JP5298401B2 - 無機塗料組成物の製造方法、親水性塗膜および農業用フィルム - Google Patents

無機塗料組成物の製造方法、親水性塗膜および農業用フィルム Download PDF

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Description

本発明は、無機塗料組成物の製造方法、親水性塗膜および農業用フィルムに関する。
ガラス、プラスチック等の基材は、透明性に優れていることから、建築用ガラス、自動車用ガラス、各種ランプのカバー、眼鏡レンズ、ゴーグル、各種計器のカバー、農業用フィルム等の様々な用途に使用されている。しかし、これらの基材は通常、親水持続性が高くないため、汚れ、結露、曇りを生じやすいという不都合を生じている。たとえば、常に外気にさらされやすい計器類のカバーの場合、そのカバーの内面に結露を生じ曇りが発生するために表示が見えなくなる問題が生じることがある。また、農業用フィルムの場合、外気温が低い冬期や早朝や夕方に、結露によりフィルムの内側に水滴が付着して、白く曇ったりすることにより、太陽光線の透過率が低下し、植物の成長に悪影響を与えることのほか、水滴が作物上に落下して作物を痛めたりすることが問題となっている。
これらの理由により、防曇性および流滴性の向上等を目的として基材表面に親水性を付与することが望まれている。なお、本明細書において、流滴性とは、大気中から水が結露してフィルム等の基材に均一に濡れ拡がり、水膜を形成する性質をいう。
基材表面に親水性を付与する方法としては、基材上に無機塗料からなる塗膜を形成する方法が知られている。該方法としては、以下の方法が知られている。
(1)アルミナゾルおよびシリカゾルを含む無機塗料を、基材に塗布、乾燥して塗膜を形成する方法(特許文献1)。
(2)アルミナ粒子とシリカ粒子とを特定の混合比率に限定した無機塗料を、基材に塗布、乾燥して塗膜を形成する方法(特許文献2)。
(3)シリカゾルとアルミナゾルとを特定比率で含有し、かつアニオン性界面活性剤を含有する無機塗料を、基材に塗布、乾燥して塗膜を形成する方法(特許文献3)。
しかし、(1)の方法では、アルミナ粒子とシリカ粒子とが凝集しやすいため、形成される塗膜は透明性が低くなりやすく、また、塗膜中の界面活性剤が経時的に流出した場合、防曇性および流滴性が低下する問題がある。
(2)の方法は、防曇性および流滴性はある程度発現するものの、高い流滴性を長期間維持するには不充分である。
(3)の方法では、無機塗料組成物の塗布性を安定化させることはできるものの、得られる塗膜の防曇性および流滴性を長期間維持できない問題がある。
塗膜の親水性、防曇性、および流滴性の維持には、アルミナゾルとシリカゾルとの混合方法、およびアルミナゾルの特性が大きく影響する。また、透明基材に適用する場合、塗膜には、透明性も要求される。
透明な塗膜を得ることができるアルミナゾルの製造方法としては、以下の方法が知られている。
(i)アルミニウムイソプロポキシドを加水分解した後、酸を添加して解膠する方法(非特許文献1)。
(ii)アルミン酸アルカリ金属塩に必要に応じてアルカリ金属水酸化物を添加し、酸、または塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム等と混合して得られるアルミナの水和ゲルを熟成した後、解膠して製造する方法。
(iii)アルミン酸アルカリ金属塩またはアルミニウム塩を、イオン交換樹脂でイオン交換して得られるアルミナの水和ゲルを熟成した後、解膠して製造する方法。
(iv)アルミニウムドデキシドを加水分解して得たアルミナスラリーを熟成してゾル化する方法(特許文献4)。
しかし、(i)〜(iv)の方法で得られるアルミナゾルを乾燥した固形物(アルミナ)は、親水性が不充分であった。
親水性に優れたアルミナの製造方法または塗膜の形成方法としては、以下の方法が知られている。
(v)水酸化アルミニウムのスラリーにアルミニウム塩とpH制御剤とを連続的に添加してpH6〜11に保ちつつ得たアルミナゲルを焼成する方法(特許文献5)。
(vi)水酸化アルミニウムのスラリーにアルミニウムを含有する中和剤を加えてpH6〜11に調節する操作を複数回繰り返して得たアルミナゲルを焼成する方法(特許文献6)。
(vii)アルミニウム塩、アルミン酸アルカリ金属塩の中和またはイオン交換で得たアルミナゲルを乾燥、粉砕してキセロゲルとし、適宜バインダと混合して塗膜を形成する方法(特許文献7)。
しかし、(v)および(vi)の方法で得られるアルミナは、500℃で焼成した無水アルミナ粒子であり、これらのアルミナ粒子で形成した塗膜は透明性が低い。
(vii)の方法で得られるキセロゲルは、アルミナ水和物の二次粒子径が大きく、バインダと混合した分散液においてもキセロゲルが解膠されず、塗膜を形成しても透明性が低いという欠点がある。
以上のように、優れた親水性、防曇性、流滴性、防汚性を長期間維持でき、かつ高い透明性を有する、アルミナゾルを用いた親水性塗膜は、これまで得られていない。
特開昭60−69181号公報(実施例4〜6) 特開2003−49003号公報(実施例1〜14) 特開平7−53747号公報(実施例1〜7) 特開平7−232473号公報 特開昭58−190823号公報 特開昭58−213632号公報 特公平3−24906号公報 B.E.Yoldas,Amer.Ceram.Soc.Bull.,54,289(1975)
本発明は、高い透明性を有し、かつ優れた親水性、防曇性、流滴性、防汚性を長期間維持できる親水性塗膜を形成できる無機塗料組成物の製造方法、親水性塗膜および農業用フィルムを提供することを目的とする。
本発明の無機塗料組成物の製造方法は、基材上に親水性塗膜を形成することのできる無機塗料組成物の製造方法であって、分散媒中にベーマイト粒子が分散したアルミナゾルと、分散媒中にシリカ粒子が分散したシリカゾルとを混合する工程を有し、アルミナゾルとして、下記の製造方法によって得られたものであり、(a)分散媒中における凝集粒子の平均粒子径が20〜500nmであり、(b)アルミナゾルから分散媒を除去して得られるキセロゲルの平均細孔半径が5〜15nmであり、(c)該キセロゲルにおける、細孔半径1〜100nmの全細孔容積が0.50〜2.00ml/gであるアルミナゾルを用いることを特徴とする。
(アルミナゾルの製造方法)
JIS K1475で規定される塩基度が5〜98%のポリ塩化アルミニウムまたは塩化アルミニウムとアルカリとを混合してpHを5〜12とし、50〜150℃で反応させることによってベーマイト粒子を析出させ、熟成させた後、濾過、洗浄し、酸を加えて加熱撹拌および/または超音波処理を行うことにより解膠する方法。
アルミナゾルとして、(d)ベーマイト粒子の(010)面に垂直な方向の結晶の厚さが6〜13nmであるアルミナゾルを用いることが好ましい。
アルミナゾルとして、(e)固形分濃度0.5質量%、光の波長530nm、光路長10mmで測定したときの光透過率が、5〜70%であるアルミナゾルを用いることが好ましい。
