本発明は、賞球払出の決定を行う主制御手段と、遊技球を遊技者に対して払い出す払出手段と、遊技球払出の有無を検知する払出検知手段とを備えた、遊技媒体が遊技球である弾球遊技機において、遊技球の払出に係る不正行為が抑制された弾球遊技機に関する。
弾球遊技機は、所定条件を充足することにより遊技媒体である遊技球が払い出されるタイプの遊技機である。例えば、弾球遊技機の中で最もスタンダードであるパチンコ遊技機では、遊技領域に設けられた入賞口に遊技球を入球させることにより賞球払出がなされる。また、最近では、弾球遊技機に隣接してカードユニット等の遊技媒体貸出機が設置されており、当該貸出機からの要求を受けて、弾球遊技機の上皿に所定個数の遊技球が供給される。ここで、賞球払出や球貸出払出がなされる場合、一般に、以下のような手順(例)で球払出がなされる。まず、賞球払出に関しては、遊技球が始動入賞口や大入賞口等の入賞口に入球すると、入賞球集合樋を経て入賞球排出機構に達し、そこで入賞球検出スイッチにより検出される。そして、この検出信号を受信したメイン制御基板側は、払出制御基板側に賞球払出コマンドを送信する。続いて、賞球払出コマンドを受信した払出制御基板は、このコマンドに基づいて球払出装置を制御して所定数の賞球払出処理を実行する。この球貸し動作の場合も同様に、球払出コマンドを受け、払出制御基板は、このコマンドに基づいて球払出装置を制御して所定数の球払出処理を実行する。
ところで、遊技盤裏面に設けられている球払出装置は、ロータ(カム軸)と、当該ロータを回転させるための払出モータと、払い出された遊技球を検出する球検出部(カウントセンサ)とを有している。そして、近年では球払出速度向上のため、球払出を実行する場合、球払出モータを1回の払出球数分駆動し、その駆動後に未払い球が存在していたかどうかを確認し、未払い球が存在するときには再度球払出モータを駆動させ残りの球を払い出すようにする高速賞球払出機構が登場している。
他方、最近、電波により球払出機能の球検出部(センサ)を異常状態にさせ、球が払い出されたにもかかわらず検出されない形にして数多くの球を得ようとする不正行為(ゴト行為)が行われている。そして、前述したような高速賞球払出機構でこのような不正行為が実行されると、単位時間当たりの不正球数が大き過ぎるため、被害が甚大となる恐れがある。
そこで、特許文献1では、ある払出動作の際に払出異常を検知した場合、次回の払出動作までの時間間隔を通常の時間間隔よりも長くする手法(ウエイトディレイ)が提案されている。この手法によると、払出動作のペースがゆっくりとなる。したがって、遊技球払出が完全にストップすることはなく、遊技に必要な遊技球は供給され続ける一方で、深刻な異常が発生していた場合(不正行為等が行われていた場合)に、この異常が発見されるまでに不適切に払出されてしまう遊技球数を少なくすることができる。また、次回の払出動作までの時間間隔が長くなることにより、この時間中に球詰まり等が自然に解消される機会が与えられることにもなる。
特開2002−78915
しかしながら、特許文献1の技術をもってしても、不正行為が実行された場合には、無視できない数の遊技球が払い出される事態を招く。そこで、本発明は、不正行為が実行された場合でも、単位時間当たりの不正払出遊技球数をより抑制可能な手段を提供することを第一の目的とする。更には、不正払出遊技球数を抑制する手段を払出制御基板側に設けるに際しては、主制御基板のスペック(特に賞球個数の違い)に応じた内容とすることが好適である。しかしながら、主制御基板のスペックに併せた形で不正払出遊技球数を抑制する手段を払出制御基板側に設ける場合、主制御基板のスペック毎に当該手段を変更する必要がある。そこで、本発明は、異なるスペックを有する主制御基板でも共通使用可能な、不正払出遊技球数を抑制する手段を提供することを第二の目的とする。
本発明(1)は、
賞球払出の決定を行う主制御手段(賞球払出決定手段として機能する送信コマンド設定手段1111a)と、
払出動作をすることで遊技球を払出可能な払出手段(払出ユニット13)と、
主制御手段(送受信制御手段1100)から送信される賞球払出に関するコマンドである払出コマンドに基づいて、払出手段(払出ユニット13)の払出動作を制御する払出制御手段(払出制御基板2000による払出制御手段2300)と、
払出手段(払出ユニット13)から払い出された遊技球を検出するための遊技球検出手段(カウントセンサ14)と
を有する、主制御手段(メイン側制御基板1000)と払出制御手段(払出制御基板2000による払出制御手段2300)とがそれぞれ別個のCPUを有する基板で作動する
弾球遊技機において、
払出制御手段(払出制御手段2300)は、1回の払出動作で払い出される所定数の遊技球を、複数回の分割払出動作により複数回に小分けして払い出されるよう払出手段(払出ユニット13)を駆動制御すると共に、分割払出動作間では払出手段(払出ユニット13)の駆動を停止して待ち時間を設けるよう制御し、
主制御手段(送受信制御手段1100)は、1回の分割払出動作において払い出される分割個数を指定する分割個数指定コマンドを払出制御手段(払出制御手段2300)に送信し、
払出制御手段(払出制御手段2300)は、前記複数回の分割払出動作の各回で、主制御基板から送信される分割個数指定コマンドに対応した分割個数が払い出されるよう払出手段を駆動制御し、
弾球遊技機は、
1回の分割払出動作における予定払出個数と、当該1回の分割払出動作の結果として、遊技球検出手段(カウントセンサ14)により実際に検出された遊技球数とを比較し、払出異常が発生したか否かを判定する払出異常判定手段(払出異常判定手段2330)、及び
払出異常判定手段(払出異常判定手段2330)により払出異常が発生したと判定された場合、払出異常が発生したと判定された分割払出動作以後の、前記待ち時間を通常の待ち時間よりも長くする待ち時間制御手段(待ち時間制御手段2340)
を有することを特徴とする弾球遊技機である。
本発明(2)は、弾球遊技機は、
払出異常の発生回数をカウントする払出異常発生回数一時記憶手段(異常払出回数カウンタ2323)
を更に有しており、
待ち時間制御手段(待ち時間制御手段2340)は、払出異常発生回数一時記憶手段(異常払出回数カウンタ2323)のカウント値に基づき、前記待ち時間を段階的に長くする、前記発明(1)の弾球遊技機である。
本発明(3)は、待ち時間制御手段(待ち時間制御手段2340)は、前記待ち時間が通常の待ち時間よりも長い状況下で実行された1回の払出動作において、当該1回の払出動作を構成する複数回の分割払出動作の際、いずれの分割払出動作についても払出異常が発生しなかった場合には、払出異常発生回数一時記憶手段(異常払出回数カウンタ2323)内のカウント値をクリアする、前記発明(2)の弾球遊技機である。
本発明(4)は、払出制御手段(払出制御手段2300)は、前記待ち時間が通常の待ち時間よりも長い状況下で、ある分割払出動作において払出異常が発生しなかった場合には、前記待ち時間がまだ残っているときであっても、次の分割払出動作を実行する、前記発明(1)〜(3)のいずれか一つの弾球遊技機である。
次に、本特許請求の範囲及び本明細書における用語の定義について説明する。「弾球遊技機」は、遊技媒体が遊技球である限り特に限定されないが、典型的にはパチンコ遊技機やアレンジボールである。
本発明(1)によれば、1回の払出(全払出動作)を複数回の小分けした払出動作(分割払出動作)で実行し、当該分割払出動作において払出異常を検知した場合には、以後に実行される分割払出動作間の待ち時間を長くするよう構成されているので、全払出動作を連続して実行した上で全払出動作間の待ち時間を長くする従来技術では不可能であった、最初の全払出動作自体の払出時間延長が可能となることに加え、待ち時間の頻度が格段に増えるので(例えば、全払出動作を5回の分割払出動作とした場合、全払出動作を2回実行したときに、従来技術では1回の待ち時間しかないのに対し、本発明では9回の待ち時間を構築できる)、より繊細な待ち時間の長さコントロールが可能になるという効果をも奏する。更に、本発明(1)によれば、払出制御手段は主制御手段により指定された払出個数で分割払出を実行するよう構成されているので、異なる分割払出個数が設定された複数種の払出制御基板を準備しなくとも、主制御基板のスペックと対応した様々な分割払出個数に対応することができる結果、例えば機種毎に分割個数が変更可能となるといった柔軟な対応が可能になるという効果を奏する。
本発明(2)によれば、前記効果に加え、払出異常の発生回数に基づいて待ち時間を段階的に長くするよう構成されているので、不正行為の可能性の程度に対応した払出速度とすることが可能になるという効果を奏する。
本発明(3)によれば、前記効果に加え、待ち時間が長くなっている状況で異常検出が所定期間(1回の払出)発生しなくなり不正行為が実行されている蓋然性が低下した場合には、払出異常発生回数一時記憶手段内のカウント値がクリアされ、待ち時間が通常の長さに戻るよう構成されているので、不正行為ではない球詰まり等に起因した待ち時間延長による遊技者のいらだちが長期間継続することを回避できると共に、巧妙な不正行為にも対応できるという効果を奏する。
本発明(4)は、前記効果に加え、待ち時間が通常の待ち時間よりも長い状況下で、ある分割払出動作において払出異常が発生しなかった場合には、待ち時間がまだ残っているときであっても、次の分割払出動作を実行するよう構成されている。即ち、待ち時間が通常の待ち時間よりも長い状況下、不正行為者に対しては、当該長い待ち時間の消化を余儀なく強いる一方、健全な遊技者に対しては、球詰まり等による一時的な異常検出のために待ち時間が通常の待ち時間よりも長い状況となったとしても、球詰まり等が解消されて払出した数=カウントセンサで確認した数となれば当該長い待ち時間の消化を待つことなく次の払出動作が実行される結果、遊技者に不快感を与えることがないという効果を奏する。
図1は、本最良形態に係るパチンコ遊技機の正面図(遊技者側)である。
図2は、本最良形態に係るパチンコ遊技機の裏面図である。
図3は、本最良形態に係るパチンコ遊技機における、払出用遊技球を遊技機内に貯留する動作原理の概要図である。
図4は、本最良形態に係るパチンコ遊技機の払出ユニットの外観図である。
図5は、本最良形態に係るパチンコ遊技機における、払出ユニットの構造と遊技球の払出を行う動作原理の概要図である。
図6は、本最良形態に係るパチンコ遊技機の電気的な概略構成図である。
図7は、本最良形態に係るパチンコ遊技機のメイン制御基板及び払出制御基板間で送受信されるコマンド及び情報の内容を示した図である。
図8は、本最良形態に係るパチンコ遊技機の機能ブロック図である。
図9は、本最良形態に係るパチンコ遊技機における、メイン制御基板側で実行する、払出制御基板との通信処理のフローチャートである。
図10は、本最良形態に係るパチンコ遊技機における、メイン制御基板側で実行する、シリアル通信のエラー監視処理のフローチャートである。
図11は、本最良形態に係るパチンコ遊技機における、メイン制御基板側で実行する、シリアル通信のデータ受信監視処理のフローチャートである。
図12は、本最良形態に係るパチンコ遊技機における、メイン制御基板側で実行する、払出コマンド要求処理のフローチャートである。
図13は、本最良形態に係るパチンコ遊技機における、メイン制御基板側で実行する、払出コマンド送信処理のフローチャートである。
図14は、本最良形態に係るパチンコ遊技機における、メイン制御基板側で実行する、1コマンド目(2コマンド目)送信処理のフローチャートである。
図15は、本最良形態に係るパチンコ遊技機における、メイン制御基板側で実行する、1コマンド目受信確認処理のフローチャートである。
図16は、本最良形態に係るパチンコ遊技機における、メイン制御基板側で実行する、2コマンド目受信確認処理のフローチャートである。
図17は、本最良形態に係るパチンコ遊技機における、予定賞球払出個数の管理処理とホールコンピュータHCへの予定賞球払出個数情報の送信処理を示したフローチャートである。
図18は、本最良形態に係るパチンコ遊技機における、払出制御基板側で実行する処理のフローチャートである。
図19は、本最良形態に係るパチンコ遊技機における、払出制御基板側で実行する、メイン制御基板との通信処理のフローチャートである。
図20は、本最良形態に係るパチンコ遊技機における、払出制御基板側で実行する、シリアル通信のエラー監視処理のフローチャートである。
図21は、本最良形態に係るパチンコ遊技機における、払出制御基板側で実行する、シリアル通信のデータ受信監視処理のフローチャートである。
図22は、本最良形態に係るパチンコ遊技機における、払出制御基板側で実行する、メイン制御基板との通信処理のフローチャートである。
図23は、本最良形態に係るパチンコ遊技機における、払出制御基板側で実行する、カードユニットとの通信処理のフローチャートである。
図24は、本最良形態に係るパチンコ遊技機における、払出制御基板側で実行する、払出制御処理のフローチャートである。
図25は、本最良形態に係るパチンコ遊技機における第一の作用(シリアル通信による払出コマンド送信)を示した図である。
図26は、本最良形態に係るパチンコ遊技機における第一の作用(シリアル通信による払出コマンド送信)を示した図である。
図27は、本最良形態に係るパチンコ遊技機における第二の作用(払出異常による球通過待ち時間の延長)を示した図である。
図28は、本最良形態に係るパチンコ遊技機における第二の作用(払出異常による球通過待ち時間の延長)を示した図である。
図29は、本最良形態に係るパチンコ遊技機における第三の作用(賞球払出予定数情報をホールコンピュータHCに送信)を示した図である。
図30は、本最良形態(変更例)に係るパチンコ遊技機における、払出制御基板側で実行する、払出制御処理のフローチャートである。
図31は、本最良形態(変更例)に係るパチンコ遊技機の機能ブロック図である。
図32は、本最良形態(変更例)に係るパチンコ遊技機における、予定賞球払出個数の管理処理とホールコンピュータHCへの予定賞球払出個数情報の送信処理を示したフローチャートである。
発明を実施するための最良形態
以下、本発明の一最良形態として、パチンコ遊技機を例に採って説明することとする。但し、本発明の遊技機は、パチンコ遊技機に限定される訳ではなく、他の弾球遊技機(例えば雀球やアレンジボール)やスロットマシンであってもよい。
《全体構成》
(前面)
