作電力を供給する。発射制御部は、遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作にしたがって遊技球発射機構110の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構110は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
音声ランプ制御基板624は、各種ランプ部26〜28やスピーカ部29、及び表示制御装置625を制御するものである。演算装置であるMPU641は、そのMPU641により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM642と、ワークメモリ等として使用されるRAM643とを備えている。
音声ランプ制御基板624のMPU641にはアドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。音声ランプ制御基板624の入力側には中継端子板623に中継されて主制御回路602が接続されており、主制御回路602から出力される各種コマンドに基づいて、各種ランプ部26〜28、スピーカ部29、及び表示制御装置625を制御する。表示制御装置625は、音声ランプ制御基板624から入力する表示コマンドに基づいて図柄表示装置91を制御する。
<主制御装置162にて実行される各種処理について>
次に、主制御装置162のMPU611にて実行されるタイマ割込み処理及び通常処理を説明する。なお、MPU611では、タイマ割込み処理及び通常処理の他に、電源投入に伴い起動されるメイン処理とNMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とが実行されるが、これらの処理については説明を省略する。
<タイマ割込み処理>
先ず、タイマ割込み処理について、図18のフローチャートを参照しながら説明する。本処理はMPU611により定期的に(例えば2msec周期で)起動される。この周期は任意である。但し、当該タイマ割込み処理には、電断信号や不正検知信号の確認や、各種入賞の確認などといった短い周期で繰り返し実行すべき処理が設定されているため、これら以外の処理が設定されている後述する通常処理の繰り返し周期よりも短く設定されていることが好ましい。
先ずステップS101にて、信号読み込み処理を実行する。信号読み込み処理では、一般入賞口81、可変入賞装置82、作動口83,84及びスルーゲート85に対して個別に設けられた検知センサから入力ポートに入力されている情報を確認し、その確認結果から各入球部への入球の有無を特定する。具体的には、遊技球を検知していないことに対応した信号(例えば、LOWレベル信号)の入力を確認し、遊技球を検知していることに対応した信号(例えば、HIレベル信号)の入力を2回連続して確認した場合に、その検知センサに対応した入球部において遊技球の入球が発生したと特定する。以下、信号読み込み処理の一部、具体的には作動口83,84に対応した検知センサ350からの信号に基づいた処理について図19のフローチャートを参照して説明する。なお、本実施の形態においては、作動口83用の検知センサ350から出力される信号の読み込み処理と、作動口84用の検知センサ350から出力される信号の読み込み処理とが同様であるため、以下の説明では、作動口83用の信号読み込み処理について説明し、作動口84用の信号読み込み処理については説明を省略する。
<信号読み込み処理>
信号読み込み処理においては、先ず第1検知センサ350Aから入力される検知信号の読み込み処理(ステップS201〜ステップS208)を行い、その後、第2検知センサ350Bから入力される検知信号の読み込み処理(ステップS209〜ステップS215)を行い、最後に検知結果に基づく信号判定処理(ステップS216〜ステップS218)を行う。なお、各検知信号の読み込み処理の順序は、これに限定されるものではなく、先に第2検知センサ350Bから入力される検知信号の読み込み処理を行ってもよい。
ステップS201では、第1検知センサ350Aから入力されている検知信号がHIレベルであるか否かを判定する。ステップS201にて否定判定がなされた場合には、すなわち検知信号がLOWレベルである場合には、ステップS202に進み、第1検知カウンタDC1の値を「0」に更新した後、第2検知センサ350B用の信号読み込み処理に進む。
一方、ステップS201にて肯定判定がなされた場合には、すなわち検知信号がHIレベルである場合には、ステップS203に進む。ステップS203では、第1検知カウンタDC1の値が「1」であるか否かを判定する。
ステップS203にて肯定判定がなされた場合には、すなわち第1検知カウンタDC1の値が「1」である場合には、ステップS204にて第1検知カウンタDC1の値を「2」に更新(1加算)した後、ステップS205に進む。ステップS204における肯定判定は、検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルの順に入力されていることを示すものであり、このような信号の入力に基づいて、検知領域DE1を遊技球が通過した、すなわち作動口83への入賞があったと判定されることとなる。そして、続くステップS205にてチェックカウンタCCの値を更新(詳しくは「1」加算)した後、ステップS206にてRAM613の各種フラグ格納エリア613gに第1入賞検知フラグをセットする。この第1入賞検知フラグは、作動口83への入賞に基づいて遊技球の払出し等を実行する際に用いられるフラグである。
ステップS206にて第1入賞検知フラグをセットした後は、第1検知センサ350A用の信号読み込み処理を終了し、第2検知センサ350B用の信号読み込み処理に進む。
一方、ステップS203にて否定判定をした場合には、すなわち第1検知カウンタDC1の値が「0」又は「2」であるには、ステップS207にて第1検知カウンタDC1の値が「2」であるか否かを判定する。ステップS207にて肯定判定をした場合、すなわち第1検知カウンタDC1の値が「2」である場合には、第1検知センサ350A用の信号読み込み処理を終了して、第2検知センサ350B用の信号読み込み処理に進む。
ステップS207て否定判定をした場合、すなわち第1検知カウンタDC1の値が「0」である場合には、ステップS208に進み第1検知カウンタDC1の値を「1」に更新(1加算)した後、第2検知センサ350B用の信号読み込み処理に進む。
次に、第2検知センサ350B用の信号読み込み処理について説明する。
ステップS202,S206,S208の各処理を実行した後は、ステップS209に進み、第2検知センサ350Bから入力されている検知信号がHIレベルであるか否かを判定する。ステップS209にて否定判定がなされた場合には、すなわち検知信号がLOWレベルである場合には、ステップS210に進み、第2検知カウンタDC2の値を「0」に更新した後、信号判定処理に進む。
一方、ステップS209にて肯定判定がなされた場合には、すなわち検知信号がHIレベルである場合には、ステップS211に進む。ステップS211では、第2検知カウンタDC2の値が「1」であるか否かを判定する。
ステップS211にて肯定判定がなされた場合には、すなわち第2検知カウンタDC2の値が「1」である場合には、ステップS212にて第2検知カウンタDC2の値を「2」に更新(1加算)した後、ステップS213に進む。ステップS211における肯定判定は、検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルの順に入力されていることを示すものであり、このような信号の入力に基づいて、検知領域DE2を遊技球が通過した、すなわち作動口83への入賞があったと判定されることとなる。そして、続くステップS213にてチェックカウンタCCの値を更新(詳しくは「1」減算)し、信号判定処理に進む。
一方、ステップS211にて否定判定をした場合には、すなわち第2検知カウンタDC2の値が「0」又は「2」であるには、ステップS214にて第2検知カウンタDC2の値が「2」であるか否かを判定する。ステップS214にて肯定判定をした場合、すなわち第2検知カウンタDC2の値が「2」である場合には、信号判定処理へ進む。
ステップS214にて否定判定をした場合、すなわち第2検知カウンタDC2の値が「0」である場合には、ステップS215に進み第2検知カウンタDC2の値を「1」に更新(1加算)した後、信号判定処理に進む。
ステップS210,S213,S215の各処理を実行した後は、ステップS216〜ステップS218の信号判定処理に進み、各検知センサ350A,350Bから入力されている検知信号が正常であるか否かを判定する。
信号判定処理においては、先ずステップS216にてチェックカウンタCCの値が正常値であるか否かを判定する。具体的には、チェックカウンタCCの値が「97」〜「103」の範囲内であるか否かを判定する。チェックカウンタCCの値が正常値の範囲内であると判定した場合、すなわちチェックカウンタCCが「97」,「98」,「99」,「100」,「101」,「102」,「103」である場合(中央値「100」からの差分が「3」以内である場合)には、そのまま本信号読み込み処理を終了する。
一方、ステップS216にて否定判定をした場合、すなわちチェックカウンタCCの値が正常でないと判定した場合には、続くステップS217に進みRAM613の各種フラグ格納エリア613gにエラー報知フラグを格納し、ステップS218に進む。ステップS218では、チェックカウンタCCの更新処理を実行する。具体的には、チェックカウンタCCの値を「100」に更新する。そして、ステップS218にてチェックカウンタCCの値を更新した後、本信号読み込み処理を終了する。
再び図18を参照してタイマ割込み処理について説明する。以上詳述した信号読み込み処理を実行した後は、ステップS102にて、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。続くステップS103では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4の更新を実行する。具体的には、それぞれの乱数カウンタの値を1ずつ加算するとともに、当該加算した値が上限値になっているか否かを判定する。そして、当該加算した値が上限値を超えている場合には、カウンタの値を初期値に設定する。その後、各カウンタC1〜C4の更新値を、RAM613の該当するバッファ領域に格納する。
ここで、大当たり乱数カウンタC1に関しては、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。乱数初期値カウンタCINIは乱数値であるため、大当たり乱数カウンタC1の初期値は変動している。よって、大当たり乱数カウンタC1の値が当選値と一致するタイミングは、大当たり乱数カウンタC1が1周する毎に異なっているため、大当たり乱数カウンタC1の値が当選値となるタイミングを把握することは困難になっている。
続くステップS104ではスルーゲート85への入賞に伴うスルー用の入賞処理を実行する。スルー用の入賞処理では、スルーゲート85への入賞が発生していた場合には、電役保留エリアに記憶されている役物保留記憶数が上限数(例えば、「4」)未満であることを条件として、前記ステップS103にて更新した電動役物開放カウンタC4の値を電役保留エリアに格納する。また、音声ランプ制御装置143に対して、役物保留記憶数と対応する保留ランプ部96を点灯させるための処理を実行する。
その後、ステップS105にて始動入賞処理を実行する。始動入賞処理では、図20のフローチャートに示すように、先ずステップS401にてRAM613の各種フラグ格納エリア613hにおける入賞検知フラグ格納エリアに作動口用の入賞検知フラグが格納されているか否かを判定することにより、遊技球が作動口83,84に入賞(始動入賞)したか否かを判定する。
遊技球が作動口83,84に入賞したと判定すると、続くステップS402において、第1特定ランプ部93及び図柄表示装置91の作動保留球数Nが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判定する。作動口83,84への入賞があり、且つ作動保留球数N<4であることを条件にステップS403に進み、作動保留球数Nを1加算する。なお、ステップS403の処理後に作動口フラグを消去する。続くステップS404では、抽選カウンタ用バッファ613eに格納されている大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を、RAM613の保留球格納エリア613fの空きエリアのうち最初のエリアに格納する。
そして、始動入賞処理の後、MPU611は本タイマ割込み処理を一旦終了する。
<通常処理>
