[第1の実施形態]
図1〜図3は第1の実施形態に係るトナーカートリッジ及びそれを装着して使用する画像形成装置の概要を示すものであり、図1はそのトナーカートリッジ1Aの斜視図、図2は図1のQ−Q線断面図、図3は画像形成装置5Aの説明図である。
画像形成装置5Aは、図3に示すように、筐体50の内部空間に、現像剤としてのトナーを用いてトナー像を形成するとともにそのトナー像を最終的に記録媒体としての用紙9に転写する作像装置60と、そのトナー像が転写された用紙9を通過させてトナー像の定着を行う定着装置70と、作像装置60に用紙9を搬送して供給する給紙装置75とが主に装備されている。図中の矢付き一点鎖線は、用紙9が搬送される主な搬送経路を示す。
筐体50は、支持フレーム、板金、外装材等の材料を用いて形成されている。筐体50(画像形成装置1A)の一側面(例えば正面)となる部位50aには、図3に示すように、トナーカートリッジ1Aを装着する収容空間を有するトナーカートリッジ装着部53が形成されている。また、筐体50には、その装着部53を外部に対して開放及び遮蔽する開閉扉55が例えば矢印C1,C2で示す方向に揺動するように取り付けられている。
作像装置(作像部)60は、所望の着色等が施された微粉末状のトナー(一成分現像剤、二成分現像剤のトナー成分など)を用いて画像の形成を行うことができるものであり、公知の電子写真方式等の記録方式を利用してトナーで構成される像(トナー像)を形成して転写するように構成されている。具体的には、矢印で示す方向に回転する感光体ドラム61を備えており、この感光体ドラム61の周囲に、そのドラム表面(像保持面)を帯電させる帯電装置62と、帯電後の感光体61の表面に画像情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある静電潜像を形成する露光装置63と、その感光体61上の潜像にトナーを付着させてトナー像として顕像化する現像装置64と、そのトナー像を給紙装置75から供給される用紙9に転写する転写装置65と、転写後の感光体12の表面に残留するトナー等を除去して清掃する清掃装置66とが主に配置されている。
このうち、感光体ドラム61は、接地処理される円筒状の基材に有機感光材料からなる光導電性層(感光層)を形成したものである。露光装置63としては、LEDアレイ、半導体レーザ走査装置等で構成されるものが使用される。また、露光装置63には、画像形成装置1Aに装備又は接続(有線や無線の接続)される原稿読取装置や、記憶媒体読取装置や、パーソナルコンピュータ等の機器から入力される画像情報を図示しない画像処理装置で所要の処理をした後に得られる画像信号が入力される。
現像装置64は、トナー(二成分現像剤の場合はトナー及びキャリア)が予め初期の設定量だけ収容されており、そのトナーが最終的に感光体ドラム61と接近して回転する現像ロール64aに保持されて感光体ドラム61と対向する現像域まで搬送される。また、現像装置64においては、画像形成(実際には現像動作)によりトナーが消費されて減少するため、上記トナーカートリッジ装着部53に着脱自在に装着されるトナーカートリッジ1から新たなトナーが補給搬送装置68を介して必要な量だけ補給される。さらに、帯電装置62、現像装置64(の現像ロール64a)及び転写装置65には、作像時になると、図示しない電源装置から帯電用電圧、現像用電圧、転写用電圧が所要の時期にそれぞれ供給されて印加される。
定着装置70は、筐体71の内部空間に、所定の温度に加熱されるとともに矢印方向に回転するロール形態、ベルト形態等の加熱回転体72と、この加熱回転体72の軸方向に沿うように所定の圧力で接触するロール形態、ベルト形態等の加圧回転体73とを備えたものである。給紙装置75は、作像装置60に供給すべき複数枚の規定サイズの用紙9を積み重ねた状態で収容する箱状の用紙収容体76と、この用紙収容体76に収容される用紙9を1枚ずつ送り出して搬送する送出装置77とを主に備えたものである。用紙収容体76は、必要により複数個装備される。
給紙装置75は、用紙9を収容カセット76から作像装置50の転写部(感光体51と転写装置55の間)まで搬送するための複数の用紙搬送ロール対78a,78b,78cや搬送案内材等で構成される用紙搬送路と接続されている。用紙搬送路は、作像装置60と定着装置70の間や、定着装置70と図示しない排紙部(排紙トレイ、後処理部など)の間にも設置されている。定着装置70の用紙排出側には、定着後の用紙9を図示しない排紙部に搬送して排出するための排出ロール対79が設置されている。図3中の符号51は、用紙9を筐体50から排出させる排出口を示す。
この画像形成装置1Aによる基本的な画像形成は、以下のように行われる。
画像形成の開始指令(信号)を受けると、作像装置60において感光体ドラム61が矢印で示す方向に回転し始め、そのドラム表面が帯電装置62により所定の帯電電位に帯電された後、その帯電されたドラム表面に画像信号に基づいて動作する露光装置63から光が照射されて所定の潜像電位からなる静電潜像が形成される。次いで、その静電潜像が感光体ドラム61の回転に伴って移動して現像装置64を通過する際に、その現像装置64の現像ロール64aから供給されるトナーにより現像されてトナー像となる。
また、この作像動作の開始に合わせ、給紙装置75では、用紙収容体76から用紙9を送り出すとともに、その送り出した用紙9を搬送時期調整ロール対78cにより、感光体ドラム61上のトナー像が転写装置65と対向する転写部に達する時期に合わせて転写部に送り込む。作像装置60における上記転写部では、感光体ドラム61上のトナー像が搬送される用紙9に対して静電的に転写される。トナー像の転写が終了した後の感光体ドラム61は、その表面が清掃装置66によって清掃される。
