<第1の実施の形態>
以下、図面を参照して、本発明に係る第1の実施の形態について説明する。なお、図12(a),(b)及び図13(a),(b)は、回路ユニット及びプリント配線板が共通であっても実装状態の変更で互いに種類の異なる電子回路基板20として使用される場合の例を模式的に示す図である。
図12(a)に示す電子回路基板20は、同種のプリント配線板10に搭載された4種の回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237のうちの回路ユニットFG2−1234を有効にしたものである。この回路ユニットFG2−1234には、モータを表すMOTOR1〜4とソレノイドを表すSL1〜SL4とが夫々接続されている。
図12(b)に示す電子回路基板20は、同種のプリント配線板10に搭載された4種の回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237のうちの回路ユニットFG2−1235を有効にしたものである。回路ユニットFG2−1234と比較すると、この回路ユニットFG2−1235にはモータMOTOR4が接続されていない。
図12(c)に示す電子回路基板20は、同種のプリント配線板10に搭載された4種の回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237のうちの回路ユニットFG2−1236を有効にしたものである。この回路ユニットFG2−1236には、ソレノイドSL2、SL3が接続されていない。
図12(d)に示す電子回路基板20は、同種のプリント配線板10に搭載された4種の回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237のうちの回路ユニットFG2−1237を有効にしたものである。この回路ユニットFG2−1237には、モータMOTOR3とソレノイドSL4が接続されていない。
これら回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237は、夫々に接続される負荷が異なる。したがって、電子回路基板20を制御するソフトウェア(制御プログラム)は、回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237の何れであるか、回路ユニットの種類(タイプ)を識別して制御を切り替える必要がある。
図1(a),(b)及び図2(a),(b)は、本第1の実施の形態における電子回路基板20を夫々模式的に示す図である。これらの図に示される電子回路基板20は夫々、機能の異なる4つの回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237を、上下左右に隣接した状態で搭載している。電子回路基板20は夫々、各回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237に対応して、抵抗器(実装部品)106a〜109aの何れかが排他的に実装されることで機能(タイプ)を互いに異ならせ得る同構造のものとして構成されている。
各電子回路基板20は、回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237に共通で、これらを切替えに応じて夫々制御するソフトウェアを有したCPU(Central Processing Unit)105をプリント配線板10に搭載している。CPU105の各入力ポートには、抵抗器111〜114を介して電源Pに夫々接続された回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237を識別するためのユニット識別信号101〜104を入力するための信号線(101〜104)が夫々接続されている。
各電子回路基板20のプリント配線板10には、回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237の夫々に対応して、抵抗器106a〜109aを夫々に実装可能な実装部106〜109が設けられている。
実装部106では、抵抗器106aを接続可能な端子の一方がユニット識別信号(101)の信号線101における抵抗器111よりもCPU105側に接続されると共に、端子の他方がアースされている。図中の実装部106の右隣りには、プリント配線板10上のユニット番号「FG2−1234」を表すシルク115が印刷によって記されている。実装部107では、抵抗器107aを接続可能な端子の一方がユニット識別信号(102)の信号線102における抵抗器112よりもCPU105側に接続されると共に、端子の他方がアースされている。図中の実装部107の右隣りには、プリント配線板10上のユニット番号「FG2−1235」を表すシルク116が印刷によって記されている。
