以下、本発明について、図面を参照して実施の形態(実施例)とともに詳細に説明するが、その前に、まず、本発明の概要について説明する。
なお、以下の説明において参照する全図において、同一機能を有するものは、同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
本発明は、たとえば、アクティブマトリクス方式の液晶表示装置や有機EL表示装置における表示パネルの絶縁基板(絶縁体フィルム)に用いる樹脂材料に関する。
アクティブマトリクス方式の表示装置の表示パネルは、たとえば、TFT素子などの半導体素子、第1の電極、および第2の電極を有する画素がマトリクス状に配置された表示領域を有する。このとき、表示パネルは、通常、2枚の絶縁基板を有し、当該2枚の絶縁基板のうちの1枚の絶縁基板の表面に、たとえば、複数個のTFT素子および複数個の第1の電極がマトリクス状に配置されている。またこのとき、第2の電極は、表示パネルの駆動方法により、半導体素子などが形成された絶縁基板に配置されることもあるし、他方の絶縁基板に配置されることもある。
このような表示パネルを製造するときには、たとえば、絶縁基板の表面に、複数個のTFT素子を形成する工程を有する。TFT素子を形成する際の最高温度は、アモルファスシリコン(a−Si)を用いたTFT素子を形成する場合が300℃前後であり、低温ポリシリコン(LTPS)を用いたTFT素子を形成する場合が500℃前後である。そのため、表示パネルの絶縁基板として樹脂材料でなる絶縁体フィルムを用いる場合、当該絶縁体フィルムには、相応の耐熱性が要求される。
また、表示パネルの絶縁基板として樹脂材料でなる絶縁体フィルムを用いる場合、当該絶縁体フィルムは、無色透明または無色に近い透明であり、可視領域の光の透過率が高いことが望まれる。
またさらに、表示パネルの絶縁基板として樹脂材料でなる絶縁体フィルムを用いる場合、当該絶縁体フィルムには、透湿性や吸湿性が低いことが望まれる。
そして、本願発明者は、上記の条件を満たす樹脂材料の構造について検討した結果、たとえば、下記構造式1で表される単位構造(以下、第1の単位構造という)を複数有するポリイミドであれば、上記の条件を満たすことを見出した。
なお、構造式1におけるX1は、下記構造式2で表されるシクロヘキサンジアミンであり、構造式2におけるRは、単結合または炭素数が1個乃至20個の脂肪族基である。
また、第1の単位構造を複数有するポリイミドは、たとえば、下記構造式5で表される単位構造を複数有するポリアミック酸(樹脂組成物)を脱水、環化して形成する。
なお、構造式5におけるX1は、構造式2で表されるシクロヘキサンジアミンであり、構造式2におけるRは、上記のように、単結合または炭素数が1個乃至20個の脂肪族基である。
第1の単位構造を複数有するポリイミドは、光吸収に大きく寄与する共役のあるイミド基側ではないものの、当該単位構造中に脂環構造を有する。そのため、第1の単位構造を複数有するポリイミドは、ある程度の耐熱性を保ったままで、可視の領域における透明性(可視光の透過率)が高いという特長を有する。
第1の単位構造を複数有するポリイミドを用いて膜厚10μmから300μm程度のフィルムを形成した場合、当該フィルムは、波長400nmから800nmの範囲(可視領域)における光の透過率が85%以上であり、透明である。
また、第1の単位構造を複数有するポリイミドからなるフィルムは、湿度膨張係数が小さく、全芳香族のポリイミドと同等の20ppm/RH%から30ppm/RH%であるという特長を有することがわかった。湿度変化による膨張、収縮の問題は、表示装置(表示パネル)を形成する上では重要な問題であり、湿度膨張係数が小さいものが望まれている。
またさらに、第1の単位構造を複数有するポリイミドからなるフィルムは、水蒸気透過度も比較的小さく、全芳香族のポリイミドと同等の10g/m2/dayから20g/m2/dayであるという特長を有する。
以上のような特長から、構造式1で表される第1の単位構造を複数有するポリイミドからなる絶縁体フィルムは、表示パネルの絶縁基板に適していると言える。
またこのとき、第1の単位構造を複数有するポリイミドを含有する絶縁体フィルムは、重量平均分子量としては、1,000から1,000,000程度のものが望ましい。したがって、構造式5で表される単位構造を複数有するポリアミック酸(樹脂組成物)は、重量平均分子量が、1,000から1,000,000程度であることが望ましい。
また、本願発明者は、第1の単位構造を複数有するポリイミドに、たとえば、下記構造式3で表される単位構造(以下、第2の単位構造という)が含まれていてもよいことを見出した。
また、第2の単位構造を複数有するポリイミドは、たとえば、下記構造式6で表される単位構造を複数有するポリアミック酸(樹脂組成物)を脱水、環化して形成する。
なお、構造式3および構造式6におけるX2は、2価の有機基であり、たとえば、芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン、シロキサンジアミンなどのジアミンが適している。
構造式3および構造式6におけるX2を芳香族ジアミンとする場合、当該X2は、たとえば、 o-フェニレンジアミン、 m-フェニレンジアミン、 p-フェニレンジアミン、 2,3-ジアミノトルエン、 3,4-ジアミノトルエン、 3,4-ジメチル-1,2-フェニレンジアミン、 3,5-ジメチル-1,2-フェニレンジアミン、 3,6-ジメチル-1,2-フェニレンジアミン、 4,5-ジメチル-1,2-フェニレンジアミン、 3,4,5-トリメチル-1,2-フェニレンジアミン、 3,4,6-トリメチル-1,2-フェニレンジアミン、 3,4,5,6-テトラメチル-1,2-フェニレンジアミン、 2,4-ジアミノトルエン、 2,6-ジアミノトルエン、 3,5-ジアミノトルエン、 2,4-ジメチル-1,3-フェニレンジアミン、 2,5-ジメチル-1,3-フェニレンジアミン、 4,5-ジメチル-1,3-フェニレンジアミン、 4,6-ジメチル-1,3-フェニレンジアミン、 2,4,5-トリメチル-1,3-フェニレンジアミン、 2,4,6-トリメチル-1,3-フェニレンジアミン、 4,5,6-トリメチル-1,3-フェニレンジアミン、 2,4,5,6-テトラメチル-1,3-フェニレンジアミン、 3,5-ジアミノトルエン、 2,3-ジメチル-1,4-フェニレンジアミン、 2,6-ジメチル-1,4-フェニレンジアミン、 2,5-ジメチル-1,4-フェニレンジアミン、 2,3,5-トリメチル-1,4-フェニレンジアミン、 2,3,5,6-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミンのいずれかにする。
