JP2021172734A - ポリイミド前駆体、ポリイミド樹脂組成物、並びにポリイミド樹脂フィルム及びその製造方法 - Google Patents

ポリイミド前駆体、ポリイミド樹脂組成物、並びにポリイミド樹脂フィルム及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】芳香族エステルジアミンの側鎖の特定の位置に置換基を有するジアミンを用い、残留応力が低く、そりが少なく、黄色度が小さく、曇り度(Haze値)が小さいポリイミド樹脂フィルム及びその製造方法を提供する。【解決手段】(a1)下記一般式(1):{式中、Xは、4価の有機基を表し、R1〜R4はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基、水素、若しくはハロゲンを表し、但しR1〜R4の少なくとも一つが炭素数1〜20の1価の有機基若しくはハロゲンである。}で表される構造単位Mを含む、ポリイミド前駆体。【選択図】なし

Description

本発明は、例えば、フレキシブルデバイスのための基板の製造に用いられる、ポリイミド前駆体、ポリイミド樹脂組成物、並びにポリイミド樹脂フィルム及びその製造方法に関する。
一般に、高耐熱性が要求される用途には、樹脂フィルムとしてポリイミド樹脂のフィルムが用いられる。一般的なポリイミド樹脂は、芳香族カルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを溶液重合することによりポリイミド前駆体を製造した後、これを高温で熱イミド化して、又は、触媒を用いて化学イミド化して、製造される高耐熱樹脂である。
ポリイミド樹脂は、不溶、不融の超耐熱性樹脂であり、耐熱酸化性、耐熱特性、耐放射線性、耐低温性、耐薬品性等に優れた特性を有している。このため、ポリイミド樹脂は、電子材料を含む広範囲な分野で用いられている。電子材料分野におけるポリイミド樹脂の適用例としては、例えば絶縁コーティング材、絶縁膜、半導体、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ(TFT−LCD)の電極保護膜等を挙げることができる。最近は、ディスプレイ材料の分野において従来使用されていたガラス基板に代わり、その軽さ、柔軟性を利用したフレキシブル基板としても採用が検討されている。
ポリイミド樹脂を、フレキシブル基板として用いる場合には、例えばガラス基板等の適当な支持体上に、ポリイミド樹脂又はその前駆体、及びその他の成分を含有するワニスを塗布、乾燥させてフィルムとし、該フィルムに素子、回路等を形成した後に、ガラス基板からフィルムを剥離する工程が広く用いられている。しかしながら、ポリイミド樹脂を有する積層体を製造するときには、ポリイミド前駆体の乾燥及びイミド化のために、250℃以上の高温における加熱処理を有する。この加熱処理により、前記積層体に残留応力が発生し、反り、剥離等の深刻な問題が生じる。これは、前記の支持体を構成する材料と比べ、ポリイミドの線膨張係数が大きいためである。
前記積層体における残留応力を低減させるため、熱膨張係数がガラスと同程度まで小さいポリイミド樹脂を用いることが検討されており、熱膨張係数の小さいポリイミド材料としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンとから形成されるポリイミドが最もよく知られている。膜厚及び作製条件に依存するものの、このポリイミドは非常に低い線熱膨張係数を示すことが報告されている(非特許文献1)。
また、分子差中にエステル構造を有するポリイミドが、適度な直線性及び剛直性を有するため、低い線膨張係数を示すことが報告されている(特許文献1)。
しかし、上記の文献に記載されたポリイミドを含め、一般的なポリイミド樹脂は、高い電子密度により茶色又は黄色に着色するため、可視光線領域における光透過率が低く、したがって透明性が要求される分野に用いることは困難であった。フィルムの黄色度については、例えば脂環式構造を有するモノマーを用いたポリイミド(特許文献2)、又は、トリフルオロメチル基を有するモノマーを用いたポリイミド(特許文献3)が、極めて低い黄色度を示すことが知られている。
国際公開第2005/113647号 国際公開第2019/211972号 国際公開第2017/073782号
「最新ポリイミド −基礎と応用−」、日本ポリイミド研究会編
ところで、ポリイミド樹脂を無色透明フレキシブル基板として適用するためには、透明性のほかに、優れた伸度、破断強度などの機械物性も求められている。特に最近では、TFTのデバイスタイプがLTPS(低温ポリシリコンTFT)になることに伴い、従来以上の熱履歴においても、上記の物性を発揮するフィルムが望まれている。しかし、公知の透明ポリイミドの物性特性は、ディスプレイ用の耐熱性無色透明基板として用いるのに十分ではなく、本発明者が確認したところ、特許文献1に記載されているポリイミド樹脂組成物は350℃以上のLTPS工程で使用するには耐熱性が不十分であることが分かった。
さらに、公知の技術思想として、透明性を達成するためには、特許文献2に記載されているように、芳香環を持たない脂環式の酸二無水物、若しくはジアミンを用いること、又は、特許文献3に記載されているように、嵩高く分子内のねじれを誘起する官能基を持つジアミン(例えば、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、以下TFMBとも記す)を用いることで、分子内CT遷移を抑制する方法が知られている。しかしながら、本発明者が確認したところ、特許文献2及び3に記載されたポリイミド樹脂組成物は耐熱性に乏しく、LTPS工程の430℃以上の熱履歴では黄色度が著しく悪化することが分かった。
本発明は、上記の課題を解決し、芳香族エステルジアミンの側鎖の特定の位置に置換基を有するジアミンを用い、残留応力が低く、そりが少なく、黄色度が小さく、曇り度(Haze値)が小さいポリイミド樹脂フィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を包含する。
[1] (a1)下記一般式(1):
Figure 2021172734

{式中、Xは、4価の有機基を表し、R1〜R4はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基、水素、若しくはハロゲンを表し、但しR1〜R4の少なくとも一つが炭素数1〜20の1価の有機基若しくはハロゲンである。}
で表される構造単位Mを含む、ポリイミド前駆体。
[2] R1がフルオロ基であり、R2〜R4が水素である、上記態様1に記載のポリイミド前駆体。
[3] R1がメチル基であり、R2〜R4が水素である、上記態様1に記載のポリイミド前駆体。
[4] R1及びR2がメチル基であり、R3及びR4が水素である、上記態様1に記載のポリイミド前駆体。
[5] R1及びR2がフルオロ基であり、R3及びR4が水素である、上記態様1に記載のポリイミド前駆体。
[6] R1及びR3がメチル基であり、R2及びR4が水素である、上記態様1に記載のポリイミド前駆体。
[7] 前記一般式(1)中のXが、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4,4’−ビフェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA)、及びシクロペンタノンビススピロノルボルナンテトラカルボン酸二無水物(CpODA)からなる群から選択される少なくとも1種に由来する4価の基である、上記態様1〜6のいずれかに記載のポリイミド前駆体。
[8] (a2)下記一般式(2):
Figure 2021172734

{式中、Xは、4価の有機基を表し、Yは、下記一般式(A−1)〜(A−5):
Figure 2021172734

Figure 2021172734

Figure 2021172734

Figure 2021172734

Figure 2021172734

(式中、R5〜R12及びR15〜R16はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基、若しくはハロゲンを表し、R13及びR14はそれぞれ独立に、トリフルオロメチル基、若しくはフルオロ基を表し、a〜jは、0〜4の整数であり、*は結合部を表す。)で表される2価の有機基からなる群から選択される少なくとも1種である。}
で表される構造単位Nを含む、上記態様1〜7のいずれかに記載のポリイミド前駆体。
[9] 前記一般式(1)で表される構造単位Mと、前記一般式(2)で表される構造単位Nとを、1/99≦(構造単位Mのモル数/構造単位Nのモル数)≦99/1、で含む、上記態様8に記載のポリイミド前駆体。
[10] 前記一般式(2)中のXが、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4,4’−ビフェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA)、及びシクロペンタノンビススピロノルボルナンテトラカルボン酸二無水物(CpODA)からなる群から選択される少なくとも1種に由来する4価の基である、上記態様9に記載のポリイミド前駆体。
[11] (a)上記態様1〜10のいずれかに記載のポリイミド前駆体と、(b)有機溶媒と、を含む、樹脂組成物。
[12] さらに、(c)界面活性剤、及び(d)アルコキシシラン化合物、からなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記態様11に記載の樹脂組成物。
[13] 上記態様1〜10のいずれかに記載のポリイミド前駆体、或いは上記態様11又は12に記載の樹脂組成物から得られるポリイミドフィルム。
[14] 下記一般式(3):
Figure 2021172734

{式中、Xは、4価の有機基を表し、R1〜R4はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基、水素、若しくはハロゲンを表し、但しR1〜R4の少なくとも一つが炭素数1〜20の1価の有機基若しくはハロゲンである。}
で表される構造単位を含む、ポリイミド。
[15] 下記一般式(4):
Figure 2021172734

{式中、Xは、4価の有機基を表し、R1〜R4はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基、水素、若しくはハロゲンを表し、但しR1〜R4の少なくとも一つが炭素数1〜20の1価の有機基若しくはハロゲンであり、Yは、2価の有機基を表し、m及びnはそれぞれ独立に、1以上の整数を表し、但し1/99≦n/m≦99/1を満たす。}
で表される構造単位を含む、ポリイミド。
[16] 支持体の表面上に、上記態様11又は12に記載の樹脂組成物を塗布することにより塗膜を形成する工程と、
前記支持体及び前記塗膜を加熱することにより、前記塗膜に含まれるポリイミド前駆体をイミド化してポリイミド樹脂膜を形成する工程と、
前記ポリイミド樹脂膜を前記支持体から剥離する工程と、
を含む、樹脂フィルムの製造方法。
[17] 前記ポリイミド樹脂膜を前記支持体から剥離する工程に先立って、前記支持体側からレーザーを照射する工程を行う、上記態様16に記載の樹脂フィルムの製造方法。
[18] 支持体の表面上に、上記態様11又は12に記載の樹脂組成物を塗布することにより塗膜を形成する工程と、
前記支持体及び前記塗膜を加熱することにより、前記塗膜に含まれるポリイミド前駆体をイミド化してポリイミド樹脂膜を形成する工程と、
を含む、積層体の製造方法。
[19] 支持体の表面上に、上記態様11又は12に記載の樹脂組成物を塗布することにより塗膜を形成する工程と、
前記支持体及び前記塗膜を加熱することにより、前記塗膜に含まれるポリイミド前駆体をイミド化してポリイミド樹脂膜を形成する工程と、
前記ポリイミド樹脂膜上に素子又は回路を形成する工程と、
前記素子又は回路が形成されたポリイミド樹脂膜を前記支持体から剥離する工程と、
を含む、ディスプレイ基板の製造方法。
本発明の一態様に係るポリイミド前駆体及び樹脂組成物から得られるポリイミド樹脂フィルムは、残留応力が低く、そりが少なく、黄色度が小さく、曇り度(Haze値)が小さいという利点を有し得る。
本実施形態のディスプレイの例として、トップエミッション型フレキシブル有機ELディスプレイの、ポリイミド基板より上部の構造を示す模式図である。
以下、本発明の例示の実施の形態(以下、「本実施形態」と略記する。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。また、本開示で記載する特性値は、特記がない限り、[実施例]の項において記載する方法又はこれと同等であることが当業者に理解される方法で測定される値であることを意図する。
<ポリイミド前駆体>
本開示の第一の実施形態は、
(a1)下記一般式(1):
Figure 2021172734

