JP5293014B2 - ロール塗布方法およびロール塗布装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ロール塗布装置を用いて鋼帯等の長尺基材に連続して塗布液を塗布するロール塗布方法およびロール塗布装置に関する。
従来、連続して走行する基材(例えば鋼帯)に耐食性、加工性、美観性、絶縁性等の性能を付与するために、各種の塗膜を基材表面上に形成させる処理を行っている。この処理方法としては、ロールコーター(ロール塗布装置)が一般的に用いられており、ロールを2本用いる2ロールコーター、あるいは3本のロールを用いる3ロールコーターが広く使用されている。特に、3ロールコーターは塗布膜厚の制御性に優れることと、表面外観が比較的美麗であることから、主流のコーティング方式になっている。
この方式の塗布装置(3ロールコーター)は、図2に示すように、塗布液が満たされているコーターパン2より塗布液3をくみ上げるピックアップロール4と、ピックアップロール4によりくみ上げられた塗布液量を調整するミタリングロール5と、調整された塗布液量をピックアップロール4から鋼帯に転写するアプリケーターロール6により構成されている。
各ロールの回転方向は、ロール間の近接点、あるいは密接点において同方向に回転するナチュラル回転の場合と逆方向に回転するリバース回転の場合があるが、一般的にはリバース回転の方が鋼板の表面凹凸に沿った膜厚均一な塗膜面が得られやすいということから、基材表面に凹凸があり、表面凹凸に沿った均一な膜厚を得たい場合には、特にアプリケーターロール6と基材1間ではリバース回転にする場合が多い。また、アプリケーターロール6は基材1の表面に傷を付けないように鋼ロールにゴムをライニングしたゴムロールを用いられることが多い。
しかし、3ロールコーターを含むロールコーターの代表的な塗布欠陥として、ローピングと呼ばれる欠陥がある。このローピングは、ロールの周方向の筋模様が鋼板に転写され、膜厚むらとなり外観劣化を起こすものである。ローピングは塗布液体の粘度が高いほど、また、ロール周速が高速ほど発生しやすい傾向にある。特に、鋼板速度が速くなると各ロール周速も速くなるため、ローピングの発生が顕著となる。
ローピングを防止する技術としては、例えば、特許文献1には、ライン速度、アプリケーターロール周速、ピックアップロール周速の比率を特定範囲に制御する技術が開示されている。また、特許文献2には、塗料温度を塗料粘度が最小となる温度近傍に保持する方法が開示されている。さらに、特許文献3には、ライン速度200mpm以上の高速塗布において、ローピングの発生を低減させる方法として、ピックアップロールの周速を20〜80mpm、かつアプリケーターロールの周速をライン速度以上の200〜1000mpmとして塗布を行う方法が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2に開示されている技術では、ライン速度が低速領域ではローピングを防止できても、ライン速度が高速になるとローピング防止効果が不十分となる。ローピングのない均一な外観を得ることができるライン速度は200mpm未満であり、生産性を阻害する要因となり得る。
また、上記特許文献3に開示された方法では、アプリケーターロールの周速を上げていくとアプリケーターロール上のローピングのピッチが細かくなり、鋼板上もローピングが目立ちにくくなるが、アプリケーターロールの周速をライン速度に対して上げすぎると、アプリケーターロールと鋼板とが接触する位置において、塗布液の流れが乱れ、幅方向で局所的に塗布液の界面が振動し、鋼板上に膜厚ムラであるまだら模様を発生させる場合があった。このように、アプリケーターロールの周速を速くすることは、ローピングに対しては有効な手段であるが、新たな塗布外観の劣化要因を作り出すというおそれがある。
一方、自動車用鋼板、家電製品用鋼板、建材用鋼板では、従来から鋼板の表面に耐食性(耐白錆性、耐赤錆性)、耐傷付き性、耐薬品性を向上させる目的で、塗布液として有機樹脂と硬化剤を用いて、両者の反応により高度なバリア性を付与する方法が幾つか提案されている。