作像装置60の転写部でトナー像が転写された後の用紙9は、定着装置70に導入されるように搬送される。定着装置70では、トナー像が転写された用紙9を、定着温度に加熱保持された加熱回転体72と加圧回転体73との間の接触部に導入して通過させる。これによりトナー像を加熱及び加圧して用紙9に定着する。この定着後の用紙9は、排出ロール対79により排紙路を通して排紙部に排出される。
このようにして用紙1枚に対する基本的なプリントが終了する。また、複数枚のプリントの指示がある場合には、上記した一連の動作がその枚数分だけ同様に連続して繰り返される。
一方、画像形成装置5Aに使用されるトナーカートリッジ1Aは、図1及び図2に示すように、全体が円筒状の形状からなる容器本体10を有している。
容器本体10は、その内部が画像形成装置5Aに供給するトナーTを収容する円筒状の収容空間部11が形成されているとともに、その収容空間部11からトナーTを排出する排出口12が一方の端部10aの領域に形成されている。また、排出口12は、トナーカートリッジ1A(容器本体10)の装着部53への装着が完了した時点で底部となる位置に形成されている。この容器本体10の収容空間部11には、その製造の段階で、満杯よりも少ない量のトナーTが充填されており、その上部にトナーTが存在しない空隙部Sが存在している。図1、図2等において二点鎖線で示すトナーTは、その収容されているトナーTの堆積面を示している。
収容空間部11内には、カートリッジ1Aの装着後のトナー補給時にトナーを排出口12側に搬送するトナー搬送回転体13が設けられている。トナー搬送回転体13は、例えば、線状の部材を螺旋状の形状に曲げ加工したものであって、収容空間部11の一端側から他端側に至る範囲に存在しかつ収容空間部11の内壁面に接近した状態で回転するものである。また。トナー搬送回転体13は、その一端部13aが容器本体10の一方の端部10aとなる側面10bに回転自在に取り付けられて片持ち支持されているとともに、その一端部13の先端部を容器本体10の外側に突出させて図示しないギヤが取り付けられている。トナー搬送回転体13の一端部13aは、容器本体10の一方の端部10aに例えば図示しない端部カバーを装着し、その端部カバーに対して回転自在に支持させてもよい。トナー搬送回転体13は、カートリッジ1Aを画像形成装置5Aに装着すると、その一端部に取り付けられているギヤが画像形成装置5A側に設置される駆動ギヤと結合して噛み合い、その駆動ギヤの駆動力により所望の方向に回転するようになっている。
容器本体10には、その長手方向A1,A2にスライド移動して排出口12を開閉する開閉蓋14が設けられている。開閉蓋14は、カートリッジ1Aを装着していない未装着時にはスプリングの弾性的圧力を受けて長手方向A1に押され続けることで排出口12を閉じる位置に保たれる一方、カートリッジ1Aの装着時には後述するようにカートリッジ装着部53に設けられる突起(57)に当たって長手方向A2に相対的に移動することで排出口12を開ける位置に変位する。容器本体10の収容空間部11は、開閉蓋14で排出口12を閉じると、密閉された状態になる。なお、このカートリッジ1Aは、その長手方向A1側の端部(容器本体10の排出口12が形成されている側の端部10a)が装着時における挿入先端部になっている。
そして、このトナーカートリッジ1Aは、容器本体10の一部に突出部2が設けられている。
突出部2は、容器本体10の収容空間部11と連続するようにつながって容器本体10の外周面から突出する内部空間21を有する形状に形成されたものであり、またトナーカートリッジ1Aを装着する過程で生じる外力を受けて潰れた状態に変形させられるものである。
この実施形態における突出部2(A)は、装着時の容器本体10における収容空間11の内壁のうち収容されて堆積するトナーTが接触しない部分11aに相当する領域10sに設けられている。図2中の符号11bは、トナーTが接触しない部分11a以外となる、収容空間11の内壁のうち収容されて堆積するトナーTが接触する部分を示す。また、この突出部2Aは、容器本体10の排出口12が形成された装着時の奥側端部10aとは反対側の手前側端部10cの領域に設けられている。
そして、突出部2Aは、容器本体10の手前側端部10cにおいて装着時に上部となる部位に装着時の奥側となる長手方向A1に所要の距離Kだけ伸びる横倒しにした角柱状の形状に形成されるとともに、その装着時の奥側となる端部面が傾斜面22として形成されたものである。突出部2Aの寸法(長さ、幅、突出高さHなど)については、例えば、突出部を潰して変形させた際にその内部空間21の容積が減る量として要求される量に応じて設定される。
この突出部2(A)は、後述する装着の過程で生じる外力(F)により潰れる状態に容易に変形する特性を有するものとして形成される。この実施形態では、突出部2を容器本体10と同じ材料を用いて一体で形成している。この場合、例えば、容器本体10と同じ厚さ(外力で変形し得る厚さ)で形成したり、あるいは、容器本体10の厚さよりも薄い厚さでもって形成することにより、上記変形が可能な特性を確保している。容器本体10と一体で形成する場合は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリプロピレン等の合成樹脂を用いて、例えばブロー成形(中空成形)方法、射出成形方法等の公知の成形方法を適用して形成される。突出部2Aが変形する際、容器本体10の突出部2Aの周辺部分は、例えば、突出部2の部分よりも変形しにくい強度を有するように形成されている。なお、突出部2の形成は、後述するように容器本体10と別に(別体として)作製し、その別体の突出部2を容器本体10と一体にする手法を採用することもできる。
また、このトナーカートリッジ1Aの装着部53は、図3〜図5に示すように、容器本体10の全体を収容する円筒状の収容空間部53aのほかに、容器本体10の外周面から突出している開閉蓋14を導入して通過させる蓋導入部54と、容器本体10の突出部2Aを導入して通過させる突出部導入部55とを有している。このような装着部53は、例えば合成樹脂を用いて形成される。