{式中、Xは、4価の有機基を表し、R1〜R4はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基、水素、若しくはハロゲンを表し、但しR1〜R4の少なくとも一つが炭素数1〜20の1価の有機基若しくはハロゲンである。}
で表される構造単位Mを含む、ポリイミド前駆体を提供する。
第一の実施形態に係るポリイミド前駆体は、ポリイミドフィルムとしたときに残留応力が低く、反りが少なく、黄色度(YI値)が小さい。また、第一の実施形態に係るポリイミド前駆体は、ポリイミドフィルムとしたときに、高温領域での黄色度(YI値)が小さく、曇り度(Haze値)が小さい。
上記一般式(1)中、Xは、4価の有機基であり、ポリイミド前駆体中に存在する複数のXは互いに同一であっても異なっていてもよい。Xとしては、下記のテトラカルボン酸二無水物に由来する4価の有機基が例示される。
上記のテトラカルボン酸二無水物としては、炭素数が8〜36の芳香族テトラカルボン酸二無水物、炭素数が6〜36の脂肪族テトラカルボン酸二無水物、及び炭素数が6〜36の脂環式テトラカルボン酸二無水物を例示することができる。この中で、高温領域での黄色度の観点から炭素数が8〜36の芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましい。ここでいう炭素数には、カルボキシル基に含まれる炭素の数も含む。
上記の炭素数が8〜36の芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(以下、6FDAとも記す)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−シクロヘキセン−1,2ジカルボン酸無水物、ピロメリット酸二無水物(以下、PMDAとも記す)、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAとも記す)、3,3’,4,4’―ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(以下、DSDAとも記す)、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、メチレン−4,4ジフタル酸二無水物、1,1−エチリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,2−エチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−トリメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,4−テトラメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(以下、ODPAとも記す)、p−フェニレンビス(トリメリテート酸無水物)(以下、TAHQとも記す)チオ−4,4’−ジフタル酸二無水物、スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−ビス(3,−ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,3−ビス[2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン二無水物、1,4−ビス[2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン二無水物、ビス[3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、2,2−ビス[3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジメチルシラン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等を例示することができる。
炭素数が6〜50の脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えばエチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物等を;
炭素数が6〜36の脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタノンビススピロノルボルナンテトラカルボン酸二無水物(以下、CpODAとも記す)、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、カルボニル−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、メチレン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−12−ジカルボン酸)二無水物、1,2−エチレン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,1−エチリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、2,2−プロピリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、オキシ−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、チオ−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、スルホニル−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、rel−[1S,5R,6R]−3−オキサビシクロ[3,2]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’ジオン)、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、エチレングリコール−ビス−3,4−ジカルボン酸無水物フェニル)エーテル等が、それぞれ挙げられる。
好ましい一態様において、Xは、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4,4’−ビフェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA)、及びシクロペンタノンビススピロノルボルナンテトラカルボン酸二無水物(CpODA)からなる群から選択される少なくとも1種に由来する。
線膨張係数(CTE)、耐薬品性、ガラス転移温度(Tg)、及び高温領域での黄色度のバランスの観点から、PMDA、BPDA、DSDA、TAHQ、ODPA、CpODAが好ましく、BPDA、TAHQがより好ましい。
本実施形態におけるポリイミド前駆体は、その性能を損なわない範囲で、前述のテトラカルボン酸二無水物に加えてジカルボン酸を使用して得られたものでもよい。このような前駆体を使用することにより、得られるフィルムにおいて、機械伸度の向上、ガラス転移温度の向上、黄色度の低減等の諸性能を調整することができる。そのようなジカルボン酸として、芳香環を有するジカルボン酸及び脂環式ジカルボン酸が挙げられる。特に炭素数が8〜36の芳香族ジカルボン酸、及び炭素数が6〜34の脂環式ジカルボン酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物が好ましい。ここでいう炭素数には、カルボキシル基に含まれる炭素の数も含む。これらのうち、芳香環を有するジカルボン酸が好ましい。
具体的には、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−ビフェニルジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−スルホニルビス安息香酸、3,4’−スルホニルビス安息香酸、3,3’−スルホニルビス安息香酸、4,4’−オキシビス安息香酸、3,4’−オキシビス安息香酸、3,3’−オキシビス安息香酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシフェニル)プロパン、2,2’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ジメチル−3,3’−ビフェニルジカルボン酸、9,9−ビス(4−(4−カルボキシフェノキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−カルボキシフェノキシ)フェニル)フルオレン、4,4’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,4’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,4’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,3’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,3’−ビス(3―カルボキシフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)−p−ターフェニル、4,4’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)−m−ターフェニル、3,4’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)−p−ターフェニル、3,3’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)−p−ターフェニル、3,4’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)−m−ターフェニル、3,3’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)−m−ターフェニル、4,4’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)−p−ターフェニル、4,4’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)−m−ターフェニル、3,4’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)−p−ターフェニル、3,3’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)−p−ターフェニル、3,4’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)−m−ターフェニル、3,3’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)−m−ターフェニル、1,1−シクロブタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸、1,3−フェニレン二酢酸、1,4−フェニレン二酢酸等;及び
国際公開第2005/068535号パンフレットに記載の5−アミノイソフタル酸誘導体等が挙げられる。これらジカルボン酸をポリマーに実際に共重合させる場合には、塩化チオニル等から誘導される酸クロリド体、活性エステル体等の形で使用してもよい。
一態様において、上記一般式(1)で表される構造単位のジアミン由来部位は、下記一般式(Y−1):
Figure 2021172734

{式中、R1〜R4はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基、水素、若しくはハロゲンを表し、但しR1〜R4の少なくとも一つが炭素数1〜20の1価の有機基若しくはハロゲンである。}
で表されるジアミンに由来する。
一般式(1)及び(Y−1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基、水素、若しくはハロゲンであれば限定されない。このような有機基として、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、トリフルオロメチル基などのハロゲン含有基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、若しくはフルオロ基などのハロゲン基が挙げられる。この中で、高温領域でのYIの観点から、メチル基及びフルオロ基が好ましい。
好ましい一態様においては、R1がフルオロ基であり、R2〜R4が水素である。
また、好ましい一態様においては、R1及びR2がメチル基であり、R3及びR4が水素である。
また、好ましい一態様においては、R1及びR2がフルオロ基であり、R3及びR4が水素である。
また、好ましい一態様においては、R1及びR3がメチル基であり、R2及びR4が水素である。
上記した位置に置換基を有することにより、上記ジアミンと酸二無水物とから得られるポリイミドにおいて、ジアミンと酸二無水物との分子内捻じれを引き起こし、ポリイミド分子内のCT遷移を抑制することが出来、結果として、ポリイミドフィルムの着色を抑えることが出来る。さらに、ポリイミド分子間のπ−π相互作用を抑制し、分子の配向を抑制することが出来、ポリイミドフィルムの曇り度(Haze値)を小さくすることが出来る。また、上記した位置に電子吸引性の置換基を有することにより、イミド窒素を含む芳香環部分に局在化したπ軌道に由来する最高被占軌道(HOMO)を安定化することが出来、結果として、ポリイミドの着色を抑えることが出来る。
一般式(Y−1)で表されるジアミンとして、より具体的には、4−アミノ−3−フルオロフェニル−4’−アミノベンゾエート(以下、3−F−APABとも記す)、4−アミノ−3,5−ジフルオロフェニル−4’−アミノベンゾエート、4−アミノ−3−フルオロフェニル−4’−アミノ−3’−フルオロベンゾエート、4−アミノ−3−メチルフェニル−4’−アミノベンゾエート(以下、3−Me−APABとも記す)、4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル−4’−アミノベンゾエート(以下、3,5−2Me−APABとも記す)、4−アミノ−3−メチルフェニル−4’−アミノ−3’−メチルベンゾエート(以下、3,3’−2Me−APABとも記す)、などが好ましい化合物として例示される。
好ましい態様において、ポリイミド前駆体は、
(a2)下記一般式(2):
Figure 2021172734

{式中、Xは、4価の有機基を表し、Yは、下記一般式(A−1)〜(A−5):
Figure 2021172734

Figure 2021172734


Figure 2021172734

Figure 2021172734

Figure 2021172734

(式中、R5〜R12及びR15〜R16はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基、若しくはハロゲンを表し、R13及びR14はそれぞれ独立に、トリフルオロメチル基、若しくはフルオロ基を表し、a〜jは、0〜4の整数であり、*は結合部を表す)で表される2価の有機基からなる群から選択される少なくとも1種である。}で表される構造単位Nを含む。
一般式(2)中、Xは、好ましくは、炭素数6〜36の4価の有機基である。一態様において、一般式(2)中のXは、一般式(1)中のXについて前述で例示したのと同様のテトラカルボン酸二無水物に由来する4価の有機基であってよい。
一般式(2)中のY2の構造は、一態様において、下記一般式(B−1):
Figure 2021172734