実装部108では、抵抗器108aを接続可能な端子の一方がユニット識別信号(103)の信号線103における抵抗器113よりもCPU105側に接続されると共に、端子の他方がアースされている。図中の実装部108の右隣りには、プリント配線板10上のユニット番号「FG2−1236」を表すシルク117が印刷によって記されている。実装部109では、抵抗器109aを接続可能な端子の一方がユニット識別信号(104)の信号線104における抵抗器114よりもCPU105側に接続されると共に、端子の他方がアースされている。図中の実装部109の右隣りには、プリント配線板10上のユニット番号「FG2−1237」を表すシルク118が印刷によって記されている。なお、シルク(識別部)115〜118は、上記のような文字や数字以外に、絵や図柄等で表すこともできる。
上述した実装部106〜109は、電子回路基板20における回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237に夫々設けられて、抵抗器106a〜109aの何れか1個を排他的に実装するものである。この「排他的に実装」とは、複数の回路ユニットの何れかを有効にする複数の実装部のうちの1つにのみ抵抗器が実装されて、他の実装部には実装されないことを意味する。具体的には、回路ユニットFG2−1234を有効にする図1(a)にあっては、実装部106〜109のうちの実装部106にのみ抵抗器106aが実装されて、他の実装部107〜109には実装されないことを意味する。
すなわち、各電子回路基板20では、回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237毎に、基板識別のための抵抗器106a〜109aの実装状態が異なっており、実装部106〜109はそれらの1箇所のみに実装されて残り3箇所は未実装の状態にある。図1(a)では、実装部106に抵抗器106aが実装され、その他の実装部107〜109は未実装の状態になっている。抵抗器106a〜109aを実装する箇所は、電子回路基板20の回路ユニットを判断するためのシルク115〜118の何れかと関連付けられた箇所に実装される。つまり、ユニット番号はFG2−1234〜FG2−1237とされ、それらの左隣りに抵抗器106a〜109aを実装し得るように構成されており、抵抗器が実装されるとどのユニットなのかが、その外観から明確に目視で識別できるようになっている。ユニット番号であるFG2−1234〜FG2−1237を夫々示すシルク115〜118は、電子回路基板20の実装部106〜109に夫々対応するように記されている。これにより、回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237の何れが有効にされたタイプの電子回路基板20であるかを、目視で識別可能となるように構成される。
電子回路基板20に夫々搭載されたCPU105は、複数の回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237を制御する一種類のソフトウェア(制御プログラム)を有している。このCPU105は、識別手段105a及び切替え手段105bを有している。識別手段105aは、ユニット識別信号(第1及び第2ユニット識別信号)のハイ/ロー(High/Low)を検出することに基づいて実装部106〜109に対する抵抗器106a〜109aの実装状態を判定し、電子回路基板20のタイプを識別する。つまり、識別手段105aは、搭載された電子回路基板20の実装部106〜109の何れに抵抗器106a〜109aが実装されているかを検出し、その検出結果に基づき、図1及び図2に示される複数の電子回路基板20を機能別(タイプ別)に識別する。切替え手段105bは、識別手段105aの識別結果に応じて、ソフトウェア(制御プログラム)を、識別した電子回路基板20のタイプに対応するように切り替えて起動する。
なお、シルク(識別部)115〜118、識別手段105a、回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237を共通に制御し得るソフトウェア、及び切替え手段105bにより基板識別装置が構成されている。この基板識別装置は、機能の異なる各回路ユニットをプリント配線板10に搭載し、かつ回路ユニットに夫々設けられて抵抗器106a〜109aの1個を排他的に実装し得る実装部106〜109を備えた同構造で複数の電子回路基板20のタイプを識別する。これらは、後述する他の実施の形態においても同様である。