例えば、特許文献4では、特定の酸価、水酸基価を有する水性樹脂と硬化剤の反応を用いることにより、基材との密着性や上塗り塗料との密着性を必要最小量のカルボキシル基と適当量の水酸基を樹脂に導入することで確保しながら、有機樹脂と硬化剤との反応により耐アルカリ性、耐溶剤性を付与している。また、特許文献5では、ベース有機樹脂の分子量とガラス転移点を制御することで塗膜の硬さ、加工性を調整し、これらベース有機樹脂と特定の硬化剤の反応により耐傷つき性を付与している。さらに、特許文献6では、多官能ポリイソシアネートによる有機樹脂皮膜の高架橋密度化を図り、有機樹脂骨格中に一級水酸基を導入することで低温反応性を高めて耐もらい錆性を向上させている。
ただし、このような有機樹脂と硬化剤を含む塗料を前述のロールコーターで塗布する場合、ポットライフの問題から1液で安定化する必要があり、有機樹脂と硬化剤の反応性を抑えなければならない。従って、塗布後に十分な硬化性を得るためには高温の加熱・乾燥を行う。実際、特許文献4、5では180℃以上の温度で加熱・乾燥しており、それ以下の温度では十分な硬化性が得られていない。また、特許文献6では多官能ポリイソシアネートと一級水酸基の反応により比較的低温の加熱・乾燥で硬化しているが、100℃以下の加熱・乾燥では十分な硬化性が得られていない。
特開2000−254580号公報 特開平9−47716号公報 特開平10−309512号公報 特開2005−281863号公報 特開平3−071835号公報 特開平7−118870号公報
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、均一な塗布外観を確保しつつ、低温の加熱・乾燥でも十分な硬化性が得られ、それにより耐食性、耐傷付き性、耐薬品性に優れた表面処理鋼板等を製造することができるロール塗布方法およびロール塗布装置を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討を行った結果、ロールコーターを用いて有機樹脂と硬化剤とをそれぞれ独立して塗布することにより、有機樹脂との反応性が高い硬化剤を用いてもポットライフの問題がなく、低温の加熱・乾燥でも十分な硬化性が得られ、格段に優れた耐食性、耐傷付き性、耐薬品性が得られることを見出した。
上記のような知見に基づいて、本発明は以下のような特徴を有している。
[1]ピックアップロールに供給された塗布液の液量を、ミタリングロールで調整し、該調整された液量の塗布液をアプリケーターロールに供給し、該塗布液が供給されたアプリケーターロールを、通板速度100mpm以上で連続的に走行する基材に接触させて、基材表面に塗布液を塗布する3ロールコーターを用いたロール塗布方法において、
まず、3ロールコーターの基材走行方向の上流側で、少なくともロール1本を有するプレコーターを用いて、基材の塗布液を塗布する面に塗布液をプレコートし、続いて、該プレコートした基材上の塗布液が液体の状態において、前記3ロールコーターにより塗布液を基材に塗布することとし、
プレコーターで塗布する塗布液と3ロールコーターで塗布する塗布液のいずれか一方に有機樹脂を主成分とする塗料を用い、他方に前記有機樹脂と反応する硬化剤を主成分とする塗料を用いることを特徴とするロール塗布方法。
[2]塗布液が供給されるピックアップロールと、該ピックアップロールに供給された塗布液の液量を調整するミタリングロールと、前記液量が調整されたピックアップロールから塗布液を供給され、該供給された塗布液を通板速度100mpm以上で連続的に走行する基材に塗布するアプリケーターロールとを備えた3ロールコーターと、
該3ロールコーターの基材走行方向の上流側で、基材の塗布液を塗布する面に塗布液をプレコートすると共に、該プレコートされた塗布液が液体の状態で前記3ロールコーターに到達する位置に設けられたプレコーターとを備えたロール塗布装置であって、