アルミナゾルの分散媒は、酸を含有する水であることが好ましい。
酸は、酢酸またはアミド硫酸であることが好ましい。
酸の量は、アルミニウム原子1モルに対して0.005〜0.2当量であることが好ましい。
シリカゾルとして、分散媒中におけるシリカ粒子の平均粒子径が1〜150nmであるシリカゾルを用いることが好ましい。
0.1MPaにおける沸点が120℃未満である有機溶剤をさらに添加することが好ましい。
アルミナゾルとシリカ前駆体とをあらかじめ混合した後、これとシリカゾルとを混合することが好ましい。
界面活性剤をさらに添加することが好ましい。
無機塗料組成物の固形分濃度は、0.1〜30質量%であることが好ましい。
無機塗料組成物の全固形分100質量部のうち、ベーマイト粒子が20〜80質量部であり、かつシリカ粒子が20〜80質量部であることが好ましい。
本発明の親水性塗膜は、本発明の無機塗料組成物の製造方法によって得られた無機塗料組成物を基材に塗布して形成されたものであることを特徴とする。
親水性塗膜の水の接触角は、20°以下であることが好ましい。
基材は、フッ素樹脂であることが好ましい。
本発明の農業用フィルムは、本発明の親水性塗膜を有することを特徴とする。
本発明の無機塗料組成物の製造方法によれば、高い透明性を有し、かつ優れた親水性、防曇性、流滴性、防汚性を長期間維持できる親水性塗膜を形成できる無機塗料組成物を得ることができる。
本発明の親水性塗膜は、高い透明性を有し、かつ優れた親水性、防曇性、流滴性、防汚性を長期間維持できる。
本発明の農業用フィルムは、高い透明性を有し、かつ優れた親水性、防曇性、流滴性、防汚性を長期間維持できる。
<無機塗料組成物の製造方法>
本発明の無機塗料組成物の製造方法は、基材上に親水性塗膜を形成することのできる無機塗料組成物の製造方法であって、分散媒中にベーマイト粒子が分散したアルミナゾルと、分散媒中にシリカ粒子が分散したシリカゾルとを混合する工程を有する方法である。
(アルミナゾル)
本発明においては、アルミナゾルとして、分散媒中にベーマイト粒子が分散したアルミナゾルを用いる。
ベーマイト粒子は、組成式AlOOH・xH2O(0≦x<2)で表される、ベーマイト構造を有するアルミナ水和物である。
アルミナゾルの固形分濃度は、0.1〜30質量%が好ましい。アルミナゾルの固形分濃度は、アルミナゾルを140℃で乾燥して恒量となったキセロゲルの質量を基に算出される。
アルミナゾルとしては、(a)分散媒中における凝集粒子の平均粒子径が20〜500nmであるアルミナゾルを用いる。凝集粒子の平均粒子径が20〜500nmであることにより、得られる親水性塗膜の透明性が高くなる。凝集粒子の平均粒子径が20nm未満であると、アルミナゾルの透明性は高くなるが、キセロゲルの平均細孔半径、細孔半径1〜100nmの全細孔容積はともに小さくなるため、得られる親水性塗膜の親水性が悪くなる。凝集粒子の平均粒子径が500nmを超えると、アルミナゾルの透明性が低下し、得られる親水性塗膜の透明性が悪くなる。凝集粒子の平均粒子径は、50〜300nmがより好ましい。
アルミナゾルの凝集粒子の平均粒子径は、動的光散乱法粒度分析計を用いて測定される。
アルミナゾルの凝集粒子の平均粒子径を20〜500nmに調節する方法としては、アルミナ水和物のスラリーに解膠剤として酸を添加した後、加熱撹拌および/または超音波振動の付与を行う方法が好ましい。
アルミナゾルとしては、(b)アルミナゾルから分散媒を除去して得られるキセロゲル(アルミナ水和物粉末)の平均細孔半径が5〜15nmであり、(c)該キセロゲルにおける、細孔半径1〜100nmの全細孔容積が0.50〜2.00ml/gであるアルミナゾルを用いる。キセロゲルの平均細孔半径、細孔半径1〜100nmの全細孔容積が大きいことにより、得られる親水性塗膜が多孔質層を形成するため、高い親水性が得られる。
キセロゲルの平均細孔半径が5nm未満であると、得られる親水性塗膜の親水性が悪くなる。キセロゲルの平均細孔半径が15nmを超えると、アルミナゾルの透明性が低下して、得られる親水性塗膜の透明性が悪くなる。
キセロゲルの細孔半径1〜100nmの全細孔容積が0.50ml/g未満であると、得られる親水性塗膜の親水性が悪くなる。キセロゲルの細孔半径1〜100nmの全細孔容積が2.00ml/gを超えると、得られる親水性塗膜がきわめて多孔質となり、機械的強度が弱くなって実用に耐えない。
キセロゲルの平均細孔半径は、7〜13nmが好ましい。キセロゲルの細孔半径1〜100nmの全細孔容積は、0.70〜1.60ml/gが好ましい。
キセロゲルの平均細孔半径および細孔半径1〜100nmの全細孔容積は、アルミナゾルを140℃で乾燥して恒量となったキセロゲルを120℃で2時間、1×10-2Torrにて真空脱気した後、窒素吸脱着装置を用いて測定される。また、細孔半径1〜100nmの全細孔容積は、縦軸を細孔容積とし、横軸を細孔半径としてプロットした細孔容積分布における、細孔半径1〜100nm区間の細孔容積の積算値である。
アルミナゾルとしては、(d)ベーマイト粒子の(010)面に垂直な方向の結晶の厚さ(以下、結晶サイズと記す。)が6〜13nmであるアルミナゾルを用いることが好ましい。結晶サイズを6nm以上とすることにより、キセロゲルの平均細孔半径、および細孔半径1〜100nmの全細孔容積が大きいアルミナゾルが得られ、親水持続性に優れる親水性塗膜を形成できる。結晶サイズを13nm以下とすることにより、透明性が高いアルミナゾルが得られ、得られる親水性塗膜の透明性が高くなる。結晶サイズは、8〜12nmがより好ましい。
結晶サイズは、アルミナゾルを140℃で恒量になるまで乾燥して得られたキセロゲルについてX線回折分析を行い、(020)面のピークの回折角度2θ(°)と半値幅B(rad)から、シェラーの式(t=0.9λ/Bcosθ)を用いて求める。該式におけるtは結晶サイズ、λはX線の波長である。
アルミナゾルとしては、(e)固形分濃度0.5質量%、光の波長530nm、光路長10mmで測定したときの光透過率(以下、0.5質量%の光透過率と記す。)が、5〜70%であるアルミナゾルを用いることが好ましい。0.5質量%の光透過率がこの範囲にあれば、得られる親水性塗膜は、きわめて透明性に優れる。0.5質量%の光透過率は、10〜70%がより好ましい。
0.5質量%の光透過率は、分光光度計によって測定される。
アルミナゾルの分散媒としては、酸を含有する水が好ましい。酸は、アルミナゾルを安定化させるための解膠剤として作用する。
酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、アミド硫酸等の無機酸;酢酸等の有機酸が挙げられる。酸としては、酢酸またはアミド硫酸が特に好ましい。