CPU105への入力は、実装部106〜109のうちの一箇所のみに抵抗器106a〜109aの何れかを排他的に実装して抵抗値を適切に選択することにより、CPU105の入力ポートの状態を変えることができる。信号線101を例に挙げると、抵抗器106aを実装しない場合には、ユニット識別信号(101)は、アースと遮断状態になり、かつ抵抗器111を介して電源が供給されることで、CPU105の入力ポートがHigh(ハイ)の状態になる。抵抗値の関係が、
抵抗器111>>抵抗器106a
である場合、実装部106に抵抗器106aが実装されると、CPU105の入力ポートがLow(ロー)の状態になる。
また、信号線102では、抵抗器107aを実装しない場合、ユニット識別信号(102)は、アースと遮断状態になり、かつ抵抗器112を介して電源が供給されることで、CPU105の入力ポートがHighの状態になる。抵抗値の関係が、
抵抗器112>>抵抗器107a
である場合、実装部107に抵抗器107aが実装されると、CPU105の入力ポートがLowの状態になる。
信号線103では、抵抗器108aを実装しない場合、ユニット識別信号(103)は、アースと遮断状態になり、かつ抵抗器113を介して電源が供給されることで、CPU105の入力ポートがHighの状態になる。抵抗値の関係が、
抵抗器113>>抵抗器108a
である場合、実装部108に抵抗器108aが実装されると、CPU105の入力ポートがLowの状態になる。
信号線104では、抵抗器109aを実装しない場合、ユニット識別信号(104)は、アースと遮断状態になり、かつ抵抗器114を介して電源が供給されることで、CPU105の入力ポートがHighの状態になる。抵抗値の関係が、
抵抗器114>>抵抗器109a
である場合、実装部109に抵抗器109aが実装されると、CPU105の入力ポートがLowの状態になる。
CPU105は、電子回路基板20の電源が投入されて、これから制御開始しようとする場合、まず識別手段105aが、ユニット識別信号101〜104の状態から各実装部への実装状態を識別する。更に、切替え手段105bが、識別手段105aの識別結果に応じて、ソフトウェア(制御プログラム)を、識別した回路ユニットの種別に対応するように切り替えて起動する(動作させる)。
上記ソフトウェアの動作を、図3のフローチャートを参照して説明する。
まず初めに、ステップS101において、CPU105の識別手段105aは、入力であるユニット識別信号(101)のHigh/Lowをチェックする。その結果、Highである場合、識別手段105aが、自身が搭載されている電子回路基板20は回路ユニットFG2−1234を有効にしたタイプであると識別する。同時に識別手段105aは、誤実装により他の入力がHighになっていないか否かを確認するために、CPU105の入力であるユニット識別信号(102〜104)を確認する(S102)。
その結果、ユニット識別信号(102〜104)が全てLowである場合、識別手段105aは、自身が搭載される電子回路基板20で有効になっている回路ユニットはFG2−1234であると確定する。更に、切替え手段105bが、回路ユニットFG2−1234の種別に対応するようにソフトウェアを切り替えて起動する(S103)。一方、ステップS102における判定の結果、2つ以上のユニット識別信号にHighが認められた場合、識別手段105aは、ステップS107に進み、仕向けを特定できないので、不図示の表示部にエラーを表示して停止する例外処理を行い、終了する。なお、上記「仕向け」とは、同一のプリント配線板10を使用しているが個々に抵抗器の実装状況が異なることでタイプが異なっている旨を意味する。
また、ステップS101においてユニット識別信号(101)がHighではない場合、識別手段105aは更に、ステップS104において、入力であるユニット識別信号(102)のHigh/Lowをチェックする。その結果、Highである場合、識別手段105aが、電子回路基板20は回路ユニットFG2−1235を有効にしたタイプであると識別する。同時に識別手段105aは、誤実装により他の入力がHighになっていないか否かを確認するために、ユニット識別信号(103,104)を確認する(S105)。
その結果、ユニット識別信号(103,104)が何れもLowであれば、識別手段105aはFG2−1235であると確定する。そして、切替え手段105bが、回路ユニットFG2−1235を有効にしたタイプに対応するようにソフトウェアを切り替えて起動する(S106)。一方、ステップS105における判定の結果、他のユニット識別信号にもHighが認められた場合、識別手段105aは、ステップS107に進み、エラーを表示して停止する例外処理を行い、終了する。