プレコーターで塗布する塗布液と3ロールコーターで塗布する塗布液のいずれか一方が有機樹脂を主成分とする塗料であり、他方が前記有機樹脂と反応する硬化剤を主成分とする塗料であることを特徴とするロール塗布装置。
本発明においては、3ロールコーターの上流側にプレコーターを設置することにより、均一な塗布外観が得られるとともに、反応性の高い有機樹脂と硬化剤をプレコーターと3ロールコーターで独立して塗布することにより、ポットライフの問題を解決し、加熱乾燥温度が低温でも、耐食性、耐傷付き性、耐薬品性に優れた表面処理鋼板等を製造することが可能となる。
本発明の一実施形態を以下に述べる。
図1は、本発明の一実施形態において用いるロール塗布装置を示す図である。図1に示すように、この実施形態において用いるロール塗布装置は、連続して通板される基材1の表面にロールによって塗布液を塗布(転写)するものであり、3ロールコーターAと、その上流側に配置されたプレコーター(プレコート装置)Bを備えている。
3ロールコーターAは、コーターパン2から塗布液3をくみ上げるピックアップロール4と、ピックアップロール4上の塗布液の液量を調整するミタリングロール5と、調整されたピックアップロール4上の塗布液を基材1に転写するアプリケーターロール6とを備えている。ピックアップロール4には、胴部表面に多数の凹部が形成されたグラビアロールを用いている。また、基材1と接触するアプリケーターロール6には、硬度が60度以上のゴムがライニングされたゴムライニングロールを用いている。
そして、3ロールコーターAの各ロール4、5、6の回転方向は、各ロール間、あるいはアプリケーターロール6と基材1間において逆方向であり、ミタリングロール5上には塗布液3を掻きとるブレード7が設置されている。
さらに、ここでは、アプリケーターロール6がピックアップロール4と接触する手前にブレード9と塗布液回収用の回収槽10を設置した。詳細は後述するが、この実施形態では、プレコーターBで用いる塗布液14と3ロールコーターAで用いる塗布液3は成分の異なる塗布液を用いるため、プレコーターBで塗布された塗布液がアプリケーターロール6と接触した際に、一部がアプリケーターロール6により掻き落とされて、ピックアップロール4側に持ち込まれた場合に、3ロールコーターAのコーターパン2内の塗布液との反応を防止する目的で設置されている。
一方、プレコーターBは、3ロールコーターAの上流側の位置で予め基材1に塗布液14を塗布するものであり、プレコートロール11と、プレコートロール11に塗布液14を供給する塗布液供給ロール12と、塗布液14が満たされたコーターパン13とを備えている。基材1と接触するプレコートロール11には、ゴムがライニングされたゴムライニングロールを用いている。一方、塗布液供給ロールロール12は金属ロールを用いている。
このように、この実施形態では、3ロールコーターAの基材走行方向の上流側で、プレコーターBを有している。これに対して、図2に示したような、プレコーターを有していない従来のロール塗布装置の場合、基材1にライン方向の筋状の模様が発生しやすくなる。筋状の模様が発生してしまう理由は、基材1に随伴される空気の流れが基材1とアプリケーターロール6間のメニスカスに乱れを与えるためである。したがって、筋状の模様の発生しない均一な膜厚を得るためには、基材1に随伴される空気の流れが基材1とアプリケーターロール6間のメニスカスに影響を及ぼさないようにすればよい。すなわち、この実施形態で示すように、プレコーターBを設置することによって、基材1への塗布液14がアプリケーターロール6と基材1との隙間に流れ込み、基材1に随伴する空気の流れを効果的に遮断する働きをすることにより、筋状の模様を発生させることなく均一な塗布が可能となる。
次に、塗布後の外観が均一となる各ロールの周速条件範囲について調査を行った。