また、構造式3および構造式6におけるX2を芳香族ジアミンとする場合、当該X2は、たとえば、 2-アミノベンジルアミン、 3-アミノベンジルアミン、 4-アミノベンジルアミン、 3,4,5,6-テトラフルオロ-1,2-フェニレンジアミン、 2,4,5,6-テトラフルオロ-1,3-フェニレンジアミン、 2,3,5,6-テトラフルオロ-1,4-フェニレンジアミン、 3,5-ジヒドロキシ-1,2-フェニレンジアミン、 4,6-ジヒドロキシ-1,3-フェニレンジアミン、 2,4-ジヒドロキシ-1,3-フェニレンジアミン、 2,6-ジヒドロキシ-1,4-フェニレンジアミン、 1,2-ジアミノナフタレン、 1,3-ジアミノナフタレン、 1,4-ジアミノナフタレン、 1,5-ジアミノナフタレン、 1,6-ジアミノナフタレン、 1,7-ジアミノナフタレン、 1,8-ジアミノナフタレン、 2,3-ジアミノナフタレン、 2,5-ジアミノナフタレン、 2,6-ジアミノナフタレン、 2,7-ジアミノナフタレン、 1,2-ジアミノアントラキノン、 1,3-ジアミノアントラキノン、 1,4-ジアミノアントラキノン、 1,5-ジアミノアントラキノン、 1,6-ジアミノアントラキノン、 1,7-ジアミノアントラキノン、 1,8-ジアミノアントラキノン、 2,3-ジアミノアントラキノン、 2,5-ジアミノアントラキノン、 2,6-ジアミノアントラキノン、 2,7-ジアミノアントラキノン、 4,4'-ジアミノ-3,3'-ジメチルビフェニル、 4,4'-ジアミノ-3,5-ジメチルビフェニル、 4,4'-ジアミノ-2,6-ジメチルビフェニル、 4,4'-ジアミノ-3,6-ジメチルビフェニル、 4,4'-ジアミノ-2,2'-ジメチルビフェニル、 4,4'-ジアミノ-2,3'-ジメチルビフェニル、 4,4'-ジアミノ-3,3',5,5'-テトラメチルビフェニル、 4,4'-ジアミノ-2,2',6,6'-テトラメチルビフェニル、 4,4'-ジアミノ-2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、 4,4'-ジアミノオクタフルオロビフェニル、 3,3'-ジアミノ-4,4'-ジヒドロキシビフェニル、 4,4'-ジアミノ-3,3'-ジヒドロキシビフェニル、 4,4'-ジアミノ-2,2'-ジメチル-5,5'-ジヒドロキシビフェニル、 4,4'-ジアミノ-2,2'-(トリフルオロメチル)-5,5'-ジヒドロキシビフェニルのいずれかであってもよい。
また、構造式3および構造式6におけるX2を芳香族ジアミンとする場合、当該X2は、たとえば、 3,3'-ジアミノジフェニルメタン、 3,4'-ジアミノジフェニルメタン、 4,4'-ジアミノジフェニルメタン、 4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、 3,3'-ジアミノジフェニルエーテル、 3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、 ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)エーテル、 ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)エーテル、 ビス(4-アミノ-2-メチル-5-ヒドロキシフェニル)エーテル、 4,4'-ジアミノベンゾフェノン、 3,3'-ジアミノベンゾフェノン、 3,4'-ジアミノベンゾフェノン、 3,4-ジアミノベンゾフェノン、 4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、 3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、 3,4'-ジアミノジフェニルスルホン、 ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、 ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)スルホン、 ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、 ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)プロパン、 ビス(4-アミノ-2-ヒドロキシフェニル)プロパン、 ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、 ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、 1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、 1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、 ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、 4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、 ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、 2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、 ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、 ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、 ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、 ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、 2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、 5,5'-ジメチル-2,2'-スルフォニル-ビフェニル-4,4'-ジアミン、 1,1-ビス(4-アミノフェニル)-シロキサン、 (11S,12S)-9,10-ジヒドロ-9,10-エタノアントラセン-11,12-ジアミン、 (11R,12R)-9,10-ジヒドロ-9,10-エタノアントラセン-11,12-ジアミン、 4,4'-ジアミノ-3,3'-ジメチルジフェニルメタン、 2,2'-エチレンジアニリンのいずれかであってもよい。
また、構造式3および構造式6におけるX2を脂肪族ジアミンとする場合、当該X2は、たとえば、上記の芳香族ジアミンの水添物、イソホロンジアミン、 1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、 1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、 1,3-プロパンジアミン、 1,4-ブタンジアミン、 1,5-ペンタンジアミン、 1,6-ヘキサンジアミン、 1,7-ヘプタンジアミン、 1,8-オクタンジアミン、 1,9-ナノンジアミン、 1,10-デカンジアミン、 1,11-ウンデカンジアミン、 1,12-ドデカンジアミン、 1,2-プロパンジアミン、 1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、 2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、 2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリプロピレンオキサイドジアミン(商品名ジェファーミン 三井化学ファイン株式会社製)のいずれかにする。
また、構造式3および構造式6におけるX2をシロキサンジアミンとする場合、当該X2は、たとえば、ポリジメチルシロキサンジアミン(シリコーンオイルX−22−161AS(アミン当量450), X−22−161A(アミン当量840), X−22−161B(アミン当量1500), X−22−9409(アミン当量700), X−22−1660B−3(アミン当量2200), KF−8010(アミン当量415), LP-7100(ビスアミノプロピルテトラメチルジシロキサン)(以上,信越化学工業株式会社製))のいずれかにする。
