JP5295277B2 - 配糖体含有リポソーム - Google Patents
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Description
本発明は、抗癌剤として有用な配糖体を含有するリポソームに関する。
例えばコレステロールのB環の二重結合が飽和されたコレスタノールに特定の糖鎖を結合させた下記のコレスタノール配糖体(1)は、癌細胞の増殖抑制作用を有し、抗癌剤として有用な化合物である(特許文献1及び2参照)。
[式中、GはGlcNAc−Gal−、GlcNAc−Gal−Glc−、Fuc−Gal−、Gal−Glc−又はGal−を示す。]
コレスタノールのような疎水性化合物は、細胞膜に親和性を有し、細胞に容易に取り込まれることから、それらの配糖体は種々の癌細胞に容易に取り込まれ十分にその効果を発揮できると考えられていた。しかしながら、当該配糖体は、溶解性の低さから使用が困難であったり、癌腫によってはその効果を充分に発揮できない場合があった。
本発明は、抗腫瘍活性を有する配糖体に対し、該化合物の本来有する抗腫瘍効果をより効率的に発揮せしめる製剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、斯かる実情に鑑み、抗腫瘍活性を有する疎水性化合物の配糖体について、その投与形態を種々検討したところ、膜脂質として少なくともリン脂質を用い、且つ正電荷供与物質を共存させて、当該配糖体をリポソーム化した場合に、溶解性の低さのために使用が困難であった化合物の使用が可能になり、更に配糖体をそのまま投与した場合には殆ど効果を示さなかった腫瘍株に対しても強い抗腫瘍活性を示す等、該化合物の本来有する抗腫瘍効果をより効率的に発揮せしめる製剤となり得ることを見出した。
すなわち本発明は、抗腫瘍活性を有し、糖としてGlcNAc−Gal−、GlcNAc−Gal−Glc−、Fuc−Gal−、Gal−Glc又はGal−を有するリポソーム化可能な疎水性化合物の配糖体、リン脂質及び正電荷供与物質を含有するリポソームを提供するものである。
また、本発明は、下記の式(1)〜(3):
[式中、GはGlcNAc−Gal−、GlcNAc−Gal−Glc−、Fuc−Gal−、Gal−Glc−又はGal−を示し、nは12〜26の整数を示す。]
から選ばれる配糖体、リン脂質及び正電荷供与物質を含有するリポソームを提供するものである。
から選ばれる配糖体、リン脂質及び正電荷供与物質を含有するリポソームを提供するものである。
更に本発明は、当該リポソームを含有する抗癌剤を提供するものである。
本発明によれば、抗腫瘍活性を有する配糖体の溶解性が向上し、当該配糖体が本来有する抗腫瘍効果をより効率的に発揮せしめる製剤が提供できる。特に、コレスタノール配糖体(1)を用いた製剤は、そのまま投与した場合には抗腫瘍作用を発揮しづらかった癌細胞に対しても強い抗腫瘍活性を示し、当該化合物の持つ抗腫瘍作用を最大限に発揮せしめることができる。
本発明リポソームに含有される配糖体は、糖として、GlcNAc−Gal−、GlcNAc−Gal−Glc−、Fuc−Gal−、Gal−Glc又はGal−を有し、リポソーム化可能な疎水性化合物をアグリコンとする化合物であり、且つ抗腫瘍活性を有するものである。
ここで、リポソーム化可能な疎水性化合物としては、例えばコレステロール、セラミド、疎水性アミノ酸、脂肪酸(オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等)、脂溶性ビタミン等の生体構成成分や、例えばナフタレン誘導体(例えばナフタレンメタノール)等の芳香環を有する化合物、コレステロール誘導体(例えばコレスタノール)等が挙げられる。このうち、セラミド、ナフタレン誘導体、コレステロール誘導体が好ましく、コレステロールのB環の二重結合が飽和されたコレスタノールが特に好ましい。
ここで、リポソーム化可能な疎水性化合物としては、例えばコレステロール、セラミド、疎水性アミノ酸、脂肪酸(オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等)、脂溶性ビタミン等の生体構成成分や、例えばナフタレン誘導体(例えばナフタレンメタノール)等の芳香環を有する化合物、コレステロール誘導体(例えばコレスタノール)等が挙げられる。このうち、セラミド、ナフタレン誘導体、コレステロール誘導体が好ましく、コレステロールのB環の二重結合が飽和されたコレスタノールが特に好ましい。