次に、通常処理の流れを図21のフローチャートを参照しながら説明する。通常処理は電源投入に伴い起動されるメイン処理が実行された後に開始される処理であり、通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS501〜S506の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS509,S510のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
通常処理において、ステップS501では、タイマ割込み処理又は前回の通常処理で設定したコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する。具体的には、賞球コマンドの有無を判定し、賞球コマンドが設定されていればそれを払出制御装置242に送信する。また、遊技回制御用コマンド又は遊技状態用コマンドが設定されている場合にはそれを音声ランプ制御装置143に送信する。更には、RAM613の各種フラグ格納エリア613hに上記エラー報知フラグが格納されている場合には、それ音声ランプ制御装置143に報知コマンドを出力することにより、エラー表示ランプ部27やスピーカ部29を用いた旨の報知を実行するとともに、外部端子板213を経由してホールコンピュータへエラー情報を出力する。
続くステップS502では変動種別カウンタCSの更新を実行し、ステップS503では第1特定ランプ部93に表示される色の切り替えを行うための第1特定ランプ部制御処理を実行する。第1特定ランプ部制御処理では、大当たり判定や第1特定ランプ部93に配設されたLEDランプの光源スイッチのオンオフ制御などが行われる。また、第1特定ランプ部制御処理において、図柄表示装置91による第1図柄の変動表示の設定も行われる。
具体的には、大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判定する。より詳細には、大当たり乱数カウンタC1の値が予め定めた大当たり当選となる当選値と一致しているか否かを判定する。また、大当たり種別カウンタC2の値に基づいて大当たりの種類を決定する(いわゆる、確変大当たりか否かを決定する)。また、リーチ乱数カウンタC3の値及び変動種別カウンタCSの値に基づいて、第1特定ランプ部93に表示される色の切替表示時間、及び第1図柄の変動表示時間を決定する。なお、当該第1特定ランプ部制御処理にて第1特定ランプ部93のオンオフ制御が開始される毎に作動保留球数Nが1減算され、作動保留球数Nが0の場合にはオンオフ制御が開始されない。
第1特定ランプ部制御処理の後は、ステップS504にて大入賞口開閉処理を実行する。大入賞口開閉処理では、大当たり状態である場合において可変入賞装置82の大入賞口を開放又は閉鎖する。すなわち、大当たり状態のラウンド毎に大入賞口を開放し、大入賞口の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口に遊技球が規定数だけ入賞したかを判定する。この規定数だけ入賞したか否かの判定は、RAM613の各種カウンタエリア613dにおける大入賞口用カウンタを確認することにより行われる。そして、これら何れかの条件が成立すると大入賞口を閉鎖する。
その後、ステップS505では、第2特定ランプ部94に表示される色の切り替え処理を行うための第2特定ランプ部制御処理を実行する。第2特定ランプ部制御処理では、スルーゲート85に遊技球が入賞したことを条件に第2特定ランプ部94における表示色の切り換えを開始する。この際、表示色の切り換え時間も設定する。また、スルーゲート85に遊技球が入賞した際に取得された第2特定ランプ乱数カウンタの値に基づいて停止表示する色を設定する。この停止表示される色として所定の色が設定された場合には、その色の停止表示後に、作動口83,84に付随する電動役物89が所定時間開放される。
ステップS505の後は、ステップS506にて、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理では、電源・発射制御装置243から発射許可信号を入力していることを条件として、所定期間(例えば、0.6sec)に1回、遊技球が遊技領域PEに向けて打ち出されるように、遊技球発射機構110を駆動させる。詳細には、MPU611は所定期間経過毎に電源・発射制御装置243に発射パルス信号を出力する。電源・発射制御装置243は、発射パルス信号が入力されたことに基づいて、当該発射パルス信号の電圧を増幅させた駆動信号(駆動電圧)を遊技球発射機構に搭載されているソレノイド111へ向けて出力し、ソレノイド111の出力軸を発射位置と収容位置とに移動させることで、遊技球の発射を制御する。
その後、ステップS507にて、RAM613に停電フラグが格納されているか否かを判定する。停電フラグが格納されていない場合には、ステップS508に進み、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始からタイマ割込み処理が複数回数として予め設定された割込み基準回数(具体的には、2回)発生したか否かを判定する。このタイマ割込みの回数の把握として具体的には、RAM613の各種カウンタエリア613dにおける割込み回数カウンタの値を、タイマ割込みが起動される度に1加算するとともに、ステップS501の処理が実行される直前のタイミングで当該カウンタの値が0クリアする(初期化される)。タイマ割込み処理が割込み基準回数発生していない場合には、ステップS509に進む。
ステップS509では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする(初期化する)。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM613の抽選カウンタ用バッファ613eに格納する。また、ステップS510では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値に達した際それぞれ0にクリアする(初期化する)。そして、変動種別カウンタCSの更新値を、RAM613の抽選カウンタ用バッファ613eに格納する。
その後、ステップS507に進み、前回の通常処理の開始からタイマ割込み処理が割込み基準回数発生するまで上述した処理を繰り返し、割込み基準回数に達した場合にはステップS501の処理に戻る。つまり、停電フラグが格納されていない場合には、ステップS501〜ステップS506の各種処理が4msec周期で繰り返し実行されることとなる。なお、当該周期は、遊技の進行を良好に制御することができるのであれば、4msecに限定されない。
停電フラグが格納されている場合には、ステップS511以降の停電時処理を実行する。つまり、ステップS511では、タイマ割込み処理の発生を禁止し、その後、ステップS512にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS513にてRAM613のアクセスを禁止した後に、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
次に、検知センサ350A,350B(詳しくは検知領域DE1,DE2)を遊技球が通過する際の入賞判定及び信号判定の態様の具体例について図22〜図25のタイミングチャートに基づき説明する。図22はノイズが混入していない状態を示し、図23〜図25はノイズが混入している状態を示している。図22(a)〜図25(a)はノイズを示す概略図、図22(b)〜図25(b)は第1検知センサ350Aの処理回路680Aに入力される信号を示す概略図、図22(c)〜図25(c)は第2検知センサ350Bの処理回路680Bに入力される信号を示す概略図、図22(d)〜図25(d)は第1検知センサ350Aから主制御装置162に入力される信号を示す概略図、図22(e)〜図25(e)は第2検知センサ350Bから主制御装置162に入力される信号を示す概略図、図22(f)〜図25(f)はチェックカウンタCCの値を示す概略図である。なお、図22〜図25については、発振回路660A,660Bにて生成された信号と混入しているノイズとを区別するために、便宜上ノイズの混入部分に矢印を付与している。
なお、本実施の形態においては、作動口83での入賞判定及び信号判定に関する構成と、作動口84での入賞判定及び信号判定に関する構成とが同様であるため、以下の説明では、上作動口83における入賞判定及び信号判定の態様ついて説明し、下作動口84における入賞判定及び信号判定の態様については説明を省略する。
先ず、図22を参照して、検知信号にノイズが混入していない場合について説明する。
ta1のタイミングにおいては、遊技球が第1検知センサ350Aの検知領域DE1に達することにより、第1検知センサ350Aにおける検知回路670から処理回路680への高周波の出力が停止する。これにより、第1検知センサ350Aから出力される検知信号がLOWレベルからHIレベルに切り替る。
その後、上記タイマ割込み処理(詳しくは信号読み込み処理)にて、同検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルであることがta2のタイミングにて確認され、遊技球が検知領域DE1を通過した、すなわち作動口83において入賞が発生したと判定される。これにより、チェックカウンタCCの値が「1」加算され、「100」から「101」に更新される。
その後,ta3のタイミングにて、遊技球が検知領域DE1を通過し、抑えられていた高周波の振幅が元の状態に復帰する。これにより、第1検知センサ350Aから出力される検知信号がHIレベルからLOWレベルに切り替る(立ち下がる)。
検知領域DE1を通過した遊技球は、上記縦通路315を流下し、ta4のタイミングにて第2検知センサ350Bの検知領域DE2に到達する。これにより、第2検知センサ350Bにおける検知回路670から処理回路680への高周波の出力が開始され、同第2検知センサ350Bから出力される検知信号がLOWレベルからHIレベルに切り替る(立ち上がる)。
その後、上記タイマ割込み処理(詳しくは信号読み込み処理)にて、第2検知センサ350Bから出力されている検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルであることがta5のタイミングにて確認され、遊技球が検知領域DE2通過した、すなわち作動口83において入賞が発生したと判定される。これにより、チェックカウンタCCの値が「1」減算され、「101」から初期値の「100」に戻る。
ta5のタイミングにて入賞が発生したと判定された後のta6のタイミングにおいては、遊技球が検知領域DE2を通過し終え、処理回路680への高周波の出力が停止する。これにより、第2検知センサ350Bから出力される検知信号がHIレベルからLOWレベルに切り替ることとなる。
このようにチェックカウンタCCの値が正常値の範囲内で推移している場合には、各検知センサ350A,350Bからの検知信号に含まれる検知情報が正常であり、それら検知信号へのノイズ等の混入が認められないと認識されることとなる。
なお、既に説明したように両検知センサ350A,350Bを通路に沿って並べて配置している。このため、第1検知センサ350Aを通過した遊技球が第2検知センサ350Bによって検知されるまでには一定のタイムラグ(すなわち上述したta3のタイミングからta5のタイミングまでの期間)が生じる。例えば、多数の遊技球が連続して作動口83に流入し、それら遊技球が連なった状態で回収通路を流下した場合には、上記タイムラグにて、第1検知センサ350Aにおいて更に2つの遊技球の入賞を示す信号(LOWレベル→HIレベル→HIレベル)が発生し得る。つまり、第1検知センサ350Aからの検知信号に基づいて判定される入賞数と、第2検知センサ350Bからの検知信号に基づいて判定される入賞数とには、最大で「3」の差が生じ得る。この点、上記チェックカウンタCCの正常値の範囲はこのような最大差分を許容するように設定されている。これにより、ノイズの混入が発生していないにも関わらず、過度にエラー報知が行われることを回避している。
次に、図23を参照し、第1検知領域DE1を遊技球が通過するタイミングを含んだ期間にノイズが発生した場合について説明する。詳しくは、検知センサ350Aの発振回路660Aにて生成される高周波と同じ周波数且つ同じ振幅のノイズが周期的に発生し、同ノイズが発振回路660Aにて生成された高周波に混入した場合について説明する。
作動口83に流入した遊技球が検知領域DE1,DE2に到達していない場合には、第1検知センサ350Aの処理回路680Aには高周波が入力され、同第1検知センサ350AからはLOWレベル信号が出力されている。また、第2検知センサ350Bの処理回路680Bへの高周波の入力は停止され、同第2検知センサ350BからはHIレベル信号が出力されている。
tb1のタイミングにて各発振回路660A,660Bにて生成される高周波と同様の波形を有するノイズ(高周波)が発生すると、同ノイズは検知コイル364A,364B等を通じて主回路650A,650Bに混入することとなる。本実施の形態においては特に、両検知センサ350A,350Bを隣接して配置している。このため、ノイズの発生要因が偶発的・作為的であるに関わらず、同図23に示すように同じノイズが両主回路650A,650Bに混入しやすいと想定される。