で表されるジアミン(APAB:4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート)に由来する。
一般式(2)中のY2の構造は、一態様において、下記一般式(B−2):
Figure 2021172734

{式中、R5及びR6はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基、若しくはハロゲンを表し、そしてa及びbはそれぞれ独立に、0〜4の整数である。}
で表されるジアミンに由来する。
ここで、R5及びR6はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基、若しくはハロゲンであれば限定されない。このような有機基として、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、トリフルオロメチル基などのハロゲン含有基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、などが挙げられる。この中で、高温領域でのYIの観点から、メチル基が好ましい。
ここで、a及びbはそれぞれ独立に、0〜4の整数であれば限定されない。この中で、YI、及び残留応力の観点から0〜2の整数が好ましく、高温領域でのYIの観点から、0が特に好ましい。
一般式(B−2)で表されるジアミンとして、より具体的には、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(以下、44DASとも示す)、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンなどを例示することができる。
一般式(2)中のY2の構造は、一態様において、下記一般式(B−3):
Figure 2021172734

{式中、R7〜R10はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基、若しくはハロゲンを表し、c〜fはそれぞれ独立に、0〜4の整数である。)
で表されるジアミンに由来する。
ここで、R7〜R10はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基、若しくはハロゲンであれば限定されない。このような有機基として、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、トリフルオロメチル基などのハロゲン含有基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、などが挙げられる。この中で、高温領域でのYIの観点から、メチル基が好ましい。
ここで、c〜fはそれぞれ独立に、0〜4の整数であれば限定されない。この中で、黄色度(YI値)、及び残留応力の観点から0〜2の整数が好ましく、高温領域での黄色度(YI値)の観点から、0が特に好ましい。
一般式(B−3)で表されるジアミンとして、より具体的には、9,9−ビス(アミノフェニル)フルオレン(以下、BAFLとも示す)、9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン等を例示することができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することが好ましい。
一般式(2)中のY2の構造は、一態様において、下記一般式(B−4):
Figure 2021172734

{式中、R11及びR12はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基、若しくはハロゲンを表し、R13及びR14はそれぞれ独立に、トリフルオロメチル基若しくはフルオロ基を表し、g及びhはそれぞれ独立に、0〜4の整数である。}
で表されるジアミンに由来する。
ここで、R11及びR12はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基、若しくはハロゲンであれば限定されない。このような有機基として、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、トリフルオロメチル基などのハロゲン含有基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、などが挙げられる。この中で、高温領域でのYIの観点から、メチル基が好ましい。
ここで、g及びhはそれぞれ独立に、0〜4の整数であれば限定されない。この中で、YI、及び残留応力の観点から0〜2の整数が好ましく、高温領域での黄色度(YI値)の観点から、0若しくは1が特に好ましい。
一般式(B−4)で表されるジアミンとして、より具体的には、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(以下、TFMBとも示す)、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジフルオロビフェニル(以下、FFMBとも記す)等を例示することができる。
一般式(2)中のY2の構造は、一態様において、下記一般式(B−5):
Figure 2021172734

{式中、R15及びR16はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基、若しくはハロゲンを表し、そしてi及びjはそれぞれ独立に、0〜4の整数である。}
で表されるジアミンに由来する。
ここで、R15及びR16は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基、若しくはハロゲンであれば限定されない。このような有機基として、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、トリフルオロメチル基などのハロゲン含有基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、フルオロ基などが挙げられる。この中で、高温領域でのYIの観点から、メチル基若しくはフルオロ基が好ましい。
ここで、i及びjはそれぞれ独立に、0〜4の整数であれば限定されない。この中で、YI、及び残留応力の観点から0〜2の整数が好ましく、高温領域でのYIの観点から、0が特に好ましい。
一般式(B−5)で表されるジアミンとして、より具体的には、4,4’−ジアミノベンズアニリド(以下、DABANとも記す)などを例示することができる。
本実施形態に係るポリイミド前駆体には、上記一般式(1)で表される構造単位Mと、上記一般式(2)で表される構造単位Nとを、1/99≦(構造単位Mのモル数/構造単位Nのモル数)≦99/1の比率で含むことが出来る。(構造単位Mのモル数/構造単位Nのモル数)比の下限は、5/95でもよく、10/90でもよく、20/80でもよく、30/70でもよく、40/60でもよい。(構造単位Mのモル数/構造単位Nのモル数)比の上限は、95/5でもよく、90/10でもよく、80/20でもよく、70/30でもよく、60/40でもよい。
本実施形態におけるポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)は、10,000〜300,000が好ましく、30,000〜200,000が特に好ましい。重量平均分子量が10,000以上であると、伸度、破断強度等の機械的特性に優れ、残留応力が低く、YIが低くなる。重量平均分子量が300,000以下であると、ポリアミド酸の合成時に重量平均分子量をコントロールし易くなり、適度な粘度の樹脂組成物を得ることができ、樹脂組成物の塗布性が良くなる。本開示において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCともいう)を用いて、標準ポリスチレン換算値として求められる値である。
本実施形態におけるポリイミド前駆体の、分子量1,000未満の分子の含有量は、ポリイミド前駆体の全量に対して、5質量%未満であることが好ましく、1質量%未満であることが更に好ましい。このようなポリイミド前駆体を用いて得られる樹脂組成物から形成されるポリイミドフィルムは残留応力が低く、該ポリイミドフィルム上に形成した無機膜のHazeが低くなるとの観点から、好ましい。ポリイミド前駆体の全量に対する分子量1,000未満の分子の含有量は、該ポリイミド前駆体を溶解した溶液を用いてGPC測定を行って得られるピーク面積から算出することができる。
<ポリイミド>
本開示の第二の実施形態は、
下記一般式(3):
Figure 2021172734