まず、図1を参照しながら、本最良形態に係るパチンコ遊技機の前面側の基本構造を説明する。パチンコ遊技機は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。以下、これらを順に説明する。
はじめに、パチンコ遊技機の遊技機枠は、外枠102、前枠104、透明板106、扉108、上球皿110、下球皿112及び発射ハンドル116を含む。まず、外枠102は、パチンコ遊技機を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠104は、外枠102の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構を介して外枠102に開閉可能に取り付けられる。前枠104は、遊技球を発射する機構、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導又は回収するための機構等を含む。透明板106は、ガラス等により形成され、扉108により支持される。扉108は、図示しないヒンジ機構を介して前枠104に開閉可能に取り付けられる。上球皿110は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿112への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿112は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。また、上球皿110と下球皿112の間にはスピーカ114が設けられており、遊技状態等に応じた効果音が出力される。そして、遊技効果ランプ190は、遊技領域120又は遊技領域120以外の領域に設けられ、点滅等することで演出の役割を果たす。更に、透明板106の右下部を介して視認可能な、遊技球の払出に関する情報をLEDによって外部に表示する状態表示部130が備えられている。
次に、遊技盤は、外レール122と内レール124とにより区画された遊技領域120が形成されている。そして、当該遊技領域120には、図示しない複数の遊技釘及び風車等の機構や各種一般入賞口の他、特図始動口2110(入球検知センサ2111)、普図始動口2210(入球検知センサ2211)、大入賞口2120(入球検知センサ2121)、特別図柄表示装置2130、演出表示装置2140、普通図柄表示装置2220、センター飾り192及びアウト口142が設置されている。そして、特図始動口2110や大入賞口2120等の各種入賞口に遊技球が入球すると、これら入賞口に設けられた入球検知センサにより遊技球通過が検知される。この検知信号がメイン制御基板(主制御装置)1000に送信され、これを受けてメイン制御基板1000から払出制御基板2000側に所定の払出コマンドが送信される結果、所定球数の賞球が払い出される。また、図1に示すように、プリペイドカードによる遊技球の貸し出しを受け付けるカードユニットCが、遊技機1の左に隣接して設けられている。
ここで、本最良形態に係るカードユニットCは、周知の構成と同じである。具体的には、カードユニットCには、図示しないが、使用可能状態であるか否かを示す使用可表示ランプ、カード内に記録された残額情報に端数(100円未満の数)が存在する場合にその端数を上皿近傍に設けられる度数表示LEDに表示させるための端数表示スイッチ、カードユニットCがいずれの側のパチンコ遊技機に対応しているのかを示す連結台方向表示器、カードユニットC内にカードが投入されていることを示すカード投入表示ランプ、記録媒体としてのカードが挿入されるカード挿入口、カード挿入口の裏面に設けられているカードリーダライタの機構を点検する場合にカードユニットを解放するためのカードユニット錠等が設けられている。
(背面)
次に、図2を参照しながら、本最良形態に係るパチンコ遊技機の背面側における基本構造を説明する。パチンコ遊技機は、パチンコ遊技機の全体動作を制御し、特に特図始動口2110へ入球したときの当否抽選や払出制御基板2000への賞球払出コマンド送信等、遊技動作全般の制御(即ち、遊技者の利益と直接関係する制御)を行うメイン制御基板(主制御装置)1000と、遊技内容に興趣性を付与する装図表示部2141上での各種演出・情報報知に係る表示・音響・サイドランプ等による各種演出制御を司るサブ制御基板(演出制御装置)3000と、サブ制御基板3000からの指示に基づいて演出表示装置2140上での各種演出の制御を司るサブサブ制御基板(図柄制御装置)4000と、球払出関連機構・装置と、ホールコンピュータHC等へ遊技に関する情報送信を中継するための外部中継端子板5000と、をその背面に有している。ここで、球払出関連機構・装置は、球タンク11、タンクレール12、各入賞口への入賞やカードユニットからの要求に応じて球タンク11から供給される遊技球を上球皿110へ払い出す払出ユニット13、払出ユニット13からの払出球を検知するカウントセンサ14、受け皿(上球皿110、下球皿112)が満タンである場合にオンになる受け皿満タンスイッチ15、払出ユニット13による払出動作を制御する賞球払出制御基板(賞球払出装置)2000等から構成される。
(払出機構)
次に、図3を参照しながら、本最良形態に係るパチンコ遊技機における、払出用遊技球を遊技機内に貯留する動作原理を説明することとする。図3の矢印で示すように、補給装置(遊技機の球タンク11へ遊技球を供給するために設置されたホールの付帯設備)から供給される遊技球は、球タンク11、タンクレール12を通り、払出ユニット13に誘導されて貯留される。このように遊技機内に貯留された遊技球は、入賞口への入球に基づく賞球として或いはカードユニットからの払出要求に基づいて上球皿110へ払い出される。
次に、図4及び図5を参照しながら、本最良形態に係るパチンコ遊技機の払出ユニット13の構造と遊技球の払出を行う動作原理を説明することとする。まず、図4に示されるように、払出ユニット13は、払出の際に駆動される払出モータ13aを有している。そして、図5に示されるように、払出ユニット13は、払出モータ13aと連結したカム軸13bを有している。このような構造の払出ユニット13は、下記の原理に従い動作する。まず、遊技領域120内の入賞口に遊技球が入球すると、入賞信号がメイン制御基板1000に送られメイン制御基板1000は払出個数を決定し、払出制御基板2000へ賞球の信号を送信する。或いは、カードユニットC等の遊技球貸出装置から払出制御基板2000へ球貸しの要求がなされる。これを受けて払出制御基板2000は払出ユニット13を作動させ、払出ユニット13内の払出モータ13aが遊技球の払出を実行する。図5に示されるように、払出モータ13aが回転することにより、カム軸13bが回転し、遊技球が1球ずつ払い出される。尚、払い出された遊技球は、払出ユニット13に設けられたカウントセンサ14により検知され、払出制御基板2000で遊技球の払出個数が計数される。
(外部中継端子板)
次に、図2を参照しながら、本最良形態に係る外部中継端子板5000を説明することとする。外部中継端子板5000には、各種ケーブルコネクタが接続される出力端子部としての複数の外部接続端子{例えば、賞球払出に関する情報、入賞や図柄停止に関する情報、現在の遊技状態(通常遊技状態、特定遊技状態、特別遊技状態等)に関する情報を出力するための遊技状態情報出力用の端子、扉が開放している際に開放検知センサ等によって検出される各種エラー情報を出力するためのエラー情報出力用の端子等}が設けられている。具体的に説明すると、図2の上部に示すように、外部中継端子板5000には、出力端子部5000a、b、c・・・が設けられている。ここで、まず、出力端子部5000aは、メイン制御基板1000から出力される賞球払出予定個数信号(所定球数払い出されることが予定されている旨の信号)の出力用の端子である。また、出力端子部5000bは、メイン制御基板1000から出力される賞球払出個数信号(実際に所定球数払い出された際の信号)の出力用の端子である。尚、これら賞球情報に関しては、所定数(本例では10球)の払出予定があった場合又は実際に払い出された場合、所定のパルス(約0.104秒の間オン状態)が出力される。その他の出力端子部としては、大当たり時に大当たりの間信号を出力する大当たり出力用端子(大当たりの種類によって複数あり)、ガラス扉が開放している間信号を出力する扉開放出力用端子、始動口に入賞した際に信号を出力する始動口入賞時出力用端子、賞球タンクに球が不足している間信号を出力する球切れ時出力用端子、特別図柄確定停止時に信号を出力する特別図柄確定回数用出力用端子等が存在する。
《電気的構成》
次に、図6のブロック図を参照しながら、本最良形態に係るパチンコ遊技機の電気的な概略構成を説明する。本最良形態に係るパチンコ遊技機は、前述したように、遊技の進行を制御するメイン制御基板1000と、メイン制御基板1000からのコマンドに基づいて遊技球の払出を制御する払出制御基板2000と、装飾図柄の変動・停止等の演出表示装置2140上での各種演出・スピーカ114からの音響・遊技効果ランプ190の点灯等の演出全般を制御するサブ制御基板3000と、演出表示装置2140上での装飾図柄の変動表示・停止表示及び保留表示や予告表示等を制御するサブサブ制御基板4000とを備える。ここで、払出制御基板2000は、遊技球の払出を実行する払出ユニット13(払出モータ13a)と、遊技球の払出に関する状態をLEDによって外部に表示する状態表示部130とに接続している。
ここで、メイン制御基板1000、払出制御基板2000、サブ制御基板3000及びサブサブ制御基板4000には、様々な演算処理を行うCPU、CPUの演算処理を規定したプログラムを予め記憶するROM、CPUが取り扱うデータ(遊技中に発生する各種データやROMから読み出されたコンピュータプログラム等)を一時的に記憶するRAMが搭載されている。
ここで、メイン制御基板1000と払出制御基板2000との間では、情報送信がシリアル送信の形で実行される。即ち、メイン制御基板1000から払出制御基板2000へは送信線1本とし、払出制御基板2000からメイン制御基板1000へも送信線1本とする。ここで、後で詳述するように、メイン制御基板1000と払出制御基板2000との間のコマンドは、2バイト単位で構成され、1バイト単位に分割してシリアルで送信される。
他方、メイン制御基板1000からサブ制御基板3000への情報やコマンドは、パラレルで送信される。サブ制御基板3000からサブサブ制御基板4000への情報やコマンドも同様である。
《シリアル通信で送受信されるコマンド・情報の内容》
次に、図7を参照しながら、メイン制御基板1000及び払出制御基板2000間で送受信されるコマンド及び情報の内容を説明する。前述のように、メイン制御基板1000から払出制御基板2000へのコマンドは、2バイト単位で構成されており、1バイト単位に分割してシリアルで送信される。同様に、払出制御基板2000からメイン制御基板1000への情報(コマンド対応情報)も、2バイト単位で構成されており、1バイト単位に分割してシリアルで送信される。
そこで、まず、メイン制御基板1000から払出制御基板2000側に送信される払出コマンドを説明することとする。はじめに、送信1コマンド目は、1コマンド目特定情報、受け皿満タン及び賞球個数の情報からなる。具体的には、ビット7〜5は、100固定である(当該コマンドが1コマンド目であることの識別情報)。次に、ビット4は、受け皿満タン状態に関するものであり、「0」が受け皿満タンでないことを意味し、「1」が受け皿満タン中であることを意味する。次に、ビット3〜0は、賞球個数に関するものであり、例えば、0(0000B)は賞球0個であることを意味し、15(1111B)は賞球15個であることを意味する。次に、送信2コマンド目は、ビット7〜4は、確認信号の固定値(1111)であり、ビット3〜0は、分割払出個数に関するものである。ここで、表1は、ビット情報と分割払出個数との対応を示したものである。この表から分かるように、例えば3(0011E)は分割払出個数=3個であることを意味し、5(0101E)は分割払出個数=5個であることを意味する。尚、本最良形態では、賞球が無い場合でも、1コマンド目送信処理が実行されるタイミングでは、賞球0個である1コマンド目を払出制御基板2000側に常時(例えば定時割り込み処理毎に)投げ続ける。また、本最良形態では、分割払出個数に関するコマンドを送信2コマンド目に付加したがこれには限定されず、送信1コマンド目に付加しても、更には送信1コマンド目及び送信2コマンド目とは別コマンドとして払出制御基板に送信するように構成してもよい。
次に、払出制御基板2000からメイン制御基板1000側に送信される払出関連情報を説明することとする。まず、送信1情報目は、メイン制御基板1000からの送信1コマンド目と同一である。次に、送信2情報目は、固定値、払出装置異常情報及び賞球払出中情報からなる。具体的には、ビット7〜2は、010101固定である(当該情報が送受信完了情報であることの識別情報)。次に、ビット1は、払出装置異常に関するものであり、「0」は払出装置異常ではないことを意味し、「1」は払出装置異常中であることを意味する。次に、ビット0は、賞球払出中に関するものであり、「0」は賞球払出中でないことを意味し、「1」は賞球払出中であることを意味する。尚、本最良形態では、定時的に何らかのコマンドを払出制御基板側に送信するよう構成されている。したがって、払出側で賞球払出中である場合にも、賞球個数が「0個」であるコマンド等が送信されることになる。尚、払出側で払出装置異常である場合には、実際には払出可能なときがあるので、本最良形態では通常通りのコマンド(賞球払出があった場合には所定数セット)を送信する。
尚、図7の<変更例>の欄に示したように、1バイト目に関する、払出制御基板2000側からメイン制御基板1000側に送信する情報(1情報目)は、メイン制御基板1000側からの1コマンド目の1の補数や2の補数であってもよい。尚、2の補数は、1コマンド目のビット反転を実行した後、1を加えることで生成する。
《機能構成》
次に、図8の機能ブロック図を参照しながら、本最良形態に係るパチンコ遊技機の機能を説明することとする。尚、ここに主として示す機能は、本発明と特に関連する、メイン制御基板1000/払出制御基板2000間での機能、払出制御基板2000/カードユニットC間の機能、メイン制御基板1000/ホールコンピュータHC間での機能である。
(メイン制御基板1000)