また、糖部分がGlcNAc−Gal−であるものは、好ましくはGlcNAcβ1,3−Galβ−又はGlcNAcβ1,4−Galβ−であり、GlcNAc−Gal−Glc−であるものは、好ましくはGlcNAcβ1,3−Galβ1,4−Glc−であり、Fuc−Gal−であるものは、好ましくはFucα1,3Gal−であり、Gal−Glc−であるものは、好ましくはGalβ1,4Glcβ−であり、Gal−であるものは、好ましくはGalβ−である。
更に好適な配糖体として、以下のコレスタノール配糖体(1)、ナフタレンメタノール配糖体(2)及びセラミド配糖体(3)が挙げられる。
[式中、GはGlcNAc−Gal−、GlcNAc−Gal−Glc−、Fuc−Gal−、Gal−Glc−又はGal−を示し、nは12〜26の整数を示す。]
中でも、抗癌作用の点から、コレスタノール配糖体(1)が特に好ましく、更に式(1)中の好ましい化合物として、以下に示すものが挙げられる。
(1)G=GlcNAc−Gal−:
3−β−コレスタニル 3−O−(2−アセタミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシル)−β−D−ガラクトピラノシド、
3−β−コレスタニル 4−O−(2−アセタミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシル)−β−D−ガラクトピラノシド
(2)G=GlcNAc−Gal−Glc−:
3−β−コレスタニル 4−O−{3−O−(2−アセトアミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシル)−β−D−ガラクトピラノシル}−β−D−グルコピラノシド
(3)G=Fuc−Gal−:
3−β−コレスタニル 3−O−(α−L−フコピラノシル)−β−D−ガラクトピラノシド
(4)G=Gal−Glc−:
3−β−コレスタニル 4−O−(β−D−ガラクトピラノシル)β−D−グルコピラノシド
(5)G=Gal−:
3−β−コレスタニル β−D−ガラクトピラノシド
(1)G=GlcNAc−Gal−:
3−β−コレスタニル 3−O−(2−アセタミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシル)−β−D−ガラクトピラノシド、
3−β−コレスタニル 4−O−(2−アセタミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシル)−β−D−ガラクトピラノシド
(2)G=GlcNAc−Gal−Glc−:
3−β−コレスタニル 4−O−{3−O−(2−アセトアミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシル)−β−D−ガラクトピラノシル}−β−D−グルコピラノシド
(3)G=Fuc−Gal−:
3−β−コレスタニル 3−O−(α−L−フコピラノシル)−β−D−ガラクトピラノシド
(4)G=Gal−Glc−:
3−β−コレスタニル 4−O−(β−D−ガラクトピラノシル)β−D−グルコピラノシド
(5)G=Gal−:
3−β−コレスタニル β−D−ガラクトピラノシド
本発明の配糖体は、生体内からの抽出、公知の化学反応、或いはこれらを組み合わせて製造することができる。例えば、上記コレスタノール配糖体(1)については、特開平11−60592号公報又は特開平2000−191685号公報に記載の方法により、ナフタレンメタノール配糖体(2)については、J.Biol.Chem.272(41)25608,1997記載の方法により製造することができ、セラミド配糖体(3)については、ヒト赤血球、肝臓、消化管粘膜、胎便などからの抽出により得ることができる。
当該配糖体は、抗腫瘍活性を有するものであるが、ここで抗腫瘍活性を有するとは、インビボにおいては、少なくとも1種の癌種に対して抗腫瘍効果を発揮し得ることを意味し、インビトロにあっては、少なくとも1種の癌細胞株に対して増殖阻害活性又は、増殖抑制活性を有することを意味する。
本発明リポソームにおいて、配糖体は、リン脂質1モルに対して、0.3〜2.0モル、好ましくは0.8〜1.5モル含有するのが好ましい。