{式中、Xは、4価の有機基を表し、R1〜R4はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基、水素、若しくはハロゲンを表し、但しR1〜R4の少なくとも一つが炭素数1〜20の1価の有機基若しくはハロゲンである。}
で表される構造単位を含むポリイミドを提供する。
一般式(3)中、X、及びR1〜R4の例は、一般式(1)において前述したX、及びR1〜R4の例と同様であってよい。
Xとしては、CTE、耐薬品性、ガラス転移温度(Tg)、及び高温領域での黄色度(YI値)のバランスの観点から、PMDA、BPDA、DSDA、TAHQ、ODPA、及びCpODAが好ましく、BPDA、及びTAHQがより好ましい。
第一の実施形態におけるポリイミド前駆体及び第二の実施形態におけるポリイミドは、それぞれ、伸度、強度、応力、レーザー剥離性及び黄色度等を損なわない範囲で、前述した一般式(B−1)〜(B−5)及び(Y−1)で表されるジアミン、の他に、その他のジアミンを用いることができる。
その他のジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、等を挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することが好ましい。全ジアミン中の、上記その他ジアミンの含有量は、20モル%以下が好ましく、10モル%以下が特に好ましい。
[ポリイミド前駆体の製造]
本実施形態のポリイミド前駆体(具体的にはポリアミド酸)は、テトラカルボン酸二無水物と、前述の一般式(1)で表される構造単位に用いられるジアミン(例えば3−F−APAB)と、前述の一般式(2)で表される構造単位に用いられるジアミン(例えば44DAS)とを、重縮合反応させることにより、合成することができる。この反応は、適当な溶媒中で行うことが好ましい。具体的には、例えば、溶媒に所定量のAPAB及び44DASを溶解させた後、得られたジアミン溶液に、テトラカルボン酸二無水物を所定量添加し、撹拌する方法が挙げられる。
ジアミン成分中、一般式(1)で表される構造単位に用いられるジアミンと、一般式(2)で表される構造単位に用いられるジアミンとのモル比(すなわち、(一般式(2)で表される構造単位を形成するジアミンのモル数)/(一般式(1)で表される構造単位を形成するジアミンのモル数))は1/99〜99/1であれば限定されない。例えば、ジアミン成分中、一般式(1)で表される構造単位に用いられるジアミンが50モル%以上であれば、ポリイミドフィルムの残留応力が良好な傾向にあり、一般式(2)で表される構造単位に用いられるジアミンが50モル%以上であれば、得られるポリイミドフィルムの曇り度(Haze値)が良好な傾向にある。上記モル比の下限は、5/95でもよく、10/90でもよく、20/80でもよく、30/70でもよく、40/60でもよい。上記モル比の上限は、95/5でもよく、90/10でもよく、80/20でもよく、70/30でもよく、60/40でもよい。
本実施形態のポリイミド前駆体を合成する際の、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分との比(モル比)は、得られる樹脂フィルムの熱線膨張率、残留応力、伸度、及び黄色度(YI値)を所望の範囲にコントロールするとの観点から、テトラカルボン酸二無水物:ジアミン=100:90〜100:110(テトラカルボン酸二無水物1モル部に対してジアミン0.90〜1.10モル部)の範囲とすることが好ましく、100:95〜100:105(酸二無水物1モル部に対してジアミン0.95〜1.05モル部)の範囲とすることが更に好ましい。
本実施形態において、好ましいポリイミド前駆体であるポリアミド酸を合成する際には、分子量を、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分との比の調整、及び末端封止剤の添加によってコントロールすることが可能である。酸二無水物成分とジアミン成分との比が1:1に近いほど、及び末端封止剤の使用量が少ないほど、ポリアミド酸の分子量を大きくすることができる。
テトラカルボン酸二無水物成分及びジアミン成分として、高純度品を使用することが推奨される。その純度としては、それぞれ、98質量%以上とすることが好ましく、99質量%以上とすることがより好ましく、99.5質量%以上とすることが更に好ましい。複数種類の酸二無水物成分又はジアミン成分を併用する場合には、酸二無水物成分又はジアミン成分の全体として上記の純度を有していれば足りるが、使用する全種類の酸二無水物成分及びジアミン成分が、それぞれ上記の純度を有していることが好ましい。なお、例えば、一般式(1)で表される構造単位の形成に使用されるジアミンが、一般式(2)で表される構造単位の形成に使用されるジアミンを含んでいてもよい。
反応の溶媒としては、テトラカルボン酸二無水物成分及びジアミン成分、並びに生じたポリアミド酸を溶解することができ、高分子量の重合体が得られる溶媒であれば特に制限はされない。このような溶媒の具体例としては、例えば、非プロトン性溶媒、フェノ−ル系溶媒、エーテル及びグリコ−ル系溶媒等が挙げられる。これらの具体例としては、前記非プロトン性溶媒として、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−メチルカプロラクタム、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチル尿素、エクアミドM100(商品名:出光興産社製)、及びエクアミドB100(商品名:出光興産社製)等のアミド系溶媒;
γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒;
ヘキサメチルホスホリックアミド、ヘキサメチルホスフィントリアミド等の含りん系アミド系溶媒;
ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;
シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン系溶媒;
ピコリン、ピリジン等の3級アミン系溶媒;
酢酸(2−メトキシ−1−メチルエチル)等のエステル系溶媒
等が:
前記フェノ−ル系溶媒として、例えば、フェノ−ル、o−クレゾ−ル、m−クレゾ−ル、p−クレゾ−ル、2,3−キシレノ−ル、2,4−キシレノ−ル、2,5−キシレノ−ル、2,6−キシレノ−ル、3,4−キシレノ−ル、3,5−キシレノ−ル等が:
前記エ−テル及びグリコ−ル系溶媒として、例えば、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エ−テル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エ−テル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等が、
それぞれ挙げられる。
ポリアミド酸の合成に用いられる溶媒の常圧における沸点は、60℃〜300℃が好ましく、140℃〜280℃がより好ましく、170℃〜270℃が特に好ましい。溶媒の沸点が300℃より高いと、乾燥工程が長時間必要となる。一方で溶媒の沸点が60℃より低いと、乾燥工程中に、樹脂膜の表面における荒れの発生、樹脂膜中への気泡の混入等が起こり、均一なフィルムが得られない場合がある。
このように、好ましくは沸点が170℃〜270℃であり、より好ましくは20℃における蒸気圧が250Pa以下である溶媒を使用することが、溶解性及び塗工時エッジはじきの観点から好ましい。より具体的には、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンから成る群より選択される1種以上を使用することが好ましい。溶媒中の水分含量は、3,000質量ppm以下が好ましい。これらの溶媒は、単独で又は2種類以上混合して用いてもよい。
前述のように、本実施形態におけるポリイミド前駆体は、分子量1,000未満の分子の含有量が5質量%未満であることが好ましい。ポリイミド前駆体中に、この分子量1,000未満の分子が存在するのは、合成時に使用する溶媒の水分量が関与しているためと考えられる。すなわち、一部の酸二無水物モノマーの酸無水物基が水分によって加水分解してカルボキシル基になり、高分子量化することなく低分子の状態で残存することによると考えられる。従って、上記の重合反応に使用する溶媒の水分量は、可及的に少ない方がよい。このような観点から、溶媒の水分量は、3,000質量ppm以下とすることが好ましく、1,000質量ppm以下とすることがより好ましい。
溶媒の水分量は、使用する溶媒のグレード(脱水グレード、汎用グレード等)、溶媒容器(ビン、18L缶、キャニスター缶等)、溶媒の保管状態(希ガス封入の有無等)、開封から使用までの時間(開封後すぐ使用するか、開封後経時した後に使用するか等)等が関与すると考えられる。また、合成前の反応器の希ガス置換、合成中の希ガス流通の有無等も関与すると考えられる。従って、ポリイミド前駆体の合成時には、原料として高純度品を用い、水分量の少ない溶媒を用いるとともに、反応前及び反応中に系内に環境からの水分が混入しないような措置を講ずることが推奨される。
溶媒中に各モノマー成分を溶解させるときには、必要に応じて加熱してもよい。
ポリイミド前駆体合成時の反応温度は、0℃〜120℃とすることが好ましく、より好ましくは40℃〜100℃であり、更に好ましくは60℃〜100℃である。この温度で重合反応を行うことにより、重合度の高いポリイミド前駆体が得られる。重合時間は、1〜100時間とすることが好ましく、2〜10時間とすることがより好ましい。重合時間を1時間以上とすることによって均一な重合度のポリイミド前駆体となり、100時間以下とすることによって重合度の高いポリイミド前駆体を得ることができる。
本実施形態の好ましい態様において、ポリイミド前駆体は以下の特性を有する。
ポリイミド前駆体を溶媒(例えばN−メチル−2−ピロリドン)に溶解して得られる溶液を支持体の表面に塗布した後、該溶液を窒素雰囲気下(例えば酸素濃度2,000質量ppm以下の窒素中)、300℃〜550℃(例えば430℃)で加熱(例えば1時間)することによって該ポリイミド前駆体をイミド化して得られる樹脂において、10μm膜厚における黄色度が20以下であり、曇り度(Haze値)が0.5以下である。
ポリイミド前駆体を溶媒(例えばN−メチル−2−ピロリドン)に溶解して得られる溶液を支持体の表面に塗布した後、該溶液を窒素雰囲気下(例えば酸素濃度2,000質量ppm以下の窒素中)、300℃〜550℃(例えば430℃)で加熱(例えば1時間)することによって該ポリイミド前駆体をイミド化して得られる樹脂において、残留応力が25MPa以下である。
本実施形態の好ましい態様において、前記ポリイミド前駆体は、その一部がイミド化されていてもよい。この場合のイミド化率は、80%以下とすることが好ましく、50%以下とすることがより好ましい。この部分イミド化は、上記のポリイミド前駆体を加熱して脱水閉環することにより得られる。この加熱は、好ましくは120℃〜200℃であり、より好ましくは150℃〜180℃の温度において、好ましくは15分〜20時間であり、より好ましくは30分〜10時間行うことができる。
また、上述の反応によって得られたポリアミド酸に、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール又はN,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタールを加えて加熱し、カルボン酸の一部又は全部をエステル化したうえで、本実施形態における(a)ポリイミド前駆体として用いることにより、室温保管時の粘度安定性が向上された樹脂組成物を得ることもできる。これらエステル変性ポリアミド酸は、他に、上述の酸二無水物成分を、酸無水物基に対して1当量の1価のアルコール、及び塩化チオニル、ジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤と順次に反応させた後、ジアミン成分と縮合反応させる方法によっても得ることができる。
<樹脂組成物>
本発明の別の態様は、前述した(a)ポリイミド前駆体及び(b)有機溶媒を含有する樹脂組成物を提供する。この樹脂組成物は、典型的にはワニスである。
[(a)ポリイミド前駆体]
樹脂組成物中の(a)ポリイミド前駆体は、前述した本開示のポリイミド前駆体であってよい。樹脂組成物における(a)ポリイミド前駆体(好ましくはポリアミド酸)の割合は、塗膜形成性の観点から3〜50質量%が好ましく、5〜40質量%が更に好ましく、8〜30質量%が特に好ましい。
[(b)有機溶媒]
(b)有機溶媒は、前述した(a)ポリイミド前駆体及び任意的に使用されるその他の成分を溶解できるものであれば特に制限はない。このような(b)有機溶媒としては、(a)ポリイミド前駆体の合成時に用いることのできる溶媒として上述したものを用いることができる。好ましい有機溶媒も、上記と同様である。本実施形態の樹脂組成物における(b)有機溶媒は、(a)ポリイミド前駆体の合成に用いられる溶媒と同一でも異なってもよい。
(b)有機溶媒は、樹脂組成物の固形分濃度が3〜50質量%となる量とすることが好ましい。また、樹脂組成物の粘度(25℃)が、500mPa・s〜100,000mPa・sとなるように、(b)有機溶媒の構成及び量を調整したうえで、加えることが好ましい。
[その他の成分]
本実施形態の樹脂組成物は、上記(a)及び(b)成分の他に、(c)界面活性剤、(d)アルコキシシラン化合物等を、更に含有していてもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、(a)ポリイミド前駆体と、(b)有機溶媒と、(c)界面活性剤及び(d)アルコキシシラン化合物からなる群から選択される少なくとも1種と、を含む。
ポリイミド前駆体の骨格としては、第一及び第二の実施形態において前述した骨格を例示できる。一態様において、ポリイミド前駆体の骨格は、前述の一般式(1)で表される構造単位を有する骨格であってよい。
[(c)界面活性剤]
本実施形態の樹脂組成物に、界面活性剤を含有させることによって、該樹脂組成物の塗布性を向上することができる。具体的には、塗工膜におけるスジの発生を防ぐことができる。
このような界面活性剤としては、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、これら以外の非イオン界面活性剤等を挙げることができる。これらの例としては、シリコーン系界面活性剤として、例えば、オルガノシロキサンポリマーKF−640、642、643、KP341、X−70−092、X−70−093、(以上、商品名、信越化学工業社製)、SH−28PA、SH−190、SH−193、SZ−6032、SF−8428、DC−57、DC−190(以上、商品名、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、SILWET L−77、L−7001、FZ−2105、FZ−210、FZ−2154、FZ−2164、FZ−2166、L−7604(以上、商品名、日本ユニカー社製)、DBE−814、DBE−224、DBE−621、CMS−66、CMS−222、KF−352A、KF−354L、KF−355A、KF−600、DBE−821、DBE−712(Gelest)、BYK−307、BYK−30、BYK−378、BYK−333(以上、商品名、ビックケミー・ジャパン製)、グラノール(商品名、共栄社化学社製)等が;
フッ素系界面活性剤として、例えば、メガファックF171、F173、R−08(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名)、フロラードFC4430、FC4432(住友スリーエム株式会社、商品名)等が;
これら以外の非イオン界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレンウラリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等が、それぞれ挙げられる。
これらの界面活性剤の中でも、樹脂組成物の塗工性(スジ抑制)の観点から、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤が好ましく、キュア工程時の酸素濃度によるYI値及び全光線透過率への影響の観点から、シリコーン系界面活性剤が好ましい。(c)界面活性剤を用いる場合、その配合量は、樹脂組成物中の(a)ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.001〜5質量部が好ましく、0.01〜3質量部がより好ましい。