そして、ステップS104においてユニット識別信号(102)がHighではない場合、識別手段105aは、ステップS108において、入力であるユニット識別信号(103)のHigh/Lowをチェックする。その結果、Highである場合、識別手段105aが、電子回路基板20は回路ユニットFG2−1236を有効にしたタイプであると識別する。同時に識別手段105aは、誤実装により他の入力がHighになっていないか否かを確認するために、ユニット識別信号(104)を確認する(S109)。
その結果、ユニット識別信号(104)がLowであれば、識別手段105aはFG2−1236であると確定し、切替え手段105bが、回路ユニットFG2−1236の種別に対応するようにソフトウェアを切り替えて起動する(S110)。一方、ステップS109における判定の結果、ユニット識別信号(104)にHighが認められた場合、識別手段105aは、ステップS107に進み、エラーを表示して停止する例外処理を行い、終了する。
また、ステップS108でユニット識別信号(103)がHighではない場合、識別手段105aが、電子回路基板20は回路ユニットFG2−1237を有効にしたタイプであると確定する。そして、切替え手段105bが、回路ユニットFG2−1237の種別に対応するようにソフトウェアを切り替えて起動する(S111)。
以上の本実施の形態では、回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237は夫々、対応する実装部106〜109に抵抗器106a〜109aが実装されない状態では識別手段105aにHighのユニット識別信号(第1ユニット識別信号)を送る。そして、対応する実装部106〜109に抵抗器106a〜109aが実装された状態では識別手段105aにLowのユニット識別信号(第2ユニット識別信号)を送るように構成されている。識別手段105aは、回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237から夫々送られるHigh/Lowのユニット識別信号を判定することで、複数の電子回路基板20を機能別(タイプ別)に識別する。識別手段105aは、ユニット識別信号のHigh/Lowを検出することに基づき、実装部106〜109に対する抵抗器106a〜109aの実装状態を検出することができる。
すなわち、本実施の形態では、同種の回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237が同種のプリント配線板10に搭載され、異なる抵抗器106a〜109aを実装されることで異なる機能を有する電子回路基板20のタイプを確実に識別できる。つまり、上述した順序で電子回路基板20への抵抗器の実装状態を検知して、起動するソフトウェアを切り替えることで、回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237とソフトウェアとのミスマッチを確実に防止することができる。なお、以上のフローチャートにおけるユニット識別信号(101〜104)をチェックする順番は一例であって、これに限定されるものではない。また、本実施の形態では、4つの回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237について判断したが、4つに限定するものではなく、回路ユニット数はいくつであっても構わない。
<第2の実施の形態>
以下、本発明に係る第2の実施の形態について、図面を参照して説明する。図4(a),(b)及び図5(a),(b)は、本第2の実施の形態における電子回路基板20を夫々模式的に示す図である。
図1〜図3を参照して説明した第1の実施の形態では、抵抗器106a〜109aの実装状態を、CPU105の入力ポートのHigh/Lowをチェックすることで識別したが、これによると、識別したい回路ユニットと同じの数だけ入力が必要になる。つまり、第1の実施の形態では、4つの回路ユニットを識別するために4つの入力を必要としたが、識別すべき回路ユニットが10ユニットあるとすれば、10箇所の入力部が必要になる。入力箇所を多く必要とすると、プリント配線板10上で消費されるスペースが増大したり、それに伴うコスト上昇を招いたりしやすい。そこで、入力数が少なくても、回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237とソフトウェアとのミスマッチを確実に防止できるようにした例が本第2の実施の形態である。
図4(a),(b)及び図5(a),(b)に示すように、各電子回路基板20は、先の第1の実施の形態と同様に、CPU105をプリント配線板10に搭載している。CPU105の入力ポートには、回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237を識別するためのユニット識別信号131を入力するための信号線131が接続されている。