まず、メイン制御基板1000は、遊技の進行に関する制御を司る遊技制御手段1050と、払出制御基板2000側等とのコマンド・情報の送受信やホールコンピュータHCへの情報送信の制御を司る送受信制御手段1100と、メイン制御基板1000/払出制御基板2000間での送受信に関する状態を一時記憶するための送受信状態一時記憶手段1200と、メイン制御基板1000からの払出コマンドが払出制御基板2000側に正常送信されたか否かを判定する正常送信判定手段1300と、メイン制御基板1000側での送受信に関連したエラーの制御を実行するエラー制御手段1400と、停電等の発生により電源が切断された場合において電源の再投入時に遊技機の状態を電源切断時の状態に復帰させるためのバックアップ手段1500と、を有する。尚、遊技制御手段1050は、従来機が有する周知構成である。例えば、従来の第1種遊技機の場合を例に採ると、遊技制御手段1050は、乱数発生、始動口入球を契機とした乱数取得、取得した乱数を用いての抽選、抽選結果に基づいた図柄(特別図柄)変動、抽選に当選している場合に通常は閉状態にある可変入賞口を開放する特別遊技の実行等、周知の処理を実行する。以下、本発明の特徴的な各手段について詳述する。
まず、送受信制御手段1100は、メイン制御基板1000から払出制御基板2000やホールコンピュータHCへの送信制御を司る送信制御手段1110と、払出制御基板2000からメイン制御基板1000への受信制御を司る受信制御手段1120と、を有している。
ここで、送信制御手段1110は、払出制御基板2000側への送信制御を司る払出制御側送信制御手段1111と、ホールコンピュータHC側への送信制御を司るHC側送信制御手段1114と、を有している。以下、順に説明する。
まず、払出制御側送信制御手段1111は、一回の賞球払出について払出制御基板2000側へ送信する二つのコマンド(1コマンド目、2コマンド目)を所定の一時記憶手段(後述する送信コマンド一時記憶手段1111c)にセットするための送信コマンド設定手段1111aと、送信コマンドの送信完了/未完了を含め、セットした送信コマンドの管理を司る送信コマンド管理手段1111bと、払出制御基板2000に送信する2つのコマンドを、当該コマンドに対応する賞球払出が完了するまで一時記憶する送信コマンド一時記憶手段1111cとを有している。尚、送信コマンド設定手段1111aは、後述する処理の項目で説明するように、遊技側情報一時記憶手段1121aを参照して賞球払出コマンドのセット可否を決定するため、賞球払出決定手段としても機能する。更に、送信コマンド一時記憶手段1111cは、1コマンド目を一時記憶するための1コマンド目一時記憶領域1111c−1と、2コマンド目を一時記憶するための2コマンド目一時記憶領域1111c−2と、を有している。
次に、HC側送信制御手段1114は、入賞口センサSから入球信号を受信した場合、当該入賞口に対応した賞球分、後述する予定払出個数関連カウンタ1114cのカウンタ値を累積加算する予定払出個数加算手段1114aと、後述する予定払出個数関連カウンタ1114cのカウンタ値が所定値(例えば10)に到達した場合、後述する予定払出個数関連カウンタ1114cのカウンタ値から所定値(例えば10)減算する予定払出個数減算手段1114bと、予定払出個数を一時記憶するための予定払出個数関連カウンタ1114cと、を有している。尚、後述する処理の項目で説明するが、予定払出個数関連カウンタ1114cのカウンタ値が所定値に到達した場合、ホールコンピュータHCに対して情報(賞球払出予定個数=所定個数(例えば10個)分に相当するパルス信号)が送信されるように構成されている。
また、受信制御手段1120は、賞球情報(入球信号)や上皿満タン信号を含む遊技情報を受信するための遊技側受信制御手段1121と、払出制御基板2000側からの情報を受信するための払出制御側受信制御手段1122と、を有している。ここで、遊技側受信制御手段1121は、払出処理が実行されていない賞球に関する情報や上皿満タン情報を一時記憶するための遊技側情報一時記憶手段1121aを有している。また、払出制御側受信制御手段1122は、払出制御基板2000側から送信されてきた情報の一時記憶や消去を含め、当該情報の管理を司る払出制御側受信データ管理手段1122aと、払出制御基板2000側から送信されてきた情報が最初に一時記憶される払出制御側受信データ一時記憶手段1122bと、払出制御側受信データ一時記憶手段1122bに一時記憶されたデータを、以後の処理(例えば、正常にコマンドが送信されたか否かの判定処理)のために格納するための払出コマンド対応情報一時記憶手段1122cと、を有している。
次に、送受信状態一時記憶手段1200は、メイン制御基板1000側での送受信状態(ST=0〜4)を一時記憶するためのメイン制御側送受信状態一時記憶手段1210と、払出制御基板2000側での払出状態(例えば、払出中か否か、払出異常が発生しているか否か)が一時記憶されている払出制御側払出状態一時記憶手段1220と、を有している。
次に、正常送信判定手段1300は、メイン制御基板1000からコマンドを送信してから当該コマンドに対応した情報(払出制御基板2000から送信される当該コマンドに対応した情報)を受信するまでの時間を管理するための通信時間管理手段1310を有している。ここで、通信時間管理手段1310は、時間をカウントするためのタイマ1311を更に有している。
次に、エラー制御手段1400は、メイン制御基板1000側での送受信に関するエラーを含む遊技関連エラー(例えば、送受信に関するエラー以外として扉開放エラー等)を監視すると共に、送受信に関するエラー状態を含む遊技関連エラーを管理するエラーフラグ管理手段1420を有する。ここで、エラーフラグ管理手段1420は、送信に関するエラーフラグを含む遊技関連エラーフラグのオンオフ状態を一時記憶するためのエラーフラグ一時記憶手段1421を更に有している。
次に、バックアップ手段1500は、停電等の発生により電源が切断された場合において、電源の再入時に遊技機の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時にメイン制御基板1000側で一時記憶していたデータを記憶しておくためのバックアップ情報一時記憶手段1510と、遊技機の電源のオフ後においてもバックアップ情報一時記憶手段にバックアップ電圧を供給してデータを保持するバックアップ電源供給手段1520と、を有している。尚、バックアップ情報一時記憶手段1510への書き込みは、通常処理によって電源切断時に実行され、逆にバックアップ情報一時記憶手段1510に書き込まれた各情報の復帰は、電源入時のメイン処理において実行される。
(払出制御基板2000)
次に、払出制御基板2000は、メイン制御基板1000側やカードユニットC側等とのコマンド・情報の送受信の制御を司る送受信制御手段2100と、払出制御基板2000側での送受信に関連したエラーの制御を実行するエラー制御手段2200と、賞球払出コマンドや貸球コマンドを受けて所定数の遊技球の払出処理を実行する払出制御手段2300と、を有している。以下、各手段について詳述する。
まず、送受信制御手段2100は、メイン制御基板1000やカードユニットCからの情報(例えば、コマンドや信号)の受信制御を司る受信制御手段2110と、メイン制御基板1000やカードユニットCへの情報の送信制御を司る送信制御手段2120と、を有している。
ここで、受信制御手段2110は、メイン制御基板1000からの情報(例えば、コマンド)の受信制御を司るメイン側受信制御手段2111と、カードユニットCからの情報(例えば、信号)の受信制御を司るカードユニット側受信制御手段2112と、を有している。そして、メイン側受信制御手段2111は、メイン制御基板1000から受信した情報の一時記憶や消去を含め、当該情報の管理処理を司るメイン側受信データ管理手段2111aと、メイン制御基板1000側から送信されてきた情報が最初に一時記憶されるメイン側受信データ一時記憶手段2111bと、メイン側受信データ一時記憶手段2111bに一時記憶された払出コマンドを所定条件充足まで一時記憶(例えば、2コマンド目を受信するまで1コマンド目を一時記憶)するための払出コマンド対応情報一時記憶手段2111cと、を有している。
また、カードユニット側受信制御手段2112は、カードユニットCから受信した情報の一時記憶や消去を含め、当該情報の管理処理を司るカードユニット側受信データ管理手段2112aと、カードユニットC側から送信されてきた情報が最初に一時記憶されるカードユニット側受信情報一時記憶手段2112bと、を更に有している。
次に、エラー制御手段2200は、払出制御基板2000側での送受信に関するエラーを監視すると共に、送受信に関するエラー状態を管理するエラーフラグ管理手段2220を有する。ここで、エラーフラグ管理手段2220は、送信に関するエラーフラグのオンオフ状態を一時記憶するためのエラーフラグ一時記憶手段2221を更に有している。
次に、払出制御手段2300は、メイン制御基板1000からの賞球払出コマンドやカードユニットCからの貸球要求に関する情報等を一時記憶するための払出情報一時記憶手段2310と、遊技球払出制御に係る情報を一時記憶するための払出処理関連情報一時記憶手段2320と、予定されていた払出数よりも少ない異常払出が発生したか否かを判定する払出異常判定手段2340と、分割払出間の待ち時間を設定するための待ち時間制御手段2350と、を有している。尚、本最良形態では、予定されていた払出数よりも少ない場合を「異常払出」としているが、これには限定されず、予定払出よりも多い場合を「異常払出」に含めるよう構成してもよい。
ここで、払出情報一時記憶手段2310は、上皿満タン情報を一時記憶するためのバッファAと、メイン制御基板1000側からの賞球払出コマンドに基づく賞球数を一時記憶するためのバッファBと、カードユニットCからの貸球要求に基づく払出数を一時記憶するためのバッファCと、を有している。
また、払出処理関連情報一時手段2320は、払出に関連した状態(例えば、払出中か否か・払出異常が発生しているか否か)を一時記憶するための払出状態フラグ一時記憶手段2321と、払出処理時に、払い出される遊技球数がセットされる払出カウンタ2322と、分割払出(1回の払出を複数回に分割した単位)において予定の払出数よりも少ない異常払出回数をカウントするための異常払出回数カウンタ2323と、1回の払出における異常払出回数をカウントするための当該回異常払出回数カウンタ2324と、分割払出間における球通過待ち時間(払出モータ停止時間)を計測するための球通過待ち時間カウンタ2325と、メイン制御基板1000から指定された分割払出個数を一時記憶するための分割払出個数一時記憶手段2326と、を有している。
《処理》
次に、図9〜図24のフローチャートを参照しながら、本最良形態に係るパチンコ遊技機で実行される球払出制御処理を説明する。ここで、図9〜図17が、メイン制御基板1000側での処理を示すフローチャートである。また、図18〜図24が、払出制御基板2000側での処理を示すフローチャートである。以下、順に説明することとする。
{メイン制御基板側での処理(払出制御基板との通信処理)}
まず、図9〜図16のフローチャートを参照しながら、メイン制御基板1000側で実行する払出制御基板2000との通信処理を説明することとする。はじめに、図9は、メイン制御基板1000側で実行される、通信制御に関する定時割り込み処理のフローチャートである。まず、ステップ1100で、メイン制御基板1000は、メイン制御基板1000及び払出制御基板2000間での双方向通信(シリアル通信)のエラー監視処理を実行する。次に、ステップ1200で、メイン制御基板1000は、払出制御基板2000から情報を受信したか否かの監視を行うシリアル通信のデータ受信監視処理を実行する。次に、ステップ1300で、メイン制御基板1000は、払出制御基板2000側に送信する払出関連コマンド(1コマンド目及び2コマンド目)を送信コマンド一時記憶手段1111cにセットする払出コマンド要求処理を実行する。そして、ステップ1400で、メイン制御手段1000は、送信コマンド一時記憶手段1111cにセットした払出コマンドを払出制御基板2000側に送信する払出コマンド送信処理を実行し、ステップ1100に戻る。以下、各サブルーチンの処理を順に詳述することとする。
まず、図10は、図9のサブルーチンであるステップ1100のシリアル通信のエラー監視処理のフローチャートである。はじめに、ステップ1102で、エラー制御手段1400は、エラーフラグ一時記憶手段(ステータスレジスタ)1421を参照し、オーバーランエラー(AORE)、フレーミングエラー(AFE)及びパリティエラー(APE)が発生しているか否か、具体的にはこれらのフラグがオンであるか否かを監視する。ここで、オーバーランエラーとは、既に受信されたデータをユーザープログラムでリードする前に次のデータを受信した場合であり、具体的には、払出制御側受信データ一時記憶手段1122b内に一時記憶された払出制御基板2000側からの情報がリードされて払出コマンド対応情報一時記憶手段1122c側に移動する前に、次のデータを払出制御側受信制御手段1121が受信しまった場合に発生するエラーである。また、フレーミングエラーとは、受信した払出コマンド対応データのストップビットに0を検出した場合に発生するエラーである。そして、パリティエラーとは、受信したデータのパリティとそのデータのパリティビットが一致しない場合に発生するエラーである。尚、エラーが発生した場合には、エラーフラグ管理手段1420が、エラーフラグ一時記憶手段(ステータスレジスタ)1421内の対応するエラービットに1をセットする処理を実行している。そして、ステップ1104で、エラー制御手段1400は、エラーフラグ一時記憶手段1421を参照し、いずれかのエラーを検出したか否かを判定する。ステップ1104でYesの場合、ステップ1106で、エラーフラグ管理手段1420は、エラーフラグ一時記憶手段1421内のオンになっているエラーフラグをオフにし(0クリアし)、シリアル通信のエラーを解除する。更に、ステップ1108で、エラー制御手段1400は、シリアル通信で受信したデータ(払出制御側受信データ一時記憶手段1122bに一時記憶されているデータ)をクリアし、次の処理(ステップ1200のシリアル通信のデータ受信監視処理)に移行する。他方、ステップ1104でNoの場合にも次の処理(ステップ1200のシリアル通信のデータ受信監視処理)に移行する。