酸の量は、アルミニウム原子1モルに対して、0.005〜0.2当量であることが好ましい。酸の量を0.005当量以上とすることにより、充分に解膠され、アルミナゾルが安定化され、得られる親水性塗膜の透明性が向上する。酸の量を0.2当量以下とすることにより、ベーマイト粒子の溶解が抑えられる。酸の量は、アルミニウム原子1モルに対して、0.01〜0.1当量であることがより好ましい。
アルミナゾルの製造方法としては、たとえば、ポリ塩化アルミニウムとアルカリとを反応させることによってベーマイト粒子を析出させ、適宜熟成させた後、濾過、洗浄し、解膠することによって凝集粒子の平均粒子径が調節されたアルミナゾルを製造する方法が挙げられる。
ポリ塩化アルミニウムとしては、JIS K1475で規定される塩基度が5〜98%のポリ塩化アルミニウムが好ましい。塩基度がこの範囲にあれば、平均細孔半径、および細孔半径1〜100nmの全細孔容積が充分に大きいキセロゲルが得られる。
アルカリとしては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アンモニア、アミン、第4級アンモニウムヒドロキシド等が好ましい。また、アルミン酸アルカリ金属塩等のアルミニウムを含有するアルカリでもよい。アルカリは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ポリ塩化アルミニウムとアルカリとの反応温度は、特に限定されないが、高温であるほどより短時間で平均細孔半径および細孔半径1〜100nmの全細孔容積が充分に大きいキセロゲルが得られる。しかし、温度が高すぎると操作が困難となるため、反応温度は、50〜150℃が好ましい。
ポリ塩化アルミニウムとアルカリとの混合後のpHは、5〜12が好ましい。pHがこの範囲であれば、短時間で平均細孔半径および細孔半径1〜100nmの全細孔容積が充分に大きいキセロゲルが得られる。また、ポリ塩化アルミニウムとアルカリとの混合後の反応スラリー中のAl23濃度は、特に限定されないが、濃度が高すぎると混合が不均一になるため、40質量%以下が好ましい。
該スラリーを、そのまま濾過、洗浄してもよいが、濾過の前に熟成させることにより、平均細孔半径および細孔半径1〜100nmの全細孔容積が充分に大きいキセロゲルが得られる。
洗浄後のスラリーに酸を加えて加熱撹拌および/または超音波処理を行うことにより、解膠し、凝集粒子の平均粒子径が20〜500nmであり、透明性が高いアルミナゾルが得られる。また、該アルミナゾルから分散媒を除去することにより、透明性が高く、かつ平均細孔半径および細孔半径1〜100nmの全細孔容積の大きいキセロゲルが得られる。
(シリカゾル)
シリカゾルとは、非晶質のシリカ粒子が水等の分散媒中に分散したコロイド液である。シリカゾルとしては、適宜必要に応じて市販のものを用いることができる。
シリカ粒子は、分散媒中における平均粒子径が1〜150nmであることが好ましい。シリカ粒子の平均粒子径を150nm以下とすることにより、得られる親水性塗膜中にてシリカ粒子が高密度に充填され、かつ比表面積が大きくなるため、親水性が向上する。シリカ粒子の平均粒子径は、1〜100nmがより好ましく、2〜80nmが特に好ましい。
シリカゾルの固形分濃度は、0.1〜50質量%が好ましい。シリカゾルの固形分濃度は、シリカゾルを140℃で乾燥して恒量となったキセロゲルの質量を基に算出される。
(有機溶剤)
無機塗料組成物を製造する際には、アルミナゾルおよびシリカゾルの分散安定性を阻害しない範囲で、0.1MPaにおける沸点が120℃未満である有機溶剤を添加してもよい。
該有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、エチレングリコール等が挙げられる。
(バインダ)
無機塗料組成物を製造する際には、適宜、バインダとして各種金属酸化物の前駆体を添加してもよい。該前駆体としては、シリカのオリゴマー等のシリカ前駆体が好ましい。
シリカ前駆体としては、例えば、ケイ酸エチル等のケイ酸アルコキサイドを加水分解する方法、アルカリ金属ケイ酸塩を酸で分解した後、電解透析する方法、アルカリ金属ケイ酸塩を解膠する方法、アルカリ金属ケイ酸塩をイオン交換樹脂により透析する方法等により得られるものが挙げられる。
シリカ前駆体の量は、無機塗料組成物中の全固形分100質量部のうち、SiO2換算で10質量部以下が好ましい。シリカ前駆体の量が10質量部を超えると、得られる親水性塗膜の可撓性が不充分となるため、基材が有機基材の場合、親水性塗膜にクラックが生じて剥がれる等、耐久性に問題が生じるおそれがある。無機塗料組成物中の全固形分は、該組成物を140℃で乾燥して恒量となったキセロゲルの質量を基に算出される。
シリカ前駆体の添加方法としては、アルミナゾルとシリカ前駆体とをあらかじめ混合し、これとシリカゾルとを混合する方法が好ましい。本発明においては、アルミナゾルとシリカ前駆体とを混合して得られた粒子についても、ベーマイト粒子として扱う。アルミナゾルとシリカ前駆体とをあらかじめ混合することにより、アルミナゾルとシリカゾルとを直接混合した場合に比べ、表面電荷がプラスのベーマイト粒子と表面電荷がマイナスのシリカ粒子との凝集を抑制でき、得られる親水性塗膜の親水性、透明性、耐擦傷性を高めることができる。また、安定した状態で長期保存できる無機塗料組成物を得ることができる。アルミナゾルとシリカ前駆体とをあらかじめ混合する場合、シリカ前駆体の量は、無機塗料組成物中の全固形分100質量部のうち、SiO2換算で0.1〜5質量部が特に好ましい。
(界面活性剤)
無機塗料組成物を製造する際には、適宜、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤を添加することにより、無機塗料組成物の塗布性が向上し、均質で外観良好な親水性塗膜を得ることができ、また、親水性塗膜の親水性も向上する。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、無機塗料組成物におけるベーマイト粒子およびシリカ粒子の分散安定性を良好にできる点で、ノニオン性界面活性剤が特に好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、たとえば、−CH2CH2CH2O−、−CH2CH2O−、−SO2−、−NR−(Rは水素原子または有機基である。)、−NH2、−SO3Yおよび−COOY(Yは水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子またはアンモニウム基である。)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位を有する化合物が好ましい。該化合物としては、アルキルポリオキシエチレンエーテル、アルキルポリオキシエチレン−ポリプロピレンエーテル、脂肪酸ポリオキシエチレンエステル、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステル、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビトールエステル、アルキルポリオキシエチレンアミン、アルキルポリオキシエチレンアミド、ポリエーテル変性のシリコーン系界面活性剤が挙げられる。また、上記界面活性剤のアルキル基部分の水素原子がフッ素原子に置換された界面活性剤であってもよい。
