(第1実施例)
本実施例のぱちんこ遊技機においては、従来にいう第1種ぱちんこ遊技機に相当する遊技が複数混在する。その複数の遊技としての第1の遊技と第2の遊技とが、同時に実行されないよう第2の遊技が優先的に実行される。またこれらの遊技性を両立させるために、本実施例のぱちんこ遊技機は、複数の始動入賞口、複数の一般入賞口、複数の特別図柄表示装置、複数の保留ランプ等を備える。
本実施例においては、いわゆるゴトと呼ばれる不正行為を想定し、その発見および防止を目的とするエラー判定処理を実行する。すなわち、このような不正行為として、例えば遊技球に釣り糸等の目立たない糸状部材を取り付けて始動入賞口や一般入賞口へ入球させ、その糸状部材の引っ張りと弛緩を繰り返すことで何度も入球センサに反応させて不正に賞球を得る行為(いわゆる「糸釣りゴト」)が考えられる。このような不正行為を、入球センサによる検出状況に基づいて判定する。本実施例ではコスト面等も考慮し、始動入賞口と一般入賞口とで異なるエラー判定手法を採用する。
始動入賞口についてはダブルセンサを用いたエラー判定処理を実行する。すなわち、始動入賞口に入球した遊技球は排出通路を通って遊技機外部に排出されるが、その排出通路の上流側に第1センサ、下流側に第2センサを設け、それらのセンサによる遊技球の検出タイミングが適正でなければエラー判定を行う。ただし、例えば遊技球が連続的に入球した場合など、排出通路における遊技球同士の衝突による跳ね返りなどに起因して、いずれかのセンサにより重複した検出がなされるチャタリングが発生すると、誤ったエラー判定がなされるおそれがある。通常はそうしたチャタリングが発生し難い設計がなされるものの、たまたま発生した場合にまで逐一エラ報知を行うと、ホールの営業に支障をきたす可能性もある。そこで、エラー判定が所定回数(本実施例では5回)累積した場合にエラー報知(エラー出力)を行うようにする。
一方、一般入賞口については、コスト抑制の観点からシングルセンサとする。すなわち、一般入賞口に入球した遊技球も対応する排出通路を通って遊技機外部に排出されるが、その排出通路に設けられた一つの入賞センサを用いてエラー判定処理を実行する。具体的には、通常遊技における一般入賞口への入球率と特別遊技における一般入賞口への入球率との比率が所定の基準比率を超えた場合に不正な遊技者による不正行為があったと判定する。すなわち、こうした不正行為を仮に通常遊技中に実行した場合、特別遊技以外における賞球払出数の急増を検出する遊技機またはホールコンピュータの機能によって発覚する可能性があるため、不正な遊技者は通常遊技中には糸状部材を悪用した不正行為の実行を避けることが考えられる。これに対して特別遊技においては、もともと賞球払出数が急増する期間であるがゆえに、これに紛れて糸状部材を悪用した不正行為が実行される可能性が高い。そこで、本実施例においては通常遊技中と特別遊技中で一般入賞口への入球率を区別して算出し、これらの対比によって不正な入賞を検出する。
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。外枠11にはスピーカ18が設けられており、遊技状態などに応じた効果音が出力される。上球皿15の近傍には、操作ボタン82が設けられている。操作ボタン82は、遊技者が遊技機に対して所定の指示を入力するために操作するボタンである。
図2は、遊技盤の前面側における構造を示す。遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、第1特別図柄表示装置70、第2特別図柄表示装置71、演出表示装置60、第1始動入賞口62(以下、「第1始動口62」という)、第2始動入賞口63(以下、「第2始動口63」という)、センター飾り64、大入賞口91、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない多数の遊技釘や風車などの機構が設置される。
第1始動口62は第1の遊技に対応する始動入賞口として設けられ、第2始動口63は第2の遊技に対応する始動入賞口として設けられる。第1始動口62および第2始動口63は、遊技球の発射強弱によっていずれかを目標にした打ち分けが可能な程度に互いに離れた位置に設けられる。第1始動口62と第2始動口63は、遊技者の意思にしたがった遊技球の発射強弱によっていずれか一方への入球を狙うことが可能となるよう、それぞれ遊技領域52の左側と右側に離れて設置され、一方を狙った遊技球が他方へ入球しがたい構成となっている。
本実施例では、第1始動口62が遊技領域52の下方中央、つまりアウト口58の上方に設けられている。一方、第2始動口63は遊技領域52の下方右寄り、つまりアウト口58の右上方の位置に設けられている。このような配置構成により、第1始動口62は遊技領域52の左側を狙って比較的弱めに発射したときに入球しやすくなり、第2始動口63は遊技領域52の右側を狙って比較的強めに発射したとき、いわゆる「右打ち」をしたときに入球しやすくなる。
第1始動口62は、始動入賞検出装置74を備える。始動入賞検出装置74は、第1始動口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第1始動入賞情報を生成する。本実施例では、始動入賞検出装置74として上下に2つのセンサが設けられ、それら2つのセンサ(以下、「ダブルセンサ」ともいう)による検出状態に基づいてゴト行為等によるエラー判定が行われるが、その詳細については後述する。
一方、第2始動口63は、始動入賞検出装置75と、普通電動役物65と、普通電動役物65を開閉させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。始動入賞検出装置75は、第2始動口63への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第2始動入賞情報を生成する。本実施例では、始動入賞検出装置75として上下に2つのセンサが設けられ、それら2つのセンサ(ダブルセンサ)による検出状態に基づいてゴト行為等によるエラー判定が行われるが、その詳細については後述する。普通電動役物ソレノイド76の駆動力により普通電動役物65が拡開されると、第2始動口63への入球容易性が高まる。
第2始動口63は図示するとおり遊技領域52の右寄りの位置に設けられているので、右側を狙って強めに打球した遊技球の多くが少なくとも第2始動口63の近傍に集まり、第2始動口63の入球可能性は高い。これに対して第1始動口62には普通電動役物が設置されておらず、しかも遊技領域52の中央寄りの位置に設けられている。したがって、普通電動役物65が拡開されれば第1始動口62よりも第2始動口63の方が入球可能性が相対的に高くなるような配置または構成の関係となっている。
一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。複数の一般入賞口72(本実施例では3つ)に対して共用のセンサが一つ設けられている。
大入賞口91は第1の遊技および第2の遊技の共用の大入賞口として設けられる。大入賞口91は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、大入賞口91を開閉させるための大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、大入賞口91への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す大入賞情報を生成する。大入賞口91は、後述する第1特別図柄192または第2特別図柄193が所定の態様にて停止したときに「大当り」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口91はアウト口58の右上方の位置に設けられる。なお、変形例として、第1の遊技と第2の遊技で個別の大入賞口を設ける形でもよい。
遊技領域52の略中央に演出表示装置60が設けられている。演出表示装置60の左下方の遊技領域52から外れたスペースには、第1の遊技に対応する第1特別図柄表示装置70と第2の遊技に対応する第2特別図柄表示装置71とが互いに左右に隣接するように設けられる。第1特別図柄表示装置70には第1の遊技に対応する第1特別図柄192の変動が表示され、第2特別図柄表示装置71には第2の遊技に対応する第2特別図柄193の変動が表示される。第1特別図柄192は、第1始動口62への遊技球の入球を契機として行われる第1の抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が所定の当り態様にて停止されたときに特別遊技としての大当りが発生する。第2特別図柄193は、第2始動口63への遊技球の入球を契機として行われる第2の抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が所定の当り態様にて停止されたときに特別遊技としての大当りが発生する。第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71は、例えば7セグメントLEDで構成される表示手段であり、第1特別図柄192および第2特別図柄193はそれぞれ「0」〜「9」の10種類の数字と記号「−」で表される。
演出表示装置60の表示領域194には第1特別図柄192に連動する装飾図柄190または第2特別図柄193に連動する装飾図柄190の変動が表示される。演出表示装置60は、例えば液晶ディスプレイである。装飾図柄190は、第1特別図柄192で示される第1の抽選の結果表示または第2特別図柄193で示される第2の抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を表示領域194に表示する。演出表示装置60は、この実施例では液晶ディスプレイで構成されるが、機械式のドラムやLEDなどの他の表示手段で構成されてもよい。なお、第1特別図柄192および第2特別図柄193は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出表示装置60の左下方の第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71にて目立たない大きさで表示させるが、特別図柄自体に演出的な役割をもたせて装飾図柄を表示させないような手法を採用する場合には、特別図柄を演出表示装置60のような液晶ディスプレイに表示させてもよい。
作動口68は、遊技盤50の右側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は第2始動口63の普通電動役物65を拡開させるための開放抽選の契機となる。
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当りながらその当り方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72、第1始動口62、第2始動口63、大入賞口91の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
遊技球が第1始動口62に入球すると、第1特別図柄表示装置70において第1特別図柄192が変動表示され、演出表示装置60の表示領域194において装飾図柄190が変動表示される。遊技球が第2始動口63に入球すると、第2特別図柄表示装置71において第2特別図柄193が変動表示され、演出表示装置60の表示領域194において装飾図柄190が変動表示される。第1特別図柄192、第2特別図柄193、装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された変動時間の経過後に停止される。停止時の第1特別図柄192および装飾図柄190が大当り態様であった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、大入賞口91の開閉動作が開始される。このときスロットマシンのゲームを模した装飾図柄190は、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。停止時の第2特別図柄193および装飾図柄190が大当り態様であった場合もまた、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、大入賞口91の開閉動作が開始される。
特別遊技は、大入賞口91が開放される単位遊技が複数回繰り返される遊技であり、単位遊技が15回または8回繰り返されて多くの出玉を獲得できる第1特別遊技と、短い単位遊技が2回だけ繰り返されてほぼ出玉のない第2特別遊技とがある。15回の単位遊技が繰り返される第1特別遊技(以下、適宜「15R大当り」とも称する)や8回の単位遊技が繰り返される第1特別遊技(以下、適宜「8R大当り」とも称する)の場合、大入賞口91は約30秒間開放されたとき、または9球以上の遊技球が落入したときに一旦閉鎖されることで1回の単位遊技が終了する。2回の単位遊技が繰り返される第2特別遊技(以下、適宜「2R大当り」とも称する)の場合、大入賞口91は約0.2秒間開放されたときに一旦閉鎖されることで1回の単位遊技が終了する。
停止時の第1特別図柄192および装飾図柄190が所定の小当り態様であった場合、1回の単位遊技で構成される小当り遊技に移行し、大入賞口91の開閉動作が実行される。停止時の第2特別図柄193および装飾図柄190が小当り態様であった場合もまた小当り遊技に移行し、大入賞口91の開閉動作が実行される。小当り遊技を構成する1回の単位遊技においては、大入賞口91が約0.2秒間の開放を2回繰り返すので、外観上は2R大当りと同様の動作態様となる。
特別遊技が発生した場合であって抽選などの所定の条件が満たされた場合、特別遊技の終了後に特定遊技として確率変動遊技(以下、「確変」という)や変動時間短縮(以下、「時短」という)が開始される。確変中は、通常の確率状態より大当りの確率が高い抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生する。確変状態は、第1特別図柄192または第2特別図柄193が大当りとなるまで継続される。なお、変形例においては、確変状態が確変開始から第1特別図柄192と第2特別図柄193の変動表示の合計が所定の終了条件回数に達するまで継続されるようにしてもよい。その場合、その終了条件回数所定回数として複数種類の回数のいずれかを抽選により設定するようにしてもよい。ここで、抽選により決定する手法としては、大当りとなる特別図柄の停止態様により決定される等が考えられる。確変は、大当りの発生に伴い必ずその特別遊技の終了後に開始される。時短は、第1特別図柄192と第2特別図柄193の変動表示の合計が所定の終了条件回数に達するまで継続される。本実施例では、終了条件回数として100回が設定されるが、複数種類の回数のいずれかがランダムに設定されるようにしてもよい。時短中は、第1特別図柄192または第2特別図柄193の変動時間が概ね短縮される。時短は、15R大当りまたは8R大当りの場合にだけ特別遊技終了後に開始される。
作動口68を遊技球が通過すると、所定時間、普通図柄と呼ばれる図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。普通図柄表示装置59は第1特別図柄表示装置70の左上方に設けられ、本実施例では二つのランプが交互に点灯と消灯を繰り返す形で普通図柄の変動表示を表現し、どちらのランプが最終的に点灯したまま停止するかによって普通図柄の抽選結果を表す。所定時間の経過後に普通図柄の変動表示が所定の当り態様にて停止すると、第2始動口63の普通電動役物65が所定時間拡開する。このとき、通常状態では例えば1/256程度の低確率にて普通図柄が当り態様で停止し、後述する入球容易状態では例えば250/256程度の高確率にて普通図柄が当り態様で停止する。普通図柄が当り態様で停止すると、普通電動役物65が所定時間拡開される。普通電動役物65の開放時間は、例えば通常状態では0.1秒間であり、入球容易状態では6秒間である。
演出表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。遊技効果ランプ90がセンター飾り64の上部に設けられ、点滅等することで演出の役割を果たす。第1の遊技に対応する第1特図保留ランプ20は第1特別図柄表示装置70の上方に設けられ、第2の遊技に対応する第2特図保留ランプ21は第2特別図柄表示装置71の上方に設けられ、普通図柄変動に対応する普図保留ランプ22は普通図柄表示装置59の下方に設けられる。第1特図保留ランプ20および第2特図保留ランプ21は、それぞれ2個のランプからなり、それぞれの点灯個数または点滅個数によって第1の遊技および第2の遊技のそれぞれにおける当否抽選値の保留数を表示する。
第1特図保留ランプ20における当否抽選値の保留数は、第1特別図柄192の変動中または特別遊技の実行中に第1始動口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。第2特図保留ランプ21における当否抽選値の保留数は、第2特別図柄193の変動中または特別遊技の実行中に第2始動口63へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。普図保留ランプ22もまた2個のランプからなり、その点灯個数または点滅個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。
図3は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、とくに第1始動口62、第2始動口63へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。枠制御基板103は、払出ユニット43による遊技球の払出動作や、発射装置46による発射動作を制御する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出表示装置60における表示内容を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させる。メイン基板102、枠制御基板103およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。裏セット機構39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。外部接続端子板47は、遊技制御装置100を外部装置としてのホールコンピュータに接続するための外部接続端子を含む。中継基板49は、特定のセンサにつながる信号線を集約し、コネクタを介してメイン基板102に接続するものであるが、その役割については後述する。
図4は、遊技盤を背面からみた図である。図5は、遊技盤を後方からみた分解斜視図である。なお、各図においては便宜上、遊技盤50に演出表示装置60、メイン基板102およびサブ基板104が取り付けられる前の状態が示されている。遊技盤50の本体51の背面下部には排出通路ユニット200が取り付けられる。排出通路ユニット200は、各入賞口に入球した遊技球を遊技盤50の背面側にて下方に誘導するための複数の排出通路を有する。排出通路ユニット200の背面の所定位置には中継基板49が配設されている。排出通路ユニット200の上方には装飾ユニット202が取り付けられる。装飾ユニット202は、センター飾り64とともに装飾機能を発揮するとともに、演出表示装置60、メイン基板102およびサブ基板104を固定して支持する。