但し、第1検知センサ350Aの処理回路に入力されている信号には高周波が存在しているため、ノイズが混入したとしてもそれによって同第1検知センサ350Aから出力される信号が変化することはない。一方、第2検知センサ350Bの処理回路に入力されている信号には高周波が存在していない。このため、ノイズが混入することにより第2検知センサ350Bから出力される信号が一時的にLOWレベルからHIレベルに切り替ることとなる。
続くtb2のタイミングにおいては、ノイズが消失することにより、第2検知センサ350Bから出力されている信号がLOWレベルに復帰する。本具体例に示しているノイズの幅は2msec(タイマ割り込み処理の周期と同じ期間)となっており、ノイズ混入に基づく信号の変化によって遊技球の入賞が発生したと判定されることはない。つまり、このノイズは無害であり、同ノイズの混入によってチェックカウンタCCの値が更新されることは無い。
同tb2のタイミングでは、遊技球が検知領域DE1に達することにより、第1検知センサ350Aにおける検知回路670から処理回路680への高周波の出力が停止する。これにより、第1検知センサ350Aから出力される検知信号がLOWレベルからHIレベルに切り替る。
その後、上記タイマ割込み処理(詳しくは信号読み込み処理)にて、同検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルであることがtb3のタイミングにて確認され、遊技球が検知領域DE1を通過した、すなわち作動口83にて入賞が発生したと判定される。これにより、チェックカウンタCCの値が更新される。詳しくは、同チェックカウンタCCが「1」加算され、「100」から「101」にカウントアップされる。
続くtb4のタイミングでは、詳しくはtb2のタイミングから2度のタイマ割込み処理実行されるのに要する期間よりも長い期間(本具体例においては5msec)が経過したt4のタイミングでは、処理回路680に入力される信号にノイズ(高周波)が混入し、第1検知センサ350Aから出力される検知信号がHIレベルからLOWレベルに切り替る。
また、同tb4のタイミングにて発生したノイズは、第2検知センサ350Bの処理回路680Bに入力される信号に混入し、tb1のタイミングと同様に第2検知センサ350Bから出力される検知信号がLOWレベルからHIレベルに切り替る。同tb4のタイミングにおいては、第2検知カウンタDC2が「0」→「1」に更新された状態にて信号が第2検知センサ350Bからの検知信号がLOWレベルに切り替ることとなる。このため、第2検知カウンタDC2は「2」にカウントアップされる前に再び「0」に更新され、混入したノイズに基づいて入賞が発生したと判定されることは無い。つまり、第2検知センサ350Bからの出力信号に混入したノイズは遊技球の入賞示す有害なものではなく無害なノイズとして扱われることとなる。故に、このようなノイズの混入によってチェックカウンタCCの値が更新されることが回避される。
tb4のタイミングからタイマ割り込み処理の周期と同じ期間(具体的には2msec)が経過したtb5のタイミングでは、ノイズが消失することにより、第1検知センサ350Aから出力される検知信号がLOWレベルからHIレベルに復帰する。この際、検知信号が一時的にLOWレベルとなることで、上記第1検知カウンタDC1が「0」にリセットされ、HIレベル信号の入力待ちの状態となる。
その後、上記タイマ割込み処理(詳しくは信号読み込み処理)にて、同検知信号がHIレベル→HIレベルであることがtb6のタイミングにて確認され、遊技球が検知領域DE1を通過した、すなわち作動口83において入賞が発生したと判定される。これにより、チェックカウンタCCの値が更新される。詳しくは、同チェックカウンタCCの値が「1」加算され、「101」から「102」にカウントアップされる。
続くtb7のタイミング、詳しくはtb5のタイミングから5msec(詳しくは2度のタイマ割込み処理実行されるのに要する期間よりも長い期間)が経過したタイミングでは、処理回路680Aに入力される信号に再びノイズ(高周波)が混入し、第1検知センサ350Aから出力される検知信号がHIレベルからLOWレベルに切り替る。
なお、同tb7のタイミングにおいては、第2検知センサ350Bからの出力信号に対してもノイズが混入するが、同ノイズはtb4のタイミング混入したノイズと同様に無害なノイズであるため、このようなノイズの混入によってチェックカウンタCCの値が更新されることはない。
tb7のタイミングから2msec(タイマ割り込み処理の周期と同じ期間)が経過したtb8のタイミングでは、ノイズが消失することにより、第1検知センサ350Aから出力される検知信号がLOWレベルからHIレベルに復帰する。この際、検知信号が一時的にLOWレベルとなることで、上記第1検知カウンタDC1が「0」にリセットされ、HIレベル信号の入力待ちの状態となる。
その後、上記タイマ割込み処理(詳しくは信号読み込み処理)にて、同検知信号がHIレベル→HIレベルであることがtb9のタイミングにて確認され、遊技球が検知領域DE1を通過した、すなわち作動口83において入賞が発生したと判定される。これにより、チェックカウンタCCの値が更新される。詳しくは、同チェックカウンタCCの値が「1」加算され、「102」から「103」にカウントアップされる。
続くtb10のタイミングでは、詳しくは2度のタイマ割込み処理実行されるのに要する期間よりも長い期間(本具体例においては5msec)が経過したtb10のタイミングでは、処理回路680に入力される信号に再びノイズ(高周波)が混入し、第1検知センサ350Aから出力される検知信号がHIレベルからLOWレベルに切り替る。
なお、同tb10のタイミングにおいては、第2検知センサ350Bからの出力信号にノイズが混入するが、同ノイズはtb4のタイミング混入したノイズと同様に無害なノイズであるため、このノイズによってチェックカウンタCCの値が更新されることはない。
tb10のタイミングからタイマ割り込み処理の周期と同じ期間(具体的には2msec)が経過したtb11のタイミングでは、ノイズが消失することにより、第1検知センサ350Aから出力される検知信号がLOWレベルからHIレベルに復帰する。この際、検知信号が一時的にLOWレベルとなることで、上記第1検知カウンタDC1が「0」にリセットされ、HIレベル信号の入力待ちの状態となる。
その後、上記タイマ割込み処理(詳しくは信号読み込み処理)にて、同検知信号がHIレベル→HIレベルであることがtb12のタイミングにて確認され、遊技球が検知領域DE1を通過した、すなわち作動口83において入賞が発生したと判定される。これにより、チェックカウンタCCの値が更新される。詳しくは、同チェックカウンタCCの値が「1」加算され、「103」から「104」にカウントアップされる。この際、同タイマ割込み処理にてチェックカウンタCCの値が正常値の範囲を外れていると判定されることにより、エラー報知が指示されるとともに、チェックカウンタCCの値が再度更新される(詳しくは「104」までカウントアップされたチェックカウンタCCは、初期値「100」にリセセットされる)。これにより、検知信号に異常が発生している旨が、エラー表示ランプ部27によって報知されるとともに、外部端子板213を通じてホールコンピュータに報知されることとなり、更には、チェックカウンタCCが初期値に復帰することにより、次の異常発生の判定準備が整うこととなる。
続くtb13のタイミングにおいては、遊技球が検知領域DE1を通過し終え、処理回路680Aへの高周波の出力が再開される。これにより、第1検知センサ350Aから出力される検知信号がHIレベルからLOWレベルに切り替ることとなる。
なお、同tb13のタイミングにおいては、第2検知センサ350Bからの出力信号にノイズが混入するが、同ノイズはtb4のタイミング混入したノイズと同様に無害なノイズであるため、このようなノイズの混入によってチェックカウンタCCの値が更新されることはない。
また、tb13のタイミング以降暫くの期間、詳しくは遊技球が第2検知領域DE2に到達するまでの期間には、上記ノイズが周期的に発生している。この際、第1検知センサ350Aの処理回路680Aには継続して高周波が入力されるため、混入したノイズにより同第1検知センサ350Aからの出力信号が変化することはない。一方、第2検知センサ350Bの処理回路680Bには発振回と660Bにて生成された高周波が入力されていないため、ノイズの混入によって第2検知センサ350Bから出力される信号が変化する。但し、既に説明したようにノイズは遊技球の入賞を示すのに十分な幅を有していないため、同変化によって遊技球が入賞したと誤判定されることはない。
その後、tb14のタイミングにて遊技球(検知領域DE1を通過した遊技球)が第2検知領域DE2に到達することにより第2検知センサ350Bの処理回路680Bへ高周波が出力される。これにより、第2検知センサ350Bから出力される検知信号がLOWレベルからHIレベルに切り替ることとなる。上記タイマ割込み処理(詳しくは信号読み込み処理)により、同検知信号がHIレベル→HIレベルであることが、続くtb15のタイミングにて確認され、遊技球が検知領域DE2を通過した、すなわち作動口83において入賞が発生したと判定される。これにより、チェックカウンタCCの値が「1」減算され、「100」から「99」に変更される。
以上、図23に示した具体例においては、第1検知センサ350A及び第2検知センサ350Bへのノイズの混入が発生した場合について説明したが、同ノイズが第1検知センサ350Aにのみ混入するとともに第2検知センサ350Bに混入しない場合であっても、同様の結果となる。つまり、第1検知センサ350Aから出力される信号に基づいて判定された入賞数と、第2検知センサ350Bから出力される信号に基づいて判定された入賞数とに差が生じ、その差が許容範囲を超えることによりエラー報知が実施される。
次に、図24を参照し、混入するノイズが両検知センサ350A,350Bからの検知信号に基づく入賞判定に影響を与え得る場合、すなわち各検知センサ350A、350Bからの検知信号に有害なノイズが混入した場合について説明する。なお、本具体例におけるノイズは、図23を参照して説明した具体例におけるノイズと同様に、検知センサ350A,350Bの発振回路660A,660Bにて生成される高周波と同じ周波数且つ同じ振幅を有している。但し、本具体例に示すノイズは、図23を参照して説明した具体例とは異なり、各ノイズが発生する期間の長さ(幅)が、2度のタイマ割込み処理実行されるのに要する期間よりも長い期間(詳しくは5msec)となっている。
作動口83に流入した遊技球が検知領域DE1,DE2に到達していない場合には、第1検知センサ350Aの処理回路680Aには高周波が入力されているとともに、同第1検知センサ350AからはLOWレベル信号が出力されている。また、第2検知センサ350Bの処理回路680Bへの高周波の入力は停止されているとともに、同第2検知センサ350BからはHIレベル信号が出力されている。
tc1のタイミングにて各発振回路660A,660Bにて生成される高周波と同様の波形を有するノイズ(高周波)が発生すると、同ノイズは検知コイル364A,364B等を通じて主回路650A,650Bに混入することとなる。この際、第1検知センサ350Aの処理回路に入力されている信号には高周波が存在しているため、ノイズが混入したとしてもそれによって同第1検知センサ350Aから出力される信号が変化することはない。一方、第2検知センサ350Bの処理回路に入力されている信号には高周波が存在していない。このため、ノイズが混入することにより第2検知センサ350Bから出力される信号がLOWレベルからHIレベルに切り替ることとなる。
その後、上記タイマ割込み処理(詳しくは信号読み込み処理)にて、第2検知センサ350Bからの検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルであることがtc2のタイミングにて確認されると、遊技球が検知領域DE2を通過していないにも関わらず作動口83において入賞が発生したと判定される。これにより、チェックカウンタCCの値が更新される。詳しくは、同チェックカウンタCCの値が「1」減算され、「100」から「99」にカウントダウンされる。但し、第2検知センサ350Bからの検知信号は、遊技球の払い出し等の特典付与には利用されていないため、この誤判定によって不利益が生じることはない。
このように遊技球が入賞したと誤判定された後は、ノイズが消失することにより、第2検知センサ350Bから出力される信号がLOWレベルに切り替ることとなる。これにより、第2検知カウンタDC2の値が「0」に更新され、次のHIレベル信号の入力待ちの状態となる。
その後、tc3のタイミングでは再びノイズが発生することにより、第2検知カウンタDC2の値が「0」→「1」→「2」の順に加算され、tc4のタイミングにて遊技球の入賞が発生したと誤判定される。これにより、チェックカウンタCCの値が更に「1」減算され、「99」から「98」にカウントダウンされる。