収容空間部53aは、その奥側(装着時の挿入方向の終端側:画像形成装置の裏面側)に、トナー搬送回転体14のギヤと連結する図示しない駆動ギヤが配置されている。蓋導入部54は、収容空間部53aの下部の長手方向に直線状に伸び、開閉蓋14が接触せずに通過できる空間が確保された状態で形成される通路空間である。また、蓋導入部54は、その奥側の端部に補給搬送装置68のトナー受け口と接続するトナー通路56が設けられているとともに、そのトナー通路55の収容空間部53aにむけて突出した形状でカートリッジ装着時に開閉蓋14が接触して開き動作に移るきっかけを与える突起57が設けられている。
突出部導入部55は、収容空間部53aの上部の長手方向に所定の距離Lだけ直線状に伸び、容器本体10の突出部2Aが接触せずに通過できる空間が確保された状態で形成される通路空間である。突出部導入部55の奥行きの長さLは、装着時に突出部2Aを変形させない時期に相当するものであり、例えば、排出口12の開閉扉14との開閉時期との関係に基づいて設定されている。また、突出部導入部55の天井面(内壁上面)55aの高さDは、突出部2Aの突出高さHよりも大きい寸法(D>H)に設定されている。天井面55aの高さDは、収容空間部53aに装着時に挿入された容器本体10の(突出部2Aを除く)上端部が位置する高さ(図中の二点鎖線N)からの離間距離である。後記する接触部80における天井面の高さについても同様とする。
そして、突出部導入部55の奥側には、トナーカートリッジ1Aの容器本体10における突出部2Aが接触して潰れた状態に変形させられながら通過する接触部80が延長した状態で設けられている。
接触部80は、その天井面80aの高さEを、突出部導入部55の天井面55aの高さDよりも小さくかつ突出部2Aの突出高さHよりも小さい寸法(E<H<D)に変更して形成されたものである。接触部80の入口側の天井面80bは、突出部2Aの変形させる動作(カートリッジの装着動作)をスムーズにする等の観点から、その高さが奥側に移動するに従って徐々に高さEに達するような傾斜面として形成されている。
また、接触部80は、突出部導入部55の終端部(長さLとなる位置)からの奥行き長さMは、突出部2Aを潰した状態で変形させることができる量に相当するものであり、カートリッジ1Aの装着完了時に突出部2Aを潰して変形させるべき量を基準に設定される。ちなみに、この接触部80の奥行き長さMと突出部導入部55の奥行き長さLとの合計値(M+L)は、突出部2Aが装着部53の収容空間53a内にすべて収容されるようにする観点から、その突出部2Aの長さKよりも大きい値になる((M+L)>K)。
このような接触部80は、少なくとも突出部2Aが接触した際に突出部2Aを変形させることが可能な機械的強度を有するものであればよい。また、接触部80は、例えば、装着部53と同じ材料にて一体に形成されるが、別の材料を用いて別体として形成してもよい。
以下、トナーカートリッジ1Aを画像形成装置5Aの装着部53に装着する際の動作について説明する。
まず、図4に示すように、画像形成装置5Aにおける開閉扉58を開けることにより装着部53を外部に開放させた状態にした後、その装着部53に対してトナーカートリッジ1Aをその挿入先端部(10a)から挿入する。図中の符号Y1は、トナーカートリッジ1の装着時の挿入方向を示す。
この装着動作の初期の段階では、図6及び図7に示すように、カートリッジ1Aの容器本体10が装着部53の装着空間部53aに誘導される状態で奥側に向けて押し込まれる。この際、容器本体10の挿入先端部10a側にある開閉蓋14が蓋導入部54に導入されて奥側に進み(図6)、また、開閉蓋14の蓋導入部54への導入開始時点よりも遅れたタイミングで、容器本体10の挿入後端部10c側にある突出部2Aが突出部導入部55に導入されて奥側に進む(図7)。
続いて、カートリッジ1Aが更に奥側に押し込まれると、開閉蓋14の一部(カートリッジ挿入時の先端部)14aが蓋導入部54に設けられた突起57に接触し、それ以上の移動が妨げられ、挿入方向Y1に移動する容器本体10に対して停止した状態になる。この開閉蓋14の一部が突起47に接触した時点では、突出部2Aは、図7に示すように突出部導入部55内に存在し、接触部80内に浸入していない。つまり、突出部2Aの挿入方向Y1の先端部側に位置する傾斜面22が、接触部80の入口側に位置する傾斜面80bと接触せず離れた位置関係にあり、突出部2Aが変形される前の状態にある。
開閉蓋14の一部が突起47に接触した後に、カートリッジ1Aが更に奥側に押し込まれると、図8に示すように、容器本体10が挿入方向Y1に移動するのに対し、開閉蓋14が突起57に接触した状態で移動せずに容器本体10の長手方向A2(挿入方向Y1とは反対の方向)に対して相対的にスライド移動することで排出口12を開け始める。また、この開閉蓋14のスライド移動により排出口12が一部開いた状態になった後に、突出部2Aが突出部導入部55から接触部80内に浸入し始める。つまり、突出部2Aは、その傾斜面22が接触部80の傾斜面80bに接触し始め、接触部80内で変形する外力を受け始めることになる。
この後、カートリッジ1Aが奥側の装着終点位置まで最終的に押し込まれると、図9に示すように、開閉蓋14が更にスライド移動して排出口12が全開した状態になるとともに、その全開した排出口12がトナー通路56と向き合った位置で停止した状態になる。また、トナー搬送回転体13の一端部13aにあるギヤが、画像形成装置5A側の駆動ギヤと噛み合って結合した状態になる。