また、ポリイミドに第2の単位構造が複数含まれている場合、すべての第2の単位構造におけるX2が同じ構造であってもよいし、X2の構造が異なる複数種類の第2の単位構造が含まれていてもよく、有機溶媒に対する溶剤溶解性と透過率が85%以上であればよい。
またこのとき、第2の単位構造におけるX2は、下記構造式4で表される芳香族ジアミンであることが望ましい。
なお、構造式4におけるZは、−CH2−、−C(CH3)2−、−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−NHCO−、−C(CF3)2−のいずれかの基であることが望ましく、特に、耐熱性の観点では、−SO2−であることが望ましい。
構造式4で表される芳香族ジアミンをポリイミドに含有させると、たとえば、ポリイミドでなる絶縁体フィルムの耐熱性と溶媒への溶解性を調整することができる。しかしながら、そのようなポリイミドは、全芳香族のポリイミド構造であることから、芳香族ジアミンの含有量が多すぎると、400nm付近の短波長領域の光の透過率が低下する。そのため、第2の単位構造の含有量は、第1の単位構造に対して0.1mol%から50mol%であること望ましく、特に、1mol%から40mol%であることが望ましい。また第2の単位構造として、構造式3におけるX2が異なるものを2種類以上用いてもよい。
ところで、第1の基本構造および第2の基本構造は、ポリイミドの前駆体である樹脂組成物(ポリアミック酸)を合成する際に使用するテトラカルボン酸二無水物が、たとえば、4,4'-ヘキサフルオロプロピリデンビスフタル酸二無水物である場合に得られる構造である。しかしながら、本発明に係る樹脂材料では、ポリイミドの前駆体である樹脂組成物(ポリアミック酸)を合成する際に使用するテトラカルボン酸二無水物が、他の構造であってもよい。
本発明に係る樹脂材料を合成する際に使用するテトラカルボン酸二無水物は、たとえば、 4,4'-ビフタル酸無水物、 ジフェニル-2,3,3',4'-テトラカルボン酸二無水物、 ジフェニル-2,2',3,3'-テトラカルボン酸二無水物、 ピロメリット酸二無水物、 3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、 2,2',3,3'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、 2,3,3',4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、 1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、 2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、 1,2,4,5-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、 1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、 3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、 2,2',3,3'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、 2,3,3',4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物のいずれかであってもよい。
また、本発明に係る樹脂材料を合成する際に使用するテトラカルボン酸二無水物は、たとえば、 2,3,5,6-ピリジンテトラカルボン酸二無水物、 3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、 1-トリフルオロメチル-2,3,5,6-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、 2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、 2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、 2,2-ジフェニルプロパン-2,3,3',4'-テトラカルボン酸二無水物、 1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、 1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、 ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、 ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、 2,3,3',4'-ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、 ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、 ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、 2,3,3'4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、 ベンゼン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、 フェナントレン-1,8,9,10-テトラカルボン酸二無水物、 ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、 チオフフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、 ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、 ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、 ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物のいずれかであってもよい。
また、本発明に係る樹脂材料を合成する際に使用するテトラカルボン酸二無水物は、たとえば、 1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、 p-フェニレンビス(トリメリテート無水物)、 エチレンテトラカルボン酸二無水物、 1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、 デカヒドロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、 4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、 シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、 1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、 ビシクロ[2,2,2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、 2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン二無水物、 4,4'-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、 テトラヒドロフラン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、 ビス(エキソビシクロ[2,2,1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸二無水物)スルホン、 5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、 4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物、 4,4'-(4,4'-イソプロピリデンジフェノキシ)-ビス(フタル酸無水物)、 1,2,3,4-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、 ビシクロ[2,2,2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物のいずれかであってもよい。