図6は、排出通路ユニット200の構成を表す説明図である。(a)は排出通路ユニット200を前方からみた斜視図であり、(b)は排出通路ユニット200の正面図である。図7は、図6のA部拡大図である。
図6に示すように、排出通路ユニット200は、樹脂材の射出成形により複数の排出通路が一体に形成された本体204を有する。その本体204には、各排出通路における遊技球を検出するためのセンサや、特定のセンサの出力を中継する中継基板49が配設されている。すなわち、本体204の中央には、第1始動口62に入球した遊技球を誘導する排出通路230が設けられている。排出通路230の右方には第2始動口63に入球した遊技球を誘導する排出通路232が設けられ、左方には一般入賞口72に入球した遊技球を誘導する排出通路234が設けられている。排出通路232のさらに右方には、大入賞口91に入球した遊技球を誘導する排出通路236が設けられている。また、本実施例における排出通路ユニット200では、大入賞口91の外部からのアクセスをしにくくするように大入賞口91の全体を裏面側から覆うように本体204が構成され、この覆い部分を利用して前述の中継基板49が取り付けられる取付部を形成している。
図7(a)に示すように、排出通路230は、その上半部である上流側通路238と下半部である下流側通路240とを接続通路242を介して接続して構成されている。すなわち、上流側通路238と下流側通路240は、それぞれ上下に延びる直線状の通路であるが、その軸線L1,L2が左右にずれるように形成される。接続通路242は、左右に延びる通路であり、上流側通路238の下端部と下流側通路240の上端部とを接続する。
そして、上流側通路238には第1センサ250(「第1検出部」として機能する)が配設され、下流側通路240には第2センサ252(「第2検出部」として機能する)が配設されている。第1センサ250および第2センサ252は始動入賞検出装置74を構成する。すなわち、第1始動口62へ入球した遊技球を検出する始動入賞検出装置74として第1センサ250および第2センサ252からなるダブルセンサが設けられている。第1センサ250および第2センサ252は、遊技球260が近づいたことを非接触で検出する近接センサである。この近接センサは、通電することにより高周波磁界が発生する検出コイルを内蔵する。この磁界に遊技球260が近づくと、電磁誘導により遊技球260に誘導電流(渦電流)が流れる。この電流により検出コイルのインピーダンスが変化し、発振が停止することで遊技球260を検出する。本実施例では、第2センサ252として、その厚みLS2が第1センサ250の厚みLS1よりも大きく、検出幅の大きいセンサを用いている。なお、遊技球の通過でアクチュエータロッドを押圧してメカニカルスイッチがオン(導通)する形態の機械式スイッチ(「メカスイッチ」ともいう)や、フォトインタラプタなどの光学式、磁力線の歪みを検出する磁気式など、動作原理の異なるセンサを、一方のセンサと他方のセンサで採用しても良く、このようにすることで、電波や磁石などを利用したゴト行為を発覚させることも可能となる。
本実施例では、第1センサ250が遊技球を検出したことを契機に賞球払い出し制御が実行される。一方、第1センサ250および第2センサ252の検出タイミングに基づいて入球状態のエラーを判定する。このエラーは、いわゆるゴト行為やチャタリング等により発生し、ダブルセンサにより遊技球が適正タイミングで検出されなかったときに判定される。このエラー判定処理の詳細については後述する。
なお、排出通路230の内壁に沿って、遊技球の流下速度を減速するための微小突起256が複数設けられ、それにより第1センサ250および第2センサ252における遊技球の検出精度を向上させている。なお、この微小突起256は排出通路230の左右方向に互い違いに且つ、上下方向の間隔が球の直径よりも小さく配置されており、微小突起256に接触した遊技球が次の(下流側の)微小突起256に案内されることでジグザグ状に流下して効果的な減速がなされるようになっている。図示の例では、左右の微小突起256間の距離(遊技球の流下方向の距離)L1,L2が等しくなるように構成されている。また、第2センサ252が第1センサ250よりも第1始動口62から離間しているために遊技球の速度が大きくなる可能性があるところ、上述のように上流側通路238と下流側通路240の軸線を異ならせて両者間に接続通路242を設けることで、第2センサ252を通過する遊技球の流下速度を緩和している。さらに、第2センサ252の検出幅を第1センサ250よりも大きくすることで、第2センサ252の検出精度を確保し、且つ、第1センサ250と第2センサ252との挿入間違いを防止している。なお、図7(b)に示すように、接続通路242と下流側通路240との接続部にはR面取りとして、比較的小さなR形状(例えばR:0.5mm)が形成されており、仮に糸釣りゴトなどが行われた場合、その糸が切断されやすくなっている。なお、変形例においてはその面取りをC面取り(例えばC:0.5mm)としてもよい。
また、第1センサ250の近傍には磁石センサ261が設けられている。磁石センサ261は、磁石が用いられるゴト行為がなされた場合にその磁石による磁界の変化を検出するものである。例えば、いわゆる釣り糸ゴトにおいてその釣り糸に取り付けられた遊技球を第1始動口62に不正に誘導するような行為があった場合にこれを検出する。ここで、本実施例のように磁石センサ261を配設した場合で、前述のように一方の球検出用のセンサ(第1センサ250および第2センサ252)を磁気式センサとした場合には、磁石センサ261から離れた第2センサ252を磁気式にすることが望ましく、これにより磁石センサ261やその磁気式センサの感度のばらつきによる誤検出を抑止することができる。
図6に戻り、排出通路232もまた、互いに軸線が異なる上流側通路と下流側通路とを接続通路を介して接続して構成され、その上流側通路に第1センサ262(「第1検出部」として機能する)が設けられ、下流側通路に第2センサ264(「第2検出部」として機能する)が設けられている。第1センサ262および第2センサ264は始動入賞検出装置75を構成する。排出通路232の構成は、その第1センサ262と第2センサ264との間隔が、排出通路230における第1センサ250と第2センサ252との間隔よりも小さい点を除いて排出通路230とほぼ同様である。
なお、排出通路232におけるダブルセンサ間の間隔を小さくしたのは、以下の理由による。すなわち、第2始動口63が拡開式の構造を有するため、その拡開時には第2始動口63と比較して多くの遊技球が入球する可能性が高い。このように多くの遊技球が入球する場合に上流側の第1センサと下流側の第2センサとの間隔を大きくとると、先に第1センサを通過した遊技球が第2センサを通過する前に、後続の遊技球が第1センサを通過する可能性がある。一方、各センサは遊技球の通過を検出するのみで、いずれの遊技球が通過したかを特定することはできない。このため、第2始動口63への個々の入球に対して第1センサおよび第2センサの通過タイミング(つまり、通過タイミングの組合せ)を特定する処理が煩雑となる。そこで、本実施例では、第2始動口63における第1センサ262と第2センサ264との間隔を小さくし、第1センサ262および第2センサ264における検出が交互に出力されやすくなるようにしている。
排出通路234は、隣接する3つの一般入賞口72に共用の通路であり、その下端部に遊技球の入球を検出する共用の入賞センサ266(「一般入賞検出部」として機能する)が配設されている。すなわち、一般入賞検出装置73はダブルセンサではなく、入賞センサ266のみを含むシングルセンサとなっている。本実施例においては、入賞センサ266としてメカスイッチを採用している。メカスイッチは、近接センサに比べて耐久性は劣るものの、電磁波の影響を受け難い点で優れている。なお、変形例においては、入賞センサ266に非接触の近接センサを採用してもよい。排出通路236には入賞検出装置78として機能する入賞センサ268が配設されている。入賞検出装置78もダブルセンサではなく、入賞センサ268のみを含むシングルセンサとなっている。本実施例において、入賞センサ268は、非接触で遊技球を検出する近接センサである。
図8は、遊技盤50の直下に設けられる排出通路の構成を後方からみた部分拡大図である。同図には説明の便宜上、遊技盤50を取り外した状態が示されている。遊技盤50の各排出通路230,232,234,236(図6(b)参照)から排出された遊技球や、アウト口58から排出された遊技済みの遊技球は、その直下に設けられたガイド通路269により、セーフ球とアウト球の区別なく中央の集中排出口270にガイドされる。その集中排出口270に落入した遊技球は、電源ユニット48の裏側にて前後に蛇行形成された共用排出通路(図示せず)を介してぱちんこ遊技機10の外部に排出される。なお、図示は省略しているが、集中排出口270と第2センサ252(第1始動口62の排出出口)とは左右にずれるように配置されており、又、他の複数の排出通路とも左右方向にずれるように配置されており、万一、共用排出通路側から針金等が挿入された場合でも、第1始動口62へのアクセスが困難となるように構成されている。更に、集中排出口270と左右方向に最も近接している排出口となる第1始動口62の排出出口では、他の排出出口に比べ若干上下方向の距離を保つようになっており、針金を上方に案内し難くするように、配慮している。
図9は、各センサとメイン基板との接続態様を模式的に示す図である。既に述べたように、本実施例においては特定のセンサにつながる信号線を中継基板49に集約し、コネクタを介してメイン基板102に接続している。すなわち、中継基板49は、複数の信号線を接続可能な複数の入力ポートを有するとともに、その複数の入力ポートに入力された信号をまとめて出力するコネクタを有する。本実施例では、遊技球の検出が賞球払い出しの契機となるセンサ、および普通図柄の変動契機となる通過センサ267はメイン基板102に直接接続され、それ以外のセンサは中継基板49を介してメイン基板102に接続される。
具体的には、第1始動口62に対応する第1センサ250、第2始動口63に対応する第1センサ262、一般入賞口72に対応する入賞センサ266、大入賞口91に対応する入賞センサ268、および作動口68に対応する通過センサ267(通過検出装置69)は、メイン基板102に直接接続される。一方、第1始動口62に対応する第2センサ252、第2始動口63に対応する第2センサ264、および磁石センサ261は、中継基板49を介してメイン基板102に接続される。
そして、第2センサ252の信号線を第1センサ250の信号線よりも短くし、中継基板49には届くがメイン基板102には届かないようにしている。同様に、第2センサ264の信号線を第1センサ262よりも短くし、中継基板49には届くがメイン基板102には届かないようにし、且つ、配線色、コネクタ色を異ならせている。これにより、ダブルセンサについて第1センサと第2センサとが間違って配線された場合には、メイン基板102のコネクタ部を確認するだけで誤配線されていることが理解できるようになっている。それにより、第1センサよりも先に第2センサにて遊技球が検出されること、つまり配線間違いによるエラー判定がなされることを防止している。なお、図6(b)に示したように、排出通路ユニット200の本体204には、配線クランプ263が形成されている。そして、第2センサをその取付位置に適切に配置し、配線クランプ263を正しく利用した場合には本来のコネクタに接続できるが、配線クランプを正しく利用するものの、第2センサを誤って第1センサの取付位置に配置した場合には本来のコネクタに接続できないように配線長を設定しておけば、より接続ミスが発生しにくくなる。ここで、変形例においては、第1センサ250の信号線とメイン基板102とを接続するコネクタの形状と、第2センサ252の信号線と中継基板49とを接続するコネクタの形状とを異なるようにして配線間違いを防止するようにしてもよい。同様に、第1センサ262の信号線とメイン基板102とを接続するコネクタの形状と、第2センサ264の信号線と中継基板49とを接続するコネクタの形状とを異なるようにして配線間違いを防止するようにしてもよい。
また、本実施例では、第2センサ252はコネクタの断線状態時と球検出時とが異なる出力(球検出時にハイ信号を出力する)であるものの、磁石センサ261はコネクタの断線時(配線未接続状態)と磁石検出時とが同じ出力(磁石検出時にロー信号を出力する)となっている。このため、中継基板49とメイン基板102との間のコネクタが接続不良となっている場合にはメイン基板102では、磁石センサ261が磁石検知状態であると判断することになり、メイン基板102と中継基板49との間の配線接続のミスを特別な装置を介在することなく示唆できるようになっている。
なお、詳細は後述するが、エラー判定がなされる原因として、基本的には不正行為やチャタリングの可能性が推測されるが、中継基板49とメイン基板102との間に断線などが原因となることも想定される。言い換えれば、エラー判定処理によりコネクタの接続エラーを判定することも可能である。このため、ぱちんこ遊技機10の製造後の検査工程においてエラー判定処理の有効性を判定する過程で断線異常がないか否かについても検証することができる。ちなみに、センサの接続配線について抽選契機となる始動入賞口の第1センサ250、262、通過センサ267のみをメイン基板102に直接接続し、他のセンサを中継板を介して接続してもよい。
図10は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、第1始動口62、第2始動口63、大入賞口91、一般入賞口72、作動口68、第1特別図柄表示装置70、第2特別図柄表示装置71、演出表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90、払出ユニット43のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作や遊技の進行を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御する主制御装置としてのメイン基板102と、払出ユニット43並びに発射装置(不図示)の制御を行う払出制御装置としての枠制御基板103、図柄の演出等を制御する副制御装置としてのサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、第1抽選手段126、第2抽選手段128、普図抽選手段129、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124、条件保持手段176、小当り遊技制御手段330を備える。本実施例における枠制御基板103は、払出ユニット制御手段350、発射制御手段352とを備える。払出ユニット制御手段350は、払出ユニット43による遊技球の払出動作を制御する。発射制御手段352は、発射装置46による発射動作を制御する。本実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、演出決定手段132、演出表示制御手段134、エラー判定手段136を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックのいずれかがメイン基板102ではなく枠制御基板103やサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックのいずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102や枠制御基板103に搭載されるかたち、或いは、枠制御基板103に含まれる各機能ブロックのいずれかがサブ基板104やメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
ただし、メイン基板102とサブ基板104の間におけるデータの送受信はメイン基板102からサブ基板104への一方向であるため、そのような一方向でのデータ送受信にて全体動作が実現されるよう各構成がメイン基板102とサブ基板104に配置される。このようにメイン基板102からサブ基板104へのデータ送信の一方向性が保たれるため、サブ基板104に含まれる構成からメイン基板102に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、メイン基板102で生成された情報は、メイン基板102がサブ基板104へ一方的に送信しない限りサブ基板104から参照することはできない。なお、本実施例において、メイン基板102と枠制御基板103との間は双方向通信により構成されている。
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、第1始動入賞情報を受け取ると遊技球が第1始動口62に入賞したと判断し、第2始動入賞情報を受け取ると遊技球が第2始動口63に入賞したと判断する。ただし、ここでいう「第1始動入賞情報」は始動入賞検出装置74を構成する第1センサ250の検出情報であり、「第2始動入賞情報」は始動入賞検出装置75を構成する第1センサ262の検出情報である。入球判定手段110は、大入賞情報を受け取ると遊技球が大入賞口91に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。入球判定手段110は、各入賞情報に応じた規定賞球数の情報を賞球個数データとして記憶するとともに、賞球個数データとして未払出賞球が残っている場合に単位個数の賞球情報を枠制御基板103に送信する。払出ユニット制御手段350は、受信した払出数情報に応じて払出ユニット43を駆動制御する。そして、払出ユニット制御手段350は、払出が完了したことに基づいて払出完了情報を入球判定手段110へ送信する。入球判定手段110は、払出完了情報を受信するごとに当該賞球処理が完了したと判断し、賞球個数データの更新を行う。ここで、入球判定手段110は、賞球個数データとして払出ユニット制御手段350に送信していない賞球情報があれば、次回の賞球情報を払出ユニット制御手段350に送信する。なお、本実施例では、賞球個数データとして各入賞口の払出単位数(例えば3個、10個、15個等)に応じた格納領域を設け、入賞判定毎に対応する賞球データを加算更新し、払出完了情報を受信する毎に該当する賞球データを減算更新しているが、賞球個数データを個数として一括管理し、所定上限単位数(例えば15球)または、それ以下の記憶数分を払い出すように賞球情報を送信してもよい。また、賞球データの減算更新は払出ユニット制御手段350に賞球情報を送信し、当該賞球情報が適切に受信されたことを示す情報が送信されたタイミングで行ってもよい。