本発明のリポソームにおいては、膜成分脂質として少なくともリン脂質が用いられる。
斯かるリン脂質としては、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジリノレオイルホスファチジルコリン、ミリストイルパルミトイルホスファチジルコリン、ミリストイルステアロイルホスファチジルコリン、パルミトイルアラキドイルホスファチジルコリン等のホスファチジルコリン類、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸等が挙げられ、これらは天然、又は半合成若しくは全合成により得ることができる。また、水素添加リン脂質等の加工リン脂質を用いることもできる。斯かるリン脂質は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
このうち、電気的中性で安定なリポソームを形成し得る点から、ホスファチジルコリン類を用いるのが好ましく、特に1αジパルミトイルフォスファチジルコリン(DPPC)を用いるのが好ましい。
斯かるリン脂質としては、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジリノレオイルホスファチジルコリン、ミリストイルパルミトイルホスファチジルコリン、ミリストイルステアロイルホスファチジルコリン、パルミトイルアラキドイルホスファチジルコリン等のホスファチジルコリン類、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸等が挙げられ、これらは天然、又は半合成若しくは全合成により得ることができる。また、水素添加リン脂質等の加工リン脂質を用いることもできる。斯かるリン脂質は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
このうち、電気的中性で安定なリポソームを形成し得る点から、ホスファチジルコリン類を用いるのが好ましく、特に1αジパルミトイルフォスファチジルコリン(DPPC)を用いるのが好ましい。
正電荷供与物質は、脂質膜の表面を正に荷電させるために添加される物質である。リポソームの表面を正に荷電させることにより、膜表面が負の荷電状態にある細胞との無理のない接触が期待できる。
正電荷供与物質としては、ステアリルアミン、オレイルアミン等の脂肪族アミン、フルオレンエチルアミン等の芳香族アミンが挙げられ、このうち脂肪族アミンが好ましく、特にステアリルアミンを用いるのが好ましい。
正電荷供与物質は、リン脂質1モルに対して、0.04〜0.15モル、好ましくは0.1〜0.15モル含有するのが好ましい。
正電荷供与物質は、リン脂質1モルに対して、0.04〜0.15モル、好ましくは0.1〜0.15モル含有するのが好ましい。
本発明のリポソームには、上記成分の他に、膜構造の安定剤としてコレステロール、脂肪酸、ジアセチルホスフェート等を必要に応じて加えることができる。
膜成分を分散させる水溶液としては、水、生理食塩水、各種緩衝液、糖類の水溶液及びこれらの混合物が好ましく用いられる。緩衝液としては、有機系、無機系を問わず体液水素イオン濃度付近に緩衝作用を有する緩衝液が好適に用いられ、例えばリン酸緩衝液を挙げることができる。
本発明リポソームの調製は、特に限定されず常法に従って行えばよい。例えば特開昭57−82310号公報、特開昭60−12127号公報、特開昭60−58915号公報、特開平1−117824号公報、特開平1−167218号公報、特開平4−29925号公報、特開平9−87168号公報、Methods of Biochemical Analysis(1988)33,p337、或いは「リポソーム」(南江堂)に記載の方法に準じて行えばよい。
以下に、特開平9−87168号公報に記載された方法に準じた本発明リポソームの調製手順について述べる。
まず、本発明の配糖体、リン脂質及び正電荷供与物質に有機溶媒及び水を加え混合した後、ロータリーエヴァポレーター等を用い完全に有機溶媒を除去し、次いで水分除去を行なう。ここで、膜成分物質、正電荷供与物質及び配糖体の混合比率は、例えば、52:8:20(モル比)を例示できるが、その近辺の混合比率であれば特に問題はない。配糖体の混合比率が小さい場合はコレステロールに代表される膜構造安定剤を必要に応じて添加することができるが、該混合比率が高くなれば必ずしも膜構造の安定剤の添加を必要とはしない。