また、上記の各種のテトラカルボン酸二無水物は、第1の基本構造及び第2の基本構造に示される 2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物と併用してもよいし、複数種類のテトラカルボン酸二無水物を組み合わせて用いてもよく、有機溶媒に対する溶剤溶解性と透過率が85%以上であればよい。
第1の単位構造を複数有するポリイミド、あるいは第1の単位構造を複数有し、かつ第1の単位構造を有するポリイミドは、それぞれ、可溶性のポリイミドであり、ポリイミドの状態でも、たとえば、 N-メチル-2-ピロリドンのような有機溶媒に可溶であるという特長を有する。
そのため、先に有機溶媒中でポリアミック酸の状態からポリイミドへの脱水、環化の工程を行っておき、そのポリイミド溶液を支持体に塗布した後、有機溶媒を含んだポリイミド溶液を加熱して溶媒を除去すれば、支持体上にフィルム状のポリイミドが形成される。すなわち、本発明に関わる樹脂材料(ポリイミド)でなる絶縁体フィルムを形成するときには、あらかじめ脱水、環化をしているポリイミドを用いて形成できるので、たとえば、ポリアミック酸(前駆体)からポリイミドにする際に必要なイミド閉環工程が不要である。そのため、本発明に係る樹脂材料は、絶縁体フィルムを作成する工程での加熱温度が低く、加熱時間も短い時間で済み、絶縁体フィルムの作成に要する時間や労力が少なくて済むという特長を有する。
なお、第1の単位構造を有するポリイミド、あるいは第1の単位構造と第2の単位構造を有するポリイミドでなる絶縁体フィルムを形成するときには、それぞれ、対応するポリアミック酸の状態で支持体に形成した後、加熱して有機溶媒を除去する工程と同時かあるいは逐次的に脱水,環化する工程を行ってポリイミド化することも可能である。
また、第1の単位構造を複数有するポリイミド、または第1の単位構造を複数有し、かつ第2の単位構造を有するポリイミド、あるいはそれらの前駆体(ポリアミック酸)を溶解する有機溶媒は、それらを溶解するものであればよく、特に限定されない。具体的な有機溶媒としては、たとえば、 N,N-ジメチルアセトアミド、 N-メチル-2-ピロリドン、 N,N-ジメチルホルムアミド、 N,N-ジエチルホルムアミド、 N,N-ジエチルアセトアミドなどのアミド系溶媒、ジメチルスルホキシドのようなスルフィド系溶媒、γ-ブチロラクトンのようなラクトン系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。これらの有機溶媒は、たとえば、合成溶媒あるいは希釈溶媒として用いることもでき、単独または混合して使用できる。またさらに、希釈溶媒としては、たとえば、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、メタノール、エタノールなどが挙げられ、これらの希釈溶媒は、単独または混合して使用できる。
液晶表示装置や有機EL表示装置の表示パネルの絶縁基板として、第1の単位構造を有するポリイミド、または第1の単位構造および第2の単位構造を有するポリイミドでなる絶縁体フィルムを用いる場合、当該絶縁体フィルムは、たとえば、以下の手順で形成する。
まず、第1の単位構造を複数有するポリイミドの溶液、または第1の単位構造を複数有し、かつ第2の単位構造を有するポリイミドの溶液、あるいはそれらの脱水、環化前のポリアミック酸(前駆体)の溶液を、支持体に流延する。上記の溶液を支持体に流延する方法としては、たとえば、バーコーター、スリットコーター、ロールコーター、スピンコーターなどを用いる方法が一般的である。またこのとき、支持体は、特に限定はされないが、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂フィルム、または表面を平滑にしたステンレスなどの金属板、あるいはガラス板を用いることができる。
次に、加熱処理を行い、溶液中の有機溶媒を除去する。この加熱処理は、たとえば、150℃から400℃の範囲の温度で行うことが望ましい。また、この加熱処理は、たとえば、窒素雰囲気下あるいは減圧雰囲気下で行うことが望ましい。なお、この加熱処理は、空気中でも行うことは可能であるが、特に、高温で行う場合には、酸化により、得られるフィルムが着色することがあるので、空気中での加熱処理は望ましくない。
また、この加熱処理は、たとえば、樹脂材料(ポリイミド)が分解しない温度であり、かつ、得られた絶縁体フィルムにTFT素子(半導体素子)を形成する際の温度よりも高い温度で行うことが望ましく、具体的には、250℃以上400℃以下の温度で行うことが望ましい。
また、第1の単位構造を有するポリイミド、または第1の単位構造および第2の単位構造を有するポリイミドを、それぞれ、対応するポリアミック酸の状態で先に支持体に形成しておき、加熱処理によりフィルムを形成する場合は,主として有機溶媒を除去する工程と主としてイミド化を行う工程とを二段階の工程として分けてもよく、あるいは一つの工程でそれらを同時に行っても良い。
上記の加熱処理の後、支持体上に残った樹脂体を支持体から分離(剥離)することにより、絶縁体フィルムが形成される。支持体から分離した絶縁体フィルムは、たとえば、フィルム内に残っている溶媒を除去するため、または支持体に保持されていたことによる応力などを緩和させるために、100℃から300℃程度の温度で追加の熱処理をしても良い。この追加の加熱処理は、絶縁体フィルムの酸化(着色)を防ぐために、窒素雰囲気下あるいは減圧雰囲気下で行うことが望ましい。
またさらに、上記の手順で形成した絶縁体フィルムは、表示パネルの絶縁基板として用いる際の価値を付加するために、たとえば、当該絶縁体フィルム(ポリイミドフィルム)をベースフィルムとして用い、必要に応じて、その表裏両面あるいは片面に、ガスバリア層,水蒸気バリア層,ハードコート層,透明導電性層などを形成することもできる。
特許文献1乃至特許文献3などに開示されている透明で耐熱性の高いポリイミド材料は、表示パネルの絶縁基板への適用が期待されるが、前述のように、透湿性や吸湿性が高いという問題がある。