各電子回路基板20のプリント配線板10には、抵抗器106a〜109aのうちの1個を排他的に実装する実装部106〜109が、第1の実施の形態と同様の配置で設けられている。つまり、実装部106では、抵抗器106aを接続可能な端子の一方が信号線131における抵抗器111よりもCPU105側に接続されると共に、端子の他方がアースされている。本第2の実施の形態では、電源Pは、実装部106に実装された抵抗器111のみに接続されている。
また、実装部107では、抵抗器107aを接続可能な端子の一方が信号線131における実装部106よりもCPU105側に接続されると共に、端子の他方がアースされている。実装部108では、抵抗器108aを接続可能な端子の一方が信号線131の端末に接続されると共に、端子の他方がアースされている。実装部109では、抵抗器109aを接続可能な端子の一方が信号線131における実装部108よりもCPU105側に接続されると共に、端子の他方がアースされている。
図中の実装部106〜109夫々の右隣りには、第1の実施の形態と同様にシルク115〜118が印刷で夫々記されている。したがって、本第2の実施の形態においても、回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237毎に、基板識別のための抵抗器106a〜109aの実装状態が異なり、実装部106〜109はそのうち1箇所のみに実装されて、残り3箇所は未実装の状態にある。これにより、実装部106〜109の何れか1箇所に抵抗器が実装されると、どの回路ユニットなのかが、電気的に判別できると共に、外観から目視でも明確に識別することができる。
複数の電子回路基板20に夫々搭載されたCPU105は、識別手段105aにA/D変換部119を内蔵して備えている。なお、図面の記載上、A/D変換部119は識別手段105aとは別に描かれている。A/D変換部119には、抵抗器111を介して電源Pに接続された回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237を識別するための信号線131が接続されている。各電子回路基板20の回路ユニット毎に基板識別のための抵抗器106a〜109aが異なり、これら抵抗器は、そのうちの1つだけが実装されて、残り3つは未実装状態にある。これら抵抗器106a〜109aは、夫々の抵抗値が全て異なるものである。
本第2の実施の形態においても、CPU105に識別手段105a及び切替え手段105bを有している。切替え手段105bは、先の第1の実施の形態と同様の機能を有するが、識別手段105aは、第1の実施の形態とはやや異なる。つまり識別手段105aは、電子回路基板20における実装部106〜109の何れに抵抗器106a〜109aが実装されているかを、入力したユニット識別信号の電圧レベルの違いで検出し、その検出結果に基づき複数の電子回路基板20のタイプを識別する。
すなわち、本実施の形態では、回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237は、実装部106〜109に抵抗器106a〜109aが排他的に実装された状態毎に電圧が異なる4種のユニット識別信号を、共通に接続された信号線131に出力する。そして、識別手段105aは、信号線131を介して送られた4種のユニット識別信号に夫々対応するように電圧範囲を段階的に異ならせて設定された電圧範囲設定部30(図6参照)を有している。識別手段105aは、回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237の実装部106〜109への実装状態が異なることによるユニット識別信号を電圧範囲設定部30を用いて判定することで、複数の電子回路基板20を機能別(タイプ別)に識別する。識別手段105aは、信号線131に対応する1つのA/D変換部119を有し、A/D変換部119を用いてディジタル値に変換した4種のユニット識別信号の電圧値に基づき、実装部106〜109に対する抵抗器106a〜109aの実装状態を識別する。
A/D変換部119への入力は、抵抗器106a〜109aを実装することでその抵抗値を適切に選択し、電圧範囲設定部30の電圧範囲の区分に基づく識別手段105aが、回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237を的確に識別する。
電圧範囲設定部30は、図6に示すように、電源Pとアースとの間に接続される形で識別手段105aに備えられており、電圧範囲150,151,152,153,154を有している。電圧範囲150は、どの回路ユニットとも判断できない最も高い電圧範囲であり、電圧範囲151は、回路ユニットFG2−1234と判断するための、電圧範囲150の次に高い電圧範囲である。電圧範囲152は、回路ユニットFG2−1235と判断するための、電圧範囲151の次に高い電圧範囲であり、電圧範囲153は、回路ユニットFG2−1236と判断するための、電圧範囲152の次に高い電圧範囲である。電圧範囲154は、回路ユニットFG2−1237と判断するための、最も低い電圧範囲である。