なお、tc3のタイミングでは、第1検知センサ350Aの処理回路680Aには発振回路660にて生成された高周波が絶えず入力されており、発生したノイズによって第1検知センサ350Aから出力される検知信号が切り替ることはない。つまり、同第1検知センサ350Aから出力される検知信号はLOWレベルのまま維持される。
このように遊技球が入賞したと誤判定された後は、ノイズが消失することにより、第2検知センサ350Bから出力される信号がLOWレベルに切り替ることとなる。これにより、第2検知カウンタDC2の値が「0」に更新され、次のHIレベル信号の入力待ちの状態となる。
続くtc5のタイミングにおいては、作動口83に流入した遊技球が検知領域DE1に達する。これにより、検知回路670Aから処理回路680Aへの高周波の出力が停止し、第1検知センサ350Aから出力される検知信号がLOWレベルからHIレベルに切り替る。
その後、上記タイマ割込み処理(詳しくは信号読み込み処理)にて、第1検知センサ350Aから出力される検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルであることがtc7のタイミングにて確認され、遊技球が検知領域DE1を通過した、すなわち作動口83において入賞が発生したと判定される。これにより、チェックカウンタCCの値が「1」加算され、「98」から「99」にカウントアップされるとともに、遊技球の払い出し等の特典が遊技者に対して付与される。
特典付与実行後のtc7のタイミングでは、第1検知センサ350Aの処理回路680Aに入力されている信号と、第2検知センサ350Bの処理回路680Bに入力されている信号との両信号には高周波が存在していない。このtc7のタイミングにおいて再びノイズが発生すると、同ノイズは、各検知センサ350A,350Bの主回路650A,650Bに混入して、各検知センサ350A,350Bから出力される検知信号に影響を与えることとなる。つまり、第1検知センサ350Aから出力されている検知信号は遊技球が検知領域DE1を通過中であるにも関わらずLOWレベルに切り替り、第2検知センサ350Bから出力される信号についてはtc1のタイミングやtc3のタイミングと同様にLOWレベルからHIレベルに切り替る。
tc7のタイミングの後、2度のタイマ割込み処理が実行されたtc8のタイミングでは、先のタイマ割込み処理(詳しくは信号読み込み処理)にて「0」に更新された第1検知カウンタDC1が「0」のまま維持され、次のHIレベル信号の入力待ちの状態となる。一方、それらタイマ割込み処理(詳しくは信号読み込み処理)にて、第2検知センサ350Bからの検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルであることが同tc8のタイミングにて確認されると、遊技球が検知領域DE2を通過していないにも関わらず作動口83において入賞が発生したと判定される。これにより、チェックカウンタCCの値が「1」減算され、「99」から「98」にカウントダウンされる。但し、第2検知センサ350Bからの検知信号は遊技球の払い出し等の特典付与には利用されていないため、この誤判定によって不利益が生じることはない。
その後、tc9のタイミングにてノイズが消失すると、同tc9のタイミングにおいては未だ遊技球が検知領域DE1を通過中であるため第1検知センサ350Aからの検知信号がHIレベルに復帰する。また、同遊技球が検知領域DE2に達していないため第2検知センサ350Bからの検知信号がLOWレベルに復帰する。
tc9のタイミングの後、2度のタイマ割込み処理が実行されたtc10のタイミングでは、同タイマ割込み処理(詳しくは信号読み込み処理)にて、第1検知センサ350Aからの検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルであることが確認される。このため、他の遊技球が検知領域DE1を通過していないにも関わらず作動口83において入賞が発生したと判定される。つまり、現実には1の遊技球が検知領域DE1を通過中であるにも関わらずあたかも別の遊技球が検知領域DE1を通過したかのように誤判定される。これにより、チェックカウンタCCの値が「1」加算され、「98」から「99」にカウントアップされる。この際、第2検知カウンタDC2は「0」に更新されたまま維持され、次のHIレベル信号の入力待ちの状態となる。
tc10のタイミングの後のtc11のタイミングでは、第1検知センサ350Aの処理回路680Aに入力されている信号と、第2検知センサ350Bの処理回路に入力されている信号とには高周波が存在していない。このため、同tc11のタイミングで発生したノイズは、各検知センサ350A,350Bの主回路650A,650Bに混入することとなる。この結果、第1検知センサ350Aから出力されている検知信号は遊技球が検知領域DE1を通過中であるにも関わらずLOWレベルに切り替ることとなる。また、第2検知センサ350Bから出力される信号についてはtc1のタイミングやtc3のタイミングと同様にLOWレベルからHIレベルに切り替ることとなる。
tc11のタイミングの後、2度のタイマ割込み処理が実行されたtc12のタイミングでは、先のタイマ割込み処理(詳しくは信号読み込み処理)にて「0」に更新された第1検知カウンタDC1が「0」のまま維持され、次のHIレベル信号の入力待ちの状態となる。一方、それらタイマ割込み処理(詳しくは信号読み込み処理)により第2検知センサ350Bからの検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルであることが同tc12のタイミングにて確認されると、遊技球が検知領域DE2を通過していないにも関わらず作動口83において入賞が発生したと判定される。これにより、チェックカウンタCCの値が「1」減算され、「99」から「98」にカウントダウンされる。但し、第2検知センサ350Bからの検知信号は、遊技球の払い出し等の特典付与には利用されていないため、この誤判定によって不利益が生じることはない。
その後tc13のタイミングにてノイズが消失すると、同tc13のタイミングにおいては未だ遊技球が検知領域DE1を通過中であるため第1検知センサ350Aからの検知信号がHIレベルに復帰する。また、同遊技球が検知領域DE2に達していないため第2検知センサ350Bからの検知信号がLOWレベルに復帰する。
tc13のタイミングの後、2度のタイマ割込み処理が実行されたtc14のタイミングでは、同タイマ割込み処理(詳しくは信号読み込み処理)により第1検知センサ350Aからの検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルであると判定され、他の遊技球が検知領域DE1を通過していないにも関わらず作動口83において入賞が発生したと判定される。つまり、現実には1の遊技球が検知領域DE1を通過中であるにも関わらずあたかも別の遊技球が検知領域DE1を通過したかのように誤判定される。これにより、チェックカウンタCCの値が「1」加算され、「98」から「99」にカウントアップされる。この際、第2検知カウンタDC2は「0」に更新されたまま維持され、次のHIレベル信号の入力待ちの状態となる。
続くtc15のタイミングにおいては、遊技球が検知領域DE1を通過し終え、処理回路680への高周波の出力が再開される。これにより、第1検知センサ350Aから出力される検知信号がHIレベルからLOWレベルに切り替ることとなる。
このように遊技球が検知領域DE1を通過している最中に、すなわち第1検知センサ350Aにおいて処理回路680Aに発振回路660Aにて生成された高周波が入力され同第1検知センサ350Aから遊技球を検知していることを示す信号(具体的にはHIレベル信号)が出力されている最中に、ノイズが混入した場合には、そのHIレベル信号が複数に分化されることとなる。これにより、1の遊技球しか入賞していないにも関わらずあたかも複数の遊技球が入賞したかのように誤判定され得る。この場合、同期間中に第2検知センサ350Bからの検知信号に基づいて入賞したと判定される遊技球の数は、第2検知センサ350Bからの検知信号に基づいて入賞したと判定される遊技球の数と相違することとなる。詳しくは1つ少なくなる。このような差は、第1検知センサ350Aにおいては検知信号がノイズによって分化された信号が誤判定の対象となるのに対して、第2検知センサ350Bにおいては検知信号に混入したノイズがそのまま誤判定の対象となることによって生じるものである。
なお、上記期間中の入賞数の差に基づいて検知信号の異常判定を行う構成とすることも可能である。これにより、上記期間中のみを狙って故意にノイズを混入させるといった不正行為を発見することが可能となる。
但し、現実的には、仮に意図的にノイズを混入させる場合、遊技球が検知領域DE1を通過するタイミングをピンポイントで狙ってノイズを発生させることは困難であると想定される。特に検知センサ350A,350B(詳しくは検知領域DE1,DE2)が遊技盤80の背後に配されている点に着目すれば、上記タイミングを見計らうことが難しくなり、同不正行為は極めて困難になると想定される。故に、意図的にノイズを混入させることで不正に利益を得ようとした場合、上述したHIレベル信号の出力期間を包括するようにして、すなわち同出力期間の前後にゆとりを持たせるようにしてノイズを発生させることにより、不正行為の効率化が図られると想定される。つまり、本具体例に示すように、tc15のタイミングにて遊技球が検知領域DE1を通過し終えた後も、上記ノイズの発生が継続され得る。例えば、同図24に示すように、tc15のタイミングの後、tc16のタイミング及びtc17のタイミングにてノイズが発生する。これらノイズによって第2検知センサ350Bから出力される信号が変化すると、それによって誤判定が生じることとなる。これにより、チェックカウンタCCの値がその都度「1」ずつ減算され「99」→「98」→「97」に更新される。
その後、tc18のタイミングにて遊技球(検知領域DE1を通過した遊技球)が第2検知領域DE2に到達することにより第2検知センサ350Bの処理回路680Bへ高周波が出力される。これにより、第2検知センサ350Bから出力される検知信号がLOWレベルからHIレベルに切り替ることとなる。上記タイマ割込み処理(詳しくは信号読み込み処理)により、同検知信号がHIレベル→HIレベルであることが、続くtc19のタイミングにて確認され、遊技球が検知領域DE2を通過した、すなわち作動口83において入賞が発生したと判定される。これにより、チェックカウンタCCの値が「1」減算され、「97」から「96」にカウントダウンされる。
この際、同タイマ割込み処理にてチェックカウンタCCの値が正常値の範囲を外れていると判定されることにより、エラー報知が指示されるとともに、チェックカウンタCCの値が再度更新される(詳しくは「96」までカウントダウンされたチェックカウンタCCは、初期値「100」にリセセットされる)。これにより、検知信号に異常が発生している旨が、エラー表示ランプ部27によって報知されるとともに、外部端子板213を通じてホールコンピュータに報知されることとなり、更には、チェックカウンタCCが初期値に復帰することにより、次の異常発生の判定準備が整うこととなる。
次に、図25を参照し、作動口83に流入した遊技球が検知領域DE1を通過した後のタイミングにてノイズが混入した場合について説明する。なお、本具体例におけるノイズは、図24を参照して説明した具体例におけるノイズと同様に、検知センサ350A,350Bの発振回路660A,660Bにて生成される高周波と同じ周波数且つ同じ振幅を有し、各ノイズが発生する期間の長さ(幅)について、2度のタイマ割込み処理実行されるのに要する期間よりも長い期間(詳しくは5msec)となっている。
td1のタイミング〜td3のタイミングにおいては、上記ta1のタイミング〜ta3のタイミングと同様に、第1検知センサ350Aの検知領域DE1を遊技球が通過したと判定され、その判定結果に基づいて遊技者に対して遊技球の払い出し等の特典が付与されるとともに、チェックカウンタCCの値が「1」加算される。つまり、同チェックカウンタCCの値は「100」から「101」に更新される。
遊技球が第1検知領域DE1を通過した後、第2検知センサ350Bの検知領域DE2に到達する前のtd4のタイミングにおいては、第1検知センサ350Aの処理回路680Aには高周波が入力されているとともに、同第1検知センサ350AからはLOWレベル信号が出力されている。また、第2検知センサ350Bの処理回路680Bへの高周波の入力は停止されているとともに、同第2検知センサ350BからはLOWレベル信号が出力されている。
同td4のタイミングにて上記ノイズ(高周波)が発生すると、同ノイズは検知コイル364A,364B等を通じて主回路650A,650Bに混入することとなる。第1検知センサ350Aの処理回路に入力されている信号には高周波が存在しているため、ノイズが混入したとしてもそれによって同第1検知センサ350Aから出力される信号が変化することはない。一方、第2検知センサ350Bの処理回路に入力されている信号には高周波が存在していない。このため、ノイズが混入することにより第2検知センサ350Bから出力される信号がLOWレベルからHIレベルに切り替ることとなる。