次に、図11は、図9のサブルーチンであるステップ1200のシリアル通信のデータ受信監視処理のフローチャートである。まず、ステップ1202で、払出制御側受信データ管理手段1122aは、払出制御側受信データ一時記憶手段1122bを参照する(データ受信の監視処理)。そして、ステップ1204で、払出制御側受信データ管理手段1122aは、払出制御基板2000側から払出コマンド対応データを受信したか否かを判定する。ステップ1204でYesの場合、ステップ1206で、払出制御側受信データ管理手段1122aは、払出制御側受信データ一時記憶手段1122b内に一時記憶されていた払出コマンド対応データを、払出コマンド情報関連一時記憶手段1122cに格納し、次の処理(ステップ1300の払出コマンド要求処理)に移行する。尚、ステップ1204でNoの場合にも次の処理(ステップ1300の払出コマンド要求処理)に移行する。
次に、図12は、図9のサブルーチンであるステップ1300の払出コマンド要求処理のフローチャートである。まず、ステップ1302で、送信コマンド設定手段1111aは、メイン制御側送受信状態一時記憶手段1210を参照する(未送信コマンドの検査)。そして、ステップ1304で、送信コマンド設定手段1111aは、メイン制御側送受信状態一時記憶手段1210内に一時記憶されている処理状態がST=0であるか、即ち、前回の送信コマンドがすべて送信されているために未送信コマンドが存在していない状況であるか否かを判定する。ステップ1304でYesの場合、ステップ1306で、送信コマンド設定手段1111aは、送信コマンド一時記憶手段1111c内の1コマンド目一時記憶領域1113aに、送信データの上位3ビットに識別コード(100)をセットする。尚、この「100」は、固定値であり本コマンドが1コマンド目であることを意味する。次に、ステップ1308で、送信コマンド設定手段1111aは、遊技側情報一時記憶手段1121aを参照し、受け皿満タンスイッチ15からの満タン信号を受信しているか否かを踏まえ、4ビット目に受け皿の満タン状態を設定する。尚、「1」が満タンであり、「0」が満タンでないことを意味する。次に、ステップ1310で、送信コマンド設定手段1111aは、払出制御側払出状態一時記憶手段1220を参照する(払出制御の賞球状態を検査)。そして、ステップ1312で、送信コマンド設定手段1111aは、払出制御基板2000が賞球払出中でないか否かを判定する。ステップ1312でYesの場合、ステップ1314で、送信コマンド設定手段1111aは、遊技側情報一時記憶手段1121aを参照し、次の賞球払出に対応した賞球個数をビット0〜3に設定する。尚、賞球個数については、入賞口毎の賞球回数を検査し、今回の賞球払出の対象となる入賞口の賞球回数を減算した上、当該入賞口に対応した賞球数分セットする。他方、ステップ1312でNoの場合、即ち、払出制御装置が賞球中である場合には、賞球個数をビット0〜3に設定することをせず(したがって、いずれのビットも0のまま)、ステップ1316に移行する。以上のステップ1306〜ステップ1314が、1コマンド目の設定処理である。
そして、以下のステップ1316〜ステップ1322が、2コマンド目の設定処理である。具体的には、ステップ1316で、送信コマンド設定手段1111aは、2コマンド目の送信データとして、送信コマンド一時記憶手段1113の2コマンド目一時記憶領域1113に、送信データの上位4ビットに識別コード(1111)をセットする。尚、この「1111」は、固定値であり本コマンドが2コマンド目であることを意味する。次に、ステップ1318で、送信コマンド設定手段1111aは、エラーフラグ管理手段1420を参照し、所定のエラー(例えば扉開放エラー)が発生していないか否かを判定する。ステップ1318でYesの場合、ステップ1320で、送信コマンド設定手段1111は、送信コマンド一時記憶手段1113の2コマンド目一時記憶領域1113に、所定数A(例えば3個)の分割払出個数をビット0〜3に設定し、次の処理(ステップ1400の払出コマンド送信処理)に移行する。尚、この所定数Aは例えば主制御基板の機種毎に予め設定されている。他方、ステップ1318でNoの場合、即ち、所定のエラーが発生している場合には、ステップ1322で、送信コマンド設定手段1111は、送信コマンド一時記憶手段1113の2コマンド目一時記憶領域1113に、所定数B(例えば1個)の分割払出個数をビット0〜3に設定し、次の処理(ステップ1400の払出コマンド送信処理)に移行する。尚、所定数A>所定数Bであり、所定数Bは所定のエラーが発生して不正等が実行され得る状況になった際に払出速度が極端に遅くなるような分割払出数とすることが好適である。尚、ステップ1304でNoの場合にも次の処理(ステップ1400の払出コマンド送信処理)に移行する。
次に、図13は、図9のサブルーチンであるステップ1400の払出コマンド送信処理のフローチャートである。まず、ステップ1402で、メイン制御基板1000は、メイン制御側送受信状態一時記憶手段1210を参照する(コマンド送信状態を検査)。そして、メイン制御基板1000は、メイン制御側送受信状態一時記憶手段1210内のSTが「0」である場合にはステップ1400−1に移行して1コマンド目送信処理を実行し、メイン制御側送受信状態一時記憶手段1210内のSTが「1」である場合にはステップ1400−2に移行して1情報目受信確認処理を実行し、メイン制御側送受信状態一時記憶手段1210内のSTが「2」である場合にはステップ1400−3に移行して2コマンド目送信処理を実行し、メイン制御側送受信状態一時記憶手段1210内のSTが「3」である場合にはステップ1400−4に移行して2情報目受信確認処理を実行し、次の処理(ステップ1100のシリアル通信のエラー監視処理)に移行する。
次に、図14は、図13のサブルーチンであるステップ1400−1の1コマンド目送信処理(2コマンド目送信処理)のフローチャートである。尚、ステップ1400−3の処理は、基本的にステップ1400−1の処理と同じである(括弧書きがステップ1400−3の処理)。まず、ステップ1402−1(ステップ1402−3)で、払出制御側送信制御手段1111は、メイン制御側送受信状態一時記憶手段1210を参照し、シリアル通信の送信状態を検査する。次に、ステップ1404−1(ステップ1404−3)で、払出制御側送信制御手段1111は、シリアル通信の送信状態は送信可能であるか否かを判定する。ステップ1404−1(ステップ1404−3)でYesの場合、ステップ1406−1(ステップ1406−3)で、エラーフラグ管理手段1420は、エラーフラグ一時記憶手段1421内の通信エラーフラグをオフにし、通信エラーを解除する処理を実行する。ここで、「通信エラーフラグ」とは、メイン制御基板1000側から払出制御基板2000側への1コマンド目(又は2コマンド目)送信を留保している状態であるときにオンとなるフラグである。そして、ステップ1408−1(ステップ1408−3)で、払出制御側送信制御手段1111は、送信コマンド一時記憶手段1111cの1コマンド目一時記憶領域1111c−1内に一時記憶されている1コマンド目の送信データ(送信コマンド一時記憶手段1111cの2コマンド目一時記憶領域1111c−2内に一時記憶されている2コマンド目の送信データ)を送信する。次に、ステップ1410−1(ステップ1410−3)で、通信時間管理手段1310は、受信待ちタイムアウト時間をタイマ1311にセットする。そして、ステップ1412−1(ステップ1412−3)で、メイン制御基板1000は、メイン制御側送受信状態一時記憶手段1210内のSTを「1」(「3」)にセットし、次の処理(ステップ1100のシリアル通信のエラー監視処理)に移行する。他方、ステップ1404−1(ステップ1404−3)でNoの場合、ステップ1414−1(ステップ1414−3)で、エラーフラグ管理手段1420は、エラーフラグ一時記憶手段1421内の通信エラーフラグをオンにし、通信エラーをセットする処理を実行した後、次の処理(ステップ1100のシリアル通信のエラー監視処理)に移行する。
次に、図15は、図13のサブルーチンであるステップ1400−2の1情報目受信確認処理のフローチャートである。まず、ステップ1402−2で、払出制御側受信制御手段1122は、払出コマンド対応情報一時記憶手段1122cが0でないか否か、即ち、何らかの情報を払出制御基板2000側から受信しているか否かを判定する。ステップ1402−2でYesの場合、ステップ1404−2で、正常送信判定手段1300は、送信コマンド一時記憶手段1111cの1コマンド目記憶領域1111c−1に一時記憶されている1コマンド目の送信データと、払出コマンド対応情報一時記憶手段1122cに一時記憶されている払出制御基板2000側から送信された払出コマンド対応情報との内容を比較する。そして、ステップ1406−2で、正常送信判定手段1300は、ステップ1402−2での比較結果が一致したか否かを判定する。ステップ1406−2でYesの場合、ステップ1408−2で、エラーフラグ管理手段1420は、エラーフラグ一時記憶手段1420内の通信エラーフラグをオフにし、通信エラーを解除する処理を実行する。そして、ステップ1410−2で、メイン制御基板1000は、メイン制御側送受信状態一時記憶手段1210内のSTを「2」にセットし、次の処理(ステップ1100のシリアル通信のエラー監視処理)に移行する。
他方、ステップ1402−2でNoの場合、即ち、払出制御基板2000側から何らの情報も受信していない場合には、ステップ1412−2で、通信時間管理手段1310は、タイマ1311中の受信待ちタイムアウト時間を減算する。そして、ステップ1414−2で、エラーフラグ管理手段1420は、タイマ1311を参照し、タイムアウトしたか否かを判定する。ステップ1414−2でYesの場合、ステップ1416−2で、エラーフラグ管理手段1420は、エラーフラグ一時記憶手段1421内の通信エラーフラグをオンにし、通信エラーをセットする処理を実行する。次に、ステップ1418−2で、メイン制御基板1000は、メイン制御側送受信状態一時記憶手段1210内のSTを「0」にセットし、次の処理(ステップ1100のシリアル通信のエラー監視処理)に移行する。この処理により、1コマンド目を送信した後に払出制御基板2000から所定時間情報を受信しなかった場合、再度1コマンド目を送信することになる。
次に、図16は、図13のサブルーチンであるステップ1400−4の2コマンド目受信確認処理のフローチャートである。まず、ステップ1402−4で、正常送信判定手段1300は、払出コマンド対応情報一時記憶手段1122cが0でないか否か、即ち、何らかの情報を払出制御基板2000側から受信しているか否かを判定する。ステップ1402−4でYesの場合、ステップ1404−4で、正常送信判定手段1300は、送信コマンド一時記憶手段1111cの2コマンド目一時記憶領域1111c−2に一時記憶されている2コマンド目の送信データ(上位6ビット)と、払出コマンド関連情報一時記憶手段1122cに一時記憶されている払出制御基板2000側から送信された情報(上位6ビット)との内容を比較する。そして、ステップ1406−2で、正常送信判定手段1300は、ステップ1402−2での比較結果が一致したか否かを判定する。ステップ1406−4でYesの場合、ステップ1408−4で、エラーフラグ管理手段1420は、エラーフラグ一時記憶手段1421内の通信エラーフラグをオフにし、通信エラーを解除する処理を実行する。そして、ステップ1410−4で、払出制御側受信データ管理手段1122aは、払出コマンド関連情報一時記憶手段1122cに一時記憶されている払出制御基板2000側から送信された情報(下位2ビット)を参照し、賞球払出中か否か(ビット0から把握)と払出装置異常か否か(ビット1から把握)を、払出制御側払出状態一時記憶手段1220に一時記憶する。そして、ステップ1412−4で、メイン制御基板1000は、メイン制御側送受信状態一時記憶手段1210内のSTを「0」にセットし、次の処理(ステップ1100のシリアル通信のエラー監視処理)に移行する。
他方、ステップ1402−4でNoの場合、即ち、払出制御基板2000側から何らの情報も受信していない場合には、ステップ1414−4で、通信時間管理手段1310は、タイマ1311中の受信待ちタイムアウト時間を減算する。そして、ステップ1416−4で、エラーフラグ管理手段1420は、タイマ1311を参照し、タイムアウトしたか否かを判定する。ステップ1416−4でYesの場合、ステップ1418−4で、エラーフラグ管理手段1420は、エラーフラグ一時記憶手段1421内の通信エラーフラグをオンにし、通信エラーをセットする処理を実行する。次に、ステップ1420−4で、メイン制御基板1000は、メイン制御側送受信状態一時記憶手段1210内のSTを「2」にセットし、次の処理(ステップ1100のシリアル通信のエラー監視処理)に移行する。この処理により、2コマンド目を送信した後に払出制御基板2000から所定時間情報を受信しなかった場合、再度2コマンド目を送信することになる。
{メイン制御基板側での処理(ホールコンピュータとの通信処理)}
次に、図17は、予定賞球払出個数の管理処理とホールコンピュータHCへの予定賞球払出個数情報の送信処理を示したフローチャートである。まず、ステップ1502で、HC側送信制御手段1114は、遊技側情報一時記憶手段1121aを参照し、新たな入賞口への入球情報を受信したか否かを判定する。ステップ1502でYesの場合、ステップ1504で、HC側送信制御手段1114は、当該入賞口に対応した賞球数(n)を払出処理関連情報一時記憶手段2320に一時記憶する。次に、ステップ1506及びステップ1508で、予定払出個数加算手段1114aは、払出処理関連情報一時記憶手段2320に一時記憶されているn値から1減算した上で、予定払出個数関連カウンタ1114cのカウンタ値(C値)に1を加算する。そして、ステップ1510で、HC側送信制御手段1114は、予定払出個数関連カウンタ1114cを参照し、カウンタ値(C値)が所定数(例えば10)に到達したか否かを判定する。ステップ1510でYesの場合、ステップ1512で、HC側送信制御手段1114は、外部中継端子板を介して、前記所定数(例えば10)に相当するパルス信号を出力する。尚、これを受信したホールコンピュータHC側では、前記所定数(例えば10)に相当する賞球が払い出されることが予定されていることを、当該賞球が実際に払い出される前に把握することになる。そして、ステップ1514で、予定払出個数減算手段1114bは、予定払出個数関連カウンタ1114cのカウンタ値(C)から前記所定数を減算する。そして、ステップ1516で、HC側送信制御手段1114は、遊技側情報一時記憶手段1121aを参照し、n値が0であるか否かを判定する。ステップ1516でYesの場合には次の処理に移行する。尚、ステップ1502でNoの場合及びステップ1510でNoの場合にも次の処理に移行し、ステップ1516でNoの場合にはステップ1506に移行する。尚、本最良形態では、予定払出個数関連カウンタ1114cのカウンタ値をインクリメントさせる方式であるが、これに限定されず、所定値からデクリメントさせて0になった時点で信号を送信し、再び所定値をセットするように構成してもよい。更には、予定払出個数関連カウンタ1114cとして、所定数をカウントする毎に信号(分周パルス)を出力するものを使用してもよい。