したがって、抵抗器106a〜109aの何れも実装しない場合に、信号線131を介してA/D変換部119に印加される電圧が最も高く、電圧範囲設定部30の電圧範囲150になる。本第2の実施の形態では、抵抗のバラツキ等を考慮して、抵抗器111、抵抗器106a〜109aの抵抗値を、
抵抗器111>>抵抗器106a、
抵抗器106a>抵抗器107a>抵抗器108a>抵抗器109a、
のように設定している。
このため、A/D変換部119への入力は、回路ユニットFG2−1234を指し示す抵抗器106aを実装した際の電圧が高くなり、続いて回路ユニットFG2−1235を指し示す抵抗器107aを実装した際の電圧が高くなる。そして、回路ユニットFG2−1236を指し示す抵抗器108aを実装した際の電圧、回路ユニットFG2−1237を指し示す抵抗器109aを実装した際の電圧の順に低くなる。したがって、識別手段105aが、入力されたユニット識別信号をA/D変換部119でディジタル値に変換して電圧範囲設定部30の電圧範囲と比較することで、回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237の何れであるかを容易に識別することができる。
ここで、図7のフローチャートを参照しつつ、電子回路基板20に電源が投入されてから回路ユニットを識別する際の手順について説明する。
まず、ステップS201において、識別手段105aは、A/D変換部119への入力値は電圧範囲150以内であるか否かを判断し、抵抗器106a〜109aの何れかが実装されているか否かをチェックする。その結果、A/D変換部119の入力値が電圧範囲150内であった場合は、抵抗器106a〜109aの何れも実装されていないと判断し、仕向けを特定できないとして、エラーを表示して停止する(S202)。
一方、ステップS201において、何れかの抵抗器が実装されていると判断した場合は、A/D変換部119の入力値が電圧範囲151以内か否かを判断する(S203)。その結果、A/D変換部119の入力値が電圧範囲151内であれば、切替え手段105bが、回路ユニットFG2−1234を有効にしたタイプに対応するようにソフトウェア(制御プログラム)を切り替えて起動する(S204)。
ステップS203において、電圧範囲151内ではないと判断した場合は、ステップS205において、A/D変換部119の入力値が電圧範囲152以内か否かを判断する。その結果、A/D変換部119の入力値が電圧範囲152内であれば、切替え手段105bが、回路ユニットFG2−1235を有効にしたタイプに対応するようにソフトウェアを切り替えて起動する(S206)。
一方、ステップS205で電圧範囲152以内にないと判断した場合は、ステップS207において、A/D変換部119の入力値が電圧範囲153以内にあるか否かを判断する。その結果、電圧範囲153以内であれば、切替え手段105bが、回路ユニットFG2−1236を有効にしたタイプに対応するようにソフトウェアを切り替えて起動する(S208)。また、ステップS207で電圧範囲153以内にないと判断した場合は、電圧範囲154以内にあると判断し、切替え手段105bが、回路ユニットFG2−1237を有効にしたタイプに対応するようにソフトウェアを切り替えて起動する(S209)。
以上のような順序で電子回路基板20への抵抗器の実装状態を検知して、起動するソフトウェアを切り替えることで、回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237とソフトウェアとのミスマッチを確実に防止することができる。なお、本第2の実施の形態のフローチャートにおけるA/D変換部119での入力チェックの順番は一例であって、これに限定するものではない。また、4つの回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237について判断したが、4つに限定するものではなく、いくつであっても構わない。
<第3の実施の形態>
以下、本発明に係る第3の実施の形態について、図面を参照して説明する。図8(a),(b)及び図9(a),(b)は、本第3の実施の形態における電子回路基板20を夫々模式的に示す図である。