入球判定手段110は、第1センサ250の検出情報(第1始動入賞情報)を受け取ると、その旨を示す第1始動口第1入球情報(第1検出信号)をエラー判定手段136に送信し、第2センサ252の検出情報を受け取ると、その旨を示す第1始動口第2入球情報(第2検出信号)をエラー判定手段136に送信する。入球判定手段110はまた、第1センサ262の検出情報(第2始動入賞情報)を受け取ると、その旨を示す第2始動口第1入球情報(第1検出信号)をエラー判定手段136に送信し、第2センサ264の検出情報を受け取ると、その旨を示す第2始動口第2入球情報(第2検出信号)をエラー判定手段136に送信する。入球判定手段110はさらに、入賞センサ266の検出情報(一般入賞情報)を受け取ると、その一般入賞情報(第3検出信号)をエラー判定手段136に送信する。
第1始動口62への入球に対応する第1の抽選を実行する第1抽選手段126は、第1抽選値取得手段112、第1当否判定手段113、第1パターン決定手段114、第1図柄決定手段320を含む。第2始動口63への入球に対応する第2の抽選を実行する第2抽選手段128は、第2抽選値取得手段115、第2当否判定手段117、第2パターン決定手段119、第2図柄決定手段322を含む。第1の抽選の結果は、第1特別図柄表示装置70において第1特別図柄192の変動表示の形で示され、演出表示装置60の表示領域194において装飾図柄190の変動表示の形で示される。第2の抽選の結果は、第2特別図柄表示装置71において第2特別図柄193の変動表示の形で示され、演出表示装置60の表示領域194において装飾図柄190の変動表示の形で示される。
第1抽選手段126および第2抽選手段128は、図柄変動を開始するにあたり、その図柄変動に対応する抽選の結果を図柄変動の制御コマンドとともに演出決定手段132へ送信する。
第1抽選値取得手段112は、第1始動口62への入球を契機に、第1の抽選のために乱数の値を第1当否抽選値として取得する。第2抽選値取得手段115は、第2始動口63への入球を契機に、第2の抽選のために乱数の値を第2当否抽選値として取得する。例えば、当否抽選のために第1当否抽選値および第2当否抽選値として取得する値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。第1抽選値取得手段112および第2抽選値取得手段115が第1当否抽選値または第2当否抽選値として取得する値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない範囲で第1当否抽選値と第2当否抽選値が保留される。
第1当否判定手段113は、第1当否抽選値に基づき、特別遊技または小当り遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する。第2当否判定手段117は、第2当否抽選値に基づき、特別遊技または小当り遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、当否判定で参照する当否判定テーブルを保持する。
図11は、当否判定テーブルを模式的に示す図である。本図の当否判定テーブルには、大当り、小当り、外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられたそれぞれの範囲設定に応じて大当り当否確率や小当りの当否確率が定まる。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、当否判定において本図の当否判定テーブルを参照する。第1当否判定手段113による第1の抽選と第2当否判定手段117による第2の抽選のいずれにおいても、通常時には当否抽選値が0〜299の範囲に該当したときのみ大当りとなる。確変時には大当りの範囲が拡大され、当否抽選値が0〜299の範囲に該当する場合だけでなく、300〜2999の範囲に該当する場合にも大当りとなる。このように、大当りに該当する範囲は遊技状態に応じて変化する。なお、本図では単一の当否判定テーブルによって通常時と確変時の双方の大当り範囲を示したが、当否判定テーブルは通常時用と確変時用とで別個に用意してもよいし、第1の抽選用と第2の抽選用とで別個に用意してもよい。
本実施例においては、当否抽選値が大当り範囲に該当しない場合であっても、所定の範囲に該当した場合には小当りとなる。本図の例では、第1当否判定手段113が取得する当否抽選値が56500〜65535の範囲に該当した場合に小当りとなり、第2当否判定手段117が取得する当否抽選値が64000〜65535の範囲に該当した場合に小当りとなる。すなわち、第2の抽選よりも第1の抽選の方が小当りに該当する範囲が広く、小当りが発生しやすい。このように、大当りに該当しなかった場合、本来はすべて「外れ」であるが、本図の例では大当りに該当しなかった場合のうち小当りにも該当しなかった場合の当否抽選値範囲を特に「外れ」と表現している。なお、本図では大当りか否かの判定テーブルと小当りか否かの判定テーブルとを単一の当否判定テーブルの形で実現する例を示したが、それぞれを別個のテーブルとして実現してもよい。
図10に戻り、第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、別途取得する図柄抽選値と当否判定の結果に基づいて、図柄の変動開始にあたってその停止図柄を決定する。第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、特別図柄の停止図柄を決定するために参照する複数の図柄判定テーブルを保持する。第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、当否判定結果に応じて異なる図柄判定テーブルを参照する。
図12は、図柄判定テーブルを模式的に示す図である。図12(a)は当否判定結果が大当りであった場合に参照するテーブルであり、図12(b)は当否判定結果が外れであった場合に参照するテーブルであり、図12(c)は当否判定結果が小当りであった場合に参照するテーブルである。第1図柄決定手段320および第2図柄決定手段322は、図柄判定において本図の図柄判定テーブルを参照する。各図柄判定テーブルには、「0」〜「9」の数字および文字以外の記号「−」で表される特別図柄と第1図柄抽選値または第2図柄抽選値との対応関係が定められている。特別図柄の種類はそれぞれ大当り、小当り、外れの当否判定結果と対応付けられており、奇数の数字が大当りに対応し、偶数の数字が小当りに対応し、記号「−」が外れに対応する。
図12(a)に示す通り、特別図柄「0」〜「9」のうち奇数の数字である特別図柄「1」「3」「5」「7」「9」が大当りに対応付けられている。そのうち、特別図柄「7」は15R大当りを示し、第1図柄抽選値の場合は「0〜99」に対応付けられ、第2図柄抽選値の場合は「0〜149」に対応付けられる。特別図柄「3」は2R大当りを示し、第1図柄抽選値の場合は「100〜149」に対応付けられるが、第2図柄抽選値の場合には対応付けられていない。特別図柄「1」「5」「9」は8R大当りを示し、第1図柄抽選値および第2図柄抽選値がともに「150〜189」に特別図柄「1」が対応付けられ、「190〜229」に特別図柄「5」が対応付けられ、「230〜255」に特別図柄「9」が対応付けられる。このように、第2図柄抽選値は2R大当りを示す特別図柄「3」と対応付けられていないため、第2始動口63に入球させる限りは2R大当りは発生しない。
図12(b)に示す通り、記号「−」は全範囲である図柄抽選値の範囲「0〜255」に対応付けられる。
図12(c)に示す通り、特別図柄「0」〜「9」のうち偶数の数字である特別図柄「0」「2」「4」「6」「8」が小当りに対応付けられている。特別図柄「0」は図柄抽選値の範囲「0〜49」に対応付けられ、特別図柄「2」は図柄抽選値の範囲「50〜99」に対応付けられ、特別図柄「4」は図柄抽選値の範囲「100〜149」に対応付けられ、特別図柄「6」は図柄抽選値の範囲「150〜199」に対応付けられ、特別図柄「8」は図柄抽選値の範囲「200〜255」に対応付けられる。
図10に戻り、第1パターン決定手段114は、第1特別図柄表示装置70および演出表示装置60に表示させる図柄変動の表示過程が定められた変動パターンを、別途取得する第1パターン抽選値に基づいて複数の変動パターンの中から決定する。第2パターン決定手段119は、第2特別図柄表示装置71および演出表示装置60に表示させる図柄変動の表示過程が定められた変動パターンを、別途取得する第2パターン抽選値に基づいて複数の変動パターンの中から決定する。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、それぞれ図柄変動を開始する際に変動パターンテーブルを参照してその図柄変動の変動パターンを決定する。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、変動パターンを決定するために参照する変動パターン選択基準として複数の変動パターンテーブルをそれぞれ保持または共有する。変動パターンには、特別図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動時間が定められており、その種類によって長短様々な変動時間をもつ。すなわち、各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄の変動が停止される。複数の変動パターンテーブルは、変動パターンと抽選値との対応関係としてそれぞれ変動時間の選択傾向が異なるように定められている。
図13は、通常の変動パターンテーブルを模式的に示す図である。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、変動パターン判定において本図の変動パターンテーブルを参照する。第1パターン決定手段114または第2パターン決定手段119は、当否判定結果が外れのときは図13(a)に示される外れ用の変動パターンを参照する。当否判定結果が15R大当りまたは8R大当りのときは図13(b)に示される15R大当りおよび8R大当り用の変動パターンテーブルを参照する。当否判定結果が2R大当りまたは小当りのときは図13(c)に示される2R大当りおよび小当り用の変動パターンテーブルを参照する。
図13(a)においては、パターン抽選値0〜10には「スーパー1」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値11〜20には「スーパー2」というスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値21〜255には「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のいずれかの変動パターンが対応付けられている。このように、当否判定結果が外れの場合、スーパーリーチ、ノーマルリーチ、リーチなしのいずれも選択される可能性がある。なお、図13(a)の変動パターンテーブルは、厳密には保留数ごとに参照すべき欄が異なるように規定されるが、その詳細は後述する図14において説明する。
図13(b)においては、パターン抽選値0〜120には「スーパー1」のスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値121〜240には「スーパー2」のスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値241〜250には「ノーマル1」のリーチが対応付けられ、パターン抽選値251〜255には「ノーマル2」のリーチが対応付けられている。
図13(c)においては、パターン抽選値0〜122には「スーパー3」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値123〜255には「ノーマル3」というノーマルリーチが対応付けられている。このように当否判定結果が2R大当りまたは小当りの場合は「スーパー3」または「ノーマル3」がそれぞれ約50%の確率で選択される。
図14は、図13(a)の変動パターンテーブルを詳細に示す図である。本図の変動パターンテーブル210においては、保留数ごとにそれぞれ変動パターンに対応付けられたパターン抽選値の範囲が異なる。具体的には、保留数が少ないほど変動時間が相対的に長い変動パターンに割り当てられたパターン抽選値の範囲が広くされており、それら変動時間の長い変動パターンが選択される確率を高めている。そのため、第1保留手段144または第2保留手段146による保留数が少ないほど平均的な変動時間が長くなる。したがって、第1保留手段144または第2保留手段146による保留数が所定数、例えば1〜2個より少なくなった場合に、変動時間の長い変動パターンの選択確率が通常より高くなり、変動時間が比較的長くなりやすい。
第1欄212には、第1保留手段144による第1の抽選の結果保留数または第2保留手段146による第2の抽選の結果保留数が1の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。同様に、第2欄214、第3欄216、第4欄218に、第1保留手段144による第1の抽選の結果保留数または第2保留手段146による第2の抽選の結果保留数がそれぞれ2、3、4の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。すなわち、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218が保留数ごとの変動パターンテーブルを示すと考えることができる。本図では、外れのときに選択され得る複数の変動パターンを変動時間別に5種類に分類した例を説明するが、実際にはそれらの分類ごとに複数の変動演出パターンが用意されており、全体で数十種類の変動演出パターンがそれぞれの分類ごとの抽選値範囲に対応付けられていることに等しい。
第1範囲222には、抽選値が0から10までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218のいずれにも「スーパー1」というスーパーリーチの変動パターンが対応付けられる。第2範囲224には、抽選値が11から20までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218のいずれにも「スーパー2」というスーパーリーチの変動パターンが対応付けられる。このように、抽選値が0から10までのパターン抽選値と抽選値が11から20までのパターン抽選値の場合には、保留数にかかわらず同じ変動時間の変動パターンが選択される。
第3範囲226には、抽選値が21から255までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218にはそれぞれノーマルリーチである「ノーマル1」「ノーマル2」と「リーチなし」の3種類の変動パターンが対応付けられる。ただし、それぞれの変動パターンが対応付けられるパターン抽選値の範囲は保留数によって異なる。第1欄212では、「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のそれぞれが対応付けられる抽選値範囲の大きさがそれぞれほぼ等しく、21から255をほぼ3等分した範囲が対応付けられている。これに対し、第2欄214では、「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさが「リーチなし」に対応付けられる抽選値範囲よりやや小さい。また、第3欄216では「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさがさらに小さくなり、第4欄218にて「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさはまたさらに小さくなっている。
「ノーマル1」「ノーマル2」の変動時間は「リーチなし」の変動時間より長くてもよく、また「リーチなし」のときは時短状態のように変動時間が短縮される場合もあるため、上記の第3範囲226の設定内容に応じて平均的な変動時間が異なることとなる。保留数が1から2、3、4と多くなるにつれて「ノーマル1」および「ノーマル2」のパターン抽選値範囲は小さくなり、逆に「リーチなし外れ」のパターン抽選値範囲が大きくなる。したがって、保留数が多いほど平均的な変動時間は短くなり、逆に保留数が少ないほど平均的な変動時間は長くなる。このように保留数ごとにパターン抽選値範囲と変動パターンの対応関係が異なる変動パターンテーブルを用いることにより、保留数が少なくなったときに変動時間の長い変動パターンが選択されやすくなる制御を実現することができる。
図10に戻り、普図抽選手段129は、作動口68を遊技球が通過したときに抽選値(「普図抽選値」ともいう)を取得することにより抽選を実行する。普図抽選手段129による抽選の結果は、普通図柄表示装置59において普通図柄の形で変動表示される。普図抽選手段129は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄判定テーブルを保持する。その図柄判定テーブルには抽選値と普通図柄の対応関係が定められており、普図抽選手段129は普通図柄の停止図柄を図柄判定テーブルを参照して決定する。決定された停止図柄が所定の図柄となった場合に普通図柄が当りに該当したと判定され、その停止図柄にて普通図柄の変動表示が停止された後に開閉制御手段124が第2始動口63の普通電動役物65を所定時間拡開する。普通図柄の抽選値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない場合にだけ抽選値が保留される。
保留制御手段116は、第1保留手段144、第2保留手段146、普図保留手段147を含む。第1保留手段144は、新たに第1の抽選が実行されるときにそれ以前の抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな第1の抽選の結果をその抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。本実施例では第1の抽選の結果として4個を上限として当否抽選値を保持する。第2保留手段146は、新たに第2の抽選が実行されるときにそれ以前の抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな第2の抽選の結果をその抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。本実施例では第2の抽選の結果として4個を上限として当否抽選値を保持する。普図保留手段147は、普図抽選手段129により取得された普図抽選値を保留球として保持する。これらの保留数がそれぞれ第1特図保留ランプ20、第2特図保留ランプ21、普図保留ランプ22の点灯数または点滅数により表される。第1保留手段144および第2保留手段146による保留の数は表示領域194にも表示される。
第2保留手段146に保留された抽選値は第1保留手段144に保留された抽選値より優先的に消化されて図柄変動が表示される。そのため、第1保留手段144に大当りの抽選値が保留されていても第2保留手段146に保留がある限りは第1保留手段144の大当り抽選値に対応する図柄変動は表示されない。したがって、第1保留手段144に大当りの保留があっても、さらに第2保留手段146へ大当りの保留が入るまで打ち続けることで、複数回の連続的な大当りを獲得できる可能性がある。