界面活性剤の添加量は、無機塗料組成物中の全固形分100質量部に対して15質量部以下が好ましく、0.001〜10質量部が特に好ましい。界面活性剤の添加量を15質量部以下とすることにより、得られる親水性塗膜の耐擦傷性の低下が抑えられる。
(金属酸化物粒子)
無機塗料組成物を製造する際には、適宜、ベーマイト粒子およびシリカ粒子以外の金属酸化物粒子を添加してもよい。たとえば、酸化セリウム粒子を添加した場合、得られる親水性塗膜に紫外線カット性能を付与できる。酸化チタン粒子を添加した場合、得られる親水性塗膜に紫外線カット性能および光触媒性能を付与できる。インジウムドープ酸化スズ(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化スズ等の酸化スズを主成分とする粒子を添加した場合、得られる親水性塗膜に導電性、赤外線カット性能等を付与できる。
金属酸化物粒子の平均粒子径は、1〜500nmが好ましい。平均粒子径を1nm以上とすることにより、粒子が適度な大きさとなり金属酸化物粒子が有する特性が充分に発現される。平均粒子径を500nm以下とすることにより、得られる親水性塗膜の透明性の低下が抑えられる。金属酸化物粒子の平均粒子径は、1〜200nmが特に好ましい。
金属酸化物粒子として、表面をアルミナ処理したシリカ粒子(以下、アルミナ処理シリカ粒子と記す。)を添加してもよい。該シリカ粒子は、ベーマイト粒子の表面電荷と同じカチオン性を発現し得るため、混合分散性がよく、その結果、得られる親水性塗膜の透明性、親水性が高くなる。アルミナ処理シリカ粒子としては、シリカ粒子を含むシリカゾルに、水に溶解したときの液性が酸性を示すアルミニウム塩を徐々に添加する方法により得られるアルミナ処理シリカ粒子が好ましい。アルミナ処理シリカ粒子としては、分散媒中における凝集粒子の平均粒子径が150nm以下のものが好ましく、2〜120nmのものがより好ましく、10〜100nmのものが特に好ましい。
金属酸化物粒子として、ベーマイト粒子以外のアルミナ粒子を添加してもよい。アルミナ粒子としては、様々な結晶構造を有するものが挙げられ、α−アルミナ、ギブサイト、バイアライト、γ−アルミナ、アモルファス等が挙げられる。アルミナ粒子としては、得られる親水性塗膜の耐擦傷性が向上することから、羽毛形状のアモルファスであるアルミナ粒子が特に好ましい。アルミナ粒子としては、市販されているものの他、公知の製造方法により得られるものが使用できる。
金属酸化物粒子の量は、無機塗料組成物中の全固形分100質量部のうち、1〜30質量部が好ましい。
(親水性高分子)
無機塗料組成物を製造する際には、適宜、親水性高分子を添加してもよい。親水性高分子を添加することにより、得られる親水性塗膜の強度および吸水性を向上させることができる。
親水性高分子としては、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリブチラール、ポリウレタン、セルロース等が挙げられる。
親水性高分子の量は、無機塗料組成物の全固形分100質量部のうち、30質量部以下が好ましく、20質量部以下が特に好ましい。親水性高分子の量を30質量部以下とすることにより、得られる親水性塗膜の親水持続性、耐摩耗性の低下が抑えられる。
(他の添加剤)
無機塗料組成物を製造する際には、適宜、着色用染料、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の添加剤を添加してもよい。
(無機塗料組成物)
以上のようにして得られる無機塗料組成物の固形分濃度は、0.1〜30質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。固形分濃度を0.1質量%以上とすることにより、無機塗料組成物を基材上に塗布した際、ムラが発生しにくく、また、得られる親水性塗膜の親水性等の性能を充分に発揮できる。固形分濃度を30質量%以下とすることにより、塗布する際の作業性が良好となり、得られる親水性塗膜の透明性の低下が抑えられ、また、無機塗料組成物の安定性が向上し、保存安定性が良好になる。
無機塗料組成物中のベーマイト粒子とシリカ粒子との比率としては、無機塗料組成物の全固形分100質量部のうち、ベーマイト粒子が20〜80質量部であり、かつシリカ粒子が20〜80質量部であることが好ましく、ベーマイト粒子が40〜60質量部であり、かつシリカ粒子が40〜60質量部であることが特に好ましい。ベーマイト粒子を20質量部以上とすることにより、得られる親水性塗膜と基材との密着性および親水性塗膜の親水性が良好となる。ベーマイト粒子を80質量部以下とすることにより、得られる親水性塗膜の強度、耐水性、透明性の低下が抑えられる。シリカ粒子を20質量部以上とすることにより、得られる親水性塗膜の強度の低下が抑えられる。シリカ粒子を80質量部以下とすることにより、得られる親水性塗膜と基材との密着性および親水性塗膜の親水性が良好となる。
無機塗料組成物は、水を含有する。水は、無機塗料組成物中において、ベーマイト粒子を安定して分散させる分散媒としての役割を果たす。
水の含有量は、無機塗料組成物中の全固形分100質量部に対して、100〜100000質量部が好ましく、100〜5000質量部がより好ましく、100〜2500質量部が特に好ましい。水の含有量を100質量部以上とすることにより、長期保管での保存安定性が良好となる。水の含有量を100000質量部以下とすることにより、無機塗料組成物の固形分濃度が低くなりすぎず、必要膜厚を得やすくなる。
<親水性塗膜>
本発明の親水性塗膜は、本発明の製造方法によって得られた無機塗料組成物を基材に塗布して形成される塗膜である。
基材としては、適宜必要に応じて、様々なものを使用できる。基材としては、ガラス、セラミックス等の無機基材;ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂等の有機基材が挙げられる。基材としては、耐久性、耐候性に加え透明性も高い上に、基材表面の電荷がマイナスに帯電しやすく、その結果、強固な親水性塗膜が得られることから、フッ素樹脂が特に好ましい。
基材の形状としては、フィルム、板、成型物等が挙げられる。
基材には、適宜必要に応じて、表面処理を施してもよい。表面処理を施すことにより、基材の濡れ性がよくなり、得られる親水性塗膜と基材との密着性が向上する。表面処理法としては、特に限定されないが、公知のプラズマ処理、コロナ放電、UV処理、オゾン処理等の放電処理;酸、アルカリ等を用いた化学的処理、研磨材を用いた物理的処理等が挙げられる。
塗布方法としては、たとえば、はけ塗り、ローラー塗布、手塗り、回転塗布、浸漬塗布、各種印刷方式による塗布、バーコート、カーテンフロー、ダイコート、フローコート、スプレーコート等が挙げられる。