有機溶媒は、水に対し不溶性の揮発性有機溶媒であれば特に制限はなく、例えばクロロホルム、クロルメタン、ベンゼン及びヘキサン等を用いることができ、溶解性を考慮する場合は、エタノールあるいはメタノール等の比較的極性の高い有機溶媒を適宜添加調製した混合有機溶媒を使用することができる。該混合有機溶媒と水との混合比率は、均一になる比率であれば、特に制限はない。
また、水分を添加調製した場合、水分除去法としては凍結乾燥法がごく一般に用いられるが、これに限定されるものではなく、減圧デシケーター中で乾燥してもよい。水分除去後、前述の分散水溶液を添加し、Vortexミキサー等で浸透することによりリポソーム化が達成される。
本発明リポソームの粒子径は、腫瘍抑制効果の点から10μm以下であるのが好ましく、3μm以下であるのがより好ましい。
リポソームのサイズを揃える場合は、例えば超音波処理、多孔質メンブレンフィルターに対する押出し処理、高圧噴射乳化装置による処理、あるいはこれらを組み合わせることによってサイズの均一化が可能である。また、より小さいリポソーム粒子を得たい場合は、たとえば超音波処理時間を長くすることにより達成することができる。
リポソームのサイズを揃える場合は、例えば超音波処理、多孔質メンブレンフィルターに対する押出し処理、高圧噴射乳化装置による処理、あるいはこれらを組み合わせることによってサイズの均一化が可能である。また、より小さいリポソーム粒子を得たい場合は、たとえば超音波処理時間を長くすることにより達成することができる。
斯くして調製された本発明リポソームは、後記実施例に示すように、極めて優れた癌細胞の増殖阻害作用を有する。特に、コレスタノール配糖体(1)については、そのまま投与した場合には抗腫瘍作用を発揮しづらかった癌細胞に対しても強い抗腫瘍活性を示す。リポソームは、一般にリン脂質二重膜を形成した小胞球であり、薬剤を内部に包み込む形で分散させ、細胞膜との融合により薬剤を細胞内に到達せしめることを目的として作製されるものであることから、薬剤自体の性質はリポソーム化によって変わるものではないと考えられていた。従って、当該コレスタノール配糖体をリポソーム化することにより、当該化合物の抗腫瘍活性が飛躍的に向上したことは、全く意外であった。
かように、当該リポソームを含有する製剤は、配糖体の本来有する抗腫瘍効果をより効率的に発揮せしめる抗癌剤として有用である。
かように、当該リポソームを含有する製剤は、配糖体の本来有する抗腫瘍効果をより効率的に発揮せしめる抗癌剤として有用である。
本発明の抗癌剤は、治療部位、治療目的に応じて適宜剤形を選択でき、リポソーム形状の安定性を損う添加剤等の使用がない限り、公知の調製方法に従い、例えば、経口剤、注射剤、坐剤、軟膏剤、貼付剤等とすることができる。
経口用固形製剤を調製する場合は、本発明リポソームに、賦形剤、必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を加えた後、常法により錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等を製造することができる。そのような添加剤としては、当該分野で一般的に使用されるものでよく、例えば、賦形剤としては、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸等を、結合剤としては、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン等を、崩壊剤としては乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等を、滑沢剤としては精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコール等を、矯味剤としては白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等を例示できる。
経口用液体製剤を調製する場合は、本発明リポソームに、矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯臭剤等を加えて常法により内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を製造することができる。この場合矯味剤としては上記に挙げられたもので良く、緩衝剤としてはクエン酸ナトリウム等が、安定化剤としてはトラガント、アラビアゴム、ゼラチン等が挙げられる。