そして、この段階において、容器本体10の突出部2Aは、突出部導入部55の高さD及び突出部の突出高さHのいずれよりも低い接触部80内に浸入して通過することで、接触部80の傾斜面80b及び天井面80aから容器本体10側(下方側)にむけて押される力(荷重)Fを受け続ける。この結果、突出部2Aは、容器本体10側に窪んで潰れた状態に変形させられる。図9等における符号23は、突出部2Aの変形させられた部分を示す。なお、この実施形態では、突出部2Aの挿入方向Y1の上流側の一部は、突出部導入部55内に存在して変形しない状態に保たれる。
トナーカートリッジ1Aは、装着部53の装着完了位置まで押し込まれると、図示しない制止部材又は構造により変動しないように固定される。カートリッジ1Aを装着完了位置まで押し込んだ後、最後に開閉扉58を閉じる(図9)。以上により、カートリッジ1Aの装着動作が完了する。
このようにトナーカートリッジ1Aは、画像形成装置5Aの装着部53に装着される過程で、容器本体10の突出部2Aが接触部80から外力(F)を受けて潰れた状態に変形させられる(図9)。
これにより、装着前のトナーカートリッジ1Aにおいて、図2や図10等に示すように、容器本体10の収容空間部11内に収容されているトナーTのうち排出口12を塞ぐ状態で凝集している部分のトナーTxが存在する場合には、突出部2Aが潰れた状態に変形することで、その凝集した部分のトナーTxが解消されて排出口12から排出され、排出口12が凝集したトナーTxで塞がれることがなくなり、排出口12からのトナーの排出が正常に行われる。ここで、トナーTxの凝集は、主として、トナーカートリッジ1Aが製造(トナーの充填を含む)されてから画像形成装置に装着されて実際に使用されるまでにおける保管、運搬等の過程で収容されているトナーの一部が排出口12に集まって軽く固まった状態になることである。
この凝集したトナーTxの(凝集状態の)解消は、例えば、以下の作用によって行われるものと推測される。
すなわち、トナーカートリッジ1Aでは、図10に示すように、突出部2Aが潰れた状態で変形すると、その突出部2Aの内部空間21の容積が変形前の元の状態(図中の二点鎖線で示す状態)に比べて減少し、その減少した部分に存在していた空気が容器本体10の収容空間部11側に移動することで、容器本体10(収容空間部11)の内圧が一時的に高まる。この高まった内圧(空気圧P)の一部が、排出口12に向かう力(空気流)ともなり、堆積したトナー層のなかに浸透して及ぶ。この結果、排出口12を塞ぐ状態で凝集する部分のトナーTxが、その排出口12側に向かう力により押されることで崩されてほぐされた状態になるためと考えられる。ほぐされたトナーTxは、排出口12から排出される。
また、突出部2Aは、容器本体10の収容空間部11のうち収容されているトナーTが接触しない部分11aに相当する内壁領域10sに設けられているので(図1、図2)、装着の過程で変形される際に、その内部空間21がトナーTのない空気だけが存在している状態であり、しかも容器本体10の収容空間部11のトナーTが存在しない空隙部Sとつながった状態でもある。このため、突出部2Aの変形で内部空間21の容積が減った部分の空気が、容器本体10の収容空間部11に対しトナーTに邪魔されることなくスムーズに移動し、収容空間部の内圧を効率よく高めることができる。また、突出部2Aが変形するときに、その突出部2Aの変形部23が収容空間部11内のトナーTを押して圧迫することがない。
また、突出部2Aは、容器本体10の排出口12が形成された端部10aとは反対側の端部10cの領域に設けられているので(図1、図2)、その変形の際に内部空間21に存在している空気が、収容空間部11に入り込んだ後、突出部2Aが設けられた容器本体の端部10cとは反対側の端部10aに向けて送られるようになり、最終的に排出口12に向けて送りこまれる力(空気流)となる。
さらに、この実施形態では、排出口12が少なくとも一部開いた状態になってから突出部2Aが変形し始めるので(図8→図9)、高まる内圧が一部開口した排出口12に向かいやすくなり、凝集したトナーTxが解消されつつ排出口12から排出される。
トナーカートリッジ1Aが装着された後の画像形成装置5Aでは、トナーの補給時期になると、そのカートリッジ1Aにおけるトナー搬送回転体13が回転し始める。
これにより、収容空間部11内のトナーTが排出口12側に寄せられるように搬送されるとともに排出口12から排出される。排出口12から排出されたトナーTは、装着部53のトナー通路56を通して補給搬送装置68に送られた後、補給搬送装置68により現像装置64に搬送される。ちなみに、このカートリッジ1Aでは、突出部2Aが変形する際に容器本体10が内側に潰れるように変形することがなく、このため、容器本体10(収容空間部11)が変形することでトナーTの収容空間部11内での移動が阻害されたり、あるいはトナー搬送回転体13の内での回転が不能になることもない。
この画像形成装置5Aでは、装着して使用するトナーカートリッジ1Aに排出口12を塞ぐ状態で凝集している部分のトナーTxが存在していた場合であっても、前記したとおり、その装着の過程でトナーTxが解消される。このため、トナーカートリッジ1Aの装着後において凝集したトナーTxが残存していた場合に発生し得る以下の不具合を未然に防止することができる。
例えば、凝集したトナーTxの存在によりカートリッジ1A内のトナーTが排出口12を通して排出されず、現像装置64に搬送されて補給されないことにより、カートリッジ1AがトナーTのない空状態であると誤検知される等の誤動作や、トナーTが排出口12から十分に排出されず、現像装置64に補給される量が少なくことにより、現像される画像の濃度が低下する等の画質低下などの不具合である。
<第1の実施形態の変形例>
図11及び図12は、突出部2Aに代えて、他の構成からなる突出部2(2B)を設けたトナーカートリッジ1Bの構成例を示す。