その後、上記タイマ割込み処理(詳しくは信号読み込み処理)により第2検知センサ350Bからの検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルであることがtd5のタイミングにて確認されると、遊技球が検知領域DE2を通過していないにも関わらず作動口83において入賞が発生したと判定される。これにより、チェックカウンタCCの値が「1」減算され、「101」から「100」にカウントダウンされる。
その後、ノイズが消失することにより、第2検知センサ350Bから出力される検知信号はLOWレベルに復帰する。これにより、第2検知カウンタDC2の値が「0」に更新され、次のHIレベル信号の入力待ちの状態となる。
続くtd6のタイミングにおいてはtd4のタイミングと同様にノイズが混入し、その後td7のタイミングにて、入賞が発生していないにも関わらずあたかも入賞が発生したかのように誤判定がなされる。これにより、チェックカウンタCCの値が「1」減算され、「100」から「99」にカウントダウンされる。但し、第2検知センサ350Bからの検知信号は、遊技球の払い出し等の特典付与には利用されていないため、td5のタイミング及びtd7のタイミングにおける誤判定によってホール側に不利益が生じることはない。
検知領域DE1を通過した遊技球は、上記縦通路315を流下し、続くtd8のタイミングにて第2検知センサ350Bの検知領域DE2に到達する。これにより、第2検知センサ350Bにおける検知回路670から処理回路680への高周波の出力が開始され、同第2検知センサ350Bから出力される検知信号がLOWレベルからHIレベルに切り替る。
その後、上記タイマ割込み処理(詳しくは信号読み込み処理)により第2検知センサ350Bから出力されている検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルであることがtd9のタイミングにて確認され、遊技球が検知領域DE2通過した、すなわち作動口83において入賞が発生したと判定される。これにより、チェックカウンタCCの値が「1」減算され、「99」から「98」にカウントダウンされる。
このように判定処理が行われている最中、すなわち第2検知センサ350Bの処理回路680Bに高周波が入力されている最中においてもノイズが発生しているが、同ノイズが混入したとしても第2検知センサ350Bから出力される信号に変化が生じることは無い。つまり、第2検知センサ350Bにおいては高周波が処理回路680Bに入力されることにより、検知領域DE2での遊技球の通過を示すHIレベル信号が出力される構成であるため、高周波に対して更にノイズが加わったとしてもHIレベル信号がLOWレベル信号に切り替ることはなく、ノイズの影響が回避される。
td9のタイミングにて入賞が発生したと判定された後、td10のタイミングにおいては、遊技球が検知領域DE2を通過し終え、処理回路680への高周波の出力が停止する。これにより、第2検知センサ350Bから出力される検知信号がHIレベルからLOWレベルに切り替ることとなる。
続くtd11のタイミングにてノイズが発生すると、同ノイズは検知コイル364A,364B等を通じて主回路650A,650Bに混入することとなる。第1検知センサ350Aの処理回路に入力されている信号には高周波が存在しているため、ノイズが混入したとしてもそれによって同第1検知センサ350Aから出力される信号が変化することはない。一方、第2検知センサ350Bの処理回路に入力されている信号には高周波が存在していない。このため、ノイズが混入することにより第2検知センサ350Bから出力される信号がLOWレベルからHIレベルに切り替ることとなる。
その後、上記タイマ割込み処理(詳しくは信号読み込み処理)にて、第2検知センサ350Bからの検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルであることがtd12のタイミングにて確認されると、遊技球が検知領域DE2を通過していないにも関わらず作動口83において入賞が発生したと判定される。これにより、チェックカウンタCCの値が「1」減算され、「98」から「97」にカウントダウンされる。
その後、ノイズが消失することにより、第2検知センサ350Bから出力される検知信号はLOWレベルに復帰する。これにより、第2検知カウンタDC2の値が「0」に更新され、次のHIレベル信号の入力待ちの状態となる。
続くtd13のタイミングにおいてはtd11のタイミングと同様にノイズが混入し、その後td14のタイミングにて、入賞が発生していないにも関わらずあたかも入賞が発生したかのように誤判定がなされる。これにより、チェックカウンタCCの値が「1」減算され、「97」から「96」にカウントダウンされる。この際、同タイマ割込み処理にてチェックカウンタCCの値が正常値の範囲を外れていると判定されることにより、エラー報知が指示されるとともに、チェックカウンタCCの値が再度更新される(詳しくは「96」までカウントダウンされたチェックカウンタCCは、初期値「100」にリセセットされる)。これにより、検知信号に異常が発生している旨が、エラー表示ランプ部27によって報知されるとともに、外部端子板213を通じてホールコンピュータに報知されることとなり、更には、チェックカウンタCCが初期値に復帰することにより、次の異常発生の判定準備が整うこととなる。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
遊技球が作動口83,84に流入すると第1検知センサ350A及び第2検知センサ350Bから個々に検知信号が出力され、それら検知信号に基づいて入賞判定が行われる。第1検知センサ350Aから出力される検知信号に基づいて入賞したと判定された遊技球の数と、第2検知センサ350Bから出力された検知信号に基づいて入賞したと判定された遊技球の数とを比較して異常判定を行うことにより、入賞検知精度を向上させることができる。故に、誤検知による不利益の発生を抑制し、遊技機の信頼性向上に貢献することができる。
また、検知センサ350A,350Bから出力される信号に混入するノイズは、偶発的な要因によるものばかりでなく、不正行為者によって意図的に混入される可能性がある。例えば、パチンコ機10の前方から検知センサ350に対して検知センサ350A,350Bの発振回路660A,660Bにて生成される高周波と同様の高周波が射出されることにより、意図的にノイズが混入され得る。この点、本実施の形態においては、このような不正行為に対する防犯機能を好適に高めることが可能である。
上記実施の形態においては特に、各検知センサ350A,350Bにおける検知方式が異なっているため、外的要因(例えばノイズ,汚れ,振動)等に対して一方の検知手段が過剰に反応するような場合であっても、同要因に対する他方の検知手段の過剰な反応を抑えることが可能となっている。具体的には、遊技球非検知時においては、第1検知センサ350Aの処理回路680Aに入力される高周波の振幅が閾値よりも大きく設定されているとともに、第2検知センサ350Bの処理回路680Bに入力される高周波の振幅が遊技球非検知時には閾値よりも小さく設定されている。このため、遊技球非検知時にノイズが混入すると、第1検知センサ350Aにおいては、高周波にノイズが紛れ込み同第1検知センサ350Aから出力される検知信号に特段の変化は生じない。一方で、第2検知センサ350Bにおいては、ノイズによって同第2検知センサ350Bから出力される検知信号が変化する(詳しくは一時的にLOWレベルからHIレベルに切り替る)。このように、検知信号への影響に違いが生じるため、各検知信号での入賞判定の結果には差が生じ得ることとなる。そして、エラー判定によってその差が正常値の範囲内か否かを見極めることにより、ノイズの混入事実を把握することが可能となる。故に、上記検知精度の向上効果を一層好適なものとすることができる。
遊技者に対する特典付与用の第1検知センサ350Aにおいては、遊技球検知時に高周波の振幅が小さくなることで遊技球の通過を検知する構成としている。遊技球が作動口83,84に流入していない場合に、上記不正な高周波を出力したとしても、高周波の振幅を減少させることは困難であるため、不正行為者は、遊技球が作動口83,84に流入したタイミングを見計らって上記不正な高周波を射出すると想定される。そこで、本実施の形態においては、遊技球検知時においてノイズの混入が発生した場合であっても、各検知信号への影響に差違が生じる工夫がなされている。具体的には、第1検知センサ350Aから出力される検知信号においてはノイズの混入により複数に分化されるのに対して、第2検知センサ350Bから出力される検知信号においてはノイズそのものが遊技球の通過を示す信号であるかのように変換される。つまり、ノイズが混入することで生じる擬似的な検知信号には差が生じることとなる。
特に、検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルであることにより入賞があったと判定される。LOWレベルは1度確認されればよいのに対して、HIレベルは2度確認される必要が生じる。仮に効率よく不正行為を行うとすれば、作動口83,84への入球に合わせて複数のノイズを混入させることが好ましく、更には、上記分化される信号の数を最大とするには、個々のノイズの出力期間を極力短くすることが好ましい。ここで、ノイズの出力期間が極端に短くなると、第2検知センサ350Bから出力される検知信号にノイズを示すHIレベル部分が現れるものの、同HIレベル信号によって入賞判定がなされることが回避される。つまり、ノイズの出力期間が入賞判定実行の満たないレベルまで小さくなることで、第1検知センサ350Aにおける入賞判定数と、第2検知センサ350Bにおける入賞判定数と差が大きくなる。これにより、上述したような効率的な不正行為を困難なものとし、不正行為の抑制効果を高めることができる。
第1検知センサ350Aと第2検知センサ350Bは共に高周波発振式の近接センサであり、検知コイル364A,364Bに生じる磁界を遊技球が通過することで、同遊技球を検知する構成とした。このように、磁界の変化を利用する構成においては、各検知センサ350A,350Bに生じる磁界が互いに干渉すると検知時の安定性が低下し得る。そこで、両検知センサ350A,350Bを通路に沿って並べて配置することで、上記干渉を抑制している。
複数の検知センサを併用することで検知精度の向上を図った場合、それに起因して特典付与時の応答性が低下する(特典付与の待ち時間が長くなる)ことは好ましくない。この点、上流側に位置する第1検知センサ350Aを特典付与用として活用し、下流側に位置する第2検知センサ350Bをエラーチェック用に特化して活用することで、そのような応答性の低下を好適に回避している。
また、既に説明したように、各検知センサ350A,350Bにおいては検知方式を相違させているため、両者を近づけて配置することによる防犯機能の低下を好適に抑制することができる。具体的には、不正行為者が意図的にノイズを混入させようとした場合、ガラスパネル23の前方に高周波発振装置を配置し、同高周波発振装置から検知コイル364A,364Bに向けて高周波を発振させるといった行為が想定される。2つの検知センサを離して配置する構成においては、両検知センサにおける検知信号の出力タイミングがずれることとなる。つまり、エラー判定を行う場合には、このような検知タイミングのずれを考慮する必要が生じる。このようなずれを利用して、入賞判定数のずれの帳尻を合わせるといった行為がなされると、エラー検知機能が十分に機能しなくなると想定される。各検知センサを近づけて配置することで不正な高周波をまとめて照射しやすくなるとことから、このような不都合が生じやすくなると考えられる。
この点、2つの検知センサの検知方式を異なるものとし、第1検知センサ350Aにおいては遊技球検知時以外にてノイズの影響をうけにくくするとともに、第2検知センサ350Bにおいては第1検知センサ350Aにおける遊技球検知時及びのそ前後にてノイズの影響を受けやすくしておくことで上述した入賞判定数の帳尻合わせを困難なものとすることができる。これにより、両検知センサを近づけて配置することを好適に許容することができ、センサの配置自由度向上に貢献することができる。
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
(1)上記実施の形態では、「第1検知手段」としての第1検知センサ350Aと「第2検知手段」としての第2検知センサ350Bとに高周波発振式の近接センサを採用した。そして、第1検知センサ350Aにおいては遊技球非検知時に最大振幅の高周波が「第1出力部」としての処理回路680Aに入力され、遊技球検知時に高周波の振幅が抑えられる構成とするとともに、第2検知センサ350Bにおいては遊技球検知時に最大振幅の高周波が「第2出力部」としての処理回路680Bに入力され、遊技球非検知時に高周波の振幅が抑えられる構成としたが、これを反対にすることも可能である。すなわち、第1検知センサ350Aにおいては遊技球検知時に最大振幅の高周波が「第1出力部」としての処理回路680Aに入力され、遊技球非検知時に高周波の振幅が抑えられる構成とするとともに、第2検知センサ350Bにおいては遊技球非検知時に最大振幅の高周波が「第2出力部」としての処理回路680Bに入力される構成としたが、これを反対にすることも可能である。