無機塗料組成物の塗布後に、親水性塗膜の機械的強度を高める目的で、加熱、または紫外線、電子線等の照射を行ってもよい。加熱は、有機基材の耐熱性を加味して決定すればよく、たとえばフッ素樹脂フィルムの場合は、40〜100℃が好ましい。
親水性塗膜の親水性は、水の接触角で評価できる。親水性塗膜の水の接触角は20°以下が好ましく、10°以下がより好ましい。接触角が20°以下であれば、親水性塗膜が充分な親水性を有しているといえる。
親水性塗膜は、基材が透明である場合は、透明性に優れていることが好ましい。親水性塗膜の透明性は、ヘイズ値で評価できる。親水性塗膜のヘイズ値は、基材との差で5%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。ヘイズ値が5%以下であれば、親水性塗膜が充分な透明性を有しているといえる。
親水性塗膜の膜厚は、5〜3000nmが好ましく、10〜1000nmがより好ましい。親水性塗膜の膜厚を5nm以上とすることにより、親水性および親水持続性の低下が抑えられる。親水性塗膜の膜厚を3000nm以下とすることにより、クラックが入りにくく、干渉縞が発生しにくく、傷が入った場合にはその傷が目立ちにくい。
本発明の親水性塗膜を親水性プライマー層とし、該親水性プライマー層の上にさらに別の塗膜を形成してもよい。たとえば、本発明の親水性塗膜の上に、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、3酸化タングステン、酸化第二鉄、チタン酸ストロンチウム等からなる微粒子を含有する光触媒膜を形成した場合、光触媒膜による有機基材の分解劣化を抑制できる。
<農業用フィルム>
本発明の農業用フィルムは、本発明の親水性塗膜を有するフィルムである。
本発明の農業用フィルムは、親水性塗膜を基材フィルムの少なくとも片面に形成することが好ましい。また、親水性塗膜を片面に形成した場合、もう一方の面には防汚性膜、帯電防止膜、断熱性膜、紫外線カット性膜等を設けてもよい。
基材フィルムとしては、ポリエチレン系樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂等のプラスチックからなるフィルムが挙げられる。基材フィルムとしては、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂が好ましい。基材フィルムがフッ素樹脂である場合、基材フィルム表面がマイナス帯電しやすく、表面電荷がプラスであるベーマイト粒子により密着性が発現する。
農業用ハウス等において、特に外気温が低い冬期や早朝、夕方に農業フィルムが曇りやすくなるため、これを抑制することが求められる。曇りの抑制については、「低温流滴性」が指標となる。低温流滴性は、親水性塗膜が高い親水性を発現することにより達成できる。また、長期曝露後にも流滴性が発現することが親水性塗膜に求められ、「高温流滴性」および「流滴持続性」が指標となる。高温流滴性は、親水性塗膜の耐久性の指標であり、基材フィルムと親水性塗膜との化学的な密着性、および塗膜に可撓性があることで基材フィルムの伸縮および折れ曲がりに対応できることにより達成できる。
以下に、実施例(例1〜4、例7〜18)および比較例(例5、6)を示す。
例において、凝集粒子の平均粒子径は、動的光散乱法粒度分析計(日機装社製、型式:マイクロトラックUPA)を用いて測定した。
0.5質量%の光透過率は、分光光度計(島津製作所製、UV−1200型)を用い、光路長10mm、光の波長530nmにて測定した。
キセロゲルの平均細孔半径、細孔半径1〜100nmの全細孔容積は、窒素吸脱着装置(カンタクローム社製、オートソーブ3B型)により測定した。
結晶サイズは、X線回折により求めた。
親水性塗膜の厚さは、サンプル上の塗膜をカッターで削り取り、触針法により測定した。
[例1]
容量2000mlのセパラブルフラスコに、Al23に換算した濃度が24質量%であり、塩基度が84%であるポリ塩化アルミニウム(多木化学社製、商品名:タキバイン#1500)327gおよび水1548gを仕込み、マントルヒータにより液温を95℃に昇温した。ついで、Al23濃度が20質量%であり、Na2O濃度が19質量%である、市販のアルミン酸ナトリウム溶液125gを添加し、液温を93〜97℃に保持して18時間熟成し、スラリーを得た。アルミン酸ナトリウム溶液を添加した直後の液のpHは、95℃において8.7であった。
熟成後のスラリーをイオン交換水で洗浄した後、再び95℃に昇温し、酢酸3.0gを添加し、48時間、75〜78℃に保持して解膠した。この液を700gになるまで濃縮し、さらに超音波処理して透明なアルミナゾルA(固形分濃度14.8質量%)を得た。
アルミナゾル中における凝集粒子の平均粒子径は195nmであり、アルミナゾルの0.5質量%の光透過率は15.5%であった。このアルミナゾルを乾燥して得たキセロゲルの平均細孔半径は9.5nmであり、細孔半径1〜100nmの全細孔容積は1.04ml/gであった。また、X線回折より、アルミナゾル中のアルミナ粒子がベーマイト粒子であることが確認され、ベーマイト粒子の結晶サイズは9.8nmであった。
ついで、アルミナゾルA20.3gと、シリカゾルa(触媒化成工業社製、商品名:OSCAL1432、イソプロパノール分散ゾル、シリカ粒子の平均粒子径20nm、SiO2濃度30質量%)10gと、メタノール69.7gとを混合した後、ノニオン性界面活性剤(旭電化工業社製、商品名:アデカトールSO−145)を、無機塗料組成物中の全固形分100質量部に対して1質量部となるように添加して、固形分濃度6質量%の無機塗料組成物を得た。無機塗料組成物中の全固形分100質量部のうち、ベーマイト粒子は50質量部であり、シリカ粒子は50質量部であった。水の含有量は、無機塗料組成物中の全固形分100質量部に対して288質量部であった。
無機塗料組成物2mlをA4サイズの、コロナ放電処理済みのエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体(ETFE)フィルム(旭硝子社製、商品名:アフレックス、コロナ放電処理後の表面濡れ指数42、厚さ100μm)上にバーコータで塗布した後、80℃で5分間乾燥し、厚さ0.3μmの親水性塗膜を形成した。
親水性塗膜が形成されたサンプルについて、下記に示す方法で評価を行った。評価結果を表1に示す。
(外観)
サンプルの親水性塗膜の外観を目視で評価し、異物欠点、反り、クラック、ムラのいずれの欠陥もないものを○、いずれかの欠点があるものを×とした。
(透明性)
ヘイズ値により評価を行った。ヘイズ値の測定はJIS K7105に則り行った。サンプルの親水性塗膜のヘイズ値をヘーズコンピューター(スガ試験機社製、型式:HGM−3DP)で測定した。ヘイズ値が3%以下のものを合格、3%を超えるものを不合格とした。
(透過率)