この突出部2Bは、例えば、曲面で構成される流線形(隆起型)の形状に形成された突出部2である。突出部2Bは、装着の挿入時に潰れた状態に変形させやすくする等の観点から、その長手方向(長さK2で示す方向)が容器本体10の長手方向Aに沿わせるように形成している。このような突出部2Bを設けたトナーカートリッジ1Bを装着する画像形成装置5Aにおいては、その装着部53の突出部導入部55及び接触部8を、突出部2Bの形状に適応した形状や寸法に調整して形成する。
図12の下部は、このトナーカートリッジ1Bを装着部53に装着完了したときの状態の一例を示している。このトナーカートリッジ1Bにおいても、前記トナーカートリッジ1Aの場合と同様に、その装着部53に装着される過程で、容器本体10の突出部2Bが接触部80から外力(F)を受けて潰れた状態に変形させられる。そして、その容器本体10内に収容されているトナーTのうち排出口12を塞ぐ状態で凝集している部分のトナーTxが存在する場合には、突出部2Bが潰れた状態に変形することで、その凝集した部分のトナーTxが解消されて、排出口12からのトナーの排出が正常に行われる。
また、突出部2B(突出部2Aも含む)は、容器本体10の周方向Bに複数個設けることができる。この場合は、その複数の突出部2を設けたトナーカートリッジ1を装着する画像形成装置5Aの装着部53の突出部導入部55及び接触部8についても、複数の突出部2に適応した数や形状に調整して形成される。
図13は、トナーカートリッジ1Aが、装着部53に対して2方向(矢印Y1方向と矢印R方向)の装着動作を行うことにより装着される形式のトナーカートリッジ1Cである場合の構成例を示す。
このトナーカートリッジ1Cは、図13に示すように、装着部53に対して最初に挿入方向Y1に沿って所定の量だけ挿入された後、容器本体10の長手方向Aと交差する周方向B1方向に沿う回し方向Rに所定の量だけ回されて装着完了位置に装着されるものである。このトナーカートリッジ1Cは、排出口12及びその開閉蓋14が一部変更される以外は前記カートリッジ1Aと同じ構成になっている。すなわち、排出口12は、2方向の装着動作のうち回し方向Rの動作に連動して装着部53のトナー通路56と対向する位置に移動するように、回し方向Rの回す量に応じた距離だけ容器本体10の周方向B2にずらした位置に形成されている。開閉蓋14は、その周方向B1,B2にスライド移動して排出口12を開閉するように形成されている。
また、このトナーカートリッジ1Cを装着する画像形成装置5Aの装着部53は、図14に示すように、その円筒状の装着空間部53aの突出部導入部55に対してカートリッジ回し方向Rと一致する周方向B3の下流側に連続して接触部81が形成されている。接触部81は、その天井面81aが、突出部導入部55の突出高さDから装着空間部53aの周方向B3の下流側にむかうにつれて装着空間53aの内壁面に近づくように次第に低くなる形状の傾斜面として形成される。また、装着部53は、図14に示すように、その蓋導入部54を、前記したカートリッジ1Cの開閉蓋14の設置位置の変更に合わせて装着空間53aの底部から周方向B4にずらした位置に形成する。
トナーカートリッジ1Cの装着部53への装着動作は、最初に、図13の上部に示すようにカートリッジ1Cをその挿入先端部10aから装着部53に差し入れて挿入方向Y1に押し込み、装着空間部53aの奥まで入れる。この際、開閉蓋14が蓋導入部54に導入されて進み、突出部2Aが突出部導入部55に導入されて進む。続いて、図13の下部に示すように、カートリッジ1Cを装着空間部53a内で回し方向Rに回し始め、装着終点位置に至るまで回す。この際、カートリッジ1Cの突出部2Aが接触部81内に侵入して通過することで、高さが次第に低くなる傾斜面の天井面81aから押される力(荷重)を受け続ける結果、突出部2Aは容器本体10側に窪んで潰れた状態に変形させられる(図13の下部)。
[第2の実施形態]
図15〜図18は、第2の実施形態に係るトナーカートリッジ及びそれを装着して使用する画像形成装置における装着部の概要を示すものであり、図15はそのトナーカートリッジ1Dの斜視図、図16は図15のQ−Q線断面図、図17及び図18はカートリッジ1Dの装着の過程の状態を示す説明図である。
トナーカートリッジ1Dは、突出部2Dを容器本体10の挿入後端部10bの側面部10dに設けるとともに、その容器本体10の挿入後方端部10bに端部カバー15を装着して取り付けた以外は第1の実施形態に係るトナーカートリッジ1Aと同じ構成からなるものである。以下(図面も含む)、第1の実施形態と共通する構成部分については同じ符号を付し、その説明を必要な場合を除き省略する。
突出部2Dは、容器本体10の挿入後方端部10bの側面部10dにおける中央部に球面状の形状で突出したものである。突出部2Dの一部が容器本体10の収容空間部11のトナーTが接触する内壁領域11bに入り込んで形成されており、しかもその突出部の内部空間21が容器本体10の収容空間部11内と全域においてつながった空間である場合は、収容空間部11内に収容されているトナーTの一部が入り込んで存在することになる。図中の符号Hは、その突出部2dの最大高さを示す。端部カバー15は、容器本体10の挿入後方端部10bにその外側から嵌めて固定してその端部10bを補強するものである。また端部カバー10の側面部15aの中央部には、容器本体10の突出部2Dの少なくとも変形させる部分を外部に露出させる貫通孔16が形成されている。
また、このトナーカートリッジ1Dを装着する画像形成装置5Aにおいては、図17等に示すように、その装着部53の開閉扉58に、その閉じる動作の過程で装着部53に装着されたカートリッジ1Dの突出部2Dに接触して潰す状態に変形させる接触部86を設けている。接触部86は、開閉扉58の内壁面に支柱86aを介して接触板86bを取り付けることで構成されている。その支柱86a及び接触板86bは、開閉扉86を閉じる際に、装着部53に装着されたカートリッジ1Dの端部カバー15の貫通孔16を通過して突出部2Dに接触して変形させることができる形状、寸法及び機械的強度を有するように形成されている。この実施形態における装着部53には、第1の実施形態における装着部53の突出部導入部55を設ける必要がないが、装着空間部53aの入り口側に、突出部2D(端部カバー15を含む)が装着空間部53aの内部に納まるようなスペースを確保する必要がある。