前述したように、3ロールコーターAを含むロールコーターの代表的な塗布欠陥として、ローピングと呼ばれるロールの周方向の筋模様が、鋼板に転写され、膜厚むらとなり外観劣化となる場合がある。ローピングは塗布液体の粘度が高いほど、また、ロール周速が高速ほど発生しやすい傾向にある。ローピングの発生条件は主に各ロールの周速、押し付け圧、塗布液の物性値(粘度、表面張力)に依存するが、高速塗布では、ライン速度に合わせてアプリケーターロール6の周速も速くなり、必然的に各ロール周速が速くなるために、ローピングの発生は避け難くなる。なお、ローピングはミタリングロール5とピックアップロール4間、およびピックアップロール4とアプリケーターロール6間で発生する可能性があるが、高速塗布では後者で必ず発生する。また、後者でローピングが発生する場合には前者で発生するローピングはキャンセルされるため、ピックアップロール4とアプリケーターロール6間のみに着目すればよい。
種々の実験による検討を行った結果、ピックアップロール4の周速を上げていくと、アプリケーターロール6上のローピングのピッチが小さくなっていき、ピックアップロール4の周速がアプリケーターロール6の周速に対して0.5倍以上では非常に細かいローピングが得られた。ローピングのピッチが小さくなると、塗布むらが目立ち難くなることもあるが、塗布後から乾燥までの間にレベリング効果が高まることから、乾燥後の外観が向上する。
また、アプリケーターロール6の周速は、基材1の走行速度(ライン速度)に対しての0.7倍以上1.4倍以下とすることが好ましい。アプリケーターロール6と基材1間においてもピックアップロール4とアプリケーターロール6間と同様、基材1の走行速度に対してアプリケーターロール6の周速が遅いほどローピングが顕著に現れ、アプリケーターロール6の周速が速くなり、その速度比が0.7以上になると、ローピングが軽減し、良好な外観が得られるが、アプリケーターロール6の周速を過度に速くしすぎると、外観が劣化する。この理由は、アプリケーターロール周速を速くしすぎた場合、ピックアップロールとアプリケーターロール間で発生するローピングが避けられなくなるからである。つまり、アプリケーターロール6と基材1間だけを考えた場合、アプリケーターロール6の周速は速い方が良好な外観が得られるが、ピックアップロール4とアプリケーターロール6間ではローピングが発生しやすくなり、ローピングが発生した場合はアプリケーターロール6から基材1にそのまま転写してしまう。ピックアップロール4とアプリケーターロール6間のローピングを避けるためには、前述したようにピックアップロール4の周速を速くすればよいが、アプリケーターロール6の周速が過度に速すぎると、ピックアップロール4の周速も非常に速くしなければならない。しかし、ピックアップロール4の周速を速くしすぎると、コーターパン2から塗布液3をくみ上げる際に塗布液3の飛散が激しくなったり、ミタリングロール5あるいはアプリケーターロール6の磨耗の進行が速くなったり、実際の操業には好ましくない。また、基材1の走行速度に対してアプリケーターロール6の周速が1.4倍を超えると、基材1とアプリケーターロール6間の塗布液3の液溜りが振動を起こしやすく、塗布ムラとなりやすいため、アプリケーターロール6の周速は基材1の走行速度の1.4倍以下にすることが好ましい。
そして、この実施形態においては、前述したように、プレコーターBで用いる塗布液14と3ロールコーターAで用いる塗布液3は成分の異なる塗布液を用いる。詳しくは、プレコーターBで塗布する塗布液14と3ロールコーターAで塗布する塗布液3のいずれか一方に有機樹脂を主成分とする塗料を用い、他方にその有機樹脂と反応する硬化剤を主成分とする塗料を用いる。これら有機樹脂および硬化剤の塗布順序としては特に規定しない。
有機樹脂の主成分とする塗料(有機樹脂性塗料)としては、特に限定はなく、公知の樹脂を用いることができる。例えば、エポキシ樹脂、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、アクリル系共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、アルキッド樹脂、ポリブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミン樹脂、ポリフェニレン樹脂類及びこれらの樹脂の2種以上の混合物若しくは付加重合物などが挙げられる。その中でも、酸素などの腐食因子に対して優れた遮断性を有するエポキシ樹脂や変性エポキシ樹脂が最適であり、とりわけ高度な導電性及びスポット溶接性を得るために皮膜の付着量を低レベルにする場合には特に有利である。