サンプルの全光線透過率を、JIS K7105(1981年)に則り、ヘイズメーター(スガ試験機社製、商品名:HGM−2K、SMカラーコンピュータモデルSM−5)を用いて測定した。
(親水性)
サンプル上の親水性塗膜の水の接触角により評価を行った。親水性塗膜の表面における水の接触角を、接触角計(協和界面科学社製、型式:CA−X150)で測定した。測定は任意の異なる5つの箇所で行い、その平均値を算出した。
(耐水性)
25℃の蒸留水を満たしたビーカー内に、サンプルを垂直に浸漬し、5分間浸漬した後、80℃で5分間乾燥した。水浸漬した部分および未浸漬の部分におけるAl付着量(μg/cm2 )を蛍光X線(RIGAKU社製、型式:RIX3000)で測定し、浸漬部分Al量/未浸漬部分Al量×100(%)により評価した。Al付着量は、90%以上であるものを合格とした。
(低温流滴性)
温度一定の環境試験室内に設置した恒温水槽の上にアクリル樹脂製屋根型フレームを水平面に対して15度の傾斜をつけて設置し、このフレームに、縦14cm×横8cmに切り出したサンプルを親水性塗膜を下にしてセットした。このときの環境試験室は10℃とし、恒温水槽は20℃とした。そして、親水性塗膜表面の水滴の様子を観察し、以下の基準で判定した。◎、○、△を合格とし、×、××を不合格とした。
◎:評価開始5分後に塗膜表面が均一に濡れている。
○:評価開始2時間後に塗膜表面が均一に濡れている。
△:評価開始3時間後に塗膜表面が均一に濡れている。
×:評価開始3時間後に塗膜表面に部分的に水滴付着部がある。
××:評価開始3時間後に塗膜表面に全体的に水滴が付着し白く曇っている。
(高温流滴性)
低温流滴性評価と同様にしてサンプルのセッティングを行い、環境試験室を20℃とし、恒温水槽を80℃として、3ヶ月間放置した。3ヶ月経過後、サンプルの親水性塗膜表面の水滴の様子を観察し、塗膜表面が均一に濡れている場合を◎、塗膜表面が濡れているが部分的に水流れ跡が見える場合を○、塗膜表面が部分的に水滴が付着している場合を△、塗膜表面が全体的に水滴が付着し白く曇っている場合を×として評価した。◎、○を合格とし、△、×を不合格とした。
(促進耐候性)
サンプルについて、スーパーUV装置(岩崎電気社製、商品名:アイ・UVテスタ)を用いて以下の曝露サイクルで促進耐候性試験を行い、曝露時間約1000時間(83サイクル)後の水の接触角を親水性評価と同様にして測定し、評価した。接触角が30°以下であるものを合格とした。
(促進耐候性試験の曝露サイクル)
温度63℃、湿度4〜7%の環境下で、照射強度100mW/cm2 で紫外線を10時間照射した後、20秒間水洗し、温度30℃、湿度100%の環境下で2時間結露させた後、20秒間水洗した。
(流滴持続性)
サンプルを屋外展張し、1年間曝露した後切り出して、低温流滴性試験を再度実施し、低温流滴性と同じ基準にて評価した。
[例2]
シリカゾルaの代わりにシリカゾルb(触媒化成工業社製、商品名:カタロイドSN、シリカ粒子の平均粒子径14nm、SiO2濃度20質量%)15gを用い、メタノールの代わりに、水25.9gとエタノール38.8gとの混合液を使用した以外は、例1と同様にして無機塗料組成物を得た。無機塗料組成物中の全固形分100質量部のうち、ベーマイト粒子は50質量部であり、シリカ粒子は50質量部であった。水の含有量は、無機塗料組成物中の全固形分100質量部に対して920質量部であった。
例1と同様にして親水性塗膜を形成した。親水性塗膜が形成されたサンプルについて、例1と同様にして評価を行った。評価結果を表1に示す。
[例3]
例1のアルミナゾルAに、凝集粒子の平均粒子径が150nmになるまで再度超音波振動を付与し、透明なアルミナゾルB(固形分濃度14.8質量%)を得た。アルミナゾルの0.5質量%の光透過率は29.9%であった。このアルミナゾルを乾燥して得たキセロゲルの平均細孔半径は8.0nmであり、細孔半径1〜100nmの全細孔容積は0.94ml/gであった。ベーマイト粒子の結晶サイズは9.8nmであった。
ついで、アルミナゾルAの代わりにアルミナゾルBを用いた以外は、例1と同様にして無機塗料組成物を得た。無機塗料組成物中の全固形分100質量部のうち、ベーマイト粒子は50質量部であり、シリカ粒子は50質量部であった。水の含有量は、無機塗料組成物中の全固形分100質量部に対して288質量部であった。
例1と同様にして親水性塗膜を形成した。親水性塗膜が形成されたサンプルについて、例1と同様にして評価を行った。評価結果を表1に示す。
[例4]
塩化アルミニウム水溶液(多木化学社製、商品名:タキバイン#100、Al23濃度11.5質量%、Cl濃度24.5%、以下同じ)308gに水1343gを添加し、撹拌しながら、アルミン酸ナトリウム水溶液(浅田化学工業社製、型式:#2019、Al23濃度20質量%、Na2O濃度19質量%、以下同じ)243gを添加した。ついで、この液を95℃に昇温した後、撹拌しながら、再びアルミン酸ナトリウム水溶液106gを添加した後、撹拌しながら液温を95℃に保持して24時間熟成し、スラリーを得た。95℃でアルミン酸ナトリウムを添加した直後の液のpHは9.2であった。
熟成後のスラリーを限外濾過装置を用いて洗浄した後、再び95℃に昇温し、この洗浄後のスラリーの総固形分量の3質量%となる量のアミド硫酸を添加し、総固形分濃度が22.4質量%となるまで減圧濃縮した後、超音波処理してアルミナゾルCを得た。
アルミナゾル中における凝集粒子の平均粒子径は80nmであり、アルミナゾルの0.5質量%の光透過率は41.7%であった。このアルミナゾルを乾燥して得たキセロゲルの平均細孔半径は8.0nmであり、細孔半径1〜100nmの全細孔容積は0.80ml/gであった。また、X線回折より、アルミナゾル中のアルミナ粒子がベーマイト粒子であることが確認され、ベーマイト粒子の結晶サイズは8.2nmであった。
ついで、アルミナゾルAの代わりにアルミナゾルC13.4gを用い、メタノール69.7gの代わりに76.6gを用いた以外は、例1と同様にして無機塗料組成物を得た。無機塗料組成物中の全固形分100質量部のうち、ベーマイト粒子は50質量部であり、シリカ粒子は50質量部であった。水の含有量は、無機塗料組成物中の全固形分100質量部に対して173質量部であった。
例1と同様にして親水性塗膜を形成した。親水性塗膜が形成されたサンプルについて、例1と同様にして評価を行った。評価結果を表1に示す。
[例5(比較例)]
市販のアルミナゾルD(触媒化成工業社製、商品名:カタロイドAS−2、固形分濃度10.2質量%)の特性評価を行った。アルミナゾル中における凝集粒子の平均粒子径は156nmであり、0.5質量%の光透過率は43.0%であった。このアルミナゾルを乾燥して得たキセロゲルの平均細孔半径は2.9nmであり、細孔半径1〜100nmの全細孔容積は0.37ml/gであった。