これに対し、本発明による樹脂材料、すなわち第1の単位構造を複数有するポリイミド、または第1の単位構造を複数有し、かつ第2の単位構造を有するポリイミドは、透明で耐熱性が高いとともに、以下で示すように、湿度膨張係数や水蒸気透過度が比較的小さい。そのため、表示パネルの絶縁基板として、本発明に係る樹脂材料でなる絶縁フィルムを用いることで、たとえば、製造過程での吸湿による寸法変動の度合いを低く抑えることができ、半導体素子や第1の電極などの形成位置のずれを軽減することができる。また、表示パネルの絶縁基板として、本発明に係る樹脂材料でなる絶縁フィルムを用いた場合、出来上がった表示装置(表示パネル)に関しても、絶縁基板そのものの水蒸気透過度が比較的低いため、水分の透過が少なく、半導体素子などが劣化しにくくなる。
以下に、本発明による樹脂材料の具体例およびその形成方法に関する実施例と、本発明による樹脂材料を用いた表示装置の一構成例に関する実施例について説明する。
実施例1では、まず、本発明による樹脂材料の形成方法の一例として、たとえば、下記構造式7で表されるポリアミック酸を脱水、環化したポリイミドの形成方法を例に挙げる。
構造式7のポリアミック酸を形成(合成)するときには、まず、たとえば、ディーンスターク還流冷却器、温度計、撹拌器を備えた300mLのセパラブルフラスコを用い、窒素雰囲気下で、4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)75.0mmolを、N-メチル-2-ピロリドン184.7gに溶解する。そして、この溶液に、2,2'-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンニ酸無水物75.0mmolを加え、60℃で1時間攪拌すると、たとえば、透明で粘ちょうなポリアミック酸ワニス(固形分濃度21%)が得られる。
こうして得られたポリアミック酸を用いてポリイミドを形成(合成)するときには、まず、たとえば、ディーンスターク還流冷却器,温度計,撹拌器を備えた300mLのセパラブルフラスコを用い、窒素雰囲気下で、得られたポリアミック酸の N-メチル-2-ピロリドン溶液の温度を180℃に昇温して3時間反応させる。そして、水分定量受器に理論量の水がたまり、水の留出が見られなくなっていることを確認した後、水分定量受器中の水を除去すると、透明で粘ちょうなポリイミドワニス(固形分濃度20%)を得た。このとき、ポリイミドワニスにおける固形部分(すなわちポリイミド)は、下記構造式8で表される構造を有する。
このとき、構造式7で表されるポリイミドフィルム(絶縁体フィルム)を形成方法は、上記のポリイミドワニスを支持基板に塗布して形成する方法と、上記のポリアミック酸ワニスを支持基板に塗布して形成する方法とに大別される。
ポリイミドワニスを支持板に塗布して形成する場合は、まず、たとえば、得られたポリイミドワニスを適当な粘度になるようトルエンで希釈した溶液を、PETフィルムなどの支持基板上に均一に塗布した後、130℃で15分加熱し、乾燥させる。その後、PETフィルム上に残ったフィルム状の樹脂体をPETフィルムから剥離し、フィルム状の樹脂体を、たとえば、200℃で30分加熱すると、ポリイミドフィルムが得られる。なお、フィルム状の樹脂体の加熱は、たとえば、PETフィルムが密着している状態で行ってもよい。
また、ポリアミック酸ワニスを支持板に塗布して形成する場合は、まず、たとえば、得られたポリアミック酸ワニスを適当な粘度になるように、ガラスやSiウエハなどの支持基板上に均一に塗布した後、120℃で5分加熱し、乾燥させる。その後、そのままの状態で、たとえば、窒素雰囲気下において200℃で30分加熱し、続けて350℃で60分加熱すると、支持基板上のポリアミック酸が環化してポリイミドフィルムが得られる。
また、本願発明者は、上記のポリアミック酸の合成方法と同様の合成方法により、ジアミンとして、上記の 4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルアミン) に加え、対応するジアミンを入れて、下記構造式9乃至構造式13で表される5種類のポリアミック酸を合成した。
そして、本願発明者は、構造式9乃至構造式19で表される5種類のポリアミック酸から、下記構造式14乃至構造式18で表される5種類のポリイミドを合成し、それを用いたポリイミドフィルムを形成した。
なお、構造式14で表されるポリイミドは、構造式9で表されるポリアミック酸を脱水、環化して得られるポリイミドである。また、構造式15で表されるポリイミドは、構造式10で表されるポリアミック酸を脱水、環化して得られるポリイミドである。また、構造式16で表されるポリイミドは、構造式11で表されるポリアミック酸を脱水、環化して得られるポリイミドである。また、構造式17で表されるポリイミドは、構造式12で表されるポリアミック酸を脱水、環化して得られるポリイミドである。また、構造式18で表されるポリイミドは、構造式13で表されるポリアミック酸を脱水、環化して得られるポリイミドである。
また、本願発明者が上記の手順でポリアミック酸およびポリイミドを形成(合成)したときの、テトラカルボン酸二無水物の種類、単位構造におけるX1,X2の種類、およびそれらのmol比、ならびに重量平均分子量は、下記表1の通りである。
なお、表1において、材料A−1は構造式7のポリアミック酸、材料A−2は構造式9のポリアミック酸、材料A−3は構造式10のポリアミック酸、材料A−4は構造式11のポリアミック酸、材料A−5は構造式12のポリアミック酸、材料A−6は構造式13のポリアミック酸である。また、表1において、材料B−1は構造式8のポリイミド、材料B−2は構造式14のポリイミド、材料B−3は構造式15のポリイミド、材料B−4は構造式16のポリイミド、材料B−5は構造式17のポリイミド、材料B−6は構造式18のポリイミドである。
また、表1において、6FDAは 2,2'-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンニ酸無水物、MBCHAは 4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、DDSは 4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、DDEは 4,4'-ジアミノジフェニルエーテルBAPHFは 2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、LP7100は ビスアミノプロピルテトラメチルジシロキサン(LP7100は信越化学工業株式会社の製品名)、KF8010は変性シリコーンオイル(KF8010は信越化学工業株式会社の製品名)である。
またこのとき、表1に示した材料A−1乃至材料A−6の溶液を支持基板に塗布してポリイミドフィルムを形成した場合、および表1に示した材料B−1乃至材料B−6の溶液を支持基板に塗布してポリイミドフィルムを形成した場合の、それぞれのポリイミドフィルムの膜厚、透過率、3%重量減少温度、ガラス転移温度Tg、湿度膨張係数CHE(Coefficient of Humidity Expansion)、水蒸気透過度、吸水率は、下記表2のようになった。
なお、表2において、フィルム形成方法の丸で囲んだ1は、上記のポリイミドワニスを支持基板に塗布してポリイミドフィルムを形成する方法であり、丸で囲んだ2は、ポリアミック酸ワニスを支持基板に塗布し、支持基板上でポリアミック酸の脱水、環化を行ってポリイミドフィルムを形成する方法である。
また、表2において、材料B−1乃至材料B−6、および材料A−1乃至材料A−6は、それぞれ、表1における材料B−1乃至材料B−6、および材料A−1乃至材料A−6である。
また、ポリイミドフィルムの透過率は、紫外可視分光光度計V-550(日本分光(株)製)により測定しており、表2には、波長400nmの光の透過率および波長600nmの光の透過率を示している。