先に説明した第1の実施の形態では、回路ユニットの数だけ判断が必要で、回路ユニット数が増加した場合には基板面積の増大やコスト上昇を招く可能性がある。そこで、第2の実施の形態では、A/D変換部119を用いることによって入力数を減少させた。しかし、この場合にもユニットの数が増えるにつれて、各回路ユニットを表す電圧範囲が狭くなり、識別が困難になる可能性がある。そこで、本第3の実施の形態では、第1の実施の形態における入力信号の検出のし易さと、第2の実施の形態における入力信号数の少なさという利点を併せ持った例を説明する。本第3の実施の形態において、第2の実施の形態と共通の構成部分についてはその説明を省略する。
すなわち、本第3の実施の形態では、A/D変換部119を1つのみ備えていた第2の実施の形態に対し、図8及び図9に示すように、CPU105の識別手段105aに2つのA/D変換部120(A/D1),121(A/D2)を内蔵している。これに伴い、CPU105の入力ポートには、回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237を識別するための4種のユニット識別信号を入力するための信号線132,133が接続されている。
本第3の実施の形態において、切替え手段105bは、第1及び第2の実施の形態と同様の機能を有するが、識別手段105aは、第2の実施の形態とはやや異なる。つまり、識別手段105aは、実装部106〜109の何れに抵抗器106a〜109aが実装されているかを、信号線132,133から夫々入力したユニット識別信号の電圧レベルの違いで検出し、それに基づいて複数の電子回路基板20を機能別に識別する。
本実施の形態では、信号線132は回路ユニットFG2−1234とFG2−1235に共通して備えられ、信号線133は回路ユニットFG2−1236とFG2−1237に共通して備えられている。そして、抵抗器106a〜109aが排他的に実装された状態毎に電圧が異なる4種のユニット識別信号が、信号線132及び信号線133に夫々出力される。
識別手段105aは、電圧範囲設定部70(図10参照)と電圧範囲設定部80(図10参照)を有している。電圧範囲設定部70は、信号線132に出力された2種のユニット識別信号に夫々対応するように電圧範囲を段階的に異ならせて備えている。電圧範囲設定部80は、信号線133に出力された2種のユニット識別信号に夫々対応するように電圧範囲を段階的に異ならせて備えている。識別手段105aは、信号線132を介して入力されたユニット識別信号をA/D変換部120でディジタル値に変換して電圧範囲設定部70の電圧範囲と比較することで、回路ユニットFG2−1234とFG2−1235の何れであるかを識別する。また、識別手段105aは、信号線133を介して入力されたユニット識別信号をA/D変換部121でディジタル値に変換して電圧範囲設定部80の電圧範囲と比較することで、回路ユニットFG2−1236とFG2−1237の何れであるかを識別する。
A/D変換部120,121への入力は、抵抗器106a〜109aを実装することでその抵抗値を適切に選択し、電圧範囲設定部70,80の電圧範囲の区分に基づく識別手段105aが、回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237を的確に識別する。なお、図面の記載上、A/D変換部120,121は識別手段105aとは別に描かれているが、識別手段105aに含まれる。
電圧範囲設定部70,80は夫々、図10に示すように、電源Pとアースとの間に接続される形で識別手段105aに備えられ、電圧範囲設定部70は電圧範囲155,156,157を有し、電圧範囲設定部80は電圧範囲158,159,160を有している。電圧範囲155は、回路ユニットFG2−1234,FG2−1235のどちらとも判断できない、電圧範囲設定部70では最も高い電圧範囲である。電圧範囲156は、回路ユニットFG2−1234と判断するための、電圧範囲155の次に高い電圧範囲である。電圧範囲157は、回路ユニットFG2−1235と判断するための、電圧範囲156の次に高い電圧範囲である。電圧範囲158は、回路ユニットFG2−1236,FG2−1237のどちらとも判断できない、電圧範囲設定部80では最も高い電圧範囲であり、電圧範囲159は、回路ユニットFG2−1236と判断するための、電圧範囲158の次に高い電圧範囲である。電圧範囲160は、回路ユニットFG2−1237と判断するための、電圧範囲160の次に高い電圧範囲である。
抵抗器106a〜109aのうち1つを実装した際のA/D変換部120,121への入力は、その抵抗値を適切に選択することで電圧範囲を区分することができ、A/D変換部120,121の入力の組み合わせにより回路ユニットを識別することができる。
すなわち、抵抗器106a〜109aを何れも実装しない場合には、2つのA/D変換部120,121の入力電圧は夫々において最も高く、電圧範囲155,158となる。本実施の形態では、抵抗器111,113及び抵抗器106a〜109aは、