ついで、アルミナゾルAの代わりにアルミナゾルD29.4gを用い、メタノール69.7gの代わりに60.6gを用いた以外は、例1と同様にして無機塗料組成物を得た。無機塗料組成物中の全固形分100質量部のうち、アルミナ粒子は50質量部であり、シリカ粒子は50質量部であった。水の含有量は、無機塗料組成物中の全固形分100質量部に対して440質量部であった。
例1と同様にして親水性塗膜を形成した。親水性塗膜が形成されたサンプルについて、例1と同様にして評価を行った。評価結果を表1に示す。
[例6(比較例)]
市販のアルミナゾルE(触媒化成工業社製、商品名:カタロイドAS−3、固形分濃度7.2質量%)の特性評価を行った。アルミナゾル中における凝集粒子の平均粒子径は562nmであり、0.5質量%の光透過率は0.5%であった。このアルミナゾルを乾燥して得たキセロゲルの平均細孔半径は5.1nmであり、細孔半径1〜100nmの全細孔容積は0.77ml/gであった。
ついで、アルミナゾルAの代わりにアルミナゾルE41.7gを用い、メタノール69.7gの代わりに48.3gを用いた以外は、例1と同様にして無機塗料組成物を得た。無機塗料組成物中の全固形分100質量部のうち、アルミナ粒子は50質量部であり、シリカ粒子は50質量部であった。水の含有量は、無機塗料組成物中の全固形分100質量部に対して645質量部であった。
例1と同様にして親水性塗膜を形成した。親水性塗膜が形成されたサンプルについて、例1と同様にして評価を行った。評価結果を表1に示す。
[例7]
2−プロパノール22.6gに、テトラメトキシシラン3.8gおよび濃度1質量%硝酸水溶液3.6gを添加し、25℃で1時間撹拌して、シリカオリゴマーI(SiO2 換算固形分濃度5質量%)を得た。ついで、ガラス製反応容器にて、蒸留水13.7gとエタノール20.6gとを混合した後、これと、例4のアルミナゾルC12.7gおよびシリカオリゴマーI 3.0gとを混合し、25℃の保管環境で3日間熟成して、アルミナゾルF(固形分濃度6.0質量%)を得た。
ついで、アルミナゾルAの代わりにアルミナゾルF50.0gを用い、メタノールの代わりにエタノール40.0gを用いた以外は、例1と同様にして無機塗料組成物を得た。無機塗料組成物中の全固形分100質量部のうち、ベーマイト粒子は50質量部であり、シリカ粒子は50質量部であった。水の含有量は、無機塗料組成物中の全固形分100質量部に対して398質量部であった。
例1と同様にして親水性塗膜を形成した。親水性塗膜が形成されたサンプルについて、例1と同様にして評価を行った。評価結果を表1に示す。
[例8]
水37.5gにケイ酸ナトリウム4号を12.5g添加し、さらに陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名:SK1BH)30gを添加して、10分間室温で撹拌してケイ酸オリゴマーを得た。さらに、ケイ酸オリゴマーに蒸留水を添加してSiO2 換算固形分濃度5質量%のシリカオリゴマーIIを得た。シリカオリゴマーIIのアルカリは99%除去されていた。ついで、ガラス製反応容器にて、蒸留水13.7gとエタノール20.6gとを混合した後、これと、例4のアルミナゾルC12.7gおよびシリカオリゴマーII 3.0gとを混合して、アルミナゾルG(固形分濃度6.0質量%)を得た。
ついで、アルミナゾルAの代わりにアルミナゾルG50.0gを用い、メタノールの代わりにエタノール40.0gを用いた以外は、例1と同様にして無機塗料組成物を得た。無機塗料組成物中の全固形分100質量部のうち、ベーマイト粒子は50質量部であり、シリカ粒子は50質量部であった。水の含有量は、無機塗料組成物中の全固形分100質量部に対して441質量部であった。
例1と同様にして親水性塗膜を形成した。親水性塗膜が形成されたサンプルについて、例1と同様にして評価を行った。評価結果を表1に示す。
[例9]
シリカゾルc(日産化学工業社製、商品名:スノーテックスAK、分散媒中におけるシリカ粒子の平均粒子径60nm、SiO2 濃度17.7質量%)を用意した。
シリカゾルa10gの代わりに、シリカゾルa5gおよびシリカゾルc8.5gを用い、メタノール76.6gの代わりにメタノール73.1gを用いた以外は、例4と同様にして無機塗料組成物を得た。機塗料組成物中の全固形分100質量部のうち、ベーマイト粒子は50質量部であり、シリカ粒子は50質量部であった。水の含有量は、無機塗料組成物中の全固形分100質量部に対して290質量部であった。
例1と同様にして親水性塗膜を形成した。親水性塗膜が形成されたサンプルについて、例1と同様にして評価を行った。評価結果を表1に示す。
[例10]
市販のアルミナゾルH(日産化学工業社製、商品名:アルミナゾル200、アモルファス、粒子形状:羽毛状、長軸方向の平均粒子径100nm、短軸方向の平均粒子径10nm、Al23濃度10.9質量%)を用意した。
アルミナゾルC13.4gの代わりに、アルミナゾルC9.4gおよびアルミナゾルH8.3gを用い、メタノール76.6gの代わりにメタノール72.3gを用いた以外は、例4と同様にして無機塗料組成物を得た。無機塗料組成物中の全固形分100質量部のうち、ベーマイト粒子は35質量部であり、アルミナゾルH由来のアルミナ粒子は15質量部であり、シリカ粒子は50質量部であった。水の含有量は、無機塗料組成物中の全固形分100質量部に対して245質量部であった。
例1と同様にして親水性塗膜を形成した。親水性塗膜が形成されたサンプルについて、例1と同様にして評価を行った。評価結果を表1に示す。
[例11]
界面活性剤を、無機塗料組成物中の全固形分100質量部に対して、10質量部となるように添加した以外は、例4と同様にして無機塗料組成物を得た。
例1と同様にして親水性塗膜を形成した。親水性塗膜が形成されたサンプルについて、例1と同様にして評価を行った。評価結果を表1に示す。
[例12]
アルミナゾルFを80.0gとし、シリカゾルaを4.0gとし、エタノールを16.0gとした以外は、例7と同様にして無機塗料組成物を得た。無機塗料組成物中の全固形分100質量部のうち、ベーマイト粒子は80質量部であり、シリカ粒子は20質量部であった。水の含有量は、無機塗料組成物中の全固形分100質量部に対して637質量部であった。
例1と同様にして親水性塗膜を形成した。親水性塗膜が形成されたサンプルについて、例1と同様にして評価を行った。評価結果を表1に示す。
[例13]
アルミナゾルFを20.0gとし、シリカゾルaを16.0gとし、エタノールを64.0gとした以外は、例7と同様にして無機塗料組成物を得た。無機塗料組成物中の全固形分100質量部に対して、ベーマイト粒子は20質量部であり、シリカ粒子は80質量部であった。水の含有量は、無機塗料組成物中の全固形分100質量部に対して159質量部であった。
例1と同様にして親水性塗膜を形成した。親水性塗膜が形成されたサンプルについて、例1と同様にして評価を行った。評価結果を表1に示す。
[例14]
界面活性剤を用いない以外は、例7と同様にして無機塗料組成物を得た。