硬化剤を主成分とする塗料(硬化剤塗料)としては、前記の樹脂と反応する二官能以上の硬化剤であれば制限はなく、公知の硬化剤を用いることができる。例えば、尿素樹脂(ブチル化尿素樹脂など)、メラミン樹脂(ブチル化メラミン樹脂)、ブチル化尿素・メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のアミノ樹脂、イソシアネート、オキサゾリン化合物、フェノール樹脂などが挙げられる。このうちイソシアネートと有機樹脂中の水酸基とのウレタン化反応を利用する硬化方法が緻密な皮膜を形成でき、より好ましい。
また、上記の有機樹脂中に必要に応じて皮膜の加工性を向上させる目的で固形潤滑剤を配合することができる。この実施形態において適用できる固形潤滑剤としては、例えば、ポリオール化合物と脂肪酸とのエステル化物である脂肪酸エステルワックス、シリコン系ワックス、フッ素系ワックス、ポリエチレンなどのポリオレフィンワックス、ラノリン系ワックス、モンタンワックス、マイクロクリスタリンワックス及びカルナウバろうなどを挙げることができ、特に限定はされない。また、固形潤滑剤は、1種又は2種以上を混合して使用することも可能である。皮膜中での固形潤滑剤の配合量は、有機樹脂と硬化剤の合計100質量部(固形分)に対して1〜50質量部(固形分)、好ましくは3〜30質量部(固形分)とする。固形潤滑剤の配合量が1質量部未満では潤滑効果が乏しく、一方、配合量が50質量部を超えると塗装性が低下するので好ましくない。
また、耐食性を向上させるための防錆添加剤として、さらに酸化物微粒子(例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化アンチモン等)、リン酸塩(例えば、リン酸亜鉛、リン酸二水素アルミニウム、亜リン酸亜鉛等)、モリブデン酸塩、リンモリブデン酸塩(リンモリブデン酸アルミニウム等)、バナジン酸塩、有機リン酸およびその塩(例えば、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩及びこれらの金属塩、アルカリ金属塩)、有機インヒビター(例えば、ヒドラジン誘導体、チオール化合物、ジチオカルバミン酸塩等)、有機化合物(ポリエチレングリコール)等から選ばれる1つ以上の化合物を添加してもよい。
その他の添加剤として、有機着色顔料(例えば、縮合多環系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料等)、着色染料(例えば、有機溶剤アゾ系染料、水溶性アゾ系金属染料等)、無機顔料(酸化チタン)、キレート剤(チオール等)、導電性顔料(例えば、亜鉛、アルミニウム、ニッケルなどの金属粉末、リン化鉄、アンチモンドープ型酸化錫など)、メラミン・シアヌル酸付加物等を添加することもできる。上記添加剤は有機樹脂を主成分とする塗料、硬化剤を主成分とする塗料のどちらに添加しても構わない。
なお、上記の実施形態では、通常行われているように、基材1がバックアップロール8に巻きついた状態で基材1の片面に塗布する場合を示しているが、本発明は、基材1を挟んで両面にロールコーターが配置され、バックアップロールを必要としない両面同時塗布の場合にも適用することができる。さらに、基材1の通板方向は水平パスでも垂直パスでも何れでもよい。
また、上記の実施形態では、プレコーターBとして、2ロールを用いた場合を示しているが、ロールが1本以上であればよく、1ロールコーターや3ロールコーターでもよい。2ロールコーターよりも3ロールコーターの方が膜厚制御性も高く、より有利なため望ましいが、コスト的には高くなる。膜厚制御が可能な塗布液供給装置を備えた場合には、1本ロールでも目的を達成することが十分可能である。