(払出制御基板側での処理)
次に、図18〜図24のフローチャートを参照しながら、払出制御基板2000側で実行する制御処理を説明することとする。はじめに、図18は、払出制御基板2000側で実行される、メイン制御基板1000側との通信処理・遊技機等貸出装置(カードユニット)との通信処理・払出制御に関する処理のフローチャートである。まず、ステップ2100で、払出制御基板2000は、メイン制御装置1000側との通信処理を実行する。次に、ステップ2200で、払出制御基板2000は、カードユニットCとの通信処理を実行する。そして、ステップ2300で、払出制御基板2000は、払出ユニットを駆動して遊技球の払出制御を実行し、ステップ2100に戻る。以下、各サブルーチンの処理を順に詳述することとする。
次に、図19は、図18のサブルーチンであるステップ2100のメイン制御装置1000側との通信処理のフローチャートである。まず、ステップ2100−1で、払出制御基板2000は、メイン制御基板1000及び払出制御基板2000間での双方向通信(シリアル通信)のエラー監視処理を実行する。次に、ステップ2100−2で、払出制御基板2000は、メイン制御基板1000から情報を受信したか否かの監視を行うシリアル通信のデータ受信監視処理を実行する。次に、ステップ2100−3で、払出制御基板2000は、メイン制御基板1000側から受信した払出コマンドに対応した情報をメイン制御基板1000側に送信する払出コマンド対応情報送信処理を実行し、ステップ2100−1に戻る。以下、各サブルーチンの処理を順に詳述することとする。
まず、図20は、図19のサブルーチンであるステップ2100−1のシリアル通信のエラー監視処理のフローチャートである。はじめに、ステップ2102−1で、エラー制御手段2200は、エラーフラグ一時記憶手段(ステータスレジスタ)2221を参照し、オーバーランエラー(AORE)、フレーミングエラー(AFE)及びパリティエラー(APE)が発生しているか否か、具体的にはこれらのフラグがオンであるか否かを監視する。そして、ステップ2104−1で、エラー制御手段2200は、いずれかのエラーを検出したか否かを判定する。尚、エラーが発生した場合には、エラーフラグ管理手段2220が、エラーフラグ一時記憶手段2221内の対応するエラービットに1をセットする処理を実行している。そして、ステップ2104−1でYesの場合、ステップ2106−1で、エラーフラグ管理手段2220は、エラーフラグ一時記憶手段2221内のオンになっているエラーフラグをオフにし(0クリアし)、シリアル通信のエラーを解除する。更に、ステップ2108−1で、エラー制御手段2200は、シリアル通信で受信したデータ(メイン側受信情報一時記憶手段2111bに一時記憶されているデータ)をクリアし、次の処理(ステップ2100−2のシリアル通信のデータ受信監視処理)に移行する。他方、ステップ2104−1でNoの場合にも次の処理(ステップ2100−2のシリアル通信のデータ受信監視処理)に移行する。
次に、図21は、図19のサブルーチンであるステップ2100−2のシリアル通信のデータ受信監視処理のフローチャートである。まず、ステップ2102−2で、メイン側受信データ管理手段2111aは、メイン側受信情報一時記憶手段2111bを参照する(データ受信の監視処理)。そして、ステップ2104−2で、メイン側受信データ管理手段2111aは、メイン制御基板1000側から払出コマンドを受信したか否かを判定する。ステップ2104−2でYesの場合、ステップ2106−2で、メイン側受信データ管理手段2111aは、メイン側受信情報一時記憶手段2111b内に一時記憶されていた払出コマンド対応データを、払出コマンド一時記憶手段2111cに格納し、次の処理(ステップ2100−3の払出関連情報送信処理)に移行する。尚、ステップ2104−2でNoの場合にも次の処理(ステップ2100−3の払出関連情報送信処理)に移行する。
次に、図22は、図19のサブルーチンであるステップ2100−3の払出関連情報送受信処理のフローチャートである。まず、ステップ2102−3で、払出制御基板2000は、払出コマンド一時記憶手段2111cが0でないか否か、即ち、何らかの情報をメイン制御基板1000側から受信しているか否かを判定する。ステップ2102−3でYesの場合、ステップ2104−3で、メイン側受信制御手段2111は、払出コマンド一時記憶手段2111cに一時記憶されている上位3ビットが「100」であるか否か、即ち、今回メイン制御基板1000側から受信したコマンドが1コマンドであるか否かを判定する。ステップ2104−3でYesの場合、ステップ2106−3で、送信制御手段2120は、払出コマンド一時記憶手段2111c内に一時記憶されている情報をメイン制御基板1000側に送信する。そして、ステップ2108−3で、メイン側受信データ管理手段2111aは、受け皿満タン信号受信の有無を踏まえ、バッファAに受け皿満タン状態を格納する。次に、ステップ2110−3で、メイン側受信データ管理手段2111aは、払出コマンド一時記憶手段2111c内に一時記憶されている情報(特にビット3〜0)を踏まえ、バッファBに賞球個数情報を格納し、次の処理(ステップ2200のカードユニットとの通信処理)に移行する。
他方、ステップ2104−3でNoの場合、ステップ2112−3で、メイン側受信制御手段2111は、払出コマンド一時記憶手段2111cに一時記憶されているコマンドの上位4ビットが「1111」であるか否か、即ち、今回メイン制御基板1000側から受信したコマンドが2コマンドであるか否かを判定する。ステップ2112−3でYesの場合、ステップ2113−3で、払出制御手段2300は、払出コマンド一時記憶手段2111cに一時記憶されているコマンドの下位4ビットに基づき、分割払出個数一時記憶手段2326に分割払出個数をセットする(表1参照)。そして、ステップ2114−3で、送信制御手段2120は、メイン制御基板1000側への確認情報の送信に先立ち、払出装置に異常があるか否か及び賞球払出中であるか否かを確認する。そして、ステップ2116−3で、送信制御手段2120は、メイン制御基板1000側への確認情報として、ビット7〜2は固定値(「010101」)、ビット1は払出装置異常、ビット0は賞球払出中、という内容の情報を送信する。そして、ステップ2118−3で、払出制御基板2000は、バッファA及びバッファBの内容を、受け皿満タン情報及び賞球個数として払出処理関連情報一時記憶手段2320に一時記憶する。尚、この払出処理関連情報一時記憶手段2320にこれら情報がセットされたことを受け、後述する払出制御処理にて、当該セット内容を踏まえた払出処理が実行されることとなる。そして、ステップ2120−3で、払出制御基板2000は、バッファA及びバッファBをクリアし、次の処理(ステップ2400の払出制御処理)に移行する。
次に、図23は、図18のサブルーチンであるステップ2200のカードユニットCとの通信処理のフローチャートである。まず、ステップ2202で、払出制御基板2000は、払出処理関連情報一時記憶手段2320を参照し、払出中フラグがオフであるか否かを判定する。次に、ステップ2204で、払出制御基板2000は、カードユニット側受信情報一時記憶手段211bを参照し、BRDY(カードユニットREADY信号)及びBRQ(台端末貸出要求完了確認信号)のオンを受信したか否かを判定する。ここで、BRDYとは、カードユニットCがパチンコ遊技機に対して貸出要求を行うことが可能な状態にあるかどうかを示す信号であり、カードユニットCからパチンコ遊技機へ出力される。このBRDYは、通常はHレベルであり、貸出スイッチが操作されるとLレベルへ移行し、貸出処理が終了するまでLレベルの状態が維持される。また、BRQとは、カードユニットCからパチンコ遊技機に対して遊技球の増加を指示するための信号である。このBRQ信号は、通常はHレベルであるが、貸出スイッチの操作に応じてLレベルへの反転を所定回数繰り返す。本例では、BRQのLレベルへの反転を100円分の貸出指示とし、1パルス分の信号につき、パチンコ遊技機に所定数(たとえば25発)の遊技球を増加するようにしている。次に、ステップ2206で、払出制御基板2000は、払出処理関連情報一時記憶手段2320にアクセスし、EXSをオンにする。ここで、EXSとは、BRQ信号を受け取ったことをパチンコ遊技機からカードユニットCに知らせるための信号である。このEXSは、通常Hレベルであり、BRQ信号がLレベルになってから所定時間後にLレベルに移行し、更にBRQ信号のHレベルへの移行に応じてHレベルに復帰する。次に、ステップ2208で、払出制御基板2000は、カードユニット側受信情報一時記憶手段2112bを参照し、所定時間内にBRQ(台端末貸出要求完了確認信号)のオフを受信したか否かを判定する。ステップ2208でYesの場合、ステップ2210で、払出制御基板2000は、エラーになっている場合にはエラーを解除する。次に、ステップ2212で、払出制御基板2000は、バッファCに所定数(たとえば25発)をセットする。そして、ステップ2214で、払出制御基板2000は、所定数の払出が完了したか否か、即ち、払出カウンタが0であるか否かを判定する。ステップ2214でYesの場合、ステップ2216で、払出制御基板2000は、払出処理関連情報一時記憶手段2320にアクセスし、EXSをオフにし、次の処理(ステップ2300の払出制御処理)に移行する。
尚、ステップ2202でNoの場合、即ち、払出中フラグがオンである場合には、ステップ2214に移行する。他方、ステップ2208でNoの場合、即ち、所定時間内にBRQ信号を受信しなかった場合には、ステップ2218で、払出制御基板2000は、エラーを設定し、ステップ2216に移行する。また、ステップ2204及びステップ2214でNoの場合には、次の処理(ステップ2300の払出制御処理)に移行する。
次に、図24は、図18のサブルーチンであるステップ2300のカードユニットとの通信処理のフローチャートである。まず、ステップ2302で、払出制御手段2300は、払出処理関連情報一時記憶手段2320を参照し、分割回実行中フラグがオフであるか否かを判定する。ここで、「分割回実行中フラグ」とは、所定数の払出を複数回に分割して実行するが、ある分割回がまだ実行中である場合にオンとなるフラグである。ステップ2302でYesの場合、ステップ2304で、払出制御手段2300は、払出処理関連情報一時記憶手段2320を参照し、分割回継続フラグがオフであるか否かを判定する。ここで、「分割回継続フラグ」とは、ある分割回が終了した後にも分割回が存在するときにオンとなるフラグである。ステップ2304でYesの場合、ステップ2306で、払出制御手段2300は、バッファCに払出球データが存在するか否か(0でないか否か)、即ち、カードユニットCから貸球要求があったか否かを判定する。ステップ2306でYesの場合、ステップ2308で、払出制御手段2300は、バッファC内に一時記憶されている払出球数を払出カウンタ2322にセットする。そして、ステップ2310で、払出制御手段2300は、バッファCをクリアする。尚、本最良形態では、以下で説明する払出の際、カウントセンサ14で遊技球が検知された場合には、その都度、払出カウンタ2322が1ずつ減算されるよう構成されている。他方、ステップ2306でNoの場合、ステップ2314で、払出制御手段2300は、バッファBに払出球データが存在するか否か(0でないか否か)、即ち、入賞口への入賞に基づき賞球払出要求があったか否かを判定する。ステップ2314でYesの場合、ステップ2316で、払出制御手段2300は、バッファB内に一時記憶されている払出球数を払出カウンタ2322にセットする。そして、ステップ2318で、払出制御手段2300は、バッファBをクリアする。以上で払出されるべき遊技球数のセット処理が完了する。そして、ステップ2312で、待ち時間制御手段2350は、当該回異常払出回数カウンタ2324をクリアする。
次に、セットした遊技球数の払出処理を実行する。具体的には、まず、ステップ2320で、払出制御手段2300は、バッファAを参照し、受け皿満タン状態でないか否かを判定する。ステップ2320でYesの場合、ステップ2322で、待ち時間制御手段2350は、異常払出回数カウンタ内のカウンタ値に基づき、球通過待ち時間カウンタ2325に球通過待ち時間(Tw)をセットする。そして、ステップ2323で、払出制御手段2300は、タイマ2330をスタートする。次に、ステップ2324で、払出制御手段2300は、分割払出個数一時記憶手段2326にセットされた分割払出個数(N)に基づき、払出モータ13を所定球数分駆動して停止させる。ここで、「所定球数」は、払出予定残球数NremがN球以上の場合にはN球(例えば3球)、払出予定残球数がNremがN球未満である場合にはNrem(例えば1球や2球)である。そして、ステップ2326で、払出制御手段2300は、タイマ2330を参照し、払出モータ13を停止させてからセットした球通過待ち時間(Tw)に到達していないか否かを判定する。ステップ2326でYesの場合、ステップ2328で、払出制御手段2300は、駆動を開始からこれまでにカウントセンサ14に所定球数通過したか否かを判定する。ステップ2328でYesの場合には、払出制御手段2300は、今回の所定球数分の駆動に関しては正常に払出がなされたと判定し、次の処理(ステップ2336)に移行する。このように、所定球数の通過が確認された場合、セットした球通過待ち時間(Tw)に到達していなくても、当該球通過待ち時間(Tw)を待つことなく、次の払出処理(或いは次の分割回に係る払出処理)を実行するよう構成されている。尚、ステップ2328でNoの場合、即ち、セットした球通過待ち時間(Tw)に到達していない状況でまだ所定球数の通過確認がなされていない場合には、ステップ2330で、払出制御手段2330は、払出処理関連情報一時記憶手段2320の分割回実行中フラグをオンにし、次の処理(ステップ2100のメイン制御装置との通信処理)に移行する。