トナーカートリッジ1Dの装着部53への装着動作は、最初に、図17に示すようにカートリッジ1Dをその挿入先端部10aから装着部53に差し入れて挿入方向Y1に押し込み、装着空間部53aの装着終了位置まで入れる。この際、開閉蓋14が蓋導入部54に導入された後に突起57に接触して停止し、最終的に排出口12が全開にされた状態になる。続いて、図18に示すように、装着部53の開閉扉58を矢印C2の方向に揺動させて閉じる。この閉じ動作の過程で、開閉扉58の内壁面にある接触部86がトナーカートリッジ1Dにおける突出部2Dに当たり、接触部の接触板86bが接触する部分を中心に突出部2Dを閉じ方向C2に押す。これにより、突出部2dは、接触部86から容器本体10の長手方向A1に押される力(荷重)Fを受け続ける結果、突出部2Dは容器本体10側に窪んで潰れた状態に変形させられる。開閉扉58は、完全に閉じた位置で変動しないように図示しない固定手段で固定される。
このトナーカートリッジ1Dにおいても、その装着部53に装着される一過程(開閉扉58の閉じ動作の過程)で、容器本体10の突出部2Dが接触部86から外力(F)を受けて潰れた状態に変形させられる。そして、その容器本体10内に収容されているトナーTのうち排出口12を塞ぐ状態で凝集している部分のトナーTxが存在する場合には、突出部2Dが潰れた状態に変形することで、その凝集した部分のトナーTxが解消されて、排出口12からのトナーの排出が正常に行われる。
なお、この突出部2Dの場合、その内部空間21の一部(下部側)内にトナーTが一部存在した状態で変形することになるが、容器本体10の端部側面10dの中央部であるためトナーTが落下しやすく、変形後の内部空間21内に残留してしまうことがない。また、突出部2E自体の変形であって容器本体10の収容空間部11が変形しないため、トナー搬送回転体13の回転の障害になることもない。
<第2の実施形態の変形例>
図19及び図20は、突出部2Dに代えて、他の構成からなる突出部2(2E)を設けたトナーカートリッジ1Eの構成例を示す。
この突出部2Eは、容器本体10の挿入後方端部10bの側面部10dの上部に設けた突出部である。その上部とは、容器本体10の収容空間部11のトナーが接触しない内壁面領域11d内に相当する部分になる。このため、突出部2Eでは、その内部空間21内にトナーTが存在することがない。このカートリッジ1Eにおいても、前記した端部カバー15を装着しても差し支えない。また、この突出部2Eは、装着部53の開閉扉58に設ける接触部86からの力を受けることで変形させられるようにする(図21)。接触部86については、突出部2Eの形成位置や形状等の変更に対し、その変更内容に適応した位置や形状に調整して形成する。
図21は、このトナーカートリッジ1Eを装着部53に装着完了したときの状態の一例を示している。このトナーカートリッジ1Eにおいても、前記トナーカートリッジ1Dの場合と同様に、その装着部53に装着される一過程である開閉扉58の閉じ動作の過程で、容器本体10の突出部2Eが開閉扉58の接触部86から外力(F)を受けて潰れた状態に変形させられる。そして、その容器本体10内に収容されているトナーTのうち排出口12を塞ぐ状態で凝集している部分のトナーTxが存在する場合には、突出部2Eが潰れた状態に変形することで、その凝集した部分のトナーTxが解消されて、排出口12からのトナーの排出が正常に行われる。
図22は、突出部2Eに代えて、その形状が異なる突出部2Fを設けたトナーカートリッジ1Fの構成例を示す。
この突出部2Fは、その全体の形状を伸縮する蛇腹状の形状に変更した以外は前記突出部2Eと同じ構成からなるものである。この突出部2Fは、開閉扉58の接触部86の力を受けて潰れた状態に容易に変形する(圧縮される)。また、突出部2Fは、開閉扉58を開ける方向(C1)に動かした際に、その変形した状態から復元するように構成することができる。このように構成した場合は、トナーカートリッジ1Fの最初の装着時や、装着した後に長期間使用しないで放置して再使用し始める場合の時期や、他のメンテナンス作業時等において、開閉扉58を複数回繰り返して開閉動作させることで突出部2Fを複数回変形させることができ、これにより、トナーカートリッジ1Fの未使用段階をはじめ装着した後の使用段階で排出口12を塞ぐ状態で凝集する部分のトナーTxを解消させる機会が増える。
[第3の実施形態]
図23及び図24は、第3の実施形態に係るプロセスカートリッジ及びそれを装着して使用する画像形成装置の概要を示すものであり、図23はそのプロセスカートリッジ3の断面説明図、図24は画像形成装置5Bの説明図である。
画像形成装置5Bは、図24に示すように、作像装置60の構造が一部変更されるとともに、定着装置70の配置位置が作像装置60の上方の位置に変更された以外は第1の実施形態に係る画像形成装置5A(図2)とほぼ同じ構成からなるものである。図中の符号52は、定着装置70の配置位置が変更されたことなどに伴い筐体50の上部に形成された、画像が形成された後の用紙9を収容する排紙収容部である。
作像装置60は、露光装置63及び転写装置65以外の感光体ドラム61、帯電装置62、現像装置64及び清掃装置66が筐体50に対して着脱自在なユニット部品として構成されている。また、この着脱される現像装置64には、トナーを補給するトナー収容体1Mが一体で形成されている。