抵抗器111>>抵抗器106a、
抵抗器113>>抵抗器108a、
抵抗器106a>抵抗器107a、
抵抗器108a>抵抗器109a、
のように設定されている。
これにより、A/D変換部120への入力の関係において、回路ユニットFG2−1234を指し示す抵抗器106aを実装した場合の電圧が高く、回路ユニットFG2−1235を指し示す抵抗器108aを実装した場合の電圧は低くなる。また、A/D変換部121への入力の関係において、回路ユニットFG2−1236を指し示す抵抗器107aを実装した場合の電圧が高く、回路ユニットFG2−1237を指し示す抵抗器109aを実装した場合の電圧は低くなる。したがって、識別手段105aが、ユニット識別信号をA/D変換部120,121で夫々ディジタル値に変換して電圧範囲設定部70,80の電圧範囲と比較することで、回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237の何れであるかを容易に識別できる。
本第3の実施の形態によると、第2の実施の形態に比してA/D変換部の数を増やしたことによって、各回路ユニットを判断する電圧の範囲が広がっている。そして、抵抗器106a〜109aの何れも実装しない場合に、信号線132,133を介してA/D変換部120,121に夫々印加される電圧が最も高く、電圧範囲設定部70の電圧範囲155、並びに電圧範囲設定部80の電圧範囲158となる。
ここで、図11のフローチャートを参照しつつ、電子回路基板20に電源が投入されてから回路ユニットを識別する際の手順について説明する。
まず、ステップS301において、識別手段105aは、信号線132を介して入力されるユニット識別信号をA/D変換部120でディジタル値に変換して、電圧範囲設定部70の電圧範囲155以内にあるか否かを判断する。その結果、電圧範囲155以内にあると判断した場合はステップS302に進み、電圧範囲155以内にないと判断した場合はステップS304に進む。
ステップS302では、信号線133を介して入力されるユニット識別信号をA/D変換部121でディジタル値に変換して、電圧範囲設定部80の電圧範囲158以内にあるか否かを判断する(S302)。その結果、入力が電圧範囲158内にないと判断した場合にはステップS303に進み、抵抗器106a〜109aの何れも実装されておらず仕向けを特定できない(回路ユニットを特定できない)として、エラーを表示して停止する。一方、ステップS302において電圧範囲158内にないと判断した場合には、ステップS305に進む。
ステップS304において、識別手段105aは、A/D変換部121の入力が電圧範囲158以内にあるか否かを判断し、電圧範囲158内にあると判断した場合には、ステップS303に進んで、仕向けを特定できないとして、エラーを表示して停止する。
一方、ステップS304において電圧範囲158内にないと判断した場合には、ステップS308に進んで、A/D変換部120の入力は電圧範囲156以内にあるか否かを判断する。その結果、電圧範囲156内にあると判断した場合には、ステップS309に進み、切替え手段105bが、回路ユニットFG2−1234を有効にしたタイプに対応するようにソフトウェア(制御プログラム)を切り替えて起動する。他方、ステップS308で電圧範囲156以内にないと判断した場合には、電圧範囲157内にあると判断し、切替え手段105bが、回路ユニットFG2−1235を有効にしたタイプに対応するようにソフトウェアを切り替えて起動する(S310)。
また、ステップS305では、A/D変換部121の入力は電圧範囲159以内にあるか否かを判断する。その結果、電圧範囲159内にあると判断した場合には、ステップS306に進み、切替え手段105bが、回路ユニットFG2−1236を有効にしたタイプに対応するようにソフトウェアを切り替えて起動する。一方、ステップS305で電圧範囲159内にないと判断した場合には、電圧範囲160内にあると判断し、切替え手段105bが、回路ユニットFG2−1237を有効にしたタイプに対応するようにソフトウェアを切り替えて起動する(S307)。
なお、図11のフローチャートにおけるA/D変換部120,121の入力をチェックする順番は一例であって、これに限定するものではない。また、本実施の形態では、A/D変換部120,121を2つ使用した例を示したが、2つに限定するものではない。また、4つの回路ユニットFG2−1234〜FG2−1237について判断したが、回路ユニットは4つに限定されるものではなく、いくつであっても構わない。
本第3の実施の形態によると、入力するユニット識別信号に対する識別が容易であり、入力するユニット識別信号が少なくて済むという利点を有すると共に、回路ユニットとソフトウェアとのミスマッチを確実に防止することができる。