また、3%重量減少温度は、たとえば、材料を加熱していったときの重量が、あらかじめ定められた温度(たとえば、室温)での重量の3%分だけ減少する温度である。3%重量減少温度は、熱重量分析/示差走査熱分析により行い、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製TG/DTA−6200型を用いて、窒素気流下で、室温から600℃まで昇温速度10℃/分で加熱しながら各ポリイミドフィルムの重量変化を測定した。
また、ガラス転移温度Tgは、熱機械分析により行い、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製TMA-120型を用いて、30℃から300℃まで昇温速度5℃/分で加熱しながら、10gの荷重による引張りモードで測定を行い、熱膨張係数の変化が見られた温度からガラス転移点Tgを算定した。
また、湿度膨張係数CHEは、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製TMA−6100型 湿度制御TMAを用いて、サンプル幅2mm×10mm、荷重10gにて、25℃で0%RHの環境下に8時間保持した後、相対湿度50%RHの環境下に3時間保持し、さらに相対湿度90%RHに3時間保持したときの各サンプル(ポリイミドフィルム)の面積の変化から算出した。
また、水蒸気透過度は、LYSSY社製 L80-5000型 水蒸気透過度計を用いて、11cm角のフィルムサンプルを直径10cmのOリングで挟んで測定を行った。
また、本願発明者は、本発明による構造式8、および構造式14乃至構造式18で表されるポリイミドフィルムの物性と比較するために、下記構造式19および構造式20で表されるポリイミドを用いて、厚さ100μmのポリイミドフィルムを作成した。
このとき、それぞれのポリイミドフィルムにおける透過率、3%重量減少温度、ガラス転移温度Tg、湿度膨張係数CHE、水蒸気透過度、吸水率を測定すると、下記表3のような結果が得られた。
なお、表3において、材料C−1は、構造式19で表される構造を有するポリイミドフィルムであり、材料C−2は、構造式20で表される構造を有するポリイミドフィルムである。
またこのとき、それぞれの測定は、材料B−1乃至材料B−6、および材料A−1乃至材料A−6を用いて作成したポリイミドフィルムと同じ装置、同じ条件で行っている。
表2に示したように、構造式8、および構造式14乃至構造式18で表されるポリイミドフィルムは、可視領域の光の透過率が80%以上である。すなわち、構造式8、および構造式14乃至構造式18で表されるポリイミドフィルムは、構造式19および構造式20で表されるポリイミドフィルムに比べて、若干透過率が低いものの、表示パネルの絶縁基板として許容できる透過率を有する。
また、構造式8、および構造式14乃至構造式18で表されるポリイミドフィルムは、3%重量減少温度が350℃以上であり、ガラス転移温度も240℃以上である。すなわち、構造式8、および構造式14乃至構造式18で表されるポリイミドフィルムは、構造式19および構造式20で表されるポリイミドフィルムに比べて、若干ガラス転移温度Tgが低いものの、表示パネルの絶縁基板として許容できる耐熱性を有する。
また、構造式8、および構造式14乃至構造式18で表されるポリイミドフィルムは、湿度膨張係数CHE、水蒸気透過率、および吸水率が、構造式19および構造式20で表されるポリイミドフィルムに比べて非常に小さい。
したがって、構造式8、および構造式14乃至構造式18で表されるポリイミドフィルム、すなわち実施例1の絶縁体フィルムは、表示パネルの絶縁基板に適していると言える。
また、本願発明者は、上記の各ポリイミドフィルムに加え、下記構造式19で表されるポリイミドでなる厚さが50μmのポリイミドフィルムを作成した。
このとき、構造式19で表される構造を有するポリイミドフィルムは、耐熱性については良好であったが、見た目の色が黄色あるいは褐色であった。したがって、液晶表示装置や有機EL表示装置のように光を利用して映像や画像を表示(可視化)する表示装置の表示パネルに用いる絶縁基板の材料としては、不適当であるといえる。
以上説明したように、実施例1のポリイミドまたは前駆体であるポリアミック酸(樹脂組成物)を用いて形成したポリイミドフィルムは、透明で耐熱性が高く、かつ、従来の一般的なポリイミドフィルムに比べて透湿性や吸湿性が非常に低い。すなわち、実施例1のポリイミドは、透明で耐熱性の高いポリイミドフィルムの透湿性や吸湿性を低減することができる。
また、実施例1のポリイミドの製造方法は、基本的には、従来のポリイミドと同様の製造方法である。そのため、実施例1のポリアミック酸(樹脂組成物)を用いることにより、透明で耐熱性が高く、かつ、透湿性や吸湿性が低いポリイミドフィルムを容易に形成することができる。
したがって、実施例1のポリイミドを用いて作成したポリイミドフィルムは、たとえば、液晶表示装置や有機EL表示装置の表示パネルに用いる絶縁基板に適用できる可能性が非常に高い。
なお、実施例1では、本発明によるポリイミドのうちの、構造式8、および構造式14乃至構造式18で表される6種類のポリイミドを挙げているが、これに限らず、実施例1の前に述べたような構造を有するポリイミドであれば、実施例1で挙げたポリイミドと同様の特長(物性)を有することはもちろんである。
図1は、本発明による実施例2の表示装置の概略構成を示す模式図である。
実施例1および実施例1の前に例示した構造を有するポリイミド、すなわち第1の単位構造を有するポリイミド、または第1の単位構造および第2の単位構造を有するポリイミドは、透明で耐湿性が高く、かつ、透湿性や吸湿性が従来の一般的なポリイミドに比べて低いという特長がある。そのため、これらのポリイミドは、たとえば、アクティブマトリクス方式の液晶表示装置や有機EL表示装置における表示パネルの絶縁基板(絶縁体フィルム)として用いることができる。
アクティブマトリクス方式の有機EL表示装置は、たとえば、図1に示すように、複数本の走査信号線GLおよび複数本の映像信号線DLを有する表示パネル1と、複数本の映像信号線DLに映像信号(階調電圧)を加える第1の駆動回路2と、複数本の走査信号線に走査信号を加える第2の駆動回路3と、第1の駆動回路2および第2の駆動回路3の動作を制御する制御回路4とを有する。
また、図1では省略しているが、表示パネル1の表示領域DAには、TFT素子、第1の電極、および第2の電極を有する画素がマトリクス状に配置されている。このとき、それぞれの画素の第1の電極は、TFT素子のソースに接続している。また、それぞれの画素のTFT素子は、ドレインが映像信号線DLに接続しており、ゲートが走査信号線GLに接続している。また、第2の電極は、通常、複数の画素で共有されている。
図2(a)および図2(b)は、有機EL表示装置の表示パネルにおける1つの画素の概略構成の一例を示す模式図である。
図2(a)は、有機EL表示装置の表示パネルにおける1つの画素の平面構成の一例を示す模式平面図である。図2(b)は、図2(a)のA−A’線における断面構成の一例を示す模式断面図である。
有機EL表示装置の表示パネルは、たとえば、図2(a)および図2(b)に示すように、第1の絶縁基板SUB1と、第2の絶縁基板SUB2とを有し、当該2枚の絶縁基板SUB1,SUB2の間に、走査信号線GL、映像信号線DL、TFT素子5、第1の電極6、第2の電極7、発光層8などが配置されている。このとき、走査信号線GL、映像信号線DL、TFT素子5、第1の電極6、第2の電極7、発光層8などは、第1の絶縁基板SUB1の表面上に形成されている。