[(d)アルコキシシラン化合物]
本実施形態に係る樹脂組成物から得られる樹脂フィルムを、フレキシブルデバイス等の製造プロセスにおいて支持体との間に十分な密着性を示すものとするために、該樹脂組成物は、(a)ポリイミド前駆体100質量部に対して、アルコキシシラン化合物を0.01〜20質量部、含有することができる。ポリイミド前駆体100質量部に対するアルコキシシラン化合物の含有量が0.01質量部以上であることにより、支持体との間に良好な密着性を得ることができる。またアルコキシシラン化合物の含有量が20質量部以下であることが、樹脂組成物の保存安定性の観点から好ましい。アルコキシシラン化合物の含有量は、ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.02〜15質量部であることがより好ましく、0.05〜10質量部であることが更に好ましく、0.1〜8質量部であることが特に好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物の添加剤としてアルコキシシラン化合物を用いることにより、上記の密着性の向上に加えて、更に樹脂組成物の塗工性を向上(スジムラ抑制)するとともに、得られる硬化膜のYI値のキュア時酸素濃度依存性を低下させることができる。
アルコキシシラン化合物としては、例えば、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリブトキシシラン、γ−アミノエチルトリエトキシシラン、γ−アミノエチルトリプロポキシシラン、γ−アミノエチルトリブトキシシラン、γ−アミノブチルトリエトキシシラン、γ−アミノブチルトリメトキシシラン、γ−アミノブチルトリプロポキシシラン、γ−アミノブチルトリブトキシシラン、フェニルシラントリオール、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシ(p−トリル)シラン、ジフェニルシランジオール、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジメトキシジ−p−トリルシラン、トリフェニルシラノール等を挙げることができ、これらから選択される1種以上を使用することが好ましい。
本実施形態における樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、以下の方法によることができる。
(a)ポリイミド前駆体を合成した際に用いた溶媒と、(b)有機溶媒とが同一の場合には、合成したポリイミド前駆体溶液をそのまま樹脂組成物とすることができる。また、必要に応じて、室温(25℃)〜80℃の温度範囲で、ポリイミド前駆体に(b)有機溶媒及びその他の成分の1種以上を添加して、攪拌混合したうえで、樹脂組成物として用いてもよい。この攪拌混合は、撹拌翼を備えたスリーワンモータ(新東化学株式会社製)、自転公転ミキサー等の適宜の装置を用いることができる。また必要に応じて40℃〜100℃の熱を加えてもよい。
一方、(a)ポリイミド前駆体を合成した際に用いた溶媒と、(b)有機溶媒とが異なる場合には、合成したポリイミド前駆体溶液中の溶媒を、例えば再沈殿、溶媒留去等の適宜の方法により除去して(a)ポリイミド前駆体を単離した後に、室温〜80℃の温度範囲で、(b)有機溶媒及び必要に応じてその他の成分を添加して、攪拌混合することにより、樹脂組成物を調製してもよい。
上述のように樹脂組成物を調製した後、該組成物溶液を例えば130℃〜200℃において例えば5分〜2時間加熱することにより、ポリマーが析出を起こさない程度にポリイミド前駆体の一部を脱水イミド化してもよい。ここで、加熱温度及び加熱時間をコントロールすることにより、イミド化率を制御することができる。ポリイミド前駆体を部分イミド化することにより、樹脂組成物の室温保管時の粘度安定性を向上させることができる。イミド化率の範囲としては、5%〜70%とすることが、樹脂組成物溶液へのポリイミド前駆体の溶解性と溶液の保存安定性とのバランスをとる観点から好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、その水分量が3,000質量ppm以下であることが好ましい。樹脂組成物の水分量は、該樹脂組成物を保存する時の粘度安定性の観点から、1,000質量ppm以下であることがより好ましく、500質量ppm以下であることが更に好ましい。樹脂組成物の水分量は少ない方が好ましいが、樹脂組成物の製造容易性の観点から、例えば、10質量ppm以上、又は100質量ppm以上であってもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物の溶液粘度は、25℃において、300〜200,000が好ましく、300〜100,000mPa・sがより好ましく、2,000〜30,000mPa・sがより好ましく、3,000〜20,000mPa・sが特に好ましい。この溶液粘度は、E型粘度計(東機産業株式会社製、VISCONICEHD)を用いて測定できる。溶液粘度が300mPa・sより低いと膜形成の際の塗布がし難く、200,000mPa・sより高いと合成の際の撹拌が困難になるという問題が生じるおそれがある。
(a)ポリイミド前駆体を合成する際に、溶液が高粘度になったとしても、反応終了後に溶媒を添加して撹拌することにより、取扱い性のよい粘度の樹脂組成物を得ることが可能である。
本実施形態の樹脂組成物は、好ましい態様において以下の特性を有する。
樹脂組成物を支持体の表面に塗布して塗膜を形成した後、該塗膜を、窒素雰囲気下(例えば酸素濃度2,000質量ppm以下の窒素中)、300℃〜550℃において加熱することによって、前記塗膜に含まれるポリイミド前駆体をイミド化して得られる樹脂フィルムは、10μm膜厚における黄色度YIが20以下であり、曇り度(Haze値)が0.5以下である。
樹脂組成物を支持体の表面に塗布して塗膜を形成した後、該塗膜を、窒素雰囲気下(例えば酸素濃度2,000質量ppm以下の窒素中)、300℃〜550℃において加熱することによって、前記塗膜に含まれるポリイミド前駆体をイミド化して得られる樹脂フィルムは、残留応力が25MPa以下である。
本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、電子ペーパー等の表示装置の透明基板を形成するために好適に用いることができる。具体的には、薄膜トランジスタ(TFT)の基板、カラーフィルタの基板、透明導電膜(ITO、Indium Tin Oxide)の基板等を形成するために用いることができる。
本実施形態のポリイミド前駆体は、残留応力が25MPa以下であるようなポリイミドフィルムを形成し得るため、無色透明ポリイミド基板上にTFT素子装置を備えたディスプレイの製造工程に適用し易い。
<樹脂フィルム>
本発明の別の態様は、前述のポリイミド前駆体から形成された樹脂フィルムを提供する。
また、本発明の更に別の態様は、前述の樹脂組成物から樹脂フィルムを製造する方法を提供する。
本実施形態における樹脂フィルムは、支持体の表面上に前述の樹脂組成物を塗布することにより塗膜を形成する工程(塗布工程)と、前記支持体及び前記塗膜を加熱することにより、該塗膜に含まれるポリイミド前駆体をイミド化してポリイミド樹脂膜を形成する工程(加熱工程)と、前記ポリイミド樹脂膜を該支持体から剥離する工程(剥離工程)と、を含むことを特徴とする。
ここで、支持体は、その後の工程の加熱温度における耐熱性を有し、剥離性が良好であれば、特に限定されない。例えば、ガラス(例えば、無アルカリガラス)基板;
シリコンウェハー;
PET(ポリエチレンテレフタレート)、OPP(延伸ポリプロピレン)、ポリエチレングリコールテレフタレート、ポリエチレングリコールナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンスルフィド等の樹脂基板;
ステンレス、アルミナ、銅、ニッケル等の金属基板
等が用いられる。
膜状のポリイミド成形体を形成する場合には、例えば、ガラス基板、シリコンウェハー等が好ましく、フィルム状又はシート状のポリイミド成形体を形成する場合には、例えば、PET(ポリエチレンテレフタラート)、OPP(延伸ポリプロピレン)等からなる支持体が好ましい。
塗布方法としては、例えば、ドクターブレードナイフコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ロータリーコーター、フローコーター、ダイコーター、バーコーター等の塗布方法、スピンコート、スプレイコート、ディップコート等の塗布方法;スクリーン印刷及びグラビア印刷等に代表される印刷技術等を適用することができる。
塗布厚は、所望の樹脂フィルムの厚さと樹脂組成物中のポリイミド前駆体の含有量に応じて適宜調整されるべきものであるが、好ましくは1〜1,000μm程度である。塗布工程は、室温における実施で足りるが、粘度を下げて作業性をよくする目的で、樹脂組成物を40℃〜80℃の範囲で加温して実施してもよい。
塗布工程に続き、乾燥工程を行ってもよいし、乾燥工程を省略して直接次の加熱工程に進んでもよい。この乾燥工程は、有機溶媒除去の目的で行われる。乾燥工程を行う場合、例えば、ホットプレート、箱型乾燥機、コンベヤー型乾燥機等の適宜の装置を利用することができる。乾燥工程は、80℃〜200℃で行うことが好ましく、100℃〜150℃で行うことがより好ましい。乾燥工程の実施時間は、1分〜10時間とすることが好ましく、3分〜1時間とすることがより好ましい。
上記のようにして、支持体上にポリイミド前駆体を含有する塗膜が形成される。
続いて、加熱工程を行う。加熱工程は、上記の乾燥工程で塗膜中に残留した有機溶媒の除去を行うとともに、塗膜中のポリイミド前駆体のイミド化反応を進行させ、ポリイミドから成る膜を得る工程である。
この加熱工程は、例えば、イナートガスオーブン、ホットプレート、箱型乾燥機、コンベヤー型乾燥機等の装置を用いて行うことができる。この工程は前記乾燥工程と同時に行っても、両工程を逐次的に行ってもよい。
加熱工程は、空気雰囲気下で行ってもよいが、安全性と、得られるポリイミドフィルムの透明性及びYI値と、の観点から、不活性ガス雰囲気下で行うことが推奨される。不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン等が挙げられる。
加熱温度は、(b)有機溶媒の種類に応じて適宜に設定されてよいが、250℃〜550℃が好ましく、300℃〜450℃がより好ましい。250℃以上であればイミド化が十分となり、550℃以下であれば得られるポリイミドフィルムの透明性の低下、耐熱性の悪化等の不都合がない。加熱時間は、0.5〜3時間程度とすることが好ましい。
本実施形態では、上記の加熱工程における周囲雰囲気の酸素濃度は、得られるポリイミドフィルムの透明性及びYI値の観点から、2,000質量ppm以下が好ましく、100質量ppm以下がより好ましく、10質量ppm以下が更に好ましい。酸素濃度が2,000質量ppm以下の雰囲気中で加熱を行うことにより、得られるポリイミドフィルムのYI値を30以下にすることができる。
ポリイミド樹脂膜の使用用途・目的によっては、上記加熱工程の後、支持体から樹脂膜を剥離する剥離工程が必要となる。この剥離工程は、支持体上の樹脂膜を、室温〜50℃程度まで冷却した後に、実施することが好ましい。
この剥離工程としては、例えば下記の(1)〜(4)の態様が挙げられる。
(1)前記方法により、ポリイミド樹脂膜/支持体を含む構成体を作製した後、該構造体の支持体側からレーザーを照射して、支持体とポリイミド樹脂膜との界面をアブレーション加工することにより、ポリイミド樹脂を剥離する方法。レーザーの種類としては、固体(YAG)レーザー、ガス(UVエキシマー)レーザー等が挙げられる。波長308nm等のスペクトルを用いることが好ましい(特表2007−512568号公報、特表2012−511173号公報等を参照)。
(2)支持体に樹脂組成物を塗工する前に、支持体に剥離層を形成し、その後ポリイミド樹脂膜/剥離層/支持体を含む構成体を得て、ポリイミド樹脂膜を剥離する方法。剥離層としては、パリレン(登録商標、日本パリレン合同会社製)、酸化タングステンを用いる方法;植物油系、シリコーン系、フッ素系、アルキッド系等の離型剤を用いる方法等が挙げられる。(特開2010−67957号公報、特開2013−179306号公報等を参照)。
上記(2)の方法と上記(1)のレーザー照射とを併用してもよい。
(3)支持体としてエッチング可能な金属基板を用いて、ポリイミド樹脂膜/支持体を含む構成体を得た後、エッチャントで金属をエッチングすることにより、ポリイミド樹脂フィルムを得る方法。金属としては、例えば、銅(具体例としては、三井金属鉱業株式会社製の電解銅箔「DFF」)、アルミニウム等を使用することができる。エッチャントとしては、銅に対しては塩化第二鉄等を、アルミニウムに対しては希塩酸等を使用することができる。
(4)前記方法により、ポリイミド樹脂膜/支持体を含む構成体を得た後、ポリイミド樹脂膜表面に粘着フィルムを貼り付けて、支持体から粘着フィルム/ポリイミド樹脂膜を分離し、その後粘着フィルムからポリイミド樹脂膜を分離する方法。
これらの剥離方法の中でも、得られるポリイミド樹脂フィルムの表裏の屈折率差、黄色度(YI値)、及び伸度の観点から、方法(1)又は(2)が適切であり、得られるポリイミド樹脂フィルムの表裏の屈折率差の観点から方法(1)がより適切である。
なお、方法(3)において、支持体として銅を用いた場合は、得られるポリイミド樹脂フィルムのYI値が大きくなり、伸度が小さくなる傾向が見られる。これは、銅イオンの影響であると考えられる。
上記の方法によって得られる樹脂フィルムの厚さは、特に限定されないが、1〜100μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは5〜20μmである。
本実施形態に係る樹脂フィルムは、10μm膜厚における黄色度(YI値)が30以下であることができる。また、残留応力が25MPa以下であることができる。特に、10μm膜厚における黄色度(YI値)が30以下であり、かつ、残留応力が25MPa以下であることができる。このような特性は、例えば、本開示のポリイミド前駆体を、窒素雰囲気下(例えば、酸素濃度2,000質量ppm以下の窒素中)、好ましくは300℃〜550℃、より好ましくは350℃〜450℃においてイミド化することにより、良好に実現される。
<積層体>
本発明の別の態様は、支持体と、該支持体の表面上に前述の樹脂組成物から形成されたポリイミド樹脂膜とを含む、積層体を提供する。
また本発明の更に別の態様は、上記積層体の製造方法を提供する。
本実施形態における積層体は、
支持体の表面上に、前述の樹脂組成物を塗布することにより塗膜を形成する工程(塗布工程)と、
前記支持体及び前記塗膜を加熱することにより、該塗膜に含まれるポリイミド前駆体をイミド化してポリイミド樹脂膜を形成する工程(加熱工程)と、
を含む、積層体の製造方法によって得ることができる。
上記の積層体の製造方法は、例えば、剥離工程を行わないことの他は、前述の樹脂フィ
ルムの製造方法と同様にして実施することができる。
この積層体は、例えば、フレキシブルデバイスの製造に好適に用いることができる。
更に詳細に説明すると、以下のとおりである。
フレキシブルディスプレイを形成する場合、ガラス基板を支持体として用いて、その上にフレキシブル基板を形成し、更にその上にTFT等の形成を行う。フレキシブル基板上にTFT等を形成する工程は、典型的には、150℃〜650℃の広い範囲の温度で実施される。しかし、現実に所望される性能を具現するためには、250℃〜450℃付近の高温において、無機物材料を用いて、TFT−IGZO(InGaZnO)酸化物半導体又はTFT(a−Si−TFT、poly−Si−TFT)を形成することを要する。一方で、これら熱履歴により、ポリイミドフィルムの諸物性(特に黄色度や伸度)は低下する傾向にあり、400℃を超えると特に、黄色度や伸度は低下する。ところが、本発明に係るポリイミド前駆体から得られるポリイミドフィルムは、400℃以上の高温領域でも、黄色度や伸度の低下が極めて少なく、当該領域で良好に用いることが出来る。
更に、本実施形態では、下記一般式(4):
Figure 2021172734