メイン表示制御手段118は、第1特図制御手段148、第2特図制御手段150、普図制御手段153を含む。第1特図制御手段148は、第1抽選手段126による第1の抽選の結果として決定された変動パターンにしたがい第1特別図柄192の変動を第1特別図柄表示装置70に表示させる。第1特図制御手段148は、それ以前になされた第1の抽選または第2の抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。第2特図制御手段150は、第2抽選手段128による第2の抽選の結果として決定された変動パターンにしたがい第2特別図柄193の変動を第2特別図柄表示装置71に表示させる。第2特図制御手段150もまた、それ以前になされた第1の抽選または第2の抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。
第1特図制御手段148は、第2保留手段146により第2の抽選の結果が保留されている場合は第1の抽選に対応する図柄変動表示の開始を留保する。一方、第2特図制御手段150は、第1保留手段144により第1の抽選の結果が保留されているか否かにかかわらず第2の抽選に対応する図柄変動表示を開始する。これにより、第1保留手段144と第2保留手段146の双方によって抽選値が保留されていた場合、第2保留手段146によって保留された抽選値が優先的に読み出されて図柄変動が表示される。そのような場合、第2保留手段146の保留数が0になるまでは第1保留手段144に保留された抽選値は読み出されずその図柄変動も開始しない。
第1特図制御手段148および第2特図制御手段150は、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段134へ送信する。変動開始コマンドを送信するとき、決定された当否判定結果、停止図柄、変動パターンのそれぞれを示す値と第1の抽選と第2の抽選のいずれであるかを示す値とを変動開始コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。変動停止コマンドを送信するとき、あらためて停止図柄を示す値を変動停止コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。これにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。普図制御手段153は、普図抽選手段129による抽選の結果を普通図柄の変動表示として普通図柄表示装置59に表示させる。
条件保持手段176は、大入賞口の開放を伴う単位遊技を複数回含む特別遊技へ移行するための条件として特別遊技作動条件を保持する。特別遊技作動条件は、第1の抽選または第2の抽選で特別遊技へ移行する旨を示す結果となり、その抽選に対応する図柄変動が停止したことを条件の内容とする。
特別遊技制御手段120は、第1抽選手段126による第1の抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第1特別図柄192が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口91を開放させることにより特別遊技を実行する。同様に、特別遊技制御手段120は、第2抽選手段128による第2の抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第2特別図柄193が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口91を開放させることにより特別遊技を実行する。特別遊技は、大入賞口91の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。
特別遊技には、相対的に出玉の多くなる態様で大入賞口91を開閉させる第1の特別遊技と、相対的に出玉の少なくなる態様で大入賞口91を開閉させる第2の特別遊技と、が含まれる。第1の特別遊技には、単位遊技を15回繰り返す15R大当りと、単位遊技を8回繰り返す8R大当りと、が含まれる。第2の特別遊技は、短い単位遊技を2回だけ繰り返す2R大当りである。15R大当りおよび8R大当りは、15R大当りおよび8R大当りにおいては、1回の単位遊技において大入賞口91を原則として約30秒間開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の設定ラウンド数を消化したときに特別遊技を終了させる。
小当り遊技制御手段330は、第1抽選手段126による第1の抽選が小当り遊技への移行を示す結果となった場合、第1特別図柄192が所定の小当り態様で停止されたときに小当り遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口91を開放させることにより小当り遊技を実行する。同様に、小当り遊技制御手段330は、第2抽選手段128による第2の抽選が小当り遊技への移行を示す結果となった場合、第2特別図柄193が所定の小当り態様で停止されたときに小当り遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口91を開放させることにより小当り遊技を実行する。小当り遊技は、大入賞口91の開閉動作を複数回行う遊技であり、2回の開閉を単位とした1回の単位遊技で構成される。小当り遊技においては、大入賞口91を2R大当りと同様に短時間だけ開放させる。小当り遊技制御手段330は、単位遊技を1回実行した後に小当り遊技を終了させる。
特定遊技実行手段122は、遊技状態を通常状態から特定遊技状態へ移行させる制御と、特定遊技状態から通常状態へ戻す制御を実行する。本実施例における特定遊技には、当否抽選の当選確率を通常確率の状態から高確率の状態へ切り替える確変と、図柄変動時間を通常時間より短時間へ切り替える時短とがある。特定遊技実行手段122は、当否抽選値が確変状態へ移行すべき値であった場合に、特別遊技後の遊技状態を確変状態へ移行させる。確変状態は原則として次の大当りが発生するまで続行される。また、特定遊技実行手段122は、当否抽選値の如何に関わらず、特別遊技後に遊技状態を時短の状態へ移行させる。時短は、特別遊技後の特別図柄の変動回数(第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示回数の合計)が特別遊技の終了時点から数えて所定の継続回数(本実施例では100回)に至るまで継続される。
第1特別図柄192および第2特別図柄193の時短中は、特定遊技の一つである入球容易状態が実施される。入球容易状態は、普通図柄の時短、開放抽選の確率変動、普通電動役物65の開放延長が実施されることにより第2始動口63への入球容易性が高められる状態である。普通図柄の時短は、普通図柄の変動時間が通常状態より短縮される状態である。開放抽選の確率変動は、開放抽選の当り確率を通常状態より高める状態である。普通電動役物65の開放延長は、普通電動役物65の開放時間を通常状態よりも長くする状態である。
このように、入球容易状態においては、一定時間あたりの普通図柄の変動回数が通常状態よりも増加する可能性が高まる上、第2始動口63への入球容易性も増すため、第2始動口63への入球数が増加する可能性も高い。したがって、第1特別図柄192、第2特別図柄193の時短および入球容易状態により、その期間中は第2始動口63への入球による賞球を得られる機会が増加する結果、持ち玉をほとんど減らさずに遊技し続けることが可能となる。また、時短中は第1始動口62より第2始動口63への入球容易性が高くなるため、遊技者はいわゆる右打ちをするために第2始動口63への入球を狙った強度にて遊技球を発射することとなる。
なお、本実施例における入球容易状態は、普通図柄の時短、開放抽選の確率変動、普通電動役物65の開放延長という3つの機能を用いて第2始動口63への入球容易性を高める。ただし、変形例としては、これら3つの機能のうち、1つまたは2つの機能を用いて第2始動口63への入球容易性を高める構成としてもよい。このように3つの機能のうち一部だけを用いても第2始動口63への入球容易性を高めることは可能である。また、3つの機能のうち少なくともいずれかを、実施する期間と実施しない期間とで遊技状態に応じて切り替える構成としてもよい。
開閉制御手段124は、第2始動口63の普通電動役物65や大入賞口91の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄が特定の態様で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、第2始動口63の普通電動役物65を開放させる。開閉制御手段124は、特別遊技において、大入賞口ソレノイド80に開放指示を送り、大入賞口91を開放させる。
パターン記憶手段130は、装飾図柄の変動演出パターンとして複数の変動演出パターンデータを保持する。演出決定手段132は、第1抽選手段126から受け取る第1の抽選の結果または第2抽選手段128から受け取る第2の抽選の結果に応じて、演出表示制御手段134によって演出表示装置60へ表示させる演出内容を決定する。演出決定手段132は、第1パターン決定手段114または第2パターン決定手段119により決定された特別図柄の変動パターンに対応する複数の変動演出パターンデータの中からいずれかを選択してパターン記憶手段130から読み出す。演出決定手段132は、装飾図柄190の停止図柄の組合せを第1抽選手段126または第2抽選手段128が決定する特別図柄の停止図柄や変動パターンに基づいて決定する。
装飾図柄190の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、例えば第1抽選手段126または第2抽選手段128による当否判定結果が15R大当りの特別遊技への移行を示す場合には特定の組合せ、例えば「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。この場合、装飾図柄190として揃える数字には、第1特別図柄192や第2特別図柄193と同じ数字が選ばれるのが好ましい。例えば、第1特別図柄192または第2特別図柄193が「7」の場合は装飾図柄190が「777」となる。あるいは、3つの図柄の少なくとも一つに当りであることを示す特定の図柄が含まれる図柄の組み合わせによっても、その大当りを示すようにしてもよい。当否判定結果が2R大当りの場合や小当りの場合もまた特定の組合せ、例えば「357」のような所定の組合せが選択されるが、それらの特定の組合せは必ずしも3つの図柄が揃った組合せでなくてもよい。当否判定結果が大当りでも小当りでもない場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せであって、2R大当りや小当りのときに選択される特定の組合せに該当しない組合せが選択される。当否判定結果が15R大当りではない場合であって、リーチ付きの外れを示す変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。演出決定手段132は、装飾図柄190の停止図柄組合せと装飾図柄の変動演出パターンデータを演出表示制御手段134へ送る。
装飾図柄の変動演出パターンデータには、装飾図柄の変動表示態様、すなわち装飾図柄の変動開始から変動停止までの変動過程と演出過程が定義される。変動演出パターンには、あと一つ図柄が揃えば大当りとなるリーチ状態を経てから当り態様または外れ態様である停止図柄組合せを表示するリーチパターンと、リーチ状態を経ずに外れ態様である停止図柄組合せを表示するリーチなしパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれ、相対的に変動時間の短いリーチパターンを「ノーマルリーチ」と称し、変動時間の長いリーチパターンを「スーパーリーチ」と称する。各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、特別図柄と変動時間が等しい装飾図柄の変動演出パターンを選択する。
演出表示制御手段134は、第1演出制御手段168および第2演出制御手段170を含む。第1演出制御手段168および第2演出制御手段170は、第1抽選手段126による第1の抽選の結果または第2抽選手段128による第2の抽選の結果を、選択された変動演出パターンデータにしたがって装飾図柄190として演出表示装置60の表示領域194に変動表示させる。第1演出制御手段168および第2演出制御手段170は、それ以前の第1の抽選または第2の抽選に対応する装飾図柄190の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。
第1演出制御手段168は、第2保留手段146により第2の抽選の結果が保留されている場合は第1の抽選に対応する図柄変動表示の開始を留保する。第2演出制御手段170は、第1保留手段144により第1の抽選の結果が保留されているか否かにかかわらず第2の抽選に対応する図柄変動表示を開始する。これにより、第1保留手段144と第2保留手段146の双方によって抽選値が保留されていた場合は第2保留手段146により保留された抽選値が優先的に読み出されて装飾図柄の変動が表示される。そのような場合、第2保留手段146の保留数が0になるまでは第1保留手段144に保留された抽選値は読み出されずその装飾図柄の変動も開始しない。このように演出表示制御手段134は、装飾図柄190の変動表示を含む図柄変動演出を演出表示装置60に表示させる。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。
エラー判定手段136は、第1始動口62および第2始動口63について不正行為が行われている可能性を判定するためにダブルセンサを用いたエラー判定処理を実行する。図15は、エラー判定方法および判定処理の具体例を示す説明図である。すなわち、第1始動口62については上述のように、その入球を検出するために排出通路230の上流側に第1センサ250、下流側に第2センサ252が設けられている。エラー判定手段136は、第1始動口62に入球した遊技球が第1センサ250および第2センサ252により適正タイミングで検出されたか否かを判定し、適正タイミングでない検出が設定回数(本実施例では5回)に達したときにエラー出力を実行する。
具体的には図15(a)に示すように、第1始動口62へ入球した遊技球が第1センサ250にて検出される時間T1、第1センサ250を通過してから第2センサ252に到達するまでの時間Tb、第2センサ252にて検出される時間T2を、予め実験により複数回サンプリングする。そして、それらの合計時間Tsum(=T1+Tb+T2)に基づきエラー判定の基準となる設定時間Tsetを設定しておく。本実施例では検出ごとのバラツキを考慮し、その合計時間Tsumに対して所定の余裕時間をもたせた値を設定時間Tsetとしている。具体的には、その複数回のサンプリング結果に基づく合計時間Tsumの最大値の約1.5倍にコマンドディレイ(例えば64ms×4)を加算した値(例えば500ms)を設定している。なお、ここでいう「コマンドディレイ」は、メイン基板102とサブ基板104との間でセンサの検出情報を送受信する際に、その送受信処理において想定される遅延時間を意味する。なお、本実施例においては、第1センサ250および第2センサ252の検出信号の立ち上がりエッジのタイミングにて入球判定手段110からエラー判定手段136へその検出情報が送信される。なお、変形例においては、第1センサ250および第2センサ252の検出信号の立ち下がりエッジのタイミングにおいても入球判定手段110からエラー判定手段136へその情報を送信し、各センサにおける検出時間を特定できるようにしてもよい。そして、その検出時間の長さに基づいてエラー判定を実行するようにしてもよい。
図15(b)においては、第1センサ250における第1の検出に続いて第2の検出がなされたにもかかわらず、第2センサ252において設定時間Tsetが経過するまでに第2の検出がなされなかった場合を例示している。このような場合、エラー判定手段136は、その第2の検出についてエラーと判定し、エラー累積回数を1インクリメントする。このようなエラーは、例えば糸釣りゴト等により第1センサ250のみを反応させた場合、あるいは第1センサ250においてチャタリングが発生した場合などが想定される。
また、図15(c)においては、第1センサ250において第2の検出がなされていないにもかかわらず、第2センサ252において第2の検出がなされた場合を例示している。このような場合、エラー判定手段136は、その第2の検出についてエラーと判定し、エラー累積回数を1インクリメントする。このようなエラーは、例えば先端に遊技球を取り付けた針金等の棒状部材を第2センサ252の下方から挿入する不正行為により第2センサ252のみを反応させた場合、あるいは第2センサ252においてチャタリングが発生した場合などが想定される。
なお、第2始動口63についても第1始動口62と同様の手法で設定時間Tsetが設定され、エラー判定処理が行われる。ただし、第2始動口63については既述のように、その第1センサ262と第2センサ264との間隔が、第1始動口62における第1センサ250と第2センサ252との間隔よりも小さいため、設定時間Tsetは相対的に小さくなる。この詳細な説明については省略する。
そして、第1始動口62または第2始動口63について、エラー判定の累積回数が設定回数(5回)に達した場合、エラー判定手段136は、エラーを示す情報を外部装置としてのホールコンピュータへ出力する。ホールコンピュータは、遊技店が用意する遊技機管理用コンピュータの総称であり、各遊技機は遊技機に設けられた外部接続端子板47を介してホールコンピュータに接続され、ホールコンピュータは遊技店内の各遊技機からそれぞれの遊技状態に関する情報を収集する。このエラー出力がなされるときには必ずしも演出表示装置60の画面に表示させないが、エラーを示す情報が遊技店側へ送信されて不正の疑いのある行為が通報されるので、遊技店は直ちに然るべき処置を採ることができる。なお、変形例として、エラー判定手段136がエラーを示す情報を演出決定手段132または演出表示制御手段134へ送り、演出表示装置60へエラーを報知させる構成としてもよい。この場合には、エラー判定手段136がエラーと判定する設定回数より多い回数を設定し、ホールコンピュータへ出力する回数よりも報知出力を行う回数に達しにくくする(マージンを取る)ことが望ましい。また、ホールコンピュータに送信せずに遊技機による報知のみを行うだけでもよく、いずれにせよ遊技機により報知を行えば、ホールコンピュータと接続されていない場合や、接続部分に不正を行われた場合でも確実に異常を識別させることが可能である。