従来の有機EL表示装置の表示パネルは、第1の絶縁基板SUB1および第2の絶縁基板SUB2として、たとえば、ガラス基板を用いている。これに対し、実施例2の有機EL表示装置の表示パネルでは、第1の絶縁基板SUB1および第2の絶縁基板SUB2として、たとえば、実施例1で挙げた構造式8、および構造式14乃至構造式18のうちのいずれかの構造を有するポリイミドフィルム(絶縁体フィルム)を用いる。
第1の絶縁基板SUB1の表面(第2の絶縁基板SUB2と対向する面)には、第1のバリア層9a、下地層10が積層されており、下地層10の上には、TFT素子5の半導体層5aと、半導体層5aを覆う第1の絶縁層11が形成されている。また、第1の絶縁基板SUB1の裏面には第2のバリア層9bが形成されている。
第1のバリア層9aおよび第2のバリア層9bは、第1の絶縁基板SUB1からの水分あるいは酸素の侵入を回避させるための保護膜であり、たとえば、酸窒化シリコン(SiON)、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiNx)、ポリシリラザン、有機材料、SOGのうちのいずれか、あるいはそれらの材料からなる膜を積層して形成されている。
本発明のポリイミドを用いたポリイミドフィルムは、実施例1で説明したように、湿度膨張係数や水蒸気透過度が比較的小さい。そのため、第1のバリア層9aおよび第2のバリア層9bと組み合わせることにより、第1の絶縁基板SUB1の吸湿量や第1の絶縁基板SUB1を透過する水分量などを低いレベルに抑えることができる。
また、下地層10は、たとえば、酸化シリコン膜や窒化シリコンなどで形成されている。半導体層5aは、たとえば、ポリシリコン(p−Si)で形成されている。ポリシリコンでなる半導体層5aを形成する場合、当該ポリシリコンは、通常、下地層10の上に形成(成膜)したアモルファスシリコンにレーザを照射し、溶融、結晶化させて形成する。このとき、下地層10は、アモルファスシリコンをポリシリコン化する際に第1の絶縁基板SUB1がダメージを受けるのを防ぐための保護膜として機能する。したがって、第1のバリア層9aが当該保護膜の役割を果たす場合、下地層10は無くてもよい。
また、第1の絶縁層11は、TFT素子のゲート絶縁膜としての機能を有し、たとえば、酸化シリコンで形成されている。
第1の絶縁層11の上には、走査信号線GLおよび保持容量線12と、走査信号線GLおよび保持容量線12を覆う第2の絶縁層13が形成されている。このとき、走査信号線GLは、その一部が半導体層5aと重畳しており、TFT素子5のゲート電極としての機能を有する。走査信号線GLおよび保持容量線12は、たとえば、アルミニウムなどの金属で形成されている。第2の絶縁層13は、たとえば、酸化シリコンまたは窒化シリコン(SiN)などで形成されている。
第2の絶縁層13の上には、映像信号線DLおよびTFT素子5のソース電極5bと、映像信号線DLおよびソース電極5bを覆う第3の絶縁層14が形成されている。映像信号線DLは、第1の絶縁層11および第2の絶縁層13を貫通する第1のコンタクトホール(図示しない)により半導体層5aのドレイン領域に接続しており、TFT素子のドレイン電極としての機能を有する。ソース電極5bは、第1の絶縁層11および第2の絶縁層13を貫通する第2のコンタクトホール(図示しない)により半導体層5aのソース領域に接続している。また、ソース電極5bは、保持容量線12と重畳する部分を有する。映像信号線DLおよびソース電極5bは、たとえば、アルミニウムなどの金属で形成されている。第3の絶縁層14は、たとえば、酸化シリコンまたは窒化シリコンなどで形成されている。
第3の絶縁層の上には、第1の電極6と、第4の絶縁層15(以下、バンク層という)が形成されている。第1の電極6は、第3の絶縁層14に設けられた第3のコンタクトホール(図示しない)によりソース電極5bに接続している。バンク層15は、第1の電極6のうちのあらかじめ定められた領域が露出する第4のコンタクトホールCHを有する格子状の絶縁層である。第1の電極6は、たとえば、ITOやIZOなどの透明な導電体で形成されている。バンク層15は、たとえば、窒化シリコンなどの有機絶縁体で形成されている。
バンク層15の上および第4のコンタクトホールCHの内部には、発光層8、第2の電極7、保護膜16が形成されている。発光層8は、たとえば、有機EL材料などの、第1の電極6と第2の電極7との間に所定の電位差が生じると発光する材料で形成されている。第2の電極7は、たとえば、アルミニウムなどの金属で形成されている。保護膜16は、たとえば、酸化シリコンまたは窒化シリコンなどで形成されている。
そして、保護膜16の上には、第2の絶縁基板SUB2が配置されている。第2の絶縁基板SUB2には、たとえば、第1の絶縁基板SUB1と同じ構造のポリイミドフィルムを用いる。
なお、図2(b)に示した断面図では、第1の絶縁基板SUB1の膜厚H1および第2の絶縁基板SUB2の膜厚H2よりも、その間に形成される回路層の厚さH3が厚くなっているが、実施例2の表示パネルでは、回路層の厚さH3よりも、第1の絶縁基板SUB1の膜厚H1および第2の絶縁基板SUB2の膜厚H2のほうが厚い。実施例2の表示パネルにおいて、第1の絶縁基板SUB1の膜厚H1および第2の絶縁基板SUB2の膜厚H2は、たとえば、50μm程度であり、回路層の厚さH3は、たとえば、数十〜数百nm程度である。
図1、図2(a)、および図2(b)に示したような構成を有する有機EL表示装置の動作は、従来の有機EL表示装置における動作と同じ動作でよいので、有機EL表示装置の動作に関する詳細な説明は省略する。
図2(a)および図2(b)に示した構成は、ボトムエミッション型と呼ばれる有機EL表示装置の表示パネルにおける1つ画素の構成の一例である。このとき、第1の電極6と第2の電極7との間の電位差(電界)により発光層8が発した光17は、第1の絶縁基板SUB1側から表示パネルの外部に出射する。
実施例2の表示パネルは、第1の絶縁基板SUB1および第2の絶縁基板SUB2として、実施例1およびその前で述べた構造を有するポリイミドフィルムを用いている。そのため、絶縁基板としてガラス基板を用いている従来の表示パネルに比べて、薄型化、軽量化が可能である。したがって、実施例2の有機EL表示装置は、薄型化、軽量化が可能である。
また、実施例2の表示パネルは、第1の絶縁基板SUB1および第2の絶縁基板SUB2として、湿度膨張係数や水蒸気透過率が比較的低いポリイミドフィルムを用いている。またさらに、実施例2の表示パネルでは、第1の絶縁基板SUB1の表面および裏面に、それぞれ、第1のバリア層9aおよび第2のバリア層9bを形成している。そのため、実施例2の表示パネルは、第1の絶縁基板SUB1の吸湿や、第1の絶縁基板SUB1を透過して内部の回路層に進入した水分または酸素によるTFT素子などの劣化が起こりにくい。
図3(a)乃至図3(d)は、実施例2の表示パネルの製造方法の一例を示す模式図である。
図3(a)は、第1の絶縁基板の形成する工程を示す模式図である。図3(b)は、回路層を形成する工程を示す模式図である。図3(c)は、第2の絶縁基板を貼り合わせる工程を示す模式断面図である。図3(d)は、支持基板を剥離する工程を示す模式図である。