注射剤を調製する場合は、本発明リポソームに、pH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法により皮下、筋肉内及び静脈内用注射剤を製造することができる。この場合のpH調節剤及び緩衝剤としてはクエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げられる。安定化剤としてはピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸等が挙げられる。局所麻酔剤としては塩酸プロカイン、塩酸リドカイン等が挙げられる。等張化剤としては、塩化ナトリウム、ブドウ糖等が例示できる。
坐剤を調製する場合は、本発明リポソームに公知の製剤用担体、例えば、ポリエチレングリコール、ラノリン、カカオ脂、脂肪酸トリグリセライド等を、更に必要に応じてツイーン(登録商標)のような界面活性剤等を加えた後、常法により製造することができる。
軟膏剤を調製する場合は、本発明リポソームに、通常使用される基剤、安定剤、湿潤剤、保存剤等を必要に応じて配合し、常法により混合、製剤化することができる。基剤としては、流動パラフィン、白色ワセリン、サラシミツロウ、オクチルドデシルアルコール、パラフィン等が挙げられ、保存剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル等が挙げられる。
貼付剤を製造する場合は、通常の支持体に前記軟膏、クリーム、ゲル、ペースト等を常法により塗布すれば良い。支持体としては、綿、スフ、化学繊維からなる織布、不織布や軟質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン等のフィルムあるいは発泡体シートが適当である。
本発明抗癌剤の投与量は、患者の症状、体重、年齢、性別等によって異なり、一概には決定できないが、通常成人1日あたり、コレスタノール配糖体(1)として約0.01〜200mg/Kg、好適には0.1〜50mg/Kgとすれば良く、これを1日一回又は2〜4回程度に分けて投与するのが好ましい。
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1 コレスタノール配糖体のリポソーム化
コレスタノール配糖体として、前記式(1)中のGがGlcNAcβ1,4Galである「GlcNAcβ1,4GalChol」、GがFucα1,3Galである「Fucα1,3GalChol」、GがGalβである「GalβChol」及び比較としてGがHである「Chol」を用い、これらの20μmol/ml(クロロホルム/メタノール=5/1,v/vに溶解)溶液を出発物質とした。
1αジパルミトイルフォスファチジルコリン、ステアリルアミン及び上記のコレスタノール配糖体を52/8/20(モル比)の割合で700μlとなるように混合し、次いで有機溶媒(クロロホルム/メタノール=2/1,V/V)300μl及び蒸留水1mlを添加混合した。その後、ロータリーエヴァポレーターにて有機溶媒を完全に除去した後、凍結乾燥操作を行ない、水分を完全に除去した。該凍結乾燥品は、PBS1ml中に溶解し、超音波処理(15W,15分)を行なうことによりリポソームを粒子径2−4μm程度に均一化し、実施例2及び3に供した。
実施例1 コレスタノール配糖体のリポソーム化
コレスタノール配糖体として、前記式(1)中のGがGlcNAcβ1,4Galである「GlcNAcβ1,4GalChol」、GがFucα1,3Galである「Fucα1,3GalChol」、GがGalβである「GalβChol」及び比較としてGがHである「Chol」を用い、これらの20μmol/ml(クロロホルム/メタノール=5/1,v/vに溶解)溶液を出発物質とした。
1αジパルミトイルフォスファチジルコリン、ステアリルアミン及び上記のコレスタノール配糖体を52/8/20(モル比)の割合で700μlとなるように混合し、次いで有機溶媒(クロロホルム/メタノール=2/1,V/V)300μl及び蒸留水1mlを添加混合した。その後、ロータリーエヴァポレーターにて有機溶媒を完全に除去した後、凍結乾燥操作を行ない、水分を完全に除去した。該凍結乾燥品は、PBS1ml中に溶解し、超音波処理(15W,15分)を行なうことによりリポソームを粒子径2−4μm程度に均一化し、実施例2及び3に供した。