エラー判定手段136はまた、一般入賞口72について不正行為が行われている可能性を判定するためにシングルセンサを用いたエラー判定処理を実行する。一般入賞口72については、第1始動口62および第2始動口63とは異なる手法でエラー判定処理が行われる。エラー判定手段136は、通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率との比率が所定の基準比率を超えたときにエラーと判定する。すなわち、エラー判定手段136は、入球判定手段110から受け取る一般入賞情報に基づいて一般入賞口72への入球率を算出する。エラー判定手段136は、入球判定手段110から一般入賞情報を受け取るたびにその数を入球数として計数し、その入球数と計数開始からの経過時間に基づいて所定期間、例えば10分間あたりの入球数を算出してこれを一般入賞口72への入球率とする。入球の計数は、ぱちんこ遊技機10の電源投入後における所定の契機に開始する。例えば、電源投入後に最初に一般入賞情報を受け取ったときに開始することとしてもよいし、電源投入後の最初の遊技球発射時に開始することとしてもよい。エラー判定手段136は、遊技球の発射がオンオフいずれの状態にあるかを示す情報を発射制御手段352から取得する。これら所定の契機に入球の計数を開始した後、下限時間として少なくとも10分間以上が経過するまで特別遊技が発生しないまま入球の計数期間が継続した場合に、その入球数を用いて算出した一般入賞口72への入球率を有効な算出結果とする。
下限時間の経過前に遊技者が遊技を中断して遊技球の発射を一定時間停止させた場合、遊技を再開させたときに下限時間までの残り時間の分だけ計数を再開させてもよいし、最初から下限時間に達するまで計数し直してもよい。下限時間の経過前に特別遊技が発生した場合にも、その特別遊技の終了後の通常遊技において下限時間までの残り時間の分だけ計数を再開させてもよいし、最初から下限時間に達するまで計数し直してもよい。エラー判定手段136は、通常遊技における一般入賞口72への入球率として有効な算出結果を得た後は、そのデータを電源終了まで保持し、その後の通常遊技においては一般入賞口72への入球率は特に算出を要しない。
エラー判定手段136は、特別遊技が開始されるたびに特別遊技における一般入賞口72への入球率を算出する。例えば、特別遊技が開始されるたびにその特別遊技中の一般入賞口72への入球数と特別遊技の時間に基づいて、10分間あたりの入球数を算出してこれを特別遊技における一般入賞口72への入球率とする。ただし、特別遊技の種類によっては有効な入球率が算出できない場合があるため、その場合は算出処理をスキップまたは算出結果を無効とする。例えば、2R大当りの場合、特別遊技の時間が極端に短いために通常であればその期間内に一般入賞口72へ入球することは考えにくいものの、偶発的にタイミングよく入球した場合には、10分あたりの入球数に換算したときに不正がなくとも想定外に大きな値となるおそれがある。また、不正な遊技者としてもわざわざ極端に短い期間である2R大当りのときにまで不正行為を働くとは考えにくく、仮に不正行為をしたとしてもその効果は極端に小さい。そのため、2R大当りの特別遊技は一般入賞口72への入球率の算出対象外とする。
エラー判定手段136は、特別遊技における一般入賞口72への入球率を算出した時点で通常遊技における一般入賞口72への入球率を未算出であった場合は、特別遊技の実行後の通常遊技における一般入賞口72への入球率を算出する。エラー判定手段136は、特別遊技の前後に取得する通常遊技における一般入賞口72への入球率と、特別遊技が開始されるたびに取得する特別遊技における一般入賞口72への入球率とが揃ったときに、通常遊技における入球率と特別遊技における入球率との比率を算出する。
通常遊技における入球率と特別遊技における入球率との比率が所定の基準比率を超えた場合、エラー判定手段136は、エラーを示す情報を外部装置としてのホールコンピュータへ出力する。なお、変形例として、エラー判定手段136がエラーを示す情報を演出決定手段132または演出表示制御手段134へ送信して演出表示装置60へエラーを報知させる構成としてもよい。
通常遊技における入球率と特別遊技における入球率の基準比率は、遊技機の設計段階における実験値または設計値に基づいて定められる。例えば、通常遊技における一般入賞口72への入球率が10分間に平均3個で、その標準偏差σが1であった場合、入球率の範囲が平均μ±3σであると考えると、最大で0個〜6個の範囲にほぼ収まると考えられる。この場合、平均入球率の2倍までは最大誤差として生じ得ると考えた上で、余裕のある確実な値として基準比率を例えば1:2.5や1:3といった値に設定してもよい。実際、通常遊技における一般入賞口72への入球率が10分間に3個程度であったとしても、不正な遊技者は特別遊技という限られた期間に多数の賞球を獲得するため一般入賞口72への入球率が10分間に150個となるような頻度で不正入球させる可能性がある。したがって、1:2.5や1:3といった基準比率の値でも十分に不正行為を検出できる。あるいは、誤差に基づく誤検出をさらに確実に排除するために、さらに余裕のある基準比率として1:10といった値を用いたとしても十分に不正行為を検出できる。なお、特別遊技と一般遊技とを区分せずに、単純な形で一般入賞口72の入賞率が所定割合を超えた場合にエラーと判断してもよい。
図16は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず、遊技球が第1始動口62、第2始動口63、一般入賞口72、大入賞口91などへ入賞した場合の処理を実行し(S10)、通常遊技中であれば(S12のY)、図柄変動などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、通常遊技中でなければ(S12のN)、特別遊技の制御処理を実行し(S16)、小当り遊技の制御処理を実行する(S17)。その後、S10の入賞処理において各種入賞に応じた賞球払出に関連するデータ更新やコマンド送信処理を行う。(S18)。
図17は、図16におけるS10の入球処理の全体的な過程を示すフローチャートである。この入球処理は、メイン基板102における始動口入球処理(S200)、サブ基板104における始動口入球判定処理(S202)、メイン基板102における作動口入球処理(S204)、メイン基板102における一般入賞口入球処理(S206)、サブ基板104における一般入賞口入球判定処理(S208)、メイン基板102における大入賞口入球処理(S209)が、行われることとなる。
図18は、図17におけるS200の始動入球処理を詳細に示すフローチャートである。なお、本処理は第1始動口62および第2始動口63のそれぞれについて実行され、第1始動口62については第1センサ250および第2センサ252の検出情報、第2始動口63については第1センサ262および第2センサ264の検出情報に基づいて実行される。以下においては説明の重複を避ける便宜上、第1始動口62および第2始動口63を単に「始動口」と称し、第1センサ250および第1センサ262を単に「第1センサ」と称し、第2センサ252および第2センサ264を単に「第2センサ」と称する。
入球判定手段110は、始動口の第1センサにより入球が検出されると(S210のY)、その旨を示す第1入球情報(第1検出信号)をエラー判定手段136に送信し(S212)、始動口に対応する規定賞球数をセットする(S214)。そして、乱数発生手段により発生した乱数値を当否抽選値として取得し(S216)、保留制御手段116による当否抽選値の保留数が4未満であるか否かを参照してさらなる保留が可能な状態であれば(S218のY)、その当否抽選値を保留制御手段116に保留する(S220)。S210において第1センサによる入球検出がない場合はS212からS220までの処理をスキップする(S210のN)。S216において保留数が上限に達していてさらなる保留が不可能な場合はS220の処理をスキップする(S218のN)。続いて、始動口の第2センサにより入球が検出されると(S222のY)、その旨を示す第2入球情報(第2検出信号)をエラー判定手段136に送信する(S224)。S222において第2センサによる入球検出がない場合はS224の処理をスキップする(S222のN)。
ここで、第1センサ、第2センサの検出については、複数回の入力データチェックにもとづいて検出有無を判定している。たとえば、S210の検出処理では、ソフトウエア処理にて第1センサの入力ポート(ビット)をn回続けて読み込む。そして、n回(規定回数)続けて球有り状態を示す信号であった場合に球有り状態とみなす処理を行うことで静電ノイズやチャタリングにより入力ポート(ビット)が微少時間球有り状態と同じ入力レベルになった場合でもソフトウエア上で球有り状態とみなさないフィルタリング機能を有している。なお、このフィルタリング処理では、入賞判定処理の中で多数回の入力データチェックを行っているが、入力ポートを数ms単位の割込処理により確認し、複数回の割り込みにより入力変化があった場合に球有りと判定するように構成してもよく、このようにすることで、より長いパルス巾のチャタリングやノイズによる誤検出を防止できる。また、第1センサと第2センサのフィルタリング処理についてはソフトウエアの負担上並びに誤検出防止上、同一の処理とすることが有益ではあるため本実施例では同一処理としているが、センサの性能(メカスイッチではチャタリング幅が大きいのでサンプリングを多くあるいは長時間に亘り行い、光学スイッチではサンプリングを少なく或いは短時間で行う等)や球流路の形状(センサ入口近傍で球が前後左右に微少移動しやすい場合にはサンプリングを多く或いは長時間に亘り行い、球の通過速度が速い場合にはサンプリングを少なく或いは短時間で行う等)などに応じて異なる基準でフィルタリングしてもよく、これにより、適切なフィルタリングを図ることもできる。
また、本実施例では、エラー判定をサブ基板104(サブ制御装置)にて実行する方法を採用している。このため、S212,S224による入球情報の送信処理を乱数取得処理や賞球セット処理(払出関連処理)に先駆けて行っており、これにより実際の入賞判定タイミングと情報送信タイミングとの遅延を抑止するようにしている。なお、割込処理毎に情報送信処理を行う形態を採用した場合には、情報送信の遅延時間を考慮にいれてセンサ間の設定時間Tsetの設定を行って、遅延時間の対応を図ることが望ましい。
図19は、サブ基板104による始動入球判定処理を詳細に示すフローチャートである。サブ基板104では、メイン基板102から送信されたコマンドを解析し、受信したコマンドに応じて様々な制御を行うように構成されているが、ここでは、特に受信したコマンドが始動入球判定処理にかかるものである場合の処理を説明する。エラー判定手段136は、第1入球情報を受信すると(S230のY)、その旨を示す受信フラグをオンにするとともに(S231)、タイマをセットする(S232)。このタイマには上述した設定時間Tsetがセットされ、そのダウンカウントが開始される。続いて、第2入球情報を受信したか否かを判定する。このとき、第2入球情報を受信していなければ(S234のN)、タイマがゼロ、つまり設定時間Tsetが経過したか否かを判定する。タイマがゼロでなければ(S236のN)、S234に戻る。
このようにして第2入球情報を受信しないままタイマがゼロになった場合(S236のY)、所定の記憶領域に更新されるエラー回数Nを1インクリメントし(S238)、受信フラグをオフにする(S239)。なお、エラー回数Nの初期値はゼロとなっている。このとき、エラー回数Nが設定回数Nset(本実施例では5回)に達していれば(S240のY)、エラー回数Nをゼロクリアし(S242)、エラー出力を実行する(S244)。エラー回数Nが設定回数Nsetに達していなければ(S240のN)、S242およびS244の処理をスキップする。
一方、タイマがゼロになる前に第2入球情報を受信した場合には(S234のY)、タイマをクリアし(S246)、受信フラグをオフにして本処理を一旦終了する(S247)。第1入球情報を受信せず(S230のN)、第2入球情報を受信した場合(S248のY)、受信フラグがオンでなければ(S249のN)、S238へ移行してエラー回数Nを1インクリメントする(S238)。受信フラグがオンであれば(S249のY)、本処理を一旦終了する。また、第2入球情報も受信していない場合には(S248のN)、本処理を一旦終了する。
図20は、図17におけるS204の作動口入球処理を詳細に示すフローチャートである。作動口68に入球があった場合(S250のY)、普図抽選値を取得し(S252)、保留制御手段116による普図抽選値の保留数が4未満であるか参照してさらに保留可能な状態であれば(S254のY)、その普図抽選値を保留制御手段116に保留する(S256)。S250において作動口68への入球がない場合はS252からS256までの処理をスキップする(S250のN)。S254において保留数が上限に達していてさらなる保留が不可能な場合はS256の処理をスキップする(S254のN)。
図21は、図17におけるS206の一般入賞口入球処理を詳細に示すフローチャートである。入球判定手段110は、一般入賞口72への入球により一般入賞情報を受け取ると(S260のY)、その一般入賞情報(第3検出信号)をエラー判定手段136に送信し(S262)、一般入賞口72に対応する規定賞球数をセットする(S264)。一般入賞口72への入球がないときはS262およびS264の処理をスキップする(S260のN)。
図22は、図17におけるS208の一般入賞口入球判定処理を詳細に示すフローチャートである。ここでも、特に受信したコマンドが一般入賞口入球判定処理にかかるものである場合の処理を説明する。エラー判定手段136は、一般入賞情報を受信すると(S270のY)、遊技状態が通常遊技中であって(S272のY)、一般入賞口72への入球数の計数期間中でない場合(S274のN)、一般入賞口72への入球率が未算出であれば(S276のY)、入球数の計数期間を開始し(S278)、一般入賞口72への入球を計数する(S280)。一般入賞口72への入球率が算出済みであれば(S276のN)、S278およびS280の処理をスキップする。S274において一般入賞口72への入球数の計数期間中であれば、S276およびS278の処理をスキップする(S274のY)。S272において遊技状態が特別遊技中であれば(S272のN)、つねに入球数の計数期間に相当するので一般入賞口72への入球を計数する(S280)。
エラー判定手段136は、一般入賞口72への入球数の計数期間の終了タイミングであれば(S282のY)、計数期間を終了し(S284)、通常遊技または特別遊技における一般入賞口72への入球率、すなわち10分間あたりの入球数を算出する(S286)。通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率とがともに算出済みで揃った場合(S288のY)、通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率の比率を算出する(S290)。通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率とが未算出または揃っていない場合(S288のN)、S290をスキップする。S282において一般入賞口72への入球数の計数期間の終了タイミングではなかった場合、S284からS290までの処理をスキップする(S282のN)。通常遊技と特別遊技における一般入賞口72への入球率の比率が基準比率を超えた場合(S292のY)、エラーを示す情報を外部装置へ出力し(S294)、基準比率を超えていなければS294をスキップする(S292のN)。一般入賞情報を受信しない場合には(S270のN)、S272以降の処理をスキップして本処理を一旦終了する。
図23は、図17におけるS209の大入賞口入球処理を詳細に示すフローチャートである。入球判定手段110は、大入賞口91に入球があった場合(S300のY)、大入賞口91に対応する規定賞球数をセットし(S302)、大入賞口91への入球がないときはS302をスキップする(S300のN)。
図24は、図16におけるS14の通常遊技制御処理の全体的な過程を示すフローチャートである。この通常遊技制御処理は、メイン基板102における特別図柄変動処理の実行と(S152)、サブ基板104における装飾図柄変動処理の実行とが(S154)、繰り返し処理されることとなる。
図25は、図24におけるS152の特別図柄変動処理の実行処理を詳細に示すフローチャートである。まだ図柄変動表示が開始されていない場合(S60のN)、第2保留手段146により抽選値の保留がなされている場合(S62のY)、第2当否判定手段117が第2保留手段146から抽選値を読み出して第2特別図柄193の当否を判定し(S64)、第2図柄決定手段322が第2特別図柄193を決定し(S66)、第2パターン決定手段119が第2特別図柄193の変動パターンを決定し(S68)、決定した結果とともに変動開始コマンドをサブ基板104へ送信して第2特別図柄193の図柄変動を開始する(S77)。
第2保留手段146により抽選値の保留がなされていない場合であって(S62のN)、第1保留手段144により抽選値の保留がなされている場合(S70のY)、第1当否判定手段113が第1保留手段144から抽選値を読み出してあらためて第1特別図柄192の当否を判定し(S72)、第1図柄決定手段320が第1特別図柄192を決定し(S74)、第1パターン決定手段114が第1特別図柄192の変動パターンを決定する(S75)。決定した結果とともに変動開始コマンドをサブ基板104へ送信して第1特別図柄192の図柄変動を開始する(S77)。第1保留手段144により抽選値の保留がなされていない場合はS72からS77までの処理をスキップする(S70のN)。
すでに図柄変動表示が開始されている場合(S60のY)、特別図柄の図柄変動表示を処理し(S78)、所定の変動時間が経過して図柄表示の停止タイミングに達したときは(S80のY)、変動停止コマンドをサブ基板104へ送信して表示中の図柄変動を予め決定された停止図柄にて停止する(S82)。図柄表示の停止タイミングに達していない場合はS82およびS84の処理をスキップして本図のフローを終了する(S80のN)。
図26は、図24におけるS154の装飾図柄変動処理の実行処理を詳細に示すフローチャートである。サブ基板104の演出決定手段132がメイン基板102から変動開始コマンドを受信した場合(S180のY)、受信した特別図柄の停止図柄、変動パターン、当否判定結果に応じて装飾図柄の停止態様を決定し(S182)、変動演出パターンを決定する(S184)。その後、装飾図柄の変動表示を開始する(S196)。メイン基板102から変動開始コマンドを受信しなかった場合はS182からS196をスキップする(S180のN)。
すでに装飾図柄の変動表示が開始済みであれば(S198のY)、その図柄変動の表示処理を実行し(S200)、メイン基板102から変動停止コマンドを受信したときは(S202のY)、S182で決定された停止態様にて装飾図柄を停止表示させることで図柄変動表示を停止する(S204)。変動停止コマンドをメイン基板102から受信していないときはS204をスキップし(S202のN)、変動表示が開始済みでないときはS200からS204をスキップする(S198のN)。