プロセスカートリッジ3は、図23に示すように、作像装置60における着脱自在なユニット部品(感光体ドラム61、帯電装置62、現像装置64及び清掃装置66)とトナー収容体2が一体となって筐体50に着脱自在に装着される着脱作像ユニットとして構成されている。図23の符号31は、カートリッジ3の一部を構成する部分であり、清掃装置66を支持するとともに清掃装置66で除去した残留トナーなどを回収する回収室が形成された構造部を示す。
現像装置64は、トナーとキャリアを所定の割合で含む現像剤Gを収容する現像剤収容室64bが形成された筐体を有している。図23中の符号64aは現像ロール、64cと64dは現像ロール64aとほぼ平行した状態で矢印の方向に回転することにより現像剤収容室64b内の現像剤Gを攪拌して現像ロール64aを通過させるように循環搬送させる攪拌回転体、64eは2つの攪拌回転体64c、64dとの設置領域をその回転軸方向の両端部で仕切らずそれ以外の部分で仕切る仕切り板である。
プロセスカートリッジ3におけるトナー収容体1Mは、現像装置64の現像剤収容室64bと仕切り壁を隔てて一体で形成される容器本体10Mを有するものである。容器本体10Mは、その内部が現像装置64に補給するトナーTを収容する角柱状の収容空間部11Mが形成されているとともに、その収容空間部11MからトナーTを現像装置の現像剤収容室64bに排出する排出口12が収容空間部11Mの長手方向(後述するトナー搬送回転体18の回転軸18aの方向)の一端部の領域に形成されている。
トナー収容体1Mと現像装置64の間には、収容空間部11Mと現像剤収容室64bとが接する下部に補給通路部16が形成されている。補給通路部16は、攪拌回転体64の軸方向と平行する状態で形成される円筒状の通路を有し、その通路の長手方向の一端部の領域で排出口12とつながって接続されており、その反対側の端部の領域で現像剤収容室64bとつながって接続されている。また、補給通路部16の通路内には、トナー補給時に矢印方向に回転することにより、トナー収容体1Mの排出口12から排出されるトナーTを現像装置64の補給口64fに搬送するスクリュー状のトナー搬送回転体17が設置されている。なお、補給口64fは、プロセスカートリッジ3が装着されるまではシールテープ69が貼付されて塞がれた状態になっており、装着する直前に剥がし取られる。
収容空間部11M内には、プロセスカートリッジ3の装着後のトナー補給時にトナーを排出口12側に近づけるように搬送するトナー搬送回転体18が設けられている。トナー搬送回転体18は、例えば、回転軸18aに可撓性のシートを取り付けたものであって、そのシート自由端部が収容空間部11Mの内壁面の一部と接触した状態で回転するものである。トナー搬送回転体18は、その回転軸18aの一端部の先端部を容器本体10Mの外側に突出させて図示しない駆動伝達ギヤが取り付けられている。トナー搬送回転体18は、カートリッジ3を画像形成装置5Bに装着すると、その一端部に取り付けられているギヤが画像形成装置5B側に設置される駆動ギヤと結合して噛み合い、その駆動ギヤの駆動力により矢印で示す方向に回転するようになっている。
そして、このプロセスカートリッジ3は、トナー収容体1Mの容器本体10Mの一部に突出部20が設けられている。
突出部20は、容器本体10Mの収容空間部11Mと連続するようにつながって容器本体10Mの外周面から突出する内部空間21を有する形状に形成されたものであり、またプロセスカートリッジ3を装着する過程で生じる外力を受けて潰れた状態に変形させられるものである。
この実施形態における突出部20は、装着時の容器本体10Mにおける収容空間11Mの内壁のうち収容中のトナーTが接触しない部分11a(空隙部S)に相当する領域(具体的には上面部)に設けられている。また、この突出部20は、容器本体10の排出口12が形成された装着時の手前側端部とは反対側の奥側(挿入時先頭側)端部10cの領域に設けられている。さらに、突出部20は、第1の実施形態における突出部2A(図1、図2)と同様に、全体が横倒しの角柱形状であって装着時に奥側の面を傾斜面22とした形状として形成されている。
このプロセスカートリッジ3においては、突出部20が容器本体10Mの上面部に設けられているため、露光装置63の光LBの通り道(光路)を塞ぐ位置に存在する可能性があるため、突出部20を予め光路から外れた位置に設けるか、あるいは、潰れた状態に変形することで光路内に存在しない状態になるように形成される。この他、突出部20は、後述する装着の過程で生じる外力(F)により潰れる状態に容易に変形する特性を有するものとして形成される。
このプロセスカートリッジ3の装着部53Bは、図25に示すように、トナー収容体1Mを含むプロセスカートリッジ3の全体を収容する形状の収容空間部53aとして形成されている。装着部53Bは、矢印C1,C2の方向に揺動する開閉扉59により外部に対して開放及び遮蔽される。また、開閉扉59の内壁面には、装着部53Bの入り口側にカートリッジ3の着脱動作時に障害となる位置に配置されている転写装置65、用紙搬送ロール対78c等の構成部品が設けられており、開閉扉59を開けるとその構成部品が収容空間部53aの入り口から退避されるようになっている。
また、収容空間部53aの上部壁面の奥側には、プロセスカートリッジ3のトナー収容体1Mの容器本体10Mにおける突出部20が接触して潰れた状態に変形させられながら通過する接触部83が延長した状態で設けられている。
接触部83は、その天井面の高さを、収容空間部53の天井面53dの高さよりも小さくかつ突出部20の突出高さHよりも小さい寸法に変更して形成されたものである。なお、突出部20を露光装置63の光LBの光路内に存在する位置に設ける場合は、接触部83の天井面の高さはその光路の高さよりも低い寸法に設定される。光接触部83の入口側の天井面は、突出部20の変形させる動作(カートリッジの装着動作)をスムーズにする等の観点から、その高さが奥側に移動するに従って徐々に本来の高さに達するような傾斜面83aとして形成されている。