{式中、Xは、4価の有機基を表し、R1〜R4はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基、水素、若しくはハロゲンを表し、但しR1〜R4の少なくとも一つが炭素数1〜20の1価の有機基若しくはハロゲンであり、Yは、2価の有機基を示し、m及びnはそれぞれ独立に、1以上の整数を表し、但し1/99≦n/m≦99/1を満たす。}
で表されるポリイミドを含むポリイミドフィルム層と、LTPS(低温ポリシリコンTFT)層と、を含む積層体を提供することができる。
当該積層体の製造方法としては、前述の支持体と、該支持体の表面上に前述の樹脂組成物から形成されたポリイミド樹脂膜とを含む積層体を製造した後に、アモルファスSi層を形成し、400℃〜450℃で0.5〜3時間程度脱水素アニールを行った後に、エキシマレーザー等で結晶化することによりLTPS層を形成することができる。その後、レーザー剥離などでガラスとポリイミドフィルムを剥離することによって、上記積層体を得ることができる。
一般式(3)又は一般式(4)で表されるポリイミドを含むポリイミドフィルム層と、LTPS(低温ポリシリコンTFT)層と、を含む積層体は、ヒートサイクル試験後の剥がれや膨れが少なく、基板反りが少ない。
また、フレキシブル基板とポリイミド樹脂膜とに生じる残留応力が高ければ、両者から成る積層体が高温のTFT工程において膨張した後、常温冷却時に収縮する際、ガラス基板の反り及び破損、フレキシブル基板のガラス基板からの剥離等の問題が生じ得る。一般的に、ガラス基板の熱膨張係数は樹脂に比較して小さいため、該ガラス基板とフレキシブル基板との間に残留応力が発生する。本実施形態に係る樹脂フィルムは、上述のとおり、ガラス基板との間に生じる残留応力を25MPa以下とすることができるため、フレキシブルディスプレイの形成に好適に使用することができる。
更に、本実施形態に係るポリイミドフィルムは、10μm膜厚における黄色度YIを30以下とすることができ、エキシマ―レーザー等で容易にガラス基板等から剥離することが出来、従ってフレキシブルディスプレイを製造する時の歩留まりを向上させることができる。また、曇り度(Haze値)を0.5以下とすることが出来る。
黄色度YIを30以下、曇り度(Haze値)を0.5以下とすることにより、ディスプレイとしたときの画質を落とさずに、フレキシブル基板を作製することが出来る。黄色度YIは、より好ましくは、20以下であり、特に16以下が好ましい。
尚、レーザー剥離時にレーザー光でポリイミドフィルムが燃えてしまうことがあり、その燃え残りがアッシュである。
従って、本発明の別の態様は、ディスプレイ基板を提供する。
本実施形態におけるディスプレイ基板の製造方法は、支持体の表面上に前述の樹脂組成物を塗布することにより塗膜を形成する工程(塗布工程)と、
前記支持体及び前記塗膜を加熱することにより、該塗膜に含まれるポリイミド前駆体をイミド化してポリイミド樹脂膜を形成する工程(加熱工程)と、
前記ポリイミド樹脂膜上に素子又は回路を形成する工程(素子・回路形成工程)と、
前記素子又は回路が形成されたポリイミド樹脂膜を前記支持体から剥離する工程(剥離工程)と
を含むことを特徴とする。
上記方法において、塗布工程、加熱工程、及び剥離工程は、それぞれ、上述した樹脂フィルムの製造方法と同様にして行うことができる。
素子・回路形成工程は、当業者に公知の方法によって実施することができる。
上記物性を満たす本実施形態にかかる樹脂フィルムは、既存のポリイミドフィルムが有する黄色により使用が制限された用途、特にフレキシブルディスプレイ用無色透明基板、カラーフィルタ用保護膜等の用途に好適に使用される。更には、例えば、保護膜、TFT−LCD等における散光シート及び塗膜(例えば、TFT−LCDのインターレイヤー、ゲイト絶縁膜、液晶配向膜等)、タッチパネル用ITO基板、スマートフォン用カバーラス代替樹脂基板等の、無色透明性、かつ低複屈折が要求される分野においても使用可能である。液晶配向膜として本実施形態に係るポリイミドを適用すると、開口率が高く、コントラスト比の高いTFT−LCDの製造が可能となる。
以下に、本実施形態のポリイミドフィルムの用途例として、ディスプレイ及び積層体の製造方法について説明する。
<ディスプレイの製造方法>
本実施形態のディスプレイの製造方法は、支持体の表面上に、本実施形態の樹脂組成物を塗布する塗布工程と;上記樹脂組成物を加熱してポリイミド樹脂膜を形成する膜形成工程と;上記ポリイミド樹脂膜上に素子を形成する素子形成工程と;上記素子が形成された上記ポリイミド樹脂膜を上記支持体から剥離する剥離工程とを含む。
フレキシブル有機ELディスプレイの製造例
図1は、本実施形態のディスプレイの例として、トップエミッション型フレキシブル有機ELディスプレイのポリイミド基板より上部の構造を示す模式図である。
図1の有機EL構造部25について説明する。有機EL構造部25は、例えば、赤色光を発光する有機EL素子250aと、緑色光を発光する有機EL素子250bと、青色光を発光する有機EL素子250cとを1単位として、マトリクス状に配列されており、隔壁(バンク)251により、各有機EL素子の発光領域が画定されている。各有機EL素子は、下部電極(陽極)252、正孔輸送層253、発光層254、上部電極(陰極)255から構成されている。また、窒化ケイ素(SiN)や酸化ケイ素(SiO)からなるCVD複層膜(マルチバリヤーレイヤー)を示す下部基板2a上には、有機EL素子を駆動するためのTFT256(低温ポリシリコン(LTPS)や金属酸化物半導体(IGZO等)から選択される)、コンタクトホール257を備えた層間絶縁膜258、及び下部電極259が複数設けられている。有機EL素子は封止基板2bで封入されており、各有機EL素子と封止基板2bとの間に中空部261が形成されている。
フレキシブル有機ELディスプレイの製造工程は、ガラス基板支持体上にポリイミドフィルムを作製し、その上部に上記図1に示される有機EL基板を製造する工程と、封止基板を製造する工程と、両基板を貼り合わせる組み立て工程と、ガラス基板支持体からポリイミドフィルム上に作製された有機ELディスプレイを剥離する剥離工程とを含む。
有機EL基板製造工程、封止基板製造工程、及び組み立て工程は、周知の製造工程を適用することができる。以下ではその一例を挙げるが、これに限定されるものではない。また、剥離工程は、上述したポリイミドフィルムの剥離工程と同一である。
例えば、図1を参照すれば、まず、上記の方法によりガラス基板支持体上にポリイミドフィルムを作製し、その上部にCVD法やスパッタ法により窒化ケイ素(SiN)と酸化ケイ素(SiO)の複層構造からなるマルチバリアレイヤー(図1中の下部基板2a)を作製し、その上部にTFTを駆動するためのメタル配線層を、フォトレジスト等を使用して作製する。その上部にCVD法を用いてSiO等のアクティブバッファー層を作製し、その上部に金属酸化物半導体(IGZO)や低温ポリシリコン(LTPS)などのTFTデバイス(図1中のTFT256)を作製する。フレキシブルディスプレイ用TFT基板を作製後、感光性アクリル樹脂等でコンタクトホール257を備えた層間絶縁膜258を形成する。スパッタ法等にてITO膜を成膜し、TFTと対をなすように下部電極259を形成する。
次に、感光性ポリイミド等で隔壁(バンク)251を形成した後、隔壁で区画された各空間内に、正孔輸送層253、発光層254を形成する。また、発光層254及び隔壁(バンク)251を覆うように上部電極(陰極)255を形成する。その後、ファインメタルマスク等をマスクにして、赤色光を発光する有機EL材料(図1中の、赤色光を発光する有機EL素子250aに対応)、緑色光を発光する有機EL材料(図1中の、緑色光を発光する有機EL素子250bに対応)及び青色光を発光する有機EL材料(図1中の、青色光を発光する有機EL素子250cに対応)を公知の方法にて蒸着することで、有機EL基板を作製する。有機EL基板を封止フィルム等(図1中の封止基板2b)で封止し、ガラス基板支持体からポリイミド基板より上部のデバイスをレーザー剥離等の公知の剥離方法で剥離することで、トップエミッション形フレキシブル有機ELディスプレイを作製することができる。本実施形態のポリイミドを使用する場合は、シースルー型のフレキシブル有機ELディスプレイを作製することができる。また、公知の方法でボトムエミッション形のフレキシブル有機ELディスプレイを作製してもよい。
<フレキシブル液晶ディスプレイの製造例>
本実施形態のポリイミドフィルムを使用してフレキシブル液晶ディスプレイを作製することができる。具体的な作製方法としては、上記の方法でガラス基板支持体上にポリイミドフィルムを作製し、上記の方法を用いて、例えばアモルファスシリコン、金属酸化物半導体(IGZO等)、及び低温ポリシリコンからなるTFT基板を作製する。別途、本実施形態の塗布工程及び膜形成工程に従って、ガラス基板支持体上にポリイミドフィルムを作製し、公知の方法に従ってカラーレジスト等を使用して、ポリイミドフィルムを備えたカラーフィルターガラス基板(CF基板)を作製する。TFT基板及びCF基板の一方に、スクリーン印刷により、熱硬化性エポキシ樹脂などからなるシール材料を液晶注入口の部分を欠いた枠状パターンに塗布し、他方の基板に液晶層の厚さに相当する直径を持ち、プラスチック又はシリカからなる球状のスペーサーを散布する。
次いで、TFT基板とCF基板とを貼り合わせ、シール材料を硬化させる。そして、TFT基板及びCF基板並びにシール材料で囲まれる空間に、減圧法により液晶材料を注入し、液晶注入口に熱硬化樹脂を塗布し、加熱によって液晶材料を封止することで液晶層を形成する。最後に、CF側のガラス基板とTFT側のガラス基板とをレーザー剥離法などでポリイミドフィルムとガラス基板の界面で剥離することで、フレキシブル液晶ディスプレイを作製することができる。
<積層体の製造方法>
本実施形態の積層体の製造方法は、支持体の表面上に、本実施形態の樹脂組成物を塗布する塗布工程と;上記樹脂組成物を加熱してポリイミド樹脂膜を形成する膜形成工程と;上記ポリイミド樹脂膜上に素子を形成する素子形成工程とを含む。
積層体における素子としては、上記のフレキシブルデバイスの製造に例示したものが挙げられる。支持体としては、例えばガラス基板を用いることができる。塗布工程及び膜形成工程の好ましい具体的手順は、上記のポリイミドフィルムの製造方法に関して記載したものと同様である。また、素子形成工程においては、支持体上に形成された、フレキシブル基板としてのポリイミド樹脂膜の上に、上記の素子を形成する。その後、任意に剥離工程においてポリイミド樹脂膜及び素子を支持体から剥離してもよい。
本実施形態に係るポリイミド前駆体、及び該ポリイミド前駆体を用いて製造される樹脂フィルム及び積層体は、例えば、半導体絶縁膜、TFT−LCD絶縁膜、電極保護膜等として適用できる他、フレキシブルデバイスの製造において、特に基板として好適に利用することができる。ここで、本実施形態に係る樹脂フィルム及び積層体を適用可能なフレキシブデバイスとしては、例えば、フレキシブルディスプレイ、フレキシブル太陽電池、フレキシブルタッチパネル電極基板、フレキシブル照明、フレキシブルバッテリー等を挙げることができる。
以下、本発明について、実施例に基づき更に詳述するが、これらは説明のために記述されるものであって、本発明の範囲が下記実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例における各種評価は次のとおりに行った。
<重量平均分子量及び数平均分子量の測定>
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマト
グラフィー(GPC)にて、下記の条件により測定した。
溶媒として、N,N−ジメチルホルムアミド(富士フイルム和光純薬社製、高速液体クロマトグ
ラフ用、測定直前に24.8mmol/Lの臭化リチウム一水和物(富士フイルム和光純薬社製、
純度99.5%)及び63.2mmol/Lのリン酸(富士フイルム和光純薬社製、高速液体クロマトグラフ用)を加えて溶解したもの)を使用した。重量平均分子量を算出するための検
量線は、スタンダードポリスチレン(Easical Type PS−1、アジレント・テクノロジー社製)を用いて作成した。
装置:HLC−8220GPC(東ソー社製)
カラム:Tsk gel Super HM−H(東ソー社製)
流速:0.5mL/分
カラム温度:40℃
検出器:UV−8220(UV−VIS:紫外可視吸光計、東ソー社製)
<ガラス転移温度(Tg)の評価>
温度50〜500℃の範囲におけるガラス転移温度(Tg)の測定は、ポリイミドフィルムを3mm×20mmの大きさにカットしたものを試験片として、熱機械分析により行った。測定装置としてセイコーインスツル株式会社製(EXSTAR6000)を用いて、引張荷重49mN、昇温速度10℃/分及び窒素気流下(流量100mL/分)の条件で、温度50℃〜500℃の範囲における試験片伸びの測定を行った。得られた曲線の変曲点からポリイミドフィルム(10μm厚)のガラス転移温度を求めた。50℃〜500℃の範囲で変曲点が見られなかったもの(Tgが500℃以上と考えられるもの)は「−」として表2及び3に記載した。
<残留応力の評価>
予め「反り量」を測定しておいた、厚み625μm±25μmの6インチシリコンウェハー上に、各樹脂組成物をスピンコーターにより塗布し、100℃において7分間プリベークした。その後、縦型キュア炉(光洋リンドバーグ社製、型式名VF−2000B)を用いて、庫内の酸素濃度が10質量ppm以下になるように調整して、430℃において1時間の加熱硬化処理(キュア処理)を施し、硬化後膜厚10μmのポリイミド樹脂膜のついたシリコンウェハーを作製した。
このウェハーの反り量を、残留応力測定装置(テンコール社製、型式名FLX−230)を用いて測定し、シリコンウェハーと樹脂膜との間に生じた残留応力を評価した。
◎:残留応力が−5MPa超15MPa以下(残留応力の評価「優良」)
○:残留応力が15MPa超25MPa以下(残留応力の評価「良好」)
×:残留応力が25MPa超(残留応力の評価「不良」)
<黄色度(YI値)及び曇り度(Haze値)の評価>
上記<残留応力の評価>と同様にして、予めアルミナを蒸着させたウェハー上にポリイミド樹脂膜を作製した。そののち、該ウェハーを希塩酸水溶液に浸漬し、ポリイミド樹脂膜を剥離することにより、樹脂フィルムを得た。
得られたポリイミド樹脂フィルムにつき、日本電色工業(株)製(Spectotometer:SE600)にてD65光源を用いて黄色度(YI値)及び曇り度(Haze値)(膜厚10μm換算)を測定した。「※」は白化のため測定不可を示す。
[合成例1及び2]
(合成例1(1−1))
窒素置換した50mlの三つ口フラスコに、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を8.0g入れ、4−アミノ−2−フルオロフェニル−4−アミノベンゾエート(2−F−APAB)を19.5g(7.92mmol)入れ、撹拌して2−F−APABを溶解させた。その後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を2.35g(8.00mmol)加え、窒素フロー下で40℃において6時間撹拌下に重合反応を行った。その後、室温まで冷却し、前記NMPを加えて固形分が10質量%になるように調整することにより、ポリアミド酸のNMP溶液(以下、ワニスともいう)を得た。得られたポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は58,000であった。
(合成例1(1−2〜10−2)、及び合成例2(1〜5))
上記合成例1(1−1)において、原料の仕込み量を、それぞれ、表1に記載の通りに変更したほかは、合成例1(1−1)と同様にして、ポリイミド前駆体ワニスを得た。各ワニスに含有されるポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)を、表1に示した。なお表1中のa/b比は酸無水物/ジアミン比(モル基準)である。
表1における各成分の略称は、それぞれ、以下の意味である。
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
BPAF:9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物
TAHQ:p−フェニレンビス(トリメリテート酸無水物)
CpODA:シクロペンタノンビススピロノルボルナンテトラカルボン酸二無水物
APAB:4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート
BAFL:9,9−ビス(アミノフェニル)フルオレン
TFMB:2、2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン
44DAS:4,4’−ジアミノジフェニルスルホン
FFMB:4,4’−ジアミノ−2,2’−ジフルオロビフェニル
DABAN:4,4’−ジアミノベンズアニリド
m−TB:2,2’−ジメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン
2−F−APAB:4−アミノ−2−フルオロフェニル−4’−アミノベンゾエート
3−F−APAB:4−アミノ−3−フルオロフェニル−4’−アミノベンゾエート
3−Me−APAB:4−アミノ−3−メチルフェニル−4’−アミノベンゾエート
3,5−2F−APAB:4−アミノ−3,5−ジフルオロフェニル−4’−アミノベンゾエート
3,5−2Me−APAB:4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル−4’−アミノベンゾエート
3,3’−2Me−APAB:4−アミノ−3メチルフェニル−4’−アミノ−3’−メチルベンゾエート
2−Me−APAB:4−アミノ−2−メチル−4’−アミノベンゾエート
2−ph−APAB:4−アミノ−2−フェニル−4’−アミノベンゾエート