図27は、図16におけるS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。当否抽選の結果が大当りであった場合(S90のY)、すでに特別遊技が開始済みであって(S92のY)、大入賞口91が開放済でなければ(S98のN)、大入賞口91の開放処理を実行する(S100)。このとき、設定された大当り演出の表示も開始する。大入賞口91が開放済みであれば(S98のY)、大入賞口91の閉鎖処理を実行する(S102)。その結果、大入賞口91が閉鎖状態になっていれば(S104のY)、S106へ移行する。閉鎖状態でなければ(S104のN)、S106以降の処理をスキップして本処理を一旦終了する。一方、S92において特別遊技が開始済みでない場合は(S92のN)、特別遊技を開始して(S94)、その開始デモ演出の表示を開始し(S96)、本処理を一旦終了する。
S106においては、特別遊技中の演出であるデモ演出中であるか否かを判定する。なお、ここでいう「デモ演出」は、開始デモ演出および終了デモ演出を含む。デモ演出中でなければ(S106のN)、後述する終了フラグを参照して特別遊技終了条件が満たされるか否かを判定し(S110)、特別遊技終了条件が満たされていれば(S110のY)、その終了フラグをオフにしたうえで(S112)、終了デモ演出の表示を開始する(S114)。特別遊技終了条件が満たされていなければ(S110のN)、本処理を一旦終了する。S106にてデモ演出中であると判定され(S106のY)、終了デモ演出が終了した場合(S116のY)、特別遊技を終了し(S118)、特定遊技、すなわち確変、時短、および入球容易状態を開始する(S120)。終了デモ演出が終了していない場合は(S116のN)、S118およびS120の処理をスキップする。大当りでない場合は(S90のN)、本図のS92以降のフローをスキップする。
図28は、図27におけるS100の開放処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口91の開放タイミングとなったとき(S122のY)、開閉制御手段124は、通過フラグを一律にオフにするとともに開閉パターンの動作を設定し(S124)、大入賞口91を開放させる(S126)。また、現在の単位遊技の繰り返し回数に対応した大当り演出、または繰り返し回数が異なる回数になることに対応した大当り演出を設定して開始する。開放タイミングでないときは(S122のN)、S124およびS126の処理をスキップする。
図29は、図27におけるS102の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口91の閉鎖タイミングとなったとき、開閉制御手段124は大入賞口91を閉鎖させる。すなわち、特別遊技中において、入球数による終了条件が満たされるか(S130のY)、入球数による終了条件が満たされなくとも(S130のN)、開放時間による終了条件が満たされれば(S132のY)、大入賞口91を閉鎖する(S134)。開放時間による終了条件も満たされなければ(S132のN)、S134以降のフローをスキップする。
なお、15R大当りにおける入球数による終了条件は大入賞口91への9球以上の入球であり、開放時間による終了条件は、大入賞口91の開放開始から開閉パターンに沿った設定時間の経過である。15R大当りまたは8R大当りの場合は、その開放開始から30秒の経過であり、2R大当りの場合は、その開放開始から0.5秒の経過である。ただし、0.5秒の開放は極めて短いため、9球以上の入球はもちろん、入球そのものが困難である。その大入賞口の開放と同時に遊技球を打ち出したとしても入球困難であるため、大入賞口91の極短開放が行われる2R大当りについては、大入賞口91の開放前にその開放を予測して遊技球を打ち出す必要がある。このとき、特別遊技におけるラウンド数(単位遊技数)が継続上限回数に達していれば(S136のY)、終了フラグをオンにする(S138)。継続上限回数に達していなければ(S136のN)、S138の処理をスキップする。本実施例における継続上限回数は、15R大当りであれば15回、8R大当りであれば8回、2R大当りであれば2回である。入球数による終了条件および開放時間による終了条件のいずれも満たされていなければ(S130のN,S132のN)、S134以降の処理をスキップする。
図30は、図16におけるS17の小当り遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。当否抽選の結果が小当りであった場合(S150のY)、既に小当り遊技が開始済みであって(S152のY)、大入賞口91が開放済でなければ(S158のN)、大入賞口91の開放処理を実行し(S160)、開放済みであれば(S158のY)、大入賞口91の閉鎖処理を実行する(S162)。その結果、大入賞口91が閉鎖状態になっていれば(S164のY)、S166へ移行する。閉鎖状態でなければ(S164のN)、S166以降の処理をスキップして本処理を一旦終了する。一方、S152において小当り遊技が開始済みでない場合は(S152のN)、小当り遊技を開始して(S154)、2R大当りと同様の開始デモ演出の表示を開始し(S156)、本処理を一旦終了する。
S166においては、小当り遊技中の演出であるデモ演出中であるか否かを判定する。デモ演出中でなければ(S166のN)、小当り遊技終了条件が満たされたか否かを判定する。ここでは、後述する終了フラグがオンになっていれば、小当り遊技終了条件が満たされることになる。小当り遊技終了条件が満たされていれば(S170のY)、その終了フラグをオフにしたうえで(S172)、終了デモ演出の表示を開始する(S174)。小当り遊技終了条件が満たされていなければ(S170のN)、本処理を一旦終了する。S166にてデモ演出中であると判定され(S166のY)、終了デモ演出が終了した場合(S176のY)、小当り遊技を終了する(S178)。終了デモ演出が終了していない場合は(S176のN)、S178の処理をスキップする。小当りでない場合は(S150のN)、本図のS152以降のフローをスキップする。
図31は、図30におけるS160の開放処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口91の開放タイミングとなったとき(S180のY)、開閉制御手段124は、開閉パターンの動作を設定し(S182)、大入賞口91の開放を開始する(S184)。開放タイミングでないときは(S180のN)、S182およびS184の処理をスキップする。
図32は、図30におけるS162の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口91の終了タイミングとなったとき(S190のY)、終了フラグをオンにし(S192)、大入賞口91を閉鎖する(S194)。なお、この閉鎖タイミングは、大入賞口91の開放開始から0.5秒の経過したタイミングである。閉鎖タイミングでなければ(S190のN)、S192およびS194の処理をスキップする。
以上説明したように、本実施例では、始動口の排出通路の上流側に第1センサ、下流側に第2センサを設け、それらのセンサによる遊技球の検出タイミングが適正範囲になければエラー判定を行い、そのエラー判定の累積回数が設定回数(複数回)に達したことを条件にエラー報知(エラー出力)を行うようにした。これにより、糸釣りゴト等の不正行為がなされた場合にこれを検出することはもちろん、稀に発生するようなチャタリングを不正行為として検出することを防止または抑制することができる。すなわち、不正な遊技者による不正行為を精度よく検出して不正行為の抑止を図ることができる。
また、排出通路にダブルセンサを配置する構成において、その排出通路の上流側通路と下流側通路の軸線が互いに異なるようにし、上流側通路に第1センサを配置し、下流側通路に第2センサを配置するようにした。これにより、例えば糸釣りゴトによる不正な遊技球が上方から入球されたとしても、第2センサに検出されるまでの時間を遅延させ、その不正行為による損害を少なくすることができる。また、例えば針金等の用いて不正な遊技球が下方から挿入されたとしても、第1センサまでは届き難いため、その不正行為による損害を防止または抑制することができる。
また、一般入賞口について、通常遊技における入球率と特別遊技における入球率との比率が所定の基準比率を超えたときにエラーと判定するようにした。これにより、本来は遊技状態を問わず入球率がほぼ一定であるはずの一般入賞口において通常では起こり得ない程度の入球が発生したときにこれを検出することができる。特に、賞球払出数が急増する特別遊技中にその賞球に紛れ込ませるように入賞口への入球を契機とする賞球を発生させるためにあえて特別遊技中だけ入賞口へ不当に入球させる不正行為が発生したときにこれを検出することができる。
さらに、エラー判定手段136をサブ基板104に設けることで、入賞口へのエラーの判定をサブ基板104側で処理できるようにしたため、メイン基板102側では、入賞口への入球を示す信号をサブ基板104へ送信するだけで足りる。すなわち、メイン基板102では例えば制御プログラムやデータを格納するためのROMの容量がそれぞれ3キロバイトに制限され、また、RAMの記憶容量が1キロバイト、その使用領域が512バイトに制限されるといった制約があるため、設計者としてはROMやRAMに記憶させるデータは1バイトでも小さくして記憶容量を稼ぎたいところである。したがって、入賞口への入球数の算出処理とエラーの判定処理のプログラムをサブ基板104に搭載させ、メイン基板102に搭載しなくて済むことは設計上も大きなメリットがあり、そこで稼いだ容量分を別のプログラムのために有効活用することができる。しかも、第1センサと第2センサとの入賞判定はメイン基板102側で実施しているので第2センサをサブ基板104側に直接入力した場合に比べ、両センサの判定タイミング等の誤差を小さくすることができる。
(第2実施例)
本実施例においては、一般入賞口72についてのエラー判定処理が第1実施例と異なる。以下、第1実施例との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略する。本実施例においては、一般入賞口72についてのエラー判定処理において、特別遊技における大入賞口賞球払出数と一般入賞口賞球払出数の比率が所定の基準比率を超えた場合に不正な遊技者による不正行為があったと判定する。
入球判定手段110はさらに、入賞センサ268の検出情報(大入賞情報)を受け取ると、その旨を示す第4入球情報をエラー判定手段136に送信する。エラー判定手段136は、特別遊技が開始されるたびに特別遊技における大入賞口91への入球を契機とした大入賞口賞球払出数と一般入賞口72への入球を契機とした一般入賞口賞球払出数を算出する。本実施例においては、大入賞口91への入球に対する規定賞球数と特別遊技における大入賞口91への入球数により特別遊技における大入賞口賞球払出数を算出する。例えば、大入賞口91へ10球入球すれば大入賞口賞球払出数を150球と算出する。また、エラー判定手段136は、一般入賞口72への入球に対する規定賞球数と特別遊技における一般入賞口72への入球数により特別遊技における入賞口賞球払出数を算出する。例えば、一般入賞口72へ10球入球すれば一般入賞口賞球払出数を100球と算出する。エラー判定手段136は、入球判定手段110から大入賞情報を受け取るとともに、大入賞情報を受け取るたびにその数を大入賞口91への入球数として計数する。エラー判定手段136は、入球判定手段110から一般入賞情報を受け取るとともに、一般入賞情報を受け取るたびにその数を一般入賞口72への入球数として計数する。
エラー判定手段136は、特別遊技の終了時に特別遊技における大入賞口賞球払出数と一般入賞口賞球払出数を検出する。ただし、特別遊技の種類によっては有効な入球数が検出できない場合があるため、その場合は検出処理をスキップまたは検出結果を無効とする。例えば、2R大当りの場合、特別遊技の時間が極端に短いために通常であればその期間内に大入賞口91および一般入賞口72へ入球することは考えにくいものの、偶発的にタイミングよく入球しても統計的信用のない値にしかならず、不正がなくともエラーとなるおそれがある。また、不正な遊技者としてもわざわざ極端に短い期間である2R大当りのときにまで不正行為を働くとは考えにくく、仮に不正行為をしたとしてもその効果は極端に小さい。そのため、2R大当りの特別遊技は大入賞口91および一般入賞口72への入球数の検出対象外としている。なお、このような場合の不正行為を考慮して検出対象としてもよい。
エラー判定手段136は、特別遊技における大入賞口賞球払出数と一般入賞口賞球払出数を取得し、それら大入賞口賞球払出数と一般入賞口賞球払出数の比率を算出する。特別遊技における大入賞口賞球払出数と一般入賞口賞球払出数との比率が所定の基準比率を超えた場合、エラー判定手段136は、エラーを示す情報を外部装置としてのホールコンピュータへ出力する。また、エラー判定手段136は、エラーを示す情報を演出決定手段132または演出表示制御手段134へ送信して演出表示装置60へエラーを報知させる。
特別遊技における大入賞口賞球払出数と一般入賞口賞球払出数の基準比率は、遊技機の設計段階における実験値または設計値に基づいて定められる。例えば、特別遊技における大入賞口賞球払出数が1分間あたり平均300個で、特別遊技における一般入賞口賞球払出数が1分間あたり平均3個とすると、大入賞口賞球払出数に対する一般入賞口賞球払出数の比率は1/100である。遊技者が遊技球の発射を停止せずに打ち続けたと仮定し、大入賞口賞球払出数の標準偏差σが30であった場合に大入賞口賞球払出数の範囲が平均μ±3σであると考えると210個〜390個の範囲にほぼ収まると考えられる。また、1分間あたりの一般入賞口賞球払出数の標準偏差σが1であった場合に一般入賞口賞球払出数の範囲が平均μ±3σであると考えると0個〜6個の範囲にほぼ収まると考えられる。この場合、大入賞口賞球払出数に対する一般入賞口賞球払出数の比率は、不正行為および遊技球の発射停止がなければ最大でも1/35程度である。したがって、余裕のある確実な値として基準比率を例えば1/30や1/25といった値に設定してもよい。実際、不正な遊技者は特別遊技という限られた期間に多数の賞球を獲得するため一般入賞口賞球払出数が1分間に100個や200個となるような頻度で不正入球させる可能性がある。したがって、1/10や1/5といった基準比率の値でも十分に不正行為を検出できる。あるいは、誤差に基づく誤検出をさらに確実に排除するために、さらに余裕のある基準比率として1/3や1/2といった値を用いたとしても十分に不正行為を検出できる。なお、遊技者が何らかの理由により特別遊技中に遊技球の発射を停止した場合には大入賞口賞球払出数が減るが、発射停止により一般賞球払出数も減るために比率はさほど変わらない。
図33は、図16におけるS10の入球処理の全体的な過程を示すフローチャートである。本処理は、図17に示した入球処理と置き換えるようにして実行される。この入球処理は、メイン基板102における始動口入球処理(S200)、サブ基板104における始動口入球判定処理(S202)、メイン基板102における作動口入球処理(S204)、メイン基板102における一般入賞口入球処理(S206)、サブ基板104における一般入賞口入球計数処理(S408)、メイン基板102における大入賞口入球処理(S409)、サブ基板104における大入賞口入球計数処理(S410)が、繰り返し処理されることとなる。
図34は、図33におけるS408およびS410の入球数計数処理を詳細に示すフローチャートである。S408において、エラー判定手段136は、遊技状態が特別遊技中の場合には(S340のY)、一般入賞口72への入球を計数し(S342)、特別遊技中でなければ(S340のN)、S342をスキップする。
S409において、入球判定手段110は、大入賞口91への入球により大入賞情報を受け取ると、その大入賞情報(第4検出信号)をエラー判定手段136に送信し、大入賞口91に対応する規定賞球数をセットする。
S410において、エラー判定手段136は、遊技状態が特別遊技中の場合(S340のY)、大入賞口91への入球を計数し(S342)、特別遊技中でなければ(S340のN)、S342をスキップする。
図35は、図27におけるS118の特別遊技終了処理を詳細に示すフローチャートである。なお、本処理は本実施例に特有の処理である。まず、特別遊技を終了させ(S364)、特別遊技における一般入賞口72への入球数と規定賞球数に基づく一般入賞口賞球払出数と、特別遊技における大入賞口91への入球数と規定賞球数に基づく大入賞口賞球払出数を算出し(S366)、特別遊技における一般入賞口賞球払出数と大入賞口賞球払出数の比率を算出する(S368)。特別遊技における一般入賞口賞球払出数と大入賞口賞球払出数の比率が基準比率を超えた場合(S370のY)、エラー判定手段136はエラーを示す情報を外部装置へ出力し(S372)、基準比率を超えていなければS272をスキップする(S370のN)。
以上説明したように、本実施例では、一般入賞口についてのエラー判定処理において、特別遊技における大入賞口賞球払出数と一般入賞口賞球払出数の比率が所定の基準比率を超えた場合に不正な遊技者による不正行為があったと判定するようにした。これにより、本来は遊技状態を問わず単位時間あたりの入球数や出玉数がほぼ一定であるはずの一般入賞口において通常では起こり得ない程度の入球が発生したときにこれを検出することができる。特に、賞球払出数が急増する特別遊技中にそれらの賞球に紛れ込ませるように入賞口への入賞を契機とする賞球を発生させるためにあえて特別遊技中だけ一般入賞口へ不当に入球させる不正行為が発生したときにこれを検出できる。
(第3実施例)
本実施例においては、一般入賞口72についてのエラー判定処理が第1,2実施例と異なる。以下、第1,2実施例との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略する。本実施例では、一般入賞口72についてのエラー判定処理において、所定の計数期間における入賞口への入球数が判定値を超えた場合に不正な遊技者による不正行為があったと判定する。この判定値には可変値が設定される。
エラー判定手段136は、入球判定手段110から受け取る一般入賞情報を計数することにより、所定の計数期間における一般入賞口72への入球数を計数する。本実施例では、のべ1分間の計数期間が設定される。その計数期間の開始から終了までの入球数を一般入賞口72への入球数とする。具体的には、複数の一般入賞口72のそれぞれで計数期間を進行させて別々に入球数を計数し、計数期間内に一般入賞口72へ入球した数をそれぞれの一般入賞口72への入球数とする。ぱちんこ遊技機10の電源投入時に計数期間が開始され、その計数期間が終了すると次の計数期間が開始され、このような計数期間の進行が繰り返される。