また、「第1検知手段」としての第1検知センサ350Aと、「第2検知手段」としての第2検知センサ350Bとの検知方式を、それら両検知センサ350A,350Bにおける処理回路680A,680Bへの高周波の入力態様を逆とすることで相違させたが、これを以下のように変更することも可能である。
一方の検知センサとして接触式のセンサ(例えばプッシュセンサ)を採用するとともに、他方の検知センサとして非接触式のセンサ(例えばフォトセンサ)を採用することで検知方式を相違させることも可能である。また、両検知センサに非接触式の近接センサを採用することも可能であるが、このような変更を行う場合、それら検知センサのうち一方を光学式のセンサとし、他方を光学式ではないセンサ(例えば高周波発振式のセンサ)を採用するとよい。このような検知方式の変更を行った場合には、各検知センサの配置自由度を向上することが可能である。
例えば光学式センサと高周波発振式センサとを併用した場合には、高周波発振式の検知センサによって生じる磁界が光学式センサによる球検知時に影響を受けることを抑制することが可能となる。この場合、両検知センサにおける検知領域を同一箇所に配し、検知信号の出力タイミングが同期するように設定することで、実用上好ましい構成を実現できる。具体的には、上記実施の形態においては、両検知センサ350A,350Bを共に高周波発振式のセンサとしたため、磁界の相互干渉を回避すべく両検知センサ350A,350Bの検知位置を通路方向でずらす構成とした。このため、各検知センサ350A,350Bによって遊技球が検知されるタイミングがずれて通過判定にタイムラグが生じていた。この場合、遊技球の通過判定結果(詳しくは遊技球の入賞個数)に差が生じることとなり、エラー判定を行うための閾値に上記差を許容する余裕代を設定していた。この点、上述の如く検知位置を揃えることができれば、閾値に余裕代を設定する必要がなくなり、ノイズの混入が発生したタイミングからエラー判定がなされるまでのタイムラグを小さくし、エラー判定の応答性向上に貢献することが可能となる。
既に説明したように、入賞判定に影響をおよぼし得る有害なノイズは、偶発的に発生するのみならず意図的に発生し得る。このようにノイズが意図的に生成される場合には、上記差を利用して入賞判定数の帳尻合わせが行われると、エラー検知が困難になり得る。この点、上述の如く同一のタイミングで検知信号が出力される構成とすれば、このような帳尻合わせを困難なものとし、防犯機能の更なる向上が期待できる。
なお、既に説明したように複数の高周波発振式検知センサの検知位置を揃えることは、それら各検知センサに生じる磁界が相互干渉する要因となり得るため、遊技球の検知機能を安定化することが難しいと想定される。しかしながら、防犯機能強化の観点から鑑みれば、そのような構成を採用することも可能である。以下、図26のタイミングチャートに基づいて、この変形例を採用した場合のエラー判定の態様について説明する。
遊技球が検知領域に達すると、te1のタイミングにて第1検知センサの処理回路に入力される高周波の振幅がほぼ0となり、予め定められた閾値を下回ることで、同第1検知センサから出力される検知信号がLOWレベルからHIレベルに切り替る。また同te1のタイミングでは、第2検知センサの処理回路に入力される高周波の振幅が最大となり、予め定められた閾値を上回ることで、同第2検知センサから出力される検知信号がLOWレベルからHIレベルに切り替る。
その後、タイマ割込み処理が2度実行されたte2のタイミングにて第1検知センサから出力されている検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルとなっていることで、同検知信号に基づいて遊技球の入賞が発生したと判定される。これにより、チェックカウンタの値が「1」加算され、「100」から「101」にカウントアップされる。
同じくte2のタイミングにて第2検知センサから出力されている検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルとなっていることで、同検知信号に基づいて遊技球の入賞が発生したと判定される。これにより、チェックカウンタの値が「1」減算され、「101」から「100」にカウントダウンされる。この後、チェックカウンタの値が「100」であるか否かが判定される。この時点では、チェックカウンタの値は「100」に戻っているため、検知信号が正常であると判定される。
その後、検知領域を遊技球が通過している最中のte3のタイミングにてノイズが発生し、同ノイズが検知コイル等を介して処理回路へ混入すると、両検知センサから出力される検知信号のうち一方に変化が生じる。具体的には、第1検知センサの処理回路に入力されている高周波については振幅がほぼ0に抑えられているため、上記ノイズの混入により、同第1検知センサから出力される検知信号が一時的にHIレベルからLOWレベルに切り替る。一方、第2検知センサの処理回路に入力されている高周波については振幅が最大に保持されているため、上記ノイズによって第2検知センサから出力されている検知信号が変化する(LOWレベルに切り替る)ことは無い。
続くte4のタイミングにて上記ノイズが消失すると、第1検知センサから出力されている検知信号はHIレベルに切り替る。その後、タイマ割込み処理が2度実行されたte5のタイミングにて第1検知センサから出力されている検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルとなっていることで、同検知信号に基づいて遊技球の入賞が発生したと判定される。これにより、チェックカウンタの値が「1」加算され、「100」から「101」にカウントアップされる。この際、第2検知センサからの出力信号には、ノイズによる変化が生じていないため、チェックカウンタの値は減算されることなく「101」のまま維持される。そして、同タイマ割込み処理にてチェックカウンタの値が「101」、すなわち初期値「100」から外れている旨が確認されると、検知信号に異常が発生したと判定され、エラー報知が実行される。つまり、有害なノイズが1つでも混入していれば、即座にエラー報知が実行されることとなる。
その後、遊技球が検知領域を通過し終えたte6のタイミングでは、第1検知センサの処理回路に入力されている高周波の振幅が最大となり上記閾値を上回ることで、第1検知センサから出力される検知信号がHIレベルからLOWレベルに切り替る。また、同te6のタイミングでは、第2検知センサの処理回路に入力されている高周波の振幅がほぼ0に抑えられ上記閾値を下回ることで、第2検知センサから出力される検知信号がHIレベルからLOWレベルに切り替る。
遊技球が検知領域を通過した後のte7のタイミングにて再びノイズが発生し、同ノイズが各処理回路に入力される信号に混入すると、両検知センサから出力される検知信号のうち一方に変化が生じる。具体的には、第1検知センサの処理回路に入力されている高周波については振幅が最大に保持されているため、上記ノイズにより、同第1検知センサから出力される検知信号が変化することは無い。一方、第2検知センサの処理回路に入力されている高周波については振幅がほぼ0に保持されているため、上記ノイズの混入によって第2検知センサから出力されている検知信号が一時的にHIレベルからLOWレベルに切り替る。
その後、タイマ割込み処理が2度実行されたte8のタイミングにて第2検知センサから出力されている検知信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルとなっていることで、同検知信号に基づいて遊技球の入賞が発生したと判定される。これにより、チェックカウンタの値が「1」減算され、「100」から「99」にカウントダウンされる。この際、第1検知センサからの出力信号には、ノイズによる変化が生じていないため、チェックカウンタの値は加算されることなく「99」のまま維持される。そして、同タイマ割込み処理にてチェックカウンタの値が「99」、すなわち初期値「100」から外れている旨が確認されると、検知信号に異常が発生したと判定され、エラー報知が実行される。つまり、有害なノイズが1つでも混入していれば、即座にエラー報知が実行されることとなる。続くte9のタイミングにてノイズが消失すると、第2検知センサから出力されている検知信号がLOWレベルに切り替る。
以上、図26に基づいて説明した変形例においては、どのタイミングにおいても必ず一方の検知センサにおける高周波の振幅が検知信号切替用の閾値を上回った状態で保持されるとともに、他方の検知センサにおける高周波の振幅が検知信号切替用の閾値を下回った状態で保持される。つまり、どのタイミングでノイズの混入が発生したとしても、必ず両検知信号に差が生じることとなり、同ノイズの混入を迅速に発見することが可能となる。
(2)上記実施の形態では、「第1検知手段」としての第1検知センサ350Aと、「第2検知手段」としての第2検知センサ350Bとを別体であ設けたが、これに限定されるものではない。例えば1の検知センサが第1検知手段及び第2検知手段を有する構成とすることも可能である。
このような変更を行う場合には、併せて以下の変更を行うとよい。すなわち、発振回路を統合し、1の発振回路にて生成される高周波を各検知手段に供給する構成としてもよい。
(3)上記実施の形態では、検知センサ350A,350Bが「発振部」としての発振回路660A,660Bを有する構成としたが、「発振部」を検知センサの外部に設けることも可能である。例えば、一般的に遊技機には交流が供給されることに鑑みれば、この交流の周波数を変換する変換部を個別に設け、同変換部によって変換された高周を検知センサに供給する構成としてもよい。
また、高周波の生成に関しては必ずしもLC回路を採用する必要はない。例えば、水晶振動子等を有する回路を採用することも可能である。
(4)各検知センサ350A,350Bの出力回路690A,690Bから出力される検知信号は、遊技球検知時と非検知時とでことなる2値信号であれば足りる。すなわち、必ずしも遊技球検知時にHIレベル信号を出力する必要はなく、同遊技球検知時にLOWレベル信号を出力する構成とすることも可能である。
また、上記実施の形態においては、遊技球検知時に両検知センサ350A,350Bから出力される信号をともにHIレベルとしたが、これを変更し、何れか一方は遊技球検知時にLOWレベル信号を出力する構成とし、遊技球検知時に各検知センサ350A,350Bから出力される検知信号をHIレベル/LOWレベルで相違させることも可能である。
(5)「第1検知手段」としての第1検知センサ350Aにおいては検知回路670Aの共振周波数を変化させることにより、高周波の振幅を変化させる構成としたが、これに限定されるものではない。遊技球非通過時に高周波の振幅を閾値よりも大きくし、遊技球通過時に高周波の振幅を閾値よりも小さくする場合、コイルに対して遊技球が近づくことで生じるコイルの損失変化を利用して、高周波の振幅を一時的に抑えることも可能である。この場合、発振回路のコイルに生じる磁界を遊技球が通過する構成とすればよい。
(6)上記実施の形態では、「第1検知手段」としての第1検知センサ350Aから出力される検知信号に基づいて、遊技者に遊技球の払い出し等の特典を付与する構成としたが、これに限定されるものでない。例えば、第1検知センサ350Aよりも下流側に位置する第2検知センサ350Bの検知信号に基づいて上記特典の付与を行う構成としてもよいし、両検知センサ350A,350Bから出力される両検知信号に基づいて上記特典の付与を行う構成としてもよい。
但し、これらの変更を行った場合、作動口83に遊技球が流入してから遊技球が払い出されるまでの期間が間延びし、特典付与の応答性が低下し得る。故に、好ましくは、上流側の検知センサを特典付与用とし、下流側の検知センサをエラーチェック用とすることで、各検知センサに付与する機能の差別化を図ることが好ましい。これにより、検知精度の向上と応答性の向上とを好適に両立することができる。
(7)上記実施の形態では、「遊技媒体」としての遊技球が作動口83,84に流入した場合に検知センサ350A,350Bから出力される検知信号に基づいて入賞の判定を行う構成とした。つまり、「検知手段」としての検知センサ350A,350Bや「通過判定手段」としての信号読み込み処理(詳しくはS201〜S215の各処理)を「入球部」としての作動口83,84に適用したが、これに限定されるものではない。本実施の形態に示した検知精度向上に関する技術的思想を入賞判定以外に適用することも可能である。