他方、ステップ2326でNoの場合、即ち、所定球数の通過確認がなされない状況下で球通過待ち時間(Tw)に到達した場合には、ステップ2332で、払出異常判定手段2340は、異常払出回数カウンタ2323に1加算する。次に、ステップ2334で、払出異常判定手段2340は、当該回異常払出回数カウンタ2324に1加算し、次の処理(ステップ2336)に移行する。以上で、今回の分割回に係る払出処理が終了する。
そして、ステップ2336で、払出制御手段2300は、払出カウンタ2322を参照し、払出カウンタ2322のカウンタ値(残り球数値)が0であるか否か、即ち、予定球数がすべて排出されたか否かを判定する。ステップ2336でYesの場合、ステップ2338で、待ち時間制御手段2350は、当該回異常払出回数カウンタ2324を参照し、カウンタ値が0であるか否か、即ち、今回予定された球数をすべて払い出す際に払出異常が起こらなかったか否かを判定する。ステップ2338でYesの場合、ステップ2340で、待ち時間制御手段2350は、異常払出回数カウンタ2323をクリアし、次の処理(ステップ2100のメイン制御装置との通信処理)に移行する。
他方、ステップ2336でNoの場合には、ステップ2342で、払出制御手段2300は、払出処理関連情報一時記憶手段2320中の分割回継続フラグをオンにし、次の処理(ステップ2100のメイン制御基板との通信処理)に移行する。そして、ステップ2304でNoの場合、即ち、分割回継続フラグがオンである場合には、ステップ2344で、払出制御手段2300は、払出処理関連情報一時記憶手段2320中の分割回継続フラグをオフにし、次の処理(ステップ2320)に移行する。
尚、ステップ2320でNoの場合、即ち、受け皿満タン状態である場合には、ステップ2346で、払出制御手段2300は、払出モータ13を1球分駆動し、受け皿満タン状態でなくなるまで所定時間(60秒)停止し、ステップ2336に移行する。
《作用》
次に、図面を参照しながら、本発明の最良形態に係る作用を説明する。まず、図25〜図26を参照しながら、本発明の最良形態に係る第一の作用(シリアル通信による払出コマンド送信)を説明することとし、次に、図27〜図28を参照しながら、本発明の最良形態に係る第二の作用(払出異常による球通過待ち時間の延長)を説明することとし、図29を参照しながら、本発明の最良形態に係る第三の作用(ホールコンピュータへの予定払出数情報送信)を説明することとする。
(シリアル通信による払出コマンド送信)
<正常な場合>
はじめに、図25の最上段は、正常に送受信された場合の作用図である。まず、メイン制御基板1000は、払出制御基板2000側に、図7に示す内容の1コマンド目の払出コマンド(1コマンド目であることの識別情報、受け皿満タン情報、賞球個数情報)を送信する。そして、払出制御基板2000側では、メイン制御手段1000から送信された1コマンド目を正常に受信し、払出コマンド一時記憶手段2111cに格納する。そして、払出制御基板2000は、受信したコマンドと同じ情報(1コマンド目であることの識別情報、受け皿満タン情報、賞球個数情報)をメイン制御基板1000側に送信する。そして、メイン制御基板1000側では、払出制御手段2000から送信された情報(1コマンド対応情報)を正常に受信し、払出コマンド対応情報一時記憶手段1122cに格納する。ここで、メイン制御基板1000側では、送信コマンド一時記憶手段1111cの1コマンド目記憶領域1111c−1に一時記憶されている1コマンド目の送信データと今回払出制御基板2000側から受信した1コマンド対応情報とを比較し、同一であるか否かの判定が実行された結果、今回の受信は正常受信であると認定される。これを受け、メイン制御手段1000は、払出制御基板2000側に、図7に示す内容の2コマンド目の払出コマンドを送信する。そして、払出制御基板2000側では、メイン制御手段1000から送信された2コマンド目を正常に受信する。これを受け、払出制御手段2000は、メイン制御基板1000側から受信した1コマンド目の内容に基づき賞球払出を実行する。更に、払出制御基板2000は、図7に示した情報(送受信完了情報であることの識別情報、払出異常に関する情報、賞球払出中に関する情報)を送信する。そして、メイン制御基板1000側では、払出制御手段2000から送信された情報(2情報)を正常に受信し、今回の送受信が完了する。
<異常な場合1:1コマンド目受け取り側異常>
次に、図25の第二欄を参照しながら、払出制御手段2000が受け取った1コマンド目が、メイン制御手段1000が送信した1コマンド目と異なる場合について説明する。まず、メイン制御基板1000側は、払出制御基板2000側に、図7に示す内容の1コマンド目の払出コマンド(1コマンド目であることの識別情報、受け皿満タン情報、賞球個数情報)を送信する。しかしながら、払出制御基板2000側では、メイン制御手段1000から送信された1コマンド目と異なる情報を受信してしまい(例えば賞球個数情報の異なる情報)、払出コマンド一時記憶手段2111cに格納する。そして、払出制御基板2000は、受信したコマンドと同じ情報(例えば賞球個数情報の異なる情報)をメイン制御基板1000側に送信する。そして、メイン制御基板1000側では、払出制御手段2000から送信された情報(1コマンド対応情報)を正常に受信し、払出コマンド対応情報一時記憶手段1122cに格納する。しかしながら、メイン制御基板1000側では、送信コマンド一時記憶手段1111cの1コマンド目記憶領域1111c−1に一時記憶されている1コマンド目の送信データと今回払出制御基板2000側から受信した情報とを比較し、同一であるか否かの判定が実行された結果、今回の受信は誤受信であったと認定する。したがって、これを受け、メイン制御基板1000は、払出制御基板2000側に、再度同じ内容の1コマンド目を送信する。そして、払出制御基板2000側では、メイン制御手段1000から送信された1コマンド目を正常に受信し、前回受信した1コマンド目に上書きする形で、払出コマンド一時記憶手段2111cに格納する。以後は、正常な場合と同一である。
<異常な場合2:1コマンド目受け取り側異常>
次に、図25の第三欄を参照しながら、払出制御手段2000が1コマンド目を正常に受け取れなかった場合について説明する。まず、メイン制御基板1000側は、払出制御基板2000側に、図7に示す内容の1コマンド目の払出コマンド(1コマンド目であることの識別情報、受け皿満タン情報、賞球個数情報)を送信する。しかしながら、払出制御基板2000側では、メイン制御手段1000から送信された1コマンド目と異なる情報を受信してしまい(例えば受信エラー)、払出コマンド一時記憶手段2111cに格納することなく破棄する。他方、メイン制御基板1000では、1コマンド目を送信した後に払出制御基板2000側から当該コマンドに対応する情報(1コマンド対応情報)が送信されてくるのを待機しているが、所定時間(Tmax)経過したため、払出制御基板2000側が異常受信したと判断する。これを受け、メイン制御基板1000は、払出制御基板2000側に、再度同じ内容の1コマンド目を送信する。以後は、正常な場合と同一である。
<異常な場合3:1コマンド目受け取り異常>
次に、図25の第四欄を参照しながら、払出制御手段2000が送信した1情報目が、メイン制御手段1000が送信した1コマンド目と異なる場合について説明する。基本的には、「異常な場合1」と同じであるが、相違点は、払出制御基板2000自体は1コマンド目を正常受信したが、当該コマンドに対応した情報(1コマンド対応情報)をメイン制御基板1000側に送信した際、正常な1コマンド目に対応した情報とは異なる誤情報(例えば賞球個数が異なる情報)をメイン制御基板1000が受信した場合である。それ以外は、「異常な場合1」と同一である。
<異常な場合4:1情報目受け取り側異常>
次に、図25の第五欄を参照しながら、払出制御手段2000が送信した1情報目が、メイン制御手段1000が送信した1コマンド目と異なる場合について説明する。基本的には、「異常な場合3」と同じであるが、相違点は、払出制御基板2000自体は1コマンド目を正常受信したが、当該コマンドに対応した情報(1コマンド対応情報)をメイン制御基板1000側に送信した際、メイン制御基板1000が異常受信(例えば受信エラー)した場合である。それ以外は、「異常な場合3」と同一である。
<異常な場合5:2コマンド目受け取り側異常>
次に、図26の第一欄を参照しながら、払出制御手段2000が2コマンド目を正常に受け取れなかった場合について説明する。尚、メイン制御基板1000から2コマンド目を送信するまでは「正常な場合」と同一であるので、これ以後から説明する。まず、メイン制御基板1000側は、払出制御基板2000側に、図7に示す内容の2コマンド目の払出コマンドを送信する。しかしながら、払出制御基板2000側では、メイン制御手段1000から送信された2コマンド目と異なる情報を受信してしまい(誤った固定値情報)、払出コマンド一時記憶手段2111cに当該情報を格納する。そして、払出制御基板2000は、受信したコマンドと同じ情報をメイン側制御基板1000側に送信する。そして、メイン制御基板1000側では、払出制御手段2000から送信された情報(2情報)を正常に受信し、払出コマンド対応情報一時記憶手段1122cに格納する。しかしながら、メイン制御基板1000側では、送信コマンド一時記憶手段1111の2コマンド目記憶領域1111c−2に一時記憶されている2コマンド目の送信データと今回払出制御基板2000側から受信した情報とを比較し、同一であるか否かの判定が実行された結果、今回の受信は誤受信であったと認定する。したがって、これを受けて、メイン制御基板1000は、払出制御基板2000側に、再度2コマンド目を送信する。そして、払出制御基板2000側では、メイン制御手段1000から送信された2コマンド目を正常に受信する。これを受け、払出制御手段2000は、メイン制御基板1000側から受信した1コマンド目の内容に基づき、賞球払出を実行する。そして、払出制御基板2000は、今回受信した2コマンド目をメイン制御基板1000側に再度送信する。その結果、メイン制御基板1000側では、払出制御手段2000から送信された情報(2情報)を正常に受信し、今回の送受信が完了する。
<異常な場合6:2コマンド目受け取り側異常>
次に、図26の第二欄を参照しながら、払出制御手段2000が2コマンド目を正常に受け取れなかった場合について説明する。尚、メイン制御基板1000から2コマンド目を送信するまでは「正常な場合」と同一であるので、これ以後から説明する。まず、メイン制御基板1000側は、払出制御基板2000側に、図7に示す内容の2コマンド目の払出コマンドを送信する。しかしながら、払出制御基板2000側では、メイン制御手段1000から送信された2コマンド目と異なる情報を受信してしまい(例えば受信エラー)、払出コマンド一時記憶手段2111cに格納することなく破棄する。他方、メイン制御基板1000では、2コマンド目を送信した後に払出制御基板2000側から当該コマンドに対応する情報(2コマンド対応情報)が送信されてくるのを待機しているが、所定時間(Tmax)経過したため、払出制御基板2000側が異常受信したと判断する。これを受け、メイン側制御基板1000は、払出制御基板2000側に、再度同じ内容の2コマンド目を送信する。以後は、「異常な場合5」と同一である。
<異常な場合7:2情報目受け取り側異常>
次に、図26の第三欄を参照しながら、払出制御手段2000が送信した2情報目が、メイン制御手段1000が送信した2コマンド目と異なる場合について説明する。基本的には、「異常な場合5」と同じであるが、相違点は二点である。一点目は、払出制御基板2000側が正常に2コマンド目を受信した時点で払出が実行される点である。二点目は、払出制御基板2000自体は2コマンド目を正常受信したが、当該コマンドに対応した情報(2情報)をメイン制御基板1000側に送信した際、メイン制御基板1000が異常受信(例えば誤った固定値情報)した場合である。それ以外は、「異常な場合5」と同一である。
<異常な場合8:2情報目受け取り側異常>
次に、図26の第四欄を参照しながら、払出制御手段2000が送信した2情報目が、メイン制御手段1000が送信した2コマンド目と異なる場合について説明する。基本的には、「異常な場合7」と同じであるが、相違点は、払出制御基板2000自体は2コマンド目を正常受信したが、当該コマンドに対応した情報(2情報)をメイン制御基板1000側に送信した際、メイン制御基板1000が異常受信(例えば受信エラー)した場合である。それ以外は、「異常な場合7」と同一である。
(払出異常による球通過待ち時間の延長)
次に、図27を参照しながら、払出異常による球通過待ち時間の延長の様子を説明することとする。ここで、本例では、カードユニットCから25球の貸球払出コマンドを受け、払出制御基板2000が25球分を1回で払い出す処理を例に採って説明する。まず、本例では、25球払出を複数回に分割した上、各分割単位(分割払出)で最大3球の払出が実行される。ここで、この分割払出単位は、メイン側制御基板1000からの払出コマンド(2コマンド目=11110011)で指定されたものである。そして、分割単位間で所定の球通過待ち時間が設定されている。ここで、ある分割単位で払出異常があった場合、以後の球通過待ち時間が長くなると共に、カウンタ値に記録されている過去の払出異常の回数に応じ、球通過待ち時間が段階的に長くなるよう構成されている。以下、各場合を詳述する。
<正常払出の場合>
まず、図27の第一段は、25球の払出動作の際に異常がない場合の払出例である。このように、8回の3球分駆動及び1回の1球分駆動の合計9回の分割払出が実行されるが、いずれの分割払出においても、当該払出操作中及び当該払出操作後の球通過待ち時間(To)の間に、当該分割払出で予定されていたすべての球数を正常にカウントできている。このため、いずれの分割払出間の球通過待ち時間についても、最短の球通過待ち時間(To)が維持される。