NMP:N−メチル−2−ピロリドン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
各合成例で得られたワニスを、そのまま樹脂組成物として用い、上述の方法に従って評価を行った。評価結果は表2及び3に示した。
表2及び3より、一般式(1)で表される構造のうち、XがBPDAであるポリイミドフィルム(実施例1〜19)は、高いガラス転移温度(Tg)を示し、黄色度(YI)は20以下と低く、Haze値も0.5以下であり、LTPSプロセス過程に求められる耐熱性と光学特性を有している。また、一般式(1)で表される構造のうち、XがPMDA又はTAHQを含むポリイミドフィルム(実施例20〜23)も同様に、高いガラス転移温度(Tg)を示し、黄色度(YI値)は15以下と低く、残留応力も25MPa以下と低い。また、XがBPAF又はCpODAを含むポリイミドフィルム(実施例24〜29)は黄色度(YI値)が10以下と小さい。
また、一般式(1)で表される構造のうち、ジアミンが3−F−APAB又は3−Me−APABを含むポリイミドフィルム(実施例1、9)は、高いガラス転移温度(Tg)を有し、黄色度(YI値)も小さく、残留応力も低い。さらに、3−Me−APAB又は3−F−APABに対し、一般式(2)で表される構造として、APABを共重合させたポリイミドフィルム(実施例2、10)は残留応力がさらに優れ、基板の反りをさらに改善することが出来る。また、3−Me−APAB又は3−F−APABに対し、一般式(2)で表される構造として、44DAS、BAFL、FFMB、又はTFMBを共重合させたポリイミドフィルム(実施例3〜5、8、11〜13、16)は黄色度(YI値)がさらに低く、透明ディスプレイの基材としてさらに好ましい。また、一般式(1)で表される構造のうち、ジアミンが3,5−2F−APAB、3,5−2Me―APAB、又は3,3’−2Me−APABを用いて得たポリイミドフィルムは高いガラス転移温度(Tg)を有し、黄色度(YI値)も小さい。
一方、一般式(1)で表される構造を含まないポリイミドフィルム(比較例1〜5)は、優れた耐熱性を有するが、黄色度(YI値)が高く、曇り度(Haze値)も大きい。特に、TFMB又はm−TBを用いて得たポリイミド(比較例1、2、5)はフィルムにおける分子間の配向性が高く、フィルムが非常に脆かった。また、一般式(1)で表される構造とは異なる位置に置換基を有する2−Me−APAB又は2−Ph−APABを用いたポリイミドは、分子間の配向性が高いため、曇り度(Haze値)が大きく、耐熱性が劣っていることが分かった。
これらのことより、一般式(1)で表される構造のうちXがBPDAであり、R1がフルオロ基、メチル基であり、R2〜R4が水素であるポリイミドフィルム、及びR1、R2がフルオロ基、メチル基であり、R3、R4が水素であるポリイミドフィルム、R1、R3がメチル基であり、R2、R4が水素であるポリイミドフィルムは、高いガラス転移温度(Tg)、低い黄色度(YI値)を示し、Haze値も低いことから、LTPSプロセス過程に対して好適に用いることが出来る透明ポリイミドフィルムである。
Figure 2021172734
Figure 2021172734
Figure 2021172734