また、プレコーターBでの塗布液の供給方式としては、コーターパン13から塗布液14を汲み上げる方式でなくてもよく、ノズルからロールに塗布液を噴射する方式を採用してもよい。
本発明を以下の本発明例と比較例により詳細に説明する。
本発明例として、板厚0.6mm、板幅1200mmの亜鉛メッキ鋼板のコイル(鋼帯)を基材にして、図1に示したロール塗布装置を用いて、表1、表2、表3に記載した塗布条件で塗布を行い、塗布後の膜厚、乾燥後の塗布外観の評価および塗布乾燥後の品質性能(耐食性、耐傷付き性、耐薬品性)の確認を行った。
ここで、3ロールコーターAについては、各ロールの材質は、アプリケーターロール6がゴムをライニングしたゴムライニングロール、ピックアップロール4が表面に多数の凹凸部が形成されているグラビアロール、ミタリングロール5がゴムをライニングしたゴムライニングロールを用いた。各ロールのロール径は、アプリケーターロール6とピックアップロール4が300mm、ミタリングロールが200mmである。ミタリングロール5の周速は、塗布膜厚が一定になるように10〜90mpmの範囲で調整した。
また、プレコーターBについては、基材1と接触するプレコートロール11にはゴムライニングロールを用い、コーターパン13から塗布液14を持ち上げる塗布液供給ロールロール12には金属ロールを用いた。各ロール11、12のロール径は250mmであり、各ロール11、12の周速およびニップ圧力を調整することで所定の膜厚になるように調整した。
そして、使用した塗布液は、表1に示す有機樹脂性塗料(エポキシ樹脂)と、表2に示す硬化剤塗料(トリレンジイソシアネートまたはブロックイソシアネート)を用いた。硬化剤は、発明例ではトリレンジイソシアネートを用いた。しかしながら、トリレンジイソシアネートは、エポキシ樹脂とあらかじめ混合すると、塗布前に反応が開始してしまい、塗料粘度が著しく増加して塗布困難となったため、有機樹脂と硬化剤を混合して塗布する比較例では、比較的常温では反応が進行しにくいブロックイソシアネートを用いた。
また、有機樹脂と硬化剤の塗布順番は特に定めるものではないが、ここでは、3ロールコーターAのコーターパン2には有機樹脂性塗料を供給し、プレコーターBのコーターパン13には硬化剤塗料を供給した。これらの有機樹脂性塗料、硬化剤塗料とも、液温度20℃において粘度が6mPa・s、表面張力が35dyn/cmのものを用いた。
一方、比較例として、図2に示したような、プレコーターを備えていない従来のロール塗布装置により、表1に示す有機樹脂塗料(エボキシ樹脂)と表2に示す硬化剤塗料(ブロックイソシアネート硬化剤)を混合した塗料を用い、その他は本発明例と同様にして、表3に記載した塗布条件で塗布を行い、塗布後の膜厚、乾燥後の塗布外観の評価および塗布乾燥後の品質性能(耐食性、耐傷付き性、耐薬品性)の調査を行った。
なお、これらの本発明例と比較例の塗布後の外観の評価は、十分に明るい蛍光灯の下で目視による観察によって行った。
また、品質性能評価方法については以下の通りである。
(1)耐白錆性
各サンプルについて、塩水噴霧試験(JIS−Z−2371)を施し、48時間後の白錆面積率で評価した。その評価基準は以下のとおりである。
◎:白錆発生面積率5%未満
○:白錆発生面積率5%以上、10%未満
◇:白錆発生面積率10%以上、25%未満
△:白錆発生面積率25%以上、50%未満
×:白錆発生面積率50%以上、100%以下
(2)アルカリ脱脂後の耐白錆性
各サンプルについて、日本パーカーライジング(株)製のアルカリ処理液CLNー364S(60℃、スプレー2分)でアルカリ脱脂を行った後、上記の塩水噴霧試験を施し、24時間後の白錆面積率で評価した。その評価基準は以下のとおりである。
◎:白錆発生面積率5%未満
○:白錆発生面積率5%以上、10%未満
◇:白錆発生面積率10%以上、25%未満
△:白錆発生面積率25%以上、50%未満
×:白錆発生面積率50%以上、100%以下
(3)耐傷つき性