実施例2 ナフタレンメタノール配糖体のリポソーム化
ナフタレンメタノール配糖体として、前記式(2)中のGがGlcNacβ1,4−Galβ1,1−である「GlcNAcβ1,4Galβ1,1NM」(NM:ナフタレンメタノール)を用い、コレスタノール配糖体のリポソーム化と同様の条件にてリポソーム化を行なった。
ナフタレンメタノール配糖体として、前記式(2)中のGがGlcNacβ1,4−Galβ1,1−である「GlcNAcβ1,4Galβ1,1NM」(NM:ナフタレンメタノール)を用い、コレスタノール配糖体のリポソーム化と同様の条件にてリポソーム化を行なった。
実施例3 セラミド配糖体のリポソーム化
セラミド配糖体として、前記式(3)中のGがGlcNacβ1,3−Galβ1,4−Glc−である「GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glcβ1,1Ceramide」を用い、コレスタノール配糖体のリポソーム化と同様の方法にてリポソーム化を行なった。但し、該リポソーム化の場合は安定化剤としてコレステロールを添加した。
セラミド配糖体として、前記式(3)中のGがGlcNacβ1,3−Galβ1,4−Glc−である「GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glcβ1,1Ceramide」を用い、コレスタノール配糖体のリポソーム化と同様の方法にてリポソーム化を行なった。但し、該リポソーム化の場合は安定化剤としてコレステロールを添加した。
実施例4 リポソーム化コレスタノール配糖体による細胞増殖阻害効果
培養癌細胞株(colon26 wild)を96穴プレートに、1×104cells/100μl/wellとなるように幡種した後、コレスタノール配糖体(GlcNAcβ1,4GalChol、Fucα1,3GalChol、GalβChol、Chol)及び実施例1で得られたリポソーム化コレスタノール配糖体を添加し、3日間37℃にてインキュベートした。その後、MTTアッセイを行ない細胞数を決定した。なお、増殖抑制率は以下の式に従って求めた。
培養癌細胞株(colon26 wild)を96穴プレートに、1×104cells/100μl/wellとなるように幡種した後、コレスタノール配糖体(GlcNAcβ1,4GalChol、Fucα1,3GalChol、GalβChol、Chol)及び実施例1で得られたリポソーム化コレスタノール配糖体を添加し、3日間37℃にてインキュベートした。その後、MTTアッセイを行ない細胞数を決定した。なお、増殖抑制率は以下の式に従って求めた。
細胞増殖阻害率(CPI率)(%)
=(1−処理細胞におけるOD/未処理細胞におけるOD)×100
=(1−処理細胞におけるOD/未処理細胞におけるOD)×100
その結果、単独ではほとんど効果を示さなかったFucα1,3GalCholは、リポソーム化することによって著しい細胞増殖抑制効果を示した。また、従来より細胞増殖阻害効果を示していたGlcNAcβ1,4GalCholは、リポソーム化することにより更に強い細胞増殖阻害効果を示すことが判明した(図1、2及び3)。
実施例5 リポソーム化ナフタレンメタノール配糖体及びリポソーム化セラミド配糖体による細胞増殖阻害効果
培養癌細胞株(colo201)を96穴プレートに、1X104cells/100μl/wellとなるように播種した後、実施例2及び3で得られたリポソーム化ナフタレンメタノール配糖体およびリポソーム化セラミド配糖体を添加し、3日間37℃にてインキュベートした。その後、MTTアッセイを行ない細胞数を決定した。なお、増殖抑制率は実施例4にと同様にして求めた。
その結果、単独では不溶性のため殆ど効果を示さないGlcNAcβ1,3Galβ1NMおよびGlcNAcβ1,3Galβ1,4Glcβ1,1Ceramideが、リポソーム化することによって著しい細胞増殖阻害効果を示すことが判明した(図4)。
培養癌細胞株(colo201)を96穴プレートに、1X104cells/100μl/wellとなるように播種した後、実施例2及び3で得られたリポソーム化ナフタレンメタノール配糖体およびリポソーム化セラミド配糖体を添加し、3日間37℃にてインキュベートした。その後、MTTアッセイを行ない細胞数を決定した。なお、増殖抑制率は実施例4にと同様にして求めた。