<払出異常の場合>
次に、図27の第二段は、ある分割払出の際において異常払出があった場合における、球通過待ち時間の変化の様子を示した例である。当該図を時系列的に説明すると、まず、最初の分割払出については、駆動時間及び当該駆動時間後の球通過時間(To)内に、予定されていた3球よりも少ない2球しか払い出されていない。これを受け、内部的には次回の球通過待ち時間としてToよりも長いT1がセットされる。次に、二回目の分割払出については、駆動時間及び当該駆動時間後の球通過時間(T1)内に、予定されていた3球が払い出される。したがって、次回の球通過待ち時間として、前回と同じT1がセットされる。次に、三回目の分割払出については、払出モータ駆動時間及び当該駆動時間後の球通過時間(T1)内に、予定されていた3球よりも少ない1球しか払い出されていない。これを受け、内部的には次回の球通過待ち時間としてT1よりも長いT2がセットされる。次に、四回目の分割払出については、駆動時間及び当該駆動時間後の球通過時間(T2)内に、予定されていた3球よりも少ない2球しか払い出されていない。これを受け、内部的には次回の球通過待ち時間としてT2よりも長いT3がセットされる。尚、本例では、T2が最長の球通過待ち時間であるため、五回目の分割払出でも、駆動時間及び当該駆動時間後の球通過待ち時間(T2)内に、予定されていた3球よりも少ない2球しか払い出されていないが、以後の球通過時間にはT3がセットされ続けることとなる。
<払出異常の場合(分割払出の際に正常払出があった場合)>
次に、図28の第一段は、異常払出が実行されたために球通過時間が延長された状況下で、ある分割払出の際に正常払出がなされた場合における、当該ある分割払出後の球通過待ち時間の様子を示した例である。ここで、「払出モータ(予定)」は、内部的にセットされている球通過待ち時間であり、「払出モータ(実際)」は、実際の球通過待ち時間である。注目すべきは5回目以降の分割払出である。まず、5回目の分割払出が実行される前における球通過待ち時間は、延長された時間である「T2」である。そして、5回目の分割払出においては、2球が、当該分割払出の払出モータ駆動時間内に払い出され、残る1球が、予定されていた球通過待ち時間である「T3」よりも短く、かつ、最も短い「T0」よりも長い「Tx」で払い出される。これを受け、まだ、球通過待ち時間が「T3−Tx」残っているものの、ただちに6回目の分割払出が実行される。そして、6回目の分割払出においては、2球が、当該分割払出の払出モータ駆動時間内に払い出され、残る1球が、予定されていた球通過待ち時間である「T3」よりも短く、かつ、最も短い「T0」よりも短い時間で払い出される。この場合には、最も短い「T0」を待って、7回目の分割払出を実行する。このように、予定されていた球通過待ち時間に到達する前に予定していた遊技球数が払い出された場合には、当該予定されていた球通過待ち時間の到達を待たずに次の払出を実行する。
<払出異常の場合(前回の払出がすべて正常払出があった場合)>
次に、図28の第二段は、異常払出が実行されたために球通過時間が延長された状況下で、球通過時間が通常状態に戻る際の様子を示した例である。ここで、「払出モータ(予定)」は、内部的にセットされている球通過待ち時間であり、「払出モータ(実際)」は、実際の球通過待ち時間である。この図から分かるように、「前回払出」において予定されていた球通過待ち時間は「T2」であるが、いずれも時間内(しかも通常時の球通過待ち時間「T0」)に予定払出が実行されている(図示しないが、「前回払出」を構成するすべての分割払出において予定払出が実行されている)。これを受け、「今回払出」では、「払出モータ(予定)」に示されるように、予定されていた球通過待ち時間が「T2」→「T0」に戻る。
(ホールコンピュータへの予定払出数情報送信)
次に、図29のタイミングチャートを参照しながら、本最良形態に係るパチンコ遊技機の第三の作用であるホールコンピュータへの予定払出数情報送信を説明する。まず、図中の上段の「従来の賞球払出パルス」の項目が、従来技術におけるホールコンピュータへの賞球払出情報の送信タイミングを示したものである。ここで、従来技術におけるホールコンピュータへの賞球払出情報の送信タイミングから説明すると、当該図に示すように、実際に所定数(本例では10球)が払い出されたタイミングで、所定数に到達する度にホールコンピュータ側に賞球払出パルスが出力される。ところで、この従来技術では、図の前半からも分かるように、非特別遊技時においては、払出エラーが発生しない限り、入賞口に入球したタイミングと実際に払い出されるタイミングとの間に大きな時間的ズレはない(図中の丸付数字1〜4)。しかしながら、非特別遊技時であっても、払出エラーが発生すると、入賞口に入球したタイミングと実際に払い出されるタイミングとの間に大きな時間的ズレが生じる(図中の丸付数字5)。そして、図の後半から分かるように、特別遊技移行後では、賞球払出が追いつかず、特別遊技終了付近では入賞口に入球したタイミングと実際に払い出されるタイミングとの間に大きな時間的ズレが生じる。その結果、特別遊技状態と比較して入賞口に殆ど入球しない非特別遊技状態に移行した状況にもかかわらず、特別遊技時における入賞に起因した賞球払出パルスがホールコンピュータ側に送信される。したがって、これを受けたホールコンピュータHC側では、特別遊技時の出玉を少なく見積もってしまうと共に、非特別遊技時のベースを高く見積もってしまう。特に、特別遊技に起因した大量賞球払出の際に払出エラーが発生した場合、本最良形態では賞球払出の間隔が長くなるように構成されているので、より一層、入賞口に入球したタイミングと実際に払い出されるタイミングとの間に大きな時間的ズレが生じる事態を招く。
ところで、パチンコ遊技機からホールコンピュータHCに対し、所定の賞球数が払い出されることが予定されている旨の賞球予定パルスの他、遊技情報(例えば、大当たり情報、始動口入賞情報、大当たり情報、遊技状態情報、打球の発射情報等)が送信される。そして、ホールコンピュータHC側では、これらデータを照らし合わせることである程度不正を発見することができるようになる。例えば、打球が発射されていないのに賞球予定パルスが出力された場合、大当たり情報を受信していないのに賞球予定パルスが連続して出力された場合、には不正の可能性があると判定し、ホールスタッフのインカム等にその旨を報知する。更に、パチンコ遊技機からホールコンピュータHCに対し、所定数の賞球数が実際に払い出された旨の賞球払出パルスも送信される。これを受け取ったホールコンピュータHC側では、賞球予定パルスの累積値(積算値)から賞球払出パルスの値を差し引いた差分値を導出する。この差分をとることで、賞球払出装置等での球詰まりの発生の他、分割払出における分割間時間の延長有無をある程度把握できる。例えば、図29の下段に、大量の賞球が発生する特別遊技時に着目したタイミングチャートを示す。ここで、差分値の実線が、球詰まりが発生すること無く順調に大当たり時の賞球が排出された場合を示したものである。他方、差分値の点線が、何らかの事情(例えば、球詰まりが発生している可能性、分割払出の分割間時間が延長されている可能性)のため賞球の排出速度が低下した場合を示したものである。このような状況になった場合、ホールスタッフのインカム等にその旨を報知し、賞球払出装置の確認作業や不正が行われていないか等の措置を講じる。
他方、本最良形態では、図に示すように、入賞口に遊技球が入球した場合、当該入賞タイミングでカウンタ値を更新すると共に、カウンタ値が10以上となったときに賞球予定払出パルスを出力する。このような構成であるから、実際の賞球払出の状態に左右されることなく、即ち、賞球払出エラーや特別遊技実行等に左右されることなく、入賞口に入賞したタイミングにて、ホールコンピュータ側に賞球払出予定個数情報が送信される。
本最良形態によれば、払出コマンドを受信した払出制御基板は主制御基板側に単なるACK信号ではなく払出コマンドに対応した情報を送信するよう構成されているので、払出制御基板が正しい払出コマンドを受信したか否かを主制御基板側で認識できるという効果を奏する。更に、本最良形態によれば、払出制御基板が払出コマンドを受信したからといってただちに当該払出コマンドに対応した払出関連制御が実施される訳ではなく、払出コマンドに対応した情報を受信した主制御基板からの確認コマンドを更に受信した場合にのみ、当該払出コマンドに対応した払出関連制御が実施されるよう構成されているので、主制御基板側で想定していない、異常や不正により変化した払出コマンドに基づく払出関連制御が実施されることを確実に防止することができるという効果を奏する。更には、本最良形態によれば、払出制御基板側から主制御基板側への情報送信に際してもシリアル通信で行うよう構成されているので、パラレル通信で当該情報送信を行う場合に想定される、異常や不正による情報の変化をより防止することが可能になるという効果を奏する。加えて、本最良形態によれば、規定時間内に払出コマンドに対応した情報を主制御基板が受信しなかった場合には払出コマンドを再送信する一方、規定時間内に払出コマンドに対応したデータを受信した場合には、払出コマンド正常送信判定手段による判定処理を実行するよう構成されているので、払出コマンドに対応した情報の受信するまで待機することに伴う、以後に実行される予定である払出制御に係る払出コマンドのデータ蓄積を防止することが可能になるという効果を奏する。更には、本最良形態によれば、主制御基板から払出制御基板へのコマンド送信及び払出制御基板から主制御基板への情報送信はいずれも送信線1本のシリアル通信であるので、部品点数の削減を図ることができるという効果をも奏する。
更に、払出コマンド一時記憶手段内に払出コマンドが一時記憶されている状態であるときに払出コマンドを受信した場合、払出コマンド一時記憶手段内に一時記憶されていた従前の払出コマンドを新たに受信した払出コマンドに書き換えるよう構成されているので、正しいコマンドか否か不明である従前の払出コマンドに基づく払出制御処理が実行されることを防止することができるという効果を奏する。
更に、1回の払出(全払出動作)を複数回の小分けした払出動作(分割払出動作)で実行し、当該分割払出動作において払出異常を検知した場合には、以後に実行される分割払出動作間の待ち時間を長くするよう構成されているので、全払出動作を連続して実行した上で全払出動作間の待ち時間を長くする従来技術では不可能であった、最初の全払出動作自体の払出時間延長が可能となることに加え、待ち時間の頻度が格段に増えるので(例えば、全払出動作を5回の分割払出動作とした場合、全払出動作を2回実行したときに、従来技術では1回の待ち時間しかないのに対し、本最良形態では9回の待ち時間を構築できる)、より繊細な待ち時間の長さコントロールが可能になるという効果をも奏する。更に、払出制御手段は主制御手段により指定された払出個数で分割払出を実行するよう構成されているので、異なる分割払出個数が設定された複数種の払出制御基板を準備しなくとも、主制御基板のスペックと対応した様々な分割払出個数に対応することができる結果、例えば機種毎に分割個数が変更可能となるといった柔軟な対応が可能になるという効果を奏する。
更に、払出異常の発生回数に基づいて待ち時間を段階的に長くするよう構成されているので、不正行為の可能性の程度に対応した払出速度とすることが可能になるという効果を奏する。
更に、待ち時間が長くなっている状況で異常検出が所定期間(1回の払出)発生しなくなり不正行為が実行されている蓋然性が低下した場合には、払出異常発生回数一時記憶手段内のカウント値がクリアされ、待ち時間が通常の長さに戻るよう構成されているので、不正行為ではない球詰まり等に起因した待ち時間延長による遊技者のいらだちが長期間継続することを回避できると共に、巧妙な不正行為にも対応できるという効果を奏する。
更に、待ち時間が通常の待ち時間よりも長い状況下で、ある分割払出動作において払出異常が発生しなかった場合には、待ち時間がまだ残っているときであっても、次の分割払出動作を実行するよう構成されている。即ち、待ち時間が通常の待ち時間よりも長い状況下、不正行為者に対しては、当該長い待ち時間の消化を余儀なく強いる一方、健全な遊技者に対しては、球詰まり等による一時的な異常検出のために待ち時間が通常の待ち時間よりも長い状況となったとしても、球詰まり等が解消されて払出した数=カウントセンサで確認した数となれば当該長い待ち時間の消化を待つことなく次の払出動作が実行される結果、遊技者に不快感を与えることがないという効果を奏する。
更に、ホールコンピュータに対して賞球払出情報を送信可能であると共に、賞球が実際に払い出されたタイミングとは無関係に、払い出されることが約された予定払出数をホールコンピュータに送信するように構成されているので、分割払出動作において払出異常が検知されたことで分割払出動作間の待ち時間が長くなってしまう(特に特別遊技に起因して大量出玉が払い出される時)ために払出の契機となった入賞タイミングと当該入賞による実際の払出タイミングとに大幅なタイムラグが生じた場合であっても、リアルタイムでの正確な出玉率をホールコンピュータ側で反映させることが可能になるという効果を奏する。
更に、予定払出数が所定数に達した時点で当該所定数を一単位としてその都度外部に出力するように構成されているので、毎回異なる賞球数情報を送信する場合と比較し、当該情報を受信し管理する側のホールコンピュータの負担を軽減することが可能になるという効果を奏する。
更に、所定数に対応した予定賞球払出情報が外部に出力された場合、予定賞球払出数一時記憶手段に一時記憶された予定賞球払出数に係る値から当該所定数減算するように構成されているので、予定賞球払出数一時記憶手段の容量増加を防止することが可能になるという効果を奏する。
(シリアル通信に関する変更例)
次に、本最良形態の変更例を説明することとする。本最良形態では、あるコマンド又は情報の受信処理にエラーが発生した場合、当該コマンド又は情報を送り手側から再送するように構成されているが、これに限定されない。例えば、表2に示すように、2コマンドの受信処理にエラーが発生した場合、それ以前に正常受信した1コマンド目を破棄し、再度、1コマンド目から送信してもらうように構成してもよい。このように構成した場合、メイン制御装置側から再度1コマンド目を送信してもらうよう、例えば、払出制御装置からメイン制御装置側に、メイン側のSTを0にする旨のコマンドを送信する。具体的には、受信制御手段2110は、2コマンド目を正常に受信できなかった場合、メイン側受信情報一時記憶手段2111bに一時記憶されている1コマンド情報を破棄する。その上で、送信制御手段2120は、メイン側制御基板1000側に、メイン側のSTを0に戻すコマンドを送信する。そして、払出制御側受信制御手段1122は、払出制御基板2000側から、STを0に戻す旨のコマンドを受信した場合、払出制御側払出状態一時記憶手段1220内のSTを0に戻す処理を実行する。