例1と同様にして親水性塗膜を形成した。親水性塗膜が形成されたサンプルについて、例1と同様にして評価を行った。評価結果を表1に示す。
[例15]
ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:ポバール124)に水を添加して、固形分濃度6質量%のポリビニルアルコール水溶液を得る。
例4の無機塗料組成物100質量部に対して、ポリビニルアルコール水溶液5質量部を添加、混合して、固形分濃度6質量%の無機塗料組成物を得る。無機塗料組成物中の全固形分100質量部にのうち、ベーマイト粒子は47.5質量部であり、シリカ粒子は47.5質量部であり、ポリビニルアルコールは5質量部である。水の含有量は、無機塗料組成物中の全固形分100質量部に対して243質量部である。
例1と同様にして親水性塗膜を形成する。親水性塗膜が形成されたサンプルについて、例1と同様にして評価を行う。評価結果を表1に示す。
[例16]
ポリビニルアルコールの代わりにポリアクリル酸(日本純薬社製、商品名:ジュリマーAPO−601N)を用いる以外は、例15と同様にして操作を行い、無機塗料組成物を得る。無機塗料組成物中の全固形分100質量部のうち、ベーマイト粒子は48質量部であり、シリカ粒子は48質量部である。水の含有量は、無機塗料組成物中の全固形分100質量部に対して243質量部である。
例1と同様にして親水性塗膜を形成する。親水性塗膜が形成されたサンプルについて、例1と同様にして評価を行う。評価結果を表1に示す。
[例17]
酸化スズゾル(多木化学社製、商品名:C−10、SnO2 濃度10質量%)に水を加えて、固形分濃度6質量%の酸化スズゾルを得る。
例4の無機塗料組成物100質量部に対して、酸化スズゾルを25質量部の割合で混合し、固形分濃度6%の無機塗料組成物を得る。無機塗料組成物を用いて得られる親水性塗膜には、導電性があることが認められる。無機塗料組成物中の全固形分100質量部のうち、ベーマイト粒子は40質量部であり、シリカ粒子は40質量部であり、酸化スズは20質量部である。水の含有量は、無機塗料組成物中の全固形分100質量部に対して452質量部である。
例1と同様にして親水性塗膜を形成する。親水性塗膜が形成されたサンプルについて、例1と同様にして評価を行う。評価結果を表1に示す。
[例18]
アルミナゾルF1.2gと、シリカゾルa0.2gと、水98.6gとを混合し、ついでノニオン性界面活性剤(旭電化工業社製、商品名:アデカノールBO−901)を無機塗料組成物中の全固形分100質量部に対して1質量部となるように添加して、固形分濃度0.1質量%の無機塗料組成物を得る。無機塗料組成物中の全固形分100質量部のうち、ベーマイト粒子は50質量部であり、シリカ粒子は50質量部である。水の含有量は、無機塗料組成物中の全固形分100質量部に対して71747質量部である。
得られる無機塗料組成物を、展張済みの農業用ハウスのETFEフィルム(旭硝子社製、商品名:アフレックス、厚さ:100μm)にスプレーで塗布し、ついで24時間自然乾燥し、厚さ0.3μmの親水性塗膜を形成する。フィルムの一部を切り取って評価用サンプルとする。該サンプルについて、例1と同様にして評価を行う。評価結果を表1に示す。
Figure 0005298401
本発明の製造方法によれば、建築用ガラス、自動車用ガラス、各種ランプのカバー、眼鏡レンズ、ゴーグル、各種計器のカバー、農業用フィルム等の様々な物品に親水性塗膜を形成できる無機塗料組成物を得ることができる。

Claims (16)

  1. 基材上に親水性塗膜を形成することのできる無機塗料組成物の製造方法であって、
    分散媒中にベーマイト粒子が分散したアルミナゾルと、分散媒中にシリカ粒子が分散したシリカゾルとを混合する工程を有し、
    アルミナゾルとして、下記の製造方法によって得られたものであり、(a)分散媒中における凝集粒子の平均粒子径が20〜500nmであり、(b)アルミナゾルから分散媒を除去して得られるキセロゲルの平均細孔半径が5〜15nmであり、(c)該キセロゲルにおける、細孔半径1〜100nmの全細孔容積が0.50〜2.00ml/gであるアルミナゾルを用いる、無機塗料組成物の製造方法。
    (アルミナゾルの製造方法)
    JIS K1475で規定される塩基度が5〜98%のポリ塩化アルミニウムまたは塩化アルミニウムとアルカリとを混合してpHを5〜12とし、50〜150℃で反応させることによってベーマイト粒子を析出させ、熟成させた後、濾過、洗浄し、酸を加えて加熱撹拌および/または超音波処理を行うことにより解膠する方法。
  2. アルミナゾルとして、(d)ベーマイト粒子の(010)面に垂直な方向の結晶の厚さが6〜13nmであるアルミナゾルを用いる、請求項1記載の無機塗料組成物の製造方法。
  3. アルミナゾルとして、(e)固形分濃度0.5質量%、光の波長530nm、光路長10mmで測定したときの光透過率が、5〜70%であるアルミナゾルを用いる、請求項1または2に記載の無機塗料組成物の製造方法。
  4. アルミナゾルの分散媒が、酸を含有する水である、請求項1〜3のいずれかに記載の無機塗料組成物の製造方法。
  5. 酸が、酢酸またはアミド硫酸である、請求項4に記載の無機塗料組成物の製造方法。
  6. 酸の量が、アルミニウム原子1モルに対して0.005〜0.2当量である、請求項4または5に記載の無機塗料組成物の製造方法。
  7. シリカゾルとして、分散媒中におけるシリカ粒子の平均粒子径が1〜150nmであるシリカゾルを用いる、請求項1〜6のいずれかに記載の無機塗料組成物の製造方法。
  8. 0.1MPaにおける沸点が120℃未満である有機溶剤をさらに添加する、請求項1〜7のいずれかに記載の無機塗料組成物の製造方法。
  9. アルミナゾルとシリカ前駆体とをあらかじめ混合した後、これとシリカゾルとを混合する、請求項1〜8のいずれかに記載の無機塗料組成物の製造方法。
  10. 界面活性剤をさらに添加する、請求項1〜9のいずれかに記載の無機塗料組成物の製造方法。
  11. 無機塗料組成物の固形分濃度が、0.1〜30質量%である、請求項1〜10のいずれかに記載の無機塗料組成物の製造方法。
  12. 無機塗料組成物の全固形分100質量部のうち、ベーマイト粒子が20〜80質量部であり、かつシリカ粒子が20〜80質量部である、請求項1〜11のいずれかに記載の無機塗料組成物の製造方法。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法によって得られた無機塗料組成物を基材に塗布して形成された、親水性塗膜。
  14. 水の接触角が、20°以下である、請求項13に記載の親水性塗膜。
  15. 基材が、フッ素樹脂である、請求項13または14に記載の親水性塗膜。
  16. 請求項13〜15のいずれかに記載の親水性塗膜を有する農業用フィルム。
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