以下、プロセスカートリッジ3を画像形成装置5Bの装着部53Bに装着する際の動作について説明する。
まず、図25に示すように、画像形成装置5Bにおける開閉扉59を開けることにより装着部53Bを外部に開放させた状態にした後、その装着部53Bに対してプロセスカートリッジ3をその挿入先端部(10a)から挿入する。ただし、この挿入動作を行う前に、前述したシールテープ69を剥がし取って補給口69を開けた状態にする。図中の符号Y3は、プロセスカートリッジ3の装着時の挿入方向を示す。
プロセスカートリッジ3が装着部53の奥側の装着終点位置まで最終的に押し込まれると、その最終的な押し込みの過程で、トナー収容体1Mにおける突出部20が、その突出部の突出高さHよりも低い接触部83内に浸入して通過し、そのときに接触部83の傾斜面83b及び天井面から容器本体10M側(下方側)にむけて押される力(荷重)Fを受け続ける。この結果、突出部20は、図26に示すように、その上部側の全体が容器本体10M側に窪んで潰れた状態に変形させられる。
プロセスカートリッジ3は、装着部53Bの装着完了位置まで押し込まれると、図示しない制止部材又は構造により変動しないように固定される。カートリッジ3を装着完了位置まで押し込んだ後、最後に開閉扉59を閉じる(図24)。以上により、プロセスカートリッジ3の装着動作が完了する。
このようにプロセスカートリッジ3は、画像形成装置5Bの装着部53Bに装着される過程で、容器本体10Mの突出部20が接触部83から外力(F)を受けて潰れた状態に変形させられる(図26)。
これにより、装着前のプロセスカートリッジ3において、図26に示すように、トナー収容体1Mの容器本体10Mの収容空間部11内に収容されているトナーTのうち排出口12を塞ぐ状態で凝集している部分のトナーTxが存在する場合には、突出部20が潰れた状態に変形することで、第1及び第2の実施形態に係るトナーカートリッジ1の場合と同様に、その凝集した部分のトナーTxが解消されて排出口12から排出され、排出口12が凝集したトナーTxで塞がれることがなくなり、排出口12からのトナーの排出が正常に行われる。
プロセスカートリッジ3が装着された後の画像形成装置5Bでは、トナーの補給時期になると、そのトナー補給体1Mにおけるトナー搬送回転体18が回転し始めるとともに、現像装置64の。トナー搬送回転体17も回転し始める。
これにより、トナー補給体1Mでは、その容器本体10Mの収容空間部11内のトナーTがトナー搬送回転体18で排出口12側に寄せられるように搬送されるとともに排出口12から排出される。排出口12から排出されたトナーTは、現像装置64の補給通路部16における通路内に入り込むとともに回転するトナー搬送回転体18により補給口64f側に送られた後、補給口64aを通して現像装置64の現像剤収容室64bに搬送される。ちなみに、このカートリッジ3では、突出部20が変形する際に容器本体10Mが内側に潰れるように変形することがなく、このため、容器本体10M(収容空間部11)が変形することでトナーTの収容空間部11内での移動が阻害されたり、あるいはトナー搬送回転体18の内での回転が不能になることもない。
この画像形成装置5Bでは、装着して使用するプロセスカートリッジ3に排出口12を塞ぐ状態で凝集している部分のトナーTxが存在していた場合であっても、前記したとおり、その装着の過程でトナーTxが解消される。このため、トナーカートリッジ1Aの装着後において凝集したトナーTxが残存していた場合に発生し得る前記不具合を未然に防止することができる。
なお、プロセスカートリッジ3は、画像形成装置の装着部に装着した際、そのトナー補給体1Mが装着部の開閉扉と対面する位置関係になる構造である場合には、突出部20をトナー補給体1Mの容器本体10の開閉扉と対面する側面部などに設けるとともに、その開閉扉の内壁面に閉じ動作の過程で突出部20に接触して潰した状態に変形させる接触部を(前記装着部に接触部83を設けることに代えて)設けるようにしてもよい。
プロセスカートリッジ3は、トナー収容体1Mと一体にする作像装置60における着脱自在なユニット部品として前記感光体ドラム61、帯電装置62、現像装置64及び清掃装置66の一部や、他のユニット部品であってもよい。
[他の実施形態]
突出部2,20は、ゴム等の弾性部材を用いて形成したりあるいは蛇腹状の形状で形成することにより弾性変形するものとして構成することも可能である。突出部2,20は、容器本体10と別体のものとして作製した後、容器本体10に取り付けることで設けることもできる。突出部2,20を弾性変形するものとした場合は、トナーカートリッジ1やプロセスカートリッジ3の装着時に各種の接触部80等により変形しても、カートリッジを装着部から引き出したりあるいは開閉扉を開けると、その接触部80等からの力(F)を受けなくなり、その突出部2,20が復元する。このため、開閉扉58を装着の動作(挿入動作、開閉扉の閉じ動作など)を複数回繰り返して行うことにより突出部2、20を複数回変形させることができ、これにより、排出口12を塞ぐ状態で凝集している部分のトナーTxを解消させる機会が増える。
また、突出部2は、容器本体10の排出口12に接近した位置に設けることや、容器本体10の周面方向において排出口12と対向する側の位置に設けることなども可能である。トナーカートリッジ1における容器本体10は、その収容空間部11の形状やその外観形状が円筒状の形状でなく、他の形状であっても構わない。
トナーカートリッジ1やプロセスカートリッジ3を装着して使用する画像形成装置は、色の異なるトナーを用いて画像を形成するために、そのトナーカートリッジ1やプロセスカートリッジ3として複数のものを装着して使用する構成の画像形成装置も含まれる。