例えば、スロットマシン等においては所定数の遊技媒体(メダル)を投入することにより、大当たり等の抽選が可能となるが、この遊技媒体を「検知手段」としての2つの検知センサによって検知するとともに、それら検知センサから出力される検知信号を「判定手段」によって判定することで投入の可否を判定する構成とすることも可能である。これにより、ノイズ等の影響により遊技媒体を投入していないにも関わらずあたかも遊技媒体が投入されたかのような判定がなされることを回避することが可能となる。
また、上記実施の形態に示した検知精度向上に関する技術的思想を作動口83,84入賞判定以外に適用することも可能である。すなわち、「入球部」として一般入賞口81や可変入賞装置82等を採用することも可能である。
例えば一般入賞口81を通過した遊技球が一般入賞口81用の検知センサ(詳しくは検知領域)を通過する際に、その通過速度が規定値となるように調整する「期間調整手段」を設けるとともに、その通過期間と同じ長さの特定期間内にて、複数の遊技球が検知されることを規制するとよい。
(8)上作動口83用の検知センサ350及び上側回収通路部311と、下作動口84用の検知センサ350及び下側回収通路部321とを共用してもよい。つまり、上作動口83及び下作動口84に流入した遊技球が通過する共用通路を設け、その共用通路に各検知センサを配設してもよい。
(9)上記実施の形態では、定期的に行われる信号読み込み処理にて検知センサ350A,350Bから入力された信号がLOWレベル→HIレベル→HIレベルと認識されることにより、遊技球の入賞が発生したと判定する構成としたが、この判定条件は任意である。例えば、LOWレベル→HIレベル→HIレベル→HIレベルと認識されることにより遊技球の入賞が発生したと判定する構成としてもよいし、LOWレベル→HIレベルと認識されることにより、遊技球の入賞が発生したと判定する構成としてもよい。
(10)上記実施の形態では、「案内通路」を構成する縦通路315,322に各検知センサ350A,350Bを配設したが、検知センサ350A,350Bの配設箇所は任意である。例えば、略水平方向に延びる通路を有する構成においては、同通路に各検知センサ350A,350Bを配設することも可能である。
(11)上記実施の形態では、第1検知センサ350Aと第2検知センサ350Bとを上下に並べて配置したが、これに限定されるものではない。例えば第1検知センサ350Aと第2検知センサ350Bとを前後に並べて配置することも可能である。
(12)上記実施の形態では、各検知センサ350A,350Bの発振回路660A,660Bにて生成される高周波の周波数を統一するとともに、第1検知センサ350Aの処理回路680AにおけるHI/LOW切り替えの閾値と第2検知センサ350Bの処理回路680BにおけるHI/LOW切り替えの閾値とを統一したが、各発振回路660A,660Bにて生成される高周波の周波数と、各処理回路680A,680Bにおける閾値は任意である。
(13)上記実施の形態では、1のチェックカウンタCCを用いて、各検知センサ350A,350Bからの検知信号に基づいて入賞したと判定された遊技球の個数を比較する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、第1検知センサ350Aによって検知された入賞数をカウントする第1入賞カウンタと、第2検知センサ350Bによって検知された入賞数をカウントする第2入賞カウンタとを設け、それら各入賞カウンタの値を比較することにより異常判定を行う構成とすることも可能である。
(14)上記実施の形態では、検知回路670A,670BとしてLC並列回路を採用したが、これに限定されるものではない。少なくともコイルを有し、同コイルに対して遊技球が近づくことで共振周波数を変化させることが可能な回路であれば任意の回路を採用してよい。例えばLC直列回路や、LCR並列回路等を採用することも可能である。
(15)上記実施の形態では、「検知手段」としての検知センサ350A,350Bからの検知情報を主制御装置162に入力し、「通過判定手段」を構成する信号読み込み処理や信号判定処理を主制御装置162のMPU611にて実行する構成としたが、これを以下のように変更することも可能である。すなわち、検知センサ350A,350Bからの検知情報を払出制御装置242等の他の制御装置に入力し、同制御装置にて上記信号読み込み処理や信号判定処理を実行する構成とすることも可能である。更には、信号入力処理と信号判定処理を同一の制御装置にて実行する必要は必ずしもなく、両処理を別々の制御装置で実行することも可能である。
(16)上記実施の形態では、「報知手段」としてエラー表示ランプ部27、スピーカ部29及びホールコンピュータにエラー情報を伝達する機能を有する構成とし、エラーが発生した際の把握を容易化したが、これに限定されるものではない。例えば、パチンコ機10において行われるエラー表示ランプ部27やスピーカ部29を用いた報知を行わない構成とし、エラー発生時にはその情報をホールコンピュータにのみ伝達する構成とすることも可能である。
更には、エラーの発生頻度が大きくなった場合に遊技進行を中断させるロック手段を設け、状態復帰スイッチ245等の操作に基づいて同ロック手段によるロック状態が解除されることにより遊技が再開される構成とすることも可能である。
(17)上記実施の形態では、「検知手段」としての検知センサ350(詳しくは筒状部362a)によって「案内通路」を構成する縦通路315,322の一部を区画形成する構成としたが、これに限定されるものではない。すなわち、検知センサによって案内通路の一部を区画形成する必要はない。本実施の形態においては特に、検知センサ350が磁気センサであるため、案内通路の通路壁を隔てた外側に検知センサを配置することも可能である。
(18)上記実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されるか所定時間が経過することでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも本発明を適用できる。
更に、外枠に開閉可能に支持された遊技機本体に貯留部及び取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも本発明を適用できる。
<上記実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
特徴1.遊技媒体を案内する案内通路(例えば下側誘導通路部272や下側回収通路部321)と、
前記案内通路を通過する遊技媒体を検知して所定の検知信号を出力する複数の検知手段(検知センサ350)と、
前記案内通路を遊技媒体が通過したか否かを、前記複数の検知手段からそれぞれ出力される前記検知信号に基づいて判定する通過判定手段(主制御装置162のMPU611において信号読み込み処理のステップS201〜ステップS215を実行する機能)と、
前記判定手段による前記各検知信号の判定結果に基づいて異常判定を行う異常判定手段(主制御装置162のMPU611において信号読み込み処理のステップS216を実行する機能)と
を備え、
前記複数の検知手段は、前記遊技媒体が通過する際の検知部(検知回路670)のインピーダンス変化により同遊技媒体の通過時と非通過時とのいずれかで所定周波数の高周波信号の交流変化を減衰させ、その交流変化の減衰に基づき前記所定の検知信号として遊技媒体検知及び遊技媒体非検知の信号を生成するものであり、
当該複数の検知手段として、前記遊技媒体の通過時に前記高周波信号の交流変化を減衰させることで遊技媒体検知の信号を生成する第1検知手段(第1検知センサ350A)と、前記遊技媒体の非通過時に前記高周波信号の交流変化を減衰させることで遊技媒体非検知の信号を生成する第2検知手段(第2検知センサ350B)とを備えていることを特徴とする遊技機。
特徴1によれば、遊技媒体が案内通路を通過すると第1検知手段及び第2検知手段から個々に遊技媒体検知の信号が出力され、それら各信号に基づいて通過判定手段による通過判定が行われる。第1検知手段から出力される検知信号に基づく通過判定の結果と、第2検知手段から出力される検知信号に基づく通過判定の結果とに基づいて異常判定を行うことにより、検知精度を向上させることができる。
第1検知手段においては遊技媒体の通過時に高周波信号の交流変化を減衰させるようにして遊技媒体検知の信号を生成している。このため、第1検知手段から出力される検知信号においては、遊技媒体の通過時にはノイズの影響を受けやすくなるものの、遊技媒体の非通過時にはノイズの影響が抑えられることとなる。一方、第2検知手段においては、遊技媒体の非通過時に高周波信号の交流変化を減衰させるようにして遊技媒体非検知の信号を生成している。このため、第2検知手段から出力される検知信号においては、遊技媒体の非通過時にはノイズの影響を受けやすくなるものの、遊技媒体の通過時にはノイズの影響が抑えられることとなる。このように異なる検知方式の検知手段を併用する構成とすることにより、各検知信号におけるノイズ混入による影響を相違させることができる。つまり、ノイズ混入時において一方の検知手段の検知信号にはノイズの影響を許容し、他方の検知手段の検知信号にはノイズの影響を抑えることで、結果として通過判定手段による判定結果に差違を生じさせることができる。これにより検知信号にノイズ混入等の要因により異常が発生していることを察知することが可能となり、上述した検知精度の更なる向上が期待できる。
特徴2.前記検知部は、発振部(発振回路660)から出力されている前記高周波信号を遊技媒体の通過時と非通過時とのいずれかで減衰させるものであり、
前記第1検知手段は、前記検知部として、前記遊技媒体の通過時に前記高周波信号の交流変化を減衰させる第1検知部(検知回路670A)を有し、
前記第2検知手段は、前記検知部として、前記遊技媒体の非通過時に前記高周波信号の交流変化を減衰させる第2検知部(検知回路670B)を有していることを特徴とする特徴1に記載の遊技機。
本特徴に示すように、発振部(高周波出力部)から出力されている高周波信号の交流変化を遊技媒体の通過時に減衰させる第1検知部と、高周波信号の交流変化を遊技媒体の非通過時に減衰させる第2検知部とを採用することにより、特徴1に示した構成を好適に実現することができる。
特徴3.前記第1検知手段及び前記第2検知手段は、前記第1検知部及び前記第2検知部として、前記遊技媒体の通過場所に近接配置された検知コイル(検知コイル364)と同検知コイルに接続されたコンデンサ(コンデンサ671)とを有する共振回路をそれぞれ備え、
前記第1検知手段は、前記遊技媒体の通過時において、同遊技媒体の非通過時に比して前記高周波信号の周波数に対する前記共振回路の共振周波数の差が大きくなることで前記高周波信号の交流変化を減衰させるものであり、
前記第2検知手段は、前記遊技媒体の非通過時において、同遊技媒体の通過時に比して前記高周波信号の周波数に対する前記共振回路の共振周波数の差が大きくなることで前記高周波信号の交流変化を減衰させるものであることを特徴とする特徴2に記載の遊技機。
高周波信号と同じ周波数の高周波ノイズが混入する場合であって、そのノイズの混入が各検知手段にて遊技媒体が検知される位置を遊技媒体が通過する場合(通過時)に生じることを想定すると、第1検知手段では遊技媒体の通過時において本来生じる筈のない高周波信号の変化(高周波信号の交流変化の擬似的な増幅)が生じる。また、同ノイズの混入が上記検知される位置を遊技媒体が通過していない場合(非通過時)に生じることを想定すると、第2検知手段では遊技媒体の非通過時において本来生じる筈のない高周波信号の変化(高周波信号の交流変化の擬似的な増幅)変化が生じる。つまり、遊技媒体の通過時及び非通過時のいずれにおいても、第1検知手段と第2検知手段とのいずれか一方にのみ、本来生じることのない高周波信号の変化が生じることとなり、それに伴い検知信号の出力態様が変化するから好適なる異常判定を実施することができる。これにより、ノイズ等に起因する遊技媒体通過の誤判定を抑制できる。
特徴4.前記第1検知手段及び前記第2検知手段は、前記共振回路における検知コイルの巻き数及びコンデンサの容量値の少なくともいずれかが相違するものであることを特徴とする特徴3に記載の遊技機。
特徴4に示す構成を採用することにより、特徴2に示した構成を好適に実現することができる。
なお、本特徴に示すように第1検知手段及び第2検知手段においてコイルの巻き数やコンデンサの容量値を相違させる構成を採用した場合、発振部から発振される高周波信号の交流変化(例えば周波数)を一致させることができ、発振部の共通化や共用化の実現に貢献することができる。
なお、上記効果を享受するには、少なくとも遊技媒体の非通過時(初期時)にて各共振回路のコイルのインダクタンスが相違すればよく、コイルの巻き数を相違させる以外の方法を採用することも可能である。但し、検知手段にて一定の感受性を担保しつつ案内通路における円滑な遊技媒体の案内を実現しようとすれば、本特徴に示す構成を採用することが好ましい。
特徴5.前記第1検知手段及び前記第2検知手段は、前記高周波信号を生成し出力する発振部(発振回路660)をそれぞれ備え、
前記第1検知手段が備える第1発振部から出力されている高周波信号と、前記第2検知手段が備える第2発振部から出力されている高周波信号とはその発振周波数が各々相違するものであることを特徴とする特徴3に記載の遊技機。