エラー判定手段136は、計数期間における一般入賞口72への入球数が判定値を超えたときにエラーと判定し、その判定から猶予期間が経過した後にエラーを報知する。判定値には可変値が設定される。可変値は、予め設定された所定の判定値範囲からランダムに選ばれる値である。判定値範囲は、不正の目的なく通常の遊技者が遊技しているときに誤って判定値を超えることがないよう、一般入賞口72の周辺の遊技釘の調整状態が甘い場合でも通常では超え得ない程度の判定値ないし判定値範囲を、設計段階における実験により求める。これにより、一般入賞口72において通常では起こり得ない程度の入球が発生したときにこれを不正による入球であると判定することができ、また、その判定基準が外部から安易に推測できないようにすることができる。すなわち、ぱちんこ遊技機10を不正行為者が入手してどのような数値を基準としてエラー判定されるかを解析したとしても、その数値を可変値となるように設定しているため、その解析結果に基づいて実際に遊技店で遊技したとしても解析通りには作動しないこととなる。あるいは、相当な長時間を費やせば理論上は解析が可能であったとしても、他の遊技機種と比べてそのような長時間をかけない限り有効な解析が不能となれば、不正行為者による不正な解析意欲を減退させることができ、不正の抑制または未然防止を期待できる。
エラー判定手段136は、所定の設定タイミングに達するたびに判定値として所定の値範囲に含まれるランダムの値を設定する。本実施例における判定値の設定タイミングは、計数期間の開始時である。エラー判定手段136は、判定値範囲の境界値に近い値に対する設定の頻度が境界値に遠い値に対する設定の頻度より低くなるように分散させたランダムの値を判定値に設定する。境界値は、例えば判定値範囲の下限値であり、下限値に近い値が下限値に遠い値より設定の頻度が低くなるように分散させる。判定値の分散は、判定値範囲下限の境界値と上限の境界値の中間近傍にある値をピークとする正規分布曲線を描くように分散した値を判定値に設定してもよい。これにより、エラーの判定基準となる判定値範囲の境界値を外部から安易に推測できないようにすることができる。すなわち、ぱちんこ遊技機10を不正行為者が入手して解析しようとしても設定頻度の低い境界値は容易に解析できないか、少なくとも相当な長時間の解析が必要となり、不正の抑制または未然防止を期待できる。
エラー判定からエラー報知までの猶予期間として複数の候補値が用意され、エラー判定手段136がいずれかの候補値をランダムで猶予期間に設定することにより、猶予期間の時間値が可変となる。猶予期間の設定タイミングは、判定値と同様に計数期間の開始時である。このように、ぱちんこ遊技機10を不正行為者が入手してどのような数値を基準としてエラー判定されるかを解析したとしても、その数値とエラー報知のタイミングが必ずしも一致せず、実際のエラー判定から報知までに可変のタイムラグが生じることから、外部からの判定値の解析が困難となる。したがって、不正行為者による不正な解析意欲を減退させることができ、不正の抑制または未然防止を期待できる。
エラー判定手段136は、判定値範囲の候補として複数種類の候補範囲を保持し、遊技店員等の操作者による設定スイッチの操作に応じて複数種類の候補範囲のうちいずれかを判定値範囲に設定する。例えば、平均的な判定値範囲と厳しめの判定値範囲と甘めの判定値範囲の3通りを用意する。平均的な判定値範囲は例えば30〜60球の範囲であり、相対的に厳しい判定値範囲は例えば20〜40球の範囲であり、相対的に甘い判定値範囲は例えば50〜80球の範囲である。設定スイッチは、例えばサブ基板104にディップスイッチの形で設けられてもよい。遊技店員が遊技機ごとに入賞口近辺の釘調整具合に合わせて判定基準の厳しさを微調整することができ、より実態にあった判定値を設定して適切なエラー判定をすることができる。ただし、変形例として、判定値範囲を設定するのではなく、判定値そのものを設定スイッチの操作に応じて設定する構成としてもよい。
入球口への入球数が所定の判定値を超えた場合、エラー判定手段136は、エラーを示す情報を外部装置としてのホールコンピュータへ出力する。また、エラー判定手段136は、エラーを示す情報を演出決定手段132または演出表示制御手段134へ送信して演出表示装置60の画面にもエラーである旨を表示させることによりエラーを報知させる。エラー判定手段136は、演出表示装置60の画面にエラーを報知した場合、ぱちんこ遊技機10の電源がオフされるまでエラーを報知した状態を維持する。これにより、例えば演出表示装置60の画面でエラーである旨を表示させる一方で、遊技そのものの停止まではしない構成に設計したとしても、不正行為者としてはいつまでもエラーが消えることがないために事実上遊技を継続することは困難となる。これにより、不正な行為を防止することができる。また、遊技そのものを停止する機能を搭載しなくても、エラーを報知して電源オフまで維持する機能を搭載するだけで効果的に不正行為を防止できるため、より低コストおよび簡易設計にて予防策を講じることができる。
図36は、図17におけるS208の一般入賞口入球判定処理を詳細に示すフローチャートである。エラー判定手段136は、一般入賞情報を受信すると(S420のY)、一般入賞口72への入球数を計数する(S422)。一般入賞情報を受信しない場合はS422の処理をスキップする(S420のN)。
一般入賞口72への入球数に関する計数期間が終了タイミングに達していた場合(S424のY)、一般入賞口72への入球数が判定値を超えているときは(S426のY)、エラー判定手段136がエラーを報知し(S428)、判定値を超えていなければS428をスキップする(S426のN)。そして、入球数のカウンタをクリアし(S430)、新たな計数期間の進行を開始させる(S432)。計数期間の終了タイミングに達していなければS426からS432までの処理をスキップする(S424のN)。
以上説明したように、本実施例では、所定の計数期間における一般入賞口への入球数が判定値を超えた場合に不正な遊技者による不正行為があったと判定するとともに、この判定値に可変値を設定した。これにより、不正な遊技者が遊技機を入手して解析しても、遊技店での遊技機には同じ判定値が設定されているとは限らず、解析結果をもとにした不正行為を困難にすることができる。また、不正行為があったことを判定したときはその旨を報知するが、判定タイミングから報知タイミングの時間間隔を可変にすることにより、報知タイミングに基づいて判定値を推測することも困難にすることができる。
(第4実施例)
本実施例においては、第1始動口62および第2始動口63のエラー判定処理が正常に遂行できるか否かを事前に検査する検査方法について説明する。この検査方法は、第1〜第3実施例にかかるぱちんこ遊技機10の生産工場での検査工程に適用される。
通常、ぱちんこ遊技機10の生産においては、その最終工程として各種機器の接続に異常がないか、制御プログラムが正常に動作するかといった検査工程が組み込まれる。第1〜第3実施例のエラー判定処理の有効性についても同様に検査される。ところが、上述したエラー判定処理は、エラーが複数回(例えば5回)検出されてからエラー出力が行われるため、検査工程において同様の処理をすると長い時間を費やしてしまい非効率となる。そこで、本実施例では、検査工程においては遊技中よりもエラー判定処理を簡易な形で実行でき、通常状態では正規のエラー処理が実行できるようにエラー判定基準を変化させる機能を付加している。
具体的には、遊技中においては上述のようにエラー回数が第1設定回数Nset1となったときにエラー出力を実行するが、検査工程においてはエラー回数が第1設定回数Nset1より少ない第2設定回数Nset2となったときにエラー出力を実行できるようにする。本実施例では、通常時であるか検査工程であるかを扉14が開放されているか否かにより判定し、通常時のエラー設定回数である第1設定回数Nset1として5回、検査時のエラー設定回数である第2設定回数Nset2として1回が設定されている。これにより、検査工程においては、作業員が扉14を開放してゴト行為を模擬する形で第1センサのみに遊技球を反応させて、エラー出力がなされるかどうかを検査する。実際のゴト行為において扉14が開放されることはまず考え難いため、扉14の開放検知により検査工程であることを判定し、検査工程では通常時より少ない回数のエラー判定によりエラー報知がなされるようにするのである。これにより、通常のエラー出力に要する異常状態を容易に発生させ、検査工数の削減を図ることができる。
なお、扉14の開放操作の行為自身が不正行為の予備動作であることが多いため、扉14の開放検知に基づいて個別に当該情報を報知されるようになっており、また、上述のとおりの行為であることから、設定回数を少なくすることが合理的であり、上記検査工程の有無にかかわらず有益である。
すなわち、本実施例においては、扉14の開閉を検出する開閉検出センサが設けられる。この開閉検出センサは、前枠12に取り付けられ、透明板13のガラスに接触することによりオンされるメカスイッチとして構成される。なお、このような構成に限らず、扉14の開閉を検出可能なセンサであれば採用することができる。
図37は、図17におけるS202の始動入球判定処理を詳細に示すフローチャートである。本処理は、図19に示した始動入球判定処理と置き換えるようにして実行される。エラー判定手段136は、図19に示す始動口入球判定処理におけるS230の前処理として設定回数Nsetの設定処理を実行する。
すなわち、エラー判定手段136は、開閉検出センサの検出状態に基づき、扉14が開放中か否かを判定する。そして、開放中でなければ(S450のN)、設定回数NsetをNset1に設定し(S452)、開放中であれば(S450のY)、設定回数NsetをNset2に設定する(S454)。そして、S230以降の処理を実行する。
以上説明したように、本実施例では、ぱちんこ遊技機10の検査工程においては遊技中よりもエラー判定処理を簡易な形で実行するようにした。これにより、ぱちんこ遊技機10の製造効率を高く維持しつつ、エラー判定処理の信頼性を確保することができる。
なお、変形例においては、遊技中における第1設定回数Nset1にかかわらず、検査工程における第2設定回数Nset2を当否抽選値の保留数がゼロの状態から上限数となるために必要な入球数と等しくなるように設定してもよい。このように設定すれば、検査工程において第1特図保留ランプ20や第2特図保留ランプ21の点灯検査と同時にエラー判定処理の検査を実行することが可能となる。具体的には、検査工程においては、作業員が扉14を開放してゴト行為を模擬する形で第1センサのみに遊技球を保留上限数に1を加えた数を必要入球数とし、その必要入球数に等しい回数反応させる。その過程で保留ランプが個数に応じた表示態様に変化するか否かを検査することができ、保留ランプが上限数を表示させたときにエラー出力がなされるかどうかを検査することができる。
すなわち、第1〜第3実施例においては、当否抽選値の保留数がゼロの状態から遊技球が入球した場合、1球目はそのまま図柄変動とともに消化されて保留されないため、保留数がその上限数である4に達するためには、遊技球がその保留上限数に1を加算した5回入球する必要がある。そこで、本変形例では第2設定回数Nset2=5として設定する。なお、第1〜第3実施例においては、第1設定回数Nset1=5であるため、この第2設定回数Nset2に等しくなる。したがって、第1設定回数Nset1と第2設定回数Nset2との区別なく設定回数Nsetとして5を設定すれば足りる。つまり、具体的処理を第1〜第3実施例のままとすることで、結果的にこの変形例が実現される。
(第5実施例)
本実施例においては、排出通路にゴト行為そのものを阻止する不正防止構造を備える点で第1〜第4実施例とは異なる。この不正防止構造は、排出通路の所定位置にて遊技球の逆流を阻止する逆流防止装置を含む。図38は、その不正防止構造を表す説明図である。(a)〜(f)は、エラー判定処理の実行過程を例示している。
すなわち、本実施例において、第1始動口62に対応する排出通路430の中間部には円形の回転体収容部432が形成されている。回転体収容部432には回転体410が回転可能に収容配置されている。回転体410は、円板状の本体の外周部に遊技球を保持可能な複数(本実施例では2つ)の凹部412を有する。2つの凹部412は、回転体410の半径方向外向きに開口するように半円状に切り欠かれて形成され、回転体410の回転中心に対して対称な位置(180度ずれた位置)に設けられている。回転体410は、たとえばステッピングモータ等の回転駆動モータ(図示せず)を有し、遊技盤の背面に垂直に設けられた回転軸を中心に反時計回りに回転する。一方、第1センサ250は回転体収容部432の上流側に設けられ、第2センサ252は回転体収容部432の側方に設けられている。
このような構成により、第1センサ250を通過した遊技球260は、図38(a)に示すように凹部412が上死点付近に位置したときに回転体410に受け入れられて支持され、回転軸を中心に半時計回りに誘導される。そして、図38(b)に示すように回転体410が約1/4回転(90度)回転すると、第2センサ252により遊技球260が検出される。そして、図38(c)に示すように回転体410がさらに約90度回転すると、遊技球260は回転体410から開放されて下流側へ排出される。
このように、第2センサ252が回転体410の側方に配設され、その回転体410を一方向(半時計回り)に回転駆動して遊技球260の逆流を阻止するようにしたため、仮にゴト行為による不正な遊技球が挿入されたとしても、第2センサ252による検出を阻止することができる。その結果、上述した第1センサ250と第2センサ252との検出タイミングによるエラー判定処理を有効に機能させることができる。
例えば、糸釣りにより不正な遊技球を上方から挿入する糸釣りゴトを想定した場合、不正行為者はその不正な遊技球を第1センサ250に反応させることができても、第2センサ252に反応させることは事実上不可能となる。万が一、その不正な遊技球が第2センサ252により検出されるようなことがあっても、回転体410の一方向への回転により糸が巻き込まれるため、遊技者はその不正な遊技球を繰り返し使用することはできない。不正な遊技球は糸ごと排出されるか、または糸が破断することにより排出される。仮に回転体410に巻き付けられた状態になった場合には、回転体410の上流側に遊技球260が滞留することになるため、エラー判定が行われることになる。
また、例えば針金等を用いて不正な遊技球を下方から挿入するゴトを想定した場合についても、その不正な遊技球を第2センサ252に反応させることは事実上不可能となる。万が一その不正な遊技球が回転体410に取り込まれるようなことがあっても、その場合には不正な遊技球と針金等との接合が破断していることになるため、遊技者はその不正な遊技球を繰り返し使用することはできない。したがって、こうしたゴト行為そのものを阻止することができる。
ただし、このような回転構造を設けたことにより、図38(d)に示すように、遊技球260が排出通路430と回転体410との間に噛み込まれる可能性も否定できない。そこで本実施例においては、同図のように凹部412が上死点から微少量回転した位置で回転体410を一旦停止させ、図38(e)に示すように所定量逆回転させ、その後、図38(f)に示すように、再び半時計回りに駆動する。このような回転体410の制御により、遊技球260を凹部412に確実に収容させることができ、その噛み込みを防止することができる。ただし、この逆回転により第2センサ252による遊技球260の検出が重複しないよう、回転体410の逆回転の開始位置は、遊技球260が凹部412に正常に収容されていると仮定した場合に第2センサ252により検出されない位置とされる。また、逆回転の停止位置は、正回転にて噛み込まれかけた遊技球260が凹部412により受け入れ可能となる範囲で設定される。
図39は、第5実施例の第1の変形例にかかる不正防止構造を表す説明図である。(a)〜(f)は、エラー判定処理の実行過程を例示している。本変形例においては、回転体440の外周部に3つの凹部412が等間隔(120度おき)で設けられている。図39(a)および(b)に示すように、第1センサ250を通過した遊技球は、凹部412が上死点に位置したときに回転体410に受け入れられて支持され、回転体440が約1/6回転(60度)回転すると、第2センサ252により遊技球260aが検出される。そして、図39(c)に示すように回転体440がさらに約120度回転すると、遊技球260aは回転体440から開放されて下流側へ排出される。
また、図39(d)〜(f)に示すように、本変形例においても、凹部412が上死点から微少量回転した位置で回転体440を一旦停止させて所定量逆回転させ、その後、再び半時計回りに駆動する。そして、この逆回転により第2センサ252による先の遊技球260aや後続の遊技球260bの検出が重複しないよう、回転体440の逆回転の開始位置は、遊技球260が凹部412に正常に収容されていると仮定した場合に第2センサ252により検出されない位置とされる。第2センサ252は、回転体440が逆回転されたことにより、先に検出した遊技球260aを再び検出することがない位置に設けられている。
なお、本実施例および変形例においては、回転体を一方向(半時計回り)に回転させ、凹部が遊技球を受け入れ可能な位置に到達した後に所定量逆回転させるようにしたが、そのように定期的に逆回転をさせる構成としなくてもよい。例えば、回転体を常に一方向に回転させ、遊技球の噛み込み等により回転体が所定時間回転しない状態が検出された場合に、逐次回転体を所定量逆回転させるようにしてもよい。
図40は、第5実施例の第2の変形例にかかる不正防止構造を表す説明図である。(a)〜(d)は、エラー判定処理の実行過程を例示している。本変形例においては、回転体450として駆動装置を有しないスプロケットを採用している。図40(a)に示すように、排出通路452の中間部には半円形の回転体収容部454が形成されている。回転体450の回転軸は、その回転体収容部454に位置している。
回転体450は、一方向のみの回転を許容するクラッチ(ワンウェイクラッチ)により回転動作が規制されている。回転体450は、その回転軸から半径方向外向きに放射状に延びる4つの区画片456を有し、隣接する区画片456により遊技球260を支持する凹部が形成されている。区画片456が90度おきに設けられるため、4つの凹部も90度おきに設けられている。回転体450は、遊技球260aが区画片456に落下することで回転モーメントを得て半時計回りにのみ回転する。
図40(a)および(b)に示すように、第1センサ250を通過した遊技球は、いずれかの区画片456に係止される形で凹部に受け入れられて支持される。そして、区画片456が水平面に対して45度をなす位置にて遊技球260aが第2センサ252と対向し、その第2センサ252により検出される。そして、図40(c)に示すように回転体450がさらに45度ほど回転すると、遊技球260aは回転体450から開放されて下流側へ排出される。図40(d)に示すように、後続の遊技球260bがある場合は、同様の過程を経てその検出および排出が行われる。この過程で回転体450の逆回転が防止されているため、同一の遊技球260a,260bが第2センサ252にて重複して検出されることはない。また、回転体450の駆動装置がなく、その回転動作が制御されないため、遊技球260a,260bの流下タイミングと回転体450の回転タイミングにずれが生じ難く、設定時間Tsetを設定し易くなるといったメリットがある。
図41は、第5実施例の第3の変形例にかかる不正防止構造を表す説明図である。(a)〜(d)は、エラー判定処理の実行過程を例示している。本変形例は第1の変形例と類似するが、回転体収容部432の上流側入口に糸などを切断可能なカッター460が配設されている点で異なっている。回転体470の外径は、回転体収容部432の内径にほぼ等しく設定されている。このため、回転体470の凹部412の開口端部のエッジとカッター460とが交わるときに剪断力が発生するようになる。