ラビングテスター(太平理化工業(株)製)を用いて、試験片をダンボールでラビング後、試験片の表面を目視で観察し、下記評価基準に従って評価した。試験は、400g(面圧9.8kPa)、摺動距離60mm、速度120mm/s、ラビング回数1000回で行った。
◎:疵の本数が0本
○:疵の本数が1〜2本
△:疵の本数が3〜10本
×:疵の本数が11本以上または変色(本数測定不能)
(4)耐薬品性
各サンプルについて、日本パーカーライジング(株)製のアルカリ処理液CLNー364S(60℃、スプレー2分)でアルカリ脱脂を行った前後の皮膜残存率を蛍光X線によるC強度を測定することで評価した。その評価基準は以下のとおりである。
◎:C残存率が80%以上
○:C残存率が60%以上
△:C残存率が40%以上
×:C残存率が20%未満
本発明例および比較例の評価結果を表3に示す。
表3に示すように、本発明例では、プレコーターBを用いることにより、3ロールコーターAでの塗布時に均一塗布が可能となり、塗布後の外観が均一で且つ品質性能が向上した。一方、比較例では、プレコーターBを用いないことから、アプリケーターロール6と鋼板1との接触部においてメニスカス部が不安定となり、ローピングが発生してしまったため外観不良となり、品質性能が本発明例と比べ著しく低下していた。
Figure 0005293014
Figure 0005293014
Figure 0005293014
なお、この実施例では、基材として冷延鋼板を用いたが、本発明は、特に鋼板に限定されることなく、アルミ等の他の金属板にも適用されるものである。
本発明の一実施形態において用いるロール塗布装置を示す側面図である。 従来のロール塗布装置を示す側面図である。
符号の説明
A 3ロールコーター
B プレコーター
1 基材
2 コーターパン
3 塗布液
4 ピックアップロール
5 ミタリングロール
6 アプリケーターロール
7 ブレード
8 バックアップロール
9 ブレード
10 塗布液回収槽
11 プレコートロール
12 塗布液供給ロール
13 コーターパン
14 塗布液

Claims (2)

  1. ピックアップロールに供給された塗布液の液量を、ミタリングロールで調整し、該調整された液量の塗布液をアプリケーターロールに供給し、該塗布液が供給されたアプリケーターロールを、通板速度100mpm以上で連続的に走行する基材に接触させて、基材表面に塗布液を塗布する3ロールコーターを用いたロール塗布方法において、
    まず、3ロールコーターの基材走行方向の上流側で、少なくともロール1本を有するプレコーターを用いて、基材の塗布液を塗布する面に塗布液をプレコートし、続いて、該プレコートした基材上の塗布液が液体の状態において、前記3ロールコーターにより塗布液を基材に塗布することとし、
    プレコーターで塗布する塗布液と3ロールコーターで塗布する塗布液のいずれか一方に有機樹脂を主成分とする塗料を用い、他方に前記有機樹脂と反応する硬化剤を主成分とする塗料を用いることを特徴とするロール塗布方法。
  2. 塗布液が供給されるピックアップロールと、該ピックアップロールに供給された塗布液の液量を調整するミタリングロールと、前記液量が調整されたピックアップロールから塗布液を供給され、該供給された塗布液を通板速度100mpm以上で連続的に走行する基材に塗布するアプリケーターロールとを備えた3ロールコーターと、
    該3ロールコーターの基材走行方向の上流側で、基材の塗布液を塗布する面に塗布液をプレコートすると共に、該プレコートされた塗布液が液体の状態で前記3ロールコーターに到達する位置に設けられたプレコーターとを備えたロール塗布装置であって、
    プレコーターで塗布する塗布液と3ロールコーターで塗布する塗布液のいずれか一方が有機樹脂を主成分とする塗料であり、他方が前記有機樹脂と反応する硬化剤を主成分とする塗料であることを特徴とするロール塗布装置。
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