Claims (19)

  1. (a1)下記一般式(1):
    Figure 2021172734

    {式中、Xは、4価の有機基を表し、R1〜R4はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基、水素、若しくはハロゲンを表し、但しR1〜R4の少なくとも一つが炭素数1〜20の1価の有機基若しくはハロゲンである。}
    で表される構造単位Mを含む、ポリイミド前駆体。
  2. 1がフルオロ基であり、R2〜R4が水素である、請求項1に記載のポリイミド前駆体。
  3. 1がメチル基であり、R2〜R4が水素である、請求項1に記載のポリイミド前駆体。
  4. 1及びR2がメチル基であり、R3及びR4が水素である、請求項1に記載のポリイミド前駆体。
  5. 1及びR2がフルオロ基であり、R3及びR4が水素である、請求項1に記載のポリイミド前駆体。
  6. 1及びR3がメチル基であり、R2及びR4が水素である、請求項1に記載のポリイミド前駆体。
  7. 前記一般式(1)中のXが、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4,4’−ビフェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA)、及びシクロペンタノンビススピロノルボルナンテトラカルボン酸二無水物(CpODA)からなる群から選択される少なくとも1種に由来する4価の基である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリイミド前駆体。
  8. (a2)下記一般式(2):
    Figure 2021172734

    {式中、Xは、4価の有機基を表し、Yは、下記一般式(A−1)〜(A−5):
    Figure 2021172734

    Figure 2021172734

    Figure 2021172734

    Figure 2021172734

    Figure 2021172734

    (式中、R5〜R12及びR15〜R16はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基、若しくはハロゲンを表し、R13及びR14はそれぞれ独立に、トリフルオロメチル基、若しくはフルオロ基を表し、a〜jは、0〜4の整数であり、*は結合部を表す。)で表される2価の有機基からなる群から選択される少なくとも1種である。}
    で表される構造単位Nを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリイミド前駆体。
  9. 前記一般式(1)で表される構造単位Mと、前記一般式(2)で表される構造単位Nとを、1/99≦(構造単位Mのモル数/構造単位Nのモル数)≦99/1、で含む、請求項8に記載のポリイミド前駆体。
  10. 前記一般式(2)中のXが、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4,4’−ビフェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA)、及びシクロペンタノンビススピロノルボルナンテトラカルボン酸二無水物(CpODA)からなる群から選択される少なくとも1種に由来する4価の基である、請求項9に記載のポリイミド前駆体。
  11. (a)請求項1〜10のいずれか一項に記載のポリイミド前駆体と、(b)有機溶媒と、を含む、樹脂組成物。
  12. さらに、(c)界面活性剤、及び(d)アルコキシシラン化合物、からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項11に記載の樹脂組成物。
  13. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のポリイミド前駆体、或いは請求項11又は12に記載の樹脂組成物から得られるポリイミドフィルム。
  14. 下記一般式(3):
    Figure 2021172734

    {式中、Xは、4価の有機基を表し、R1〜R4はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基、水素、若しくはハロゲンを表し、但しR1〜R4の少なくとも一つが炭素数1〜20の1価の有機基若しくはハロゲンである。}
    で表される構造単位を含む、ポリイミド。
  15. 下記一般式(4):
    Figure 2021172734

    {式中、Xは、4価の有機基を表し、R1〜R4はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の1価の有機基、水素、若しくはハロゲンを表し、但しR1〜R4の少なくとも一つが炭素数1〜20の1価の有機基若しくはハロゲンであり、Yは、2価の有機基を表し、m及びnはそれぞれ独立に、1以上の整数を表し、但し1/99≦n/m≦99/1を満たす。}
    で表される構造単位を含む、ポリイミド。
  16. 支持体の表面上に、請求項11又は12に記載の樹脂組成物を塗布することにより塗膜を形成する工程と、
    前記支持体及び前記塗膜を加熱することにより、前記塗膜に含まれるポリイミド前駆体をイミド化してポリイミド樹脂膜を形成する工程と、
    前記ポリイミド樹脂膜を前記支持体から剥離する工程と、
    を含む、樹脂フィルムの製造方法。
  17. 前記ポリイミド樹脂膜を前記支持体から剥離する工程に先立って、前記支持体側からレーザーを照射する工程を行う、請求項16に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  18. 支持体の表面上に、請求項11又は12に記載の樹脂組成物を塗布することにより塗膜を形成する工程と、
    前記支持体及び前記塗膜を加熱することにより、前記塗膜に含まれるポリイミド前駆体をイミド化してポリイミド樹脂膜を形成する工程と、
    を含む、積層体の製造方法。
  19. 支持体の表面上に、請求項11又は12に記載の樹脂組成物を塗布することにより塗膜を形成する工程と、
    前記支持体及び前記塗膜を加熱することにより、前記塗膜に含まれるポリイミド前駆体をイミド化してポリイミド樹脂膜を形成する工程と、
    前記ポリイミド樹脂膜上に素子又は回路を形成する工程と、
    前記素子又は回路が形成されたポリイミド樹脂膜を前記支持体から剥離する工程と、
    を含む、ディスプレイ基板の製造方法。
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