このような構成により、図41(a)〜(d)に示すように、例えば糸Wの先端に取り付けられた不正な遊技球260が挿入され、凹部412に収容されたとしても、カッター460により糸Wが切断される。このため、糸Wが回転体470に巻き付いて装置を故障させるなどの問題を回避することができる。なお、本変形例ではカッター460の構成および配置の一例を示したが、これと異なる構成を採用してもよい。例えば、てこの原理により遊技球260の落下を受けて糸Wを切断するように動作する切断部材を設けるようにしてもよい。
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。尚、本願発明は上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜組合せにより種々の発明を形成しても良いし、上記実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除しても良い。更に、複数の実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせることも可能である。
(変形例1)
上記の各実施例においては、始動口62,63についてはダブルセンサを用いたエラー判定処理を実行し、一般入賞口72についてはシングルセンサを用いたエラー判定処理を実行する例を示した。変形例においては、一般入賞口72についてもダブルセンサを用いたエラー判定処理を実行するようにしてもよい。図42は、変形例にかかる一般入賞口72および入球センサの配置構成を示す。
一般入賞口72についてダブルセンサを適用する場合、例えば図42(a),(b)などの配置構成を採用することができる。例えば、図42(a)に示すように、隣接する複数の一般入賞口72とそれらと離間した1つの一般入賞口72が設けられる場合、隣接する一般入賞口72に共用の排出通路334を設け、その上流側に共用の第1センサを設け、下流側に共用の第2センサを設けるようにしてもよい。一方、離間した1つの一般入賞口72には固有の排出通路336を設け、その上流側に第1センサを設け、下流側に第2センサを設けるようにしてもよい。
また、図42(b)に示すように、隣接する複数の一般入賞口72の組合せが複数構成される場合、各組の一般入賞口72に共用の排出通路338を設け、その上流側に共用の第1センサを設け、下流側に共用の第2センサを設けるようにしてもよい。いずれの構成においても、各一般入賞口72について第1センサと第2センサとの距離を等しくすることができるため、設定時間Tsetを共通に設定することができ、エラー判定処理を簡素化することができる。また、隣接する一般入賞口72について第1センサと第2センサを共用とすることで低コストに実現することができる。
(変形例2)
上記の各実施例においては、第1センサと第2センサとの間隔を十分にとり、正常な状態で1つの遊技球が第1センサと第2センサとで同時に検出されることがないようにした。変形例においては、第1センサと第2センサとの間隔を遊技球の直径よりも小さくして互いの検出幅(検出範囲)が部分的にオーバラップするようにし、そのオーバラップが存在する検出態様を利用したエラー判定を実行する。図43は、変形例にかかるエラー判定方法を示す。(a)は始動入賞口および入球センサの配置構成を示し、(b)は各センサの検出過程を示し、(c)は判定方法を示す。
本変形例においては、図43(a)に示すように、始動口62,63の排出通路430の上流側に第1センサを設け、下流側に第2センサを設けており、両センサをその間隔が遊技球の直径よりも小さくなるように配置している。また、各センサの検出幅そのものが遊技球の直径よりも小さくされている。このような構成により、図43(b)に示すように、遊技球260が第1センサおよび第2センサを順次通過する過程で両センサに同時に検出される状況が発生する。具体的には、図43(c)に示すように、時刻t21にて第1センサの検出が開始されてから時刻t24にて第2センサの検出が終了するまでに時刻t22からt23にかけて両センサの検出がオーバラップしている。すなわち、このような構成によれば、入球状態が正常ならば、第1センサの単独検出、第1センサおよび第2センサの同時検出、第2センサの単独検出が順次行われるようになる。
そこで、このような検出順序が満たされなかった場合にエラー判定を行うようにしてもよい。例えば糸釣りゴトを想定した場合、第1センサおよび第2センサを反応させるケースとして、遊技球260は第1センサ→第1センサおよび第2センサ→第2センサ→第2センサおよび第1センサ→第1センサの順に検出されることが考えられる。あるいは、第1センサのみを反応させるケースとして、第1センサでの検出が連続することが考えられる。さらに、入賞判定用のセンサが知られていない場合など、第2センサのみを反応させるケースとして、第2センサでの検出が連続することも考えられる。したがって、第2センサ→第2センサおよび第1センサの検出順序が発生した場合、第1センサの検出が連続した場合、第2センサの検出が連続した場合の少なくともいずれかにおいてエラー判定を行うようにしてもよい。
(変形例3)
上記の各実施例においては述べなかったが、第1センサおよび第2センサへの通電に関して節電対策を施してもよい。図44は、変形例にかかるエラー判定処理における節電方法を示す。(a)は節電方法の一例を示し、(b)は他の例を示す。すなわち、エラー判定処理における節電対策として、図44(a)に示すように、第1センサへの通電と第2センサへの通電とを交互に間欠的に実行するようにしてもよい。ただし、非通電状態では遊技球の検出がなされないため、それらの間欠時間は例えば2msといった具合に十分に短く設定する。このような設定により、消費電力を第1センサおよび第2センサに常時通電を行う場合の半分程度に抑えることができる。
あるいは、図44(b)に示すように、第1センサには常時通電を行う一方で、第2センサに対しては、第1センサの検出状態に応じて通電状態を切り替えるようにしてもよい。具体的には、第1センサにより検出がなされたときに第2センサの通電を開始し、第2センサの検出が終了したときにその第2センサへの通電を停止させるようにしてもよい。
(変形例4)
上記の各実施例においては述べなかったが、入球状態によっては複数の遊技球が排出通路内に連なって滞留するいわゆる「ぶどう」と呼ばれる状態が想定される。図45(a)は、このぶどうの状態を示す図である。このような状態において、第2センサにて検出状態となっている場合、第1センサを通過したものの第2センサを通過しない遊技球が複数存在するため、上記実施例の手法では不正行為がないにもかかわらずエラー判定がなされてしまう可能性がある。また、このぶどうの解消時に遊技球が第2センサを連続して通過する際にもエラー判定がなされる可能性がある。そこで、第2センサにおいてエラー判定がなされた場合に、次に第1センサを通過するまでエラー判定を中断するようにしてもよい。例えば、図19の始動入球判定処理において、S231,S239,S247,S248,S249を除き、S230において第1入球情報を受信しなかった場合に処理を終了するようにすることで、これを実現することができる。
なお、上記の各実施例においては述べなかったが、図45(b)に示すように、上流側通路と下流側通路の軸線がずれた構成において排出通路の構成において、その下流側通路に第5実施例やその変形例に示したような回転体を設け、ゴト行為そのものを阻止するようにしてもよい。
(変形例5)
上記の各実施例においては、ダブルセンサを構成する第1センサと第2センサについて、双方とも近接センサにより構成する例を示した。変形例においては、第1センサと第2センサとを互いに異なる検出方式のセンサにより構成してもよい。すなわち、センサには電界式、磁気式、光学式、メカ式など検出方式の異なるものがある。電界式および磁気式は、金属製の遊技球の接近により電界や磁界の変化を検出する方式であり、近接センサとして構成される。光学式は、発光素子と受光素子を含み、遊技球による光の遮断や反射を検出する方式であり、いわゆる透過型あるいは反射型のフォトセンサとして構成される。メカ式は、遊技球が通過したときに接点が接触してオンされるいわゆるメカスイッチとして構成される。例えば、第1センサおよび第2センサの一方を近接センサとし、他方をフォトセンサとして構成してもよい。
(変形例6)
上記の各実施例においては述べなかったが、第2始動口63の入口に遊技釘を設ける、あるいは第2始動口63を第1始動口62の直下に設けるなどして、普通電動役物65が拡開動作しなければ第2始動口63への入球が困難となる構成としてもよい。そして、第2始動口63における第1センサ262および第2センサ264による入球検出については、第2始動口63が拡開状態にあることを条件に有効としてもよい。ただし、遊技球が第2始動口63の入口に差し掛かってから各センサを通過するまでの遅延時間を考慮し、第2始動口63が拡開状態から通常状態に戻されてから所定の遅延調整時間を設け、その遅延調整時間が経過するまでは入球検出を有効としてもよい。
(変形例7)
上記の各実施例においては述べなかったが、設定時間Tsetに下限値Tsetminを設けてもよい。下限値Tsetminとしては、第1センサにて検出された遊技球が第2センサにて検出されることが設計上あり得ない時間値としてよい。すなわち、第1センサにて検出されてから下限値Tsetminが経過するまでに第2センサにて遊技球が検出された場合にエラー判定を行うようにしてもよい。あるいは、第1センサまたは第2センサにおける1回の検出状態が基準時間Toを超えて継続した場合にエラー判定を行うようにしてもよい。基準時間Toとしては、排出通路にて遊技球が滞留するなどの特段の事情がない限り、検出状態の継続が設計上あり得ない時間値としてもよい。
(変形例8)
上記の各実施例においては、第2始動口63を第1始動口62と離れるように遊技領域52の右寄りの位置に設ける例を示した。変形例においては、第2始動口63を第1始動口62の直下に配置し、普通電動役物65が開放されなければ入球困難な配置構成としてもよい。
(変形例9)
上記の各実施例においては述べなかったが、カウントされるエラー回数については電源リセット時にクリアすることが望ましい。ただし、単にリセット時のエラー回数をクリアする場合には、不正行為者が故意に電源リセット操作を行うことが考えられる。そこで、電源投入時には電源が投入されたことを報知する機能を付加してもよい。これにより、エラー回数については翌日の営業に引き継がれることがない一方で、不正行為者が当該機能を悪用してエラー回数をリセットすることを効果的に防止することができる。
(変形例10)
上記の各実施例においては述べなかったが、第1センサをメイン基板102に、第2センサをサブ基板104に直接接続してもよい(つまり、中継基板49を経由しない構成としてもよい)。
(変形例11)
上記の各実施例においては述べなかったが、エラー表示の優先度として、抽選や払出等の出玉に関連するエラーほど表示の優先順位が高くなるようにしてよい。例えば、磁石検知(始動口に磁石をあてられ多く入球させると、抽選回数が多くなるため当りやすくなる)、電波検知、入賞口断線・短絡、過剰払出し検知の優先度が一番高く、これらの中で優先順位はなく、同時にエラーが発生した場合には先に発生したエラーを優先して表示する。その次に、入球通過時間異常、入球センサ異常通過に対してエラー表示をし、さらにその次に、電源、扉開放、ガラス検知等に関してエラー表示をするようにしてよい。すなわち、例えば入球通過時間異常や扉開放より後に磁石検知等の優先順位が高いエラーが発生した場合には、優先順位が高いエラーを優先して表示するようにしてもよい。なお、エラー判定がなされた場合には、枠制御基板103は、遊技球の貸出コマンドを受け付けず、貸出を行わないようにしてもよい。
(変形例12)
一般入賞口についてもダブルセンサを用いたエラー判定処理を実行する場合、エラー判定が所定回数(例えば5回)でのエラー報知は、同じセンサで検出している一般入賞口毎にカウントしてもよいし(左右別々にカウントし、それぞれが所定回数に達するとエラー報知)、左右等で別のセンサで検出される一般入賞口についてのエラー判定があわせて5回に達するとエラー報知としてもよい。更に、始動口、拡開式の可変入球口、大入賞口、一般入賞口のエラー回数をまとめてカウントし、所定回数(例えば5回)に達するとエラー報知するようにしてもよい。
(変形例13)
図46〜図48は、変形例にかかるエラー判定処理の流れを示すフローチャートである。図46は遊技制御処理を含む処理全体の概要を示す。図47はサブ基板が実行するエラー判定に関連するコマンド受信処理の要部を示す。図48はサブ基板が実行する異常判定処理の要部を示す。
本変形例においては、遊技機において図46に示す割込処理が実行される。すなわち、メイン基板102は、予め設定(例えば2ms毎)されたタイマ割込の発生に応じて起動される割込処理を実行する。入力処理においては、入力ポートのチェックを実行する(S500)。すなわち、各入賞口への入賞があれば、該当する入力ポートの入力データが切り替わるので、それをチェックする。乱数更新処理においては、抽選にかかる各種乱数をソフトウエア上で生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を実行する(S502)。タイマ減算処理においては、変動時間の計測や開放時間の計測等用セットされたタイマのカウント値を更新する(S504)。
そして、入力処理においては、入力ポートの変化により、入球を判定された内容に応じて予め設定された各種の処理を実行する(S506)。払出制御処理においては、入球処理に合わせて賞球データの加減算処理や、遊技球が払い出される上球皿や下球皿の満タンチェック、遊技球の賞球払い出しや貸出のためのコマンド送受信処理を実行する(S508)。遊技制御処理においては、図16に示したS12〜S17の処理を実行する(S510)。外部端子出力処理においては、エラー報知が行われる場合にそのエラーを示す情報のホールコンピュータへの出力(送信)処理などの外部端子への出力処理を実行する(S512)。サブ制御コマンド送信処理においては、各入球口での入球が検出された場合に、必要に応じてサブ基板104への入球情報の送信処理を実行する(S514)。なお、この処理で図柄変動パターンコマンドや遊技状態コマンドなどの送信処理も併せて行われる。
図47に示すコマンド受信処理において、サブ基板104は、メイン基板102から受信したコマンドが第1入球情報(第1センサの検出情報)であれば(S520のY)、後述する異常カウント後待機中フラグがオンであれば(S522のY)、これをオフにする(S524)。異常カウント後待機中フラグがオフあれば(S522のN)、S524をスキップする。なお、「異常カウント後待機中フラグ」は、一度入賞エラーを判定した際に次に第1センサを検出するまでの間エラーカウントを停止させるためのもので、エラーかウントを1加算してから次に第1センサを検出するまでの間オン状態を維持している。
そして、第1センサでの入球検出を記憶するために設定された入球チェックバッファCnに空きがあれば(S526のY)、その空きに受信フラグをセットするとともに、タイマ情報をセットする(S528)。この入球チェックバッファCnは、例えば7個分(n=0〜6)の情報を記憶可能なバッファとして構成することができる。入球チェックバッファCnに空きがなければ(S526のN)、バッファ番号nを1インクリメントする(S530)。なお、nの初期値はゼロである。このとき、バッファ番号nが上限nmax(本変形例では6)よりも大きければ(S532のY)、球詰まりまたは異常入賞エラーを判定する(S534)。バッファ番号nが上限nmax以下であれば(S532のN)、S526に戻る。なお、上限nmaxは、仮に上述した「ぶどう状態」となった場合に、第1センサと第2センサとの間に連続しうる遊技球の個数(本実施例では5)よりも大きな値が設定されており、通常状態では起こり得ない数が設定されている。なお、バッファの構成としてリングバッファを採用してもよいが、その場合でもバッファの数は第1センサと第2センサとの間に連続しうる遊技球の個数より多く設定される。また、短時間入賞個数異常と判定する数と同数のバッファの数を設定することがより好ましく、これによりバッファの上書き状態が生じた場合でも短時間入賞個数異常により異常状態を検出することが可能となる。
受信したコマンドが第1入球情報ではなく(S520のN)、第2入球情報(第2センサの検出情報)であれば(S536のY)、入球チェックバッファC0に受信フラグがあれば(S538のY)、その入球チェックバッファC0をクリアし(S540)、データを1ビットシフトする。すなわち、入球チェックバッファCnのデータを入球チェックバッファCn-1にシフトする(S542)。入球チェックバッファC0に受信フラグがなければ(S538のN)、異常カウント後待機中フラグがオンでなければ(S544のN)、エラー回数Nを1インクリメントする(S546)。これは、一度異常カウント状態となった場合、以降、次の第1センサ通過までエラーを判断しないようにするためである。異常カウント後待機中フラグがオンであれば(S544のY)、S546の処理をスキップする。受信したコマンドが第2入球情報でもなければ(S536のN)、S538からS546の処理をスキップする。
図48に示す異常判定処理において、サブ基板104は、まず、入球チェックバッファC0に対応するタイマのカウント値を読み込む(S550)。このとき、タイマがタイムアウト(例えば500msの経過によりゼロ)になっていれば(S552のY)、エラー回数Nを1インクリメントする(S554)。そして、入球チェックバッファC0〜Cnをクリアし(S556)、異常カウント後待機中フラグをオンにする(S558)。タイマがタイムアウトになっていなければ(S552のN)、S554からS558の処理をスキップする。なお、S550、S552の判定処理については、全てのタイマがタイムアウトとなったか否かを確認してもよい。
そして、扉14が開放中であれば(S560のY)、異常判定規定値Z(設定回数Nsetに対応)に1(Nset2)をセットし(S562)、開放中でなければ(S560のN)、異常判定規定値Zに5(Nset1)をセットする(S564)。このとき、エラー回数Nが異常判定規定値Z以上であれば(S566のY)、エラーを出力し(S568)、エラー回数Nをリセットする(S570)。エラー回数Nが異常判定規定値Z未満であれば(S566のN)、S568およびS570の処理をスキップする。
このように、本変更例でも第一実施例と同様に異常判定を行うことが可能であり、第四実施例と同様に出荷検査を容易に行うことができる。
以上、幾つかの変更例を例示したが、これらを適宜組み合わせて実施してすることも可能である。
また、上記の各実施例では、入球に基づく利益として遊技球(賞球)を払い出す形態のパチンコ機を例示したが、賞球払出に代わり、電子的な利益管理システムを利用して遊技球の発射・賞球付与管理を行ういわゆる封入式タイプのぱちんこ機にも応用できる。