その結果、単独では不溶性のため殆ど効果を示さないGlcNAcβ1,3Galβ1NMおよびGlcNAcβ1,3Galβ1,4Glcβ1,1Ceramideが、リポソーム化することによって著しい細胞増殖阻害効果を示すことが判明した(図4)。
実施例6 リポソーム化コレスタノール配糖体による腹膜播腫抑制効果
(1)リポソーム化Fucα1,3GalCholの粒子径による影響
Balb/cマウス(8週齢、雌)に対し、癌細胞株(colon26 wild,5×104cells/200μl)を腹空内投与した。次いで、12時間、24時間及び48時間後に異なる超音波処理時間(15W×5,10,15分)により調製したリポソーム化Fucα1,3GalChol(2μmol/100μl)を腹腔内投与した。10日後、腸間膜における腫瘍数を測定した。超音波処理時間を長くしリポソーム粒子径を小さくするほど、腹膜播腫抑制効果示すことが判明した(図5)。
(1)リポソーム化Fucα1,3GalCholの粒子径による影響
Balb/cマウス(8週齢、雌)に対し、癌細胞株(colon26 wild,5×104cells/200μl)を腹空内投与した。次いで、12時間、24時間及び48時間後に異なる超音波処理時間(15W×5,10,15分)により調製したリポソーム化Fucα1,3GalChol(2μmol/100μl)を腹腔内投与した。10日後、腸間膜における腫瘍数を測定した。超音波処理時間を長くしリポソーム粒子径を小さくするほど、腹膜播腫抑制効果示すことが判明した(図5)。
(2)リポソーム化GlcNAcβ1,4GalCholの腹膜播腫抑制効果
Balb/cマウス(8週齢、雌)に対し、癌細胞株(colon26 wild,5×104cells/200μl)を腹腔内投与した。次いで、24時間及び48時間後、超音波処理(15W、15分間)により調製したリポソーム化GlcNAcβ1,4GalChol(2μmol/100μl)を腹腔内投与した。10日後、腸間膜における腫瘍数を、21日後に大網及び腸間膜において形成した腫瘍重量を測定した。その結果、リポソーム化GlcNAcβ1,4GalChol投与により良好な腹膜播腫抑制効果を示すことが判明した(図6及び7)。
Balb/cマウス(8週齢、雌)に対し、癌細胞株(colon26 wild,5×104cells/200μl)を腹腔内投与した。次いで、24時間及び48時間後、超音波処理(15W、15分間)により調製したリポソーム化GlcNAcβ1,4GalChol(2μmol/100μl)を腹腔内投与した。10日後、腸間膜における腫瘍数を、21日後に大網及び腸間膜において形成した腫瘍重量を測定した。その結果、リポソーム化GlcNAcβ1,4GalChol投与により良好な腹膜播腫抑制効果を示すことが判明した(図6及び7)。
(3)リポソーム化FucGalChol及びFucGalChol単独投与での腹膜播種抑制効果の比較
Balb/cマウス(8週齢、雌)に対し、癌細胞株(colon26 wild,5×104cells/200μl)を腹腔内投与した。次いで、0、24及び48時間後に超音波処理(15W、15分間)により調製したリポソーム化FucGalChol及びFucGalCholの腹腔内投与を行った(いずれも2μmol/100μl)。10日後、腸間膜に形成された腫瘍数を測定した。
その結果、無処理、FucGalChol投与群に比べて、リポソーム化FucGalChol投与群では、腫瘍の形成が強く抑制されていることが判明した(図8)。
Balb/cマウス(8週齢、雌)に対し、癌細胞株(colon26 wild,5×104cells/200μl)を腹腔内投与した。次いで、0、24及び48時間後に超音波処理(15W、15分間)により調製したリポソーム化FucGalChol及びFucGalCholの腹腔内投与を行った(いずれも2μmol/100μl)。10日後、腸間膜に形成された腫瘍数を測定した。
その結果、無処理、FucGalChol投与群に比べて、リポソーム化FucGalChol投与群では、腫瘍の形成が強く抑制されていることが判明した(図8)。
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