実施例2の表示パネルを製造するときには、まず、たとえば、図3(a)に示すように、支持基板18の表面に、第1の絶縁基板SUB1を形成する。支持基板18には、たとえば、厚さH4が1mm程度のガラス基板を用いる。また、第1の絶縁基板SUB1は、たとえば、実施例1で説明したように、支持基板18の表面にポリアミック酸の溶液またはポリイミドの溶液を塗布した後、加熱処理を行って溶剤を除去して形成する。またこのとき、第1の絶縁基板SUB1の厚さH1は、たとえば、20μm〜50μm程度にする。
なお、支持基板上に形成するポリイミドフィルムは、実施例1またはその前で説明したように、構造式1で表される第1の単位構造を有するポリイミドフィルム、または第1の単位構造および構造式3で表される第2の単位構造を有するポリイミドフィルムであることはもちろんである。
次に、たとえば、図3(b)に示すように、第1の絶縁基板SUB1の表面に、第1のバリア層9a、下地層10、および半導体層5aから第2の電極7までの回路層、ならびに保護膜16を形成する。
第1のバリア層9aは、たとえば、酸窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、ポリシリラザン膜、有機材料膜、SOG膜のうちのいずれか1つの膜、あるいはいくつかの膜を積層して積層膜にする。これらの材料でなる膜は、スパッタ法、CVD法、イオンプレーティング法、塗布法などによって成膜(形成)することができ、それぞれ、350℃以下で成膜されるようになっている。
また、下地層10から保護膜16までについては、従来の表示パネルの製造方法における形成方法と同じ方法で形成することができる。そのため、下地層10から保護膜16までの形成方法(手順)についての詳細な説明は省略する。
ところで、下地層10から保護膜16までを形成する工程において、最も高温で行われる工程は、通常、TFT素子5の半導体層5aを形成する工程である。特に、半導体層5aを低温ポリシリコンで形成する場合、最高温度は500℃前後に達する。しかしながら、第1の絶縁基板SUB1は、実施例1で説明したように耐熱性が高いポリイミド(樹脂材料)で形成されているので、半導体層5aを形成する工程にも耐え、たとえば、分解による変質や、溶融または軟化による膜厚の変動などの発生を防ぐことができる。
また、下地層10から保護膜16までを形成する工程のなかには、たとえば、フォトリソグラフィー技術を利用してエッチングレジストを形成する工程、当該エッチングレジストを利用して金属膜または絶縁膜をエッチングする工程、および当該エッチングレジストを除去する工程がある。
従来のポリイミド系の樹脂材料には、たとえば、プリント配線板の絶縁基板として用いられるものもあり、エッチング液、レジストの現像液および剥離液に対する耐性(耐薬品性)も高い。そのため、基本的には従来のポリイミドと同様の構造である、本発明のポリイミドも、相応の耐薬品性を有する。したがって、第1の絶縁基板SUB1は、エッチングなどの薬品を使った処理を行う工程における変質なども起こらない。
また、第1の絶縁基板SUB1は、湿度膨張係数や水蒸気透過度が比較的小さく、かつ、吸湿への寄与が大きい主面には、第1のバリア層9aおよび支持基板18が密着している。そのため、第1の絶縁基板SUB1は、下地層10から保護膜16までを形成する工程における湿度に対する膨張、収縮を抑えることができ、湿度の変化にともなう寸法変動を抑えることができる。またさらに、第1の絶縁基板SUB1が支持基板18に密着した状態で下地層10から保護膜16までを形成するので、温度に対する膨張、収縮を抑えることができ、湿度の変化にともなう寸法変動を抑えることができる。したがって、下地層10から保護膜16までを形成する工程では、各種の配線やTFT素子などの形成位置のずれを低減できる。
またさらに、第1の絶縁基板SUB1自体は、柔軟性が高いポリイミドフィルムであるが、下地層10から保護膜16までを形成する工程では、従来の表示パネルの絶縁基板に相当する支持基板18(ガラス基板)が密着した状態で行われる。したがって、第1の絶縁基板SUB1がポリイミドフィルムであっても、下地層10から保護膜16までを形成する工程は、絶縁基板がガラス基板である従来の表示パネルを製造するときに使用する製造装置で行うことができる。
第1の絶縁基板SUB1の表面上に保護膜16まで形成したら、次に、たとえば、図3(c)に示すように、保護膜16の上に第2の絶縁基板SUB2を貼り合わせる。第2の絶縁基板SUB2は、たとえば、第1の絶縁基板SUB1と同じ構造を有するポリイミドの溶液またはその前駆体(ポリアミック酸)の溶液を別の支持基板に塗布し、加熱処理をした後、当該別の支持基板から剥離して形成する。
次に、たとえば、図3(d)に示すように、第1の絶縁基板SUB1から支持基板18を剥離する。支持基板18を剥離するときには、たとえば、支持基板18側から、波長248nmのレーザ光、波長308nmのレーザ光を照射し、支持基板18と第1の絶縁基板SUB1との密着度を低下させる。このようにすることで、支持基板18を容易に剥離することができるとともに、支持基板18、第1の絶縁基板SUB1、TFT素子5などの破損を防ぐことができる。なお、支持基板18を剥離するときには、たとえば、直接、機械的に剥離してもよい。
次に、第1の絶縁基板SUB1の裏面、すなわち支持基板18と密着していた面に第2のバリア層9bを形成すると、図2(b)に示した断面構造を有する表示パネルが得られる。第2のバリア層9bは、第1のバリア層9aと同様の方法で形成すればよい。
このように、実施例2の表示パネルは、支持基板18の表面に第1の絶縁基板SUB1および第1のバリア層9aを形成する工程、支持基板18を剥離する工程、第2のバリア層9bを形成する工程などがあるものの、基本的には、従来の表示パネルと同様の手順で形成することができる。そのため、薄型で軽量な表示パネル(有機EL表示装置)を容易に製造することができる。
また、実施例2では、本発明のポリイミドでなる絶縁体フィルムを用いた表示パネルの一例として、図2(a)および図2(b)に示したようなボトムエミッション型の有機EL表示装置を挙げている。しかしながら、本発明のポリイミドでなる絶縁体フィルムは、これに限らず、たとえば、第2の電極7をITOまたはIZOなどの透明な導電体で形成し、発光層8で発した光が、第2の電極7および第2の絶縁基板SUB2を通って表示パネルの外側に出射する有機EL表示装置の表示パネルの絶縁基板として用いることもできる。
またさらに、本発明のポリイミドでなる絶縁体フィルムは、有機EL表示装置の表示パネルの絶縁基板に限らず、たとえば、液晶表示装置の表示パネルの絶縁基板などにも用いることができる。
以上説明したように、実施例2の表示装置によれば、たとえば、有機EL表示装置や液晶表示装置などのフラットパネルディスプレイのさらなる薄型化、軽量化が可能になる。
また、実施例2の表示装置は、第1の絶縁基板SUB1および第2の絶縁基板SUB2が柔らかいので、たとえば、表示面を任意の曲面にした表示装置などの実現の可能性が高まると考えられる。
また、実施例2の表示パネル(表示装置)の製造方法によれば、ポリイミドでなる絶縁基板の表面に形成される各種の配線や半導体素子などの形成位置のずれを低減でき、たとえば、各画素における電気的な特性のばらつきを低減できる。そのため、表示装置の画質を向上させることができる。
以上、本発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であることはもちろんである。
たとえば、前記実施例2では、本発明のポリイミドでなる絶縁フィルムを用いた電子装置の一例として、表示装置を挙げているが、本発明のポリイミドでなる絶縁フィルムは、これに限らず、種々の電子装置の絶縁基板として用いることができる。