特徴5に示す構成を採用することにより、特徴2に示した構成を好適に実現することができる。
なお、本特徴に示すように各検知手段が発振部を個別に有する構成とすることにより、各検知手段の配置自由度向上に貢献することができる。
特徴6.前記第1検知手段は、前記検知部として、前記遊技媒体の通過場所に近接配置された発振コイルと同発振コイルに接続されたコンデンサとを有してなる発振回路を備え、前記遊技媒体の通過時において前記発振回路での発振を抑えることで同高周波信号の交流変化を減衰させるものであり、
前記第2検知手段は、前記検知部として、前記遊技媒体の通過場所に近接配置された検知コイルと同検知コイルに接続されたコンデンサとを有する共振回路を備え、前記遊技媒体の非通過時において、同遊技媒体の通過時に比して前記高周波信号の周波数に対する前記共振回路の共振周波数の差が大きくなることで前記高周波信号の交流変化を減衰させるものであることを特徴とする特徴1に記載の遊技機。
特徴6によれば、遊技媒体通過時には、同遊技媒体が発振コイルの傍を通過することにより発振回路における発振条件が変化して、高周波信号の振幅が減少して高周波信号の交流変化が減衰することとなる。これにより、第1検知手段から遊技媒体検知の信号が出力される。また、遊技媒体が検知コイルの傍を通過すると共振回路における共振周波数が変化して高周波信号の周波数に対する共振回路の共振周波数の差が大きくなり、高周波信号の交流変化が減衰することとなる。これにより、第2検知手段から遊技媒体検知の信号が出力される。このような異なるタイプの検知手段を採用することにより、特徴1に示した構成を好適に実現することができる。
特徴7.前記案内通路において互いが上流側及び下流側となる2つの検知位置のうち一方で前記第1検知手段が前記遊技媒体の通過を検知し、他方で前記第2検知手段が前記遊技媒体の通過を検知することを特徴とする特徴1乃至特徴6のいずれか1つに記載の遊技機。
案内通路においては通路幅等にある程度のゆとりを設定することで、遊技媒体を円滑に案内することが可能となる。しかしながら、このようなゆとりの設定は、遊技媒体の流下経路をばらつかせる要因となり得る。また、複数の遊技媒体が連なった状態で案内通路を流下する場合には、それら各遊技媒体に対して個別に対応する検知信号を出力する必要がある。そこで、高周波発振式(磁界を利用した)検知手段を採用することで、案内通路の遊びを許容しつつ、連なって流下する個々の遊技媒体の識別することが可能となる。
このような高周波発振式の検知手段を採用する場合には、各検知手段が遊技媒体の検知に際して相互に干渉することは好ましくない。そこで、本特徴に示すように、各検知手段によって案内通路の別々の位置にて遊技媒体の検知を行う構成とすれば、上記相互干渉を抑え、実用上好ましい構成を実現できる。
特徴8.前記案内通路を遊技媒体が通過した場合に遊技者に特典を付与する特典付与手段(例えば主制御装置162のMPU611において通常処理のステップS501を実行する機能)を備え、
前記特典付与手段は、前記複数の検知手段からの各検知信号に基づく遊技媒体の通過判定結果のうち、前記第1検知手段の検知信号による遊技媒体の通過判定結果に基づいて前記特典の付与を実行するものであることを特徴とする特徴1乃至特徴7のいずれか1つに記載の遊技機。
第1検知手段では、実際の遊技媒体の通過時以外には高周波信号の交流変化が保持されるため、仮に高周波ノイズが混入しても高周波信号の交流変化に影響はない。故に、遊技媒体の通過時以外の期間における遊技媒体通過の誤判定を抑制できる。遊技中においては、遊技媒体の通過が検知される検知期間とそれ以外の非検知期間とを比べると後者の方が大幅に長い期間であり、特典付与を不正に得ようとする不正行為者は、遊技媒体の通過時以外の期間においてノイズを混入させ、その混入ノイズによる遊技媒体通過の誤判定を生じさせようとすると考えられる。この点、本特徴によれば、遊技媒体の非検知期間における遊技媒体通過の誤判定を抑制し、同期間での不正な特典付与を抑制できる。
特徴9.前記第1検知手段は、前記案内通路において互いが上流側及び下流側となる2つの検知位置のうち前記上流側の検知位置にて前記遊技媒体の通過を検知し、
前記第2検知手段は、前記下流側の検知位置にて前記遊技媒体の通過を検知することを特徴とする特徴8に記載の遊技機。
検知手段を複数有する構成を採用することで検知精度の向上を図った場合に、それによる上記応答性が低下することは好ましくない。この点、本特徴によれば、特典付与に関連する第1検知手段による検知位置を第2検知手段による検知位置よりも上流側に配することにより、案内通路へ遊技媒体が流入してから、特典付与が実行されるまでのタイムラグを減らすことができる。これにより、検知精度の向上を図りつつ、それに起因した特典付与の応答性を低下を抑制することができる。
特徴10.前記第1検知手段の検知信号により遊技媒体の通過判定がなされた場合、及び前記第2検知手段の検知信号により遊技媒体の通過判定がなされた場合において、そのいずれか一方では、通過判定結果に基づく前記遊技媒体の検知数を検知数差分カウンタ(チェックカウンタCC)に加算し、他方では、通過判定結果に基づく前記遊技媒体の検知数を前記検知数差分カウンタから減算する差分値算出手段(主制御装置162のMPU611において信号読み込み処理のステップS205,S213を実行する機能)を備え、
前記異常判定手段は、前記検知数差分カウンタの初期値からの変化量に基づいて、前記第1検知手段及び前記第2検知手段の各検知結果を比較して前記異常判定を行うことを特徴とする特徴1乃至特徴9のいずれか1つに記載の遊技機。
ノイズ等の混入が無く、各検知手段からの検知信号に基づいた通過判定が正常に行われている場合には、第1検知手段からの検知信号に基づいて通過判定された遊技媒体の検知数と、第2検知手段からの検知信号に基づいて通過判定された遊技媒体の検知数とが一致する。このため、検知差分カウンタの値は一時的に増加したり減少したりするものの、初期値(検知差分カウンタに予め設定されている値)と同じ値に保たれることとなる。一方、検知信号にノイズ等が混入した場合には、上記各検知数が相違し、検知差分カウンタの値が初期値から外れたままとなる。検知差分カウンタの値と当該カウンタの初期値とを比較して前記異常判定を実行することにより、特徴1等に示した検知精度向上効果を好適に享受できる。
特に特徴9に示したように、各検知手段を互いに上流側及び下流側となるように配した場合、各検知位置での通過検知にタイムラグが生じることとなる。このため、例えば同一タイミングにてその時点での判定結果同士を比較する場合、異常判定の信頼性を向上させることが難しくなり得る。この点、本特徴に示すようにカウンタを用いて初期値との比較を行う構成とすれば、上記タイムラグを許容し、異常判定の信頼性向上に貢献することができる。
また、各判定手段による判定結果を1の記憶手段によってまとめて取り扱うことが可能である。これにより、検知精度の向上に伴う構成の煩雑化を抑制することができる。
特徴11.遊技媒体を案内する案内通路(例えば下側誘導通路部272や下側回収通路部321)と、
前記案内通路を通過する遊技媒体を検知して所定の検知信号を出力する複数の検知手段(検知センサ350)と、
前記案内通路を遊技媒体が通過したか否かを、前記複数の検知手段から出力される前記検知信号に基づいて判定する通過判定手段(主制御装置162のMPU611において信号読み込み処理のステップS201〜ステップS215を実行する機能)と、
前記判定手段による前記各検知信号の判定結果に基づいて異常判定を行う異常判定手段(主制御装置162のMPU611において信号読み込み処理のステップS216を実行する機能)と
を備え、
前記複数の検知手段として、前記遊技媒体が通過する際の検知部(検知回路670)のインピーダンス変化により、同遊技媒体の通過時と非通過時とのいずれかで所定周波数の高周波信号の交流変化を減衰させる高周波式検知部を有するとともに当該高周波式検知部の出力に基づき前記検知信号として遊技媒体検知の信号を生成する第1検知手段と、前記高周波式検知部を備えずに構成され前記遊技媒体の通過検知により前記検知信号として遊技媒体検知の信号を生成する第2検知手段と、を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴11によれば、遊技媒体が案内通路を通過すると第1検知手段及び第2検知手段から個々に遊技媒体検知の信号が出力され、それら各信号に基づいて通過判定手段による通過判定が行われる。第1検知手段から出力される検知信号に基づく通過判定の結果と、第2検知手段から出力される検知信号に基づく通過判定の結果とに基づいて異常判定を行うことにより、検知精度を向上させることができる。
第1検知手段においては遊技媒体の通過時に高周波信号の交流変化を減衰させるようにして遊技媒体検知の信号を生成している。このため、第1検知手段から出力される検知信号においては、遊技媒体の通過時にはノイズの影響を受けやすくなるものの、遊技媒体の非通過時にはノイズの影響が抑えられることとなる。一方、第2検知手段においては、高周波式検知部を備えていないため、当該第2検知手段にて生成される検知信号に高周波ノイズの影響がおよぶことを抑制することができる。つまり、ノイズ混入時において一方の検知手段の検知信号にはノイズの影響を許容し、他方の検知手段の検知信号にはノイズの影響を抑えることで、結果として通過判定手段による判定結果に差違を生じさせることができる。これにより検知信号にノイズ混入等の要因により異常が発生していることを察知することが可能となり、上述した検知精度の更なる向上が期待できる。
なお、異常判定手段によって検知信号が異常であると判定された場合には、例えば報知手段(エラー表示ランプ部27)等を用いてその事実をホール管理者等に伝える構成とすればよい。これにより、信号の異常による不利益の発生を抑えることができ、異常の早期解決に貢献できる。
特徴12.前記第1検知手段及び前記第2検知手段は、遊技媒体が近づいたことを検知する近接センサであり、
前記第2検知手段は、遊技媒体の検知に磁界の変化を利用しない光学式の近接センサであり、前記遊技媒体の通過時と非通過時とで異なる二値信号を出力するものであることを特徴とする特徴11に記載の遊技機。
特徴12によれば、第1検知手段を高周波発振式の近接センサとし、第2検知手段を光学式の近接センサとすることにより、両検知手段(詳しくは検知信号)の相互干渉を抑制できる。これにより、案内通路における同一位置にて遊技媒体の通過検知を行うことが可能となる。このように検知位置を揃えることが可能となれば、各検知手段から検知信号が出力されるタイミング、言い換えれば各判定手段による通過判定を実行するタイミングを揃えることができる。この場合、各判定手段による通過判定に生じるタイムラグを払拭でき、検知信号に異常がある場合の異常判定の応答性を向上することが可能となる。
特徴13.前記案内通路を遊技媒体が通過した場合に、遊技者に特典を付与する特典付与手段(例えば主制御装置162のMPU611において通常処理のステップS501を実行する機能)を備え、
前記特典付与手段は、前記複数の検知手段からの各検知信号に基づく遊技媒体の通過判定結果のうち、前記第1検知手段の検知信号による遊技媒体の通過判定結果に基づいて前記特典の付与を実行するものであることを特徴とする特徴11又は特徴12に記載の遊技機。
特徴13によれば、特典付与の有無は、第1検知手段からの検知信号によって左右される。高周波発振式のセンサは、光学式のセンサと比較して、案内通路における通路幅等のゆとり(遊技媒体の流下経路のばらつき)の許容レベル向上や複数の遊技媒体が連なって流下している場合の個々の遊技媒体の識別能力向上が容易である点で優れている。つまり、遊技媒体の検知精度向上効果が顕著である。この高周波発振式のセンサを特典付与用として活用することにより、実用上好ましい構成を実現できる。なお、第2検知手段に光学式のセンサを採用し、通過判定結果の比較用(すなわちエラーチェック用)として活用するとよい。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル41)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(誘導レール100)と、遊技領域内に配置された各遊技部品(釘88等)とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部(一般入賞口81等)を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにした遊技機。
球使用ベルト式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにし、さらに、球受皿を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入装置と、前記球受皿に遊技球の払出を行う払出装置とを備え、投入装置により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機。