(払出異常に関する変更例)
次に、払出異常に関する変更例を説明する。本最良形態では、異常検出した場合、異常検出回数を更新し、一連の払出中に異常検出が1回も無かった場合には、異常検出回数をクリアし、次回の払出から通常時の球通過待ち時間(T0)がセットされるように構成されている。しかしながら、このような構成は一例に過ぎず、一連の払出中に異常検出がなされなかった場合、段階的に球通過待ち時間を短縮するように構成してもよい。例えば、一連の払出中に異常検出が1回も無かった場合、異常検出回数をクリアするのでは無く、所定回数(例えば1回)を減算する手法を挙げることができる。具体的には、図24におけるステップ2340の代わりに、ステップ2340(1)として、待ち時間制御手段2350は、異常払出回数カウンタ2323中の異常検出回数を所定回数(例えば1回)減算する。この処理により、次回の一連の払出の際には、ステップ2322で、この減算された異常検出回数に基づいて球通過待ち時間がセットされる。このように構成することで、正常払出動作の回数に対応して、異常検出時払出動作から正常時払出動作に段階的に移行させることが可能になる。
次の変更例を説明する。本最良形態では、異常払出があった場合、球通過待ち時間を延長するように構成されている。しかしながら、異常払出があった場合、一連の払出時間が全体として延長されていればよいので、球通過待ち時間を延長すること無く(或いは球通過待ち時間も延長しつつ)、分割払出単位における払出個数を減少させるよう構成してもよい。ここで、図30のフローチャートを参照しながら、本変更例における払出制御処理を説明する。尚、図中で(1)を付した処理以外は図24と同一であるので、(1)を付した処理のみ説明する。まず、払出処理の実行直前、ステップ2322(1)で、待ち時間制御手段2350は、異常払出回数カウンタ内のカウンタ値に基づき、分割払出単位の払出個数をセットする。尚、この変更例においては、球通過待ち時間は常に一定(To)である。次に、払出処理の実行後、ある分割払出単位の実行中、ステップ2326(1)で、払出制御手段2300は、タイマ2330を参照し、払出モータ13を停止させてから球通過待ち時間(T0)に到達していないか否かを判定する。ステップ2326(1)でYesの場合、ステップ2328(1)で、払出制御手段2300は、駆動を開始からこれまでにカウントセンサ14に所定球数通過したか否かを判定する。ステップ2328(1)でYesの場合には、ステップ2336に移行する。尚、ステップ2326(1)でNoの場合にはステップ2330に移行し、ステップ2328(1)でNoの場合にはステップ2332に移行する。
ここで、表3は、分割払出単位当たりの払出個数に応じた、単位時間当たりの払出数である。このように、分割払出単位当たりの払出個数が減少すればする程、単位時間当たりの払出数が減少する。
次の変更例を説明する。本最良形態では、払出制御装置からメイン制御装置側に2情報目(2コマンド目に対応した情報)を送信する際、所定のビット(本最良形態ではビット7〜2)を固定情報としたが、当該固定情報の一部又は全部を、球通過待ち時間(本最良形態の場合)や1分割単位当たりの払出数(上記変更例の場合)を示す情報としてもよい。例えば、上記変更例の場合、本最良形態のビット7〜2の内、ビット7及び6を固定情報とし、残るビット5〜2の4ビット分を使用して、表3の16段階分の払出数情報を組み込む態様を挙げることができる。
次の変更例を説明する。本最良形態では、メイン制御装置側から払出制御装置側に分割払出個数を指定する情報をコンスタント(例えば定時割り込み処理毎)に送信し続けるよう構成されているが、これには限定されず、どのようなタイミング及び/又はどのような頻度で送信するように構成してもよい。例えば、電源立ち上げ直後にのみ、分割個数を指定する情報を送信する態様を挙げることができる。
(ホールコンピュータに対して賞球払出予定数を送信する変更例)
次の変更例を説明する。本最良形態では、メイン制御基板1000側で予定賞球払出数の管理を行った上、メイン制御基板1000からホールコンピュータHCに予定賞球払出数関連情報を出力するよう構成したが、これには限定されず、払出制御基板2000側で予定賞球払出数の管理を行った上、払出制御基板2000からホールコンピュータHCに予定賞球払出数関連情報を出力するよう構成してもよい。以下、図31の機能ブロック図を参照しながら、本最良形態との相違点を中心に説明する。まず、本最良形態と異なり、メイン制御基板1000では、予定払出球に関する管理をせずに、入賞があった時点で払出制御基板2000側に対して当該入賞により払い出される予定の予定賞球数情報を送信し、これを受信した払出制御基板2000側で、本最良形態と同様の予定払出に関する管理・ホールコンピュータHCへの送信処理を実行する。
具体的には、まず、メイン制御基板1000側に関しては、払出制御側送信制御手段1111は、入賞口に遊技球が入球した場合、当該入賞口に対応して払い出されることが予定されている賞球数情報を払出制御基板2000に送信する予定払出球情報送信制御手段1111dを有している。他方、払出制御基板2000側に関しては、まず、送信制御手段2120は、本最良形態における「送信制御手段2120」と同一機能を有するメイン側送信制御手段2120aと、ホールコンピュータHCへの情報送信の制御を司るHC側送信制御手段2120bと、を有する。尚、メイン制御基板1000側にもHC側送信制御手段は存在するが、本変更例ではそれぞれ別個の情報(例えば、メイン制御基板側からは遊技状態情報や各種遊技エラー情報、払出制御基板側からは賞球予定払出情報や各種払出エラー情報)をホールコンピュータHCに送信するよう構成されているが、これには限定されない。例えば、メイン制御基板側からホールコンピュータに送信されるべきすべての情報を払出制御基板2000側に送信し、賞球予定払出情報に加え当該情報をも払出制御基板側からホールコンピュータHCに送信するようにしてもよいし、メイン制御基板側と払出制御基板側とで重複する情報をホールコンピュータHCに送信するようにしてもよい。ここで、HC側送信制御手段2120bは、メイン制御基板1000から賞球予定払出情報を受信した場合、当該賞球予定払出情報に対応した賞球分、後述する予定払出個数関連カウンタ2120b−3のカウンタ値を累積加算する予定払出個数加算手段2120b−1と、後述する予定払出個数関連カウンタ2120b−3のカウンタ値が所定値(例えば10)に到達した場合、後述する予定払出個数関連カウンタ2120b−3のカウンタ値から所定値(例えば10)減算する予定払出個数減算手段2120b−2と、予定払出個数を一時記憶するための予定払出個数関連カウンタ2120b−3と、を有している。尚、後述する処理の項目で説明するが、予定払出個数関連カウンタ2120b−3のカウンタ値が所定値に到達した場合、ホールコンピュータHCに対して情報(賞球払出予定個数=所定個数(例えば10個)分に相当するパルス信号)が送信されるように構成されている。
更に、払出制御基板2000側には、停電等の発生により電源が切断された場合において電源の再投入時に払出制御基板の状態を電源切断時の状態に復帰させるためのバックアップ手段2400が備えられている。ここで、バックアップ手段2400は、停電等の発生により電源が切断された場合において、電源の再入時に払出制御基板2000の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時に払出制御基板2000側で一時記憶していたデータを記憶しておくためのバックアップ情報一時記憶手段2410と、遊技機の電源のオフ後においてもバックアップ情報一時記憶手段にバックアップ電圧を供給してデータを保持するバックアップ電源供給手段24200と、を有している。尚、バックアップ情報一時記憶手段2410への書き込みは、通常処理によって電源切断時に実行され、逆にバックアップ情報一時記憶手段2410に書き込まれた各情報の復帰は、電源入時のメイン処理において実行される。
次に、図32は、予定賞球払出個数の管理処理とホールコンピュータHCへの予定賞球払出個数情報の送信処理を示したフローチャートである。まず、ステップ2402で、HC側送信制御手段2120bは、メイン側受信情報一時記憶手段2111bを参照し、新たな予定払出個数情報を受信したか否かを判定する。ステップ2402でYesの場合、ステップ2404で、HC側送信制御手段1114は、新たな予定払出個数情報に対応した賞球数(n)を払出処理関連情報一時記憶手段2120b−3に一時記憶する。次に、ステップ2406及びステップ2408で、予定払出個数加算手段2120b−1は、払出処理関連情報一時記憶手段2320に一時記憶されているn値から1減算した上で、予定払出個数関連カウンタ2120b−3のカウンタ値(C値)に1を加算する。そして、ステップ2410で、HC側送信制御手段2120bは、予定払出個数関連カウンタ2120b−3を参照し、カウンタ値(C値)が所定数(例えば10)に到達したか否かを判定する。ステップ2410でYesの場合、ステップ2412で、HC側送信制御手段2120bは、外部中継端子板を介して、前記所定数(例えば10)に相当するパルス信号を出力する。尚、これを受信したホールコンピュータHC側では、前記所定数(例えば10)に相当する賞球が払い出されることが予定されていることを、当該賞球が実際に払い出される前に把握することになる。そして、ステップ2414で、予定払出個数減算手段2120b−2は、予定払出個数関連カウンタ2120b−3のカウンタ値(C)から前記所定数を減算する。そして、ステップ22416で、HC側送信制御手段2120bは、払出処理関連情報一時記憶手段2320を参照し、n値が0であるか否かを判定する。ステップ2416でYesの場合には次の処理に移行する。尚、ステップ2402でNoの場合及びステップ2410でNoの場合にも次の処理に移行し、ステップ2416でNoの場合にはステップ2406に移行する。尚、本最良形態では、予定払出個数関連カウンタ2120b−3のカウンタ値をインクリメントさせる方式であるが、これに限定されず、所定値からデクリメントさせて0になった時点で信号を送信し、再び所定値をセットするように構成してもよい。更には、予定払出個数関連カウンタ2120b−3として、所定数をカウントする毎に信号(分周パルス)を出力するものを使用してもよい。
尚、本変更例では、メイン制御基板1000側から払出制御基板2000に対し、賞球払出コマンドとは別に予定払出個数情報を送信するように構成したが、これには限定されない。例えば、メイン制御基板1000側からの賞球払出コマンドに基づき、払出制御基板2000は予定払出個数情報を取得してもよい。但し、この場合、本最良形態のように、賞球払出コマンド送信タイミング=賞球払出タイミングと構成するのではなく、メイン制御基板1000側では、入賞口からの入賞信号を受信したタイミングで、払出制御基板2000側に賞球払出コマンドを送信する。そして、払出制御基板2000側では、メイン制御基板1000側から入賞の度に送信されてくる賞球払出コマンド情報を管理可能なように、賞球払出が完了するまで未払出に係る賞球情報を一時記憶可能な賞球払出コマンド情報一時記憶手段を備える必要がある。尚、これ以外は上記変更例と同一構成となる。このような構成を採ることで、実際の賞球払出に関連した賞球払出コマンドの情報を利用して予定払出個数を管理するように構成されているため、実際の賞球払出に関連した賞球払出コマンドとは別に予定払出個数に関連した情報を送信する場合と比較し、この点からも主制御部のソフト負担を軽減できるという効果を奏する。
次の変更例を説明する。本最良形態では、どのような状況でも分割個数を一律としたが、これには何ら限定されない。例えば、払出個数に対応して分割個数を決定する態様を挙げることができる。この具体例としては、払出個数の多い賞球払出コマンドを受信した場合には、払出個数の少ない賞球払出コマンドを受信した場合と比較して、より少ない分割払出個数とする例が挙げられる。例えば、所定数α(例えば25個)の賞球払出コマンドを受信した場合には1回当たりの分割払出の際の個数としてX個(例えば3個)、所定数β(例えば15個)の賞球払出コマンドを受信した場合には1回当たりの分割払出の際の個数としてY個(例えば5個)、所定数γ(例えば10個)の賞球払出コマンドを受信した場合には1回当たりの分割払出の際の個数としてZ個(例えば10個)、とする態様を挙げることができる(ここで、α>β>γ、Z>Y>X)。このように分割払出個数を賞球払出コマンドの種類に応じ、特に賞球数が多い場合には分割払出個数を少なくすることで、不正時のダメージを低減することが可能となる。更には、遊技状態に対応して分割個数を決定するように構成してもよい。具体例としては、賞球払出が多く実行される遊技状態時には、分割個数を少なく設定するよう構成する態様を挙げることができる。例えば、特別遊技時が所定数A、確率変動遊技時や時間短縮遊技時のような特定遊技時が所定数B、通常遊技時が所定数C{所定数C(例えば10個)>所定数B(例えば5個)>所定数A(例えば3個)}の態様である。
尚、上記した最良形態や変更例は、特定のものに対して適用されると限定的に解すべきでなく、どのような組み合わせであってもよい。例えば、ある最良形態についての変更例は、別の最良形態の変更例であると理解すべきであり、また、ある変更例と別の変更例が独立して記載されていたとしても、当該ある変更例と当該別の変更例を組み合わせたものも記載されていると理解すべきである。
13 払出ユニット
14 カウントセンサ
1000 メイン制御基板
1110 送信制御手段
1122 払出制御側受信制御手段
1300 正常送信判定手段
2000 払出制御基板
2111 メイン側受信制御手段
2111c 払出コマンド一時記憶手段
2120 送信制御手段
2300 払出制御手段
2323 異常払出回数カウンタ
2330 払出異常判定手段
2340 待ち時間制御手段